JP2017040088A - フランジ接合部補強治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係るフランジ接合部補強治具1は、基端側にボルト13が挿通されるボルト挿通孔15を有すると共に上水平フランジ部5のフランジ面に配置されたときに先端側が上水平フランジ部5の端部よりも延出する平板状の上片部7と、基端側にボルト13が挿通されるボルト挿通孔15を有すると共に下水平フランジ部3のフランジ面に配置されたときに先端側が下水平フランジ部3の端部よりも延出する平板状の下片部9と、一端側が上片部7の先端側に連続し、他端側が下片部9の先端側に連続しており、上水平フランジ部5と下水平フランジ部3の基部が上下方向に離れたときに下片部9の基端側と上片部7の基端側が離れようとするのに抵抗する縦片部11とを備えてなる。
【選択図】 図1
Description
特許文献1のフランジ補強治具は、「管フランジ継手のフランジ接合部におけるフランジ補強治具であって、該フランジ補強治具が、フランジ接合部をまたぐようにフランジ周方向に間隔をおいて配される複数の補強部材と、フランジ部背面付根部分に当接した状態で、前記補強部材によりフランジ部背面に押し当てられる当て部材と、前記複数の補強部材を管体に固定するための締付部材とからなり、
前記補強部材が、一方のフランジ部背面の付根部分に当接する押圧部A1と、前面が他方のフランジ部背面の付根部分に当接した前記当て部材背面に当接し、該当て部材をフランジ部背面に押し当てる押し当て部A2と、該押し当て部A2側に管壁に沿うように突出して設けられた締付部A3とを有し、
前記締付部材がリング形状を有し、前記複数配される補強部材のそれぞれの締付部A3を、管の中心方向に締付可能に構成されていることを特徴とする」ものである(請求項1参照)。
風外力の作用時や風車発電時などでは、塔体19頂部に設置されるブレード21に風力が作用することにより、塔体19に転倒モーメントが作用する。転倒モーメントの作用により、塔体19の断面には繰り返し応力が作用する。一般的に風力発電設備の供用期間は20年とされているが、この20年間に、約2億回に及ぶ繰り返し応力が作用すると想定される。
この場合、図8(a)に示す塔体19の風上側では、ボルト23にフランジ端部を支点とした“てこ反力”により繰り返し応力が発生する。
内向きフランジ(断面L型フランジ)では、この“てこ反力”がボルト23に作用するという特徴があり、フランジ部分の幅が大きい場合、力点と支点の距離が長くなるため、“てこ反力”が大きくなる。
しかしながら、この補強方法は補強部材をボルト、ワイヤやベルト等の締付部材によって固定する必要があり、確実な締付力を発揮するには、適切な締付力の管理が必要になる。
また、締付力の増加に伴い、応力状態が変化するため、既設のボルト内に生じる応力を簡易的に評価することは難しくなる。
また、過度な締め付けをした場合には、既設のボルトが負担する応力がなくなり、補強材の疲労破壊が生じる可能性もある。
基端側に前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔を有すると共に前記上水平フランジ部のフランジ面に配置されたときに先端側が前記上水平フランジ部の端部よりも延出する平板状の上片部と、基端側に前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔を有すると共に前記下水平フランジ部のフランジ面に配置されたときに先端側が前記下水平フランジ部の端部よりも延出する平板状の下片部と、一端側が前記上片部の先端側に連続し、他端側が前記下片部の先端側に連続しており、前記上水平フランジ部と前記下水平フランジ部の基部が上下方向に離れたときに前記下片部の基端側と前記上片部の基端側が離れようとするのに抵抗する縦片部とを備えてなることを特徴とするものである。
本発明の実施の形態1に係るフランジ接合部補強治具は、下側の鋼管の端部に設けられた下水平フランジ部3と、上側の鋼管の端部に設けられた上水平フランジ部5をボルト23及びナット25によって接合(図7参照)して鋼管同士を接合したタワー構造体におけるボルト接合部を補強するものである。
本実施の形態のフランジ接合部補強治具1は、図1、図2に示すように、厚板状の部材を押し曲げ加工して形成されたものであり、全体形状が側面視でコ字状をしており、上水平フランジ部5のフランジ面側に配置される上片部7と、下水平フランジ部3側に配置される下片部9と、一端側が上片部7に連続すると共に他端側が下片部9に連続する縦片部11を備えている。
鋼管同士をフランジ接合したタワー構造体としては、上述した風力発電設備17の塔体19の他、橋脚、鋼製煙突などが挙げられる。
以下、上片部7、下片部9及び縦片部11の詳細を説明する。
上片部7は、図2に示すように、矩形の平板状をしており、基端側にボルト13が挿通されるボルト挿通孔15を有すると共に上水平フランジ部5のフランジ面に配置されたときに先端側が上水平フランジ部5の端部よりも延出するように形成されている。
なお、上片部7の基端側とは、フランジ接合部補強治具1をタワー構造体におけるボルト接合部に設置した状態で上水平フランジ部5の基部側になる側をいい、上片部7の先端側とは、同様の状態で上水平フランジ部5の先端側になる側をいう。
なお、ボルト挿通孔15に挿通されるボルト13は、タワー構造体の下水平フランジ部3と上水平フランジ部5を固定するボルト23と同径で、長さが長いものである。そして、大型の風力発電設備の場合、ボルト径は30〜50mmであるため、ボルト挿通孔15に挿通されるボルト13はこのボルト径と同径のものであることが必要である。
下片部9は、図2に示すように、上片部7と同様に、矩形の平板状をしており、基端側にボルト13が挿通されるボルト挿通孔15を有すると共に下水平フランジ部3のフランジ面に配置されたときに先端側が下水平フランジ部3の端部よりも延出するように形成されている。
なお、下片部9の基端側とは、フランジ接合部補強治具1をタワー構造体におけるボルト接合部に設置した状態で下水平フランジ部3の基部側になる側をいい、下片部9の先端側とは、同様の状態で下水平フランジ部3の先端側になる側をいう。
ボルト挿通孔15は、上片部7と同様に2個形成されており、その径も上片部7のボルト挿通孔15と同じである。
縦片部11は、一端側が上片部7の先端側に連続すると共に他端側が下片部9の先端側に連続している。縦片部11は、フランジ接合部補強治具1を設置した状態において、上水平フランジ部5と下水平フランジ部3の基部が上下方向に離れたときに下片部9の基端側と上片部7の基端側が離れようとするのに抵抗する機能を有する。
本実施の形態の縦片部11は、図2に示すように、平板状に形成されている。
上記のように構成された本実施の形態に係るフランジ接合部補強治具1の取り付け方法を説明する。
フランジ接合部を接合するボルト13を取り外し、コ字状のフランジ接合部補強治具1の基端側をフランジ接合部に挿入する。
そして、フランジ接合部のボルト孔と、フランジ接合部補強治具1における上片部7及び下片部9のボルト挿通孔15を位置合わせして、ボルト接合する。このとき、ボルト13の締め付け力の管理は、タワー構造体のフランジ接合部のボルト締付力と同等にすればよい。
風荷重が作用すると、上述したように、上水平フランジ部5及び下水平フランジ部3の端部を支点とする“てこの原理”によって上水平フランジ部5及び下水平フランジ部3は変形し、上水平フランジ部5と下水平フランジ部3の基部が開く。基部が開くと、上片部7の基部側が持ち上げられ、逆に下片部9の基部側が押し下げられる。このとき、縦片部11が上記の動きに抵抗する作用を発揮し、ボルト13に作用する引っ張り力の一部を負担し、ボルト13に作用する引張り応力が緩和され、ボルト13の疲労強度を向上させることができる。
また、使用するボルト13は、既設のボルトと同径のものを用いればよく、ボルト再選定についても煩雑な作業が不要である。
これに対して、本発明では、(a)フランジ接合部補強治具の製作・設計、(b)フランジ接合部補強治具の取り付けといった工程のみでフランジ接合部の疲労強度を向上させることができ、従来の方法に比較して工数を少なくできるという効果がある。
また、締付部材を必要としないことで、工数を削減可能なことに加え、締め付け力の管理が不要となることで、極めて簡易な取り付けを可能にしている。
また、縦片部11を平板状とする場合でも、縦片部11と上片部7との接続面及び縦片部11と下片部9との接続面は、直角とせずに、曲率半径が板厚の50%程度の湾曲面によって連続させることが、応力集中の発生を避けるために好ましい。
実施の形態2のフランジ接合部補強治具16を図4に基づいて説明する。なお、図4において、図1と同一部分には同一の符号を付してある。
本実施の形態のフランジ接合部補強治具16は、縦片部11が隙間Sによって上縦片部11aと下縦片部11bに分離されており、上水平フランジ部5と下水平フランジ部3の基部が上下方向に離れたときに隙間Sが閉じられて隙間Sを介して対向する上縦片部11aと下縦片部11bの対向面が当接可能になっている。
<設計、製造上の効果>
実施の形態1の場合、上片部7と下片部9の離間距離は補強対象としているフランジ接合部の厚みと同等に設定する必要がある。これに対して、実施の形態2のものでは、隙間Sがあるため、上記の離間距離を厳密に設定する必要がなく、製造が容易である。
風荷重が作用すると、上述したように、上水平フランジ部5及び下水平フランジ部3の端部を支点とする“てこの原理”によって上水平フランジ部5及び下水平フランジ部3は変形し、上水平フランジ部5と下水平フランジ部3の基部が開く。基部が開くと、上片部7の基部側が持ち上げられ、逆に下片部9の基部側が押し下げられ、その結果、上縦片部11aと下縦片部11bが互いに近づき、隙間Sの隙間距離が小さくなる。
このように、風荷重が小さい状態ではフランジ接合部補強治具16に応力は作用せず、ボルト13のみに応力が作用するので、フランジ接合部補強治具16に常時応力が作用することはなく、フランジ接合部補強治具16の疲労破壊を防止できる。
上縦片部11aと下縦片部11bが圧縮力を伝達することで、ボルト13に作用する引張り応力が緩和され、ボルト13の疲労強度の向上を図ることができる。
すなわち、隙間Sの隙間距離が小さければボルト13に作用する引張り応力が小さい状態からフランジ接合部補強治具16に圧縮応力が作用し、逆に隙間Sの隙間距離が大きければボルト13に作用する引張り応力がある程度大きくなった状態からフランジ接合部補強治具16に圧縮応力が作用する。
そして、この隙間Sをどのように設定するかについては、例えばボルト13が弾性限度の変形量の50%の変形をしたときに隙間距離がゼロになって、フランジ接合部補強治具16に応力が作用するように設定するのが好ましい。
本実施の形態では、隙間Sの隙間距離を設定することで、多様な疲労強度を実現可能である。
また、実施の形態1と同様に、縦片部11を平板状とする場合でも、縦片部11と上片部7との接続面及び縦片部11と下片部9との接続面は、直角とせずに、曲率半径が板厚の50%程度の湾曲面によって連続させることが、応力集中の発生を避けるために好ましい。
3 下水平フランジ部
5 上水平フランジ部
7 上片部
9 下片部
11 縦片部
11a 上縦片部
11b 下縦片部
13 ボルト
15 ボルト挿通孔
16 フランジ接合部補強治具(実施の形態2)
17 風力発電設備
19 塔体
21 ブレード
23 ボルト
25 ナット
S 隙間
Claims (4)
- 下側の鋼管の端部に設けられた下水平フランジ部と、上側の鋼管の端部に設けられた上水平フランジ部をボルト及びナットによって接合して前記鋼管同士を接合したタワー構造体におけるフランジ接合部を補強するフランジ接合部補強治具であって、
基端側に前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔を有すると共に前記上水平フランジ部のフランジ面に配置されたときに先端側が前記上水平フランジ部の端部よりも延出する平板状の上片部と、基端側に前記ボルトが挿通されるボルト挿通孔を有すると共に前記下水平フランジ部のフランジ面に配置されたときに先端側が前記下水平フランジ部の端部よりも延出する平板状の下片部と、一端側が前記上片部の先端側に連続し、他端側が前記下片部の先端側に連続しており、前記上水平フランジ部と前記下水平フランジ部の基部が上下方向に離れたときに前記下片部の基端側と前記上片部の基端側が離れようとするのに抵抗する縦片部とを備えてなることを特徴とするフランジ接合部補強治具。 - 前記縦片部は連続する部材からなることを特徴とする請求項1記載のフランジ接合部補強治具。
- 前記縦片部は、隙間によって分離されており、前記上水平フランジ部と前記下水平フランジ部の基部が上下方向に離れたときに前記隙間が閉じられて前記対向面が当接可能になっていることを特徴とする請求項1記載のフランジ接合部補強治具。
- 全体形状が、側面視でU字又はコ字状であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフランジ接合部補強治具。
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