図1は、本発明に係る栽培用容器の一例を備える栽培システムの第1実施例の構成を概略的に示す。
栽培システムは、例えば、所謂、太陽光型植物工場または人工光閉鎖型植物工場内に設けられている。
栽培システムは、所定の濃度に調整された液体肥料としての培養液(以下、養液ともいう)を貯留するサブ混合タンク34と、サブ混合タンク34からの養液に酸素混合装置32により空気または酸素等を強制的に溶け込ませたものを貯留するメイン混合タンク26と、メイン混合タンク26内に配され、メイン混合タンク26内の養液を後述する分配供給路14に供給するポンプ30と、メイン混合タンク26内の養液を各栽培用容器10a1、10a2、10a3、10a4…10anに供給する分配供給路14と、各栽培用容器10a1、10a2、10a3、10a4…10anからの廃液を回収し廃液処理装置22に供給する排出路16と、分配供給路14からの養液を貯留するとともに、同一種類の所定の株数の植物12Pa1、12Pa2、12Pa3、12Pa4…12Panを個別に生育させる複数の栽培用容器10a1、10a2、10a3、10a4…10anと、排出路16からの廃液を再利用可能とするように廃液(使用済み養液)に含まれる不純物を除去する廃液処理装置22と、を主な要素として含んで構成される。
斯かる栽培システムにおいて栽培される植物12Pa1〜12Pa4…12Panは、例えば、所定の株数のレタス等の葉菜類とされる。なお、図1においては、代表的に、複数の植物および栽培用容器のうちの植物12Pa1〜12Pa4および栽培用容器10a1、10a2、10a3、10a4が示されている。
サブ混合タンク34は、用水供給源38および養液が貯留される養液タンク36に接続されている。これにより、サブ混合タンク34内に貯留される養液の濃度は、予め、栽培する植物12Pa1〜12Pa4に適切な所定の濃度に調整されている。
酸素混合装置32は、植物12Pa1〜12Pa4の根腐れを回避すべく、例えば、混合タンク34からの養液に対し強制的に加圧空気を加え、あるいは、酸素ボンベからの所定圧力の酸素を溶け込ませるものとされる。また、後述する配管Du1、分配供給路14および配管Du2を通じて循環される養液も、酸素混合装置32を介してメイン混合タンク26内に戻される。
養液貯留部としてのメイン混合タンク26内には、酸素混合装置32からの養液LQが、所定の水位で貯留されている。また、メイン混合タンク26内には、配管Du1の一端に接続されるポンプ30が設けられている。ポンプ30は、図示が省略される制御部により駆動制御される。これにより、ポンプ30が作動状態とされる場合、メイン混合タンク26内の養液LQが配管Du1を通じて分配供給路14に供給される。
配管Du1の他端に接続される分配供給路14には、図1における矢印が示す養液の供給方向に沿って所定の間隔をもって流量制御弁18UV1、18UV2、18UV3、および、18UV4が設けられている。流量制御弁18UV1、18UV2、18UV3、および、18UV4は、それぞれ、栽培用容器10a1、10a2、10a3、10a4に対応して設けられている。
流量制御弁18UV1、18UV2、18UV3、および、18UV4には、それぞれ、後述する栽培用容器10a1〜10a4の分岐供給管20U1、20U2、20U3、および、20U4の一端が着脱可能に接続されている。流量制御弁18UV1、18UV2、18UV3、および、18UV4は、例えば、養液の流量が所定の値となるように手動により設定されている。
分配供給路14の下流側の端部には、配管Du2を介して上述の酸素混合装置32が接続されている。
栽培用容器10a1〜10a4は、互いに同一の構造を有しているので栽培用容器10a1について説明し、他の栽培用容器の説明を省略する。
栽培用容器10a1は、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで袋状に作られている。栽培用容器10a1は、分岐供給管20U1の下端が上部に接続され、分岐排出管20D1の上端が下部に接続されている。分岐供給管20U1および分岐排出管20D1の内径は、略同一に設定されている。栽培用容器10a1の上部には、栽培システムの筐体に固定されるフック部10Faおよび10Fbが設けられている。
また、栽培用容器10a1の上部における開口部には、図4(A)に示されるように、植物12Pa1を栽培用容器10a1に固定する植物固定用ストッパ28が一体に形成されている。栓部材としての植物固定用ストッパ28は、積み重ねられる複数のシール部材28Bを収容するシール収容部を内側に有している。シール収容部は、略台形の縦断面形状を有し、植物固定用ストッパ28の上部開口部28aおよび下部開口部28bに連通している。各シール部材28Bは、例えば、伸縮性のあるウレタン材料で環状に作られ、植物12Pa1の茎が貫通する孔28BHを有する。孔28BHの周縁は、図4(B)および(C)に示されるように、連続した複数個の円弧面で形成されている。なお、互いに重なるシール部材28Bは、互いに複数個の円弧が円周方向に沿ってずれて配置されるように、積み重ねられる。これにより、植物12Pa1の茎は、各シール部材28Bが複数個の円弧により形成される線で密着されることとなる。
栽培用容器10a1内には、所定量の養液LQ´が貯留されている。植物12Pa1の根は、養液LQ´に浸されている。養液LQ´内には、分岐排出管20D1の一方の開口端が所定の長さだけ突出している。仮に、養液の水位が上昇した場合、養液が分岐排出管20D1の一方の開口端を通じて排出されるので養液LQ´の水位が、所定の長さに対応した所定の水位LHに制御されることとなる。
分岐排出管20D1の他方の開口端は、排出路16に設けられる流量制御弁18DV1に着脱可能に接続されている。
排出路16には、図1における矢印が示す養液の排出方向に沿って所定の間隔をもって流量制御弁18DV1、18DV2、18DV3、および、18DV4が設けられている。流量制御弁18DV1、18DV2、18DV3、および、18DV4は、それぞれ、栽培用容器10a1、10a2、10a3、10a4に対応して設けられている。これにより、例えば、栽培用容器10a1の植物12Pa1が収穫される場合、分岐排出管20D1が流量制御弁18DV1から取り外され、また、分岐供給管20U1が流量制御弁18UV1から取り外されることにより、栽培用容器10a1が、植物12Pa1を伴って分配供給路14および排出路16相互間から個別に取り外されることとなる。そして、植物12Pa1が収穫された後、栽培用容器10a1は廃棄されることとなる。栽培する植物品種によっては、コスト等を考慮して、栽培用容器10a1を複数回使用した後に廃棄することも考えられる。従って、本発明に係る栽培システムの一例においては、栽培槽が再利用される場合に比べて、多量の洗浄水、槽の洗浄のための作業が不要、または、洗浄作業頻度が大幅に少なくなるものとされる。
栽培用容器10a1〜10a4から、それぞれ、排出された廃液(使用済み養液)は、分岐排出管20D1〜20D4を通じて排出路16に合流される。排出路16は、配管Du3を介して廃液処理装置22に接続されている。
廃液処理装置22は、例えば、フィルター部22aと、成分抽出部22bと、除菌処理部22cと、酸素混合部22dとを含んで構成されている。フィルター部22aは、廃液に含まれる異物、残渣、および他の浮遊物を除去するものとされる。成分抽出部22bは、フィルター部22aからの濾過された養液内に含まれる自家中毒の要因となる毒素等を抽出するものとされる。除菌処理部22cは、毒素等が抽出された養液に含まれるカビ、雑菌などの殺菌および除菌処理を行うものとされる。酸素混合部22dは、除菌処理された養液に対し強制的に加圧空気を加え、あるいは、酸素ボンベからの所定圧力の酸素を溶け込ませるものとされる。
廃液処理装置22は、配管Du4を介して回収管24に接続されている。これにより、廃液処理装置22により処理され再利用可能とされる養液は、配管Du4を通じて回収管24に供給されることとなる。回収管24は、上述した分岐供給管20U1、20U2、20U3、および、20U4に接続されている。従って、回収管24に集められ、再利用可能とされる養液は、分岐供給管20U1、20U2、20U3、および、20U4を介して栽培用容器10a1〜10a4に新たに加えられ循環されることとなる。
斯かる構成において、植物10a1〜10a4を栽培用容器10a1〜10a4に植物固定用ストッパ28により取り付けるにあたり、植物10a1〜10a4は、その根が養液に浸るように位置が調整される。その際、栽培用容器10a1〜10a4が透明容器なので目視により位置調整が容易となる。次に、植物10a1〜10a4がそれぞれ、取り付けられた栽培用容器10a1〜10a4が、分配供給路14および排出路16相互間に接続される。続いて、ポンプ30が作動状態とされるとき、メイン混合タンク26内の養液が配管Du1、分配供給路14を通じて栽培用容器10a1〜10a4内に供給される。その際、流量制御弁18UV1、18UV2、18UV3、および、18UV4、流量制御弁18DV1、18DV2、18DV3、および、18DV4は、栽培用容器10a1〜10a4内の養液の水位が水位LHとなるように調整される。栽培用容器10a1〜10a4から排出され排出路16に合流された廃液は、廃液処理装置22により処理された後、その養液は、配管Du4を通じて回収管24に供給され、分岐供給管20U1、20U2、20U3、および、20U4を介して栽培用容器10a1〜10a4に新たに加えられ循環されることとなる。特に図に記載しないが、回収管24に導かれた再処理養液は、複数回の循環使用後、水質の劣化を考慮して、適宜排出する処置を行う。栽培用容器10a1〜10a4内に一時的に貯留される養液は、その水位が維持されながら植物10a1〜10a4に十分な栄養と酸素を供給し続けることとなる。従って、植物10a1〜10a4は、個別に養液が貯留される栽培用容器10a1〜10a4に配されるので植物10a1〜10a4相互間の雑菌感染の予防措置をとる必要がなく、しかも、栽培用容器10a1〜10a4内の養液の交換のための大量の水処理が不要とされる。未使用養液と使用済み養液が、循環系で混合することがない。これにより、従来の様に、未使用溶液の混じった養液を交換時に処分されることがないので大幅な養液の節約になる。
さらに、従来の栽培システムのような、他の植物を経由した養液を使うことがないので、雑菌や異物の混入を防止できる。養液中の栄養成分についても予め設定させた構成条件の栄養分を各植物に供給することができる。また、根腐れの原因になる溶存酸素の濃度でも、他の植物に吸収されたものを流用することがないので雑菌感染等のトラブルを防止できる。植物自身が使った養液については、直接的に排水路16へ放出されるので他の植物に使用されることはない。
図2(A)は、本発明に係る栽培用容器の他の一例を備える栽培システムの第2実施例の要部を示す。なお、図2(A)において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図2(A)において、栽培システムは、図示が省略されるが、上述したサブ混合タンク34と、酸素混合装置32と、メイン混合タンク26と、ポンプ30と、廃液処理装置22をさらに備えるものとされる。
栽培システムは、メイン混合タンク26内の養液、および、配管Du4からの処理された養液を各栽培用容器40a1、40a2、40a3、40a4…40anに供給する分配供給路14と、各栽培用容器40a1、40a2、40a3、40a4…40anからの廃液を回収し廃液処理装置22に供給する排出路16と、分配供給路14からの養液を貯留するとともに、同一種類の所定の株数の植物13Pa1、13Pa2、13Pa3、13Pa4…13Panを個別に生育させる複数の栽培用容器40a1、40a2、40a3、40a4…40anと、を主な要素として含んで構成される。栽培容器内の水位は、供給側と排出側の流量制御弁を調整して水量差を作ることにより一時保持できる水量を確保できる。
斯かる栽培システムにおいて栽培される植物13Pa1〜13Pa4…は、例えば、所定の株数のにんじん、朝鮮人参、だいこん等の根菜類とされる。なお、図2(A)においては、代表的に、複数の植物および栽培用容器のうちの植物13Pa1〜13Pa4および栽培用容器40a1、40a2、40a3、40a4が示されている。
栽培用容器40a1〜40a4は、互いに同一の構造を有しているので栽培用容器40a1について説明し、他の栽培用容器の説明を省略する。
栽培用容器40a1は、図2(A)および図3(D)に示されるように、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで袋状に作られている。栽培用容器40a1は、分岐供給管42U1の下端が上部に接続され、分岐排出管42D1の上端が下部に接続されている。分岐供給管42U1および分岐排出管42D1の内径は、略同一に設定されている。栽培用容器40a1の上部には、栽培システムの筐体に固定されるフック部40Faおよび40Fbが設けられている。
また、栽培用容器40a1の上部における開口部には、図4(A)に示されるように、植物13Pa1を栽培用容器40a1に固定する植物固定用ストッパ28が一体に形成されている。植物固定用ストッパ28の隣接した位置には、分岐供給管42U1に着脱可能に接続される継手40Jaが設けられている。栽培用容器40a1の下部には、分岐排出管42D1に着脱可能に接続される継手40Jbが設けられている。継手40Jbの内径は、継手40Jaの内径に比して小、または、同一に設定されている。
栽培用容器40a1の胴の一部の全周には、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じた水位調節手段としての伸縮可能な蛇腹部が形成されている。これにより、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じて栽培用容器40a1の下部を下方に向けて引き下げることにより、所定量の養液LQ´が栽培用容器40a1内に貯留されることとなる。栽培用容器40a1〜40a4における養液LQ´の水面よりも上方には、空気層AH1,AH2,AH3,AH4が、形成されることとなる。図2(A)において、栽培用容器40a2〜40a4は、それぞれ、下方に向けて引き下げられた状態を示す。なお、水位調節手段は、伸縮可能な蛇腹部に限られることなく、栽培用容器40a1の胴の一部が、例えば、入れ子式構造に形成されていてもよい。
栽培用容器40a1の下部を下方に向けて引き下げる場合、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、短くなるように調整される。即ち、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じて短くなるように、例えば、柔軟性のあるホース(分岐排出管)がとぐろ巻き状態になり栽培用容器のスペースを確保できる。その際、養液LQ´の水位を植物13Pa1〜13Pa4の根の先端部近傍に一致させるように、目視で水位が調整可能とされる。
従って、植物は成長していくにつれ根部の先端部は下方に伸びていくので栽培用容器(袋)を引き伸ばすことにより、養液の水深が維持されながら、水位の位置だけを根の成長に合わせて移動させることができる。これを、植物の成長を観察しながら調整することにより、根菜類の根の肥大をさせながら生育をさせることが可能となる。各栽培用容器(袋)毎に成長にバラツキがあっても、植物の成長度に応じたケアが可能である。また、養液の循環、供給、植物の栽培に於いて、ある程度の密閉性を保持しているため特に感染ルートとなる地下系の根、養液は、植物間で遮断されている。これにより、隣の植物が病気に感染しても伝染し難い環境になっている。
図2(B)は、本発明に係る栽培用容器の他の一例を備える栽培システムの第3実施例の要部を示す。なお、図2(B)において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図2(B)において、栽培システムは、図示が省略されるが、上述したサブ混合タンク34と、酸素混合装置32と、メイン混合タンク26と、ポンプ30と、廃液処理装置22をさらに備えるものとされる。
栽培システムは、メイン混合タンク26内の養液、および、配管Du4からの処理された養液を各栽培用容器50a1、50a2、50a3、50a4…50anに供給する分配供給路14と、各栽培用容器50a1、50a2、50a3、50a4…50anからの廃液を回収し廃液処理装置22に供給する排出路16と、分配供給路14からの養液を貯留するとともに、同一種類の所定の株数の植物13Pa1、13Pa2、13Pa3、13Pa4…13Panを個別に生育させる複数の栽培用容器50a1、50a2、50a3、50a4…50anと、を主な要素として含んで構成される。
栽培用容器50a1は、図2(B)に示されるように、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで袋状に作られている。栽培用容器50a1は、分岐供給管52U1の下端が上部に接続され、分岐排出管52D1の上端が下部に接続されている。分岐供給管52U1および分岐排出管52D1の内径は、略同一に設定されている。栽培用容器50a1の上部には、栽培システムの筐体に固定されるフック部(不図示)が設けられている。なお、分岐排出管52D1は、例えば、フレキシブルホースで形成されてもよい。
また、栽培用容器50a1の上部における開口部には、植物13Pa1を栽培用容器50a1に固定する植物固定用ストッパ28が嵌合されている。
栽培用容器50a1の胴の一部の全周には、伸縮可能な蛇腹部が形成されている。これにより、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じて栽培用容器50a1の下部を下方に向けて引き下げることにより、所定量の養液LQ´が栽培用容器50a1内に貯留されることとなる。栽培用容器50a1〜50a4における養液LQ´の水面よりも上方には、空気層AH1,AH2,AH3,AH4が、形成されることとなる。図2(B)において、栽培用容器50a2〜50a4は、それぞれ、下方に向けて引き下げられた状態を示す。なお、栽培用容器50a1の胴は、伸縮可能な蛇腹部に限られることなく、栽培用容器50a1の胴の一部が、例えば、入れ子式に形成されていてもよい。
栽培用容器50a1内には、所定量の養液LQ´が貯留されている。植物13Pa1の根は、養液LQ´に浸されている。養液LQ´内には、分岐排出管52D1の一方の開口端が所定の長さだけ突出している。仮に、養液の水位が上昇した場合、養液が分岐排出管52D1の一方の開口端を通じて排出されるので養液LQ´の水位が、所定の長さに対応した所定の水位に制御されることとなる。
栽培用容器50a1の下部を下方に向けて引き下げる場合、分岐排出管52D1〜52D4の長さが、短くなるように調整される。即ち、分岐排出管52D1〜52D4の長さが、例えば、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じて短くなるように、例えば、柔軟性のあるホース(分岐排出管)がとぐろ巻き状態になり栽培用容器のスペースを確保できる。その際、養液LQ´の水位を植物13Pa1〜13Pa4の根の先端部近傍に一致させるように、目視で水位が調整可能とされる。
図2(C)は、本発明に係る栽培用容器の他の一例を備える栽培システムの第4実施例の要部を示す。なお、図2(C)において、図1に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図2(C)において、栽培システムは、図示が省略されるが、上述したサブ混合タンク34と、酸素混合装置32と、メイン混合タンク26と、ポンプ30と、廃液処理装置22をさらに備えるものとされる。
栽培システムは、メイン混合タンク26内の養液、および、配管Du4からの処理された養液を各栽培用容器60a1、60a2、60a3、60a4…60anに供給する分配供給路14と、各栽培用容器60a1、60a2、60a3、60a4…60anからの廃液を回収し廃液処理装置22に供給する排出路16と、分配供給路14からの養液を貯留するとともに、同一種類の所定の株数の植物13Pa1、13Pa2、13Pa3、13Pa4…13Panを個別に生育させる複数の栽培用容器60a1、60a2、60a3、60a4…60anと、を主な要素として含んで構成される。
栽培用容器60a1は、図2(C)および図3(C)に示されるように、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで袋状に作られている。栽培用容器60a1は、分岐供給管62U1の下端が上部に接続され、分岐排出管62D1の上端が下部に接続されている。分岐供給管62U1および分岐排出管62D1の内径は、略同一に設定されている。栽培用容器60a1の上部には、栽培システムの筐体に固定されるフック部60Faおよび60Fbが設けられている。
また、栽培用容器60a1の上部における開口部には、植物13Pa1を栽培用容器60a1に固定する植物固定用ストッパ28が嵌合されている。
栽培用容器60a1内には、所定量の養液LQ´が貯留されている。植物13Pa1の根は、養液LQ´に浸されている。養液LQ´内には、図3(C)に示されるように、分岐排出管62D1の一方の開口端に対し固定される水位調整用管61が所定の長さだけ突出している。水位調整用管61は、当初、栽培用容器60a1の底部が内側に折り込まれた状態で養液LQ´内に所定の長さだけ突出している。植物13Pa1の成長に応じて栽培用容器60a1における養液LQ´の水位を下げる場合、栽培用容器60a1の底部が外側に向けて徐々に引き出されることにより、水位調整用管61の一方の開口端が下方に向けて徐々に下がるので養液LQ´の水位が低下することとなる。
また、仮に、養液LQ´の水位が上昇した場合、養液が水位調整用管61の一方の開口端を通じて排出されるので養液LQ´の水位が、所定の突出長さに対応した所定の水位に制御されることとなる。
なお、本発明に係る栽培用容器の一例においては、斯かる例に限られることなく、例えば、図3(A)に示されるように、構成されてもよい。図3(A)において、栽培用容器70a1は、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで袋状に作られている。栽培用容器70a1は、分岐供給管の下端が上部に接続され、分岐排出管の上端が下部に接続されている。栽培用容器70a1の上部には、栽培システムの筐体に固定されるフック部70Faおよび70Fbが設けられている。
また、栽培用容器70a1の上部における開口部には、上述したような植物13Pa1を栽培用容器70a1に固定する植物固定用ストッパ28が嵌合されている。植物固定用ストッパ28の隣接した位置には、分岐供給管に着脱可能に接続される継手70Jaが設けられている。栽培用容器70a1の下部には、分岐排出管に着脱可能に接続される継手70Jbが設けられている。継手70Jbの内径は、継手70Jaの内径に比して小、または、同一に設定されている。
さらに、本発明に係る栽培用容器の変形例においては、図3(B)に示されるように、構成されてもよい。図3(B)において、栽培用容器80a1は、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで袋状に作られている。栽培用容器80a1は、分岐供給管の下端が上部に接続され、分岐排出管の上端が下部に接続されている。栽培用容器80a1の上部には、栽培システムの筐体に固定されるフック部80Faおよび80Fbが設けられている。
また、栽培用容器80a1の上部における開口部には、上述したような植物13Pa1を栽培用容器80a1に固定する植物固定用ストッパ28が嵌合されている。植物固定用ストッパ28の隣接した位置には、分岐供給管に着脱可能に接続される接続パイプ80UHが設けられている。栽培用容器80a1の下部には、分岐排出管に着脱可能に接続される接続パイプ80DHが設けられている。接続パイプ80DHの内径は、接続パイプ80UHの内径に比して小、または、同一に設定されている。
さらに、上述した本発明に係る栽培用容器の他の一例を備える栽培システムの第4実施例においては、さらに加えて、図5に示されるように、栽培用容器60a1〜60a4が、保温壁64および66で囲まれるように構成されてもよい。保温壁64および66は、例えば、発泡スチロール等の保温材料で作られている。これにより、冷暖房費が削減される。
図6は、本発明に係る栽培用容器の一例を備える栽培システムの第5実施例の構成を概略的に示す。なお、図6において、図2(A)に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図6において、栽培システムは、例えば、所謂、太陽光型植物工場または人工光閉鎖型植物工場内に設けられている。
栽培システムは、所定の濃度に調整された液体肥料としての培養液LQ(以下、養液ともいう)を貯留する第1タンク44と、希釈用水を貯留する第2タンク46と、第1タンク44からの養液と第2タンク46からの希釈用水とを混合させる混合用制御弁48と、混合用制御弁48からの所定の濃度の養液SLQを貯留するメイン混合タンク26と、メイン混合タンク26内に配され、メイン混合タンク26内の養液を、酸素混合装置32を介して分配供給路14に供給するポンプ30と、酸素混合装置32および分配供給路14からの養液を各栽培用容器40a1、40a2、40a3、40a4…40anに供給する分配供給路14と、各栽培用容器40a1、40a2、40a3、40a4…40anからの廃液を回収し廃液処理装置22に供給する排出路16と、分配供給路14からの養液を貯留するとともに、同一種類の所定の株数の植物13Pa1、13Pa2、13Pa3、13Pa4…13Panを個別に生育させる複数の栽培用容器40a1、40a2、40a3、40a4…40anと、排出路16からの廃液を再利用可能とするように廃液(使用済み養液)に含まれる不純物を除去する廃液処理装置22と、を主な要素として含んで構成される。
また、分配供給路14における上流側の端部内の養液の溶存酸素濃度を検出する濃度検出器110a1と、流量制御弁18DV1、18DV2、18DV3、および、18DV4内をそれぞれ、通過する廃液の溶存酸素濃度を検出し、その検出出力を送出する濃度検出器110a2、110a3、110a4、110a5と、排出路16における最終端を通過する廃液の溶存酸素濃度を検出し、その検出出力を送出する濃度検出器110aT(後述する第2の合算溶存酸素濃度検出器)と、が備えられている。なお、全栽培用容器の植物の全体の酸素消費量を把握する場合、濃度検出器110a1と濃度検出器110aTとの2つの濃度検出器だけにより、全栽培用容器の植物の全体の酸素消費量が把握されてもよい。これにより、その設備費用が、溶存酸素検出器を栽培用容器の数だけ設置する場合に比して低減されることとなる。
さらに、メイン混合タンク26内の養液の電気伝導率(導電率)を検出し、その検出出力SEを送出するECセンサ(導電率計)108が備えられている。栽培用容器40a1〜40a4には、栽培用容器40a1〜40a4の底部を支持するとともに下方に向けて栽培用容器40a1〜40a4の蛇腹部を所定量だけ引き伸ばすテーブル54が設けられている。なお、テーブル54を駆動する駆動機構は、テーブル54を昇降させるリフト機構と、リフト機構を駆動させる駆動モータ等を含んで構成されている。テーブル54の昇降は、斯かる例に限られることなく、例えば、植物の成長が作業者の目視により確認された後、作業者がテーブル54を昇降させ、栽培用容器40a1〜40a4内の養液の水位を調整してもよい。
栽培用容器40a1〜40a4の底部に接続される分岐排出管42DUは、例えば、柔軟性のあるフレキシブルチューブとされる。これにより、栽培用容器40a1〜40a4の蛇腹部がテーブル54により徐々に引き伸ばされる場合、図6に示されるように、分岐排出管42DUが徐々に湾曲せしめられることとなる。
本発明に係る栽培用容器の一例を備える栽培システムの第5実施例は、図6に示されるように、斯かる構成に加えて、制御ユニット100をさらに備えている。
制御ユニット100は、濃度検出器110a1、濃度検出器110a2、110a3、110a4、110a5,および、第2の合算溶存酸素濃度検出器としての濃度検出器110aTからの溶存酸素濃度をあらわす検出出力群SOが入力される検出出力入力部102と、検出出力入力部102からの溶存酸素濃度をあらわすデータに基づいて栽培用容器40a1〜40a4における植物13Pa1、13Pa2、13Pa3、13Pa4…13Panの健康指数を演算するとともに、得られた健康指数に基づきメイン混合タンク26内の養液の濃度、及び、酸素混合装置32を介して溶存酸素濃度を調整する濃度調整制御部106と、後述する濃度調整制御部106が実行するプログラムや、健康指数を演算するとき、参照される健康指数と溶存酸素濃度との関係をあらわすルックアップテーブルデータ、得られた栽培用容器40a1〜40a4ごとの健康指数のデータ、液温センサからの養液の温度をあらわすデータ、および、ECセンサ108からの検出出力に基づく養液の電気伝導率をあらわすデータ等が格納されるデータ記憶部104とを備えている。制御ユニット100は、さらに、図示が省略されるが、温度センサからの検出出力に基づきメイン混合タンク26内の養液の温度を調整制御する温度調整制御部、および、テーブル54の駆動制御を行うテーブル制御部も備えている。
制御ユニット100における濃度調整制御部106が、栽培用容器40a1〜40a4における植物13Pa1、13Pa2、13Pa3、13Pa4…13Panごとの健康指数を演算するにあたっては、濃度検出器110a1からの検出出力があらわす溶存酸素濃度と濃度検出器110a2〜110a4からの各検出出力があらわす各栽培用容器40a1〜40a4の廃液の溶存酸素濃度との差分を演算する。または、濃度検出器110a1と濃度検出器110aTとの2つの濃度検出器だけにより、全栽培用容器の植物の全体の酸素消費量が把握される場合、濃度調整制御部106が、濃度検出器110a1からの検出出力があらわす溶存酸素濃度と濃度検出器110aTからの各検出出力があらわす排出路16の最終端を通過する廃液の溶存酸素濃度との差分を演算する。即ち、濃度調整制御部106が、濃度検出器110a1からの検出出力があらわす溶存酸素濃度と第2の合算溶存酸素濃度検出器としての濃度検出器110aTからの検出出力があらわす全栽培用容器の合算溶存酸素濃度との差分を演算する。
以下に、この差分と健康指数との関係を図7に概略的に示される栽培システムを参照して説明する。図7において、栽培用容器8a1,8a2,8a3が、図6に示される例と同様に分配供給路14と排出路16との間に配置されている。栽培用容器8a1,8a2,8a3は、それぞれ、分岐供給管6U1、6U2,6U3と、分岐排出管6D1、6D2、および、6D3とにより接続されている。栽培用容器8a1,8a2,8a3における養液の水位は、栽培用容器8a1,8a2,8a3内における分岐排出管6D1、6D2、および、6D3の突出長さにより制御される。廃液の排出量は、各流量制御弁4DV1〜4DV3により制御される。また、分配供給路14における上流側の端部内の養液の溶存酸素濃度を検出する濃度検出器110a1と、流量制御弁4DV1、4DV2、および、4DV3内をそれぞれ、通過する廃液の溶存酸素濃度を検出し、その検出出力を送出する濃度検出器110a2、110a3、110a4、および、濃度検出器110aTが備えられている。
斯かる構成において、例えば、栽培用容器8a1における植物13Pa1が正常に生育し植物13Pa2のような状態となることを想定した場合、濃度検出器110a1からの検出出力に基づく養液の溶存酸素濃度と濃度検出器110a3からの検出出力に基づく養液の溶存酸素濃度との差分が、+の値となるとき、その差分が、植物13Pa2が吸収した酸素量(酸素消費量)であり、植物の健康状態をあらわすこととなる。即ち、その差分が、増大するにつれて植物が良好な健康状態にあることとなる。一方、その差分が減少傾向にある場合、病気、感染、生育不良の可能性がある。このような場合、選択された栽培用容器および植物への養液の供給を停止するとともに、選択された栽培用容器および植物の廃棄処理も可能となる。なお、所定期間における酸素消費量と各種の植物の健康指数とがマップ化されルックアップテーブルデータとして予め格納されている。このような酸素消費量の変動を各植物毎に測定し観察し健康状態を管理することにより、栽培における早期の対応が図れることとなる。
濃度調整制御部106は、得られた溶存酸素濃度の差分に基づきルックアップテーブルデータを参照して植物ごとの健康指数を演算した後、健康指数が所定値以上または所定値未満のとき、その栽培用容器および植物を選択しデータとして記憶部104に記憶させる。これにより、その栽培用容器および植物が重点観察植物として指定されることとなる。その際、指定された栽培用容器に設けられる注意灯が、点滅するように構成されてもよい。
健康指数が所定値以上の場合、その指定された栽培用容器のテーブル54が所定量だけ下降せしめられることにより、その指定された栽培用容器内の養液の水位が所定の値に維持される。一方、健康指数が所定値未満の場合、流量制御弁等が閉じられ、その指定された栽培用容器への養液の供給が停止されるとともに、その指定された栽培用容器が廃棄される。
さらに、健康指数が所定値以上の場合、ECセンサ108からの検出出力に基づきメイン混合タンク26内の養液の濃度が栽培される植物に対し適正な値であるか否かが判断され、養液の濃度が栽培される植物に対し適正な値となっていない場合、栽培用容器内の養液の濃度が、適正な所定の値となるように、濃度調整制御部106は、ECセンサ108からの検出出力に基づきルックアップテーブルデータを参照し、駆動制御信号CDを形成し、それを混合用制御弁48に供給する。上述のルックアップテーブルデータは、例えば、導電率、養液の濃度、および、混合用制御弁48における養液の流量をパラメータとしてあらわされている。
本発明に係る栽培システムの第5実施例に備えられる制御ユニット100は、例えば、マイクロコンピュータにより構成されるが、斯かるマイクロコンピュータが実行する栽培用容器内の養液の水位制御プログラムを、図8に示されるフローチャートを参照して説明する。
図8において、制御ユニット100は、スタート後、ステップSA1において、各検出出力信号を取り込み、続くステップSA2において、濃度検出器110a1からの検出出力があらわす溶存酸素濃度と濃度検出器110a2〜110a4からの各検出出力があらわす各栽培用容器40a1〜40a4の廃液の溶存酸素濃度との差分、または、濃度検出器110aTからの排出路16の最終端を通過する廃液の溶存酸素濃度との差分を演算し、ステップSA3に進む。ステップSA3において、得られた溶存酸素濃度の差分に基づきルックアップテーブルデータを参照して植物(栽培用容器)ごとの健康指数が演算されて記憶され、続くステップSA4において、記憶部104から読み出された植物(栽培用容器)ごとの健康指数をあらわすデータに基づき各植物の健康状態が判断される。ステップSA4において、健康指数が所定値以上であり、選択された植物が良好な健康状態であると判断される場合、ステップSA5に進み、その特定の良好な健康状態である植物(栽培用容器)が選択され、続くステップSA6において、選択された栽培用容器のテーブル54の駆動モータが作動状態とされ、テーブル54が所定量だけ下降せしめられ、プログラムを終了する。
また、ステップSA4において、健康指数が所定値未満であり、選択された植物の健康状態が悪い状態であると判断される場合、続くステップSA7において、健康状態が悪い状態である植物(栽培用容器)が選択され、ステップSA8に進み、その植物(栽培用容器)への養液の供給を停止させるべく、例えば、注意灯が、点滅され、プログラムが終了する。
観察員は点灯している植物(栽培用容器)に行って状態観察を行う。判断結果に基づいて処置を行うと同時に、注意灯を消灯する。目視確認により判断した結果情報は、記憶部104に登録され、プログラムが終了する。次回以降にプログラムが判断する判断精度向上に反映される。
また、斯かるマイクロコンピュータが実行する栽培用容器内の養液の濃度調整制御プログラムを、図9に示されるフローチャートを参照して説明する。
図9において、制御ユニット100は、スタート後、ステップSB1において、各検出出力信号を取り込み、続くステップSB2において、濃度検出器110a1からの検出出力があらわす溶存酸素濃度と濃度検出器110a2〜110a4からの各検出出力があらわす各栽培用容器40a1〜40a4の廃液の溶存酸素濃度との差分、または、濃度検出器110aTからの排出路16の最終端を通過する廃液の溶存酸素濃度との差分を演算し、ステップSB3に進む。ステップSB3において、得られた溶存酸素濃度の差分に基づきルックアップテーブルデータを参照して植物(栽培用容器)ごとの健康指数が演算されて記憶され、続くステップSB4において、記憶部104から読み出された植物(栽培用容器)ごとの健康指数をあらわすデータに基づき各植物の健康状態が判断される。ステップSB4において、健康指数が所定値以上であり、すべての植物が良好な健康状態であると判断される場合、ステップSB5に進み、メイン混合タンク26内の養液の濃度が、ECセンサ108からの検出出力および所定のルックアップテーブルデータに基づき各植物に対し適正であるかどうかを判断し、メイン混合タンク26内の養液の濃度が、適正であると判断されるとき、プログラムを終了する。
ステップSB4において、健康指数が所定値未満であり、少なくとも一つの植物の健康状態が悪い状態であると判断される場合、続くステップSB6において、栽培用容器内の養液の濃度が、適正な所定の値となるように、濃度調整制御部106は、ECセンサ108からの検出出力に基づきルックアップテーブルデータを参照し、駆動制御信号CDを形成し、それを混合用制御弁48に供給し、ステップSB7に進む。ステップSB7において、温度センサからの検出出力信号に基づきメイン混合タンク26内の養液の温度を適正な所定の温度に調整するとともに、更に、供給する養液中の溶存酸素濃度の混入設定値を調整し、プログラムを終了する。
また、ステップSB5において、メイン混合タンク26内の養液の濃度が、ECセンサ108からの検出出力および所定のルックアップテーブルデータに基づき各植物に対し適正でないと判断される場合、ステップSB6以降のステップを上述のように実行しプログラムを終了する。
上述の図6に示される栽培システムにおいては、複数の栽培用容器40a1、40a2、40a3、40a4…40anを備えるものとされるが、斯かる例に限られることなく、例えば、図2(B)に示される栽培用容器50a1、50a2、50a3、50a4…50anを備えるものであってもよい。
なお、上述の例においては、同一種類の植物12Pa1〜12Pa4、同一種類の植物13Pa1〜13Pa4が、各栽培用容器に収容されているが、斯かる例に限られることなく、例えば、養液が共用可能とされる異なる種類の植物が、各栽培用容器に収容されてもよい。また、栽培される植物は、葉菜類および根菜類に限られることなく、例えば、果実類等であってもよい。
図10は、本発明に係る栽培用容器の一例を備える栽培システムの第6実施例の構成を概略的に示す。なお、図10において、図2(A)に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図10において、栽培システムは、例えば、所謂、太陽光型植物工場または人工光閉鎖型植物工場内に設けられている。
図10において、栽培システムは、図示が省略されるが、上述したサブ混合タンク34と、酸素混合装置32と、メイン混合タンク26と、ポンプ30と、廃液処理装置22とをさらに備えるものとされる。
図2(A)に示される例では、栽培用容器40a1が、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで袋状に作られ、栽培用容器40a1の胴の一部の全周に、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じた水位調節手段としての伸縮可能な蛇腹部が形成されるように構成されるが、その代わりに、図10に示される例においては、栽培用容器90a1が、円筒状の保湿用カバー部材90Cの内側に養液用カップ92および受け袋94を移動可能に備えるものとされる。
なお、図10においては、代表的に、複数の植物13Pa1〜13Panおよび栽培用容器90a1〜90anのうちの植物13Pa1〜13Pa4および栽培用容器90a1、90a2、90a3、90a4が示されている。
栽培用容器90a1〜90a4は、互いに同一の構造を有しているので栽培用容器90a1について説明し、他の栽培用容器の説明を省略する。
栽培用容器90a1は、図11(A)に示されるように、その外郭部を形成する保湿用カバー部材90Cと、保湿用カバー部材90Cの内側に移動可能に配される養液用カップ92および受け袋94と、養液用カップ92および受け袋94を保湿用カバー部材90Cに対し固定する固定具90Wと、を含んで構成されている。
保湿用カバー部材90Cは、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで筒状に作られている。保湿用カバー部材90Cは、両端に開口端を有している。保湿用カバー部材90Cにおける一方の開口端の内側には、環状の樹脂製支持枠90Lが、締結バンド90Bにより固定されている。支持枠90Lは、図示が省略される栽培システムの筐体により支持されている。
支持枠90Lは、栽培用容器40a1の上部を形成する蓋部材90Tに連結されることによって、蓋部材90Tにより覆われる。蓋部材90Tにおける継手90Jaは、分岐供給管42U1の下端が上部に着脱可能に接続される。また、後述する受け袋94の排出口94Dが、分岐排出管42D1の上端に着脱可能に接続されている。分岐供給管42U1および分岐排出管42D1の内径は、略同一に設定されている。
また、蓋部材90Tにおける開口部には、植物13Pa1を蓋部材90Tに固定する植物固定用ストッパ28が一体に形成されている。
保湿用カバー部材90Cの胴部の内側には、養液貯留手段としての養液用カップ92および受け袋94が、固定具90Wにより所定位置に固定されている。養液用カップ92および受け袋94の位置は、図10に示されるように、植物13Pa1の先端部の成長に応じてその一部が常に養液LQ´中に浸るように設定されている。
支持枠90Lに向けて開口する養液用カップ92は、所定の厚さの透明または半透明材料で作られ、略円錐台状縦断面を有する養液貯留部92Aを内側に有している。養液貯留部92Aを形成する側壁部における所定位置には、例えば、孔92aが円周方向に沿って所定の間隔で共通の円周上に4箇所に形成されている。これにより、養液LQ´の最上端の液面が孔92aの位置よりも開口端に近い高い位置まで到達するように、養液LQ´が養液用カップ92内に供給される場合、養液LQ´が、受け袋94の内側と養液用カップ92の外側との間に漏れ出すこととなる。
養液貯留手段としての養液用カップ92の外周部における開口端の一部は、所定の厚さの透明または半透明材料で作られた受け袋94の内周部における開口端に接着されている。受け袋94の最下端部には、上述の孔92aを介して漏れ出した養液LQ´を排出する排出口94Dが設けられている。
固定具90Wは、例えば、図11に示されるように、C型の金属製ワイヤ90Waと、ワイヤ90Waの両端にそれぞれ形成されるねじ止め部90Wcと、ねじ止め部90Wcに嵌め合わされる調整ねじ90Wbとから構成されている。斯かる構成において、そのねじ止め部90Wcが互いに近接または離隔するように、調整ねじ90Wbがねじ止め部90Wcにねじ込まれる場合、養液用カップ92および受け袋94が、保湿用カバー部材90Cの胴部の内側に対しワイヤ90Waにより固定状態または解放状態とされる。
従って、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じた水位調節手段が、保湿用カバー部材90Cと、孔92aを有する養液用カップ92と、固定具90Wとにより形成されることとなる。その際、養液LQ´の水位を植物13Pa1〜13Pa4の根の先端部近傍に一致させるように、保湿用カバー部材90Cおよび養液用カップ92を通じて目視で水位が調整可能とされる。
これにより、固定具90Wを弛めることによって植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じて養液用カップ92の保湿用カバー部材90Cに対する相対位置を下方に向けて調整することにより、所定量の養液LQ´が、養液用カップ92内に貯留されることとなる。栽培用容器90a1〜90a4における養液LQ´の液面よりも上方には、空気層が、形成されることとなる。なお、図10において、栽培用容器90a2〜90a4は、それぞれ、養液用カップ92および受け袋94が下方に向けて下降され、位置調整された状態を示す。
養液用カップ92および受け袋94が下降される場合、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、短くなるように調整される。即ち、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じて短くなるように、例えば、柔軟性のあるホース(分岐排出管)がとぐろ巻き状態になり栽培用容器のスペースを確保できる。
従って、植物は成長していくにつれ根部の先端部は下方に伸びていくので養液用カップ92の保湿用カバー部材90Cに対する相対位置を調整することにより、養液の水深が維持されながら、水位の位置だけを根の成長に合わせて移動させることができる。これを、植物の成長を観察しながら調整することにより、根菜類の根の肥大をさせながら生育をさせることが可能となる。各栽培用容器毎に成長にバラツキがあっても、植物の成長度に応じたケアが可能である。また、養液の循環、供給、植物の栽培に於いて、ある程度の密閉性を保持しているため特に感染ルートとなる地下系の根、養液は、植物間で遮断されている。これにより、隣の植物が病気に感染しても伝染し難い環境になっている。
図12は、本発明に係る栽培用容器の一例を備える栽培システムの第7実施例の構成を概略的に示す。なお、図12において、図2(A)および図11(A)に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図10に示される例における養液用カップ92が、排出口94Dを有する受け袋94の内側に配される構成とされるが、その代わりに、図12に示される例においては、受け袋94を設けることなく、養液用カップ92´が、養液排出用継手96を備えるものとされる。
図12において、栽培システムは、例えば、所謂、太陽光型植物工場または人工光閉鎖型植物工場内に設けられている。
図12において、栽培システムは、図示が省略されるが、上述したサブ混合タンク34と、酸素混合装置32と、メイン混合タンク26と、ポンプ30と、廃液処理装置22とをさらに備えるものとされる。
なお、図12においては、代表的に、複数の植物13Pa1〜13Panおよび栽培用容器90´a1〜90´anのうちの植物13Pa1〜13Pa4および栽培用容器90´a1、90´a2、90´a3、90´a4が示されている。
栽培用容器90´a1〜90´a4は、互いに同一の構造を有しているので栽培用容器90´a1について説明し、他の栽培用容器の説明を省略する。
栽培用容器90´a1は、図13に示されるように、その外郭を形成する保湿用カバー部材90Cと、保湿用カバー部材90Cの内側に移動可能に配される養液用カップ92´と、養液用カップ92´を保湿用カバー部材90Cに対し固定する固定具90Wと、を含んで構成されている。
図13に示される蓋部材90Tには、栽培システムの筐体に固定されるフック部90´Faおよび90´Fbが設けられている。蓋部材90Tにおける継手90Jaは、分岐供給管42U1の下端が上部に着脱可能に接続される。また、養液用カップ92´の継手96が、分岐排出管42D1の上端に着脱可能に接続されている。分岐供給管42U1および分岐排出管42D1の内径は、略同一に設定されている。継手90Jaの内径は、養液用カップ92´の継手96の内径よりも大に設定されている。
養液用カップ92´は、所定の厚さの透明または半透明材料で作られ、略円錐台状の養液貯留部92´Aを内側に有している。養液用カップ92´は、保湿用カバー部材90Cの中に挿入され治具によって任意の高さ位置に調整され、固定具90Wにより固定されている。養液貯留部92´Aの内側の底部には、継手96の端部が所定の長さLHだけ突出している。仮に、養液LQ´の水位が上昇した場合、養液が継手96の一方の開口端を通じて排出されるので養液LQ´の水位が、所定の長さに対応した所定の水位に制御されることとなる。継手96は、養液貯留部92´Aの内側の底部に対し略垂直に設けられている。これにより、養液LQ´の最上端の液面が継手96の端部の位置よりも開口端に近い高い位置まで到達するように、養液LQ´が養液用カップ92´内に供給される場合、養液LQ´が、継手96および分岐排出管42D1を通じて養液用カップ92の外に流れ出すこととなる。
従って、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じた水位調節手段が、保湿用カバー部材90Cと、継手96を有する養液用カップ92´と、固定具90Wとにより形成されることとなる。その際、養液LQ´の水位を植物13Pa1〜13Pa4の根の先端部近傍に一致させるように、保湿用カバー部材90Cおよび養液用カップ92´を通じて目視で水位が調整可能とされる。特に、養液LQ´の水位を植物13Pa1〜13Pa4の根の先端部から肥大化し始める部の近傍に一致させるように、目視で水位が調整可能とされる。
これにより、固定具90Wを弛めることによって植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じて養液用カップ92´の保湿用カバー部材90Cに対する相対位置を下方に向けて調整することにより、所定量の養液LQ´が、養液用カップ92´内に貯留されることとなる。栽培用容器90´a1〜90´a4における養液LQ´の液面よりも上方には、空気層が、形成されることとなる。なお、図12において、栽培用容器90´a2〜90´a4は、それぞれ、養液用カップ92´が下方に向けて下降され、位置調整された状態を示す。
養液用カップ92´が下降される場合、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、短くなるように調整される。即ち、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じて短くなるように、例えば、柔軟性のあるホース(分岐排出管)がとぐろ巻き状態になり栽培用容器のスペースを確保できる。
従って、植物は成長していくにつれ根部の先端部は下方に伸びていくので養液用カップ92´の保湿用カバー部材90Cに対する相対位置を調整することにより、養液の水深が維持されながら、水位の位置だけを根の成長に合わせて移動させることができる。これを、植物の成長を観察しながら調整することにより、根菜類の根の肥大をさせながら生育をさせることが可能となる。各栽培用容器毎に成長にバラツキがあっても、植物の成長度に応じたケアが可能である。また、養液の循環、供給、植物の栽培に於いて、ある程度の密閉性を保持しているため特に感染ルートとなる地下系の根、養液は、植物間で遮断されている。これにより、隣の植物が病気に感染しても伝染し難い環境になっている。
図14は、本発明に係る栽培用容器の一例を備える栽培システムの第8実施例の構成を概略的に示す。なお、図14において、図2(A)に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図14において、栽培システムは、例えば、所謂、太陽光型植物工場または人工光閉鎖型植物工場内に設けられている。
図14において、栽培システムは、図示が省略されるが、上述したサブ混合タンク34と、酸素混合装置32と、メイン混合タンク26と、ポンプ30と、廃液処理装置22とをさらに備えるものとされる。
図2(A)に示される例では、栽培用容器40a1が、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで袋状に作られ、栽培用容器40a1の胴の一部の全周に、植物13Pa1〜13Pa4の成長に応じた水位調節手段としての伸縮可能な蛇腹部が形成されるように構成されるが、その代わりに、図14に示される例においては、栽培用容器100a1が、植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じて移動可能な養液用トレイ112を保湿用カバー部材106A、106B、106C、および、106Dで囲まれた内部空間内に備えるものとされる。
なお、図14においては、代表的に、複数の植物15Pa1〜15Panおよび栽培用容器100a1〜100anのうちの植物15Pa1〜15Pa4および栽培用容器100a1、100a2、および、100a3が示されている。斯かる栽培システムにおいて栽培される植物15Pa1〜15Pa3…は、例えば、所定の株数のにんじん、朝鮮人参、だいこん等の根菜類とされる。
栽培用容器100a1〜100a3は、互いに同一の構造を有しているので栽培用容器100a1について説明し、他の栽培用容器の説明を省略する。
栽培用容器100a1は、例えば、図15に示されるように、その外郭を形成する保湿用カバー部材106A、106B、106C、および、106Dと、保湿用カバー部材106A〜106Dで囲まれた内部空間内に移動可能に配される養液用トレイ112と、養液用トレイ112を保湿用カバー部材106A〜106Dの内周部に対し固定する固定具108Bと、を主な要素として含んで構成されている。
保湿用カバー部材106A〜106Dは、それぞれ、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで帯状に作られている。保湿用カバー部材106A〜106Dの上端は、それぞれ、枠状の樹脂製支持枠104の各辺の外周部に、固定具108Aにより固定されている。保湿用カバー部材106A〜106Dの下端は、所定の長さ分だけ巻かれている。その際、支持枠104の各角部には、保湿用カバー部材110A、110B、110C、および、110Dの上端が、保湿用カバー部材106A〜106Dの内周面と支持枠104の各角部の外周面との間に挟持されている。保湿用カバー部材110A〜110Dの下端は、所定の長さ分だけ巻かれている。これにより、固定具108Bが弛められた後、移動テーブル114が植物15Pa1の成長に応じて所定量、下降せしめられる場合、保湿用カバー部材106A〜106Dの下端、および、保湿用カバー部材110A〜110Dの下端における巻かれた端部が広げられる。即ち、保湿用カバー部材110A〜110Dは、伸縮可能となる。また、保湿用カバー部材110A〜110Dの下端は、所定の長さ分だけ巻かれているので移動テーブル114の移動の妨げとはならず、しかも、移動テーブル114の下方に形成される空間を利用することも可能となる。
支持枠104は、栽培システムの筐体により支持されている支持部材116に固定されている。支持枠104は、栽培用容器100a1の上部を形成する蓋部材102に連結される。これにより、蓋部材102により、保湿用カバー部材106A〜106D等で囲まれた内部空間が、閉じられる。蓋部材102における継手102Jaは、分岐供給管42U1の下端に着脱可能に接続される。また、後述する養液用トレイ112における排出管112Dの下端が、分岐排出管42D1の上端に着脱可能に接続されている。分岐供給管42U1および分岐排出管42D1の内径は、略同一に設定されている。
また、蓋部材102における複数の開口部には、それぞれ、植物15Pa1を蓋部材102に固定する植物固定用ストッパ28が一体に形成されている。
保湿用カバー部材106A〜106Dの内側には、養液貯留手段としての養液用トレイ112が、固定具108Bにより所定位置に固定されている。養液用トレイ112の位置は、図14に示されるように、植物15Pa1の先端部の成長に応じてその一部が常に養液LQ´中に浸るように設定されている。
支持枠14に向けて開口する養液用トレイ112は、所定の厚さの透明または半透明材料で作られ、養液貯留部112Aを内側に有している。養液貯留部112Aを形成する底壁部における所定位置には、排出管112Dの一端が、所定の長さだけ養液貯留部112A内に向けて突出している。
また、加えて、養液用トレイ112を昇降可能に支持する移動テーブル114を備えている。移動テーブル114は、図示が省略されるテーブル昇降機構部に連結されている。これにより、移動テーブル114は、テーブル昇降機構部により昇降可能とされる。テーブル昇降機構部の駆動方法は、手動式あるいは電動式であってもよい。
従って、植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じた水位調節手段が、排出管112Dを有する養液用トレイ112と、移動テーブル114およびテーブル昇降機構部とにより形成されることとなる。その際、養液LQ´の水位を植物15Pa1〜15Pa3の根の先端部近傍に一致させるように、保湿用カバー部材106A〜106Dおよび養液用トレイ112を通じて目視で水位が調整可能とされる。
これにより、固定具108Bを弛めることによって植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じて養液用トレイ112および移動テーブル114の位置を下方に向けて調整することにより、常に、植物15Pa1の先端の一部が常に養液LQ´中に浸るように、養液LQ´が、養液用トレイ112内に貯留されることとなる。栽培用容器100a1〜100a3における養液LQ´の液面よりも上方には、空気層が、形成されることとなる。なお、図14において、栽培用容器100a2、および、100a3は、それぞれ、養液用トレイ112および移動テーブル114が、所定量、下方に向けて下降され、位置調整された状態を示す。
養液用トレイ112および移動テーブル114が下降される場合、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、短くなるように調整される。即ち、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じて短くなるように、例えば、柔軟性のあるホース(分岐排出管)がとぐろ巻き状態になり栽培用容器のスペースを確保できる。
従って、植物は成長していくにつれ根部の先端部は下方に伸びていくので養液用トレイ112の位置を調整することにより、養液の水深が維持されながら、水位の位置だけを根の成長に合わせて移動させることができる。これを、植物の成長を観察しながら調整することにより、根菜類の根の肥大をさせながら生育をさせることが可能となる。各栽培用容器毎に成長にバラツキがあっても、植物の成長度に応じたケアが可能である。また、養液の循環、供給、植物の栽培に於いて、ある程度の密閉性を保持しているため特に感染ルートとなる地下系の根、養液は、植物間で遮断されている。これにより、隣の植物が病気に感染しても伝染し難い環境になっている。
図16(A)は、本発明に係る栽培用容器の一例を備える栽培システムの第9実施例の構成を概略的に示す。なお、図16(A)において、図2(A)および図14に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図16(A)において、栽培システムは、例えば、所謂、太陽光型植物工場または人工光閉鎖型植物工場内に設けられている。
図16(A)において、栽培システムは、図示が省略されるが、上述したサブ混合タンク34と、酸素混合装置32と、メイン混合タンク26と、ポンプ30と、廃液処理装置22とをさらに備えるものとされる。
図14に示される例においては、栽培用容器100a1、100a2、および、100a3における支持枠104は、栽培システムの筐体により支持されている共通の支持部材116に固定され、養液用トレイ112が移動テーブル114に固定されているが、その代わりに、図16(A)に示される例においては、栽培用容器100a1、100a2、および、100a3における支持枠104は、それぞれ、移動テーブル116A、116B、および、116Cに支持され、栽培用容器100a1、100a2、および、100a3における養液用トレイ112が、それぞれ、共通の固定テーブル115に固定される構成を備えるものとされる。
なお、図16(A)においては、代表的に、複数の植物15Pa1〜15Panおよび栽培用容器100a1〜100anのうちの植物15Pa1〜15Pa3および栽培用容器100a1、100a2、および、100a3が示されている。
栽培用容器100a1、100a2、および、100a3における支持枠104は、それぞれ、移動テーブル116A、116B、および、116Cに連結されている。移動テーブル116A、116B、および、116Cは、図示が省略されるテーブル昇降機構部に連結されている。これにより、移動テーブル116A、116B、および、116Cは、テーブル昇降機構部により昇降可能とされる。テーブル昇降機構部の駆動方法は、手動式あるいは電動式であってもよい。
栽培用容器100a1、100a2、および、100a3における蓋部材102における継手102Jaは、分岐供給管42´U1、42´U2、および、42´U3の下端に着脱可能に接続される。また、栽培用容器100a1、100a2、および、100a3における養液用トレイ112における排出管112Dの下端が、分岐排出管43D1、43D2、および、43D3の上端に着脱可能に接続されている。分岐供給管42´U1、42´U2、および、42´U3の内径と、互いに同一の長さを有する分岐排出管43D1、43D2、および、43D3の内径とは、略同一に設定されている。なお、蓋部材102は、支持枠104と一緒に移動テーブル116Aに固定されるフック部(不図示)が設けられてもよい。
養液用トレイ112が固定される共通の固定テーブル115は、栽培システムの筐体により支持されている。
従って、植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じた水位調節手段が、排出管112Dを有する養液用トレイ112と、移動テーブル116A、116B、および、116Cと、テーブル昇降機構部とにより形成されることとなる。仮に、養液LQ´の水位が上昇した場合、養液LQ´が排出管112Dの一方の開口端を通じて排出されるので養液LQ´の水位が、所定の長さの植物15Pa1〜15Pa3に対応した所定の水位に制御されることとなる。その際、養液LQ´の水位を植物15Pa1〜15Pa3の根の先端部近傍に一致させるように、保湿用カバー部材106A〜106Dおよび養液用トレイ112を通じて目視で水位が調整可能とされる。即ち、例えば、養液LQ´の水位を植物15Pa1〜15Pa3の根の先端部から肥大化し始める部の近傍に一致させるように、目視で水位が調整可能とされる。
これにより、固定具108Bを弛めることによって植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じて植物15Pa1〜15Pa3を伴って移動テーブル116A、116B、および、116Cの位置と、蓋部材102の位置とを上方に向けて調整することにより、常に、植物15Pa1の先端の一部が常に養液LQ´中に浸るように、養液LQ´が、養液用トレイ112内に貯留されることとなる。なお、図16(A)において、栽培用容器100a2、および、100a3は、それぞれ、養液用トレイ112および移動テーブル116B、および、116Cが、所定量、上昇され、位置調整された状態を示す。
養液用トレイ112および移動テーブル116A、116B、および、116Cが上昇される場合、分岐排出管42´U1〜42´U3の長さが、短くなるように調整される。即ち、分岐排出管42´U1〜42´U3の長さが、植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じて短くなるように、例えば、柔軟性のあるホース(分岐排出管)がとぐろ巻き状態になり栽培用容器のスペースを確保できる。
従って、植物は成長していくにつれ根部の先端部は下方に伸びていくので植物の根の養液用トレイ112内の養液LQ´に対する位置を調整することにより、養液の水深が維持されながら、水位の位置だけを根の成長に合わせて移動させることができる。これを、植物の成長を観察しながら調整することにより、根菜類の根の肥大をさせながら生育をさせることが可能となる。各栽培用容器毎に成長にバラツキがあっても、植物の成長度に応じたケアが可能である。また、養液の循環、供給、植物の栽培に於いて、ある程度の密閉性を保持しているため特に感染ルートとなる地下系の根、養液は、植物間で遮断されている。これにより、隣の植物が病気に感染しても伝染し難い環境になっている。
図16(B)は、本発明に係る栽培用容器の一例を備える栽培システムの第10実施例の構成を概略的に示す。なお、図16(B)において、図2(A)、図14、および、図15に示される例における構成要素と同一の構成要素について同一の符号を付して示し、その重複説明を省略する。
図16(B)において、栽培システムは、例えば、所謂、太陽光型植物工場または人工光閉鎖型植物工場内に設けられている。
図16(B)において、栽培システムは、図示が省略されるが、上述したサブ混合タンク34と、酸素混合装置32と、メイン混合タンク26と、ポンプ30と、廃液処理装置22とをさらに備えるものとされる。
図14に示される例においては、栽培用容器100a1〜100a3が、植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じて移動可能な養液用トレイ112を保湿用カバー部材106A、106B、106C、および、106Dで囲まれた内部空間内に備えるものとされるが、その代わりに、図16(B)に示される例においては、栽培用容器100´a1〜100´a3が、植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じて移動可能な養液用トレイ112を、角筒状の保湿用カバー部材107内に備えるものとされる。
なお、図16(B)においては、代表的に、複数の植物15Pa1〜15Panおよび栽培用容器100´a1〜100´anのうちの植物15Pa1〜15Pa3および栽培用容器100´a1、100´a2、および、100´a3が示されている。栽培用容器100´a1〜100´a3は、互いに同一の構造を有しているので栽培用容器100´a1について説明し、他の栽培用容器の説明を省略する。
栽培用容器100´a1は、その外郭を形成する保湿用カバー部材107と、保湿用カバー部材107で囲まれた内部空間内に移動可能に配される養液用トレイ112と、養液用トレイ112を保湿用カバー部材107の内周部に対し固定する固定具108Bと、を主な要素として含んで構成されている。
保湿用カバー部材107は、所定の厚さの透明または半透明フィルム、例えば、GLフィルム(凸版印刷株式会社製)のような透明バリアフィルムで角筒状に作られている。保湿用カバー部材107の上端は、それぞれ、上述の枠状の樹脂製支持枠104の各辺の外周部に、固定具108Aにより固定されている。保湿用カバー部材107の下端は、移動テーブル114の下方の所定位置まで延びている。支持枠104は、栽培システムの筐体により支持されている支持部材116に固定されている。支持枠104は、栽培用容器100´a1の上部を形成する蓋部材102に連結される。これにより、蓋部材102により、保湿用カバー部材107で囲まれた内部空間が、閉じられる。
保湿用カバー部材107の内側には、養液用トレイ112が、固定具108Bにより所定位置に固定されている。養液用トレイ112の位置は、図16(B)に示されるように、植物15Pa1の先端部の成長に応じてその一部が常に養液LQ´中に浸るように設定されている。
従って、植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じた水位調節手段が、排出管112Dを有する養液用トレイ112と、移動テーブル114およびテーブル昇降機構部とにより形成されることとなる。その際、養液LQ´の水位を植物15Pa1〜15Pa3の根の先端部近傍に一致させるように、保湿用カバー部材107および養液用トレイ112を通じて目視で水位が調整可能とされる。
これにより、固定具108Bを弛めることによって植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じて養液用トレイ112および移動テーブル114の位置を下方に向けて調整することにより、常に、植物15Pa1の先端の一部が常に養液LQ´中に浸るように、養液LQ´が、養液用トレイ112内に貯留されることとなる。栽培用容器100´a1〜100´a3における養液LQ´の液面よりも上方には、空気層が、形成されることとなる。なお、図16(B)において、栽培用容器100´a2、および、100´a3は、それぞれ、養液用トレイ112および移動テーブル114が、所定量、下方に向けて下降され、位置調整された状態を示す。
養液用トレイ112および移動テーブル114が下降される場合、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、短くなるように調整される。即ち、分岐排出管42D1〜42D4の長さが、植物15Pa1〜15Pa3の成長に応じて短くなるように、例えば、柔軟性のあるホース(分岐排出管)がとぐろ巻き状態になり栽培用容器のスペースを確保できる。
従って、植物は成長していくにつれ根部の先端部は下方に伸びていくので養液用トレイ112の位置を調整することにより、養液の水深が維持されながら、水位の位置だけを根の成長に合わせて移動させることができる。これを、植物の成長を観察しながら調整することにより、根菜類の根の肥大をさせながら生育をさせることが可能となる。各栽培用容器毎に成長にバラツキがあっても、植物の成長度に応じたケアが可能である。また、養液の循環、供給、植物の栽培に於いて、ある程度の密閉性を保持しているため特に感染ルートとなる地下系の根、養液は、植物間で遮断されている。これにより、隣の植物が病気に感染しても伝染し難い環境になっている。