JP2017022148A - 軟磁性複合材料を使用したリアクトル、リアクトルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の軟磁性複合材料の構成要素について説明する。本実施形態の軟磁性複合材料は、非晶質の第1の軟磁性粉末と、第1の軟磁性粉末より平均粒子径が小さい第2の軟磁性粉末を混合して得られる混合粉末に、樹脂を混合してなるものである。
第1の軟磁性粉末としては、Fe基アモルファスの粉砕粉を用いることができる。この粉砕粉は、例えば、厚み25μmの薄帯を粉砕したものである。第1の軟磁性粉末の成分としては、例えば、Si成分が6.7%、B成分が2.5%、Cr成分が2.5%、C成分が0.75%、残り成分がFeのものを使用することができる。他にも、軟磁性粉末としては、FeBPN(NはCu,Ag,Au,Pt,Pdから選ばれる1種以上の元素)が使用できる。このような第1の軟磁性粉末の結晶化開始温度は、通常、470℃前後である。
第2の軟磁性粉末は、第1の軟磁性粉末より平均粒子径が小さい軟磁性粉末を用いる。この第2の軟磁性粉末としては、Fe系(Fe―Si−Bなど)の軟磁性アトマイズ粉を用いることができる。このような第2の軟磁性粉末の結晶化開始温度は、通常、450℃前後である。
樹脂は、第1の軟磁性粉末と第2の軟磁性粉末を均質に混合した状態で保持するものである。この樹脂としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂や熱可塑性樹脂が使用できる。熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂などが使用できる。紫外線硬化性樹脂としては、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系の樹脂を使用できる。熱可塑性樹脂としては、ポリイミドやフッ素樹脂などの耐熱性に優れた樹脂を使用することが好ましい。硬化剤を添加することにより硬化するエポキシ樹脂は、硬化剤の添加量などによってその粘度を調整できることから、本発明に適している。熱可塑性のアクリル樹脂やシリコーン樹脂も使用可能である。
容器としては、その内部にコイルを収容できる形状のものを使用する。一般的には、上方からコイルを挿入でき、また樹脂を注入できるように、上面開口型の箱形や皿形の容器を使用する。容器は、その全部または一部を樹脂成型品によって構成することが好ましい。樹脂成型品の主材料としては、例えば、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、BMC(バルクモールディングコンパウンド)、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PBT(ポリブチレンテレフタレート)等を用いることができる。容器の全部または一部に、アルミニウムやマグネシウムなどの熱伝導性の高い金属を使用することもできる。これらの金属と容器内の軟磁性複合材料とを直接接触させることで、放熱性の向上を図ることができる。
コイルは、銅線などの導体に絶縁被覆を形成したものを使用する。アルミニウム線を使用することもできる。導体としては、丸線や平角線などの表面にポリイミド樹脂などの絶縁ワニスを形成したものを使用することが好ましい。コイルは、シリコーン樹脂などの絶縁樹脂で予め埋設した(覆った)ものを使用しても良いし、外装ケース内部にコイルケースを収納し、このコイルケース内にコイルを配置した状態で、コイルの周囲に絶縁樹脂を注入・固化したものでも良い。コイルを絶縁樹脂で被覆する場合には、導体の表面に絶縁ワニスなどをコーティングしなくても良い。
本発明のリアクトルの製造方法の実施形態を、図面に従って説明する。本実施形態の容器は、リアクトルの外装ケース3としてそのまま使用可能なものである。
図1に示すように、本実施形態のコイル1は、導体である銅線の表面に絶縁ワニスをコーティングした平角線を、4回×2層分巻回したもので、中心にリアクトルのリム部となる開口部11が形成されている。コイル1の両端部12,13は、コイル1の一方の短辺側に、コイル1の最外周部分を延長する方向に引き出されている。コイル1の両端部12,13は、リアクトルに設ける端子2と接続するものであり、そのため、コイル1の巻回部分との間に段部14が設けられている。
図2に示すように、本発明の容器に相当する外装ケース3は、その内部にコイル1を配置することができる大きさと形状を有する直方体の部材で、上面と下面が開口した枠状の樹脂部31と、その下面の開口部を塞ぐ放熱板32とから構成されている。放熱板32は、枠状の樹脂部31の下縁部に固定されている。この場合、樹脂部31と放熱板32との接合部分を一体成型することにより、外装ケース3内に充填した混合粉末や含浸する樹脂が接合部分から洩れ出ないようになっている。なお、樹脂部31と放熱板32の接着は一体成型に限らず、接着剤を塗布するなどして行っても良い。樹脂部31と放熱板32とは全てを樹脂で一体に成型しても良い。また、容器は蓋を有していても良い。その場合、容器の蓋や容器の樹脂部に設けた注入口から軟磁性複合材料を容器内に注入し、硬化させることで、コアを作製する。容器の蓋に、軟磁性複合材料の注入時における空気抜きのために、開口部を設けても良い。
{3−1.第1の充填方法(含浸)}
本実施形態のリアクトルを製造するには、含浸の場合、まず、第1の軟磁性粉末と第2の軟磁性粉末を混合して、混合粉末を作製しておく。そして、図3に示すように、外装ケース3内に、絶縁樹脂の成型品15内に埋設したコイル1を配置する。その後、図4に示すように、外装ケース3の上面開口部から、外装ケース3と絶縁樹脂の成型品15との隙間に、予め用意した混合粉末を充填する。この場合、混合粉末は、外装ケース3の上縁部から、外装ケース3の樹脂部31の表面高さよりもやや高い程度の位置まで充填する。容器内に混合粉末を充填した後は、容器全体を振動させることで、容器内の混合粉末の密度を高める。振動の方法としては、容器全体をモータやカムなどを利用して上下または/及び前後左右に振動させたり、タッピングしたり、容器をハンマー状の部材で細かく叩く方法でも良い。容器全体を超音波振動子で振動させても良い。
樹脂混成の場合、まず、第1の軟磁性粉末と第2の軟磁性粉末とをエポキシなどの熱硬化性樹脂と共に混練して、軟磁性複合材料4を作製しておく。そして、図3に示すように、外装ケース3内に、絶縁樹脂の成型品15内に埋設したコイル1を配置する。その後、図4に示すように、外装ケース3の上面開口部から、外装ケース3と絶縁樹脂の成型品15との隙間に、予め用意した軟磁性複合材料4を注入する。この場合、軟磁性複合材料4は、外装ケース3の上縁部から、外装ケース3の樹脂部31の表面高さよりもやや高い程度の位置まで注入する。
その後、軟磁性複合材料4が硬化する前に、ねじ止め部21からコイル1に電流を流して、図6(b)の矢印が示す方向(コイルの軸方向を周回するような方向)に磁界を発生させる。この磁界により第1の軟磁性粉末を磁束が流れる方向を向くように配向させる。上記のように配向することで、リアクトルのインダクタンスを向上させることができる。磁界は5kA/m程度でも軟磁性粉末を配向させることができる。磁界の強さはこれよりも低いと軟磁性粉末が磁化しやすい方向に配向されず、直流重畳特性を向上させることが難しくなる。
(5)軟磁性複合材料の硬化
(1)本実施形態では、軟磁性複合材料に埋設したコイルに電流を流して、発生する磁束の流れと同じ向きに軟磁性粉末を配向して磁化しやすい方向にすることで、直流重畳特性を向上させることが出来る。
(a)直流重畳特性:LCRメーターを用いて測定した。周波数20kHz、電圧1.0Vでのインダクタンスを測定し、透磁率を計算により求めた。
(b)円形度および粒子径:粒子画像分析装置(Malvern社:morphologi G3s)を用いて測定した。円形度および粒子径は、それぞれ粒子5000個について測定した。
容器として、蓋を有するものを使用しても良い。その場合、容器の蓋や容器の樹脂部に設けた注入口から軟磁性複合材料を容器内に注入し、硬化させることで、コアを作製する。容器の蓋に、軟磁性複合材料の注入時における空気抜きのために、開口部を設けても良い。
Claims (18)
- 上方に開口を有する容器内に収容したコイルを軟磁性粉末と樹脂とを含む軟磁性複合材料で埋設するリアクトルであって、
前記軟磁性粉末が、第1の軟磁性粉末と前記第1の軟磁性粉末よりも平均粒子径が小さい第2の軟磁性粉末とを含み、
少なくとも前記第1の軟磁性粉末が、前記コイルから発生する磁束の向きに配向しているリアクトル。 - 前記コイルが前記容器の開口に対して前記コイルの軸方向を略垂直な方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリアクトル。
- 前記第1の軟磁性粉末が非晶質で構成され、少なくとも一つの主な面を有し、前記主な面の端部が丸みを帯びた形状であって、前記主な面の円形度が0.7776以上0.980以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のリアクトル。
- 前記第1の軟磁性粉末がFe基アモルファスの粉砕粉であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記第2の軟磁性粉末の円形度が0.962以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記第1の軟磁性粉末の平均粒子径が30μ〜100μmであり、前記第2の軟磁性粉末の平均粒子径が5μ〜30μmであることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記軟磁性複合材料における前記第1の軟磁性粉末の添加量が60〜80wt%、前記第2の軟磁性粉末の添加量が20〜40wt%であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記樹脂の前記軟磁性複合材料への添加量が5〜10wt%であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 前記樹脂がエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂のいずれか1つであることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のリアクトル。
- 上方に開口を有する容器内にコイルを配置し、
前記容器に軟磁性粉末と樹脂とを投入して前記コイルを前記軟磁性粉末と前記樹脂とを含む軟磁性複合材料で埋設し、
前記軟磁性粉末が、第1の軟磁性粉末と前記第1の軟磁性粉末よりも平均粒子径が小さい第2の軟磁性粉末とを含み、
前記樹脂が硬化する前に前記コイルに電流を流して磁束を発生させ、少なくとも前記第1の軟磁性粉末を前記磁束と同じ向きに配向させ、
前記第1の軟磁性粉末が前記磁束と同じ向きに配向した後に前記樹脂を硬化させることを特徴とするリアクトルの製造方法。 - 前記第1の軟磁性粉末が非晶質で構成され、少なくとも一つの主な面を有し、前記主な面の端部が丸みを帯びた形状であって、前記主な面の円形度が0.7776以上0.980以下であることを特徴とする請求項10に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記第1の軟磁性粉末がFe基アモルファスの粉砕粉であることを特徴とする請求項10又は11に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記第2の軟磁性粉末の円形度が0.962以上であることを特徴とする請求項10から請求項12のいずれか1項に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記第1の軟磁性粉末の平均粒子径が30μ〜100μmであり、前記第2の軟磁性粉末の平均粒子径が5μ〜30μmであることを特徴とする請求項10から請求項13のいずれか1項に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記軟磁性複合材料における前記第1の軟磁性粉末の添加量が60〜80wt%、前記第2の軟磁性粉末の添加量が20〜40wt%であることを特徴とする請求項10から請求項14のいずれか1項に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記樹脂の前記軟磁性複合材料への添加量が5〜10wt%であり、前記樹脂の粘度が3350mPa・s以下であることを特徴とする請求項10から請求項15のいずれか1項に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記磁束の強さが5kA/m以上であることを特徴とする請求項10から請求項16のいずれか1項に記載のリアクトルの製造方法。
- 前記軟磁性粉末に前記樹脂を含浸させる前に、前記軟磁性粉末に振動を加えることを特徴とする請求項10から請求項17のいずれか1項に記載のリアクトルの製造方法。
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