JP2017023183A - 歯科インプラント用アバットメント群 - Google Patents

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則裕 松井
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Abstract

【課題】患者個々の適応部位の形状に応じた歯科インプラント用アバットメントを簡易に選択できるよう、マージンライン直径、アバットメント高さ、歯肉縁下部高さの値の組合せから構成されるアバットメント群を提供する。【解決手段】任意の人工歯根上に装着される複数形状の歯科インプラント用アバットメント(1)からなるアバットメント群であって、前記アバットメント(1)のマージンライン(4)の直径をマージンライン直径(A)、嵌合部(2)から支台部(5)の天面までの高さをアバットメント高さ(B)、嵌合部(2)からマージンライン(4)までの高さを歯肉縁下部高さ(C)とし、この3つの値で選択できるアバットメントを含むアバットメント群を提供する。【選択図】 図2

Description

本発明は、人工歯根上に装着される複数形状の歯科インプラント用アバットメントからなるアバットメント群に関する。
歯科用インプラント治療は、歯をウ蝕や歯周病、または外傷などによって全顎または部分的に喪失した際の治療手段として、広く普及している歯科治療の一つである。
歯科用インプラントは、歯を喪失した部分の顎骨(歯槽骨)に埋入して当該歯槽骨に結合する人工歯根(フィクスチャーまたはインプラントとも称する)に挿入または接触して固定され、口腔内側で補綴装置(上部構造体とも称する)を保持する支台として機能するアバットメント、および歯牙形状を模擬しアバットメントに装着される補綴装置等の複数の要素から構成される。
この人工歯根と補綴装置の中間連結要素となるアバットメントの形状は、審美的・強度的な観点から、適応しようとする患者個々の適応部位の形状に適宜形態を設計することが望ましく、例えば特許文献1−2に記載のようにCAD/CAM等のデジタル技術を用いてアバットメントの大きさや角度などの形状を個々に調整して設計する手法が開示されている。しかし、このようなCAD/CAM装置・ソフトウェアを用いる場合には、設備投資や保守・管理コストの負担、専門知識を有するオペレーターを必要とする点や、印象採得によって得られた模型を三次元計測してデジタルデータ化したうえで、さらにコンピュータ上で微調整の作業を必要とする手間があった。
これに対して特許文献3では、デジタル技術を使用せずにアバットメントを設計する手法として、人工歯根周辺の歯肉形状を実測するなどして、マージンライン高さ、マージンライン最大半径、アバットメント高さ、及び傾斜角の4つのパラメーターから簡易にアバットメントを設計する方法を開示している。これによれば、デジタル装置を使用せずに、印象採得、模型作製、および三次元計測等の必要がなく、患者個々の形態を設計することが出来る。しかしながら、計測箇所が歯肉形状に沿った斜面の長さを指定しているなど計測自体の困難さや計測ミスを発生させる課題があった。また、測定された値からアバットメントの設計を行った結果、形状によってはアバットメント形状の各部に隙間が発生し、適宜操作者がその形状修正を行わなければならない課題があった。
また、特許文献4では、患者個々で理想的な形態を要求されるアバットメント形状の範囲として、アバットメント高さ(特許文献4では、「橋脚歯部材の全長」と記されている)の範囲が1.5〜15mm、歯肉縁下部高さ(特許文献4では、「橋脚歯部材の、歯科インプラント組み立て済みの状態において患者の歯肉の上を架橋する部分」と記されている)は0.5〜5mmが適するという情報が開示されている。しかしながら、これらの値では歯槽骨の吸収や歯肉退縮が生じている患者への適応に対しては十分な範囲ではなく、より広範囲な数値を有するアバットメントが求められていた。また、人工歯根の最大直径(特許文献4では、「固定具部材の最大幅」と記載されている。)の範囲が約3〜6mmであると開示されているが、アバットメントの幅であるマージンライン直径の値については必要とされる値が明示されていなかった。
特開2002-224142号公報 特開2009-101135号公報 特開2014-155610号公報 特表2010-519995号公報
CAD/CAM装置・ソフトウェア等を用いずにアバットメントを設計する技術では、人工歯根周辺の歯肉形状などを測定することで患者個々の適応部位の形状を設計することを可能にしているが、計測箇所が歯肉形状に沿った斜面の長さを指定しているなど計測自体の困難さや計測ミスを発生させる課題があった。また、測定された値からアバットメントの設計を行った結果、形状によってはアバットメント形状の各部に隙間が発生し、適宜操作者がその形状修正を行わなければならない課題があった。
またアバットメント形状の範囲としては、アバットメント高さ、歯肉縁下部高さの好ましい範囲が開示されているが、これらの値では、歯槽骨の吸収や歯肉退縮が生じている患者への適応に対しては十分な範囲ではなく、より広範囲な数値を有するアバットメントが求められていた。また、アバットメントの幅であるマージンライン直径の値については必要とされる値が明示されていなかった。
そこで本発明は、費用・手間・時間をかけずに患者個々の適応部位の形状に応じた歯科インプラント用アバットメントを簡易に提供できるようにするため、幅広い患者個々の適応部位の形状を再現できる上限値・下限値の範囲設定と、その範囲内における適切な間隔を有するマージンライン直径、アバットメント高さ、歯肉縁下部高さの値の組合せから構成されるアバットメント群を提供する。
以下、本発明について説明する。ここでは分かりやすさのため、図面に付した参照番号を括弧書きで併せて記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明は、任意の人工歯根上に装着される複数形状の歯科インプラント用アバットメント(1)からなるアバットメント群であって、前記アバットメント(1)が、長軸に対して軸対称の形状であり、前記人工歯根に装着される部位である嵌合部(2)、前記嵌合部(2)から滑らかに広がる歯肉縁下部(3)、前記歯肉縁下部(3)の他端は、長軸を中心とした円形であるマージンライン(4)、前記マージンライン(4)の上部に繋がり歯科補綴装置が装着される支台部(5)及び、中空円柱形状でアバットメントを人工歯根に装着するための固定具が挿入されるアクセスホール(7)を有し、前記マージンライン(4)の直径をマージンライン直径(A)、前記嵌合部(2)から支台部の天面までの高さをアバットメント高さ(B)、前記嵌合部(2)からマージンライン(4)までの高さを歯肉縁下部高さ(C)とし、この3つの値で選択できるアバットメントを含むアバットメント群である。
本発明のアバットメント群は、
マージンライン直径(A)は、3~10mmの範囲であり、かつ0.25〜2.0mmの間隔で選択される。好ましくは0.5〜1.0mmの間隔、更に好ましくは0.5mmまたは1.0mmの間隔で選択される。
アバットメント高さ(B)は、4~20mmの範囲であり、かつ0.5〜4.0mmの間隔で選択される。好ましくは1.0〜2.0mmの間隔、更に好ましくは1.0mmまたは2.0mmの間隔で選択される。
歯肉縁下部高さ(C)は、0.1~10mmの範囲であり、かつ0.25〜2.0mmの間隔で選択される。好ましくは0.5〜1.0mmの間隔、更に好ましくは0.5mmまたは1.0mmの間隔で選択される。
上記の範囲にすることで、幅広い患者個々の適応部位の形状を再現できるようになり、かつ上記の間隔で選択できるようにすることで簡易にアバットメント群から必要なアバットメントを選択できることが可能になる。
本発明のアバットメント群は、そのアバットメントが、前記支台部(5)にマージンライン(4)と滑らかな曲線で繋がるシャンファー部(6)があり、前記シャンファー部(6)から支台部(5)の天面に向かい1.0〜5.0度のテーパー角度(G)が付与されており、前記シャンファー部の同心円状に広がる幅であるシャンファー部幅(H)が0.25〜1.0mmの長さを有するアバットメントであり、マージンライン(4)周辺が太く支台部(5)天面ほど細くなることで強度と補綴装置を装着した際の審美性を両立したアバットメントを含むアバットメント群である。
本発明のアバットメント群は、支台部(5)の天面において最も薄い部位の厚みである壁厚(E)を強度保障するためのプログラム(P)を実行したアバットメントを含むアバットメント群である。
前記プログラム(P)では、前記壁厚(E)の強度担保のため保障されるべき壁厚の値を最少壁厚値(T)として実行する。
上記強度保障プログラム(P)は、以下のプログラムから構成される。
-壁厚(E)を[式1]より算出するプログラム(P1)、
-壁厚(E)の値が最少壁厚値(T)以上かを判断するプログラム(P2)、
-前記壁厚(E)が最少壁厚値(T)以上の場合、マージンライン-天面移行部幅(F)の値を変更しないプログラム(P3)、
-一方、前記壁厚(E)が最少壁厚値(T)未満の場合、前記壁厚(E)が規定値以上となるようにマージンライン-天面移行部幅(F)の値を減少させるプログラム(P4)。
[式1] E=(A−D)/2 ― F
本発明のアバットメント群は、前記最少壁厚値(T)が0.3〜1.0mmの値、好ましくは0.4〜0.6mmである。
前記プログラム(P4)においてマージンライン-天面移行部幅(F)の値を減少させる方法として、テーパー角度(G)を最少で0.0度まで減少させた、およびまたはシャンファー部幅(H)を最少で0.1mmまで減少させた、アバットメントを含むアバットメント群である。
本発明のアバットメント群は、嵌合部直径(I)がマージンライン直径(A)以上となる嵌合部からマージンラインへと縮小する形状となりアバットメントとしての用途を満たさないアバットメントまたは、アバットメント高さ(B)が歯肉縁下部高さ(C)以下となる物理的に設計が不可能であるアバットメントは含まないアバットメント群である。
本発明のアバットメント群は、支台部(5)に挿入された補綴装置が回転するのを防止するための少なくとも一つ以上の回転防止構造を備えているアバットメントを含むアバットメント群である。
回転防止機構としては、支台部(5)に凹凸を設けたり、溝を設けたりすることが可能である。
本発明のアバットメント群は、チタンやコバルトクロムといった生体親和性の高い金属材料や、ジルコニアなどのセラミクス材料、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂材料をはじめとする公知の歯科材料の一つまたは複数の組合せから作製されたアバットメントを含むアバットメント群である。
本発明によれば、幅広い患者個々の適応部位の形状に対応したアバットメント群を用意することで、費用・手間・時間をかけずに必要とするアバットメントを選択・使用することが可能になる。
また、選択される値の上限値・下限値の範囲およびその範囲内における間隔を適切に決定することで、簡易にアバットメント形状を選択することが可能になる。さらに、アバットメント形状として不適切または物理的に成立しない形状を予めアバットメント群から除外することで、好ましくない形状が選択されることを抑止できる。
アバットメント群を構成するアバットメントは、支台部天面に向かい直径が細くなる形状を付与されており、これにより補綴装置側の厚みを増加させることが可能になるため、装着される補綴装置の強度面・審美面に優れる結果を得られる。また、アバットメントの薄肉部の厚みが一定値以上となるように補正されており、アバットメント群から常に強度が担保されたアバットメントを選択することが可能になる。さらに、アバットメントに回転防止機構を付与することにより、補綴装置挿入時に補綴装置が回転するのを抑制または防止し、正確な装着が可能となる。
本発明の上記した作用および利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
図1は、アバットメント群に含まれる一つの形態のアバットメントである。アバットメントは、軸対称形状であり、嵌合部(2)、歯肉縁下部(3)、マージンライン(4)、支台部(5)を有する。支台部(5)にはマージンライン(4)と滑らかな曲線で繋がるシャンファー部(6)がある。
アバットメントの中心には、中空円柱形状で、アバットメントを人工歯根に装着するための固定具が挿入されるアクセスホール(7)を有しており、このアクセスホールに固定具を挿入・締結することで嵌合部(2)と人工歯根が固定される。ここでは、公知の人工歯根や固定具を用いることができる。
嵌合部(2)・アクセスホール(7)・固定具の形状は、装着される任意の人工歯根の形態によって決まる。
口腔内での装着状態において、アバットメントの歯肉縁下部(3)は歯肉内に埋設され、歯肉と隣接する部位となる。マージンライン(4)は歯肉との境界線に位置し、支台部(5)には補綴装置が挿入され、歯科用の接着材等を用いて固定される。補綴装置は、例えば人工歯冠のように歯列の欠損部を実質的に補う部材であり、歯牙を模した形状を有しており、歯牙の形状及び質感が再現されている。このような歯科補綴装置や歯科用接着材には公知のものを用いることができる。
以上のようなアバットメント1は後述する値の決定により簡易に選択することができる。
図2は、アバットメント群に含まれる一つの形態のアバットメントの選択される寸法の位置関係を示している。マージンライン(4)の直径をマージンライン直径(A)、嵌合部(2)から支台部の天面までの高さをアバットメント高さ(B)、嵌合部(2)からマージンライン(4)までの高さを歯肉縁下部高さ(C)とする。この3つの値が選択できるアバットメントを含むアバットメント群を用意することで、これら3つの値の選択によりアバットメントを簡易に選択することが出来ようになる。具体的には図2はマージンライン直径(A)、アバットメント高さ(B)、歯肉縁下部高さ(C)をそれぞれ、6.0mm、10.0mm、4.0mmと決定することで選択されたアバットメントである。
マージンライン直径(A)は、3~10mmの範囲である。これは、アバットメント形状の範囲として、マージンライン直径(A)の値が開示されておらず、参考となる人工歯根の最大直径約3〜6mmの値よりも大きなマージンライン(4)を有する形状を選択できるようマージン直径(A)の範囲を決定した。これにより、公知の人工歯根上との組合せが成立し、アバットメントを任意に選択可能となる。
マージンライン直径(A)は、上記範囲の中から0.25〜2.0mmの間隔で選択される。好ましくは0.5〜1.0mmの間隔、更に好ましくは0.5mmまたは1.0mmの間隔で選択される。この間隔は、0.25mm以下の間隔では間隔ごとの形状差異が小さくなりすぎ、2.0mm以上では選択可能な形状が少なくなりすぎることから設定した。更に0.5mmまたは1.0mmの間隔とすることで、一般的な定規などを用いて計測・認識することや、直感的に大きさを把握することが可能となる。また、上記の間隔で選択できるようにすることで、アバットメント群を構成するアバットメントの数が不必要に増大することを抑制し、簡易にアバットメント群からアバットメントを選択できることが可能になる。
具体的には、より小径の人工歯根を埋入し、隣在する天然歯または補綴装置との距離が近い場合が多い前歯部への症例の範囲であれば、より細かな直径値の選択が必要となり0.5mm間隔が必要となる。一方、人工歯根が大きな径となり、隣在する天然歯または補綴装置との距離が大きくなる臼歯部等の症例の範囲であればその間隔は1.0mmでも十分である。
アバットメント高さ(B)は、4~20mmの範囲である。これは、アバットメント形状の範囲として、アバットメント高さ(B)の範囲が1.5〜15mmが良いという値が開示されているが、この値よりもアバットメント高さのある形状を選択できる範囲とすることで歯槽骨の吸収が生じている患者への適応に対しても対応することができるようになる。
アバットメント高さ(B)は、上記範囲の中から、0.5〜4.0mmの間隔で選択される。好ましくは1.0〜2.0mmの間隔、更に好ましくは1.0mmまたは2.0mmの間隔で設定される。この間隔は、0.5mm以下の間隔では間隔ごとの形状差異が小さくなりすぎ、4.0mm以上では選択可能な形状が少なくなりすぎることから設定した。更に1.0mmまたは2.0mmの間隔とすることで、一般的な定規などを用いて計測・認識することや、直感的に大きさを把握することが可能となる。また、上記の間隔で選択できるようにすることで、アバットメント群を構成するアバットメントの数が不必要に増大することを抑制し、簡易にアバットメント群からアバットメントを選択できることが可能になる。
具体的には、アバットメントの高さが小さくなる臼歯部への症例の範囲では、より細かなアバットメント高さの選択が必要となり1.0mm間隔が必要となる。一方、アバットメントの高さが大きくなる前歯部への症例の範囲であればその間隔は2.0mmでも十分である。
歯肉縁下部高さ(C)は、0.1~10mmの範囲である。これは、アバットメント形状の範囲として、歯肉縁下部高さ(C)の範囲が0.5〜5mmが良いという値が開示されているが、この値よりも歯肉縁下部高さのある形状を選択できる範囲とすることで歯肉退縮が生じて歯冠長の長い患者への適応に対しても対応することができるようになる。
歯肉縁下部高さ(C)は、上記範囲の中から、0.25〜2.0mmの間隔で選択される。好ましくは0.5〜1.0mmの間隔、更に好ましくは0.5mmまたは1.0mmの間隔で設定される。この間隔は、0.25mm以下の間隔では間隔ごとの形状差異が小さくなりすぎ、2.0mm以上では選択可能な形状が少なくなりすぎることから設定した。更に0.5mmまたは1.0mmの間隔とすることで、一般的な定規などを用いて計測・認識することや、直感的に大きさを把握することが可能となる。また、上記の間隔で選択できるようにすることで、アバットメント群を構成するアバットメントの数が不必要に増大することを抑制し、簡易にアバットメント群からアバットメントを選択できることが可能になる。
具体的には、人工歯根の埋入された位置から歯肉までの距離が短い症例の範囲の場合、歯肉縁下部高さの値は小さな値となり、より細かな歯肉縁下部高さの選択が必要となるため0.5mm間隔が必要となる。一方、歯肉退縮が生じている症例の範囲であれば歯肉縁下部高さの値は大きな値となりその間隔は1.0mmでも十分である。
図3は、アバットメント群に含まれる一つの形態のアバットメントを補正する際に使用する要素を説明するアバットメントの断面図である。
支台部(5)には、シャンファー部(6)から支台部(5)の天面に向かい1.0〜5.0度のテーパー角度(G)が付与されている。このテーパー角度(G)を付与することで、アバットメントへの補綴装置の挿入が簡易になり、アバットメント天面側の直径が小さくなることで補綴装置側の厚みを増加させることが可能になるため、補綴装置の強度面・審美面に優れる結果を得られる。
シャンファー部(6)の同心円状に広がる幅をシャンファー部幅(H)とし、この幅を0.25〜1.0mmの値で付与する。このシャンファー部(6)をこの幅で付与することで、支台部とマージンラインの境界が明確になり、補綴装置もシャンファー部に支持されるように固定されることで安定する。
支台部(5)においてマージンライン(4)から支台部(5)の天面へと移行する部位の幅をマージンライン-天面移行部幅(F)とする。このマージンライン-天面移行部幅(F)は、アバットメントの形状を調整することで制御することが可能な値となる。具体的には、テーパー角度(G)とシャンファー部幅(H)によって調整することが出来る。
支台部(5)の天面において最も薄い部位の厚みを壁厚(E)とする。アバットメントの形状で最も薄くなる部位であり、この値に着目することで、アバットメントが薄肉化し、強度の低下を抑制することが出来る。
図4は、アバットメントの強度保障するためのプログラム(P)の流れを説明した図である。本発明のアバットメント群は、前記プログラム(P)を実行したアバットメントを含むアバットメント群となる。
前記プログラム(P)では、前記壁厚(E)の強度担保のため保障されるべき壁厚の値を最少壁厚値(T)として実行する。
上記、強度保障プログラム(P)は、以下のプログラムから構成される。
-壁厚(E)を[式1]より算出するプログラム(P1)、
-壁厚(E)の値が最少壁厚値(T)以上かを判断するプログラム(P2)、
-前記壁厚(E)が最少壁厚値(T)以上の場合、マージンライン-天面移行部幅(F)の値を変更しないプログラム(P3)、
-一方、前記壁厚(E)が最少壁厚値(T)未満の場合、前記壁厚(E)が規定値以上となるようにマージンライン-天面移行部幅(F)の値を減少させるプログラム(P4)。
[式1] E=(A−D)/2 ― F
最少壁厚値(T)の値は、0.3〜1.0mmの範囲であり、好ましくは0.4〜0.6mmである。アバットメントは細長形状であると共に、咬合による圧力が負荷される部材であるため強度を担保するために、上記壁厚であることが好ましい。
前記プログラム(P4)においてマージンライン-天面移行部幅(F)の値を減少させる方法としては、テーパー角度(G)を最少で0.0度まで減少させる、およびまたはシャンファー部幅(H)を最少で0.1mmまで減少させる。テーパー角度を減少させる際に、その値が負の値になると、天面に向かい直径が増加する形状となり支台部に補綴装置を挿入できなくなる。また、シャンファー部幅を減少させる際に、その値が0.1mm以下になると、マージンラインと支台部の境界が不明瞭になるため好ましくない。
強度保障プログラム(S)の実行されたアバットメントを含むアバットメント群であるため、任意の3つの値から選択したアバットメントであっても、極端に薄肉化して安易に破折するアバットメント形状が選択されることがなくなる。
図5は、アバットメント群から3つの値を選択したアバットメントの実際の例を示す図である。図5(a)はマージンライン直径(A)、アバットメント高さ(B)、歯肉縁下部高さ(C)をそれぞれ、4.5mm、6.0mm、2.0mmと決定することで選択されたアバットメント、図5(b)はマージンライン直径(A)、アバットメント高さ(B)、歯肉縁下部高さ(C)をそれぞれ、8.0mm、6.0mm、2.0mmと決定することで選択されたアバットメント、図5(c)はマージンライン直径(A)、アバットメント高さ(B)、歯肉縁下部高さ(C)をそれぞれ、8.0mm、16.0mm、5.0mmと決定することで選択されたアバットメントである。
アバットメント群には、除外されるべきアバットメントの形態も存在する。嵌合部直径(I)がマージンライン直径(A)以上となる嵌合部からマージンラインへと縮小する形状となりアバットメントとしての用途を満たさないアバットメントまたは、アバットメント高さ(B)が歯肉縁下部高さ(C)以下となる物理的に設計が不可能であるアバットメントは含まない。
具体的には、嵌合部直径(I)が6.0mmの時、マージンライン直径(A)が4.0mmとなるようなアバットメントやアバットメント高さ(B)が6.0mmの時、歯肉縁下部高さ(C)が8.0mmとなるようなアバットメントは、アバットメント群には含まない。
本発明のアバットメント群は具体的には、嵌合部径(I)が3.0mmである時、
マージンライン直径(A)を4.0〜8.0mmの範囲から、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、8.0mmと選択し、
アバットメント高さ(B)を6〜12mmの範囲から、6.0、8.0、10.0、12.0、14.0、16.0mmと選択し、
歯肉縁下高さ(C)を1〜8mmの範囲から、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、8.0mmと選択した場合は、312形態のアバットメント形態を含むアバットメント群となる。
本発明のアバットメント群には、支台部(5)に挿入された補綴装置が回転するのを防止するための、少なくとも一つ以上の回転防止構造を備えているアバットメントを含むことが出来る。回転防止機構としては、支台部(5)に凹凸を設けたり、溝を設けたりすることが可能である。これにより、補綴装置がアバットメントに対して回転するのを抑制または防止し、口腔内で装着した際の補綴装置の向きを一方向に定義することが可能となる。
本発明のアバットメント群は、チタンやコバルトクロムといった生体親和性の高い金属材料や、ジルコニアなどのセラミクス材料、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの樹脂材料をはじめとする公知の歯科材料の一つまたは複数の組合せから作製されたアバットメントを含むアバットメント群である。
本発明の歯科インプラント用アバットメント群は、幅広い患者個々の適応部位の形状に対応できるため臨床応用幅が広く汎用性が高い。従って、本発明は歯科用インプラントの分野に広く利用することが出来る。
アバットメントの構成を説明する図。 アバットメントを選択する際に使用する値を説明する図。 アバットメント形態を補正する際に使用する要素を説明するアバットメントの断面図。 アバットメントの強度保障プログラムの流れを説明する図。 アバットメント群から選択された、マージンライン直径、アバットメント高さ、歯肉縁下部高さの値の組合せが異なるアバットメントの実際の例を示す図。
1 アバットメント
2 嵌合部
3 歯肉縁下部
4 マージンライン
5 支台部
6 シャンファー部
7 アクセスホール
A マージンライン直径
B アバットメント高さ
C 歯肉縁下部高さ
D アクセスホール直径
E 壁厚
F マージンライン-天面移行部幅
G テーパー角度
H シャンファー部幅
I 嵌合部直径

Claims (4)

  1. 任意の人工歯根上に装着される複数形状の歯科インプラント用アバットメント(1)からなるアバットメント群であって、
    前記アバットメント(1)が、長軸に対して軸対称の形状であり、前記人工歯根に装着される部位である嵌合部(2)、前記嵌合部(2)から滑らかに広がる歯肉縁下部(3)、前記歯肉縁下部(3)の他端は、長軸を中心とした円形であるマージンライン(4)、前記マージンライン(4)の上部に繋がり歯科補綴装置が装着される支台部(5)及び、中空円柱形状でアバットメントを人工歯根に装着するための固定具が挿入されるアクセスホール(7)を有し、
    前記マージンライン(4)の直径をマージンライン直径(A)、前記嵌合部(2)から支台部の天面までの高さをアバットメント高さ(B)、前記嵌合部(2)からマージンライン(4)までの高さを歯肉縁下部高さ(C)とすると、
    前記マージンライン直径(A)は、3~10mmの範囲であり、かつ0.25〜2.0mmの間隔で選択でき、
    前記アバットメント高さ(B)は、4~20mmの範囲であり、かつ0.5〜4.0mmの間隔で選択でき、
    前記歯肉縁下部高さ(C)は、0.1~10mmの範囲であり、かつ0.25〜2.0mmの間隔で選択できるアバットメントを含むことを特徴とするアバットメント群。
  2. 請求項1に記載のアバットメント群から、前記マージンライン直径(A)、アバットメント高さ(B)、歯肉縁下部高さ(C)の決定によりアバットメント形状を選択することを特徴とするアバットメント選択方法。
  3. 請求項1に記載のアバットメント群から、前記マージンライン直径(A)、アバットメント高さ(B)、歯肉縁下部高さ(C)の決定により選択されることを特徴するアバットメント。
  4. 請求項1―3のいずれかに記載のアバットメント群であって、
    前記アバットメントが、前記支台部(5)にマージンライン(4)と滑らかな曲線で繋がるシャンファー部(6)があり、前記シャンファー部(6)から支台部(5)の天面に向かい1.0〜5.0度のテーパー角度(G)が付与されており、前記シャンファー部の同心円状に広がる幅であるシャンファー部幅(H)が0.25〜1.0mmの長さを有しており、
    アクセスホール(7)の直径をアクセスホール直径(D)、支台部(5)においてマージンライン(4)から支台部(5)の天面へと移行する部位の幅をマージンライン-天面移行部幅(F)、支台部(5)の天面において最も薄い部位の厚みを壁厚(E)、前記壁厚(E)の強度担保のため保障されるべき壁厚の値を0.3〜1.0mmの値である最少壁厚値(T)とすると、
    以下の式1より壁厚(E)を算出するプログラム(P1)を実行し、
    算出された壁厚(E)が最少壁厚値(T)以上かを判断するプログラム(P2)を実行し、
    前記壁厚(E)が最少壁厚値(T)以上の場合、マージンライン-天面移行部幅(F)の値を変更しないプログラム(P3)を実行し、
    一方、前記壁厚(E)が最少壁厚値(T)未満の場合、前記壁厚(E)が規定値以上となるようにマージンライン天面移行部幅(F)の値を減少させ、その方法としてテーパー角度(G)を最少で0.0度まで減少させる、およびまたはシャンファー部幅(H)を最少で0.1mmまで減少させるプログラム(P4)を実行した、アバットメントを含むことを特徴とするアバットメント群。

    [式1] E=(A−D)/2 ― F

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