JP2017041124A - シミュレーション装置およびシミュレーション方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラントの流路網の計算について、プラント構成が一部変更された場合においても変更の手間を最小限とする。
【解決手段】シミュレーション装置100は、入力部31と、流路系構成記憶部21と、流量バランスベクトル設定部11と、流量バランスベクトル記憶部22と、変分比演算部12と、変分比記憶部23と、収束演算により複数の圧力および複数の流量の値を算出するとともに収束判定を行う収束演算部13と、結果を記憶する収束状態記憶部24と、演算結果を出力する出力部32とを有する。流量バランスベクトル設定部11は、流量バランス式にもとづき流量バランスベクトルを設定する。変分比演算部12は、複数の圧力の所定の微小変動に対する流量の変動分のベクトルを算出する。
【選択図】図1
【解決手段】シミュレーション装置100は、入力部31と、流路系構成記憶部21と、流量バランスベクトル設定部11と、流量バランスベクトル記憶部22と、変分比演算部12と、変分比記憶部23と、収束演算により複数の圧力および複数の流量の値を算出するとともに収束判定を行う収束演算部13と、結果を記憶する収束状態記憶部24と、演算結果を出力する出力部32とを有する。流量バランスベクトル設定部11は、流量バランス式にもとづき流量バランスベクトルを設定する。変分比演算部12は、複数の圧力の所定の微小変動に対する流量の変動分のベクトルを算出する。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、プラント等の流路系のシミュレーション装置およびシミュレーション方法に関する。
発電プラントや工場設備など(以下、プラントという。)の運転操作の訓練、および発生した事象の解析のためには、プラント内の流路網を流れるガスや流体などの流量、圧力およびエンタルピーなどを求める必要がある。その際、そのシミュレーションモデルは、プラント内の系統や工程ごとに作成される。プラントの構成上、系統間の連結点は少なく、また、事象を限定した場合は、独立に作られる場合が多い。
一方、事故事象に関しては、たとえば、新たに破断箇所を考慮する必要性が出るなどプラントモデルの修正が必要となる場合が多い。流路網の計算では、一般的には圧力と流量に関する非線形の方程式の集まりをニュートン法で解く場合が多い。この際、圧力点での流量に関する圧力の微係数行列(ヤコビアン)の逆行列を求めるなど、大きなサイズの行列を扱う必要がある。また、連結点が少ない場合は、この行列は疎なものになり、ゼロの要素が多いが、大きなメモリーサイズを必要とすることになる。その場合、モデルの変更に伴う処理系の変更は複雑なものになり、行列が疎である割に多大な手間を要するようになる。
流路網の計算としては、特許文献1には換気系の計算においてボリュームノード間の流量を、等価流路網を設定して計算する方法が示されている。換気系統において高速化する方法が示されている。
非特許文献1には管路系のノードジャンクション法でのシミュレーション例が示されている。流路網(管路網)の計算には反復法あるいはニュートン法が使われていることが示されている。
ニュートン法で逆行列を陽に計算しない方法として、非特許文献2にはJFNK法(Jacoian Free Newton−Krylov Method)が提案、応用されている。JFNK法は、クリロフ法に基づく逆行列計算の際にはヤコビアンを直接計算しなくて済むことから、メモリーを多く使わない方法として提案されたものである。しかしながら、これらはモデルの変更に伴う処理系の変更を容易にすることを対象としたものではなく、また、流路網を対象にしたものでもない。
富士総合研究所編「管路内の流れのシミュレーションプログラム」1995年9月
日本機械学会論文(B編)75巻759号「完全保存形差分スキームとJFNK法による非圧縮性流れの非分離解法」
本発明の実施形態はこのような事情によりなされたもので、プラントの流路網の計算について、プラント構成が一部変更された場合においても、シミュレーションにおける変更の手間を最小限とすることを目的とする。
上述の目的を達成するため、本実施形態は、解析対象とするプラントの流路系についての複数の評価点に対応する複数の圧力および複数の流量の値を算出するシミュレーション装置であって、前記流路系の構成、各部のパラメータおよび境界条件に関するデータを入力として外部から受け入れる入力部と、前記入力部が受け入れた前記流路系の構成に関するデータに基づいて、前記流路系の構成を記憶する流路系構成記憶部と、前記流路系構成記憶部に記憶された前記流路系の構成に基づいて前記複数の圧力の関数として表される前記複数の流量について、当該複数の流量間のバランス式にもとづいて流量バランスベクトルを設定する流量バランスベクトル設定部と、前記流量バランスベクトル設定部で設定された流量バランスベクトルを記憶する流量バランスベクトル記憶部と、前記流量バランスベクトル記憶部に記憶された前記流量バランスベクトルを用いて、変分比を演算する変分比演算部と、前記変分比演算部で算出された変分比を記憶する変分比記憶部と、前記変分比記憶部に記憶された変分比を用いて、前記複数の圧力の圧力推定値を設定して評価値を算出し、前記評価値に基づいて前記圧力推定値を順次更新する収束演算により、前記複数の圧力の値を算出し、当該複数の圧力から前記複数の流量の値を算出するとともに収束判定を行う収束演算部と、前記収束演算部の各サイクルでの演算結果を更新しながら記憶する収束状態記憶部と、前記収束演算部が収束と判定した場合に、前記収束状態記憶部に記憶する演算結果を出力する出力部と、を備え、前記流量バランスベクトル設定部における設定はバランス式F(p)=0…(1)を設定することにより行い、前記変分比演算部における前記変分比の演算は、A(x)p=[F(x+σp)−F(x)]/σ…(2)に表す、前記複数の圧力の所定の微小変動に対する前記流量の変動分のベクトルを算出することにより行うことを特徴とする。ただし、式(1)、(2)で、pは、前記複数の圧力を要素とする圧力ベクトル、F(p)は、前記圧力ベクトルの各要素の関数として表される複数の流量バランス式を要素とする流量バランスベクトル、0は、ゼロベクトルを表し、また、式(2)で、A(x)は、ベクトルF(p)の各要素のベクトルpの各要素による偏微分を要素とするヤコビアン行列、σは所定の微小量を表す。
また、本実施形態は、解析対象とするプラントの流路系についての各評価点での複数の圧力および複数の流量を算出するシミュレーション方法であって、入力部が、前記流路系の構成、各部のパラメータおよび境界条件に関するデータを入力として外部から受け入れる入力ステップと、流路系構成記憶部が、前記入力部が受け入れた前記流路系の構成に関するデータに基づいて、前記流路系の構成を記憶する流路系構成記憶ステップと、流量バランスベクトル設定部が、前記流路系構成記憶部に記憶された前記流路系の構成に基づいて前記複数の圧力の関数として表される前記複数の流量について、当該複数の流量間のバランス式にもとづいて流量バランスベクトルを設定する流量バランスベクトル設定ステップと、流量バランスベクトル記憶部が、前記流量バランスベクトル設定ステップで設定された流量バランスベクトルを記憶する流量バランスベクトル記憶ステップと、変分比演算部が、前記流量バランスベクトル記憶部に記憶された前記流量バランスベクトルを用いて、変分比を演算する変分比演算ステップと、変分比記憶部が、前記変分比演算ステップで算出された変分比を記憶する変分比記憶ステップと、収束演算部が、前記変分比記憶部に記憶された変分比を用いて、前記複数の圧力の圧力推定値を設定して評価値を算出し、前記評価値に基づいて前記圧力推定値を順次更新する収束演算により、前記複数の圧力の値を算出し、当該複数の圧力から前記複数の流量の値を算出するとともに収束判定を行う収束演算ステップと、前記収束演算ステップに並行して、収束状態記憶部が、前記収束演算部の各サイクルでの演算結果を更新しながら記憶する収束状態記憶ステップと、前記収束演算部が収束と判定した場合に、出力部が、前記収束状態記憶部に記憶する演算結果を出力する出力ステップと、を有することを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、プラントの流路網の計算について、プラント構成が一部変更された場合においても、シミュレーションにおける変更の手間を最小限とすることが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るシミュレーション装置およびシミュレーション方法について説明する。
図1は、実施形態に係るシミュレーション装置の構成を示すブロック図である。シミュレーション装置100は、解析対象とするプラントの流路系についての複数の評価点に対応する複数の圧力および複数の流量の値を算出する。シミュレーション装置100は、演算部10、記憶部20、入力部31および出力部32を有する。
演算部10は、流量バランスベクトル設定部11、変分比演算部12、収束演算部13、および時間進展管理部14を有する。また、記憶部20は、流路系構成記憶部21、流量バランスベクトル記憶部22、変分比記憶部23、および収束状態記憶部24を有する。
入力部31は、流路系の構成、各部のパラメータおよび境界条件に関するデータを入力として外部から受け入れる。流路系構成記憶部21は、入力部31が受け入れた流路系の構成、各部のパラメータおよび境界条件に関するデータを記憶する。
流量バランスベクトル設定部11は、流路系構成記憶部21に記憶された流路系の構成に基づいて複数の圧力の関数として表される複数の流量について、複数の流量間のバランス式にもとづいて流量バランスベクトルを設定する。
図2は、プラントの流路系の構成例を示す接続関係図である。図2で示されているのは、第1の流路と第2の流路の独立した2つの流路である。それぞれの流路は、両端が端点となっており、境界条件として与えられる。また、端点間には、バルブが配されており、それぞれの弁の前後が圧力ノードとなる。
すなわち、第1の流路は、端点N0で境界条件は圧力p0、ノード点N1で圧力p1、ノード点N2で圧力p2、ノード点N3で圧力p3、端点N4で境界条件は圧力p4のように各ノード点での圧力が設定されている。このとき、端点N0とノード点N1間のバルブの流量はw01、ノード点N1とノード点N2間のバルブの流量はw12、ノード点N2とノード点N3間のバルブの流量はw23、ノード点N3と端点N4間のバルブの流量はw34である。
同様に、第2の流路は、端点N5で境界条件は圧力p5、ノード点N6で圧力p6、ノード点N7で圧力p7、端点N8で境界条件は圧力p8のように各ノード点での圧力が設定されている。このとき、端点N5とノード点N6間のバルブの流量はw56、ノード点N6とノード点N7間のバルブの流量はw67、ノード点N7と端点N8間のバルブの流量はw78である。
図3は、実施形態に係るシミュレーション装置におけるプラントの流路系の構成例に関する流量バランステーブルである。流路系構成記憶部21は、このテーブル形式で流路構成を記憶する。流量バランステーブルは、図3に示すように、各ノード点について、流入量、流出量をそれぞれ割り振っている。また、ノード点が端点の場合は、端点である旨が入力されている。また、変更の経緯を残すために経緯欄が設けられている。
たとえば、ノードN0は、端点であり、流入はなし、流出はw01である。また、ノード点N1は、流入がw01、流出がw12である。
図4は、プラントの流路系の構成の例の結合後の構成を示す系統図である。すなわち、図2に示した構成との違いは、第2の流路の端点N5が端点でなくなくなり、第1の流路のノード点N1に結合された場合を示している。この結果、第1の流路と第2の流路は互いに独立ではなく、互いに結合された流路となっている。
図5は、結合後の構成に関する流量バランステーブルである。図5に示すように、端点N5の欄が削除される。また、端点N5から中間のノード点に変わったため、ノード点N1からノード点N6への流れw16が生ずる。このため、ノード点N1の流出欄、ノード点N6の流入欄にそれぞれw16が追加される。また、図2に示す構成から図4に示す構成に変わった経緯を、経緯欄に収納している。
流量バランスベクトル設定部11は、それぞれの流路に関する流量バランスベクトルを設定する。流量バランスベクトルは、流量バランステーブルを用いて、各ノード点での流量のバランスに基づいて設定される。
たとえば、図2で示した構成における第1の流路に関するノード点N1、N2、およびN3のそれぞれにおいて流入流量から流出流量を減じるとゼロになる関係を次のように数式化する。
ノード点N1: w01−w12=0 …(1)
ノード点N2: w12−w23=0 …(2)
ノード点N3: w23−w34=0 …(3)
ノード点N1: w01−w12=0 …(1)
ノード点N2: w12−w23=0 …(2)
ノード点N3: w23−w34=0 …(3)
また、第2の流路に関するノード点N6、およびN7における流入流量から流出流量を減じるとゼロになる関係を次のように数式化する。
ノード点N6: w56−w67=0 …(4)
ノード点N7: w67−w78=0 …(5)
ノード点N6: w56−w67=0 …(4)
ノード点N7: w67−w78=0 …(5)
また、互いに隣接するノード点Niとノード点Nj間の流量は、次の式(6)で与えられる。
ここで、Cijは流量係数、Zijは弁開度(0〜1)である。
第1の流路の式(1)から式(3)を次の式(7)のように、ベクトルで表現する。
同様に、第2の流路の式(4)および式(5)を次の式(8)のように、ベクトルで表現する。
ただし、0と表示しているのは、同一要素数のゼロベクトルである。
また、図4に示す結合後の流路構成の場合は、次の式(9)のようなベクトル表示となる。
以上のように、流量バランスベクトル設定部11は、第1の流路について式(7)、第2の流路について式(8)の形に設定する。なお、流量バランスベクトルのそれぞれの要素は、式(6)に示すように、各ノード点の圧力の関数である。
流量バランスベクトル設定部11は、乗算部11aを有する。流量バランスベクトルの各要素を構成する各項の値のオーダーが異なる場合、後述する収束演算に支障をきたす可能性がある。このため、乗算部11aは、これらの値のオーダーの違いを緩和する演算が可能に構成されている。
具体的には、前述の式(9)に代えて、次の式(10)に示すように、各要素に調整係数を乗じたものとする。
ここで、調整係数f1ないしf5は、たとえば、それぞれ、次の式(11)ないし(15)のように流量係数の最大値の逆数とする。
流量バランスベクトル記憶部22は、流量バランスベクトル設定部11で設定された流量バランスベクトルを記憶する。
変分比演算部12は、流量バランスベクトル記憶部22に記憶された流量バランスベクトルを用いて、変分比を演算する。
一般的に、関数F(x)のヤコビアンA(x)は、次の式(16)により与えられる。
したがって、σが十分小さいとすれば、次の式(17)により近似できる。
ここで、式(17)の左辺のA(x)pを変分比Apと呼ぶこととする。変分比演算部12は、流量バランスベクトル記憶部22に記憶された流量バランスベクトルF(p)(ただし、pは、後述する残差ベクトル)を用いて、変分比Apを演算する。変分比Apは、ヤコビアン行列Aと残差ベクトルpとの積に対応するものであるが、実際は、式(17)の右辺に示す演算であり、ヤコビアン行列の演算は不要である。
なお、σの設定については、たとえば、次の式(18)で求める。ここで、hは、おおよその計算誤差の2乗根である。また、ベクトルxTはベクトルxの転置ベクトルである。
変分比記憶部23は、変分比演算部12で算出された変分比Apを記憶する。
収束演算部13は、入力部が受け入れて流路系構成記憶部21が記憶する各部のパラメータおよび境界条件に関するデータと、変分比記憶部23に記憶された変分比Apを用いて、各ノード点の圧力および各ノード点間の流量を算出する。具体的には、複数の圧力(圧力ベクトルP)の圧力推定値を設定して評価値を算出し、評価値に基づいて圧力推定値を順次更新する収束演算により、複数の圧力の値を算出し、その圧力から複数の流量の値を算出する。また収束演算部13は、収束判定を行う。
ここで、収束計算は、たとえば、共役勾配法のアルゴリズムを用いることができる。いま、解くべき変数ベクトルをxkとし、一回の反復計算での修正量をpk、ヤコビアンをA、反復計算での定数項をbとする。ここで、ヤコビアン行列Aは、ベクトルF(P)の各要素を圧力ベクトルPの各要素により偏微分したものを要素とする行列である。
すなわち、次の関係式(19)のようにおくと、式(20)を解くこととなる。
Axk=b …(20)
図6は、収束演算部における手順を示すフロー図である。繰り返し計算のアルゴリズムは、以下のようになる。
まず、最初は第1近似x0を適当に設定する(ステップS101)。このx0を用いて、p0=r0=b−Ax0により残差ベクトルp0を求める(ステップS102)。
次に、qk=Apkにより、qkを求める(ステップS103)。次に、次の式(21)により、αkを算出する(ステップS104)。
ここで、たとえば(pk,rk)は、pkとrkとの内積を表す。
このαkを用いて、次の式(22)によりxk+1を算出する(ステップS105)。
xk+1=xk+αkpk …(22)
xk+1=xk+αkpk …(22)
さらに、次の式(23)によりrk+1を算出する(ステップS106)。
rK+1
=b−Axk+1=rk−αkApk+1=rk−αkqk+1 …(23)
rK+1
=b−Axk+1=rk−αkApk+1=rk−αkqk+1 …(23)
また、次の式(24)によりβkを算出する(ステップS107)。
次に、rk+1および、このβkを用いて、次の式(25)により、新たな残差ベクトルpk+1を算出する(ステップS108)。
pk+1=rk+1+βkpk …(25)
pk+1=rk+1+βkpk …(25)
次に、ステップS108で算出された残差ベクトルpk+1を前回得られた残差ベクトルpkと比較して収束判定を行う(ステップS109)。収束判定は、たとえば、両者の差のベクトルの絶対値|pk+1−pk|の値を所定の値と比較することにより行う。収束していないと判定した場合(ステップS109 NO)は、ステップS103以下を繰り返す。収束したと判定した場合(ステップS109 YES)は、収束計算を終了する。
以上の収束計算においては、ヤコビアン行列Aが単独に使用されることがなく、残差ベクトルとの積であるApの形で使用される。具体的には、ステップS103、ステップS104、ステップS106、およびステップS107で用いられている。このApは、前述の変分比演算部12で述べた変分比Apである。したがって、これらのステップでは、変分比演算部12で変分比の演算が行われ、変分比記憶部23に記憶された変分比Apが、収束演算部13で使用される。
また、以上の収束演算の各ステップでの演算結果は、収束状態記憶部24に更新されながら記憶され、次の繰り返しステップで必要に応じて使用され、また、収束判定後は、バランスが成立した状態における各部の圧力、流量を与え、この結果を、出力部32が出力する。
時間進展管理部14は、時間的な応答を解析する際の時間ステップの管理を行う。端点条件が時間的に変化する場合に、流路系の各ノードの圧力等の状態量の時間的な変化を解析することになる。この場合、それぞれの時点において収束演算部13による収束演算を行い、その時点を進めていくことになる。
この際、流路系の慣性が小さく、端点条件の変化に対して準静的に応答するのであれば、各時点の端点条件に対して収束演算をそれぞれ行うことのみで応答が算出できる。この際の時間進展管理部14は、時間の進展とそれぞれの時点での端点条件の読み込ませの管理となる。
一方、流路系の慣性が無視できない場合は、過渡的な状態を記述した動特性方程式を解くことになる。この場合も、本実施形態により、演算可能である。すなわち、流路系の動特性方程式が式(26)で与えられている場合、これを、式(27)のように差分化して、流量を圧力の関数として式(28)のように表すことができる。すなわち、式(28)を前述の式(6)に代えて用いれば、すでに説明した手順と同様の手順で演算することができる。
ここで、Iは慣性を表す係数、Δtはタイムステップ、Wij n+1は時刻n+1での流量を表す。
図7は、実施形態に係るシミュレーション方法の手順を示すフロー図である。まず、時間tをゼロに設定する(ステップS01)。次に、入力部31が、流路系の構成、各部のパラメータおよび境界条件に関するデータを入力として外部から受け入れ、流路系構成記憶部21が流路構成その他を記憶する(ステップS02)。次に、時間進展管理部14が、時刻をΔtだけ進める(ステップS03)。次に、流量バランスベクトル設定部11が流量バランスベクトルを設定し、流量バランスベクトル記憶部22が記憶する(ステップS04)。
次に、変分比演算部12が変分比を演算し、収束演算部13が収束演算を行う(ステップS15)。収束演算部13による収束計算の詳細は、図6に示した通りである。また、収束演算部13は収束判定を行う(ステップS06)。収束していないと判定された場合(ステップS06 NO)は、ステップS04以下を繰り返す。収束と判定された場合(ステップS06 YES)は、時間進展管理部14が時間の終了判定を行う(ステップS07)。終了と判定されなかった場合(ステップS07 NO)は、ステップS03以下を繰り返す。終了と判定された場合(ステップS07 YES)は、終了する。
図8は、実施形態に係るシミュレーション方法の結合後の系統についての計算の手順を示すフロー図である。これは、図2で示したような独立した流路が2つある場合の手順である。この場合は、図7のステップS04ないしS06のループを、図8に示すように、S04、S15、およびS16のループの収束計算を行った後に、S24ないしS26のループの収束計算を行う。これを1つの収束演算で行うことは、ヤコビアン行列の次元が大きくなり、合理的ではない。
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の特徴を明確にするために、通常の方法と対比させながら説明する。
図9は、従来のシミュレーション方法の手順を示すフロー図である。本実施形態について示した図7との違いは、ステップS05のヤコビアン行列を構成する部分である。
ニュートンラプソン法では、図2に示す体系についての圧力ベクトルpの収束演算において、次のように、ヤコビアン行列の逆行列を求める必要がある。
ここで、前述の式(7)に示すように、FAは第1の流路の流量バランスベクトル、PAは第1の流路の圧力ベクトルであり、それぞれ3次元ベクトルである。したがって、ヤコビアン行列は、次の式(31)に示す3×3行列となる。
また、前述の式(8)に示すように、FBは第2流路の流量バランスベクトル、PBは第2流路の圧力ベクトルであり、それぞれ2次元ベクトルである。ヤコビアン行列は、次の式(32)に示す2×2行列となる。
ニュートンラプソン法では、前述のように、式(31)および式(32)の行列の逆行列を求める必要がある。
図4で示した第1の流路と第2の流路が結合している場合は、流路式のF(p)は、前述の式(9)により与えられる5次元ベクトルである。この各要素を、5次元の圧力ベクトルの要素である端点を除くノード点の圧力、p1、p2、p3、p6、およびp7でそれぞれ偏微分すると、5×5行列のヤコビアンが得られる。ゼロ以外の要素は次の通りである。ただし、左辺の指標ijは、i行j列の要素であることを表す。
以上のように、5×5行列と次元が大きくなり、収束計算の過程でその都度、5×5行列の逆行列を求める必要がある。一方、次元が大きくなる割には、5×5行列の25の要素のうち、約半数の12要素がゼロであり、比較的、疎な行列である。
以上が、図9に示す従来の従来のシミュレーション方法の手順におけるニュートンラプソン法を、図2および図4の流路構成についてそれぞれ適用した具体例である。流路を結合した図4の流路構成の場合は、大きな次元のヤコビアン行列となり、その逆行列を収束過程でその都度演算する必要がある。
一方、本実施形態においては、ヤコビアン行列そのものではなく、変分比Apと呼んだA(x)pを用いることにより、逆行列の演算を行う必要はなく、A(x)の次元の増大による影響が小さく、A(x)の次元の増大に容易に対応可能である。
本実施形態においては、流路系構成記憶部21が流量バランステーブルを有しており、流量構成の変更に対しても、流量バランステーブル内容が変更されることにより、流量バランスベクトル設定部11により流量バランスベクトルが変更され、流路構成の変更が反映された結果が収束演算部13での収束計算によって導かれる。
また、流量バランスベクトルの各要素のそれぞれに調整係数が乗じられることにより、流量バランスベクトルの各要素の値が同程度のオーダーとなる。この結果、数値演算上、桁落ち等の問題を生ずることなく、収束演算部13での収束計算が確実に行われる。
以上のように、本実施形態によれば、プラントの流路網の計算について、プラント構成が一部変更された場合においても、シミュレーションにおける変更の手間を最小限とすることが可能となる。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。また、実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10…演算部、11…流量バランスベクトル設定部、11a…乗算部、12…変分比演算部、13…収束演算部、14…時間進展管理部、20…記憶部、21…流路系構成記憶部、22…流量バランスベクトル記憶部、23…変分比記憶部、24…収束状態記憶部、31…入力部、32…出力部、100…シミュレーション装置
Claims (4)
- 解析対象とするプラントの流路系についての複数の評価点に対応する複数の圧力および複数の流量の値を算出するシミュレーション装置であって、
前記流路系の構成、各部のパラメータおよび境界条件に関するデータを入力として外部から受け入れる入力部と、
前記入力部が受け入れた前記流路系の構成に関するデータに基づいて、前記流路系の構成を記憶する流路系構成記憶部と、
前記流路系構成記憶部に記憶された前記流路系の構成に基づいて前記複数の圧力の関数として表される前記複数の流量について、当該複数の流量間のバランス式にもとづいて流量バランスベクトルを設定する流量バランスベクトル設定部と、
前記流量バランスベクトル設定部で設定された流量バランスベクトルを記憶する流量バランスベクトル記憶部と、
前記流量バランスベクトル記憶部に記憶された前記流量バランスベクトルを用いて、変分比を演算する変分比演算部と、
前記変分比演算部で算出された変分比を記憶する変分比記憶部と、
前記変分比記憶部に記憶された変分比を用いて、前記複数の圧力の圧力推定値を設定して評価値を算出し、前記評価値に基づいて前記圧力推定値を順次更新する収束演算により、前記複数の圧力の値を算出し、当該複数の圧力から前記複数の流量の値を算出するとともに収束判定を行う収束演算部と、
前記収束演算部の各サイクルでの演算結果を更新しながら記憶する収束状態記憶部と、
前記収束演算部が収束と判定した場合に、前記収束状態記憶部に記憶する演算結果を出力する出力部と、
を備え、
前記流量バランスベクトル設定部における設定は次のバランス式(1)を設定することにより行い、
F(p)=0 (1)
前記変分比演算部における前記変分比の演算は、次の式(2)に表す、前記複数の圧力の所定の微小変動に対する前記流量の変動分のベクトルを算出することにより行うことを特徴とするシミュレーション装置。
A(x)p=[F(x+σp)−F(x)]/σ …(2)
ただし、式(1)、(2)で、pは、前記複数の圧力を要素とする圧力ベクトル、F(p)は、前記圧力ベクトルの各要素の関数として表される複数の流量バランス式を要素とする流量バランスベクトル、0は、ゼロベクトルを表し、
また、式(2)で、A(x)は、ベクトルF(p)の各要素のベクトルpの各要素による偏微分を要素とするヤコビアン行列、σは所定の微小量を表す。 - 前記流路系構成記憶部は、前記流量バランスベクトルの設定のための、前記流路系のそれぞれのノード点について流入項目および流出項目を対応させた流量バランステーブルを有することを特徴とする請求項1に記載のシミュレーション装置。
- 前記流量バランスベクトル設定部は、前記流量バランスベクトルの各流量バランス要素の数値のオーダーのばらつきを抑制するために、それぞれの要素が有する流量係数に基づいて設定される係数を各流量バランス要素に乗ずる乗算部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシミュレーション装置。
- 解析対象とするプラントの流路系についての複数の評価点での複数の圧力および複数の流量を算出するシミュレーション方法であって、
入力部が、前記流路系の構成、各部のパラメータおよび境界条件に関するデータを入力として外部から受け入れる入力ステップと、
流路系構成記憶部が、前記入力部が受け入れた前記流路系の構成に関するデータに基づいて、前記流路系の構成を記憶する流路系構成記憶ステップと、
流量バランスベクトル設定部が、前記流路系構成記憶部に記憶された前記流路系の構成に基づいて前記複数の圧力の関数として表される前記複数の流量について、当該複数の流量間のバランス式にもとづいて流量バランスベクトルを設定する流量バランスベクトル設定ステップと、
流量バランスベクトル記憶部が、前記流量バランスベクトル設定ステップで設定された流量バランスベクトルを記憶する流量バランスベクトル記憶ステップと、
変分比演算部が、前記流量バランスベクトル記憶部に記憶された前記流量バランスベクトルを用いて、変分比を演算する変分比演算ステップと、
変分比記憶部が、前記変分比演算ステップで算出された変分比を記憶する変分比記憶ステップと、
収束演算部が、前記変分比記憶部に記憶された変分比を用いて、前記複数の圧力の圧力推定値を設定して評価値を算出し、前記評価値に基づいて前記圧力推定値を順次更新する収束演算により、前記複数の圧力の値を算出し、当該複数の圧力から前記複数の流量の値を算出するとともに収束判定を行う収束演算ステップと、
前記収束演算ステップに並行して、収束状態記憶部が、前記収束演算部の各サイクルでの演算結果を更新しながら記憶する収束状態記憶ステップと、
前記収束演算部が収束と判定した場合に、出力部が、前記収束状態記憶部に記憶する演算結果を出力する出力ステップと、
を有することを特徴とするシミュレーション方法。
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-
2015
- 2015-08-20 JP JP2015162644A patent/JP2017041124A/ja active Pending
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