JP2017026829A - 三次元フォトニック結晶及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】頑丈で等方性の高く、容易に低コストで得ることができる三次元フォトニック結晶を提供する。
【解決手段】シリコンウエハ3、4、5、6の積層体の積層方向と平行な断面において複数の異なる断面積を持ち、且つ積層方向と垂直な断面において複数の異なる断面積を持つ凸多面体形状の空隙部7、8、9をウェットエッチングで形成し、シリコンウエハ3、4、5、6の積層体内部のダイヤモンド格子点に配置させる。
【選択図】図4

Description

本発明は、主に光導波路、フォトニックレーザー、光学フィルタ、偏光素子、光分波器などへの応用を目的とした、空間対称性の高い三次元フォトニック結晶及びその製造方法に関するものである。
フォトニック結晶は、2種類以上の誘電率の違う物質を周期的に配置することによって、周期構造のピッチに近い波長の電磁波を特定の方向に反射あるいは遮蔽することができるフォトニックバンドギャップを持つ構造体である。
フォトニック結晶の周期的配置には一次元、二次元、三次元があり、特に三次元フォトニック結晶は、正方格子、体心立方格子、面心立方格子、ウッドパイル、ダイヤモンド格子等を取りうる。
図1に、ダイヤモンド構造のフォトニック結晶における電磁波の一般的なエネルギーバンドを示す。図中の曲線が存在する部分にはそれに対応した周波数の電磁波が存在できるが、フォトニック結晶には、曲線が存在しない周波数領域がある。これを、フォトニックバンドギャップと呼ぶ。図1の横軸は光の進行方向と大きさ(波数ベクトル)を示している。Γは原点、X、W、K、Lは、ブリルアンゾーン表面上の空間対称性の高い方向の点であり、図3に示された記号と一致する。結晶の方位は、ミラー指数を用いて表されることがあり、例えばX点は、<100>、<010>、<001>、<−100>、<0−10>、<00−1>の6つの等価な方向がある。ダイヤモンド構造のフォトニック結晶は、誘電体の配列、体積比率や誘電率の大きさを調整することによって、図1に示すように、同じ周波数帯域のフォトニックバンドギャップを結晶の全ての方向に対して持たせることができ、この周波数帯域を完全フォトニックバンドギャップ1と呼ぶ。
前記フォトニック結晶の周期的配置は、いずれか一種類の誘電体の配置を大気または真空とすることでもフォトニック結晶を作製することができる。前記完全フォトニックバンドギャップ1を持つ三次元フォトニック結晶は、特定の周波数の電磁波を少ない損失で伝搬する導波路等として使用することができる。
従来、前記三次元フォトニック結晶を製造する技術の一つとして、エッチングによって誘電体ウエハに空孔を形成し、その誘電体ウエハを積層させることによって製造する方法が提案されている(非特許文献1,2及び特許文献1)。
非特許文献1に開示されている技術は、(110)シリコンウエハを強アルカリ溶液に浸すことによって、{111}ファセット面がウエハ表面に対して垂直に残るよう異方性エッチングされることを利用して、ウエハ内にウッドパイル構造を形成し、これを積層させることによって三次元フォトニック結晶を製造したものである。
また、非特許文献2に開示されている技術は、非特許文献1の応用として、{111}ファセット面が(110)面に対して垂直でかつ{111}ファセット面同士が70.5°で交わることを利用し、シリコンウエハの表面側と裏面側を同時に異方性エッチングするダブルエッチングという製法でウエハ内に網目構造を形成し、これを積層させることによって三次元フォトニック結晶を製造している。
他の製造方法として、特許文献1に開示されている技術は、任意の誘電体ウエハにドライエッチングで円孔を形成し、それを積層させることで三次元フォトニック結晶を作製している。形成される空孔が円孔であることから、格子点形状がウエハ面に垂直な方向とこれに平行な方向で等方的ではないという欠点を持つが、ウエハを薄くして円孔の径を少しずつ変化させて積層させることによって、どのような形状の空孔でも近似的に製造することができる。
E. Ozbay: Appl. Phys. Lett. 64 (16) 18 April 1994 E. Ozbay: Appl. Phys. Lett. 65 (13) 26 September 1994
国際公開 WO2004/113965
上記非特許文献1に開示された製法で作製された三次元フォトニック結晶の構造は、ウッドパイル構造を形成している柱同士がつながっていないため、座屈に弱いという問題がある。
また、上記非特許文献1及び非特許文献2に開示された製法で作製された三次元フォトニック結晶の構造では、ウッドパイル構造の柱を交差させているため、ウエハ面に垂直な方向とこれに平行な方向が等方的な性質を示さない。その結果、完全フォトニックバンドギャップが狭くなり、積層方向とそれに垂直な方向でフォトニックバンド幅が異なるという問題がある。また、非特許文献2においては、網目構造が交差する部分をオーバーエッチしてしまうおそれもある。
さらに、特許文献1に開示された製造方法では、凸多面体形状を近似的に実現させるためには、薄くしたウエハが大量に必要になってくるという問題がある。
上記従来の問題を踏まえて、本発明の目的は、頑丈で等方性の高い三次元フォトニック結晶を得ることであり、また製造が容易で且つ少ないウエハ枚数と低いコストで三次元フォトニック結晶を製造することである。
本発明に係る三次元フォトニック結晶は、シリコンウエハ積層体の内部にダイヤモンド構造の各格子点に配置される空隙部を備え、この空隙部が前記シリコンウエハ積層体の積層方向と平行な断面において複数の異なる断面積を持ち、且つ積層方向と垂直な断面において複数の異なる断面積を持つ凸多面体形状である。
また、本発明に係る三次元フォトニック結晶の一実施形態では、前記シリコンウエハ積層体が少なくとも4枚のシリコンウエハを積層したものである。また、前記空隙部は、単一のシリコンウエハに形成された空孔からなり、又は積層された複数のシリコンウエハに形成された複数の空孔の集合からなる。
また、本発明に係る三次元フォトニック結晶の一実施形態では、前記シリコンウエハは、(100)面シリコンウエハからなり、該シリコンウエハに形成される前記空孔が{111}ファセット面を含む四角錐台形状である。
また、本発明に係る三次元フォトニック結晶の製造方法は、{111}ファセット面を含む凸多面体形状の空孔をシリコンウエハに形成し、該シリコンウエハを積層することによって、前記空孔の一又は二以上によって形成される空隙部をダイヤモンド構造の各格子点上に配置するものである。
また、本発明に係る三次元フォトニック結晶の製造方法の一実施形態では、前記{111}ファセット面を含む凸多面体形状の空孔は、(100)面シリコンウエハのウェットエッチングにより形成される。
本発明の特許請求の範囲及び明細書において使用される以下の用語は、次の通りに定義される。
「積層体」とは、複数枚のシリコンウエハを重ね合わせて一体化したものをいう。
「空孔」とは、1枚のシリコンウエハに形成した凹部又は貫通孔をいう。
「空隙部」とは、一又は二枚以上のウエハにわたって連続した「空孔」をいう。
「PBF」はフォトニックバンドギャップを、「CPBF」は完全フォトニックバンドギャップを指す。
「PBΔF/F」は、フォトニックバンドギャップの周波数幅を中心周波数で割ったものを表し、フォトニックバンドギャップ幅と称す。また、「CPBΔF/F」は、完全フォトニックバンドギャップの周波数幅を中心周波数で割ったものを表し、完全フォトニックバンドギャップ幅と称す。
「凸多面体形状」とは、原則として面同士のなす角が全て180°以内の多面体形状のことを言うが、ここでは、この原則に加え、各空孔を、その重心を通りウエハに垂直な軸を中心として回転させ、複数組み合わせた形状から成る凹多面体形状も含むこととする。
(hk1)はミラー面、{hk1}は等価なミラー面の集合、<hk1>はミラー面方位、[hk1]は等価なミラー面方位の集合をそれぞれ指す。また、自然数h、k、1はミラー指数を指す。
本発明に係る三次元フォトニック結晶によれば、シリコンウエハ積層体の内部にダイヤモンド構造の各格子点に配置される空隙部を備え、この空隙部は前記シリコンウエハ積層体の積層方向と平行な断面において複数の異なる断面積を持ち、且つ積層方向と垂直な断面において、複数の異なる断面積を持つ凸多面体形状を有しているので、空間対称性が高く頑丈な凸多面体形状の空隙部を三次元ダイヤモンド格子点上に配置することができる。
また、本発明に係る三次元フォトニック結晶の製造方法によれば、{111}ファセット面を含む凸多面体形状の空孔をシリコンウエハに形成しているので、これらシリコンウエハを積層することによってシリコンウエハ積層体の内部に前記空孔の一又は二以上によって形成される空隙部をダイヤモンド構造の各格子点上に容易に配置することができる。また、低コストかつ再現性高く凸多面体形状の空隙部を持った三次元フォトニック結晶を製造することができる。
一般的なフォトニック結晶による電磁波のエネルギーバンド図である。 ダイヤモンド構造の格子点を示す模式図である。 フォトニック結晶における第一ブリルアンゾーンを示す図である。 シリコンウエハ積層体を構成する4枚のシリコンウエハに形成される空孔を示す斜視図である。 シリコンウエハ積層体の平面図である。 図5Aに示したシリコンウエハ積層体の積層方向の断面S1〜S4を展開した模式図である。 図5Bと同様の模式図である。 シリコンウエハ積層体に形成される空隙部の例を示す斜視図及び平面図である。 シリコンウエハの表面側からのエッチング過程を示す説明図である。 シリコンウエハの表裏両面側からの同時エッチング過程を示す説明図である。 1辺の長さLが106μmより小さい空隙部(a)と、106μmより大きい空隙部(b)をそれぞれ示す模式図である。 正八面体からなる空隙部の1辺の長さLとCPBF及びCPBΔF/Fとの関係を示すグラフである。 本発明のフォトニック結晶を導波路として利用する場合の概念図である。 フォトニック結晶による三方向分光を示す概念図である。 非特許文献1におけるウッドパイル構造と、本発明のフォトニック結晶とのX,Y,Z方向におけるPBΔF/Fを比較した表である。 テラヘルツ分光装置を用いてフォトニック結晶の反射率を測定する場合の一例を示す図である。 テラヘルツ分光法によって得られた、試作フォトニック結晶の周波数と反射率との関係を示すグラフである。 本発明のフォトニック結晶の正八面体構造による電磁波のエネルギーバンド図である。
以下添付図面に基づいて、本発明の実施形態に係る三次元フォトニック結晶及びその製造方法を詳細に説明する。図2にはダイヤモンド構造の各格子点が示され、特に4枚のシリコンウエハ3,4,5,6によって積層されたシリコンウエハ積層体2に、一つのダイヤモンド単位格子が得られることが示している。符号aはダイヤモンド構造の格子定数である。また、図3はフォトニック結晶における第一ブリルアンゾーンが示されている。図3において、対称性の高い点をそれぞれ、K([110]方向)、L([111]方向)、U([411]方向),W([210]方向)、X([100]方向)で表している。この実施形態に係る三次元フォトニック結晶は、(100)面シリコンウエハを原料とする各シリコンウエハ3,4,5,6によって作製されている。各シリコンウエハ3,4,5,6の厚みは、それぞれ目的とするダイヤモンド構造の格子定数aの1/4となっている。
図4及び図5にはシリコンウエハ積層体2を構成する4枚のシリコンウエハ3,4,5,6に形成される空孔が模式的に示されている。なお、図5(a)は前記空孔をシリコンウエハ積層体2の平面側から見た時の模式図である。また、図5(b)は、図5(a)において4方向の直線S1〜S4から垂直に下した断面を展開した場合の途中の図である。ここでS1は図2のS1に相当し、隣接する空孔の重心を通りウエハに垂直な軸同士の垂線を指す。S2〜S4も同様である。さらに、図5(c)は分かり易くするために平面的に展開させた場合の模式図である。1枚目のシリコンウエハ3に形成される空孔3a,3b、2枚目のシリコンウエハ4に形成される空孔4a,4b、3枚目のシリコンウエハ5に形成される空孔5a,5b及び4枚目のシリコンウエハ6に形成される空孔6a,6bは、それぞれが前記ダイヤモンド構造の各格子点の上半分または下半分に対応した位置に設けられている。また、この実施形態では図4及び図5に示されるように、各シリコンウエハに形成される空孔は四角錐台形状をしている。シリコンウエハを表面側からエッチングする場合と、裏面側からエッチングする場合とで、前述の四角錐台の上下方向が逆向きとなる。因みに、1枚目のシリコンウエハ3で説明すると、空孔3aはシリコンウエハ3の表面側から、空孔3bはシリコンウエハ3の裏面側からそれぞれエッチングすることで形成される。
この実施形態では(100)面シリコンウエハを原料としているため、エッチングしたときに{111}ファセット面を含むことになる。これにより、空孔は異なる4つの{111}傾斜面を有する四角錐台形状となる。本発明では空孔の形状が凸多面体形状であれば、四角錐台形状に限定されないことは勿論であるが、(100)面以外のシリコンウエハを原料とした場合でも、少なくとも{111}ファセット面を含む凸多面体形状の空孔を形成することができる。
各シリコンウエハ3,4,5,6に形成される空孔の位置は前記格子定数aに基づいた一定の空孔パターンによって決定される。この空孔パターンにしたがって各シリコンウエハに空孔をエッチングする。空孔が形成されたシリコンウエハを、4枚積み重ねることによって、図4に示したような、上下に隣接したシリコンウエハにおいて、空孔同士が厚み方向に重なって、四角錐台が互いに向かい合って接合したような等方性の高い空隙部を形成することができる。例えば、図4、図5に示したように、1枚目のシリコンウエハ3の空孔3aと2枚目のシリコンウエハ4の空孔4bとが重なりあって空隙部7が形成される。また2枚目のシリコンウエハ4の空孔4aと3枚目のシリコンウエハ5の空孔5bとが重なりあって空隙部8が形成される。さらに3枚目のシリコンウエハ5の空孔5aと4枚目のシリコンウエハ6の空孔6bとが重なりあって空隙部9が形成される。その上、4枚目のシリコンウエハ6の空孔6aとその上に5枚目として積層させたシリコンウエハ3の空孔3bが重なり合って空隙部10が形成され、積層数を重ねてもこの関係は維持される。これらの空隙部7,8,9、10は、4枚のシリコンウエハ3,4,5,6を重ねてシリコンウエハ積層体2を形成した時に、図2に示したようなダイヤモンド構造の各格子点に位置して一つのダイヤモンド単位格子を作る。
図6には、(100)面シリコンウエハに異方性ウェットエッチングを施したときに得られる空隙部の例が示されている。図6(a)に示された空隙部11は、図4で説明した空隙部と同じものである。シリコンウエハの表面側の空孔パターンに対して裏面側の空孔パターンを、X方向もしくはY方向のいずれかにa/2√2(図2中S1に相当)だけずらして転写すると、図7に示したようなエッチングの過程をたどって四角錐台の空孔11aが形成される。2つの空孔11aの下面同士を重ねることで、図6(a)に示されるような空隙部11が形成される。
図6(b)に示された空隙部12は、図6に示された四角錐台11aの空孔の上面に小さな四角錐12aを補うことによって、四角錐に近い形状の空隙部12bを作製し、この2つの空隙部12bの底面同士を重ねて正八面体形状の空隙部12としたものである。空隙部11をより正八面体形状に近づけたことで等方性を一層高くすることができる。
図6(c)に示された空隙部13は、図8の(b)、(c)に示されているように、表裏両面からエッチングしてできた四角錐台の厚み中央部で重なり合う。その後重なり合った部分から横方向にエッチングが進み、最終的には(d)に示されるように、そろばん玉のように中央部分が膨らんだ形状の空孔13aが形成される。このようなエッチング手法を折り返しエッチングという。折り返しエッチングを利用した空孔13aと、前記空孔13aの開口部と同じ形状の底面をもつ四角錘の空孔13bを各シリコンウエハに設け、四角錘の空孔を折り返しエッチングの空孔13aの上下に配置して空隙部13を形成する。このように、折り返しエッチングを利用した空孔13aを各シリコンウエハに設け、このシリコンウエハを4枚積層することによって、積層方向に一つのダイヤモンド単位格子を得ることができる。
上述したシリコンウエハ積層体2にあっては、凸多面体形状の空隙部を三次元ダイヤモンド格子点上に有しているので、任意方向からの入射に対してその方向に対応したただ一つのバンドギャップを持つと共に、空孔の大きさを調整することによって完全フォトニックバンドギャップを持ち、且つ頑丈で三次元等方性が高くなるといった作用効果がある。
次に、上記構成からなる三次元フォトニック結晶の製造方法について説明する。
この実施形態では(100)面シリコンウエハを原料としており、シリコンウエハ積層体を構成する4枚の各シリコンウエハの厚みは、目的とするダイヤモンド構造の格子定数aの1/4である。
先ず、洗浄後乾燥させたシリコンウエハの両面に、アルカリに対して耐蝕作用を持つ耐蝕膜を製膜し、フォトリソグラフィーによりマスクパターンを形成する。耐蝕膜としては、二酸化ケイ素などの酸化膜、金などの金属膜、アルカリ耐性を持つフォトレジストなどの有機膜を使用することができる。
次に、上記の耐蝕膜でマスクパターンを形成したシリコンウエハを熱した後、pH11以上の強アルカリ性水溶液に浸漬させてウェットエッチングし、{111}ファセット面を有する四角錘台形状の空孔を空孔パターンにしたがって形成する。なお、浸漬時間はシリコンウエハの厚み、エッチング液の濃度、温度等に依存する。また、強アルカリ性水溶液としては、水酸化カリウム水溶液や水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液などを使用することができる。
ウェットエッチング終了後、エッチング液からシリコンウエハを引き出して洗浄し、マスクパターンを剥離して複数の空孔が形成されたシリコンウエハの積層面を露出させる。次いで、各シリコンウエハを所定のシリコンウエハ積層体に対応した大きさのチップに切断する。
前記シリコンウエハのチップを親水化処理した後、X軸方向とY軸方向で位置合わせすると共にZ軸方向に積層し、複数のシリコンウエハ同士を接着剤などによって接着する。これを所定の積層数に達するまで繰り返してシリコンウエハ積層体を構築する。なお、前記接着剤による接合に代えて、Si直接接合、金属拡散接合、ガラス陽極接合、その他の接合方法を用いて接合してもよい。また、積層したシリコンウエハ同士を接合することなく、枠などに嵌め込んで固定してもよい。
上記のシリコンウエハ積層体には、積層されたシリコンウエハ同士の空孔を複数重ねることで形成される空隙部がダイヤモンド構造の各格子点に配置され、シリコンウエハ積層体による三次元フォトニック結晶が構成されることになる。
以下、上記形態に基づいた具体的な実施例を示す。
三次元フォトニック結晶のダイヤモンド格子定数をa=300μm、空隙部の1辺をLとして、Lを95〜159μmと変化させたときのCPBF[THz]と、CPBΔF/Fをシミュレーションし、その結果を図10に示した。図9(a)に示した三次元フォトニック結晶は空隙部14の1辺がL<106μm、図9(b)に示したフォトニック結晶は空隙部15の1辺(四角錐台の底辺)が106≦L<159μmである。
図9(a)の場合は、各シリコンウエハに形成される空孔はシリコンウエハを貫通することなく四角錐形状となるので、複数の空孔によって形成される空隙部14が正八面体となる。
図9(b)の場合は、各シリコンウエハに形成される空孔はシリコンウエハを貫通して四角錐台形状となるので、複数の空孔によって形成される空隙部15が正八面体の上下の頂部を切り取った形状となる。
図10において、横軸はL[μm]、破線のグラフはCPBF[THz]、実線のグラフはCPBΔF/Fを表している。図10の縦の破線より左側が図9(a)、右側が図9(b)に対応する。破線のグラフより、CPBFはLを変化させることによってある程度調整できることが分かる。実線グラフのCPBΔF/F値が0以下の時は、フォトニック結晶が完全フォトニックバンドギャップを持たないことを示している。CPBΔF/F値が0のとき、Lは138μm、空隙部の体積比率は34%である。
図11にはフォトニック結晶による導波路が示されている。この導波路は、元となるフォトニック結晶構造の格子点を連続的に取り除くことによって形成される。フォトニック結晶が等方的であるほど、この導波路をより自由に作成することができる。光源16から複数の波長(周波数)が混在された光17がフォトニック結晶18に照射されたとき、完全フォトニックバンドギャップ内の周波数の光はフォトニック結晶18によって全反射を受ける。フォトニック結晶18の内部に何も存在しない経路19を作製すると、導波路モードに相当する周波数の光17aのみが経路19内を伝搬し、複数の経路の出口20から出てくる。
その他にも、共振器、光変調器、波長分波器等様々な微小デバイス・回路をフォトニック結晶中に構成することを目的として、三次元フォトニック結晶中に格子点を取り除いた部分を設けるといった利用法が考えられる。その際にも、三次元フォトニック結晶の等方性が高い方が、微小デバイス・回路の形状について自由度が増す。
図12にはフォトニック結晶による三方向分光器の概念図が示されている。前記図10で説明したように、空孔体積率が34%未満のフォトニック結晶は、完全フォトニックバンドギャップを持たない。しかし、特定の方向にはフォトニックバンドギャップを持つことがあり、これを利用する。例えば、フォトニック結晶21に符号22で示した<111>方向から電磁波を入射させたとき、三次元的に等価な方向(この図では<110>、<101>、<011>の三方向)の反射スペクトルが、対称性から同じになるという性質がある。これを利用することによって、フォトニックバンドギャップ内の周波数の光を符号23で示したような特定の三方向にのみ分離させるといった応用ができる。
上記図6(a)、(b)、(c)のモデルについて、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向のPBΔF/Fをシミュレーションし、非特許文献1の関連文献(E. Ozbay: Physical review B Vol. 50 (3) 15 July 1994)に記載されたウッドパイル構造の文献値と比較した結果を図13に示す。上記関連文献に記載されたウッドパイル構造は、X、Y方向のPBΔF/Fが20.3%であるのに対し、Z方向のPBΔF/Fが49.2%と大きく、Z方向がほかの2方向と互換性がない。これに対して、図6(a)の構造は、X、Y方向のPBΔF/Fが18.5%であるのに対し、Z方向のPBΔF/Fが18.7%である。また、図6(b)、(c)の構造は、X、Y、Z方向のPBΔF/Fが共に19.0%と、有効数字2〜3桁のレベルで一致している。このことから、本発明の形態はウッドパイル構造より等方的なフォトニック結晶を作製できる。
上記図6(b)のモデルを実際にシリコンエッチングで製造し、フォトニックバンドギャップの測定を行った。図14に示したように、テラヘルツ分光装置(Tera Prospector :日邦プレシジョン株式会社製)を用いて、フォトニック結晶24に対して入射角と反射角を<100>方向(X点)にあたる積層方向から7°傾けて反射率測定を行ない、図15に示されるような反射スペクトルを得た。0.41THz付近に反射率がほぼ100%となるフォトニックバンドギャップ25が観察された。なお、図15は16枚のシリコンウエハを積層したサンプルによる測定結果である。図16は正八面体モデルにおけるエネルギーバンド図のシミュレーション結果を示したものである。上記入射方向及び反射方向は、図3及び図16のX点とみなす方向に相当し、符号25は<100>方向(X点)の計算上のPBΔF/Fである。PBFは0.412THzである。PBFとPBΔF/Fに関して、実験値とシミュレーションと良い一致がみられた。
1 完全フォトニックバンドギャップ
2 ダイヤモンド単位格子におけるシリコンウエハ積層体
3,4,5,6 シリコンウエハ
3a,4a,5a,6a シリコンウエハに表面側から形成された空孔
3b,4b,5b,6b シリコンウエハに裏面側から形成された空孔
7,8,9,10 四角錘台の空孔によって形成された空隙部
11 四角錘台の空孔を対面させて重ねることによって形成された空隙部
11a 四角錘台の空孔
12 四角錐台の空孔に四角錘の空孔を補って形成された空隙部
12a 11aの上面と同じ形状を下面にもつ四角錘の空孔
12b 11aと12aを組み合わせて構成される四角錘の空隙部
13 両面折り返しエッチングによって形成された空孔に四角錘の空孔を補って
形成された空隙部
13a 両面折り返しエッチングによって形成された空孔
13b 13aの開口部と同じ形状を底面に持つ四角錘の空孔
14 1辺の長さがL<106μmである空隙部
15 1辺の長さが106<L<159μmである空隙部
16 光源
17 光源から出射された複数の周波数の光
17a 導波路モードに相当する周波数の光
18 フォトニック結晶
19 フォトニック結晶内の経路
20 経路の出口
21 フォトニック結晶
22 図1〜3における<111>方向(L点)からの入射光
23 三次元的に等価な方向(<110>、<101>、<011>)の反射光
24 フォトニック結晶
25 シミュレーション結果から導き出された、<100>方向のPBΔF/F
a ダイヤモンド構造の格子定数
S1〜S4 隣接する空孔の重心を通りウエハに垂直な軸同士の垂線

Claims (9)

  1. シリコンウエハ積層体の内部にダイヤモンド構造の各格子点に配置される空隙部を備え、この空隙部が前記シリコンウエハ積層体の積層方向と平行な断面において複数の異なる断面積を持ち、且つ積層方向と垂直な断面において複数の異なる断面積を持つ凸多面体形状である三次元フォトニック結晶。
  2. 前記シリコンウエハ積層体が少なくとも4枚のシリコンウエハを積層したものである請求項1に記載の三次元フォトニック結晶。
  3. 前記空隙部は、単一のシリコンウエハに形成されたた空孔からなり、又は積層された複数のシリコンウエハに形成された複数の空孔の集合からなる請求項1に記載の三次元フォトニック結晶。
  4. 前記シリコンウエハは、(100)面シリコンウエハからなり、該シリコンウエハに形成される前記空孔が{111}ファセット面を含む請求項3に記載の三次元フォトニック結晶。
  5. 前記空孔が、{111}ファセット面を含む四角錐台形状である請求項4に記載の三次元フォトニック結晶。
  6. {111}ファセット面を含む凸多面体形状の空孔をシリコンウエハに形成し、該シリコンウエハを積層することによって、前記空孔の一又は二以上によって形成される空隙部をダイヤモンド構造の各格子点上に配置する三次元フォトニック結晶の製造方法。
  7. 前記{111}ファセット面を含む凸多面体形状の空孔は、(100)面シリコンウエハのウェットエッチングにより形成される請求項6に記載の三次元フォトニック結晶の製造方法。
  8. 前記シリコンウエハが少なくとも4枚積層される請求項6に記載の三次元フォトニック結晶の製造方法。
  9. 前記シリコンウエハを表面側及び裏面側からそれぞれウェットエッチングし、前記{111}ファセット面を含む凸多面体形状の空孔をシリコンウエハの両面側から形成する請求項6又は7に記載の三次元フォトニック結晶の製造方法。
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