JP2017041063A - データ解析方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のデータ解析方法は、サンプリングして得られる複数のデータを基に、主成分ベクトルを算出するデータ解析方法において、サンプリングして得られる前記データに対して、ハイパスフィルタ処理を行い、ハイパスフィルタ処理後の前記データを用いた漸化計算を行うことで、主成分ベクトルを算出する。
【選択図】図2
Description
上記したようなモータやポンプ、減速機などの動力伝達状況、言い換えれば、回転機器の動力伝達状況を把握することは、回転機器の稼働状況を把握したり、故障診断を行う上で重要となる。
主成分分析手法(principal component analysis:PCA)は、直交回転を用いて変数間に相関がある元の観測値を、相関の無い主成分とよばれる値に変換するための数学的な手法のことである。この技術に関する先行文献としては、特許文献1に示すものがある。
すなわち、長期の時間に亘って取得したデータの解析にあたり、主成分分析手法を用いようとした場合、長期の時間に亘って取得したデータは、膨大なデータ量となり、この膨大なデータ量を用いた行列計算などを行う必要があるため、主成分分析を行うために多くの時間がかかってしまう虞がある。
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、サンプリングして得られる大量のデータを少ない計算量で計算処理して主成分を算出するデータ解析方法を提供することを目的とする。
本発明のデータ解析方法は、サンプリングして得られる複数のデータを基に、主成分ベクトルを算出するデータ解析方法において、サンプリングして得られる前記データに対して、ハイパスフィルタ処理を行い、ハイパスフィルタ処理後の前記データを用いた漸化計算を行うことで、主成分ベクトルを算出することを特徴とする。
本発明のデータ解析方法は、主成分分析手法(principal component analysis:PCA)と呼ばれる技術を用いるものである。主成分分析手法(以降、単に主成分分析と呼ぶこともある)は、直交回転を用いて変数間に相関がある元の観測値を、相関の無い主成分とよばれる値に変換するための数学的な手法のことである。
図1に示すように、サンプリングなどにより取得したデータ(信号1,信号2)に対して閾値判定(データの異常判定)を行おうとした場合、正常とされるデータの範囲が、図1中の破線で囲まれる範囲に設定されるようになっていたとする。
図2に示すように、主成分分析手法を用いた従来のデータ解析方法は、サンプリングなどにより多数のデータを、長期の時間に亘って取得する。例えば、ある項目i(i=1〜M)に関するa(i,j)を長期間に亘って取得する。ここで、jは時刻であり、j=1〜Nである。データ取得の時刻を1秒に1回、1年間亘るとすれば、N=3600秒×24時間×365日=31,536,000となる。つまり、取得したa(i,j)は、膨大なデータ量となる。
以上の算出過程を経ることで、主成分ukを算出することができる。
なお、図2の例は、信号1,2の2次元のデータに関する主成分分析の例である。このデータは2次元のため、主成分ベクトルもu1、u2の2つになるが、データ項目数がMの場合、主成分ベクトルもu1、u2、…、uMのM個になる。
上記した従来手法の主成分分析方法(データ解析方法)では、項目毎に平均を差し引いた分散あるいは最大値、最小値などによって、項目を正規化してから固有値を求め、主成分ベクトルを計算していた。しかし、データが更新される毎に主成分分析処理を行うには、蓄積された膨大なデータを用いて平均値および分散を求め、その上で平均値と分散でノルマイライズされたCを用いて、CT・Cを(逐次計算することなく)毎回一括計算で算出する必要があるため、計算処理に多くの時間がかかっていた。
加えて、上記の膨大なデータからCT・C行列を一括処理するためには、640×109回以上の浮動小数点演算が必要となってくる。この計算処理を現在市販されているパソコンなどで使用されているCore i7(Intel社製、93GFLOPS)の1コアを使用して(仮に、この計算処理以外を行わないとして)計算処理しても、50秒以上の処理時間が必要である。かかる状況により、1秒毎に得られるデータに対して、1秒ごとに計算処理することはできない。
また、組み込み系コントローラのCPUでは、他にもオンライン処理を行う必要があるため、実際には10〜20分以上の計算時間になるものと想定され、解析装置に組み込まれたCPUでは、従来のアルゴリズムでは全く処理できない。
本発明のデータ解析方法は、サンプリングなどにより取得した膨大なデータに対してハイパスフィルタ処理を行い、ハイパスフィルタ処理後のデータを用いたAT・A行列を逐次的に計算して主成分を算出する(漸化式計算)。
そして、ハイパスフィルタ処理後のデータaf(i,j)を用いて、A(k)を計算する。
また、A(N)T・A(N)(=AA(N))の対角項d(k)は、第k項目の分散σk 2となっている。そして、AA(N)のk行とk列をσk 2で割り込んで、ノルマライズする。ノルマライズされた行列をXとすると、式(13)のように表現できる。
従来手法ではデータが更新されるたびに、CT・Cを(逐次計算することなく)一から一括計算しなければならなかったが、本発明ではCT・Cに相当するXを逐次計算の結果を用いて簡単に算出することができる。
また、式(10)に対して、忘却係数ρ(≪1)を導入し、A(N)T・A(N)を、式(14)にて逐次計算を行うと、過去のデータに対して直近のデータの重みを大きくした際の(直近のデータにウェイトを置いた)主成分分析を行うことができる。
以上述べた本発明のデータ解析方法は、様々な機器の制御や故障診断に適用可能である。
例えば、モータやポンプ、減速機など回転機器の故障診断を行う場合、まず回転機器における動力伝達状況のデータ、例えば、入力軸の回転位相a(1,j)と、出力軸の回転位相a(2,j)とを時刻jにて順次取得する。取得時間としては、例えば、1秒に1回とする。
そして、ハイパスフィルタ処理後のデータaf(1,j)、af(2,j)と、漸化式である式(10)を用いることにより、データ取得時間j毎に、1つ前の時間に計算されたA(jー1)T・A(jー1)を基にしてA(j)T・A(j)を求める。
得られた主成分u1,u2の変動量や閾値を超えるか否かを判定することで、回転機器の故障診断を行うことができる。
なお、回転機器の診断解析などでは、項目の絶対値よりも高周波域(ハイパスフィルタ処理)に異常データが顕著に出現するため、本発明のデータ解析方法においては、上記したハイパスフィルタ処理を行っても異常データを検出することが可能であるので、回転機器の診断処理においても、大きな問題とはならない。
取得されたデータは順次ハイパスフィルタ回路などに入力され、データに対するハイパスフィルタ処理を行って、データaf(1,j)、af(2,j)を導出する。
得られた主成分u1,u2の変動量や閾値を超えるか否かを判定することで、圧延機のの状況診断や故障診断を行うことができる。
本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
Claims (2)
- サンプリングして得られる複数のデータを基に、主成分ベクトルを算出するデータ解析方法において、
サンプリングして得られる前記データに対して、ハイパスフィルタ処理を行い、
ハイパスフィルタ処理後の前記データを用いた漸化計算を行うことで、主成分ベクトルを算出する
ことを特徴とするデータ解析方法。 - サンプリング時間ごとに、得られる前記データに対してハイパスフィルタ処理を行い、
ハイパスフィルタ処理後の前記データを用いた漸化計算を行うことで、サンプリング時間ごとに前記主成分ベクトルを算出する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ解析方法。
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