JP2017032538A - 液体量検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】液体量の検出精度を高めることができる液体量検出装置を提供する。【解決手段】オイル検出装置20は、複数の検出電極群を含んで構成された電極ユニット21と、複数の検出電極群のそれぞれについて静電容量を検出する静電容量検出部23と、静電容量検出部23の検出結果を取得するECU26とを有している。ECU26は、複数の検出電極群のそれぞれについて静電容量を計測する処理と、複数の検出電極群のそれぞれについて静電容量に基づいて気体混入率を取得する処理と、複数の検出電極群のそれぞれについて気体混入率に基づいてオイル体積を取得する処理と、これらオイル体積を合計することでオイル量としての総オイル体積を取得する処理とを実行するものである。【選択図】図1

Description

本発明は、容器内の液体量を検出する液体量検出装置に関する。
従来から、容器の内部に貯留された液体の液面位置を検出することで、容器内の液体量を検出する装置が知られている。例えば特許文献1に記載された液面検出装置は、容器の高さ方向に並べられた複数のセンサ電極と、この鉛直方向に沿って延びた接地電極とを有している。この液面検出装置においては、基板部の表面に各センサ電極及び接地電極の両方が設けられており、センサ電極と接地電極との間の静電容量が各センサ電極のそれぞれについて検出される。そして、最下段のセンサ電極の静電容量を基準値とし、この基準値と同じ静電容量であるセンサ電極のうち、最も高い位置に配置されたセンサ電極の高さ位置に液面レベルが存在するとして、液面レベルの検出が行われる。
特開2013−190379号公報
しかしながら、液体が機械で撹拌されるなどして液体に気泡が発生している場合、気泡が存在する高さ位置の静電容量は、液体中の静電容量や気体中の静電容量とは異なることになる。ここで、気泡が発生している液体においては、容器の底面に近い部分ほど気体の混入量が少なく、容器の底面から遠い部分ほど気体の混入量が多くなる。このため、最下段のセンサ電極の静電容量を基準値として液面レベルが検出される構成では、液体において気体の混入量が少ない高さ位置が液面レベルとして検出されると考えられる。このように、液面レベルに基づいて液体量が検出される構成では、液体に気泡が発生している場合と発生していない場合とで大きな差異が生じやすく、液体量の検出精度が低下することが懸念される。
本発明は、上記問題を鑑みてなされたもので、その目的は、液体量の検出精度を高めることができる液体量検出装置を提供することにある。
以下、課題を達成するための発明の技術的手段について、説明する。なお、発明の技術的手段を開示する特許請求の範囲及び本欄に記載された括弧内の符号は、後に詳述する実施形態に記載された具体的手段との対応関係を示すものであり、発明の技術的範囲を限定するものではない。
上述の課題を解決するために開示された発明は、
容器(12,13)の内部に設けられた電極ユニット(21)と、
電極ユニットから静電容量を検出することで、容器の内部に貯留された液体(18)の量を液体量(Vq)として検出する液体量検出部(22,23,26)と、
を備え、
電極ユニットは、
容器の高さ方向に並べられた複数の検出電極(34a,34b)と、
複数の検出電極のそれぞれに対向している対向電極(32)と、
を有しており、
液体量検出部は、
複数の検出電極のそれぞれについて、検出電極と対向電極との間の静電容量(Cn)を検出する静電検出部(S101,S301,S307)と、
検出電極と対向電極との間の領域においての液体に対する気体の混入率を気体混入率(kn)として、複数の検出電極のそれぞれについて、静電検出部により検出された静電容量に基づいて気体混入率を取得する混入率取得部(S103)と、
混入率取得部により取得された複数の検出電極のそれぞれについての気体混入率に基づいて液体量を取得する液体量取得部(S104,S105)と、
を有していることを特徴とする。
この発明によれば、気体混入率に基づいて液体量が取得されるため、液体に気泡が発生しているなど液面レベルからでは液体量を取得することが困難な状況でも、液体量を適正に検出することができる。このため、液体に気泡が発生している場合と発生していない場合とで、検出される液体量に大きな差が生じにくい。したがって、例えば機械で撹拌されるなどして気泡の発生状態が刻々と変化している場合に、液面レベルの上下動と、容器からの液漏れ等による液体量の減少とを判別することが可能になる。以上のように、液体の状態に関係なく液体量の検出精度を高めることができる。
第一実施形態におけるオイル検出装置の全体構成を示すためのエンジンの断面図。 電極ユニットの分解斜視図及びオイル検出装置の電気的な構成を示す図。 電極ユニットの斜視図。 電極ユニットの横断面図であって、図1のIV−IV線断面図。 電極集合体の表側の斜視図及び裏側の斜視図。 電極ユニットの模式図及びオイル検出装置の電気的な構成を示す図。 エンジンが停止状態にある場合の各検出電極群の静電容量を示す図。 エンジンが運転状態にある場合の各検出電極群の静電容量を示す図。 オイル量検出処理の手順を示すフローチャート。 誘電率更新処理の手順を示すフローチャート。 エンジンが運転状態にある場合の各検出電極群の正規値を示す図。 エンジンが停止状態にある場合の各検出電極群の正規値を示す図。 異常判定処理の手順を示すフローチャート。 エンジンが停止状態にある場合の各検出電極群の静電容量を示す図。 エンジンが運転状態にある場合の各検出電極群の静電容量を示す図。 各検出電極群の静電容量の変化態様を示す図。 第二実施形態におけるオイル量検出処理の手順を示すフローチャート。 液面推定処理の手順を示すフローチャート。 液面位が適正に検出された場合のパラメータ値や観測値を示す図。 オイルが飛散した場合のパラメータ値や観測値を示す図。 電極故障が発生した場合のパラメータ値や観測値を示す図。 液面マップを示す図。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1に示すように、車両に搭載されたエンジン10は、シリンダヘッド11、クランクケース12及びオイルパン13を有しており、車両の走行用動力源となる内燃機関である。シリンダヘッド11は、その内部空間としてシリンダ11aを有しており、このシリンダ11a内をピストン14が上下方向に摺動するようになっている。ピストン14は、コネクティングロッド15を介してクランクシャフト16に接続されている。
シリンダヘッド11、クランクケース12及びオイルパン13は、エンジン10の本体部を形成しており、オイルパン13にはエンジンオイル等のオイル18が貯留されている。このオイル18は、ピストン14の摺動部、コネクティングロッド15及びクランクシャフト16の軸受け部等の潤滑を行う潤滑油であり、容器としてのオイルパン13に貯留された液体に相当する。また、エンジン10は、オイル18をろ過するストレーナ19を有している。
エンジン10においては、オイル18のオイル量がオイルパン13の容積よりも大きい場合には、オイル18の液面位置である液面位hがオイルパン13の上端よりも高い位置に上昇することも想定される。この場合には、オイルパン13に加えてクランクケース12により容器が構成されていることになる。なお、オイル量が液体量に相当し、液面位hを液面レベルや液面高さと称することもできる。
エンジン10に対しては、静電容量に基づいてオイル量や液面位hを検出可能なオイル検出装置20が設けられている。オイル検出装置20は、オイルパン13の内部に設けられた電極ユニット21と、電極ユニット21の電気的な状態を選択する電極選択部22と、電極ユニット21の静電容量を検出するための静電容量検出部23と、静電容量検出部23の検出結果を取得する制御装置としてのECU26とを有している。なお、オイル検出装置20が液体量検出装置に相当する。
オイル検出装置20の電気的な構成について簡単に説明する。オイル検出装置20においては、回路構成として、静電容量検出部23が電極選択部22を介して電極ユニット21に接続されている。ECU26は、マイクロコンピュータ等の制御部を含んで構成されており、電極選択部22及び静電容量検出部23に接続されている。静電容量検出部23は、検出信号をECU26に対して出力し、ECU26は、電極選択部22に対して指令信号を出力することで電極選択部22の動作制御を行う。ECU26は、メモリ等の記憶部を有しており、記憶部には液面位hに関する情報などが記憶されている。なお、電極選択部22、静電容量検出部23及びECU26が、液体量を検出する液体量検出部を構成している。
電極ユニット21は、全体として縦長状になっており、オイルパン13の高さ方向、すなわち上下方向に延びている。このため、オイル18の貯留量が増減した場合には、オイル18の液面位hが電極ユニット21の長手方向に変位することになる。なお、電極ユニット21は、ブラケットを介してクランクケース12及びオイルパン13に固定されている。
図2〜図4に示すように、電極ユニット21は、複数の電極が集合した電極集合体31と、電極集合体31との間に静電容量を発生させる共通電極32と、共通電極32に対する電極集合体31の位置保持を行っているセパレータ33とを有している。電極集合体31は全体として縦長状になっており、共通電極32は縦長の矩形筒状になっている。共通電極32は、耐油性を有するステンレス鋼等の金属材料により形成されており、幅寸法が奥行き寸法よりも大きい扁平状になっている。電極集合体31は、その幅方向が共通電極32の幅方向に一致する向きで、共通電極32の内部空間32aに収納されている。共通電極32の長さ寸法は電極集合体31の長さ寸法より大きくなっており、電極集合体31は共通電極32から上方及び下方のいずれにも突出しない状態になっている。
電極集合体31は、共通電極32の長手方向に沿って並べられた複数の検出電極34a,34bと、これら検出電極34a,34bを支持した電極支持体35とを有している。電極支持体35は、全体として縦長の矩形板状になっており、本実施形態では、電極支持体35において、検出電極34a,34bのうち表側検出電極34aが設けられた方の板面を表面と称し、裏側検出電極34bが設けられた方の板面を裏面と称する。検出電極34a,34bは、共通電極32と同様に、耐油性を有するステンレス鋼等の金属材料により形成されており、横長の矩形板状になっている。検出電極34a,34bは、それぞれ等間隔で配置されており、互いに平行に延びている。
検出電極34a,34bの幅寸法は電極支持体35の幅寸法より小さくなっており、検出電極34a,34bは、電極支持体35の幅方向の中央位置に配置されている。この場合、電極支持体35は、その幅方向において検出電極34a,34bよりも側方に突出した状態になっている。電極支持体35は、1つの絶縁板材により形成されている。
共通電極32は、その幅方向に延びた一対の幅板部32b,32cと、その奥行き方向に延びた一対の奥行き板部32dとを有している。一対の幅板部32b,32cのうち、表側に設けられた表側幅板部32bは表側検出電極34aと対向しており、裏側に設けられた裏側幅板部32cは裏側検出電極34bと対向している。
電極ユニット21においては、幅板部32b,32cと検出電極34a,34bとが互いに平行に延びている。表側検出電極34aは表側幅板部32bに対向しており、これら表側検出電極34aと表側幅板部32bとの間に静電容量が生じやすくなっている。また、裏側検出電極34bは裏側幅板部32cに対向しており、これら裏側検出電極34bと裏側幅板部32cとの間に静電容量が生じやすくなっている。
電極集合体31は、共通電極32の幅方向及び厚み方向の両方について中央位置に配置されている。表側検出電極34aと表側幅板部32bとの間の離間距離D1は、裏側検出電極34bと裏側幅板部32cとの間の離間距離D2に同じになっている。これら離間距離D1,D2は、奥行き板部32dと検出電極34a,34bとの間の離間距離D3よりも小さくなっている。なお、離間距離D1〜D3をギャップと称することもできる。
セパレータ33は、耐油性を有する樹脂等の絶縁材料により形成されており、電極ユニット21の幅方向において電極集合体31を挟んで一対設けられている。これらセパレータ33は、互いに離間しており、それぞれ上下方向に延びている。
セパレータ33は、電極支持体35の側端部が嵌合した嵌合凹部33aを有している。嵌合凹部33aは、上下方向に延びた溝部であり、電極支持体35の側端部のほぼ全体が嵌合凹部33aに入り込んだ状態になっている。セパレータ33は、その外周面が奥行き板部32dの内周面に重なっていることで、共通電極32に対する相対的な移動が規制されている。この場合、電極集合体31がセパレータ33を介して共通電極32に固定された状態になっている。
図4、図5に示すように、電極ユニット21においては、複数の検出電極34a,34bのうち、電極支持体35を挟んで対向する一対の検出電極34a,34bにより検出電極群39が構成されている。検出電極群39は、電極支持体35の長手方向に沿ってP個並べられており、各検出電極群39は等間隔で配置されている。1つの検出電極群39においては、表側検出電極34aと裏側検出電極34bとが同じ高さ位置に配置されており、上下に隣り合う検出電極群39の間には、検出電極34a,34bが存在しない隙間領域SPが設けられている。また、一対の検出電極34a,34bは、検出電極群39ごとに電気経路により電気的に接続されている。なお、共通電極32が検出電極群39に対向した対向電極に相当する。
表側検出電極34aと裏側検出電極34bとを接続した電気経路は、電気配線としての電極線41a,41bを含んで構成されている。電極線41aは、表側検出電極34aに接続された表側電極線41aであり、電極線41bは、裏側検出電極34bに接続された裏側電極線41bである。これら電極線41a,41bは、電極支持体35の内部に設けられている。
検出電極34a,34bには、電極線41a,41bを接続するための接続孔42a,42bが形成されている。接続孔42a,42bには、電極線41a,41bに接続されたコネクタ部材が挿入されており、このコネクタ部材により検出電極34a,34bと電極線41a,41bとが電気的に接続されている。接続孔42aは、表側検出電極34aに配置された表側接続孔42aであり、接続孔42bは、裏側検出電極34bに配置された裏側接続孔42bである。接続孔42a,42bは、複数の検出電極34a,34bのそれぞれに1つずつ形成されている。
電極集合体31は、電極線41a,41bが接続された電極端子43を有している。電極端子43は、電極支持体35の表面及び裏面のそれぞれにおいて電極支持体35の上部に配置されており、電極線41a,41bを介して検出電極34a,34bに接続されている。
次に、オイル検出装置20の電気的な構成について、図2を参照しつつ説明する。
オイル検出装置20においては、複数の検出電極群39のそれぞれについて個別に静電容量を検出することが可能になっている。静電容量検出部23は、検出電極群39と共通電極32との間に交流電流を供給する交流電源部23aと、この交流電源部23aに直列に接続された電流検出部としての電流計23bとを有している。
電極選択部22は、交流電源部23aに接続された1つの電源側端子22aと、複数の検出電極群39に個別に接続された複数の電極側端子22bとを有しており、これら端子22a,22bによりスイッチ部が構成されている。電極選択部22においては、電源側端子22aが1つの電極側端子22bと導通可能であり、電源側端子22aの導通対象が複数の電極側端子22bのいずれかに切り替えられるようになっている。この場合、電極側端子22bは、検出電極群39と同じ数であるP個だけ設けられており、これら電極側端子22bは各検出電極群39と1対1で接続されている。
電極選択部22は、第1状態〜第P状態のいずれかに移行可能になっている。図6に示すように、電極選択部22において、下から9段目の検出電極群39に接続された電極側端子22bと電源側端子22aとが導通状態にある場合は、電極選択部22が第9状態にあることになる。この場合、9段目の検出電極群39と共通電極32との間について電流値やインピーダンス値が電流計23bにより検出されることになり、ECU26は、これら検出値に基づいて9段目の検出電極群39について静電容量を算出する。
なお、交流電源部23aの負極側及び共通電極32はいずれもグラウンドGNDに接地されており、これら交流電源部23aの負極側と共通電極32とはグラウンドGNDを介して電気的に接続されている。
ここで、エンジン10が運転状態にある場合、オイル18がエンジン10内を循環することなどにより、オイル18に空気等の気体が混入して気泡が発生しやすくなる。オイル18にて多量の気泡が発生している状態では、オイル18と気体との境界部が不明確になり、オイル検出装置20による液面位hの検出精度が低下する。これに対して、オイル18と気体とはエンジン10の運転が停止されることで分離を開始し、エンジン停止からある程度の期間が経過した場合、オイル18と気体との境界部がある程度明確になり、オイル検出装置20による液面位hの検出精度が高くなる。
図7に示すように、オイル18と気体とが適正に分離し、液面位hがある程度明確になっている場合、P個の検出電極群39のそれぞれについてのP個の静電容量Cnに基づいて液面位hの位置が適正に検出される。例えば、P個の検出電極群39についてのP個の静電容量Cnが、第1値X1になっているグループと、第1値X1よりも小さい第2値X2になっているグループとに二極化している場合、これらグループの境界部に液面位hが存在すると推定できる。すなわち、一段目の検出電極群39からP段目の検出電極群39に向けて順に走査した場合に、静電容量Cnが急変している位置に液面位hが存在すると推定できる。図7においては、11段目の検出電極群39と12段目の検出電極群39との間に液面位hが存在していると推定できる。
また、P個の静電容量Cnが二極化している場合、オイル18と気体とが十分に分離したことで、P個の静電容量Cnがオイル18の静電容量Cqと気体の静電容量Caとに二値化されたと言うこともできる。静電容量Cnが二値化している場合としては、エンジン10が停止状態にあり、しかも、運転停止後にオイル18から気体が分離するのに十分な期間が経過した場合が挙げられる。
なお、第1値X1は、オイル18の誘電率に応じた静電容量になっており、第2値X2は、気体の誘電率に応じた静電容量になっている。
また、図7に示すように、適正な状態のオイル18の静電容量Cnに対して、燃料等により希釈された状態のオイル18aの静電容量Cnと、スラッジやイオンが多く含まれた状態のオイル18bの静電容量Cnとはいずれも異なっている。具体的には、液面位hより下の検出電極群39について、希釈状態のオイル18aの第1値X1aは適正なオイル18の第1値X1よりも小さく、スラッジやイオンが多く含まれた状態のオイル18bの第1値X1bは適正なオイル18の第1値X1よりも大きい。
エンジン10が運転状態にある場合や、エンジン10が停止した後に十分に時間が経過していない場合などにおいては、図8に示すように、P個の検出電極群39についてのP個の静電容量Cnが二極化しない状態になる。この場合、オイル18には多量の気泡が含まれていると想定され、この気泡と気体との境界部を気泡面位haと称すれば、この気泡面位haは、液面位hよりも高い位置に存在することになる。
ここで、静電容量Cnがほぼ第2値X2にある検出電極群39は、気泡面位haよりも高い気体領域Yaに存在し、静電容量Cnがほぼ第1値X1にある検出電極群39は、オイル18に含まれた気体量が非常に少ない液体領域Yqに存在することになる。これら気体領域Yaと液体領域Yqとの間には、オイル18に気体が混入して気泡が発生している気泡領域Yがあり、静電容量Cnが第1値X1と第2値X2との間になっている検出電極群39は気泡領域Yに存在することになる。この気泡領域Yには、オイル18に対する気体混入率が比較的高い第1領域Y1と、気体混入率が比較的低い第2領域Y2と、気体混入率が第1領域Y1と第2領域Y2との間になっている第3領域Y3とが含まれている。
本実施形態のオイル検出装置20においては、P個の静電容量Cnによるグラフを対象として積分処理が行われることで、オイル18のオイル量が検出されるようになっている。ECU26は、オイル量を検出するオイル量検出処理を実行する。オイル量検出処理は、各検出電極群39のそれぞれについて個別に静電容量を検出し、これら静電容量に基づいてオイル量を取得するものである。ECU26は、オイル量検出処理を所定周期で繰り返し実行する。
図9において、ステップS101では、P個の検出電極群39のそれぞれについて静電容量を計測する。ここでは、電極選択部22を第1状態〜第P状態まで順番に移行させ、それぞれの状態について電流計23bの計測値に基づいて静電容量を算出する。検出電極群39ごとに個別に算出された静電容量をCnと称した場合、この静電容量Cnは検出電極群39の数と同じP個だけ算出されることになる。なお、ECU26はステップS101を実行する機能を有しており、この機能が静電検出部に相当する。
ステップS102では、P個の検出電極群39のそれぞれについて、検出電極群39の検出電極34a,34bと共通電極32との間の離間部分を対象とした誘電率εnを取得する。ここでは、静電容量Cn、誘電率εn、電極32,34a,34bの対向面積S、電極32,34a,34bの離間距離dの関係を示す下記の式(1)を使用して、静電容量Cnを正規化することで誘電率εnを算出する。この場合、S/dを形状定数として1にしている。なお、ECU26はステップS102を実行する機能を有しており、この機能が誘電率取得部に相当する。
εn=Cn×d/S…(1)
ステップS103では、P個の検出電極群39のそれぞれについて、オイル18に対する気体の気体混入率knを取得する。ここで、気体混入率knとオイル18の誘電率εqと気体の誘電率εaとの関係を示す下記の式(2)を使用して、式(3)により気体混入率knを算出する。式(3)は、気体混入率knを、誘電率εnからの誘電率εqの差分と、誘電率εaからの誘電率εqの差分との比により算出したものである。これら誘電率εa,εqは記憶部に記憶されており、気体混入率knの算出に際して記憶部から読み出されるものである。なお、ECU26はステップS103を実行する機能を有しており、この機能が混入率取得部に相当する。
εn=εa×kn+εq×(1−k)…(2)
kn=(εn−εq)/(εa−εq)…(3)
ここで、式(3)については、誘電率と静電容量とが比例関係にあることに起因して、気体混入率knを、オイル18の静電容量Cq、気体の静電容量Ca及び検出電極群39の静電容量Cnに基づいて算出するものであるということもできる。
ステップS104では、P個の検出電極群39のそれぞれについて、共通電極32との間の気体体積Vna及びオイル体積Vnqを取得する。ここで、検出電極群39と共通電極32との間の空間体積Vn0は各検出電極群39において同じであり、この空間体積Vn0に加えて気体混入率knを使用して、下記の式(4),(5)により気体体積Vna及びオイル体積Vnqを算出する。
Vna=Vn0×kn…(4)
Vnq=Vn0×(1−kn)…(5)
ステップS105では、P個の検出電極群39のそれぞれについての気体体積Vna及びオイル体積Vnqを対象として、高さ方向に積算を行うことで総気体体積Va及び総オイル体積Vqを取得する。この場合、下記の式(6)を使用して、P個の気体体積Vnaを合計して総気体体積Vaを算出するとともに、下記の式(7)を使用して、P個のオイル体積Vnqを合計して総オイル体積Vqを算出する。なお、総オイル体積Vqがオイル量及び液体量に相当する。また、ECU26はステップS104,S105を実行する機能を有しており、この機能が液体量取得部に相当する。
Va=ΣVna…(6)
Vq=ΣVnq…(7)
ステップS106では、総オイル体積Vqがあらかじめ定められた下限値以上であるか否かを判定する。下限値は、エンジン10の運転状態が適正に保持されるオイル量の下限値であり、記憶部に記憶されている。総オイル体積Vqが下限値よりも小さい場合、オイル18がオイルパン13等から漏れているとして、ステップS107に進み、オイル漏れ対策処理を行う。オイル漏れ対策処理としては、オイル漏れが発生している旨を報知するためのフラグをセットする処理や、この旨をインストルメントパネルの表示装置等に表示する処理などが挙げられる。総オイル体積Vqが下限値以上である場合、オイル漏れが発生していないとして、ステップS108に進む。
ステップS108では、総オイル体積Vqがあらかじめ定められた上限値以下であるか否かを判定する。上限値は、オイル18が希釈されたことを想定して、エンジン10の運転状態が適正に保持される希釈度の上限値であり、下限値と同様に記憶部に記憶されている。総オイル体積Vqが上限値よりも大きい場合、オイル18の希釈度が高すぎるとして、ステップS109に進み、オイル希釈対策処理を行う。オイル希釈対策処理としては、オイル18の希釈度が高すぎる旨を報知するためのフラグをセットする処理や、この旨をオイル漏れ対策処理と同様に表示装置に表示する処理などが挙げられる。総オイル体積Vqが上限値以下である場合、オイル18が適正な状態に保たれているとして、ステップS110に進む。
ステップS110では、エンジン10が停止状態にあるか否かを判定する。エンジン10が停止状態にある場合、ステップS111に進み、オイル18の状態が安定したか否かを判定する。この処理では、エンジン10の停止期間が所定の判定期間に達したか否かを判定し、達した場合にオイル18の状態が安定したと判定し、達していない場合にオイル18の状態が安定していないと決定する。この判定期間は、オイル18と気体とがある程度まで分離するために必要な期間であり、例えばエンジン10が停止される直前の運転期間の長さに応じて設定される。
エンジン10が停止状態にあり、且つオイル18の状態が安定している場合、ステップS112に進み、誘電率εa,εqを更新する誘電率更新処理を行う。誘導率更新処理については、図10を参照しつつ説明する。
オイル18については、経時変化や希釈、濃縮などにより誘電率が変化することが想定される。また、オイルパン13内の気体についても、オイル18や燃料の揮発成分が混じることなどにより誘電率が変化することが想定される。上述したように、オイル18の総オイル体積Vqを算出するための式(7)には、オイル18の誘電率εa及び気体の誘電率εqが含まれているため、オイル18や気体の実際の誘電率が変化していると、総オイル体積Vqの検出精度が低下することになる。そこで、誘電率εa,εqの更新処理を行うことで、オイル量の検出精度の低下を抑制している。
誘導率更新処理においては、図10に示すように、ステップS201にて、既に計測したP個の静電容量Cnを対象とした検索を行うことで、最も値の小さい最小静電容量Cnminと最も値の大きい最大静電容量Cnmaxとを取得する。
ステップS202では、複数の検出電極群39のそれぞれについて、静電容量Cnを正規化した静電正規値fnを取得する。ここでは、最小静電容量Cnmin及び最大静電容量Cnmaxを含む式(8)を使用して、静電正規値fnを算出する。この場合、P個の静電正規値fnを算出することになる。なお、ECU26がステップS202を実行する機能を有しており、この機能が正規取得部に相当する。
fn=(Cnmax−Cn)/(Cnmax−Cnmin)…(8)
図11、図12に示すように、静電容量Cnが正規化された場合、複数の検出電極群39のそれぞれについて、静電正規値fnの最小値が「0」になり、最大値が「1」になる。静電正規値fnについては、最小値及び最大値を含まない中間領域Z1と、最小値を含み且つ中間領域Z1よりも小さい側の最小側領域Z2と、最大値を含み且つ中間領域Z1よりも大きい側の最大側領域Z3とが設定されている。中間領域Z1が0.2〜0.8の範囲とされ、最小側領域Z2が0〜0.2未満の範囲とされ、最大側領域Z3が0.8超〜1.0の範囲とされており、オイル18に混入している気体量が多いほど、中間領域Z1に含まれる静電正規値fnの数が多くなる。
例えば、図11においては、中間領域Z1に含まれている静電正規値fnが10個であるのに対して、図12においては、1個だけになっている。これら図11、図12によれば、図11のオイル18の方が、図12のオイル18に比べて、P個の静電容量Cnの値のばらつきが大きく、混入している気体量が多いことが示されている。
図10に戻り、ステップS203では、P個の静電正規値fnを対象とした検索を行うことで、中間領域Z1に含まれている静電正規値fnの数を取得する。ステップS204では、中間数があらかじめ定められた許容数より小さいか否かを判定する。許容数は、オイル18に対する気体の混入状態が誘電率εa,εqの更新に適した状態にあるか否かを判定するための判定値になっている。許容数は、例えば「2」に設定されており、ステップS204は、中間数が「0」又は「1」の場合に限って肯定判定されることになる。
なお、中間領域Z1が特定領域に相当し、中間数が特定領域に含まれている特定数に相当する。また、ECU26がステップS204を実行する機能を有しており、この機能が許容判定部に相当する。さらに、中間数が許容数より小さいか否かを判定することは、オイル18と気体との分離状態が許容状態にあるか否かを判定することや、この分離状態が許容状態にあるか否かを判定することになる。すなわち、液面位hの計測に適した時期であるか否かを判定する。
中間数が許容数よりも小さい場合、P個の静電容量Cnがオイル18の静電容量Cqと気体の静電容量Caとに二値化されたとして、ステップS205に進み、液面位hを検出する液面検出処理を行う。この処理では、静電正規値fnが中間領域Z1よりも大きい位置にある検出電極群39の中で、最も高い位置にある検出電極群39の高さ位置に液面位hがあるとして、液面位hを推定する。この場合、液面位hは、検出電極群39の下端部と上端部との間のいずれかの高さ位置にあると推定されることになる。なお、ECU26はステップS205を実行する機能を有しており、この機能が液面検出部に相当する。また、中間数が許容数よりも小さいタイミングは、液面位hを推定するのに適した時期に含まれている。
ステップS206では、オイル18の誘電率εq及び気体の誘電率εaを取得する。ここでは、下記の式(9)を使用して最小静電容量Cnminに基づいて気体の誘電率εaを算出するとともに、下記の式(10)を使用して最大静電容量Cnmaxに基づいてオイル18の誘電率εqを算出する。
εa=Cnmin×d/S…(9)
εq=Cnmax×d/S…(10)
ステップS207では、オイル18の誘電率εq及び気体の誘電率εaの更新を行う。ここでは、記憶部に記憶されている誘電率εq,εaを、今回のステップS206での算出値に置き換える。なお、ECU26はステップS206,S207を実行する機能を有しており、この機能が静電設定部に相当する。
ECU26は、オイル量検出処理に加えて、検出電極群39に異常が発生しているか否かを判定する異常判定処理を行う。異常判定処理については、図13を参照しつつ説明する。なお、ECU26は、エンジン10が停止状態にある場合に、異常判定処理を所定周期で繰り返し実行する。
図13において、ステップS301では、エンジン10の始動準備が行われたか否かを判定する。ここでは、エンジン10を始動させるためのスタータスイッチがオフ状態からオン状態に移行したか否かを判定し、スタータスイッチがオン状態に移行した場合に、エンジン10の始動準備が行われたとして、ステップS302に進む。
ステップS302では、P個の検出電極群39のそれぞれについて、エンジン10が始動する直前の静電容量Cn(0)を計測する。なお、ECU26はステップS302を実行する機能を有しており、この機能が運転前検出部に相当する。
ステップS303では、オイル18の静電容量Cq及び気体の静電容量Caの更新を行う。ここで、エンジン10の停止期間が長いほどオイル18と気体との分離が進むことに起因して、オイル18の気体混入率knはエンジン10の始動直前が最も低く、静電容量Cn(0)の二値化が最も顕著になっていると想定される。そこで、最大静電容量Cnmaxをオイル18の静電容量Cqとして記憶部に記憶し、最小静電容量Cnminを気体の静電容量Caとして記憶部に記憶する。
ただし、静電容量Cn(0)が二値化されていない場合には、静電容量Ca,Cqの更新を行わずに、そのままステップS306に進む。エンジン始動前のエンジン停止期間が所定期間に達していない場合や、誘電率更新処理の二値化の判定処理(ステップS201〜204の処理)を行って否定判定された場合などが挙げられる。
ステップS304では、P個の検出電極群39のそれぞれについて、静電容量Cn(0)が正常値であるか否かの異常判定を行う。ここでは、静電容量Cn(0)と静電容量Ca,Cqとの差が許容値よりも小さいか否かを判定し、差が許容値よりも小さくない検出電極群39が存在する場合に、静電容量Cn(0)が正常値でないとする。静電容量Cn(0)が正常値でない検出電極群39が存在する場合、ステップS305に進み、始動前異常処理を行う。この処理としては、検出電極群39での異常発生の旨を報知するためのフラグをセットする処理や、この旨をインストルメントパネルの表示装置等に表示する処理などが挙げられる。
エンジン始動直前の異常判定では、二値化された複数の静電容量Cn(0)のうち、大きい方の静電容量Cn(0)とオイル18の静電容量Cqとを比較し、小さい方の静電容量Cn(0)と気体の静電容量Caとを比較する。例えば図14に示すように、オイル18に浸かっている複数の検出電極群39の中間段である7段目の検出電極群39の静電容量Cn(0)とオイル18の静電容量Cqとが大きく異なる場合、この7段目の検出電極群39に異常が発生していると判定する。
図13に戻り、静電容量Cn(0)が正常値である場合、ステップS306に進み、エンジン10が始動したか否かを判定する。エンジン10が始動していない場合、エンジン10が始動するまでこの判定処理を繰り返し行い、エンジン10が始動した場合、ステップS307〜S312にて、時間経過に伴うオイル18の状態変化を取得するための取得処理を行う。なお、後述するように、この取得処理は、エンジン10が停止するまで微小時間dtを周期として繰り返し実行されるようになっている。
取得処理において、ステップS307では、P個の検出電極群39のそれぞれについて、エンジン10が運転状態にある場合の静電容量Cn(t)を計測する。また、ステップS307においては、エンジン始動前の静電容量Cn(0)の計測タイミングからの経過時間が微小時間dtに達したか否かを判定し、達した場合に静電容量Cn(t)を計測する。なお、ECU26はステップS307を実行する機能を有しており、この機能が運転後検出部に相当する。
ステップS308では、静電容量Cn(t)が正常値であるか否かの判定を行う。静電容量Cn(t)が正常値でない検出電極群39が存在する場合、ステップS309に進み、運転中異常処理を行う。この処理としては、始動前異常処理と同様に、検出電極群39での異常発生の旨を報知するためのフラグをセットする処理や、この旨をインストルメントパネルの表示装置等に表示する処理などが挙げられる。なお、ECU26はステップS309を実行する機能を有しており、この機能が異常判定部に相当する。
エンジン10が運転状態にある場合の異常判定では、エンジン始動直前の静電容量Cn(0)の異常判定と同様に、静電容量Cn(t)と静電容量Ca,Cqとの差が許容値よりも小さいか否かを判定する。ただし、n段目の検出電極群39の静電容量Cn(t)について、上下に隣り合うn+1段目及びn−1段目の検出電極群39の静電容量Cn+1(t),Cn−1(t)との比較も行う。
例えば、図15に示すように、オイル18に浸かっていると推定される複数の検出電極群39について、7段目の検出電極群39の静電容量Cn(t)が上限閾値B1より大きい場合、この7段目の検出電極群39に異常が発生していると判定する。また、気中にあると推定される複数の検出電極群39について、その中間段である19段目の検出電極群39の静電容量Cn(t)だけが大きく異なる場合、この19段目の検出電極群39に異常が発生していると判定する。
図13に戻り、静電容量Cn(t)が正常値である場合、ステップS310に進み、静電容量Cnの変化率dC/dtを取得する。ここでは、静電容量Cn(t)と、前回の計測処理で取得された静電容量Cn(t−dt)と、オイル18中にある検出電極群39の代表値Cliqとの関係を示す下記の式(11)を使用して、変化率dC/dtを算出する。なお、前回の計測処理で取得された静電容量C(t−dt)は、今回の計測処理で取得された静電容量Cn(t)よりも微小時間dtだけ前に計測されたものである。また、代表値Cliqは、最下段の検出電極群39の静電容量Cn(t)や、オイル18の静電容量Cqになっている。さらに、変化率dC/dtは、代表値Cliqにより正規化された値になっている。
dC/dt=[{Cn(t)−Cn(t−dt)}/Cliq]/dt…(11)
図15に示すように、静電容量Cn(t)と静電容量Cn(t−dt)とで差異が大きい領域が存在する場合、この領域は気体混入率knが比較的大きい気泡領域Z4であると推定される。この気泡領域Z4においては、図16に示すように、変化率dC/dtが大きくなっており、この気泡領域Z4に複数の検出電極群39が含まれている場合、これら検出電極群39ごとに変化率dC/dtが異なっている。変化率dC/dtは、高い位置の検出電極群39になるにつれて連続的に変化している。
また、式(11)について、静電容量Cn(t−dt)にエンジン始動直前の静電容量Cn(0)を代入することで、この静電容量Cn(0)からエンジン始動後の静電容量Cn(t)への変化態様を変化率dC/dtとして算出できる。この場合、エンジン始動直前においては、複数の静電容量Cn(0)が二値化していることで、P個の検出電極群39のそれぞれについての変化率dC/dtの差が顕著なものになりやすく、この場合の変化率dC/dtを図16に図示している。また、この変化率dC/dtが、静電容量Cnについてのクランキング前後の変化差分を示している。
図13に戻り、ステップS311では、変化率dC/dtが正常値であるか否かを判定する。ここでは、変化率dC/dtが下限閾値B2より小さいか否かを判定するとともに、上限閾値B3より大きいか否かを判定し、変化率dC/dtが下限閾値B2より小さい又は上限閾値B3より大きい場合に、変化率dC/dtが正常値でないとする。変化率dC/dtが正常値でない検出電極群39が存在する場合、ステップS309に進み、運転中異常処理を行う。
例えば、図16に示すように、7段目の検出電極群39の変化率dC/dtが上限閾値B3より大きくなっている場合は、この7段目の検出電極群39に異常が発生していると判定される。また、19段目の検出電極群39の変化率dC/dtが下限閾値B2より小さくなっている場合は、この19段目の検出電極群39に異常が発生していると判定される。
図13に戻り、変化率dC/dtが正常値である場合、又は運転中異常処理が終了した後は、ステップS312に進み、液面位hを推定する。ここでは、P個の変化率dC/dtを対象とした検索を行うことで、異常発生の検出電極群39を除いて、変化率dC/dtが最大になっている検出電極群39を取得する。そして、変化率dC/dtが最大の検出電極群39がある高さ位置に、エンジン始動直前において液面位hが存在していたと推定する。なお、ECU26はステップS312を実行する機能を有しており、この機能が液面推定部に相当する。
例えば、図16に示すように、P個の検出電極群39において、11段目〜14段目の検出電極群39の変化率dC/dtが比較的大きくなっている場合、これら検出電極群39が気泡領域Z4に含まれていると推定される。そして、気泡領域Z4に含まれている複数の検出電極群39のうち変化率dC/dtが最大である12段目の検出電極群39の高さ位置に液面位hが存在すると推定される。
図13に戻り、ステップS313では、エンジン10が停止したか否かを判定する。エンジン10が停止した場合、そのまま本異常判定処理を終了する。一方、エンジン10が停止していない場合、ステップS307に戻る。ここでは、ステップS307の処理を実行してから微小時間dtが経過したか否かを判定し、経過している場合に、ステップS307に戻る。この場合、ステップS307〜S312の取得処理が微小時間dtを周期として繰り返し実行されることになる。
ここまで説明した本実施形態の作用効果を、以下に説明する。
本実施形態によれば、検出電極群39の静電容量に基づいて気体混入率が取得されるため、液面位hから間接的にオイル量を算出するのではなく、オイル量を直接的に算出することができる。このため、エンジン10の運転に伴ってオイル18に気泡が発生している場合に、気泡面位haの上下動と、オイルパン13からオイル18が漏れていることによるオイル量の減少とを判別することができる。このように、オイル18の状態に関係なくオイル量の検出精度を高めることができる。
本実施形態によれば、式(3)に示すように、気体混入率knが検出電極群39についての誘電率εnと気体の誘電率εaとの比により算出されるため、オイル18の誘電率εqの絶対値計測を必要としない構成を実現できる。式(3)においては、誘電率εn,εaの比がオイル18の誘電率εqを基準にして算出されるため、気体混入率knがオイル18の誘電率εqに依存しにくくなっており、オイル18の希釈等による誤差が気体混入率knに含まれるということを抑制できる。なお、オイル18の誘電率εqは、燃料の混入などにより変化しやすいと考えられ、誘電率εqの正確な絶対値を常に検出するのは現実的ではない。
本実施形態によれば、オイル18の誘電率εqが更新されるため、燃料による希釈や年時変化等によりオイル18の誘電率εqが変化したとしても、この誘電率εqを補正することができる。このため、都度のオイル18の誘電率εqを使用して気体混入率kn等を算出する際に、その算出精度が低下することを抑制できる。しかも、オイル18の誘電率εqの更新は、静電正規値fnの中間数が許容数よりも小さい場合に行われるため、この更新処理を実行するか否かの判定を、P個の検出電極群39についてのP個の静電容量Cnから統計的に処理することができる。
また、式(8)に示すように、静電正規値fnが最大静電容量Cnmaxを基準にして算出される場合に、最大静電容量Cnmaxがオイル18の静電容量Cqとされ、最小静電容量Cnminが気体の静電容量Caとされる。このため、静電正規値fnがオイル18の静電容量Cqに依存しにくくなっており、オイル18の希釈等による誤差が静電正規値fnに含まれるということを抑制できる。
本実施形態によれば、P個の静電正規値fnのうち中間領域Z1に含まれているものが何個あるかに基づいて、誘電率εa,εqを更新するか否かの判定を統計処理することができる。この場合、オイル18全体が誘電率εa,εqの更新に適した状態か否かが判定されることになるため、誘電率εa,εqが適正でない値に更新されるという不都合を回避することができる。
本実施形態によれば、中間数が許容数よりも小さい場合に、オイル18と気体との分離状態が許容状態にあるとしてステップS312にて液面位hの推定が行われるため、検出された液面位hの信頼性を適正に確保することができる。この場合、オイル18と気体との分離状態に関係なく液面位hが推定される構成とは異なり、液面位hの推定精度が高い場合と低い場合とが混在しているという事態が生じにくいため、推定した液面位hを信頼性の高い情報として使用しやすくなる。
本実施形態によれば、静電容量Cn(t)の時間変化である変化率dC/dtに基づいて、P個の検出電極群39のそれぞれについて異常発生の有無が判定されるため、異常発生の検出電極群39の有無に関する判定精度を高めることができる。例えば、所定タイミングにおける各検出電極群39の静電容量Cnが互いに比較される構成では、複数の静電容量Cnのばらつきが異常発生によるものであるか、気泡発生によるものであるかの判定について、判定精度が低下することが懸念される。
特に、エンジン始動直前の静電容量Cn(0)からエンジン始動後の静電容量Cn(t)への変化率dC/dtは、検出電極群39ごとの差異が顕著になりやすいため、異常発生の有無に関する判定精度を更に高めることができる。
本実施形態によれば、静電容量Cn(t)の変化率dC/dtに基づいて液面位hが推定されるため、液面位hの高さ位置にある検出電極群39と、異常が発生している検出電極群39とが混同されることを抑制できる。変化率dC/dtは、P個の検出電極群39において液面位hの高さ位置にある検出電極群39に近付くにつれて徐々に大きくなるため、その連続的な増減に関係ない変化率dC/dtの値を有している検出電極群39は異常発生である可能性が高いと推定できる。
上述したように、エンジン始動直前の静電容量Cn(0)を基準とした変化率dC/dtは、検出電極群39ごとの差異が顕著になりやすいため、液面位hの推定精度を更に高めることができる。
本実施形態によれば、P個の検出電極群39について、変化率dC/dtに基づいて異常発生と判定された検出電極群39を除外して、残りの検出電極群39の各変化率dC/dtに基づいて液面位hが推定される。このため、故障や劣化、堆積物により異常な静電容量を恒常的に示す検出電極群39が存在していた場合に、その検出電極群39を異常発生として判定することで、液面位hの推定自体を実行することができないという不都合を回避できる。
(第二実施形態)
上記第一実施形態では、ECU26により実行されるステップS205の液面検出処理において、静電正規値fnが中間領域Z1よりも大きい位置にある検出電極群39の中で、最も高い位置にある検出電極群39の高さ位置に液面位hがあるとした。これに対して、第二実施形態では、オイル量検出処理において、確率的推論を用いることで液面位hの高さ位置を推定する液面推定処理が実行される。オイル量検出処理について、上記第一実施形態との相違点を中心に、図17、図18を参照しつつ説明を行う。
本実施形態では、確率的推論を用いた液面推定アルゴリズムとして粒子フィルタを用いる。粒子フィルタは非線形フィルタであり、粒子フィルタをパーティクルフィルタと称することもできる。本実施形態の粒子フィルタにおいては、直前の時刻tにて推定されたパラメータ値xと、現在時刻t+1にて取得された観測値yt+1とに基づいて、現在時刻t+1でのパラメータ値xt+1を推定する。この推定に際しては、尤度p(yt+1|xt+1)を用いている。また、例えば1秒など所定時間が経過するまでパラメータ値xt+1の推定を規定回数Tsだけ繰り返し行うことで、規定回数Ts分のパラメータ値xt+1をサンプリングし、サンプリングされた複数のパラメータ値xt+1に基づいて液面位hを推定値xとして推定する。ここでは、パラメータ値x及び推定値xt+1が液面位hに対応し、観測値yt+1が各検出電極群39の静電容量Cnに対応している。
図17において、ステップS401では、上記第一実施形態のステップS301と同様に、エンジン10の始動準備が行われたか否かを判定する。ステップS402では、上記第一実施形態のステップS101と同様に、各検出電極群39のそれぞれについて静電容量Cnを取得する。ステップS403では、各検出電極群39の静電容量Cnを電極出力として二値化する。ここでは、静電容量Cnがあらかじめ定められた基準値より大きいか否かを判定する。そして、静電容量Cnが基準値より大きい検出電極群39については出力レベルをHIレベルとし、静電容量Cnが基準値より大きくない検出電極群39については出力レベルをLOWレベルとする。
ステップS404では、各検出電極群39の静電容量Cnから液面位hの高さ位置を推定する液面推定処理を行う。なお、ECU26は、ステップS404を実行する機能を有しており、この機能が推論推定部に相当する。この液面推定処理については、図18を参照しつつ説明する。
図18において、ステップS501では、タイマtをt=0にセットすることで、初期時刻を「0」に設定する。ステップS502では、初期時刻t=0について、パラメータ値xを初期化する。ここで、直前の時刻tについては、液面位hの高さ位置に関して複数の粒子が散らばっており、粒子の数が最も多い位置など粒子の数に応じて液面位hの高さ位置を設定する。パラメータ値xの初期化においては、前回のエンジン始動に合わせて推定された推定値xをパラメータ値xの初期値xに設定する。
ステップS503では、直前の時刻tでのパラメータ値xを用いて、現在時刻t+1でのパラメータ値xt+1を予測した予測値^xt+1を取得する。ここでは、直前の時刻tでの液面位h(t)を直前の時刻tでのパラメータ値xとし、現在時刻t+1での予測液面位hx(t+1)をパラメータ値xt+1とする。
ステップS504では、現在時刻t+1での観測値yt+1を取得する。ここでは、現在時刻t+1での各検出電極群39の出力レベルを観測値yt+1としてサンプリングする。この場合、観測値yt+1は、HIレベル及びLOWレベルのうち一方とされる。ステップS505では、現在時刻t+1について、粒子の分布状態及び検出電極群39の出力レベルに基づいて、各検出電極群39のそれぞれについて尤度p(yt+1|xt+1)を算出する。また、各粒子のそれぞれについて「重み」を算出する。
ステップS506では、現在時刻t+1についてパラメータ値xt+1を推定する。このパラメータ値xt+1の推定には、現在時刻t+1の予測値^xt+1と、現在時刻t+1での観測値yt+1と、尤度p(yt+1|xt+1)と、各粒子についての重みとを用いる。ここでは、現在時刻t+1にて推定される液面位h(t+1)をパラメータ値xt+1とする。
ステップS507では、タイマtに「1」を加えた数が規定回数Tsより小さいか否かを判定する。t+1が規定回数Tsより小さい場合、ステップS508にてタイマtに現在時刻t+1をインクリメントし、その後、ステップS503に戻る。この場合、t+1が規定回数Tsに達するまでステップS503〜S506の各処理を繰り返し実行する。t+1が規定回数Tsに達した場合、ステップS509に進む。ここで、規定回数Tsは、エンジン10の始動準備が開始されてから実際にエンジン10が始動するまでの例えば1秒などの時間において、ステップS503〜S508の処理を行うことができる回数に設定されている。
ステップS509では、液面位hの高さ位置を推定する液面判定を行う。ここでは、規定回数Ts分のパラメータ値xt+1を用いて液面位hの高さ位置を推定する。液面位hの高さ位置を推定することはオイル18についてオイル量を推定することになる。
ここで、液面推定処理が実行された場合の現在時刻t+1での液面位h(t+1)について、複数の例示を挙げつつ説明する。液面位hが長時間安定している状態において液面位hの推定が適正に行われた場合は、図19に示すように、直前の時刻tでの液面位(t)と現在時刻t+1での推定液面位hx(t+1)とに対して出力レベルが異常を示す検出電極群39が存在していない。具体的には、HIレベルの検出電極群39とLOWレベルの検出電極群39との境界部が1つだけある。この場合、尤度p(yt+1|xt+1)及び「重み」を用いて推定された現在時刻t+1での液面位h(t+1)は、各検出電極群39の各出力レベルに対応した値になっている。
なお、図19においては、粒子を丸印で図示しており、「重み」は丸印が大きいほど大きくなっている。
一方、オイルパン13において飛散したオイル18が、オイル18に浸かっていない検出電極群39に付着している場合、HIレベルの検出電極群39とLOWレベルの検出電極群39との境界部が複数ある。具体的には、図20に示すように、LOWレベルで並ぶ複数の検出電極群39の中に、HIレベルの検出電極群39が1つだけ存在している。この場合でも、液面位hの推定に粒子フィルタが用いられていることで、直前の時刻tでの液面位h(t)と、出力レベルの「尤もらしさ」である尤度p(yt+1|xt+1)とから、現在時刻t+1での液面位h(t+1)を精度良く推定できる。このため、液面位hの高さ位置の誤判定が生じにくく、液位判定が正確に行われることになる。
また、電極故障によってHIレベルを出力できない検出電極群39が存在する場合、HIレベルの検出電極群39とLOWレベルの検出電極群39との境界部が複数ある。具体的には、図21に示すように、HIレベルで並ぶ複数の検出電極群39の中に、LOWレベルの検出電極群39が1つだけ存在している。この場合でも、液面位hの推定に粒子フィルタが用いられることで、直前の時刻tでの液面位h(t)と、出力レベルの「尤もらしさ」である尤度p(yt+1|xt+1)とから、現在時刻t+1での液面位h(t+1)を精度良く推定できる。
図17に戻り、ステップS404にて液面推定処理を行った後、ステップS405にて単位時間当たりのエンジン回転数を取得し、ステップS406にてオイル温度を取得する。ここで、ECU26には、エンジン10のクランク角を検出するクランク角センサと、オイル18の温度を検出するオイル温度センサとが電気的に接続されている。クランク角センサは、エンジン10のシリンダブロックに取り付けられており、クランク軸の単位時間当たりの回転数に応じた検出信号を出力する。オイル温度センサは、オイルパン13に取り付けられており、オイル18の温度に応じた検出信号を出力する。ステップS405,S406では、クランク角センサ及びオイル温度センサの各検出信号に基づいて、エンジン回転数及びオイル温度を取得する。
ステップS407では、ステップS404にて推定した液面位hがマップ値より小さいか否かを判定する。ここで、ECU26の記憶部には、エンジン回転数とオイル温度と液面位hとの関係を示す液面マップが記憶されている。液面マップにおいては、例えば図22に示すように、X軸がエンジン回転数rpmとされ、Y軸が液面位hの上昇量Δhとされ、Z軸がオイル温度とされている。ここでは、ステップS405にて取得されたエンジン回転数と、ステップS406にて取得されたオイル温度とから、液面マップを用いて上昇量Δhを取得することで液面位をマップ値として算出する。
そして、液面位hがマップ値より小さい場合、ステップS408に進み、エンジン10において故障が発生しているとする。この故障としては、オイルパン13等からオイル18が漏れているオイル漏れが挙げられる。ここでは、上記第一実施形態のステップS107と同様のオイル漏れ対策処理を行う。
液面位hがマップ値より小さくない場合、ステップS409に進み、エンジン10において故障が発生していないとする。
第二実施形態によれば、静電容量Cnを検出するためのサンプリング時間が1秒間など短時間であっても、確率的推論としての粒子フィルタを用いて液面位hの高さ位置が推定されるため、液面位hの推定精度を高めることができる。このため、本実施形態にて述べたようにエンジン10の始動準備が開始されてからエンジン10が実際に始動するまでの短い時間を、液面位hの推定を行う時間として利用できる。
第二実施形態によれば、液面位hの推定に際して、各粒子について尤度p(yt+1|xt+1)や「重み」が設定されるため、サンプリングされた全ての静電容量Cnを平等に扱う構成に比べて、外れ値が有する影響力を小さくできる。このため、液面位hについて、サンプリング数が少なくても適正な推定精度を確保することができる。
なお、液面位hn推定に確率的推論を用いない構成では、液面位hを推定するために液面位hが長時間に亘って安定している必要があり、エンジン運転中や車両走行中に液面位hを推定してもその推定精度が許容範囲を超えて低いことが懸念される。しかしながら、エンジン10の運転や車両の走行について安全性を確保する上では、エンジン運転中や車両走行中にオイル18の液面位hを知ることが重要である。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
変形例1では、気体混入率knをオイル18の誘電率εqを基準にして算出するのではなく、気体の誘電率εaを基準にして算出してもよい。例えば、式(3)ではなく、下記の式(12)を使用して気体混入率knを算出する。この場合、気体混入率knが気体の誘電率εaに依存しにくくなっており、揮発成分が気体に混じることなどによる誤差が気体混入率knに含まれるということを抑制できる。
kn=(εa−εn)/(εa−εq)…(12)
変形例2では、気体混入率knが誘電率εa,εq,εnに基づいて算出されるのではなく、静電容量Ca,Cq,Cnに基づいて算出されてもよい。例えば、気体混入率knと静電容量Ca,Cq,Cnの関係を示す下記の式(13)を使用して気体混入率knが算出される構成とする。この構成では、複数の検出電極群39のうち、最上段の検出電極群39の静電容量を気体の静電容量Caとし、最下段の検出電極群39の静電容量をオイル18の静電容量Cqとする。
kn=(Cn−Cq)/(Ca−Cq)…(13)
変形例3では、静電正規値fnを最小静電容量Cnminを基準にして算出するのではなく、最大静電容量Cnmaxを基準にして算出してもよい。例えば、式(8)ではなく、下記の式(14)を使用して静電正規値fnを算出する。ここで、最小静電容量Cnminは液面位hよりも高い位置の検出電極群39が検出した気体の静電容量である。このため、式(14)においては、静電正規値fnが気体の静電容量に依存しにくくなっており、揮発成分が気体に混じることなどによる誤差が静電正規値fnに含まれるということを抑制できる。
fn=(Cn−Cnmin)/(Cnmax−Cnmin)…(14)
変形例4では、誘電率更新処理において、複数の静電容量Cnがオイル18の静電容量Cqと気体の静電容量Caとに二値化されたか否かの判定を行う場合に、静電容量Cnを正規化しなくてもよい。この場合でも、中間領域Z1を静電容量Cnについて設定することで、中間数が許容数より小さいか否かを判定することが可能になる。つまり、オイル18と気体との分離状態が許容状態にあるか否かを判定することができる。
変形例5では、誘電率更新処理においては、複数の静電容量Cnが二値化したか否かに関係なく、オイル18の誘電率εqや液体の誘電率εaを更新してもよい。例えば、最下段の検出電極群39の静電容量Cnを最大静電容量Cnmaxとし、最上段の検出電極群39の静電容量Cnを最小静電容量Cnminとし、式(9),(10)を使用して、オイル18の誘電率εq及び液体の誘電率εaを算出する。
変形例6では、誘電率更新処理において、オイル18の誘電率εq及び液体の誘電率εaのうち一方の更新を行わなくてもよく、いずれの更新を行わなくてもよい。
変形例7では、オイル18と液体との分離状態を判定するために、複数の静電容量Cnが二値化したか否かを判定するのではなく、複数の気体混入率knが二値化したか否かを判定してもよい。
変形例8では、ステップS205の液面検出処理が、中間数が許容数より小さいか否かに関係なく実行されてもよい。ただし、この場合は、液面検出処理により検出された液面位hに対する信頼性が低くなることが懸念されるため、ステップS312による推定値を液面位hとして使用することが好ましい。
変形例9では、検出電極群39の検出電極34a,34bに異常が発生しているか否かの判定が、異常判定処理ではなく、オイル量検出処理において実行されてもよい。例えば、オイル量検出処理において、オイル18の静電容量Cqや気体の静電容量Caに基づいて、静電容量についての上限閾値や下限閾値を設定し、静電容量Cnが上限閾値より大きい場合や下限閾値より小さい場合に検出電極群39に異常有りとして判定する。
変形例10では、ステップS312において、液面位hの推定位置を、複数の検出電極群39のうち、異常発生の検出電極群39を除いて、静電容量Cnの変化率dC/dtが最も大きい検出電極群39の高さ位置としなくてもよい。例えば、変化率dC/dtが最も大きい検出電極群39の一段上や一段下の検出電極群39の高さ位置に液面位hが存在するとして推定する。
変形例11では、ステップS302での静電容量Cn(0)の計測タイミングがエンジン始動よりも前のタイミングであれば、エンジン始動の直前でなくてもよい。例えば、エンジン10の運転が停止された後の経過時間が、オイル18と気体とが分離するのに十分な時間だけ経過したか否かを判定する。この場合でも、適正に二値化された状態の複数の静電容量Cn(0)が検出されると想定される。
変形例12では、ステップS307での静電容量Cn(t)の計測タイミングがエンジン始動後のタイミングであれば、エンジン始動の直後でなくてもよい。例えば、ステップS306にてエンジン始動の判定が行われた後、オイル18の気体混入率knが十分に高くなるのに必要な時間が経過したか否かを判定する。この場合、エンジン始動前の静電容量Cn(0)を基準とした変化率dC/dtについて、検出電極群39ごとの差が更に顕著な状態になるため、この変化率dC/dtを使用した異常判定の判定精度や、液面位hの推定精度を高めることができる。
変形例13では、エンジン始動前の静電容量Cn(0)からエンジン始動後の静電容量Cn(t)への変化率dC/dtではなく、エンジン停止前の静電容量Cn(t)からエンジン停止後の静電容量Cn(0)への変化率dC/dtが取得されてもよい。この場合でも、エンジン停止からオイル18と気体との分離に十分な期間が経過したタイミングで静電容量Cn(0)が検出されることで、気体混入率knの高い状態から低い状態に移行した際の変化率dC/dtを取得することが可能になる。
変形例14では、電極支持体35の表面及び裏面の両方に検出電極34a,34bが設けられているのではなく、表面及び裏面のうち一方にだけ検出電極が設けられていてもよい。この場合でも、複数の検出電極が共通電極32と対向しており、複数の検出電極のそれぞれについて静電容量Cnが検出されることで、オイル量の取得や液面位hの推定が可能になる。
変形例15では、複数の検出電極群39に対して対向電極としての共通電極32が1つだけ設けられているのではなく、複数の検出電極群39に対して複数の対向電極が1:1で設けられていてもよい。すなわち、検出電極群39と対向電極との組が複数設けられていてもよい。この構成では、それぞれの組についての条件が同じであれば、検出電極群39と対向電極との間の静電容量が同じになるように、検出電極や対向電極についての対向面積Sや離間距離dが設定されている。
変形例16では、静電容量検出部23が各検出電極群39のそれぞれに対して個別に設けられていてもよい。この場合、ECU26は、各静電容量検出部23の検出結果を比較することで液面位hを検出することができる。この構成では、電極選択部22を設ける必要がない。
変形例17では、オイルパン13に貯留されるオイル18を液体とするのではなく、車両の変速機の潤滑及び作動のために使用されるトランスミッションオイルや、燃料タンクに貯留される燃料を液体として、その液体量が検出されてもよい。液体がある程度の粘性を有していれば、気体の混入に伴って気泡が発生することが想定される。
変形例18では、上記第二実施形態において、液面位hの推定に際して、粒子フィルタではなく、カルマンフィルタや拡張カルマンフィルタが用いられてもよい。要は、液面位hやオイル量の推定に確率的推論が用いられていればよい。
変形例19では、上記第二実施形態において、エンジン10の始動準備が行われていない場合に液面位hの推定が行われてもよい。例えば、エンジン10がアイドリング状態にある場合や、エンジン10の運転に伴って車両が走行している場合などに、液面位hの推定が行われる構成とする。この構成でも、液面位hの推定に要する時間が確率的推論の使用により短縮されることに起因して、液面位hの推定精度が許容範囲を超えて低下することを抑制できる。
変形例20では、上記第二実施形態において、xt+1等のパラメータ値を液面位hではなくオイル量としてもよく、yt+1等の観測値を静電容量Cnではなく誘電率εnとしてもよい。要は、確率的推論を用いて液面位hやオイル量を推定するために、パラメータ値や観測値が設定されればよい。
変形例21では、上記第二実施形態において、観測値yt+1を二値化していたが、観測値yt+1を二値化しなくてもよい。例えば、ステップS402にて取得された各検出電極群39の静電容量Cnが、そのまま観測値yt+1として液面位hの推定に用いられる構成とする。変形例19のようにエンジン10が運転状態にある場合に液面位hを推定する構成においては、本変形例のように二値化されない観測値yt+1が用いられることが好ましい。
12…クランクケース、13…オイルパン、18…オイル、20…オイル検出装置、21…電極ユニット、22…電極選択部、23…静電容量検出部、26…ECU、32…共通電極、34…検出電極、Cn…静電容量、fn…静電正規値、h…液面位、kn…気体混入率、Vq…総オイル体積、Z1…中間領域、εa…気体の誘電率、εn…誘電率、εq…オイルの誘電率。

Claims (9)

  1. 容器(12,13)の内部に設けられた電極ユニット(21)と、
    前記電極ユニットから静電容量を検出することで、前記容器の内部に貯留された液体(18)の量を液体量(Vq)として検出する液体量検出部(22,23,26)と、
    を備え、
    前記電極ユニットは、
    前記容器の高さ方向に並べられた複数の検出電極(34a,34b)と、
    前記複数の検出電極のそれぞれに対向している対向電極(共通電極32)と、
    を有しており、
    前記液体量検出部は、
    前記複数の検出電極のそれぞれについて、前記検出電極と前記対向電極との間の静電容量(Cn)を検出する静電検出部(S101,S301,S307)と、
    前記検出電極と前記対向電極との間の領域においての前記液体に対する気体の混入率を気体混入率(kn)として、前記複数の検出電極のそれぞれについて、前記静電検出部により検出された前記静電容量に基づいて前記気体混入率を取得する混入率取得部(S103)と、
    前記混入率取得部により取得された前記複数の検出電極のそれぞれについての前記気体混入率に基づいて前記液体量を取得する液体量取得部(S104,S105)と、
    を有していることを特徴とする液体量検出装置(20)。
  2. 前記静電検出部により検出された前記静電容量に基づいて、前記複数の検出電極のそれぞれについて誘電率(εn)を取得する誘電率取得部(S102)を備え、
    前記混入率取得部は、
    前記気体の誘電率(εa)と前記液体の誘電率(εq)との差分と、前記検出電極についての誘電率と前記液体の誘電率との差分との比を取得することで前記気体混入率を取得するものである特徴とする請求項1に記載の液体量検出装置。
  3. 前記液体量検出部は、
    前記液体と前記気体との分離状態が所定の許容状態である場合に、前記静電検出部により検出された前記複数の検出電極のそれぞれについての前記静電容量に基づいて、前記液体の誘電率を設定する静電設定部(S206,S207)を有していることを特徴とする請求項2に記載の液体量検出装置。
  4. 前記液体量検出部は、
    前記静電検出部により検出された前記複数の検出電極のそれぞれについての前記静電容量を正規化することで、複数の静電正規値(fn)を取得する正規取得部(S202)と、
    前記正規取得部により取得された前記複数の静電正規値のうち、前記液体に対する前記気体の混入を規定した特定領域(Z1)に含まれている静電正規値の数を特定数として、前記特定数があらかじめ定められた許容数よりも小さい場合に、前記分離状態が前記許容状態にあると判定し、前記特定数が前記許容数以上である場合に、前記分離状態が前記許容状態にないと判定する許容判定部(S204)と、
    を有していることを特徴とする請求項3に記載の液体量検出装置。
  5. 前記液体量検出部は、
    前記液体と前記気体との分離状態が所定の許容状態にある場合に前記複数の検出電極のそれぞれについての前記静電容量に基づいて前記液体の液面位置(h)を検出する液面検出部(S205)を有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液体量検出装置。
  6. 前記液体量検出部は、
    前記複数の検出電極のそれぞれについての前記静電容量を観測値(yt+1)として、確率的推論を用いて前記観測値から前記液体の液面位置(h)を推定する推論推定部(S404)を有していることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の液体量検出装置。
  7. 前記容器は、内燃機関にて潤滑油として使用された前記液体を貯留するものであり、
    前記静電検出部は、
    前記内燃機関が運転を開始する前に、前記複数の検出電極のそれぞれについて前記静電容量を検出する運転前検出部(S302)と、
    前記内燃機関が運転を開始した後に、前記複数の検出電極のそれぞれについて前記静電容量を検出する運転後検出部(S307)と、
    を有しており、
    前記液体量検出部は、
    前記運転前検出部の検出結果から前記運転後検出部の検出結果への変化態様に基づいて、前記複数の検出電極のそれぞれについて異常が発生しているか否かの異常判定を行う異常判定部(S309)を有していることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の液体量検出装置。
  8. 前記液体量検出部は、
    前記運転前検出部の検出結果から前記運転後検出部の検出結果への変化態様に基づいて、前記内燃機関が運転を開始する前において、前記複数の検出電極のいずれの高さ位置に前記液体の液面位置が存在していたのかを推定する液面推定部(S312)を有していることを特徴とする請求項7に記載の液体量検出装置。
  9. 前記液面推定部は、
    前記複数の検出電極のうち、前記異常判定部により異常発生と判定された検出電極を除外して、前記静電容量の変化率が最大である検出電極の高さ位置に前記液面位置が存在すると推定するものであることを特徴とする請求項8に記載の液体量検出装置。
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WO2019054343A1 (ja) * 2017-09-13 2019-03-21 太平洋工業株式会社 潤滑油センサヘッド、センサ装置、センサシステム及びセンサ付きオイルパン
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