(実施形態1)
以下、本実施形態の単独運転検出装置1と、それを用いたパワーコンディショナ10、及び単独運転検出装置1で用いられる検出方法について図1〜図4を参照して説明する。
単独運転検出装置1は、図1に示すように、無効電力変動部2と、計測部3と、算出部4と、変動制御部5と、判定部6とを備える。単独運転検出装置1は、商用の系統電源などを含む電力系統151と系統連系された分散型電源152の単独運転を検出する。単独運転検出装置1は、無効電力変動部2と、算出部4と、変動制御部5と、判定部6とを1個のマイクロコンピュータの動作で実現している。なお、単独運転検出装置1はマイクロコンピュータを用いることに限定されず、演算用のIC(Integrated Circuit)などを用いてもよい。
単独運転検出装置1の判定部6は、電力系統151が停電しているにもかかわらず分散型電源152が電力系統151に電力を供給しているときに「分散型電源152が単独運転している」と判定する。単独運転検出装置1は、分散型電源152が単独運転していると判定した場合、後述の解列器8を制御することで分散型電源152を系統電源から電気的に切り離すことが好ましい。判定部6は、電力系統151の交流電圧である交流電圧V1の周波数F1の変化量に基づいて、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定する。周波数F1は、計測部3によって求められる。単独運転検出装置1は、分散型電源152が単独運転していると判定すると、解列器8を制御して分散型電源152を系統電源から電気的に切り離す。単独運転検出装置1は、電力系統151から電力が供給されている状態から、分散型電源152が単独運転する状態になると、交流電圧V1の周波数F1が変化する。単独運転検出装置1は、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定するために、電力系統151の無効電力を変動させる。
無効電力変動部2は、電力系統151の無効電力を変動させる。無効電力変動部2は、例えば電力系統151の交流電圧V1に対する出力電流A1の位相を変化させることにより、無効電力の大きさを変動させる。なお、無効電力変動部2については後述する。
分散型電源152が単独運転していない場合には、無効電力の大きさが変動しても交流電圧V1の周波数F1はほとんど変化せず、周波数F1の変動量は基準値未満となる。しかしながら分散型電源152が単独運転している場合には、無効電力の大きさの変動により交流電圧V1の周波数F1が変化する。単独運転検出装置1は、電力系統151の無効電力を変動させる動作と交流電圧V1の周波数F1の計測とを繰り返し行い、周波数F1の変動量が基準値を超えると分散型電源152が単独運転を行っていると判定する。電力系統151の無効電力を変動させる動作と、交流電圧V1の周波数F1を計測する動作との詳細については後述する。
パワーコンディショナ10は、インバータ7と、無効電力変動部2と、計測部3と、算出部4と、変動制御部5と、判定部6とを備えている。本実施形態のパワーコンディショナ10は、さらに解列器8(例えばリレーなど)を備えている。インバータ7は、分散型電源152の出力する直流電力を交流電力に変換し、交流電力を電力系統151に出力する。解列器8は、インバータ7と電力系統151との間に設けられ、分散型電源152を電力系統151から解列させる。
単独運転検出装置1をパワーコンディショナ10に用いる場合、パワーコンディショナ10は、単独運転検出装置1と、インバータ7とを備えている。
パワーコンディショナ10は、電力系統151と、分散型電源152とに電気的に接続されている。パワーコンディショナ10は、分散型電源152からの直流電力を交流電力に変換して電力系統151や負荷153に出力する。電力系統151は、例えば、電力会社の発電設備からパワーコンディショナ10までを結ぶ配電系統である。分散型電源152は、例えば、太陽電池、燃料電池、又は二次電池からなる直流電源である。二次電池は、例えば、ニッケル水素蓄電池や、リチウムイオン蓄電池である。
インバータ7は、一対の入力端と、一対の出力端とを備えている。インバータ7の一対の入力端には太陽光発電装置からなる分散型電源152が電気的に接続されている。インバータ7の一対の出力端には負荷153及び電力系統151が電気的に接続されている。負荷153は交流電力で動作する電気機器などである。負荷153及び電力系統151は、例えば分電盤に設けられた連系ブレーカを介してインバータ7の一対の出力端に電気的に接続される。インバータ7は、一対の入力端に入力される直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を一対の出力端からへ出力する。つまりインバータ7は、分散型電源152から入力される直流電力を交流電力に変換し、その交流電力を負荷153及び電力系統151へ出力する。
解列器8は、インバータ7の一対の出力端と、電力系統151との間に電気的に接続されている。解列器8は、判定部6からの解列信号が入力されると、インバータ7と電力系統151とを電気的に切り離す。
無効電力変動部2は、インバータ7の出力電流の位相を、交流電圧V1の位相に対して変動させることにより、インバータ7の出力する交流電力の無効電力を直接変動させる。これにより無効電力変動部2は、電力系統151の無効電力を変動させる。無効電力変動部2は、例えばPWM(Pulse Width Modulation)方式の制御信号をインバータ7に出力し、インバータ7の出力する電流と電圧の位相を変動させて無効電力の大きさを変動させる。
計測部3は、電力系統151の交流電圧V1の周波数F1を計測する回路からなる。図2では、分散型電源152が電力系統151に系統連系している状態の交流電圧V1及び出力電流A1を示している。計測部3は、交流電圧V1の電圧値、及び電力系統151に流れる出力電流A1の電流値を、例えば5ミリ秒間隔で周期的に計測する。計測部3は、交流電圧V1が2回ゼロクロスした際の、この2回のゼロクロスのタイミングの時間差から電圧波形の周期を計測し、計測した周期から周波数F1を求める。例えば、交流電圧V1の極性が負から正に反転(ゼロクロス)するタイミングt1と、交流電圧V1の極性が正から負に反転するタイミングt3と時間差は、交流電圧V1の半周期に相当するので、この時間差に基づいて計測部3は周波数F1を求める。計測部3は、求めた周波数F1を算出部4と判定部6とに出力する。図2では、計測部3は、タイミングt1から交流電圧V1の1周期分の時間が経過する時点までに交流電圧V1の電圧値を4回(タイミングt1,t2,t3,t4)計測する。
算出部4は、計測部3から入力される周波数F1の値を複数記憶する記憶部を有する。算出部4は、計測部3から入力された最新の周波数F1を含む複数の周波数F1に基づいて、交流電圧V1の周波数F1の変動量を求める。以下では、この変動量を周波数偏差DF2と呼ぶ。算出部4は、周波数偏差DF2に基づいて無効電力変動部2に変動させる電力系統151の無効電力の大きさを求める。算出部4は、計測部3から周波数F1の値が入力されるごとに電力系統151の無効電力の大きさを更新して変動制御部5に電力系統151の無効電力を変動させる。一例として、算出部4は、計測部3からの最新の計測結果を含む8回分の周波数F1の平均値f3を求める。また、算出部4は、計測部3が最新の周波数F1を計測した時点から200ミリ秒前よりも以前に計測した16回分の周波数F1の平均値f4を求める。算出部4は、平均値f4から平均値f3を減算した結果を周波数偏差DF2として求める。数式で表すと、DF2=f4−f3となる。算出部4は、周波数偏差DF2に応じて、無効電力変動部2から電力系統151に注入させる無効電力の大きさを求める。算出部4は、例えば周波数偏差DF2の符号の正負に応じて、電力系統151の無効電力を遅れ位相又は進み位相に変動させる。算出部4は、周波数偏差DF2の絶対値が大きくなるように(つまり周波数F1の変動量が大きくなるように)、無効電力の位相(進み位相又は遅れ位相)と無効電力の大きさとを求める。無効電力の大きさは、例えば、周波数偏差DF2の絶対値(周波数F1の変動量)に比例して大きくなるように算出される。
算出部4は、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定する基準となる周波数閾値F5を求める。周波数閾値F5は、無効電力変動部2が変動させる電力系統151の無効電力の大きさに応じて変化するように算出される。周波数閾値F5の符号は、周波数偏差DF2の符号の正負に応じて定められる。周波数閾値F5の絶対値は、例えばその無効電力の大きさに比例して大きくなるように算出される。算出部4は、計測部3で周波数F1が計測されるごとに周波数閾値F5を算出して判定部6へ出力する。
変動制御部5は、算出部4が求めた無効電力の大きさが算出部4から入力されるごとに、無効電力変動部2が変動させる無効電力の大きさを調整する。本実施形態の変動制御部5は、タイマを有しており、タイマを用いて時間の経過を計測する。変動制御部5は、算出部4からの入力と、タイマで計測した経過時間とに基づいて、電力系統151の無効電力の変動量及び変動タイミングを決定する。変動制御部5は、決定した変動タイミングで電力系統151の無効電力が変動するように変動制御部5を制御する。
判定部6は、計測部3が計測した周波数F1に基づいて、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定する。判定部6は、無効電力変動部2が電力系統151の無効電力を変動させた後に計測部3で計測された周波数F1を用いて求めた周波数偏差DF2と、周波数閾値F5とに基づいて、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定する。
判定部6は、周波数偏差DF2の絶対値が周波数閾値F5の絶対値を超えているか否かを判定する。具体的に言うと、判定部6は、算出部4で算出された周波数偏差DF2が、周波数閾値F5で定まる周波数の範囲を連続して所定回数(例えば4回)超える場合、分散型電源152が単独運転を行っていると判定する。判定部6は、分散型電源152が単独運転を行っていると判定すると、解列器8に解列信号を出力する。解列器8は、判定部6からの解列信号が入力されると、インバータ7と電力系統151とを電気的に切り離す。
ここで、単独運転検出装置1が電力系統151の無効電力を変動させた際に発生する直流分D1について、図2を参照して説明する。以降では、電力系統151には、無効電力変動部2が電力系統151の無効電力を変動させる前は交流の出力電流A1が流れていて、無効電力変動部2が電力系統151の無効電力を変動させた直後から交流の出力電流A2が流れると仮定する。
変動制御部5は、計測部3が求めた(交流電圧V1の)周波数F1が変動していない場合には無効電力を変動させないが、周波数F1が変動すると、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定するために、無効電力変動部2に無効電力を変動させる。例えば周波数F1が低くなる(つまり1周期分の時間(1/F1)が長くなる)ように変動すると、変動制御部5は、タイミングt1において、無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を進み位相となるように変動させる。また変動制御部5は、「算出部4が求めた無効電力の大きさ」となるように無効電力変動部2に無効電力を変動させる。「算出部4が求めた無効電力の大きさ」とは、電力系統151に電力が供給されている場合には交流電圧V1の周波数F1がほとんど変化しない程度の無効電力の大きさに定められている。
変動制御部5は、例えばタイミングt1で無効電力変動部2にインバータ7の出力する無効電力の変動を開始させた場合、少なくともタイミングt1から一定時間T1が経過する時点まで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させる。図2では、一例として、タイミングt1〜t5の間、変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させている。なお、本実施形態では、一定時間T1は、例えば5ミリ秒に定められているが、この秒数に限定される趣旨ではない。
図2では、変動制御部5は、タイミングt1で無効電力の位相を進み位相にするように無効電力変動部2を制御する。例えば変動制御部5は、出力電流A2が交流電圧V1に対して位相が進むように無効電力変動部2に無効電力を変動させる。無効電力変動部2は、タイミングt1からタイミングt5にかけて、出力電流A2の位相を出力電流A1の位相に対して徐々に進ませる。電力系統151から電力が供給されている場合には、出力電流A2の位相が出力電流A1の位相に対して進む(ずれる)が、交流電圧V1の位相はほとんど変化しない。すなわち電力系統151から電力が供給されている場合に無効電力が変動しても交流電圧V1の周波数F1はほぼ変化していないとみなすことができる。言い換えると、分散型電源152が単独運転していない場合、無効電力の位相を進み位相に変動させても、周波数偏差DF2の絶対値が周波数閾値F5の絶対値以下となるので、分散型電源152は単独運転を行っていないと判定部6が判定する。
一方、電力系統151が停電している場合に無効電力の位相を進み位相に変動させると、電力系統151の出力電流A2の位相は、無効電力の位相を変動させる前の出力電流A1の位相に対して進む(ずれる)。そして交流電圧V1の位相は、出力電流A2の位相に応じて進む(ずれる)。すなわち無効電力の位相の変動に応じて交流電圧V1の位相が変化し、交流電圧V1の周波数F1が変化する。そして周波数偏差DF2の絶対値が、周波数閾値F5の絶対値を連続して所定回数(4回)超えることにより、分散型電源152は単独運転を行っていると判定部6が判定する。
無効電力が変動すると、タイミングt1から交流電圧V1の1周期分の時間(数式で表すと1/F1)が経過したタイミングt5で、直流分D1が電力系統151に発生する。本実施形態では、1周期分の時間(1/F1)は、例えば20ミリ秒に定められているが、この秒数に限定される趣旨ではない。
直流分D1は、交流電圧V1の周波数F1と、負荷153の種類と、分散型電源152の供給電力とによって定まる周期で周期的に変化する。例えば直流分D1は、周波数F1の周期(20ミリ秒)よりも長い周期(例えば500ミリ秒など)で変動する場合もある。直流分D1の変動の大きさは、無効電力変動部2が無効電力を短時間で急峻に変動させるほど大きくなる傾向がある。
ところで、交流電圧V1は系統電源の稼動状態(例えば発電設備及び変電設備の稼動状態)や、電力需要の変動などによって変動する場合がある。例えば交流電圧V1の位相が、進み位相と遅れ位相とに交互に変動する場合がある。単独運転検出装置1は、周波数F1の変化をさらに助長するように電力系統151の無効電力を変動させる動作を行うので、無効電力の位相を進み位相と遅れ位相とに交互に変動させることになる。無効電力の位相を進み位相と遅れ位相とに交互に変動させると、無効電力を進み位相のみ(又は遅れ位相のみ)に変動させる場合と比べて直流分D1の変動が大きくなる。分散型電源152を電力系統151に系統連系するためには、直流分D1の大きさをあらかじめ定められた値よりも小さくしなければならない。そのため、無効電力の位相が連続して進み位相と遅れ位相とに変動させた場合に発生する直流分D1の大きさの変動を抑制したいという要望があった。
ここで、本実施形態の単独運転検出装置1と基本構成が同じで、変動制御部5の動作が異なる比較例の単独運転検出装置について図5を参照して説明する。比較例では、変動制御部5は、例えば5ミリ秒が経過するごとに無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させる。図5では、期間T21〜T28は各々、5ミリ秒の期間を示している。また、図5では、説明をわかりやすくするために、期間T21の開始時点で交流電圧V1の位相角が約30度となっている交流電圧V1を示している。期間T21〜T28のそれぞれの開始時点における交流電圧V1の最大値を、電圧値V21〜V28と呼ぶ。なお、交流電圧V1の1周期は20ミリ秒であると仮定する。
比較例では、変動制御部5は、5ミリ秒の期間T21〜T28の各々が経過するごとに電力系統151の無効電力を変動させる。そのため、期間T21〜T28の各々が経過した時点における交流電圧V1の大きさ(瞬時値)に関わらず変動制御部5は無効電力変動部2に無効電力を変動させる。無効電力変動部2に無効電力を変動させた時点の交流電圧V1の大きさが大きいほど、電力系統151の無効電力が変動した後に発生する直流分D1の変動が大きくなる。具体的に説明すると、無効電力変動部2が、期間T21の開始タイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させると、交流電圧V1の大きさは電圧値V21の大きさであり、交流電圧V1の大きさの最大値に対して約半分の大きさである。無効電力変動部2が、期間T22の開始タイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させると、交流電圧V1の大きさは、電圧値V22の大きさであり、交流電圧V1の大きさの最大値に対して約0.86倍の大きさである。電圧値V21よりも電圧値V22のほうが大きいので、期間T21の開始タイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させるよりも、期間T22の開始タイミングで無効電力を変動させる方が、直流分D1の変動が大きくなる。期間T23,T25,T27の各々の開始タイミングにおける交流電圧V1の電圧値V23,V25,V27の大きさは、電圧値V21の大きさとほぼ等しい。期間T24,T26,T28の各々の開始タイミングにおける交流電圧V1の電圧値V24,V26,V28の大きさは、電圧値V22の大きさとほぼ等しい。無効電力変動部2が、期間T23,T25,T27の各々の開始タイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させるよりも、期間T24,T26,T28の各々の開始タイミングで無効電力を変動させるほうが、直流分D1の変動が大きくなる。したがって、比較例では、期間T21〜T28の開始タイミングに対する電力系統151の電圧値V21〜V28の大きさによって、変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させた際に発生する直流分D1の変動が大きくなる場合がある。
これに対し、本実施形態では、変動制御部5は、図3に示すように、交流電圧V1の大きさ(瞬時値)がほぼゼロになるタイミングt31〜t35の各々で電力系統151の無効電力を変動させるように無効電力変動部2を制御する。変動制御部5は、計測部3で計測した交流電圧V1の電圧値の変化に基づいて、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングを予測する。例えば変動制御部5は、計測部3が求めた周波数F1と、計測部3が計測した最新のゼロクロスタイミングとに基づいて、次を含む次以降のゼロクロスタイミングを予測する。無効電力変動部2は例えば、マイクロコンピュータ又は演算用のICなどの演算機能を用いて演算によって、半周期後のゼロクロスのタイミングと、1周期後のゼロクロスのタイミングとを予測する。変動制御部5は、予測したゼロクロスタイミングに達した時点で無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させる。これにより、交流電圧V1がゼロクスロスするタイミングとほぼ同じタイミングで変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させる。なお、計測部3が計測した最新の計測結果の直後に交流電圧V1の周波数がわずかに変化した場合、実際に交流電圧V1がゼロクロスするタイミングに対して無効電力変動部2が無効電力を変動させるタイミングがわずかにずれる場合が考えられる。しかしながら、比較例よりも交流電圧V1の電圧値が小さいタイミングで無効電力変動部2が電力系統151の無効電力を変動させるので、比較例よりも直流分D1の大きさの変動が抑制される。
ここで、本実施形態の単独運転検出装置1と比較例の単独運転検出装置との動作の違いについて図4を参照して説明する。
図4に示す直流分D1は、比較例の単独運転検出装置の変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させた場合に生じる直流分の波形を示している。一方、直流分D2は、本実施形態の単独運転検出装置1の変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させた場合に生じる直流分の波形を示している。直流分D1,D2は、交流電圧V1の周波数F1や、負荷153の種類や、分散型電源152の供給電力などの影響によって周期的に変化するように計測される。図4では、直流分D1,D2が交流電圧V1と同じ周期で変化する場合を示している。直流分D1の変動が抑制されていない場合、変動している直流分D1の最大値は、図示している期間においてほぼ一定である。一方、直流分D2の変動が抑制されている場合、変動している直流分D2の最大値は時間経過に伴って小さくなる。例えばタイミングt41における直流分D2の最大値D21よりも、タイミングt41よりも後のタイミングt42における直流分D2の最大値D22は小さくなる(D22<D21)。つまり、直流分D1の変動を抑制することにより、電力系統151に発生する直流分の大きさを小さくすることができる。
以上説明したように、本実施形態の単独運転検出装置1は、電力系統151と系統連系された分散型電源152の単独運転を検出する。単独運転検出装置1は、無効電力変動部2と、計測部3と、算出部4と、変動制御部5と、判定部6とを備える。無効電力変動部2は、電力系統151の無効電力を変動させる。計測部3は、電力系統151の交流電圧V1の周波数を計測する。算出部4は、計測部3の複数の計測結果から交流電圧V1の周波数の変化量(本実施形態では周波数偏差DF2)を求め、変化量(周波数偏差DF2)に基づいて無効電力変動部2で変動させる無効電力の大きさを求める。変動制御部5は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させ、かつ算出部4が求めた無効電力の大きさまで電力系統151の無効電力を変動させるように無効電力変動部2を制御する。判定部6は、無効電力変動部2が電力系統151の無効電力を変動させる前と後との各々で算出部4が求めた交流電圧V1の周波数の変化量(周波数偏差DF2)に基づいて、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定する。
上記構成によれば、計測部3は、電力系統151の交流電圧V1の周波数F1を計測する。算出部4は、計測部3の複数の計測結果から交流電圧V1の周波数F1の変化量(周波数偏差DF2)を求める。判定部6は、電力系統151の交流電圧V1の周波数F1の変化量(周波数偏差DF2)に基づいて、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定する。変動制御部5は、電力系統151の交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで無効電力を変動させるように無効電力変動部2を制御する。変動制御部5は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで無効電力変動部2に無効電力を変動させるので、交流電圧V1がゼロではないタイミングで無効電力を変動させる場合と比べて、無効電力の変動によって発生する直流分D1を小さくすることができる。言い換えると、単独運転検出装置1は、電力系統151に発生する直流分D1の変動を抑制しつつ分散型電源152の単独運転を検出可能である。
本実施形態の単独運転検出装置1は、計測部3が計測した最新のゼロクロスのタイミングに基づいて、交流電圧V1の半周期後のゼロクロスのタイミング及び1周期後のゼロクロスのタイミングを予測して電力系統151の無効電力を変動させている。そのため、交流電圧V1が実際にゼロクロスするタイミングとほぼ同じタイミングで無効電力を変動させることができる。
本実施形態のパワーコンディショナ10は、インバータ7と、無効電力変動部2と、計測部3と、算出部4と、変動制御部5と、判定部6とを備える。インバータ7は、分散型電源152の出力する直流電力を交流電力に変換し、交流電力を電力系統151に出力する。無効電力変動部2は、インバータ7の出力する交流電力の無効電力を変動させる。計測部3は、電力系統151の交流電圧V1の周波数を計測する。算出部4は、計測部3の複数の計測結果から交流電圧V1の周波数F1の変化量(本実施形態では周波数偏差DF2)を求め、変化量(周波数偏差DF2)に基づいて無効電力変動部2で変動させる無効電力の大きさを求める。変動制御部5は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させ、かつ算出部4が求めた無効電力の大きさまで電力系統151の無効電力を変動させるように無効電力変動部2を制御する。判定部6は、無効電力変動部2が電力系統151の無効電力を変動させる前と後との各々で算出部4が求めた交流電圧V1の周波数F1の変化量(周波数偏差DF2)に基づいて、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定する。
上記構成によれば、計測部3は、電力系統151の交流電圧V1の周波数F1を計測する。算出部4は、計測部3の複数の計測結果から交流電圧V1の周波数F1の変化量(周波数偏差DF2)を求める。判定部6は、電力系統151の交流電圧V1の周波数F1の変化量(周波数偏差DF2)に基づいて、分散型電源152が単独運転しているか否かを判定する。変動制御部5は、電力系統151の交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで無効電力を変動させるように無効電力変動部2を制御する。変動制御部5は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで無効電力変動部2に無効電力を変動させるので、交流電圧V1がゼロではないタイミングで無効電力を変動させる場合と比べて、無効電力の変動によって発生する直流分D1を小さくすることができる。言い換えると、パワーコンディショナ10は、電力系統151に発生する直流分D1の変動を抑制しつつ分散型電源152の単独運転を検出可能である。
なお、無効電力変動部2は、交流電圧V1に対する出力電流A1の位相を変化させることにより、無効電力の大きさを変動させるように構成されているが、この構成に限定されない。無効電力変動部2は例えば、出力電流A1とは異なる位相の出力電流を電力系統151に注入することにより、無効電力の大きさを変動させるように構成されていてもよい。
変動制御部5は、演算によって交流電圧V1のゼロクロスタイミングを予測することに限定されず、例えば情報テーブルを参照して交流電圧V1のゼロクロスタイミングを予測するように構成されていてもよい。情報テーブルは、例えばマイクロコンピュータ又はICが有するメモリの一部で構成されている。情報テーブルには、例えば周波数F1に応じた交流電圧V1における1ミリ秒ごとの電圧値情報が、交流電圧V1の1周期分記憶されている。変動制御部5は、周波数F1と、計測部3が取得した最新のゼロクロスタイミングとに基づいて、交流電圧V1の半周期後及び1周期後のゼロクロスタイミングを、情報テーブルを参照して予測することができる。また情報テーブルには、周波数F1の異なる複数の交流電圧V1に関する電圧値情報が記憶されている。そのため交流電圧V1の周波数F1がわずかに変化した場合でも、変動制御部5は情報テーブルを参照して交流電圧V1の1周期分の電圧値情報を予測することができる。
本実施形態の変動制御部5は、計測部3が計測した最新の計測結果に基づいて、交流電圧V1の半周期後及び1周期後のゼロクロスのタイミングの各々を予測しているが、例えば1周期後のゼロクロスのタイミングだけを予測してもよい。他にも例えば変動制御部5は、電力系統151の交流電圧V1がゼロクロスするタイミングを予測する構成に限定されず、計測部3の計測結果に基づいて交流電圧V1がゼロクロスしたことを検知した後に無効電力変動部2を制御してもよい。この場合、変動制御部5は、例えば5ミリ秒よりもさらに短い周期(例えば1ミリ秒)で電力系統151の交流電圧V1を計測する。変動制御部5は、交流電圧V1の符号が反転した場合に交流電圧V1がゼロクロスしたと判定して無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させてもよい。この場合、変動制御部5が交流電圧V1のゼロクロスを検知してから無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させるまでの間に、ゼロクロス検知の判定処理及び無効電力変動部2への信号出力処理のためにわずかな時間を要する。この時間は、例えばマイクロコンピュータ又は演算用のICの処理速度によるが、およそ数ミリ秒程度である。そのため、無効電力変動部2が無効電力を変動させるタイミングが、交流電圧V1のゼロクロスのタイミングよりもわずかにずれる。しかしながら、交流電圧V1の実際のゼロクロスタイミングからわずかにずれた程度である場合、変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させる際の交流電圧V1の大きさ(瞬時値)はゼロに近い値である。そのため、比較例の単独運転検出装置の変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させる場合と比べて、本実施形態の単独運転検出装置1では、直流分D1の大きさの変動を抑制することが可能である。
無効電力変動部2は、インバータ7の出力する出力電流A1の位相を変動させることにより電力系統151の無効電力を変動させているが、例えば交流電圧V1に対して位相の異なる交流電流を電力系統151に注入することにより無効電力を変動させてもよい。
解列器8は、判定部6からの解列信号に応じてインバータ7と電力系統151とを電気的に切り離しているが、解列信号の送信元は判定部6に限定される趣旨ではない。例えば、パワーコンディショナ10は、解列器8の開閉を制御する制御部を備えていてもよい。その場合の一例として、判定部6が単独運転の判定結果を制御部に出力し、制御部は、判定部6の判定結果に応じて解列器8の開閉動作を制御するように構成される。
変動制御部5はタイマを有しているが、タイマを有することに限定されず、例えばマイクロコンピュータが有するタイマを変動制御部5が利用する構成であってもよい。
(実施形態2)
本実施形態の単独運転検出装置1及びパワーコンディショナ10の基本構成は実施形態1と同じであり、変動制御部5の動作が実施形態1と相違するだけである。以下、本実施形態における変動制御部5の動作について図6及び図7を参照して説明する。なお、実施形態1と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
変動制御部5は、無効電力変動部2の制御を開始する前に交流電圧V1の半周期T10よりも短い所定時間の計時を開始する。変動制御部5は、所定時間を6ミリ秒に定めている。変動制御部5は、所定時間の開始タイミングから終了タイミングに達する時点までの経過時間を計測することにより、所定時間を計時している。変動制御部5は、計時している所定時間が終了タイミングに達するごとに次の所定時間の計時を開始する。以下、変動制御部5が計時している所定時間のことを「現在の所定時間」と呼び、現在の所定時間の次に計時する所定時間のことを「次の所定時間」と呼ぶ。言い換えると、変動制御部5はタイマを用いて現在の所定時間及び次の所定時間の計時を繰り返す。
交流電圧V1の周期は電力系統151と負荷153と分散型電源152の連系状態とに応じてわずかに変化するが、本実施形態の交流電圧V1は半周期T10を10ミリ秒、1周期を20ミリ秒と仮定する。
変動制御部5は、所定時間が経過するごとに、次の所定時間の開始タイミングから所定時間の終了タイミングを定める。
変動制御部5は、所定時間の開始タイミングに達した時点から終了タイミングに達する時点までにおいて交流電圧V1の絶対値(交流電圧V1の大きさ)が最小となるタイミングで電力系統151の無効電力の変動を開始させるように無効電力変動部2を制御する。変動制御部5は、交流電圧V1の絶対値に応じて、所定時間の開始タイミングか、所定時間の終了タイミングか、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングかの何れかを択一的に選択し、選択したタイミングで電力系統151の無効電力の変動を開始させる。以下では、変動制御部5が、次の所定時間における交流電圧V1の絶対値に応じて電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングを決定する動作について図6を参照して説明する。なお、所定時間の開始タイミングにおける交流電圧V1の絶対値を電圧値VSと呼び、所定時間の終了タイミングにおける交流電圧V1の絶対値を電圧値VEと呼ぶ。
単独運転検出装置1のマイクロコンピュータが動作を開始すると、変動制御部5は、待ち時間TZ2に0ミリ秒を定める。「待ち時間TZ2」とは、次の所定時間の開始タイミングに達した時点から次の所定時間内で電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングに達する時点までの待ち時間である。つまり変動制御部5は、動作開始時に待ち時間TZ2の初期値として0ミリ秒を定める(S1)。
変動制御部5は、待ち時間TZ1に待ち時間TZ2の値を定める(S2)。待ち時間TZ1とは、現在の所定時間の開始タイミングに達した時点から電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングに達する時点までの待ち時間である。変動制御部5は、現在の所定時間の開始タイミングに達すると、経過時間TSの計時を開始する(S3)。言い換えると、変動制御部5は、経過時間TSを計時することによって現在の所定時間の開始タイミングから経過した時間を計時する。
変動制御部5は、現在の所定時間の開始タイミングと、所定時間の所要時間(本実施形態では6ミリ秒)とに基づいて、次の所定時間の開始タイミング及び終了タイミングを定める(S4)。変動制御部5は、演算により次の所定時間内の交流電圧V1を予測する(S5)。変動制御部5は、次の所定時間内に交流電圧V1がゼロクロスするか否かを予測する(S6)。変動制御部5は、次の所定時間内に交流電圧V1がゼロクロスすると予測すると(S6:Yes)、演算により待ち時間TZ2を求める。変動制御部5は、例えば次の所定時間の開始タイミングから交流電圧V1がゼロクロスするタイミングまでの時間を待ち時間TZ2として定める(S7)。
変動制御部5は、次の所定時間内に交流電圧V1がゼロクロスしないと予測すると(S6:No)、演算により次の所定時間の開始タイミングの交流電圧V1の絶対値と、終了タイミングの交流電圧V1の絶対値を比較する(S8)。つまり変動制御部5は、電圧値VSと電圧値VEとを比較する。電圧値VSが電圧値VEよりも小さいと予測すると(S8:Yes)、待ち時間TZ2を0ミリ秒に定める(S9)。待ち時間TZ2を0ミリ秒に定めることにより、変動制御部5は、次の所定時間の開始タイミングを、電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングに定める。
変動制御部5は、電圧値VSが電圧値VE以上であると予測すると(S8:No)、待ち時間TZ2を所定時間の長さである6ミリ秒に定める(S10)。待ち時間TZ2を6ミリ秒に定めることにより、変動制御部5は、次の所定時間の終了タイミングを、電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングに定める。
変動制御部5は、現在の所定時間の経過時間TSが、6ミリ秒に達したか否かを判定する(S11)。経過時間TSが6ミリ秒に達していない場合(S11:No)、変動制御部5は、経過時間TSが待ち時間TZ1に達したか否かを判定する(S12)。変動制御部5は、経過時間TSが待ち時間TZ1に達していない場合(S12:No)、経過時間TSの計時を継続する。変動制御部5は、経過時間TSが待ち時間TZ1に達したと判定すると(S12:Yes)、電力系統151の無効電力の変動を開始させるように無効電力変動部2を制御する(S13)。一例として、変動制御部5が無効電力変動部2に制御信号を出力した時点から電力系統151の無効電力の変動が開始する時点までに1ミリ秒かかる場合、変動制御部5は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングの1ミリ秒前に制御信号を出力する。なお、変動制御部5が無効電力変動部2に制御信号を出力してから無効電力変動部2が電力系統151の無効電力の変動を開始させるまでに要する時間は一例であり、この秒数に限定する趣旨ではない。
変動制御部5は、経過時間TSが6ミリ秒に達したと判定すると(S11:Yes)、経過時間TSを0ミリ秒にリセットして(S14)、S2のステップに戻る。以下、変動制御部5はS2〜S14のステップを繰り返す。
上述したように、変動制御部5は、現在の所定時間内で、無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングに達したか否かを判定する(S12)。また変動制御部5は、現在の所定時間内で、次の所定時間内における交流電圧V1の絶対値(交流電圧V1の大きさ)が最小となるタイミングを予測する(S6,S8)。
次に、変動制御部5が上記動作に基づいて電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングを決定する動作について説明する。以下、変動制御部5の動作を説明するために、10周期分の所定時間を期間T11〜T20と呼ぶ(図7参照)。変動制御部5は、現在の所定時間の終了タイミングと次の所定時間の開始タイミングとは同じタイミングとして定めている。例えば変動制御部5は、期間T11の終了タイミングと期間T12の開始タイミングとは同じタイミングとして定めている。
期間T11の開始タイミング前において、変動制御部5は、待ち時間TZ2に0ミリ秒を定める(S1)。変動制御部5は、期間T11の開始タイミングに達すると、無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる(S12,S13)。期間T11の開始タイミングは、交流電圧V1のゼロクロスのタイミングとほぼ同じである。そのため期間T11の開始タイミングにおける交流電圧V1の電圧値V11はほぼゼロである。図7では、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングを丸印で図示している。
変動制御部5は、期間T11の終了タイミングに達する時点までの間に、期間T12内の交流電圧V1の絶対値が最小となるタイミングを予測する(S5)。変動制御部5は、期間T12内に交流電圧V1がゼロクロスすると予測し(S6:Yes)、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングを予測する(S7)。変動制御部5は、期間T12の開始タイミングから交流電圧V1がゼロクロスする時点までの待ち時間TZ2を予測する(S7)。
変動制御部5は、期間T11の開始タイミングから6ミリ秒が経過すると(S11:Yes)、期間T11の終了タイミングに達したと判定し、経過時間TSをリセットする(S14)。変動制御部5は、待ち時間TZ1に待ち時間TZ2の値を定め(S2)、現在の所定時間を期間T11から期間T12に変更し、期間T12の計時を開始する(S3)。変動制御部5は、待ち時間TZ1と経過時間TSとを比較することにより、期間T12において無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングに達したか否かを判定する(S12)。
変動制御部5は、期間T13内の交流電圧V1の絶対値が最小となるタイミングを予測する(S5)。変動制御部5は、期間T13内で交流電圧V1がゼロクロスしないと予測すると(S6:No)、電圧値VSと電圧値VEとを比較する(S8)。変動制御部5は、期間T13内の電圧値VSが電圧値VEよりも小さいと予測し(S8:Yes)、待ち時間TZ2を0ミリ秒に定める(S9)。
期間T12において待ち時間TZ1は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングに定められている。そのため変動制御部5は、経過時間TSが待ち時間TZ1に達して交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで、無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる(S13)。期間T12において、変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させる時点の交流電圧V1の電圧値V12はほぼゼロである。
変動制御部5は、経過時間TSが6ミリ秒に達して期間T12の終了タイミングに達すると(S11:Yes)、待ち時間TZ1に待ち時間TZ2の値を定める(S2)。変動制御部5は、現在の所定時間を期間T12から期間T13に変更し、期間T13の計時を開始する(S3)。期間T13における待ち時間TZ1は0ミリ秒に定められているので、変動制御部5は、期間T13の開始タイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる(S13)。期間T13の開始タイミングにおける交流電圧V1の電圧値V13の大きさは、期間T13の終了タイミングにおける交流電圧V1の大きさよりも小さい。図7では、所定時間の開始タイミングで変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる場合、そのタイミングを三角印で図示している。
変動制御部5は、期間T14内の交流電圧V1の絶対値が最小となるタイミングを予測する。変動制御部5は、期間T14内で交流電圧V1がゼロクロスすると予測すると、期間T14の開始タイミングから交流電圧V1がゼロクロスする時点までの待ち時間TZ2を予測する。変動制御部5は、期間T13の開始タイミングから6ミリ秒が経過すると期間T13の終了タイミングに達したと判定し、経過時間TSをリセットする。
変動制御部5は現在の所定時間を期間T13から期間T14に変更し、期間T14の計時を開始する。変動制御部5は、待ち時間TZ1に待ち時間TZ2の値を定め、待ち時間TZ1と経過時間TSとを比較することにより、期間T14において無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングに達したか否かを判定する。
変動制御部5は、期間T15内の交流電圧V1の絶対値が最小となるタイミングを予測する。変動制御部5は、期間T15内で交流電圧V1がゼロクロスしないと予測すると、電圧値VSと電圧値VEとを比較する。変動制御部5は、期間T15内の電圧値VSが電圧値VEよりも大きいと予測し、待ち時間TZ2を6ミリ秒に定める。
期間T14において待ち時間TZ1は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングに定められている。そのため変動制御部5は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで、無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる。期間T14において、変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させる時点の交流電圧V1の電圧値V14はほぼゼロである。
変動制御部5は、経過時間TSが6ミリ秒に達して期間T14の終了タイミングに達すると(S11:Yes)、現在の所定時間を期間T14から期間T15に変更し、期間T15の計時を開始する。また変動制御部5は、待ち時間TZ1に待ち時間TZ2の値を定める。期間T15における待ち時間TZ1は6ミリ秒に定められているので、変動制御部5は、期間T15の終了タイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる。期間T15の終了タイミングにおける交流電圧V1の電圧値V15の大きさは、期間T15の開始タイミングにおける交流電圧V1の大きさよりも小さい。図7では、所定時間の終了タイミングで変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる場合、そのタイミングを四角印で図示している。
以降、変動制御部5は、経過時間TSと待ち時間TZ1とに基づいて無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させるタイミングを判定し、かつ次の所定時間で交流電圧V1が最小値となるタイミングを予測する動作を繰り返す。例えば現在の所定時間が期間T16,T18,T19となった場合に、変動制御部5は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる。期間T16,T18,T19のそれぞれにおいて、変動制御部5が無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させる時点の交流電圧V1の電圧値V16,V18,V19はそれぞれほぼゼロである。
他にも例えば現在の所定時間が期間T17となった場合に、変動制御部5は、期間T17の終了タイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる。また現在の所定時間が期間T20となった場合に、変動制御部5は、期間T20の開始タイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる。期間T17の終了タイミングにおける交流電圧V1の電圧値V17の大きさは、期間T17の開始タイミングにおける交流電圧V1の大きさよりも小さい。
上記したように、本実施形態の変動制御部5は、交流電圧V1の半周期T10よりも短い6ミリ秒の所定時間を繰り返し定め、その所定時間が経過する時点までの間に無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる。実施形態1の変動制御部5は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させるため、無効電力変動部2が無効電力を4回変動させるために必要な時間が、交流電圧V1の周波数F1に応じて変化する。一方、本実施形態における変動制御部5は、所定時間の6ミリ秒が経過する時点までの間に無効電力変動部2が無効電力を1回変動させるため、交流電圧V1の周波数F1に関わらず24ミリ秒の間に無効電力を4回変動させることができる。しかも、本実施形態における変動制御部5は、交流電圧V1がゼロクロスするタイミング、又は所定時間内において交流電圧V1が最小となるタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる。無効電力の変動による直流分D1の変動の大きさは、無効電力が変動した際の交流電圧V1の絶対値に応じて大きくなる傾向がある。交流電圧V1が最小となるタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させるように変動制御部5が無効電力変動部2を制御することにより、無効電力の変動による直流分D1の変動が大きくなることを抑制できる。
以上説明したように、本実施形態の単独運転検出装置1において、変動制御部5は、無効電力変動部2の制御を開始する前に交流電圧V1の半周期T10(本実施形態では10ミリ秒)よりも短い所定時間(本実施形態では6ミリ秒)の計時を開始する。変動制御部5は、所定時間(本実施形態では期間T11〜T19)が経過するごとに所定時間(期間T12〜T20)を繰り返し定める。変動制御部5は、所定時間(期間T11〜T20)の開始タイミングから所定時間の終了タイミングまでの間において交流電圧V1の大きさ(絶対値)が最小となるタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる。
上記構成によれば、変動制御部5は、交流電圧V1の大きさ(絶対値)が所定時間内で最小となるタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させることにより、無効電力の変動による直流分D1の変動が大きくなることを抑制できる。
本実施形態の変動制御部5は、所定時間(期間T11〜T20)内において、無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させることができる。そのため判定部6は、交流電圧V1の周波数F1の大小に関わらず、あらかじめ定められた時間(本実施形態ではおよそ24ミリ秒)で分散型電源152が単独運転しているか否かを判定することができる。しかも変動制御部5は、所定時間(期間T11〜T20)内のそれぞれにおいて交流電圧V1が最小となるタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させるので、直流分D1の変動が大きくなることを抑制できる。
本実施形態のパワーコンディショナ10において、変動制御部5は、無効電力変動部2の制御を開始する前に交流電圧V1の半周期よりも短い所定時間の計時を開始する。変動制御部5は、所定時間が経過するごとに所定時間を繰り返し定める。変動制御部5は、所定時間の開始タイミングから所定時間の終了タイミングまでの間において交流電圧V1の大きさ(絶対値)が最小となるタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させる。
上記構成によれば、変動制御部5は、交流電圧V1の大きさ(絶対値)が所定時間内で最小となるタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させることにより、無効電力の変動による直流分D1の変動が大きくなることを抑制できる。
なお、本実施形態では交流電圧V1の半周期T10が10ミリ秒であり、変動制御部5は、所要時間が6ミリ秒に定められた所定時間を繰り返し定めているが、半周期T10と所定時間との長さは一例であり、この値に限定される趣旨ではない。例えば所定時間の長さ(所要時間)は、交流電圧V1の半周期T10よりも短い長さに定められていればよい。
変動制御部5では、現在の所定時間に対して、次の所定時間内における無効電力の変動タイミングを予測しているが、この動作に限定されない。例えば変動制御部5は、繰り返し定められる所定時間について、現在の所定時間よりも2周期先以後の所定時間内における無効電力の変動タイミングを予測してもよい。変動制御部5が予測する所定時間を2周期先以後の所定時間内に定めることにより、現在の所定時間の計時開始タイミングから電力系統151の無効電力の変動を開始させるまでの期間を、さらに長く定めることができる。例えば変動制御部5の判定動作に必要な時間と無効電力変動部2が電力系統151の無効電力の変動を開始させるまでの時間との合計時間が、1周期分の所定時間よりも長くなると仮定する。この場合、電力系統151の無効電力の変動タイミングを所定時間の2周期先以後の所定時間内に定めることにより、変動制御部5は予測したタイミングで無効電力変動部2に電力系統151の無効電力の変動を開始させることができる。
変動制御部5は、次の所定時間における交流電圧V1の絶対値が最小となるタイミングを、演算により予測しているが、演算に限定されず、例えば交流電圧V1の電圧値を記憶している情報テーブルを参照してそのタイミングを予測してもよい。
他にも例えば変動制御部5は、2周期先以後の所定時間の各々について、無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させるタイミングを予測してもよい。例えば変動制御部5が1周期先の所定時間と2周期先の所定時間とにおいて無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させるタイミングを予測する場合、変動制御部5は、各所定時間において無効電力を変動させるタイミングを2回予測することになる。変動制御部5は、2回の予測タイミングの平均値を、各所定時間において無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させるタイミングと定めてもよい。この場合、各所定時間において変動制御部5が1回で無効電力変動部2に電力系統151の無効電力を変動させるタイミングを予測するよりも予測精度を高めることができる。
本実施形態の変動制御部5は、変動制御部5の有するタイマを用いて経過時間TSを計測しているが、タイマを有することに限定されず、単独運転検出装置1のマイクロコンピュータのタイマを利用してもよい。