JP2017029001A - プロテインgの細胞膜外ドメインの新規な改変型タンパク質 - Google Patents

プロテインgの細胞膜外ドメインの新規な改変型タンパク質 Download PDF

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Chuya Yoshida
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豊 磯部
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Abstract

【課題】弱酸性域における免疫グロブリンのFc領域との結合性及び/または同Fab領域との結合性が低下し、溶出pHが弱酸性側へシフトした新規タンパク質等の提供。
【解決手段】免疫グロブリン(IgG)のFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・Bドメインから成るタンパク質に比べ、プロテインGの正電荷残基の近傍の残基を正電荷残基に置換することによりIgGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下したタンパク質、該タンパク質が水不溶性の固相支持体に固定化されている、IgG又はIgGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質の捕捉剤、該捕捉剤を含む、IgG又はIgGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質の精製用アフィニティクロマトグラフィー、及び、該クロマトグラフィーを用いるIgG又はIgGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質を精製する方法。
【選択図】図6

Description

本発明は、従来の野生型プロテインG・Bドメイン(細胞外ドメイン)から成るタンパク質、又は、該タンパク質の変異体であって免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下している改良型タンパク質(ドメイン変異体)に比べ、更に、免疫グロブリンGのFc/Fab領域を有するタンパク質に対する弱酸性領域での結合活性が低下しているタンパク質(以下「pH応答性改良変異体」とも称する)等に関する。
従来、抗体をはじめとするタンパク質の精製は生化学研究における重要な課題であり、アフィニティクロマトグラフィ、ゲル濾過クロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィなど様々な技術が知られている。アフィニティクロマトグラフィは、目的タンパク質との特異的な親和性を利用して目的タンパク質を精製する方法である。この方法はでは容易に選択的にタンパク質の回収が可能であるが、その親和性が非常に強いため、クロマト充填剤に吸着させたタンパク質を解離させるために、一般的にはpH2.5程度の酸性緩衝液での溶出が必要となることが多い。そのような強酸性条件では、タンパク質の変性などの活性低下が起こりやすく、より温和な条件での精製が求められている。
プロテインGはストレプトコッカス属連鎖球菌の細胞膜に存在する膜タンパク質であり、抗体の一種である免疫グロブリンGのFc領域に対する特異的結合活性を有することが知られている(非特許文献1、特許文献1)。プロテインGは、複数のドメインからなるマルチドメイン型膜タンパク質で、免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性(以下、「抗体結合活性」と呼ぶ)を示すのは、このうちの一部の細胞膜外ドメインである(非特許文献2)。例えば、特許文献8の図1に示すG148株由来のプロテインGの場合、抗体結合活性を示すのは、B1、B2、B3の3つのドメインである(文献によってC1、C2、C3ドメインとも表記される)。また、GX7805株のプロテインGでは3つの、GX7809のプロテインGでは2つの抗体結合ドメインが存在する。これらは、いずれも60アミノ酸弱の小型タンパク質で、そのアミノ酸配列の間には高い同一性が見られることが知られている)。また、プロテインGを切断して各々のドメイン単独を単離しても、抗体結合活性は保たれることが知られている(非特許文献3)。
プロテインGの細胞膜外ドメインは、現在、その選択的な抗体結合活性を利用した多くのプロテインG細胞膜外ドメイン含有製品が上市されている(例えば、抗体精製のためのアフィニティクロマトグラフィー用担体(特許文献3、4)や抗体を検出するための検査試薬、研究試薬など)。プロテインGの細胞膜外ドメインと抗体の結合力は、中性〜弱酸性域で高く、強酸性域で低いことが知られている(非特許文献4)。ゆえに、抗体の単離、回収、精製を目的とした場合、まず、血清等の抗体を含む試料溶液を中性状態にして、プロテインGの細胞膜外ドメインを固定化したビーズ等の水不溶性の固相支持体に接触させ、抗体を選択的に吸着させる。この後、中性〜弱酸溶液(pH5〜8)で洗浄し抗体以外の成分を除去する。最後にpH2.4〜3.5の強酸性溶液を加え抗体を固定化したプロテインGから脱離させ、強酸性溶液と共に溶出させることが一般的である(特許文献3)。これにより、高い純度で抗体を単離、回収、精製することができる。
しかし、抗体はpH2.4〜3.5の強酸性溶液におくと変性凝集等で劣化することがあり、抗体の種類によっては、本来の機能を失う場合もある(非特許文献4)。これを防ぐために、pH2.4〜3.5より高いpHの弱酸性域で処理することが試みられるが、プロテインGの細胞膜外ドメインと抗体の結合力は強いので、弱酸性域では抗体はプロテインGから溶出せず、十分な回収量が得られない。一方、プロテインG細胞膜外ドメインはFabとも結合することが知られており(非特許文献2)、一つの抗体分子はFc領域とFab領域の2つの領域で、プロテインG細胞膜外ドメインと結合可能である。このような結合状態になると、抗体とプロテインGの細胞膜外ドメインは容易に解離できず、抗体の回収は困難になる。
これまでに本発明者等は、熱安定性、変性剤に対する化学的安定性、及びタンパク質分解酵素に対する耐性等(これらの特性を総称して、単に「タンパク質安定性」ともいう)を有するプロテインGの細胞膜外ドメイン変異体からなる改良型タンパク質を開発し(特許文献5及び特許文献6)、更に、弱酸性域における免疫グロブリンのFc領域との結合性及び/または同Fab領域との結合性が低下した改良型タンパク質も開発した(特許文献7)。しかしながら、これらの改良型タンパク質はいずれも抗体結合活性を示す1つのドメインのみを含むものである。
更に、本発明者等は、上記改良型タンパク質のタンデム型多量体から成るタンパク質を開発した(特許文献8)。かかるタンパク質は、野生型のプロテインG・B1ドメインのタンデム型多量体に比べて、IgG1及びIgG3という異なるサブクラスのヒト免疫グロブリンGのFc領域との弱酸性域における結合性がより大きく低下しており、該タンパク質を含む本発明の捕捉剤を充填したタンパク質分離精製用クロマトグラフィー用カラムにおいては、捕捉したヒト免疫グロブリンGを弱酸性領域(pH4〜5程度)において、変性のない状態でより容易に溶出することが可能となった。
しかしながら、依然として、抗体によっては変性を避けるためより弱酸性側のpHで溶出可能な抗体の精製法が望まれている。
特表平03−501801公報 特許第2764021号公報 特開平03−128400号公報 特開2003−088381号公報 特開2009-95322号公報 特開2009-118749号公報 特開2009-297018号公報 国際公開第2013/018880号
Bjorck L, Kronvall G. (1984) Purification and some properties of streptococcal protein G, a novel IgG-binding reagent. J Immunol. 133, 969-974. Boyle M. D.P., Ed. (1990) Bacterial Immunoglobulin Binding Proteins. Academic Press, Inc., San Diego, CA, USA. Gallagher T, Alexander P, Bryan P, Gilliland GL. (1994) Two crystal structures of the B1 immunoglobulin-binding domain of streptococcal protein G and comparison with NMR. Biochemistry 19, 4721-4729. Gagnon P. (1996) Purification Tools for Monoclonal Antibodies, Validated Biosystems Inc., Tucson, AZ, USA. Watanabe H, Matsumaru H, Ooishi A, Feng Y, Odahara T, Suto K, Honda S. Optimizing pH response of affinity between protein G and IgG Fc: how electrostatic modulations affect protein-protein interactions. J Biol Chem. 2009 284(18), 12373-12383. M. D. Winn et al. (2011) Overview of the CCP4 suite and current developments. Acta. Cryst. D67 , 235-242. Sloan DJ and Hellinga HW. Dissection of the protein G B1 domain binding site for human IgG Fc fragment. Protein Sci. 1999 8 1643-1648
そこで本発明が解決しようとする課題は、従来の、野生型のプロテインG・Bドメイン又はその改変型タンパク質と比較してさらに弱酸性域における免疫グロブリンのFc領域との結合性及び/または同Fab領域との結合性が低下しており、より溶出pHが弱酸性側へシフトした新規タンパク質を提供することである。
更に、本発明が解決しようとする課題は、該捕捉剤を充填して成るタンパク質分離精製用クロマトグラフィー用カラム、特に、抗体精製用のアフィニティクロマトグラフィー用カラムを提供することである。
本発明者は、従来の野生型プロテインG・Bドメイン又はそのドメイン変異体において、野生型プロテインGのドメイン変異体/Fc複合体モデル構造においてFc領域から一定の距離の範囲内に存在する正電荷残基の近傍のアミノ酸残基を、正電荷残基に置換することによって、これらタンパク質の免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性を有意に低下させることが出来ることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の各態様は、以下のとおりである。
[態様1]
免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・Bドメインから成るタンパク質に比べ、プロテインGの正電荷残基の近傍の残基を正電荷残基に置換することにより免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下したタンパク質。
[態様2]
変異後のアミノ酸残基がヒスチジンである態様1記載のタンパク質。
[態様3]
近傍の残基が、野生型プロテインG/Fc複合体結晶構造又はそれから導かれる野生型プロテインGのドメイン変異体/Fc複合体モデル構造において、Fc領域の任意のアミノ酸残基から6オングストローム以内にある野生型プロテインG又はそのドメイン変異体の正電荷残基から6オングストローム以内にあるアミノ酸残基である、態様1又は2記載のタンパク質。
[態様4]
野生型プロテインG・Bドメインが、ストレプトコッカス属連鎖球菌のプロテインGのB1、B2、又はB3のいずれかである、態様1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質。
[態様5]
野生型プロテインG・Bドメインが配列番号30、そのドメイン変異体が配列番号31〜38のいずれかで示されるアミノ酸配列を有する、態様1〜4のいずれか一項に記載のタンパク質。
[態様6]
プロテインG・Bドメイン又はそのドメイン変異体の配列のうち25位、36位及び41位のアミノ酸残基にうちの少なくとも一つがヒスチジンへ変異されて成る態様1〜5のいずれか一項に記載のタンパク質。
[態様7]
SPR法による測定においてpH4溶液における抗体解離率が野生型プロテインG・B又はそのドメイン変異体に比べて高いことを特徴とする、態様1〜6のいずれか一項に記載のタンパク質。
[態様8]
態様1〜7のいずれか一項に記載のタンパク質のタンデム型多量体であるタンパク質。
[態様9]
三量体、四量体、又は五量体である、態様6記載のタンパク質。
[態様10]
多量体を構成する細胞膜外ドメイン変異体が互いに同一である、態様8又は9記載のタンパク質。
[態様11]
各細胞膜外ドメイン変異体がリンカー配列によって連結されている、態様8〜10のいずれか一項に記載のタンパク質。
[態様12]
態様1〜11のいずれか一項に記載のタンパク質のアミノ酸配列と他のタンパク質のアミノ酸配列を連結したアミノ酸配列からなる融合タンパク質であるタンパク質。
[態様13]
配列番号21、23または24のいずれかで示されるアミノ酸配列を有する、態様12記載のタンパク質。
[態様14]
態様1〜13のいずれか一項に記載のタンパク質をコードする核酸。
[態様15]
態様14に記載の核酸を含有する組換えベクター。
[態様16]
態様15に記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
[態様17]
態様1〜13のいずれか一項に記載のタンパク質が水不溶性の固相支持体に固定化されていることを特徴とする、免疫グロブリンG又は免疫グロブリンGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質の捕捉剤。
[態様18]
態様17に記載の捕捉剤を含む、免疫グロブリンG又は免疫グロブリンGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質の精製用アフィニティクロマトグラフィー。
[態様19]
態様18に記載の精製用アフィニティクロマトグラフィーを用いて、免疫グロブリンG又は免疫グロブリンGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質を精製する方法。
本発明によれば、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・Bドメインから成るタンパク質に比べ、酸性溶液中においてプロテインGの正電荷残基の近傍の残基を正電荷残基に置換することにより免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下したタンパク質を提供することが出来る。
その結果、該タンパク質を含む本発明の捕捉剤を充填したタンパク質分離精製用クロマトグラフィー用カラムにおいては、捕捉した免疫グロブリンG等の抗体を弱酸性領域において、変性のない状態でより容易に溶出することが可能となる。
部位特異的変異導入PCR反応とテンプレートプラスミド切断反応の模式図である。 改良型プロテインG(PG19)のSPR測定結果である。抗体試料を添加後、各pH溶液(1サイクル目:pH 5, 2サイクル目:pH 4, 3サイクル目:pH 3, 4サイクル目:pH 2)を添加した。 結合界面近傍のグループに属するヒスチジン追加変異体(T25H, E36H, G41H, T55H)のSPR測定結果である。抗体試料を添加後、各pH溶液(1サイクル目:pH 5, 2サイクル目:pH 4, 3サイクル目:pH 3, 4サイクル目:pH 2)を添加した。 結合界面から離れたグループに属するヒスチジン追加変異体(D1H, N8H, E15H, Y33H, T56H)のSPR測定結果である。抗体試料を添加後、各pH溶液(1サイクル目:pH 5, 2サイクル目:pH 4, 3サイクル目:pH 3, 4サイクル目:pH 2)を添加した。 センサグラムからの解離率(%)及びリーク(%)の算出基準等に関して示すグラフである。 組換えPG固定化カラムを用いたpH勾配アフィニティクロマトグラフィーの結果を示すグラフである。 本発明のタンパク質の構造の設計コンセプトの概略を示す。
連鎖球菌由来のタンパク質であるプロテインGは、抗体の一種である免疫グロブリンGのFc領域に対する特異的結合活性を有することが知られており(参照文献1)、この抗体結合性を利用した抗体の精製や除去、および抗体を利用した診断、治療、検査等に有用なタンパク質である。プロテインGは、複数のドメインからなるマルチドメイン型膜タンパク質で、免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性(以下、「抗体結合活性」と呼ぶ)を示すのは、このうちの一部の細胞膜外ドメインである(参照文献2)。たとえば、G148株由来のプロテインGの場合、抗体結合活性を示すのは、B1、B2、B3の3つのドメインである(文献によってC1、C2、C3ドメインとも表記される)。また、GX7805株のプロテインGでは3つの抗体結合ドメインが、GX7809のプロテインGでは2つの抗体結合ドメインが存在する。これらは、いずれも60アミノ酸弱の小型タンパク質で、そのアミノ酸配列の間には高い同一性が見られる。また、プロテインGを切断して各々のドメイン単独を単離しても、抗体結合活性は保たれることが知られている(参照文献3)。
本発明は、免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・Bドメインから成るタンパク質に比べ、プロテインGの正電荷残基の近傍の残基を正電荷残基に置換することにより免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下したタンパク質に係る。
ここで、免疫グロブリンGの例としては、ヒト及びヒト以外の動物、特に、ラット、マウス、ハムスター、ヤギ及びウサギ等の哺乳類の各種抗体、並びに、ヒトIgGのFab断片等の各抗体の各種断片を含む。Fc部分またはFab部分を有するものであれば、その構造又は構成要素に特に制限はなく、当業者に公知の任意の様々な型の抗体分子及びそれらのフラグメント分子を包合する。即ち、通常の(完全な)IgG型抗体分子に加えて、例えば、一本鎖抗体(scFv)、一本鎖抗体の二量体、二重特異性抗体、ダイアボディ型二重特異性抗体、及び多量体化低分子抗体、並びに、Fabフラグメント、F(ab’)2及びFab’等の各種の抗体フラグメントを挙げることが出来る。
本発明のタンパク質において、「免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下した」とは、例えば、本明細書の実施例に示されているように、SPR法による測定においてpH4溶液における抗体解離率(%)が野生型プロテインG・B又はそのドメイン変異体に比べて高い、好ましくは、ドメイン変異体に比べて約2倍〜30倍程度高いことを意味する。又は、pH勾配アフィニティクロマトグラフィにおけるヒトIgG等の免疫グロブリンGの溶出ピークが、野生型プロテインG・B又はそのドメイン変異体を固定して成るカラムに比べて、本発明のタンパク質を固定してなるカラムを使用した場合に、より中性側(pH値で0.6〜2.6程度)にシフトすることを意味する。
本発明のタンパク質におけるプロテインGの正電荷残基の近傍の残基を正電荷残基に置換することは、具体的には、酸性溶液中においてプロテインGの1ないし数個の正電荷残基(例えば、リジン残基又はヒスチジン残基)とその最近接残基との間で静電反発が生起することを期待して、プロテインGの正電荷残基の最近接残基を正電荷残基へ置換するものである。
ここで、野生型プロテインG・B又はそのドメイン変異体における正電荷残基と置換した正電荷のアミノ酸残基との距離は、該正電荷残基の荷電原子を起点とし、任意の置換したアミノ酸残基の側鎖の重原子を終点として、これらの距離のなかで最小の値を残基間の距離と定義する。
ここで、変異させた残基のアミノ酸の種類に特に制限はないが、変異後のアミノ酸残基はヒスチジンであることが好ましい。
野生型プロテインG又はそのドメイン変異体の正電荷残基は、野生型プロテインG/Fc複合体結晶構造又はそれから導かれる野生型プロテインGのドメイン変異体/Fc複合体モデル構造において、Fc領域との結合界面近傍、例えば、Fc領域の任意のアミノ酸残基から6オングストローム以内にあることが本発明のタンパク質のpH応答性の観点から好ましい。
更に、該正電荷残基と変異させた正電荷のアミノ酸残基との距離は、上記の結晶構造又はモデル構造において、約6オングストローム以内であることが好ましい。
このような特徴を有する本発明のタンパク質の構造の設計コンセプト(設計手順)は以下の通りである。
[特許文献8に記載のPG19を用いた設計手順の一例(図7を参照)]
(1)野生型PG/Fc領域複合体結晶構造(pdb, 1FCC) とPG19結晶構造(pdb, 2ZW1)を元に、PG19/Fc領域複合体構造をモデリングする。複合体のモデリングは、ソフトウエアsuperpose(非特許文献@@ E.Krissinel and K.Henrick (2004) Secondary-structure matching (SSM), a new tool for fast protein structure alignment in three dimensions. Acta Cryst. D60, 2256-2268)を用いて作製した複合体構造を、ソフトウェアMOE(菱化システム)による分子力学計算により行う。
(2)ソフトウエアパッケージCCP4(非特許文献6)に含まれるCONTACTを用いてPG19/Fc領域分子間、およびPG19分子内の原子間距離を計算する。
(3)上記の定義に基づき、PG19に含まれる正電荷残基(☆)から最近接のPG19内残基を変異対象残基(○)とする。
(4)変異対象残基(○)のうち、従来の研究(非特許文献7) で行なわれたアラニン置換体の結合解析に基づき、PG19とFc領域の結合に重要であることが明らかとなっているものは除外する。尚、自由エネルギー差 DDG が正の場合、結合に不利であることを示す。
(5)上記の定義に基づき、PG19に含まれる正電荷残基(☆)から最近接のFc領域内残基(□)の距離を決定する。
尚、ソフトウエアCONTACTを用いたPG19/Fc領域分子間、およびPG19分子内の原子間距離の計算に選択した原子に関する情報は以下の通りである。
PG19に含まれる正電荷残基(☆)については、電荷を帯びる窒素原子を選択する。正電荷残基(☆)から最近接のPG19内残基については、上述の正電荷窒素原子から最近接の側鎖原子(グリシンの場合は主鎖原子)を選択する。正電荷残基(☆)から最近接のFc領域内残基については、上述の正電荷窒素原子から最近接の側鎖原子(グリシンの場合は主鎖原子)を選択する。
野生型プロテインG・Bドメインの例としては、ストレプトコッカス属連鎖球菌のプロテインGのB1、B2、又はB3のいずれかを挙げることができる。
本発明のタンパク質は、野生型プロテインG・B1ドメインの変異体であって、野生型のプロテインG・B1ドメイン(特許文献8に記載されている配列番号1のアミノ酸配列)から成るタンパク質に比べて、免疫グロブリンGのFab領域との結合性及び/または同Fc領域との結合性の弱酸性域における結合性が低下している従来の改良型タンパク質のアミノ酸配列における一個又は数個のアミノ酸を更に変異することによって得られる変異体を含むものが好ましい。このような、弱酸性域における結合性が低下している従来の改良型タンパク質の例として、特許文献8に記載されている野生型プロテインG・B1ドメインの改良型タンパク質(配列番号13〜20のアミノ酸配列)を挙げることができる。尚、これらの野生型プロテインG・B1ドメイン及びその変異体のアミノ酸配列を本願明細書の配列表において、配列番号30〜38として示す。
このような改良型タンパク質のアミノ酸配列における変異は、例えば、本明細書の実施例に記載されているような、当業者に公知の任意の方法で実施することが出来る。
このような改良型タンパク質のアミノ酸配列を更に変異した結果得られる変異体のアミノ酸配列の好適例として、プロテインG・Bドメイン又はそのドメイン変異体の配列のうち25位、36位及び41位のアミノ酸残基のうちの少なくとも一つがヒスチジンへ変異されて成るタンパク質を挙げることができる。
本発明のタンパク質は、これらタンパク質のタンデム型多量体とすることが出来る。多量体は上記野生型に準じて、適宜、例えば、二量体、三量体、四量体、又は五量体とすることが出来る。更に、本発明のタンパク質に含まれる多量体を構成する夫々の細胞膜外ドメイン変異体は互いに異なるか、又は、互いに同一である。
更に、各ドメイン変異体がリンカー配列によって連結されていても良い。このようなリンカー配列は、各変異体のアミノ酸配列等を考慮して、当業者が適宜設計し調整することが出来る。
又、本発明のタンパク質は、任意の他タンパク質のアミノ酸配列をN末端側もしくはC末端側に連結した融合型アミノ酸配列からなる融合タンパク質としても良い。このような融合タンパク質に使用する他のアミノ酸配列としては、例えば、oxaloacetate decarboxylase alpha-subunit c-terminal domain(OXADac)のアミノ酸配列が挙げられる。この場合のOXADac−プロテインG変異体融合タンパク質は、OXADac領域に由来するアビジン結合活性とプロテインG変異体領域に由来する抗体結合活性の複数の機能を単一分子で担うことが可能である。
例えば、本発明のタンパク質をHisタグ付きあるいは他のタンパク質との融合タンパク質の形態で合成する場合、合成した後にタグと変異体タンパク質の間を、あるいは他のタンパク質と本発明のタンパク質の間を配列特異的タンパク分解酵素で分解しても、本発明のタンパク質のN末端側もしくはC末端側に1乃至数個のアミノ酸残基が残る場合もあり、また、大腸菌等を用いて本発明のタンパク質を生産する際には、N末端側に開始コドン由来のメチオニン等が付加されることがあるが、これらのアミノ酸残基の付加により、以下に示すような本発明のタンパク質の活性は変わらない。また、これらのアミノ酸残基の付加により、設計された変異が及ぼす効果を失うこともない。したがって、本発明のタンパク質は当然これらの変異も含む。なお、このようなアミノ酸残基の付加のない本発明のタンパク質を作製するためには、たとえば、大腸菌等を用いて生産したタンパク質を、さらにメチオニルアミノペプチダーゼ等の酵素を用いて、N末のアミノ酸残基を選択的に切断し(参照文献7)、反応混合物よりクロマトグラフィー等で分離精製することで、得ることができる。
本明細書において、以上のタンパク質、タンデム型多量体及びの融合タンパク質を含めて、単に、「タンパク質」ともいう。本発明は更に、係るタンパク質をコードする核酸、該核酸を含有する組換えベクター、該組換えベクターが導入された形質転換体に係る。
又、上記のタンパク質が水不溶性の固相支持体に固定化されていることを特徴とする、免疫グロブリンG又は免疫グロブリンGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質(「免疫グロブリンG等」ともいう)の捕捉剤、該捕捉剤を含む抗体、免疫グロブリンG等の精製用アフィニティクロマトグラフィー、該精製用アフィニティクロマトグラフィーを用いて、免疫グロブリンG等を精製する方法等にも係る。ここで、「アフィニティを有する」、とは、例えば、クロマトグラフィにおいて免疫グロブリンG等が吸着できることを指す。
本発明の精製方法においては、上記のタンパク質を抗体補足剤として利用するために、タンパク質がアガロースビーズに代表させる水不溶性担体(水不溶性の固相支持体)に固定化されて成る充填剤をガラス管等のカラムに充填したアフィニティカラムを使用することが好ましい。
吸着緩衝液としては、pHが中性付近のものを用い、用いる塩種はpHが調整可能であれば、いずれでもよいが、代表的には、リン酸緩衝液、トリス緩衝液に塩化ナトリウムなどの電解質を溶解させたものを使用する。吸着緩衝液のpHとしては、9.0〜6.5で、好ましくはpH8.0〜7.0のものを用いる。また、溶出緩衝液としては、目的とする免疫グロブリンG等が溶出するpH領域であればよく、pH6.5〜2.0のものを用いる。溶出緩衝液の種類としては、当業者に公知のいずれのものでもよく、代表例として、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液、グリシン緩衝液等を上げることができる。
本発明の精製方法における操作自体は当業者に公知の通常の操作で実施することが可能である。即ち、通常のアフィニティ精製と同様に、まず、吸着緩衝液で安定化したカラムに精製したい免疫グロブリンG等を含むサンプル溶液をインジェクションし、上記充填剤に免疫グロブリンG等を吸着させる。その後、吸着緩衝液でカラム中に残る非吸着成分を洗い流したあと、溶出緩衝液で吸着している免疫グロブリンG等を溶出させ、溶出液中に免疫グロブリンG等を回収する。尚、吸着緩衝液及び溶出緩衝液の流量(流速)及びカラム温度等のその他のアフィニティ精製の条件は当業者が適宜決めることが出来る。
サンプル溶液は血清・腹水培養液など免疫グロブリンG等を含むものであれば、その由来・その他の成分に制限はない。更に、本発明の精製方法においては、精製手段として、ドメイン変異体(人工的に変異させたドメイン)を含むタンパク質と免疫グロブリンG等との間のアフィニティを利用するものであればよく、カラムを使用する方法以外にも、免疫沈降法や磁気ビーズに該タンパク質を固定化したもの等の当業者に公知の任意の手段を用いることが出来る。
本発明における好適なタンパク質を得る際にその基礎として使用する改良型タンパク質に含まれる野生型プロテインG・B1ドメインの変異体の好適例としては、上記の特許文献8に記載の変異体タンパク質を挙げることができる。かかる変異体タンパク質は、特許文献7又は特許文献8に記載の方法に従って、当業者であれば、例えば、以下のような方法で容易に調製することが出来る。
1.タンパク質の製造
(1)遺伝子工学的手法によるタンパク質の製造
a.タンパク質(変異体)をコードする遺伝子
本発明においては、上記設計されたタンパク質を製造するため、遺伝子工学的方法を使用することできる。
このような方法に使用する遺伝子は、免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・Bドメインから成るタンパク質に比べ、少なくとも、免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下しており、一方で、免疫グロブリンGに対する中性領域での結合活性は低下していないタンパク質、例えば、特許文献8の配列番号14〜16のいずれかで示されるアミノ酸配列、あるいは該アミノ酸配列において、変異が行われたアミノ酸以外の1個若しくは数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列からなる変異体であって、上記のような本発明の特性を有するタンパク質をコードする核酸からなる。
また、本発明において使用する遺伝子としては、以上の核酸の塩基配列に相補的な配列からなる核酸とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸であって、かつ抗体あるいは免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質に結合活性を有し、かつ対応する各野生型プロテインG・細胞膜外ドメインタンパク質に比べ、免疫グロブリンGのFab領域に対する結合活性及び/又はFc領域に対し弱酸性領域での結合活性が低下した上記変異体タンパク質をコードする核酸もあげられる。ここで、ストリンジェントな条件とは、特異的なハイブリッドが形成され、非特異的なハイブリッドが形成されない条件をいう。たとえば、例えば、高い同一性(同一性が60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上)を有する核酸がハイブリダイズする条件をいう。より具体的には、ナトリウム濃度が150〜900mM、好ましくは600〜900mMであり、温度が60〜68℃、好ましくは65℃での条件をいう。例えばハイブリダイゼーション条件が65℃であり、洗浄の条件が0.1%SDSを含む0.1×SSC中で65℃、10分の場合に、慣例的な手法、例えばサザンブロット、ドットブロットハイブリダイゼーションなどによってハイブリダイズすることが確認された場合には、ストリンジェントな条件でハイブリダイズするといえる。
本発明のタンパク質をコードする遺伝子としては、本発明のタンパク質の所望の構造に応じて、以上の核酸と上記任意のリンカー配列をコードする核酸を含む。タンデム型多量体を構成する各変異体タンパク質をコードする核酸とリンカー配列をコードする核酸がそれぞれ交互に複数連結したものでもよく、または該核酸と任意のタンパク質のアミノ酸配列をコードする核酸とを連結し、融合型アミノ酸配列をコードするように設計してもよい。
b.遺伝子、組み替えベクターおよび形質転換体
前記した本発明の遺伝子は、化学合成、PCR、カセット変異法、部位特異的変異導入法などにより合成することができる。たとえば、末端に20塩基対程度の相補領域を有する100塩基程度までのオリゴヌクレオチドを複数化学合成し、これらを組み合わせてオーバーラップ伸長法(参照文献8)を行うことにより目的の遺伝子を全合成することができる。
本発明の組換えベクターは、適当なベクターに上記の塩基配列を含む遺伝子を連結(挿入)することにより得ることができる。本発明で使用するベクターとしては、宿主中で複製可能なもの又は目的の遺伝子を宿主ゲノムに組み込み可能なものであれば特に限定されない。例えば、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどが挙げられる。
プラスミドDNAとしては、放線菌由来のプラスミド(例えばpK4,pRK401,pRF31等)、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322,pBR325,pUC118,pUC119,pUC18等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110,pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13,YEp24,YCp50等)などが挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ(λgt10、λgt11、λZAP等)が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルスなどの動物ウイルス、バキュロウイルスなどの昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
ベクターに遺伝子を挿入するには、まず、精製されたDNAを適当な制限酵素で切断し、適当なベクターDNAの制限酵素部位又はマルチクローニングサイトに挿入してベクターに連結する方法などが採用される。遺伝子は、本発明の変異体タンパク質が発現されるようにベクターに組み込まれることが必要である。そこで、本発明のベクターには、プロモーター、遺伝子の塩基配列のほか、所望によりエンハンサーなどのシスエレメント、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、リボソーム結合配列(SD配列)、開始コドン、終止コドンなどを連結することができる。 また、製造するタンパク質の精製を容易にするためのタグ配列を連結することもできる。タグ配列としては、Hisタグ、GSTタグ、MBPタグ、BioEaseタグなどの公知のタグをコードする塩基配列を利用することができる。
遺伝子がベクターに挿入されたか否かの確認は、公知の遺伝子工学技術を利用して行うことができる。たとえば、プラスミドベクターなどの場合、コンピテントセルを用いてベクターをサブクローニングし、DNAを抽出後、DNAシーケンサーを用いてその塩基配列を特定することで確認できる。他のベクターについても細菌あるいは他の宿主を用いてサブクローニング可能なものは、同様の手法が利用できる。また、薬剤耐性遺伝子などの選択マーカーを利用したベクター選別も有効である。
形質転換体は、本発明の組換えベクターを、本発明の変異体タンパク質が発現し得るように宿主細胞に導入することにより得ることができる。形質転換に使用する宿主としては、タンパク質又はポリペプチドを発現できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、細菌(大腸菌、枯草菌等)、酵母、植物細胞、動物細胞(COS細胞、CHO細胞等)、昆虫細胞が挙げられる。
細菌を宿主とする場合は、組換えベクターが該細菌中で自律複製可能であると同時に、プロモーター、リボゾーム結合配列、開始コドン、本発明の変異体タンパク質をコードする核酸、転写終結配列により構成されていることが好ましい。大腸菌としては、例えばエッシェリヒア・コリ(Escherichia coli)BL21などが挙げられ、枯草菌としては、例えばバチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)などが挙げられる。細菌への組換えベクターの導入方法は、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばヒートショック法、カルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
酵母を宿主とする場合は、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)などが用いられる。酵母への組換えベクターの導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えばエレクトロポレーション法、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞、ラットGH3、ヒトFL細胞等が用いられる。動物細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞などが用いられる。昆虫細胞への組換えベクターの導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法などが挙げられる。
遺伝子が宿主に導入されたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。例えば、形質転換体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。ついで、PCRの増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動又はキャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SyberGreen液等により染色し、増幅産物を1本のバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認することができる。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。
c.形質転換体培養によるタンパク質の取得
組替えタンパク質として製造する場合、本発明のタンパク質は、上述の形質転換体を培養し、その培養物から採取することにより得ることができる。培養物とは、培養上清、培養細胞若しくは培養菌体又は細胞若しくは菌体の破砕物のいずれをも意味するものである。本発明の形質転換体を培養する方法は、宿主の培養に用いられる通常の方法に従って行われる。
大腸菌や酵母菌等の微生物を宿主として得られた形質転換体を培養する培地は、微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、形質転換体の培養を効率的に行うことができる培地であれば、天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。炭素源としては、グルコース、フラクトース、スクロース、デンプン等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノール等のアルコール類が挙げられる。窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸若しくは有機酸のアンモニウム塩又はその他の含窒素化合物のほか、ペプトン、肉エキス、コーンスティープリカー等が挙げられる。無機物としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。培養は、通常、振盪培養又は通気攪拌培養などの好気的条件下、20〜37℃で12時間〜3日間行う。
培養後、本発明のタンパク質が菌体内又は細胞内に生産される場合には、超音波処理、凍結融解の繰り返し、ホモジナイザー処理などを施して菌体又は細胞を破砕することにより該タンパク質を採取する。また、該タンパク質が菌体外又は細胞外に生産される場合には、培養液をそのまま使用するか、遠心分離等により菌体又は細胞を除去する。その後、タンパク質の単離精製に用いられる一般的な生化学的方法、例えば硫酸アンモニウム沈殿、ゲルクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー等を単独で又は適宜組み合わせて用いることにより、前記培養物中から本発明のタンパク質を単離精製することができる。
また、タンパク質の生合成反応にかかわる因子(酵素、核酸、ATP、アミノ酸など)のみを混合させた、いわゆる無細胞合成系を利用すると、生細胞を用いることなく、ベクターから本発明の変異体タンパク質を試験管内で合成することができる(参照文献9)。その後、前記と同様の精製法を用いて、反応後の混合溶液から本発明の変異体タンパク質を単離精製することができる。
単離精製した本発明のタンパク質が、目的通りのアミノ酸配列からなるタンパク質であるかを確認するため、該タンパク質を含む試料を分析する。分析方法としては、SDS-PAGE、ウエスタンブロッティング、質量分析、アミノ酸分析、アミノ酸シーケンサーなどを利用することができる(参照文献10)。
(2)他の手法によるタンパク質の製造
本発明のタンパク質は、有機化学的手法、例えば固相ペプチド合成法などによっても製造することができる。このような手法を利用したタンパク質の生産方法は当技術分野で周知であり、以下に簡潔に説明する。
固相ペプチド合成法により化学的にタンパク質を製造する場合、好ましくは自動合成機を利用して、活性化されたアミノ酸誘導体の重縮合反応を繰り返すことにより、本発明のタンパク質のアミノ酸配列を有する保護ポリペプチドを樹脂上で合成する。ついで、この保護ポリペプチドを樹脂上から切断すると共に側鎖の保護基も同時に切断する。この切断反応には、樹脂や保護基の種類、アミノ酸の組成に応じて適切なカクテルがあることが知られている(参照文献11)。この後、有機溶媒層から粗精製タンパク質を水層に移し、目的のタンパク質を精製する。精製法としては、逆相クロマトグラフィーなどを利用することができる(参照文献11)。
2.タンパク質の固定化
本発明のタンパク質は、その抗体結合性を利用して、抗体等の捕捉剤として利用することができる。該抗体捕捉剤は、抗体の精製や除去、抗体を利用した診断、治療、検査等に用いることができる。
本発明の抗体捕捉剤は、本発明のタンパク質を含む限りにおいて、どのような形態であってもよいが、好ましくは、本発明の変異体タンパク質を水不溶性の固相支持体に固定化した形態が適切である。用いる水不溶性担体としては、ガラスビーズ、シリカゲルなどの無機担体、架橋ポリビニルアルコール、架橋ポリアクリレート、架橋ポリアクリルアミド、架橋ポリスチレンなどの合成高分子や結晶性セルロース、架橋セルロース、架橋アガロース、架橋デキストランなどの多糖類からなる有機担体、さらにはこれらの組み合わせによって得られる有機-有機、有機-無機などの複合担体などが挙げられるが、中でも親水性担体は非特異吸着が比較的少なく、抗体あるいは免疫グロブリンGあるいは免疫グロブリンGのFc領域を有するタンパク質の選択性が良好であるため好ましい。ここでいう親水性担体とは、担体を構成する化合物を平板状にしたときの水との接触角が60度以下の担体を示す。この様な担体としてはセルロース、キトサン、デキストラン等の多糖類、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体けん化物、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸グラフト化ポリエチレン、ポリアクリルアミドグラフト化ポリエチレン、ガラスなどからなる担体が代表例として挙げられる。
市販品としては多孔質セルロースゲルであるGCL2000、GC700、アリルデキストランとメチレンビスアクリルアミドを共有結合で架橋したSephacryl S-1000、アクリレート系の担体であるToyopearl、アガロース系の架橋担体であるSepharoseCL4B、エポキシ基で活性化されたポリメタクリルアミドであるオイパーギットC250L等を例示することができる。ただし、本発明においてはこれらの担体、活性化担体のみに限定されるものではない。上述の担体はそれぞれ単独で用いてもよいし、任意の2種類以上を混合してもよい。又、本発明に用いる水不溶性担体としては、本抗体捕捉剤の使用目的および方法からみて、表面積が大きいことが望ましく、適当な大きさの細孔を多数有する、すなわち、多孔質であることが好ましい。
担体の形態としては、ビーズ状、線維状、膜状(中空糸も含む)など何れも可能であり、任意の形態を選ぶことができる。特定の排除限界分子量を持つ担体作製の容易さからビーズ状が特に好ましく用いられる。ビーズ状の平均粒径は10〜2500μmのものが使いやすく、とりわけ、リガンド固定化反応のしやすさの点から25μmから800μmの範囲が好ましい。
さらに担体表面には、リガンドの固定化反応に用いうる官能基が存在しているとリガンドの固定化に好都合である。これらの官能基の代表例としては、水酸基、アミノ基、アルデヒド基、カルボキシル基、チオール基、シラノール基、アミド基、エポキシ基、サクシニルイミド基、酸無水物基、ヨードアセチル基などが挙げられる。
上記担体への変異体タンパク質の固定化においては、変異体タンパク質の立体障害を小さくすることにより捕捉効率を向上させ、さらに非特異的な結合を抑えるために、親水性スペーサーを介して固定化することが、より好ましい。親水性スペーサーとしては、例えば、両末端をカルボキシル基、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基などで置換したポリアルキレンオキサイドの誘導体を用いるのが好ましい。
上記の担体へ導入される変異体タンパク質およびスペーサーとして用いられる有機化合物の固定化方法及び条件は特に限定されるものではないが、一般にタンパク質やペプチドを担体に固定化する場合に採用される方法を例示する。担体を臭化シアン、エピクロロヒドリン、ジグリシジルエーテル、トシルクロライド、トレシルクロライド、ヒドラジンなどと反応させて担体を活性化し(担体が元々持っている官能基よりリガンドとして固定化する化合物が反応しやすい官能基に変え)、リガンドとして固定化する化合物と反応、固定化する方法、また、担体とリガンドとして固定化する化合物が存在する系にカルボジイミドのような縮合試薬、または、グルタルアルデヒドのように分子中に複数の官能基を持つ試薬を加えて縮合、架橋することによる固定化方法が挙げられるが、捕捉剤の滅菌時または利用時に蛋白類が担体より容易に脱離しない固定化方法を適用することがより好ましい。
3.タンパク質および抗体捕捉剤の性能確認試験
上記のようにして製造されたタンパク質(以下、単に「タンパク質」ともいう)、及び抗体捕捉剤は、以下の性能確認試験を行い良好なものを選択することができるが、本発明のタンパク質および抗体捕捉材はいずれも良好な性能を有していた。
(1)抗体結合性試験
本発明のタンパク質の抗体結合性は、ウエスタンブロッティング、免疫沈降、プルダウンアッセイ、ELISA (Enzyme-Linked ImmunoSorbent Assay)、表面プラズモン共鳴(SPR)法などを利用して確認・評価することができる。中でもSPR法は、生体間の相互作用をラベルなしでリアルタイムに経時的に観察することが可能であることから、変異体タンパク質の結合反応を速度論的観点から定量的に評価することができる。
また、水不溶性の固相支持体に固定化した変異体タンパク質の抗体結合性は、上記のSPR法や液体クロマトグラフィー法で確認・評価することができる。中でも液体クロマトグラフィー法は、抗体結合性に及ぼすpH依存性を的確に評価することができる。
(2)タンパク質の熱安定性試験
本発明の変異体タンパク質の熱安定性は、円偏光二色性(CD)スペクトル、蛍光スペクトル、赤外分光法、示差走査熱量測定法、加熱後の残留活性などを利用して評価することができる。中でもCDスペクトルは、タンパク質の二次構造の変化を鋭敏に反映する分光学的分析方法であることから、変異体タンパク質の温度に対する立体構造の変化を観測し、構造安定性を熱力学的に定量的に評価することができる。
〔参照文献〕
参照文献1;Bjorck L, Kronvall G. (1984) Purification and some properties of streptococcal protein G, a novel IgG-binding reagent. J Immunol. 133, 69-74.
参照文献2;Boyle M. D.P., Ed. (1990) Bacterial Immunoglobulin Binding Proteins. Academic Press, Inc., San Diego, CA.
参照文献3;Gallagher T, Alexander P, Bryan P, Gilliland GL. (1994) Two crystal structures of the B1 immunoglobulin-binding domain of streptococcal protein G and comparison with NMR. Biochemistry 19, 4721-4729.
参照文献4;Sauer-Eriksson AE, Kleywegt GJ, Uhlen M, Jones TA. (1995) Crystal structure of the C2 fragment of streptococcal protein G in complex with the Fc domain of human IgG. Structure 3, 265-278.
参照文献5;Derrick JP, Wigley DB. (1994) The third IgG-binding domain from streptococcal protein G. An analysis by X-ray crystallography of the structure alone and in a complex with Fab. J Mol Biol. 243, 906-918.
参照文献6;Alexander P, Fahnestock S, Lee T, Orban J, Bryan P. (1992) Thermodynamic analysis of the folding of the streptococcal protein G IgG-binding domains B1 and B2: why small proteins tend to have high denaturation temperatures. Biochemistry 14, 3597-3603.
参照文献7;D'souza VM, Holz RC. (1999) The methionyl aminopeptidase from Escherichia coli can function as an iron(II) enzyme. Biochemistry 38, 11079-11085.
参照文献8;Horton R. M., Hunt H. D., Ho S. N., Pullen J. M. and Pease L. R. (1989). Engineering hybrid genes without the use of restriction enzymes: gene splicing by overlap extension. Gene 77, 61-68.
参照文献9;岡田雅人、宮崎香(2004)タンパク質実験ノート(上)、羊土社
参照文献10;大野茂男、西村善文監修(1997)タンパク質実験プロトコール1−機能解析編、秀潤社
参照文献11;大野茂男、西村善文監修(1997)タンパク質実験プロトコール2−構造解析編、秀潤社
尚、特許文献8には以下の内容が具体的に開示されている。
実施例1においては、[配列番号1]で示されるプロテインG・B1ドメインの野生型アミノ酸配列、[配列番号2]で示されるプロテインG・B2ドメインの野生型アミノ酸配列及び[配列番号3]で示されるプロテインG・B3ドメインの野生型アミノ酸配列に基づき、プロテインGのB1、B2、あるいはB3ドメインに変異を導入した本発明に用いるタンパク質に含まれる変異体タンパク質(以降、「改良型プロテインG」と呼ぶ)のアミノ酸配列を設計するための変異を導入する部位を選定し、置換するアミノ酸残基を特定することが記載されている。
実施例2では、選定した変異対象部位と上記特定した置換するアミノ酸残基の情報を利用して、[配列番号4] 〜[配列番号19]で示される複数の改良型プロテインGのアミノ酸配列を設計し、更に、具体的アミノ酸配列として[配列番号13]〜[配列番号20]を最終的に選別し、この配列を示す改良型プロテインGを実際に合成し、その分子特性を評価したことが記載されている。
実施例3では、改良型プロテインGのアミノ酸配列をコードする核酸の塩基配列([配列番号13]〜[配列番号20])及びOxaloacetate decarboxylase alpha-subunit c-terminal domain (OXADac)の塩基配列[配列番号31] を用いた、変異体タンパク質の塩基配列について記載されている。
実施例4では、[配列番号21]〜[配列番号29]の塩基配列からなるPG遺伝子を用いて、改良型プロテインGをコードする遺伝子を含むプラスミドベクターを合成し、ついで大腸菌を用いたOxaloacetate decarboxylase alpha-subunit c-terminal domain (OXADac) [配列番号31]と変異体タンパク質の融合タンパク質の製造について記載されている。
実施例5では、各種プライマー([配列番号32]〜[配列番号35])を用いて、改良型プロテインGをコードする遺伝子を含むプラスミドベクターを合成し、ついで大腸菌を用いたMet付加改良型プロテインGの製造について記載されている。
実施例6では、改良型プロテインGの純度をポリアクリルアミドゲル電気泳動法で確認したこと、実施例7では、改良型プロテインGの分子量をMALDI-TOF型質量分析計で計測することで、製造したタンパク質を同定したこと、実施例8では、OXADac-PG融合タンパク質を固定化したカラムを用いてpH勾配アフィニティクロマトグラフィーを行い、モノクローナル抗体の溶出するpHを調べることで、改良型プロテインGの弱酸性域での抗体解離性を評価したこと、実施例9では、OXADac-PG融合タンパク質を固定化したカラムを用いてステップワイズpHアフィニティクロマトグラフィーを行い、モノクローナル抗体の溶出を、いくつかのpHで調べることで、改良型プロテインGの弱酸性域での抗体解離性を評価したこと、実施例10では、変異体タンパク質(プロテインG変異体)の結合解離性を表面プラズモン共鳴(SPR)法により評価したこと、実施例11では、中性領域、およびヒスチジン残基の95%以上がプロトン化する弱酸性領域において、変異体タンパク質の抗体結合性を表面プラズモン共鳴(SPR)法により評価したこと、実施例12では、変異体タンパク質の熱安定性を評価したこと、実施例13では、変異体タンパク質の単結晶を作製し、立体構造をX線回折解析により決定したことが記載されている。
更に、実施例14では、カルボキシル末端側にシステイン残基、Hisタグを付加した三量体野生型PG(CGB01H-3D,[配列番号36]) または本発明のタンパク質である変異型PGのタンデム型三量体(CGB19H-3D,[配列番号37])をコードする 遺伝子を組み込んだ2種の人工合成プラスミドを用いた、プロテインGの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体の製造及び該タンパク質を用いるアフィニティクロマトグラフィーカラムの作製及び当該カラムによるヒトIgG1抗体、IgG3抗体の精製等に関して記載されている。
実施例15では、IgG1タイプのヒト化モノクローナル抗体との抗体結合解離性に関してプロテインGの細胞膜外ドメイン変異体のタンデム型多量体と同単量体との比較が記載されている。
実施例16では、カルボキシル末端にシステイン残基、Hisタグを付加した変異型PGの単量体変異型PG(CGB19H-1D、図4、[配列番号38])、変異型PGのタンデム型四量体PG(CGB19H-4D、図4、[配列番号39])、および変異型PGのタンデム型五量体PG(CGB19H-5D、図4、[配列番号40])をコードする遺伝子を組み込んだ3種の人工合成発現用プラスミドを用いた、プロテインGの細胞膜外ドメイン変異体の単量体及びタンデム型四量体、五量体の製造に関して記載されている。
実施例17では、プロテインGの細胞膜外ドメイン変異体の単量体およびタンデム型多量体をカルボキシル末端のシステイン残基を介して固相に固定化して、IgG1タイプのヒト化モノクローナル抗体に対する各変異タンパク質の抗体結合性をSPR法により比較評価したことが記載されている。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、本明細書においては、各種アミノ酸残基を次の略号で記載する。Ala;L-アラニン残基、Arg;L-アルギニン残基、Asp;L-アスパラギン酸残基、Asn;L-アスパラギン残基、Cys;L-システイン残基、Gln;L-グルタミン残基、Glu;L-グルタミン酸残基、Gly;L-グリシン残基、His;L-ヒスチジン残基、Ile;L-イソロイシン残基、Leu;L-ロイシン残基、Lys;L-リジン残基、Met;L-メチオニン残基、Phe;L-フェニルアラニン残基、Pro;L-プロリン残基、Ser;L-セリン残基、Thr;L-スレオニン残基、Trp;L-トリプトファン残基、Tyr;L-チロシン残基、Val;L-バリン残基。また本明細書においては、ペプチドのアミノ酸配列を、そのアミノ末端(以下N末端という)が左側に位置し、カルボキシル末端(以下C末端という)が右側に位置するように、常法に従って記述する。
本実施例では、本発明のタンパク質(変異体)を製造した。これらは、Watanabeらが報告した(非特許文献5)、プロテインGの細胞膜外ドメイン変異体(以下、「改良型プロテインG」と呼ぶ)を含む融合タンパク質(配列番号1)のヒスチジン残基等の一部を野生型のアミノ酸残基に置換したアミノ酸配列からなる。
酸性溶液中において残基間の静電反発がプロテインGの分子内部で生じることを期待して、ヒスチジンの変異導入部位を以下のように決めた。公共データベースProtein Data BankよりダウンロードしたプロテインGの立体構造情報(PDB:2ZW1)より改良型プロテインGの正電荷残基であるリジン残基を特定し、該リジン残基から7Å以内に存在する残基を変異導入候補として同定した。計算には構造解析ソフトCCP4(非特許文献6)のCONTACTを用いた。これら7Å以内に存在する残基の内、既報の変異体解析(非特許文献7)よりFcとの結合に重要であることが判明している残基、および構造情報より判明したプロテインGの構造形成に重要な残基は変異導入候補から除外し、またこれら重要な残基に接触している残基も候補から除外した。その結果、Asp1, Asn8, Glu15, Thr25, Glu36, Tyr33, Gly41, Thr55, Glu56の9つの残基位置を変異導入部位に決定した。これらは、Fc領域との結合界面との関係において、結合界面近傍(即ち、対応するリジン残基がFc領域の任意のアミノ酸残基から6オングストローム以内にある)のグループ(Thr25, Glu36, Gly41, Thr55)とそれ以外の結合界面から遠いグループ(Asp1, Asn8, Glu15, Tyr33, Glu56)に大別される。以上の変異が導入された残基に関する各種情報を以下の表1に示す。
Figure 2017029001
Watanabeら(非特許文献5)の方法により作製した改良型プロテインG(PG19)を含む融合タンパク質の遺伝子(配列番号2)を含む発現プラスミドに対し、ヒスチジンコドンを含んだセンスおよびアンチセンスオリゴDNAプライマー(配列番号3〜20)を用いて、部位特異的変異導入PCR反応とテンプレートプラスミド切断反応(図1)を行い、上記方法にて決定された変異導入部位にヒスチジン残基を置換したヒスチジン追加変異体(PG19 T25H, PG19 Y33H, PG19 E36H, PG19 G41H, PG19 T55H, PG19 D1H, PG19 N8H, PG19 E15H, PG19 E56H)を含む融合タンパク質のアミノ酸配列(配列番号21〜29)をコードする変異体遺伝子をそれぞれ作製した。各ヒスチジン追加変異体の遺伝子を含む発現プラスミドを単離精製した後、これによって発現用大腸菌BL21(DE3)株(Novagen)を形質転換した。前培養した形質転換体を、2ml / 200mlで2YT培地に継代し、O.D.600 = 0.8〜1.0になるまで振とう培養した。目的タンパク質を発現させるため0.5mM IPTGを加え、さらに37℃で2時間振とう培養した。回収した菌体を10mLのPBSに懸濁し、超音波破砕を行った後濾過滅菌し、これを全タンパク質溶液とした。Ni Sepharose(GE ealthcare) 2mlカラムにヒスチジン追加変異体を吸着させ、20mMイミダゾールにて洗浄後、500mMイミダゾールにて溶出し、精製タンパク質とした。改良型プロテインG(PG19)に関しても、対応する発現プラスミドを用いて同様の方法で作製した。
本実施例では、本発明のヒスチジン追加変異体を、カルボキシル末端にあるシステイン残基を介して固相に固定化し、各ヒスチジン追加変異体のpH応答性をSPR法により評価した。また、比較のため改良型プロテインGも同様の方法で評価した。
まず、センサーチップCM-5(GE Healthcare)の測定セルに、改良型プロテインG(PG19)とヒスチジン追加変異体(PG19 T25H, PG19 Y33H, PG19 E36H, PG19 G41H, PG19 T55H, PG19 D1H, PG19 N8H, PG19 E15H, PG19 E56H)をEMCH (N-[ε-Maleimidocaproic acid] hydrazide, trifluoroacetic acid)(Thermo scientific)を用いたマレイミドカップリング法により固定化した。次いで、IgG1タイプのヒト化モノクローナル抗体を、ランニング緩衝液(10 mM HEPES pH7.4, 150 mM NaCl, 0.005% v/v Surfactant P20)に溶解し、1 mg/ mlの試料抗体溶液を調整した。SPR測定はBiacore T100(GE Healthcare)を用い、反応温度25℃で行い、各pH溶液でのSPRレスポンスを測定した。(図2〜4)。
センサグラムからpH 4溶液での抗体解離率およびリーク率を算出しpH応答性を比較した。その結果を以下の表2に示す。pH 4で最も高い解離率を示したPG19 G41Hは、pH 4溶液を入れる前にすでに大部分の抗体がリークしていたため、この変異体は抗体結合能が低下していることが分かった。つぎに高い解離率を示したPG19 T25Hは結合能の低下も無く、pH 4での応答性がPG19と比較して有意に上昇していることが分かった。
表2において、抗体添加終了直後のSPRレスポンスを解離率=0%、再生溶液で抗体を完全に除去した後のSPRレスポンスを解離率=100%とした時のpH 4添加後レスポンスから「解離(%)」を算出。「リーク(%)」は、pH 4の溶液を添加する前のバッファー中でのレスポンス減少分から算出した。尚、センサグラムからの解離率(%)及びリーク(%)の算出に基準等に関しては図5も参照されたい。
Figure 2017029001
本実施例では、プロテインGの細胞膜外ドメイン変異体を製造し、及び該タンパク質を用いるカラムを作製した。
(1)組換えPGの発現と精製
実施例1で構築した変異体(PG19, PG19 T25H, PG19 E36H, PG19 G41H) 及び非特許文献5に記載の野生型プロテインG(PG01)を含む融合タンパク質(配列番号38)の遺伝子を含む発現プラスミドによって形質転換された大腸菌をLB培地に継代し、O.D.600 = 0.8〜1.0になるまで振とう培養した。目的タンパク質を発現させるため0.5mM IPTGを加え、さらに37℃で3時間振とう培養した。回収した菌体をPBSに懸濁し、超音波破砕を行った後遠心分離し、得られた上清を全タンパク質溶液とした。HisTrap FF (GE Healthcare Bioscience) 1mlカラムに組換えPGを吸着させ、20mMイミダゾールにて洗浄後、500mMイミダゾールにて溶出し、精製タンパク質とした。
(2)組換えPGの固定化とカラム作製
Sepharose4FastFlow(GE Healthcare)をガラスフィルターでろ別し、超純水で洗浄して担体10mlを得た。フラスコに担体を移液し、2M水酸化ナトリウム水溶液3mlとブタンジオールジグリシジルエーテル 4gを加え25℃で4時間振とうして反応させた。ガラスフィルターでろ別し、超純水で洗浄して活性化担体を得た。活性化担体1mLをガラスフィルターに採取してカップリング緩衝液(0.1Mリン酸ナトリウム、1.0M硫酸ナトリウム、1mM EDTA、pH 8.0)で洗浄した。活性化担体をフラスコに移し、組換えPG(PG19 T25H)が5mg/mlの組換えPG含有溶液を1.4ml、カップリング緩衝液2mLを加え、37℃、150rpmで16時間振とうして組み換えPGのシステイン残基を介して固定化した。ガラスフィルターでろ別し、カップリング緩衝液で洗浄した。次いでフラスコに担体を移し、1Mチオグリセロール、0.1Mリン酸ナトリウム、1mM EDTA、pH8.0の溶液3mlを加え37℃,150rpmで4時間振とうして未反応活性基をマスクした。ガラスフィルターでろ別し、洗浄液1(0.1Mトリス塩酸、0.5M塩化ナトリウム、pH8.0) 、洗浄液2(0.1M酢酸、0.5M塩化ナトリウム、pH4.0)を15mlで交互に3サイクル洗浄した。固定化担体1mlを超純水で洗浄し、Tricon 5/50 Columnにパッキングした。
他の組み換えPGもPG19 T25Hと同様の操作でカラムを作製した。PG含有液の仕込み量は以下の通り。
・PG19 E36H:7.6mg/mLの組み換えPG含有液を921μL
・PG19 G41H:7.8mg/mLの組み換えPG含有液を897μL
・PG01:8.2mg/mLの組み換えPG含有液を853μL
・PG19:12.0mg/mLの組み換えPG含有液を1.4mL
本実施例では、実施例3で作製した組換えPG固定化カラムの抗体吸着容量を測定した。
組換えPG固定化カラムを液体クロマトグラフィー装置AKTAexplore (GE Healthcare Bioscience) にセットし、吸着緩衝液(20mM りん酸緩衝液、150mM 塩化ナトリウム、pH7.2)を1 mL/min もしくは0.4mL/min の条件で流し平衡化させた後、1mg/mLに調製したヒトIgG (オリエンタル酵母)を注入した。溶出液の280nmにおける吸光度が注入サンプルの吸光度の15%に到達するまで注入を続けた後、吸着緩衝液で洗浄後、吸着緩衝液を20 mM くえん酸(pH2.4) へ置換した。
動的結合容量(DBC)は、溶出液の280 nmにおける非吸着成分を除いた吸光度が注入サンプルの吸光度の10 %に到達するまでに注入されたサンプル量から計算された。各固定化カラムのDBCを表3に示した。PG19 G41Hは他のカラムと比較してDBCが大幅に低下していた。
Figure 2017029001
本実施例では、実施例3で作製した組換えPG固定化カラムを用いてpH勾配アフィニティクロマトグラフィーを実施した。
組換えPG固定化カラムを液体クロマトグラフィー装置AKTAexplore (GE Healthcare Bioscience) にセットし、吸着緩衝液(20mM りん酸緩衝液、150mM 塩化ナトリウム、pH7.2)を1 ml/min の条件で流し平衡化させた後、1mg/mLに調製したヒトIgG(オリエンタル酵母)を注入した。吸着緩衝液で洗浄後、20 mM くえん酸緩衝液(pH6.0)に置換し、1.0mL/minの流速で80minかけて連続的に20mM くえん酸 (pH2.4)へ置換した。
ヒトIgG溶出ピークは、PG01固定化カラムにおいてpH3.9付近、PG19固定化カラムにおいてpH4.4付近、PG19 T25H固定化カラムにおいてpH5.0付近、PG19 E36H固定化カラムにおいてpH4.5付近、PG19 G41H固定化カラムにおいてpH6.5付近、であった(図6)。このことから、PG19 G41H固定化カラムはpH6.0より中性側でヒトIgGを溶出可能であり、PG19 T25H, PG19 E36H固定化カラムはいずれもPG19固定化カラムに比べてマイルドな酸性条件で溶出可能なことが明らかになった。
現在、野生型のプロテインG細胞膜外ドメインは、抗体の精製用のアフィニティクロマトグラフィー担体や抗体検出のための検査試薬として市販され、ライフサイエンスの各分野で広範に利用されている。また、近年の抗体医薬をはじめとする抗体関連産業の発展をうけて、これらの製品の需要が飛躍的に拡大している。したがって、多くのプロテインG細胞膜外ドメイン含有製品において、本発明のタンパク質を野生型と代替することにより、免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下している、という特長を利用することによって、様々な抗体を扱う広範な技術分野において、その技術発展に大いに資するものである。

Claims (19)

  1. 免疫グロブリンGのFc領域に対する結合活性を有し、かつ、野生型プロテインG・Bドメインから成るタンパク質に比べ、プロテインGの正電荷残基の近傍の残基を正電荷残基に置換することにより免疫グロブリンGのFc領域に対する弱酸性領域での結合活性が低下したタンパク質。
  2. 変異後のアミノ酸残基がヒスチジンである請求項1記載のタンパク質。
  3. 近傍の残基が、野生型プロテインG/Fc複合体結晶構造又はそれから導かれる野生型プロテインGのドメイン変異体/Fc複合体モデル構造において、Fc領域の任意のアミノ酸残基から6オングストローム以内にある野生型プロテインG又はそのドメイン変異体の正電荷残基から6オングストローム以内にあるアミノ酸残基である、請求項1又は2記載のタンパク質。
  4. 野生型プロテインG・Bドメインが、ストレプトコッカス属連鎖球菌のプロテインGのB1、B2、又はB3のいずれかである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のタンパク質。
  5. 野生型プロテインG・Bドメインが配列番号30、そのドメイン変異体が配列番号31〜38のいずれかで示されるアミノ酸配列を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のタンパク質。
  6. プロテインG・Bドメイン又はそのドメイン変異体の配列のうち25位、36位及び41位のアミノ酸残基にうちの少なくとも一つがヒスチジンへ変異されて成る請求項1〜5のいずれか一項に記載のタンパク質。
  7. SPR法による測定においてpH4溶液における抗体解離率が野生型プロテインG・B又はそのドメイン変異体に比べて高いことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のタンパク質。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のタンパク質のタンデム型多量体であるタンパク質。
  9. 三量体、四量体、又は五量体である、請求項6記載のタンパク質。
  10. 多量体を構成する細胞膜外ドメイン変異体が互いに同一である、請求項8又は9記載のタンパク質。
  11. 各細胞膜外ドメイン変異体がリンカー配列によって連結されている、請求項8〜10のいずれか一項に記載のタンパク質。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のタンパク質のアミノ酸配列と他のタンパク質のアミノ酸配列を連結したアミノ酸配列からなる融合タンパク質であるタンパク質。
  13. 配列番号21、23または24のいずれかで示されるアミノ酸配列を有する、請求項12記載のタンパク質。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のタンパク質をコードする核酸。
  15. 請求項14に記載の核酸を含有する組換えベクター。
  16. 請求項15に記載の組換えベクターが導入された形質転換体。
  17. 請求項1〜13のいずれか一項に記載のタンパク質が水不溶性の固相支持体に固定化されていることを特徴とする、免疫グロブリンG又は免疫グロブリンGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質の捕捉剤。
  18. 請求項17に記載の捕捉剤を含む、免疫グロブリンG又は免疫グロブリンGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質の精製用アフィニティクロマトグラフィー。
  19. 請求項18に記載の精製用アフィニティクロマトグラフィーを用いて、免疫グロブリンG又は免疫グロブリンGのFc領域あるいはFab領域を有するタンパク質を精製する方法。
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