JP2017047060A - 光干渉断層撮影装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光源が発する測定光の波長帯域が1μm帯等の長波長帯である場合に最適な横分解能となる光干渉断層撮影装置を提供する。
【解決手段】第1の波長帯域よりも長い第2の波長帯域の光を波長掃引しながら発生させる光源部と、発生された光を測定光と参照光とに分割する分割部と、被検査物において測定光を走査する走査部と、被検査物における第1の波長帯域の光の横分解能を所定の横分解能とする第1の焦点距離よりも長く且つ被検査物における第2の波長帯域の光の横分解能を所定の横分解能以上とするような第2の焦点距離を持ち、測定光を走査部に導く光学部材と、走査部を介して測定光を照射した被検査物からの戻り光と参照光とを干渉して得た干渉光を検出する検出部と、検出された干渉光に基づいて被検査物の断層画像を取得する画像取得手段と、を光干渉断層撮影装置に配する。
【選択図】図5

Description

本発明は、光干渉断層撮影装置に関する。
光を照射して被検眼眼底に例示される測定対象物の断層情報を得る機器として、光干渉断層撮影装置(Optical Coherence Tomography、以下OCTと略す)が知られている。波長可変光源の発する光を用いた従来のOCTでは、物体へ光を照射し、照射光の波長を変化させ、参照光と物体の異なる深さから戻ってくる反射光とを干渉させている。そして干渉光の強度の時間波形(以下、干渉スペクトルと略す)に含まれる周波数成分を分析することによって物体の断層に関する情報、例えば断層像を得る(特許文献1参照)。
OCTにおいては、従来はSD−OCT(Spectrum domain)として、分光器ラインセンサーの分光感度から選択される0.8μm帯の光源が用いられていた。しかし、昨今は眼底深部の観察に関心が強まっている。このため、網膜色素上皮下の脈絡膜や強膜までを感度良く撮影できる、組織の吸収や散乱の影響の少ないより長波長の1μm帯を中心波長とした波長可変光源の使用が検討されている。
ここで、OCTにおいては、横分解能の向上を図るために通常NA(開口数)の大きい光学系が用いられる。しかし、NAの値を大きくすると焦点深度が浅くなるため、画像にボケが発生しやすくなる。特許文献1には、この対策として画像のボケが許容可能に抑制できる焦点深度を求め、これに応ずるように測定光を被検眼に導く光学系のNAの値を適宜変える構成が開示されている。当該構成では、光ファイバ端部より射出される測定光を平行光束とするコリメータレンズユニットに対して、得られる平行光束のビーム径を変更する機能を付与することで、OCT計測におけるNAを変更している。また、特許文献1に開示されるOCTでは、波長帯が0.8〜0.9μmの低コヒーレンス光、或いは波長帯が1.04〜1.06μmの低コヒーレンス光の使用も考慮されている。
特開2014−100230号公報
ここで、光源から得る光の波長帯が長波長化することにより横分解能は低下することが知られている。なお、特許文献1には、上述したように焦点深度及び横分解能と測定光路の光学系のNAとの関係について開示されているが、光源から得る光の波長帯と横分解能との関係については考慮されていない。
本発明の目的の一つは、光源が発する測定光の波長帯域が1μm帯等の長波長帯である場合に最適な横分解能となる光干渉断層撮影装置(OCT)の提供を目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る光干渉断層撮影装置は、
第1の波長帯域よりも長い第2の波長帯域の光を波長掃引しながら発生させる光源部と、
前記発生された光を測定光と参照光とに分割する分割部と、
前記被検査物において前記測定光を走査する走査部と、
前記被検査物における前記第1の波長帯域の光の横分解能を所定の横分解能とする第1の焦点距離よりも長く且つ前記被検査物における前記第2の波長帯域の光の横分解能を前記所定の横分解能以上とするような第2の焦点距離を持ち、前記測定光を前記走査部に導く光学部材と、
前記走査部を介して前記測定光を照射した前記被検査物からの戻り光と前記参照光とを干渉して得た干渉光を検出する検出部と、
前記検出された干渉光に基づいて前記被検査物の断層画像を取得する画像取得手段と、
を有することを特徴とする。
本発明によれば、光源が発する測定光の波長帯域が1μm帯等の長波長帯である場合に最適な横分解能となる光干渉断層撮影装置(OCT)の提供が可能となる。
本発明の一実施形態に係るOCTの構成を示す模式図である。 図1に示す実施形態における物体照射光学系の構成を示す模式図である。 測定光の波長と横分解能との関係を説明する模式図である。 画角と光束径との関係を説明する模式図である。 図1に示す実施形態におけるコリメータ部の構成を説明する模式図である。 波長及び光束径と横分解能との関係を説明する模式図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に関わる本発明を限定するものではなく、また、本実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
(実施形態)
(光干渉断層撮影装置の概略構成)
図1は本実施形態に係る光干渉断層撮影装置(OCT)の主たる構成を示す模式図である。当該OCTは、後述する光源部、干渉部、走査部、コリメータ部、光検出部、及び情報取得部を有する。本実施形態において、光源部101には波長可変光源を用いる。干渉部としては、光源部101より発せられた光を被検体側の測定光路に向かう測定光と参照光路に向かう参照光とに分割する分割部として分岐ファイバカプラ102を用いる。当該分岐ファイバカプラ102と後述する経路を経た測定光(反射光)と参照光とは、干渉部と機能するカプラ104により合波されて干渉光となる。検出部としての差動検出器120は、該干渉光を受光、検出してその強度情報を得る。情報取得部130は、干渉光強度の時間波形に基づいて被検査物の情報を取得する。
なお、本実施形態に係るOCTでは、図1に示すように測定光及び参照光の偏光を制御するための、各々を導く光ファイバに配される偏波コントローラ103、105を有している。しかしながら、これらは無くすことも可能である。次に、実際に被検査物の情報を得る過程について述べる。
本実施形態に係るOCTでは、光源部101から出射された光Lが分岐ファイバカプラ102で測定光LAと参照光LBとに分割される。測定光LAはコリメータレンズ141で平行光となり、走査ミラーであるガルバノミラー108で反射され、集光レンズ142を経て、被検査物(被検眼)107に照射される。被検眼107に照射されて反射した反射光LA’はここまでの経路を逆に進み、分岐ファイバカプラ102を経由して、カプラ104に入射する。一方、参照光LBは、コリメータレンズ143、ミラー145、146、及び集光レンズ144を経て参照光(反射光)LB’としてカプラ104に入射する。
反射光LA’と参照光LB’とはカプラ104で干渉すると同時に分割され、生じた干渉光は差動検出器120に各々入射する。情報取得部130では、差動検出器120で受光した干渉光の強度の時間波形に基づいて被検眼107の断層画像等の情報を取得する。具体的には情報取得部130でフーリエ変換など周波数分析が行われることで被検眼107の情報を取得する。該情報取得部130は、本実施形態において、被検眼の断層画像を取得する画像取得手段として機能する。干渉光の強度の時間波形におけるサンプリングのタイミングは、光源部又は光源部外に設けられるkトリガ発生部(不図示)の発信するk−clock信号に基づいて等周波数(等波数)間隔に行われる。
周波数分析の結果得られた被検体の断層に関する情報、例えば被検体の断層像は表示部150に表示される。以上は被検眼107のある1点における断層に関する情報の取得のプロセスであり、このように被検眼107における該1点の奥行き方向の断層に関する一次元の情報を取得することをA−scanと呼ぶ。また、A−scanと直交する方向で被検体の断層に関する情報、すなわち測定光の走査方向に沿った断面の二次元の画像を取得するための走査をB−scanと呼ぶ。また、更にA−scan、及びB−scanのいずれの測定光の走査方向とも直交する方向に関する被検体の情報を得るための走査をC−scanと呼ぶ。より具体的には、三次元断層像を取得する際に眼底面内に二次元ラスタースキャンする場合、高速な走査方向がB−scan、B−scanをその直交方向に並べてスキャンする低速な走査方向をC−scanと呼ぶ。A−scan及びB−scanを行うことで2次元の断層像が得られ、A−scan、B−scan及びC−scanを行うことで、3次元の断層像を得ることができる。本実施形態において、B−scan、C−scanを行う際に、A―scanと直交する方向に測定光を走査するためにガルバノミラー108を操作させる走査部としての走査ミラー駆動部112を有する。
(高深達性)
本実施形態にかかるOCTの波長可変光源においては、中心波長として1μm帯を想定している。ここで、本実施形態において、光源部101は、従来の測定光として用いる第1の波長帯域よりも長い第2の波長帯域の光を、波長掃引しながら発生させる。なお、第1の波長帯域の一例が0.8μm帯(0.8μm〜0.9μm)であり、第2の波長帯域の一例が中心波長1μm帯である。OCTにおいては、従来はSD−OCT(Spectrum domain)として、分光器ラインセンサーの分光感度から選択される0.8μm帯の光源が用いられていた。しかし、近年の眼科診断においては、眼底深部の観察に関心が強まっている。このため、網膜色素上皮下の脈絡膜や強膜までを感度良く撮影できる、且つ組織の吸収や散乱の影響の少ない測定光が求められる。即ち、より長波長の1μm帯が中心波長である測定光を用いることが好ましい。
(横分解能)
ここで、波長と横分解能の関係はトレードオフにあり、長波長化により横分解能は低下する課題がある。
図2は図1に示した本実施形態に係るOCTにおける物体照射光学系の模式図である。分岐ファイバカプラ102で分岐された測定光は光ファイバ端部の一例であるファイバ端226から空間に射出し、コリメータレンズ141で平行光になる。その後、ガルバノミラー108、折り返しミラー221、リレーレンズ142−2、ダイクロイックミラー202、及び対物レンズ142−1を経由して、被検眼107に照射される。被検眼107の眼底からの反射光は同じ経路を経由してファイバ端226に入射し、カプラ104で干渉する。走査部であるガルバノミラー以降であって被検眼107の側に配置される構成は、本実施形態において測定光を被検眼107に導く対物部に対応する。
ガルバノミラー108は、実際にはX方向ミラー108−1とY方向ミラー108−2とで構成され、光軸L1を中心に走査されることで測定光のB−Scan及びC−Scanが可能となる。該ガルバノミラー108は、本実施形態において眼底において測定光を走査する操作部を構成する。走査部中心227及び被検眼瞳中心228はリレーレンズ142−2と対物レンズ142−1とからなる結像関係において共役となる位置関係にあり、したがって、被検眼瞳中心を支点として画角の走査が可能となる。換言すれば、測定光が眼において走査される際の支点とガルバノミラー108の走査中心とは、これらの間に配置されるレンズ等の光学部材により光学的に共役となる位置関係となる。
ここで、測定光の波長と横分解能との関係について考察する。図3は波長と横分解能の関係を説明する模式図である。図3(a)は被検眼に入射する光束と、その光束が被検眼前眼部で眼底部に集光される様子を示している。図3(b)は眼底面における集光スポット光の光量プロファイルの様子を示している。破線は0.8μm帯の光線、実線は1μm帯の光線であり、両者を比較している。0.8μm帯の光線の場合、この横分解能に対応するスポット径は20μmである。これら図においては、同じ光束径(走査ビーム径)で被検眼に入射した場合、1μm帯の光線の方が0.8μm帯の光線よりも集光スポット径が広がっており、横分解能が低下していることを示している。これは、集光スポット径は波長に比例し、光束径に反比例することと関連し、すなわち光束径をD、波長をλとした場合、集光スポット径aは、a∝λ/Dの関係にある。したがって、波長の長波長化は横分解能の低下を招く。波長λの短波長化は高深達性の観点から好適でないため、横分解能の低下に対する対応として他方の光束径Dの拡大が求められる。
(広画角)
次に光束径Dの拡大に関して考察する。図4(a)及び(b)は画角と走査ビーム径の関係を説明する模式図である。これら模式図は、図2に示す物体照射光学系を光学的に等価になるように更に簡略化して示している。
走査部中心227にコリメータレンズ141より平行光が入射し、3つの光束で示す範囲で測定光が走査され、該測定光は対物部としてのリレーレンズ142−2及び対物レンズ142−1を経由して被検眼に入射する。図4(a)は、被検眼に対する対物部の差動距離、対物レンズ142−1及びリレーレンズ142−2の焦点距離、及びガルバノミラー108の振り角から、測定光にて眼底を広画角に走査できるように構成されている。換言すれば、走査部を構成するガルバノミラー108における測定光の走査角度、及び対物部である対物レンズ142−1の焦点距離は、被検眼における測定光の走査範囲に応じて決定される。
ここで走査部中心227と被検眼瞳中心228とは光学的に共役な関係にあり、倍率(リレー倍率)をβとすると、ガルバノミラー108による測定光の振り角にリレー倍率βの逆数を乗じたものが実際の被検眼に対する走査画角になる。それと同時に、照射ビーム径も同様に倍率βが寄与し、走査部中心227を通過する光束径にリレー倍率βを乗じたものが、実際に被検眼に入射する光束径となる。
図4(b)はリレーレンズ142−2のリレー倍率βを変化させた例である。リレーレンズ142−2の焦点距離を短縮すれば、リレー倍率βは大きくなり、被検眼に入射する光束を比例的に大きくすることができ、その結果、眼底スポットの横分解能は向上することになる。一方で、走査画角の倍率関係は逆の関係に寄与し、その結果反比例の関係で、眼底観察範囲が狭くなってしまう。その減少分を補うように測定光自体の振り角を増加させることも考えられるが、ガルバノミラーモータの駆動速度及びパワーに制約がある。したがって、対物レンズ142−1及びリレーレンズ142−2による光束径の拡大方法では横分解能と画角範囲との両立は難しい。
(コリメータ部)
次にコリメータ部の影響について考察する。図5は、図2に示す物体照射光学系におけるコリメータ部の構成を説明する模式図である。測定光の点光源として機能するファイバ端226から射出された光束は、同図に示されるコリメータレンズ141−1又は141−2によって平行光に変換され不図示の走査部に導かれる。破線で示すコリメータレンズ141−1及びそれによってコリメートされる光線は0.8μm帯の光源を使用した場合である。この場合のコリメータレンズ141−1の焦点距離はf1で示している。一方、実線で示すコリメータレンズ141−2及びそれによってコリメートされる光線は1μm帯の光源を使用した場合である。この場合のコリメータレンズ141−2の焦点距離はf2で示している。これらの比較においてはf1<f2の関係になっており、同一物点、同一の発散角(NA)に対しては、コリメータレンズ141−2の方がコリメートされた光束径がより大きい。したがって、測定光波長の長波長化に応じてコリメータレンズの焦点距離を長くすれば、物体照射光学系内部における測定光の光束径を拡大することができる。更には、この構成の場合、対物レンズ142−1及びリレーレンズ142−2の構成に影響を与えないため、撮影画角を狭めることはない。よって上記手段によれば、横分解能と撮影画角範囲との両立が可能となる。
図6は本発明の効果を説明するものである。図3(a)と同様に被検眼へ入射する光束径と眼底集束スポットの様子を示している。同図に示すように、1μm帯光源を使用した場合の光線(実線)においても、光束径を大きくすれば、集束スポットの大きさは0.8μm帯の光源を使用した場合の光線(破線)と同等になる。
なお、本実施形態ではコリメータ部として、光源部101から射出された光の中心波長における光に基づいて決定された焦点距離を有するコリメータレンズを用いたが、同等の機能を有する光学部材であれば当該形態に限定されない。即ち、該光学部材は、被検眼107における0.8μm帯域の光の横分解能を所定の横分解能とする第1の焦点距離f1よりも長く且つ該被検眼107における1.0μm波長帯域の光の横分解能を所定の横分解能以上とするような第2の焦点距離f2を有する。更に該光学部材は、測定光をガルバノミラー108に導く。
(焦点距離の条件)
前述の通り、撮影画角の仕様、ガルバノミラーの仕様、横分解能の仕様、光源波長の仕様、及びファイバの仕様からコリメータ部の必要焦点距離が求まる。
横分解能仕様として必要な集光スポット径をa、光源波長(中心波長)をλs、物体内焦点距離をFe、物体内屈折率をNe、瞳ビーム径をDeとすれば、
a=4・Fe・λs/(π・Ne・De) (1)
の関係になり、必要な瞳ビーム径Deが求まる。
一方、撮影画角の仕様θeとガルバノミラー振り角θgの関係から必要なリレー倍率をβとすれば、
β=θg/θe (2)
である。これからリレーβが求まり、瞳ビーム径Deとガルバノミラー面(コリメータビーム)のビーム径Dgとの関係は、
De=β・Dg (3)
である。
また、コリメータレンズ焦点距離Fcと、ファイバ開口数NA、コリメータビーム径Dgの関係は、
Dg=2・NA・Fc (4)
となる。
(1)〜(4)をまとめて、
Fc=2・Fe・λs・θe/(π・Ne・a・NA・θg) (5)
となる。
したがって、測定対象物の条件として、物体内焦点距離Fe、及び物体内屈折率Neが得られる。更に部品の条件として、ガルバノミラー振り角θg及びファイバ開口数NAが設定される。また、これらに基づいて装置の仕様として、高深達性のための光源波長λs、広画角化のための撮影画角θe、及び高分解能のための集光スポット径aを設定すれば、(5)の関係からコリメータ部の必要な焦点距離が設定される。
一例として、Fe=17mm、Ne=1.34、θg=5.4deg、θe=27deg、NA=0.127、λs=1050nm、a=20μmとすると、Fc=16.7mmとなる。これらの関係を考慮した光学系の設計により、高深達、かつ広画角、高分解能のOCTにおける物体照射光学系が達成される。即ち、0.8μm帯の測定光を用いた場合に用いられるコリメータレンズはファイバ端より13mmに配置されてa=20μmを得ているのに対し、本実施形態では16.7mmに配置することで同様のスポット径が得られている。このため、横分解能を20μm以下の値となるような高横分解能とするには、焦点距離が16.7mm以上となるコリメータレンズ(光学部材の一例)を用いることが好ましい。
なお、実際の物体照射光学系の構築においては、上記(4)の関係からコリメータレンズ141のファイバ端226からの距離は、ファイバ端226のファイバ開口数NAとコリメータビーム径Dgにより制約を受ける。コリメータビーム径Dgは、測定光を走査するためのガルバノミラー108−1及び108−2の有効径により決定される。ここでガルバノミラーは高速での動作が求められることから大きさの制限を受け、このガルバノミラー有効径はミリオーダーとなり、±20%程度の変更幅しか有さない。また、ファイバ端226のファイバ開口数NAも、上述した0.127を大きく変更することは、特別な使用の光ファイバが必要となる可能性が有る。このため、設計上やはり±20%程度の変更しか認められない。以上を考慮すると、実際に効果が得られる配置は、コリメータレンズ141の焦点距離に対応して、ファイバ端226から13mmより遠く(長く)20mmより近い(短い)範囲であることが好ましい。
以上述べたように、本発明によれば、測定光源を長波長化した場合においても、画角が小さくならずに良好な横分解能を達成できる。
なお、以上に述べた本実施形態において、光源部101の具体的使用に関しては特に特定していないが、光の波長を変化させる光源であれば特に限定されない。OCTを用いて被検眼107の情報を得るためには、この光源部から出る光の波長を連続的に変化させる必要がある。
本実施形態における光源部101として、例えば、面発光レーザ、回折格子やプリズム等を用いた外部共振器型の波長掃引光源、共振器長可変のファブリペローチューナブルフィルタを用いる各種外部共振器型光源を用いることができる。あるいは、サンプルドグレーティングを用いて波長を変化させるSSG−DBRや波長可変のMEMS−VCSELなどを用いることもできる。また、ファイバレーザーを用いることもできる。ファイバレーザーとしては、分散チューニング方式でもよく、フーリエドメインモードロック方式であってもよい。回折格子やプリズム等を用いた外部共振器型の波長掃引光源としては、共振器に回折格子を設けて光を分光させ、ポリゴンミラーや、回転する円盤上にストライプ状の反射ミラーを設けたものを用いて出射させる波長を連続的に変える波長掃引光源などが挙げられる。また、本実施形態における光検出部では、干渉光の強度を電圧などの電気の強度に変換するものであれば特に限定されない。干渉光の強度の時間波形の情報は、この光検出部で受光電圧の時間波形の情報へと変換される。受光電圧の時間波形の情報は、次に説明する情報取得部へと送られる。
OCTとして、SS−OCT(Swept Source OCT:波長掃引型OCT)に使用が昨今検討されている。該SS−OCTは、Aスキャンレートが従来のSD−OCTよりも早い。これはSS−OCTは光源の共振器のスピードに測定速度が依存し、SD−OCTはラインセンサーの読み出し速度に測定速度が依存することによる。したがって、SS−OCTは広画角撮像に好適である。
一方、断層像を得る際の撮影画角については、測定対象の物体の広範囲の断層に関する情報を取得することが望まれている。例えば、眼底検査では黄斑と視神経乳頭を含む後極部全体から、赤道部までを含む広い範囲が測定対象となる。このため、OCTにおいて、測定範囲を広くすることが望まれている。従来はこのような要望に対し、眼底の断層像の観察領域を広範囲とするために、複数の断層像をつなぎ合わせて広範囲の断層像を構成することが提案されていた。しかし、取得した複数の断層像を連続的につなぎ合わせるための画像処理に時間や手間がかかる。そのため、1回の走査で、広範囲にわたる断層に関する情報を取得することが好ましい。そこで、昨今は上述したSS−OCTの使用が検討されている。なお、1回の走査で、広範囲にわたる断層に関する情報を取得する場合、広画角で走査する必要があるが、やはり画角と横分解能の関係は相反し、横分解能の低下を招いてしまう。したがって、本発明はSS−OCT装置に対して横分解能の低下を抑制する際にも効果的である。
(その他の実施形態)
更に、本実施形態において被検査物として被検眼を例示した。しかし、本実施形態に係るOCTによる測定の対象となるものの種類は特に限定されない。例えば、眼球、皮膚、血管、歯などの生体が挙げられる。また、該OCTは、眼底の断層像を得る眼科撮影に限定されず、皮膚撮影、血管造影、歯科撮影、などに用いることができる。
即ち、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変形、変更して実施することができる。例えば、上記の実施形態では、被検査物が眼の場合について述べているが、眼以外の皮膚や臓器等の被検査物に本発明を適用することも可能である。この場合、本発明は眼科装置以外の、例えば内視鏡等の医療機器としての態様を有する。したがって、本発明は眼科装置に例示されるOCTとして把握され、被検眼は被検査物の一態様として把握されることが望ましい。
101:光源部
102:ファイバカプラ
104:干渉部
107:被検眼
108:走査部(ガルバノミラー)
120:差動検出器
130:情報取得部
141:コリメータレンズ
142−1:対物レンズ
142−2:リレーレンズ
227:走査部中心

Claims (11)

  1. 第1の波長帯域よりも長い第2の波長帯域の光を波長掃引しながら発生させる光源部と、
    前記発生された光を測定光と参照光とに分割する分割部と、
    被検査物において前記測定光を走査する走査部と、
    前記被検査物における前記第1の波長帯域の光の横分解能を所定の横分解能とする第1の焦点距離よりも長く且つ前記被検査物における前記第2の波長帯域の光の横分解能を前記所定の横分解能以上とするような第2の焦点距離を持ち、前記測定光を前記走査部に導く光学部材と、
    前記走査部を介して前記測定光を照射した前記被検査物からの戻り光と前記参照光とを干渉して得た干渉光を検出する検出部と、
    前記検出された干渉光に基づいて前記被検査物の断層画像を取得する画像取得手段と、
    を有することを特徴とする光干渉断層撮影装置。
  2. 前記第2の波長帯域の中心波長は、1μm帯であり、
    前記所定の横分解能は、20μmであり、
    前記第2の焦点距離は、16.7mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光干渉断層撮影装置。
  3. 前記第1の波長帯域の中心波長は、0.8μm帯であり、
    前記所定の横分解能は、20μmであり、
    前記第1の焦点距離は、13mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の光干渉断層撮影装置。
  4. 前記第2の焦点距離は、13mmよりも長く20mmよりも短い距離であることを特徴とする請求項3に記載の光干渉断層撮影装置。
  5. 前記測定光が前記分割部から光ファイバを介して前記光学部材に向けて導かれ、且つ点光源として機能する前記光ファイバの端部より射出されるように構成され、
    前記光学部材は、前記点光源から前記第2の焦点距離となる位置に配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光干渉断層撮影装置。
  6. 前記光学部材の焦点距離Fcは、
    前記光学部材における物体内焦点距離をFe、前記光学部材の物体内屈折率をNe、前記走査部にて前記測定光を反射するガルバノミラーの振り角をθg、前記分割部により分割された前記測定光を射出する前記点光源の開口数をNA、前記光の波長をλs、前記断層画像を取得する撮影画角をθe、前記被検査物に導かれる前記測定光のスポット径をa、とすれば、
    Fc=2・Fe・λs・θe/(π・Ne・a・NA・θg)
    の関係にあることを特徴とする請求項5に記載の光干渉断層撮影装置。
  7. 前記走査部における前記測定光の走査角度、及び前記走査部よりも前記被検査物の側に配置されて前記測定光を前記被検査物に導く対物部の焦点距離は、前記被検査物における前記測定光の走査範囲に応じて決定されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光干渉断層撮影装置。
  8. 前記被検査物は眼であって、前記測定光が前記眼において走査される際の支点と前記走査部の走査中心とは、前記走査部と前記支点との間に配置される光学部材により光学的に共役となる位置関係となることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の光干渉断層撮影装置。
  9. 中心波長が1μm帯の光を波長掃引しながら発生させる光源部と、
    前記発生された光を測定光と参照光とに分割する分割部と、
    被検査物において前記測定光を走査する走査部と、
    前記被検査物における横分解能を20μm以下の値とするような焦点距離を持ち、前記測定光を前記走査部に導く光学部材と、
    前記走査部を介して前記測定光を照射した前記被検査物からの戻り光と前記参照光とを干渉して得た干渉光を検出する検出部と、
    前記検出された干渉光に基づいて前記被検査物の断層画像を取得する画像取得手段と、
    を有することを特徴とする光干渉断層撮影装置。
  10. 中心波長が1μm帯の光を波長掃引しながら発生させる光源部と、
    前記発生された光を測定光と参照光とに分割する分割部と、
    被検査物において前記測定光を走査する走査部と、
    16.7mm以上の焦点距離を持ち、前記測定光を前記走査部に導く光学部材と、
    前記走査部を介して前記測定光を照射した前記被検査物からの戻り光と前記参照光とを干渉して得た干渉光を検出する検出部と、
    前記検出された干渉光に基づいて前記被検査物の断層画像を取得する画像取得手段と、
    を有することを特徴とする光干渉断層撮影装置。
  11. 0.8μm帯よりも長い波長帯域の光を波長掃引しながら発生させる光源部と、
    前記発生された光を測定光と参照光とに分割する分割部と、
    被検査物において前記測定光を走査する走査部と、
    13mmよりも長く且つ前記被検査物における前記波長帯域の光の横分解能を20μm以下の値とするような焦点距離を持ち、前記測定光を前記走査部に導く光学部材と、
    前記走査部を介して前記測定光を照射した前記被検査物からの戻り光と前記参照光とを干渉して得た干渉光を検出する検出部と、
    前記検出された干渉光に基づいて前記被検査物の断層画像を取得する画像取得手段と、
    を有することを特徴とする光干渉断層撮影装置。
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