JP2017040754A - 組織のボリュームデータに対応した模擬処置開始位置を決定する方法、装置及び手術シミュレータ - Google Patents

組織のボリュームデータに対応した模擬処置開始位置を決定する方法、装置及び手術シミュレータ Download PDF

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Abstract

【課題】組織のボリュームデータに基づいて、模擬処置開始位置を決定する方法を提供する。【解決手段】方法は、組織のボリュームデータS12に基づいて、ボリュームデータS12の組織の芯線又は中心位置を求めS14、組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係に基づいて、芯線又は中心位置に対する模擬処置開始位置S18を決定する、ことをコンピュータに実行させる。【選択図】図2

Description

本発明は、組織のボリュームデータに対応した模擬処置開始位置を決定する方法、装置及び手術シミュレータに関する。
医療技術及び医療機器の進歩により、腹部手術が腹腔鏡下に行われるようになってきている。腹腔鏡下手術は、限られた視野の中で3次元の臓器又は血管等の組織を2次元の画像表示で見ながら行うので、その習得には訓練が不可欠である。また、手術予定者毎に血管の本数又はその走行位置、臓器の位置関係、例えば腫瘍の位置又は大きさが異なり、それぞれに対応した手術が要求される。
そのため、手術前に、個々の手術予定者の情報を元にして、手術シミュレーションが行われている。具体的には、CT又はMRI等の医療用画像データを用いて、手術予定者の臓器等の組織モデルが作成され、個々の手術予定者の組織情報が取り入られた模擬組織を用いて、腹腔鏡下の手術シミュレーションが行われる。
このような腹腔鏡下の手術シミュレーションにおける各処置では、模擬組織に対して、手術における各処置を開始する模擬処置開始位置を、模擬組織に対して表示することが行われる。手術の訓練者は、模擬組織上に表示される模擬処置開始位置に従って、手術シミュレーションの操作を行う。
特開2002−140689号公報 特開2002−306480号公報
模擬処置開始位置は、実際の組織及び組織に対する処置と関連付けられて定められているが、上述したように、組織の位置、組織の数(例えば血管の数)又は組織の形状(例えば血管の形状)等が、手術予定者によって異なっている。
そのため、手術シミュレーションの指導者は、手術予定者毎に、模擬組織に対して模擬処置開始位置を設定する作業を行っていたが、非常に手間のかかる作業であった。
そこで、本明細書では、組織のボリュームデータに基づいて、模擬処置開始位置を決定する方法を提供することを課題とする。
また、本明細書では、組織のボリュームデータに基づいて、模擬処置開始位置を決定する装置を提供することを課題とする。
更に、本明細書では、組織のボリュームデータに基づいて、模擬処置開始位置を決定する装置を備える手術シミュレータを提供することを課題とする。
本明細書に開示する方法によれば、組織のボリュームデータに基づいて、ボリュームデータの組織の芯線又は中心位置を求め、組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係に基づいて、上記芯線又は上記中心位置に対する模擬処置開始位置を決定する、ことをコンピュータに実行させる。
また、本明細書に開示する装置によれば、組織のボリュームデータを記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された組織のボリュームデータに基づいて、ボリュームデータの組織の芯線又は中心位置を求め、組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係に基づいて、上記芯線又は上記中心位置に対する模擬処置開始位置を決定する演算部とを備える。
更に、本明細書に開示する手術シミュレータによれば、組織のボリュームデータを記憶する記憶部と、上記記憶部に記憶された組織のボリュームデータに基づいて、ボリュームデータの組織の芯線又は中心位置を求め、組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係に基づいて、上記芯線又は上記中心位置に対する模擬処置開始位置を決定する演算部を有する装置を備える。
上述した本明細書に開示する方法によれば、組織のボリュームデータに対応した模擬処置開始位置を決定することができる。
また、上述した本明細書に開示する装置によれば、組織のボリュームデータに対応した模擬処置開始位置を決定することができる。
更に、上述した本明細書に開示する手術シミュレータによれば、組織のボリュームデータに対応した模擬処置開始位置を決定して、手術シミュレーションを行うことができる。
本明細書に開示する手術シミュレータの一実施形態を示す図である。 模擬処置開始位置決定部の動作を説明するフローチャート(その1)である。 模擬処置開始位置決定部の動作を説明するフローチャート(その2)である。 組織Bに対する処置と、組織Bに対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表を示す図である。 動作例1のボリュームデータの組織を説明する図である。 動作例1のボリュームデータの組織の接続点又は分岐点を求めることを説明する図である。 動作例1の模擬処置開始位置を決定することを説明する図である。 組織Aに対する処置と、組織Aに対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表を示す図である。 動作例2のボリュームデータの組織を説明する図である。 動作例2の模擬処置開始位置を決定することを説明する図である。 組織Fに対する処置と、組織Fに対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表を示す図である。 動作例3のボリュームデータの組織を説明する図である。 動作例3の模擬処置開始位置を決定することを説明する図である。
以下、本明細書で開示する手術シミュレータの好ましい一実施形態を、図を参照して説明する。但し、本発明の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
図1は、本明細書に開示する手術シミュレータの一実施形態を示す図である。
本実施形態の手術シミュレータ10は、腹腔鏡下の手術をシミュレーションするための装置である。手術シミュレータ10は、シミュレータ本体20と、模擬処置開始位置決定部30と、力覚部40を備える。
手術シミュレータ10は、腹腔鏡下の手術を受ける手術予定者の医療用画像データに基づいて、臓器又は血管等の模擬組織を生成して表示部23に表示する。手術の訓練者は、表示部23に表示された模擬組織を見ながら、模擬鉗子41及び模擬内視鏡42を操作して、手術予定者に対応した腹腔鏡下手術の訓練を行う。特に、表示部23に表示される模擬組織には、模擬手術を開始する位置を示す模擬処置開始位置表示が表示されており、訓練者は、組織毎に各処置の開始する位置が案内されるようになされている。本明細書において、処置は、例えば、模擬臓器又は模擬血管の切除、止血等の模擬組織に対する医療行為を意味する。
模擬処置開始位置決定部30は、腹腔鏡下手術を受ける手術予定者の医療用画像データに基づいて、組織の3次元のボリュームデータを生成すると共に、組織のボリュームデータに基づいて、処置を開始する模擬処置開始位置を示す模擬処置開始位置表示を模擬組織に対して追加する。模擬処置開始位置決定部30は、模擬処置開始位置を示す模擬処置開始位置表示が追加された組織のボリュームデータを、シミュレータ本体20に出力する。本明細書において、組織は、通常、臓器又は血管等の医療用画像データに基づいて、ボリュームデータとして生成される手術予定者の生体を意味する。
模擬処置開始位置決定部30は、演算部31と、記憶部32と、表示部33と、入力部34と、通信部35を有する。演算部31は、記憶部32に記憶された所定のプログラムを実行することにより、上述した模擬処置開始位置決定部30の各機能を実現する。
記憶部32は、医療用画像データに基づいて、組織の3次元のボリュームデータを生成するために用いる解剖学的情報等の情報を記憶する。また、記憶部32は、組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表を記憶する。なお、模擬処置開始位置決定部30は、解剖学的情報等の情報及び処置開始位置設定表を記憶するデータベースDBに接続されているので、必要に応じて、データベースDBから、これらの情報又は処置開始位置設定表を入力して記憶するようにしてもよい。
表示部33は、演算部31が処理した情報を表示する。入力部34は、手術シミュレータ10の操作者が入力部34を用いて各種の情報を入力する。通信部35は、シミュレータ本体20又はデータベースDBとの間で通信を行う。また、通信部35は、図示しない外部のネットワークと接続するようになされている。
模擬処置開始位置決定部30は、例えば、サーバ又はパーソナルコンピュータ等のコンピュータ、若しくはステートマシン等を用いて構成され得る。
シミュレータ本体20は、模擬処置開始位置決定部30が生成した組織の3次元のボリュームデータに基づいて、力覚部40における模擬手術操作具の移動及び模擬手術操作具と模擬組織との接触による模擬組織の反力を計算して、計算された反力を力覚装置40に与えるとともに、模擬組織の運動による位置を計算する。また、シミュレータ本体20は、模擬処置開始位置決定部30が決定した模擬処置開始位置に基づいて、模擬組織に対して、模擬処置開始位置を示す模擬手術開始表示を追加した模擬組織の模擬画像を生成すると共に、計算された模擬組織の位置に基づいて、模擬内視鏡42から撮像した模擬組織の模擬画像を生成して、表示部23に表示する。表示部23に表示される模擬組織は、組織の3次元のボリュームデータをメッシュ化してポリゴンを生成し、ポリゴンに基づいて3次元表示された画像である。
シミュレータ本体20は、演算部21と、記憶部22と、表示部23と、入力部24と、通信部25を有する。演算部21は、記憶部22に記憶された所定のプログラムを実行することにより、上述したシミュレータ本体20の各機能を実現する。演算部21は、模擬組織の運動を計算する第1演算部と、模擬組織の画像データを生成する第2演算部とを有していてもよい。また、記憶部22は、第1演算部の処理に使用される情報を記憶する第1記憶部と、第2演算部の処理に使用される情報を記憶する第2記憶部とを有していてもよい。
記憶部22は、模擬処置開始位置決定部30が生成した模擬処置開始位置表示が追加された組織のボリュームデータを記憶する。表示部23は、演算部21が処理した情報を表示する。入力部24は、手術シミュレータ10の操作者が入力部24を用いて各種の情報を入力する。通信部25は、模擬処置開始位置決定部30及び力覚部40との間で通信を行う。また、通信部25は、図示しない外部のネットワークと接続するようになされている。
シミュレータ本体20は、例えば、サーバ又はパーソナルコンピュータ等のコンピュータ、若しくはステートマシン等を用いて構成され得る。
力覚部40は、模擬手術操作具としての模擬鉗子41、及び模擬内視鏡42を有する。力覚部40は、手術の訓練者が操作する模擬鉗子41及び模擬内視鏡42の位置と模擬組織との接触位置に応じた模擬組織の反力を発生させる。手術の訓練者は、模擬鉗子41及び模擬内視鏡42を操作して、表示部23に表示される模擬組織の処置を行う。処置に伴う模擬組織の運動による反力は、模擬鉗子41及び模擬内視鏡42を介して、訓練者に対してフィードバックされる。
次に、上述した模擬処置開始位置決定部30の動作例1を、図2及び図3に示すフローチャートを参照しながら、以下に説明する。
まず、ステップS10において、模擬処置開始位置決定部30は、組織及び組織に対する処置を入力する。動作例1では、模擬処置開始位置決定部30は、組織B及び組織Bに対する処置1が入力される。そして、模擬処置開始位置決定部30は、組織Bに対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表T1を、データベースDBから入力して、記憶部32に記憶する。なお、ステップS10において、診療科、術式、アプローチ手法と共に、組織及び組織に対する処置を入力するようにしてもよい。
図4は、処置開始位置設定表T1を示す。
処置開始位置設定表T1には、組織Bと、組織Bと関連づけられている処置1〜4とが関連づけられて記憶されている。また、処置開始位置設定表T1には、各処置と、各処置の選択領域及び処置開始位置とが関連づけられて記憶されている。組織としては、例えば、腎臓、肝臓、小腸等の臓器又は血管が挙げられる。また、処置としては、例えば、切除、止血等の医療行為が挙げられる。処置の選択領域は、処置開始位置が選択される領域を示しており、処置開始位置は、選択領域の範囲内から決定される。組織同士の連結状態は、手術予定者によって異なる場合があるので、組織同士の連結状態によって、処置開始位置の特定の仕方が異なる。そこで、まず組織同士の連結状態に対応した選択領域を求め、求められた選択領域に基づいて、処置開始位置が決定される。処置開始位置設定表T1に基づいた処理の詳細は後述する。
次に、ステップS12において、模擬処置開始位置決定部30は、手術予定者のCT又はMRI等の医療用画像データを外部から入力し、解剖学的情報に基づいて、組織の3次元のボリュームデータを生成して、ボリュームデータと組織とを関連づける。医療用画像データは、通信部35を用いて、外部のネットワークから入力しても良いし、予め記憶部32又はデータベースDBに記憶されていてもよい。
医療用画像データは、手術予定者を所定の方向に細かくスライスした生体の断面図を有している。模擬処置開始位置決定部30は、臓器等の組織を含む生体の部位を撮影した医療用画像データから組織の幾何情報を取得する。そして、模擬処置開始位置決定部30は、取得した組織の幾何学的な情報に基づいて、医療用画像データから生体である各組織を2次元的に抽出し、各組織の定められた連結関係に応じて、2次元的に抽出された各組織を相対的に配置した画像を生成する。更に、模擬処置開始位置決定部30は、これらスライスされた画像から抽出された2次元的な各組織の画像を積層し、各組織の3次元のボリュームデータを生成する。模擬処置開始位置決定部30は、生成された3次元のボリュームデータと、組織とを関連づけて(例えばIDを付与して)、記憶部32に記憶する。このようにして、模擬処置開始位置決定部30は、医療用画像データに基づいて、1つ又は複数の組織の3次元のボリュームデータを生成する。一の組織の3次元ボリュームデータに基づいて、一の組織の領域が抽出される。
図5は、動作例1のボリュームデータの組織を説明する図である。
図5に示す例では、医療用画像データに基づいて、管状組織ではない組織Aと、管状組織である組織Bと組織Cと組織Dとが抽出される。
次に、ステップS14において、模擬処置開始位置決定部30は、生成された組織のボリュームデータに基づいて、ボリュームデータの組織の芯線又は中心位置を求める。組織が、小腸又は血管等の管状組織の場合には、ボリュームデータの組織の芯線が求められる。一方、組織が、腎臓又は肝臓等の管状組織ではない場合には、ボリュームデータの組織の中心位置が求められる。
図3は、ステップS14の処理を説明するフローチャートである。
まず、ステップS30において、模擬処置開始位置決定部30は、組織が管状組織であるか否かを判断する。組織が管状組織であるか否かは、記憶部32に記憶される解剖学的情報に基づいて、決定される。組織が管状組織である場合には、ステップS32へ進む。一方、組織が管状組織ではない場合には、ステップS34へ進む。
ステップS32へ進んだ場合には、模擬処置開始位置決定部30は、ボリュームデータの組織の芯線を求める。組織の芯線は、組織のボリュームデータに基づいて、組織の断面の中心を通るように生成される。
図5に示す例では、組織Bに対して芯線L1が生成され、組織Cに対して芯線L2が生成され、組織Dに対して芯線L3が生成される。組織Bは、組織D側から組織A側に向かって延びており、途中の位置で2つに分岐している。そのため、芯線L1は、組織Bの分岐に対応して、分岐する芯線L11及び芯線L12を有する。
一方、ステップS34へ進んだ場合には、模擬処置開始位置決定部30は、ボリュームデータの組織の中心位置を求める。組織の中心位置は、組織の質量中心とすることができる。模擬処置開始位置決定部30は、解剖学的情報に基づいて、組織の平均密度と体積とに基づいて、質量中心を求める。
図5に示す例では、組織Aに対して、中心位置に中心点P1が生成される。
次に、ステップS16において、模擬処置開始位置決定部30は、2つの連結する組織の芯線同士が接続する接続点、及び、芯線が分岐する分岐点、及び、2つの連結する組織の内の一方の組織の芯線と他方の組織のボリュームデータの表面とが接続する接続点を求める。
図6は、動作例1のボリュームデータの組織の接続点又は分岐点を求めることを説明する図である。図6は、図5の各組織に対して、接続点又は分岐点を求めた図である。
図6に示す例では、模擬処置開始位置決定部30は、連結する組織B及び組織Cの芯線同士が接続する接続点P2と、連結する組織B及び組織Dの芯線同士が接続する接続点P3とを求める。
また、模擬処置開始位置決定部30は、芯線L1が、芯線L11及び芯線L12に分岐する分岐点P4を求める。
更に、模擬処置開始位置決定部30は、2つの連結する組織A及び組織Bの内の一方の組織Bの芯線L11,L12と他方の組織Aのボリュームデータの表面とが接続する接続点P5及び接続点P6を求める。
次に、ステップS18において、模擬処置開始位置決定部30は、組織Bに対する処置1と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表T1に基づいて、芯線又は中心位置に対する模擬処置開始位置を決定する。
具体的には、動作例1では、模擬処置開始位置決定部30は、ステップS10において、組織B及び組織Bに対する処置1が入力されているので、処置開始位置設定表T1の処置1に規定される選択領域及び処置開始位置を求める。
まず、模擬処置開始位置決定部30は、処置1に規定される選択領域の起点を求める。処置開始位置設定表T1には、処置1の選択領域の起点として、組織Cとの接続点又は組織Dとの接続点が規定される。図6に示す例では、組織Bは、組織C及び組織Dと接続されているので、一番目に規定されている組織Cとの接続点P2が、選択領域の起点として選択される。なお、手術予定者によっては、組織Bは、組織Dとのみ接続されている場合がある。この場合には、二番目に規定されている組織Dとの接続点P3が、選択領域の起点として選択される。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、処置1に規定される選択領域の終点を求める。模擬処置開始位置決定部30は、起点である接続点P2から、組織Aとの接続方向に向かって(図7中の矢印の向き)、終点を求める。処置開始位置設定表T1には、処置1の選択領域の終点として、最初の分岐点又は組織Aとの接続点が規定される。図6に示す例では、組織Bは、組織Aとの接続点P5,P6の前に、最初の分岐点P4を有するので、一番目に規定されている分岐点P4が、選択領域の終点として選択される。
上述した選択領域の選択処理では、2つの連結する組織の芯線同士が接続する接続点P2、及び、芯線が分岐する分岐点P4に基づいて選択領域が決定されていたが、選択領域は、2つの連結する組織の内の一方の組織の芯線と他方のボリュームデータの組織の表面とが接続する接続点に基づいて決定される場合もある。また、接続点、又は分岐点に基づいて、ボリュームデータの組織上に、模擬処置開始位置が位置する選択領域を求められる場合もある。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、処置開始位置設定表T1に基づいて、処置開始位置の中心として、選択領域の範囲内で、起点である接続点P2側の隣接領域を選択する。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、処置開始位置設定表T1に基づいて、処置開始位置の範囲として、選択領域の範囲内で、処置具の寸法に相当する範囲を選択する。処置具の寸法として、例えば、鉗子の先端部の寸法が挙げられる。
このようにして、模擬処置開始位置決定部30は、図7に示すように、中心として、接続点P2側の隣接領域を有し、範囲として、処置具の寸法に相当する範囲を有する模擬処置開始位置S1を決定する。
次に、ステップS20において、模擬処置開始位置決定部30は、決定された模擬処置開始位置S1に基づいて、ボリュームデータの組織Bに対して、模擬処置開始位置S1を示す模擬処置開始位置表示を追加する。そして、模擬処置開始位置決定部30は、模擬処置開始位置表示が追加された組織のボリュームデータを、シミュレータ本体20に出力する。シミュレータ本体20は、入力した組織のボリュームデータを、記憶部22に記憶する。
次に、模擬処置開始位置決定部30の動作例2を、図8〜10を参照しながら、以下に説明する。動作例2では、上述した動作例1のステップS10〜ステップ20の内の要部を、以下に説明する。
まず、模擬処置開始位置決定部30は、組織及び組織に対する処置を入力する。動作例2では、模擬処置開始位置決定部30は、組織A及び組織Aに対する処置5が入力される。そして、模擬処置開始位置決定部30は、組織Aに対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表T2を、データベースDBから入力して、記憶部32に記憶する。
図8は、処置開始位置設定表T2を示す。
処置開始位置設定表T2には、組織Aの処置5と、処置5の選択領域及び処置開始位置とが関連づけられて記憶されている。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、手術予定者のCT又はMRI等の医療用画像データを入力し、解剖学的情報に基づいて、組織の3次元のボリュームデータを生成して、ボリュームデータと組織とを関連づける。
図9は、動作例2のボリュームデータの組織を説明する図である。
図9に示す例では、医療用画像データに基づいて、管状組織ではない組織A及び組織Eと、管状組織である組織Bとが抽出される。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、生成された組織のボリュームデータに基づいて、ボリュームデータの組織の芯線又は中心位置を求める。
図9に示す例では、組織Aに対して、中心位置に中心点P1が生成され、組織Eに対して、中心位置に中心点P7が生成される。組織Eは、例えば、組織Aの腫瘍部分であり得る。また、組織Bに対して芯線L1が生成される。組織Bは、組織A側に向かって途中の位置で2つに分岐している。そのため、芯線L1は、組織Bの分岐に対応して、分岐する芯線L11及び芯線L12を有する。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、芯線が分岐する分岐点、及び、2つの連結する組織の内の一方の組織の芯線と他方の組織のボリュームデータの表面とが接続する接続点を求める。
図9に示す例では、模擬処置開始位置決定部30は、芯線L1が、芯線L11及び芯線L12に分岐する分岐点P4を求める。
また、模擬処置開始位置決定部30は、2つの連結する組織A及び組織Bの内の一方の組織Bの芯線L11,L12と他方の組織Aのボリュームデータの表面とが接続する接続点P5及び接続点P6を求める。
更に、模擬処置開始位置決定部30は、組織Aと組織Eとが連結する連結面Q1を求める。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、組織Aに対する処置5と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表T2に基づいて、芯線又は中心位置に対する模擬処置開始位置を決定する。
具体的には、動作例2では、模擬処置開始位置決定部30は、組織A及び組織Aに対する処置5が入力されているので、処置開始位置設定表T2の処置5に規定される選択領域及び処置開始位置を求める。
まず、模擬処置開始位置決定部30は、処置5に規定される選択領域の起点を求める。処置開始位置設定表T2には、処置5の選択領域の起点として、組織Aの中心位置が規定されているので、組織Aの中心位置である中心点P1が選択領域の起点として決定される。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、処置5に規定される選択領域の終点を求める。模擬処置開始位置決定部30は、起点である中心点P1から、組織Eの中心位置である中心点P7に向かって(図9及び図10中の矢印の向き)、終点を求める。処置開始位置設定表T2には、処置5の選択領域の終点として、組織Aと組織Eとの連結面が規定されているので、連結面Q1が選択領域の終点として決定される。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、処置開始位置設定表T2に基づいて、処置開始位置の中心として、選択領域の範囲内で、終点である連結面Q1から組織A側に向かってX1mmの位置を選択する。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、処置開始位置設定表T2に基づいて、処置開始位置の範囲として、選択領域の範囲内で、組織Aと組織Eとの連結面Q1に沿って厚さY1mmの範囲を選択する。
このようにして、模擬処置開始位置決定部30は、図10に示すように、中心として、連結面Q1から組織A側に向かってX1mmの位置を有し、且つ、範囲として、組織Aと組織Eとの連結面Q1に沿って厚さY1mmの範囲を有する模擬処置開始位置S2を決定する。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、決定された模擬処置開始位置S2に基づいて、ボリュームデータの組織Aに対して、模擬処置開始位置S2を示す模擬処置開始位置表示を追加する。そして、模擬処置開始位置決定部30は、模擬処置開始位置を示す模擬処置開始位置表示が追加された組織のボリュームデータを、シミュレータ本体20に出力する。シミュレータ本体20は、入力した模擬処置開始位置表示が追加された組織のボリュームデータを、記憶部22に記憶する。
次に、模擬処置開始位置決定部30の動作例3を、図11〜13を参照しながら、以下に説明する。動作例3では、上述した動作例1のステップS10〜ステップ20の内の要部を、以下に説明する。
まず、模擬処置開始位置決定部30は、組織及び組織に対する処置を入力する。動作例3では、模擬処置開始位置決定部30は、組織F及び組織Fに対する処置6が入力される。そして、模擬処置開始位置決定部30は、組織Fに対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表T3を、データベースDBから入力して、記憶部32に記憶する。
図11は、処置開始位置設定表T3を示す。
処置開始位置設定表T3には、組織Fの処置6と、処置6の選択領域及び処置開始位置とが関連づけられて記憶されている。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、手術予定者のCT又はMRI等の医療用画像データを入力し、解剖学的情報に基づいて、組織の3次元のボリュームデータを生成して、ボリュームデータと組織とを関連づける。
図12は、動作例3のボリュームデータの組織を説明する図である。
図9に示す例では、医療用画像データに基づいて、管状組織ではない組織H及び組織Gが抽出される。組織H及び組織Gの間には、管状組織ではない組織Fが配置されている。ここで、組織Fは、元々の医療用画像データにはない組織であり、組織H及び組織Gのボリュームデータと関連づけて配置された新たな組織のボリュームデータである。組織Fは、例えば、膜組織である。CT又はMRI等の医療用画像には、膜組織が映らないので、抽出された組織と関連づけて膜組織のボリュームデータを追加して配置することにより、模擬組織として手術シミュレーションの対象とすることが可能となる。実際の手術予定者の生体には、膜組織が存在しており、処置の対象となり得るからである。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、新たな組織のボリュームデータに基づいて、ボリュームデータの組織の芯線又は中心位置を求める。
図12に示す例では、組織Fに対して、中心位置に中心点P8が生成され、組織Gに対して、中心位置に中心点P9が生成され、組織Hに対して、中心位置に中心点P10が生成される。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、組織Fと組織Gとが連結する連結面Q2と、組織Fと組織Hとが連結する連結面Q3を求める。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、組織Fに対する処置6と関連付けられた処置開始位置との関係を有する処置開始位置設定表T3に基づいて、芯線又は中心位置に対する模擬処置開始位置を決定する。
具体的には、動作例3では、模擬処置開始位置決定部30は、組織F及び組織Fに対する処置6が入力されているので、処置開始位置設定表T3の処置6に規定される選択領域及び処置開始位置を求める。
まず、模擬処置開始位置決定部30は、処置6に規定される選択領域の起点を求める。処置開始位置設定表T3には、処置6の選択領域の起点として、組織Fの中心位置が規定されているので、組織Fの中心位置である中心点P8が選択領域の起点として決定される。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、処置6に規定される選択領域の終点を求める。模擬処置開始位置決定部30は、起点である中心点P8から、組織Fの中心位置から最近接の位置にある組織Fと組織Gとの連結の位置に向かって(図12及び図13中の矢印の向き)、終点を求める。処置開始位置設定表T3には、処置5の選択領域の終点として、組織Fと組織Gとの連結面と規定されているので、連結面Q2が選択領域の終点として決定される。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、処置開始位置設定表T3に基づいて、処置開始位置の中心として、選択領域の範囲内で、終点である連結面Q2から組織F側に向かってX2mmの位置を選択する。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、処置開始位置設定表T3に基づいて、処置開始位置の範囲として、選択領域の範囲内で、組織Fと組織Gとの連結面Q2に沿って幅Y2mmの範囲を選択する。
このようにして、模擬処置開始位置決定部30は、図13に示すように、中心として、連結面Q2から組織F側に向かってX2mmの位置を有し、範囲として、組織Fと組織Gとの連結面Q2に沿って幅Y2mmの範囲を有する模擬処置開始位置S3を決定する。
次に、模擬処置開始位置決定部30は、決定された模擬処置開始位置S3に基づいて、ボリュームデータの組織Fに対して、模擬処置開始位置S3を示す模擬処置開始位置表示を追加する。そして、模擬処置開始位置決定部30は、模擬処置開始位置を示す模擬処置開始位置表示が追加された組織のボリュームデータを、シミュレータ本体20に出力する。シミュレータ本体20は、入力した模擬処置開始位置を示す模擬処置開始位置表示が追加された組織のボリュームデータを、記憶部22に記憶する。
上述した本実施形態の手術シミュレータ10によれば、手術予定者の組織のボリュームデータに対応した模擬処置開始位置を自動的に決定することができる。そして、模擬処置開始位置が表示された模擬組織を用いて、内視鏡下の手術シミュレーションを行うことができる。
本発明では、上述した実施形態の方法、装置及び手術シミュレータは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、一の実施形態が有する構成要件は、他の実施形態にも適宜適用することができる。
上述した実施形態及び動作例では、模擬処置開始位置決定部30は、組織及び組織に対する処置を入力して、組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を有する表を用いて、模擬処置開始位置を決定していたが、模擬処置開始位置決定部30は、組織及び組織に対する処置と共に、診療科、術式、アプローチ手法を入力するようにしてもよい。
また、上述した実施形態及び動作例では、組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を有する表は、組織毎に別の表となっていたが、診療科、術式、アプローチ手法が共通している組織に対しては、複数の組織について、組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係を1つの表にまとめてもよい。
10 手術シミュレータ
20 シミュレータ本体
21 演算部
22 記憶部
23 表示部
24 入力部
25 通信部
30 模擬処置開始位置決定部
31 演算部
32 記憶部
33 表示部
34 入力部
35 通信部
DB データベース
40 力覚部
41 模擬鉗子
42 模擬内視鏡
L1 芯線
L11、L12 芯線
L2 芯線
L3 芯線
P1 模擬組織Aの中心
P2 模擬組織B及び模擬組織Cの芯線同士の接続点
P3 模擬組織B及び模擬組織Dの芯線同士の接続点
P4 芯線L1の分岐点
P5、P6 芯線L1と組織Aの表面との接続点
S1 模擬手術開始位置
P7 組織Eの中心
Q1 組織Aと組織Eとの連結面
S2 模擬手術開始位置
P8 組織Fの中心
P9 組織Gの中心
P10 組織Hの中心
Q2 組織Fと組織Gとの連結面
Q3 組織Fと組織Hとの連結面
S3 模擬手術開始位置

Claims (6)

  1. 組織のボリュームデータに基づいて、ボリュームデータの組織の芯線又は中心位置を求め、
    組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係に基づいて、前記芯線又は前記中心位置に対する模擬処置開始位置を決定する、ことをコンピュータに実行させる方法。
  2. 2つの連結する組織の前記芯線同士が接続する第1接続点、又は、前記芯線が分岐する分岐点、又は、2つの連結する組織の内の一方の組織の前記芯線と他方の組織のボリュームデータの表面とが接続する第2接続点を求め、
    前記第1接続点、又は、前記分岐点、又は、前記第2接続点に基づいて、前記芯線上又はボリュームデータの組織上に、前記模擬処置開始位置が位置する選択領域を求め、前記選択領域内から前記模擬処置開始位置を決定する、ことをコンピュータに実行させる請求項1に記載の方法。
  3. 組織のボリュームデータと関連づけて配置された新たな組織のボリュームデータに基づいて、新たなボリュームデータの組織の前記芯線又は前記中心位置を求め、
    組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係に基づいて、前記芯線又は前記中心位置に対する前記模擬処置開始位置を決定する、ことをコンピュータに実行させる請求項1又は2に記載の方法。
  4. 決定された前記模擬処置開始位置に基づいて、ボリュームデータの組織に対して、前記模擬処置開始位置を示す模擬処置開始位置表示を追加する、ことをコンピュータに実行させる請求項1〜3の何れか一項に記載の方法。
  5. 組織のボリュームデータを記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された組織のボリュームデータに基づいて、ボリュームデータの組織の芯線又は中心位置を求め、
    組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係に基づいて、前記芯線又は前記中心位置に対する模擬処置開始位置を決定する演算部と
    を備えた装置。
  6. 組織のボリュームデータを記憶する記憶部と、
    前記記憶部に記憶された組織のボリュームデータに基づいて、ボリュームデータの組織の芯線又は中心位置を求め、
    組織に対する処置と、組織に対する処置と関連付けられた処置開始位置との関係に基づいて、前記芯線又は前記中心位置に対する模擬処置開始位置を決定する演算部を有する装置を備える手術シミュレータ。
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