JP2017020126A - エアバッグの織物 - Google Patents

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祐介 佐藤
史章 伊勢
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史章 伊勢
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Yuichiro Matsushita
雄一郎 松下
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Abstract

【課題】高温高圧展開に優れ、軽量で収納性に優れ、優れた人体拘束性能を有するエアバッグ用織物の提供。【解決手段】合成繊維織糸からなるエアバッグ用織物であって、該織糸は脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維であり、該織糸の融点は270℃以上であり、該織糸の弾性降下温度は130℃以上であり、該織糸の総繊度は100〜800dtexであり、そして該織物の引張破断伸度は経緯方向とも20%以上であることを特徴と前記エアバッグ用織物、該エアバッグ用織物を含むエアバッグ、及び該エアバッグを含むエアバッグ装置。【選択図】なし

Description

本発明は、乗り物の乗員安全のため、衝突事故における人体拘束の機能を果たすエアバッグを構成する織物に関する。とりわけ、軽量で収納性に優れ、優れた拘束性能を有するエアバッグを実現せしめるエアバッグ用織物に関する。
乗員安全用のエアバッグ装置は、乗り物の衝突事故の際、衝撃感知センサーでガス発生器(インフレーター)を作動させ、エアバッグの袋をガス膨張させて、乗員を受け止めることで乗員を保護している。
車両用エアバッグ装置として、前面衝突に対応する運転席用エアバッグ、助手席用エアバッグ、さらに、後席用エアバッグの装着が普及している。さらに、近年では、側面衝突に対応するサイドエアバッグやカーテンエアバッグの装着が増加している。なかでも、車両の側面衝突に対応する安全装置としてカーテンエアバッグが注目されている。乗員の頭部への衝撃を吸収するためには、乗員の頭部がドアの壁部(ガラス面)まで移動する前にバッグが展開している必要がある。したがって、前面衝突に比べて急速な展開が要求される。また、ドアのガラス面からの保護のため、前後方向を長い形状のバッグで覆う必要がある。一方、インフレーターの収納部位が車両内で限られるため、インフレーターからカーテンバッグへのガス供給口の配置が、カーテンエアバッグの前端や後端、また、中央部のみに限られてしまう。このため、エアバッグ膨張時には、エアバッグのインフレーター取付口や、インフレーターガス導入チューブ先端での瞬間的なガス導入負荷、すなわち、温度や圧力が非常に増大してきている。
これまで、アラミド繊維の反物からなるエアバッグが開示されている(以下の特許文献1参照)。この織物は、耐熱性に優れ、サークルベンド法による剛軟性を高めず、収納性を損なわないことで、車両用外装エアバッグ(バンパー装着など)に適しているとしている。しかしながら、この織物は、高強度でありながら伸度が非常に低いという織物の特性から、衝撃吸収性に劣り、車両内部での人体拘束評価が劣るという問題がある。
特表2015−508458号公報
前記した技術の現状に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、高温高圧展開に優れ、軽量で収納性に優れ、優れた人体拘束性能を有するエアバッグを構成する織物を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、新規な高融点ポリアミド樹脂からなるマルチフィラメント繊維を織糸とする高密度織物によって、人体拘束性能に優れるエアバッグが構成されることを発見し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]合成繊維織糸からなるエアバッグ用織物であって、該織糸は脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維であり、該織糸の融点は270℃以上であり、該織糸の弾性降下温度は130℃以上であり、該織糸の総繊度は100〜800dtexであり、そして該織物の引張破断伸度は経緯方向とも20%以上であることを特徴と前記エアバッグ用織物。
[2]カバーファクターが1900〜2500である、前記[1]に記載のエアバッグ用織物。
[3]前記織糸のフィラメント繊度が0.5〜10dtexである、前記[1]又は[2]に記載のエアバッグ用織物。
[4]前記織糸のフィラメント数が30本以上である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
[5]前記織糸の引張強度が6.0cN/dtex以上である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
[6]前記脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維は、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とジアミンとの重縮合物であり、かつ、以下の要件:
(a)該ジカルボン酸に対する該脂環族ジカルボン酸の比率が50モル%以上である;
(b)該脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維の総繊度が100dtex以上である;及び
(c)該脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維のクロス比(最大直径/最小直径)が1.7以下である;
を満たす、前記[1]〜[5]のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
[7]前記脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維の硫酸相対粘度が1.5以上4.0以下である、前記[6]に記載のエアバッグ用織物。
[8]前記ジアミン成分は1,10−デカンジアミンを含み、前記ジアミン成分全体に対する該1,10−デカンジアミンの比率が20モル%以上である、前記[6]又は[7]に記載のエアバッグ用織物。
[9]前記ジアミン成分は炭素数5又は6のジアミンを含み、前記ジアミン成分全体に対する該炭素数5又は6のジアミンの比率が20モル%の以上である、前記[8]に記載のエアバッグ用織物。
[10]前記炭素数5又は6のジアミンが2−メチルペンタメチレンジアミンである、前記[9]に記載のエアバッグ用織物。
[11]前記炭素数5又は6のジアミンがヘキサメチレンジアミンである、前記[9]に記載のエアバッグ用織物。
[12]樹脂加工なしでエアバッグ用基布に用いられる、前記[1]〜[11]のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
[13]樹脂加工されてエアバッグ用基布に用いられる、前記[1]〜[11]のいずれかに記載のエアバッグ用織物。
[14]前記樹脂付着量が5g/m以上150g/m以下である、前記[13]に記載のエアバッグ用織物。
[15]80℃で相対湿度95%の環境に200時間暴露した後に、スクラブ試験で損傷なし回数の変化が40%未満である、前記[13]又は[14]に記載のエアバッグ用織物。
[16]前記[1]〜[15]のいずれかに記載のエアバッグ用織物からなる、エアバッグの補強布、防炎布、又はガス導入布。
[17]前記[1]〜[15]のいずれかに記載のエアバッグ用織物、あるいは[16]に記載のエアバッグの補強布、防炎布、又はガス導入布を含むエアバッグ。
[18]前記[17]に記載のエアバッグを含むエアバッグ装置。
本発明に係るエアバッグ用織物は、高温高圧展開に耐え、軽量で収納性に優れ、優れた拘束性能を有するエアバッグを構成することができるため、とりわけ、車内搭載用のエアバッグ、例えば、カーテンエアバッグの部材として有用である。
実施例で評価したカーテンエアバッグの模式図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
本実施形態の織物は、構成する織糸の融点が270℃以上である。織糸融点が270℃以上の高温であるほど、インフレーターの発生ガスの高温に曝されても破袋に至らなくなる。該織糸の融点はより好ましくは、275℃以上であり、より好ましくは280℃以上である。他方、溶融紡糸法によって均一なマルチフィラメント繊維を得やすいという観点から、該織糸の融点は350℃以下が好ましい。
本実施形態の織物は、構成する織糸の動的粘弾性測定における貯蔵弾性率(E’)が急降下を示す温度である弾性降下温度が130℃以上である。織糸の貯蔵弾性率(E’)の弾性降下温度が130℃以上の高温であるほど、縫製部の負荷通気度を抑制することができるため、高温ガスのエアバッグの通気度を抑制し、高温ガス展開の到達圧を高めることができる。弾性降下温度は、より好ましくは150℃以上であり、さらに好ましくは170℃以上である。他方、弾性降下温度は、織物の伸度を下げすぎないような柔軟な織糸であるという観点から、250℃以下が好ましい。
本実施形態の織物は、構成する織糸の総繊度が100から800dtexである。総繊度が100dtex以上であることにより、織物の機械特性を充たし、また、通気抑制に寄与する。織糸の総繊度が800dtex以下で細いほど軽量織物となり、厚みが減じて収納性にも寄与する。織糸の総繊度は、より好ましくは140dtex以上であり、さらに好ましくは200dtex以上である。他方、織糸の総繊度は、より好ましくは450dtex以下であり、さらに好ましくは300dtex以下である。
本実施形態の織物は、構成する織糸が脂環式ポリアミド繊維である。本明細書中、用語「脂環式ポリアミド繊維」とは、ジアミンと脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とが重縮合したポリアミドからなる繊維をいい、構成するジカルボン酸全体に対して脂環族ジカルボン酸の比率が50モル%以上含むことが好ましい。
この組成により、繊維の高融点を達成し、耐熔融性が向上している。また、繊維の貯蔵弾性率の弾性降下温度を上げ、ナイロン66繊維よりも高温時の剛性低下を大幅に抑制することが可能となる。また、脂肪族ポリアミドでアミド結合を有しているため、樹脂接着性も非常に優れている。さらに、耐熱ポリアミドとして一般的な芳香族由来の構造単位を含むポリアミドと比較して、柔軟な高分子構造を有し、高い破断伸度を有する糸を得ることができる。
ポリアミドとは、主鎖中にアミド(−NHCO−)結合を有する重合体を意味する。また、「ジカルボン酸に対する脂環族ジカルボン酸の比率が50モル%以上」とは、「原料モノマー成分由来の構造単位に対する脂環族ジカルボン酸由来の構造単位の比率が25モル%以上」を意味する。
本実施形態の織物は、引張破断伸度が経緯方向とも20%以上である。引張破断伸度が経緯方向とも20%以上であれば、人体拘束時の加速度変化が平滑であり、柔軟な拘束性能が得られる。引張破断伸度が小さすぎる場合、人体に及ぶ加速度が急峻に立ち上がってしまい、加害性が増大する傾向となる。織物の引張破断伸度は、好ましくは25%以上であり、より好ましくは30%以上である。他方、引張破断伸度が経緯方向とも60%以下が好ましく、バッグの変形による底付きに至ることがなくなる。
本実施形態の織物は、カバーファクターが好ましくは1900から2500である。カバーファクターは、(√経総繊度(dtex)×経織密度(本/2.54cm)+√緯総繊度(dtex)×緯織密度(本/2.54cm))で算出される。総繊度は経緯方向とも織糸構成糸の総繊度である。織物のカバーファクターが1900以上の高密度織物であれば、織物の機械特性を充たし、また、通気抑制に寄与する。カバーファクターが2500以下であれば、高品位な高密度製織が可能である。
本実施形態の織物は、構成する織糸のフィラメント繊度が0.5から10dtexであることが好ましい。フィラメント繊度が0.5dtex以上であれば、高密度織物の製織工程が安定化する。他方、フィラメント繊度が10dtex以下であれば、細いほど通気度抑制に寄与する。構成する織糸のフィラメント繊度は、より好ましくは1dtex以上、さらに好ましくは2dtex以上である。他方、構成する織糸のフィラメント繊度は、より好ましくは7dtex以下、さらに好ましくは4.5dtex以下である。
本実施形態の織物において、構成する織糸は、マルチフィラメント繊維であり、織糸のフィラメント数は30フィラメント以上500フィラメント以下が好ましい。単糸数が30フィラメント以上のマルチフィラメントであることにより、外部からの応力に柔軟に対応でき、比表面積が増えることから、樹脂接着性が向上する。他方、フィラメント数が500フィラメント以下であることで、製織品位が良くなる。
本実施形態の織物を構成する織糸のクロス比は1.7以下が好ましい。クロス比とは、マルチフィラメントの中の最大直径を最小直径で除した値であり、単糸間の均一性の尺度となる。マルチフィラメントの強度は、単糸の強度分布の中でも低い物性に引っ張られるため、単糸間のバラつきが大きいと強度が発現しない。本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維のクロス比は1.7以下であり、好ましくは1.6以下であり、より好ましくは1.5以下である。クロス比が1.7以下であることで、単糸レベルでの延伸が均一に行われ、単糸強度のバラつきが少なく、マルチフィラメントとして優れた強度が発現する。クロス比の下限は1.0である。
本実施形態の織物は、織物を構成する織糸の引張強度が6.0cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは7.0cN/dtex以上であり、さらに好ましくは8.0cN/dtex以上であり、一層好ましくは8.5cN/dtex以上である。引張強度が6.0cN/dtex以上で大きければ、織物の機械特性に優れ、すなわち、織物の引張強度を大きくすることに寄与し、ひいては、軽量化(軽量織物であってもエアバッグとしての耐圧性や耐バースト性が良好である)に寄与することができる。他方、織物を構成する織糸の引張強度は10.0cN/dtex以下であることが好ましい。引張強度は10.0cN/dtex以下であれば、熱延伸による繊維の内部欠陥を避けることができ、また、織物伸度を大きくすることに寄与する。
以下、本実施形態の織物を構成する織糸である脂環式ポリアミド繊維を構成するポリアミド高分子の組成について説明する。
[ジカルボン酸]
本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維は、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とジアミンとの重縮合物からなるポリアミドマルチフィラメント繊維である。ジカルボン酸に対する脂環族ジカルボン酸の比率が少なくとも50モル%以上が好ましく、より好ましくは60モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、一層好ましくは80モル%以上であり、最も好ましくは100モル%以上である。脂環族ジカルボン酸由来の構造単位を少なくとも50モル%以上含むことにより、弾性降下温度の高温化、繊維強度、紡糸性に優れるポリアミドマルチフィラメント繊維を得ることができる。
脂環族ジカルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、脂環構造の炭素数が3〜10である脂環族ジカルボン酸、好ましくは脂環構造の炭素数が5〜10である脂環族ジカルボン酸が挙げられる。具体的には、以下に限定されるものではないが、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸は、無置換でも置換基を有していてもよい。置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸としては、ポリアミドマルチフィラメント繊維の耐熱性、寸法安定性、強度等の観点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
また、脂環族ジカルボン酸は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジカルボン酸には、トランス体とシス体の幾何異性体が存在する。例えば、原料モノマーとしての1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、トランス体とシス体のどちらか一方を用いてもよく、トランス体とシス体の種々の比率の混合物として用いてもよい。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸は、高温で異性化し一定の比率になることやシス体の方がトランス体に比べて、ジアミンとの当量塩の水溶性が高いことから、原料モノマーとして、トランス異性体比率、すなわち、トランス体/シス体のモル比は、好ましくは50/50〜0/100であり、より好ましくは40/60〜10/90であり、さらに好ましくは35/65〜15/85である。トランス異性体比率が上記範囲内にあることにより、ポリアミドは、高融点、靭性、及び強度に優れる特性をもつだけでなく、高いガラス転移温度と、通常では耐熱性と相反する性質である流動性と、高い結晶性とを同時に満足することができる。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のトランス体/シス体のモル比は、液体クロマトグラフィー(HPLC)や核磁気共鳴分光法(NMR)により求めることができる。
脂環族ジカルボン酸以外のジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、2,2−ジメチルコハク酸、2,3−ジメチルグルタル酸、2,2−ジエチルコハク酸、2,3−ジエチルグルタル酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸、エイコサン二酸、ジグリコール酸等の炭素数3〜20の直鎖又は分岐状脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
また、得られるポリアミドの流動性を阻害しない限り、ジカルボン酸に対する芳香族ジカルボン酸の比率が0モル%以上10モル%以下の量で、前記ジカルボン酸に芳香族ジカルボン酸を加えてもよい。芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の無置換又は種々の置換基で置換された炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。
ジカルボン酸に対する脂環族ジカルボン酸の比率が少なくとも50モル%以上であれば、所望の作用効果を損なわない限り、前記以外のジカルボン酸を含んでいてもよい。
[ジアミン]
本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維は、紡糸安定性、耐熱性、低吸水性の観点から、ジアミン成分として、1,10−デカメチレンジアミンを含み、ジアミンに対する1,10−デカメチレンジアミンの比率が20モル%以上であることが好ましい。ジアミンに対する1,10−デカメチレンジアミンの比率は、好ましくは少なくとも20モル%以上、より好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上75モル%以下、より一層好ましくは45モル%以上70モル%以下である。
組成により融点が高過ぎる場合、溶融時にポリアミドが熱分解し、分子量や強度の低下、着色、分解ガスの混入が生じて紡糸性が悪化する。しかしながら、1,10−デカメチレンジアミンを20モル%以上80モル%以下含むことにより、高いTgを維持しながらも溶融紡糸に適した融点に抑えることができる。また、1,10−デカメチレンジアミンを含むポリアミドは溶融時の熱安定性が高いため、紡糸安定性に優れ、均一性の良いマルチフィラメント繊維を得ることができる。また、ポリアミド中のアミド基濃度が低下することにより、吸水時の寸法安定性に優れる糸を得ることができる。さらに、1,10−デカメチレンジアミンは、バイオマス由来の原料であるという観点からも好ましい。
1,10−デカメチレンジアミン以外のジアミンとしては、特に限定されず、無置換の直鎖脂肪族ジアミンでも、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等の置換基を有する分岐状脂肪族ジアミンでも、脂環族ジアミンでもよい。
1,10−デカメチレンジアミン以外のジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカメチレンジアミン等の直鎖脂肪族ジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルオクタメチレンジアミン、2,4−ジメチルオクタメチレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロペンタンジアミン等が挙げられる。
また、ジアミンに対する芳香族ジアミンの比率が0モル%以上10モル%以下のポリアミドの流動性を阻害しない範囲で、ジアミンに芳香族ジアミンを加えてもよい。芳香族ジアミンとは、芳香族を含有するジアミンであり、以下に限定されるものではないが、例えば、メタキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンが挙げられる。
1,10−デカメチレンジアミン以外のジアミンとして、炭素数5〜6のジアミンを含み、炭素数5〜6のジアミンの比率が20モル%以上であるものがより好ましい。1,10−デカメチレンジアミン以外に炭素数5〜6のジアミンを共重合させることで、紡糸に適した適度な融点を維持しつつも、結晶性の高いポリマーを得ることができる。炭素数5〜6のジアミンとしては、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレンジアミン、2,5−ジメチルヘキサンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
炭素数5〜6のジアミンの中では、紡糸性や流動性、強度の観点から、2−メチルペンタメチレンジアミンが好ましい。2−メチルペンタメチレンジアミンの比率が高すぎると、2−メチルペンタメチレンジアミンが自己環化して、溶融時に分解し、分子量低下を引き起こすため、紡糸性や強度が悪化する。ジアミン中の2−メチルペンタメチレンジアミンの比率としては、流動性を確保しつつも溶融時の分解が起こらない範囲に設定する必要があり、好ましくは20モル%以上70モル%以下、より好ましくは20モル%以上60モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上55モル%以下である。
また、炭素数5〜6のジアミンの中では、ポリアミドマルチフィラメント繊維の耐熱性の観点から、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。ヘキサメチレンジアミンの比率が高すぎると、融点が高くなりすぎて、紡糸が困難になるため、ジアミン中のヘキサメチレンジアミンの比率として、好ましくは20モル%以上60モル%以下、より好ましくは20モル%以上50モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上45モル%以下である。
ジカルボン酸の添加量とジアミンの添加量は、高分子量化のため、同モル量付近であることが好ましい。重合反応中のジアミンの反応系外への逃散分もモル比においては考慮して、ジカルボン酸全体のモル量1.00に対して、ジアミン全体のモル量は、0.90〜1.20であることが好ましく、より好ましくは0.95〜1.10であり、さらに好ましくは0.98〜1.05である。
[ラクタム及び/又はアミノカルボン酸]
本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維は、所望の作用効果を損なわない範囲で、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸由来の成分を含んでいてもよい。
前記ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ラウロラクタム(ドデカノラクタム)が挙げられる。
アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ω位がアミノ基で置換された炭素数4〜14の直鎖又は分岐状飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましく、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸が挙げられ、アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸等が挙げられる。
ラクタム及び/又はアミノカルボン酸由来の成分比率については、特に限定されるものではないが、原料モノマー成分由来の構造単位に対するラクタム及び/又はアミノカルボン酸成分由来の比率が、0モル%以上20モル%以下含まれていてもよく、より好ましくは2モル%以上15モル%以下である。ラクタム及び/又はアミノカルボン酸成分由来の比率が0モル%以上20モル%以下であることにより、耐熱性、紡糸性、強度に優れるポリアミドマルチフィラメント繊維とすることができる。
[末端封止剤]
ジカルボン酸とジアミンからポリアミドを重合する際には、分子量調節のために公知の末端封止剤をさらに添加することができる。末端封止剤としては、例えば、モノカルボン酸、モノアミン、無水フタル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などが挙げられ、熱安定性の観点で、モノカルボン酸、モノアミンが好ましい。末端封止剤は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノカルボン酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環族モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸;が挙げられる。
末端封止剤としてのモノカルボン酸は、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
末端封止剤として使用できるモノアミンとしては、カルボキシル基との反応性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環族モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミンなどの芳香族モノアミン;が挙げられる。末端封止剤としてのモノアミンは、1種類で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
[添加剤]
高温、高湿の環境下での熱安定性のためには、ポリアミドに対して銅濃度が1〜500ppmとなるように銅化合物を添加するのが好ましく、より好ましくは30〜500ppmである。そうすることで、本発明品が高温、高湿の環境下に長時間置かれたり、オゾンが多く含まれる環境下に長期間暴露されたとしても、機械的性能の低下が極めて有効に抑制される。前記銅含有率が30ppm未満では耐熱強度保持率が低下し、500ppmを超える添加量では強度が低下する。
銅化合物としては、その種類を特に制限するものではなく、例えば、酢酸銅などの有機銅塩、又は塩化第一銅、塩化第二銅などのハロゲン化銅などを好ましく用いることができる。銅化合物は、金属ハロゲン化合物と併用することがより好ましい。金属ハロゲン化合物としては、例えば、沃化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム等が挙げられる。本実施形態における好ましい組み合わせは、沃化第一銅と沃化カリウム、及び酢酸銅と沃化カリウムである。尚、ポリアミド中の銅含有量は、原子吸光法や比色法などにより測定することができる。
また、以下に制限されないが、安定剤として、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などの有機系酸化防止剤や熱安定剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、イミダゾール系等の光安定剤や紫外線吸収剤等を添加してもよい。添加量は適切な量を選択すればよいが、ポリアミドに対して1〜1000ppm添加することができる。これら添加剤は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いてもよい。
[重合度]
ポリアミドマルチフィラメント繊維の分子量分布はMw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)で評価することができる。ポリアミドマルチフィラメント繊維のMw/Mnは、延伸性や繊維強度等の観点から、4.0以下が好ましく、より好ましくは1.5〜3.8であり、さらに好ましくは1.5〜3.5である。Mw/Mnの下限は1.0である。
[ポリアミドの製造方法]
ポリアミドの製造方法としては、例えば、以下に例示するように種々の方法が挙げられる:
(1)ジカルボン酸・ジアミン塩又はその混合物の水溶液又は水の懸濁液を加熱し、溶融状態を維持したまま重合させる方法(以下、「熱溶融重合法」とも略称する。)。
(2)熱溶融重合法で得られたポリアミドを融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「熱溶融重合・固相重合法」とも略称する。)。
(3)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱し、析出したプレポリマーをさらにニーダーなどの押出機で再び溶融して重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・押出重合法」とも略称する。)。
(4)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物の、水溶液又は水の懸濁液を加熱、析出したプレポリマーをさらにポリアミドの融点以下の温度で固体状態を維持したまま重合度を上昇させる方法(以下、「プレポリマー・固相重合法」とも略称する。)。
(5)ジアミン・ジカルボン酸塩又はその混合物を、固体状態を維持したまま重合させる方法(以下、「固相重合法」とも略称する)。
(6)ジカルボン酸と等価なジカルボン酸ハライド成分とジアミン成分を用いて重合させる方法「溶液法」。
ポリアミドの製造方法において、ポリアミドの流動性の観点から、脂環族ジカルボン酸のトランス異性体比率を85%以下に維持して重合することが好ましく、特に、80%以下に維持することにより、さらに色調や引張伸度に優れ、高融点のポリアミドが得られる。ポリアミドの製造方法において、重合度を上昇させてポリアミドの融点を上昇させるために、加熱の温度を上昇させたり、及び/又は加熱の時間を長くしたりする必要があり、その際、加熱によるポリアミドの着色や熱劣化による引張伸度の低下が起こる場合がある。また、分子量の上昇する速度が著しく低下する場合がある。ポリアミドの着色や熱劣化による引張伸度の低下を防止することができるため、トランス異性体比率を80%以下に維持して重合することが好適である。
ポリアミドを製造する方法としては、トランス異性体比率を85%以下に維持することが容易であるため、また、得られるポリアミドの色調に優れるため、(1)熱溶融重合法、又は(2)熱溶融重合・固相重合法によりポリアミドを製造することが好ましい。
ポリアミドの製造方法において、重合形態としては、バッチ式でも連続式でもよい。重合装置としては、特に限定されるものではなく、公知の装置、例えば、オートクレーブ型反応器、タンブラー型反応器、ニーダーなどの押出機型反応器などが挙げられる。
ポリアミドの製造方法としては、以下に述べるバッチ式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造することができる。
バッチ式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒として、ポリアミド成分(ジカルボン酸、ジアミン、及び、必要に応じて、ラクタム及び/又はアミノカルボン酸)を含有する約40〜60質量%の溶液を、110〜180℃の温度及び約0.035〜0.6MPa(ゲージ圧)の圧力で操作される濃縮槽で、約65〜90質量%に濃縮して濃縮溶液を得る。次いで、該濃縮溶液をオートクレーブに移し、容器における圧力が約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)になるまで加熱を続ける。その後、水及び/又はガス成分を抜きながら圧力を約1.5〜5.0MPa(ゲージ圧)に保ち、温度が約250〜350℃に達した時点で、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧することにより、副生する水を効果的に除くことができる。その後、窒素などの不活性ガスで加圧し、ポリアミド溶融物をストランドとして押し出す。該ストランドを、冷却、カッティングしてペレットを得る。
ポリアミドの製造方法としては、以下に述べる連続式の熱溶融重合法によりポリアミドを製造することもできる。
連続式の熱溶融重合法としては、例えば、水を溶媒としてポリアミド成分を含有する約40〜60質量%の溶液を、予備装置の容器において約40〜100℃まで予備加熱し、次いで、濃縮槽/反応器に移し、約0.1〜0.5MPa(ゲージ圧)の圧力及び約200〜270℃の温度で約70〜90%に濃縮して濃縮溶液を得る。該濃縮溶液を約200〜350℃の温度に保ったフラッシャーに排出し、その後、大気圧まで降圧する(ゲージ圧は、0MPa)。大気圧に降圧後、必要に応じて減圧する。その後、ポリアミド溶融物は押し出されてストランドとなり、冷却、カッティングされペレットとなる。
[ポリアミドマルチフィラメント繊維]
本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維は、上述したポリアミドを所定の方法により繊維化したものである。このポリアミドは脂環族ポリアミドであるため、その流動性や曳糸性は、芳香族ポリアミドよりも優れている。しかし、ナイロン66などの一般的な脂肪族ポリアミドに比べ、より高温でなければ繊維化に適した流動特性が得られない一方で、融点が高いため、ポリマーの劣化が進むおそれがでてくる。そこで、下記のような製造方法により、強度、紡糸安定性、均一性に優れた繊維を得ることができる。
ポリアミドマルチフィラメント繊維の製造方法としては、様々な方法を用いることができるが、通常は溶融紡糸が用いられ、スクリュー型の溶融押出機を用いて行うことが好ましい。ポリアミドの紡糸温度(溶融温度)は300℃以上360℃以下であることが好ましい。300℃以上あれば、熱量不足による未溶解物の混入を抑制することができる。360℃以下であると、ポリマーの熱分解や分解ガスの発生を大幅に低減し、紡糸性が向上する。
熱溶融後は、孔径が約10〜100μmの細孔を有する金属不織布フィルターを組み込んだ紡糸パック中を通過させ、紡口と呼ばれる口金細孔ノズルを通して吐出する。マルチフィラメントとするため、この際のノズルはホール数が30以上であることが好ましい。また、紡糸性を確保するため、孔径は0.10mm〜0.50mmが好ましい。さらに、ノズルの長(L)と径(D)の比であるL/Dは1.0〜4.0の範囲であることが好ましい。
マルチフィラメントの紡口には多数の細孔が必要なため、モノフィラメントと比べて紡口表面積が大きくなり、紡口表面の温度斑が起こり易い。特に、本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維はTmが高く、また、温度による流動特性への影響が大きいため、温度斑が生じると均一な繊維を得ることが困難となる。そこで、紡口表面の温度斑を減らし、吐出時のポリマー温度を均温化させることが特に重要である。紡口表面温度の均一性を高めるためには、紡口ヒーターを設置することが好ましい。特に紡口表面は糸条の随伴流により、外側が激しく冷やされるので、紡口ヒーターは紡口の外側を囲うようして、紡口に直付けで取り付けるのが好ましい。
紡口ヒーターにより、紡口表面温度をTm以上Tm+60℃以下で加熱し、紡口面の中心と外周の温度差を3℃以内することで、吐出時のポリマーの溶融粘度差が小さくなり、均一性に優れた繊維を得ることができる。紡口表面温度がTm以上あることで、熱量不足による吐出斑が生じることなく、均一な繊維を得ることができる。紡口表面温度がTm+60℃よりも低いことで熱劣化を低減することができる。
吐出した直後の糸条には加熱筒などにより、加熱ゾーンを設けることが好ましい。加熱筒とは糸条を囲んだヒーターである。本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維はTmが高いため、紡糸直後の固化速度が速く、曳糸性が低下し、紡口直下での切糸が頻発して、紡糸が困難となる。そこで、加熱筒を設置し、紡口直下の雰囲気温度を高く、均一にすることで、溶融ポリマーの固化速度や単糸間の固化斑が抑えられ、曳糸性が大幅に向上する。また、本実施形態のポリアミドマルチフィラメント繊維はTgが高いため、紡糸ドラフトの影響で配向し易く、延伸性の低下を招くが、加熱筒を設置することで、紡糸ドラフトでの不均一な配向を緩和し、延伸性及び強度が向上する。糸条は随伴流の影響により、外周の単糸から冷やされるので、加熱筒としては糸条を外側から囲うような円筒形のヒーターを設けることが好ましい。また、吐出直後の曳糸性の確保と配向緩和のためには、加熱ゾーンの距離が必要であり、加熱筒の長さは、例えば、10〜300mmあるのが好ましい。さらに、加熱筒の温度は100℃以上200℃以下が好ましい。100℃未満であると吐出された溶融ポリマーはすぐに固化して、曳糸性や配向緩和が低下する。他方、200℃よりも高いと熱劣化が生じて、強度低下や色調の悪化が生じる。
加熱ゾーンを通過した糸条は冷風を当てることにより、急冷固化される。この時の冷風速度は0.2〜2.0m/minの範囲が好ましい。0.2m/minより遅いと冷却不十分となる。2.0m/minよりも速いと糸揺れが大きくなり、単糸が接触し、単糸同士が密着して紡糸性や延伸性が低下する。次いで、仕上剤が付与される。仕上剤は、鉱物油で希釈した非水系仕上剤、又は仕上剤濃度が15〜35重量%の水分散系エマルジョンが付与される。繊維に付着させる仕上剤の付着量は、巻き取った繊維に対し0.5〜2.5重量%、好ましくは0.7〜2.0重量%である。
延伸工程では、加熱浴、加熱蒸気吹付け、ローラーヒーター、接触式プレートヒーター、非接触式プレートヒーター等を使用することができるが、生産性の観点からローラーヒーターが好ましい。また、本実施形態では、延伸は冷延伸と熱延伸の工程を含む2段以上の多段熱延伸を行うことが好ましい。特に繊維強度を発現させるためには、冷延伸温度、熱延伸温度、冷延伸倍率と熱延伸倍率の比率が重要となる。
冷延伸は熱延伸をさせる前に繊維配向を適度に揃えるための予備延伸の役割を果たす。本実施形態のポリアミド樹脂は高いTgを有しているため、冷延伸温度も(Tg−30℃)以上Tg以下の高い温度が必要となる。(Tg−30℃)以上であることで、延伸斑なく、均一に配向して、良好な強度が得られる。Tg以下であることで結晶化が過剰に進むことを抑制できる。また、延伸による一軸配向においては、ネック点と呼ばれる急激に径が小さくなり、配向が進む箇所が存在するが、冷延伸温度がTg以下であることで、ネック点が安定して、マルチフィラメントにおいて均一な繊維を得ることができる。
本実施形態のポリアミド樹脂は高いTgを有しているため、延伸の際に熱量不足や熱量多過による延伸斑や過剰な熱結晶化が生じやすい。そのため、高延伸するためには、冷延伸倍率と熱延伸倍率の配分が非常に重要である。冷延伸倍率の配分は総合延伸倍率の50%以上80%以下が好ましい。冷延伸倍率の配分が総合延伸倍率の50%以上であると、繊維に必要な予備延伸が与えられ、延伸斑なく均一な繊維を得ることができる。また、熱延伸での過剰な結晶化を抑えることができる。他方、冷延伸倍率の配分が総合延伸倍率の80%以下であると熱延伸にて結晶化に必要な熱量が与えられて、優れた強度を得ることができる。
熱延伸温度は200℃以上250℃以下が好ましい。200℃以上であると、結晶化に必要な熱量が与えることができ、他方、250℃よりも低いと、繊維の熱劣化を抑制することができる。総延伸倍率は2.0〜7.0倍、好ましくは3.0〜6.0倍である。
延伸された繊維は巻き取る前に交絡付与装置により、糸条に高圧流体を吹き付けて交絡させることが好ましい。交絡付与装置としては、従来のエア交絡装置を適宜用いることができる。マルチフィラメントに交絡を付与することで、単糸の「集束ばらけ」を抑えることができる。また、引張破断伸度を高めにすることでプランジャーエネルギー向上に寄与する。交絡数は1個/m以上30個/m以下が好ましく、より好ましくは1個/m以上20個/m以下であり、さらに好ましくは1個/m以上15個/m以下である。交絡数が1個/m以上あることで、単糸の「集束ばらけ」を抑えることができ、他方、交絡数が20個/m以下であることで、交絡による糸条へのダメージを低減できる。
強伸度などの機械物性の観点から、ポリアミドマルチフィラメント繊維の、JIS−K6810に従って測定した98%硫酸中濃度1%、25℃の硫酸相対粘度(ηr)は、1.5以上4.0以下であり、好ましくは1.7以上3.5以下であり、より好ましくは1.8以上3.3以下である。ηrが1.5以下であると、十分な強度を発揮することができず、また、ηrが4.0以上の繊維は、良好な品位の織物を得ることが困難である。
[織物]
本実施形態の織物の製織に際して、経糸準備の段階又は織機上で、経糸などに集束性向上や平滑性向上のための油剤成分やワックス成分を付与してもよい。ここで付与された油剤やワックス成分は最終的にエアバッグ用織物に含有されてもよい。また、製織時の毛羽発生や経糸切れを防止するためにサイジングを施してもよい。ただし、最も好ましいのは、原糸に何らの剤を付けずに、ノンサイジングやノンオイル・ノンワックスで織機ビームに巻き上げることである。
本実施形態の高密度織物の製織に際し、使用する織機は、ウォータージェットルーム、エアジェットルーム、レピアルームや多相織機などが好ましく、これらを用いて織物を作製することができる。特に、高速化や広幅化、又は機械価格の観点から、ウォータージェットルームが好ましい。ウォータージェットルームでは、緯糸を1つのノズルで緯入れする1色用のタイプであれば、経糸の開口量も少なくでき、より高速化が可能であり、また緯糸を2つのノズルで緯入れする2色用のタイプであれば、緯糸チーズの替わり目の内外層の糸収縮差を緩和させて幅変動の少ない織物をつくることも可能である。さらに、織機の回転数は、織機幅が1.5m〜3m程度の近年のウォータージェットルームで機械剛性も向上しており、振動も少ないことなら、500rpm以上で製織することが生産効率上好ましい。
本実施形態の織物を製織するに際し、製織時の経糸張力は0.20〜0.45cN/dtexが好ましく、より好ましくは0.24〜0.40cN/dtexであり、さらに好ましくは0.29〜0.36cN/dtexである。経糸張力が0.20cN/dtexよりも低い場合は、高密度織物を製織する際に耳部の経糸が緩みがちになるが、その緩みを伸ばし切れず、緯糸の経糸掛りなどの製織時の織機停止因が発生することになりやすい。他方、経糸張力が0.45cN/dtexを超える場合は、経糸にかかる力が大きすぎて毛羽が発生しやすくなり、製織性や織物品質を低下させてしまう。
織物組織としては、平織、綾織、朱子織、これらの変化織や組織混合した織物、多軸織などの組織が使用されるが、これらの中でも、特に機械的特性に優れ、また地薄な面から平組織が好ましい。
製織した織物は、過剰な油剤成分や汚れの除去のために精練洗浄することができる。精練工程では、温水浴でアルカリ洗浄や界面活性剤洗浄が行われるが、むしろ、精練せずに織物に仕上げてもよい。ウォータージェットルームでは油剤成分は概ね脱落し、油剤成分付着量が適度になった織物を精練せずに織物に仕上げることができ、経済的でもある。最終的に、織物に対して平滑剤、帯電防止剤を主成分とした整経油剤や製織工程油剤が油剤成分として含有されることが好ましい。精練工程では、適度な精練温度を選定したり、あるいは、精練を実施しないことが好ましく、織糸原糸の性状、特に収縮率により適宜条件選定すればよい。
次いで、織物を乾燥し、熱固定を行って本発明の高密度織物に仕上げることができる。織物の乾燥や熱固定では、織物幅と経糸方向の送りについて、それぞれ収縮量や張力を制御することが好ましい。例えば、テンター式乾燥機などが用いられ、加熱処理の温度を選定し、加熱処理しながらも収縮するに任せず張力をかけながら加工することが好ましい。さらには、加熱処理後に張力をかけながら急冷することが好ましい。
本実施形態の織物は、樹脂やエラストマーのコーティングを施さずにエアバッグに用いることもできる。また、この織物にカレンダー加工を施してもよいが、引裂き強力の低下を招かぬよう注意する必要があり、好ましくはカレンダー加工を施さずに用いることがよい。
あるいは、本実施形態の織物は、樹脂やエラストマーのコーティングを施してエアバッグに用いてもよい。コーティング剤は耐寒性、柔軟性、難燃性からシリコーンが好ましく、非通気被膜の形成性から無溶剤の付加型液状シリコーンが好ましい。コーティング量は5〜150g/m2が好ましい。軽量コーティングとしては5〜35g/m2のコーティングが好ましく、これにより、非通気性でありながら、軽量基布が得られる。あるいは、35〜150g/m2のコーティングによって、縫製加工時の針穴部におけるコーティング剤剥離をふせぎ、非通気にすることも好ましい。
本実施形態の織物は、樹脂やエラストマーのコーティング剤と良好な接着性を有する。また、本実施形態の織物は、ISO5981の接着評価で剥離耐久性を有する。80℃で95%RH環境下で200時間暴露後の接着評価が、暴露前の接着評価に比べて、剥離耐久回数が比較的維持されており、湿熱接着変化が40%未満であることが好ましく、より好ましくは20%未満である。
本実施形態の織物では、FRAZIER通気度が、0.5cm/cm/sec以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.3cm/cm/sec以下であり、一層好ましくは0.1cm/cm/sec以下であり、最も好ましくは0cm/cm/secで通気度が検出されないことである。この通気度が低ければ、エアバッグ展開における高温高圧条件下で低通気となる。
[エアバッグ]
本実施形態の織物はエアバッグ用基布として用いられ,裁断縫製されて、運転席用エアバッグ、助手席用エアバッグ、後部座席用エアバッグ、側面用エアバッグ、膝部用エアバッグ、カーシート間エアバッグ、側面用カーテン状エアバッグ、後部ウィンドウ用カーテンバッグ、歩行者保護エアバッグなどに適宜使用することができる。これらのエアバッグにおいては、インフレーター取り付け口やベントホール部分などに用いられる補強布又はバッグ展開形状を規制する部材を、該エアバッグ用織物と同一織物を用いることができる。また、エアバッグの縫製においては、打抜き、溶断、裁断によって形成された1枚もしくは複数枚のかかるエアバッグ用織物を用い、その周縁部を縫製してエアバッグを形成することができ、さらには周縁部の縫製が、一重又は二重縫製等で構成されたエアバッグを形成することができる。
[エアバッグ周辺部材]
本実施形態の織物はエアバッグを構成する周辺部材に用いることができる。エアバッグをインフレーターに取り付ける部位では、エアバッグの膨張展開の過程で熱的にも機械的にも大きな負荷がかかるため、エアバッグ補強布を付加して補強することがある。本実施形態の織物はこのエアバッグ補強布に用いることができる。エアバッグインフレーターのガス噴出口では、火薬残渣が飛散するため、火の粉を受け止めるための防炎布を付加して補強することがある。本実施形態の織物はこの防炎布に用いることができる。エアバッグインフレーターのガス噴出をチューブ状にしたガス導入布でエアバッグ内部に誘導することがある。とりわけ、カーテン状のエアバッグでは、ガス導入布で人体拘束中心部位にガス噴出を誘導することが重要である。本実施形態の織物はこのガス導入布に用いることができる。
[エアバッグ装置]
また、上記の裁断縫製したエアバッグ(袋)と、推薬などでガス発生させるインフレーターとを組み合わせて、エアバッグモジュールを製造することができる。
以下、実施例と比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
まず、実施例及び比較例に用いた原材料の調製、測定方法、製造方法等を以下に説明する。
(1)織糸の機械物性
織物から取り出した糸の見かけ繊度をJIS L 1096:2010の附属書Hに従って計測し、織糸の総繊度(dtex)とした。織物の断面で織糸のフィラメント数を数え、織糸繊度をフィラメント数で除してフィラメント(単糸)繊度(dtex)とした。
また、織物から取り出した糸の引張強力をJISL1013:2010の8.5.1に準じて計測し、前記の見かけ繊度で除して引っ張り強さを求め、織糸強度(cN/dtex)とした。
織物から取り出した糸のクロス比は、繊維の断面をカットし、光学顕微鏡にて倍率250倍で任意50本の単糸を観察した。この際の、該単糸の直径を測定し下式:
クロス比=最大直径/最小直径
により求めた。
織物から取り出した糸の硫酸相対粘度(ηr)は、JIS−K6810に従って、98%硫酸で溶解濃度1%、25℃にて計測した。
(2)織糸の融点(℃)
織物から取り出した糸を刻んで試料とし、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Pyris1−DSCを用いて測定した。測定条件は、窒素雰囲気下、試料約10mgを昇温速度20℃/minでサンプルの融点に応じて200〜400℃まで昇温したときに現れる吸熱ピーク(融解ピーク)の温度をTm(℃)とした。
(3)織糸の粘弾性特性:弾性降下温度(℃)
セイコーインスツル社製の動的粘弾性測定装置DMS−6100を使用して、織物から取り出した糸で糸長20mmの試料を、周波数:10Hz、歪振幅:10μm、最小張力/圧縮力:50mN、張力/圧縮力ゲイン:1.5、力振幅初期値:50mNの条件で−50℃から270℃まで2.5℃/min昇温速度で測定した。
貯蔵弾性率E’−温度(℃)曲線で、昇温時に急激にE’値が低下する点の温度を弾性降下温度(℃)とした。これは、貯蔵弾性率E’−温度(℃)曲線において、昇温でE’が漸減する過程の接線と、その後にE’が急落してゆく過程の変曲点での接線の交点の温度から求めた。
(4)織密度(本/2.54cm)
織物の織密度は、経緯方向いずれもJIS L 1096:2010の附属書Fに従って計測した。
カバーファクターは、この織密度と前記の織糸繊度から、(√経総繊度(dtex)×経織密度(本/2.54cm)+√緯総繊度(dtex)×緯織密度(本/2.54cm))により算出した。
(5)織物目付(g/m
織物目付は、JISL1096:2010の8.3.2に準じて計測した単位面積当たりの質量から求めた。
(6)樹脂塗布量(g/m
JISK6404−2−2:1998に準じた。但し、樹脂付着量は、基布からポリアミド織物を蟻酸溶解除去した後のコーティング樹脂残渣量から求めた。
(7)織物(基布)強度(N/cm)、伸度(%)
織物強度と伸度は、JISL1096:2010の8.14.1(A法)に準じて引張破断計測した引張強さと伸び率から求めた。
(8)通気度(cm/cm/s)
織物通気度は、JISL1096:2010の8.26(A法FRAZIER法)による通気性計測から求めた。
(9)展開試験
サイドカーテンエアバッグの作製:織物を図1に示す形状で容量40Lのサイドカーテンエアバッグを、縫糸が235dtex/2×3、運針数が5.0針/cmで4mm幅の2列本縫いで縫製した。
サイドカーテンエアバッグには、展開ガス導入用にインナーチューブを挿入し、展開ガスをリア端のガス供給口からフロント膨張部とリア膨張部へ誘導するようにした。インナーチューブには同じ布を用いた。この布をガス供給口が挿入できるような口径で筒状にバイアス縫製した。縫製は、1400dtexの縫い糸で、36本/10cmの運針数で7mm幅の2列の二重環縫いで行なった。インナーチューブの先端は開口であり、縫製部を上側とした。
高温バッグインフレーター試験:上記サイドカーテンエアバッグを、畳むことなくカーテン状に80℃のオーブン中に設置した。ノズルを介してオーブン外からガス出力1モルのパイロ型インフレーターを用いて展開し、破袋のようすを観察した。破袋観察されたものを×評価とした。
高温バッグ高圧ガス試験:上記のサイドカーテンエアバッグをロール状に畳み込み、粘着テープで6箇所にわたって仮止めしてオーブン中に水平に設置した。マイクロシス社製CGSシステムを用い、ヘリウムガスを6MPaで720ccタンクに充填したものを急速ガス導入してエアバッグを展開させ、バッグの内部圧力をモニターした。
オーブンを20℃と100℃に設定し、最大到達圧の差を比較した。100℃の到達圧低下が20%未満である場合を耐熱気密性良好(○)とし、到達圧の低下が20%以上で40%未満の場合を耐熱気密性良(△)とし、そして到達圧の低下が40%以上の場合を耐熱気密性不良(×)とした。
インパクター試験:FMVSS201に準じて実施した。上記のサイドカーテンエアバッグを、畳むことなくカーテン状に保持ラックに設置した。2.0molストアードガスインフレーターをガス供給口にホースバンドで取り付け、展開させた。側面から展開膨張を観察し、膨張断面積が99%に達した時点に合わせて、ヘッドフォームを衝突させた。すなわち、サイドカーテンエアバッグの運転席保護エリアのクッション中心部に向けてカーテン面に対して垂線方向から、FMVSS201用ヘッドフォーム(重さ4.5kg)を24km/Hrで放出した。ヘッドフォーム内の加速度計により衝撃吸収の加速度(m/s2)の時間経過(msec)を計測した。頭部障害基準値(HIC)を算出し、ピーク加速度をHICで除して瞬間作用指数を求めた。瞬間作用指数が1.3%未満である場合を耐熱気密性良好(○)とし、瞬間作用指数が1.3%以上で1.5%未満の場合を耐熱気密性良(△)とし、そして瞬間作用指数が1.5以上の場合を耐熱気密性不良(×)とした。
(10)経湿接着試験
コーティング後の織物を、80℃、95%RHで200hr処理し、処理前後の織物を試料とした。ISO 5981に準じて評価した。試料の大きさ:50mmW(経糸方向)×100mmL(緯糸方向)。試料には、緯糸方向の両端から27mmの位置に掴み線を描いておいた。
試料のセット:掴みクランプを向かい合う位置に合わせ、コーティング面を上にして掴み線とクランプ縁を揃えて100mmL方向の中央の46mmが両クランプ間に位置する様に把持した。中央46mmの部分はきれいに折りたたみ、110Nの圧力荷重を加えた。100サイクル毎に、目視可能なシリコーン層の剥離がないかを確認し、剥離が生じたサイクル数を接着性とした。湿熱処理前から後の変化で接着性の低下が20%未満である場合を接着良好(○)とし、接着性の低下が20%以上で40%未満の場合を接着性良(△)とし、そして接着性の低下が40%以上の場合を接着性不良(×)とした。
<実施例A>
「熱溶融重合法」によりポリアミド重合を実施した。
原料モノマーの重量を1500gとし、以下の表1の組成比になるように、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸831g(4.83モル)、1,10−デカメチレンジアミン416g(2.41モル)、及び2−メチルペンタメチレンジアミン280g(2.41モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。この均一水溶液に、ジアミン追添量が等モル量に対して2.1%となるように1,10−デカメチレンジアミン17.0g(0.10モル、全ジアミンに対して2.1%)を追添し、さらに重合後のポリマー重量に対して、銅濃度が170ppm、ヨウ素濃度が0.68%となるようにヨウ化カリウムとヨウ化銅を加えて水溶液を得た。
得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cmになるまで、液温を約50℃から加熱を続けた。
槽内の圧力を約2.5kg/cmに保つため、水を系外に除去しながら加熱を続け、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約30kg/cmになるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30kg/cmに保つため水を系外に除去しながら、最終温度−30℃になるまで加熱を続けた。液温が最終温度−30℃(ここでは290℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm)になるまで60分かけながら降圧した。その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約320℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で100torrの減圧下に10分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出してポリアミドを得た。得られたポリアミドを、真空乾燥機で乾燥し、水分率を500ppmに調整した。
乾燥した状態のポリアミドを、溶融紡糸装置(口金細孔ノズル:孔数72、孔径0.23mm、外径130mm)を用いて、紡糸温度320℃、紡口ヒーター温度320℃、加熱筒温度120℃(加熱筒長150mm、内径170mm)の条件で紡糸した。この時の紡口の中心と外周部の温度差は1℃であった。その後、0.9m/sの冷風速度で冷却後、巻き取った繊維に対して1.0重量%で仕上剤を付着した。次に、冷延伸温度138℃で総合延伸倍率の65%延伸し、さらに熱延伸温度220℃で延伸した。延伸後、交絡付与装置により交絡を8回/m付与して、巻取機で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメントAを得た。繊維の融点は280℃であり、繊度235dtex、フィラメント数72本で引張強度は8.6cN/dtexであった。
<実施例B>
原料モノマーの重量を1500gとし、以下の表1の組成比になるように、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸816g(4.74モル)、1,10−デカメチレンジアミン490g(2.84モル)、及び1,5−ペンタメチレンジアミン194g(1.90モル)を蒸留水1500gに溶解させ、原料モノマーの等モル50質量%均一水溶液を作製した。この均一水溶液に、ジアミン追添量が等モル量に対して2.1%となるように1,10−デカメチレンジアミン17.0g(0.10モル、全ジアミンに対して2.1%)を追添し、さらに重合後のポリマー重量に対して、銅濃度が170ppm、ヨウ素濃度が0.68%となるようにヨウ化カリウムとヨウ化銅を加えて水溶液を得た。
得られた水溶液を、内容積5.4Lのオートクレーブ(日東高圧製)に仕込み、液温(内温)が50℃になるまで保温して、オートクレーブ内を窒素置換した。オートクレーブの槽内の圧力が、ゲージ圧として(以下、槽内の圧力は全てゲージ圧として表記する。)、約2.5kg/cmになるまで、液温を約50℃から加熱を続けた。
槽内の圧力を約2.5kg/cmに保つため、水を系外に除去しながら加熱を続けて、水溶液の濃度が約75質量%になるまで濃縮した(この系での液温は約160℃であった。)。水の除去を止め、槽内の圧力が約30kg/cmになるまで加熱を続けた(この系での液温は約245℃であった。)。槽内の圧力を約30kg/cmに保つため水を系外に除去しながら、最終温度−30℃になるまで加熱を続けた。液温が最終温度−30℃(ここでは300℃)まで上昇した後に、加熱は続けながら、槽内の圧力が大気圧(ゲージ圧は0kg/cm)になるまで60分かけながら降圧した。その後、樹脂温度(液温)の最終温度が約330℃になるようにヒーター温度を調整した。樹脂温度はその状態のまま、槽内を真空装置で100torrの減圧下に10分維持した。その後、窒素で加圧し下部紡口(ノズル)からストランド状にし、水冷、カッティングを行いペレット状で排出してポリアミドを得た。得られたポリアミドを、真空乾燥機で乾燥し、水分率を500ppmに調整した。
乾燥した状態のポリアミド樹脂を、溶融紡糸装置(口金細孔ノズル:孔数72、孔径0.23mm、外径130mm)を用いて、紡糸温度330℃、紡口ヒーター温度330℃、加熱筒温度120℃(加熱筒長150mm、内径170mm)の条件で紡糸した。この時の紡口の中心と外周部の温度差は1℃であった。その後、0.9m/sの冷風速度で冷却後、巻き取った繊維に対して1.0重量%で仕上剤を付着した。次に、冷延伸温度134℃で総合延伸倍率の65%延伸し、さらに熱延伸温度220℃で延伸した。延伸後、交絡付与装置により交絡を8回/m付与して、巻取機で巻き取り、ポリアミドマルチフィラメント繊維Bを得た。繊維の融点は292℃であり、繊度235dtex、フィラメント数72本で引張強度は8.6cN/dtexであった。
Figure 2017020126
<実施例1>
実施例Aのポリアミドマルチフィラメント繊維を糊付けや撚糸することなく整経し、ウォータージェット織機に経糸仕掛けし、実施例Aのポリアミドマルチフィラメント繊維を糊付けや撚糸することなく緯糸に用いて、織機回転数600rpmで平織製織を行った。
その後、80℃の湯浴槽を180secで通過させ、加熱ドラムにて110℃で40sec間乾燥を行った。織密度が経緯共に74本/inchの織物を得た。
この織物の製糸仕上剤に由来する残油量を計測した結果、基布重量に対し0.1重量%であった。得られた基布の各種特性測定や性能評価の結果を以下の表2に示す。
<実施例2>
実施例1において、筬密度を調整し、緯糸打ち込みを調整して、織密度を変え、熱架橋型の無溶媒付加型シリコーンを20g/mナイフコーティングして熱処理後に、経緯共に71本/inchの織物とした。得られた基布の各種特性測定や性能評価の結果を以下の表2に示す。
<実施例3>
実施例Bのポリアミドマルチフィラメント繊維を糊付けや撚糸することなく整経し、ウォータージェット織機に経糸仕掛けし、実施例Bのポリアミドマルチフィラメント繊維を糊付けや撚糸することなく緯糸に用いて、織機回転数600rpmで平織製織を行った。
その後、80℃の湯浴槽を180secで通過させ、加熱ドラムにて110℃で40sec間乾燥を行った。織密度が経緯共に74本/inchの織物を得た。得られた基布の各種特性測定や性能評価の結果を以下の表2に示す。
<実施例4>
実施例3において、筬密度を調整し、緯糸打ち込みを調整して、織密度を変え、熱架橋型の付加型シリコーンを20g/mナイフコーティングして熱処理後に、経緯共に71本/inchの織物とした。得られた基布の各種特性測定や性能評価の結果を以下の表2に示す。
<比較例1>
ポリヘキサメチレンアジパミド(PA66)マルチフィラメント繊維で、繊度が235dtex、フィラメント数が72本、強度が8.6cN/dtexを用い、これを糊付けや撚糸することなく整経し、ウォータージェット織機に経糸仕掛けし、PA66ポリアミドマルチフィラメント繊維を糊付けや撚糸することなく緯糸に用いて、織機回転数600rpmで平織製織を行った。
その後、80℃の湯浴槽を180secで通過させ、加熱ドラムにて110℃で40sec間乾燥を行った。織密度が経緯共に74本/inchの織物を得た。
この織物の製糸仕上剤に由来する残油量を計測した結果、基布重量に対し0.1重量%であった。得られた基布の各種特性測定や性能評価の結果を以下の表2に示す。
高温バッグインフレーター試験では破袋が生じ、また、高温バッグ高圧ガス試験では到達圧低下が大きかった。
<比較例2>
比較例1において、筬密度を調整し、緯糸打ち込みを調整して、織密度を変え、熱架橋型の付加型シリコーンを20g/mナイフコーティングして熱処理後に、経緯共に71本/inchの織物とした。得られた基布の各種特性測定や性能評価の結果を以下の表2に示す。
高温インフレーター試験では破袋が生じ、また、高温バッグ高圧ガス試験では到達圧低下が大きかった。
<比較例3>
アラミド繊維で、繊度が235dtex、フィラメント数が134本、強度が20.3cN/dtexを用い、これを糊付けや撚糸することなく整経し、レピア織機に経糸仕掛けし、アラミド繊維を糊付けや撚糸することなく緯糸に用いて、織機回転数300rpmで平織製織を行った。
その後、80℃の湯浴槽を180secで通過させ、加熱ドラムにて110℃で40sec間乾燥を行った。織密度が経緯共に75本/inchの織物を得た。
この織物の製糸仕上剤に由来する残油量を計測した結果、基布重量に対し0.1重量%であった。得られた基布の各種特性測定や性能評価の結果を以下の表2に示す。
インパクター試験で、加速度−時間曲線における突出した加速度が計測された。
<比較例4>
比較例3において、筬密度を調整し、緯糸打ち込みを調整して、織密度を変え、熱架橋型の付加型シリコーンを20g/mナイフコーティングして熱処理後に、経緯共に69本/inchの織物とした。
インパクター試験で、加速度−時間曲線における突出した加速度が計測され、また、経湿接着試験で早期に剥離が観察された。
Figure 2017020126
本発明のエアバッグ用織物は、高融点であり、高温剛性が高く、より高出力のガス発生装置と組み合わせる用途に適し、さらに、織物の柔軟性によって衝撃吸収力が良い。それゆえ、本発明のエアバッグ用織物は、より軽量化された車内装着用のエアバッグ、とりわけ、カーテンエアバッグの部材として好適に利用可能である。
1 カーテンエアバッグ
2 中間接合部
3 インナーチューブ

Claims (18)

  1. 合成繊維織糸からなるエアバッグ用織物であって、該織糸は脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維であり、該織糸の融点は270℃以上であり、該織糸の弾性降下温度は130℃以上であり、該織糸の総繊度は100〜800dtexであり、そして該織物の引張破断伸度は経緯方向とも20%以上であることを特徴と前記エアバッグ用織物。
  2. カバーファクターが1900〜2500である、請求項1に記載のエアバッグ用織物。
  3. 前記織糸のフィラメント繊度が0.5〜10dtexである、請求項1又は2に記載のエアバッグ用織物。
  4. 前記織糸のフィラメント数が30本以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエアバッグ用織物。
  5. 前記織糸の引張強度が6.0cN/dtex以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のエアバッグ用織物。
  6. 前記脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維は、脂環族ジカルボン酸を含むジカルボン酸とジアミンとの重縮合物であり、かつ、以下の要件:
    (a)該ジカルボン酸に対する該脂環族ジカルボン酸の比率が50モル%以上である;
    (b)該脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維の総繊度が100dtex以上である;及び
    (c)該脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維のクロス比(最大直径/最小直径)が1.7以下である;
    を満たす、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエアバッグ用織物。
  7. 前記脂環式ポリアミドマルチフィラメント繊維の硫酸相対粘度が1.5以上4.0以下である、請求項6に記載のエアバッグ用織物。
  8. 前記ジアミン成分は1,10−デカンジアミンを含み、前記ジアミン成分全体に対する該1,10−デカンジアミンの比率が20モル%以上である、請求項6又は7に記載のエアバッグ用織物。
  9. 前記ジアミン成分は炭素数5又は6のジアミンを含み、前記ジアミン成分全体に対する該炭素数5又は6のジアミンの比率が20モル%の以上である、請求項8に記載のエアバッグ用織物。
  10. 前記炭素数5又は6のジアミンが2−メチルペンタメチレンジアミンである、請求項9に記載のエアバッグ用織物。
  11. 前記炭素数5又は6のジアミンがヘキサメチレンジアミンである、請求項9に記載のエアバッグ用織物。
  12. 樹脂加工なしでエアバッグ用基布に用いられる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のエアバッグ用織物。
  13. 樹脂加工されてエアバッグ用基布に用いられる、請求項1〜11のいずれか1項に記載のエアバッグ用織物。
  14. 前記樹脂付着量が5g/m以上150g/m以下である、請求項13に記載のエアバッグ用織物。
  15. 80℃で相対湿度95%の環境に200時間暴露した後に、スクラブ試験で損傷なし回数の変化が40%未満である、請求項13又は14に記載のエアバッグ用織物。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のエアバッグ用織物からなる、エアバッグの補強布、防炎布、又はガス導入布。
  17. 請求項1〜15のいずれか1項に記載のエアバッグ用織物、あるいは請求項16に記載のエアバッグの補強布、防炎布、又はガス導入布を含むエアバッグ。
  18. 請求項17に記載のエアバッグを含むエアバッグ装置。
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