JP2017007990A - アミロイド凝集性評価用汎用性量子ドットナノプローブ - Google Patents

アミロイド凝集性評価用汎用性量子ドットナノプローブ Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明の課題は、アミロードーシスの原因物質であるアミロイド形成性タンパク質やペプチドのアミロイド線維に対して広い相互作用スペクトラムを持つ量子ドットナノプローブ(ユニバーサルプローブ)を提供することである。
【解決手段】 本発明は、3〜10個のアミノ酸からなるアミロイド形成性ペプチドのN末端またはC末端にシステインを介して量子ドットが結合してなる、量子ドットナノプローブ、並びに、該量子ドットナノプローブを用いて、試料中のアミロイド凝集の有無を判別する方法などに関する。
【選択図】 図10

Description

本発明は、タンパク質やペプチドのアミロイド凝集性を評価するための汎用性量子ドットナノプローブおよび該量子ドットナノプローブを用いたアミロイド形成阻害剤の評価方法に関する。
超高齢社会化が進む中で、アルツハイマー病や透析アミロイドーシスなどアミロイド線維の沈着によって引き起こされる疾病が社会問題化している。アミロイド線維は、変性したタンパク質分子が規則的に会合することによって形成される超分子複合体であり、様々な疾患の発症に深く関わっている。アミロイド線維が全身諸臓器の細胞内外に沈着することによって機能障害を引き起こす一連の疾患は、アミロイドーシスとよばれ、現在までにアルツハイマー病(アミロイドβタンパク質)、透析アミロイドーシス(β2ミクログロブリン)、遺伝性アミロイド性脳出血症(シスタチン)、異常プリオンタンパク質の伝播により発症するプリオン病など多くの疾病が報告されている。
アミロイドーシスやアミロイド形成性タンパク質などに関する研究は、この十数年間に著しい進展が見られている(例えば、非特許文献1)。例えば、比較的短い合成ペプチドを設計し、その自己凝集性について研究され(例えば、非特許文献2)、アミロイド凝集性などの解明が進められているが、アミロイド線維の生成機序、毒性及びその制御については未だ不明の部分が多く残されたままであるのが現状である。これまでアミロイド凝集を検出するため、抗体を用いること(特許文献1および2)などが検討されてきたが、標識の寿命が短く、長時間の観察には適さないという問題があった。
アミロイド線維の評価法として代表されるThTアッセイは、形成されたβシート構造に特異的に結合するチオフラビンT(ThT)を用いたアミロイド形成性評価法であり、現在のアミロイド研究において広く用いられている手法である。また、透過型電子顕微鏡によってアミロイド線維の形成を観察する手法も広く用いられている。しかし、ThTアッセイでは、多量のサンプルを用いるためにスクリーニング手法としては用いることが出来ず、更に透過型電子顕微鏡観察では定量性を持たない点から、新規のアミロイド形成性評価法が求められてきた。
近年開発された蛍光を発するナノマテリアルである量子ドット(Qdot(登録商標))は、抽出用溶媒の影響を受けないこと、固定化や染色等が不要で大量のサンプルを同時に処理することが可能であること、数μLの微量でも試験が可能である。かかる量子ドットを用い、徳楽らはアミロイドβタンパク質溶液中に、量子ドットを付加したアミロイドβペプチドを低濃度で添加することにより、アミロイドβ線維を量子ドットによって蛍光標識する手法を確立した(非特許文献3および4)。しかし、この量子ドットを用いた評価法は現在までアミロイドβタンパク質のみで行われており、他のアミロイド形成性タンパク質でも可能かどうかは検討されていない。
特開2011−122928号公報 特開2014−223075号公報
Nakamura. S, Owaki. T, Maeda. Y, Katayama. S and Nakamura. K, Amyloidogenic proteins and peptides. in Mine. Y, Li-Chan. E and Jiang. B,(Eds.) "Bioactive Proteins and Peptides as Functional Foods and Nutraceuticals", Blackwell Publishing Ltd. and Institute of Food Technologists, Chapter 7 (pp.87-99), 2010 Lakshmanan. A, Cheong. DW, Accardo. A, Di Fabrizio. E, Riekel. C, Hauser. CAE: Aliphatic peptides show similar self-assembly to amyloid core sequences, challenging the importance of aromatic interactions in amyloidosis. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 110, 519-524, 2013 Tokuraku. K, Marquardt. M, Ikezu T: Real-time imaging and quantification of amyloid-beta peptide aggregates by novel quantum-dot nanoprobes. PLoS ONE, 4, e8492, 2009 Ishigaki. Y, Tanaka. H, Akama. H, Ogara. T, Uwai. K, Tokuraku. K: A Microliter-Scale High-throughput Screening System with Quantum-Dot Nanoprobes for Amyloid-beta Aggregation Inhibitors. PLoS ONE, 8, e72992, 2013
本発明者らは、上記の状況に鑑み、研究を重ねる中で、非特許文献3および4に記載された量子ドットナノプローブを用いたアミロイドーシスの検出について検討を進めたところ、かかる量子ドットナノプローブを用いた場合、アミロイドβタンパク質由来のアミロイドーシスは特異的に検出できる一方、他のタンパク質由来のアミロイドーシスについては検出できないという新たな問題を認識するに至った。このことは、多様なアミロイド形成性タンパク質のアミロイド凝集という現象においては、ある程度の非特異性を有することによりその利用性を格段に改善できるとの新たな発見に基づくものである。
したがって本発明の課題は、アミロイド線維に対して広い相互作用スペクトラムを持つ量子ドットナノプローブ(ユニバーサルプローブ)を提供することにある。
かかる問題を解決すべく、さらに研究を進めたところ、本発明者らは、比較的短いアミノ酸長からなるアミロイド線維に結合することが予測されるペプチド(アミロイド形成性ペプチド(amyloidogenic peptide))を用いて量子ドットナノプローブを作製したところ、かかる量子ドットナノプローブは、複数の種類のアミロイド形成性タンパク質の凝集に対する検出に用いることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]3〜10個のアミノ酸からなるアミロイド形成性ペプチドのN末端またはC末端にシステインを介して量子ドットが結合してなる、量子ドットナノプローブ。
[2]量子ドットが、CLIVAGD(配列番号58)、CKLVFFAE(配列番号59)、CLVFFA(配列番号60)またはCGNNQQNY(配列番号61)のN末端にあるシステインに結合してなる、前記[1]に記載の量子ドットナノプローブ。
[3]複数の生体由来のアミロイド形成性タンパク質のアミロイド形成を検出するための、前記[1]または[2]に記載の量子ドットナノプローブ。
[4]複数の生体由来のアミロイド形成性タンパク質が、アミロイドβタンパク質、アポリポタンパク質A−I、アポリポプロテインA−II、β2ミクログロブリン、インスリン、リゾチーム、シスタチンCおよびステフィンAからなる群から選択される2つ以上である、前記[3]に記載の量子ドットナノプローブ。
[5]複数の生体由来のアミロイド形成性タンパク質が、アミロイドβおよびアポリポタンパク質A−IIである、前記[4]に記載の量子ドットナノプローブ。
[6]前記[1]〜[5]のいずれか一項に記載の量子ドットナノプローブを用いて、試料中のアミロイド凝集の有無を判別する方法。
本発明の量子ドットナノプローブは、少数のアミノ酸からなるアミロイド形成性ペプチドに量子ドットとの結合のためのシステインを付加しても、種々のタンパク質由来のアミロイド凝集に対して有効に検出プローブとして機能し、汎用性のあるプローブ(ユニバーサルプローブ)として用いることができる。これは、従来において用いられていた抗体や特異性の高いプローブでは、多様なアミロイド凝集を検出するためには、アミロイド凝集の種類に応じて何種類もの抗体やプローブを用意する必要があったのに対し、1種類のプローブで、多様なアミロイド凝集の検出が一挙に検出することが可能となる。また本発明の量子ドットナノプローブは、ペプチド鎖が短いことから合成に時間やコストがかからない。すなわち、本発明の量子ドットナノプローブは、標識の寿命が長く、高感度で、迅速かつ安価にアミロイド凝集の検出ができる。
さらに、アミロイドーシスに起因する種々の疾患の診断や、種々のアミロイド形成性タンパク質やペプチドを標的としたアミロイド凝集阻害物質のスクリーニングや分子設計(抗アミロイドーシス剤の創薬)を可能にする。特に、アミロイド形成性ペプチド部分のアミノ酸長が比較的短いことから、工業的に生産する場合でも安価に製造できる。
図1は、ThTの蛍光強度を指標とし、ApoA−II由来ペプチドのアミロイド凝集性を評価した結果を示す棒グラフである。黒は、各ペプチド溶液の24時間インキュベーション後のThT蛍光強度を示し、白は、各ペプチド溶液の48時間インキュベーション後のThT蛍光強度を示す。 図2は、透過型電子顕微鏡を用いたApoA−II由来ペプチドのアミロイド凝集性の結果を示す写真図である。A:コントロール溶液、B:ApoA−II C末端ペプチド(200μM)24時間インキュベーション、C:ApoA−II N末端ペプチド(200μM)24時間インキュベーション、D:ApoA−II C末端ペプチド(200μM)+ApoA−II N末端ペプチド(200μM)24時間インキュベーション。 図3は、Qdot−Aβプローブを用いたAβの凝集性評価の結果を示す図である。上図は、アミロイド形成反応溶液の経時的変化を示し、下図は、各画像のSD値より得られたアミロイド線維形成曲線を示す。 図4は、Qdot−ApoA−II(C)プローブを用いたApoA−IIの凝集性評価の結果を示す図である。上図は、アミロイド形成反応溶液の経時的変化を示し、下図は、各画像のSD値より得られたアミロイド線維形成曲線を示す。 図5は、Qdot−LD6プローブを用いたAβの凝集性評価の結果を示す図である。上図は、アミロイド形成反応溶液の経時的変化を示し、下図は、各画像のSD値より得られたアミロイド線維形成曲線を示す。 図6は、Qdot−LD6プローブを用いたApoA−IIの凝集性評価の結果を示す図である。上図は、アミロイド形成反応溶液の経時的変化を示し、下図は、各画像のSD値より得られたアミロイド線維形成曲線を示す。 図7は、Qdot−LD6プローブを用いた種々のアミロイド形成性タンパク質凝集体の蛍光観察の結果を示す図である。A:リゾチーム溶液(1.36mM)を24時間インキュベーションした後に観察した凝集体の蛍光画像、B:インスリン溶液(2mg/mL)を3時間インキュベーションした後に観察した凝集体の蛍光画像、C:ステフィンA(200μM)を24時間インキュベーションした後に観察した凝集体の蛍光画像。 図8Aは、Qdot−AβとQdot−LD6をプローブとして用いた場合のAβの凝集阻害効果の比較結果を示す図であり、AβとQdot−Aβの混合溶液に対して各凝集阻害化合物を添加し、24時間インキュベーション後に蛍光顕微鏡により観察した画像を示す。 図8Bは、Qdot−AβとQdot−LD6をプローブとして用いた場合のAβの凝集阻害効果の比較結果を示す図であり、図8Aと同条件で、Qdot−LD6を用いた場合の観察画像を示す。 図8Cは、Qdot−AβとQdot−LD6をプローブとして用いた場合のAβの凝集阻害効果の比較結果を示す図であり、各溶液の観察画像からSD値を算出し比較した結果を示す棒グラフである。黒は、Qdot−Aβを用いた場合のSD値であり、白は、Qdot−LD6を用いた場合のSD値である。 図9Aは、Qdot−ApoA−IIとQdot−LD6をプローブとして用いた場合のApoA−IIの凝集阻害効果の比較結果を示す図であり、ApoA−IIとQdot−ApoA−II(C)の混合溶液に対して各凝集阻害化合物を添加し、24時間インキュベーション後に蛍光顕微鏡により観察した画像を示す。 図9Bは、Qdot−ApoA−IIとQdot−LD6をプローブとして用いた場合のApoA−IIの凝集阻害効果の比較結果を示す図であり、図9Bと同条件で、Qdot−LD6を用いた場合の観察画像を示す。 図9Cは、Qdot−ApoA−IIとQdot−LD6をプローブとして用いた場合のApoA−IIの凝集阻害効果の比較結果を示す図であり、各溶液の観察画像からSD値を算出し比較した結果を示す棒グラフである。黒は、Qdot−Aβを用いた場合のSD値であり、白は、Qdot−LD6を用いた場合のSD値である。 図10は、4種類のQdotペプチドをプローブとして用いた場合のAβの凝集性評価の結果を示す図である。
本発明の量子ドットナノプローブは、アミロイド形成性ペプチドのN末端またはC末端にシステインを介して量子ドットが結合してなる。ここでアミロイド形成性ペプチドは、3〜10個、好ましくは4〜8個のアミノ酸からなり、例えば、下記表1に記載のアミロイド形成性ペプチドが選択される。
本発明の量子ドットナノプローブは、好ましくは、量子ドットが、CLIVAGD(配列番号58)、CKLVFFAE(配列番号59)、CLVFFA(配列番号60)またはCGNNQQNY(配列番号61)のN末端にあるシステインに結合してなる構造を有する。
本発明の量子ドットナノプローブは、複数の生体由来のアミロイド形成性タンパク質のアミロイド形成を検出するために用いることができる。
ここで生体由来のアミロイド形成性タンパク質は、特に限定されないが、例えば、下記表2に記載のアミロイド形成性タンパク質や、ステフィンA、αシヌクレインなどが挙げられる。本発明の量子ドットナノプローブを用い、表2に記載のアミロイド形成性タンパク質を検出することによって、該アミロイド形成性タンパク質に関連する疾患の診断を行うことも可能である。
本発明の一態様において、複数の生体由来のアミロイド形成性タンパク質は、アミロイドβタンパク質、アポリポタンパク質A−I、アポリポタンパク質A−II、β2ミクログロブリン、インスリン、リゾチーム、シスタチンCおよびステフィンAからなる群から選択される2つ以上である。特に、アミロイドβおよびアポリポタンパク質A−IIであることが好ましい。
本発明はまた、前記の量子ドットナノプローブを用いて、試料中のアミロイド凝集の有無を判別する方法に関する。
アミロイド凝集は、タンパク質が線維化し、沈着することをいい、アミロイドーシスの原因となる。アミロイドーシスとは、アミロイド形成により生じる重篤な疾患群の総称である。アミロイドーシスは局在性によって全身性アミロイドーシスと限局性アミロイドーシスの2つ大きく分類されており、アミロイドタンパク質が血中に存在する場合は全身性アミロイドーシス、特定の臓器に限局して沈着を認める場合は限局性アミロイドーシスと呼ばれる。
アミロイドーシスは蓄積する臓器によっても分類することが可能であり、代表的な脳アミロイドーシスにはアルツハイマー病やアイスランド型遺伝性アミロイド性脳出血(シスタチンCの遺伝子変異)などがある。また、クロイツフェルト・ヤコブ病やプリオン病(異常プリオンタンパク質)もまた脳内へのアミロイド線維への蓄積、沈着が原因とされている。
したがって本発明の量子ドットナノプローブは、汎用性のあるユニバーサルプローブとして用いることができるので、アルツハイマー病、アイスランド型遺伝性アミロイド性脳出血、クロイツフェルト・ヤコブ病、プリオン病などのアミロイド形成により生じる重篤な疾患の判別に用いることができる。
さらに本発明の量子ドットナノプローブは、抗アミロイド物質のスクリーニング、抗アミロイド物質の分子デザイン、生体内における標的タンパク質/ペプチドの動態観察などに用いることができる。
以下、本発明について、さらに詳細に実施例を用いて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<用いた材料>
ApoA−IIのN−末端ペプチド(ApoA−II(N):DMQSLFTQYFQ(配列番号52))および、C−末端ペプチド(ApoA−II(C):QLTPLVRSAGTSLVNFFS(配列番号53))((95%≦、Biologica(Nagoya,Japan))は、6mMになるようDMSOで溶解したものを用いた。
Aβ1-42(DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号54))は株式会社ペプチド研究所(Osaka, Japan)より購入し、1mMとなるようDMSOで溶解したものを実験に供した。Cys−ApoA−II(C,Nペプチド)、Cys−LD6はMBLに合成委託した物を用いた。また、Cys−AβはANASPECから入手した。それぞれのシステイン残基導入ペプチドは、1mMになるようDMSO溶解し、使用するまで−80℃で保存した。コロジオン膜は日清EM株式会社(Tokyo, Japan)より購入し、PTA試薬は和光純薬工業株式会社(Osaka, Japan)より入手した。チオフラビンT(ThT)はWako Pure Chemical Industries Ltd(Osaka,Japan)より購入した。
試験例1:ThTアッセイによるApoA−IIのアミロイド凝集性評価
ApoA−IIのC末端ペプチド(ApoA−II(C))および、ApoA−IIのN末端ペプチド(ApoA−II(N))は、100%DMSOで6mMに溶解した溶液を用いた。このApoA−IIペプチド溶液を終濃度各200μM、DMSOを終濃度20%となるように添加した。バッファーは、pH2.6にあらかじめ調製したクエン酸バッファーを終濃度50mM加え、milliQで全量20μLに調製した。調製したアミロイド線維形成反応溶液を、24時間、37℃でインキュベーションし、0、2、6、12、24hでそれぞれ回収した。回収したアミロイド形成反応溶液8μLと、チオフラビンT溶液1.6mLを混合した。チオフラビンT溶液は、5μMチオフラビンT、50mM NaOH-Glycine buffer(pH8.5)となるよう調製した溶液を用いた。混合溶液を、励起波長446nmおよび蛍光波長490nmの条件において蛍光分光光度計FP−6200(JASCO,Tokyo,Japan)を用いて測定した。
<結果>
ApoA−II C末端ペプチド単独、ApoA−II N末端ペプチド単独もしくはApoA−II C末端ペプチドとApoA−II N末端ペプチドとを混合した場合の3通りの条件で線維形成がどのように行われるか観察した。
まず、C末端ペプチド単独の場合、わずかに線維形成が見られた。一方、N末端ペプチド単独の場合、線維形成は引き起こされなかった。これらと比較し、ApoA−II C末端ペプチドとN末端ペプチドを混合し、インキュベーションした結果、線維伸長が非常に速い速度で引き起こされ、最終の24hでは非常に多くの線維体が観察された(図1)。
試験例2:透過型電子顕微鏡(TEM)によるApoA−IIのアミロイド凝集性評価
ApoA−IIのアミロイド線維形成条件は、上述したThTアッセイで用いた方法と同様であり、24hインキュベーション後の溶液を用いた。反応溶液5μLを、400メッシュコロジオン膜の銅グリッド上にスポットし、すぐに濾紙でふき取り乾燥させた。次に、1%PTA溶液をコロジオン膜上に滴下し、余分な水分を濾紙でふき取って乾燥させることで観察用サンプルとした。観察は、加速電圧80kVでJEM−1400顕微鏡(JEOL,Tokyo,Japan)を用いて行った。
<結果>
ApoA−II線維の観察を行った結果、上述のThTアッセイの結果と相同性の高い結果が得られた。すなわち、蛍光強度の上昇がほとんど見られなかったC末端ペプチド、N末端ペプチド単独の場合では線維形成は引き起こされなかった。これに対し、C末端ペプチドとN末端ペプチドを混合してインキュベーションした場合、線維形成が引き起こされ、多くの線維体を観察することに成功した(図2)。
試験例3:量子ドット(Qdot)ナノプローブの調製
アミロイド形成性ペプチドそれぞれにCys残基を導入したペプチドを用いて、表3に記載の量子ドットナノプローブを調製した。
まず、12.5μLのQdot−PEG−NH2(8μM)を1.5mLチューブに入れ、4℃、1分間、10,000g条件下で遠心分離した。遠心分離後、上澄みをNANOSEPへ移した。Qdot溶液にPBS 450μLを加え、混合した後に4℃、7分間、10,000g条件下で遠心分離した。この工程をもう一度行い、NANOSEPに残ったQdot溶液をPBSで洗浄しながら全量を9μLにした。9μLのQdot溶液に、架橋剤となる10mMのsulfo-EMCSを1μL添加し、よく混合して1時間常温で反応させた。反応後、未反応のN−ヒドロキシスクシンイミド基を不活性化させるために100mMのK−グルタミン酸溶液を1μL加え、よく混合して10分間常温で反応させ、Qdot−PEG−CLを調製した。これを脱塩カラムに染み込ませ、さらに3μLのPBSEを加えた後に4℃、2分間、1,000g条件下で遠心分離した。脱塩処理後のQdot溶液に、DMSO中の1mMアミロイド形成性ペプチド溶液をそれぞれ加え、よく混合して1時間常温で反応させ、Qdot−PEG−CL−peptideを調製した。
未反応のマレイミド基を不活性化させるため、100mMの2−メルカプトエタノールを1μL加えて混合し、10分間常温で反応させた。Qdot溶液をNANOSEPへ移し、milliQを450μL加えて4℃、7分間、10,000g条件下で遠心分離し、milliQで洗いを含め7μLにした後、脱塩カラムに染み込ませてスタッカーとして3μLのmilliQを加えた後に4℃、2分間、1,000g条件下で遠心分離し、Qdot−peptideとした。調製したQdot−peptideは、それぞれnanodrop 2000(Thermo Fisher Scientific,Yokohama,Japan)を用いて励起波長280nm、蛍光波長350nmで測定し、濃度を算出した。
試験例4:量子ドットナノプローブ法によるアミロイド凝集性評価
調製した量子ドットナノプローブ溶液をアミロイド形成性タンパク質溶液と混合しインキュベーションすることで、量子ドットによりアミロイド線維を蛍光標識した。線維形成反応溶液の挿入されたwellの底面から蛍光顕微鏡で画像を撮影することで、タンパク質凝集体形成の経時的変化を観察した。さらに、撮影した凝集体の画像を解析し数値化することで、アミロイド凝集性について評価した。解析には、画像解析ツールであるimageJを用い、well画像中の100×100pixel領域のSD値をランダムに10か所測定し、平均値を算出し比較することで定量化を行った。
試験例5:Qdot−Aβプローブを用いたAβのアミロイド凝集性評価
Aβペプチドは、100%DMSOで1mMに溶解した溶液を用いた。このAβペプチド溶液を終濃度30μMとなるよう添加した。バッファーは、pH7.4にあらかじめ調製した10×PBSを終濃度1×PBSとなるよう加えた。濃度を測定したQdot−Aβを、終濃度が各30nMとなるように加えた後、milliQで全量20μLに調製した。調製したアミロイド線維形成反応溶液4℃で2分間、10,000gで遠心分離し、沈殿を吸い取らないように上清のみを1536 wellプレートの1 wellにつき5μLアプライした。次に、well上をプレートシールにより密閉し、37℃でインキュベーションした。蛍光顕微鏡観察は0、2、6、12、24hそれぞれで行い、蛍光画像の撮影を行った。撮影画像からSD値を算出し、アミロイド凝集性評価を行った。
<結果>
Qdot−AβとAβの混合溶液をインキュベーションし、蛍光顕微鏡により経時的変化を観察した。その結果、インキュベーション前には見られなかったタンパク質凝集体を観察することに成功した。観察画像より、インキュベーション開始から2時間〜6時間の間に最も線維形成が促進されていることが示された。また、SD値を測定し、線維形成曲線を作製したところ、典型的なアミロイド形成曲線が得られた(図3)。
試験例6:Qdot−ApoA−IIプローブを用いたApoA−IIペプチドのアミロイド凝集性評価
Qdot−ApoA−II(C,N)を用い、ApoA−IIのアミロイド線維形成を標識することが可能か調べた。また、Qdotを用いたアミロイド線維観察法が、徳楽らにより報告のあるアミロイドβでの成功例に限らず、他のアミロイド形成性タンパク質であるApoA−IIに応用可能かを検討した。
ApoA−IIのC末端、N末端ペプチドは、100%DMSOで6mMに溶解した溶液を用いた。このApoA−IIペプチド溶液を終濃度各500μMおよびDMSOを終濃度20%となるよう添加した。バッファーは、pH2.6にあらかじめ調製したクエン酸バッファーを終濃度50mM加えた。濃度を測定したQdot−ApoA−II(C,N)を、終濃度が各50nMとなるように加えた後、milliQで全量20μLに調製した。調製したアミロイド線維形成反応溶液4℃、2分間、10,000g条件下で遠心分離し、上清のみを1536 wellプレートの1 wellにつき5μLアプライした。サンプルをアプライしたwell上を、セロテープ(登録商標)、プレートシールで密閉し、インキュベーターを用いて37℃でインキュベーションした。蛍光顕微鏡観察は0、2、6、12、24hそれぞれで行い、撮影を行った。また、撮影画像からSD値を算出し、アミロイド凝集性評価を行った。
<結果>
Qdot−ApoA−IIを用いることにより、ApoA−IIアミロイド線維の形成により引き起こされる溶液の変化を経時的に観察した。その結果、インキュベーション時間の経過に伴うApoA−II線維の増加を確認することに成功した。また、SD値の測定によるアミロイド線維形成性評価法がApoA−IIにおいても有効であることが示された(図4)。今回の実験では、Qdot−ApoA−II(C)とQdot−ApoA−II(N)を用いているが、Qdot−ApoA−II(C)をプローブとして用いた場合においてより線維体の標識が効率的に行われた。
試験例7:Qdot−LD6プローブを用いた種々のアミロイド形成性タンパク質の凝集性評価
Qdot−LD6により、種々のアミロイド形成性タンパク質の凝集性評価を行うことが出来るか検討した。本実験では、Aβ、ApoA−II、インスリン、リゾチーム、ステフィンAの5種のタンパク質をアミロイド形成性タンパク質として供試した。
Aβの凝集性評価実験は、上記と同様の手法により、Qdot−AβのかわりにQdot−LD6を用いることで行った。また、ApoA−IIの凝集性評価実験は、上記と同様の手法により、Qdot−ApoA−IIのかわりにQdot−LD6を用いることで行った。インスリンの凝集性評価においては、まずインスリン粉末を40mM HClで溶解し、20mg/mLインスリン溶液を調製した。このインスリン溶液を終濃度2mg/mL添加した。リゾチームにおいては、milliQ 210μLで溶解し、5mMリゾチーム溶液とし、終濃度1.36mMとなるよう添加した。さらに、ステフィンAの凝集性評価においては、粉末をmilliQで溶解し1mM溶液を調製し、終濃度200μMとなるよう添加した。バッファーは、Aβにおいては、pH7.4にあらかじめ調製した10×PBSを、終濃度1×PBSとなるように加えた。ApoA−II、インスリン、リゾチーム、ステフィンAにおいては、pH2.6にあらかじめ調製したクエン酸バッファーを終濃度50mM加えた。濃度を測定したQdot−LD6を、終濃度が各50nMとなるようそれぞれ加えた後、milliQで全量20μLに調製した。調製したアミロイド線維形成反応溶液4℃で2分間、10,000gで遠心分離し、沈殿を吸い取らないように上清のみを1536 wellプレートの1 wellにつき5μLアプライした。サンプルをアプライしたwell上を、セロテープ(登録商標)、プレートシールで密閉し、インキュベーターを用いて37℃でインキュベーションした。蛍光顕微鏡観察により凝集体を観察し、撮影画像からSD値を算出し、アミロイド凝集性評価を行った。
<結果>
Qdot−LD6により、Aβ線維形成を経時的に観察することに成功した。また、SD値を測定し定量化を行ったところ、Qdot−Aβを用いた場合とほぼ同様の値を示した(図5)。同様に、ApoA−IIの凝集性評価をQdot−LD6により行い、SD値による比較を行ったところ、Qdot−ApoA−IIにより標識した場合とほぼ同様の値を示した(図6)。更に、リゾチーム、インスリン、ステフィンAに対してQdot−LD6を添加しインキュベーションを行ったところ、インキュベーション前には観察されなかったアミロイド凝集体の観察が可能であることが示された(図7)。
試験例8:Qdot−LD6プローブを用いたタンパク質凝集阻害剤の活性評価
アミロイド形成阻害剤として知られているロスマリン酸(RA)、カフェ酸(CA)およびクルクミン(Cur)を用い、それぞれの量子ドットナノプローブを用いた場合のアミロイド線維形成阻害効果の評価に用いることが可能か検討した。
(1)Qdot−LD6プローブを用いたAβ線維形成阻害剤の活性評価
Aβペプチドは、100%DMSOで1mMに溶解した溶液を用いた。このAβペプチド溶液を終濃度30μMとなるよう添加した。バッファーは、pH7.4にあらかじめ調製した10×PBSを終濃度1×PBSとなるよう加えた。濃度を測定したQdot−LD6を、終濃度が各30nMとなるように加えた。更に、供試サンプル三種を0.1、1、10、100μMそれぞれ添加し、よく混合した後にmilliQで全量20μLに調製した。調製したアミロイド線維形成反応溶液4℃で2分間、10,000gで遠心分離し、沈殿を吸い取らないように上清のみを1536 wellプレートの1 wellにつき5μLアプライした。サンプルをアプライしたwell上を、セロテープ(登録商標)、プレートシールで密閉し、インキュベーターを用いて37℃でインキュベーションした。蛍光顕微鏡観察は0、2、6、12、24hに行い、撮影を行った。また、撮影画像からSD値を算出し、アミロイド凝集性評価を行った。
(2)Qdot−LD6プローブを用いたApoA−II線維形成阻害剤の活性評価
ApoA−IIのC末端、N末端ペプチドは、100%DMSOで6mMに溶解した溶液を用いた。このApoA−IIペプチド溶液を終濃度各500μM、DMSOを終濃度20%となるよう添加した。バッファーは、pH2.6にあらかじめ調製したクエン酸バッファーを終濃度50mM加えた。濃度を測定したQdot−LD6を、終濃度が各50nMとなるように加えた。更に、供試サンプル三種を0.1、1、10、100μMそれぞれ添加し、よく混合した後にmilliQで全量20μLに調製した。調製したアミロイド線維形成反応溶液4℃で2分間、10,000gで遠心分離し、沈殿を吸い取らないように上清のみを1536 wellプレートの1 wellにつき5μLアプライした。サンプルをアプライしたwell上を、セロテープ(登録商標)、プレートシールで密閉し、インキュベーターを用いて37℃でインキュベーションした。蛍光顕微鏡観察は0、2、6、12、24hに行い、撮影を行った。また、撮影画像からSD値を算出し、アミロイド凝集性評価を行った。
<結果>
Aβに対して凝集阻害剤を添加した場合の線維形成阻害度を、Qdot−Aβを用いた場合とQdot−LD6を用いた場合で比較し、SD値により評価した。その結果、凝集阻害剤として添加した各化合物、各添加濃度いずれにおいても、Qdot−Aβを用いた場合とQdot−LD6を用いた場合で差異は生じなかった(図8A〜C)。同様に、ApoA−IIに対してもQdot−ApoA−IIを用いた場合とQdot−LD6を用いた場合で比較したところ、差異は生じなかった(図9A〜C)。
試験例9:各種Qdotプローブを用いたAβのアミロイド凝集性評価
表2に記載のQdot−KE7、Qdot−LA5、およびQdot−GY7の3種類のQdotプローブを新たに調整し、Aβのアミロイド凝集体の蛍光観察を行い、Qdot−LD6の場合と比較した。
Aβペプチドは、100%DMSOで1mMに溶解した溶液を用いた。このAβペプチド溶液を終濃度30μMとなるよう添加した。バッファーは、pH7.4にあらかじめ調製した10×PBSを終濃度1×PBSとなるよう加えた。濃度を測定した各種Qdotプローブを、終濃度が各30nMとなるように加えた後、milliQで全量20μLに調製した。調製したアミロイド線維形成反応溶液4℃で2分間、10,000gで遠心分離し、沈殿を吸い取らないように上清のみを1536 wellプレートの1 wellにつき5μLアプライした。次に、well上をプレートシールにより密閉し、37℃でインキュベーションした。蛍光顕微鏡観察は0、2、6、12、24hそれぞれで行い、蛍光画像の撮影を行った。
<結果>
下記表4および図10に示すとおり、Qdot−LD6と比較して、Qdot−LA5およびQdot−GY7はほぼ同様の線維標識能を示し、Qdot−LD6と同様に実用性が認められた。
Qdot−KE7は、Qdot−LA5と比較して若干蛍光が弱化していた。Qdot−KE7とQdot−LA5とは、システインを除くアミロイド形成性ペプチド部分において、配列の末端にK、Eが付加しているかいないかの2残基の違いしかなく(表3)、配列のわずかな相違によって、線維標識能に変化が見られた。
<考察>
ThTアッセイによりApoA−IIのアミロイド凝集性を評価した。ApoA−IIのC末端ペプチドとN末端ペプチドをそれぞれ単体でインキュベーションし、ThTアッセイに供したところ、蛍光強度の上昇は見られなかった。チオフラビンTは、βシート構造に特異的に結合し、蛍光を発する物質であることから、C末端ペプチド・N末端ペプチド単独では線維形成が引き起こされないことが示唆された。対して、C末端ペプチド・N末端ペプチドを混合してインキュベーションした場合には、線維形成に伴う大幅な蛍光強度の上昇が見られた。この結果から、ApoA−IIの線維形成は、C末端とN末端のアミロイド形成性領域が互いに相互作用し、βシート構造を形成しながら凝集することで引き起こされると考えられる。
これらの結果を踏まえて、量子ドットを用いたApoA−IIの凝集性評価を行った結果、Qdot−ApoA−IIをプローブとして用いることで、ApoA−IIのアミロイド凝集を経時的に観察することが可能であった。また、プローブとして用いるApoA−IIペプチドは、N末端ペプチドを用いた場合と比較してC末端ペプチドを用いた場合の方が効率的に線維を標識した。この結果から、ApoA−IIのC末端線維は、線維形成反応のシード形成期における核形成に必要であり、ApoA−IIのアミロイド凝集において重要な役割を持つことが推測される。これらの結果から、Aβの線維標識にQdot−Aβを用いる方法やApoA−IIの線維標識にQdot−ApoA−IIを用いる方法など、同種のペプチド間でのペプチド−量子ドットナノプローブの共凝集による線維標識が可能であることがわかった。
応用研究として、Qdot−LD6によって種々のアミロイド形成性タンパク質の線維形成を評価できるかどうか試みた。その結果、本実験で供した5種類のアミロイド形成性ペプチドに対して、いずれにおいても線維形成を標識できることが示された。これらのことから、LD6ペプチドは、アミロイド形成性タンパク質がコンフォメーション変化を引き起こしてβシート構造を形成する際に、同時にβシート構造を形成して共凝集することが可能であると考えられる。つまり、Qdot−LD6は、あらゆるタンパク質のアミロイド線維形成過程のみにおいて特異的に結合するユニバーサルなアミロイドプローブとして運用することが出来ると考えられる。
Qdot−LD6を用いることによって種々のアミロイド形成性タンパク質の凝集性を評価できることが本実験により明らかとなった。しかし、この方法は異種タンパク質間の共凝集を利用したタンパク質凝集性評価法であるため、様々な化合物に対する反応性が従来法と異なる可能性があった。そこで、Aβに対して凝集阻害剤を添加した場合の線維形成阻害度を、Qdot−Aβを用いた場合とQdot−LD6を用いた場合で比較した。またApoA−IIでも同様に、Qdot−ApoA−IIを用いた場合とQdot−LD6を用いた場合で比較した。その結果、凝集阻害剤として添加した各化合物、各添加濃度いずれにおいても、Qdot−Aβを用いた場合とQdot−LD6を用いた場合で差異は生じなかった。このことから、Qdot−LD6を他のタンパク質と共凝集させることで線維の蛍光標識を行った場合でも、純粋なAβ、ApoA−II線維とほぼ同様の凝集性を示すことが明らかとなった。さらに、Aβ−LD6、ApoA−II−LD6の共凝集は凝集阻害化合物に対して影響を与えないと考えられる。これにより、様々なアミロイド形成性タンパク質の凝集性評価をQdot−LD6のみによって行うことが可能であると言える。更には、様々な凝集阻害候補化合物のスクリーニングに利用することが可能であることも示された。
本発明の量子ドットナノプローブは、汎用性のあるユニバーサルプローブとして用いることができるので、アミロイドーシスに起因する種々の疾患の診断や、種々のアミロイド形成性タンパク質やペプチドを標的としたアミロイド凝集阻害物質の分子設計(抗アミロイドーシス剤の創薬)に向けた研究を可能にする。

Claims (6)

  1. 3〜10個のアミノ酸からなるアミロイド形成性ペプチドのN末端またはC末端にシステインを介して量子ドットが結合してなる、量子ドットナノプローブ。
  2. 量子ドットが、CLIVAGD(配列番号58)、CKLVFFAE(配列番号59)、CLVFFA(配列番号60)またはCGNNQQNY(配列番号61)のN末端にあるシステインに結合してなる、請求項1に記載の量子ドットナノプローブ。
  3. 複数の生体由来のアミロイド形成性タンパク質のアミロイド形成を検出するための、請求項1または2に記載の量子ドットナノプローブ。
  4. 複数の生体由来のアミロイド形成性タンパク質が、アミロイドβタンパク質、アポリポタンパク質A−I、アポリポタンパク質A−II、β2ミクログロブリン、インスリン、リゾチーム、シスタチンCおよびステフィンAからなる群から選択される2つ以上である、請求項3に記載の量子ドットナノプローブ。
  5. 複数の生体由来のアミロイド形成性タンパク質が、アミロイドβおよびアポリポタンパク質A−IIである、請求項4に記載の量子ドットナノプローブ。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の量子ドットナノプローブを用いて、試料中のアミロイド凝集の有無を判別する方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110002428A (zh) * 2018-01-04 2019-07-12 国家纳米科学中心 用于调控淀粉样蛋白的碳基量子点、其制备方法及应用
KR102216845B1 (ko) * 2019-08-14 2021-02-19 한국과학기술원 아밀로이드 베타 응집 억제용 다기능성 탄소 도트 및 이의 용도
WO2024071361A1 (ja) * 2022-09-27 2024-04-04 株式会社カネカ 凝集性タンパク質に対する凝集抑制活性又は凝集促進活性を評価する方法

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