JP2017037388A - コネクタ型icタグ - Google Patents

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Abstract

【課題】バッテリーレスのパッシブICタグの感度をさらに高めて通信距離の延長を図るとともに、使用用途に柔軟に対応可能なコネクタ型ICタグを提供することである。
【解決手段】ブースターアンテナ装置60対して電気的に接続され、かつ、着脱可能なコネクタ部12と、コネクタ部12に電気的に接続されるICタグ部14とを備え、ブースターアンテナ装置60を介してリーダ/ライタ装置70と無線通信を行う。
【選択図】図2

Description

本発明は、アンテナに対して着脱可能なコネクタ型ICタグに関する。
近年パッシブICタグの感度を増加させるという要望が高まっている。従来、ICタグの高感度化を図るために、例えばアンテナ性能を向上させるべく綿密な感度調整等が行われてきた(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ICタグは使用環境等の影響を受けやすく、ICタグの取り付け対象が、たとえば水や金属である場合には特に影響を受けやすく感度が低下する傾向にある。この原因の1つとして、たとえば紙やプラスチックなどのICタグの周囲の物質によってICタグアンテナの同調ずれが生じることが挙げられる。
上記した同調ずれが起きる理由について以下に述べる。ICタグアンテナの近傍に水や油、プラスチックなどの誘電体物質を満たすと、ICタグアンテナの電磁気的長さが縮むという波長短縮効果が現れる。波長短縮効果による短縮率は、電磁気学においては真空や空気の誘電率を1としたとき、その物質固有の比誘電率に応じてどの程度短縮するかが簡易的に算出され、その物質の比誘電率の平方根の逆数となることが知られている。たとえば、物質が水の場合には比誘電率が80であり、空気中で同調しているアンテナが水没すると約9倍も波長が短縮するのに対し、物理的なアンテナ寸法が短縮しないことから結果的に同調ずれを起してしまい、応答しにくくなるか、あるいは応答しなくなる。
高感度化を図りつつ上記した同調ずれを軽減するために、ICタグとは別に高感度アンテナを用意し該アンテナをドームやケースで覆って保護した上で、ICタグと高感度アンテナを密着(一体化)させるという方法が考えられる。
特開2013−251608号公報
しかしながら、ICタグに例えば上記のようなドームやケースなどで防水処理を施し一体化した場合において、その後にその防水処理が施されたICタグを、別の用途で使用させたい場合(使用条件を変更させたい場合)、たとえば、放射線量が多い環境や高温度環境において使用させたいような場合には、そのICタグの構造自体を、例えば全体を、電波は透過するが放射線は遮る遮蔽材で被うなどの設計変更する必要があり、製造コストが増加してしまう。
本発明は、バッテリーレスのパッシブICタグの感度をさらに高めて通信距離の延長を図るとともに、使用用途に柔軟に対応可能なコネクタ型ICタグを提供することである。
上記課題を解決するために、本発明に係るコネクタ型ICタグは、ブースターアンテナ装置を介してリーダ/ライタ装置と無線通信を行うコネクタ型ICタグであって、ブースターアンテナ装置に対して電気的に接続され、かつ、着脱可能なコネクタ部と、コネクタ部に電気的に接続されるICタグ部とを有することを特徴とする。
上述の発明において、ICタグ部は、ICチップと、該ICチップに接続され第1のアンテナすなわちICタグが内蔵するアンテナと、第1のアンテナと対向する位置に設けられリーダ/ライタ装置との間で無線通信を行うためのブースターアンテナ装置に電気的に接続される第2のアンテナを有する、ことが好ましい。
上述の発明において、コネクタ部は、ブースターアンテナ装置に設けられたブースター側コネクタと電気的に接続可能に構成されている、ことが好ましい。
上述の発明において、少なくとも前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、電磁誘導結合が可能となるように互いに所定の間隔をおいて配置されている、ことが好ましい。
上述の発明において、前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、それらを密着させて配置されるか又は短い間隔をもって対向配置されている、ことが好ましい。
上述の発明において、第1のアンテナ及び第2のアンテナは、電磁誘導結合が最良になるように互いに密着ないしは短い間隔で対向して配置されるように樹脂で固定されている、ことが好ましい。
上述の発明において、第1のアンテナ及び第2のアンテナを覆うためのキャップ部を有する、ことが好ましい。
上述の発明において、キャップ部は放射線遮蔽材料で製造される、ことが好ましい。
本発明によれば、通信距離の延長を図るとともに使用用途に柔軟に対応可能なコネクタ型ICタグを提供することができる。
高利得や所望の偏波特性の通信用アンテナ装置を選択してこれをブースターアンテナ装置とした時、これにメモリ容量など所望のICタグ仕様のコネクタ型ICタグを接続し一体化して、例えば長距離型のICタグ装置を提供できる。つまり、アンテナ装置側とICタグ側の特性をそれぞれ独立に選択可能とするコネクタ型ICタグを提供できる。
ブースターアンテナ装置を介してコネクタ型ICタグとリーダ/ライタ装置との無線通信を説明するための図である。 (a)は、コネクタ型ICタグの構成を示す分解斜視図であり、(b)は、コネクタ型ICタグの外観斜視図であり、(c)はコネクタ型ICタグをコネクタ部側から見た場合の外観斜視図である。 コネクタ型ICタグのコネクタ部がブースターアンテナ装置に接続した状態を示す部分的な断面図である。 コネクタ型ICタグのICタグ部の構造を説明するための部分的な断面図である。 (a)はICタグ、ループアンテナ及び同軸ケーブルの位置関係を示した図であり、(b)はアンテナコイルとループアンテナの間の電磁誘導結合を説明するための図である。 容量Cをループコイルに付加させた場合と付加させない場合における使用周波数と感度の関係を示すグラフである。 (a)はコンパクトなブースターアンテナに接続されたコネクタ型ICタグを示した図であり、(b)は大型長距離通信タイプの高利得アンテナに接続されたコネクタ型ICタグを示した図であり、(c)は特殊なタイプで、例えば特定方向に高感度になる長方形の直線偏波タイプのアンテナに接続されたコネクタ型ICタグを示した図で、それぞれ目的別のICタグ装置を形成できることを示す図である。 変形例1に係るコネクタ型ICタグを示した図である。 ある程度の長距離通信が必要とされる貨物置場の物流管理システムに使用されるコネクタ型ICタグによる長距離型のICタグ装置を利用した一例を示す図である。 ある程度の長距離通信が必要とされる貨物物流管理システムに使用されるコネクタ型ICタグによる長距離型のICタグ装置を利用した他の例を示す図である。 コネクタ型ICタグの変形例を示した図であり、(a)は同軸ケーブル型のコネクタ型ICタグであり、(b)は雄雌変換型のコネクタ型ICタグであり、(c)はエルボー型のコネクタ型ICタグである。
[本発明を想到するに至るまでの経緯]
最初に、本発明を想到するのに至るまでの経緯について説明する。本発明は、次の参考例1、参考例2に述べた経緯に基づいて想到するに至った。
<参考例1について>
一般に、パッシブ型のICタグにおいては、特にUHF帯域のICタグは、国別や地域など少し異なる周波数で使用されるので、国際物流で不便が生じないように感度を犠牲にして広帯域特性に調整されているか、あるいは感度が最優先するように調整した国別や地域別のICタグが使用される。高感度を得るためには、ICタグのアンテナの性能を向上させる、ということが挙げられる。アンテナの性能を向上させるには、例えばアンテナ自体を大きくすると共に感度調整を綿密に行う必要がある。しかし、国別などの固有の周波数対応のICタグの使用条件が変化すると、それに応じた設計変更を余儀なくされる。この設計変更については、さらに使用環境対応がある。例えば雨の多い場所であれば水による波長短縮による同調ずれに基づく感度劣化を抑制するといった防水に関し再設計する必要がある。
<参考例2について>
次に、上述した参考例1の課題等に鑑みて、用途別に異なるアンテナの中から所望のアンテナを選択し、選択したアンテナにICタグ本体を密着し電磁結合やボンディングなど一体化させることが考えられる。しかしながら、いったん選択したアンテナに一体化させたICタグは、他の用途のアンテナに交換できないので、他の用途に使用することができず、新たに当該用途に適したアンテナにICタグを一体化させたものを使用しなければならない。本発明は上記した参考例1、参考例2に挙げた経緯に基づいて、使用用途別に柔軟に対応可能なコネクタ型ICタグを創作するに至った。
以下、本発明の一実施の形態に係るコネクタ型ICタグについて、図面に基づいて説明する。
[コネクタ型ICタグの構成]
図1はブースターアンテナ装置を介してコネクタ型ICタグとリーダ/ライタ装置との無線通信を説明するための図である。ブースターアンテナ装置は一般に流通しているリーダ/ライタ装置のメニューにあるケーブル接続のアンテナ装置が好ましい。図2(a)は、コネクタ型ICタグの構成を示す分解斜視図であり、図2(b)は、コネクタ型ICタグの外観斜視図であり、図2(c)はコネクタ型ICタグをコネクタ部側から見た場合の外観斜視図である。図3はコネクタ型ICタグのコネクタ部がブースターアンテナ装置に接続した状態を示す部分的な断面図である。図4は、コネクタ型ICタグのICタグ部の構造を説明するための部分的な断面図である。図5(a)はICタグ、ループアンテナ及び同軸ケーブルの位置関係を示した図であり、図5(b)はループアンテナとコイルアンテナの間の電磁誘導結合を説明するための図である。図6は容量Cをループコイルに付加させた場合と付加させない場合における使用周波数と感度の関係を示すグラフである。
図2(a)〜(c)に示すように、コネクタ型ICタグ10は少なくともコネクタ部12とICタグ部14を有して構成される。コネクタ部12は同軸コネクタである。同軸コネクタとは同軸ケーブルと装置(本実施の形態ではブースターアンテナ装置)の入力または出力端に装着し、高周波信号をロス無く着脱できる器具であり、周波数や目的に応じて様々なコネクタが使用されているが、接続部分(開口部)は国際規格や工業規格などにより決まっているため、同種のコネクタであればメーカー間での互換性がある。
<コネクタ部>
コネクタ部12は、例えばSMA(Sub Miniature Type A)型同軸コネクタであり、マイクロ波帯で、最も一般的に使われており、バイオネットロック機構による着脱方式となっているのが特徴でN型コネクタに比べて小形になっている。後述する内部導体31を支持する絶縁物にはフッ素樹脂が用いられている。フッ素樹脂の比誘電率は約2.0であり、使用周波数はDC〜18GHzである。ただし、上述の絶縁物は、フッ素樹脂以外のものを用いても良い。
図2及び図3に示すように、SMA型同軸コネクタは、雌ねじ部材16、導体保持部18、タグ接合部20及び同軸ケーブル30とを備えている。雌ねじ部材16、導体保持部18及びタグ接合部20は略筒状の部材であり、雌ねじ部材16の内面には周方向に沿って雌ねじ部74が設けられている。雌ねじ部74はブースターアンテナ装置60の雄ねじ部材64を構成する雄ねじ部68に螺合する。すなわち雌ねじ部74と雄ねじ部68が螺合することにより、雌ねじ部材16と雄ねじ部材64とは互いに接合可能となる。
導体保持部18は、同軸ケーブル30を通すための中空部を有し、その導体保持部18の一端には雌ねじ部材16が設けられ、他端にはタグ接合部20が設けられている。導体保持部18の外径は雌ねじ部74の内径及びタグ接合部20の外径よりも大きいが、タグ接合部20の外径と同等または小さくても良い。
タグ接合部20は、同軸ケーブル30を通すための中空部を有し、タグ接合部20の一端には導体保持部18が連続しており、他端にはICタグ部14を覆うキャップ部50が取り付けられている。
同軸ケーブル30は、高周波信号を、信号損失を抑制して伝達する機能を有し、外部導体33(シールド被膜部分)と、内部導体(芯線)31と、外部導体33と内部導体31を絶縁するための絶縁部32を有して構成されている。同軸ケーブル30の一端はブースターアンテナ装置60の接続端子65側に向かい、他端はICタグ部14の後述するループコイル46に接続されている。具体的には、同軸ケーブル30の一端側において内部導体31がループコイル46の一端に接続され、外部導体33がループコイル46の他端に接続されている。同軸ケーブル30の他端側においては、雌ねじ部材16と雄ねじ部材64の螺合により、同軸ケーブル30の内部導体31が雄ねじ部材64を構成する雄側内部導体67に接続され、外部導体33が雄ねじ部材64を構成する雄側外部導体69に接続され、もって同軸ケーブル30の他端側がブースターアンテナ装置60内部の後述するアンテナ素子に接続されることとなる。なお、雄側内部導体67と雄側外部導体69の間には絶縁体71が設けられている。なお、同軸ケーブル30の長さは短いほど損失が少ないので、ループコイル46の接続のしやすい最小限の長さであってよい。長さが0であってもよい。
<ICタグ部>
ICタグ部14は、ICチップ42及びコイルアンテナ44とを有するICタグ40と、渦巻き状のループコイル46と、ICタグ40及びループコイル46を覆うためのキャップ部50とを有して構成されている。コイルアンテナ44はICチップ42を取り囲むように形成されており、両端が図示しない接続端子を介してICチップ42に電気的に接続されている。ループコイル46の一方の端部46aは同軸ケーブル30の外部導体33にはんだ付けやレーザー溶着等により電気的に接続され、他方の端部46bは同軸ケーブル30の内部導体33にはんだ付けやレーザー溶着等により電気的に接続されている(図4参照)。なお、コイルアンテナ44は、請求項2〜7に記載された「第1のアンテナ」に対応している。ループコイル46は、請求項2〜7に記載された「第2のアンテナ」に対応している。
ICチップ42は、ループコイル46の高周波電流からICチップ42が必要とする電力を作り出す機能の電源回路や送受信回路、メモリ、ロジック制御回路等を内蔵している。ループコイル46はコイルアンテナ44と対向する位置にICチップ42と所定間隔をおいて配置され、ICタグ40のコイルアンテナ44との電磁誘導結合でトランスのように2つのコイルが対向して電磁エネルギーの伝達を促す役割を有する。ループコイル46の他の役割としては電磁誘導結合をより強い結合とすることである。
強い結合を実現する方法として、図5に示すようにループコイル46に実体としての容量(コンデンサ)Cを付加させ、共振のずれを改善する方法がある。これは容量Cとループコイル46が固有に持つインダクタンスLとで共振させる方法である。共振条件の目安は、以下の数式(1)で表されることが知られている。
Figure 2017037388
ここで、fは使用するコネクタ型ICタグ10で使用する周波数で、C‘は寄生容量である。図6は、実体としての容量Cを付加させた場合(C+C´)に、特定の周波数fで共振し高感度状態になり、付加しない場合(C´)は、共振からはずれて低い感度であることを示している。したがって、ループコイル46に実体としての容量Cを付加させることによってより強い電磁誘導結合を実現することができる。
なお、容量は実体として存在する必要はなくループコイル46の巻線間に寄生する浮遊容量(寄生容量)でもよく、これだけで共振するのであれば新たに容量Cを付加する必要がない。しかしながら実装寸法制限やコスト制限で付加する容量Cを省略する場合もある。いずれであっても実用的に動作する強さの電磁結合であればあればよい。容量Cを付加しない場合、fが920MHz、ループコイル46の直径が5mm、巻き数が2回の状態で実用的強さの結合を実現していることを実験で確認している。
ICタグ部14のICタグ40とループコイル46は、ICタグ40のコイルアンテナ44とループコイル46が互いに対向して所定間隔をおいて配置されるように位置決めされた状態で樹脂により固定される。
<キャップ部>
キャップ部50は、樹脂製であってコネクタ部12からICタグ部14にかけて外径が操作しやすいように大きくなるような形状に形成されてもよい。キャップ部50の形状については、ICタグ40とループコイル46を覆うことができるような形状であればよいので、図1や図2に示すような形状に限定されない。材料については、樹脂以外に金属であってもよい。たとえば、本発明に係るコネクタ型ICタグを原子炉付近の放射線量が多いような場所で使用するような場合には、放射線遮蔽材料で製造されたキャップ部50を使用すればよいし、高温環境下で使用するような場合には、熱遮蔽材料で製造されたキャップ部50を使用すればよい。つまり、キャップ部50の材質は使用用途に応じて異なる。
例えば、コネクタ型ICタグに内蔵される半導体集積回路は放射線や熱に対して弱いため、できるだけ放射線が照射されない環境を作ることが重要となる。そのため、放射線量の多い環境下において使用するような場合には、キャップ部50の材料として鉛やタングステンなど、あるはこれらを主成分とした樹脂などの放射線遮蔽材料を用いることにより半導体集積回路の保護の実効を図ることができる。また、高温環境下においてコネクタ型ICタグを使用する場合には、キャップ部50の材料として熱遮蔽材料を用いることにより高温環境下における半導体集積回路の保護の実効を図ることができる。従来のICタグが内蔵され、高感度で大型のアンテナと一体化したICタグの場合にはそのICタグだけを、ピンポイント保護することができず一体化したアンテナ全体に放射線遮蔽材料や熱遮蔽材料からなるシールドを施す必要があったのに対して上記したキャップによる保護方法によれば、ICタグ40の外周面にのみ放射線遮蔽材料や熱遮蔽材料からなるキャップを覆えばいいので、コストの低減も図れ、省資源化を目指す上で大変有効となる。
パッシブタグであるICタグ部14はバッテリーを内蔵していないが、ループコイル46によって受信された電波から電磁誘導結合(トランス結合)による誘導起電力を得てICチップ42の内部の集積回路で構成される電源回路が動作し、ICタグ全体が機能する。送受信回路は復調回路及び変調回路を有している。復調回路はキャリアに付加されたデータ(情報)を取り出す機能を有し、変調回路は、高周波の搬送波にデータを付加する機能を有する。
復調回路及び変調回路はロジック制御回路によって制御されて、クロック(図示せず)に同期して動作する。ロジック制御回路はCPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリはID(識別情報)等のデータを保存する。メモリはデータを保存するROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等から構成される。ICタグ40はリーダ/ライタ装置70との間で前記データに基づいて通信を行うことができる。例えば、メモリは、ブースターアンテナ装置60が設置された例えば、貨物の固有情報または位置等の情報や通信記録その他を格納することができる。なお、これらの構成要素の構成や動作の詳細については当業者に容易に理解できるため省略する。
ループコイル46の両端はそれぞれ後述するブースターアンテナ装置60の接続端子65につながり、さらにブースターアンテナ装置60内部のアンテナ素子(図示せず)につながる。コイルアンテナ44の通信距離は920MHz、電波出力30dBm、ICタグ40を日立化成(株)のIM5−PK2525型とした場合、コイルアンテナ44の法線方向に関して5mm程度、法線とは直角の方向で5cm程度である。ループコイル46は、ブースターアンテナ装置60との位置関係、実装面積、その他の条件に応じて所望の寸法、形状を有する。概略の寸法としては、対向するコイルアンテナ44と同等かその2ないし3倍程度の寸法である。IM5−PK2525の場合ではループコイル46の直径は5mm程度である。例えば、上から見た場合にループコイル46の形状は円形、四角形、楕円形など所望の形状を有することができる。一方コイルアンテナ44は、プリント基板などに印刷成形されICチップ42とワイヤボンディング方式やTAB(Tape Automated Bonding)方式などによって接続されている。
なお、本実施の形態では、コネクタ部12をねじ式のSMA型同軸コネクタとして説明したが、SMA型同軸コネクタ以外にも、例えばBNC(Bayonet Neill Connection)型コネクタ、N型コネクタ、TNC(Threaded Neill Connection)型コネクタ、MMCXコネクタ等のようなコネクタであってもよい。また、ねじ式以外にも差し込み式のコネクタであってもよい。
[ブースターアンテナ装置の構成]
次に、ブースターアンテナ装置60について説明する。ブースターアンテナ装置60は、一般に市販されているリーダ/ライタ装置の商品メニューになどあるケーブル接続の別置きのアンテナ装置から選ぶのが好ましく、そのアンテナ装置の内部には例えば、パッチアンテナなどのアンテナ素子(図示せず)があり、これと外部へつながる接続端子65とを高周波回路で配線(図示せず)されている。これら(図示しない部分)は中空の箱型形状の電波は透過するが防水など環境保護用シールドカバー62とからなる。
アンテナ素子として多く用いられているパッチアンテナなどの平面アンテナは、例えば、プリント基板などでエッチングによる印刷形成など当業界で周知ないずれの方法によっても形成することができる。
アンテナ素子はパッチアンテナの他に金属棒などで組み立てる八木アンテナやダイポールアンテナ、モノポールアンテナ、ループアンテナ、スロットアンテナ、マイクロストリップアンテナ、あるいは立体的な面で構成されるホーンやパラボラアンテナなど当業界で周知の様々なアンテナを適用することができる。
シールドカバー62の側面には、図1及び図3に示されるように、コネクタ部12の雌ねじ部74と螺合する雄ねじ部68を含む雄ねじ部材64が取り付け基板66を介して取り付けられている。
[リーダ/ライタ装置の構成]
次に、リーダ/ライタ装置70について説明する。リーダ/ライタ装置70は、制御インタフェース部(図示せず)とアンテナ部(図示せず)とを有しており、所定のキャリア周波数fcを有する電波を、ICタグ40へ送信したりICタグ40から受信したりして、ICタグ40と無線通信する。なお、電波Wは任意の周波数帯のキャリア周波数fc(例えばUHF帯域であれば433MHz、860−960MHz)を使用することができる。リーダ/ライタ装置70は、制御インタフェース部を介して図示しない外部装置(処理装置、制御装置、パーソナルコンピュータ、ディスプレイなど)に接続されている。
制御インタフェース部は、送信回路(変調回路)と、受信回路(復調回路)と、コントローラとを内蔵している。送信回路は、外部装置(図示せず)からのデータを、例えば、キャリア周波数fcの振幅を変えることにより(ASK変調方式)、伝送信号に変換してアンテナ部に送信する。また、受信回路はアンテナ部を通じてICタグ40から受信した信号を復調してデータを得て、前記外部装置に送信する。なお、当業者は、送信回路及び受信回路の動作や構成を容易に理解して実現することができるので、ここではそれらの詳細な説明は省略する。
アンテナ部は、例えば、パッチアンテナやダイポールアンテナなどのアンテナ素子で構成され、そのアンテナの指向性や感度によって通信可能領域は変化する。
リーダ/ライタ装置70から送信される電波をブースターアンテナ装置60が受信すると、ブースターアンテナ装置60の内部のアンテナ素子から接続端子65を介してICタグ部14のループコイル46にも電流が流れ、電磁誘導結合によりICタグ40を構成するコイルアンテナ44に電流が流れる。これによりICタグ40の電源回路が駆動され、ICチップ42内のメモリ(図示せず)に格納された情報が読み取られる。
[ブースターアンテナ装置にコネクタ型ICタグを取り付けた場合の使用例]
ブースターアンテナ装置60にコネクタ型ICタグ10を取り付けた場合、ブースターアンテナの形状、大きさ、性能によって用途を分けることが可能である。以下では、コンパクトタイプ、高利得アンテナを備えた大型長距離通信タイプ、周波数帯域が変わる国際物流対応や特定方向が高感度になる直線偏波利用など特殊なタイプごとにそれらの適用するシーン(使用例)について説明する。
<コンパクトタイプ>
図7(a)に示すようなコンパクトなブースターアンテナ装置100(図の例では取り付け板110を備えたタイプ)に取り付けられたコネクタ型ICタグ10を設置スペースが狭い管理対象物、例えば小型貨物に取り付けて物流管理システムなどに利用される。
<高利得アンテナを備えた大型長距離通信タイプ>
10mを超えるような長距離通信が必要とされる物流管理システムに利用される。例えば、図9に示すようにリーダ/ライタ装置510が装着された無人機(ドローン:Drone)500を、コネクタ型ICタグ10が接続されたブースターアンテナ装置530(図7(b)におけるブースターアンテナ装置200のタイプと同じで以降ICタグ装置535ということもある)が取り付けられた大型貨物(コンテナ)520上空近傍にリモートで飛行させる。無人機500がICタグ装置535と通信可能な距離まで接近すると、リーダ/ライタ装置510はICタグ装置535のIDなどの情報を読み込むことができる。このように、リーダ/ライタ装置をICタグ近傍まで近づかせることができないような環境でも上記したような方法により安価で簡単に、かつ安全な飛行高度で巡航させ、短時間で物流管理を行うことができる。
また、図10に示したように物流倉庫の物品搬入搬出エリア640に発着する貨物トラック600に設けられたリーダ/ライタ装置610が、コネクタ型ICタグ10が接続されたブースターアンテナ装置、すなわち大型長距離通信タイプのICタグ装置635内のID等の情報を読み取ることによって、物品搬入搬出エリア640内のどのポート場所に貨物トラック600を到着させればよいかを認識(発着自動認識)させたり、誘導させたりすることができる。つまり、ICタグ装置635の通信エリア634がポート情報を発するエリアとなる。
<特殊なタイプ>
輸出用貨物の輸出先の周波数帯にマッチした帯域のアンテナを選択したい場合に利用される。例えば、ヨーロッパのUHF帯は860Hz〜880Hzであるが、その通信規格に合った最良のブースターアンテナ装置にコネクタ型ICタグを取り付けたもの(図7(c)の符号300参照)を利用すれば、輸出用貨物の物流管理も行うことができる。あるいはブースターアンテナ装置内のアンテナ素子に直線偏波特性を選ぶと、互いの偏波方向を平行か直角に向き合わせるかで感度が大きく変化する。この偏波特性を積極的に利用できることになる。例えばこのような偏波依存性の大きいICタグ装置を取り付け、目視では見えないシートを被った貨物の向きを知れるといった技術に利用できる。この技術には、直線偏波のほかに円偏波の右旋偏波と左旋偏波の間の直交性による感度変化を利用することも出来る。
[効果]
従来のパッシブICタグは、電池不要が大きな特徴であるが通信可能距離は、高性能タイプであっても概略10m程度であった。10m以上を所望する場合は電池つきのアクティブタグが必要であった。しかしながら通信距離が比較的長いアクティブタグを用いて通信することもできるが、高価な上に電源(電池)を要するため通信中に電池寿命がきた場合には、電池交換した後に改めて通信し直さなければならない。
本発明に関わるコネクタ型ICタグはバッテリーレスのパッシブICタグであるので電池交換の必要がなく、通信距離もブースターアンテナを使うので従来のパッシブICタグ単独の通信に比べて飛躍的に伸びる。さらに国際規格や工業規格のコネクタを利用しているので、用途別(例えば、耐候性に優れたタイプ、放射線遮蔽性に優れたタイプ、熱遮蔽性に優れたタイプ等)に異なるブースターアンテナやコネクタ型ICタグを選択することができ、いずれのアンテナにも接続できるコネクタ型ICタグの組み合わせができる。したがって、様々な用途に柔軟に対応することができ、選択の自由度が増える。また、コネクタ型ICタグのキャップ部50小型化が容易で、樹脂でできたもの、放射線遮蔽材料でできたもの、熱遮蔽材料でできたもの、小型化が可能で遮蔽能力のクラス分けをメニューとする等、適宜使い分けることで、様々な用途に柔軟に対応することができる。
[変形例1]
上記した説明ではコネクタ型ICタグとリーダ/ライタ装置との送受信については、形状が平面的なパッチアンテナなどを用いたブースターアンテナを介して行われる例について説明したが、平面形状のアンテナの代わりに、小型アンテナ(図8参照)、パラボラアンテナ、多素子の八木アンテナ(商標:図示せず)などを用いて、これらのアンテナにコネクタ型ICタグを接続してリーダ/ライタ装置との送受信を行うような構成にしてもよい。例えば、小型用途タイプとして利用する場合には、図8に示すようにコネクタ型ICタグ10を、ケーブル410を介して小型アンテナ400に接続して利用することもできる。
[変形例2]
不適切なIDの交換を防止したり、交換しにくくするためにコネクタ型ICタグとブースターアンテナ装置との接続を1回限りとするカシメ止め又は嵌め殺し止めを行ってもよい。具体的には、目的(用途)に合ったブースターアンテナ装置を選択した後にコネクタ型ICタグのコネクタ部12をブースターアンテナ装置に形成されたコネクタに接続し、その後にその接続部分に対してカシメ止め又は嵌め殺し止めを行う。
[変形例3]
上記した説明ではコネクタ型ICタグについては、図11(a)に示すような同軸ケーブル型のものを例にとって説明したが、これ以外にも例えば図11(b)に示すような雄雌変換型のコネクタ700や図11(c)に示すようなエルボー型コネクタ800を用いてもよい。雄雌変換型のコネクタ700は、ブースターアンテナ装置側(一端側)のコネクタ形状は同軸ケーブル型のものと同じであるが逆側(他端側)には雄ねじ部710が形成されており、雄ねじ部710に内在する同軸ケーブルの内部導体と外部導体にそれぞれ、ICタグ部を構成するループコイルの一端と他端が接続されている。エルボー型コネクタ800は、同軸ケーブル型のコネクタ型ICタグのコネクタ部810とICタグ部820の間に中継部材830を介在させてなる略L字状のコネクタである。
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。上述の実施の形態においては、RFID通信にて用いられるUHF帯の周波数として920MHzが挙げられている。しかしながら、RFID通信にて用いられるUHF帯の周波数としては、たとえば860MHzから960MHzの帯域であれば、どのような周波数であってもよい。また、RFID通信にて用いられる周波数としては、UHF帯の周波数には限られず、2.45GHzを中心とする周波数であっても良く、433MHzを中心とする周波数であってもよく、その他の周波数であってもよい。ブースターアンテナ装置は、リーダ/ライタ装置の構成要素として一般的に用いられているアンテナ装置がふさわしい。これらは使用する周波数で最良の感度特性を得ることができるように調整されている。
10…コネクタ型ICタグ、12…コネクタ部、14…ICタグ部、16…雌ねじ部材、18…導体保持部、20…タグ接合部、30…同軸ケーブル、31…内部導体、32…絶縁部、33…外部導体、40…ICタグ、42…ICチップ、44…コイルアンテナ、46…ループコイル、50…キャップ部、60…ブースターアンテナ装置、62…シールドカバー、64…雄ねじ部材、65…接続端子、66…取り付け基板、67…雄側内部導体、68…雄ねじ部、69…雄側外部導体、70…リーダライタ装置、71…絶縁体、74…雌ねじ部、100…ブースターアンテナ装置、110…取り付け板、200…ブースターアンテナ装置、210…取り付け金具、300…ブースターアンテナ装置、400…小型アンテナ、410…ケーブル、500…ドローン、510…リーダ/ライタ装置、520…大型貨物、535…ICタグ装置、600…貨物トラック、610…リーダ/ライタ装置、634…通信エリア、635…ICタグ装置、640…物品搬入搬出エリア、700…コネクタ型ICタグ、710…雄ねじ部、800…コネクタ型ICタグ、810…コネクタ部、820…ICタグ部、830…中継部材

Claims (8)

  1. ブースターアンテナ装置を介してリーダ/ライタ装置と無線通信を行うコネクタ型ICタグであって、
    前記ブースターアンテナ装置に対して電気的に接続され、かつ、着脱可能なコネクタ部と、
    前記コネクタ部に電気的に接続されるICタグ部と、
    を有することを特徴とするコネクタ型ICタグ。
  2. 前記ICタグ部は、
    ICチップと、
    前記ICチップに接続される第1のアンテナと、
    前記第1のアンテナと対向する位置に設けられリーダ/ライタ装置との間で無線通信を行うための前記ブースターアンテナ装置に電気的に接続される第2のアンテナを有する
    ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ型ICタグ。
  3. 前記コネクタ部は、前記ブースターアンテナ装置に設けられたブースター側コネクタと電気的に接続可能に構成されている
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ型ICタグ。
  4. 少なくとも前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、電磁誘導結合が可能となるように互いに所定の間隔をおいて配置されている
    ことを特徴とする請求項2に記載のコネクタ型ICタグ。
  5. 前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、それらを密着させて配置されるか又は短い間隔をもって対向配置されている
    ことを特徴とする請求項4に記載のコネクタ型ICタグ。
  6. 前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナは、互いに前記所定の間隔をおいて配置されるように樹脂で固定されている
    ことを特徴とする請求項4に記載のコネクタ型ICタグ。
  7. 前記第1のアンテナ及び前記第2のアンテナを覆うためのキャップ部を有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のコネクタ型ICタグ。
  8. 前記キャップ部は放射線遮蔽材料で製造された
    ことを特徴とする請求項7に記載のコネクタ型ICタグ。
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