JP2017027728A - 有機el素子、有機el照明、有機el光源および有機el表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い光取り出し効率を示し、発光方向の偏りや色味変化を回避することが可能な有機EL素子、有機EL照明、有機EL光源および有機EL表示装置を提供すること。【解決手段】透明基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、インターレイヤー層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極を順次積層した有機EL素子であって、前記透明基板の発光面側表面に微細構造を設け、前記微細構造を、基準面に対して凸形状12、凹形状14、または凸形状と凹形状とし、さらに、前記凸形状の一部に凹部形状13、または前記凹形状の一部に凸形状を設けた形状とする。【選択図】図1
Description
本発明は、有機EL(Electro Luminescence・電界発光)素子に関し、光取出し効率を向上させた有機EL素子、有機EL照明、有機EL光源および有機EL表示装置に関する。
有機EL素子は、自発光による広視野角、高速応答、薄型軽量などの利点から、携帯電話やデジタルカメラのディスプレイ、さらには照明機器に応用されている。
一般に、有機EL素子は、透光性基板上に、正孔注入層、正孔輸送層、インターレイヤー層、発光層、電子輸送層、電子注入層を陽極と陰極とで挟んだ構造を有する。有機EL素子は、上述の構造における陽極と陰極に直流電圧を印加し、発光層に電子および正孔を注入して再結合させることにより励起子を生成し、この励起子の失活する際の光の放出を利用して発光に至る。
図5は、従来の有機EL素子の構成と、光取出し状況を示した断面模式図であり、発光層から射出した光線が、発光面側の透光性基板から射出する際に、一部の光線が観察側の透光性基板(例えばガラス板)と空気との界面や、陽極と透光性基板との界面において全反射してしまい、外部に取り出す光量が損失するという問題があった。
また、金属電極側に入射し、金属電極の自由電子と結合して表面プラズモンポラリトンとして金属電極に補足され、最終的に吸収されるプラズモン損失と呼ばれる損失も存在し、この損失率は約50%とも言われている。
この場合、外部に取り出す光量の光取り出し効率は、一般的には20%程度と言われており、そのため、高輝度の表示や照明が必要となればなるほど投入電力を大きくする必要があり、素子に大電流が流れることから素子の負荷が増大し、輝度低下や低寿命化を招来し、素子自体の信頼性が低下する。
このような問題を受けて、有機EL素子の光取出し効率を上げる試みが種々実施されている。図6は、外部に光取出しフィルムを備えた有機EL素子の構成と、光取出し状況を示した断面模式図であり、透光性基板外部に、レンズ形状を付与した光取出し向上フィルム5を貼付することで透光性基板−空気界面での全反射光量を低減させる提案がなされている(特許文献1)。
また、図7は、透明基板と陽極間に、全反射防止構造を設けた有機EL素子の構成と、光取出し状況を示した断面模式図であり、陽極であるITO等の透明電極と透光性基板との間に、微粒子を含有させた光散乱層(全反射抑制層)を挿入することで、陽極−透光性基盤間の全反射光量を低減させ、光取出し効率を向上させる試みが報告されている。
また、透明基板側での全反射による発光損失よりも、金属電極側でのプラズモン損失の割合の方が大きいため、最近では、プラズモン損失の回避方法も種々研究されてきており、観察者側の透明基板上に凹凸構造を付与して、ITO等の透明電極/有機層/金属電極の各層に、不均一かつ不規則な凹凸構造を形成する提案がなされている(特許文献2)。
図8、図9は、プラズモン損失抑制構造を有する有機EL素子の構造と、光取出し状況を示した断面模式図であり、発光層から金属電極までの距離を広げて有機層2b(電子輸送/注入層の厚膜化)としたことにより金属表面の自由電子との結合を回避する方法が提案されている(特許文献3)。
しかしながら、上記凹凸構造を付与する方法では、凹凸構造のサイズによって観察者側に放出される光の方向性に偏りが生じたり色味が変わったりする問題があり、種々のサイズを混在させる対応策も提案されているが、十分とは言い難い。また、電子輸送層/注入層の厚膜化により発光層−金属電極間の距離を広げる方法では、電子輸送層/注入層での光の吸収量が増加し、プラズモン損失抑制効果が十分に活かせない。
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、高い光取出し効率を示し、発光方向の偏りや色味変化を回避することが可能な有機EL素子、有機EL照明、有機EL光源および有機EL表示装置を提供することにある。
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、透明基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、インターレイヤー層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極を順次積層した有機EL素子であって、
前記透明基板の発光面側表面に微細構造を設け、
前記微細構造を、基準面に対して凸形状、または凹形状、あるいは凸形状と凹形状とし、
さらに、前記凸形状の一部に凹部形状、または前記凹形状の一部に凸形状を設けた形状としたことを特徴とする有機EL素子である。
前記透明基板の発光面側表面に微細構造を設け、
前記微細構造を、基準面に対して凸形状、または凹形状、あるいは凸形状と凹形状とし、
さらに、前記凸形状の一部に凹部形状、または前記凹形状の一部に凸形状を設けた形状としたことを特徴とする有機EL素子である。
また、請求項2に記載の発明は、前記凸形状の一部に設けられた凹形状の深さおよび凹形状の一部に設けられた凸形状の高さが、凹形状の深さの5〜30%または凸形状の高さの5〜30%であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子である。
また、請求項3に記載の発明は、前記基準面に対する、微細構造の高さまたは深さが10〜150nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL素子である。
また、請求項4に記載の発明は、前記微細構造が、透明樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL素子である。
また、請求項5に記載の発明は、前記微細構造が、光散乱素素材を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機EL素子である。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL素子を用いたことを特徴とする有機EL照明である。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL素子を用いたことを特徴とする有機EL光源である。
また、請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の有機EL光源を用いたことを特徴とする有機EL表示装置である。
本発明によれば、従来よりも光取出し効率が高く、色味変化や光放出方向の偏りが解消された有機EL素子、照明器具、光源及び表示装置の提供を提供することが可能となる。
以下本発明を実施するための形態を、図面を用いて詳細に説明する。なお、形状に関しては、図を元に説明するが、同様又は類似した機能を発揮する構成要素には全ての図面を通じて同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
また、形状はあくまで参考例であり、図示した形状に限ったものではなく、所望の用途・性能に応じて適宜選択することが可能である。更に、各図は模式図であり、各部位の縮尺は実際とは一致しない。
本発明に関わる有機EL素子は、発光面側に設けられた透明基板の電極側に基準面に対して凸形状、凹形状、または凸形状と凹形状とし、さらに、前記凸形状の一部に凹部形状、または前記凹形状の一部に凸形状を設けた形状となっている。
尚、ここでいう基準面とは、基板上に設けた微細構造の断面図において山・谷の変曲点に相当する面で、凹凸の断面の凹凸の2の交点を結ぶ線からなる面である。
基準面はかならずしも平面である必要はなく、厳密には曲面と凹凸の交点を基準とし、微細構造の形状によって、図1に示す右端のように平面が残る場合もあれば、図2に示すように平面として残らない場合もある。
図1は、本発明における、透明基板上に設けられた微細構造の、AFM観察から得られた断面プロファイルであり、透明基板上に設けられた凸形状12、透明基板上に設けられた凸形状の一部に設けられた凹部13、透明基板上に設けられた凹形状14となっている。
図2は、本発明における、透明基板上に設けられた微細構造を示した他の例であり、AFM観察から得られた断面プロファイルである。
図3は、本発明における、透明基板上に設けられた微細構造のSEM写真であり、凸形状12、透明基板上に設けられた凸形状の一部に設けられた凹部13を示している。
図3は、本発明における、透明基板上に設けられた微細構造のSEM写真であり、凸形状12、透明基板上に設けられた凸形状の一部に設けられた凹部13を示している。
図4は、本発明における、透明基板上に設けられた微細構造のSEM写真を示した他の例であり、同じく凸形状12、透明基板上に設けられた凸形状の一部に設けられた凹部13を示している。
この構造の設置方法としては、透明基板として用いるガラスをエッチングすることで透明基板表面に直接設ける方法や、樹脂等で成形した微細構造シートを透明基板に貼合する方法などが挙げられるが、構造のサイズ制御性の観点から、後者の方法で構造を得ることが望ましい。
後者の方法を採る場合は、レジスト上に電子線で所望の形状を描画した後、ニッケル電鋳により賦形版を作製し、該賦形版をフィルム基材上に塗布した紫外線硬化性樹脂に押付けながら紫外線照射により樹脂を硬化させ、微細構造シートを得る。
この時、賦形版から起こした微細構造シートを型として、再度形状転写を実施することにより、賦形版と同一の形状に成形した微細構造シートを得ることも可能である。
この方法で微細構造を形成する際に、大元の型に所望の形状を全て設ける方法と、大元の型では概形のみを規定し、凸形状の一部に設ける凹部等細かい凹凸は、削り出し等で後から付与する方法が考えられるが、本発明時には、その他として、概形を規定した型を用いて微細構造シートを成形し、紫外線照射量の調整により樹脂の硬さを制御することで、型から外す際に敢えて割れや欠けを発生させ、構造に所望の範囲に収まる欠落を発生させる方法を見出した。
この方法を用いると、大本の版で細部まで形状を規定したり、概形成形後に細部を仕上げたりするよりも多様な形状・高さの構造を簡単に得ることが可能となり、外部に放出される光の色味変化や放出方向の偏りを回避するのに有利である。
ここで、該凸形状の一部に設けられている凹部の深さ、又は該凹形状の一部に設けられた凸形状の高さが、該凸形状の高さの5〜30%の範囲に収まっていると、形状・高さの多様性と構造の強度の両立を図ることが可能となる。
一方で、該凸形状の一部に設けられている凹部の深さ又は該凹形状の一部に設けられた凸形状の高さが、全て該凸形状の高さ又は該凹形状の深さの5%よりも浅くなると、形状・高さの多様性が不十分となり、全て該凸形状の高さの30%よりも深くなると、欠落が多過ぎて形状を保ちにくくなる危険性がある点で不利となる。
また、微細構造の凹凸概形を成形する際には、基準面に対する高さまたは深さが10〜150nmの範囲に収まることが望ましい。これは、透明基板上の微細構造の形状を、発光層を含む有機層を介して金属電極1上まで踏襲させることと、素子を正常に発光させるために短絡等を回避することを両立させるためである。
微細構造の凹凸形状の、基準面に対する高さまたは深さが10nmよりも小さくなると、金属電極1まで形状を踏襲させることが困難になり、プラズモン損失の抑制効果が得られない危険性があり、150nmよりも大きくなると、高低差が大き過ぎて短絡等につながる危険性がある点で不利となる。
紫外線硬化性樹脂で微細構造を成形する際には、所望する性能に応じて、前記紫外線硬化性樹脂として混ぜ物をしていない透明樹脂を用いても良いし、またはフィラー等の光散乱素材を添加して用いても良い。後者のように光散乱素材を添加する場合には、全光線透過率が80%未満にならない範囲で添加量を調整することが望ましい。
本発明に関わる発光面側に設けられる基板の素材として、ガラスやPET(Polyethylene terephthalate)、ポリカーボネート、PEN(Polyether nitrile)などが挙げられるが、これに限定するものではなく、任意に選択可能である。
本発明の効果を示すために、陰極(Al・銀)/発光層/陽極(ITO)/透光性基板(紫外線硬化性樹脂で本発明に関わる微細構造を成形したPETの前記微細構造成形面と反対面を、粘着剤、若しくは接着剤を介してガラスと貼合して作製)構成の有機EL素子を種々作製し、効果の確認を実施した。この時、陽極=ITO、透光性基板=リジットガラスとし、光射出面に光取出しフィルムとしてマイクロレンズを貼合した構成をレファレンスとした。
<実施例1>
凸形状12の高さを10nm、凹形状14の深さ10nmとし、凸形状上に設けられた凹形状14の、高さに対する深さの比(%)を10〜30%とし、実施例1の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
凸形状12の高さを10nm、凹形状14の深さ10nmとし、凸形状上に設けられた凹形状14の、高さに対する深さの比(%)を10〜30%とし、実施例1の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<実施例2>
実施例1における凸形状12の高さを50nmにした以外は、同一条件で、実施例2の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凸形状12の高さを50nmにした以外は、同一条件で、実施例2の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<実施例3>
実施例1における凸形状12の高さを100nmにした以外は、同一条件で、実施例3の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凸形状12の高さを100nmにした以外は、同一条件で、実施例3の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<実施例4>
実施例1における凸形状12の高さを150nmにした以外は、同一条件で、実施例4の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凸形状12の高さを150nmにした以外は、同一条件で、実施例4の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<実施例5>
実施例1における凹形状14の深さを50nmにした以外は、同一条件で、実施例5の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凹形状14の深さを50nmにした以外は、同一条件で、実施例5の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<実施例6>
実施例1における凹形状14の深さを100nmにした以外は、同一条件で、実施例6の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凹形状14の深さを100nmにした以外は、同一条件で、実施例6の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<実施例7>
実施例1における凹形状14の深さを150nmにした以外は、同一条件で、実施例7の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凹形状14の深さを150nmにした以外は、同一条件で、実施例7の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<比較例1>
実施例1における凸形状12の高さを5nmにした以外は、同一条件で、比較例1の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凸形状12の高さを5nmにした以外は、同一条件で、比較例1の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<比較例2>
実施例1における凸形状12の高さを200nmにした以外は、同一条件で、比較例2の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凸形状12の高さを200nmにした以外は、同一条件で、比較例2の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<比較例3>
実施例1における凹形状14の深さを5nmにした以外は、同一条件で、比較例3の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凹形状14の深さを5nmにした以外は、同一条件で、比較例3の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<比較例4>
実施例1における凹形状14の深さを200nmにした以外は、同一条件で、比較例4の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例1における凹形状14の深さを200nmにした以外は、同一条件で、比較例4の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<比較例5>
実施例2における、凸形状上に設けられた凹みの高さに対する深さ割合を10%以下にした以外は、同一条件で、比較例5の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例2における、凸形状上に設けられた凹みの高さに対する深さ割合を10%以下にした以外は、同一条件で、比較例5の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<比較例6>
実施例2における、凸形状上に設けられた凹みの高さに対する深さ割合を30%以上にした以外は、同一条件で、比較例5の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
実施例2における、凸形状上に設けられた凹みの高さに対する深さ割合を30%以上にした以外は、同一条件で、比較例5の微細構造シートを得、さらに有機EL素子を作製した。
<評価>
作製した有機EL素子は、発光の可否と光取出し効率、色味の不変性、光放出方向の均等性の観点から評価し、リファレンスには、透光性基板として表面が平坦なリジッドガラス板を用い、光射出面に光取出しフィルムとしてマイクロレンズシートを貼合した素子を用いた。
作製した有機EL素子は、発光の可否と光取出し効率、色味の不変性、光放出方向の均等性の観点から評価し、リファレンスには、透光性基板として表面が平坦なリジッドガラス板を用い、光射出面に光取出しフィルムとしてマイクロレンズシートを貼合した素子を用いた。
<発光の可否>
発光の可否における評価基準は、
○:作製した素子が発光
×:発光しない
とした。
発光の可否における評価基準は、
○:作製した素子が発光
×:発光しない
とした。
<光取り出し効率の評価基準>
光取り出し効率は、積分球で測定し、全光束量で判断した。
○:リファレンスよりも多い
△:リファレンスと同等
×:リファレンスよりも少ない
とした。
光取り出し効率は、積分球で測定し、全光束量で判断した。
○:リファレンスよりも多い
△:リファレンスと同等
×:リファレンスよりも少ない
とした。
<色味の不変性>
色味の不変性の評価基準は、
○:リファレンスよりも観察方向変化に伴う色味変化が少ない
×:リファレンスよりも観察方向変化に伴う色味変化が多い
とした。
色味の不変性の評価基準は、
○:リファレンスよりも観察方向変化に伴う色味変化が少ない
×:リファレンスよりも観察方向変化に伴う色味変化が多い
とした。
<光放出方向の均等性>
放出方向の均等性は、輝度測定時の角度変化で判断し、評価基準は、
○:リファレンスよりも少ない
×:リファレンスよりも多い
とした。
放出方向の均等性は、輝度測定時の角度変化で判断し、評価基準は、
○:リファレンスよりも少ない
×:リファレンスよりも多い
とした。
結果を表1に示す。
表1に示すように、陰極と、陽極と、両者に挟まれた有機EL層からなる有機EL素子において、光発光面側に設けられた透明基板の電極側に基準面に対して凸形状又は凹形状となる微細構造を有し、少なくとも1つ以上の該凸形状の一部に凹部が設けられているか、又は少なくとも1以上の該凹形状の一部に凸部を有していて、さらに該凸形状の一部に設けられている凹部の深さ又は該凹形状の一部に設けられた凸形状の高さが、該凸形状の高さの5〜30%の範囲にあり、微細構造の凹凸概形の基準面に対する高さまたは深さが10〜150nmの範囲にそれぞれ収まっている場合に、色味変化や光の放出方向の偏りを回避しつつ、高い光取出し効率を有する有機EL素子が得られることを確認した。
本発明に関わる有機EL素子を用いることで、光取出し効率が高く、色味不変性や光放出方向の均一性も良好な有機EL素子及び、該有機EL素子を用いた照明器具や光源、表示装置を提供することが可能となる。
1・・・金属電極(陰極)
2a・・・有機層を含む発光層
2b・・・プラズモン損失抑制のために発光層から金属電極までの距離を長くとった有機層
3・・・陽極
4・・・透明基板
5・・・光取り出しフィルム
6・・・全反射抑制層
7・・・発光層から放出され、有機発光層−陽極間及び陽極−透明基板間で全反射する光
8a・・・発光層から放出され、発光層−陽極間で全反射する光
8b・・・発光層から放出され、全反射せずに外部に出て行く光
9a・・・発光層から放出され、透明基板−空気界面で全反射する光
9b・・・発光層から放出され、陽極−透明基板界面で全反射せずに外部に出て行く光
10a・・・発光層から放出され、金属電極で吸収される光
10b・・・発光層から放出され、金属電極に向かった後に外部に出て行く光
11・・・プラズモン損失抑制のために設けられた微細構造
12・・・透明基板上に設けられた凸形状
13・・・透明基板上に設けられた凸形状の一部に設けられた凹部
14・・・透明基板上に設けられた凹形状
2a・・・有機層を含む発光層
2b・・・プラズモン損失抑制のために発光層から金属電極までの距離を長くとった有機層
3・・・陽極
4・・・透明基板
5・・・光取り出しフィルム
6・・・全反射抑制層
7・・・発光層から放出され、有機発光層−陽極間及び陽極−透明基板間で全反射する光
8a・・・発光層から放出され、発光層−陽極間で全反射する光
8b・・・発光層から放出され、全反射せずに外部に出て行く光
9a・・・発光層から放出され、透明基板−空気界面で全反射する光
9b・・・発光層から放出され、陽極−透明基板界面で全反射せずに外部に出て行く光
10a・・・発光層から放出され、金属電極で吸収される光
10b・・・発光層から放出され、金属電極に向かった後に外部に出て行く光
11・・・プラズモン損失抑制のために設けられた微細構造
12・・・透明基板上に設けられた凸形状
13・・・透明基板上に設けられた凸形状の一部に設けられた凹部
14・・・透明基板上に設けられた凹形状
Claims (8)
- 透明基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、インターレイヤー層、発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極を順次積層した有機EL素子であって、
前記透明基板の発光面側表面に微細構造を設け、
前記微細構造を、基準面に対して凸形状、または凹形状、あるいは凸形状と凹形状とし、
さらに、前記凸形状の一部に凹部形状、または前記凹形状の一部に凸形状を設けた形状としたことを特徴とする有機EL素子。 - 前記凸形状の一部に設けられた凹形状の深さおよび凹形状の一部に設けられた凸形状の高さが、凹形状の深さの5〜30%または凸形状の高さの5〜30%であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
- 前記基準面に対する、微細構造の高さまたは深さが10〜150nmであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の有機EL素子。
- 前記微細構造が、透明樹脂により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL素子。
- 前記微細構造が、光散乱素素材を含有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機EL素子。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL素子を用いたことを特徴とする有機EL照明。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の有機EL素子を用いたことを特徴とする有機EL光源。
- 請求項7に記載の有機EL光源を用いたことを特徴とする有機EL表示装置。
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-
2015
- 2015-07-21 JP JP2015143993A patent/JP2017027728A/ja active Pending
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