JP2017055838A - 光音響画像化装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】検出信号中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることが可能な光音響画像化装置を提供する。【解決手段】この光音響画像化装置100は、光源部1a(1b)と、光源部1a(1b)により被検体Pに光が照射されることに起因して被検体P内から発生する音響波Aを検出する検出部2と、被検体P内から発生する音響波信号を反映した信号波形を有する参照信号に基づいて、相関処理または畳み込み積分処理を行うことにより、検出部2により検出される検出信号から音響波成分を抽出する信号処理部34とを備える。【選択図】図2

Description

この発明は、光音響画像化装置に関し、特に、検出部を備えた光音響画像化装置に関する。
従来、検出部を備えた光音響画像化装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、パルスレーザ光を発生するレーザユニットと、パルスレーザ光の照射により被検体内で生じた音響波を検出する超音波プローブ(検出部)とを備えた光音響画像生成装置が開示されている。この光音響画像生成装置では、検出部により検出された検出信号から、被検体に照射された光の微分波形をデコンボリューションする信号処理を行うことにより、検出対象物が二重に見えるようなぼけた画像を明確化するようにしている。
特開2013−128758号公報
しかしながら、上記特許文献1の光音響画像生成装置では、デコンボリューション処理により画像のぼけを取り除くことはできるものの、検出信号に含まれるノイズを除去することはできない。検出信号のノイズ除去には、加算平均処理などを行うことが知られているが、たとえば高頻度で発生するノイズがある場合などでは、光照射によって発生する音響波の信号強度が小さいこともあり、十分にノイズを除去してS/N比を向上させることができないという問題点がある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、検出信号中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることが可能な光音響画像化装置を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による光音響画像化装置は、光源部と、光源部により被検体に光が照射されることに起因して被検体内から発生する音響波を検出する検出部と、被検体内から発生する音響波信号を反映した信号波形を有する参照信号に基づいて、相関処理または畳み込み積分処理を行うことにより、検出部により検出される検出信号から音響波成分を抽出する信号処理部とを備える。
この発明の一の局面による光音響画像化装置では、上記のように、被検体内から発生する音響波信号を反映した信号波形を有する参照信号に基づいて、相関処理または畳み込み積分処理を行うことにより、検出部により検出される検出信号から音響波成分を抽出する信号処理部を設ける。これにより、検出信号が参照信号(音響波信号を反映した信号波形を有する信号)に類似する音響波成分を含む場合に、その音響波成分については相対的に高値を有し、音響波成分以外のノイズ成分については相対的に低値を有するような信号(処理後の信号波形)を得ることができる。すなわち、信号処理部による処理後には、検出信号からノイズ成分を抑制して音響波成分を抽出した信号を得ることができるので、高頻度で発生するノイズがある場合においても、検出信号中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることができる。
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、信号処理部は、参照信号と検出信号との相関関数を算出することにより、検出信号から音響波成分を抽出するように構成されている。このように構成すれば、検出信号中のノイズ成分が抑制され、参照信号と類似する音響波成分のみが高い正の相関を有する相関関数の信号を得ることができる。その結果、より効果的に、信号のS/N比を向上させることができる。
この場合、好ましくは、検出信号の画像化処理を行う画像化部をさらに備え、信号処理部は、算出した相関関数を検出信号として画像化部により画像化させるように構成されている。このように構成すれば、たとえば算出した相関関数の信号を用いて元の検出信号を補正するような処理を行う場合と比較して、相関関数の信号自体を画像化することができるので、S/N比を向上させつつ、画像化のための信号処理が複雑化することを抑制することができる。
上記信号処理部が参照信号と検出信号との相関関数を算出する構成において、好ましくは、信号処理部は、算出した相関関数波形の内から、負の値をとる部分を除去するように構成されている。このように構成すれば、音響波の一部が被検体中で反射することにより生じる反射波の成分(虚像成分)が画像化されてしまうことを抑制することができる。すなわち、反射波は、音響波に対して逆位相となるため、相関関数の信号中では負の相関を有する部分として現れる。そのため、相関関数波形の内から、負の値をとる部分を除去することにより、反射波に起因する虚像が画像化されることを抑制することができる。その結果、ノイズ成分のみならず反射波に起因する虚像成分を除去して、光音響画像の高品質化を図ることができる。
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、参照信号は、光源部から照射される光波形の微分信号であり、信号処理部は、微分信号を用いて相関処理または畳み込み積分処理を行うことにより、検出信号から音響波成分を抽出するように構成されている。なお、「光波形」とは、光量−時間波形(光量の時間変化波形)を示す概念である。ここで、音響波は、被検体内の検出対象物が光源部から照射される光(パルス光)を吸収して膨張・収縮することによって発生する。このとき発生する音響波の波形(振幅の時間変化波形)は、理想的には照射された光(パルス光)の微分波形となることが知られている。つまり、光源部から照射される光波形の微分信号は、検出される音響波信号に類似し、音響波信号を反映した信号波形を有する参照信号として用いることができる。そのため、この微分信号を用いることによって、容易に、検出信号から音響波成分を抽出することができる。
この場合、好ましくは、光源部に供給される電流を測定する電流測定部をさらに備え、信号処理部は、電流測定部により測定される電流波形に基づいて、微分信号を取得するように構成されている。このように構成すれば、光源部が発生する光の光波形は、光源部に供給される電流の電流波形(電流の時間変化波形)を反映することから、電流波形を取得するだけで、容易に光波形の微分信号と同等(等価)な微分信号を得ることができる。その結果、たとえば光波形を直接取得するためには、光センサなどを別途設けて、被検体に対する光照射と並行して光検出を行う必要があるが、上記構成によれば、光源部への電流供給回路において電流測定が可能となるので、簡易で、かつ、リアルタイムに微分信号を取得することが可能となる。
上記参照信号が光源部から照射される光波形の微分信号である構成において、好ましくは、微分信号のデータを予め記憶する記憶部をさらに備え、信号処理部は、記憶部に記憶された微分信号のデータを用いて、検出信号から音響波成分を抽出するように構成されている。このように構成すれば、光源部から照射される光を実験的に測定しておいて、予め微分波形を生成して記憶部に記憶させておくだけで、容易に、微分信号を得ることができる。また、リアルタイムに微分信号を取得する場合と異なり、光センサや電流測定部を設ける必要がないので、装置構成を簡素化することができる。
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、参照信号は、検出対象物毎に予め取得された音響波信号の参照データであり、音響波信号の参照データを検出対象物毎に記憶する記憶部をさらに備え、信号処理部は、記憶部に記憶された音響波信号の参照データを用いて相関処理または畳み込み積分処理を行うことにより、検出信号から音響波成分を抽出するように構成されている。このように構成すれば、ノイズの少ない理想的な環境で音響波信号を実験的に測定し、参照データとしてサンプリングしておくことにより、予め測定した音響波信号自体を参照信号として用いることが可能となる。また、検出される音響波信号は、被検体内の検出対象物毎に、(類似しているものの)少しずつ異なっている可能性がある。そのため、使用時に、検出対象物に対応した参照データを使用できるので、より精度よく音響波成分を抽出することができるようになる。その結果、より効果的に信号のS/N比を向上させることができる。
上記一の局面による光音響画像化装置において、好ましくは、光源部は、検出部の近傍に配置された発光素子を含む。このように構成すれば、固体レーザなどの大型の光源装置を用いる場合と異なり、検出部の近傍に配置した発光素子を用いることにより、装置をコンパクト化することができる。この場合、発光素子を発光させる際に発生する電磁波の一部が検出信号にノイズとなって現れる可能性があるが、本発明によれば、発光に伴うノイズも効果的に除去してS/N比を向上させることができる。
この場合、好ましくは、発光素子は、発光ダイオード素子、半導体レーザ素子および有機発光ダイオード素子のうちのいずれかである。このように構成すれば、固体レーザなどの大型の光源装置と異なり、小型かつ低消費電力の光源部を構成することができる。この場合には、固体レーザ光源を用いる場合と比べて光の出力が小さくなるため、検出部により検出される音響波信号の信号強度がノイズレベルと比較して相対的に小さくなる。そのため、検出信号中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることができる本発明は、発光ダイオード素子、半導体レーザ素子または有機発光ダイオード素子を発光素子として用いる場合に特に有効である。
本発明によれば、上記のように、検出信号中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることができる。
本発明の第1〜第4実施形態による光音響画像化装置の全体構成を示した模式図である。 本発明の第1〜第4実施形態による光音響画像化装置の全体構成を示したブロック図である。 本発明の第1実施形態による信号処理を説明するための検出信号、参照信号および相関関数を示した模式図である。 光波形(A)と音響波信号(B)との関係を説明するための図である。 本発明の第1実施形態による光音響画像化装置の制御処理を説明するためのフロー図である。 本発明の第2実施形態による光音響画像化装置の電流測定部を説明するためのブロック図である。 光源部の電流波形と電流波形の微分信号とを示した図である。 本発明の第3実施形態による光音響画像化装置の記憶部に記憶されるデータを説明するための図である。 音響波と音響波の反射波とを説明するための図である。 検出信号中の音響波成分と反射波成分とを説明するための図である。 本発明の第4実施形態による光音響波画像装置の信号処理部による処理前の相関関数を説明するための図である。 本発明の第4実施形態による光音響波画像装置の信号処理部による処理後の相関関数を説明するための図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
(光音響画像化装置の全体構成)
図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態による光音響画像化装置100の全体構成について説明する。光音響画像化装置100は、被検体P(人体など)の内部の検出対象物Q(血液、臓器、および、穿刺針など)から音響波Aを検出して、検出信号を画像化する機能を有する。
第1実施形態による光音響画像化装置100は、図1に示すように、光源部1aおよび1bと、検出部2と、装置本体部3とを備える。また、光源部1a、光源部1bおよび検出部2は、それぞれ、ケーブル4を介して装置本体部3と接続されている。
光源部1aおよび1bは、検出部2の近傍に配置されている。具体的には、光源部1aおよび1bは、検出部2に近接し、検出部2を挟み込むように配置されている。使用時には、光源部1aおよび1bは、被検体Pの表面(人体の体表など)上に配置される。光源部1aおよび1bは、検出部2(後述する超音波振動子21)の近傍に配置された発光素子11を含む。発光素子11は、被検体Pに向かって、光(パルス光)を照射するように構成されている。
検出部2は、たとえば、リニア型超音波プローブとして構成されている。使用時には、検出部2は、操作者(ユーザ)により把持されながら被検体Pの表面(人体の体表など)上に配置される。検出部2は、先端部に複数の超音波振動子21を含み、先端部を被検体Pに接触させて音響波の検出を行う。超音波振動子21は、被検体Pの内部の検出対象物Qからの音響波Aにより振動して、振動を電圧(検出信号)として装置本体部3に出力するように構成されている。
装置本体部3は、光源部1aおよび1bの発光素子11からの光の照射の制御を行うとともに、検出部2の超音波振動子21からの検出信号を取得するように構成されている。装置本体部3は、表示部31を含む。装置本体部3は、検出部2から取得した検出信号(音響波A)を画像化して、画像化した光音響画像を表示部31に表示するように構成されている。
(光源部の構成)
第1実施形態では、光源部1aおよび1bの発光素子11は、発光ダイオード素子、半導体レーザ素子および有機発光ダイオード素子のうちのいずれかの素子により構成することが可能である。第1実施形態では、発光素子11は、発光ダイオード素子により構成されている。そして、発光素子11は、光源部1aおよび1bに複数設けられており、たとえば、光源部1aには、70個の直列に接続された発光ダイオード素子が設けられている。これにより、たとえば、光源部1aおよび1bは、被検体P内の検出対象物Qを画像化することが可能な程度の光強度を有する光を被検体Pに照射することが可能に構成されている。複数の発光素子11は、光源部1a(1b)内にアレイ状に配列されている。
発光素子11は、装置本体部3の光源駆動部32(図2参照)から駆動電力が供給されることにより、パルス光を発生する。発光素子11が発生するパルス光は、可視光に比べて人体に侵入しやすい波長である赤外域の波長(たとえば、約850nmの波長)を有する。
(検出部の構成)
図1に示すように、検出部2には、超音波振動子21と、音響レンズ22と、音響整合層23と、バッキング材24とが設けられている。音響レンズ22と、音響整合層23と、超音波振動子21と、バッキング材24とは、検出部2の被検体P側(矢印Z2方向側)からこの順に互いに接合(積層)されて、配置されている。
超音波振動子21は、複数個設けられており(複数のチャンネルを有するように構成されており)、たとえば、チャンネルの数は128である。超音波振動子21は、検出部2の内部において、アレイ状に配列されている。
音響レンズ22は、被検体Pから音響レンズ22に伝わる音響波Aを超音波振動子21に集束させるように構成されている。音響整合層23は、超音波振動子21と被検体Pとの間(またはいずれか一方と略同一)の音響インピーダンスを有し、超音波振動子21と被検体Pとの音響インピーダンスを整合するように構成されている。バッキング材24は、超音波振動子21の後方側(矢印Z1方向側)に配置されており、音響波Aが後方に伝搬するのを抑制するように構成されている。
(装置本体部の構成)
図2に示すように、装置本体部3には、表示部31と、光源駆動部32と、制御部33と、信号処理部34と、画像化部35と、記憶部36と、操作部37とが設けられている。
光源駆動部32は、制御部33からの光トリガ信号に基づいて、発光素子11に電力を供給するように構成されている。光源駆動部32は、光トリガ信号に応じて電力供給を行うことにより、発光素子11から所定のパルス幅のパルス光を照射させる。パルス光のパルス幅は設定により変更可能である。パルス幅は、たとえば、半値全幅で50nsec〜150nsec程度の範囲内で設定される。光源駆動部32は、所定の繰り返し周波数の光トリガ信号に応じて、発光素子11に所定の繰り返し周波数でパルス光を照射させる。光源駆動部32には、外部電源やバッテリ等(図示せず)から電力が供給される。
制御部33は、光音響画像化装置100の全体を制御するように構成されている。たとえば、制御部33は、光トリガ信号を光源駆動部32に送信することにより、光源駆動部32を介して発光素子11の発光を制御する。また、制御部33は、光トリガ信号に同期されたサンプリングトリガ信号を信号処理部34に出力して、検出信号の信号処理を制御する。
信号処理部34は、検出部2(超音波振動子21)から、サンプリングトリガ信号に応じて、検出信号を取得するように構成されている。信号処理部34は、取得した検出信号に所定の信号処理を施し、画像化部35に出力するように構成されている。信号処理部34による信号処理の詳細については後述する。
画像化部35は、信号処理部34から検出信号を取得して、検出信号の画像化処理を行う。画像化部35は、検出信号に対して再構成処理などを行い、光音響波画像を生成するように構成されている。そして、表示部31は、液晶パネルなどからなり、画像化部35により生成された光音響画像を表示するように構成されている。
記憶部36は、ハードディスクやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置により構成される。記憶部36には、光トリガ信号の繰り返し周波数、パルス光のパルス幅、サンプリング周波数などの各種設定情報が記憶されている。操作部37は、操作者(ユーザ)による入力操作を受け付けるように構成されており、受け付けた入力操作の情報を制御部33に出力するように構成されている。
(信号処理部の処理)
第1実施形態では、信号処理部34は、図3に示すように、被検体P内から発生する音響波信号を反映した信号波形を有する参照信号50に基づいて、相関処理を行うことにより、検出部2により検出される検出信号60から音響波成分を抽出するように構成されている。
ここで、音響波信号を反映した信号波形を有する参照信号50について説明する。第1実施形態では、参照信号50は、光源部1a(1b)から照射される光波形の微分信号51である。図4(A)に示すように、光源部1a(1b)は、被検体Pに対してパルス光70を照射する。パルス光70は、実際の光波形(光量−時間波形)としては矩形状とはならず、やや台形状または三角波状に歪んだ形状となる。パルス光70はパルス幅PWを有し、パルス幅PWは設定によってたとえば100nsecなどの所定の大きさとなる。光波形は、たとえば、光源部1a(1b)から照射されるパルス光70を光センサなどの光検出器(図示せず)によって測定することにより取得できる。
照射されたパルス光70が被検体P内の検出対象物Qに吸収されると、検出対象物Qが膨張・収縮して音響波Aを発生し、図4(B)に示すように、音響波Aが検出部2により検出される。この際に発生する音響波Aの信号波形(強度−時間波形)は、照射されたパルス光70のパルス幅PWに応じた微分波形になる。このため、被検体Pに照射するパルス光70の光波形が予め分かっている場合、光照射によって得られる音響波Aの信号波形を予め予測することができる。すなわち、パルス光70の光波形を時間微分することによって得られる微分信号51(図3参照)は、被検体P内から発生する音響波信号(図4(B)参照)を反映した信号波形を有する参照信号50として用いることができる。なお、信号波形が予測できるとは、信号の周期および波の特徴的な形状が予測できるという意味であり、音響波Aの振幅(強度)は、検出対象物Qの性質(たとえば赤外光の吸収特性など)によって異なる。
第1実施形態では、信号処理部34は、図3に示すように、微分信号51を用いて相関処理を行うことにより、検出信号60から音響波成分を抽出する。相関処理とは、具体的には、相関関数の算出である。第1実施形態では、信号処理部34は、参照信号50と検出信号60との相関関数Rを算出することにより、検出信号60から音響波成分を抽出するように構成されている。
相関関数R(τ)(τ=0〜M)は、下式(1)によって算出される。
Figure 2017055838
x(t)が、参照信号50の関数を表し、第1実施形態では光パルス波形の微分信号51の関数が用いられる。s(t)が、検出信号60の関数を表す。
得られる相関関数Rでは、微分信号51に類似する音響波成分について高い正の相関が現れ、微分信号51に類似しないノイズ成分については低い相関(0に近付く)が現れる。
図3に示した相関関数Rの波形は、相関処理の概念を説明するための模式的なものであるが、たとえば図3の相関関数Rの波形の場合、ピーク81が強い正の相関を有する部分となっている。そのため、このピーク81において音響波成分が含まれていることが分かる。また、相関関数Rの波形と相関処理前の原信号である検出信号60の波形とを比較すると、ピーク82などが抑制されて0に近付いている。そのため、検出信号60のピーク82は、微分信号51とは相関の小さい(音響波成分に類似しない)ノイズ成分であり、これが相関関数Rの波形では抑制される。その結果として、得られた相関関数Rは、ノイズ成分を抑制して音響波Aに相当する信号成分が強調される形で抽出された信号波形となる。
第1実施形態では、信号処理部34は、算出した相関関数Rを検出信号として画像化部35により画像化させるように構成されている。画像化部35は、検出信号としての相関関数Rの信号に対して再構成処理などの画像化処理を行い、光音響波画像を生成する。したがって、相関関数Rの波形において音響波成分を示すピーク81が明確化されたS/N比の高い画像が得られる。
なお、信号処理部34は、相関処理以外にも一般的な信号処理(たとえば、信号の加算平均処理など)を行って検出信号60や相関関数Rの信号の各種補正や整形を行う。
(光音響画像化装置の制御処理)
次に、図5を参照して、第1実施形態による光音響画像化装置100の制御処理について説明する。光音響画像化装置100における各部の制御処理は、制御部33により行われる。
まず、ステップS1において、光源部1a(1b)から光照射が行われる。制御部33は、光トリガ信号を光源駆動部32に送信することにより、予め設定された所定の繰り返し周波数で所定のパルス幅PWのパルス光70(図4(A)参照)を発光素子11に発生させる。発生したパルス光が被検体Pに照射され、検出対象物Qに吸収されることにより、被検体P内で音響波A(図4(B)参照)が発生する。
ステップS2において、被検体P内で発生した音響波Aが検出される。発生した音響波Aが検出部2の超音波振動子21に到達すると、振動に伴う電圧が信号処理部34に出力される。制御部33は、所定のサンプリング周波数でサンプリングトリガ信号を信号処理部34に出力し、信号処理部34に検出信号60(図3参照)を取得させる。検出信号60は、音響波成分とノイズ成分とを含む。
また、ステップS3において、信号処理部34は、光波形を微分演算することにより、微分信号51(図3参照)を取得する。第1実施形態では、光信号の取得方法は特に限定されない。たとえば光源部1a(1b)のパルス光70を光センサなどの光検出器(図示せず)で測定する場合、信号処理部34は、光検出器からの検出信号として光波形を取得する。ステップS3の微分信号51の取得は、ステップS2と並行して行ってもよいし、ステップS2の前後いずれかのタイミングで実施してもよい。
ステップS4において、参照信号50と検出信号60との相関関数Rが算出される。すなわち、信号処理部34が、ステップS2で得られた検出信号60と、ステップS3で得られた参照信号50としての微分信号51とから、図3に示した相関関数Rを算出する。信号処理部34は、得られた相関関数Rの信号を、検出信号として画像化部35に出力する。
ステップS5において、検出信号の画像化処理が行われ、画像化部35により光音響画像が生成される。ステップS6において、生成された光音響画像が表示部31に出力され、表示される。
ステップS7において、制御部33は、光音響画像の生成を終了するか否かを判断する。光音響画像の生成を終了しない場合、制御部33は、ステップS1に処理を戻し、ステップS1〜S6を繰り返すことにより、光音響画像を生成・表示していく。操作部37を介して終了指示を受け付けた場合などには、制御部33は、光音響画像の生成を終了すると判断して、処理を終了する。このようにして、第1実施形態による光音響画像化装置100の制御処理が行われる。
[第1実施形態の効果]
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第1実施形態では、上記のように、被検体P内から発生する音響波信号を反映した信号波形を有する参照信号50に基づいて、相関処理を行うことにより、検出部2により検出される検出信号60から音響波成分を抽出する信号処理部34を設ける。これにより、検出信号60が参照信号50(音響波信号を反映した信号波形を有する信号)に類似する音響波成分を含む場合に、その音響波成分については相対的に高値を有し、音響波成分以外のノイズ成分については相対的に低値を有するような処理後波形を得ることができる。すなわち、信号処理部34による処理後には、検出信号60からノイズ成分を抑制して音響波成分を抽出した信号を得ることができるので、高頻度で発生するノイズがある場合においても、検出信号60中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、信号処理部34を、参照信号50と検出信号60との相関関数Rを算出することにより、検出信号60から音響波成分を抽出するように構成する。これにより、検出信号60中のノイズ成分が抑制され、参照信号50と類似する音響波成分のみが高い正の相関を有する相関関数Rの信号を得ることができる。その結果、より効果的に、信号のS/N比を向上させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、信号処理部34を、算出した相関関数Rを検出信号60として画像化部35により画像化させるように構成する。これにより、たとえば算出した相関関数Rの信号を用いて元の検出信号60を補正するような処理を行う場合と比較して、相関関数Rの信号自体を画像化することができるので、S/N比を向上させつつ、画像化のための信号処理が複雑化することを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、光源部1a(1b)から照射される光波形の微分信号51を参照信号50をとして用いる。そして、信号処理部34を、微分信号51を用いて相関処理または畳み込み積分処理を行うことにより、検出信号60から音響波成分を抽出するように構成する。音響波の波形(振幅の時間変化波形)は、照射された光(パルス光)の微分波形となるため、この微分信号51を用いることによって、容易に、検出信号60から音響波成分を抽出することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、光源部1a(1b)に、検出部2の近傍に配置された発光素子11を設ける。これにより、固体レーザなどの大型の光源装置を用いる場合と異なり、検出部2の近傍に配置した発光素子11を用いることにより、装置をコンパクト化することができる。この場合、発光素子11を発光させる際に発生する電磁波の一部が検出信号60にノイズとなって現れる可能性があるが、第1実施形態の光音響画像化装置100によれば、発光に伴うノイズも効果的に除去してS/N比を向上させることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、発光素子11として、発光ダイオード素子を用いる。これにより、固体レーザなどの大型の光源装置と異なり、小型かつ低消費電力の光源部1a(1b)を構成することができる。この場合には、固体レーザ光源を用いる場合と比べて光の出力が小さくなるため、検出部2により検出される音響波信号の信号強度がノイズレベルと比較して相対的に小さくなる。そのため、検出信号60中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることができる第1実施形態の光音響画像化装置100は、発光ダイオード素子を発光素子11として用いる場合に特に有効である。
[第2実施形態]
(第2実施形態による光音響画像化装置の構成)
次に、図2、図6および図7を参照して、第2実施形態による光音響画像化装置200の構成について説明する。第2実施形態による光音響画像化装置200は、上記第1実施形態とは異なり、光源部に供給される電流波形に基づいて微分信号を取得するように構成されている。なお、上記第1実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
本発明の第2実施形態による光音響画像化装置200(図2参照)は、図2に示した構成に加えて、図6に示す電流測定部110をさらに備える。電流測定部110は、装置本体部3に設けられている。
電流測定部110は、光源部1a(1b)に供給される電流を測定するように構成されている。電流測定部110は、光源駆動部32から発光素子11への電流経路を流れる電流値を測定する。たとえば、電流測定部110は、電流経路において発光素子11の直前に設けられた抵抗111(シャント抵抗)の両端の電圧降下に基づいて、電流値を測定する。電流測定部110による電流測定のための回路構成は、図示した以外の構成でもよい。電流測定部110は、できるだけ発光素子11に流入する電流のみを正確に測定できるように構成される。
電流測定部110の測定結果は、A/D変換器112においてデジタル値に変換され、信号処理部34に出力される。これにより、信号処理部34は、図7に示すように、光源部1a(1b)(発光素子11)に供給される電流波形120(電流の時間変化波形)を取得する。
なお、第2実施形態において、発光素子11は、上記第1実施形態と同様、発光ダイオード素子(LED)により構成されている。発光素子11は、半導体レーザ素子または有機発光ダイオード素子でもよい。LEDの光量(発光強度)は、電流に略比例する。そのため、発光素子11に供給される(パルス)電流波形120と、発光素子11が発生させるパルス光70の光波形とは、形状において略一致する。つまり、図7に示す電流波形120は、図4(A)に示したパルス光70の光波形と対応する関係にあり、電流波形120を微分演算して得られる微分信号130は、相関処理を行う目的上、光波形の微分信号51(図3参照)と同等(等価)とみなすことができる。
そこで、第2実施形態では、信号処理部34は、電流測定部110により測定される電流波形120に基づいて、微分信号130を取得するように構成されている。得られた微分信号130が、参照信号50(図3参照)として用いられる。すなわち、第2実施形態では、信号処理部34は、参照信号50である微分信号130と検出信号60との相関関数Rを算出することにより、検出信号60から音響波成分を抽出するように構成されている。
この場合、信号処理部34は、光源部1a(1b)からの光照射と並行して電流測定部110からの測定結果(電流波形120)を取得し、得られた電流波形120を微分演算することにより、微分信号130をリアルタイムで取得する。したがって、たとえばパルス光70のパルス幅PWの設定値が変更されたり、パルス光70の光波形が変化したりするような場合でも、信号処理部34は、変更後のパルス光70に対応した微分信号130を逐次取得することが可能である。
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第2実施形態では、上記第1実施形態と同様に、参照信号50(微分信号130)に基づいて相関処理を行い、検出部2により検出される検出信号60から音響波成分を抽出することにより、高頻度で発生するノイズがある場合においても、検出信号60中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることができる。
また、第2実施形態では、上記のように、光源部1a(1b)に供給される電流を測定する電流測定部110を設け、信号処理部34を、電流測定部110により測定される電流波形120に基づいて微分信号130を取得するように構成する。これにより、電流波形120を取得するだけで、容易に光波形の微分信号51と同等(等価)な微分信号130を得ることができる。その結果、たとえば光波形を直接取得するためには、光検出器を別途設けて光検出を行う必要があるが、上記構成によれば、光源部1a(1b)への電流供給回路において電流測定が可能となるので、簡易で、かつ、リアルタイムに微分信号130を取得することが可能となる。
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第3実施形態]
(第3実施形態による光音響画像化装置の構成)
次に、図2および図8を参照して、第3実施形態による光音響画像化装置300(図2参照)の構成について説明する。第3実施形態による光音響画像化装置300は、光波形や電流波形を測定することにより微分信号(参照信号)を取得する構成と異なり、予め取得した参照信号を記憶部に記憶しておくように構成されている。なお、上記第1実施形態および第2実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
本発明の第3実施形態による光音響画像化装置300(図2参照)は、参照信号50を予め記憶した記憶部210(図8参照)を備えている。
図8に示すように、記憶部210は、参照信号50の波形データを予め記憶している。参照信号50の波形データとして、標準波形データ220や、検出対象物Q毎に予め取得された音響波信号の参照データ230が含まれる。第3実施形態では、これらのデータが、参照信号50として用いられる。信号処理部34は、記憶部210に記憶された音響波信号の参照データ230または標準波形データ220を用いて相関処理を行うことにより、検出信号60から音響波成分を抽出するように構成されている。標準波形データ220は、特許請求の範囲の「微分信号のデータ」の一例である。
図8の例では、記憶部210は、光波形または電流波形の微分信号のデータである標準波形データ220を予め記憶している。標準波形データ220は、たとえば、光源部1a(1b)から照射される光を実験的に測定し微分演算処理を行うことにより、微分信号51として予め生成される。電流波形の場合も、光源部1a(1b)から光を照射する際の電流を実験的に測定し微分演算処理を行うことにより、予め微分信号130として生成される。
また、記憶部210は、検出対象物Q毎に予め取得された音響波信号を、参照データ230としてそれぞれ記憶している。検出対象物Q毎の参照データ230としては、たとえば、血管(動脈)データ231、血管(静脈)データ232、脂肪データ233、細胞(腫瘍)データ234、針データ235などを含むことができる。これらの参照データ230は、それぞれノイズの少ない理想的な環境でそれぞれの検出対象物Q(血管(動脈、静脈)、脂肪、細胞(腫瘍)、針(注射針など))の音響波信号を実験的に測定し、サンプリングしておくことにより生成され、予め記憶部210に記憶される。血管(動脈)データ231、血管(静脈)データ232、脂肪データ233、細胞(腫瘍)データ234、針データ235は、共に、特許請求の範囲の「参照データ」の一例である。
ここで、音響波信号は、上記の通り、理想的には光波形(電流波形)の微分信号となる。したがって、波形の基本形状としては微分信号51(130)(図3および図7参照)に類似する形状となるが、実際に測定を行う場合、血管(動脈、静脈)、脂肪、細胞(腫瘍)、針などの検出対象物Qによって、波形の一部にそれぞれ異なった特徴が見られる可能性がある。そのため、画像化に際して検出対象物Qが予め分かっている場合(画像化したい対象が特定されている場合)には、予めサンプリングされた音響波信号の参照データ230を参照信号50として用いることにより、検出信号60中の音響波成分をより高精度に抽出できる可能性がある。
参照データ230は、血管(動脈)データ231、血管(静脈)データ232、脂肪データ233、細胞(腫瘍)データ234、針データ235以外の検出対象物Qのデータを含んでいてもよいし、これらのデータのうちの一部のみを含んでいてもよい。そして、参照データ230に含まれない検出対象物Qを検出したい場合には、標準波形データ220を利用して相関関数Rを算出すればよい。
第3実施形態では、標準波形データ220および参照データ230は、光源部1a(1b)から照射される光のパルス幅PW毎に複数記憶されている。参照信号50を用いて相関関数Rを算出する際、信号処理部34は、制御部33からパルス幅PWの設定値を取得し、取得したパルス幅PWに対応した標準波形データ220または参照データ230を記憶部210から読み出して使用するように構成されている。これは、音響波Aが光波形の微分信号になることから、音響波Aの波形がパルス光70のパルス幅PWに応じて変化するためである。
したがって、標準波形データ220および参照データ230は、図8の信号幅A〜Dで示したように、パルス幅PWの設定値毎に複数記憶されている。信号幅A〜Dの4種類を示したのは一例であり、標準波形データ220および参照データ230は、光音響画像化装置300に対して設定可能なパルス幅PWの数だけ記憶されればよい。
第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。なお、記憶部210は、標準波形データ220および参照データ230のいずれか一方のみを記憶するように構成されてもよい。
[第3実施形態の効果]
第3実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第3実施形態では、上記第1実施形態と同様に、標準波形データ220または参照データ230のいずれかに基づいて相関処理を行い、検出部2により検出される検出信号60から音響波成分を抽出することにより、高頻度で発生するノイズがある場合においても、検出信号60中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることができる。
また、第3実施形態では、上記のように、記憶部210に微分信号のデータ(標準波形データ220)を予め記憶し、信号処理部34を、記憶部210に記憶された標準波形データ220を用いて、検出信号60から音響波成分を抽出するように構成する。これにより、光源部1a(1b)から照射される光を実験的に測定しておいて、予め微分波形を生成して記憶部210に記憶させておくだけで、容易に、微分信号を得ることができる。また、リアルタイムに微分信号51(130)を取得する場合と異なり、光センサや電流測定部を設ける必要がないので、光音響画像化装置300の装置構成を簡素化することができる。
また、第3実施形態では、上記のように、参照信号50として検出対象物Q毎に予め取得された音響波信号の参照データ230(231〜235)を採用し、記憶部210に音響波信号の参照データ230を検出対象物Q毎に記憶する。そして、信号処理部34を、記憶部210に記憶された音響波信号の参照データ230を用いて相関処理を行うことにより、検出信号60から音響波成分を抽出するように構成する。これにより、ノイズの少ない理想的な環境で音響波信号を実験的に測定し、参照データ230としてサンプリングしておくことにより、予め測定した音響波信号自体を参照信号50として用いることが可能となる。この場合、検出対象物Qに対応した参照データ230(231〜235)を使用できるので、より精度よく音響波成分を抽出することができるようになる。その結果、より効果的に信号のS/N比を向上させることができる。
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[第4実施形態]
(第4実施形態による光音響画像化装置の構成)
次に、図2および図9〜図12を参照して、第4実施形態による光音響画像化装置400(図2参照)の構成について説明する。第4実施形態による光音響画像化装置400では、上記第1実施形態に加えて、相関関数波形の負の値をとる部分を除去する処理を行うように構成されている。なお、上記第1〜第3実施形態と同一の構成については、同じ符号を付してその説明を省略する。
ここで、図9に示すように、光照射によって生じた音響波Aが被検体P内で反射すると、この反射波Bが検出部2により検出されることにより、アーチファクト(この場合、反射波Bに起因する虚像)が発生することがある。たとえば、被検体P内の骨や皮膚などの界面で音響波Aが反射して、反射波Bとなる。
反射波Bが生じる場合、図10に示すように、検出部2の検出信号60には、音響波Aの成分の後に、音響波Aとは逆位相の反射波Bの成分が現れることになる。この場合に相関関数Rを求めると、図11に示すように、相関関数Rには、音響波成分に起因する正の相関を有する部分321と、反射波成分に起因する負の相関を有する部分322とが現れる。
そこで、第4実施形態による光音響画像化装置400(図2参照)では、信号処理部310(図2参照)は、図11に示したように、算出した相関関数波形の内から、負の値をとる部分322を除去するように構成されている。負の値をとる部分322を除去するとは、たとえば、負の値をとる部分322の信号値をゼロで置き換えることにより実現される。
この結果、図12に示すように、反射波成分に起因する部分322(図11参照))が相関関数Rから除去されることにより、画像化処理後の光音響画像から反射波Bに相当する虚像を除去した画像が得られる。なお、図12では便宜的に、相関関数Rの除去部分を破線で示している。
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
[第4実施形態の効果]
第4実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
第4実施形態では、上記第1実施形態と同様に、参照信号50に基づいて相関処理を行い、検出部2により検出される検出信号60から音響波成分を抽出することにより、高頻度で発生するノイズがある場合においても、検出信号60中のノイズを効果的に除去してS/N比を向上させることができる。
また、第4実施形態では、上記のように、信号処理部310を、算出した相関関数波形の内から、負の値をとる部分322を除去するように構成する。これにより、音響波Aの一部が被検体P中で反射することにより生じる反射波Bの成分(虚像成分)が画像化されてしまうことを抑制することができる。その結果、ノイズ成分のみならず反射波Bに起因する虚像成分を除去して、光音響画像の高品質化を図ることができる。
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、参照信号50と検出信号60との相関関数Rを算出することにより、検出信号60から音響波成分を抽出する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、参照信号50に基づいて、畳み込み積分処理を行うことにより、検出信号60から音響波成分を抽出してもよい。
畳み込み積分関数G(τ)(τ=0〜M)は、下式(2)によって算出される。
Figure 2017055838
x(t)が、参照信号50の関数を表し、第1実施形態では光パルス波形の微分信号51の関数が用いられる。s(t)が、検出信号60の関数を表す。
この畳み込み積分関数Gにおいても、微分信号51に類似する音響波成分は相対的に高値となり、微分信号51に類似しないノイズ成分は相対的に低値となるため、上記の相関関数Rの場合と同様に、ノイズ成分が抑制され音響波成分が抽出された信号を得ることが可能である。
また、上記第1〜第4実施形態では、発光ダイオード素子からなる発光素子11を用いる例を示したが、本発明はこれに限られない。図1に示すように、半導体レーザ素子からなる発光素子410を用いてもよいし、有機発光ダイオード素子からなる発光素子420を用いてもよい。
また、上記第1実施形態では、説明の便宜上、制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。たとえば、制御部の処理動作を、イベントごとに処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。
1a、1b 光源部
2 検出部
11 発光素子(発光ダイオード素子)
34、310 信号処理部
35 画像化部
50 参照信号
51、130 微分信号
60 検出信号
100、200、300、400 光音響画像化装置
110 電流測定部
120 電流波形
210 記憶部
220 標準波形データ(微分信号のデータ)
230 参照データ
410 発光素子(半導体レーザ素子)
420 発光素子(有機発光ダイオード素子)
A 音響波
P 被検体
Q 検出対象物
R 相関関数

Claims (10)

  1. 光源部と、
    前記光源部により被検体に光が照射されることに起因して前記被検体内から発生する音響波を検出する検出部と、
    前記被検体内から発生する音響波信号を反映した信号波形を有する参照信号に基づいて、相関処理または畳み込み積分処理を行うことにより、前記検出部により検出される検出信号から音響波成分を抽出する信号処理部とを備える、光音響画像化装置。
  2. 前記信号処理部は、前記参照信号と前記検出信号との相関関数を算出することにより、前記検出信号から前記音響波成分を抽出するように構成されている、請求項1に記載の光音響画像化装置。
  3. 前記検出信号の画像化処理を行う画像化部をさらに備え、
    前記信号処理部は、算出した相関関数を前記検出信号として前記画像化部により画像化させるように構成されている、請求項2に記載の光音響画像化装置。
  4. 前記信号処理部は、算出した相関関数波形の内から、負の値をとる部分を除去するように構成されている、請求項2または3に記載の光音響画像化装置。
  5. 前記参照信号は、前記光源部から照射される光波形の微分信号であり、
    前記信号処理部は、前記微分信号を用いて相関処理または畳み込み積分処理を行うことにより、前記検出信号から前記音響波成分を抽出するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光音響画像化装置。
  6. 前記光源部に供給される電流を測定する電流測定部をさらに備え、
    前記信号処理部は、前記電流測定部により測定される電流波形に基づいて、前記微分信号を取得するように構成されている、請求項5に記載の光音響画像化装置。
  7. 前記微分信号のデータを予め記憶する記憶部をさらに備え、
    前記信号処理部は、前記記憶部に記憶された前記微分信号のデータを用いて、前記検出信号から前記音響波成分を抽出するように構成されている、請求項5に記載の光音響画像化装置。
  8. 前記参照信号は、検出対象物毎に予め取得された音響波信号の参照データであり、
    前記音響波信号の参照データを検出対象物毎に記憶する記憶部をさらに備え、
    前記信号処理部は、前記記憶部に記憶された前記音響波信号の参照データを用いて相関処理または畳み込み積分処理を行うことにより、前記検出信号から前記音響波成分を抽出するように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光音響画像化装置。
  9. 前記光源部は、前記検出部の近傍に配置された発光素子を含む、請求項1〜8のいずれか1項に記載の光音響画像化装置。
  10. 前記発光素子は、発光ダイオード素子、半導体レーザ素子および有機発光ダイオード素子のうちのいずれかである、請求項9に記載の光音響画像化装置。
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