JP2017021286A - 二光子吸収露光によるパターン状硬化物の形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】基板上に、密着性の高い微細三次元構造を高い解像度で形成することのできる方法を提供すること。
【解決手段】基板上に、(A)バインダーポリマー:20〜90質量部、(B)分子中に少なくとも1個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物:5〜75質量部、及び(C)光重合開始剤:0.01〜30質量部を含有する感光性樹脂組成物層を積層した感光性エレメントに、二光子吸収露光を行う露光工程、及び現像を行う現像工程を含むパターン状硬化物の形成方法であって、前記感光性樹脂組成物層に対して、ステップタブレットのストウファ21段中8段を示す露光量における一光子吸収露光により形成された硬化フィルムを、前記現像工程に使用する現像液中に18時間浸漬した場合のフィルム長さの増加率(%)として定義される膨潤度が15%以下であることを特徴とする、前記方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、二光子吸収露光によるパターン状硬化物の形成方法に関する。詳しくは、アルカリ現像可能な感光性樹脂を用いて二光子吸収露光を行う露光工程、及び現像を行う現像工程を含む方法によってパターン状硬化物を形成する、三次元ナノ構造の製造に適した方法に関する。
本発明の技術は、例えば三次元光造形、三次元光メモリ等に使用することができる。
印刷配線板、リードフレーム、半導体パッケージ等の製造、金属の精密加工等の分野において、エッチング、めっき等の際に用いられるレジスト材料として、感光性(光重合性)樹脂組成物、及びそれを用いたドライフィルムレジストを使用することが知られている。
ドライフィルムレジストは、一般に、支持体上に感光性樹脂組成物層を積層し、更に該感光性樹脂組成物層上に必要により保護層を積層することにより調製される。ここで用いられる感光性樹脂組成物層としては、現在、未露光部が現像液である弱アルカリ水溶液に溶解するアルカリ現像型のものが一般的である。
ドライフィルムレジスト用の積層体を用いてパターンを形成する方法は、以下の工程を含むことが一般的である。すわなち;
保護層を剥離したドライフィルムレジストを基板上に積層し、
所望のパターンマスク等を介して露光を行い、
必要に応じて支持体を剥離した後、
現像液により未露光部分の感光性樹脂組成物層を溶解又は分散除去することにより、
基板上にレジストパターンを形成する。ここで、前記基板としては、例えば銅張積層板、フレキシブル基板等の永久回路作成用の基板が用いられ;
ドライフィルムの積層には、例えばラミネーター等が用いられる。
従来技術において、ドライフィルムを用いる方法では、二次元パターンしか形成することができなかった。また、解像度も10μm程度が限界であり、ナノメートルオーダーのパターンを形成することはできなかった。
更に、ドライフィルムレジストは、相反則不軌の課題があることが知られている(特許文献1)。このことから、当業界において、ドライフィルムレジストはフォトン密度の高い露光には適さないと信じられていた。
また、超高解像度の三次元パターンにおいては、レジストパターンの基板への接触面積が少ないため、密着性が十分に発現しないのではないかとの懸念がある。
特開2007−033882号公報
本発明の課題は、基板上に、高い密着性を有する三次元構造を高い解像度で形成することのできる新規な方法を提供することである。前記方法は、ドライフィルムに適用した場合であっても、有効に奏功するべきである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、パルス幅の狭いレーザーを用いて、開始剤吸収波長の2倍の波長でドライフィルムレジストを露光することにより、解像度が劇的に向上し、任意の微細三次元構造を形成できることを見出した。更に、形成される微細三次元構造の現像液に対する膨潤度を一定値以下に制御することにより、該微細三次元構造の基板に対する密着性が向上することを見出した。
本発明は、このような知見に基づくものである。すなわち、本発明は、以下の実施態様を提供するものである。
[1] 基板上に、
(A)バインダーポリマー:20〜90質量部、(B)分子中に少なくとも1個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物:5〜75質量部、及び(C)光重合開始剤:0.01〜30質量部を含有する感光性樹脂組成物層
を積層した感光性エレメントに、二光子吸収露光を行う露光工程、及び
現像を行う現像工程
を含むパターン状硬化物の形成方法であって、
前記感光性樹脂組成物層に対して、ステップタブレットのストウファ21段中8段を示す露光量における一光子吸収露光により形成された硬化フィルムを、前記現像工程に使用する現像液中に18時間浸漬した場合のフィルム長さの増加率(%)膨潤度として定義される15%以下であることを特徴とする、前記方法。
[2] 前記(B)重合性化合物の全体に対して、分子中に少なくとも3個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物が50質量%以上含まれている、[1]に記載の方法。
[3] 前記感光性エレメントが、前記感光性樹脂組成物層上に、更に支持体を有する、[1]又は[2]に記載の方法。
[4] 前記二光子吸収露光が、パルス幅1ミリ秒以下のパルスレーザーによって行われる、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5] 前記二光子吸収露光における露光波長が、前記(C)光重合開始剤が一光子吸収を行い得る波長の2倍の波長である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6] 前記二光子吸収露光における露光波長が、前記(C)光重合開始剤の吸収がない波長である、[5]に記載の方法。
[7] 前記(A)バインダーポリマーの重量平均分子量が、5,000〜100,000である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記(A)バインダーポリマーが、少なくとも
分子中に重合性不飽和基を1個有するカルボン酸又はカルボン酸無水物である第一単量体と、
分子中に重合性不飽和基を1個有し、且つ非酸性である第二単量体と、
の共重合体である、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の方法。
[9] 基板上に、
(A)バインダーポリマー:20〜90質量部、(B)分子中に少なくとも1個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物:5〜75質量部、及び(C)光重合開始剤:0.01〜30質量部を含有する感光性樹脂組成物層
を積層した感光性エレメントに二光子吸収露光を行う露光工程、及び
現像を行う現像工程
を含むパターン状硬化物の形成方法であって、
前記前記(B)重合性化合物の全体に対して、分子中に少なくとも3個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物が50質量%以上含まれていることを特徴とする、前記方法。
[10] (A)バインダーポリマー:20〜90質量部、
(B)分子中に少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物:5〜75質量部、及び
(C)光重合開始剤:0.01〜30質量部
を含有し、そして
二光子吸収露光を行う露光工程、及び
現像を行う現像工程
を含むパターン状硬化物の形成に用いられる感光性樹脂組成物であって、
前記感光性樹脂組成物から形成された感光性樹脂組成物層に対して、ステップタブレットのストウファ21段中8段を示す露光量における一光子吸収露光により形成された硬化フィルムを、前記現像工程に使用する現像液中に18時間浸漬した場合のフィルム長さの増加率(%)として定義される膨潤度が15%以下であることを特徴とする、前記組成物。
[11] 支持体上に、
[10]に記載の感光性樹脂組成物から形成された層を有し、そして
二光子吸収露光を行う露光工程、及び現像を行う現像工程を含むパターン状硬化物の形成に用いられることを特徴とする、ドライフィルムレジスト。
本発明によれば、安価な感光性樹脂組成物を用いて、高い密着性を有する任意の三次元構造をナノメートルオーダーの高い解像度で形成することができる。
一光子吸収露光によって形成された硬化フィルムの現像液による膨潤挙動の時間プロファイルを示すグラフである。
<本発明がなされた経緯>
上記のとおり、超高解像度の三次元構造においては、得られる三次元構造の基板への接触面積が少ないため、密着性が十分に発現しないのではないかとの懸念がある。
本発明者らは、超高解像度の微細三次元構造の形成について詳細に検討した。その結果、二光子吸収露光による微細三次元構造の形成においては、現像工程において現像液と接したときに、パターンが大きく膨潤する場合があることを発見した。この膨潤の程度は、例えばドライフィルムレジストを用いた通常の(一光子吸収露光の)パターン形成では考えられないほど大きなものであった。そしてこの大きな膨潤が、基板に対するパターンの密着性を損なっていることを突き止めたのである。
そこで本発明者らは、先ず、一光子吸収露光の現像工程における硬化物の膨潤挙動を調べた。
感光性樹脂組成物として市販のドライフィルムレジストを使用し、一光子吸収露光を行う手法により、長さ25mm、厚さ25μmの硬化フィルムを形成した。そしてこの硬化フィルムを、30℃に設定した現像液(濃度1質量%の炭酸ナトリウム水溶液)に浸漬し、フィルム長さの増加率(膨潤度)の時間挙動を調べた。
その結果を図1に示す。
図1から明らかなように、上記で得られた硬化フィルムは、極めて特異な時間プロファイルを示した。
上記硬化フィルムの長さは、現像液中への浸漬開始後約50分まで変化しない。ところが、浸漬開始から50分を過ぎると、フィルム長さはジャンプアップして、その膨潤度は20%に至ったのである。
上記の硬化フィルムの現像液による膨潤は、現像時間の調整によって回避可能であるとも思える。しかしながら、本発明者らの検討により、一光子吸収露光のときに膨潤し易い感光性樹脂組成物を用いると、二光子吸収露光によって得られる微細三次元構造は、現像時間を短くした場合であっても基板への密着性に劣るものであることが明らかとなった。更に、プロセスマージンをも考慮すると、現像液に対する硬化フィルムの膨潤度は可及的に低いことが望まれる。
このような知見は、従来技術において全く知られておらず、本明細書によって初めて開示される情報である。特に、一光子吸収露光における膨潤度が、二光子吸収露光の場合の密着性に深く関係していることは、実に驚くべき知見である。
本発明者らは、硬化フィルムの膨潤度として、一光子吸収露光によって形成されたフィルムを現像液中に18時間浸漬した後のフィルム長さの増加率を問題とし、この意味における膨潤度が有意に低い感光性樹脂組成物の開発を行った結果、本発明に到達したのである。
なお、本発明者らは、上記の膨潤度が、フィルムの幅及び厚さにはほとんど関係しないことを、別の実験によって確認している。また、上記の膨潤度が15%以下の感光性樹脂組成物を使用した場合に、二光子吸収露光によって得られる微細三次元構造が基板との密着性に優れることは、後述の実施例において検証されている。
<感光性樹脂組成物>
本発明において用いられる感光性樹脂組成物は、
(A)バインダーポリマー:20〜90質量部、
(B)分子中に少なくとも1個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物:5〜75質量部、及び
(C)光重合開始剤:0.01〜30質量部
を含有する。
[バインダーポリマー]
本発明に用いられる(A)バインダーポリマーは、アルカリ現像液によって現像可能であることが好ましい。そのため、該ポリマーは、カルボキシル基及び酸無水物基から選択される少なくとも1種を有していることが好ましい。
(A)バインダーポリマーに含まれるカルボキシル基及び酸無水物基の量は、酸当量に換算して100〜600であることが好ましく、より好ましくは300〜400である。酸当量とは、1当量のカルボキシル基を有する重合体の質量を意味し、単位は「g/当量」である。
(A)バインダーポリマーがカルボキシル基及び酸無水物基から選択される基を有することにより、アルカリ水溶液に対する現像性及び剥離性が付与される。ここで、酸当量が100未満では、現像耐性が低下し、解像性及び密着性に悪影響を及ぼす場合がある。一方この値が600を超えると、現像性及び剥離性が低下する。酸当量の測定は、市販の滴定装置(例えば平沼産業(株)製、平沼自動滴定装置(COM−555)等)を使用し、例えば0.1mol/Lの水酸化ナトリウムを用いて電位差滴定法によって行うことができる。
本発明に用いられる(A)バインダーポリマーの重量平均分子量は、5千〜50万であることが好ましい。この重量平均分子量が、50万を超えると現像性が低下し、5千未満ではエッジフューズが著しくなる。(A)バインダーポリマーの重量平均分子量は、解像度をより向上させる観点から、1万〜4万が好ましい。
上記の重量平均分子量は、市販のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置を用いて測定したポリスチレン換算値である。GPC測定の条件としては、例えば以下を例示することができる。
GPC装置:日本分光(株)製、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー
ポンプ:Gulliver、PU−1580型
カラム:昭和電工(株)製、Shodex(登録商標) KF−807、KF−806M、KF−806M、及びKF−802.5の4本を直列に接続
移動層溶媒:テトラヒドロフラン
本発明に用いられる(A)バインダーポリマーは、例えば下記の2種類の単量体の共重合体であることが好ましい。
第一の単量体は、分子中に重合性不飽和基を1個有するカルボン酸及び酸無水物から選択される。具体的には例えば、(メタ)アクリル酸、フマル酸、ケイ皮酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸半エステル等が挙げられ、これらのうちから選択される1種以上を使用することが好ましい。
第二の単量体は、分子中に重合性不飽和基を1個有する非酸性の化合物である。この第二の単量体は、感光性樹脂層に現像耐性、エッチング耐性及びめっき耐性を付与し、得られる硬化膜の可とう性を保持するように選ばれる。このような単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリロニトリル等の極性不飽和化合物;
スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート等のフェニル基を有するビニル化合物
等が挙げられる。第二の単量体の一部にフェニル基を有するビニル化合物を用いることは、解像度の点で、本発明の好ましい実施態様である。
本発明に用いられる(A)バインダーポリマーは、例えば溶液重合、塊状重合、懸濁重合及び乳化重合のいずれによっても合成することができる。しかし、合成終了後の反応液を、そのまま感光性樹脂組成物溶液の調製に供することができるという観点から、溶液重合によることが好ましい。具体的には、上記単量体の混合物を、例えばアセトン、メチルエチルケトン、イソプロパノール等から選択される適当な溶媒で希釈した溶液に、
例えば過酸化ベンゾイル、アゾイソブチロニトリル等の適当なラジカル重合開始剤を適量添加し、
加熱攪拌することにより合成することが好ましい。合成温度は好ましくは40〜100℃であり、合成時間は好ましくは2〜48時間である。
反応容器に単量体混合物の一部を仕込んで合成を開始した後、単量体の残部を反応液に滴下しながら合成を行ってもよい。反応終了後、更に溶媒を加えて、所望の濃度に調整してもよい。
本発明に用いられる(A)バインダーポリマーの含有量は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤の合計を100質量部とした場合に、20〜90質量部の範囲であり、好ましくは30〜70質量部である。(A)バインダーポリマーの含有量は、露光及び現像によって形成されるパターン状硬化物の密着性の観点から、90質量部以下が好ましく、現像性の観点から20質量部以上が好ましい。
[(B)重合性化合物]
(B)分子中に少なくとも1個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物におけるエチレン性不飽和基としては、例えばアリル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基が挙げられる。なかでも(メタ)アクリロイル基を用いると反応性が高く、高感度となるため好ましい。
これらのエチレン性不飽和基の1分子あたりの数としては、少なくとも1個であれば特に制限はない。しかしながら、得られるパターン状硬化物(特に微細三次元構造)の現像液に対する膨潤度を低くするとの観点から、少なくとも2個であることが好ましく、少なくとも3個であることがより好ましく、少なくとも4個であることが、更に好ましい。
(B)重合性化合物としては、例えばエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドの共重合体の(メタ)アクリレート、ウレタン−ジ(メタ)アクリレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、またポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)プロパンジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート及び、β−ヒドロキシプロピル−β’−(アクリロイルキシ)プロピルフタレート等の他、
構造の一部にビスフェノールA骨格を含む化合物等を挙げることができる。
構造の一部にビスフェノールA骨格を含む化合物を用いることは、解像度の観点から好ましい。このような化合物の具体例としては、例えば、ビスフェノールAの両末端にそれぞれアルキレンオキシドを付加したグリコールのジメタクリレート等が挙げられる。特に、
ビスフェノールAの両末端に、それぞれ、平均2分子のプロピレンオキサイド及び平均6分子のエチレンオキサイドを付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレート、
ビスフェノールAの両末端に、それぞれ、平均5分子のエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステルBPE−500)
等が好適である。
(B)重合性化合物の有する末端エチレン性不飽和基の二光子吸収露光における反応率を高くするとの観点からは、該不飽和基が柔軟な結合基を介して分子に結合していることが好ましい。上記柔軟な結合基としては、例えば、連鎖数3以上、好ましくは5以上のメチレン連鎖;連鎖数3以上のアルキレンオキシド連鎖(例えば、−(CHCH−O)−、−(C(CH)HCH−O)−等、以上いずれもn≧3)等を挙げることができる。
(B)重合性化合物の含有量は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤の合計を100質量部とした場合に、3〜70質量部の範囲である。この含有量が、3質量部未満では感度の点で充分ではない。一方この値が70質量部を越えると、後述のドライフィルムの状態で長期間保存した時に、感光性層のはみ出しが著しくなるため好ましくない。(B)重合性化合物の含有量は、好ましくは10〜60質量部、より好ましくは15〜55質量部である。
(B)重合性化合物は、1種のみを使用してもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
得られるパターン状硬化物(特に微細三次元構造)の現像液に対する膨潤度を可及的に低くするという観点からは、使用する(B)重合性化合物のうち、分子中に少なくとも3個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物の割合は、50質量%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることが更に好ましい。
[(C)光重合開始剤]
本発明における(C)光重合開始剤は、各種の活性光線(例えば紫外線等)により活性化され、重合を開始又は増感する機能を有する化合物である。
本発明における(C)光重合開始剤は、ピーク波長における二光子吸収断面積が、100ゲッパートメイヤー以上であることが好ましく、1,000ゲッパートメイヤー以上であることがより好ましく、10,000ゲッパートメイヤー以上であることが更に好ましい。
本発明における(C)光重合開始剤としては、例えば2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、キノン、芳香族ケトン、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、アクリジン化合物、ケタール、ピラゾリン化合物、チオキサントン、チオキサントン誘導体、オキシムエステル、N−アリール−α−アミノ酸化合物等を挙げることができる。
前記2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体としては、例えば2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ビス−(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(p−メトシキフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等が挙げられる、これらのうち、特に、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が好ましい。
前記ベンゾフェノン誘導体としては、感度の観点からp−アミノフェニルケトンが特に好ましい。p−アミノフェニルケトンとしては、例えばp−アミノベンゾフェノン、p−ブチルアミノフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノベンゾフェノン、p,p’−ビス(エチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン[ミヒラーズケトン]、p,p’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、p,p’−ビス(ジブチルアミノ)ベンゾフェノンが挙げられる。
前記キノンとしては、例えば2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン等を;
前記芳香族ケトンとしては、例えばベンゾフェノン等を;
ベンゾインエーテルとしては、例えばベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル等を;
アクリジン化合物としては、例えば9−フェニルアクリジン等を;
ケタールとしては、例えばベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等を、
それぞれ挙げることができる。
前記チオキサントン誘導体としては、例えば2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン等を挙げることができる。チオキサントン及びチオキサントン誘導体は、それぞれ、三級アミン化合物(例えばジメチルアミノ安息香酸アルキルエステル化合物等)と組み合わせて使用することが好ましい。これらの中では、解像度の観点からはピラゾリン化合物が、感度の観点からはアクリジン化合物が、それぞれ好ましい。
前記オキシムエステルとしては、例えば1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−O−ベンゾイルオキシム、1−フェニル−1、2−プロパンジオン−2−(O−エトキシカルボニル)オキシム等を;
N−アリール−α−アミノ酸化合物としては、例えばN−フェニルグリシン等を、
それぞれ挙げることができる。
本発明において、(C)光重合開始剤として、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含むことは高解像度の観点から好ましい実施態様である。
本発明に用いられる(C)光重合開始剤としては、
2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体と
ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と
を併用することが好ましい。
本発明において、(C)光重合開始剤の含有量は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤の合計を100質量部とした場合に、0.1〜30質量部であり、0.1〜20質量部であることが好ましい。感度の観点より、0.1質量部以上が好ましく、解像度の観点から30質量部以下が好ましい。
(C)光重合開始剤が2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含有する場合、その含有量は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤の合計を100質量部とした場合に、0.1〜10質量部の範囲にあることが好ましい。この含有量は、0.5〜6質量部の範囲にあることが更に好ましい。感度の観点から0.5質量部以上が好ましく、解像度の観点から4.5質量部以下が好ましい。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体と、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物と、を併用する場合、ベンゾフェノン及びベンゾフェノン誘導体からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物の使用量は、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体100質量部に対して、0.5〜10質量部とすることが好ましい。
[その他の成分]
本発明における感光性樹脂組成物は、上記のような(A)〜(C)成分のみから構成されていてもよいし、これら以外にその他の成分を含有していてもよい。
このようなその他の成分としては、例えば着色物質、発色系染料、重合禁止剤、可塑剤等を挙げることができる。
前記着色物質としては、染料及び顔料を挙げることができる。用いられる着色物質としては、例えばフクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学(株)製、アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学(株)製、アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)等が挙げられる。
感光性樹脂組成物が着色物質を含有する場合、その含有量は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤の合計を100質量部とした場合に、0.005〜10質量部の範囲にあることが好ましい。この含有量は、0.01〜1質量部の範囲にあることが更に好ましい。レジスト視認性の観点から0.01質量部以上が好ましく、感度の観点から1質量部以下が好ましい。
前記発色系染料とは、光照射によって発色する機能を有する化合物である。用いられる発色系染料としては、例えばロイコ染料及びフルオラン染料が挙げられる。これらのうちロイコ染料が好ましい。具体的には、例えばトリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコクリスタルバイオレット]、トリス(4−ジメチルアミノ−2−メチルフェニル)メタン[ロイコマラカイトグリーン]等が挙げられる。
ロイコ染料は、ハロゲン化合物と組み合わせて用いることが好ましい。このハロゲン化合物としては、例えば臭化アミル、臭化イソアミル、臭化イソブチレン、臭化エチレン、臭化ジフェニルメチル、臭化ベンザル、臭化メチレン、トリブロモメチルフェニルスルフォン、四臭化炭素、トリス(2、3−ジブロモプロピル)ホスフェ−ト、トリクロロアセトアミド、ヨウ化アミル、ヨウ化イソブチル、1、1、1−トリクロロ−2、2−ビス(p−クロロフェニル)エタン、ヘキサクロロエタン、ハロゲン化トリアジン化合物等が挙げられる。ハロゲン化トリアジン化合物としては、例えば2、4、6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシフェニル)−4、6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。中でも、トリブロモメチルフェニルスルフォン、トリアジン化合物等が有用である。
感光性樹脂組成物がロイコ染料を含有する場合、その含有量は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤の合計を100質量部とした場合に、0.005〜10質量部の範囲にあることが好ましく、0.01〜1質量部の範囲にあることが更に好ましい。着色性の観点から0.01質量部以上が好ましく、露光部未露光部のコントラストの観点及び保存安定性維持の観点から10質量部以下が好ましい。
感光性樹脂組成物がハロゲン化合物を含有する場合、その含有量は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤の合計を100質量部とした場合に、0.005〜10質量部の範囲にあることが好ましく、0.01〜1質量部の範囲にあることが更に好ましい。着色性の観点から0.01質量部以上が好ましく、露光部未露光部のコントラストの観点及び保存安定性維持の観点から10質量部以下が好ましい。
前記の重合禁止剤は、感光性樹脂組成物の熱安定性及び保存安定性を向上させるために使用される。この重合禁止剤としては、ラジカル重合禁止剤が好ましい。
このようなラジカル重合禁止剤としては、例えばp−メトキシフェノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ナフチルアミン、tert−ブチルカテコール、塩化第一銅、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2、2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ジフェニルニトロソアミン等が挙げられる。
感光性樹脂組成物が重合禁止剤を含有する場合、その含有量は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤の合計を100質量部とした場合に、0.01〜3質量部の範囲にあることが好ましく、0.02〜0.2質量部の範囲にあることが更に好ましい。解像度の観点から0.02質量部以上が好ましく、感度の観点から0.2質量部以下が好ましい。
前記可塑剤としては、例えばジエチルフタレート等のフタル酸エステル類;p−トルエンスルホンアミド、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル等が挙げられる。
感光性樹脂組成物が可塑剤を含有する場合、その含有量は、(A)バインダーポリマー、(B)重合性化合物、及び(C)光重合開始剤の合計を100質量部とした場合に、5〜50質量部の範囲にあることが好ましく、5〜30質量部の範囲にあることが更に好ましい。硬化膜に柔軟性を付与する観点から5質量部以上が好ましく、硬化不足及びコールドフローを抑える観点から30質量部以下が好ましい。
[感光性樹脂組成物の提供形態]
上記のような感光性樹脂組成物は、
これを適当な溶媒中に溶解した溶液組成物として、或いは
感光性樹脂組成物からなる層を、支持体と保護層との間に挟んだ感光性樹脂積層体として、
提供することができる。更に前記の感光性樹脂積層体を巻回して成る感光性樹脂積層体のロールとして提供することができる。
<パターン状硬化物の形成方法>
本発明のパターン状硬化物の形成方法は、
基板上に、
上記に説明した感光性樹脂組成物からなる層(感光性樹脂組成物層)と、
をこの順で積層した感光性エレメントに、二光子吸収露光を行う露光工程、及び現像を行う現像工程を含むことを特徴とする。前記感光性エレメントは、前記感光性樹脂組成物層上に、更に支持体を有していてもよい。
前記の基板としては、例えばガラス、シリコン、高分子フィルム、金属等から成る基板を使用することができる。これらの基板の片面又は両面上には、電極、回路、半導体、抵抗、コンデンサ等の素子;
光導波路等の構造物
等が形成されていてもよい。
基板の形状は、屈曲していても平面であってもよい。また、ロール状に巻き取れる形態であってもよい。
基板上に感光性樹脂組成物層を積層するには、
基板上に、適当な溶媒中に溶解して溶液組成物とした感光性樹脂組成物を塗布した後に前記溶媒を除去する塗布法によることができ、或いは
支持体上に感光性樹脂組成物層を有する積層フィルム(ドライフィルムレジスト)を基板に貼付するドライフィルム法によることができる。これらのうち、ドライフィルム法によることが、微細な三次元構造体を連続プロセスによる簡易な方法で製造できるという観点から好ましい。
前記ドライフィルムレジストは、支持体上に形成された感光性樹脂組成物層の上に、更に保護層を有する形態で提供されることが好ましい。
[ドライフィルムレジスト]
ドライフィルムレジストは、
支持体と、
該支持体上に形成された感光性樹脂組成物層と
を有し、好ましくは、前記感光性樹脂組成物層の上に更に保護層を有する。
前記ドライフィルムレジストにおける支持体としては、活性光を透過する透明なものが望ましい。活性光を透過する支持体としては、例えばポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリ塩化ビニリデンフィルム、塩化ビニリデン共重合体フィルム、ポリメタクリル酸メチル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、スチレン共重合体フィルム、ポリアミドフィルム、セルロース誘導体フィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、必要に応じ延伸されたものも使用可能である。
また、支持体のヘーズは5.0以下であるものが好ましい。厚みは薄い方が、画像形成性及び経済性の面で有利であるが、強度を維持する必要から、10〜30μmのものが好ましい。
前記のような支持体上に、感光性樹脂組成物層を積層する。支持体上に感光性樹脂組成物層を積層するには、例えば支持体上に、適当な溶媒中に溶解して溶液組成物とした感光性樹脂組成物を塗布した後に前記溶媒を除去する方法によることが好ましい。
ここで使用される溶媒としては、例えばケトン系、アルコール系、芳香族系、エーテル系等の各溶媒を使用することができる。
前記ケトン系溶媒としては、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン等を;
アルコール系溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等を;
芳香族系としては、例えばベンゼン、トルエン等を;
エーテル系溶媒としては、例えばプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、1−メトキシ−2−プロパノール等を;
それぞれ挙げることができる。
この溶液組成物における溶媒の使用量は、該組成物の固形分濃度が10〜70質量%の範囲となる量とすることが好ましい。
支持体上に前記溶液組成物を塗布する時には、例えばバーコーター法、ブレードコーター法、リップコーター法、ダイコーター法、CAPコーター法、R&Rコーター法、グラビアコーター法等の適宜の塗布方法を採用することができる。
塗布後、好ましくは加熱することによって溶媒を除去することにより、支持体上に感光性樹脂組成物層が形成される。この加熱の条件としては、例えば40〜140℃の温度において、1〜10分の条件を例示することができる。
感光性樹脂組成物層の厚みは、用途において異なるが、0.1〜200μmが好ましく、より好ましくは1〜50μmである。
次いで、感光性樹脂組成物層の支持体とは反対側の表面に、必要に応じて保護層を積層する。保護層は、必要な時に容易に剥離できることが重要である。従って、保護層を構成する材料としては、感光性樹脂組成物層との密着力が支持体よりも充分に小さいことが好ましい。このような材料としては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等が挙げられる。保護層の厚みは、例えば10〜100μmとすることができる。
感光性樹脂組成物層上に保護層を積層する方法としては、例えばラミネート等の方法を挙げることができる。
[パターン状硬化物の形成方法]
前記に説明したドライフィルムレジストを用いて、本発明の方法によってパターン状硬化物を形成する方法について、以下に述べる。このパターン状硬化物は、好ましくは微細三次元構造である。
ドライフィルムレジストに保護層がある場合は、先ず該ドライフィルムレジストの保護層を剥離した後、感光性樹脂組成物層を前記の基板に加熱圧着して積層し、感光性エレメントを形成する。この時の加熱温度は、40〜160℃であることが好ましい。
次いで、前記感光性エレメント中の感光性樹脂組成物層に対して二光子吸収露光を行う。
本発明における感光性樹脂組成物は、二光子吸収露光に好適である。
従って、本発明のパターン状硬化物の形成方法は、二光子吸収露光を行う露光工程、及び現像を行う現像工程を含むことを特徴とする。
二光子吸収露光とは、2個の光子が同時に吸収されることによって、物質が励起されて高いエネルギー準位に遷移する露光である。二光子吸収現象は、通常は、非常に低い確率でしか発生しない現象だが、光子密度の大きな電磁波を使用することによって、任意に発生させることができる。
上記露光工程における二光子吸収露光の光子密度としては、1GW/cm以上が好ましく、より好ましくは100GW/cm以上、更に好ましくは1TW/cm以上である。このような高い光子密度を実現する光源としては、レーザーが挙げられる。特に、パルスレーザーは光子密度が高いため好ましい。該パルスレーザーのパルス幅としては、1ミリ秒以下が好ましく、1ナノ秒以下がより好ましく、1ピコ秒以下が更に好ましい。パルス幅の下限には特に制限はないが、100アト秒(0.1フェムト秒)以上の数値を例示することができ、1フェムト秒以上であることが好ましい。
このような露光が可能な露光装置としては、遷移金属のバイブロニック遷移を応用したレーザーを挙げることができる。前記のレーザーとしては、フェムト秒チタンサファイアレーザー、希土類イオンの4f−4f遷移を利用したレーザー等を挙げることができる。
本発明における二光子吸収露光は、(C)光重合開始剤が一光子吸収を行い得る波長の2倍の波長で行われる。解像度の観点から、一光子吸収を避けるため、(C)光重合開始剤の吸収がない波長の光を用いることが好ましい。
ここで、「(C)光重合開始剤の吸収し得る波長」とは、該光重合開始剤が一光子吸収をして重合を開始又は増感することのできる波長をいう。具体的には、感光性エレメント中の感光性樹脂組成物層について分光分析を行った場合に、(C)光重合開始剤に由来する吸収の吸光度が0.1を超える波長であることが好ましく、該吸光度が0.2以上となる波長であることがより好ましく、更に好ましくは該吸光度が0.3以上となる波長である。
また、「(C)光重合開始剤の吸収がない波長」とは、これを照射しても該光重合開始剤が一光子吸収を起こさない波長をいう。具体的には、感光性エレメント中の感光性樹脂組成物層について分光分析を行った場合に、(C)光重合開始剤に由来する吸収の吸光度が0.1以下となる波長であることが好ましく、該吸光度が0.05以下となる波長であることが好ましく、更に好ましくは該吸光度が0.01以下となる波長である。
露光量については、前記レーザー光のスキャン速度でコントロールすることができる。二光子吸収の場合、露光量を放射エネルギーの単位で表現することが困難であるため、光子密度及びとスキャン速度の2つの因子によってコントロールすることが便利である。
本発明におけるスキャン速度としては、10μm/秒〜20m/秒とすることが好ましい。
露光後の感光性樹脂組成物層は、次いで現像工程において現像される。
感光性樹脂組成物層上に支持層がある場合には、必要に応じてこれを除いた後に、適当な現像液を用いて感光性樹脂組成物層のうちの未露光部を現像除去することにより、パターン状硬化物(特に微細三次元構造)を得る。ここで、現像液としてはアルカリ水溶液が好ましい。具体的には、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の水溶液を用いる。アルカリ水溶液は、感光性樹脂組成物層の特性に合わせて選択されるが、本発明においては、0.5〜3質量%の炭酸ナトリウム水溶液が好ましい。
感光性樹脂組成物層の形成を塗布法による場合には、塗布法によって形成された感光性樹脂組成物層に対して、上記と同じ条件で露光及び現像することにより、パターン状硬化物を得ることができる。
[硬化フィルムの膨潤度]
本発明は、前記のパターン状硬化物の形成方法に用いる感光性樹脂組成物層を光硬化して得られる硬化フィルムの現像液への膨潤度が15%以下であることを最大の特徴とする。この膨潤度は、好ましくは10%以下である。
前記の、膨純度の測定に供する硬化フィルムは、前記感光性樹脂組成物層を露光することによって得る。この際の露光は一光子吸収露光である。すなわち、露光波長は、パターン状硬化物の形成における二光子吸収露光に使用する波長の半分の波長である。照度は1mW/cm以上1GW/cm未満とし、ステップタブレットのストウファ21段中8段を示す露光量において露光する。この露光は、酸素遮断下で行うことが好ましい。
このようにして得られた硬化フィルムを、次いで、現像液中に18時間浸漬する。ここで使用する現像液は、パターン状硬化物の形成する際に現像工程で使用するものを使用する。浸漬の際の現像液温度は、例えば30℃とすることができる。
そして、上記の条件で浸漬する前後の前記フィルムの長さの増加率(%)を膨潤度とする。
<パターン状硬化物の適用例>
本発明の方法によって得られるパターン状硬化物は、例えばメタマテリアル、フォトニック結晶等に適用することができる。ここで、メタマテリアルとは、波動の波長に対して,繰り返し周期長が十分に短い空間周期構造を形成することにより、自然界では存在しない特性を示す構造体をいう。例えば、光学的メタマテリアルとしては、光の波長に対して十分に微細な特定の周期構造によって負の屈折率を持つメタマテリアルが知られている。フォトニック結晶とは、屈折率が周期的に変化するナノ構造体をいう。構造体の設計によって光の伝播を制御することができ、光ファイバ、大面積コヒーレントレーザ等への応用が期待されている。
以下、実施例に基づき、本発明の実施形態の例を具体的に説明する。
実施例1及び2、並びに比較例1
<感光性樹脂組成物の調製>
実施例1及び2、並びに比較例1において用いた感光性樹脂組成物層の組成、並びに形成されたパターンの様子を表1に示す。表1において略号(A−1〜D−1)で表した感光性樹脂組成物層を構成する成分を表2に示す。
各実施例及び比較例においては、先ず、メチルエチルケトンを溶媒として、不揮発成分濃度が50質量%になるように表1に示す成分を混合して均一に溶解し、感光性樹脂組成物の溶液を調製した。
<ドライフィルムレジストの作製>
次に、支持体として厚さ20μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、該支持体上に上記で調製した感光性樹脂組成物の溶液をバーコーターにより均一に塗布し、95℃の乾燥機中で3分加熱して溶媒を除去し、支持体上に感光性樹脂組成物層を形成した。溶媒除去後の感光性樹脂組成物層の厚さは25μmであった。次いで、前記で形成した感光性樹脂組成物層上に、保護層としての25μmのポリエチレンフィルムを貼り合わせることにより、積層フィルム(ドライフィルムレジスト)を得た。
<膨潤度の測定>
上記で得た積層フィルム(ドライフィルムレジスト)を、長さ25mmの短冊状にカットした。
この短冊状のドライフィルムレジストに対して、波長400nmの光を、ステップタブレットのストウファ21段中8段を示す露光量で一光子吸収露光させ、硬化フィルムを形成した。この硬化フィルムの長さを測定した。ここで使用した露光波長400nmは、実施例で用いた(C)光重合開始剤(5−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−tert−ブチルスチリル)−1−フェニル―2−ピラゾリン)が一光子吸収を効率的になし得る波長である。
次いで、上記の硬化フィルムから、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンフィルムとを剥がしたのち、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液中に18時間浸漬した。18時間の浸漬後、硬化フィルムを取り出してその長さを測定し、浸漬前のフィルム長さで割り返すことにより、膨潤度を算出した。
<微細三次元構造の形成>
ホットロールラミネーターを用いて、上記の正方形状積層フィルムのポリエチレンフィルムを剥しながら、ガラス基板(18×18mm、No.1、松波硝子工業社製)上に感光性樹脂組成物層を105℃でラミネートして、感光性エレメントとした。
次いで、チタンサファイアレーザー(商品名:MaiTai、スペクトラフィジックス社製)のレーザービーム(波長800nm、パルス幅100フェムト秒のパルスレーザー)を、上記感光性エレメントの感光性樹脂組成物層内に集光し、速度100μm/秒にてスキャンすることにより、ウッドパイル型(30μm角、400nmライン幅、5層、10個)の三次元パターン状に露光した。ここで使用したレーザーの波長800nmは、(C)光重合開始剤(5−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−tert−ブチルスチリル)−1−フェニル―2−ピラゾリン)が一光子吸収を効率的になし得る波長の2倍に相当し、且つ一光子吸収が起こらない波長である。
続いてポリエチレンテレフタレート支持層を剥離した後、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液中にディップして現像し、未露光部分を溶解除去した。更に、イオン交換水を用いて水洗を行った。
加速電圧15kV、倍率1,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、得られた硬化物の形状及び解像度(ライン幅)及び密着性を確認した。密着性は、形成した10個のウッドパイル型三次元パターンのうち、何個(何%)が基板上に密着しているかを指標とした。
実施例1、2および比較例1における感光性樹脂組成物の組成及び評価結果を、まとめて表1に示す。
Figure 2017021286
Figure 2017021286
本発明の方法は、三次元造形、三次元メモリ等に利用することができる。三次元造形によって形成された三次元構造体は、例えばメタマテリアル、フォトニック結晶等に適用することができる。

Claims (11)

  1. 基板上に、
    (A)バインダーポリマー:20〜90質量部、(B)分子中に少なくとも1個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物:5〜75質量部、及び(C)光重合開始剤:0.01〜30質量部を含有する感光性樹脂組成物層
    を積層した感光性エレメントに、二光子吸収露光を行う露光工程、及び
    現像を行う現像工程
    を含むパターン状硬化物の形成方法であって、
    前記感光性樹脂組成物層に対して、ステップタブレットのストウファ21段中8段を示す露光量における一光子吸収露光により形成された硬化フィルムを、前記現像工程に使用する現像液中に18時間浸漬した場合のフィルム長さの増加率(%)として定義される膨潤度が15%以下であることを特徴とする、前記方法。
  2. 前記(B)重合性化合物の全体に対して、分子中に少なくとも3個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物が50質量%以上含まれている、請求項1に記載の方法。
  3. 前記感光性エレメントが、前記感光性樹脂組成物層上に、更に支持体を有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記二光子吸収露光が、パルス幅1ミリ秒以下のパルスレーザーによって行われる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記二光子吸収露光における露光波長が、前記(C)光重合開始剤が一光子吸収を行い得る波長の2倍の波長である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記二光子吸収露光における露光波長が、前記(C)光重合開始剤の吸収がない波長である、請求項5に記載の方法。
  7. 前記(A)バインダーポリマーの重量平均分子量が、5,000〜100,000である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記(A)バインダーポリマーが、少なくとも
    分子中に重合性不飽和基を1個有するカルボン酸又はカルボン酸無水物である第一単量体と、
    分子中に重合性不飽和基を1個有し、且つ非酸性である第二単量体と、
    の共重合体である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 基板上に、
    (A)バインダーポリマー:20〜90質量部、(B)分子中に少なくとも1個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物:5〜75質量部、及び(C)光重合開始剤:0.01〜30質量部を含有する感光性樹脂組成物層
    を積層した感光性エレメントに二光子吸収露光を行う露光工程、及び
    現像を行う現像工程
    を含むパターン状硬化物の形成方法であって、
    前記前記(B)重合性化合物の全体に対して、分子中に少なくとも3個の末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物が50質量%以上含まれていることを特徴とする、前記方法。
  10. (A)バインダーポリマー:20〜90質量部、
    (B)分子中に少なくとも一つの末端エチレン性不飽和基を有する重合性化合物:5〜75質量部、及び
    (C)光重合開始剤:0.01〜30質量部
    を含有し、そして
    二光子吸収露光を行う露光工程、及び
    現像を行う現像工程
    を含むパターン状硬化物の形成に用いられる感光性樹脂組成物であって、
    前記感光性樹脂組成物から形成された感光性樹脂組成物層に対して、ステップタブレットのストウファ21段中8段を示す露光量における一光子吸収露光により形成された硬化フィルムを、前記現像工程に使用する現像液中に18時間浸漬した場合のフィルム長さの増加率(%)として定義される膨潤度が15%以下であることを特徴とする、前記組成物。
  11. 支持体上に、
    請求項10に記載の感光性樹脂組成物から形成された層を有し、そして
    二光子吸収露光を行う露光工程、及び現像を行う現像工程を含むパターン状硬化物の形成に用いられることを特徴とする、ドライフィルムレジスト。
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