JP2017011680A - 原子発振器 - Google Patents

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Abstract

【課題】周波数安定度の向上を図ること。【解決手段】本実施形態の原子発振器は、第1のアルカリ金属と第1のバッファガスとが封入された第1の領域と第2のアルカリ金属と第1のバッファガスと異なる周波数温度係数の第2のバッファガスとが封入された第2の領域とを含むガスセルと、ガスセルにレーザ光を照射する光源と、光源によりガスセルに照射されたレーザ光のうち、ガスセルを透過した光を検出する光検出器と、第1の領域を透過した光及び第2の領域を透過した光に基づいて算出される共鳴周波数の差に応じてガスセルの温度を制御する制御装置とを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、原子発振器に関する。
アルカリ金属の基底準位から励起準位までのエネルギー遷移等を利用して、極めて正確に時間を計測する原子時計(原子発振器)の一つ方式として、CPT(Coherent Population Trapping)方式が知られている。CPT方式では、アルカリ金属及びバッファガスが封入されたアルカリ金属セルの温度が変化すると、共鳴周波数が変動(シフト)する、所謂バッファガスシフトが発生し、原子発振器の周波数安定度が低下することがある。
そこで、従来では、アルカリ金属セルに異なる種類のバッファガスを混合して封入することで、温度変化に対する共鳴周波数のシフト量を小さくする方法が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。この方法では、アルカリ金属セルに封入するバッファガスの混合比率を厳密に制御する必要がある。
また、アルカリ金属セルの内部に配置された測温素子を用いてアルカリ金属セルの温度を制御する方法が知られている。この方法では、測温素子からアルカリ金属セルの外部に配線を取り出すための貫通電極等を設ける必要があるため、構造が複雑化する。一方、アルカリ金属セルの外部に測温素子を配置すると、外気温の変化等によりアルカリ金属セルの内部と測温素子の測温部との間に温度勾配が生じ、測定誤差が生じやすくなる。
さらに、アルカリ金属の吸収スペクトルの深さに基づいて、アルカリ金属セルの内部の温度を検出する方法が知られている(例えば、特許文献3参照)。この方法では、アルカリ金属セルの吸収スペクトルを検出するフォトセンサの検出分解能によって検出精度が決まるため、高い精度で温度を検出しようとすると検出分解能の高いフォトセンサを用いる必要がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、周波数安定度の向上を図ることを目的とする。
本実施形態の原子発振器は、第1のアルカリ金属と第1のバッファガスとが封入された第1の領域と第2のアルカリ金属と前記第1のバッファガスと異なる周波数温度係数の第2のバッファガスとが封入された第2の領域とを含むガスセルと、前記ガスセルにレーザ光を照射する光源と、前記光源により前記ガスセルに照射されたレーザ光のうち、前記ガスセルを透過した光を検出する光検出器と、前記第1の領域を透過した光及び前記第2の領域を透過した光に基づいて算出される共鳴周波数の差に応じて前記ガスセルの温度を制御する制御装置とを有する。
本実施形態によれば、周波数安定度の向上を図ることができる。
実施形態1に係る原子発振器の概略構成図である。 実施形態1に係るアルカリ金属セルの概略構成図である。 実施形態1に係るアルカリ金属セルの他の例を示す概略構成図である。 実施形態1に係る原子発振器の動作を説明するフローチャートである。 実施形態1に係る原子発振器の動作の他の例を説明するフローチャートである。 環境温度と分周比の差との関係について説明する図(1)である。 環境温度と分周比の差との関係について説明する図(2)である。 実施形態2に係るアルカリ金属セルの概略構成図である。 実施形態3に係る原子発振器の概略構成図である。 実施形態3に係るアルカリ金属セルの概略構成図である。 実施形態4に係る原子発振器の概略構成図である。 実施形態5に係るアルカリ金属セルの概略構成図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
[実施形態1]
(原子発振器の構成)
実施形態1に係る原子発振器の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、実施形態1に係る原子発振器の概略構成図である。
実施形態1に係る原子発振器は、CPT方式の原子発振器であり、レーザ光源10、コリメートレンズ20、アルカリ金属セル30、フォトダイオード40、CPU50、60を有する。実施形態1に係る原子発振器は、レーザ光源10を周波数変調させることによりサイドバンドを発生させ、このサイドバンドである2つの異なる波長のレーザ光をアルカリ金属セル30に入射させる。これにより、2種類の共鳴光による量子干渉効果による光吸収特性により変調周波数を制御するものである。
レーザ光源10は、アルカリ金属セル30にレーザ光を照射する光源の一例である。実施形態1では、レーザ光源10として、面発光半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting LASER)が用いられている。レーザ光源10から出射されるレーザ光は、133CsのD1線と略等しい波長が895nmのレーザ光である。なお、小型で、かつ、低消費電力でレーザ光を出射させることができ、より一層消費電力を低くすることができるという観点から、レーザ光源10としては、VCSELを用いることが好ましい。
レーザ光源10には、電源70により生成される直流信号と位相同期回路(PLL:Phase Locked Loop)80により生成されるRF変調信号とが重畳された電気信号が入力される。RF変調信号としては、温度補償水晶発振器(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)90により生成される信号をPLL80により逓倍した信号が用いられる。なお、TCXO90は、基準発振器の一例である。
具体的には、例えばTCXO90の周波数を10MHz、PLL80の逓倍率を460とすると、4.6GHzのRF変調信号が得られる。また、PLL80の逓倍率を周期的に変化させることで、周波数変調されたRF変調信号をレーザ光源10に入力することができる。周波数変調は、後述のロックイン検出に利用する。
アルカリ金属セル30は、アルカリ金属セル及びバッファガスが封入されたガスセルの一例である。アルカリ金属セル30の詳細については後述する。アルカリ金属セル30の外部には、ヒータ100及び測温素子110が配置されている。ヒータ100は、アルカリ金属セル30を加熱する加熱部の一例である。測温素子110は、アルカリ金属セル30の温度を測定する素子であり、例えばサーミスタ、白金測温体である。
フォトダイオード40は、レーザ光源10によりアルカリ金属セル30に照射されたレーザ光のうち、アルカリ金属セル30を透過した光を検出し、光の強度に応じた検出信号(電圧信号)を出力する光検出器の一例である。
CPU50は、アルカリ金属セル30の第1の領域31を透過した光及び第2の領域32を透過した光に基づいて算出される共鳴周波数の差が一定となるようにアルカリ金属セル30の温度を制御する制御装置の一例である。具体的には、CPU50は、ロックインアンプ120により生成される信号に基づいて、ヒータ100の温度を制御する。なお、第1の領域31及び第2の領域については後述する。また、CPU50は、測温素子110により検出される温度に基づいて、アルカリ金属セル30の温度を制御することができる機能を有することが好ましい。
CPU60は、ロックインアンプ120により生成される信号に基づいて、CPT共鳴の中心周波数を常に捉えるようにTCXO90の周波数を微調整することで、TCXO90の経時変動による周波数のズレを補正する第2の制御装置の一例である。
ロックインアンプ120は、PLL80により生成される周波数変調周期の参照信号と、フォトダイオード40により生成される検出信号とを用いてロックイン検出を行うことでCPT共鳴の中心周波数を検出する。
なお、実施形態1では、レーザ光源10から出射されるレーザ光の波長を安定化させるために、不図示のロックインアンプによるロックイン検波を行い、アルカリ金属セル30に封入されたアルカリ金属原子の吸収量が最大となるように制御している。レーザ光源10であるVCSELの波長を制御する方法としては、駆動する電流量、あるいはVCSELの温度により制御する方法が挙げられる。
また、アルカリ金属セル30には、磁場に対して最も変動の少ないCPT共鳴を測定するため、不図示のコイルにより、磁束密度Bが約10μTとなる静磁場が印加され、ゼーマン分裂させることでCPT共鳴を選別している。また、地磁気等による外部磁場を遮断するため、アルカリ金属セル30及びコイルを不図示の磁気シールドで覆っている。
次に、実施形態1に係るアルカリ金属セル30の構成について、図2を参照しながら説明する。図2は、実施形態1に係るアルカリ金属セルの概略構成図である。図2(a)は概略断面図であり、図2(b)はレーザ光が入射する側の面からアルカリ金属セルを視たときの概略平面図である。
アルカリ金属セル30は、図2(a)及び図2(b)に示すように、第1の領域31と第2の領域32とを含む。第1の領域31と第2の領域32とは、レーザ光の伝搬方向に対して並列に設けられており、第1の領域31と第2の領域32の両方にレーザ光源10から照射されるレーザ光が照射される。
第1の領域31は、例えば開口部33aが形成されたシリコン基板33に2枚のガラス基板34が接合されることにより形成された空洞である。第1の領域31には、第1のアルカリ金属と第1のバッファガスとが封入されている。
第2の領域32は、例えば開口部33aが形成されたシリコン基板33に2枚のガラス基板34が接合されることにより形成された空洞である。第2の領域32には、第2のアルカリ金属と第2のバッファガスとが封入されている。第2のバッファガスは、第1のバッファガスと異なる周波数温度係数を有する。
ここで、周波数温度係数とは、温度変化に対するアルカリ金属原子の共鳴周波数のシフト量の割合を表す。また、温度が高くなるほどアルカリ金属原子の共鳴周波数が高くなる場合、周波数温度係数は正の値となり、温度が高くなるほどアルカリ金属原子の共鳴周波数が低くなる場合、周波数温度係数は負の値となる。
なお、実施形態1では、第1のアルカリ金属としてセシウム(Cs)、第1のバッファガスとして窒素(N)が封入されており、第2のアルカリ金属としてCs、第2のバッファガスとしてアルゴン(Ar)が封入されている。また、第1の領域31及び第2の領域32の圧力は、各々4.0kPaとなっている。
アルカリ金属セル30の製造方法としては、特に限定されるものではない。例えばシリコン基板33に開口部33aを形成した後、開口部33aにアルカリ金属及びバッファガスを封入し、2枚のガラス基板34とシリコン基板33とを陽極接合により接合させる方法等の公知の方法を用いることができる。
次に、アルカリ金属及びバッファガスが封入されたアルカリ金属セル30の温度が変化すると、共鳴周波数が変動する、所謂バッファガスシフトの温度特性について説明する。
が封入されている場合、Nが正の周波数温度係数を有するため、アルカリ金属セル30の内部の温度が高くなるほど共鳴周波数が高くなる。一方、Arが封入されている場合、Arが負の周波数温度係数を有するため、アルカリ金属セル30の内部の温度が高くなるほど共鳴周波数が低くなる。
例えば、ある時刻t0においてCs+Nが封入されたアルカリ金属セル30(以下「Cs+Nセル」という。)の共鳴周波数がf1[Hz]、Cs+Arが封入されたアルカリ金属セル30(以下「Cs+Arセル」という。)の共鳴周波数がf2[Hz]であったとする。また、各々のアルカリ金属セル30の内部の温度がT0[K]であったとする。
このとき、アルカリ金属セル30の内部の温度がT0[K]からT1[K]に変化したとすると、Cs+Nセルの共鳴周波数f1'はf1+α(T1−T0)[Hz]で表され、Cs+Arセルの共鳴周波数f2'はf2+β(T1−T0)[Hz]で表される。なお、αはNの周波数温度係数[Hz/K]であり、βはArの周波数温度係数[Hz/K]である。
ところで、アルカリ金属セル30が原子発振器として動作している際、f1及びf2の値を直接測定することは困難であり、仮に測定する場合、より正確な周波数標準を参照して比較する必要がある。しかしながら、f1とf2との差については、以下で説明するように、PLL80の分周比の差として測定することができる。
TCXO90の基準周波数をf0[Hz]とすると、時刻t0において、Cs+NセルのCPT共鳴ピークを検出した際に設定した分周比Aはf1/f0に相当し、Cs+ArセルのCPT共鳴ピークを検出した際に設定した分周比Bはf2/f0に相当する。したがって、この分周比の差B−Aは、(f2−f1)/f0に相当する。
アルカリ金属セル30の温度がT1[K]に変化した場合の分周比を考える。Cs+NセルのCPT共鳴ピークを検出する分周比A'はf1'/f0に相当する。また、Cs+ArセルのCPT共鳴ピークを検出する分周比B'はf2'/f0に相当する。なお、f0はf1又はf2に基づいてフィードバック制御されているため、周波数ドリフトが十分小さく、温度がT0[K]の場合と温度がT1[K]の場合とにおいて同じ値とすることができる。したがって、分周比の差B'−A'は、(f2'−f1')/f0に相当する。
上記の関係式により、分周比の差B'−A'は、下記の数式1で表される。
Figure 2017011680
数式1における第1項はセルの内部の温度がT0[K]の際の分周比であり、既知の値である。また、数式1における第2項のα、βは既知の定数であり、f0は上記の理由により定数とすることができる。したがって、数式1を用いると、温度の変化T1−T0は、下記の数式2で表される。
Figure 2017011680
すなわち、f1とf2との差を、PLL80の分周比の差として測定することができる。
なお、図2では、第1の領域31と第2の領域32とがレーザ光の伝搬方向に対して並列に設けられている形態について説明したが、本発明はこの点において限定されるものではない。第1の領域31と第2の領域32とは、各々の領域に対する共鳴周波数を検出することができるように設けられていればよく、例えば図3に示すように、レーザ光の伝搬方向に対して直列に設けられていてもよい。なお、図3は、実施形態1に係るアルカリ金属セルの他の例を示す概略構成図である。図3(a)は概略断面図であり、図3(b)はレーザ光が入射する側の面からアルカリ金属セルを視たときの概略平面図である。
図3に示すアルカリ金属セル30の製造方法としては、特に限定されるものではない。例えば2枚のシリコン基板33の各々に開口部33aを形成した後、各々の開口部33aにアルカリ金属及びバッファガスを封入し、3枚のガラス基板34と2枚のシリコン基板33とを陽極接合により接合させる方法等の公知の方法を用いることができる。
(原子発振器の動作)
実施形態1に係る原子発振器の動作の一例について、図4を参照しながら説明する。図4は、実施形態1に係る原子発振器の動作を説明するフローチャートである。
まず、原子発振器が起動すると、アルカリ金属セル30の温度が室温から動作温度(例えば、70〜100℃)まで上昇する。このとき、CPU50は、測温素子110により計測されたアルカリ金属セル30の温度に基づいて、アルカリ金属セル30の温度が一定となるようにヒータ100に供給される電流を制御する(ステップS1)。
続いて、CPU50は、測温素子110により計測された温度と設定温度との差の絶対値が所定温度Nよりも小さいか否かを判定する(ステップS2)。なお、所定温度Nは、測温素子110による温度制御の目標精度であり、例えば1mKとすることができる。
ステップS2において、測温素子110により計測された温度と設定温度との差の絶対値が所定温度Nよりも小さくないと判定された場合、ステップS1へ戻る。ステップS2において、測温素子110により計測された温度と設定温度との差の絶対値が所定温度Nよりも小さいと判定された場合、CPU50は、不図示のカウンタのカウンタ値iを「0」に設定する(ステップS3)。その後、CPU50は、Cs+Nセルの共鳴ピークを検出し、ロックイン出力を不図示の記録装置に記録する(ステップS4)。
続いて、CPU50は、カウンタ値iが所定回数Mよりも小さいか否かを判定する(ステップS5)。なお、所定回数Mは、周波数フィードバックに対する温度フィードバックの割合であり、例えば10回とすることができる。この場合、周波数フィードバック動作を10回実行するごとに温度フィードバック動作が実行される。
ステップS5において、カウンタ値iが所定回数Mよりも小さいと判定された場合、CPU60は、ロックイン出力が目標値となるようにTCXO90の周波数を調整する周波数フィードバック動作を実行した後、カウンタ値iに「1」を加える(ステップS6)。その後、ステップS4へ戻る。
ステップS5において、カウンタ値iが所定回数Mよりも小さくないと判定された場合、CPU50は、Cs+Nセルの共鳴ピークが検出されたときの分周比A'を不図示の記録装置に記録する(ステップS7)。続いて、CPU50は、Cs+Arセルの共鳴ピークを検出し、共鳴ピークが検出されたときの分周比B'を記録する(ステップS8)。
続いて、CPU50は、前回記録されたCs+Nセルの分周比A及び前回記録されたCs+Arセルの分周比Bが存在するか否かを判定する(ステップS9)。
ステップS9において、分周比A及び分周比Bが存在しないと判定された場合、CPU50は、今回記録された分周比の値を前回記録された分周比の値として記録する(ステップS13)。すなわち、「A'」を「A」として記録し、「B'」を「B」として記録する。その後、ステップS3へ戻る。
ステップS9において、分周比A及び分周比Bが存在すると判定された場合、CPU50は、今回記録された分周比の差B'−A'が、前回記録された分周比の差B−Aよりも大きいか否かを判定する(ステップS10)。
ステップS10において、今回記録された分周比の差B'−A'が、前回記録された分周比の差B−Aよりも大きいと判定された場合、CPU50は、ヒータ100に供給する電流を大きくする(ステップS11)。その後、CPU50は、今回記録された分周比の値を前回記録された分周比の値として記録する(ステップS13)。すなわち、「A'」を「A」として記録し、「B'」を「B」として記録する。その後、ステップS3へ戻る。
ステップS10において、今回記録された分周比の差B'−A'が、前回記録された分周比の差B−Aよりも大きくないと判定された場合、CPU50は、ヒータ100に供給する電流を小さくする(ステップS12)。その後、CPU50は、今回記録された分周比の値を前回記録された分周比の値として記録する(ステップS13)。すなわち、「A'」を「A」として記録し、「B'」を「B」として記録する。その後、ステップS3へ戻る。
実施形態1では、各領域(第1の領域31、第2の領域32)に対するCPT共鳴ピークを検出するための分周比の差を用いることで、アルカリ金属セル30の内部の温度を検出することができる。なお、実施形態1では、2つのCPT共鳴ピークを同時に観測することはできないが、分周比Aと分周比Bとを交互に設定する方法等により、2つのCPU共鳴ピークを検出することができる。
また、実施形態1では、CPU50が分周比の差B−Aを計測し、この値が一定となるようにアルカリ金属セル30の外部に設けられたヒータ100をフィードバック制御する。このため、アルカリ金属セル30の内部の温度を高い精度で安定に保つことができる。
また、実施形態1では、分周比の差を用いて算出される共鳴周波数の差に基づいて、アルカリ金属セル30の内部の温度を検出しているので、Cs自身の温度を高い精度で検出している。これに対して、サーミスタ、白金抵抗体等の測温素子110を用いた場合には、測定対象と測温素子110との間の温度差の影響を受けるためアルカリ金属セル30の内部の温度を精度よく検出することができない。すなわち、実施形態1では、測温素子110を用いる場合と比較して、アルカリ金属セル30の温度を高精度に制御することができる。
また、共鳴周波数の差に基づいて温度を検出するため、温度検出精度がフォトダイオード40等の光検出器の分解能に制限されることはない。さらに、ロックイン検出を行うことで、低い信号強度であっても高精度に共鳴周波数を検出することができる。
結果として、周波数安定度の高い原子発振器を提供することができる。
また、実施形態1に係る原子発振器は、アルカリ金属セル30の温度を測定する測温素子110を有し、CPU50は、原子発振器が所定の動作温度となっていない場合、測温素子110により検出される温度に基づいてアルカリ金属セル30の温度を制御する。
このため、原子発振器の起動直後等の温度が不安定なときであっても、測温素子110を用いてアルカリ金属セル30の温度を制御することができる。また、原子発振器の温度が所定の動作温度に達した後は、共鳴周波数の差に基づいて、アルカリ金属セル30の温度を制御する。結果として、温度が不安定な起動直後及び温度が安定した後のいずれの場合であっても、アルカリ金属セル30の温度を高い精度で制御することができる。
以上に説明したように、実施形態1に係る原子発振器は、第1のアルカリ金属と第1のバッファガスとが封入された第1の領域と第2のアルカリ金属と第1のバッファガスと異なる周波数温度係数の第2のバッファガスとが封入された第2の領域とを含むガスセルと、ガスセルにレーザ光を照射する光源と、光源によりガスセルに照射されたレーザ光のうち、ガスセルを透過した光を検出する光検出器と、第1の領域を透過した光及び第2の領域を透過した光に基づいて算出される共鳴周波数の差が一定となるようにガスセルの温度を制御する制御装置とを有する。このため、アルカリ金属セル30の温度を高精度に制御することができ、温度の変化による共鳴周波数の変動を抑制することができる。結果として、原子発振器における周波数安定度の向上を図ることができる。
なお、実施形態1では、バッファガスの組み合わせとしてNとArとを用いたが、本発明はこの点において限定されるものではなく、周波数温度係数の異なる組み合わせであればよい。中でも、計測できる温度の精度を高くすることができるという観点から、バッファガスの組み合わせとしては、正の周波数温度係数を持つガスと負の周波数温度係数を持つガスとの組み合わせであることが好ましい。アルカリ金属セル30の内部の温度がT1[K]の場合の分周比の差B'−A'をT1で微分すると、(β−α)/f0となる。すなわち、βとαとの差の絶対値が大きいほど、温度変化に対する分周比の差の感度が高いと言える。α>0とβ<0、又は、α<0、β>0の組み合わせの場合に感度が大きくなる。
具体的には、例えばアルカリ金属としてCsを使用した場合、正の周波数温度係数を持つガスとしては、N、Ne、He等を用いることができ、負の周波数温度係数を持つガスとしては、Ar、Kr、Xe、CH、C、C、C10等を用いることができる。中でも、アルカリ金属としてCsを使用した場合、NとXeとの組み合わせであることが好ましい。これにより、周波数温度係数の差が特に大きくなるため、温度変化の検出精度が特に高くなる。
次に、実施形態1に係る原子発振器の動作の他の例について、図5を参照しながら説明する。図5は、実施形態1に係る原子発振器の動作の他の例を説明するフローチャートである。
図5に示されるように、ステップS11からステップS15までについては、前述したステップS1からステップS5まで(図4参照)と同様の動作とすることができる。
ステップS15において、カウンタ値iが所定回数Mよりも小さいと判定された場合、CPU60は周波数フィードバック動作を行い、CPU50は温度フィードバック動作を行うと共に、カウンタ値iに「1」を加える(ステップS16)。具体的には、周波数フィードバック動作では、CPU60は、ロックイン出力が目標値となるようにTCXO90の周波数を調整する。温度フィードバック動作では、CPU50は、測温素子110により計測された温度が設定温度に近づくようにヒータ100の出力を調整する。ヒータ100の出力は、例えばヒータ100に供給される電流を調整することにより調整される。その後、ステップS14へ戻る。
ステップS15において、カウンタ値iが所定回数Mよりも小さくないと判定された場合、CPU50は、Cs+Nセルの共鳴ピークが検出されたときの分周比A'を不図示の記録装置に記録する(ステップS17)。続いて、CPU50は、Cs+Arセルの共鳴ピークを検出し、共鳴ピークが検出されたときの分周比B'を記録する(ステップS18)。
続いて、CPU50は、ステップS17及びステップS18において今回記録された分周比の差A'−B'を用いて、測温素子110の設定温度を変更する(ステップS19)。具体的には、CPU50は、分周比の差A'−B'を用いて、下記の数式3により、新たな測温素子110の設定温度Ts'を算出し、測温素子110の設定温度Tsを新たな設定温度Ts'に変更する(ステップS19)。その後、ステップS13へ戻る。なお、測温素子110の設定温度Tsとは、これまでに設定温度が変更されていない場合には初期設定温度であり、これまでに設定温度が変更されている場合には直前の変更後の設定温度である。
Figure 2017011680
数式3において、D及びEは定数である。具体的には、定数Dは分周比の差A'−B'の変化量に対してどれだけ設定温度を変化させるかの係数であり、定数Eは基準とする分周比の差に相当する値である。
定数Dについては、測温素子110により測定される温度(以下「測温素子温度Tmon」ともいう。)が一定となるようにヒータ100の出力(以下「ヒータ出力P」ともいう。)を調整した場合における、原子発振器の周囲の温度(以下「環境温度Tamb」ともいう。)の変化量に対する分周比の差A'−B'の変化量の比率と同程度に設定することが好ましい。言い換えれば、定数Dは、環境温度TambをX軸、分周比の差A'−B'をY軸とし、環境温度Tambと分周比の差A'−B'との関係をグラフに表した場合における傾きと同程度に設定することが好ましい。
定数Eについては、ある環境温度Tambを基準とし、その環境温度Tambにおける測温素子温度Tmonが測温素子110の設定温度Tsとなる分周比の差A'−B'として設定することが好ましい。
以下、図6及び図7を参照しながら、測温素子110の設定温度Tsを変更する動作について説明する。図6及び図7は、環境温度と分周比の差との関係について説明する図である。より具体的には、図6は、測温素子110の設定温度Tsを一定に保持する場合の例を示しており、図7は、測温素子110の設定温度Tsを前述した数式3により変更する場合の例を示している。なお、図6及び図7においては、周波数温度係数の差α−βが0より大きい(α−β>0)場合を示している。
図6(a)及び図7(a)は、環境温度Tamb(図中、横軸で示す。)と測温素子温度Tmon(図中、縦軸で示す。)との関係を示している。
図6(b)及び図7(b)は、環境温度Tamb(図中、横軸で示す。)とアルカリ金属セル30の内部の温度(以下「ガス温度Tgas」ともいう。)(図中、縦軸で示す。)との関係を示している。
図6(c)及び図7(c)は、環境温度Tamb(図中、横軸で示す。)とヒータ出力P(図中、縦軸で示す。)との関係を示している。
図6(d)及び図7(d)は、環境温度Tamb(図中、横軸で示す。)と分周比の差A'−B'(図中、縦軸で示す。)との関係を示している。
測温素子110の設定温度Tsを一定に保持する場合、図6(c)に示されるように、環境温度Tambが上昇するとヒータ出力Pを低下させる制御が働き、図6(a)に示されるように、測温素子温度Tmonが一定に保持される。このとき、アルカリ金属セル30の内部と測温素子110との間で生じる温度勾配が変化するため、図6(b)に示されるように、環境温度Tambの変動に対応してガス温度Tgasが変動する。なお、ガス温度Tgasが低下するか上昇するかについては、アルカリ金属セル30、ヒータ100、測温素子110等の配置関係に依存するが、図6(b)では一例として、環境温度Tambが上昇するとガス温度Tgasが低下する場合を示している。そして、ガス温度Tgasの低下により、図6(d)に示されるように、分周比の差A'−B'が低下するため、周波数安定度が低下する。
これに対し、前述の実施形態1に係る原子発振器の動作の他の例で示したように、測温素子110の設定温度Tsを分周比の差A'−B'に応じて動的に変更する場合、環境温度Tambの変動に伴うガス温度Tgasの変動を抑制することができる。その結果、周波数安定度が向上する。例えば、分周比の差A'−B'が低下した場合、分周比の差A'−B'に応じて測温素子110の設定温度Tsを高くすることにより、図7(c)に示されるように、ガス温度Tgasの変動を抑制することができる。そして、ガス温度Tgasの変動を抑制することができるので、図7(d)に示されるように、環境温度Tambの変動に伴う分周比の差A'−B'の変動を抑制することができる。その結果、周波数安定度が向上する。なお、測温素子110の設定温度Tsを動的に変更する場合には、図7(a)及び図7(c)に示されるように、測温素子温度Tmon及びヒータ出力Pについても、測温素子110の設定温度Tsを一定に保持する場合と異なる傾向を示す。
以上、図6及び図7を参照しながら、α−β>0、かつ、環境温度Tambが上昇した場合にガス温度Tgasが低下する場合について説明したが、α−β<0であってもよく、環境温度Tambが上昇した場合にガス温度Tgasが低下する場合であってもよい。
α−β<0の場合、環境温度Tambの変動に対する分周比の差A'−B'の変動の方向がα−β>の場合と逆方向になるが、定数Dの符号を適切に設定(α−β<0の場合とは逆の符号に設定)することにより、同様の効果を得ることができる。また、環境温度Tambが上昇した場合にガス温度Tgasが上昇する場合についても、定数Dの符号を適切に設定(環境温度Tambが少々した場合にガス温度Tgasが低下する場合とは逆の符号に設定)することにより、同様の効果を得ることができる。
ところで、例えば環境温度の変化を打ち消すために、環境温度を測定するための測温素子をアルカリ金属セルの内部もしくは周囲に追加し、その温度をもとに環境温度の変化による周波数変動を抑制する制御構成が考えられる。しかしながら、環境温度の分布やアルカリ金属セルの内部からの発熱状況により、測温素子をアルカリ金属セル内もしくは周囲のどの部分に配置するかによって環境温度の測定値が大きく異なるため、一様な係数を設定することは困難である。また、原子発振器の製品毎に安定性がばらつく要因となり得る。
また、例えばアルカリ金属セルの外部に複数の測温素子を配置し、複数の測温素子間の温度差に基づいて環境温度の変動による周波数変動を抑制する制御構成が考えられる。しかしながら、アルカリ金属セル内に生じる温度勾配はミリケルビン(mK)オーダーの微小な値であり、測温素子の精度のばらつき、測温素子の設置箇所のばらつき等により、温度勾配を高精度に測定することは困難である。
これに対し、本実施形態では、環境温度Tambの変動によって生じるガス温度Tgasと測温素子温度Tmonとの間の微小な温度勾配を分周比の差A'−B'として高精度に計測することができる。そして、計測した結果を用いて測温素子110の設定温度Tsを調整することにより、環境温度Tambの変動による周波数変動を抑制することができる。
また、本実施形態では、ヒータ出力Pの制御設計が容易であるという利点を有する。測温素子温度Tmonとヒータ出力P間の温度フィードバック動作は独立している。ヒータ出力Pの制御時定数と、設定温度Tsの更新の時定数を調整することにより、制御を安定化させることができる。
[実施形態2]
実施形態2に係る原子発振器について、図8を参照しながら説明する。図8は、実施形態2に係るアルカリ金属セルの概略構成図である。図8(a)は概略断面図であり、図8(b)はレーザ光が入射する側の面からアルカリ金属セルを視たときの概略平面図である。
実施形態2に係る原子発振器は、図8に示すように、アルカリ金属セル30が第1のアルカリ金属セル301と第2のアルカリ金属セル302とを含む点が実施形態1に係る原子発振器と異なる。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
実施形態2に係るアルカリ金属セル30は、図8に示すように、第1のアルカリ金属セル301と第2のアルカリ金属セル302とを含む。そして、第1のアルカリ金属セル301と第2のアルカリ金属セル302の両方にレーザ光源10から照射されるレーザ光が照射される。
第1のアルカリ金属セル301は、第1の領域31を含む第1のガスセルの一例である。第1の領域31には、第1のアルカリ金属及び第1のバッファガスが封入されている。
第2のアルカリ金属セル302は、第2の領域32を含む第2のガスセルの一例である。第2のアルカリ金属セル302は、第1のアルカリ金属セル301を内包するように形成されている。第2の領域32には、第2のアルカリ金属及び第2のバッファガスが封入されている。
アルカリ金属セル30の製造方法としては、特に限定されるものではなく、例えば以下の方法により製造することができる。
まず、厚さの異なる2つのシリコン基板33の各々に開口部33aを形成する。続いて、厚さの薄いほうのシリコン基板33と2枚のガラス基板34とを陽極接合により接合させることで、内包される側の第1のアルカリ金属セル301を作製する。続いて、厚さの厚いほうのシリコン基板33の開口部33aの内部に第1のアルカリ金属セル301を内包するように配置した後、シリコン基板33と2枚のガラス基板34とを陽極接合により接合させることで、第2のアルカリ金属セル302を作製する。これにより、図8に示したアルカリ金属セル30が製造される。
実施形態2では、第2のアルカリ金属セル302が第1のアルカリ金属セル301を内包するように配置されているため、二つの領域31、32の温度差を小さくすることができる。このため、特に高い精度でアルカリ金属セル30の温度を制御することができる。
[実施形態3]
実施形態3に係る原子発振器について、図9及び図10を参照しながら説明する。図9は、実施形態3に係る原子発振器の概略構成図である。図10は、実施形態3に係るアルカリ金属セルの概略構成図である。図10(a)は概略断面図であり、図10(b)はレーザ光が入射する側の面からアルカリ金属セルを視たときの概略平面図である。
実施形態3に係る原子発振器は、図9に示すように、2つのフォトダイオードとビームスプリッタを有する点で実施形態1に係る原子発振器と異なる。また、実施形態3に係る原子発振器は、図10に示すように、アルカリ金属セル30の第1の領域31と第2の領域32の配置が実施形態1に係る原子発振器と異なる。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
実施形態3に係る原子発振器は、図9に示すように、レーザ光源10、コリメートレンズ20、アルカリ金属セル30、第1のフォトダイオード401、第2のフォトダイオード402、ビームスプリッタ130を有する。
第1のフォトダイオード401は、レーザ光源10によりアルカリ金属セル30に照射されたレーザ光のうち、アルカリ金属セル30の第1の領域31を透過した光を検出する第1の光検出器の一例である。
第2のフォトダイオード402は、レーザ光源10によりアルカリ金属セル30に照射されたレーザ光のうち、アルカリ金属セル30の第2の領域32を透過した光を検出する第2の光検出器の一例である。
実施形態3に係るアルカリ金属セル30は、図10(a)及び図10(b)に示すように、第1の領域31と第2の領域32とを含む。第1の領域31と第2の領域32とは、レーザ光の伝搬方向に対して並列に設けられている。
第1の領域31は、シリコン基板33の一方の面から他方の面まで貫通するように形成されている。これに対して、第2の領域32は、シリコン基板33の一方の面から他方の面まで貫通することなく凹部形状に形成されている。そして、第1の領域31と第2の領域32の両方にレーザ光源10から照射されるレーザ光が照射される。
実施形態3に係るアルカリ金属セル30に対して、レーザ光源10からレーザ光が照射されると、第1の領域31に入射したレーザ光は、第1の領域31を通ってシリコン基板33の一方の面から他方の面に透過する。透過した光は、第1のフォトダイオード401によって検出される。
これに対して、第2の領域32に入射したレーザ光は、第2の領域32とシリコン基板33との界面によって反射する。反射した光は、図9に示すように、ビームスプリッタ130によって90°反射し、第2のフォトダイオード402によって検出される。
実施形態3では、第1の領域31を透過した光と第2の領域32を透過した光とを異なるフォトダイオードによって検出する。このため、一方の共鳴信号が他方の共鳴信号に対するノイズとなることを抑制することができる。
[実施形態4]
実施形態4に係る原子発振器について、図11を参照しながら説明する。図11は、実施形態4に係る原子発振器の概略構成図である。
実施形態4に係る原子発振器は、図11に示すように、コリメートレンズ20を有しない点、ビームスプリッタ130を有しない点、及び、第2のフォトダイオード402の配置が異なる点で、実施形態3に係る原子発振器と異なる。以下、実施形態3と異なる点を中心に説明する。
実施形態4に係る原子発振器は、図11に示すように、レーザ光源10、アルカリ金属セル30、第1のフォトダイオード401、第2のフォトダイオード402を有する。
第2のフォトダイオード402は、アルカリ金属セル30に対してレーザ光源10が設けられた側に第1のフォトダイオード401と対向するように配置されている。第2のフォトダイオード402は、レーザ光の伝搬方向から視たときの大きさがレーザ光源10よりも大きいサイズを有する。これにより、第2のフォトダイオード402は、アルカリ金属セル30により反射された光を効率よく検出することができる。
実施形態4に係るアルカリ金属セル30は、実施形態3に係るアルカリ金属セル30と同様の構成とすることができる。
実施形態4に係るアルカリ金属セル30に対して、レーザ光源10からレーザ光が照射されると、レーザ光は拡散光としてアルカリ金属セル30の内部に入射する。そして、シリコン基板33を貫通する領域である第1の領域31に入射したレーザ光は、第1のフォトダイオード401によって検出される。一方、シリコン基板33を貫通していない領域である第2の領域32に入射したレーザ光は、第2の領域32とシリコン基板33との界面によって反射し、レーザ光源10が設けられた側に伝搬する。そして、レーザ光源10が設けられた側に伝搬した光は、第2のフォトダイオード402によって検出される。
実施形態4では、第1の領域31を透過した光と第2の領域32を透過した光とを異なるフォトダイオードによって検出する。このため、一方の共鳴信号が他方の共鳴信号に対するノイズとなることを抑制することができる。
[実施形態5]
実施形態5に係る原子発振器について、図12を参照しながら説明する。図12は、実施形態5に係るアルカリ金属セルの概略構成図である。図12(a)は概略断面図であり、図12(b)はレーザ光が入射する側の面からアルカリ金属セルを視たときの概略平面図である。
実施形態5に係る原子発振器は、図12(b)に示すように、レーザ光の伝搬方向からの平面視において、第1の領域31の面積が第2の領域32の面積よりも大きい点で、実施形態1に係る原子発振器と異なる。以下、実施形態1と異なる点を中心に説明する。
実施形態5に係るアルカリ金属セル30は、図12(a)及び図12(b)に示すように、第1の領域31と第2の領域32とを含み、レーザ光の伝搬方向からの平面視において、第1の領域31の面積が第2の領域32の面積よりも大きい。そして、第1の領域31と第2の領域32の両方にレーザ光源10から照射されるレーザ光が照射される。
実施形態5に係る原子発振器は、CPU60がレーザ光の伝搬方向からの平面視における面積が大きい第1の領域31を透過する光の共鳴周波数に基づいて、TCXO90の発振周波数を制御する。このため、レーザ光と相互作用するアルカリ金属原子の数が多くなるため、信号強度が大きい共鳴線を得ることができる。また、レーザ光とアルカリ金属原子との相互作用時間が大きくなるため、線幅の狭い共鳴線を得ることができる。結果として、特に周波数安定度の高い原子発振器が得られる。
なお、2つの共鳴周波数の差を用いた温度制御については、差分が得られればよいので、一方の領域から得られる共鳴信号の信号強度が小さくても周波数安定度への影響は小さい。
また、実施形態5では、CPU60を用いてTCXO90の発振周波数を制御する形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、前述したCPU50がTCXO90の発振周波数を制御する形態であってもよい。
以上、原子発振器を実施形態により説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能である。
10 レーザ光源
30 アルカリ金属セル
301 第1のアルカリ金属セル
302 第2のアルカリ金属セル
31 第1の領域
32 第2の領域
40 フォトダイオード
401 第1のフォトダイオード
402 第2のフォトダイオード
50、60 CPU
90 TCXO
110 測温素子
米国特許6320472号明細書 特開2010−245805号公報 特開2007−336136号公報

Claims (9)

  1. 第1のアルカリ金属と第1のバッファガスとが封入された第1の領域と第2のアルカリ金属と前記第1のバッファガスと異なる周波数温度係数の第2のバッファガスとが封入された第2の領域とを含むガスセルと、
    前記ガスセルにレーザ光を照射する光源と、
    前記光源により前記ガスセルに照射されたレーザ光のうち、前記ガスセルを透過した光を検出する光検出器と、
    前記第1の領域を透過した光及び前記第2の領域を透過した光に基づいて算出される共鳴周波数の差に応じて前記ガスセルの温度を制御する制御装置と
    を有することを特徴とする原子発振器。
  2. 前記制御装置は、前記共鳴周波数の差が一定となるように前記ガスセルの温度を制御することを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
  3. 前記制御装置は、前記共鳴周波数の差に応じて、前記ガスセルの温度制御における制御目標値を変更することを特徴とする請求項1に記載の原子発振器。
  4. 前記第1のバッファガスの前記周波数温度係数は正の値であり、
    前記第2のバッファガスの前記周波数温度係数は負の値であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の原子発振器。
  5. 前記第1のアルカリ金属及び前記第2のアルカリ金属はCsあり、
    前記第1のバッファガスは、Ne、N、Heのいずれかのガスであり、
    前記第2のバッファガスは、Ar、Kr、Xe、CH、C、C、C10のいずれかのガスであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の原子発振器。
  6. 前記ガスセルの温度を測定する測温素子を有し、
    前記制御装置は、前記原子発振器が所定の動作温度でない場合、前記測温素子により検出される温度に基づいて、前記ガスセルの温度を制御することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の原子発振器。
  7. 前記ガスセルは、前記第1の領域を含む第1のガスセルと、前記第2の領域を含む第2のガスセルとを含み、
    前記第1のガスセルが前記第2のガスセルに内包されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の原子発振器。
  8. 前記光検出器は、前記第1の領域を透過した光を検出する第1の光検出器と前記第2の領域を透過した光を検出する第2の光検出器とを含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の原子発振器。
  9. 前記第1の領域及び前記第2の領域のうち、レーザ光の伝搬方向からの平面視における面積が大きいほうの領域を透過する光の共鳴周波数に基づいて、基準発振器の発振周波数を制御する第2の制御装置を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の原子発振器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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