JP2017037678A - 位置指示器 - Google Patents
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Abstract
【課題】より細いペン形状の位置指示器を実現できる。
【解決手段】位置検出装置との間で授受される信号に関与する回路が配設されている、細長形状の板状体からなる基板が、その長手方向が筐体の軸心方向となるように、筐体内に設けられる。シート状の誘電体の一方の面に第1の導電体層が形成されると共に、一方の面に対向する他方の面に、第1の導電体層とシート状誘電体を介して対向する第2の導電体層が形成され、基板の短辺以下の長さの短辺を有する細長形状のフィルム状コンデンサを用いる。フィルム状コンデンサは、その長手方向と、基板の長手方向とが同方向となり、かつ、基板の短辺の幅内に収まるような状態で、基板に固着して配設すると共に、フィルム状コンデンサの第1導電体層と第2の導電体層とが対向する面積を、フィルム状コンデンサを調整することにより変えることで、基板上の回路の定数を特定する。
【選択図】図6
【解決手段】位置検出装置との間で授受される信号に関与する回路が配設されている、細長形状の板状体からなる基板が、その長手方向が筐体の軸心方向となるように、筐体内に設けられる。シート状の誘電体の一方の面に第1の導電体層が形成されると共に、一方の面に対向する他方の面に、第1の導電体層とシート状誘電体を介して対向する第2の導電体層が形成され、基板の短辺以下の長さの短辺を有する細長形状のフィルム状コンデンサを用いる。フィルム状コンデンサは、その長手方向と、基板の長手方向とが同方向となり、かつ、基板の短辺の幅内に収まるような状態で、基板に固着して配設すると共に、フィルム状コンデンサの第1導電体層と第2の導電体層とが対向する面積を、フィルム状コンデンサを調整することにより変えることで、基板上の回路の定数を特定する。
【選択図】図6
Description
この発明は、座標入力装置と共に使用されるペン形状の位置指示器に関する。
コンデンサを含む時定数回路や共振回路などの電子回路においては、初期の段階で、コンデンサの静電容量を調整することで、電子機器特有の定数を持つように時定数を設定したり、共振周波数を特有の周波数に合わせ込むように共振条件を設定したりして、製品として調整をする。その際に、コンデンサの静電容量は、トリマーコンデンサなどで調整が行われている。
また、電磁誘導方式の座標入力装置は、例えば特許文献1(特開2002−244806号公報)に開示されているように、多数のループコイルを座標軸のX軸方向及びY軸方向に配設してなるセンサと、コイルとコンデンサとからなる共振回路を有するペン形状の位置指示器とからなり、位置指示器とセンサとの間での電磁誘導作用に基づいて、位置指示器により指示された位置のX軸方向及びY軸方向の座標値を検出するものである。X軸方向及びY軸方向は、例えばセンサにおいて、多数のループコイルを配設する基板の横方向及び縦方向とされる。
位置指示器の共振回路の共振周波数は、センサからの周波数信号に共振するように選定される。従来、この共振周波数の選定のために、共振回路を構成するコンデンサの少なくとも一部に、その静電容量を調整するための調整子を備えるトリマーコンデンサを用い、その調整子を操作して、所定の共振周波数になるようにトリマーコンデンサの静電容量を調整している。
また、トリマーコンデンサを設ける代わりに、複数個のチップコンデンサを予め設けておき、それらの複数個のチップコンデンサのうち、無効とするチップコンデンサは、回路との接続を切断するようにして、有効とするチップコンデンサの数を選定することで、所定の共振周波数になるように調整する方法も用いられている。
ところで、電子機器の電子回路の時定数回路や共振回路は、上記のように初期設定をして出荷される。この初期設定においては、上述したようにトリマーコンデンサが従来から使用されている。しかし、近年の携帯電話端末、PDA(Personal Digital Assistants)端末、タブレット端末などの電子機器等は小型化が進み、その内部の電子回路の占める割合も小さくする必要が生じている。そのような要請がある中で、トリマーコンデンサは大きさが比較的大きく、小型化の障害となっていた。
一方、携帯電話端末やパッド型パソコンなどの小型の携帯機器のユーザインターフェース手段として、上記の電磁誘導方式の座標入力装置の適用が進んでいる。このような小型の電子機器用の座標入力装置と共に使用する位置指示器は、より細いペン形状のものが要求されている。
しかしながら、従来の位置指示器の場合、使用されているトリマーコンデンサは比較的大きく、複数のチップコンデンサを用いる場合も、大きな設置スペースを必要とし、位置指示器を細いペン形状とする際の支障となっていた。
また、トリマーコンデンサは個々に調整することが必要であるため、依然として手間がかかるものとなっていた。
この発明は、以上の問題点を解決した位置指示器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、この発明は、
位置検出装置に対して位置指示するための位置指示器であって、
中空部を有する筒状の筐体と、
細長形状の板状体からなり、前記筐体の前記中空の部分内に、前記板状体の長手方向が前記筐体の軸心方向となるように配置され、前記位置検出装置との間で授受される信号に関与する回路が配設されている基板と、
シート状の誘電体の一方の面に第1の導電体層が形成されると共に、前記一方の面に対向する他方の面に、前記第1の導電体層と前記シート状の誘電体を介して対向する第2の導電体層が形成され、前記基板の短辺以下の長さの短辺を有する細長形状のフィルム状コンデンサと、
を備え、
前記基板には、前記フィルム状コンデンサの前記第1の導電体層と接続される第1の導体と、前記フィルム状コンデンサの前記第2の導電体層と接続される第2の導体とが形成されており、
前記フィルム状コンデンサは、前記基板の長手方向と前記フィルム状コンデンサの長手方向とが同方向となり、かつ、前記基板の短辺の幅内に収まるような状態で、前記第1の導電体層が前記基板の前記第1の導体と接続されると共に、前記第2の導電体層が前記基板の前記第2の導体と接続されて、前記基板に取り付けられており、
前記フィルム状コンデンサの前記第1導電体層と前記第2の導電体層とが対向する面積を、前記フィルム状コンデンサを調整することにより前記フィルム状コンデンサの静電容量を変えることで、前記基板に配設される前記回路の定数を特定するようにした
ことを特徴とする位置指示器を提供する。
位置検出装置に対して位置指示するための位置指示器であって、
中空部を有する筒状の筐体と、
細長形状の板状体からなり、前記筐体の前記中空の部分内に、前記板状体の長手方向が前記筐体の軸心方向となるように配置され、前記位置検出装置との間で授受される信号に関与する回路が配設されている基板と、
シート状の誘電体の一方の面に第1の導電体層が形成されると共に、前記一方の面に対向する他方の面に、前記第1の導電体層と前記シート状の誘電体を介して対向する第2の導電体層が形成され、前記基板の短辺以下の長さの短辺を有する細長形状のフィルム状コンデンサと、
を備え、
前記基板には、前記フィルム状コンデンサの前記第1の導電体層と接続される第1の導体と、前記フィルム状コンデンサの前記第2の導電体層と接続される第2の導体とが形成されており、
前記フィルム状コンデンサは、前記基板の長手方向と前記フィルム状コンデンサの長手方向とが同方向となり、かつ、前記基板の短辺の幅内に収まるような状態で、前記第1の導電体層が前記基板の前記第1の導体と接続されると共に、前記第2の導電体層が前記基板の前記第2の導体と接続されて、前記基板に取り付けられており、
前記フィルム状コンデンサの前記第1導電体層と前記第2の導電体層とが対向する面積を、前記フィルム状コンデンサを調整することにより前記フィルム状コンデンサの静電容量を変えることで、前記基板に配設される前記回路の定数を特定するようにした
ことを特徴とする位置指示器を提供する。
上記の構成のこの発明においては、フィルム状コンデンサが回路の一部を構成するように基板に固着される。そして、そのフィルム状コンデンサを、例えば鋏で切断、レーザトリミングでパターンを切除するなどして、調整することにより、第1導電体層と第2の導電体層とが対向する面積が変えられ、その結果、フィルム状コンデンサの静電容量が変えられて、回路の定数、例えば共振周波数が特定される。
この発明による位置指示器によれば、切断などにより調整されたフィルム状コンデンサを用いるので、このフィルム状コンデンサを、棒状の筒状体の中空の部分内に収容するように構成することにより、細いペン形状の位置指示器にも容易に対応することができる。
この発明によれば、回路の共振周波数などの定数を特定するためのコンデンサは、フィルム状コンデンサを用いたので、切断などによりこのフィルム状コンデンサを調整することにより、回路の定数を容易に特定することができる。そして、フィルム状コンデンサは、細いペン形状の棒状の筒状体の中空の部分内に収容することが容易であるので、細いペン形状の位置指示器を容易に実現することができる。
[第1の実施形態]
図1は、この発明による位置指示器の第1の実施形態を説明するための図である。また、図2は、この第1の実施形態の位置指示器100を用いる電子機器200の一例を示すもので、この例では、電子機器200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備える高機能携帯電話端末であり、表示画面200Dの裏部に、電磁誘導方式の位置検出装置202を備えている。
図1は、この発明による位置指示器の第1の実施形態を説明するための図である。また、図2は、この第1の実施形態の位置指示器100を用いる電子機器200の一例を示すもので、この例では、電子機器200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置の表示画面200Dを備える高機能携帯電話端末であり、表示画面200Dの裏部に、電磁誘導方式の位置検出装置202を備えている。
そして、この例の電子機器200の筐体には、ペン形状の位置指示器100を収納する収納凹穴201を備えている。使用者は、必要に応じて、収納凹穴201に収納されている位置指示器100を、電子機器200から取り出して、表示画面200Dで位置指示操作を行う。
電子機器200においては、表示画面200D上で、ペン形状の位置指示器100により位置指示操作がされると、表示画面200Dの裏部に設けられた位置検出装置202が、位置指示器100で操作された位置及び筆圧を検出し、電子機器200の位置検出装置202が備えるマイクロコンピュータが、表示画面200Dでの操作位置及び筆圧に応じた表示処理を施す。
図1(A)は、この実施形態の位置指示器100の全体の概要を示すものである。また、図1(B)は、この実施形態の位置指示器100の縦断面図である。
図1に示すように、位置指示器100は、軸芯方向に細長であって、一方が閉じられた有底の円筒状の筐体を構成するケース101を備える。このケース101は、図1(B)に示すように、例えば樹脂などからなる第1のケース102と第2のケース103とから構成され、これら第1のケース102と第2のケース103とが、同心円状に組み合わされる構成とされている。この場合、図1(B)に示すように、第2のケース103が、第1のケース102の内側になるようにして両者が組立結合される。
第1のケース102の軸方向の一端側がペン形状の位置指示器のペン先側とされており、この第1のケース102のペン先側には、突出部材(ペン先部材)104を外部に突出させるための貫通孔105を備える。
そして、位置指示器100のケース101の第1のケース102内のペン先側には、図1(B)に示すように、突出部材104をその一部が貫通孔105を通じて突出させる状態で収納させる。そして、この突出部材104の突出側とは反対側には、インダクタンス素子の一例としての位置指示コイル106が巻回された磁性材料の一例としてのフェライトコア107が配設される。フェライトコア107は、円柱状形状を備える。
そして、第1のケース102内の、位置指示コイル106が巻回されたフェライトコア107のペン先側とは反対側には、第1のケース102の内径よりも狭い幅を有し、細長の矩形形状のプリント配線基板108が配設される。位置指示コイル106の一端及び他端は、このプリント配線基板108に形成されている導体パターン109,110に、例えば半田付けされる。
このプリント配線基板108には、押下されたときにオンとなり、押下を停止するとオフに戻るプッシュスイッチ111が設けられると共に、位置指示コイル106と共振回路を構成するコンデンサ112,113及びフィルム状コンデンサ114が設けられる。更に、プリント配線基板108には、図示を省略する導体パターンが形成され、コンデンサ112及びフィルム状コンデンサ114が位置指示コイル106に並列に接続されると共に、コンデンサ113とプッシュスイッチ111とが直列に接続され、そのコンデンサ113とプッシュスイッチ111との直列回路が、位置指示コイル106に並列に接続される。
そして、この例では、位置指示器100のケース101(第1のケース102)の側周面の、プッシュスイッチ111に対応する位置には貫通孔115が穿かれており、押下操作子116が、この貫通孔115を通じて当該プッシュスイッチ111を押下することができるようにケース101に対して取り付けられている。この場合、押下操作子116によるプッシュスイッチ111の押下操作に対しては、位置検出装置202を備える電子機器200側で所定の機能が割り当て設定される。例えば、この例の電子機器200においては、押下操作子116によるプッシュスイッチ111の押下操作は、マウスなどのポインティングデバイスにおけるクリック操作と同様の操作として割り当て設定される。
共振回路の一部を構成するコンデンサ112,113は、この例ではチップ部品としてプリント配線基板108に配設される。また、共振回路の一部を構成するフィルム状コンデンサ114は、後述するような構成のシート状のコンデンサであり、後述するようにしてプリント配線基板108に配設される。そして、この実施形態では、後述するように、このフィルム状コンデンサ114の大きさ、この例では、長手方向の長さが変えられることで、その静電容量が調整されて、共振回路の共振周波数が調整される。
なお、プリント配線基板108は、第1のケース102の内壁面により保持されるように構成されている。そして、第1のケース102内において、プリント配線基板108のペン先側とは反対側は、中空空間117とされ、後述するように、フィルム状コンデンサ114は、その大部分がその中空空間117に位置するように構成されている。
[電子機器200における位置検出のための回路構成]
次に、上述の実施形態の位置指示器100を用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う電子機器200の位置検出装置202における回路構成例について、図3を参照して説明する。図3は、位置指示器100及び電子機器200が備える位置検出装置202の回路構成例を示すブロック図である。
次に、上述の実施形態の位置指示器100を用いて指示位置の検出および筆圧の検出を行う電子機器200の位置検出装置202における回路構成例について、図3を参照して説明する。図3は、位置指示器100及び電子機器200が備える位置検出装置202の回路構成例を示すブロック図である。
位置指示器100は、前述したように共振回路118を備える。この共振回路118は、図3に示すように、インダクタンス素子としての位置指示コイル106と、チップ部品により構成されるコンデンサ112と、フィルム状コンデンサ114とが互いに並列に接続されると共に、プッシュスイッチ111とチップ部品からなるコンデンサ113との直列回路が、さらに並列に接続されて構成される。
この場合、プッシュスイッチ111のオン・オフに応じて、コンデンサ113の、並列共振回路118への接続が制御され、共振周波数が変化する。位置検出装置202では、後述するように、位置指示器100からの信号の位相変化を検出することより周波数変化を検出して、プッシュスイッチ111が押されたか否かを検出するようにする。
電子機器200の位置検出装置202には、X軸方向ループコイル群211Xと、Y軸方向ループコイル群211Yとが積層されて位置検出コイルが形成されている。各ループコイル群211X,211Yは、例えば、それぞれn,m本の矩形のループコイルからなっている。各ループコイル群211X,211Yを構成する各ループコイルは、等間隔に並んで順次重なり合うように配置されている。
また、位置検出装置202には、X軸方向ループコイル群211X及びY軸方向ループコイル群211Yが接続される選択回路213が設けられている。この選択回路213は、2つのループコイル群211X,211Yのうちの一のループコイルを順次選択する。
さらに、位置検出装置202には、発振器221と、電流ドライバ222と、切り替え接続回路223と、受信アンプ224と、検波器225と、低域フィルタ226と、サンプルホールド回路227と、A/D変換回路228と、同期検波器229と、低域フィルタ230と、サンプルホールド回路231と、A/D変換回路232と、処理制御部233とが設けられている。処理制御部233は、マイクロコンピュータにより構成されている。
発振器221は、周波数f0の交流信号を発生する。そして、発振器221は、発生した交流信号を、電流ドライバ222と同期検波器229に供給する。電流ドライバ222は、発振器221から供給された交流信号を電流に変換して切り替え接続回路223へ送出する。切り替え接続回路223は、処理制御部233からの制御により、選択回路213によって選択されたループコイルが接続される接続先(送信側端子T、受信側端子R)を切り替える。この接続先のうち、送信側端子Tには電流ドライバ222が、受信側端子Rには受信アンプ224が、それぞれ接続されている。
選択回路213により選択されたループコイルに発生する誘導電圧は、選択回路213及び切り替え接続回路223を介して受信アンプ224に送られる。受信アンプ224は、ループコイルから供給された誘導電圧を増幅し、検波器225及び同期検波器229へ送出する。
検波器225は、ループコイルに発生した誘導電圧、すなわち受信信号を検波し、低域フィルタ226へ送出する。低域フィルタ226は、前述した周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、検波器225の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路227へ送出する。サンプルホールド回路227は、低域フィルタ226の出力信号の所定のタイミング、具体的には受信期間中の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路228へ送出する。A/D変換回路228は、サンプルホールド回路227のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部233に出力する。
一方、同期検波器229は、受信アンプ224の出力信号を発振器221からの交流信号で同期検波し、それらの間の位相差に応じたレベルの信号を低域フィルタ230に送出する。この低域フィルタ230は、周波数f0より充分低い遮断周波数を有しており、同期検波器229の出力信号を直流信号に変換してサンプルホールド回路231に送出する。このサンプルホールド回路231は、低域フィルタ230の出力信号の所定のタイミングにおける電圧値を保持し、A/D(Analog to Digital)変換回路232へ送出する。A/D変換回路232は、サンプルホールド回路231のアナログ出力をディジタル信号に変換し、処理制御部233に出力する。
処理制御部233は、位置検出装置202の各部を制御する。すなわち、処理制御部233は、選択回路213におけるループコイルの選択、切り替え接続回路223の切り替え、サンプルホールド回路227、231のタイミングを制御する。処理制御部233は、A/D変換回路228、232からの入力信号に基づき、X軸方向ループコイル群211X及びY軸方向ループコイル群212Yから一定の送信継続時間をもって電波を送信させる。
X軸方向ループコイル群211X及びY軸方向ループコイル群212Yの各ループコイルには、位置指示器100から送信される電波によって誘導電圧が発生する。処理制御部233は、この各ループコイルに発生した誘導電圧の電圧値のレベルに基づいて位置指示器100のX軸方向及びY軸方向の指示位置の座標値を算出する。また、処理制御部233は、送信した電波と受信した電波との位相差に応じた信号のレベルに基づいて、プッシュスイッチ111が押下されたか否かを検出する。
このようにして、位置検出装置202では、接近した位置指示器100の位置を処理制御部233で検出することができる。しかも、受信した信号の位相(周波数偏移)を検出することにより、位置指示器100で押下操作部116が押下されたか否かを検出することができる。
[フィルム状コンデンサ114の構成例:図4]
図4は、第1の実施形態の位置指示器100で用いられるフィルム状コンデンサ114の構成例を示す図であり、図4(A)は、その外観構成図、図4(B)は、図4(A)におけるA−A線断面の拡大図である。
図4は、第1の実施形態の位置指示器100で用いられるフィルム状コンデンサ114の構成例を示す図であり、図4(A)は、その外観構成図、図4(B)は、図4(A)におけるA−A線断面の拡大図である。
フィルム状コンデンサ114は、厚さt1が、例えば12〜25μm(ミクロン)の矩形のシート状の誘電体10(以下、誘電体シート10という)の一方の面10a側及び他方の面10b側に、導電体層11及び12が、互いに対向するように形成されたものである。導電体層11及び12は、誘電体シート10を介して互いに対向するものであり、フィルム状コンデンサ114の一方及び他方の電極を構成する。この例では、フィルム状コンデンサ114を構成する誘電体シート10は、幅W1が例えば2〜3mmで、長手方向の長さLが例えば15mmとされた帯状に構成されている。
誘電体シート10は、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリイミドなどの誘電体材料で構成される。後述の実施形態における誘電体シートも同様に構成される。また、導電体層11及び12は、例えばアルミニウムやニッケルクロムからなる導電体材料が、誘電体シート10に蒸着されて形成される。この導電体層11及び12の厚さt2及びt3は、例えば約1000Åとされる。後述の実施形態における導電体層も同様の厚さで形成される。
この例においては、誘電体シート10の一方の面10a側に形成されている導電体層11は、誘電体シート10の端縁よりも距離d1以上、内側に形成される。一方、この例では、誘電体シート10の他方の面10b側には、その端縁にまで渡る全面に導電体層12が形成されている。
上記のように導電体層11を誘電体シート10の端縁にまで渡って形成しないようにしたのは、湿度により、フィルム状コンデンサ114の静電容量が変化してしまわないようにするためである。すなわち、導電体層11及び12の両方とも、誘電体シート10の端縁にまで渡って形成した場合、図4(B)の断面図において、模式的に示したように、誘電体シート10の厚み方向の端面10cに、湿度のために水滴13が付着したとき、その水滴13を通じて導電体層11と導電体層12とが接続されてしまう恐れがある。水の誘電率は、空気の誘電率の80倍以上であるので、このように湿度により水滴13が付着した場合と、水滴13が付着していない場合とで、フィルム状コンデンサ114の静電容量が大きく変化してしまう。
これに対して、導電体層11が、距離d1だけ、誘電体シート10の端縁から内側に形成するようにした場合には、水滴13が付着しても、導電体層11と導電体層12とは水滴13を介して接続されることはなくなるので、湿度によるフィルム状コンデンサ114の静電容量の変化を抑えることができる。なお、距離d1は、例えば0.2mm以上であることが好ましい。
なお、上述のような湿度対策のためには、誘電体シート10の一方の面10aまたは他方の面10bの少なくとも一方側の導電体層を、誘電体シート10の端縁から距離d1以上、内側に形成するようにすればよい。もっとも、誘電体シート10の一方の面10a及び他方の面10bの両方の導電体層11及び導電体層12を、誘電体シート10の端縁から距離d1以上、内側に形成するようにすれば、静電容量の湿度による変化をより少なくすることができる。
[フィルム状コンデンサ114のプリント配線基板108への固着例:図5、図6]
図5は、プリント配線基板108の、フィルム状コンデンサ114を取り付ける部分の構成例を説明するための図である。この例においては、プリント配線基板108は、例えば幅W2が、例えば2〜3mmの細長の矩形の基板とされている。そして、この例では、図6に示すように、フィルム状コンデンサ114の幅W1は、プリント配線基板108の幅W2よりも狭く選定されている。そして、フィルム状コンデンサ114は、図1に示したように、このプリント配線基板108の、ペン先側とは反対側の端部108eに固着される。図5(A),(B)は、このプリント配線基板108の端部108eにおける導体パターンの構成例を示すものである。
図5は、プリント配線基板108の、フィルム状コンデンサ114を取り付ける部分の構成例を説明するための図である。この例においては、プリント配線基板108は、例えば幅W2が、例えば2〜3mmの細長の矩形の基板とされている。そして、この例では、図6に示すように、フィルム状コンデンサ114の幅W1は、プリント配線基板108の幅W2よりも狭く選定されている。そして、フィルム状コンデンサ114は、図1に示したように、このプリント配線基板108の、ペン先側とは反対側の端部108eに固着される。図5(A),(B)は、このプリント配線基板108の端部108eにおける導体パターンの構成例を示すものである。
すなわち、プリント配線基板108の端部108eの一方の面(表面)108sには、図5(A)に示すように、矩形のランドパターン21と、このランドパターン21に連続的に接続されている導体パターン22が形成されると共に、スルーホール23と、このスルーホール23に接続されている導体パターン24が形成されている。また、プリント配線基板108の端部108eの他方の面(裏面)108rには、図5(B)に示すように、ランドパターン21と対向する位置に設けられた矩形のランドパターン25と、このランドパターン25とスルーホール23とを接続するための導体パターン26とが形成されている。
プリント配線基板108の表面108s側のランドパターン21は、導体パターン22を通じて、位置指示コイル106の一端が接続されている導体パターン109に電気的に接続される。また、プリント配線基板108の裏面108r側のランドパターン25は、導体パターン26−スルーホール23−導体パターン24を通じて、位置指示コイル106の他端が接続されている導体パターン110に電気的に接続されている。
そして、この例では、図6に示すように、プリント配線基板108の端部108eの表面108s側に、フィルム状コンデンサ114の長手方向の一端側が、プリント配線基板108の長手方向と、フィルム状コンデンサ114の長手方向とが同方向となり、かつ、前記基板の短辺の幅内に収まるような状態で、導電性材料、例えば導電性金属からなる圧着クリップ31により固着されて取り付けられる。すなわち、図6(A)のB−B断面の拡大図である図6(B)に示すように、フィルム状コンデンサ114の一端側とプリント配線基板108とが、圧着クリップ31により圧着挟持される。このとき、図6(A)に示すように、フィルム状コンデンサ114の長手方向の他端側は、何処にも接続されていない遊端となる。なお、フィルム状コンデンサ114の長手方向の一端部とプリント配線基板108との間は、導電性接着材により更に接着しておくようにしても良い。
そして、この例の場合、図6(A),(B)に示すように、フィルム状コンデンサ114は、誘電体シート10の他方の面10b側の導電体層12が、プリント配線基板108の表面108s側のランドパターン21と当接して、電気的に接続される。また、フィルム状コンデンサ114の誘電体シート10の一方の面10a側の導電体層11は、導電性金属からなる圧着クリップ31を通じて、プリント配線基板108の裏面108r側のランドパターン25と電気的に接続される。
したがって、フィルム状コンデンサ114の一方の電極及び他方の電極である導電体層11及び12が、位置指示コイル106の一方及び他方の端部に接続されて、フィルム状コンデンサ114が、位置指示コイル106に並列に接続される。
そして、以上のようにして、プリント配線基板108の端部108eに、フィルム状コンデンサ114を固着した後、フィルム状コンデンサ114の遊端である長手方向の他端側を、例えば鋏などにより図6(A)で点線の切り取り線14a、14bで示すように、長手方向に直交する方向に切断することにより、導電体層11と導電体層12の対向する面積を変えて、フィルム状コンデンサ114の静電容量を可変させ、これにより、共振回路118の共振周波数が所望の周波数となるように調整するようにする。
この場合、フィルム状コンデンサ114を切断することにより、その切断部においては、導電体層11は、誘電体シート10の端縁と同一位置となる。このため、前述した水滴が付着したときの静電容量の変動の問題が生じるが、フィルム状コンデンサ114の切断面は、この例では、短辺方向であるので、前述したように2mm程度で短く、その影響は小さい。
上述した第1の実施形態によれば、共振回路の共振周波数の調整用のコンデンサとしてフィルム状コンデンサ114を用い、プリント配線基板108に固着したこのフィルム状コンデンサ114を切断することにより大きさを変えて、導電体層11と導電体層12の対向面積を変えることにより、前記共振周波数の調整ができる。したがって、従来のようなトリマーコンデンサや複数個のコンデンサをプリント配線基板に設ける必要がなく、且つ、フィルム状コンデンサは、位置指示器100のケース101内の中空部に収納することができる大きさにすることができるので、細いペン形状の位置指示器100を実現することが容易になる。
また、上述した第1の実施形態では、導電性材料からなる圧着クリップ31により、プリント配線基板108にフィルム状コンデンサを固着するようにするので、半田付けをする必要がなく、このため、フィルム状コンデンサ114の誘電体シート10として、熱に弱い材料を用いることができる。
[第2の実施形態:図7]
この第2の実施形態は、圧着クリップを用いずに、フィルム状コンデンサをプリント配線基板に固着する例である。この第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したフィルム状コンデンサ114をそのまま使用することができる。ただし、この第2の実施形態では、誘電体シート10は、熱に強い例えばポリイミドにより構成される。その他は、上述した第1の実施形態のフィルム状コンデンサ114と全く同様の構成を有する。
この第2の実施形態は、圧着クリップを用いずに、フィルム状コンデンサをプリント配線基板に固着する例である。この第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したフィルム状コンデンサ114をそのまま使用することができる。ただし、この第2の実施形態では、誘電体シート10は、熱に強い例えばポリイミドにより構成される。その他は、上述した第1の実施形態のフィルム状コンデンサ114と全く同様の構成を有する。
図7は、この第2の実施形態におけるフィルム状コンデンサ114のプリント配線基板への固着例を示す図である。この第2の実施形態のプリント配線基板108Aは、上述した第1の実施形態のプリント配線基板108と、その端部108eの導体パターンの構成を除き、全く同様の構成を備える。そして、この第2の実施形態の位置指示器は、フィルム状コンデンサ114をプリント配線基板108Aに固着する部分の構成が異なるのみで、その他は、第1の実施形態の位置指示器100と全く同様の構成とされる。そこで、この第2の実施形態の説明において、第1の実施形態の位置指示器100と同一部分については、第1の実施形態と同一の参照符号を用いるものとする。
図7(A)は、プリント配線基板108Aの端部108eにフィルム状コンデンサ114が取り付けられた状態を示す斜視図であり、図7(B)は、図7(A)のC−C断面図である。
この第2の実施形態のプリント配線基板108Aの端部108eにおいては、図7(B)に示すように、その表面108s側にのみランドパターン21及び導体パターン22、24が形成され、第1の実施形態の場合のスルーホール23や裏面108r側のランドパターン25及び導体パターン26は形成されない。
そして、図7(A),(B)に示すように、プリント配線基板108よりも幅狭のフィルム状コンデンサ114は、その長手方向の一端部において、プリント配線基板108の長手方向と、フィルム状コンデンサ114の長手方向とが同方向となり、かつ、プリント配線基板108の幅内に収まるような状態で、図示を省略した導電性接着材により、プリント配線基板108Aの端部108eに接着される。この場合、第1の実施形態と同様に、フィルム状コンデンサ114の誘電体シート10の他方の面10b側に形成されている導電体層12が、プリント配線基板108Aの表面108sに形成されているランドパターン21と接触して電気的に接続される状態となる。したがって、フィルム状コンデンサ114の導電体層12は、ランドパターン21に連続的に接続されている導体パターン22を通じて、位置指示コイル106の一方の端部と接続される。
そして、この第2の実施形態においては、プリント配線基板108Aの表面108sに形成されていて、位置指示コイル106の他方の端部と接続されている導体パターン24は、金線32により、フィルム状コンデンサ114の誘電体シート10の一方の面10a側に形成されている導電体層11とワイヤボンディングされて電気的に接続される。なお、図7(A)、(B)に示すように、金線32は、半田33により導体パターン24と接続され、半田34によりフィルム状コンデンサ114の導電体層11と接続されている。
この第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、プリント配線基板108Aに固着されたフィルム状コンデンサ114の遊端側を、例えば鋏などにより図7(A)で点線の切り取り線14a、14bで示すように切断することにより、導電体層11と導電体層12の対向する面積を変えて、共振回路118の共振周波数が所望の周波数となるように調整する。
この第2の実施形態によれば、フィルム状コンデンサ114とプリント配線基板108Aとの接続は、プリント配線基板108Aの表面108s側でのみ行うことができ、接続及び固着作業が容易である。
[第3の実施形態:図8、図9]
第3の実施形態は、上述した第1の実施形態におけるプリント配線基板108の端部108eと、フィルム状コンデンサ114の構成とが異なるのみで、その他は、第1の実施形態と全く同様である。この第3の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一部分については同一の参照符号を用いて説明することとする。
第3の実施形態は、上述した第1の実施形態におけるプリント配線基板108の端部108eと、フィルム状コンデンサ114の構成とが異なるのみで、その他は、第1の実施形態と全く同様である。この第3の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一部分については同一の参照符号を用いて説明することとする。
図8(A),(B)は、第3の実施形態の位置指示器におけるプリント配線基板108Bの端部108eの構成例を示すものである。また、図8(C),(D)は、第3の実施形態におけるフィルム状コンデンサ114Bの構成例を示すものである。更に、図9(A)は、第3の実施形態におけるプリント配線基板108Bに対して、フィルム状コンデンサ114Bを取り付ける方法の一例を説明するための図であり、図9(B)は、図9(A)の縦断面図に対応する。
この第3の実施形態のプリント配線基板108Bは、図8(A),(B)に示すように、第1の実施形態と同様に、表面108s側には、ランドパターン21と、このランドパターン21と連続的に接続され、位置指示コイル106の一方の端部に接続されている導体パターン22と、スルーホール23に接続されていると共に、位置指示コイル106の他方の端部に接続されている導体パターン24が形成されている。
そして、このプリント配線基板108Bの端部108eには、ランドパターン21とスルーホール23との間において、プリント配線基板108Bの幅方向(短辺方向)に、所定の長さの切れ込み溝27が形成される。
更に、このプリント配線基板108Bの裏面108r側には、スルーホール23に接続されているランドパターン28が形成されている。このランドパターン28は、第1の実施形態のランドパターン25とは異なり、ランドパターン21と対向する位置ではなく、切り込み溝27よりもペン先側の位置に形成される。
一方、この第3の実施形態におけるフィルム状コンデンサ114Bは、図8(C),(D)に示すように、第1の実施形態と同様に、誘電体シート10の一方の面10a側に導電体層11が形成されていると共に、誘電体シート10の他方の面10b側に導電体層12が形成されている。ただし、この第3の実施形態におけるフィルム状コンデンサ114Bの、プリント配線基板108Bの端部108eと接続する一端側には、当該フィルム状コンデンサ114Bの幅方向(短辺方向)に、所定の長さの切れ込み溝15が形成される。
そして、第3の実施形態においては、図9に示すように、プリント配線基板108の長手方向と、フィルム状コンデンサ114の長手方向とが同方向となり、かつ、プリント配線基板108の幅内に収まるような状態で、プリント配線基板108Bの切れ込み溝27に、フィルム状コンデンサ114Bの切れ込み溝15を係合させて、プリント配線基板108Bに対してフィルム状コンデンサ114Bを交差させるように組み合わせる。
そして、図9(B)に示すように、プリント配線基板108Bの表面108sの切り込み溝27よりも端部108eの先端側のランドパターン21の上と、プリント配線基板108Bの裏面108rの切り込み溝27よりもペン先側のランドパターン28の上とに導電性接着材35,36をそれぞれ塗布すると共に、フィルム状コンデンサ114BをS字状に折り曲げて、それぞれ導電性接着材35,36によりフィルム状コンデンサ114Bをプリント配線基板108Bに対して接着固定する。
図9の例の場合、フィルム状コンデンサ114Bの長手方向において切り込み溝15よりも一端側は、誘電体シート10の一方の面10a側に形成された導電体層11がプリント配線基板108Bのランドパターン28と導電性接着材36により接着されて電気的に接続される。また、フィルム状コンデンサ114Bの長手方向において切り込み溝15よりも他端(遊端)側は、誘電体シート10の他方の面10b側に形成された導電体層12が、プリント配線基板108Bのランドパターン21と導電性接着材35により接着されて電気的に接続される。
したがって、この第3の実施形態においても、フィルム状コンデンサ114Bは、位置指示コイル106と並列に接続されることになる。そして、この第3の実施形態においても、フィルム状コンデンサ114Bの遊端側を、例えば鋏などにより図9(A)で点線の切り取り線14a、14bで示すように、長手方向に直交する方向に切断することにより、フィルム状コンデンサ114の静電容量を可変させ、これにより、共振回路118の共振周波数が所望の周波数となるように調整することができる。
[第4の実施形態:図10〜図12]
上述の第1〜第3の実施形態では、位置指示器100の共振回路118において、プッシュスイッチ111がオフであるときの共振周波数の調整を、フィルム状コンデンサ114を用いて行うようにした。
上述の第1〜第3の実施形態では、位置指示器100の共振回路118において、プッシュスイッチ111がオフであるときの共振周波数の調整を、フィルム状コンデンサ114を用いて行うようにした。
しかし、プッシュスイッチ111がオンとなったときの共振回路118の共振周波数も、調整が必要である。この第4の実施形態は、プッシュスイッチ111と直列に接続されるコンデンサ113も、フィルム状コンデンサで構成するようにして、プッシュスイッチ111がオフであるときの共振回路118の共振周波数のみならず、プッシュスイッチ111がオンとなったときの共振回路118の共振周波数をも独立して調整することができるようにする場合である。
この第4の実施形態は、上述した第1の実施形態におけるプリント配線基板108の端部108eの構成と、フィルム状コンデンサの構成とが異なるのみで、その他は、第1の実施形態と全く同様である。この第4の実施形態において、上述した第1の実施形態と同一部分には、同一の参照符号を用いて説明することとする。
図10(A),(B)は、第4の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300の構成例を示すものである。また、図11(A),(B)は、第4の実施形態におけるプリント配線基板108Cの端部108eの構成例を示すものである。また、図12(A)〜(C)は、第4の実施形態におけるプリント配線基板108Cに対して、フィルム状コンデンサ300を取り付ける方法を説明するための図である。
第4の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300は、図10(A)及び(B)に示すように、矩形の細長の誘電体シート310の長手方向のほぼ中央位置に、誘電体シート310の幅方向(短辺方向)に所定の長さを有する切れ込み溝311を有する。
そして、誘電体シート310の一方の面310a側には、図10(A)に示すように、誘電体シート310の長手方向において、切れ込み溝311の部分の両側に、電気的に非接続状態とされて互いに独立となる第1の導電体層312及び第2の導電体層313が形成される。第1及び第2の導電体層312及び313は、第1の実施形態で説明したように、湿度対策のために、誘電体シート310の端縁から前述した距離d1以上内側の領域に形成されている。また、誘電体シート310の他方の面310bには、その全面に渡って第3の導電体層314が形成されている。
誘電体シート310及び導電体層312〜314は、第1の実施形態における誘電体シート10及び導電体層11,12と同様に構成される。
以上の構成により、フィルム状コンデンサ300においては、導電体層312と導電体層314とが誘電体シート310を挟んで対向することにより、第1のコンデンサを構成し、導電体層313と導電体層314とが誘電体シート310を挟んで対向することにより、第2のコンデンサを構成する。この例においては、第1のコンデンサは、図3の共振回路118におけるコンデンサ114を構成し、第2のコンデンサは、図3の共振回路118におけるコンデンサ113を構成する。
そして、第4の実施形態のプリント配線基板108Cの表面108s側には、図11(A)に示すように、ランドパターン41と、このランドパターン41と連続的に接続されている導体パターン42と、スルーホール43と、このスルーホール43に接続されている導体パターン44が形成されている。導体パターン42は、プッシュスイッチ111の、コンデンサ113と接続されている一方の端部に接続されている。また、導体パターン44は、位置指示コイル106の一方の端部に接続されていると共に、プッシュスイッチ111の他方の端部に接続されている。
そして、このプリント配線基板108Cの端部108eには、ランドパターン41とスルーホール43との間において、プリント配線基板108Cの幅方向(短辺方向)に、所定の長さの切れ込み溝45が形成される。そして、この切れ込み溝45の部分から導体パターン46が形成されている。この導体パターン46は、位置指示コイル106の他方の端部に接続されている。
また、第4の実施形態のプリント配線基板108Cの裏面108r側には、図11(B)に示すように、ランドパターン47が形成されていると共に、このランドパターン47とスルーホール43とを接続する導体パターン48が形成されている。ランドパターン47は、プリント配線基板108Cの表面108s側のランドパターン41と対向する位置に形成される。
そして、この第4の実施形態では、図12(A)に示すように、プリント配線基板108Cの切れ込み溝45に、フィルム状コンデンサ300の切れ込み溝311を係合させて、プリント配線基板108Cに対してフィルム状コンデンサ300を交差させるように組み合わせる。この場合に、切り込み溝311を折り曲げ中心として、フィルム状コンデンサ300を、プリント配線基板108Cの端部108e側にU字状に折り曲げたとき、図12(A)に示すように、導電体層312と、導電体層313とが対面するように、組み合わせられる。
そして、図12(B)及び(C)に示すように、切り込み溝311を折り曲げ中心として、フィルム状コンデンサ300をプリント配線基板108Cの端部108e側にU字状に折り曲げ、導電体層312を、プリント配線基板108Cの裏面108r側のランドパターン47に接触させ、また、導電体層313を、プリント配線基板108Cの表面108s側のランドパターン41に接触させるようにする。
そして、導電体層312を、プリント配線基板108Cの裏面108r側のランドパターン47に接触させると共に、導電体層313を、プリント配線基板108Cの表面108s側のランドパターン41に接触させた状態を保持するように、プリント配線基板108Cを挟んだフィルム状コンデンサ300の部分を、導電性材料、例えば導電性金属からなる圧着クリップ50により、圧着挟持保持するようにする。さらに、この導電性金属からなる圧着クリップ50と、導体パターン46との間を電気的に接続するように半田49により半田付けする。
この場合に、予め、導電体層312を、プリント配線基板108Cの裏面108r側のランドパターン47に導電性接着材により接着すると共に、導電体層313を、プリント配線基板108Cの表面108s側のランドパターン41に導電性接着材により接着しておくようにしても良い。
このように、プリント配線基板108Cにフィルム状コンデンサ300を取り付けたことにより、導電体層312と導電体層314とで形成される第1のコンデンサは、位置指示コイル106と並列に接続され、また、導電体層313と導電体層314とで形成される第2のコンデンサは、プッシュスイッチ111と直列に接続されると共に、その直列接続が、位置指示コイル106と並列に接続される。
そして、図12に示すように、フィルム状コンデンサ300は、プリント配線基板108Cに取り付けられた状態では、導電体層312が形成されている長手方向の半分の領域及び導電体層313が形成されている長手方向の半分の領域の、それぞれ切り込み溝311とは反対側の端部が遊端となる。
したがって、誘電体シート310を挟む導電体層312と導電体層314とで構成される第1のコンデンサは、遊端となっている部分が、図12(A)において、点線切り取り線16a、16bで示すように、長手方向に直交する方向に切断することにより、静電容量を可変させることができる。したがって、これにより、プッシュスイッチ111がオフ時の共振回路118の共振周波数が所望の周波数となるように調整することができる。
また、誘電体シート310を挟む導電体層313と導電体層314とで構成される第2のコンデンサは、遊端となっている部分が、図12(A)において、点線切り取り線17a、17bで示すように、長手方向に直交する方向に切断することにより、静電容量を可変させることができる。したがって、これにより、プッシュスイッチ111がオン時の共振回路118の共振周波数が所望の周波数となるように調整することができる。
なお、上述の第4の実施形態のフィルム状コンデンサ300においては、誘電体シート310の他方の面310bの導電体層314は、当該他方の面310bの全体に渡って設けるようにしたが、導電体層312,313のそれぞれと対向する導電体層に分離するようにしても良い。
[第5の実施形態:図13,図14]
第5の実施形態も、第4の実施形態と同様に、フィルム状コンデンサによって、プッシュスイッチ111がオフであるときと、オンであるときの両方の場合において、共振回路118の共振周波数を調整することができる場合である。
第5の実施形態も、第4の実施形態と同様に、フィルム状コンデンサによって、プッシュスイッチ111がオフであるときと、オンであるときの両方の場合において、共振回路118の共振周波数を調整することができる場合である。
ただし、第4の実施形態では、フィルム状コンデンサ300及びプリント配線基板108Bに、切り込み溝311及び切り込み溝45を形成するようにしたが、以下に説明する第5の実施形態は、そのような切り込み溝311,45を形成する必要がない例である。また、第4の実施形態では、フィルム状コンデンサをプリント配線基板に配設する際に、圧着クリップを用いるようにしたが、第5の実施形態は、フィルム状コンデンサをプリント配線基板に半田付けするだけで配設することができて、圧着クリップを用いる必要がない例である。
図13(A),(B),(C)は、第5の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300Bの構成例を示すものである。図13(A)は、この第5の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300Bの矩形の細長の誘電体シート310Bの一方の面310Ba側を示し、図13(B)は、矩形の細長の誘電体シート310Bの一方の面310Baとは反対側の面310Bb側を示している。そして、図13(C)は、この第5の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300Bの厚さ方向を拡大して示した模式的な側面図である。
この第5の実施形態のフィルム状コンデンサ300Bの誘電体シート310Bは、厚さが例えば12〜25μm、幅が例えば2〜3mmで、長手方向の長さLが例えば35mmとされた帯状に構成されている。
図13(A)に示すように、この第5の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300Bにおいては、矩形の細長の誘電体シート310Bの一方の面310Ba側には、その長手方向に、第1の導電体層321と、第2の導電体層322とが、空き区間323を間に挟んで形成されている。
この例では、第1の導電体層321の長手方向の長さL1は、例えば15mmとされ、また、第2の導電体層322の長手方向の長さL2も、例えば15mmとされている。そして、空き区間323の長手方向の長さは、5mmとされている。
空き区間323には、この例では、互いに電気的に非接続とされた3個のスルーホール324,325,326が形成されている。この例では、これらスルーホール324,325,326は、長手方向に対して交差する斜め方向に一列に形成されている。すなわち、スルーホール325は、誘電体シート310Bの幅方向の中央に形成され、スルーホール324は、誘電体シート310Bの幅方向の一端側に、スルーホール326は、誘電体シート310Bの幅方向の他端側に、それぞれ形成されている。そして、これらスルーホール324,325,326は、それぞれをプリント配線基板に対して半田付けしたときにも、互いに電気的に非接続となるような間隔を空けて配置されている。
空き区間323は、誘電体シート310Bの一方の面310Ba側において第1の導電体層321及び第2の導電体層322が形成されない区間である。ただし、この例では、図13(A)及び(C)に示すように、第1の導電体層321は、3個のスルーホール324,325,326のうちの、この第1の導電体層321に最も近い位置のスルーホール324に電気的に接続されるように、第1の導電体層321から細い導体層が当該スルーホール324まで延長されている。
また、第2の導電体層322は、3個のスルーホール324,325,326のうちの、この第2の導電体層322に最も近い位置のスルーホール326に電気的に接続されるように、第2の導電体層322から細い導体層が当該スルーホール326まで延長されている。
一方、誘電体シート310Bの他方の面310Bb側には、その長手方向に、第3の導電体層327が、誘電体シート310Bの一方の面310Ba側の空き区間323に対応する区間を含んで形成されている。ただし、この第3の導電体層327は、誘電体シート310Bの一方の面310Ba側の、前記空き区間323に対向する区間では、図13(B)に示すように、スルーホール324及び326とは接続されることなく、中央のスルーホール325にのみ接続されるように鉤型に形成されている。
なお、この第5の実施形態においても、前述の実施形態と同様に、第1〜第3の導電体層321,322,327のそれぞれは、誘電体シート310Bの幅方向の端縁にまでは形成されず、端縁から所定の距離(前述した距離d1)だけ内側となるように形成されて、前述した水滴の付着によるフィルム状コンデンサ300Bの静電容量が大きく変化してしまわないようにする湿度対策がなされている。
以上のように第1〜第3の導電体層321,322,327が誘電体シート310Bの両面に形成されているので、この第5の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300Bにおいては、第1の導電体層321と第3の導電体層327とが誘電体シート310Bを介して対向することで、第1のコンデンサを構成する。そして、スルーホール324及び325を、この第1のコンデンサの一方の電極及び他方の電極とすることができる。
また、この第5の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300Bにおいては、第2の導電体層322と第3の導電体層327とが誘電体シート310Bを介して対向することで、第2のコンデンサを構成する。そして、スルーホール326及び325を、この第2のコンデンサの一方の電極及び他方の電極とすることができる。
したがって、3個のスルーホール324,325,326を、プリント配線基板108の導体パターンに接続するだけで、第1のコンデンサ及び第2のコンデンサを、位置指示コイル106に対して所望の接続態様で接続することができる。
図14に、この第5の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300Bの、プリント配線基板108Dへの取り付け例を説明するための図を示す。図14(A)は、この例のプリント配線基板108Dにおける導体パターンの一例を、プッシュスイッチ111の配置例と共に示す図である。また、図14(B)は、第5の実施形態におけるプリント配線基板108Dに対して、フィルム状コンデンサ300Bを取り付けた状態を説明するための図である。
この図14の例は、図14(A)において点線で示したように、第1の導電体層321と第3の導電体層327とで構成される第1のコンデンサを、プッシュスイッチ111がオンであるときの共振回路の共振周波数の調整用のコンデンサ113とし、第2の導電体層322と第3の導電体層327とで構成される第2のコンデンサを、プッシュスイッチ111がオフであるときの共振回路の共振周波数の調整用のトリマーコンデンサ114とする場合である。
図14(A)に示すように、この例のプリント配線基板108Dの表面108sには、第1の導体パターン51と、第2の導体パターン52と、第3の導体パターン53とが形成されている。
第1の導体パターン51の一方の端部には、フィルム状コンデンサ300Bのスルーホール326が半田付けにより接続されるためのランドパターン51aが形成されている。また、第2の導体パターン52の一方の端部には、フィルム状コンデンサ300Bのスルーホール325が半田付けにより接続されるためのランドパターン52aが形成されている。さらに、第3の導体パターン53の一方の端部には、フィルム状コンデンサ300Bのスルーホール324が半田付けにより接続されるためのランドパターン53aが形成されている。
そして、図14(A)に示すように、この例のプリント配線基板108Dにおいては、位置指示コイル106の一端106aが、第1の導体パターン51の他方の端部に例えば半田付けされて電気的に接続されると共に、位置指示コイルの他端106bが、第2の導体パターン52の他方の端部に例えば半田付けされて電気的に接続される。
また、第1の導体パターン51は、途中から分岐されて、プッシュスイッチ111の一方の端子111aが半田付けされるランドパターンに接続されている。また、プッシュスイッチ111の他方の端子111bは第3の導体パターン53の他方の端部に形成されているランドパターンに接続されている。
なお、図14(A)に示すように、第2の導体パターン52と第3の導体パターン53とは、引き回しの都合上交差するので、この例の場合、第2の導体パターン52は、スルーホール54,55を通じて、その一部がプリント配線基板108Dの裏面側を通るように配設されている。
そして、以上のような導体パターンの構成とされているプリント配線基板108Dに対して、フィルム状コンデンサ300Bが、図14(B)に示すように、スルーホール324が第3の導体パターン53のランドパターン53aに半田付けされ、スルーホール325が第2の導体パターン52のランドパターン52aに半田付けされ、スルーホール326が第1の導体パターン51のランドパターン51aに半田付けされることて、取り付けられて固定される。
すると、図14(A)から明らかなように、第1の導電体層321と第3の導電体層327とで構成される第1のコンデンサが、プッシュスイッチ111に直列に接続されると共に、そのプッシュスイッチ111と第1のコンデンサとの直列回路が、位置指示コイル106と並列に接続される。また、第2の導電体層322と第3の導電体層327とで構成される第2のコンデンサが、位置指示コイル106と並列に接続される。
そして、前述の実施形態と同様に、第1の導電体層321と第3の導電体層327とで構成される第1のコンデンサ及び第2の導電体層322と第3の導電体層327とで構成される第2のコンデンサのそれぞれは、フィルム状コンデンサ300Bの長手方向の遊端側を、例えば鋏などにより切断することで、それぞれの静電容量が可変調整される。
以上のようにして、この第5の実施形態においては、フィルム状コンデンサ300Bを、半田付けするだけで、プリント配線基板108Dに取り付けることができる。したがって、プリント配線基板やフィルム状コンデンサに、第4の実施形態のような切れ込み溝を設ける必要はない。また、第4の実施形態の場合のような圧着クリップを用いる必要もない。
また、この第5の実施形態によれば、3個のスルーホール324,325,326は、前述したように、フィルム状コンデンサ300Bの長手方向に斜めに形成されているので、フィルム状コンデンサ300Bは、その幅方向の3点でプリント配線基板108Dに固定されることになり、3個のスルーホールが長手方向に沿って一列に配設される場合に比べて、より強固に固定される。
なお、以上の第5の実施形態は、プッシュスイッチ111を備える位置指示器の場合であるので、第1の導電体層321と第3の導電体層327とで構成される第1のコンデンサと、第2の導電体層322と第3の導電体層327とで構成される第2のコンデンサとを、プッシュスイッチ111のオン及びオフのときの共振回路の共振周波数の調整用とした。
しかし、位置指示器には、プッシュスイッチを有しないものもあり、その場合には、共振回路の共振周波数の調整用コンデンサは、1個で良い。第5の実施形態におけるフィルム状コンデンサ300Bは、このようなプッシュスイッチを有しない位置指示器の場合にも勿論適用できる。
すなわち、プッシュスイッチを有しない位置指示器の場合には、フィルム状コンデンサ300Bの第1のコンデンサと、第2のコンデンサの一方のみを、共振周波数の調整のために長さ方向を切断することができるように構成する。そして、フィルム状コンデンサ300Bの第1のコンデンサと第2のコンデンサの他方のコンデンサは、位置指示器の共振回路の大まかな共振周波数を決定するための複数個のチップコンデンサの一部として用いるようにする。したがって、その場合には、フィルム状コンデンサ300Bの第1のコンデンサと第2のコンデンサの他方のコンデンサの長手方向の長さは、当該チップコンデンサとして適切なものとなるような長さに選定される。
なお、フィルム状コンデンサ300Bの第1のコンデンサと第2のコンデンサの他方のコンデンサのみで、位置指示コイルとの並列共振回路の共振周波数を設定する静電容量として十分であるときには、他のチップコンデンサは不要であることは言うまでもない。
なお、第4の実施形態におけるフィルム状コンデンサも、第5の実施形態と同様に、プッシュスイッチを有しない位置指示器にも適用できることは言うまでもない。
[その他の実施形態または変形例]
上述の実施形態の位置指示器は、位置検出装置からの信号エネルギーを電磁誘導により共振回路で受信し、当該共振回路で蓄積したエネルギーを、位置検出装置に変換するようにした構成のものであったが、この発明は、位置指示器自身が信号送信回路を備え、位置検出装置に信号を送信する位置指示器における回路の定数の特定用としても適用することができる。
上述の実施形態の位置指示器は、位置検出装置からの信号エネルギーを電磁誘導により共振回路で受信し、当該共振回路で蓄積したエネルギーを、位置検出装置に変換するようにした構成のものであったが、この発明は、位置指示器自身が信号送信回路を備え、位置検出装置に信号を送信する位置指示器における回路の定数の特定用としても適用することができる。
また、上述の実施形態は、この発明を、電磁誘導方式の位置指示器に適用した場合の構成例であったが、この発明は、位置指示器に限らず、コンデンサを含む時定数回路や共振回路などの電子回路に適用可能である。そして、この発明は、共振周波数の周波数調整用や時定数回路の時定数の調整用としてのみではなく、コンデンサの静電容量により調整可能な種々の電子回路の定数の特定用として適用することができるものである。
また、上述の第1〜第3の実施形態では、フィルム状コンデンサは、1個のコンデンサを有するものとし、また、第4の実施形態及び第5の実施形態は、第1のコンデンサと第2のコンデンサとの2個のコンデンサを有するものとした。しかし、この発明に用いるフィルム状コンデンサは、3個以上のコンデンサを有する構成としても勿論良い。特に、時定数や共振周波数あるいはその他の定数など、複数の定数の特定が必要な電子回路に使用する場合を考慮した場合には、フィルム状コンデンサは、3個以上のコンデンサを有するものが好ましい。
図15(A),(B)及び図15(C),(D)は、4個以上のコンデンサを有するフィルム状コンデンサの構成例を示すものである。図15(A),(B)は、そのようなフィルム状コンデンサの第1の例を示すものであり、また、図15(C),(D)は、そのようなフィルム状コンデンサの第2の例を示すものである。なお、これらの第1の例及び第2の例は、前述した第5の実施形態で用いられたフィルム状コンデンサ300Bの変形例である。
先ず、図15(A),(B)に示す第1の例のフィルム状コンデンサ400について説明する。図15(A)は、この第1の例のフィルム状コンデンサ400の矩形の細長の誘電体シート410の一方の面410a側を示し、図15(B)は、誘電体シート410の一方の面410aとは反対側の面410b側を示している。
この第1の例のフィルム状コンデンサ400の誘電体シート410も、厚さが例えば12〜25μm、幅が例えば2〜3mmで、長手方向の長さLが例えば35mmとされた帯状に構成されている。
図15(A)に示すように、この第1の例のフィルム状コンデンサ400においては、誘電体シート410の一方の面410a側には、その長手方向の、ほぼ中央の空き区間420を間に挟む2領域の一方の領域には、第1の導電体層411と第2の導電体層412とが形成され、他方の領域には、第3の導電体層413と第4の導電体層414とが形成されている。
この例では、第1の導電体層411と第2の導電体層412とは、誘電体シート410の幅方向の領域を2分割した領域に互いに平行に形成されており、この第1の例では、その長手方向の長さ及び幅方向の長さが等しく選定されている。同様に、第3の導電体層413と第4の導電体層414とは、誘電体シート410の幅方向の領域を2分割した領域に互いに平行に形成されており、この第1の例では、その長手方向の長さ及び幅方向の長さが等しく選定されている。
空き区間420には、この第1の例では、互いに電気的に非接続とされた5個のスルーホール421〜425が形成されている。この例では、スルーホール425が、誘電体シート410の、この空き区間420の中央の位置に形成されている。そして、長手方向に対して、所定の角度+θで交差する斜め方向に一列に、スルーホール421、425、424が順次並ぶような位置に、スルーホール421,424が形成される。また、長手方向に対して、所定の角度−θで交差する斜め方向に一列に、スルーホール422、425、423が順次並ぶような位置に、スルーホール422,423が形成される。
したがって、スルーホール421、422は、誘電体シート410の幅方向の両端に形成されると共に、スルーホール423、424も、誘電体シート410の幅方向の両端に形成される。そして、これらスルーホール421〜425は、それぞれをプリント配線基板に対して半田付けしたときにも、互いに電気的に非接続となるような間隔を空けて配置されている。
空き区間420は、誘電体シート410の一方の面410a側において導電体層411〜414が形成されない区間である。ただし、この例では、図15(A)に示すように、第1の導電体層411は、スルーホール421に電気的に接続されるように、この第1の導電体層411から細い導体層が当該スルーホール421まで延長されている。また、第2の導電体層412は、スルーホール422に電気的に接続されるように、第2の導電体層412から細い導体層が当該スルーホール422まで延長されている。
また、第3の導電体層413は、スルーホール423に電気的に接続されるように、この第3の導電体層413から細い導体層が当該スルーホール423まで延長されている。また、第4の導電体層414は、スルーホール424に電気的に接続されるように、第4の導電体層414から細い導体層が当該スルーホール424まで延長されている。
一方、誘電体シート410の他方の面410b側には、その長手方向に、第5の導電体層415が、誘電体シート410の一方の面410a側の空き区間420に対応する区間を含んで形成されている。ただし、この第5の導電体層415は、誘電体シート410の一方の面410a側の、前記空き区間420に対向する区間では、図15(B)に示すように、スルーホール421〜424とは接続されることなく、中央のスルーホール425にのみ接続されるように細い導電体パターンとして形成されている。
なお、この第1の例においても、前述の実施形態と同様に、第1〜第5の導電体層411〜415のそれぞれは、誘電体シート410の幅方向の端縁にまでは形成されず、端縁から所定の距離(前述した距離d1)だけ内側となるように形成されて、前述した水滴の付着によるフィルム状コンデンサ400の静電容量が大きく変化してしまわないようにする湿度対策がなされている。
以上のように第1〜第5の導電体層411〜415が誘電体シート410の両面に形成されているので、この第1の例におけるフィルム状コンデンサ400においては、第1〜第4の導電体層411〜414のそれぞれと、第5の導電体層415とが誘電体シート410を介して対向することで、第1〜第4のコンデンサの4個のコンデンサを構成する。そして、スルーホール425を、例えばこれら第1〜第4のコンデンサの共通の他方の電極とすると共に、スルーホール421〜424のそれぞれを、これら第1〜第4のコンデンサの一方の電極とすることができる。
そして、この第1の例においては、プリント配線基板に形成される電子回路において、前記第1〜第4のコンデンサに接続するための所定の導体パターンを形成しておくと共に、上述した第5の実施形態と同様にして、5個のスルーホール421〜425のそれぞれを、プリント配線基板の、対応する導体パターンに半田付けして接続して固定する。これにより、電子回路において、第1のコンデンサ〜第4のコンデンサを、所望の接続態様で接続して、静電容量調整用のコンデンサとして用いることができる。
次に、図15(C),(D)に示す第2の例のフィルム状コンデンサ430について説明する。この第2の例のフィルム状コンデンサ430は、第1の例のフィルム状コンデンサ400の変形例である。この第2の例において、第1の例と同一部分には、同一参照符号を付してある。
図15(C)は、この第2の例のフィルム状コンデンサ430の矩形の細長の誘電体シート410の一方の面410a側を示し、図15(D)は、誘電体シート410の一方の面410aとは反対側の面410b側を示している。
この第2の例のフィルム状コンデンサ430においては、空き区間420には、スルーホール421〜424は、第1の例と同様に形成する。しかし、中央のスルーホール425は形成されず、その代わりに、スルーホール421とスルーホール422との間に、これらスルーホール421及び422と幅方向に一列に並ぶように、スルーホール426を設けると共に、スルーホール423とスルーホール424との間に、これらスルーホール423及び424と幅方向に一列に並ぶように、スルーホール427を設ける
そして、この第2の例のフィルム状コンデンサ430においては、誘電体シート410の一方の面410a側では、図15(C)に示すように、第1〜第4の導電体層411〜414のそれぞれは、第1の例と同様にして形成されると共に、スルーホール421〜424に接続される。
そして、この第2の例のフィルム状コンデンサ430においては、誘電体シート410の一方の面410a側では、図15(C)に示すように、第1〜第4の導電体層411〜414のそれぞれは、第1の例と同様にして形成されると共に、スルーホール421〜424に接続される。
上述した第1の例のフィルム状コンデンサ400では、誘電体シート410の一方の面410aとは反対側の面410b側には、第1〜第4の導電体層411〜414に対して共通の1個の第5の導電体層415を形成すると共に、この第5の導電体層415を、スルーホール425に接続するようにした。
これに対して、この第2の例のフィルム状コンデンサ430の誘電体シート410の一方の面410aとは反対側の面410b側においては、第1の例の第5の導電体層415の代わりに、第1及び第2の導電体層411及び412に誘電体シート410を介して対向する第6の導電体層416と、第3及び第4の導電体層413及び414に誘電体シート410を介して対向する第7の導電体層417を形成する。
そして、第6の導電体層416は、スルーホール426に接続するようにその導体層を延長して形成する。また、第7の導電体層417は、スルーホール427に接続するようにその導体層を延長して形成する。
この図15(C)、(D)に示した第2の例のフィルム状コンデンサ430においては、第1及び第2の導電体層411及び412のそれぞれと、第6の導電体層416とが誘電体シート410を介して対向することで、第1及び第2のコンデンサを構成し、第3及び第4の導電体層413及び414のそれぞれと、第7の導電体層417とが誘電体シート410を介して対向することで、第3及び第4のコンデンサを構成する。そして、スルーホール426とスルーホール427とが設けられて、第6の導電体層416と、第7の導電体層417が非接続となっているので、この第2の例のフィルム状コンデンサ430は、第1及び第2のコンデンサと、第3及び第4のコンデンサとを、それぞれ別々の回路用として利用することができるという利点がある。
なお、図15に示した第1及び第2の例においては、空き区間420を、誘電体シート410の長手方向の中央に設けたが、空き区間420の長手方向の位置は、第1及び第2のコンデンサと、第3及び第4のコンデンサとの静電容量の違いに応じて、誘電体シート410の長手方向の一方寄りの位置となることは言うまでもない。また、誘電体シート410の幅方向に分離して形成した第1の導電体層411と第2の導電体層412、あるいは第3の導電体層413と第4の導電体層414とは、その長手方向及び幅方向の長さを同一としたが、それぞれ、必要とする静電容量に応じた長手方向及び幅方向の長さとするようにして、互いに異ならせても良い。
また、図15の例では、誘電体シートの幅方向に2個ずつの導電体層を設けるようにしたが、幅方向に3個以上の導電体層を設けると共に、スルーホールをその導電体層のそれぞれに対応して設けるようにしても良い。
10…誘電体シート、11…導電体層、12…導電体層、100…位置指示器、101…ケース、104…突出部材(ペン先部材)、106…位置指示コイル、108…プリント配線基板、111…プッシュスイッチ、114…フィルム状コンデンサ
Claims (12)
- 位置検出装置に対して位置指示するための位置指示器であって、
中空部を有する筒状の筐体と、
細長形状の板状体からなり、前記筐体の前記中空の部分内に、前記板状体の長手方向が前記筐体の軸心方向となるように配置され、前記位置検出装置との間で授受される信号に関与する回路が配設されている基板と、
シート状の誘電体の一方の面に第1の導電体層が形成されると共に、前記一方の面に対向する他方の面に、前記第1の導電体層と前記シート状の誘電体を介して対向する第2の導電体層が形成され、前記基板の短辺以下の長さの短辺を有する細長形状のフィルム状コンデンサと、
を備え、
前記基板には、前記フィルム状コンデンサの前記第1の導電体層と接続される第1の導体と、前記フィルム状コンデンサの前記第2の導電体層と接続される第2の導体とが形成されており、
前記フィルム状コンデンサは、前記基板の長手方向と前記フィルム状コンデンサの長手方向とが同方向となり、かつ、前記基板の短辺の幅内に収まるような状態で、前記第1の導電体層が前記基板の前記第1の導体と接続されると共に、前記第2の導電体層が前記基板の前記第2の導体と接続されて、前記基板に取り付けられており、
前記フィルム状コンデンサの前記第1導電体層と前記第2の導電体層とが対向する面積を、前記フィルム状コンデンサを調整することにより前記フィルム状コンデンサの静電容量を変えることで、前記基板に配設される前記回路の定数を特定するようにした
ことを特徴とする位置指示器。 - 前記回路は、インダクタンス素子とコンデンサとで構成される共振回路を含み、
前記フィルム状コンデンサは、前記共振回路を構成するコンデンサの一部を構成し、前記第1の導電体層と前記第2の導電体層とが対向する面積を、前記フィルム状コンデンサの大きさを変えることにより変えることで、前記共振回路の特性を特定する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。 - 前記フィルム状コンデンサの前記第1の導電体層及び前記第2の導電体層の少なくとも一方は、前記シート状の誘電体の少なくとも長手方向の端縁よりも内側に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。 - 前記フィルム状コンデンサは、前記基板に対して、前記フィルム状コンデンサの長手方向の少なくとも一方の端部が遊端となるように固着され、前記遊端側を切断することにより、前記フィルム状コンデンサの前記シート状の誘電体を介して対向する前記第1の導電体層及び前記第2の導電体層が対向する面積を変える
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。 - 前記フィルム状コンデンサの前記第1の導電体層は、前記基板の一方の面に形成された前記第1の導体と導電性接着材を介して電気的に接続され、
前記フィルム状コンデンサの第2の導電体層は、前記基板の一方の面に形成された第2の導体とワイヤボンディングにより電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。 - 前記フィルム状コンデンサの前記第1の導電体層は、前記基板の一方の面に形成された第1の導体と電気的に接続され、
前記フィルム状コンデンサの前記第2の導電体層は、前記基板の他方の面に形成された第2の導体と電気的に接続される
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。 - 前記フィルム状コンデンサの前記第1の導電体層と前記基板の前記第1の導体とを電気的に接続させた部分を含んで、前記基板の前記一方の面と前記他方の面との間を導電性のクリップ部材により挟持することにより、前記フィルム状コンデンサを前記基板に固着すると共に、
前記導電性のクリップ部材を、前記基板の前記第2の導体と電気的に接続させて、前記フィルム状コンデンサの前記2の導電体層を、前記基板の前記第2の導体と電気的に接続する
ことを特徴とする請求項6に記載の位置指示器。 - 前記基板と前記フィルム状コンデンサとの少なくともいずれか一方には、長手方向に交差する方向の切れ込み部が形成されており、
前記フィルムコンデンサは前記切れ込み部により前記基板と交差するように組み合わされ、前記フィルムコンデンサの前記第1の導電体層は、前記基板の前記第1の導体パターンと導電性接着材により接着されて電気的に接続され、前記フィルムコンデンサの前記第2の導電体層は、前記基板の前記第2の導体パターンと導電性接着材により接着されて電気的に接続される
ことを特徴とする請求項7に記載の位置指示器。 - 前記フィルム状コンデンサの前記シート状の誘電体の前記一方の面には、前記第1の導電体層と、前記第1の導電体層とは非接続状態の第3の導電体層が形成されると共に、前記シート状誘電体の前記他方の面の前記第2の導電体層は、前記第1の導電体層及び前記第3の導電体層に対向するように形成され、
前記基板には、前記フィルム状コンデンサの前記第1の導電体層と接続される前記第1の導体と、前記フィルム状コンデンサの前記第2の導電体層と接続される前記第2の導体と、前記フィルム状コンデンサの前記第3の導電体層と接続される第3の導体が形成されており、
前記フィルム状コンデンサは、前記第1の導電体層と前記第2の導電体層とからなる第1のコンデンサと、前記第2の導電体層と前記第3の導電体層とからなる第2のコンデンサとを有し、
前記フィルム状コンデンサを切断することにより、前記第1の導電体層と前記第2の導電体層とが対向する面積および前記第2の導電体層と前記第3の導電体層とが対向する面積を独立に変えられるようにし、前記第1の導電体層と前記第2の導電体層とが対向する面積を変えることで、前記基板に配設される前記回路の第1の定数を特定し、前記第2の導電体層と前記第3の導電体層とが対向する面積を変えることで、前記基板に配設される前記回路の第2の定数を特定するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器 - 前記フィルム状コンデンサの前記シート状の誘電体の前記一方の面には、前記第1の導電体層と、前記第1の導電体層とは非接続状態の第3の導電体層が形成されると共に、前記シート状誘電体の前記他方の面には、前記第1の導電体層に対向する前記第2の導電体層とは非接続状態の第4の導電体層が前記第3の導電体層と対向して形成され、
前記フィルム状コンデンサは、前記第1の導電体層と前記第2の導電体層とからなる第1のコンデンサと、前記第3の導電体層と前記第4の導電体層とからなる第2のコンデンサとを有し、
前記基板には、前記フィルム状コンデンサの前記第1の導電体層と接続される前記第1の導体と、前記フィルム状コンデンサの前記第2の導電体層と接続される前記第2の導体と、前記フィルム状コンデンサの前記第3の導電体層と接続される第3の導体と、前記フィルム状コンデンサの前記第4の導電体層と接続される第4の導体が形成されており、
前記フィルム状コンデンサを切断することにより、前記第1の導電体層と前記第2の導電体層とが対向する面積および前記第3の導電体層と前記第4の導電体層とが対向する面積を独立に変えられるようにし、前記第1の導電体層と前記第2の導電体層とが対向する面積を変えることで、前記基板に配設される前記回路の第1の定数を特定し、前記第3の導電体層と前記第4の導電体層とが対向する面積を変えることで、前記基板に配設される前記回路の第2の定数を特定するようにした
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。 - 前記第1の導電体層及び前記第3の導電体層は、前記フィルム状コンデンサの長手方向に領域を分離して形成され、前記フィルム状コンデンサの長手方向の前記第1の導電体層と前記第3の導電体層とを分離する位置において、前記フィルム状コンデンサを前記基板に固着し、前記フィルム状コンデンサの長手方向の一方および他方を遊端とするようにした
ことを特徴とする請求項9に記載の位置指示器。 - 前記フィルム状コンデンサの前記シート状の誘電体の長手方向において、前記第1の導電体層と前記第3の導電体層とを分離する領域に、3個のスルーホールを設け、それら3個のスルーホールのそれぞれを、前記第1の導電体層、第2の導電体層及び第3の導電体層のそれぞれに接続するようにすると共に、
前記3個のスルーホールを前記基板に半田付けすることにより、前記フィルム状コンデンサを前記基板に固着するようにした
ことを特徴とする請求項11に記載の位置指示器。
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