JP2017016069A - レジストパターン形成方法およびモールド作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細なレジストパターンを精度よく形成するレジストパターン形成方法、およびモールド作製方法を提供する。【解決手段】基板1上に、金属化合物からなり、光エネルギーを熱エネルギーに変換可能なエネルギー変換層2を形成するエネルギー変換層形成工程と、エネルギー変換層上に、熱エネルギーによって結合が開裂するポジ型レジスト組成物からなるレジスト層3を形成するレジスト層形成工程と、エネルギー変換層にレーザー光を照射して発熱させることにより、レジスト層を加熱し、所定のパターンを描画するパターン描画工程と、パターン描画工程後のレジスト層を現像し、レジストパターン4を形成する現像工程と、を有する、レジストパターン形成方法である。【選択図】図1
Description
本発明は、レジストパターン形成方法およびモールド作製方法に関する。
近年、半導体回路などのパターンやナノインプリント法で用いられるモールドにはパターンの微細化が求められており、例えば可視光波長域以下の400nmから100nm、もしくはそれ以下のサイズが求められている。このような微細なパターンを形成する方法としては、例えば、光(紫外線)を用いるフォトリソグラフィや電子線を用いる電子線リソグラフィがある。
フォトリソグラフィでは、基板表面にレジスト層を形成した後、このレジスト層を露光し、現像することによりレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして基板をエッチングすることで、基板にパターンを形成する。電子線リソグラフィでは、基板表面にレジスト層を形成した後、このレジスト層に電子線を用いてパターニングしてレジストパターンを形成し、レジストパターンをマスクとして基板をエッチングすることで、基板にパターンを形成する。
ただし、これらのリソグラフィはそれぞれ、以下の問題点を有している。すなわち、光を用いるフォトリソグラフィでは、露光する光の波長によってパターン寸法に限界があるため、形成したいパターンの寸法が露光光の波長以下になると、パターン形成が困難になることがある。電子線を用いる電子線リソグラフィでは、パターン寸法が微細になるほど、電子線の近接効果による影響や電子線の後方散乱による影響が大きくなり、所定の位置に適切なパターンを形成しにくいばかりか、パターンが微細になるほど描画距離が長くなり、レジストの描画時間が膨大となるので生産性が悪くなることがある。
そこで、近年、これらのリソグラフィ以外の方法として、熱リソグラフィが着目されている。熱リソグラフィは、レーザー光を熱源としてパターンを形成する技術であり、例えば、基板表面のレジスト層にレーザー光を照射し、その照射で発生する熱によりレジスト層にレジストパターンを形成する。熱リソグラフィには、レジスト層として、酸化タングステンなどの無機物を用いる方法(例えば、特許文献1を参照)や有機物を用いる方法(例えば、特許文献2を参照)がある。
しかしながら、特許文献1のような、酸化タングステンなどの無機物からなるレジスト層は、照射するレーザー光のエネルギーの許容幅(熱量許容幅)が狭い。具体的には、エネルギー量がわずかでも足りないと感熱することなくパターンが形成されず、エネルギー量がわずかでも過ぎると過剰に熱がかかった領域に相の異なる無機物が析出する現象が生じる。このため、レジストパターンを太く形成すると熱量のかかるパターン中心部分に無機物が再析出するような事態が生じる。したがって、レジストパターンの形成できる寸法が限られる。具体的には、例えば150nm以上のスペースパターンを制御よく形成することが困難となっている。また、特許文献2のような有機物からなるレジスト層は、レーザー光を照射したときに、レジストパターンの形状が悪くなることがある。
本発明は、上記課題に鑑みて成されたものであり、微細なレジストパターンを精度よく形成するレジストパターン形成方法、およびモールド作製方法を提供することを目的とする。
(構成1)
本発明の第1の構成は、
基板上に、金属化合物からなり、光エネルギーを熱エネルギーに変換可能なエネルギー変換層を形成するエネルギー変換層形成工程と、
前記エネルギー変換層上に、熱エネルギーによって結合が開裂するポジ型レジスト組成物からなるレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、
前記エネルギー変換層にレーザー光を照射して発熱させることにより、前記レジスト層を加熱し、所定のパターンを描画するパターン描画工程と、
前記パターン描画工程後の前記レジスト層を現像し、レジストパターンを形成する現像工程と、を有する、レジストパターン形成方法が提供される。
本発明の第1の構成は、
基板上に、金属化合物からなり、光エネルギーを熱エネルギーに変換可能なエネルギー変換層を形成するエネルギー変換層形成工程と、
前記エネルギー変換層上に、熱エネルギーによって結合が開裂するポジ型レジスト組成物からなるレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、
前記エネルギー変換層にレーザー光を照射して発熱させることにより、前記レジスト層を加熱し、所定のパターンを描画するパターン描画工程と、
前記パターン描画工程後の前記レジスト層を現像し、レジストパターンを形成する現像工程と、を有する、レジストパターン形成方法が提供される。
(構成2)
本発明の第2の構成は、
前記エネルギー変換層が、クロム化合物層である、第1の態様のレジストパターン形成方法が提供される。
本発明の第2の構成は、
前記エネルギー変換層が、クロム化合物層である、第1の態様のレジストパターン形成方法が提供される。
(構成3)
本発明の第3の構成は、
前記レジスト層が、前記レーザー光の照射波長に対して吸収端を持たない、第1の態様又は第2の態様のレジストパターン形成方法が提供される。
本発明の第3の構成は、
前記レジスト層が、前記レーザー光の照射波長に対して吸収端を持たない、第1の態様又は第2の態様のレジストパターン形成方法が提供される。
(構成4)
本発明の第4の構成は、
前記基板が、前記レーザー光の波長に対して透明な部材からなる、第1〜第3の態様のいずれかのレジストパターン形成方法が提供される。
本発明の第4の構成は、
前記基板が、前記レーザー光の波長に対して透明な部材からなる、第1〜第3の態様のいずれかのレジストパターン形成方法が提供される。
(構成5)
本発明の第5の構成は、
前記基板の熱拡散係数が115W/mk未満である、第1〜第4の態様のいずれかのレジストパターン形成方法が提供される。
本発明の第5の構成は、
前記基板の熱拡散係数が115W/mk未満である、第1〜第4の態様のいずれかのレジストパターン形成方法が提供される。
(構成6)
本発明の第6の構成は、
前記パターン描画工程では、波長が450nm以下であって単一波長のレーザー光を照射する、第1〜第5の態様のいずれかのレジストパターン形成方法が提供される。
本発明の第6の構成は、
前記パターン描画工程では、波長が450nm以下であって単一波長のレーザー光を照射する、第1〜第5の態様のいずれかのレジストパターン形成方法が提供される。
(構成7)
本発明の第7の構成は、
前記パターン描画工程では、前記基板側から前記エネルギー変換層に対してレーザー光を照射する、第1〜第6の態様のいずれかのレジストパターン形成方法が提供される。
本発明の第7の構成は、
前記パターン描画工程では、前記基板側から前記エネルギー変換層に対してレーザー光を照射する、第1〜第6の態様のいずれかのレジストパターン形成方法が提供される。
(構成8)
本発明の第8の構成は、
第1〜第7の態様のいずれかのレジストパターン形成方法を用いて、前記現像工程により前記基板上に所定のレジストパターンを形成した後、当該レジストパターンをマスクとして前記基板の表面に凹凸パターンを形成することにより、モールドを作製する、モールド作製方法が提供される。
本発明の第8の構成は、
第1〜第7の態様のいずれかのレジストパターン形成方法を用いて、前記現像工程により前記基板上に所定のレジストパターンを形成した後、当該レジストパターンをマスクとして前記基板の表面に凹凸パターンを形成することにより、モールドを作製する、モールド作製方法が提供される。
(構成9)
本発明の第9の構成は、
第1〜第7の態様のいずれかのレジストパターン形成方法を用いて、前記現像工程により前記基板上に所定のレジストパターンを形成することにより、前記レジストパターンを表面に備え、当該レジストパターンを凹凸パターンとして利用するモールドを作製する、モールド作製方法が提供される。
本発明の第9の構成は、
第1〜第7の態様のいずれかのレジストパターン形成方法を用いて、前記現像工程により前記基板上に所定のレジストパターンを形成することにより、前記レジストパターンを表面に備え、当該レジストパターンを凹凸パターンとして利用するモールドを作製する、モールド作製方法が提供される。
本発明によれば、微細なレジストパターンを精度よく形成することができる。
本発明の実施形態の説明に先立ち、本発明者らが得た知見について説明をする。
本発明者らは、上記特許文献1のように、無機物として、タングステンの不完全酸化物(以下、WOxともいう)を用いてレジスト層を形成して熱リソグラフィを行い、レジストパターンの形成について検討を行った。その結果、無機物を用いた熱リソグラフィによれば、光のようにパターン寸法が露光光に依存したり、また電子線のように生産性が低下したりすることなく、精度の高いレジストパターンを形成できることが確認された。
しかしながら、この方法では、レジストパターンを良好に解像形成できる、レーザー光のエネルギー量の範囲(許容幅)が狭いので、微細なレジストパターンを制御よく形成しにくいことが分かった。
一般に、WOxからなるポジ型レジスト層にレーザー光を照射する場合、そのエネルギー量がある閾値A未満であると、レーザー光の照射により抜き部が形成されず、閾値A以上となると、抜き部が形成され始め、そして、エネルギー量の増加にともなって抜き部の寸法が略直線的に拡大すると考えられていた。しかし、本発明者らの検討によると、エネルギー量がある閾値Bを超えると、レーザー照射によって生じた抜き部の中心付近に残渣が発生してしまい、精度の高いパターンが得られなくなってしまう。この照射エネルギー量の範囲について検討したところ、WOxからなるポジ型レジスト層の場合、約18mW〜21.5mWであり、その許容幅が約4mW程度であることが確認された。したがって、無機物からなるレジスト層に熱リソグラフィでパターンを形成する場合、わずかな許容幅で照射エネルギー量を制御する必要があり、例えばドットパターンのようにレーザー発振のON/OFFを要する場合には、ON/OFFの切り替えの位置で照射エネルギーが安定せず、形成されるパターンにテーリングやリーディングといった現象が生じるおそれがある。
一般に、WOxからなるポジ型レジスト層にレーザー光を照射する場合、そのエネルギー量がある閾値A未満であると、レーザー光の照射により抜き部が形成されず、閾値A以上となると、抜き部が形成され始め、そして、エネルギー量の増加にともなって抜き部の寸法が略直線的に拡大すると考えられていた。しかし、本発明者らの検討によると、エネルギー量がある閾値Bを超えると、レーザー照射によって生じた抜き部の中心付近に残渣が発生してしまい、精度の高いパターンが得られなくなってしまう。この照射エネルギー量の範囲について検討したところ、WOxからなるポジ型レジスト層の場合、約18mW〜21.5mWであり、その許容幅が約4mW程度であることが確認された。したがって、無機物からなるレジスト層に熱リソグラフィでパターンを形成する場合、わずかな許容幅で照射エネルギー量を制御する必要があり、例えばドットパターンのようにレーザー発振のON/OFFを要する場合には、ON/OFFの切り替えの位置で照射エネルギーが安定せず、形成されるパターンにテーリングやリーディングといった現象が生じるおそれがある。
一方、上記特許文献2のように有機物からなるレジスト層を形成して熱リソグラフィを行い、レジストパターンの形成について検討を行ったところ、ホールパターン群がレーザー光のエネルギー分布に応じて形成されてしまい、パターン形状が悪くなることが確認された。
一般に、レーザー光は、図4に示すようなガウス分布からなる光強度分布を有している。レーザー光を有機物からなるレジスト層に照射すると、レジスト層がレーザー光の特定波長を吸収して熱に変換し、その熱によって架橋部分が開裂してパターンが形成されることになる。このとき、光の吸収量、つまりレーザー光の光強度に応じて、パターンの深さが決定されるため、ガウス分布を有するレーザー光を照射すると、抜き部の深さに相違が生じてしまう。具体的には、図5に示すように、光源50からレジスト層103に対してガウス分布を有するレーザー光51を照射することにより、レジスト層103では、断面形状がレーザー光のガウス分布に応じた形状の可溶領域103a(抜き部103a)が形成され、現像したときに、パターン形状が悪くなってしまう。さらに、輪帯照明法によりレーザー光を細く絞った場合には、レーザー光の中心から同心円状に強弱が生じる干渉円が発生することから、抜き部がそのような同心円形状を反映した形になり、パターン形状が悪くなることがある。
一般に、レーザー光は、図4に示すようなガウス分布からなる光強度分布を有している。レーザー光を有機物からなるレジスト層に照射すると、レジスト層がレーザー光の特定波長を吸収して熱に変換し、その熱によって架橋部分が開裂してパターンが形成されることになる。このとき、光の吸収量、つまりレーザー光の光強度に応じて、パターンの深さが決定されるため、ガウス分布を有するレーザー光を照射すると、抜き部の深さに相違が生じてしまう。具体的には、図5に示すように、光源50からレジスト層103に対してガウス分布を有するレーザー光51を照射することにより、レジスト層103では、断面形状がレーザー光のガウス分布に応じた形状の可溶領域103a(抜き部103a)が形成され、現像したときに、パターン形状が悪くなってしまう。さらに、輪帯照明法によりレーザー光を細く絞った場合には、レーザー光の中心から同心円状に強弱が生じる干渉円が発生することから、抜き部がそのような同心円形状を反映した形になり、パターン形状が悪くなることがある。
このように、テーリングやリーディングが生じたり、レーザー光のガウス分布が反映されたりした形状のレジストパターンをマスクとして、下層にある基板をエッチングする場合、凹凸パターンを高い精度で形成することが困難となる。
本発明者らは、照射するエネルギーの許容幅が比較的広いことから有機物からなるレジスト層に着目し、そのレーザー光の光強度分布への依存性を抑制する方法について検討を行った。従来、有機物からなるレジスト層に対してレーザー光を直接照射し、レジスト層自体を感熱させることによりパターンを形成していたが、この方法では、光強度分布の依存性が大きくなってしまう。
このことから、本発明者らは、有機物からなるレジスト層にレーザー光を直接照射して感熱させる以外に、レジスト層を感熱させる方法について検討を行った。その結果、レジスト層の下層にレーザー光を吸収して熱エネルギーに変換できるようなエネルギー変換層を設けるとよいことが見出された。
この方法によれば、エネルギー変換層にレーザー光を照射して発熱させ、上層に位置するレジスト層を間接的に加熱して感熱できるので、レジスト層にレーザー光を照射して直接的に感熱させる場合と比べて、レーザー光の光強度分布の影響を低減できる。具体的には、エネルギー変換層にレーザー光を照射したとき、光強度が強い領域では、上層にあるレジスト層を感熱させるのに十分な熱量が得られ、パターンを描画できる一方、光強度が弱い領域では、熱エネルギーに変換されたとしてもレジスト層を感熱させるのに十分な熱量が得られず、パターンを描画できない。すなわち、レジスト層に対して、レーザー光のうち光強度の強い部分が照射された部分を選択的に描画することができるので、光強度分布の影響を低減し、精度の高いパターンを形成できることが分かった。しかも、この方法によれば、レーザー光のうち、光強度の強い部分を選択的に描画することで、レーザー光の照射領域よりも狭い領域を描画することができ、パターンの幅を狭めることができる。
本発明は、上記知見に基づいて成されたものである。
<本発明の一実施形態>
以下、本発明の一実施形態にかかるレジストパターン形成方法およびモールド作製方法について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるレジストパターン形成方法およびモールド作製方法における工程を説明するための断面概略図である。図2は、エネルギー変換層における発熱およびそれによるレジスト層の加熱を説明するための概略図である。
以下、本発明の一実施形態にかかるレジストパターン形成方法およびモールド作製方法について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかるレジストパターン形成方法およびモールド作製方法における工程を説明するための断面概略図である。図2は、エネルギー変換層における発熱およびそれによるレジスト層の加熱を説明するための概略図である。
本実施形態では、レジストパターンを形成した後、そのレジストパターンを用いて基板に凹凸パターンを形成することによりモールドを作製する場合について説明をする。なお、モールドとは、ナノインプリント法において用いられるモールドであって、基板表面に微細な凹凸パターンが形成されており、被転写材に押し当てことで、凹凸パターンを転写するものである。
〔レジストパターン形成方法〕
本実施形態のレジストパターン形成方法は、基板1を準備する準備工程と、基板1上にエネルギー変換層2を形成するエネルギー変換層形成工程と、エネルギー変換層2上にレジスト層3を形成するレジスト層形成工程と、エネルギー変換層2にレーザー光を照射することで、レジスト層3に所定のパターンを描画するパターン描画工程と、パターン描画工程後のレジスト層3を現像し、レジストパターン4を形成する現像工程と、を有する。
本実施形態のレジストパターン形成方法は、基板1を準備する準備工程と、基板1上にエネルギー変換層2を形成するエネルギー変換層形成工程と、エネルギー変換層2上にレジスト層3を形成するレジスト層形成工程と、エネルギー変換層2にレーザー光を照射することで、レジスト層3に所定のパターンを描画するパターン描画工程と、パターン描画工程後のレジスト層3を現像し、レジストパターン4を形成する現像工程と、を有する。
(基板準備工程)
まず、図1(a)に示すように、基板1を準備する。基板1としては、後述するパターン描画工程にて照射するレーザー光(例えば、波長405nm)やナノインプリント用の光源(例えば、波長が365nm)に対して、略透明な部材からなることが好ましい。基板1がレーザー光を吸収しなければ、基板1で光エネルギーが熱エネルギーに変換されない。したがって、透明な基板1にレーザー光を照射しても、基板1は発熱しない。基板1がレーザー光に対して透明であれば、基板1からレジスト層に向けて熱が伝播しないので、レジスト層3が基板1の放熱によって感熱されることを抑制できる。
まず、図1(a)に示すように、基板1を準備する。基板1としては、後述するパターン描画工程にて照射するレーザー光(例えば、波長405nm)やナノインプリント用の光源(例えば、波長が365nm)に対して、略透明な部材からなることが好ましい。基板1がレーザー光を吸収しなければ、基板1で光エネルギーが熱エネルギーに変換されない。したがって、透明な基板1にレーザー光を照射しても、基板1は発熱しない。基板1がレーザー光に対して透明であれば、基板1からレジスト層に向けて熱が伝播しないので、レジスト層3が基板1の放熱によって感熱されることを抑制できる。
また、基板1は、熱伝導率が小さく、Siウェハよりも小さいことが好ましい。本実施形態では、エネルギー変換層2にレーザー光を照射して発熱させ、それによりレジスト層3を加熱するが、基板1の熱伝導率を小さくすることにより、エネルギー変換層2で発生した熱を基板1に拡散するのを抑制し、レジスト層3を効率的に加熱することが可能となる。具体的には、基板1の熱拡散係数が115W/mK未満であることが好ましい。
また、基板1は、表面に凹凸パターンを形成する際にエッチングするため、例えばフッ素系ガスでドライエッチングが可能な材料からなることが好ましい。このような基板1としては、具体的には、合成石英からなる合成石英ガラス基板が好ましい。なお、基板1は、必要に応じて、研磨して用いてもよい。
(エネルギー変換層形成工程)
続いて、図1(b)に示すように、基板1の一方の面にエネルギー変換層2を形成する。エネルギー変換層2は、金属化合物からなり、光エネルギーを吸収し、分子振動により発熱することで、光エネルギーを熱エネルギーに変換するものである。また、エネルギー変換層2は、基板1とのエッチング選択性を有する場合、ハードマスク層としても機能する。エネルギー変換層2は、例えば、金属化合物をスパッタリング法などにより形成することができる。
続いて、図1(b)に示すように、基板1の一方の面にエネルギー変換層2を形成する。エネルギー変換層2は、金属化合物からなり、光エネルギーを吸収し、分子振動により発熱することで、光エネルギーを熱エネルギーに変換するものである。また、エネルギー変換層2は、基板1とのエッチング選択性を有する場合、ハードマスク層としても機能する。エネルギー変換層2は、例えば、金属化合物をスパッタリング法などにより形成することができる。
エネルギー変換層2は、ハードマスク層としても機能させる観点から、基板1を構成する材料とは異なるエッチングガスでドライエッチング可能な材料からなり、基板1とのエッチング選択性を有することが好ましい。例えば、基板1が、フッ素系ガスでドライエッチング可能な合成石英などの材料からなる場合、エネルギー変換層2は、塩素系ガスでドライエッチング可能な材料からなることが好ましい。具体的には、エネルギー変換層2は、金属クロム、酸化クロム、酸窒化クロム、窒化クロムおよび炭酸窒化クロムなどのクロムを含む材料からなるクロム化合物層であることが好ましい。その中でも、ハードマスク性の観点から窒化酸化クロムからなることがより好ましい。クロム化合物は紫外波長域に対して吸収端を有するため、エネルギー変換層2をクロム化合物層で構成することにより、波長450nm以下のレーザー光を熱エネルギーに効率的に変換することが可能となる。なお、基板1が塩素系ガスでドライエッチング可能な材料からなる場合、エネルギー変換層2は、フッ素系ガスでドライエッチング可能な材料からなることが好ましく、金属シリサイドやシリコンからなることが好ましい。
エネルギー変換層2は、その厚さや金属化合物の組成を適宜変更することにより、レーザー光の照射エネルギー(照射量)に対する発熱量を調整することが可能である。例えば、厚みを薄くすることによりレーザー光の透過率を高め、発熱量を低減することができる。この場合、エネルギー変換層2における実効的な発熱領域を狭め、パターン幅を狭めることができる。微細なパターンを精度よく形成する観点からは、エネルギー変換層2の厚さが2nm以上15nm以下であることが好ましい。2nm未満の場合は、レーザー光が透過してしまう割合が高くなってしまい、レーザー光の強度を高くしなければならない問題がある。また、15nmのよりも厚くなると、レジストパターンをマスクとしてエネルギー変換層をドライエッチングするときに、レジストパターンが消失しないようにレジスト層自体を厚膜に形成しなければならない。レジスト層を厚膜化すると、レジスト表面側に熱が伝播しにくくなるため、レジストパターンを形成できなくなる恐れがある。
(レジスト層形成工程)
続いて、図1(c)に示すように、エネルギー変換層2上にレジスト層3を形成する。具体的には、所定の溶媒と有機系材料からなるレジスト組成物をスピンコート法あるいはディップコート法などによりエネルギー変換層2上に塗布し、所定の温度と時間でベーク(乾燥)処理することによりレジスト層3を形成する。本実施形態では、レジスト層3を構成するレジスト組成物として、熱エネルギーによって結合が開裂する(加熱によりポリマー成分が分解する)ポジ型レジスト組成物を用いる。これにより、レジスト層3は、エネルギー変換層2で発生する熱で現像液に対して溶解するように変化する熱レジスト層となる。例えば、レジスト層3は、80℃〜200℃に加熱されることにより、ポリマー成分が重合または分解することで、現像液に対する溶解性が高くなる。
続いて、図1(c)に示すように、エネルギー変換層2上にレジスト層3を形成する。具体的には、所定の溶媒と有機系材料からなるレジスト組成物をスピンコート法あるいはディップコート法などによりエネルギー変換層2上に塗布し、所定の温度と時間でベーク(乾燥)処理することによりレジスト層3を形成する。本実施形態では、レジスト層3を構成するレジスト組成物として、熱エネルギーによって結合が開裂する(加熱によりポリマー成分が分解する)ポジ型レジスト組成物を用いる。これにより、レジスト層3は、エネルギー変換層2で発生する熱で現像液に対して溶解するように変化する熱レジスト層となる。例えば、レジスト層3は、80℃〜200℃に加熱されることにより、ポリマー成分が重合または分解することで、現像液に対する溶解性が高くなる。
レジスト層3は、後述するパターン描画工程にて照射するレーザー光(例えば、波長405nm)に対して吸収端を持たないことが好ましい。レジスト層3がレーザー光の波長に対して吸収端を有すると、レジスト層3が、エネルギー変換層2に対して照射されるレーザー光によって反応し、リソグラフィ反応が副次的に進行してしまう。この点、レジスト層3を、レーザー光に対して吸収端を持たないように構成することで、副次的な反応を抑制し、精度の高いパターンを形成することが可能となる。
また、レジスト層3を形成するポジ型レジスト組成物としては、特に限定されないが、例えば、熱によってポリマー成分自身の活性が高まり重合または分解を開始する主鎖切断型ポジレジストや、加熱によって酸等の成分を発生する酸発生剤の働きによりポリマー成分が重合または分解する化学増幅型レジストなどを用いることができる。
ポジ型レジスト組成物が酸発生剤を含む場合、酸発生剤が光エネルギーによって酸を発生しやすいことから、エネルギー変換層2にレーザー光を照射するときにレジスト層3が感光し、パターン形状が悪化するおそれがある。そのため、酸発生剤を用いる場合は、照射するレーザー光の波長によって分解しないような成分を用いるとよい。
一方、ポジ型レジスト組成物が酸発生剤を含まない場合、レジスト層3にレーザー光に対して指向性を持たせることが可能となるため、例えば、レーザー光として、レジスト層3を感光させないような特定の波長域を選択して、レジスト層3での感光によるリソグラフィ反応を抑制することができる。
ポジ型レジスト組成物が酸発生剤を含む場合、酸発生剤が光エネルギーによって酸を発生しやすいことから、エネルギー変換層2にレーザー光を照射するときにレジスト層3が感光し、パターン形状が悪化するおそれがある。そのため、酸発生剤を用いる場合は、照射するレーザー光の波長によって分解しないような成分を用いるとよい。
一方、ポジ型レジスト組成物が酸発生剤を含まない場合、レジスト層3にレーザー光に対して指向性を持たせることが可能となるため、例えば、レーザー光として、レジスト層3を感光させないような特定の波長域を選択して、レジスト層3での感光によるリソグラフィ反応を抑制することができる。
具体的には、レジスト層3を形成するポリ型レジスト組成物は、αクロロアクリル酸メチルとαメチルスチレンの共重合体を含むことが好ましい。この共重合体は、熱によりポリマー成分が分解するような成分であり、少なくとも波長350nm以上の光に対して感光しないことから、パターン描画工程で用いるレーザー光の波長選択性に優れている。しかも、塗布してベーク処理を施すことで、レーザー光の照射により加熱された領域と未照射で加熱されなかった領域との間で現像液に対する溶解速度の差が顕著となる。すなわち、レジスト層3が上記共重合体を含むことにより、レーザー光を照射するときに感光を抑制しつつ、精度の高いパターンを形成することができる。その分子量は、特に限定されないが、例えば、33万である。
(パターン描画工程)
続いて、図1(d)に示すように、エネルギー変換層2に対して所定のパターンとなるようにレーザー光を照射し、レジスト層3に所定のパターンを描画する。具体的には、エネルギー変換層2では、レーザー光の照射領域がレーザー光を吸収して分子振動により発熱することになる。このとき、レーザー光が図4に示すような光強度分布を有するので、図2に示すように、レーザー光の光強度の強い中央部分が照射された領域は、温度が高くなり、例えば80℃〜200℃の高温発熱領域2aとなる。一方、レーザー光の光強度の弱い外周部分が照射された領域は、発熱しても温度が上がらず、50℃以下の低温発熱領域2bとなる。
そして、レジスト層3は下層のエネルギー変換層2により加熱されることになるが、レジスト層3において、高温発熱領域2a上に位置する領域は、感熱温度に達してポリマー成分が開裂することで、現像液に対して溶解性を示す可溶領域3aとなる。一方、低温発熱領域2b上に位置する領域は、十分な感熱温度とならないため、ポリマー成分が開裂せずに現像液に対して溶解性を示さない。
続いて、図1(d)に示すように、エネルギー変換層2に対して所定のパターンとなるようにレーザー光を照射し、レジスト層3に所定のパターンを描画する。具体的には、エネルギー変換層2では、レーザー光の照射領域がレーザー光を吸収して分子振動により発熱することになる。このとき、レーザー光が図4に示すような光強度分布を有するので、図2に示すように、レーザー光の光強度の強い中央部分が照射された領域は、温度が高くなり、例えば80℃〜200℃の高温発熱領域2aとなる。一方、レーザー光の光強度の弱い外周部分が照射された領域は、発熱しても温度が上がらず、50℃以下の低温発熱領域2bとなる。
そして、レジスト層3は下層のエネルギー変換層2により加熱されることになるが、レジスト層3において、高温発熱領域2a上に位置する領域は、感熱温度に達してポリマー成分が開裂することで、現像液に対して溶解性を示す可溶領域3aとなる。一方、低温発熱領域2b上に位置する領域は、十分な感熱温度とならないため、ポリマー成分が開裂せずに現像液に対して溶解性を示さない。
レーザー光の照射方向は、エネルギー変換層2に直接照射できれば特に限定されないが、好ましくは、図1(d)に示すように、基板1側から、基板1越しにエネルギー変換層2にレーザー光を照射するとよい。これにより、レジスト層3を介さずにレーザー光を照射できるので、レジスト層3において意図しない感光を抑制することが可能となり、パターン精度をより向上させることができる。
レーザー光としては、波長が450nm以下であって単一波長のレーザー光を用いるとよい。このようなレーザー光によれば、微細なパターンを形成することができる。また、高エネルギーであるため、エネルギー変換層2が、その波長域に吸収端を有していれば、光エネルギーから熱エネルギーに効率的に変換することができる。波長450nm以下のレーザー光としては、例えば、波長405nm、377nm、及び、350nmのレーザー光が挙げられる。
なお、レーザー光の照射条件(照射量、照射周波数、走査速度など)は、特に限定されず、レジストパターン4の抜き部(パターン幅)に応じて適宜変更することができる。
(現像工程)
続いて、図1(e)に示すように、パターン描画工程を行った後のレジスト層3を現像する。例えばスプレー塗布により現像液をレジスト層3上に塗布し、所定時間、現像する。これにより、レジスト層3の可溶領域3aを溶出させて除去し、所定のレジストパターン4を形成する。さらに、現像液よりも貧溶媒である有機溶剤を用いてリンス処理を施し、スピン乾燥などにより乾燥させ、表面に所定のレジストパターン4が形成された基板1を得る。
続いて、図1(e)に示すように、パターン描画工程を行った後のレジスト層3を現像する。例えばスプレー塗布により現像液をレジスト層3上に塗布し、所定時間、現像する。これにより、レジスト層3の可溶領域3aを溶出させて除去し、所定のレジストパターン4を形成する。さらに、現像液よりも貧溶媒である有機溶剤を用いてリンス処理を施し、スピン乾燥などにより乾燥させ、表面に所定のレジストパターン4が形成された基板1を得る。
現像工程で用いる現像液としては、特に限定されないが、レジスト層3を形成するポジ型レジスト組成物に含まれる溶媒を主成分として含む有機溶媒を用いるとよい。例えば、レジスト層3が、αクロロアクリル酸メチルとαメチルスチレンの共重合体を含むポジ型レジスト組成物から形成される場合、この共重合体の溶媒として用いるアニソールおよび貧溶媒であるイソプロピルアルコールの混合液を現像剤として用いることが好ましい。これにより、レジスト層3の未加熱部の溶解を抑制し、未加熱部における現像後の膜厚を厚く維持して残膜率を高くすることができる。これにより、レジストパターンのコントラストを大きくして、レジストパターン4の抜き部における断面形状を略矩形状とすることができる。その結果、パターン精度を高くすることができる。
現像液として用いる、アニソールおよびイソプロピルアルコールの混合液は、その混合比が体積比で6:4であることが好ましい。これにより、現像時間を30秒前後と短くしつつも、現像の精度を高く維持することができる。しかも、未加熱部の残膜率を50%以上とし、レジストパターン4のコントラストを高くすることができる。
〔モールド作製方法〕
次に、レジストパターン4を用いて基板1をエッチングすることによりモールド10を作製するモールド作製方法について説明する。
次に、レジストパターン4を用いて基板1をエッチングすることによりモールド10を作製するモールド作製方法について説明する。
(第1のエッチング処理工程)
まず、表面にレジストパターン4が形成された基板1に対してドライエッチング処理を施す。具体的には、図1(f)に示すように、レジストパターン4をマスクとして、露出するエネルギー変換層2をエッチングガスにより除去し、マスクパターン5を形成する。エッチングガスとしては、例えば、塩素と酸素の混合ガスを用いる。
まず、表面にレジストパターン4が形成された基板1に対してドライエッチング処理を施す。具体的には、図1(f)に示すように、レジストパターン4をマスクとして、露出するエネルギー変換層2をエッチングガスにより除去し、マスクパターン5を形成する。エッチングガスとしては、例えば、塩素と酸素の混合ガスを用いる。
(第2のエッチング処理工程)
続いて、マスクパターン5が形成された基板1に対してドライエッチング処理を施す。具体的には、図1(g)に示すように、マスクパターン5をマスクとして、露出する基板1を厚さ方向に所定の深さ分、除去して溝部6を形成し、レジストパターン4に対応する凹凸パターンを形成する。第2のエッチング処理工程では、例えば、炭化フッ素ガス(CF4)とアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスを用いる。なお、凹凸パターンの深さは、エッチング処理の時間によって適宜変更することが可能であり、モールド10に必要とされる深さに応じて適宜変更することができる。
続いて、マスクパターン5が形成された基板1に対してドライエッチング処理を施す。具体的には、図1(g)に示すように、マスクパターン5をマスクとして、露出する基板1を厚さ方向に所定の深さ分、除去して溝部6を形成し、レジストパターン4に対応する凹凸パターンを形成する。第2のエッチング処理工程では、例えば、炭化フッ素ガス(CF4)とアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスを用いる。なお、凹凸パターンの深さは、エッチング処理の時間によって適宜変更することが可能であり、モールド10に必要とされる深さに応じて適宜変更することができる。
(残渣除去工程)
続いて、基板1の表面に残存するレジストパターン4およびマスクパターン5を除去する。ここでは、例えばウェットエッチング処理により剥離除去し、その後、精密洗浄するとよい。
続いて、基板1の表面に残存するレジストパターン4およびマスクパターン5を除去する。ここでは、例えばウェットエッチング処理により剥離除去し、その後、精密洗浄するとよい。
以上により、図1(h)に示すモールド10を得る。
〔本発明の実施形態にかかる効果〕
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
本実施形態によれば、基板1とレジスト層3との間にエネルギー変換層2を設け、そのエネルギー変換層2にレーザー光を照射して発熱させることで、レジスト層3を間接的に加熱してパターンを描画している。エネルギー変換層2におけるレーザー光の照射領域では、光強度の弱い部分が、レジスト層3を感熱させるのに十分な熱量を得られない一方、光強度の強い部分は、レジスト層3を感熱させるのに十分な熱量を得られる。つまり、レーザー光を照射した領域のうち、光強度の強い部分に位置するレジスト層3を選択的に感熱させることができる。これにより、光強度分布の影響を低減し、精度の高いパターンを形成することができる。
また、本実施形態によれば、レーザー光を照射した領域のうち、光強度の強い部分に位置するレジスト層3を選択的に感熱できるため、つまり、実質的に、レーザー光のうち光強度の高い部分のみで描画できるため、レーザー光の照射領域よりも狭い領域を描画することができ、パターン幅を狭めることが可能となる。例えば、パターン幅を50nm以上1000nm以下とすることができる。
また、本実施形態によれば、エネルギー変換層2がクロム化合物層であることが好ましい。クロム化合物は紫外波長域に対して吸収端を有するので、波長450nm以下のレーザー光を照射したときに熱エネルギーに効率的に変換することができる。
また、本実施形態によれば、レジスト層3がレーザー光の照射波長に対して吸収端を持たないことが好ましい。これにより、エネルギー変換層2にレーザー光を照射するときにレジスト層3が感光することを抑制し、パターン精度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、基板1がレーザー光の波長に対して透明な部材からなることが好ましい。これにより、基板1での光エネルギーの吸収、および基板の発熱を抑制し、レジスト層3が過剰に加熱されてエネルギー変換層2から剥離してしまうことを抑制できる。
また、本実施形態によれば、基板1の熱拡散係数が115W/mk未満であることが好ましい。これにより、レーザー光によりエネルギー変換層2で発生した熱を基板1に拡散させることを抑制し、レジスト層3を効率的に加熱することができる。
また、本実施形態によれば、パターン描画工程では、基板1側からエネルギー変換層2に対してレーザー光を照射することが好ましい。これにより、レジスト層3を介さずにエネルギー変換層2に対してレーザー光を照射できるので、レジスト層3において意図しない感光を抑制することが可能となり、パターン精度をより向上させることができる。
また、本実施形態によれば、レジスト層3を形成するポリ型レジスト組成物が、αクロロアクリル酸メチルとαメチルスチレンの共重合体を含むことが好ましい。この共重合体は、少なくとも波長350nm以上の光に対して感光しないので、これからレジスト層3を形成することにより、パターン描画工程で用いるレーザー光の波長選択性を広げることができる。また、加熱領域と非加熱領域とで溶解速度の差を大きくできるので、パターン精度を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、波長域が極端に短波長であるレーザー光を使用せずとも、微細なレジストパターン4を形成することができる。しかも、電子線描画のようにパターンの形成に要する時間が長くないので、微細なパターンを生産性よく形成することができる。
また、本実施形態によれば、レーザー光の照射エネルギー量の許容量を、エネルギー変換層2におけるエネルギー変換効率に応じて広くすることができる。例えば、エネルギー変換効率が50%であれば、許容幅を2倍にすることができる。照射エネルギー量としては、35mW〜45mWであり、その教養幅は、約10mWである。
また、本実施形態によれば、幅50nm以上1000nm以下のレジストパターンを精度よく形成できるので、サブ波長構造からなる光学素子などを作製するためのナノインプリント用モールドを生産性よく作製することができる。
<本発明の他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
以上、本発明の一実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上述の実施形態では、モールド10として、表面に凹凸パターンが形成された基板1を作製する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明では、例えば、図1(f)に示す、表面にレジストパターン4が形成された基板1をモールド10として用いることができる。この場合、レジストパターン4を凹凸パターンとして用いる。
また、上述の実施形態では、ナノインプリント用のモールド10において微細なレジストパターン4を形成する場合について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、半導体製造用フォトマスク(レチクル)の製造、半導体製造、マイクロ電気機械システム(MEMS)、センサー素子、光ディスク、回折格子や偏光素子等の光学部品、フォトニック結晶、バイオセンサー等の作製に幅広く適用することができる。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例)
まず、基板として、適宜研磨された径6インチ、厚さ700μmの合成石英ガラス基板を準備した。次に、合成石英ガラス基板の主表面に、スパッタリング法によりクロム(Cr)を主成分とするクロム化合物層を成膜し、エネルギー変換層を形成した。次に、エネルギー変換層の上に、アニソールを溶媒とするαクロロアクリル酸メチルとαメチルスチレンの共重合体(日本ゼオン社製ZEP7000)からなるレジスト組成物を滴下し、回転塗布法により成膜し、その後、ホットプレートにて、170℃で10分間ベーク処理することで、膜厚100nmのレジスト層を形成した。これにより、レジスト層付きブランクスを得た。
まず、基板として、適宜研磨された径6インチ、厚さ700μmの合成石英ガラス基板を準備した。次に、合成石英ガラス基板の主表面に、スパッタリング法によりクロム(Cr)を主成分とするクロム化合物層を成膜し、エネルギー変換層を形成した。次に、エネルギー変換層の上に、アニソールを溶媒とするαクロロアクリル酸メチルとαメチルスチレンの共重合体(日本ゼオン社製ZEP7000)からなるレジスト組成物を滴下し、回転塗布法により成膜し、その後、ホットプレートにて、170℃で10分間ベーク処理することで、膜厚100nmのレジスト層を形成した。これにより、レジスト層付きブランクスを得た。
続いて、レーザー直接描画装置(パルステック工業社製NEO−1000)を用い、レジスト層付きブランクスのエネルギー変換層に対して、スペース幅50nm、100nm、及び250nm、トータルピッチ500nmの三種のラインアンドスペースパターンを幅10μmの範囲に、それぞれ描画(レーザービーム照射量)した。
続いて、所定パターンを描画したレジスト層に、現像液として、アニソールとイソプロピルアルコールを体積比率6:4で混合した混合液をスプレー塗布し、30秒間現像処理した。その後、イソプロピルアルコールをリンス液としてリンス処理し、スピン乾燥処理を行った。これにより、レジストパターンを形成した。レジストパターンを走査型電子顕微鏡で観察した像を図3に示す。図3aは、ピッチ500nmスペースが250nmのレジストパターンの像を示し、図3bは、ピッチ500nmスペース100nmのレジストパターンの像を示し、図3cはピッチ500nmスペース50nmのパターンの像を示す。
本実施例で形成されたレジストパターンは、スペース部分に特徴的な異物は確認されなかった。
本実施例で形成されたレジストパターンは、スペース部分に特徴的な異物は確認されなかった。
続いて、レジストパターンをエッチングマスクとして、塩素と酸素の混合ガスによりドライエッチング処理を行った。これにより、露出する、クロムを含むエネルギー変換層に所定のパターンを形成し、マスクパターンを得た。
続いて、マスクパターンをエッチングマスクとして、炭化フッ素ガス(CF4)とアルゴン(Ar)ガスとの混合ガスによりドライエッチング処理を行った。これにより、合成石英ガラス基板の表面にマスクパターンに対応した凹凸パターンを形成した。
最後に、凹凸パターンが形成された合成石英ガラス基板を、濃硫酸と過酸化水素水の混合液を150℃に加熱したレジスト剥離液に浸漬させ、その後、水洗してレジスト層の残渣を除去した。さらに、クロムのウェットエッチング液である硝酸第二セリウムアンモ二ウム系溶液に浸漬させ、マスクパターンを除去した。そして、中性洗剤の水溶液を用いて精密洗浄し、回転乾燥させることにより、インプリント用モールドを得た。
以上のようにして製作されたインプリント用モールドは、エネルギー許容幅が寸法自由度に優れ、かつ、レジストパターン形成に係る異物による不具合も最小限に抑えられた。具体的には、図3(a)、(b)および(c)のそれぞれに示すように、スペース幅を250nm、100nmおよび50nmとした場合であっても、抜き部に異物の残存がなく、精度の高いパターンを形成できることが確認された。
以上のようにして製作されたインプリント用モールドは、エネルギー許容幅が寸法自由度に優れ、かつ、レジストパターン形成に係る異物による不具合も最小限に抑えられた。具体的には、図3(a)、(b)および(c)のそれぞれに示すように、スペース幅を250nm、100nmおよび50nmとした場合であっても、抜き部に異物の残存がなく、精度の高いパターンを形成できることが確認された。
(比較例)
まず、基板として、適宜研磨された径6インチ、厚さ700μmの合成石英ガラス基板を準備した。次に、合成石英ガラス基板の主表面に、ハードマスク膜であるクロム化合物層をスパッタリング法により成膜した。
つぎにハードマスク膜の表面に酸化タングステン(WOx)からなる無機レジスト層をスパッタ法により、20nmの厚さで成膜した。
つぎに、無機レジスト層にレーザー光を照射し、200nmピッチで50nm、100nm及び150nmのスペースパターンを形成した。50nmのスペースパターンは、照射エネルギーが足りずに解像性が得られなかった。また、100nmのスペースパターンは、スペースの中心線付近に点状の異物がみられた。また、150nmのスペースパターンを形成したところ、パターンの中心部分に酸化タングステンの変性物である異物の析出が確認された(図6)。図6は、比較例に係るレジストパターンであって、ピッチを200nm、スペース幅を150nmとしたときの走査電子顕微鏡である。
まず、基板として、適宜研磨された径6インチ、厚さ700μmの合成石英ガラス基板を準備した。次に、合成石英ガラス基板の主表面に、ハードマスク膜であるクロム化合物層をスパッタリング法により成膜した。
つぎにハードマスク膜の表面に酸化タングステン(WOx)からなる無機レジスト層をスパッタ法により、20nmの厚さで成膜した。
つぎに、無機レジスト層にレーザー光を照射し、200nmピッチで50nm、100nm及び150nmのスペースパターンを形成した。50nmのスペースパターンは、照射エネルギーが足りずに解像性が得られなかった。また、100nmのスペースパターンは、スペースの中心線付近に点状の異物がみられた。また、150nmのスペースパターンを形成したところ、パターンの中心部分に酸化タングステンの変性物である異物の析出が確認された(図6)。図6は、比較例に係るレジストパターンであって、ピッチを200nm、スペース幅を150nmとしたときの走査電子顕微鏡である。
1 基板
2 エネルギー変換層
3 レジスト層
3a 可溶領域
4 レジストパターン
4a 高温発熱領域
4b 低温発熱領域
5 マスクパターン
6 溝部
2 エネルギー変換層
3 レジスト層
3a 可溶領域
4 レジストパターン
4a 高温発熱領域
4b 低温発熱領域
5 マスクパターン
6 溝部
Claims (9)
- 基板上に、金属化合物からなり、光エネルギーを熱エネルギーに変換可能なエネルギー変換層を形成するエネルギー変換層形成工程と、
前記エネルギー変換層上に、熱エネルギーによって結合が開裂するポジ型レジスト組成物からなるレジスト層を形成するレジスト層形成工程と、
前記エネルギー変換層にレーザー光を照射して発熱させることにより、前記レジスト層を加熱し、所定のパターンを描画するパターン描画工程と、
前記パターン描画工程後の前記レジスト層を現像し、レジストパターンを形成する現像工程と、を有する、レジストパターン形成方法。 - 前記エネルギー変換層が、クロム化合物層である、請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
- 前記レジスト層が、前記レーザー光の照射波長に対して吸収端を持たない、請求項1又は2に記載のレジストパターン形成方法。
- 前記基板が、前記レーザー光の波長に対して透明な部材からなる、請求項1〜3のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
- 前記基板の熱拡散係数が115W/mk未満である、請求項1〜4のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
- 前記パターン描画工程では、波長が450nm以下であって単一波長のレーザー光を照射する、請求項1〜5のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
- 前記パターン描画工程では、前記基板側から前記エネルギー変換層に対してレーザー光を照射する、請求項1〜6のいずれかに記載のレジストパターン形成方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のレジストパターン形成方法を用いて、前記現像工程により前記基板上に所定のレジストパターンを形成した後、当該レジストパターンをマスクとして前記基板の表面に凹凸パターンを形成することにより、モールドを作製する、モールド作製方法。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のレジストパターン形成方法を用いて、前記現像工程により前記基板上に所定のレジストパターンを形成することにより、前記レジストパターンを表面に備え、当該レジストパターンを凹凸パターンとして利用するモールドを作製する、モールド作製方法。
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CN108257854A (zh) * | 2017-09-27 | 2018-07-06 | 苏州太阳井新能源有限公司 | 一种图形化掩模的制造方法 |
JP2019200444A (ja) * | 2019-08-30 | 2019-11-21 | キヤノン株式会社 | リソグラフィ装置、パターン形成方法及び物品の製造方法 |
CN111983752A (zh) * | 2020-10-14 | 2020-11-24 | 歌尔股份有限公司 | 光波导制备方法及光波导 |
US11243462B2 (en) | 2018-03-30 | 2022-02-08 | Canon Kabushiki Kaisha | Lithography apparatus, method of forming pattern, and method of manufacturing article |
-
2015
- 2015-07-06 JP JP2015135694A patent/JP2017016069A/ja active Pending
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