JP2017039612A - 焼成方法および焼成炉 - Google Patents

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【課題】簡素な構成で、被焼成物を構成する焼成原料の酸化およびバインダ等に由来する有機物の炉内への付着を抑えながら、被焼成物の焼成を行うことができる焼成方法、およびそのような焼成方法を実施することができる焼成炉の提供。【解決手段】加熱によって焼成される焼成原料と、加熱によって可燃性ガスを発生させる有機物と、を含んでなる被焼成物を焼成する際、外部からの気体の侵入を阻止する気密性を有した炉体10の中に被焼成物90を収容し、不活性ガスと燃料ガスと空気とを導入しながら、炉体10の中で燃焼を行い、炉体10の中の酸素濃度を所定の基準濃度以下に下げる第一工程を実行し、第一工程において炉体10の中の温度が焼成原料の酸化が起こる温度に達する前に、第二工程への切り替えを行い、第二工程において、第一工程におけるよりも、不活性ガスの導入量を下げるとともに、空気比を下げる操作を行う焼成方法。【選択図】図1

Description

本発明は、焼成方法および焼成炉に関し、さらに詳しくは、焼成原料と可燃性ガスを発生する有機物とを含んでなる被焼成物の焼成を行うための方法および焼成炉に関する。
炭素材等、無機材料の粉末よりなる焼成原料を焼成するに際し、有機物よりなるバインダを混合し、所定の形状に成形した被焼成物に対して、焼成が行われる。焼成に際して、大気中の酸素による焼成原料の酸化を防止する目的で、例えば耐熱金属よりなるマッフルを備えた焼成炉が用いられてきた。この場合、マッフル内に被焼成物を収容し、マッフルを外から加熱することで、被焼成物を間接的に加熱する。あるいは、マッフルを用いない形式として、特許文献1等に示されるように、炉内に非酸化性ガスを供給しながら、炉内に設けたラジアントチューブを用いて加熱を行う形式の焼成炉も用いられてきた。
特開平8−35780号公報
焼成に際し、マッフルやラジアントチューブを用いて加熱を行う場合には、焼成炉が大型になったり、構造が複雑になったりしやすい。特にマッフルを用いる場合には、被焼成物のみならず、重量の大きなマッフルを加熱する必要があるため、熱効率が悪くなってしまう。また、マッフルやラジアントチューブ等の金属部材が焼成炉に多く用いられると、高温によって劣化しやすく、寿命が短いため、これらの部材の交換、補修に大きな費用を要することになる。さらに、炉内の構造が複雑であると、炉内に加熱されにくい部位が生じ、バインダから発生した可燃性ガス(ボラタイル)がそれらの部位に付着しやすくなる。すると、それらの付着物を除去するために、頻繁にバーンアウトを行う必要が生じ、焼成炉の稼働率が低下してしまう。
本発明が解決しようとする課題は、マッフルやラジアントチューブを用いない簡素な構成で、被焼成物を構成する焼成原料の酸化およびバインダ等に由来する有機物の炉内への付着を抑えながら、被焼成物の焼成を行うことができる焼成方法、およびそのような焼成方法を実施することができる焼成炉を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明にかかる焼成方法は、加熱によって焼成される焼成原料と、加熱によって可燃性ガスを発生させる有機物と、を含んでなる被焼成物を焼成する焼成方法において、外部からの気体の侵入を阻止する気密性を有した炉体内に前記被焼成物を収容し、不活性ガスと燃料ガスと空気とを導入しながら、前記炉体内で燃焼を行い、前記炉体内の酸素濃度を所定の基準濃度以下に下げる第一工程を実行し、前記第一工程において前記炉体内の温度が前記焼成原料の酸化が起こる温度に達する前に、第二工程への切り替えを行い、前記第二工程において、前記第一工程におけるよりも、前記不活性ガスの導入量を下げるとともに、空気比を下げることを要旨とする。
ここで、前記第二工程において、前記炉体内の酸素濃度を、前記焼成原料の酸化が起こる濃度以下に維持するとよい。
また、前記第一工程から前記第二工程への切り替えを、前記炉体内の温度が、前記可燃性ガスが発生する温度に達する前に行うとよい。
そして、前記焼成原料が炭素材であり、前記第二工程の中で、少なくとも前記炉体内の温度が最高になる期間において、前記炉体内の酸素濃度を0.2%以下とするとよい。
一方、本発明にかかる焼成炉は、被焼成物を収容することができる気密性の炉体と、前記炉体内に、不活性ガスを導入可能なガス導入口と、空気と燃料ガスを供給されて前記炉体内で燃焼を起こすバーナと、を有し、上記の焼成方法を実施することを要旨とする。
ここで、前記焼成炉は、前記炉体内の酸素濃度を計測する酸素濃度計測器と、前記炉体内の温度を計測する温度計測器と、をさらに有するとよい。
上記発明にかかる焼成においては、第一工程において、多量の不活性ガスを導入しながら燃焼を行うことで、炉体内の温度が焼成原料の酸化が起こる高温になる前に、炉体内の酸素濃度を低減しておくことができる。この際、空気比を小さくしておくことで、爆発の可能性を低くした安全な状態で、酸素濃度の低減を進めることができる。そして、炉内の酸素濃度が所定の基準濃度以下に下がった状態で、第二工程への切り替えを行い、不活性ガスの導入量を下げるとともに、空気比を下げて、燃焼を継続することで、焼成原料の酸化を避けながら、焼成を進められる。また、焼成中に被焼成物から発生した可燃性ガスが炉内で燃焼されるので、可燃性ガスが炉外に排出されたり、炉内に付着したりするのが抑制される。発生した可燃性ガスを燃焼させ、炉内の昇温に利用することで、焼成時の昇温のために必要なエネルギーも削減することができる。本方法においては、被焼成物の加熱に、炉体内での直火燃焼を利用するので、バーナ等の燃焼手段さえ炉体内に設けておけば、マッフルやラジアントチューブ等の加熱手段を用いる必要はない。
ここで、第二工程において、炉体内の酸素濃度を、焼成原料の酸化が起こる濃度以下に維持する場合には、第二工程を通じて、焼成原料の酸化を防止することができる。
また、第一工程から第二工程への切り替えを、炉体内の温度が、可燃性ガスが発生する温度に達する前に行う場合には、第二工程において可燃性ガスが発生し始めることになり、発生した可燃性ガスを効果的に燃焼させることができる。
そして、焼成原料が炭素材である場合に、第二工程の中で、少なくとも炉体内の温度が最高になる期間において、炉体内の酸素濃度を0.2%以下とすれば、炭素材の酸化を高度に抑制し、酸化による被焼成物の変質および減量を抑制することができる。
一方、上記発明にかかる焼成炉によれば、簡素な構成で、焼成原料の酸化や可燃性ガスの炉内への付着を抑えながら、被焼成物の焼成を行うことができる。
ここで、焼成炉が、炉体内の酸素濃度を計測する酸素濃度計測器と、炉体内の温度を計測する温度計測器と、をさらに有する場合には、炉体内の酸素濃度と温度を監視しながら焼成を行うことで、焼成原料の酸化および可燃性ガスの炉内への付着が避けられるような条件を的確に選択して焼成を進めることができる。
本発明の一実施形態にかかる焼成炉を示す模式図である。 本発明の一実施形態にかかる焼成方法における(a)炉内温度、(b)炉内酸素濃度、(c)窒素導入量の時間変化を模式的に示す図である。
以下、本発明の一実施形態にかかる焼成方法および焼成炉について、図面を参照しながら説明する。
[被焼成物]
まず、本発明の一実施形態にかかる焼成方法および焼成炉において、焼成対象とする被焼成物90について説明する。
被焼成物90は、加熱によって焼成(焼結)される焼成原料と、加熱によって可燃性ガスを発生させる有機物と、を含んでなっている。具体的には、焼成原料は、無機材料の粉末よりなっており、例えば、黒鉛等の炭素材や、アルミナ等の金属酸化物の粉末を挙げることができる。特に、炭素材は、酸化を受けると、変質するのみならず、減量を起こすので、以下に説明する焼成方法を適用して酸化を抑えることの効果が著しいという点において、好適な焼成原料の例となる。被焼成物90に含まれる有機物としては、焼成原料の粉末を相互に接着させる役割を果たすバインダが、代表例として挙げられる。多くのバインダは、加熱を受けると、揮発や分解によって、可燃性ガス(ボラタイル)を発生する。
焼成原料とバインダは、よく混練され、所望の形状に成形されて、被焼成物90とされる。被焼成物90の例として、炭素材をバインダとともに略円柱状に成形した炭素電極を挙げることができる。
以下で説明する焼成方法においては、焼成原料の酸化が起こる温度が、焼成工程を制御するための重要なパラメータとなる。焼成原料が炭素材である場合には、焼成原料の酸化が開始される温度は、300℃以上、おおむね300〜350℃程度である。
[焼成炉]
次に、本発明の一実施形態にかかる焼成炉1について説明する。図1に示すように、焼成炉1は、炉体10を本体としてなっている。炉体10は、大気炉と称される形式のものであり、無機酸化物よりなる耐火物から構成され、内部空間に被焼成物90を収容することができる。炉体10の内部には、被焼成物90を支持する支持台12が設けられている。また、炉体10には、被焼成物90を出し入れすることができる扉10aが設けられている。
炉体10には、気体を炉体10の内部に導入することができるガス導入口13と、気体を炉体10の内部から排出することができるガス排出口14が設けられている。ガス排出口14の後段には、炉体10の内部で燃焼しきれなかった可燃性ガスを燃焼させて処理するガス処理部(不図示)が設けられてもよい。
炉体10の内部には、バーナ11が設けられている。バーナ11は、外部から燃料ガスと空気を供給されて、炉体10の中で直火燃焼を起こす。バーナ11は、外部から導入した燃料ガスとともに、炉体10の中で被焼成物90中の有機物に由来して発生した可燃性ガスを、直接的に燃焼させる役割を果たす。これらのガスの燃焼時に生じた熱で、炉体10の内部が昇温され、被焼成物90が焼成される。
炉体10は、内部空間を気密に保つことができる。つまり、扉10aを閉鎖した状態において、ガス導入口13およびバーナ11を介して意図的に導入される気体を除いて、大気をはじめとして、外部からの気体の侵入を許さない。また、炉体10の内部の圧力(炉圧)と外気圧の差に起因してガス排出口14から自然に気体が排出される以外に、炉体10の内部から積極的に気体が排出されない。
さらに、焼成炉1には、炉体10の中の温度を監視する温度計測器15と、酸素濃度を監視する酸素濃度計測器16が設けられる。温度計測器15は、炉体10の内部に設けられるが、酸素濃度計測器16は、炉体10の外に設けられる非接触式のものであることが好ましい。酸素濃度計測器16に炉体10の中の物質が付着して汚染されると、正確な酸素濃度の計測に支障が生じるおそれがあるからである。非接触式の酸素濃度計測器16としては、レーザーを用いる形式のものを挙げることができる。なお、焼成炉1としては、金属材料の熱処理等に用いられる公知のバッチ式炉を転用することもできる。
[焼成方法]
本発明の一実施形態にかかる焼成方法は、上記のような焼成炉1を用いて実施することができる。本焼成方法においては、被焼成物90を収容した炉体10を気密に維持し、ガス導入口13から不活性ガスを導入しながら、空気と燃料ガスを供給したバーナ11で燃焼を起こす。燃焼により、炉体10の内部を加熱し、被焼成物90を焼成する。
炉体10の中には、ガス導入口13から窒素に代表される不活性ガスが導入されるとともに、バーナ11を介して空気と燃料ガスが導入される。燃料ガスとしては、都市ガス、天然ガス等、任意の燃焼性のガスを用いることができる。各ガスの導入量(導入速度)は、独立して任意に変更可能であり、以下に説明するように制御される。
図2に、本焼成方法における(a)炉内温度、(b)炉内酸素濃度、(c)窒素導入量(窒素導入速度)の時間変化を示す。図2に示すように、焼成の全工程は、(1)第一工程、(2)第二工程、(3)第三工程の3つの工程よりなる。3つの工程は、温度計測器15および酸素濃度計測器16によって計測される炉体10の中の温度および酸素濃度を指標として、炉体10の中に導入される各ガスの導入量を変えることで切り替えられる。3つの工程を通じて、バーナ11は燃焼している状態に維持される。
(1)第一工程
第一工程においては、炉体10に被焼成物90が収容され、常温(例えば20℃)の大気が満たされている状態から、炉体10の内部をパージし、炉内酸素濃度を下げながら、炉内温度を上昇させる工程である。
第一工程においては、ガス導入口13から多量の窒素ガスを炉内に導入しながら、バーナ11に燃料ガスと空気を供給し、燃焼を行う。この際、炉内の圧力が外気の圧力と釣り合うように、炉内に初期に存在していた空気がガス排出口14から脱出し、炉内の雰囲気が窒素ガスと燃料ガスによって置換される。また、それと同時に、初期に炉内に存在した空気およびバーナ11に外部から供給した空気に含まれる酸素が、バーナ11での燃焼によって消費される。これらの結果、炉内酸素濃度が経時的に低下する。そして、燃焼によって発生した熱により、炉内温度が経時的に上昇する。
第一工程においては、バーナ11に供給するガスにおいて、燃料ガスに対する空気の割合を比較的高くし、炉内での完全燃焼を促す。好ましくは、空気比を1よりも大きくしておくとよい。燃焼の効率等の観点から、空気比を1.1程度としておけば、さらに好ましい。ここで、空気比は、完全燃焼に必要な理論空気量に対する実際の空気量として表され、バーナ11に供給する空気と燃料ガスの比によって制御することができる。炉内がまだ低温の状態で、多量の酸素が燃料ガスと共存すると、爆発が発生する可能性があるが、常温から炉内温度が上昇する途上にある第一工程において、空気比を高くしておくことで、完全燃焼を促進し、爆発の可能性を抑えた状態で、安全に炉内の酸素量の低減を進めることができる。
このような第一工程は、炉内温度が、所定の基準温度T1に達するまで継続され、基準温度T1に達すると、次に説明する第二工程へ切り替えられる。基準温度T1は、焼成原料の酸化が起こる温度よりも低温に定められている。焼成原料が炭素材である場合には、上記のように、酸化が開始される温度は300℃以上であり、基準温度T1は、例えば、図2に示すように300℃に設定される。
さらに、第一工程においては、炉内温度が基準温度T1に達して第二工程に切り替えられるまでに、炉内酸素濃度が、所定の基準濃度C1にまで下げられる。これは、炉内に導入する各ガスの導入量を制御することによって、達成することができる。このように、炉内温度が焼成原料の酸化が開始される温度に達する前に、所定の水準にまで酸素濃度を低減させておくことで、続く第二工程で、炉内温度を上昇させても、炉内に存在する酸素によって焼成原料が酸化されるのを抑制することができる。基準濃度C1は、基準温度T1における爆発限界以下の酸素濃度に定めることが好ましい。これにより、第一工程から第二工程に移行して、空気比を下げても、爆発の可能性を抑制した状態を維持できる。例えば、基準温度T1が300℃である場合に、基準濃度C1は、4%以下に定めることが好ましい。
第一工程を完了して第二工程に切り替える際の基準温度T1は、焼成原料の酸化が開始される温度に達していないだけでなく、被焼成物90からバインダ等の有機物に由来する可燃性ガスが発生する温度に達していない温度として設定することが好ましい。これにより、可燃性ガスの発生を第二工程において開始させ、第二工程における好適な条件で可燃性ガスを燃焼させることができる。上記のように、焼成原料が炭素材である場合には、焼成原料の酸化が開始される温度と可燃性ガスの発生が開始される温度は近接しており、ともに300℃以上であるので、図2のように、第一工程から第二工程への切り替えを、300℃付近において行うことが好ましい。
(2)第二工程
第二工程は、炉内の温度を全焼性工程のうち最高温度まで上昇させて、被焼成物90の焼成を進めるとともに、被焼成物90から発生した可燃性ガスを燃焼させる工程である。
第一工程において行っていた各ガスの炉内への導入と、バーナ11による燃焼を第二工程においても継続し、炉内温度を焼成原料が十分に焼成される温度(炭素材の場合は例えば980℃)まで上昇させ、その温度にしばらく維持する。ただし、第二工程においては、各ガスの導入量を第一工程から変化させる。具体的には、炉内の雰囲気の置換が第一工程において十分進行しているため、窒素ガスの導入量を下げる。同時に、炉内の燃焼状態を変化させるために、バーナ11に供給するガスにおける空気比を下げる。
第二工程においては、焼成原料の酸化が開始される温度を超えて、炉内温度が上昇するが、第一工程において炉内酸素濃度が既に低減されているうえ、第二工程においても燃焼が継続されることで炉内酸素濃度がさらに低下するので、焼成原料の酸化が進行しにくい。特に、温度計測器15および酸素濃度計測器16によって炉内の温度と酸素濃度を監視し続けながら、各時点の温度において、焼成原料の酸化が起こる酸素濃度以下に、炉内の酸素濃度を維持するようにすれば、第二工程の全期間において、焼成原料の酸化が進行するのを実質的に防止することができる。例えば、焼成原料が炭素材である場合に、炉内温度が少なくとも最高温度の980℃である期間において、炉内酸素濃度を0.2%以下とすれば、炭素材の酸化による被焼成物90の変質や減量を高度に防止することができる。
また、第二工程において、空気の導入を積極的に行うことで、被焼成物90から発生した可燃性有機物を、炉内で燃焼させることができる。これにより、発生した可燃性ガスが、炉外に排出されることや、炉内で相対的に低温の部位に付着することが阻止される。なお、本焼成炉1においては、直火燃焼を採用していることにより、炉体10の内部構造を簡素にすることができるので、そもそも可燃性ガスが付着しやすい部位を排除することも可能である。
さらに、上記のように炉内に空気を導入して被焼成物90から発生した可燃性ガスを燃焼させることにより、可燃性ガスの排出や付着を抑制する効果のみならず、エネルギー効率の向上にも資することができる。つまり、発生した可燃性ガスを燃焼させた際に発生する燃焼熱を、被焼成物90の焼成のための昇温に利用することで、必要温度に昇温するのに外部から供給する燃料ガスの量を低減することができる。特に、可燃性ガスの発生および燃焼が活発に起こる600℃以上、あるいは700℃以上の温度域で、積極的に空気を導入し、可燃性ガスの燃焼を促進すれば、エネルギー効率を効果的に向上させることができる。
このように、第二工程においては、炉内で発生した可燃性ガスを燃焼させるために空気を積極的に導入するとよいが、上記のように、第二工程において導入するガスにおける空気比は、第一工程における空気比よりも下げておく。空気比を下げることにより、燃料ガスの割合が高くなり、炉内での燃焼を促進することができる。第二工程における空気比は、1以下とすることが好ましく、特に0.9程度とすることが好ましい。既に第一工程において、炉内酸素濃度を例えば4%以下の基準濃度C1まで低減しているので、第二工程においては、空気比を下げても、爆発が発生する可能性が小さい。なお、第二工程においては、ガス導入口13からの窒素ガスの供給を停止してもよいが、炉圧を保持し、炉内への外気の侵入を防止する観点から、図2に示すように、ある程度の窒素導入量を維持しておく方が好ましい。
(3)第三工程
第二工程で、最高温度における被焼成物90の焼成が十分に進行すると、第二工程から第三工程への切り替えを行う。第三工程は、炉体10からの被焼成物90の取り出しに向けて、炉内温度を下げる工程である。
第三工程においては、空気および燃料ガスの導入量を減らすことで、徐々に炉内の温度を下げていく。炉圧を維持するため、窒素の導入量は、その分増加させる。第三工程においても、炉内温度が少なくとも焼成原料の酸化が起こる温度よりも高温にある間は、炉内酸素濃度を0.2%以下に維持することが好ましい。また、空気比を1以下に維持することが好ましい。
第三工程において、炉内温度が焼成原料の酸化が起こる温度以下になると(炭素材の場合は300℃以下)、バーナ11の燃焼および各ガスの導入を停止し、炉体10の扉10aを開けて、被焼成物90を炉外に取り出すことができる。この温度であれば、炉体10を大気開放しても、被焼成物90を構成する焼成原料が酸化を受けることはない。また、焼成により、バインダ等の有機物はほぼ完全に分解、燃焼等されており、被焼成物90中に残っていないので、可燃性ガスが炉外に排出されることもない。
以上のように、本焼成方法においては、気密性を有する大気炉を用い、焼成原料の酸化が起こらない比較的低温の状態で、炉内の酸素濃度を十分に低減したうえで、高温の領域において、炉内で発生した可燃性ガスを燃焼させながら、被焼成物90の焼成を行っている。これにより、焼成中の被焼成物90における焼成原料の酸化と、可燃性ガスの炉内への付着および炉外への排出を防いでいる。このような燃焼状態の制御は、炉内の温度と酸素濃度を指標として、不活性ガス(窒素ガス)の導入量と空気比を制御するという簡便な方法により、達成されている。焼成炉1は、ガス導入口13とガス排出口14を備えた気密性を有する炉体10と、炉体10の内部で直火燃焼を行うバーナ11とを主要部材とした簡素な構成よりなり、マッフルやラジアントチューブを用いる場合と比較して、被焼成物90の加熱のために用いる金属製部材も少量で済んでいる。このような簡素な構成の焼成炉1を用いて、上記のような制御を行う方法により、被焼成物90を構成する焼成原料の酸化およびバインダ等に由来する可燃性ガスの炉内への付着を抑えながら、被焼成物90の焼成を行うことができる。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
1 焼成炉
10 炉体
11 バーナ
13 ガス導入口
14 ガス排出口
90 被焼成物

Claims (6)

  1. 加熱によって焼成される焼成原料と、加熱によって可燃性ガスを発生させる有機物と、を含んでなる被焼成物を焼成する焼成方法において、
    外部からの気体の侵入を阻止する気密性を有した炉体内に前記被焼成物を収容し、不活性ガスと燃料ガスと空気とを導入しながら、前記炉体内で燃焼を行い、前記炉体内の酸素濃度を所定の基準濃度以下に下げる第一工程を実行し、
    前記第一工程において前記炉体内の温度が前記焼成原料の酸化が起こる温度に達する前に、第二工程への切り替えを行い、前記第二工程において、前記第一工程におけるよりも、前記不活性ガスの導入量を下げるとともに、空気比を下げることを特徴とする焼成方法。
  2. 前記第二工程において、前記炉体内の酸素濃度を、前記焼成原料の酸化が起こる濃度以下に維持することを特徴とする請求項1に記載の焼成方法。
  3. 前記第一工程から前記第二工程への切り替えを、前記炉体内の温度が、前記可燃性ガスが発生する温度に達する前に行うことを特徴とする請求項1または2に記載の焼成方法。
  4. 前記焼成原料が炭素材であり、前記第二工程の中で、少なくとも前記炉体内の温度が最高になる期間において、前記炉体内の酸素濃度を0.2%以下とすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の焼成方法。
  5. 被焼成物を収容することができる気密性の炉体と、
    前記炉体内に、不活性ガスを導入可能なガス導入口と、
    空気と燃料ガスを供給されて前記炉体内で燃焼を起こすバーナと、を有し、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の焼成方法を実施することを特徴とする焼成炉。
  6. 前記炉体内の酸素濃度を計測する酸素濃度計測器と、前記炉体内の温度を計測する温度計測器と、をさらに有することを特徴とする請求項5に記載の焼成炉。
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