JP2017023029A - 照明被覆材及び植物の栽培方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 人工照明灯を用いた植物の栽培方法における植物の光合成効率を改良する。【解決手段】 樹脂フィルムを丸めた端部同士を接着、あるいは二枚の樹脂フィルムの端部同士を接着して形成した筒状の部材からなり、その筒状内部を直管型照明灯の収容空間とする照明被覆材であって、前記樹脂フィルムの一部又は全部が、波長400〜600nmの光を吸収して波長600〜700nmの蛍光を発光する蛍光染料を含有する波長変換フィルムからなることを特徴とする照明被覆材。【選択図】 図2
Description
本発明は、照明被覆材及びそれを用いた植物の栽培方法、特に光源として人工照明灯を用いた植物の栽培方法における該植物の光合成効率の改良に関する。
野菜や果物、草花等の植物の育成には、一般に光合成反応が不可欠である。従来、植物の育成を促進する目的で、蛍光染料を配合した波長変換フィルムあるいはネットを用いて植物を覆い、光合成に効果的な波長へと変換された太陽光を植物へと照射することによって光合成反応を促進し、植物の成長速度を速めたり、収量を増加させる露地栽培法が行なわれている(例えば、特許文献1〜3参照)。すなわち、光合成反応に寄与するクロロフィルの光の吸収波長域は、青色波長域(約450nm付近)と赤色波長域(約660nm付近)にあり、これら2つの波長域の光が光合成反応に影響していることから、波長変換フィルム又はネットを用いて、これら波長域の光を増大した太陽光を植物に照射することによって、光合成反応が促進される。また、特に赤色波長域(約660nm付近)の光が、植物の発芽や成長促進に大きく寄与していると言われている。
他方、気温や天候等に左右されずに野菜等の植物を安定に生産するため、近年、室内において蛍光灯やLED灯等の人工照明を光源として用いる植物の栽培方法が行なわれている。しかし、これら人工照明は、通常、複数の蛍光を混色して白色光を作り出しているため、太陽光とは異なりスペクトルが一様でない。特に、蛍光灯や白色LED灯の光スペクトルは、光合成反応に寄与しない緑色波長域(約520nm付近)にピークを有している一方で、赤色波長域(約660nm付近)の光は少なく、これらの人工照明を光源として用いて植物を栽培しても、照射光量に対する光合成効率が悪いという問題があった。
これに対し、蛍光灯やLED灯の人工照明を用いた屋内栽培法においても、栽培植物の上面を波長変換フィルムで覆うことによって波長変換された光を植物に与え、栽培効率を向上させる方法も提案されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、このような栽培方法でも、波長変換フィルムによる赤色波長域(約660nm付近)の光量の増加はわずかにとどまり、光合成効率を十分に改善することはできていなかった。あるいは、赤色LEDや赤色レーザー光といった単色光源を用いて、特定の波長域の光を選択的に植物に照射して光合成効率を高めることも提案されている(例えば、特許文献5参照)ものの、これらは一般に照明として利用されているものではないため、照明設備等も含めて特別に準備する必要があり、導入コストがかかる。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、その解決すべき課題は、人工照明灯を用いた植物の栽培方法における植物の光合成効率を改良することにある。
本発明者らが、前記従来技術の課題に鑑みて鋭意検討を行なった結果、波長400〜600nmの光を吸収して波長600〜700nmの蛍光を発光する蛍光染料を有する波長変換フィルムを用いて作成した筒状部材を人工照明灯の被覆材として用いることによって、人工照明灯の照射光スペクトル中の赤色波長領域の光量を十分に増加させることができ、例えば、同波長変換フィルムにより植物を覆った状態で外側から人工照明灯による光を照射した場合と比較しても、赤色波長領域の光の多い照射光を植物に与えることができ、これによって植物の光合成効率を大きく改良できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる照明被覆材は、樹脂フィルムを丸めた端部同士を接着、あるいは二枚の樹脂フィルムの端部同士を接着して形成した筒状の部材からなり、その筒状内部を直管型照明灯の収容空間とする照明被覆材であって、前記樹脂フィルムの一部又は全部が、波長400〜600nmの光を吸収して波長600〜700nmの蛍光を発光する蛍光染料を含有する波長変換フィルムからなることを特徴とするものである。
また、前記照明被覆材において、前記波長変換フィルム中の蛍光染料を含む蛍光層の厚さL(μm)と同蛍光層中の蛍光染料濃度C(ppm)との積LCが60,000〜180,000(μm・ppm)であることが好適である。
また、前記照明被覆材において、前記波長変換フィルムが、少なくとも熱可塑性樹脂中に蛍光染料を含む蛍光層と、その内側に熱溶着可能な熱可塑性樹脂を主体とする熱接着層とを含む多層体からなることが好適である。
また、前記照明被覆材において、前記樹脂フィルムの一部が、少なくとも光反射材料を含む反射層と、その内側に熱溶着可能な熱可塑性樹脂を主体とする熱接着層とを含む多層体からなる反射フィルムであることが好適である。
また、本発明にかかる植物の栽培方法は、直管型照明灯からの照射光を植物に照射して該植物を栽培する方法であって、樹脂フィルムを丸めた端部同士を接着、あるいは二枚の樹脂フィルムの端部同士を接着して形成された筒状の部材からなり、前記樹脂フィルムの一部又は全部が、波長400〜600nmの光を吸収して波長600〜700nmの蛍光を発光する蛍光染料を含有する波長変換フィルムからなる照明被覆材の筒状内部へと、前記直管型照明灯を収容し、前記照明被覆材を介して前記直管型照明灯からの照射光を植物へと照射することを特徴とするものである。
また、前記植物の栽培方法において、前記直管型照明灯から照射される光の波長400〜700nm間の光量子束密度をA(μmol・m−2・s−1)、同直管型照明灯に前記照明被覆材を被覆した際の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度をB(μmol・m−2・s−1)としたときの、光量子束密度比B/Aが0.8以上であることが好適である。
また、前記植物の栽培方法において、前記直管型照明灯から照射される光の波長600〜700nm間の光量子束密度をX(μmol・m−2・s−1)、同直管型照明灯に前記照明被覆材を被覆した際の透過光の波長600〜700nm間の光量子束密度をY(μmol・m−2・s−1)としたときのY−Xの差分を赤色波長変換光量Z(μmol・m−2・s−1)とし、同直管型照明灯に前記照明被覆材を被覆した際の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度を全透過光量B(μmol・m−2・s−1)としたときの、赤色波長変換光量Zと全透過光量Bとの比であるZ/Bが0.2以上であることが好適である。
また、前記植物の栽培方法において、前記赤色波長変換光量Zと全透過光量Bとの比Z/Bを、前記波長変換フィルム中の蛍光染料を含む蛍光層の厚さL(μm)と同蛍光層中の蛍光染料濃度C(ppm)との積LC(μm・ppm)で除した数値Z/BLCが、1.8×10−6(μm−1・ppm−1)以上であることが好適である。
本発明によれば、波長400〜600nmの光を吸収して波長600〜700nmの蛍光を発光する蛍光染料を有する波長変換フィルムを用いて作成した筒状部材を人工照明灯の被覆材として用いることによって、人工照明灯の照射光スペクトル中の赤色波長領域の光量を十分に増加させることができ、植物の光合成効率を大きく改良することができる。
以下、図面を参照して、本発明の構成について詳しく説明する。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態にかかる照明被覆材10の(直管型照明20を収容した状態の)斜視図を図1に、断面図を図2に示す。
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態にかかる照明被覆材10の(直管型照明20を収容した状態の)斜視図を図1に、断面図を図2に示す。
照明被覆材10は、長方形の波長変換フィルム12を丸め、その端部を熱溶着して形成した筒状の部材である。波長変換フィルム12は、熱接着層12a,蛍光層12b,保護層12cからなる三層の積層フィルムである。この照明被覆材10の使用時には、その筒状内部空間に直管型照明20が収容される。
熱接着層12a,蛍光層12b,保護層12cは、いずれも熱可塑性樹脂を主体とし、必要に応じて各種添加剤を含む層である。熱可塑性樹脂としては、特に限定されるものではないが、結晶性であれば、通常、融点が50〜300℃の樹脂であり、また非晶性であれば、通常、ガラス転移温度が−100℃〜150℃の樹脂である。これらの熱可塑性樹脂として、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、メタロセン直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン‐プロピレンランダム共重合体、エチレン‐プロピレンブロック共重合体、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン‐酢酸ビニル共重合体、エチレン‐メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー、エチレン‐エチルアクリレート共重合体、エチレン‐メチルアクリレート共重合体、エチレン‐環状オレフィン共重合体、環状ポリオレフィン、酸変性ポリエチレン、酸変性ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂やポリビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂が挙げられる。
熱接着層12aは端部を熱溶着するため、融点あるいはガラス転移温度が比較的低くて熱溶着性が良く、且つ熱溶着後の接着性が良好な熱可塑性樹脂を用いることが望ましい。また、直管型照明20から放出される紫外光が蛍光染料を含む蛍光層に直接照射されるのを防止し、長期的に波長変換効果を維持するため、紫外線吸収剤あるいは紫外線散乱剤が含まれていることが望ましい。紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、マロン酸エステル系等が挙げられ、また、紫外線散乱剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セレン等が挙げられる。これらは使用する熱可塑性樹脂の種類に応じ、相性のよいものを適宜選択することができる。紫外線吸収剤・散乱剤の含有量は、熱接着層12aに対して、通常、1000〜10000ppmである。また、紫外線吸収剤・散乱剤は、熱接着層12aだけではなく、蛍光層12bあるいは保護層12cに添加されていても構わない。
蛍光層12bには、波長400〜600nmの光を吸収して波長600〜700nmの蛍光を発光する蛍光染料が含まれる。すなわち、青色〜緑色波長域(400〜600nm)の光を吸収して、赤色波長域(600〜700nm)の蛍光を発光する蛍光染料である。このような蛍光染料としては、例えば、ペリレン系蛍光染料等が挙げられ、市販品としては、例えば,Lumogen F Red 305(BASF社製)等が挙げられる。また、光合成反応にほとんど寄与しない緑色波長域(500〜600nm)の光を吸収する蛍光染料が、より望ましい。蛍光染料の添加量は、波長変換フィルム12の蛍光層12bの厚さによっても異なるが、通常、蛍光層12bに対して、1000〜3000ppm、より好ましくは1500〜2500ppmである。蛍光染料の添加量が少ないと波長変換効果が十分に得られず、添加量が多すぎるとフィルム全体の透過率が低くなり、透過光の光量が十分でなくなる場合がある。
保護層12cは特に設けられてなくてもよいが、これを設けることによって、蛍光染料を含む蛍光層12bが保護されるため、波長変換効果の維持につながる。また、熱接着層12aよりも耐熱性の高い熱可塑性樹脂を用いることによって、端部を熱溶着して筒状に形成する際の作業性が向上する。
その他、熱接着層12a,蛍光層12b,保護層12cの各層には、必要に応じて、光安定剤、酸化防止剤等を添加してもよい。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系、酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系等が挙げられる。
また、熱接着層12a,蛍光層12b,保護層12cの各層は、キャスト成形、インフレーション成形等の共押出成形法、あるいは順次押出ラミネート法によって積層してもよく、個別に用意した各層のフィルムを接着剤を介して挟んで積層してもよい。
波長変換フィルム12の厚さは、各層の合計で50〜300μmであることが望ましい。50μm以下であると十分な強度が得られず、照明装着時に切れたり破れたりすることがある。また、300μmを超えると、フィルムのコシが強くなり過ぎて取扱い難くなるほか、コストアップにもつながる。各層の厚さの比率は、特に限定されるものではないが、通常、熱接着層:蛍光層:保護層=1〜3:1〜3:1程度である。
また、波長変換フィルム12の蛍光層12bの厚さL(μm)と蛍光層12b中の蛍光染料濃度C(ppm)との積LCが60,000〜180,000(μm・ppm)であることが望ましく、さらに90,000〜150,000(μm・ppm)であることが望ましい。照射光が波長変換フィルム中を透過する領域に存在する蛍光染料量は、蛍光層12b中の蛍光染料濃度とその厚さに依存するので、この値により実質的に有効な蛍光染料量を制御することができる。厚さLと蛍光染料濃度Cとの積LCが60,000(μm・ppm)未満であると、赤色領域への波長変換が十分でなく、180,000(μm・ppm)を超えるとフィルム全体の透過率が低くなり過ぎて、透過光の光量が十分でなくなる場合がある。
本発明にかかる照明被覆材10の筒状内部空間に直管型照明20を収容し、直管型照明20を点灯すると、直管型照明20から発せられた光は照明被覆材10を介して外部へと照射される。このとき、直管型照明20から発せられた光は、照明被覆材10の波長変換フィルム12によってその波長が変換される。すなわち、波長変換フィルム12には、波長400〜600nmの光を吸収して波長600〜700nmの蛍光を発光する蛍光染料が含まれており、直管型照明20からの光スペクトルに含まれる青色〜緑色波長域(波長400〜600nm)の光は波長変換フィルム12に吸収されて減衰するとともに、同波長変換フィルム12から赤色波長域(波長600〜700nm)の蛍光が放出されるため、この赤色波長域の光は増大することになる。そして、赤色波長域(波長600〜700nm)の光は、植物の光合成反応に大きく寄与しているため、本発明の照明被覆材10により赤色波長域が増大するように変換された光を植物に照射すると、植物の光合成反応が促進される。
なお、例えば、植物の上部空間を波長変換フィルム12で覆い、さらにその上から直管型照明20によって光を照射することによって、以上と同様に、赤色波長域(波長600〜700nm)の光が増強された変換光を植物に与えることができるものの、このような場合、波長変換後の赤色波長域の光量が十分に得られない。すなわち、本発明においては、波長変換フィルム12を用いて直管型照明20の周囲を被覆した状態とすることで、直管型照明20からの光をより効率よく波長変換することができ、これによって赤色波長域の光量が十分に増大された光を植物に照射することが可能となる。
直管型照明は、その発光方式によらず、各種公知の照明を用いることができるが、特に蛍光灯あるいはLED灯を好適に使用することができる。これらは、いずれも汎用性が高く入手が容易であり、コスト面でも有利である。また、白色蛍光灯や白色LED灯の光スペクトルは、緑色波長域(約520nm付近)の光が比較的多いのに対して、赤色波長域(約660nm付近)の光が比較的少ない。このため、白色蛍光灯や白色LED灯を光源とする場合に、特に本発明の照明被覆材を用いることによる利点が大きい。また、本発明の照明被覆材は、汎用の直管型照明に被せて用いるだけでよく、照明器具等についても汎用の製品をそのまま使用することができるため、植物栽培のために照明灯や照明器具等の規格、点灯システム等を変更する必要がほとんどない。
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態にかかる照明被覆材50の(直管型照明60を収容した状態の)斜視図を図3に、断面図を図4に示す。
照明被覆材50は、長方形の波長変換フィルム52の端部と、これと同形の反射フィルム54の端部同士とを貼り合わせて形成した筒状の部材である。波長変換フィルム52は、前記第一実施形態の波長変換フィルム12と、その構成、機能ともに同様である。
本発明の第二実施形態にかかる照明被覆材50の(直管型照明60を収容した状態の)斜視図を図3に、断面図を図4に示す。
照明被覆材50は、長方形の波長変換フィルム52の端部と、これと同形の反射フィルム54の端部同士とを貼り合わせて形成した筒状の部材である。波長変換フィルム52は、前記第一実施形態の波長変換フィルム12と、その構成、機能ともに同様である。
反射フィルム54は、熱接着層54aと、反射層54bと、保護層54cからなる三層の積層フィルムである。反射フィルム54において、熱接着層54a及び保護層54cは、いずれも熱可塑性樹脂を主体とする層であり、前記第一実施形態の波長変換フィルム12の熱接着層12a及び保護層12cと同様である。
反射層54bには、入射光を正反射する反射材料が含まれており、このような反射材料としては、例えば、アルミニウム等の金属薄膜や白色塗料が挙げられる。なお、熱接着層54aと反射層54bとして、予めアルミニウムが蒸着された熱可塑性樹脂膜を用いてもよい。この場合、熱可塑性樹脂が熱接着層54a、アルミニウム蒸着膜が反射層54bとなる。また、例えば、熱可塑性樹脂のフィルムからなる熱接着層54aの表面上に白色塗料を塗布・乾燥し、反射層54bを形成することもできる。
直管型照明60を収容した照明被覆材50は、通常、反射フィルム54を上方、波長変換フィルム52を下方とした状態で、下方に置かれた植物へ向けて光を照射する。あるいは、側方から植物へと光を照射する場合には、波長変換フィルム52を植物側、反射フィルム54を植物とは反対側に置けばよい。これによって、直管型照明60から植物方向へ向けて照射された光は、波長変化フィルム52を透過し、波長が変換された光が植物へと照射される。他方、直管型照明60から植物とは反対方向へと向かった光は、反射フィルム54に当たって光の向きが変えられ、結果として、波長変換フィルムを透過して植物へと照射される。このため、一方の面に反射フィルム54を設けた第二実施形態の照明被覆材50では、直管型照明60から発せられた光が効率よく植物に照射される、より少ない光量で効果的に植物の光合成を促進することができると考えられるので、消費電力の削減が期待できる。
<植物の栽培方法>
本発明の植物の栽培方法では、以上に説明した照明被覆材の内部へと直管型照明を収容した状態で、同照明被覆材を介して照射光を植物へと照射する。これによって、赤色波長域の光量が十分に増大された光を植物に照射することができるので、該植物の光合成反応が促進され、植物の成長速度を速めたり、収量を増加させることが可能となる。
本発明の植物の栽培方法では、以上に説明した照明被覆材の内部へと直管型照明を収容した状態で、同照明被覆材を介して照射光を植物へと照射する。これによって、赤色波長域の光量が十分に増大された光を植物に照射することができるので、該植物の光合成反応が促進され、植物の成長速度を速めたり、収量を増加させることが可能となる。
植物の栽培条件は、特に制限されるものではないが、通常、太陽光の入らない屋内で行われる。光の照射時間は、植物の種類や季節等に応じて適宜設定すればよく、例えば、通常の日照時間に合わせて調整してもよい。栽培方式としても、特に制限されず、例えば、ポット等の容器を用いた土耕栽培、あるいは水耕栽培であってもよい。
本発明の栽培方法の対象となる植物としては、例えば、葉菜類、果菜類等が挙げられる。植物の用途も、観葉用、食用などのいずれであってもよい。葉菜類としては、例えば、コマツナ、ホウレンソウ、キャベツ、レタス、ルッコラ、ミズナ、バジル等、果菜類としては、例えば、トマト、ピーマン、イチゴ等が挙げられる。また、これらの植物のうち、葉を食用とする葉菜類、例えば、コマツナ、ホウレンソウ、キャベツ、レタス等においては、光合成反応の促進による効果が顕著に得られる。
また、本発明の植物の栽培方法においては、直管型照明灯から照射される光の波長400〜700nm間の光量子束密度をA(μmol・m−2・s−1)、同直管型照明灯に照明被覆材を被覆した際の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度をB(μmol・m−2・s−1)としたときの、光量子束密度比B/Aが0.8以上であることが望ましい。ここで、光量子束密度は、市販の光量子あるいは照射計、例えば、MS−720(英弘精機社製)を用いて測定することができる。
光量子束密度比B/Aは、照明被覆材における可視光域の光の透過割合であり、1に近ければ近いほど光の損失が少ない。したがって、光量子束密度比B/Aが0.8未満であると、植物の光合成反応の促進効果が十分に得られない場合がある。通常、照明被覆材中の蛍光染料濃度や厚さに依存して、波長変換後の赤色波長域の光量が増加するものの、蛍光染料の添加量を増やし過ぎたり、照明被覆材を厚くしすぎると、光透過率が低下して、上記光量子束密度比B/Aが0.8未満となることがある。
また、本発明の植物の栽培方法においては、直管型照明灯から照射される光の波長600〜700nm間の光量子束密度をX(μmol・m−2・s−1)、同直管型照明灯に照明被覆材を被覆した際の透過光の波長600〜700nm間の光量子束密度をY(μmol・m−2・s−1)としたときのY−Xの差分を赤色波長変換光量Z(μmol・m−2・s−1)とし、同直管型照明灯に照明被覆材を被覆した際の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度を全透過光量B(μmol・m−2・s−1)としたときの、赤色波長変換光量Zと全透過光量Bとの比であるZ/Bが0.2以上であることが望ましい。
Z/Bは、照明被覆材によって赤色波長域の光へと変換された光の量Zの全透過光量Bに対する割合である。すなわち、全透過光量のうち、どれだけの量の光が照明被覆材によって赤色波長域の光へと変換されたかを示す量である。Z/Bが0.2未満であると、赤色波長域へと変換された光の割合が少ないため、光合成反応の促進効果を十分に得ることができない場合がある。
また、本発明の植物の栽培方法においては、前記赤色波長変換光量Zと全透過光量Bとの比Z/Bを、波長変換フィルム中の蛍光層の厚さL(μm)と同蛍光層中の蛍光染料濃度C(ppm)との積LC(μm・ppm)で除した数値Z/BLCが、1.8×10−6(μm−1・ppm−1)以上であることが望ましい。
Z/Bは、全透過光量に対する赤色波長域へ変換された光量の割合を示すものの、この数値は、波長変換フィルムに含まれる蛍光染料量に応じて変化する。そこで、Z/Bを波長変換フィルム中の蛍光層の厚さL(μm)と蛍光染料濃度C(ppm)とで割った値、Z/BLC(μm−1・ppm−1)とすることで、蛍光染料量に関係なく、赤色波長域への光の変換効率を評価することができる。そして、このZ/BLCについては、本発明の照明被覆材を用いることによって初めて1.8×10−6(μm−1・ppm−1)以上を達成することができる。すなわち、本発明のように波長変換フィルムによって照明を被覆するのではなく、例えば、同様の波長変換フィルムで植物を覆った上から照明による光を照射しても、波長変換フィルムによる赤色波長域への変換効率が十分でないため、Z/BLCを1.8×10−6(μm−1・ppm−1)以上とすることはできない。
以下、実施例により本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[波長変換フィルムの作製]
熱接着層としてエチレン−酢酸ビニルコポリマー(エバフレックス V96118:三井・デュポンポリケミカル社製;融点100℃)、蛍光層としてペリレン系蛍光染料(Lumogen F Red 305:BASF社製)を添加したエチレン−酢酸ビニルコポリマー(エバフレックス P1403C:三井・デュポンポリケミカル社製;融点92℃)、保護層としてメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューSP2320:プライムポリマー社製;融点118℃)を用い、共押出インフレーション成形法にて三層の積層フィルムを得た。各層の厚さは、熱接着層20μm、蛍光層60μm、保護層20μmの合計100μmとした。また、蛍光染料の添加量は、蛍光層に対して1000ppm,2000ppm,3000ppmとなるようにそれぞれ調整し、蛍光染料添加量の異なる三種の積層フィルムを得た。
熱接着層としてエチレン−酢酸ビニルコポリマー(エバフレックス V96118:三井・デュポンポリケミカル社製;融点100℃)、蛍光層としてペリレン系蛍光染料(Lumogen F Red 305:BASF社製)を添加したエチレン−酢酸ビニルコポリマー(エバフレックス P1403C:三井・デュポンポリケミカル社製;融点92℃)、保護層としてメタロセン直鎖状低密度ポリエチレン(エボリューSP2320:プライムポリマー社製;融点118℃)を用い、共押出インフレーション成形法にて三層の積層フィルムを得た。各層の厚さは、熱接着層20μm、蛍光層60μm、保護層20μmの合計100μmとした。また、蛍光染料の添加量は、蛍光層に対して1000ppm,2000ppm,3000ppmとなるようにそれぞれ調整し、蛍光染料添加量の異なる三種の積層フィルムを得た。
<実施例1A>
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを60×7cmの長方形に2枚切り取り、熱接着層同士を重ね合わせて長辺の両端部を110℃でヒートシールし、筒状フィルムとした。この筒状フィルムの内部に直管型蛍光灯(メロウルックFA20SS−EXD:東芝社製;20型 18W)を収容し、笠無(トラフ型)の照明器具(FA21021Z−RPN:パナソニック社製;グロー式)に取り付けた。蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置き、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを60×7cmの長方形に2枚切り取り、熱接着層同士を重ね合わせて長辺の両端部を110℃でヒートシールし、筒状フィルムとした。この筒状フィルムの内部に直管型蛍光灯(メロウルックFA20SS−EXD:東芝社製;20型 18W)を収容し、笠無(トラフ型)の照明器具(FA21021Z−RPN:パナソニック社製;グロー式)に取り付けた。蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置き、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<実施例1B>
蛍光染料添加量1000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、実施例1Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
蛍光染料添加量1000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、実施例1Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<実施例1C>
蛍光染料添加量3000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、実施例1Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
蛍光染料添加量3000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、実施例1Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<比較例1A>
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを60×60cmの長方形に切り取った。笠無(トラフ型)の照明器具(FA21021Z−RPN:パナソニック社製;グロー式)に直管型蛍光灯(メロウルックFA20SS−EXD:東芝社製;20型 18W)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置いた。さらに分光放射計の上部7cmの位置に上記波長変換フィルムを広げて当該分校放射計を覆い、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを60×60cmの長方形に切り取った。笠無(トラフ型)の照明器具(FA21021Z−RPN:パナソニック社製;グロー式)に直管型蛍光灯(メロウルックFA20SS−EXD:東芝社製;20型 18W)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置いた。さらに分光放射計の上部7cmの位置に上記波長変換フィルムを広げて当該分校放射計を覆い、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<比較例2A>
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを60×20cmの長方形に切り取った。笠無(トラフ型)の照明器具(FA21021Z−RPN:パナソニック社製;グロー式)に直管型蛍光灯(メロウルックFA20SS−EXD:東芝社製;20型 18W)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置いた。さらに蛍光灯の下端位置で上記波長変換フィルムを水平方向に広げ、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを60×20cmの長方形に切り取った。笠無(トラフ型)の照明器具(FA21021Z−RPN:パナソニック社製;グロー式)に直管型蛍光灯(メロウルックFA20SS−EXD:東芝社製;20型 18W)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置いた。さらに蛍光灯の下端位置で上記波長変換フィルムを水平方向に広げ、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<比較例2B>
蛍光染料添加量1000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、比較例2Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
蛍光染料添加量1000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、比較例2Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<比較例2C>
蛍光染料添加量3000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、比較例2Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
蛍光染料添加量3000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、比較例2Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<光源のみ>
波長変換フィルムを用いず、笠無(トラフ型)の照明器具(FA21021Z−RPN:パナソニック社製;グロー式)に直管型蛍光灯(メロウルックFA20SS−EXD:東芝社製;20型 18W)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置き、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
波長変換フィルムを用いず、笠無(トラフ型)の照明器具(FA21021Z−RPN:パナソニック社製;グロー式)に直管型蛍光灯(メロウルックFA20SS−EXD:東芝社製;20型 18W)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置き、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
図5に、上記各実施例及び比較例の測定条件を図示したものを示す。
図6に、上記実施例1A,比較例1A及び2Aの波長400〜700nm間の分光光量子束密度スペクトルを示す。また、下記表1に、各実施例及び比較例の分光光量子束密度スペクトルから、青色波長域(400〜500nm)、緑色波長域(500〜600nm)、赤色波長域(600〜700nm)の各波長域の光量子束密度を算出したものを示す。
上記表1及び図6より、各実施例及び比較例の試験では、いずれも光源のみの場合と比較して青色波長域及び緑色波長域(400〜600nm)の光量子束密度が減少している一方、赤色波長域(600〜700nm)の光量子束密度が増大しており、波長変換フィルムによる光の波長変換効果が認められた。また、同量の蛍光染料濃度で比較すると、実施例1A〜1Cのように波長変換フィルムによって蛍光灯を被覆することで、より赤色波長域の光量が多く得られていることがわかった。
図7に、各実施例及び比較例の分光光量子束密度スペクトルから、光源のみの場合のスペクトルを差し引いた差分スペクトルを示す。
また、各実施例及び比較例における上記測定結果をもとに、以下に示すそれぞれの数値を求めた。結果をまとめたものを下記表2に示す。
また、各実施例及び比較例における上記測定結果をもとに、以下に示すそれぞれの数値を求めた。結果をまとめたものを下記表2に示す。
(1)LC
波長変換フィルムの蛍光層の厚さL(μm)と同蛍光層中の蛍光染料濃度C(ppm)との積LC(μm・ppm)を算出した。
(2)B/A
光源のみの波長400〜700nm間の光量子束密度をA(μmol・m−2・s−1)、波長変換フィルムを用いた各実施例及び試験例の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度をB(μmol・m−2・s−1)とし、光量子束密度比B/Aを求めた。
波長変換フィルムの蛍光層の厚さL(μm)と同蛍光層中の蛍光染料濃度C(ppm)との積LC(μm・ppm)を算出した。
(2)B/A
光源のみの波長400〜700nm間の光量子束密度をA(μmol・m−2・s−1)、波長変換フィルムを用いた各実施例及び試験例の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度をB(μmol・m−2・s−1)とし、光量子束密度比B/Aを求めた。
(3)Z/B
光源のみの波長600〜700nm間の光量子束密度をX(μmol・m−2・s−1)、波長変換フィルムを用いた各実施例及び試験例の透過光の波長600〜700nm間の光量子束密度をY(μmol・m−2・s−1)としたときのY−Xの差分を赤色波長変換光量Z(μmol・m−2・s−1)とし、波長変換フィルムを用いた各実施例及び試験例の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度を全透過光量B(μmol・m−2・s−1)とし、赤色波長変換光量Zと全透過光量Bとの比であるZ/Bを求めた。
(4)Z/BLC
(3)で求めたZ/Bを、(1)で求めたLCで除して、Z/BLCを求めた。
光源のみの波長600〜700nm間の光量子束密度をX(μmol・m−2・s−1)、波長変換フィルムを用いた各実施例及び試験例の透過光の波長600〜700nm間の光量子束密度をY(μmol・m−2・s−1)としたときのY−Xの差分を赤色波長変換光量Z(μmol・m−2・s−1)とし、波長変換フィルムを用いた各実施例及び試験例の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度を全透過光量B(μmol・m−2・s−1)とし、赤色波長変換光量Zと全透過光量Bとの比であるZ/Bを求めた。
(4)Z/BLC
(3)で求めたZ/Bを、(1)で求めたLCで除して、Z/BLCを求めた。
上記表2に示すように、光経路に存在する蛍光染料の量LCが増えると、光透過率に相当するB/Aは減少するものの、実施例1A〜1Cの範囲では0.8以上を維持していた。他方、全透過光量に対する赤色波長変換光量の割合を示すZ/Bは、蛍光染料量LCに応じて増えているものの、蛍光染料量LCが同一の場合、実施例1A〜1Cは比較例1A〜2Cよりも大きな値を示した。また、このZ/BをLCで除したZ/BLCの数値として比較すると、実施例1A〜1C(1.96×106以上)と比較例1A〜2C(1.29×106以下)の差はより顕著となった。すなわち、実施例1A〜1Cのように、蛍光灯を波長変換フィルムによって被覆することによって、単に波長変換フィルムを広げて光を透過させた比較例1A〜2Cの場合と比べて、蛍光染料による赤色波長への変換効果がより効率的に発揮されていると言える。
つづいて、反射笠が設けられた照明器具を用い、以上と同様にして、波長変換フィルムを用いた透過光スペクトルの測定を行なった。
<実施例2A>
蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを120×7cmの長方形に2枚切り取り、熱接着層同士を重ね合わせて長辺の両端部110℃でヒートシールし、筒状フィルムとした。この筒状フィルムの内部に直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を収容し、反射笠が設けられた照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)に取り付けた。なお、照明器具が二灯式であるため、二本の蛍光灯を取り付けて一方を黒紙で塞いだ。蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置き、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<実施例2A>
蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを120×7cmの長方形に2枚切り取り、熱接着層同士を重ね合わせて長辺の両端部110℃でヒートシールし、筒状フィルムとした。この筒状フィルムの内部に直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を収容し、反射笠が設けられた照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)に取り付けた。なお、照明器具が二灯式であるため、二本の蛍光灯を取り付けて一方を黒紙で塞いだ。蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置き、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<実施例2B>
蛍光染料添加量1000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、実施例1Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
蛍光染料添加量1000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、実施例1Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<実施例2C>
蛍光染料添加量3000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、実施例1Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
蛍光染料添加量3000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、実施例1Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<比較例3A>
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを120×60cmの長方形に切り取った。反射笠が設けられた照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)に直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置いた。さらに分光放射計の上部7cmの位置に上記波長変換フィルムを広げて当該分校放射計を覆い、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを120×60cmの長方形に切り取った。反射笠が設けられた照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)に直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置いた。さらに分光放射計の上部7cmの位置に上記波長変換フィルムを広げて当該分校放射計を覆い、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<比較例4A>
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを120×20cmの長方形に切り取った。反射笠が設けられた照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)に直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置いた。さらに蛍光灯の下端位置で上記波長変換フィルムを水平方向に広げ、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
以上で製造した蛍光染料添加量2000ppmの波長変換フィルムを120×20cmの長方形に切り取った。反射笠が設けられた照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)に直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置いた。さらに蛍光灯の下端位置で上記波長変換フィルムを水平方向に広げ、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<比較例4B>
蛍光染料添加量1000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、比較例2Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
蛍光染料添加量1000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、比較例2Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<比較例4C>
蛍光染料添加量3000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、比較例2Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
蛍光染料添加量3000ppmの波長変換フィルムを用いたほかは、比較例2Aと同様にして、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
<光源のみ>
波長変換フィルムを用いず、反射笠が設けられた照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)に直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置き、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
波長変換フィルムを用いず、反射笠が設けられた照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)に直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を取り付け、蛍光灯の下端から15cmの位置に距離に分光放射計(MS−720:英弘精機社製)を置き、蛍光灯を点灯して、波長400〜700nm間の光量子束密度を測定した。
図8に、上記各実施例及び比較例の測定条件を図示したものを示す。
図9に、上記実施例2A,比較例3A及び4Aの波長400〜700nm間の分光光量子束密度スペクトルを、図10に、各実施例及び比較例の分光光量子束密度スペクトルから、光源のみの場合のスペクトルを差し引いた差分スペクトルを示す。
また、下記表3に、各実施例及び比較例の青色波長域(400〜500nm)、緑色波長域(500〜600nm)、赤色波長域(600〜700nm)の各波長域の光量子束密度を、下記表4に、上記各結果から算出した(1)LC,(2)B/A,(3)Z/B,(4)Z/BLCの各数値をまとめたものを示す。
また、下記表3に、各実施例及び比較例の青色波長域(400〜500nm)、緑色波長域(500〜600nm)、赤色波長域(600〜700nm)の各波長域の光量子束密度を、下記表4に、上記各結果から算出した(1)LC,(2)B/A,(3)Z/B,(4)Z/BLCの各数値をまとめたものを示す。
上記表3に示すように、反射笠のある照明器具を用いた実施例2A〜2Cにおいても、先の実施例と同様、青色波長域及び緑色波長域(400〜600nm)の光量子束密度が減少し、赤色波長域(600〜700nm)の光量子束密度が増加していた。また、上記表4に示すように、実施例2A〜2Cの光透過率に相当するB/Aは、いずれも0.8以上であった。さらに、Z/BLCは、実施例2A〜2Cが2.88×106以上であるのに対して、比較例1A〜2Cでは最大で1.55×106であり、波長変換フィルムによる赤色波長への変換効果の差がより顕著となった。
<実施例3>
液体肥料循環式栽培装置に、葉長が4cmのグリーンウェーブ(レタス類)の苗18株を一定間隔で定植した。直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を実施例2の照明被覆材で覆い、照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)へと取り付け、蛍光灯の下端から26cmの位置に栽培トレイを置き、点灯18時間、消灯6時間を繰り返した。定植から14日経過後、収穫して総重量を測定し、1株当たりの平均重量を算出した。
液体肥料循環式栽培装置に、葉長が4cmのグリーンウェーブ(レタス類)の苗18株を一定間隔で定植した。直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を実施例2の照明被覆材で覆い、照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)へと取り付け、蛍光灯の下端から26cmの位置に栽培トレイを置き、点灯18時間、消灯6時間を繰り返した。定植から14日経過後、収穫して総重量を測定し、1株当たりの平均重量を算出した。
<比較例5>
液体肥料循環式栽培装置に、葉長が4cmのグリーンウェーブ(レタス類)の苗18株を一定間隔で定植した。直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)へと取り付け、蛍光灯の下端から26cmの位置に栽培トレイを置き、点灯18時間、消灯6時間を繰り返した。定植から14日経過後、収穫して総重量を測定し、1株当たりの平均重量を算出した。
液体肥料循環式栽培装置に、葉長が4cmのグリーンウェーブ(レタス類)の苗18株を一定間隔で定植した。直管型蛍光灯(FHF32EX−N―H:パナソニック社製;32型 32W,Hf蛍光灯)を照明器具(FSA42500APN−RWA:パナソニック社製;Hf用)へと取り付け、蛍光灯の下端から26cmの位置に栽培トレイを置き、点灯18時間、消灯6時間を繰り返した。定植から14日経過後、収穫して総重量を測定し、1株当たりの平均重量を算出した。
上記実施例及び比較例のグリーンウェーブの1株当たりの平均重量測定結果を下記表5に示す。
上記表5に示すように、本発明の照明被覆材により被覆した蛍光灯を用いることによって、照明被覆材なし(蛍光灯のみ)の場合と比べて、葉菜類の収穫量を増量することができた。
10 照明被覆材
12 波長変換フィルム
20 直管型照明
50 照明被覆材
52 波長変換フィルム
54 反射フィルム
60 直管型照明
12 波長変換フィルム
20 直管型照明
50 照明被覆材
52 波長変換フィルム
54 反射フィルム
60 直管型照明
Claims (8)
- 樹脂フィルムを丸めた端部同士を接着、あるいは二枚の樹脂フィルムの端部同士を接着して形成した筒状の部材からなり、その筒状内部を直管型照明灯の収容空間とする照明被覆材であって、
前記樹脂フィルムの一部又は全部が、波長400〜600nmの光を吸収して波長600〜700nmの蛍光を発光する蛍光染料を含有する波長変換フィルムからなる
ことを特徴とする照明被覆材。 - 前記波長変換フィルム中の蛍光染料を含む蛍光層の厚さL(μm)と同蛍光層中の蛍光染料濃度C(ppm)との積LCが60,000〜180,000(μm・ppm)であることを特徴とする請求項1記載の照明被覆材。
- 前記波長変換フィルムが、少なくとも熱可塑性樹脂中に蛍光染料を含む蛍光層と、その内側に熱溶着可能な熱可塑性樹脂を主体とする熱接着層とを含む多層体からなることを特徴とする照明被覆材。
- 前記樹脂フィルムの一部が、少なくとも光反射材料を含む反射層と、その内側に熱溶着可能な熱可塑性樹脂を主体とする熱接着層とを含む多層体からなる反射フィルムであることを特徴とする照明被覆材。
- 直管型照明灯からの照射光を植物に照射して該植物を栽培する方法であって、
樹脂フィルムを丸めた端部同士を接着、あるいは二枚の樹脂フィルムの端部同士を接着して形成された筒状の部材からなり、前記樹脂フィルムの一部又は全部が、波長400〜600nmの光を吸収して波長600〜700nmの蛍光を発光する蛍光染料を含有する波長変換フィルムからなる照明被覆材の筒状内部へと、前記直管型照明灯を収容し、
前記照明被覆材を介して前記直管型照明灯からの照射光を植物へと照射する
ことを特徴とする植物の栽培方法。 - 前記直管型照明灯から照射される光の波長400〜700nm間の光量子束密度をA(μmol・m−2・s−1)、同直管型照明灯に前記照明被覆材を被覆した際の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度をB(μmol・m−2・s−1)としたときの、光量子束密度比B/Aが0.8以上であることを特徴とする請求項5記載の植物の栽培方法。
- 前記直管型照明灯から照射される光の波長600〜700nm間の光量子束密度をX(μmol・m−2・s−1)、同直管型照明灯に前記照明被覆材を被覆した際の透過光の波長600〜700nm間の光量子束密度をY(μmol・m−2・s−1)としたときのY−Xの差分を赤色波長変換光量Z(μmol・m−2・s−1)とし、同直管型照明灯に前記照明被覆材を被覆した際の透過光の波長400〜700nm間の光量子束密度を全透過光量B(μmol・m−2・s−1)としたときの、赤色波長変換光量Zと全透過光量Bとの比であるZ/Bが0.2以上であることを特徴とする請求項5又は6記載の植物の栽培方法。
- 前記赤色波長変換光量Zと全透過光量Bとの比Z/Bを、前記波長変換フィルム中の蛍光染料を含む蛍光層の厚さL(μm)と同蛍光層中の蛍光染料濃度C(ppm)との積LC(μm・ppm)で除した数値Z/BLCが、1.8×10−6(μm−1・ppm−1)以上であることを特徴とする請求項7記載の植物の栽培方法。
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---|---|---|---|---|
JP2019179207A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 積水化成品工業株式会社 | Led照明カバー用光拡散体、led照明カバー及びled照明装置 |
WO2022091791A1 (ja) * | 2020-10-27 | 2022-05-05 | 日東電工株式会社 | 波長変換フィルム及び植物工場用光源 |
WO2022215560A1 (ja) * | 2021-04-09 | 2022-10-13 | 日東電工株式会社 | 植物栽培ユニット |
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2015
- 2015-07-21 JP JP2015143597A patent/JP2017023029A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019179207A (ja) * | 2018-03-30 | 2019-10-17 | 積水化成品工業株式会社 | Led照明カバー用光拡散体、led照明カバー及びled照明装置 |
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