JP2017026508A - 検査用撮影器具及び検査用撮影方法 - Google Patents

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一重 ▲高▼木
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修 村田
勝明 辺見
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勝明 辺見
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徹夫 林
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Abstract

【課題】ジェットエンジン室のタービンの周壁を検査するために、周壁を容易に撮影することができ、且つ、周壁の損傷を評価しやすい良質な画像を取得することができる検査用撮影器具を提供する。【解決手段】検査用撮影器具1の構成を、対物レンズ及び撮像素子を有するカメラ本体10と、カメラ本体に接続されている電気ケーブル11と、電気ケーブルが挿通している可撓性のチューブ12と、チューブの前端にカメラ本体を支持させているカメラ支持体13と、カメラ支持体またはカメラ本体に後端が取り付けられているワイヤ14と、チューブより小径で、前端をチューブの前端近傍に位置させた状態でチューブに挿入されていると共に、後端側がチューブから引き出されており、チューブに対する位置が固定されている第二チューブ15と、を具備する構成とする。【選択図】図1

Description

本発明は、ジェットエンジン室のタービンの周壁を撮影して行う検査に使用される検査用撮影器具、及び、該検査用撮影器具を使用して行う検査用撮影方法に関するものである。
航空機のジェットエンジンは、前方の吸気口からファンで空気を取り込み、圧縮機で20〜30倍の圧力に圧縮した後、燃焼室で燃料と混合して燃焼させ、爆発的な燃焼により急激に膨張した燃焼ガスを高速で後方に噴出させることにより推進力を得ている。その際、高速の燃焼ガスは多数の回転翼(ブレード)を有するタービンを高速で回転させるが、タービンの回転軸はファンの回転軸と同軸である。従って、タービンが高速で回転することにより、ファンが高速で回転して吸気口から空気が吸気され、圧縮、燃焼、燃焼ガスの噴出とタービンの回転、という一連の動作が循環する。
ジェットエンジン室の内部においてタービン部分では、円筒状の周壁とタービンのブレードとの間の隙間を、高温高圧の燃焼ガスが高速で流通するため、周壁は極めて損傷を受け易い。そのため、所定の飛行時間ごと等、定期的に検査を行って周壁の損傷の程度を評価する必要がある。周壁は、多数のパーツが周方向に連設されて円筒形を形成しているため、検査によって損傷の程度と共にその位置を正確に特定することができれば、損傷を受けた部分でパーツを交換する等、適切な処置を適切な時期に行うことができる。
従来、タービンの周壁における損傷の検査は、「ボアスコープ」と称される軟性内視鏡を使用して、周壁を撮影することによって行われてきた。軟性内視鏡は、前端に撮像素子と照明が設けられており、手元の操作部を操作することによって前端側の姿勢を制御することが可能である。一方、ジェットエンジン室の周壁には、検査用孔部(ボアスコープポート)が予め複数設けられている。そこで、従来は、この検査用孔部から軟性内視鏡を挿入し、ブレードの先端と周壁との隙間まで軟性内視鏡を移動させ、更に隙間に沿って軟性内視鏡を移動させながら撮影を行っていた。
しかしながら、タービンのブレードの先端と周壁との隙間は5mm程度で非常に狭いため、その隙間に沿って移動させるように軟性内視鏡の姿勢を制御する操作は困難であり、熟練を要するという問題があった。また、周壁において損傷を受けた部分に適切な処置を施すためには、撮影の対象位置が正確に特定されることが必要であるが、軟性内視鏡は蛇行しながら移動するため、得られた画像が周壁のどこを撮影したものであるかを特定することが、容易ではないという問題があった。損傷程度の評価のためには、得られた画像を前回の検査の際の画像と対比することも重要であるが、撮影の対象位置を正確に特定することができないと、異なる回の検査で得られた画像との対比を行うことができない。
加えて、ブレードの先端と周壁との隙間から撮影すると、必然的に、周壁の近傍から周壁面に対して斜めの方向から撮影することになる。そのため、得られた画像は歪みを大きく含んだものとなり、損傷の評価がしにくいという問題があった。また、周壁に対する撮像素子の角度が毎回の検査で一定となるように、軟性内視鏡の姿勢を制御することは実際には不可能である。そのため、撮影の対象位置を特定できたとしても、異なる検査の回で得た画像同志は仰角が異なり、対比による解析が困難であるという問題があった。
更に、ブレードの先端と周壁との間の狭い隙間からの撮影では、視野が狭い。加えて、周壁は円筒状であるため、撮影位置(撮像素子の位置)から少し離れただけで、周壁がタービンブレードの陰になってしまう。そのため、周壁の全面をまんべんなく撮影することは困難であり、できたとしても長時間を要するという問題があった。
そこで、本発明は上記の実情に鑑み、ジェットエンジン室のタービンの周壁を検査するために、周壁を容易に撮影することができ、且つ、周壁の損傷を評価しやすい良質な画像を取得することができる検査用撮影器具、及び、該検査用撮影器具を使用して行う検査用撮影方法の提供を、課題とするものである。
上記の課題を解決するため、本発明にかかる検査用撮影器具は、
「ジェットエンジン室のタービンの周壁を撮影するために使用される検査用撮影器具であり、
対物レンズ及び撮像素子を有するカメラ本体と、
該カメラ本体に接続されている電気ケーブルと、
該電気ケーブルが挿通している可撓性のチューブと、
該チューブの前端に前記カメラ本体を支持させているカメラ支持体と、
該カメラ支持体または前記カメラ本体に後端が取り付けられているワイヤと、
前記チューブより小径で、前端を前記チューブの前端近傍に位置させた状態で前記チューブに挿入されていると共に、後端側が前記チューブから引き出されており、前記チューブに対する位置が固定されている第二チューブと、
を具備する」ものである。
上記構成の検査用撮影器具により、カメラ本体をタービンのブレードに取り付けることができる。すなわち、第二チューブの前端からワイヤを挿入すると、第二チューブの前端より前方で、カメラ支持体とワイヤによってループ(後述の「第二のループ」に相当する)が形成される。そして、第二チューブの後端からワイヤが引き出された状態とし、ワイヤを牽引すればループの周長が小さくなり、第二チューブの後端からワイヤを送り込めばループの周長が大きくなる。従って、ワイヤの牽引・送り込みによってループの長さを調整し、このループでブレードを巻き締めることにより、カメラ支持体を介して、カメラ本体をブレードに取り付けることができる。
これにより、ブレードに取り付けられたカメラ本体で周壁を撮影することができ、タービンを一回転させることにより、周壁の全周を撮影するという方法が可能となる。すなわち、
「上記の検査用撮影器具を使用して、ジェットエンジン室のタービンの周壁を撮影する検査用撮影方法であり、
前記カメラ支持体と前記第二チューブを挿通している前記ワイヤとで、前記タービンの複数のブレードのうちの一つを巻き締めることにより、前記対物レンズの光軸を前記周壁に向けた状態で前記カメラ本体を前記ブレードに固定すると共に、前記電気ケーブルが挿通している前記チューブの後端側が、前記周壁に貫設された検査用孔部を介して前記ジェットエンジン室の外部空間に引き出されている状態で、
前記タービンを一回転させながら前記撮像素子で前記周壁の画像を取得する」という検査用撮影方法である。
かかる検査用撮影方法によれば、タービンを一回転させるだけで、容易に周壁の撮影を行うことができる。従って、撮影のために熟練の技術を要することがなく、極めて短時間で周壁の撮影を行うことができる。
また、カメラ本体を取り付けたブレードの位置とタービンの回転速度から、周壁における撮影の対象位置を正確に特定することができる。これにより、画像において損傷が発見された位置から、周壁が損傷している位置を正確に知ることができる。また、異なる回の検査で得た画像を、対比する作業も容易である。
更に、カメラ本体は、対物レンズの光軸を周壁に向けた状態でブレードに取り付けられるため、周壁に対して垂直な方向から撮影することになる。これにより、歪みの少ない良質な画像を得ることができる。そして、周壁に対して常に垂直な方向から撮影するため、従来の方法とは異なり、検査のたびに仰角が異なってしまうという問題がない。
加えて、ブレードとブレードとの間隙から周壁を撮影するため、視野がブレードによって遮られることがない。そして、タービンを一回転させることにより、周壁を全周にわたり撮影することができるため、周壁の全面について損傷の検査を行うことができる。また、周壁の画像を周方向に展開したパノラマ画像を、容易に作成することができる。
本発明にかかる検査用撮影器具は、上記構成に加え、「前記カメラ支持体は帯状である」ものとすることができる。
本構成では、ブレードの周面と帯状のカメラ支持体とが面で接触するため、カメラ支持体を介してカメラ本体がブレードに取り付けられた状態が安定する。
本発明にかかる検査用撮影方法は、上記の検査用撮影方法の構成に加え、
「前記ワイヤの中途部を軟性内視鏡に沿って配すると共に、前記軟性内視鏡に沿って可撓性の小チューブを配して内視鏡ユニットとし、
前記ワイヤにおいて前記軟性内視鏡の前端より前方に延びている部分を前記小チューブの前端から挿入することによりループとした上で、前記ワイヤの前端側が前記小チューブの後端から引き出された状態とし、
前記内視鏡ユニットを前端から前記検査用孔部に挿入して前記ジェットエンジン室の内部空間に進入させ、前記軟性内視鏡の姿勢制御による移動、及び、前記外部空間において前記小チューブの後端から前記ワイヤを前記内部空間に送り込むことによる前記ループの周長の調整によって、前記ループを前記ブレードの周囲に巻き掛け、
更に前記ワイヤを前記内部空間に送り込みつつ前記軟性内視鏡及び前記小チューブを前記外部空間に引き出し、
引き出された前記軟性内視鏡及び前記小チューブを前記ワイヤから取り外し、
前記外部空間において前記ワイヤの前端を前記第二チューブの前端から挿入して前記第二チューブの後端から引き出すことにより、前記第二チューブの前端より前方で前記カメラ支持体及び前記ワイヤを第二のループとし、
前記第二チューブの後端から引き出されている前記ワイヤを牽引することにより、前記第二のループの周長を小さくしながら前記カメラ支持体を前記チューブと共に前進させ、前記検査用孔部を介して前記内部空間に進入させて前記ブレードに近付け、
更なる前記ワイヤの牽引により、前記第二のループの周長を前記ブレードの周長と略一致させることにより、前記第二のループで前記ブレードを巻き締めて前記カメラ本体を前記ブレードに取り付け、
その状態で前記ワイヤの前端側を前記第二チューブに固着することにより、前記第二のループが前記ブレードを巻き締めている状態を固定する」ものとすることができる。
これは、上記の検査用撮影方法において、カメラ本体をタービンのブレードに取り付ける方法である。本構成によれば、ブレードにワイヤを巻き掛けた後、検査用孔部の外部において第二チューブから引き出されているワイヤを牽引するだけで、カメラ本体をタービンのブレードに取り付けることができる。
また、カメラ本体は、第二のループの周長とブレードの周長とが略一致した時点で、ブレードに取り付けられた状態となる。すなわち、ブレードにおけるカメラ本体の取り付け位置は、第二のループにおけるカメラ本体の位置によって定まるため、常に一定の位置にカメラ本体を取り付けることができる。
以上のように、本発明の効果として、ジェットエンジン室のタービンの周壁を検査するために、周壁を容易に撮影することができ、且つ、周壁の損傷を評価しやすい良質な画像を取得することができる検査用撮影器具、及び、該検査用撮影器具を使用して行う検査用撮影方法を、提供することができる。
(a)本発明の一実施形態である検査用撮影器具の構成図であり、(b)A範囲の拡大図である。 図1の検査用撮影器具を使用して行う検査用撮影方法に使用する内視鏡ユニットの構成図である。 図1の検査用撮影器具を使用して行う検査用撮影方法の説明図である。 図3に引き続き、図1の検査用撮影器具を使用して行う検査用撮影方法の説明図である。 図4に引き続き、図1の検査用撮影器具を使用して行う検査用撮影方法の説明図である。 図5に引き続き、図1の検査用撮影器具を使用して行う検査用撮影方法の説明図である。
以下、本発明の一実施形態である検査用撮影器具1及びこれを使用した検査用撮影方法について、図1乃至図6を用いて説明する。
まず、検査用撮影器具1の構成について図1を用いて説明する。検査用撮影器具1は、カメラ本体10と、カメラ本体10に接続されている電気ケーブル11と、電気ケーブル11が挿通している可撓性のチューブ12と、チューブ12の前端にカメラ本体10を支持させているカメラ支持体13と、カメラ支持体13に後端が取り付けられているワイヤ14と、チューブ12より小径で、前端をチューブ12の前端近傍に位置させた状態でチューブ12に挿入されていると共に、後端側がチューブ12から引き出されており、チューブ12に対する位置が固定されている第二チューブ15と、を具備している。
より詳細に説明すると、カメラ本体10のケーシングは直径約6mm、長さ約9mmの小型の円柱状であり、撮影対象物に光を照射する照明用デバイス、対物レンズ、対物レンズの結像面に配された撮像素子、撮像素子で光電変換された電気信号を伝送するためのインターフェースが収容されている。カメラ本体10には、長さ4m〜5mの電気ケーブル11の前端が接続されており、電気ケーブル11の後端には外部の画像処理装置(図示しない)に接続するためのコネクタ部28が設けられている。この電気ケーブル11を介して、カメラ本体10と画像処理装置との間の電気信号の入出力と、カメラ本体10への電力の供給及びアース(接地)が行われる。
画像処理装置は、CPU及び記憶装置を備えるコンピュータからなり、カメラ本体10から伝送された電気信号を画像データに変換する処理、画像の合成など画像データを加工する処理、画像データを記憶する処理、モニタやプリンタ等の出力装置に画像データを出力する処理等が行われる。
カメラ本体10とコネクタ部28との間で電気ケーブル11を挿通させている可撓性のチューブ12は、外径が約5mmで、ジェットエンジン室の周壁に貫設されている検査用孔部P(一般的に、内径が6mm〜10mm)に挿通可能であり、滑り易いフッ素樹脂製である。チューブ12の長さは電気ケーブル11よりやや短く、その後端は電気ケーブル11の後端側と熱収縮チューブ29によって一体化されている。
第二チューブ15は、可撓性であるが径方向及び軸方向に伸縮しない金属製チューブであり、外径が1mm〜2mmと細いため、電気ケーブル11を挿通させているチューブ12に更に挿入することが可能である。第二チューブ15の長さはチューブ12の長さより短く、その前端をチューブ12の前端より僅かに突出させた状態でチューブ12に挿入され、その後端側はチューブ12の周壁を貫通して外部に引き出されている。そして、貫通部分で、第二チューブ15はチューブ12に固着されている。
チューブ12の前端側はカメラ支持体13に連結されており、カメラ支持体13を介してチューブ12がカメラ本体10を支持している。本実施形態のカメラ支持体13は、チューブ12と同軸に延びる帯状であり、カメラ本体10がチューブ12の前端より前方に位置する状態で、チューブ12の前端近傍及びカメラ本体10を両外側から挟み込んだ二枚のテープが貼り合わされることによって、帯状となっている。ここで、カメラ本体10は、対物レンズの光軸Xが帯状のカメラ支持体13の軸方向に直交するように、カメラ支持体13に取り付けられている。カメラ支持体13の前端は、カメラ本体10より前方に位置している。カメラ支持体13の前端には金属片からなる留め具16が取り付けられており、この留め具16には、長さ4m〜5mのワイヤ14の後端が連結されている。なお、図1及び図2では、他の構成を明確に示すために、カメラ支持体13を一点鎖線で表している。
本実施形態でのカメラ支持体13は、それぞれカメラ本体10のケーシングを貫通し、一端がワイヤ14に連結されていると共に他端がチューブ12の前端に連結されている二条の支持ワイヤ21を有している。具体的には、カメラ本体10のケーシングには、支持ワイヤ21を挿通するために、径方向に貫通する貫通孔10hの一対が、カメラ本体10の軸方向に離隔して穿設されている。これら二条の支持ワイヤ21は、輪状にした一本のワイヤで構成されている。二条の支持ワイヤ21を構成する一本のワイヤは、輪状の部分でチューブ12の前端近傍を径方向に貫通した状態でチューブ12に固定されており、ワイヤの両端のうちの一端側でカメラ本体10の貫通孔10hのうちの一方を挿通し、ワイヤの他端側で貫通孔10hの他方を挿通した状態で、その両端が留め具16に連結されている。そして、二条の支持ワイヤ21は、チューブ12の前端と留め具16との間でピンと張った状態で、カメラ支持体13を構成する二枚のテープ間に挟み込まれている。
次に、上記構成の検査用撮影器具1を使用して行う検査用撮影方法について説明する。まず、検査用撮影方法において、カメラ本体10を有する検査用撮影器具1を、ジェットエンジン室のタービンのブレードBに取り付けるステップについて、図2〜図6を用いて説明する。なお、図3〜図6では、電気ケーブル11及び支持ワイヤ21の図示を省略している。
最初に、図2に示すように、内視鏡ユニット30を形成する。具体的には、軟性内視鏡31に軸方向を一致させて小チューブ35を取り付ける。小チューブ35としては、検査用撮影器具1の第二チューブ15と同一種類のチューブ、すなわち、外径が1mm〜2mmと細く、可撓性であるが径方向及び軸方向に伸縮しない金属製チューブを使用することができる。更に、検査用撮影器具1のカメラ支持体13に後端が取り付けられているワイヤ14の中途部分を、軟性内視鏡31に軸方向を一致させて取り付ける。ワイヤ14の取り付け位置は、軟性内視鏡31に対する第二チューブ15の取り付け位置と対向する位置とすることができる。ワイヤ14は、粘着テープ等を使用して軟性内視鏡31に留め付けても良いし、小チューブ35とは別の小径のチューブを軟性内視鏡31に軸方向を一致させて取り付けておき、これにワイヤ14を挿通することによって軟性内視鏡31に取り付けても良い。
そして、ワイヤ14の前端側、つまり、軟性内視鏡31の前端より前方に延びている部分を、U字を描くように180度曲げ、小チューブ35の前端から挿入する。これにより、軟性内視鏡31の前端に、ワイヤ14のループL1が形成される。ワイヤ14の前端は、小チューブ35の後端から引き出しておく。以上により、検査用撮影器具1のワイヤ14の前端側に内視鏡ユニット30が形成される。
内視鏡ユニット30を構成する軟性内視鏡31としては、従来の工業用の軟性内視鏡を使用することができ、ビデオスコープ式内視鏡、ファイバースコープ式内視鏡の何れも使用可能である。軟性内視鏡31は、撮影対象物に光を照射し、前端の対物レンズの結像位置に配された撮像素子で光を電気信号に変換し、コントローラ31cに伝送する。コントローラ31cでは、受信した電気信号を画像信号に変換し、モニタ(図示しない)に画像を表示する。また、軟性内視鏡31は、操作部31hの操作によって前端側の姿勢を制御可能である。
一般的に、ジェットエンジン室の周壁には、検査の便宜のために複数の検査用孔部が穿設されている。そこで、図3(a)に示すように、ある検査用孔部Pから、内視鏡ユニット30を挿入する。その際、挿入方向を案内するために、湾曲したガイドチューブ40を検査用孔部Pに嵌め込んでおけば、ジェットエンジン室の内部空間において意図した方向に内視鏡ユニット30を進入させることができる。
タービンは、回転軸周りに数十枚から百数十枚の多数のブレードを有している。図3(b)に示すように、軟性内視鏡31の姿勢制御によって、あるブレードBの先端側に内視鏡ユニット30の前端を近付ける。この操作は、軟性内視鏡31で撮影された画像をモニタで確認しながら、操作部31hを操作することによって行う。
内視鏡ユニット30の前端がブレードBの先端に近付いたら、検査用孔部Pの外部空間において、小チューブ35の後端からワイヤ14を押し込むように挿入する。このように小チューブ35側からワイヤ14が送り込まれることにより、図3(c)に示すように内視鏡ユニット30の前端のループL1の周長が大きくなる。
ワイヤ14の送り込みにより、ループL1の周長がブレードBの周長より大きくなったら、図4(d)に示すように、姿勢制御により内視鏡ユニット30の前端をブレードBの基端側に移動させる。これにより、ワイヤ14のループL1がブレードBの基端に巻き掛けられた状態となる。
更に、図4(e)に示すように、小チューブ35の後端からワイヤ14を送り込むことによって、ループL1の周長を大きくしながら、軟性内視鏡31及びこれに取り付けられている小チューブ35を牽引し、検査用孔部Pの外部空間に引き出す。
軟性内視鏡31及び小チューブ35が検査用孔部Pの外部空間に引き出されたら、ワイヤ14から軟性内視鏡31及び小チューブ35を取り外す。これにより、図4(f)に示すように、検査用撮影器具1から延びているワイヤ14が、ブレードBの基端に巻き掛けられている状態となる。
そこで、図5(g)に示すように、検査用孔部Pの外部空間において、検査用撮影器具1の第二チューブ15の前端からワイヤ14を挿入し、更に図1(a)に示すように、第二チューブ15の後端からワイヤ14を引き出す。これにより、第二チューブ15の前端より前方で、カメラ支持体13とワイヤ14によって第二のループL2が形成される。すなわち、上記のループL1は、軟性内視鏡31の前端で閉じているループであったが、第二のループL2は第二チューブ15の前端で閉じているループである。
検査用孔部Pの外部空間において、第二チューブ15の後端から引き出されている部分のワイヤ14を牽引すると、図5(h)に示すように、第二のループL2の周長が小さくなり、これに伴いカメラ支持体13が前進する。また、電気ケーブル11を挿通しているチューブ12も、その前端でカメラ支持体13と一体化されているため、カメラ支持体13に続いて前進する。なお、カメラ支持体13及びカメラ本体10が検査用孔部Pを通過する際には、帯状のカメラ支持体13を折り曲げると共に、カメラ本体10の軸方向を検査用孔部Pの軸方向に一致させれば、小径の検査用孔部Pを通過させ易い。
ジェットエンジン室の内部空間に進入したカメラ支持体13は、更なるワイヤ14の牽引によりワイヤ14の軌跡に沿ってブレードBに近付き、ブレードBの周壁に沿って前進する。そして、ワイヤ14の牽引により第二のループL2の周長とブレードBの周長が略一致すると、図5(i)及び図6(k)に示すように、第二のループL2でブレードBが巻き締められた状態となり、カメラ支持体13を介してカメラ本体10がブレードBに取り付けられた状態となる。なお、ブレードBは一方向に湾曲しているため、牽引されたワイヤ14はブレードBの凹面側では最短距離となる軌跡を取る。従って、第二のループL2でブレードBが巻き締められた状態で、第二のループL2の周長はブレードBの周長よりやや短い。また、第二のループL2でブレードBを巻き締めるに当たり、図示したように、カメラ本体10及びカメラ支持体13がブレードBの凸面側に位置するようにすれば、ワイヤ14の牽引により張力を与えられた帯状のカメラ支持体13がブレードBの周面に密着し、カメラ本体10の取り付け状態が安定する。
この状態で、ワイヤ14の前端側を第二チューブ15に固着する。例えば、図6(j)に示すように、第二チューブ15の後端をワイヤ14と共にかしめることにより、固着部19を形成する。これにより、ワイヤ14の張力によって第二のループL2がブレードBを巻き締めている状態が固定される。換言すれば、カメラ本体10がブレードBに取り付けられている状態が固定される。固着部19より先のワイヤ14の余剰分は切断し、ワイヤ14の端部は粘着テープ等でチューブ12の周面に留め付ける。
本実施形態では、カメラ支持体13が帯状であり、ブレードBの周面とカメラ支持体13とが面で接触するため、カメラ支持体13を介してカメラ本体10がブレードBに取り付けられた状態が安定する。また、本実施形態のカメラ支持体13は支持ワイヤ21を有しているため、機械的強度が補強されていると共に、ワイヤ14の牽引による張力がカメラ支持体13に伝わり易い。加えて、二条の支持ワイヤ21がカメラ本体10を貫通しているため、ワイヤ14を牽引した際のカメラ本体10の回転が抑制されている。
カメラ本体10における対物レンズの光軸Xは、帯状のカメラ支持体13の軸方向に直交する方向であるため、ブレードBに取り付けられたカメラ本体10の光軸Xは、ブレードBの周方向に直交する方向、すなわち、ジェットエンジン室の周壁に直交する方向となる。また、ブレードBにおけるカメラ本体10の取り付け位置は、第二のループL2におけるカメラ本体10の位置、及びブレードBの周長及びその湾曲の程度によって定まるため、常に一定である。
次に、検査用撮影方法における撮影のステップについて説明する。上記のように、ブレードBに取り付けられたカメラ本体10の光軸Xは、ジェットエンジン室の周壁に直交しており、周壁における一定範囲を撮影することができる。特に、本実施形態では、カメラ本体10をブレードBの基端に取り付けているため画角が大きく、タービンの周囲で周方向に連設されて円筒形の周壁を構成しているパーツの全幅を、視野におさめることができる。
そして、一般的なジェットエンジンは、検査の便宜のためにタービンをゆっくりと回転させる機構を有している。そこで、この機構を使用し、カメラ本体10で周壁を撮影しながらタービンを一回転させれば、タービン部分の周壁の全面を撮影することができる。
検査用孔部Pの外部空間に位置していた部分のチューブ12は、タービンの回転によるブレードBの移動に伴って、電気ケーブル11と共に検査用孔部Pを介して内部に引き摺り込まれて行く。ワイヤ14の後端側は第二チューブ15に固着されているため、チューブ12と共に第二チューブ15が移動しても、第二のループL2にブレードBを巻き締めさせているワイヤ14の張力は変化しない。これにより、カメラ本体10は、ブレードBに安定的に支持された状態で、ブレードBと共に回転する。
撮影によりカメラ本体10の撮像素子で光電変換された電気信号は、電気ケーブル11及びコネクタ部28を介して画像処理装置に伝送される。伝送された電気信号は、画像処理装置において画像データに変換されると共に、記憶装置に記憶される。また、モニタやプリンタ等の出力装置に、画像の出力が行われる。
以上のように、本実施形態の検査用撮影器具1、及びこれを使用した検査用撮影方法によれば、タービンを一回転させるだけで、容易に周壁の撮影を行うことができる。従って、周壁とブレードBの先端との狭い隙間を、周壁の全周にわたり軟性内視鏡を移動させながら撮影していた従来とは異なり、撮影のために熟練の技術を要することがない。また、撮影の所要時間も、従来に比べて大幅に短縮することができる。なお、本実施形態の検査用撮影方法では、カメラ本体10をブレードBに取り付ける過程の最初の段階で軟性内視鏡31を使用するが、その際に必要な姿勢制御は、軟性内視鏡31の前端をブレードBの先端に近付けてから基端に向かって移動させるだけであるため、操作は容易である。
また、カメラ本体10を取り付けたブレードBの位置とタービンの回転速度から、周壁における撮影の対象位置を正確に特定することができる。これにより、撮影された画像から損傷が発見された場合、損傷を受けている部分を正確に特定することができ、周壁を構成するパーツをその部分で交換する等、適切な処置を行うことができる。また、撮影の対象位置を正確に特定することができるため、前回の検査で得た画像と今回の検査で得た画像とを同一箇所で対比することができ、損傷の進行の程度の評価を容易に行うことができる。
更に、周壁に対して垂直な方向から撮影するため、周壁とブレードBの先端との狭い隙間から斜めに撮影していた従来に比べて、得られた画像における歪みが大幅に低減されている。また、周壁とカメラ本体10との距離が一定であるため、歪みの補正も容易である。そして、周壁に対して常に垂直な方向から撮影するため、従来の方法とは異なり、検査のたびに仰角が異なってしまうという問題がない。
加えて、ブレードBとブレードBとの間隙から周壁を撮影するため、周壁とブレードBの先端との隙間から撮影していた従来とは異なり、視野がブレードBによって遮られることがなく、周壁の全面をまんべんなく撮影することができる。また、周壁の全周を撮影することができるため、周壁の画像を周方向に展開したパノラマ画像を、容易に作成することができる。パノラマ画像を使用すれば、周壁の損傷の評価を行いやすい。
以上、好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態の検査用撮影器具では、ワイヤ14の後端がカメラ支持体13の前端に留め具16を介して取り付けられている場合を例示したが、これに限定されず、カメラ本体のケーシングに、ワイヤの後端が留め付けられる部分を形成しても良い。
1 検査用撮影器具
10 カメラ本体
11 電気ケーブル
12 チューブ
13 カメラ支持体
14 ワイヤ
15 第二チューブ
30 内視鏡ユニット
31 軟性内視鏡
35 小チューブ
L1 ループ
L2 第二のループ
B ブレード
P 検査用孔部
X 光軸

Claims (4)

  1. ジェットエンジン室のタービンの周壁を撮影するために使用される検査用撮影器具であり、
    対物レンズ及び撮像素子を有するカメラ本体と、
    該カメラ本体に接続されている電気ケーブルと、
    該電気ケーブルが挿通している可撓性のチューブと、
    該チューブの前端に前記カメラ本体を支持させているカメラ支持体と、
    該カメラ支持体または前記カメラ本体に後端が取り付けられているワイヤと、
    前記チューブより小径で、前端を前記チューブの前端近傍に位置させた状態で前記チューブに挿入されていると共に、後端側が前記チューブから引き出されており、前記チューブに対する位置が固定されている第二チューブと、
    を具備することを特徴とする検査用撮影器具。
  2. 前記カメラ支持体は帯状である
    ことを特徴とする請求項1に記載の検査用撮影器具。
  3. 請求項1または請求項2に記載の検査用撮影器具を使用して、ジェットエンジン室のタービンの周壁を撮影する検査用撮影方法であり、
    前記カメラ支持体と前記第二チューブを挿通している前記ワイヤとで、前記タービンの複数のブレードのうちの一つを巻き締めることにより、前記対物レンズの光軸を前記周壁に向けた状態で前記カメラ本体を前記ブレードに固定すると共に、前記電気ケーブルが挿通している前記チューブの後端側が、前記周壁に貫設された検査用孔部を介して前記ジェットエンジン室の外部空間に引き出されている状態で、
    前記タービンを一回転させながら前記撮像素子で前記周壁の画像を取得する
    ことを特徴とする検査用撮影方法。
  4. 前記ワイヤの中途部を軟性内視鏡に沿って配すると共に、前記軟性内視鏡に沿って可撓性の小チューブを配して内視鏡ユニットとし、
    前記ワイヤにおいて前記軟性内視鏡の前端より前方に延びている部分を前記小チューブの前端から挿入することによりループとした上で、前記ワイヤの前端側が前記小チューブの後端から引き出された状態とし、
    前記内視鏡ユニットを前端から前記検査用孔部に挿入して前記ジェットエンジン室の内部空間に進入させ、前記軟性内視鏡の姿勢制御による移動、及び、前記外部空間において前記小チューブの後端から前記ワイヤを前記内部空間に送り込むことによる前記ループの周長の調整によって、前記ループを前記ブレードの周囲に巻き掛け、
    更に前記ワイヤを前記内部空間に送り込みつつ前記軟性内視鏡及び前記小チューブを前記外部空間に引き出し、
    引き出された前記軟性内視鏡及び前記小チューブを前記ワイヤから取り外し、
    前記外部空間において前記ワイヤの前端を前記第二チューブの前端から挿入して前記第二チューブの後端から引き出すことにより、前記第二チューブの前端より前方で前記カメラ支持体及び前記ワイヤを第二のループとし、
    前記第二チューブの後端から引き出されている前記ワイヤを牽引することにより、前記第二のループの周長を小さくしながら前記カメラ支持体を前記チューブと共に前進させ、前記検査用孔部を介して前記内部空間に進入させて前記ブレードに近付け、
    更なる前記ワイヤの牽引により、前記第二のループの周長を前記ブレードの周長と略一致させることにより、前記第二のループで前記ブレードを巻き締めて前記カメラ本体を前記ブレードに取り付け、
    その状態で前記ワイヤの前端側を前記第二チューブに固着することにより、前記第二のループが前記ブレードを巻き締めている状態を固定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の検査用撮影方法。
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WO2020090959A1 (ja) * 2018-10-31 2020-05-07 三菱重工業株式会社 検査用チューブの駆動制御装置、検査装置、検査方法、検査装置のプログラム、及び案内治具

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