JP2017052258A - 液体吐出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】長期間安定して稼動し、耐久性が高められた液体吐出装置を提供する。【解決手段】圧電素子によってノズルの中のインク61のメニスカスを変形させ、ノズル開口が形成されたノズル形成面36Aからインクを液滴として吐出する記録ヘッド25によって、ドットを記録媒体10に形成するプリンター11Aであって、ノズル形成面を覆う撥水膜と、ノズル形成面の汚れを拭き取るワイピング処理と、を有し、ノズルの壁面と離れノズルの内側に配置されたインクを、液滴として吐出する第1の液滴吐出動作によって、ドットを記録媒体10に形成する。【選択図】図7

Description

本発明は、液体吐出装置に関する。
従来から、液体吐出装置の一例として、液体吐出ヘッドから液滴を記録媒体に吐出して画像を記録(印刷)するインクジェット式プリンターが知られている。
液体吐出ヘッドは、液体を貯留する圧力発生室が形成された流路形成基板と、流路形成基板の一方面側に設けられた圧電素子と、圧力発生室に連通されノズルの開口が形成されたノズル形成面を有するノズルプレートとを有している。そして、圧電素子を駆動することによって圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせ、ノズル形成面から液滴を吐出して、記録媒体にドットを形成する。ところが、ノズル形成面から吐出された液滴の一部は、記録媒体に着弾せず、インクミストとなってノズル形成面に付着し、ノズル形成面を汚染する。
例えば、特許文献1に記載のインクジェット式プリンターでは、ノズル形成面(噴射面)とノズルプレートの外周の段差部とを撥水膜で覆い、ノズルプレートの耐久性を向上させている。さらに、ノズル形成面をワイピングし清掃する部材(ブレード)を有している。
特開2013−111767号公報
ところが、特許文献1に記載のインクジェット式プリンターでは、ノズル形成面に付着した汚れ(インクミスト)の清掃を繰り返すと、撥水膜が劣化するおそれがあった。詳しくは、ノズル形成面に付着した汚れをワイピング清掃することによって撥水膜が機械的に削れ、撥水膜に機械的ダメージが生じるおそれや、ノズル形成面に付着した汚れによって撥水膜が化学的に削れ、撥水膜に化学的ダメージが生じるおそれがあった。当該機械的ダメージや当該化学的ダメージによって撥水膜が劣化すると、液体吐出ヘッドの液滴吐出性能が変化し、液体吐出ヘッドによって記録媒体に記録される画像の品位(画質)が変化する。従って、液体吐出装置は長期間安定して稼動することが難しくなり、液体吐出装置の耐久性が損なわれるおそれがあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る液体吐出装置は、圧電素子によってノズルの中の液体のメニスカスを変形させ、前記ノズルの開口が形成されたノズル形成面から前記液体を液滴として吐出し、ドットを記録媒体に形成する液体吐出装置であって、前記ノズル形成面を覆う撥水膜と、前記ノズル形成面の汚れを拭き取るワイピング処理と、を有し、前記ノズルの壁面と離れ前記ノズルの内側に配置された前記液体を、前記液滴として吐出する第1の液滴吐出動作によって、前記ドットを前記記録媒体に形成することを特徴とする。
ノズルの開口の外側(ノズル形成面)は撥水膜で覆われ、ノズルの開口の内側は撥水膜で覆われていない。すなわち、ノズル形成面は、ノズルの開口の縁まで撥水膜で覆われている。よって、ノズルの壁面と離れノズルの内側に配置された液体は、ノズルの開口の縁から離れて配置された液体であり、撥水膜から離れて配置された液体である。第1の液滴吐出動作は、撥水膜から離れて配置された液体を液滴として吐出するので、撥水膜の近くに配置された液体を液滴として吐出する場合と比べて、撥水膜の影響を受けにくい。従って、ノズル形成面の汚れを拭き取るワイピング処理を繰り返すことによって撥水膜の状態が変化(劣化)しても、第1の液滴吐出動作は、撥水膜の劣化の影響を受けにくく、長期間安定して液滴を吐出することができる。従って、液体吐出装置は長期間安定して稼動し、液体吐出装置の耐久性を高めることができる。
さらに、ノズルの壁面と離れノズルの内側に配置された液体を液滴として吐出する場合(第1の液滴吐出動作)は、ノズルの壁面と接しノズルの内側に配置された液体を液滴として吐出する場合と比べて、液滴として吐出される部分の液体の面積(体積)が小さくなり、吐出される液滴の量が少なくなる。従って、第1の液滴吐出動作は、ノズルの壁面と接しノズルの内側に配置された液体を液滴として吐出する場合と比べて、少量の液滴を吐出して記録媒体に小さなドットを形成し、記録媒体に形成される画像の解像度を高めることができる。
[適用例2]上記適用例に係る液体吐出装置において、前記ノズルの壁面と接し前記ノズルの内側に配置された前記液体を、前記液滴として吐出する第2の液滴吐出動作をさらに有し、前記撥水膜の劣化の状態に応じて、前記第1の液滴吐出動作と前記第2の液滴吐出動作とを使い分けることが好ましい。
ノズルの壁面と接しノズルの内側に配置された液体は、ノズルの開口の縁の近くに配置された液体であり、撥水膜の近くに配置された液体である。第2の液滴吐出動作は、撥水膜の近くに配置された液体を液滴として吐出するので、撥水膜から離れて配置された液体を吐出する第1の液滴吐出動作と比べて、撥水膜の劣化の影響を受けやすい。
さらに、第2の液滴吐出動作は、第1の液滴吐出動作と比べて、液滴として吐出される部分の液体の面積(体積)が大きくなり、吐出される液滴の量が多くなる。従って、第2の液滴吐出動作は、第1の液滴吐出動作と比べて、多量の液滴を吐出して記録媒体に大きなドットを形成することができる。例えば、高い解像度が要求されない画像を記録媒体に形成する場合、第2の液滴吐出動作で当該画像を形成すると、第1の液滴吐出動作で当該画像を形成する場合と比べて、記録媒体に形成される画像の形成時間を短くし、生産性を高めることができる。
撥水膜が劣化していない場合、第1の液滴吐出動作及び第2の液滴吐出動作の両方を使用することができる。第1の液滴吐出動作及び第2の液滴吐出動作の両方を使用することによって、高解像度の画像形成や高生産性の画像形成が可能な液体吐出装置を実現することができる。
撥水膜が劣化している場合、第2の液滴吐出動作は撥水膜の劣化の影響を受けやすいので、第2の液滴吐出動作によって画像を形成することが難しい。一方、第1の液滴吐出動作は撥水膜の劣化の影響を受けにくいので、撥水膜が劣化している場合であっても第1の液滴吐出動作によって画像を形成することができる。すなわち、撥水膜が劣化している場合、第1の液滴吐出動作によって画像を形成することによって、長期間安定して稼動する液体吐出装置を実現することができる。
このように、撥水膜の劣化の状態によって、第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作とを使い分けると、液体吐出装置は、撥水膜が劣化していない場合に高解像度の画像形成や高生産性の画像形成が可能になり、撥水膜が劣化している場合であっても長期間の安定稼動が可能になる。
[適用例3]上記適用例に係る液体吐出装置において、前記撥水膜の劣化の状態が、所定の状態に対して軽微な場合、前記第1の液滴吐出動作と前記第2の液滴吐出動作との両方で前記ドットを形成し、前記撥水膜の劣化の状態が、所定の状態に対して甚大な場合、前記第1の液滴吐出動作のみで前記ドットを形成することが好ましい。
撥水膜の劣化の状態が所定の状態に対して軽微な場合は、第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作との両方を使用することができるので、液体吐出装置は、高解像度の画像形成や高生産性の画像形成が可能になる。
撥水膜の劣化の状態が所定の状態に対して甚大な場合は、第1の液滴吐出動作を使用することができるので、液体吐出装置は長期間安定して稼動し、液体吐出装置の耐久性を高めることができる。
[適用例4]上記適用例に係る液体吐出装置において、前記ワイピング処理の回数から、前記撥水膜の劣化の状態を予測する予測部をさらに有し、前記予測部が、前記撥水膜の劣化の状態が前記所定の状態に対して軽微であると予測した場合、前記第1の液滴吐出動作と前記第2の液滴吐出動作との両方で前記ドットを形成し、前記予測部が、前記撥水膜の劣化の状態が前記所定の状態に対して甚大であると予測した場合、前記第1の液滴吐出動作のみで前記ドットを形成することが好ましい。
ワイピング処理では、ワイピング部材によってノズル形成面を覆う撥水膜に付着した汚れを拭き取る処理である。ワイピング処理によって、撥水膜に機械的ダメージが生じやすく、撥水膜の劣化が進行しやすくなる。このため、ワイピング処理の回数と、撥水膜の劣化の進行具合(撥水膜の劣化の状態)とは相関があり、ワイピング処理の回数によって、撥水膜の劣化の状態を予測することができる。従って、予測部は、ワイピング処理の回数から撥水膜の劣化の状態を予測することができる。
液体吐出装置は、撥水膜の劣化の状態が所定の状態に対して軽微であると予測される場合に第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作との両方を使用し、撥水膜の劣化の状態が所定の状態に対して甚大であると予測される場合に第1の液滴吐出動作だけを使用するというように、撥水膜の劣化の状態の予測結果に基づき、好ましい液滴吐出動作で画像を形成することができる。
従って、好ましくない液滴吐出動作の使用が未然に防止され、好ましくない液滴吐出動作を使用することによるロスを未然に防止することができる。
実施形態1に係るプリンターの概要を示す概略図。 記録ヘッドの要部断面図。 ノズル形成面に形成されたノズル開口の状態を示す記録ヘッドの概略平面図。 圧電素子に供給される駆動信号の状態を示す模式図。 第1の液滴吐出動作の状態を示す模式図。 第1の液滴吐出動作の状態を示す模式図。 第1の液滴吐出動作の状態を示す模式図。 第1の液滴吐出動作の状態を示す模式図。 第2の液滴吐出動作の状態を示す模式図。 第2の液滴吐出動作の状態を示す模式図。 第2の液滴吐出動作の状態を示す模式図。 第2の液滴吐出動作の状態を示す模式図。 実施形態2に係るプリンターの概要を示す概略図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本願の一態様を示すものであり、本発明を限定するものではなく、本願の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
(実施形態1)
「プリンターの概要」
図1は、実施形態1に係るインクジェット式プリンター(以下、プリンターと称す)の概要を示す概略図である。以下、図1を参照して、本実施形態に係るプリンター11の概要を説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るプリンター11は、記録媒体10を搬送する搬送ユニット12と、搬送ユニット12によって搬送される記録媒体10に対してインク61を吐出する記録ヘッド25とを備えている。また、プリンター11は、搬送ユニット12と記録ヘッド25とを制御する制御装置300と、記録ヘッド25にインク61を供給する4つのカートリッジ14と、記録ヘッド25に供給されるインク61の流動圧を制御するバルブユニット24とを備えている。
なお、プリンター11は「液体吐出装置」の一例であり、インク61は「液体」の一例である。
搬送ユニット12は、給紙ローラー20と、搬送モーター(図示省略)、搬送ローラー対21、支持部19、排紙ローラー対22などを備え、記録媒体10を所定の搬送量で搬送方向(Y方向)に搬送する。給紙ローラー20は、記録媒体10をプリンター11の内部に給紙する。搬送ローラー対21は、給紙ローラー20によって給紙された記録媒体10を支持部19の上部の印刷可能な領域まで搬送する。支持部19は、印刷中の記録媒体10を支持する。排紙ローラー対22は、記録媒体10をプリンターの排出口(図示省略)に排出する。給紙ローラー20、搬送ローラー対21、排紙ローラー対22は、搬送モーターによって駆動される。
バルブユニット24及び記録ヘッド25は、キャリッジユニット(図示省略)に搭載され、キャリッジユニットによって搬送方向と交差する走査方向(X方向)に往復可能になっている。記録ヘッド25における記録媒体10の搬送経路と対向するノズル形成面36Aには、記録媒体10にインク61を吐出するノズル開口51(図2参照)が形成されている。
インク61は、色材や、色材を分散させる(または溶解させる)溶剤などを含む。
色材は、例えば顔料であり、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料などの多環式顔料、染料キレート、染色レーキ、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料、カーボンブラック、卑金属顔料などを使用することができる。
さらに、色材は、例えば酸化銅や二酸化マンガンなどの無機材料(黒色顔料)、並びに、例えば亜鉛華や酸化チタンやアンチモン白や硫化亜鉛などの無機材料(白色顔料)などを使用することができる。
色材は、例えば染料であり、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料などを使用することができる。
溶剤は、例えば水系媒体であり、イオン交換水、限外ろ過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水を使用することができる。また、紫外線照射又は過酸化水素の添加などによって滅菌された水を用いると、インク61を長期保存する場合にカビやバクテリアの発生を防止することができる。
なお、溶剤は、例えばエチレングリコールやプロピレングリコールなどの揮発性の水溶性有機溶剤を含んでいてもよい。
さらに、インク61は、上述した色材や溶剤の他に、塩基性触媒、界面活性剤、第三級アミン、樹脂類、pH調整剤、緩衝液、定着剤、防腐剤、酸化防止剤・紫外線吸収剤、キレート剤、酸素吸収剤などを含んでいてもよい。
4つのカートリッジ14には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインク61が収容されている。これらカートリッジ14は、4本のインク供給路15とバルブユニット24とを介して、記録ヘッド25に接続されている。シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色のインク61は、供給ポンプ(図示省略)によって加圧された状態で、バルブユニット24に供給される。バルブユニット24は、記録ヘッド25に供給されるインク61の流動圧を調整する。例えば、記録処理が実行されない場合、バルブユニット24は、記録ヘッド25内のインク61に負圧が作用するようにインク61の流動圧を調整し、ノズル開口51からインク61が漏れないようにする。
以降、走査方向をX方向と称し、搬送方向をY方向と称す。X方向及びY方向に直交する方向、すなわち支持部19から記録ヘッド25に向かう方向をZ方向と称す。さらに、方向を示す矢印の先端側を(+)方向、方向を示す矢印の基端側を(−)方向と称す場合がある。
プリンター11は、X方向に移動中の記録ヘッド25からインク61を液滴63A(図5D参照),63B(図6B乃至図6D参照)として吐出する液滴吐出動作と、Y方向に記録媒体10を移動する搬送動作とを交互に繰り返し、記録媒体10にドットを形成し、記録媒体に10に所定の画像を形成する記録処理を実行する。詳細は後述するが、記録ヘッド25は、4色のインク61のそれぞれを吐出可能なY方向に沿った360個のノズル52を有し、1回の液滴吐出動作によって、最大356本のドットの行をX方向に形成することができる。
以降、液滴吐出動作で走査方向Xに並べられたドットの行をラスターラインと称し、さらに、記録ヘッド25の液滴吐出動作をパスと称す場合がある。換言すれば、記録ヘッド25は、1回の液滴吐出動作(パス)で最大356本のラスターラインを形成することができる。そして、プリンター11は、液滴吐出動作と搬送動作とを交互に繰り返し、ラスターラインをY方向に並べることで、記録処理を実行する。
制御装置300は、CPU400、ROM310、RAM320、表示部340、通信部350、及びプリンター制御部360を備えている。CPU400、ROM310、RAM320、通信部350、及びプリンター制御部360は、バス370を通じて互いに接続されている。
CPU400は、ROM310に記憶されたプログラムを実行することにより、印刷制御に必要な画像処理を行う。この画像処理は、例えば解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理、マイクロウィーブ処理などを含む。
ROM310には、印刷制御に必要な各種プログラムや各種情報が格納されている。
RAM320は、バッファー330を有し、例えばCPU400の演算結果や処理結果である各種データを一時的に記憶する。
表示部340は、例えばタッチパネルを有する液晶表示装置で構成される。
通信部350は、例えばパーソナルコンピューター等の情報処理装置により構成された画像生成装置100が生成する印刷用の画像データを受信し、解像度変換処理部410に画像データを送信する。
CPU400は、ソフトウェア(プログラム)によりそれぞれ実現される機能部分として、解像度変換処理部410、色変換部420、ハーフトーン処理部430、マイクロウィーブ処理部440、及び予測部460などを備えている。
解像度変換処理部410は、通信部350から画像データを受け取り、記録媒体10に印刷する際の解像度に変換する解像度変換処理を実行する。例えば、印刷解像度が1440×720dpiに指定されている場合、通信部350から送信された画像データを1440×720dpiの解像度の画像データに変換する。解像度変換処理後の画像データの各画素データは、レッド(R)、グリーン(G)、及びブルー(B)の3色の色成分からなるRGB色空間の256階調の階調値を示すデータである。
色変換部420は、解像度変換処理部410から受け取ったR・G・Bの階調値からなる画像データを、プリンター11で使用するシアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)・ブラック(K)の各色の階調値のデータであるCMYK画像データに変換する色変換処理を実行する。
ハーフトーン処理部430は、色変換部420から受け取った256階調の画素データを、プリンター11が形成可能な階調数である4階調の画素データに変換するハーフトーン処理を実行する。すなわち、ハーフトーン処理部430は、画像データの各色について個別にハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理後の4階調の画素データは、対応する画素に形成するドットの大きさを示すドットデータとなる。具体的には、大ドット・中ドット・小ドット・ドット無しのいずれかに対応するドットデータになる。
ハーフトーン処理部430で生成されたドットデータは、ラスターラインのドットを形成するためのラスターデータである。ハーフトーン処理部430で生成されたドットデータは、RAM320のバッファー330に一時的に記憶(格納)される。換言すれば、バッファー330には、ハーフトーン処理されたラスターデータが格納されている。
マイクロウィーブ処理部440は、バッファー330から必要なドットデータ(ラスターデータ)を受け取り、インターレース処理を行い、各パスの記録データを生成するマイクロウィーブ処理を実行する。インターレース処理は、ドットデータ(ラスターデータ)をドットの形成順序を考慮しながらプリンター制御部360に転送すべき順序に並べ替え、各パスの記録データを生成する処理である。
このように、CPU400は、上述した解像度変換処理と、色変換処理と、ハーフトーン処理と、マイクロウィーブ処理とを経て、印刷に必要な記録データを生成する。
そして、プリンター制御部360は、各パスの記録データを読み込み、搬送ユニット12及び記録ヘッド25を制御し、液滴吐出動作と搬送動作とを交互に繰り返し、ラスターラインをY方向に並べることで、記録処理を実行する。また、液滴吐出動作では、ハーフトーン処理後の4階調の画素データに基づき、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を、記録媒体10に形成する。
なお、予測部460の詳細は後述する。
「記録ヘッド」
図2は、記録ヘッドの要部断面図である。図3は、ノズル形成面に形成されたノズル開口の状態を示す記録ヘッドの概略平面図である。
なお、記録ヘッド25の状態を分かりやすくするために、図2では記録ヘッド25に対して1個のノズル52が図示され、他のノズル52の図示が省略されている。
次に、図2を参照して、記録ヘッド25の構成について説明する。
図2に示すように、記録ヘッド25は、ヘッドケース26と、振動子ユニット27と、流路ユニット28とを含む。
ヘッドケース26は、中空箱体状部材であり、その先端面(下面)に流路ユニット28が固定されている。ヘッドケース26の内部に形成された収容空部29内には、振動子ユニット27が収容されている。ヘッドケース26の内部には、その高さ方向を貫通してケース流路34が形成されている。ケース流路34は、カートリッジ14から供給されるインク61を共通インク室40に導入するための流路であり、一方の端が共通インク室40に接続されている。また、ケース流路34の他方の端は、パッキン39を介してバルブユニット24のインク導出口(図示省略)に接続されている。
振動子ユニット27は、櫛歯状に列設された複数の圧電素子31と、圧電素子31に駆動基板(図示省略)からの駆動信号を供給するためのフレキシブルケーブル32と、圧電素子31を固定する固定板33とから構成される。圧電素子31は、圧力発生室42の一部を区画する可撓面(振動板38)に接合されている。
圧電素子31は、軸方向に伸長、収縮する縦振動モードの圧電アクチュエーターである。圧電素子31は、充電されると収縮し、放電すると伸長するようになっている。従って、記録ヘッド25では、充電されることにより圧電素子31が収縮し、この収縮に伴って振動板38がZ(+)方向に変位し、圧力発生室42が膨張する。この膨張に伴って、圧力発生室42におけるインク61の圧力が低くなり、共通インク室40のインク61がインク供給口41を通って圧力発生室42内に流入する。一方、放電することにより圧電素子31が伸長し、振動板38がZ(−)方向に変位し、圧力発生室42が収縮する。この収縮に伴って圧力発生室42におけるインク61の圧力が高くなる。
なお、圧電素子31は、撓み振動モードの圧電アクチュエーターであってもよい。
流路ユニット28は、ノズル52が設けられたノズルプレート36と、インク流路を形成する流路形成基板37と、流路形成基板37の開口面を封止する振動板38とが積層された状態で接合され一体化された構成を有している。流路ユニット28は、共通インク室40からインク供給口41と圧力発生室42とを通り、ノズル52に至るまでの一連のインク流路(液体流路)を形成するユニット部材である。圧力発生室42は、共通インク室40から分岐され、ノズル52毎に形成されている。バルブユニット24のインク導出口から導出されるインク61は、共通インク室40を介して、圧力発生室42に供給される。この流路ユニット28は、ノズルプレート36を下側(Z(−)方向)に向けた姿勢でヘッドケース26の先端面に接合されている。
ノズルプレート36の下側(Z(−)方向)のノズル形成面36Aには、液滴63A,63Bの吐出口であるノズル52の開口51(以降、ノズル開口51と称す)が形成されている。ノズル形成面36Aは、撥水膜43で覆われている。
撥水膜43は、例えば、フッ素含有有機化合物やフッ素含有有機ケイ素化合物などから形成することができる。例えば、撥水膜43をフッ素含有有機ケイ素化合物で形成すると、ノズル形成面36Aのヒドロキシル基とフッ素含有有機ケイ素化合物のメトキシ基などの加水分解基とが強固に結合するため、ノズル形成面36Aと撥水膜43との密着性を向上させることができる。撥水膜43の撥水性は、純水の撥水膜43に対する接触角が40°以上であることが好ましい。
図3に示すように、記録ヘッド25は二つのノズル群25A,25Bを有している。記録ヘッド25では、第1ノズル群25Aが第1ヘッドとして機能し、第2ノズル群25Bが第2ヘッドとして機能する。各ノズル群には、4個のノズル列が設けられている。記録ヘッド25の下面(ノズルプレート36のノズル形成面36A)には、4個のノズル列には、それぞれシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインク61を吐出するノズル開口51(ノズル52)が形成されている。
詳しくは、各ノズル列には、Y方向に沿って並ぶ180個のノズル開口51(#1〜#180のノズル開口51)が、180dpiのピッチで設けられている。さらに、180個のノズル開口51(ノズル52)に連通される圧力発生室42には、各ノズル開口51からインク61を吐出させるための駆動素子として圧電素子31が設けられている。
第1ノズル群25Aは、第2ノズル群25Bよりも搬送方向下流側(Y(+)方向側)に設けられている。また、第1ノズル群25Aと第2ノズル群25Bとは、4個のノズル開口51の搬送方向(Y方向)の位置が重複するように設けられている。例えば、Y方向において、第1ノズル群25Aのノズル開口51の#177Aの位置は、第2ノズル群25Bのノズル開口51の#1Bの位置と同じになっている。これにより、ある液滴吐出動作において、ある画素に対して第1ノズル群25Aのノズル開口51の♯177Aがドットを形成可能なとき、その画素に対して第2ノズル群25Bのノズル開口51の♯1Bでもドットを形成可能である。
「液滴吐出動作」
図4は、圧電素子に供給される駆動信号の状態を示す模式図である。図5A乃至図5Dは、第1の液滴吐出動作の状態を示す模式図である。図6A乃至図6Dは、第2の液滴吐出動作の状態を示す模式図である。
図5A乃至図5D、並びに図6A乃至図6Dに示すように、ノズルプレート36は、ノズル52とノズル開口51が形成されたノズル形成面36Aとを有している。ノズル形成面36Aは、撥水膜43で覆われている。ノズル52の壁面53で囲まれノズル52の内側には、インク61が充填されている。
ノズル開口51の外側(ノズル形成面36A)は撥水膜43で覆われ、ノズル開口51の内側(ノズル52の壁面53)は撥水膜43で覆われていない。すなわち、ノズル形成面36Aにおいて、撥水膜43は、ノズル開口51の開口縁まで覆っている。よって、ノズル開口51の開口縁は、撥水膜43で覆われた部分と撥水膜43で覆われていない部分との境界になる。撥水膜43で覆われた部分と撥水膜43で覆われていない部分とでは、インク61に対する親和性が異なるため、撥水膜43で覆われた部分と撥水膜43で覆われていない部分との境界(ノズル開口51の開口縁)に、インク61のメニスカス62が形成される。
メニスカス62は、ノズル開口51から露出しているインク61の自由表面であり、ノズル開口51の開口縁に形成される。撥水膜43は、メニスカス62の位置や形状を制御し、ノズル形成面36Aから安定して液滴63A、63Bを吐出させる役割を有する。さらに、撥水膜43は、ノズル形成面36Aにインク61を付着しにくくする役割も有する。
最初に、図4と、図5A乃至図5Dとを参照して、第1の液滴吐出動作について説明する。
プリンター制御部360は、第1の液滴吐出動作を実行するための駆動信号(図4)を圧電素子31に供給する。図4に示す第1の液滴吐出動作を実行するための駆動信号は、信号の始点(P0)と信号の終点(P10)とが中間駆動電圧VMに設定され、最低駆動電圧VLと最高駆動電圧VH1との間の駆動信号が圧電素子31に供給される。
圧電素子31に供給される駆動信号は、(1)中間駆動電圧VMから最低駆動電圧VLまで電圧を降下させ、圧力発生室42を収縮させてメニスカス62を押し出す収縮信号(P1,P2)と、(2)最低駆動電圧VLから最高駆動電圧VH1まで電圧を上昇させて圧力発生室42を膨張させてメニスカス62を引き込む準備信号(P3,P4)と、(3)電圧をVLとVH1の中間程度の電圧VH2まで降下させて圧力発生室42を収縮させて液滴63Aを吐出する吐出信号(P5,P6)と、(4)吐出後に電圧を比較的緩やかに最低駆動電圧VLまで降下させて圧力発生室42を収縮させてメニスカス62の残留振動を制振する従属信号(P7)と、(5)再び中間駆動電圧VMまで電圧を復帰させて圧力発生室42を元の容積に戻す復帰信号(P8,P9)とを備えている。
当該駆動信号を圧電素子31に供給することによって、第1の液滴吐出動作が実行される。詳しくは、第1の液滴吐出動作は、(1)圧力発生室42を収縮させてメニスカス62を押し出す動作(図5B)と、(2)圧力発生室42を膨張させてメニスカス62を引き込む動作(図5C)と、(3)圧力発生室42を収縮させて液滴63Aを吐出する動作(図5D)と、(4)圧力発生室42を収縮させてメニスカス62の残留振動を制振する動作と、(5)圧力発生室42を元の容積に戻す動作とを含む。
記録処理(液滴吐出)が実行されない待機状態(P0)では、上述したバルブユニット24(図1参照)は、記録ヘッド25内のインク61に負圧が作用するように、インク61の流動圧を調整する。このため、待機状態(P0)では、図5Aに示すように、メニスカス62は、ノズル開口51の内側に若干引き込まれた状態にある。
圧力発生室42を収縮させてメニスカス62を押し出す動作では、図5Bに示すように、収縮信号(P1,P2)を圧電素子31に供給し、圧電素子31を伸長させ圧力発生室42を収縮させ、メニスカス62を矢印112の方向にノズル開口51の外側に押し出す。
圧力発生室42を膨張させてメニスカス62を引き込む動作では、図5Cに示すように、準備信号(P3,P4)を圧電素子31に供給し、圧電素子31を収縮させ圧力発生室42を膨張させ、メニスカス62をノズル開口51の内側に引き込む。このとき、収縮信号(P1,P2)によって押し出されつつあるメニスカス62が引き込まれるため、メニスカス62の中心部近傍が矢印134の方向に局所的に引き込まれることになる。また、ノズル開口51の壁面53の近傍では、依然として矢印112方向への圧力が残っている。
すなわち、ノズル52の壁面53と離れノズル52の内側に配置されたインク61を、矢印134の方向に局所的に引き込む。
圧力発生室42を収縮させて液滴63Aを吐出する動作では、図5Dに示すように、吐出信号(P5,P6)を圧電素子31に供給し、圧電素子31を伸長させ圧力発生室42を急激に収縮させ、圧力発生室42内のインク61の圧力を高くし、局所的に引き込まれたメニスカス62のさらに中央近傍の微小領域のインク61を矢印156の方向(Z(−)方向)に飛び出させ、液滴63Aとして吐出する。このとき、ノズル開口51の径に比べて、極めて微小な液滴63Aを高い速度で吐出することができる。
圧力発生室42を収縮させてメニスカス62の残留振動を制振する動作では、従属信号(P7)を圧電素子31に供給し、圧電素子31をさらに伸長させ、圧力発生室42で液滴63Aが吐出されない程度の比較的ゆっくりした速度で、圧力発生室42を準備信号入力前の容積まで収縮し、この間にメニスカス62の残留振動を制振する(図示省略)する。
圧力発生室42を元の容積に戻す動作では、復帰信号(P8,P9)を圧電素子31に供給し、圧電素子31を収縮させ、圧力発生室42が待機状態(P0)と同じ容積になるまで圧力発生室42を膨張させる(図示省略)。
このように、吐出信号(P5,P6)の供給前に、メニスカス62を押し出す収縮信号(P1,P2)と、メニスカスを引き込む準備信号(P3,P4)とを供給することにより、メニスカス62を一旦押し出してから引き込むため、メニスカス62の中央近傍が局所的に引き込まれる。この状態で吐出信号(P5,P6)を供給して圧力発生室42を収縮させるため、局所的に引き込まれたメニスカス62のさらに中央近傍の微小部分のインク61が飛び出して液滴63Aとして吐出される。従って、ノズル開口51の径を小さくしなくても、極めて微小な液滴63Aを吐出することができ、解像度の高い印刷を実現することができる。しかも、吐出される液滴63Aの速度も速くなり、着弾位置の精度等を向上させることができる。
このように、第1の液滴吐出動作では、局所的に引き込まれたメニスカス62の中央近傍の微小領域のインク61を、液滴63AとしてZ(−)方向に吐出する。換言すれば、第1の液滴吐出動作では、ノズル52の壁面53と離れノズル52の内側に配置されたインク61を、液滴63AとしてZ(−)方向に吐出する。
第1の液滴吐出動作は、メニスカス62の中央近傍の微小領域のインク61を液滴63Aとして吐出するので、後述する第2の液滴吐出動作と比べて、吐出される液滴の量が少なくなり、上述した大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)のうち小ドットを記録媒体10に形成する。
なお、第1の液滴吐出動作を実行するための駆動信号は、図4に示す駆動信号に限定されず、局所的に引き込まれたメニスカス62の中央近傍の微小領域のインク61を、液滴63AとしてZ(−)方向に吐出することが可能な駆動信号であればよい。さらに、第1の液滴吐出動作を実行するための駆動信号は、図4に示す1種類に限られず、複数種類を含んでいてもよい。
次に、図6A乃至図6Dを参照して、第2の液滴吐出動作について説明する。
第2の液滴吐出動作は、第1の膨張動作(図6A)と、第1の収縮動作(図6B)と、第2の収縮動作(図6C、図6D)とを含む。
第1の膨張動作では、図6Aに示すように、圧電素子31を収縮させ、圧力発生室42を膨張させ、インク61のメニスカス62を圧力発生室42側に大きく引き込む。
第1の収縮動作では、図6Bに示すように、圧電素子31を伸長させ、圧力発生室42を収縮させ、第1の膨張動作におけるメニスカス62の引き込みの反動と、圧力発生室422の収縮によるメニスカス62の押し出しとによって、メニスカス62の全体を飛び出させ、ノズル52の壁面53と接しノズル52の内側に配置されたインク61を液滴63BとしてZ(−)方向に吐出する。
続いて、圧力発生室42を更に収縮させる第2の収縮動作を実行する。第2の収縮動作によって、図6Cに示すように、第1の収縮動作の反動によるメニスカス62の引き込みが低減される。さらに、第2の収縮動作によって、図6Dに示すように、液滴63Bの吐出後のメニスカス62の盛り上がりが小さくなる。このように、第2の収縮動作は、第1の収縮動作によって液滴63Bが吐出された後のメニスカス62の引き込み及びメニスカス62の盛り上がりを小さくする。
続いて、液滴63Bが吐出されない程度の比較的ゆっくりした速度で、圧力発生室42を第1の膨張動作前の容積まで収縮させ、この間にメニスカス62の残留振動を制振する(図示省略)。
第2の液滴吐出動作では、メニスカス62の全体を飛び出させて液滴63Bを吐出するので、メニスカス62の中央近傍の微小領域を飛び出させて液滴63Aを吐出する第1の液滴吐出動作と比べて、液滴の吐出量が多くなり、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)のうち、中ドットまたは大ドットを記録媒体10に形成する。換言すれば、第2の液滴吐出動作では、ノズル52の壁面53と接しノズル52の内側に配置されたインク61を液滴63BとしてZ(−)方向に吐出し、上述した大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)のうち中ドットまたは大ドットを記録媒体10に形成する。
このように、プリンター11では、圧電素子31によってノズル52の中のインク61のメニスカス62を変形させ、ノズル開口51が形成されたノズル形成面36Aからインク61を液滴63A,63Bとして吐出し、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成する。
第1の液滴吐出動作を繰り返して複数の小ドットを形成し、当該複数の小ドットによって中ドットまたは大ドットを形成することができる。従って、第1の液滴吐出動作では、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を全て形成することができる。
一方、第2の液滴吐出動作は、小ドットを形成することが難しいので、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を全て形成することが難しい。
第1の液滴吐出動作によって中ドットまたは大ドットを形成すると、第2の液滴吐出動作で中ドットまたは大ドットを形成する場合と比べて、液滴吐出回数が多くなり、ドット形成時間が長くなる。従って、中ドットまたは大ドットは、ドット形成時間が短くなる第2の液滴吐出動作によって形成することが好ましい。
従って、中ドットまたは大ドットで構成される画像(高い解像度が要求されない画像)は、第2の液滴吐出動作で形成することが好ましい。すなわち、中ドットまたは大ドットで構成される画像(高い解像度が要求されない画像)を、第2の液滴吐出動作で形成すると、第1の液滴吐出動作で形成する場合と比べて、画像形成時間が短くなり、記録媒体10に形成される画像形成の生産性を高めることができる。
一方、小ドットで構成される画像(高い解像度が要求される画像)は、第1の液滴吐出動作で形成することが好ましい。第1の液滴吐出動作は、極めて微小な液滴63Aを吐出してドットを形成するので、第2の液滴吐出動作と比べて、記録媒体10に小さなドットを形成し、記録媒体10に形成される画像の解像度を高めることができる。
「メンテナンス処理」
上述した液滴吐出動作では、ノズル形成面36Aから吐出された液滴63A、63Bの一部は、記録媒体10に着弾せず、インクミストとなって浮遊し、ノズル形成面36Aに付着する。ノズル形成面36Aは撥水膜43で覆われ、インク61が付着しにくくなっているが、記録ヘッド25を長期間使用すると、どうしてもインクミストがノズル形成面36Aに付着し、ノズル形成面36Aが汚染される。さらに、ノズル形成面36Aに汚れが蓄積すると、記録ヘッド25の性能が劣化(変化)する。
さらに、カートリッジ14から記録ヘッド25に供給されたインク61は、ノズル形成面36Aにおいて大気に曝され、インク61の溶媒成分が蒸発し、インク61の粘度が増加する。加えて、液滴吐出動作を繰り返すと、記録ヘッド25のインク流路に気泡が混入する場合がある。インク61の増粘やインク61への気泡混入などによっても、記録ヘッド25の性能が劣化(変化)する。
このため、プリンター11では、記録ヘッド25の性能を正常な状態に回復させるメンテナンス処理が実行される。メンテナンス処理は、ワイピング部材(図示省略)によってノズル形成面36Aの汚れを拭き取るワイピング処理と、増粘したインク61や気泡が混入したインク61を記録ヘッド25から強制的に排出するフラッシング処理とで構成される。
メンテナンス処理は、例えば、プリンター11の起動時、プリンター11の遮断時、印刷非実行時において定期的に実行される。さらに、メンテナンス処理は、ユーザーがメンテナンス処理の指示を行った場合等の種々のタイミングで、不定期に実行される。
ノズル形成面36Aに付着した汚れは、(1)高い流動性の液体、(2)インクミストの溶剤成分の一部が蒸発した低い流動性のゲル、または(3)インクミストの溶剤成分が蒸発した固形物のいずれかである。ノズル形成面36Aに付着した汚れが固形物である場合、ノズル形成面36Aに付着した汚れが液体やゲルである場合と比べて、汚れがノズル形成面36Aに強く付着し、強い力で汚れを拭き取る必要がある。強い力でワイピング処理を繰り返すと、ノズル形成面36Aを覆う撥水膜43がダメージを受け、撥水膜43に傷や剥離などの不具合が発生し、撥水膜43が劣化しやすくなる。
さらに、汚れがノズル形成面36Aに弱く付着し、弱い力で汚れを拭き取る場合であっても、ワイピング処理を繰り返すと、撥水膜43の劣化が徐々に進行する。
一方、フラッシング処理は、撥水膜43に機械的ダメージを生じさせにくいので、撥水膜43は劣化しにくい。すなわち、ワイピング処理によって撥水膜43の劣化が進行しやすく、フラッシング処理によって撥水膜43の劣化が進行しにくい。
ノズル形成面36Aにおいて、撥水膜43の劣化は均一に進行するのでなく、ノズル形成面36Aを覆う撥水膜43には、早く劣化が進行する部分と、遅く劣化が進行する部分とが存在する。このため、ノズル形成面36Aは、大きく劣化した撥水膜43で覆われた部分と、小さく劣化した撥水膜43で覆われた部分とが存在する。さらに、撥水膜43が大きく劣化した部分に配置されるノズル開口51と、撥水膜43が小さく劣化した部分に配置されるノズル開口51とでは、ノズル開口51の開口縁に形成されるメニスカス62の状態(形状)も変化するようになる。
上述したように、プリンター11では、圧電素子31によってノズル52の中のインク61のメニスカス62を変形させ、ノズル開口51が形成されたノズル形成面36Aからインク61を液滴63A,63Bとして吐出する。メニスカス62の状態(形状)と吐出される液滴63A,63Bの量とは相関関係があるので、撥水膜43の劣化の状態によってメニスカス62の状態(形状)が変化すると、圧電素子31に同じ駆動電圧を供給した場合であっても、吐出される液滴63A,63Bの量が変化する。
上述したように、ノズル形成面36Aは、4色のインク61のいずれかが吐出可能なY方向に沿った360個のノズル開口51を有している(図3参照)。ノズル形成面36Aは、360個のノズル開口51のそれぞれからインク61を液滴63A,63Bとして吐出し、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成する。
ワイピング処理によって撥水膜43の劣化が進行すると、4色のインク61のいずれかが吐出可能なY方向に沿った360個のノズル開口51は、撥水膜43が大きく劣化した部分に配置されるノズル開口51と、撥水膜43が小さく劣化した部分に配置されるノズル開口51とが存在する。このため、4色のインク61のいずれかが吐出可能なY方向に沿った360個のノズル開口51は、それぞれ液滴63A,63Bの吐出性能が変化する。すなわち、360個のノズル開口51の吐出性能の均一性が悪くなる。
360個のノズル開口51の吐出性能が均一である場合、圧電素子31に同じ駆動電圧を供給すると、ラスターラインの色の濃さは均一であり、色ムラは生じない。ところが、360個のノズル開口51の吐出性能の均一性が悪くなると、圧電素子31に同じ駆動電圧を供給しても、吐出される液滴63A,63Bの量が変動し、ラスターラインの色の濃さが不均一になり、色ムラが生じる。
上述したように、第1の液滴吐出動作は、局所的に引き込まれたメニスカス62の中央近傍の微小領域のインク61を、液滴63Aとして吐出する。すなわち、第1の液滴吐出動作は、撥水膜43から離れた部分のインク61を液滴63Aとして吐出する。第1の液滴吐出動作において液滴63Aとして吐出されるインク61のメニスカス62は、撥水膜43から離れており、撥水膜43の劣化の影響を受けにくい。従って、第1の液滴吐出動作では、撥水膜43の劣化が進行しても、360個のノズル開口51の吐出性能の均一性が損なわれるという不具合が生じにくい。
従って、ワイピング処理によって撥水膜43の劣化が進行した場合であっても、第1の液滴吐出動作によって形成されるドットによって、正常な画像(狙い通りの画像)を記録媒体10に形成することができる。
上述したように、第2の液滴吐出動作は、メニスカス62の全体を飛び出させてインク61を液滴63Bとして吐出するので、液滴63Bとして吐出されるインク61のメニスカス62は、撥水膜43の近くに配置され、撥水膜43の劣化の影響を受けやすい。従って、第2の液滴吐出動作では、撥水膜43の劣化が進行すると、360個のノズル開口51の吐出性能の均一性が損なわれ、正常な画像(目標とする画像)を記録媒体10に形成することが難しくなる。
このように、第1の液滴吐出動作は、第2の液滴吐出動作と比べて撥水膜43の劣化の影響を受けにくく、撥水膜43の劣化が進行した場合であっても、記録ヘッド25の性能は正常に維持され、正常な画像(狙い通りの画像)を記録媒体10に形成することができる。第2の液滴吐出動作は、第1の液滴吐出動作と比べて撥水膜43の劣化の影響を受けやすく、撥水膜43の劣化が進行した場合、記録ヘッド25の性能も劣化し、正常な画像(目標とする画像)を記録媒体10に形成することが難しくなる。
本実施形態では、記録ヘッド25のワイピング処理回数が少なく、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して軽微である場合、第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作との両方で、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成し、目標とする画像を記録媒体10に形成する。
第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作との両方を使用すると、目標とする画像の中で高い解像度が要求されない部分を第2の液滴吐出動作で形成することによって、画像形成の生産性を高め、目標とする画像の中で高い解像度が要求される部分を第1の液滴吐出動作で形成することによって、画像の解像度を高めることができる。従って、プリンター11の性能を高めることができる。
さらに、記録ヘッド25のワイピング処理回数が多くなり、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して甚大である場合、第1の液滴吐出動作だけで大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成し、目標とする画像を記録媒体10に形成する。すなわち、撥水膜43の劣化が進行した場合であっても、第1の液滴吐出動作で目標とする画像を記録媒体10に形成することによって、プリンター11を長期間安定して稼動させ、プリンター11の耐久性を高めることができる。
撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して軽微であるのか、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して甚大であるのかどうかは、例えば第2の液滴吐出動作によって記録媒体10にカラーパッチ(測色用テストパターン)を形成し、当該カラーパッチを測色し、所定の検査基準に基づき当該カラーパッチに色ムラが生じていないかどうかで判断する。
詳しくは、当該カラーパッチに色ムラが認められない場合、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して軽微であると判断する。当該カラーパッチに色ムラが認められる場合、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して甚大であると判断する。
換言すれば、第2の液滴吐出動作で形成された画像の画質(品質)が許容される良い品位(正常)であれば、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して軽微であると判断する。第2の液滴吐出動作で形成された画像の画質(品質)が許容されない悪い品位(異常)であれば、撥水膜43の劣化の状態は所定の状態に対して甚大であると判断する。
また、画像の画質(品質)の正常か異常かを判断する検査基準は、ユーザーの要求などによってその時々に定まる。
このように、本実施形態は、撥水膜43の劣化の状態に応じて、第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作とを使い分ける。すなわち、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して軽微である場合、第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作との両方で、目標とする画像を記録媒体10に形成する。撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して甚大である場合、第1の液滴吐出動作だけで、目標とする画像を記録媒体10に形成する。
以上述べたように、本実施形態に係るプリンター11は、圧電素子31によってノズル52の中のインク61のメニスカス62を変形させ、ノズル開口51が形成されたノズル形成面36Aからインク61を液滴63A,63Bとして吐出し、ドットを記録媒体10に形成するプリンターであって、ノズル形成面36Aを覆う撥水膜43と、ノズル形成面36Aの汚れを拭き取るワイピング処理と、ノズル52の壁面53と離れノズル52の内側に配置されたインク61を液滴63Aとして吐出する第1の液滴吐出動作と、ノズル52の壁面53と接しノズル52の内側に配置されたインク61を液滴63Bとして吐出する第2の液滴吐出動作と、を有し、撥水膜43の劣化の状態に応じて、第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作とを使い分ける。
「予測部」
次に、予測部460の概要を説明する。
ワイピング部材を使用してノズル形成面36Aの汚れを拭き取るワイピング処理を繰り返すことによって、撥水膜43の劣化が進行する。ワイピング処理の回数と撥水膜43の劣化の状態とは相関関係があるので、ワイピング処理の回数から撥水膜43の劣化の状態を予測することができる。
予測部460(図1参照)には、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して甚大になるワイピング処理の回数が登録されている。さらに、使用者は、プリンター11のメンテナンス情報や他のプリンター11のメンテナンス情報から、より正しい予測がなされるように、予測部460に登録されている撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して甚大になるワイピング処理の回数を、更新することができる。
予測部460は、ワイピング処理の回数を集計する。予測部460は、集計されたワイピング処理の回数が、登録されている撥水膜43の劣化が生じるワイピング処理の回数を超えない場合、撥水膜43の劣化の状態は所定の状態に対して軽微であると予測する。さらに、予測部460は、集計されたワイピング処理の回数が、登録されている撥水膜43の劣化が生じるワイピング処理の回数を超える場合、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して甚大であると予測する。
予測部460が、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して軽微であると予測した場合、プリンター11は、第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作との両方で、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成する。
予測部460が、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して甚大であると予測した場合、プリンター11は、第1の液滴吐出動作だけで、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成する。
このように、プリンター11に予測部460を設け、撥水膜43の劣化の状態を予測することによって、プリンター11は、撥水膜43の劣化の状態の予測結果に基づき、好ましい液滴吐出動作で画像を記録媒体10に形成することができる。従って、好ましくない液滴吐出動作の使用が未然に防止され、好ましくない液滴吐出動作を使用することによるロスを未然に防止することができる。
なお、撥水膜43の劣化は、インク61に含まれる色材によってよって変化する。色材が顔料や無機材料(例えば、白色顔料)である場合、色材が染料である場合と比べて、ノズル形成面36Aの汚れを拭き取るワイピング処理によって、撥水膜43が色材によって機械的損傷を受けやすくなる。すなわち、インク61が顔料や無機材料(例えば、白色顔料)を含む場合、インク61が染料を含み顔料や無機材料を含まない場合と比べて、撥水膜43の劣化が生じやすい。
従って、予測部460に登録する撥水膜43の劣化が生じるワイピング処理の回数は、インク61に含まれる色材の種類によって変更させることが好ましい。例えば、顔料インクと染料インクとでは、撥水膜43の劣化が生じるワイピング処理の回数が異なるので、顔料インクと染料インクとで撥水膜43の劣化が生じるワイピング処理の回数を変更させることが好ましい。
(実施形態2)
「プリンターの概要」
図7は、実施形態2に係るプリンターの概要を示す概略図である。
以下、図7を参照し、本実施形態に係るプリンター11Aを、実施形態1との相違点を中心に説明する。また、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
図7に示すように、本実施形態に係るプリンター11Aは、搬送ユニット12と、記録ヘッド25とを備えている。また、プリンター11Aは、搬送ユニット12と記録ヘッド25とを制御する制御装置300と、記録ヘッド25にインク61を供給する4つのカートリッジ14と、記録ヘッド25に供給されるインク61の流動圧を制御するバルブユニット24とを備えている。
制御装置300は、CPU400、ROM310、RAM320、表示部340、通信部350、及びプリンター制御部360を備えている。CPU400、ROM310、RAM320、通信部350、及びプリンター制御部360は、バス370を通じて互いに接続されている。
CPU400は、ソフトウェア(プログラム)によりそれぞれ実現される機能部分として、解像度変換処理部410、色変換部420、ハーフトーン処理部430、及びマイクロウィーブ処理部440などを備えている。
すなわち、本実施形態に係るプリンター11Aは予測部460を有していなく、実施形態1に係るプリンター11は予測部460を有している。この点が本実施形態と実施形態1との相違点であり、他の構成要素は本実施形態と実施形態1とで同じである。
さらに、本実施形態に係るプリンター11Aと実施形態1に係るプリンター11とでは、液滴吐出動作が異なる。
詳しくは、本実施形態に係るプリンター11Aは、第1の液滴吐出動作だけで、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成する。実施形態1に係るプリンター11は、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して軽微である場合、第1の液滴吐出動作と第2の液滴吐出動作との両方で大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成し、撥水膜43の劣化の状態が所定の状態に対して甚大である場合、第1の液滴吐出動作だけで大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成する。
本実施形態に係るプリンター11Aは、撥水膜43の劣化の影響を受けにくい第1の液滴吐出動作だけで記録媒体10にドットを形成するので、撥水膜43の劣化の影響を受けやすい第2の液滴吐出動作を含む実施形態1に係るプリンター11と比べて、撥水膜43の劣化が進行し記録ヘッド25の吐出性能の均一性が損なわれ、記録媒体10に形成される画像に色ムラが生じるという不具合を、より強く抑制することができる。すなわち、本実施形態に係るプリンター11Aは、実施形態1に係るプリンター11と比べて、目標とする画像をより安定して形成することができる。
さらに、本実施形態に係るプリンター11Aは、長期間の安定動作が可能な第1の液滴吐出動作だけで記録媒体10にドットを形成するので、長期間の安定動作が難しい第2の液滴吐出動作を含む実施形態1に係るプリンター11と比べて、プリンター11Aを長期間安定稼働させ、プリンター11Aの耐久性をさらに高めることができる。
このように、撥水膜43の劣化の影響を受けにくい第1の液滴吐出動作だけで記録媒体10にドットを形成すると、プリンター11Aを長期間安定稼働させ、プリンター11Aの耐久性をさらに高めることができるので、本実施形態は、撥水膜43の劣化が生じやすいインク61を使用する場合(例えば、顔料インクを使用する場合)に好適である。
以上述べたように、本実施形態に係るプリンター11Aは、圧電素子31によってノズル52の中のインク61のメニスカス62を変形させ、ノズル開口51が形成されたノズル形成面36Aからインク61を液滴63Aとして吐出し、ドットを記録媒体10に形成するプリンターであって、ノズル形成面36Aを覆う撥水膜43と、ノズル形成面36Aの汚れを拭き取るワイピング処理と、ノズル52の壁面53と離れノズル52の内側に配置されたインク61を液滴63Aとして吐出する第1の液滴吐出動作だけで、大きさが異なる3種類のドット(大ドット、中ドット、小ドット)を記録媒体10に形成する。
(実施形態3)
インク61は、腐食性の強いインクであってもよい。実施形態3におけるインク61は、例えばアルカリ性インクや酸性インクであり、撥水膜43やノズル形成面36Aの化学的な劣化を生じさせるおそれがある。
詳しくは、本願におけるインク61は、染料や顔料などの色材、水、水溶性有機溶剤、PH調整剤などを含む。水溶性有機溶剤は、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、トリエチレングリコール、エタノール、プロパノールなどを使用することができる。PH調整剤は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ソーダ、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルカノールアミン、塩酸、酢酸などを使用することができる。
PH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ソーダ、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アルカノールアミンなどを使用した場合、インク61はアルカリ性を有し、撥水膜43やノズル形成面36Aの化学的ダメージ(化学的な劣化)を生じさせるおそれがあるアルカリ性インク(液体)となる。
PH調整剤として、塩酸、酢酸などを使用した場合、インク61は酸性を有し、撥水膜43やノズル形成面36Aの化学的ダメージ(化学的な劣化)を生じさせるおそれがある酸性インク(液体)となる。
上述したように、撥水膜43はフッ素含有有機化合物やフッ素含有有機ケイ素化合物などから形成されている。撥水膜43は、ケイ素樹脂とフッ素樹脂とが、メチレン基(CH2)のような置換基で結合された構造を有している。このため、撥水膜43は、ノズル形成面36Aの側に配置されるケイ素(Si)と酸素(O)とが結合した部分(ケイ素樹脂)と、ノズル形成面36Aと反対側の表面側に配置される炭素(C)とフッ素(F)とが結合した部分(フッ素樹脂)と、ケイ素樹脂とフッ素樹脂とを結合させる炭素(C)と炭素(C)とが結合した部分とを有する。そして、炭素(C)とフッ素(F)とが結合した部分(フッ素樹脂)が、インク61に接し、インク61のメニスカス62の位置や形状を制御する。
ところが、炭素(C)と炭素(C)との結合エネルギーは、ケイ素(Si)と酸素(O)との結合エネルギー、及び炭素(C)とフッ素(F)との結合エネルギーと比べて小さいので、炭素(C)と炭素(C)とが結合した部分は、ケイ素(Si)と酸素(O)とが結合した部分(フッ素樹脂)、及び炭素(C)とフッ素(F)とが結合した部分(フッ素樹脂)に比べて、結合が弱く、機械的ダメージや化学的ダメージの影響を受けやすい。
さらに、撥水膜43の膜厚を厚くすると(例えば、概略300μm以上にすると)、ピンホールが抑制された撥水膜43を形成することができるが、撥水膜43が剥離しやすくなるので、撥水膜43(フッ素樹脂)の膜厚は概略300μmよりも薄い。このため、撥水膜43には微小なピンホールが存在する。
上述したように、液滴吐出動作では、ノズル形成面36Aから吐出された液滴63A、63Bの一部が、記録媒体10に着弾せず、インクミストとなって浮遊する。このため、ノズル形成面36Aを覆う撥水膜43は、インク61からなるインクミストの雰囲気に晒される。さらに、液滴吐出動作によって、ノズル開口51の開口縁付近の撥水膜43は、インク61に晒される(図5B乃至図5D、図6B乃至図6D参照)。
インク61として腐食性の強いインクを使用し、撥水膜43がインク61からなるインクミストの雰囲気に晒された場合、撥水膜43のピンホールからインク61(インクミスト)が染み込み、インク61によってノズル形成面36Aの基材が化学的ダメージを受け(化学的に劣化し)、撥水膜43が局部的に剥離し、撥水膜43が劣化するおそれがある。
さらに、撥水膜43のピンホールから染み込んだインク61によって、結合が弱い炭素(C)と炭素(C)とが結合した部分が化学的ダメージを受け(化学的に劣化し)、撥水膜43を構成するフッ素樹脂が局部的に剥離し、撥水膜43が劣化するおそれがある。
さらに、ノズル開口51の開口縁付近の撥水膜43はインク61に晒されるので、インク61によって、ノズル開口51の開口縁付近の撥水膜43は化学的ダメージを受け(化学的に劣化し)、撥水膜43が局部的に剥離し、撥水膜43が劣化するおそれがある。
このように、インク61として腐食性の強いインクを使用すると、撥水膜43が化学的ダメージを受け(化学的に劣化し)、撥水膜43の劣化が進行するおそれがある。また、撥水膜43の劣化は均一に進行しないため、記録ヘッド25の吐出性能の均一性が損なわれるという不具合が生じるおそれがある。
上述したように、ノズル形成面36A(撥水膜43)に付着した汚れを拭き取るワイピング処理によっても、撥水膜43に機械的ダメージが生じるおそれがある。撥水膜43に機械的ダメージが生じた場合、当該機械的ダメージと当該化学的ダメージとの相乗作用によって、撥水膜43の劣化の進行が加速されるおそれがある。さらに、撥水膜43にダストが付着し、ダストが腐食性の強いインクを吸収すると(保持すると)、撥水膜43にダストが付着していない場合と比べて、インク61による化学的ダメージの影響が強くなり、撥水膜43の劣化の進行が加速されるおそれがある。
インク61が腐食性の強いインクであり、機械的ダメージや化学的ダメージによって撥水膜43が劣化する場合、上述した実施形態1及び実施形態2の構成を適用すると、インク61による撥水膜43の劣化の悪影響を抑制することができる。特に、撥水膜43の劣化の影響を受けにくい第1の液滴吐出動作だけで記録媒体10にドットを形成すると、プリンター11Aを長期間安定稼働させ、プリンター11Aの耐久性をさらに高めることができる。
なお、腐食性の強いインクは、アルカリ性インクや酸性インクに限定されない。例えば、インク61を構成する溶媒、インク61を構成する溶媒に溶解している溶質、インク61を構成する溶媒に分散している材料などによって、撥水膜43やノズル形成面36Aの化学的な劣化が生じるおそれがある場合、当該インク(液体)は腐食性の強いインク(液体)に該当する。
例えば、インク61が、水系溶剤を含まず有機溶剤を含む非水性インクである場合、水系溶剤を含む水性インクと比べて、炭素(C)と炭素(C)とが結合した部分(結合が弱い部分)が有機溶剤の影響を受けやすく、例えば有機溶剤によって炭素(C)と炭素(C)とが結合した部分が膨潤し、フッ素樹脂が剥離しやすくなり、撥水膜43が劣化しやすくなる。
インク61が非水性インクである場合においても、上述した実施形態1及び実施形態2の構成を適用すると、インク61による撥水膜43の劣化の悪影響を抑制することができる。特に、撥水膜43の劣化の影響を受けにくい第1の液滴吐出動作だけで記録媒体10にドットを形成すると、プリンター11Aを長期間安定稼働させ、プリンター11Aの耐久性をさらに高めることができる。
(実施形態4)
インク61は、色材を含まない構成であってもよい。
例えば、インク61は、有機EL材料や有機EL材料の前駆体などの機能性材料を媒体に分散させた機能性インクであってもよい。例えば、インク61は、半導体材料や半導体材料の前駆体などの機能性材料を媒体に分散させた機能性インクであってもよい。例えば、インク61は、導電性材料や導電材料の前駆体などの機能性材料を媒体に分散させた機能性インクであってもよい。例えば、インク61は、ゾルゲル前駆体液(例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)の前駆体液)などの機能性材料からなる機能性インクであってもよい。
例えば、インク61は、現像液やエッチング液であってもよい。例えば、インク61は、接着剤であってもよい。例えば、インク61は、樹脂やオイルであってもよい。例えば、インク61は、感光性を有する樹脂や着色された樹脂であってもよい。例えば、インク61は、単一の溶剤や、複数の溶剤の混合物であってもよい。
インク61が、機能性材料、現像液、エッチング液、接着剤、樹脂、オイル、感光性を有する樹脂、着色された樹脂などを含む場合においても、当該インク61に起因する機械的ダメージや化学的ダメージによって撥水膜43が劣化するおそれがある。この機械的ダメージや化学的ダメージによって撥水膜43が劣化する場合、上述した実施形態1及び実施形態2の構成を適用すると、インク61による撥水膜43の劣化の悪影響を抑制することができる。特に、撥水膜43の劣化の影響を受けにくい第1の液滴吐出動作だけで記録媒体10にドットを形成すると、プリンター11Aを長期間安定稼働させ、プリンター11Aの耐久性をさらに高めることができる。
以上述べたように、本願によって、ノズル形成面36A(撥水膜43)に付着した汚れを拭き取るワイピング処理による機械的ダメージや、インク61からなるインクミストや液体に晒されることによる化学的ダメージによって撥水膜43が劣化し、記録ヘッド25の吐出性能の均一性が損なわれるという不具合が抑制され、高品位で高信頼性の液体吐出装置を実現することができる。
さらに、布帛に捺染を行う液体吐出装置(捺染装置)、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッサンスディスプレイや面発光ディスプレイやカラーフィルターの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解させた液体を吐出する液体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置、時計やカメラなどの精密機械にピンポイントでオイル(潤滑油)を吐出する液滴吐出装置、光通信素子などに用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するための紫外線硬化樹脂などの透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリなどのエッチング液を吐出する液体吐出装置などに対して、本願を適用させることができる。
さらに、本願における液体吐出装置は、上述した記録ヘッド25を走査方向(X方向)に移動させながら画像を記録するシリアル方式のプリンター11,11Aに限定されず、例えば、記録ヘッド25が固定された状態で画像を記録するライン方式のプリンターであってもよい。
10…記録媒体、11…プリンター、14…カートリッジ、15…インク供給路、19…支持部、20…給紙ローラー、21…搬送ローラー対、22…排紙ローラー対、24…バルブユニット、25…記録ヘッド、26…ヘッドケース、27…振動子ユニット、28…流路ユニット、31…圧電素子、36…ノズルプレート、36A…ノズル形成面、43…撥水膜、51…ノズル開口、52…ノズル、53…壁面、61…インク、62…メニスカス、63A,63B…液滴、100…画像生成装置、300…制御装置、310…ROM、320…RAM、330…バッファー、340…表示部、350…通信部、360プリンター制御部、370…バス、400…CPU、410…解像度変換処理部、420…色変換部、430…ハーフトーン処理部、440…マイクロウィーブ処理部、460…予測部。

Claims (4)

  1. 圧電素子によってノズルの中の液体のメニスカスを変形させ、前記ノズルの開口が形成されたノズル形成面から前記液体を液滴として吐出し、ドットを記録媒体に形成する液体吐出装置であって、
    前記ノズル形成面を覆う撥水膜と、
    前記ノズル形成面の汚れを拭き取るワイピング処理と、
    を有し、
    前記ノズルの壁面と離れ前記ノズルの内側に配置された前記液体を、前記液滴として吐出する第1の液滴吐出動作によって、前記ドットを前記記録媒体に形成することを特徴とする液体吐出装置。
  2. 前記ノズルの壁面と接し前記ノズルの内側に配置された前記液体を、前記液滴として吐出する第2の液滴吐出動作をさらに有し、
    前記撥水膜の劣化の状態に応じて、前記第1の液滴吐出動作と前記第2の液滴吐出動作とを使い分けることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
  3. 前記撥水膜の劣化の状態が、所定の状態に対して軽微な場合、前記第1の液滴吐出動作と前記第2の液滴吐出動作との両方で前記ドットを形成し、
    前記撥水膜の劣化の状態が、所定の状態に対して甚大な場合、前記第1の液滴吐出動作のみで前記ドットを形成することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
  4. 前記ワイピング処理の回数から、前記撥水膜の劣化の状態を予測する予測部をさらに有し、
    前記予測部が、前記撥水膜の劣化の状態が前記所定の状態に対して軽微であると予測した場合、前記第1の液滴吐出動作と前記第2の液滴吐出動作との両方で前記ドットを形成し、
    前記予測部が、前記撥水膜の劣化の状態が前記所定の状態に対して甚大であると予測した場合、前記第1の液滴吐出動作のみで前記ドットを形成することを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
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