JP2017041683A - コンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置 - Google Patents

コンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置 Download PDF

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Abstract

【課題】カートリッジから音声信号を引き出す不平衡線路を用いて信号出力側からカートリッジ側に電源を供給することができる、コンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置を得る。
【解決手段】カンチレバー32、エレクトレット層を有しカンチレバー32に対向してコンデンサを構成する電極、コンデンサの静電容量変化によって生成される電気信号のインピーダンスを変換するインピーダンス変換器、を有するコンデンサ型ピックアップカートリッジ1と、インピーダンス変換されてカートリッジ1から出力される電気信号を静電シールドされたトーンアーム内を通して引き出す2本一組の不平衡信号線路4,5と、不平衡信号線路4,5の信号線を経てインピーダンス変換器に供給する電源と、を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、コンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置に関するものである。
レコードに記録されている音声の再生装置として、レコードプレーヤが用いられる。レコードプレーヤは、トーンアームと、トーンアームの先端に装着されているピックアップカートリッジ(以下、単に「カートリッジ」という)を有する。カートリッジは、先端部に針を有するカンチレバーを有している。ターンテーブルに載せられて回転しているレコードの音溝を上記針がトレースすることによってカンチレバーが機械的に振動する。カートリッジは、上記振動を電気信号に変換して出力する一種の変換器である。
多くのカートリッジは、コイルと磁石を用いた電磁型のカートリッジであり、速度比例型の変換器である。電磁型のカートリッジは、電源が不要であるという利点を有している反面、出力レベルが低いという難点がある。そのため、高い増幅率を有する前置増幅器を用いる必要がある。
レコードは、RIAA録音特性を用いて音声信号が記録されている。したがって、レコードに記録されている音声信号の再生信号を、記録される前の平坦な特性に戻す必要がある。RIAA録音特性を元の平坦な特性に戻すためにイコライザが用いられ、イコライザにより20Hzで+20dB補正され、20kHzで−20dB補正される。すなわち、40dBにわたる広い幅の補正が必要である。そのため、前置増幅器にイコライザ機能を付加する場合は、上記の補正を可能にするために前置増幅器の電圧増幅率を高くする必要がある。
コンデンサ型カートリッジは高い出力レベルを得ることができ、イコライザによる補正量が少なくてもよいことから、高い電圧増幅率の前置増幅器を用いる必要はない。しかし、コンデンサ型カートリッジは、コンデンサ部分のインピーダンスが高いため、インピーダンスを低くするためのインピーダンス変換器を必要とし、インピーダンス変換器を動作させるための電源を必要とする。
一般に、レコードプレーヤからの出力信号の配線は、再生信号を出力する不平衡線路と、トーンアームの静電シールドするための線路で構成される。上記不平衡線路の一方はこれを接地している。ステレオ方式のレコードプレーヤの場合、左右のチャンネルごとに独立した不平衡線路があり、トーンアームからは、左右のチャンネルごとに独立したシールド線で引き出される。
シールド線は、絶縁被覆されている芯線とその外周の上記絶縁被覆を介して上記芯線を覆うシースを有してなる。シースは静電シールドを目的としたもので、電流を流すことを想定したものではない。コンデンサ型カートリッジのように電源を必要とするカートリッジでは、左右のチャンネルの不平衡線路の一方例えば接地側を電源回路に用いている。
図4は、従来知られているステレオコンデンサ型カートリッジを用いた音声再生装置の電源供給回路の例を示す。図4において、符号51,52は、それぞれコンデンサ型カートリッジの信号変換部を示している。信号変換部51,52は、カンチレバーと、このカンチレバーに対向する固定の電極を有してなる。上記電極にはエレクトレット層があり、カンチレバーと上記電極とでコンデンサを構成している。カンチレバーと上記電極はコンデンサ型ピックアップカートリッジの主要部をなす。
上記カンチレバーの自由端部にはレコード盤の音溝をトレースする針がある。信号変換部51は左チャンネル側の信号変換部、信号変換部52は右チャンネル側の信号変換部である。上記針がレコード盤の音溝をトレースすることによってカンチレバーが振動すると、信号変換部51,52の静電容量が変化し、静電容量の変化を電圧の変化として出力する。これらの出力信号のインピーダンスは極めて低いため、各出力信号はインピーダンス変換器53,54によってそれぞれ低インピーダンスに変換されて出力される。
上記カートリッジからの出力信号は、左右チャンネルごとに不平衡線路によって引き出され、ヘッドシェルを介してトーンアーム内の配線に接続されている。トーンアームからはシールド線61,62が引き出されている。シールド線61,62の芯線63,64を不平衡線路の一方とし、芯線63,64の外側を覆っているシース65,66を不平衡線路の他方としている。シールド線61,62にはそれぞれRCAコネクタピンなどがつながれている。RCAコネクタピンなどを経て芯線63,64はアンプなどの信号入力端子に接続され、シールド線61,62はアンプのシャーシなどに接地されている。
インピーダンス変換器53,54はFETを主体としてなり、FETを動作させるための電源を必要とする。図4における符号60はFETを動作させるための電源を示す。電源60の正極は、一方のシールド線62のシース66を経てインピーダンス変換器53、54の電源端子、例えば上記FETのドレインに接続されている。インピーダンス変換器53、54の接地端子、例えば上記FETのソースは、他方のシールド線61のシース65を経て電源60の負極に接続されている。上記シース65および電源60の負極は接地されている。
以上のとおり、シールド線61,62でなる不平衡線路の芯線63,64を左右の信号出力線とし、接地側であるシース65,66をインピーダンス変換器53、54の電源回路としている。このようなコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置におけるFETへの電源供給回路と実質同一の回路が非特許文献1に記載されている。
しかし、上記従来のステレオコンデンサ型カートリッジを用いた音声再生装置によれば、カートリッジからの信号を出力する不平衡線路の接地側に電源60の電圧が加わることによる不具合が生じる。例えば、シールド線62側のシース66は接地すべきでないにもかかわらず、シース66を誤って接地し、あるいは他の機器のシャーシなどがシース66に接触すると、電源60がショートされる。また、コンデンサ型カートリッジに代えて電磁型のカートリッジが装着されると、カートリッジのコイルで電源60がショートされる不具合がある。
コンデンサ型カートリッジに関する先行技術文献として、特許文献1、特許文献2、特許文献3がある。特許文献1には、正極電源およびインピーダンス変換器の駆動電源の供給回路が記載されている。特許文献2には、エレクトレットを用いたコンデンサ型カートリッジの構造に関して記載されている。特許文献3には、コンデンサ型電気音響変換ユニットの静電容量と共振コイルによって共振回路を構成し、共振回路の出力信号から静電容量の変化に対応する信号に復調する復調回路を有する電気音響変換器が記載されている。
2005年11月1日初版発行「フォノ・カートリッジ大全」海老沢徹著 株式会社アイエー出版発売 第399−402ページ 実公昭52−15202号公報 特開昭57−26999号公報 特許第4954801号公報
本発明は、カートリッジから音声信号を引き出す不平衡線路を用いて信号出力側からカートリッジ側に電源を供給することができる、コンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置を提供することを目的とする。本発明はまた、前記電源を、シールド線のシースを通して供給する必要のない構成として、前記シースを接地しても前記電源がショートする不具合を無くすことを目的とする。
本発明は、
一端部に針を有しているカンチレバー、エレクトレット層を有していて前記カンチレバーに対向してコンデンサを構成する電極、前記カンチレバーと前記電極で構成されるコンデンサの静電容量変化によって生成される電気信号のインピーダンスを変換するインピーダンス変換器、を有するコンデンサ型ピックアップカートリッジと、
前記インピーダンス変換器でインピーダンス変換されて前記コンデンサ型ピックアップカートリッジから出力される電気信号を静電シールドされたトーンアーム内を通して引き出す2本一組の不平衡信号線路と、
前記不平衡信号線路の信号線を経て前記インピーダンス変換器に供給する電源と、を有する、
ことを最も主要な特徴とする。
本発明係るコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置によれば、不平衡線路を用いてカートリッジから音声信号を引き出すとともに、不平衡線路を用いて信号出力側からカートリッジ側に電源を供給することができる。
本発明に係るコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置の実施例を示す回路図である。 前記実施例におけるカートリッジの信号変換部を模式的に示す側面図である。 前記カートリッジの信号変換部を模式的に示す正面図である。 従来のコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置の例を示す回路図である。
以下、本発明に係るコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置の実施例について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本発明に係るコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置の実施例は、カートリッジ1と、トーンアーム2と、電源部3を有してなる。本実施例はステレオレコードを再生可能な再生装置であって、左チャンネルの再生信号と右チャンネルの再生信号を出力可能な構成になっている。
カートリッジ1は、左チャンネルの信号変換部11およびインピーダンスを変換するFETを含むインピーダンス変換器21と、右チャンネルの信号変換部12およびインピーダンスを変換するFET22を含むインピーダンス変換器とを有する。信号変換部11、12を図2、図3に示す。ただし、図2では信号変換部12が信号変換部11に重なるため、信号変換部11のみが描かれている。
図2、図3に示すように、信号変換部11、12は、信号変換部11、12に共通の1つのカンチレバー32と、カンチレバー32に対向する2つの電極35、37を有してなる。カンチレバー32はパイプ状の部材からなる。カンチレバー32の一端部である先端部は平坦になるように潰されていて、この先端部に、レコード盤の音溝をトレースする針33が固着されている。カンチレバー32の他端部すなわち後端部は弾性を有する支持体34で支持されている。このように、カンチレバー32は片持ち状に支持され、針33がレコード盤の音溝をトレースすることにより、音溝に従ってカンチレバー32が振動する。
電極35、37は、カンチレバー32の長さ方向に沿い、カンチレバー32との間に適宜の間隔をおいて、カンチレバー32とほぼ平行に固定されている。電極35、37は細長い板状の部材で、カンチレバー32との対向面にそれぞれエレクトレット層36,38を有していて、カンチレバー32と電極35、37とでそれぞれコンデンサを構成している。電極35、37のエレクトレット層36,38は、電極35、37の互いに直交する面に形成されている。
ステレオレコード盤の音溝を針33がトレースすることにより、カンチレバー32は横方向および縦方向の振動成分をもって振動する。カンチレバー32の振動により、カンチレバー32と電極35とで構成するコンデンサの静電容量およびカンチレバー32と電極37とで構成するコンデンサの静電容量が個別に変化する。信号変換部11、12は、静電容量変化を電圧の変化に変換して電気信号を生成し、カンチレバー32とそれぞれの電極35,37から左右チャンネルの信号を出力する。
信号変換部11、12からの出力信号はインピーダンスが極めて高いため、それぞれインピーダンス変換器21,22によって低インピーダンスに変換され、カートリッジ1から出力される。インピーダンス変換器21,22の各FETのゲートにはそれぞれ電極35、37が接続されている。各FETのドレインはそれぞれ信号線41,45に接続されている。各FETのソースは、信号変換部11、12のカンチレバー32とともにそれぞれ信号線43,47に接続されている。
信号線41と信号線43からなる2本一組の信号線は、カートリッジ1から出力される左チャンネルの電気信号を引き出す不平衡信号線路4を構成している。信号線45と信号線47からなる2本一組の信号線は、カートリッジ1から出力される右チャンネルの電気信号を引き出す不平衡信号線路5を構成している。
一般に、カートリッジ1はヘッドシェルによって保持され、ヘッドシェルは所定のコネクタによってトーンアーム2の先端に結合されている。トーンアーム2は細長いパイプ状の部材で、基部がピボット構造などによって支持されて上下左右に自由に揺動することができる。前記コネクタを介して引き出された不平衡信号線路4,5は、トーンアーム2の内部に引き通されている。トーンアーム2は前記コネクタを介してカートリッジ1のハウジングと導通し、不平衡信号線路4,5を電磁シールドする機能をもっている。
トーンアーム2に引き通された不平衡信号線路4,5は電源部3に接続されている。電源部3は前記インピーダンス変換器21,22の各FETを駆動する電源10を有している。電源10は直流電源でインピーダンス変換器21,22に対して共通である。電源10の負極は信号線43、47を通じて信号変換部11、12のカンチレバー32につながっている。電源10の正極は、抵抗15を経て信号線41に、また抵抗16を経て信号線45につながっている。換言すると、電源10は不平衡信号線路4,5の信号線41,45を経て各FETのドレインにそれぞれ供給されるように接続されている。トーンアーム2はシース(シールドライン)48により静電シールドされている。また、トーンアーム2は音声再生装置内の電源部3においても接地されている。
信号線41はコンデンサ17を経て出力端子42につながっている。信号線45はコンデンサ18を経て出力端子46につながっている。コンデンサ17,18は、それぞれ信号線41、45と出力端子42、46との間にあって、電源10から供給される直流が出力端子42、46に流入するのを遮断する一方、カートリッジ1で生成される音声信号を通過させる。出力端子42,44は一組となって左チャンネルの信号を出力し、出力端子46,44は一組となって右チャンネルの信号を出力する。
前記一組の出力端子42,44と別の一組の出力端子46,44は、それぞれ例えばRCAピンコネクタが対応するジャックに接続されている。前記各ジャックと各RCAピンコネクタはシールド線を介してプリアンプ6などの外部機器に接続される。音声再生装置からは、トーンアーム2につながる線路が接地線として外部に引き出され、コネクタ24に接続されている。トーンアーム2のシール48はコネクタ24を経てプリアンプ6などの外部機器のシャーシなどに接地されるようになっている。
以上説明した実施例に係るコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置によれば、カートリッジ1から音声信号を引き出す不平衡線路4,5を用いて信号出力側からカートリッジ1側に電源を供給することができる。
本実施例は、インピーダンス変換器を構成するFETに供給する電源を、図4に示す従来例のようにシールド線のシースを通して供給するものではないから、シースを誤って接地するなどして電源をショートさせる恐れはない。
本実施例によれば、コンデンサ型カートリッジに代えて電磁型のカートリッジを装着しても、インピーダンス変換器に供給する電源がカートリッジのコイルによってショートされる不具合を解消することができる。
1 カートリッジ
2 トーンアーム
3 電源部
4 不平衡信号線路
5 不平衡信号線路
10 直流電源
11 信号変換部
12 信号変換部
15 抵抗
16 抵抗
17 コンデンサ
18 コンデンサ
21 インピーダンス変換器
22 インピーダンス変換器
32 カンチレバー
33 針
41 信号線
45 信号線
48 シース

Claims (7)

  1. 一端部に針を有しているカンチレバー、エレクトレット層を有していて前記カンチレバーに対向してコンデンサを構成する電極、前記カンチレバーと前記電極で構成されるコンデンサの静電容量変化によって生成される電気信号のインピーダンスを変換するインピーダンス変換器、を有するコンデンサ型ピックアップカートリッジと、
    前記インピーダンス変換器でインピーダンス変換されて前記コンデンサ型ピックアップカートリッジから出力される電気信号を静電シールドされたトーンアーム内を通して引き出す2本一組の不平衡信号線路と、
    前記不平衡信号線路の信号線を経て前記インピーダンス変換器に供給する電源と、を有するコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置。
  2. 前記カンチレバーに対向する前記電極は2つあり、それぞれの前記カンチレバーの前記エレクトレット層は互いに直交する面内にあり、前記カンチレバーと前記2つの電極から左右チャンネルの信号を出力する請求項1記載のコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置。
  3. 前記インピーダンス変換器と前記不平衡信号線路は、それぞれ左右チャンネルの信号用として2つおよび2組備え、前記電源は前記2つのインピーダンス変換器に対して共通である請求項2記載のコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置。
  4. 前記インピーダンス変換器はFETを備え、前記FETのゲートが前記電極が接続され、前記FETのソースが接地されている、請求項1乃至3のいずれかに記載のコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置。
  5. 前記電源と前記不平衡信号線路の信号線との間には抵抗が接続され、前記抵抗を経てFETのドレインに電源が接続されている請求項4記載のコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置。
  6. 前記不平衡信号線路の信号線とこの信号線の出力端子との間には直流を遮断するコンデンサが接続されている請求項1乃至5のいずれかに記載のコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置。
  7. 前記不平衡信号線路は、RCAピンコネクタを介して外部に出力される請求項1乃至6記載のいずれかに記載のコンデンサ型ピックアップカートリッジを用いた音声再生装置。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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GB2562709A (en) * 2017-04-04 2018-11-28 Arthur Brice Richard Operation of an electrodynamic gramophone pickup as a displacement-sensitive transducer by detecting short-circuit current
JP2019125407A (ja) * 2018-01-18 2019-07-25 正之 宮司 ピックアップカートリッジ

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