JP2017014925A - ノッキング判定装置およびノッキング判定方法 - Google Patents

ノッキング判定装置およびノッキング判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ノッキングが発生しているか否かを高精度に判定することのできるノッキング判定装置およびノッキング判定方法を提供する。
【解決手段】ノッキング判定装置10は、ノッキングが発生しない運転条件である第1運転条件で得られた複数の音圧信号の各々のスペクトルに基づく値である第1バイスペクトルを算出すると共に、第1運転条件以外の運転条件である第2運転条件で得られた音圧信号のスペクトルに基づく値である第2バイスペクトルを算出する算出部11と、各第1バイスペクトルを多次元におけるこれらのばらつきで正規化し、かつ、第2バイスペクトルを同じばらつきで正規化すると共に、各第1バイスペクトルから得られた正規化後の値の集合と、第2バイスペクトルから得られた正規化後の値との乖離の度合いから、第2運転条件でノッキングが発生しているか否かの判定を行う判定部12とを備える。
【選択図】図2

Description

本発明は、ノッキング判定装置およびノッキング判定方法に関する。
ガソリンエンジンにおける点火時期は、出力トルクの向上を目的として、ノッキングが発生するクランク角度の直前まで進角されていることが一般的である。エンジンを設計する過程の中で点火時期をクランク角度に適合させる工程では、ノッキングが発生しているか否かがノッキング判定装置によって確認されている。ノッキング判定装置は、例えば、筒内圧を検出する圧力センサからの出力信号と、エンジンが発する音を検出するマイクからの出力信号との相互相関値を計算し、こうした相互相関値をノッキングの強度として取り扱っている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−314349号公報
しかしながら、特許文献1に記載のノッキング判定装置では、ノッキング以外の音によるノイズの混入が、ノッキングが発生しているか否かの判定の精度を低下させるおそれがある。
本発明の目的は、ノッキングが発生しているか否かを高精度に判定することのできるノッキング判定装置およびノッキング判定方法を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について説明する。
上記課題を解決するためのノッキング判定装置において、ノッキングが発生しない運転条件が第1運転条件であり、前記第1運転条件以外の運転条件が第2運転条件であり、内燃機関に発生する圧力変動に基づく物理量を示す信号であって、前記内燃機関における回転角度ごとの前記物理量の推移を燃焼ごとに示す信号が対象信号である。そして、このノッキング判定装置は、前記第1運転条件で得られた複数の前記対象信号の各々のスペクトルに基づく値である第1スペクトルを算出すると共に、前記第2運転条件で得られた前記対象信号のスペクトルに基づく値である第2スペクトルを算出する算出部と、前記各第1スペクトルを多次元におけるこれらのばらつきで正規化し、かつ、前記第2スペクトルを前記ばらつきで正規化すると共に、前記各第1スペクトルから得られた前記正規化後の値の集合と、前記第2スペクトルから得られた前記正規化後の値との乖離の度合いから、前記第2運転条件でノッキングが発生しているか否かの判定を行う判定部と、を備えることを要旨としている。
上記課題を解決するためのノッキング判定方法において、ノッキングが発生しない運転条件が第1運転条件であり、前記第1運転条件以外の運転条件が第2運転条件であり、内燃機関に発生する圧力変動に基づく物理量を示す信号であって、前記内燃機関における回転角度ごとの前記物理量の推移を燃焼ごとに示す信号が対象信号である。そして、このノッキング判定方法は、算出部が、前記第1運転条件で得られた複数の前記対象信号の各々のスペクトルに基づく値である第1スペクトルを算出すると共に、前記第2運転条件で得られた前記対象信号のスペクトルに基づく値である第2スペクトルを算出すること、判定部が、前記各第1スペクトルを多次元におけるこれらのばらつきで正規化し、かつ、前記第2スペクトルを前記ばらつきで正規化すると共に、前記各第1スペクトルから得られた前記正規化後の値の集合と、前記第2スペクトルから得られた前記正規化後の値との乖離の度合いから、前記第2運転条件でノッキングが発生しているか否かの判定を行うこと、を含むことを要旨としている。
ノッキングとは、気筒内において異常燃焼が発生し、この異常燃焼による衝撃波が気筒の固有振動数で増幅され、それによって大きな振動が発生する現象である。このため、ノッキングが含まれる対象信号には、相関のある信号が含まれている。上記構成もしくは方法によれば、ノッキングが発生しているか否かの判定が、内燃機関に発生する圧力変動に基づく物理量の多次元における解析によって行われる。言い換えれば、スペクトル解析によるスペクトルの多次元データについて正規化を行うことで、複数の周波数成分について集合との乖離の度合いを求めることができる。また、スペクトル解析によるスペクトルの多次元データについて正規化を行うことで、ノイズの影響を抑制することができ、ノッキングが発生しているか否かを高精度に判定することができる。
上記ノッキング判定装置において、前記算出部は、前記スペクトルに基づく値として、前記対象信号のスペクトルからバイスペクトルを算出することが好ましい。
上記構成によれば、対象信号のスペクトルからバイスペクトルを算出して、ノッキングが発生しているか否かの判定を行うので、ノイズによる影響を更に低減して、ノッキングが発生しているか否かを更に高精度に判定することができる。
上記ノッキング判定装置において、前記判定部は、統計学上のパラメトリックな手法を用い、前記乖離の度合いを算出することが好ましい。
上記構成では、確率分布を仮定するパラメトリックな手法を用いて正規化されて判定が行われるため、データの分布に基づいて確率分布を仮定してノッキングが発生しているか否かの判定を効率よく行うことが可能でもある。
上記ノッキング判定装置において、前記判定部は、ノンパラメトリックな手法を用い、前記乖離の度合いを算出することが好ましい。
上記構成によれば、確率分布を仮定しないノンパラメトリックな手法を用いて乖離の度合いが算出されて判定が行われるため、データの分布形状が複雑なために確率分布の仮定が困難なときであれ、ノッキングが発生しているか否かの判定の頑強性を高めることが可能でもある。
上記ノッキング判定装置において、前記判定部は、前記内燃機関における気筒の固有振動数を加味して、前記乖離の度合いを算出することが好ましい。
上記構成によれば、こうした固有振動数が加味されるため、固有振動数に注目することで対象となる周波数帯を限定することとになり、ノッキングが発生しているか否かの判定の精度を高め、計算時間を短縮することが可能でもある。また、ノッキングと関係のない周波数帯の変動の影響を抑制することが可能でもある。
本発明によれば、ノッキングが発生しているか否かを高精度に判定することができる。
ノッキング判定装置の第1の実施形態におけるノッキング判定装置でエンジンの試験を行う際のノッキング判定装置とそれに接続される他の機器との接続の形態を示すブロック図。 同実施形態のノッキング判定装置の構成を示すブロック図。 同実施形態のノッキング判定装置が用いるモードの一例を示す図。 同実施形態のノッキング判定装置が行う判定準備について各処理工程を実施の順に示すフローチャート。 同実施形態のノッキング判定装置が行う判定準備の中の正規化処理について各処理工程を実施の順に示すフローチャート。 同実施形態のノッキング判定装置が行う判定処理について各処理工程を実施の順に示すフローチャート。 同実施形態のノッキング判定装置が行う判定処理の中の正規化処理について各処理工程を実施の順に示すフローチャート。 (a)は同実施形態のノッキング判定装置によって算出された第1運転条件における燃焼回数とマハラノビス距離との関係の一例を示すグラフ、(b)は同実施形態のノッキング判定装置によって算出された第2運転条件における燃焼回数とマハラノビス距離との関係の一例を示すグラフ。 (a)は気筒内圧力を直接計測したときの燃焼回数と筒内圧ピーク値との関係を示すグラフ、(b)は同実施形態のノッキング判定装置によって算出された(2,0)モードにおける燃焼回数とマラハノビス距離との関係を示すグラフ、(c)は同実施形態のノッキング判定装置によって算出された(1,1)モードのときの燃焼回数とマラハノビス距離との関係を示すグラフ。 第2の実施形態のノッキング判定装置が行う判定準備について各処理工程を実施の順に示すフローチャート。 同実施形態のノッキング判定装置が行う判定準備の中の正規化処理について各処理工程を実施の順に示すフローチャート。 同実施形態のノッキング判定装置が行う判定処理について各処理工程を実施の順に示すフローチャート。 同実施形態のノッキング判定装置が行う判定処理の中の正規化処理について各処理工程を実施の順に示すフローチャート。 ノッキング判定装置が行う判定準備の変形例について各処理工程を実施の順に示すフローチャート。 同変形例において各処理工程を実施の順に示すフローチャート。
(第1の実施形態)
以下、図1〜図9を参照して、ノッキング判定装置およびノッキング判定方法の第1の実施形態について説明する。内燃機関の一例である車両用のエンジンの試験では、例えば点火タイミングの調整試験もしくは調整された点火タイミングの確認試験が行われる。これらの点火タイミングの試験においてノッキング判定装置が用いられ、また、ノッキング判定装置によるノッキング判定方法が実施される。
図1に示すように、試験用のエンジン1は、車両3に搭載されている。なお、試験用のエンジン1は、車両3に搭載されない状態であって、単独で用いられてもよい。エンジン1には、エンジン1の駆動を制御するエンジンECU2が接続されている。エンジンECU2は、エンジン1の駆動の制御に必要な各種情報をエンジンECU2の外部から取得しながらエンジン1を制御する。エンジン1は、エンジン1を運転するための条件である運転条件として、ノッキングが発生しない運転条件である第1運転条件と、第1運転条件以外の運転条件である第2運転条件とを有している。
エンジン1の近くには、音圧センサ4が設置されている。音圧センサ4は、エンジン1に発生する圧力変動に基づく物理量の一例である音圧を検出し、検出された音圧の大きさを示す音圧信号を生成する。ノッキングとは、気筒内において異常燃焼が発生し、この異常燃焼による衝撃波が気筒の固有振動数で増幅され、それによって大きな振動が発生する現象である。このため、ノッキングが含まれる音圧信号には、相関のある信号が含まれている。音圧センサ4は、音圧信号をデータ収集装置5に出力する。エンジンECU2は、エンジン1の回転角度を表す角度情報をデータ収集装置5に出力する。角度情報には、例えば回転パルスとクランク角度パルスとが含まれる。回転パルスは、クランク軸の回転角度が原点であるときに出力される信号であって、例えば、クランク軸が1回転するごとに1パルス出力される。クランク角度パルスは、クランク軸の回転角度が1度進むごとに出力される信号であって、例えばクランク軸が2回転する間に720パルス出力される。
ノッキング判定装置10は、データ収集装置5を介して音圧信号と角度情報とを取得する。データ収集装置5は、音圧センサ4から出力される音圧信号をA/D変換し、角度情報とともに一旦蓄えた後、それらのデータをノッキング判定装置10に出力する。ノッキング判定装置10は、データ収集装置5からデータを取得して、ノッキングの判定に関する演算を実行して、その演算結果をモニタ6等に出力する。なお、ノッキング判定装置10は、ノッキング検出方法を実施するプログラムを有するパーソナルコンピュータ(PC)等であってもよい。
次に、ノッキング判定装置10の演算について説明する。
図2に示すように、ノッキング判定装置10は、エンジンECU2から出力されてデータ収集装置5を介して角度情報を取得するとともに、音圧センサ4から出力された信号がデータ収集装置5でA/D変換された音圧信号を取得する。なお、音圧信号がエンジン1における回転角度ごとの物理量の推移を燃焼ごとに示す信号である対象信号に相当する。音圧信号には、スペクトル(周波数成分)が含まれている。
また、ノッキング判定装置10は、第1運転条件で得られた複数の音圧信号の各々のスペクトルに基づく値である第1バイスペクトルを算出すると共に、第2運転条件で得られた音圧信号のスペクトルに基づく値である第2バイスペクトルを算出する算出部11を備えている。なお、バイスペクトルは、スペクトルから算出され、スペクトルの共起関係を反映した特徴量である。ここで、第1バイスペクトルは第1運転条件で得られた複数の音圧信号の各々のスペクトルに基づく値である第1スペクトルに相当する。また、第2バイスペクトルは第2運転条件で得られた音圧信号のスペクトルに基づく値である第2スペクトルに相当する。そして、ノッキング判定装置10は、各第1バイスペクトルを多次元におけるこれらのばらつきで正規化し、かつ第2バイスペクトルを同じばらつきで正規化すると共に、各第1バイスペクトルから得られた正規化後の値の集合と、第2バイスペクトルから得られた正規化後の値との乖離の度合いから、第2運転条件でノッキングが発生しているか否かの判定を行う判定部12を備えている。全ての第1バイスペクトルのばらつきとは、統計学上のばらつきであって、全ての第1バイスペクトルから得られる分散や共分散である。本実施形態のノッキング判定装置10は、多次元正規分布を仮定したパラメトリック手法によって判定準備をするとともに、判定準備に基づいて判定を行う。
算出部11は、信号切出部13と、FFT部14と、バイスペクトル算出部15とを備えている。判定部12は、正規化部16と、判定値算出部17と、比較部18とを備えている。ノッキング判定装置10は、ノッキングの判定を行う前に判定に用いる判定値を算出するための準備を行う。ノッキング判定装置10は、準備のときにはノッキングの発生していないエンジン1のNサイクルのデータを取得して演算を行い、準備のときにのみ判定値算出部17を用いる。一方、ノッキング判定装置10は、ノッキングの判定のときにはノッキングのおそれのあるエンジン1の1サイクルのみのデータを取得して演算を行い、判定のときにのみ比較部18を用いる。ここで、エンジン1のNサイクル及び1サイクルのデータは、選択した1気筒についてのデータである。なお、気筒は任意に選択可能である。
信号切出部13は、取得した角度情報に基づいて、取得した音圧信号の中から特定の角度範囲内の信号を切り出す。ここでは、信号切出部13は、回転パルスの発生を契機としてクランク角度パルスを計数し、その計数値に基づいてノッキングが発生し得る角度範囲を決定し、音圧信号のうちの決定された角度範囲(切出角度範囲)内の音圧信号を切り出す。具体的には、信号切出部13は、例えば、点火位置やTDC(Top Dead Center)付近から約90度の角度範囲内の音圧信号を切り出す。なお、点火タイミングが変更されても切出角度範囲は固定されたままである。ただし、点火タイミングの変更に応じて切出しの角度範囲を変更してもよい。
また、信号切出部13は、1回転1パルスの回転パルスと2回転720パルスのクランク角度パルスとを計数することで切出角度範囲を決定する。なお、1回転1パルスの回転パルスのみに基づいて、隣接する回転パルスの間隔からエンジン回転速度(1回転に要する時間)を求め、その1回転に要する時間の中の特定の時間領域を切出角度範囲としてもよい。あるいはクランク角度パルスよりも分解能の低い角度情報、例えばイグニッションパルス信号に基づいて、切出角度範囲を決定してもよい。
FFT部14は、信号切出部13が切り出した音圧信号に対して時間周波数領域で離散フーリエ変換を高速に計算する高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行い、周波数成分(スペクトル)を算出する。
バイスペクトル算出部15は、FFT部14が算出した周波数成分からバイスペクトルを算出する。ここで、時刻tにおける信号切出部13が切り出した音圧信号をx(t)とする。この音圧信号x(t)にFFT処理を施すと、周波数fを変数とするフーリエ係数X(f)が算出される。このフーリエ係数X(f)に基づくバイスペクトルB(f,f)は下記の式(1)で示される。バイスペクトルB(f,f)は、スペクトルの3乗積である。
ここで、f,fは周波数、*は複素共役を表している。
次に、正規化部16は、上記のようにバイスペクトル算出部15で算出されたバイスペクトルB(f,f)を正規化する。正規化部16は、振動モード(周波数)別の特徴量(バイスペクトルの周波数成分)を算出する。ノッキングは、気筒内の一種の共振現象であり、ノッキングが発生すると気筒内に衝撃波が発生し、エンジンから発せられる振動や音には、その気筒の、ある1つの固有振動数(共振周波数)の成分とその高調波成分(特に2倍の周波数成分)が含まれる。バイスペクトルでf=fのバイスペクトルは、各周波数における2次の調和成分の大きさを反映している。
エンジンの固有振動数(共振周波数)fp,qは、下記の式(2)で示される。
ただし、Cは音速、Dはボア径、p,qは振動モード、Ρp,qは振動モード(p,q)における定数である。
図3に示すように、例えば振動モード(p,q)が(1,0)モードのときは、定数Ρ1,0=1.841である。また、「気筒内振動モード」の図は、ボア内の気体の振動の様子を図解したものである。
正規化部16は、全ての第1バイスペクトルの分布が多次元確率分布であると仮定して、全ての第1バイスペクトルのばらつきによる正規化を行う。正規化部16は、正規化の一例として、まず、Nサイクルの各々で算出した振動モード別の特徴量から絶対値を算出し、Nサイクル分の平均値及び分散共分散行列を算出する。この平均値及び分散共分散行列を使用することで、Nサイクル分のマハラノビス距離を算出することができる。正規化部16は、判定処理時には、第2運転条件での各音圧信号の第2バイスペクトルに対し、準備で得られたNサイクル分の平均値及び分散共分散行列を用いマハラノビス距離を算出する。分散共分散行列は、バイスペクトルの各周波数成分の平均からの偏差の積の平均値である共分散を配列した行列である。ここで、マハラノビス距離を算出することによって多次元において正規化が行われる。
判定値算出部17は、第1バイスペクトルから得られた正規化後の集合と、第2バイスペクトルから得られた正規化後の値との乖離の度合いの一例として、平均値及び分散共分散行列から求められるマハラノビス距離の判定値を決定する。判定値算出部17は、準備で得られた各周波数でのマハラノビス距離に対してマージンを有することで判定値を算出する。判定値は、例えば準備で得られた各周波数でのマハラノビス距離を定数倍することで算出する。この判定値は、エンジン1にノッキングが発生しているか否かを判定する値である。
比較部18は、判定値算出部17で算出された判定値と正規化部16で算出された第2バイスペクトルのマハラノビス距離とを比較することでノッキングが発生しているか否かを判定する。比較部18は、正規化部16で算出された第2バイスペクトルのマハラノビス距離が判定値よりも大きいときにノッキングが発生していると判定する。
次に、図4〜図9を参照して、上記のノッキング判定装置10によるノッキングが発生しているか否かの判定について説明する。ここでは、エンジン1の負荷条件を一定に保ち、その一定の負荷条件の下で処理が実行される。なお、エンジン1の回転速度は、準備時と判定時とで同じ回転速度であることが望ましく、言い換えれば判定したい回転速度で準備処理を行うことが望ましい。
まず、ノッキング判定装置10による判定準備について説明する。
図4に示すように、ノッキング判定装置10は、判定準備において運転中にノッキングが発生しない第1運転条件のエンジン1のNサイクルの音圧信号及び角度情報を取得する(ステップS11)。すなわち、ノッキング判定装置10は、エンジンECU2から出力された角度情報を、データ収集装置5を介して取得するとともに、音圧センサ4から出力された信号がデータ収集装置5でA/D変換された音圧信号を取得する。
続いて、ノッキング判定装置10は、取得した音圧信号の中から切出角度範囲内の音圧信号を切り出す(ステップS12)。すなわち、信号切出部13は、取得した角度情報に基づいて音圧信号の中から特定の角度範囲内の信号を切り出す。
続いて、ノッキング判定装置10は、切り出された音圧信号にFFT処理を行う(ステップS13)。すなわち、FFT部14は、信号切出部13が切り出した音圧信号x(t)に対して高速フーリエ変換(FFT)を行い、フーリエ係数X(f)を算出する。
続いて、ノッキング判定装置10は、算出された周波数成分からバイスペクトルを算出する(ステップS14)。すなわち、バイスペクトル算出部15は、FFT部14が算出したフーリエ係数X(f)からバイスペクトルB(f,f)を算出する。
続いて、ノッキング判定装置10は、算出されたバイスペクトルに対して正規化処理を行う(ステップS15)。
詳しくは、図5に示すように、ノッキング判定装置10は、バイスペクトル算出部15が算出したバイスペクトルのうち各振動モード(周波数)の特徴量を抽出する(ステップS15−1)。すなわち、正規化部16は、各振動モードにおけるバイスペクトルの周波数成分を特徴量として抽出する。そして、ノッキング判定装置10は、各振動モードの抽出した特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値を算出する(ステップS15−2)。正規化部16は、バイスペクトルが複素数であるので、実数とするために絶対値を算出する。
続いて、ノッキング判定装置10は、各振動モードの算出した特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値から平均値及び分散共分散行列を算出する(ステップS15−3)。すなわち、正規化部16は、各振動モードの特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値から平均値を算出し、この平均値を用いて分散共分散行列を算出する。
そして、図4に示すように、ノッキング判定装置10は、ノッキングが発生しているか否かの判定に用いる判定値を算出する(ステップS16)。すなわち、判定値算出部17は、正規化部16によって算出された分散共分散行列に基づいて各振動モードのマハラノビス距離を算出し、算出したマハラノビス距離にマージンを有するように判定値を算出する。
例えば、図8(a)に示すように、ノッキングが発生しない第1運転条件において算出したマハラノビス距離は各燃焼回数において、ノッキングが発生した燃焼時に算出されたマハラノビス距離と比べて小さい値、例えば0に近い値をとる。そして、判定値算出部17は、ノッキングが発生しない第1運転条件において算出したマハラノビス距離にマージンを有するように判定値を算出する。
次に、ノッキング判定装置10による判定準備に基づく判定について説明する。
図6に示すように、ノッキング判定装置10は、判定において第1運転条件以外の運転条件である第2運転条件のエンジン1の1サイクルの音圧信号及び角度情報を取得する(ステップS21)。続いて、ノッキング判定装置10は、取得した音圧信号の中から切出角度範囲内の音圧信号を切り出す(ステップS22)。続いて、ノッキング判定装置10は、切り出された音圧信号にFFT処理を行う(ステップS23)。続いて、ノッキング判定装置10は、算出された周波数成分からバイスペクトルを算出する(ステップS24)。続いて、ノッキング判定装置10は、算出されたバイスペクトルに対して正規化処理を行う(ステップS25)。
詳しくは、図7に示すように、ノッキング判定装置10は、バイスペクトル算出部15が算出したバイスペクトルのうち各振動モードの特徴量(バイスペクトルの周波数成分)を抽出する(ステップS25−1)。そして、ノッキング判定装置10は、各振動モードの抽出した特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値を算出する(ステップS25−2)。
続いて、ノッキング判定装置10は、各振動モードの算出した特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値によってマハラノビス距離を算出する(ステップS25−3)。すなわち、正規化部16は、各振動モードの特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値を、判定準備において算出した平均値及び分散共分散行列を適用してマハラノビス距離を算出する。
そして、図6に示すように、ノッキング判定装置10は、ノッキングが発生しているか否かを判定する(ステップS26)。すなわち、判定部12は、正規化部16によって算出された各振動モードのマハラノビス距離と判定値とを比較することによってノッキングが発生しているか否かの判定を行う。判定部12は、各振動モードのいずれか一つの判定において、算出されたマハラノビス距離が判定値よりも大きいときにノッキングが発生していると判定する。なお、判定部12は、各振動モードのうち、判定値を超えた振動モードがいくつあればノッキングと判定するか事前に決めておき、複数の振動モードのマハラノビス距離が判定値よりも大きいものが、事前に決めた個数よりも多いときにノッキングが発生していると判定してもよい。
例えば、図8(b)に示すように、第2運転条件においてノッキングが発生しているときに算出したマハラノビス距離は、判定準備において算出した判定値よりも大きい値が存在している。そして、判定部12は、判定において算出したマハラノビス距離と判定値とを比較して、算出したマハラノビス距離が判定値よりも大きいときにノッキングが発生していると判定する。また、判定時に算出した各振動モードのマハラノビス距離と判定値とを比較することで、当該振動モードにおいてノッキングが発生していることを特定することができる。
そして、ノッキング判定装置10は、各振動モードにおいてノッキングが発生しているか否かの判定結果をモニタ6等に出力することで、判定結果をユーザに提示することができる。
本実施形態では、エンジン1から発生する音圧によって、ノッキングが発生しているか否かを判定しているので、エンジン1の気筒内にセンサを設ける必要がなく、燃焼特性に影響を与えることなくノッキングが発生しているか否かの判定を行うことができる。
また、ノッキングが発生していない第1運転条件において音圧信号を取得してバイスペクトルを求めて、正規化して、統計的標準化を行うことで、微弱なノッキングやエンジンの高回転速度領域のノッキングでも判定することができる。つまり、図9(a)に示した気筒内に設置したセンサによって直接計測した筒内圧ピーク値は3個のノッキングを検出している。なお、このグラフは高精度なセンサで直接計測した計測値をノッキングが分かるように処理を行った理想的なグラフである。一方で、本実施形態のノッキング判定によれば、図9(b)に示すように振動モードが(2,0)モードにおいて判定値よりも大きいマハラノビス距離が2個検出されている。また、図9(c)に示すように振動モードが(1,1)モードにおいて判定値よりも大きいマハラノビス距離が2個検出されている。すなわち、本実施形態のノッキング判定は、筒内圧ピーク値によるノッキングの検出結果と相関がある。なお、各振動モードにおいて判定値は異なっている。よって、本実施形態によれば、複数の振動モードを組み合わせることで発生している複数のノッキングを検出することができる。
本実施形態では、燃焼ごとに示す対象信号である音圧信号が複数の周波数成分を含むことにより解析対象の周波数が拡がる。このため、単一の周波数での解析ではノッキングの検出精度が低下するところ、多次元データで解析を行う本実施形態では、ノッキングを高精度に検出することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)ノッキングが発生しているか否かの判定が、エンジン1に発生する圧力変動に基づく物理量の多次元における解析によって行われる。言い換えれば、スペクトル解析によるスペクトルの多次元について正規化を行うことで、複数の周波数成分について集合との乖離の度合いを求めることができる。また、スペクトル解析によるスペクトルの多次元データについて正規化を行うことで、ノイズの影響を抑制することができ、ノッキングが発生しているか否かを高精度に判定することができる。
(2)音圧信号のスペクトルからバイスペクトルを算出して、ノッキングが発生しているか否かの判定を行うので、ノイズによる影響を更に低減して、ノッキングが発生しているか否かを更に高精度に判定することができる。
(3)確率分布を仮定するパラメトリックな手法であるマハラノビス距離を用いて正規化されて判定が行われるため、データの分布に基づいてノッキングが発生しているか否かの判定を効率よく行うことができる。
(4)固有振動数が加味されるため、固有振動数に注目することで対象となる周波数帯を限定することとになり、ノッキングが発生しているか否かの判定の精度を高め、計算時間を短縮することができる。また、ノッキングと関係のない周波数帯の変動の影響を抑制することができる。
(5)音圧センサ4による検出では、センサをエンジン1に取り付けるための加工が不要となるため、燃焼特性に与える影響を抑えることができる。
(第2の実施形態)
以下、図10〜図13を参照して、ノッキング判定装置およびノッキング判定方法の第2の実施形態について説明する。この実施形態のノッキング判定装置およびノッキング判定方法は、確率分布を仮定しないノンパラメトリック手法によって判定準備及び判定を行う点が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
まず、ノッキング判定装置10による判定準備について説明する。
図10に示すように、ノッキング判定装置10は、判定準備において運転中にノッキングが発生しない第1運転条件のエンジン1のNサイクルの音圧信号及び角度情報を取得する(ステップS11)。続いて、ノッキング判定装置10は、取得した音圧信号の中から切出角度範囲内の音圧信号を切り出す(ステップS12)。ノッキング判定装置10は、切り出された音圧信号にFFT処理を行う(ステップS13)。続いて、ノッキング判定装置10は、算出された周波数成分からバイスペクトルを算出する(ステップS14)。ノッキング判定装置10は、算出されたバイスペクトルに対して正規化処理を行う(ステップS35)。
詳しくは、図11に示すように、正規化部16は、バイスペクトル算出部15が算出したバイスペクトルのうち各振動モード(周波数)の特徴量を抽出する(ステップS35−1)。すなわち、正規化部16は、各振動モードにおけるバイスペクトルの周波数成分を特徴量として抽出する。そして、正規化部16は、各振動モードの抽出した特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値を算出する(ステップS35−2)。
続いて、正規化部16は、各振動モードの算出した特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値からばらつきの一例である分散を各次元(周波数成分)から求めて各々の次元ごとに正規化を行う(ステップS35−3)。すなわち、正規化部16は、各振動モードの特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値から分散を算出し、この分散で特徴量の絶対値を割ることで正規化を行う。
そして、図10に示すように、ノッキング判定装置10は、各振動モードにおいて正規化によって得られた値から異常値を算出する(ステップS36)。判定値算出部17は、K−近傍法によって異常値を算出する。すなわち、判定値算出部17は、K−近傍法に基づいて、正規化によって得られた各値が任意のK個が収まる多次元における円の半径を各値について求め、異常値とする。
続いて、ノッキング判定装置10は、算出した異常値からノッキングが発生しているか否かの判定に用いる判定値を算出する(ステップS37)。すなわち、判定値算出部17は、算出した異常値にマージンを有するように判定値を算出する。判定値は例えば異常値を定数倍することで判定値を算出する。
次に、ノッキング判定装置10による判定準備に基づく判定について説明する。
図12に示すように、ノッキング判定装置10は、判定において第1運転条件以外の運転条件である第2運転条件のエンジン1の1サイクルの音圧信号及び角度情報を取得する(ステップS21)。続いて、ノッキング判定装置10は、取得した音圧信号の中から切出角度範囲内の音圧信号を切り出す(ステップS22)。続いて、ノッキング判定装置10は、切り出された音圧信号にFFT処理を行う(ステップS23)。続いて、ノッキング判定装置10は、算出された周波数成分からバイスペクトルを算出する(ステップS24)。続いて、ノッキング判定装置10は、算出されたバイスペクトルに対して正規化処理を行う(ステップS45)。
詳しくは、図13に示すように、正規化部16は、バイスペクトル算出部15が算出したバイスペクトルのうち各振動モードの特徴量(バイスペクトルの周波数成分)を抽出する(ステップS45−1)。そして、正規化部16は、各振動モードの抽出した特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値を算出する(ステップS45−2)。
続いて、正規化部16は、判定準備で求めた各振動モードの各周波数成分の分散で正規化する(ステップS45−3)。すなわち、正規化部16は、判定時に算出した各振動モードの特徴量(バイスペクトルの周波数成分)の絶対値における分散で、特徴量の絶対値を割ることで正規化を行う。
そして、図12に示すように、ノッキング判定装置10は、各振動モードにおいて正規化によって得られた値から異常値を算出する(ステップS46)。判定部12は、判定準備と同様にK−近傍法によって異常値を算出する。
続いて、ノッキング判定装置10は、算出した異常値からノッキングが発生しているか否かを判定する(ステップS47)。すなわち、判定部12は、判定において算出した各振動モードの異常値と判定値とを比較することによってノッキングが発生しているか否かを判定する。判定部12は、各振動モードのいずれか一つにおいて、判定で算出された異常値が判定値よりも大きいときにノッキングが発生していると判定する。なお、判定部12は、各振動モードのうち、判定値を超えた振動モードがいくつあればノッキングと判定するか事前に決めておき、判定値よりも大きい、複数の振動モードの異常値が事前に決めた個数よりも多いときにノッキングが発生していると判定してもよい。
そして、ノッキング判定装置10は、各振動モードにおいてノッキングが発生しているか否かの判定結果をモニタ6等に出力することで、判定結果をユーザに提示することができる。
上記のように、ノンパラメトリック手法によってノッキングが発生しているか否かを判定するため、確率分布を仮定するパラメトリック手法に比べて判定の頑強性を高めることができる。
本実施形態では、燃焼ごとに示す対象信号である音圧信号が複数の周波数成分を含むことにより解析対象の周波数が拡がる。このため、単一の周波数での解析ではノッキングの検出精度が低下するところ、多次元データで解析を行う本実施形態では、ノッキングを高精度に検出することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態の(1)、(2)、(4)、および(5)の効果に加え、以下の効果を奏することができる。
(6)確率分布を仮定しないノンパラメトリックな手法を用いて異常値が算出されて判定が行われるため、ノッキングが発生しているか否かの判定の頑強性を高めることができる。
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・上記第1の実施形態では、判定処理の図6のステップS26において、算出されたマハラノビス距離そのものを判定値によって判定することでノッキングが発生しているか否かを判定した。しかしながら、ステップS26の前に算出されたマハラノビス距離から異常値を別途算出して、この異常値を判定値によって比較することでノッキングが発生しているか否かを判定してもよい。
・上記第1の実施形態において、判定準備の図5のステップS15−3においてバイスペクトルの周波数成分の平均値を算出したが、平均値の代わりにバイスペクトルの周波数成分の中央値を算出して分散共分散行列を算出し、中央値と中央値で算出した分散共分散行列をもって分布を推定してもよい。
・上記第1の実施形態において、判定準備における分散共分散行列の算出時に、MCD(Minimum−Covariance−Determination)法によって算出してもよい。
・上記第1の実施形態では、パラメトリック手法において多次元正規分布を仮定してマハラノビス距離を求めたが、多次元正規分布以外の多次元複素確率分布や混合ガウス分布等の他の多次元確立分布を仮定してその生起確率によってノッキングが発生しているか否かを判定してもよい。なお、他の多次元確率分布のときは、確率密度関数の対数をとった値を異常度とする。
・上記第2の実施形態では、ノンパラメトリック手法として判定準備においてバイスペクトルから分散を算出して(図11のステップS35−3)、K−近傍法によって異常値を算出した(図12のステップS46)。しかしながら、K−近傍法に代えて、One−time Sampling法によって異常値を算出してノッキングが発生しているか否かを判定してもよい。また、K−近傍法と同様に取得したデータ間の距離や密度によってノッキングが発生しているか否かを判定してもよい。
・上記各実施形態では、バイスペクトルを算出して、バイスペクトルを正規化することでノッキングが発生しているか否かを判定した。しかしながら、FFT処理によって得られたスペクトルを多次元において正規化することでノッキングが発生しているか否かを判定してもよい。例えば、判定準備において、図14に示すように、図4に示したステップS14のバイスペクトルの算出を行わず、ステップS13のFFT処理によって得られたスペクトルを、マハラノビス距離等を算出することによって多次元において正規化する(ステップS15)。また、判定処理において、図15に示すように、図6に示したステップS24のバイスペクトルの算出を行わず、ステップS23のFFT処理によって得られたスペクトルを、マハラノビス距離等を算出することによって多次元において正規化する(ステップS25)。
・上記各実施形態では、エンジン1に発生する圧力変動に基づく物理量を空気の振動である音として音圧センサ4によって音圧信号を取得したが、エンジン1に発生する圧力変動に基づく物理量を空気以外の媒体の振動としてセンサによって取得してもよい。
・また、エンジン1に発生する圧力変動に基づく物理量としてエンジン1の気筒内の圧力を直接検出して、気筒内の圧力の検出信号によってノッキングが発生しているか否かを判定してもよい。
1…エンジン、2…エンジンECU、3…車両、4…音圧センサ、5…データ収集装置、6…モニタ、10…ノッキング判定装置、11…算出部、12…判定部、13…信号切出部、14…FFT部、15…バイスペクトル算出部、16…正規化部、17…判定値算出部、18…比較部。

Claims (6)

  1. ノッキングが発生しない運転条件が第1運転条件であり、
    前記第1運転条件以外の運転条件が第2運転条件であり、
    内燃機関に発生する圧力変動に基づく物理量を示す信号であって、前記内燃機関における回転角度ごとの前記物理量の推移を燃焼ごとに示す信号が対象信号であり、
    前記第1運転条件で得られた複数の前記対象信号の各々のスペクトルに基づく値である第1スペクトルを算出すると共に、前記第2運転条件で得られた前記対象信号のスペクトルに基づく値である第2スペクトルを算出する算出部と、
    前記各第1スペクトルを多次元におけるこれらのばらつきで正規化し、かつ、前記第2スペクトルを前記ばらつきで正規化すると共に、前記各第1スペクトルから得られた前記正規化後の値の集合と、前記第2スペクトルから得られた前記正規化後の値との乖離の度合いから、前記第2運転条件でノッキングが発生しているか否かの判定を行う判定部と、を備える
    ノッキング判定装置。
  2. 前記算出部は、前記スペクトルに基づく値として、前記対象信号のスペクトルからバイスペクトルを算出する
    請求項1に記載のノッキング判定装置。
  3. 前記判定部は、統計学上のパラメトリックな手法を用い、前記乖離の度合いを算出する
    請求項1又は2に記載のノッキング判定装置。
  4. 前記判定部は、ノンパラメトリックな手法を用い、前記乖離の度合いを算出する
    請求項1又は2に記載のノッキング判定装置。
  5. 前記判定部は、前記内燃機関における気筒の固有振動数を加味して、前記乖離の度合いを算出する
    請求項1〜4のいずれか一項に記載のノッキング判定装置。
  6. ノッキングが発生しない運転条件が第1運転条件であり、
    前記第1運転条件以外の運転条件が第2運転条件であり、
    内燃機関に発生する圧力変動に基づく物理量を示す信号であって、前記内燃機関における回転角度ごとの前記物理量の推移を燃焼ごとに示す信号が対象信号であり、
    算出部が、前記第1運転条件で得られた複数の前記対象信号の各々のスペクトルに基づく値である第1スペクトルを算出すると共に、前記第2運転条件で得られた前記対象信号のスペクトルに基づく値である第2スペクトルを算出すること、
    判定部が、前記各第1スペクトルを多次元におけるこれらのばらつきで正規化し、かつ、前記第2スペクトルを前記ばらつきで正規化すると共に、前記各第1スペクトルから得られた前記正規化後の値の集合と、前記第2スペクトルから得られた前記正規化後の値との乖離の度合いから、前記第2運転条件でノッキングが発生しているか否かの判定を行うこと、を含む
    ノッキング判定方法。
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