実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略することがある。なお、図を構成する同じ要素のハッチングを異なる図面間で適宜省略または変更する場合もある。
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、または、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
また本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間にチャネル領域を有しており、ドレインとチャネル領域とソースとを介して電流を流すことができるものである。
ここで、ソースとドレインとは、トランジスタの構造または動作条件等によって変わるため、いずれがソースまたはドレインであるかを限定することが困難である。このため、「ソース」という用語と、「ドレイン」という用語とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。
なお本明細書にて用いる「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものであり、数的に限定するものではないことを付記する。
また、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定されず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているものとする。
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電層、層、など)であるとする。
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合であり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、XとYとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、XとYとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが機能的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の回路を挟んで機能的に接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子または別の回路を挟まずに接続されている場合)とが、本明細書等に開示されているものとする。つまり、電気的に接続されている、と明示的に記載されている場合は、単に、接続されている、とのみ明示的に記載されている場合と同様な内容が、本明細書等に開示されているものとする。
なお、例えば、トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1を介して(または介さず)、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2を介して(または介さず)、Yと電気的に接続されている場合や、トランジスタのソース(または第1の端子など)が、Z1の一部と直接的に接続され、Z1の別の一部がXと直接的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)が、Z2の一部と直接的に接続され、Z2の別の一部がYと直接的に接続されている場合では、以下のように表現することが出来る。
例えば、「XとYとトランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。または、「Xは、トランジスタのソース(または第1の端子など)とドレイン(または第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(または第1の端子など)、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
または、別の表現方法として、例えば、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した、トランジスタのソース(または第1の端子など)とトランジスタのドレイン(または第2の端子など)との間の経路であり、前記第1の接続経路は、Z1を介した経路であり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有しておらず、前記第3の接続経路は、Z2を介した経路である。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の接続経路によって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の接続経路は、第2の接続経路を有しておらず、前記第2の接続経路は、トランジスタを介した接続経路を有し、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の接続経路によって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の接続経路は、前記第2の接続経路を有していない。」と表現することができる。または、「トランジスタのソース(または第1の端子など)は、少なくとも第1の電気的パスによって、Z1を介して、Xと電気的に接続され、前記第1の電気的パスは、第2の電気的パスを有しておらず、前記第2の電気的パスは、トランジスタのソース(または第1の端子など)からトランジスタのドレイン(または第2の端子など)への電気的パスであり、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)は、少なくとも第3の電気的パスによって、Z2を介して、Yと電気的に接続され、前記第3の電気的パスは、第4の電気的パスを有しておらず、前記第4の電気的パスは、トランジスタのドレイン(または第2の端子など)からトランジスタのソース(または第1の端子など)への電気的パスである。」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続経路について規定することにより、トランジスタのソース(または第1の端子など)と、ドレイン(または第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。
なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Y、Z1、Z2は、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電層、層、など)であるとする。
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としての機能を有する場合は、一の導電層が、配線の機能、および電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電層が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
なお本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
なお図面におけるブロック図の各回路ブロックの配置は、説明のため位置関係を特定するものであり、異なる回路ブロックで別々の機能を実現するよう示していても、実際の回路ブロックにおいては同じ回路ブロック内で別々の機能を実現しうるように設けられている場合もある。また図面における各回路ブロックの機能は、説明のため機能を特定するものであり、一つの回路ブロックとして示していても、実際の回路ブロックにおいては一つの回路ブロックで行う処理を、複数の回路ブロックで行うよう設けられている場合もある。
なお、「膜」という用語と、「層」という用語とは、場合によっては、または、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。
(実施の形態1)
本発明の一態様の撮像装置の構成について図面を用いて説明する。
本明細書等において撮像装置とは、撮像機能を有する装置全般を指す。または、撮像機能を有する回路、あるいは該回路を含むシステム全体を撮像装置という。
本明細書等において、表示装置とは、表示機能を有する装置全般を指す。表示装置は、複数の画素、および画素を駆動する回路等を有する。また、表示装置は、制御回路、電源回路、信号生成回路等を含む場合がある。
図1は、本発明の一態様の撮像装置の構成を示すブロック図である。撮像装置10は、画素11、回路13、回路14、回路15、回路16、回路17、回路18、回路19、回路21および回路22を有する。画素11はマトリクス状に配置されてn行m列(n,mは自然数)の画素アレイ12を構成している。
また、撮像装置10の外部に表示装置23および記憶装置24などの外部機器を設けることができる。記憶装置24として、ハードディスク、磁気ディスク、光磁気ディスク(MO;Magneto−Optical disk)、フラッシュメモリなどの任意の不揮発性メモリを用いることができる。
回路13は、画素アレイ12の行を選択する、行ドライバとしての機能を有することができる。回路14は、画素アレイ12の列を選択する、第1の列ドライバとしての機能を有することができる。回路15は、A/D変換回路としての機能を有することができる。
回路16は、各画素11から出力されたアナログデータである撮像データに対してデータ処理を行う機能を有することができる。回路17は、回路16によるデータ処理を行う列の画素11を選択する、第2の列ドライバとしての機能を有することができる。
回路18は、回路13により選択された行の画素11の行アドレスを計算する機能を有することができる。回路19は、回路17により選択された列の画素11の列アドレスを計算する機能を有することができる。回路21は、指定した画素アレイ12の領域を規定する行アドレスおよび列アドレスを記憶する機能を有することができる。回路22は、回路16から出力された信号と、回路18から出力された行アドレスおよび回路19から出力された列アドレスと、回路21に記憶された行アドレスおよび列アドレスと、をもとに、撮像データを外部機器に出力するか否かを判定する機能を有することができる。
ここで、画素アレイ12の領域とは、画素11の座標の集合を意味する。また、座標とは、画素アレイ12の何番目の行および何番目の列に配置された画素かを示す数値の組であり、行アドレスおよび列アドレスにより規定される。例えば、画素11[1,1]は、1行1列目に配置された画素11を示す。また、画素11[n,m]は、n行m列目に配置された画素11を示す。
回路13、回路14および回路17には、様々な回路、例えば、デコーダやシフトレジスタ等が用いられる。
なお、回路14および回路17は、同じ回路構成としてもよいし、違う回路構成としてもよい。また、図2に示すように、回路14と回路17を共通化して、回路25としてもよい。
次に、図1に示す撮像装置10の動作について、図3に示すフローチャートを用いて説明する。なお、撮像装置10は、第1のモードまたは第2のモードにより動作することができる。
まず、第1のモードによる撮像を行う(S1)。該モードでは、すべての画素11で撮像データ31を取得する。取得した撮像データ31は、回路15でデジタルデータに変換後、外部機器へ出力する(S2)。
つまり、第1のモードは、撮像データを取得して外部機器へ出力する撮像モードである。
次に、第2のモードに切り替えるか否かの判定を行う(S3)。あらかじめ設定した切り替え条件が満たされていない場合、S1乃至S3を再度行う。なお、切り替え条件として、例えば指定した時間が経過、あるいは第2のモードに切り替える信号の入力などが挙げられる。
切り替え条件が満たされている場合、第2のモードにより基準フレームの撮像データの取得および差分検出用フレームの撮像データの取得を行う。該モードでは、回路13によって画素アレイ12の行を選択しつつ、回路17によって画素アレイ12の列を選択することにより、一の画素11を選択する。そして、選択した画素11により基準フレームの撮像データを取得して回路16に出力した後、選択した画素11により差分検出用フレームの撮像データを取得して回路16に出力する。
その後、基準フレームの撮像データと、差分検出用フレームの撮像データとの間で差分計算を行う(S4)。また、回路16が信号36を生成する。差分が検出された場合は信号36をアクティブとし、差分が検出されなかった場合は非アクティブとする。なお、差分計算の結果を表す差分データは、画素11に保存することができる。
つまり、第2のモードは、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データの差分を検出する、差分検出モードである。
ここで、信号36をアクティブにするとは、例えば”H”の信号(高電位の信号ともいう)を出力することをいう。逆に信号36を非アクティブにするとは、例えば”L”の信号(低電位の信号ともいう)を出力することをいう。信号36の論理は、逆でもよい。
なお、本明細書において”L”は例えば接地電位とすることができる。
回路16による差分計算の方法として、画素11から出力された基準フレームの撮像データに起因する電流値と、差分検出用フレームの撮像データに起因する電流値との差によって差分の有無を判定する方法などを用いることができる。電流値に差が生じれば差分ありと判定され、生じなければ差分なしと判定される。該方法を実現するための回路16の具体的な回路構成および動作については後述する。
また、差分計算の対象となった画素11の座標を構成する行アドレス32を回路18により計算し、列アドレス33を回路19により計算する。そして、行アドレス32および列アドレス33を、アドレス信号として回路22に出力する。なお、クロック信号34を回路13および回路18に供給することにより、回路13による画素アレイ12の行の選択と、回路18による行アドレス32の計算とを同期して行うことができる。また、クロック信号35を回路17および回路19に供給することにより、回路17による画素アレイ12の列の選択と、回路19による列アドレス33の計算とを同期して行うことができる。
なお、本発明の一態様では差分の有無に関わらず、差分計算を行うすべての画素11について、行アドレス32を回路18により計算し、列アドレス33を回路19により計算しているが、差分が検出された画素11の行アドレス32および列アドレス33のみ計算してもよい。
差分が検出されず、信号36が非アクティブとなった場合はS4に戻って再度差分検出用フレームの撮像データの取得を行い、基準フレームと、該差分検出用フレームとの間で差分計算を行う。
第2のモードでは、例えば1行1列目の画素11を選択して差分計算を行い、次に1行2列目の画素11を選択して差分計算を行い、1行m列目の画素11まで順次選択して差分計算を行う。2行目以降の画素11についても1行目の画素11と同様の手順で1列目の画素11からm列目の画素11まで順次差分計算を行う。そしてn行m列目の画素11について差分計算を行ったら、再度1行1列目の画素11からn行m列目の画素11について順次差分計算を行う。画素11のいずれかにおいて、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの間に差分が検出された時点で信号36がアクティブとなる。
なお、基準フレームの撮像データは、回路16に保持することができる。このため、差分計算で差分が検出されず、再び第2のモードによる動作を行う場合、基準フレームの撮像データの取得は行ってもよいし、行わなくてもよい。基準フレームの撮像データの取得を行う場合、保持された撮像データが時間の経過などにより変化していたとしても精度の高い差分計算を行うことができる。基準フレームの撮像データの取得を行わない場合、消費電力を低減することができ、また動作を高速化することができる。
差分が検出され、信号36がアクティブとなった場合は、撮像データを外部機器へ出力するか否かの判定を、回路22により行う(S5)。以下に、S5における動作の一例について詳細に説明する。
撮像装置10を動作させるに先立って、回路21に、画素アレイ12中の領域41(図4参照)を規定する行アドレス37および列アドレス38を記憶させる。なお、行アドレス37および列アドレス38の回路21への記憶は、撮像装置10の動作中に行ってもよい。
領域41において基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの間に差分を検出した場合に、第1のモードにより新たに撮像データを取得して外部機器へ出力する。なお、行アドレス37および列アドレス38はそれぞれ複数指定して領域を規定することができる。例えば各アドレスが指定する座標を結んで囲われた領域を領域41とすることができる。また、例えば各アドレスが指定する座標を直線または線分で結び、該直線上または該線分上を領域41とすることもできる。また、例えば各アドレスが指定する座標そのものを領域41とすることもできる。
そして、S4により差分が検出され、信号36がアクティブになった場合、領域41が有する座標と、差分が検出された(信号36がアクティブになる直前に回路16により差分計算を行っていた)画素11の行アドレス32および列アドレス33から構成される座標42とを回路22により比較する。なお、領域41および座標42は図1には図示していない。そして、回路22は信号39を生成し、座標42が領域41に含まれる場合は、撮像データの外部機器への出力条件を満たしているとして信号39をアクティブとする。また、座標42が領域41に含まれない場合は、撮像データの外部機器への出力条件を満たしていないとして信号39を非アクティブとする。
ここで、座標42が領域41に含まれるとは、座標42が、領域41が有する座標のうちの1つと一致することを意味する。また、座標42が領域41に含まれないとは、座標42が、領域41が有する座標と1つも一致しないことを意味する。
また、信号39をアクティブにするとは、信号36と同様に例えば”H”の信号を出力することをいう。逆に信号39を非アクティブにするとは、例えば”L”の信号を出力することをいう。信号39の論理は、逆でもよい。
なお、撮像装置10において、回路21を有しない構造とすることもできる。この場合、行アドレス37および列アドレス38を直接回路22に供給する。
次に、前述した撮像データの外部機器への出力判定の具体例について、図4を用いて説明する。
画素アレイ12において、左上の画素11の座標は[1,1]、右下の画素11の座標は[n,m]とする。そして、”xmin”および”xmax”が行アドレス37として、”ymin”および”ymax”が列アドレス38として、それぞれ回路21に記憶されている。ここで、1≦xmin≦xmax≦n(xminは1以上xmax以下、xmaxはxmin以上n以下)、1≦ymin≦ymax≦m(yminは1以上ymax以下、ymaxはymin以上m以下)とする。また、xmin、xmax、yminおよびymaxは自然数とする。
この場合、領域41は例えば図4に示すように、座標[xmin,ymin]、[xmin,ymax]、[xmax,ymin]および[xmax,ymax]の4点で囲われた四角形の内部の領域とすることができる。そして、座標42を[x1,y1](x1はxmin以上xmax以下の自然数、y1はymin以上ymax以下の自然数)とすると、座標42は領域41に含まれるとして信号39をアクティブとすることができる。また、例えば座標42を[x2,y2](x2はxmax以上n以下の自然数、y2はymin以上ymax以下の自然数)とすると、座標42は領域41に含まれないとして信号39を非アクティブとすることができる。また、例えば座標42を[x,y](xとyは自然数)とし、xはxmin以下、xはxmax以上、yはymin以下、yはymax以上のうちいずれか一の条件を満たす場合、座標42が領域41に含まれないとして信号39を非アクティブとすることができる。
なお、領域41を、座標[xmin,ymin]、[xmin,ymax]、[xmax,ymin]および[xmax,ymax]の4点で囲われた四角形の外部の領域とすることもできる。この場合、例えば座標42が[x2,y2]または[x,y]である場合は座標42が領域41に含まれるとして信号39をアクティブとし、例えば座標42が[x1,y1]である場合は座標42が領域41に含まれないとして非アクティブとすることができる。
なお、図4では領域41は四角形として説明したが、領域41は様々な形状とすることができる。例えば、行アドレス37と列アドレス38をそれぞれ3個ずつ回路21に記憶させて座標を3点指定し、各座標を直線で結ぶことにより形成した三角形の内部または外部を領域41とすることもできる。また、領域41を、行アドレス37および列アドレス38によって規定された円の内部または外部とすることもできる。また、領域41を、行アドレス37および列アドレス38によって規定された多角形の内部または外部とすることもできる。
なお、領域41の内部と外部の境界線上の座標は、領域41の内部に含めることもできるし、外部に含めることもできる。
以上、領域41を面とした場合について説明したが、領域41を線または点とすることもできる。領域41を線とする場合、例えば、行アドレス37と列アドレス38をそれぞれ2個ずつ回路21に記憶させて座標を2点指定して各座標を直線または線分で結び、座標42が該直線上または該線分上に位置する場合は信号39をアクティブとし、該直線または該線分が座標42を通らない場合は信号39を非アクティブとすることもできる。また、該直線または該線分が座標42を通らない場合は信号39をアクティブとし、座標42が該直線上または該線分上に位置する場合は信号39を非アクティブとすることもできる。
領域41を点とする場合、例えば、一または複数の行アドレス37および一または複数の列アドレス38を回路21に記憶させて一または複数の座標を指定し、座標42が指定した座標(領域41)と同一である場合は信号39をアクティブとし、指定した座標(領域41)と異なる場合は非アクティブとすることもできる。また、行アドレス37および列アドレス38を回路21に記憶させて座標を指定し、座標42が指定した座標(領域41)と異なる場合は信号39をアクティブとし、指定した座標(領域41)と同一である場合は非アクティブとすることもできる。
また、一または複数の行アドレス37および/または列アドレス38を回路21に記憶させ、座標42が行アドレス37または列アドレス38の一方あるいは両方を含む場合は信号39をアクティブとし、行アドレス37および列アドレス38の両方とも含まない場合は信号39を非アクティブとすることもできる。また、一または複数の行アドレス37および/または列アドレス38を回路21に記憶させ、座標42が行アドレス37および列アドレス38の両方とも含まない場合は信号39をアクティブとし、行アドレス37または列アドレス38の一方あるいは両方を含む場合は信号39を非アクティブとすることもできる。
また、回路21に記憶させた行アドレスおよび列アドレスのうち、すべてを領域41の規定のために用いてもよいし、一部を領域41の規定のために用いてもよい。一部を領域41の規定のために用いる場合、例えば、信号を回路21に供給することにより、領域41を規定するために用いる行アドレス37および/または列アドレス38を、回路21に記憶させた行アドレスおよび/または列アドレスの中から指定することができる。
以上説明した領域41の規定方法は、それぞれ適宜組み合わせて用いることができる。
S5において、信号39が非アクティブとなった場合、S4に戻って再度第2のモードにより基準フレームの撮像データの取得および差分検出用フレームの撮像データの取得を行い、取得した撮像データをもとにして差分計算を行う。なお、前述のように、基準フレームの撮像データが回路16などに保持されている場合は、基準フレームの撮像データの取得を省略してもよい。
信号39がアクティブとなった場合、第1のモードに切り替えてS1と同様の手順で撮像データ31の取得を行う(S6)。そして、S2と同様の手順で撮像データ31を外部機器に出力する(S7)。
S7実行後、S4に戻って第2のモードに切り替えて、再度差分検出用フレームの撮像データの取得を行い、基準フレームと、該差分検出用フレームとの間で差分計算を行う。なお、S7実行後に、S4に戻って第2のモードによる動作を行うか、S6に戻って第1のモードによる撮像を続けるかの判定を行ってもよい。さらに、S1に戻るか否かの判定を行ってもよい。判定条件として、S3と同様に、例えば指定した時間が経過、あるいは第2のモードに切り替える信号の入力などが挙げられる。以上が本発明の一態様である撮像装置の動作である。
以上説明したように、図1に示す撮像装置10において、第2のモードでは、A/D変換などの膨大な電力を消費する処理を行わない。また、差分が検出されたか否かを他の回路に伝える機能を有する信号36を生成するための、最低限の処理を行うだけでよい。このため、A/D変換などを伴って基準フレームと差分検出用フレームの差分を検出する構成の場合に比べ、消費電力を低減することができる。
また、第2のモードにより差分が検出された場合であっても、撮像データの外部機器への出力判定を行い、出力条件を満たしている場合のみ撮像データ31を第1のモードにより撮像して外部機器へ出力する。このため、差分が検出された場合に無条件で撮像データ31を撮像して外部機器へ出力する場合より、撮像データ31の出力頻度を減らすことができる。これにより、例えば外部機器として表示装置23を撮像装置10に接続した場合、表示装置23における画像データの書き換えの頻度を減らすことができる。画像データを書き換えない期間は、特に表示装置23を実施の形態6に示す構成とすることにより表示装置23の回路の動作を停止させることができるので、消費電力を低減することができる。また、例えば外部機器として記憶装置24を撮像装置10に接続した場合、保存されるデータ量を減らすことができる。このため、記憶装置24の記憶容量を節約することができ、より長時間の撮像が可能となるだけでなく、保存されたデータから必要なデータを検索することが容易にできるようになる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、撮像装置10が有する画素11、および動作の一例について図面を用いて説明する。
図5は、画素11の回路図である。画素11は、光電変換素子120と、トランジスタ131と、トランジスタ132と、トランジスタ133と、トランジスタ134と、トランジスタ135と、容量素子141と、容量素子142と、を有する。なお、図5において、トランジスタ131乃至トランジスタ135はすべてn−ch型とする。
図5の画素11において、光電変換素子120の一方の端子は、トランジスタ131のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。また、トランジスタ131のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ132のソースまたはドレインの一方および容量素子141の一方の端子と電気的に接続されている。また、トランジスタ133のソースまたはドレインの一方は、容量素子141の他方の端子、容量素子142の一方の端子およびトランジスタ134のゲートと電気的に接続されている。また、トランジスタ134のソースまたはドレインの一方は、トランジスタ135のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。
また、光電変換素子120の他方の端子は、配線151(VPD)と電気的に接続されている。また、トランジスタ132のソースまたはドレインの他方は、配線152(VR)と電気的に接続されている。また、トランジスタ133のソースまたはドレインの他方は、配線153(VAZ)と電気的に接続されている。また、容量素子142の他方の端子は、配線154(VSS)と電気的に接続されている。また、トランジスタ135のソースまたはドレインの他方は、配線155(VPI)と電気的に接続されている。また、トランジスタ134のソースまたはドレインの他方は、配線156(VOUT)と電気的に接続されている。また、トランジスタ131のゲートは、配線161(TX)と電気的に接続されている。また、トランジスタ132のゲートは、配線162(RES)と電気的に接続されている。また、トランジスタ133のゲートは、配線163(AZ)と電気的に接続されている。また、トランジスタ135のゲートは、配線165(SEL)と電気的に接続されている。
ここで、配線151(VPD)、配線152(VR)、配線153(VAZ)、配線154(VSS)および配線155(VPI)は、電源線として機能させることができる。また、配線161(TX)、配線162(RES)、配線163(AZ)および配線165(SEL)は、信号線として機能させることができる。
上記構成において、トランジスタ131のソースまたはドレインの他方、トランジスタ132のソースまたはドレインの一方および容量素子141の一方の端子が接続されるノードをFD1とする。また、トランジスタ133のソースまたはドレインの一方、トランジスタ134のゲート、容量素子141の他方の端子および容量素子142の一方の端子が接続されるノードをFD2とする。
画素11において、光電変換素子120は受光素子であり、画素11に入射した光に応じた電流を生成する機能を有することができる。トランジスタ131は、光電変換素子120によるノードFD1への電荷蓄積または放出を制御する機能を有することができる。トランジスタ132は、ノードFD1の電位をリセットする機能を有することができる。トランジスタ133は、ノードFD2の電位をリセットする機能を有することができる。トランジスタ134は、ノードFD2の電位に応じた信号を出力する、増幅トランジスタとしての機能を有することができる。トランジスタ135は、読み出し時に画素11の選択を制御する、選択トランジスタとしての機能を有することができる。また、配線156(VOUT)は、画素11が取得した撮像データを信号として出力する機能を有することができる。
第1のモードにおける画素11の動作について、図6に示すタイミングチャートを用いて詳細な説明を行う。図6に示すタイミングチャートは、配線161(TX)、配線162(RES)、配線163(AZ)、配線165(SEL)、ノードFD1およびノードFD2の電位を示す。なお、各トランジスタをオンまたはオフする動作は、各トランジスタのゲートに接続される配線にトランジスタをオンまたはオフする電位が供給されることにより行われるものとする。
なお、配線151(VPD)は”L”、配線152(VR)は”H”、配線153(VAZ)は”H”、配線154(VSS)は”L”、配線155(VPI)は”H”とするが、上記配線にその他の電位を印加して動作させることもできる。
時刻T1において、配線161(TX)、配線162(RES)および配線163(AZ)を”H”とすることにより、トランジスタ131、トランジスタ132およびトランジスタ133をオンとする。また、配線165(SEL)を”L”とすることによりトランジスタ135をオフとする。これにより、ノードFD1の電位は配線152(VR)の電位”VR”に設定され、ノードFD2の電位は配線153(VAZ)の電位”VAZ”に設定される。
時刻T2において、配線162(RES)および配線163(AZ)を”L”とすることにより、トランジスタ132およびトランジスタ133をオフとする。これにより、ノードFD1の電位が低下する。
ここで、ノードFD1の電位低下を”ΔV1”とすると、ノードFD1の電位は”VR−ΔV1”となる。また、容量素子141(容量値”C1”)と、容量素子142(容量値”C2”)とトランジスタ134のゲート容量(容量値”Cg”)との合成容量と、の容量結合により、ノードFD2の電位も低下する。ここで、ノードFD2の電位低下を”ΔV2”とすると、”ΔV2=ΔV1・C1/(C1+C2+Cg)=ΔV1・α”であり、ノードFD2の電位は”VAZ−ΔV2”となる。なお、”α=C1/(C1+C2+Cg)”である。
なお、”ΔV1”と”ΔV2”をできる限り等しくするため、容量素子141の容量値は、容量素子142の容量値とトランジスタ134のゲート容量の容量値との和より大きい構成が好ましい。
光電変換素子120に照射する光の照度が高いほど、ノードFD1の電位は大きく低下する。したがって、ノードFD2の電位も大きく低下する。
時刻T3において配線161(TX)を”L”とすることにより、トランジスタ131をオフとする。これにより、ノードFD1およびノードFD2の電位が保持される。
時刻T4において配線165(SEL)を”H”とすることにより、トランジスタ135をオンとする。これにより、ノードFD2の電位に応じて、配線156(VOUT)に、撮像データに対応する信号が出力される。なお、ノードFD2の電位が低いほど、配線156(VOUT)から出力される信号の電位は低くなる。すなわち、光電変換素子120に照射する光の照度が高いほど、配線156(VOUT)の電位は低くなる。
時刻T5において、配線165(SEL)を”L”とすることによりトランジスタ135をオフとする。以上が第1のモードにおける画素11の動作である。
次に、第2のモードにおける動作について、図7を用いて説明する。
時刻T01乃至時刻T06は、基準フレームの撮像データを取得して出力する期間に相当する。時刻T01において、配線161(TX)、配線162(RES)および配線163(AZ)を”H”とすることにより、トランジスタ131、トランジスタ132およびトランジスタ133をオンとする。また、配線165(SEL)を”L”とすることによりトランジスタ135をオフとする。これにより、ノードFD1の電位は配線152(VR)の電位”VR”にリセットされ、ノードFD2の電位は配線153(VAZ)の電位”VAZ”にリセットされる。
時刻T02において、配線162(RES)を”L”とすることにより、トランジスタ132をオフとする。これにより、ノードFD1の電位が低下する。また、時刻T03において、配線161(TX)を”L”とすることにより、トランジスタ131をオフとする。これにより、ノードFD1の電位が保持される。なお、時刻T02乃至時刻T03の間隔をTとする。
時刻T02乃至時刻T03におけるノードFD1の電位低下を”ΔV1”とすると、ノードFD1の電位は”VR−ΔV1”となる。光電変換素子120に照射する光の照度が高いほど、ノードFD1の電位は大きく低下する。なお、ノードFD2の電位は変化しない。
そして、時刻T04において、配線163(AZ)を”L”とすることにより、トランジスタ133をオフとする。以上により基準フレームの撮像データが取得される。
時刻T05において配線165(SEL)を”H”とすることにより、トランジスタ135をオンとする。これにより、ノードFD2の電位に応じて、配線156(VOUT)に、撮像データに対応する信号が出力される。
時刻T06において、配線165(SEL)を”L”とすることによりトランジスタ135をオフとする。以上が基準フレームの撮像データの取得および出力動作である。
時刻T11乃至時刻T15は、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの間に差分が無い場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および出力によって差分データを取得する期間に相当する。これは、後述する時刻T12乃至時刻T13において光電変換素子120に照射される光の照度が、時刻T02乃至時刻T03において照射される光の照度と等しい場合に対応する。
時刻T11において、配線161(TX)および配線162(RES)を”H”とすることにより、トランジスタ131およびトランジスタ132をオンとする。これにより、ノードFD1の電位は”VR−ΔV1”から”VR”となる。すなわち、時刻T02乃至時刻T03における電位低下分”ΔV1”だけ電位が上昇する。また、ノードFD2の電位も上昇する。ここで、ノードFD2の電位上昇を”ΔV2”とすると、”ΔV2=ΔV1・α”である。すなわち、ノードFD2の電位は”VAZ”から”VAZ+ΔV2”となる。
時刻T12において、配線162(RES)を”L”とすることにより、トランジスタ132をオフとする。これにより、ノードFD1の電位は低下し、合わせてノードFD2の電位も低下する。
時刻T13において配線161(TX)を”L”とすることにより、トランジスタ131をオフとする。これにより、ノードFD1およびノードFD2の電位が保持される。
ここで、時刻T12乃至時刻T13の間隔をTとすると、時刻T02乃至時刻T03と同じ照度の光が光電変換素子120に照射しているので、ノードFD1の電位低下は時刻T02乃至時刻T03での電位低下”ΔV1”に等しい。つまり、時刻T12乃至時刻T13におけるノードFD1の電位低下は、時刻T11におけるノードFD1の電位上昇と等しい。また、ノードFD2の電位低下は時刻T11での電位上昇”ΔV2”に等しい。したがって、ノードFD2の電位は、”VAZ”になる。つまり、配線153(VAZ)の電位と等しい。
時刻T14において、配線165(SEL)を”H”とすることにより、トランジスタ135をオンとする。これにより、ノードFD2の電位に応じて、配線156(VOUT)に撮像データに対応する信号が出力される。なお、当該信号の電位は、時刻T05乃至時刻T06における当該信号の電位と等しくなる。
時刻T15において、配線165(SEL)を”L”とすることによりトランジスタ135をオフとする。以上が基準フレームと、差分検出用フレームとの間で差分がない場合における、差分検出用フレームの撮像データの取得および出力動作である。
時刻T21乃至時刻T25は、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの間に差分がある場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および出力によって差分データを取得する期間に相当する。これは、後述する時刻T22乃至時刻T23において光電変換素子120に照射される光の照度が、時刻T12乃至時刻T13において照射される光の照度より高い場合に対応する。
時刻T21乃至時刻T25におけるトランジスタ131、トランジスタ132、トランジスタ133およびトランジスタ135の動作は、時刻T11乃至時刻T15における各トランジスタの動作と同様である。
時刻T21において、ノードFD1の電位は”VR”となる。すなわち、時刻T12乃至時刻T13における電位低下分”ΔV1”だけ電位が上昇する。一方、ノードFD2の電位も、時刻T12乃至時刻T13における電位低下分”ΔV2”だけ上昇する。すなわち、ノードFD2の電位は”VAZ+ΔV2”となる。
時刻T22において、ノードFD1の電位は低下し、合わせてノードFD2の電位も低下する。
時刻T23において、ノードFD1およびノードFD2の電位が保持される。時刻T22乃至時刻T23の間隔をTとすると、光電変換素子120に照射する光の照度は、時刻T12乃至時刻T13において光電変換素子120に照射する光の照度より高いので、ノードFD1の電位低下”ΔV1’”は時刻T12乃至時刻T13での電位低下”ΔV1”より大きい(ΔV1’>ΔV1)。また、ノードFD2の電位低下”ΔV2’=ΔV1’・α”も時刻T12乃至時刻T13での低下分”ΔV2”より大きい(ΔV2’>ΔV2)。したがって、ノードFD2の電位”VAZ+ΔV2−ΔV2’”は、配線153(VAZ)の電位”VAZ”より低い。
時刻T24において、ノードFD2の電位に応じて、配線156(VOUT)に撮像データに対応する信号が出力される。なお、時刻T22乃至時刻T23において光電変換素子120に照射する光の照度が高いほど配線156(VOUT)から出力される信号の電位は低くなるので、出力信号の電位は、時刻T14乃至時刻T15における出力信号の電位より低くなる。
時刻T31乃至時刻T35は、時刻T11乃至時刻T15の場合と同様に基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの差分がない場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および出力によって、差分データを取得する期間に相当する。
時刻T31乃至時刻T35におけるトランジスタ131、トランジスタ132、トランジスタ133およびトランジスタ135の動作は、時刻T11乃至時刻T15における各トランジスタの動作と同様である。
時刻T31乃至時刻T32において、ノードFD1の電位は”VR”となる。すなわち、時刻T22乃至時刻T23における電位低下分”ΔV1’”だけ電位が上昇する。一方、ノードFD2の電位も、時刻T22乃至時刻T23における電位低下分”ΔV2’”だけ上昇する。すなわち、ノードFD2の電位は”V2+ΔV2”となる。
時刻T32乃至時刻T33の間隔をTとすると、時刻T12乃至時刻T13と同じ照度の光が光電変換素子120に照射されているので、ノードFD1の電位低下は時刻T12乃至時刻T13での電位低下”ΔV1”に等しい。また、ノードFD2の電位低下も時刻T12乃至時刻T13での電位低下”ΔV2”に等しい。したがって、ノードFD2の電位は、”VAZ”になる。つまり、配線153(VAZ)の電位と等しい。
時刻T41乃至時刻T45は、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとの間に差分がある場合に、差分検出用フレームの撮像データの取得および出力によって差分データを取得する期間に相当する。これは、後述する時刻T42乃至時刻T43において光電変換素子120に照射される光の照度が、時刻T32乃至時刻T33において照射される光の照度より低い場合に対応する。
時刻T41乃至時刻T45におけるトランジスタ131、トランジスタ132、トランジスタ133およびトランジスタ135の動作は、時刻T31乃至時刻T35における各トランジスタの動作と同様である。
時刻T41において、ノードFD1の電位は”VR”となる。すなわち、時刻T32乃至時刻T33における電位低下分”ΔV1”だけ電位が上昇する。一方、ノードFD2の電位も、時刻T32乃至時刻T33における電位低下分”ΔV2”だけ上昇する。すなわち、ノードFD2の電位は”VAZ+ΔV2”となる。
時刻T42において、ノードFD1の電位は低下し、合わせてノードFD2の電位も低下する。
時刻T43において、ノードFD1およびノードFD2の電位が保持される。時刻T42乃至時刻T43の間隔をTとすると、光電変換素子120に照射する光の照度は、時刻T32乃至時刻T33において光電変換素子120に照射する光の照度より低いので、ノードFD1の電位低下”ΔV1’’”は時刻T32乃至時刻T33での電位低下”ΔV1”より小さい(ΔV1’’<ΔV1)。また、ノードFD2の電位低下”ΔV2’’=ΔV1’’・α”も時刻T32乃至時刻T33での低下分”ΔV2”より小さい(ΔV2’’<ΔV2)。したがって、ノードFD2の電位”VAZ+ΔV2−ΔV2’’”は、配線153(VAZ)の電位”VAZ”より高い。
時刻T44において、ノードFD2の電位に応じて、配線156(VOUT)に撮像データに対応する信号が出力される。なお、時刻T42乃至時刻T43において光電変換素子120に照射する光の照度が低いほど配線156(VOUT)から出力される信号の電位は高くなるので、出力信号の電位は、時刻T34乃至時刻T35における出力信号の電位より高くなる。
以上、第2のモードにおける画素11の動作の一例を示した。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態3)
本実施の形態では、撮像装置10が有する画素11の変形例について図面を用いて説明する。
本発明の一態様の撮像装置10が有する画素11は、図5に示す構成だけでなく。図8に示す構成とすることもできる。図8は、図5に示すトランジスタ131乃至トランジスタ135をすべてp−ch型とした構成である。必要に応じて電位の大小関係を逆にすることなどにより、第1のモードにおける動作は図6を、第2のモードにおける動作は図7をそれぞれ参照することができる。なお、トランジスタ131乃至トランジスタ135のうち、一部のトランジスタをp−ch型に置き換えてもよい。または、CMOS構成にしてもよい。
また、図5ではトランジスタ135はトランジスタ134と配線155(VPI)の間に配置されているが、図9に示すようにトランジスタ134をトランジスタ135と配線155(VPI)の間に配置する構成としてもよい。
また、本発明の一態様の撮像装置10が有する画素11は、図10に示す構成であってもよい。図10は、画素11における光電変換素子120の接続の向きが図5とは逆になる構成である。この場合、配線151(VPD)は”H”、配線152(VR)は”L”とする。第1のモードにおける動作は図6を、第2のモードにおける動作は図7をそれぞれ参照することができるが、この場合は光電変換素子120に照射される光の照度が高いほどノードFD1およびノードFD2の電位が高くなる。したがって、図10の回路構成においては、光電変換素子120に照射される光の照度が高いほど配線156(VOUT)から出力される出力信号の電位は大きくなる。
また、図11(A)は、図5に示す画素11からトランジスタ132が除かれた構成である。この場合、配線151(VPD)は”L”と”H”に変動できる構成とする。ノードFD1のリセット動作は、配線151(VPD)を”H”とすることで行うことができる。定められた期間において、配線151(VPD)を”H”とすると光電変換素子120には順方向バイアスがかかる。したがって、ノードFD1を配線151(VPD)の電位”VPD”とすることができる。
また、撮像データの取得を行う場合は、配線151(VPD)を”L”とする。配線151(VPD)を”L”とすることで光電変換素子120には逆方向バイアスがかかるため、光の照度に応じてノードFD1から配線151(VPD)へ電荷を放出することができる。この場合は光電変換素子120に照射される光の照度が高いほどノードFD1の電位が低くなり、したがってノードFD2の電位も低くなる。したがって、図11(A)の回路構成においては、光電変換素子120に照射される光の照度が高いほど配線156(VOUT)から出力される出力信号の電位は低くなる。
また、本発明の一態様の撮像装置10が有する画素11のその他の形態として、図11(B)のようにトランジスタ131を有さない構造であってもよい。また、図11(C)のように容量素子142を有さない構造であってもよい。
なお、図11において、配線の一部を省略している。
また、図5では、同じ電位を与える配線であっても異なる配線として図示したが、同じ配線としてもよい。例えば、図12(A)に示す画素11のように、“H”を印加する配線152(VR)、配線153(VAZ)および配線155(VPI)を同じ配線としてもよい。または、図12(B)に示す画素11のように、“L”を印加する配線151(VPD)および配線154(VSS)を同じ配線としてもよい。
図13(A)は、図5の画素11において、トランジスタ131乃至トランジスタ135を、活性層または活性領域を酸化物半導体で形成したトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ)とする構成である。
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧”Vgs”がしきい値電圧”Vth”よりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧”Vgs”がしきい値電圧”Vth”よりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、ゲートとソースの間の電圧”Vgs”がしきい値電圧”Vth”よりも低いときのドレイン電流をいう場合がある。
トランジスタのオフ電流は、”Vgs”に依存する場合がある。したがって、トランジスタのオフ電流が”I”以下である、とは、トランジスタのオフ電流が”I”以下となる”Vgs”の値が存在することをいう場合がある。トランジスタのオフ電流は、所定の”Vgs”におけるオフ状態、所定の範囲内の”Vgs”におけるオフ状態、または、十分に低減されたオフ電流が得られる”Vgs”におけるオフ状態、等におけるオフ電流を指す場合がある。
一例として、しきい値電圧”Vth”が0.5Vであり、”Vgs”が0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−9Aであり、”Vgs”が0.1Vにおけるドレイン電流が1×10−13Aであり、”Vgs”が−0.5Vにおけるドレイン電流が1×10−19Aであり、”Vgs”が−0.8Vにおけるドレイン電流が1×10−22Aであるようなnチャネル型トランジスタを想定する。当該トランジスタのドレイン電流は、”Vgs”が−0.5Vにおいて、または、”Vgs”が−0.5V乃至−0.8Vの範囲において、1×10−19A以下であるから、当該トランジスタのオフ電流は1×10−19A以下である、という場合がある。当該トランジスタのドレイン電流が1×10−22A以下となる”Vgs”が存在するため、当該トランジスタのオフ電流は1×10−22A以下である、という場合がある。
本明細書では、チャネル幅Wを有するトランジスタのオフ電流を、チャネル幅Wあたりを流れる電流値で表す場合がある。また、所定のチャネル幅(例えば1μm)あたりを流れる電流値で表す場合がある。後者の場合、オフ電流の単位は、電流/長さの次元を持つ単位(例えば、A/μm)で表される場合がある。
トランジスタのオフ電流は、温度に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、室温、60℃、85℃、95℃、または125℃におけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流が”I”以下である、とは、室温、60℃、85℃、95℃、125℃、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証される温度、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等が使用される温度(例えば、5℃乃至35℃のいずれか一の温度)、におけるトランジスタのオフ電流が”I”以下となる”Vgs”の値が存在することを指す場合がある。
トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電圧”Vds”に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、”Vds”が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証される”Vds”、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用される”Vds”におけるオフ電流、を表す場合がある。トランジスタのオフ電流が”I”以下である、とは、”Vds”が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、20V、当該トランジスタが含まれる半導体装置の信頼性が保証されるVds、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用される”Vds”、におけるトランジスタのオフ電流が”I”以下となる”Vgs”の値が存在することを指す場合がある。
本明細書では、オフ電流と同じ意味で、リーク電流と記載する場合がある。
本明細書において、オフ電流とは、例えば、トランジスタがオフ状態にあるときに、ソースとドレインとの間に流れる電流を指す場合がある。
OSトランジスタを画素11に用いると、撮像のダイナミックレンジを拡大することができる。図5に示す回路構成では、光電変換素子120に入射される光の照度が高いときにノードFD1の電位が小さくなり、したがってノードFD2の電位も小さくなる。OSトランジスタは極めてオフ電流が低いため、ノードFD2の電位(トランジスタ134のゲート電位)が極めて小さい場合においても当該ゲート電位に応じた電流を正確に出力することができる。したがって、検出することのできる照度のレンジ、すなわちダイナミックレンジを広げることができる。
また、トランジスタの低いオフ電流特性によってノードFD1およびノードFD2で電荷を保持できる期間を極めて長くすることができる。そのため、回路構成や動作方法を複雑にすることなく、全画素で同時に撮像データを取得するグローバルシャッタ方式を適用することができる。
一般的に、画素がマトリクス状に配置された撮像装置では、図14(A)に示す、行毎に撮像動作201、データ保持動作202、読み出し動作203を行う駆動方法であるローリングシャッタ方式が用いられる。ローリングシャッタ方式を用いる場合には、撮像の同時性が失われるため、被写体が移動した場合には、画像に歪が生じてしまう。
したがって、本発明の一態様は、図14(B)に示す、全行で同時に撮像動作201を行い、行毎に順次読み出し動作203を行うことができるグローバルシャッタ方式を用いることが好ましい。グローバルシャッタ方式を用いることで、撮像装置の各画素における撮像の同時性を確保することができ、被写体が移動する場合であっても歪の小さい画像を容易に得ることができる。
また、OSトランジスタは、活性層または活性領域をシリコンで形成したトランジスタ(以下、Siトランジスタと呼ぶ)よりも電気特性変動の温度依存性が小さいため、極めて広い温度範囲で使用することができる。したがって、OSトランジスタを有する撮像装置および半導体装置は、自動車、航空機、宇宙機などへの搭載にも適している。
また、ノードFD1およびノードFD2のいずれかと接続するトランジスタはノイズが少ないことが求められる。後述する二層または三層の酸化物半導体層を有するトランジスタはチャネルが埋め込み型であり、極めてノイズに強い特性を有する。したがって、当該トランジスタを用いることでノイズの少ない画像を得ることができる。
特に、図13(A)に示すような構成とすることで、画素をシリコンで形成した光電変換素子と、OSトランジスタと、で構成することができる。このような構成とすることで、画素にSiトランジスタを形成する必要が無いため、光電変換素子の有効面積を増大することが容易になる。したがって、撮像感度を向上することができる。
また、画素11だけでなく、回路13、回路14、回路15、回路16、回路17、回路18、回路19、回路21および回路22などの周辺回路をOSトランジスタで形成してもよい。周辺回路をOSトランジスタのみで形成する構成は、Siトランジスタの形成工程が不要となるため、撮像装置の低価格化に有効である。また、周辺回路をOSトランジスタとp型Siトランジスタのみで形成する構成は、n型Siトランジスタの形成工程が不要となるため、撮像装置の低価格化に有効である。さらに、周辺回路をCMOS回路とすることができるので、周辺回路の低消費電力化、すなわち、撮像装置の低消費電力化に有効である。
また図13(B)には、図13(A)をさらに変形した画素11の回路図の変形例を示す。図13(B)に示す画素11では、トランジスタ134およびトランジスタ135を、Siトランジスタとする構成としている。
Siトランジスタは、OSトランジスタに比べて優れた電界効果移動度を有するといった特性を有する。そのため、増幅トランジスタや選択トランジスタとして機能するトランジスタに流れる電流値を増やすことができる。例えば、図13(B)においてノードFD2に蓄積された電荷に応じて、トランジスタ134およびトランジスタ135に流れる電流値を増やすことができる。
なお、図13(A)、(B)に示した回路図においては、OSトランジスタであることを明示するために、OSトランジスタの回路記号に「OS」の記載を付している。
また、画素11に用いるトランジスタは、図15(A)または図15(B)に示すように、トランジスタ131、トランジスタ132およびトランジスタ133にバックゲートを設けた構成であってもよい。図15(A)はバックゲートに定電位を印加する構成であり、しきい値電圧を制御することができる。また、図15(B)はフロントゲートと同じ電位がバックゲートに印加される構成であり、オン電流を増加させることができる。なお、図15(C)または図15(D)に示すように、トランジスタ131乃至トランジスタ135にバックゲートを設ける構成であってもよい。
また、図15(E)に示すように、一つの画素に含まれるトランジスタに対し、フロントゲートと同じ電位がバックゲートに印加される構成、バックゲートに定電位を印加する構成を必要に応じて組み合わせた構成であってもよい。さらにバックゲートを設けない構成を必要に応じて任意に組み合わせた構成としてもよい。なお、バックゲートに定電位を印加する構成においては、例えば、図15(F)に示すように、全てのバックゲートに同じ電位を印加する構成とすることができる。
なお、図15において、配線の一部を省略している。
OSトランジスタはSiトランジスタよりもオン電流が低いので、OSトランジスタにはバックゲートを設けることが特に好ましい。例えば、図13(A)に示すように、トランジスタ131乃至トランジスタ135にOSトランジスタが用いられている場合、トランジスタ131乃至トランジスタ135にバックゲートを設けることが好ましい。また、例えば図13(B)に示すように、トランジスタ131乃至トランジスタ133にOSトランジスタが用いられている場合、トランジスタ131乃至トランジスタ133にバックゲートを設けることが好ましい。
また、画素11は、図16に示すようにトランジスタ132、トランジスタ133、トランジスタ134およびトランジスタ135を複数の画素で共用する形態としてもよい。なお、図16では垂直方向の複数の画素でトランジスタ132、トランジスタ133、トランジスタ134およびトランジスタ135を共用する構成を例示しているが、水平方向または水平垂直方向の複数の画素でトランジスタ132、トランジスタ133、トランジスタ134およびトランジスタ135を共用してもよい。このような構成とすることで、一画素あたりが有するトランジスタ数を削減させることができる。
なお、図16ではトランジスタ132、トランジスタ133、トランジスタ134およびトランジスタ135を4画素で共用する形態を図示しているが、2画素、3画素または5画素以上で共用する形態であってもよい。
以上のような構成とすることで、高集積化された画素アレイを有する撮像装置を形成することができる。また、高品質な撮像データを得ることのできる撮像装置を提供することができる。
なお、図5、図8乃至図13、図15および図16に示す構成は、それぞれ任意に組み合わせることができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態4)
本実施の形態では、撮像装置10が含む回路16の構成の一例について図面を用いて説明する。
本実施の形態において、画素11は実施の形態1と同様にn行m列配置されているとする。また、画素11の回路構成は、実施の形態2で前述した図5に示す回路構成と同様とする。
回路16の構成および、画素11と、回路16と、回路17との接続関係を図17に示す。回路16は、トランジスタ50、トランジスタ51、トランジスタ52、トランジスタ53、トランジスタ54、トランジスタ55、トランジスタ56、トランジスタ57、トランジスタ58、トランジスタ59、トランジスタ60、トランジスタ61、トランジスタ62、容量素子63、コンパレータ64およびコンパレータ65を有する。なお、回路16は、トランジスタ50乃至トランジスタ55および容量素子63をそれぞれm個ずつ有する。
また、図17では画素11はn行目のみ図示している。
なお、図17ではトランジスタ50乃至トランジスタ55、トランジスタ58、トランジスタ59およびトランジスタ62はn−ch型、トランジスタ56、トランジスタ57、トランジスタ60およびトランジスタ61はp−ch型としているが、一部のn−ch型トランジスタをp−ch型に、また一部のp−ch型トランジスタをn−ch型に適宜置き換えてもよい。
図17の回路16において、トランジスタ50[1]乃至[m]のソースまたはドレインの一方は、配線156(VOUT[1]乃至[m])によりトランジスタ134のソースまたはドレインの他方と電気的に接続されている。また、トランジスタ50[1]乃至[m]のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ51[1]乃至[m]のソースまたはドレインの一方、トランジスタ52[1]乃至[m]のソースまたはドレインの一方およびトランジスタ53[1]乃至[m]のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。また、トランジスタ50[1]乃至[m]のゲートは、配線70(ABU)と電気的に接続されている。
また、トランジスタ51[1]乃至[m]のソースまたはドレインの他方は、容量素子63[1]乃至[m]の一方の端子および配線71(VSS)と電気的に接続されている。また、トランジスタ51[1]乃至[m]のゲートは、トランジスタ52[1]乃至[m]のソースまたはドレインの他方および容量素子63[1]乃至[m]の他方の端子と電気的に接続されている。
また、トランジスタ52[1]乃至[m]のゲートは、配線72(ATC)と電気的に接続されている。
また、トランジスタ53[1]乃至[m]のゲートは、配線73(AOP[1]乃至[m])によって回路17と電気的に接続されている。また、トランジスタ53[1]乃至[m]のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ54[1]乃至[m]のソースまたはドレインの一方、トランジスタ55[1]乃至[m]のゲートおよびトランジスタ55[1]乃至[m]のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。
また、トランジスタ54[1]乃至[m]のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ54[1]乃至[m]のゲート、トランジスタ56のソースまたはドレインの一方およびコンパレータ64の非反転入力端子と電気的に接続されている。
また、トランジスタ55[1]乃至[m]のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ58のソースまたはドレインの一方およびコンパレータ65の非反転入力端子と電気的に接続されている。
また、トランジスタ56のソースまたはドレインの他方は、配線76(VDD2)によりトランジスタ57のソースまたはドレインの一方、トランジスタ60のソースまたはドレインの一方およびトランジスタ61のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。また、トランジスタ56のゲートは、トランジスタ57のゲートおよびコンパレータ64の出力端子と電気的に接続されている。
トランジスタ57のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ61のソースまたはドレインの他方およびトランジスタ62のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。
また、トランジスタ58のソースまたはドレインの他方は、配線78(VSS2)によりトランジスタ59のソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。また、トランジスタ58のゲートは、トランジスタ59のゲートおよびコンパレータ65の出力端子と電気的に接続されている。
また、トランジスタ59のソースまたはドレインの他方は、トランジスタ60のソースまたはドレインの他方、トランジスタ60のゲートおよびトランジスタ61のゲートと電気的に接続されている。
また、トランジスタ62のソースまたはドレインの他方は、配線81(VSS3)と電気的に接続されている。また、トランジスタ62のゲートは、配線82(BIAS)と電気的に接続されている。
コンパレータ64の反転入力端子は、配線84(Vref−)と電気的に接続されている。また、コンパレータ65の反転入力端子は、配線85(Vref+)と電気的に接続されている。
なお、配線84(Vref−)の電位”Vref−”および配線85(Vref+)の電位”Vref+”は適宜設定することができる。
また、配線71(VSS)は”L”とすることができるが、その他の電位を印加して動作させることもできる。
図18は、回路16の動作の一例を示すタイミングチャートである。時刻T01において、配線165(SEL[x])、配線163(AZ)、配線70(ABU)および配線72(ATC)を”H”とする。これにより、トランジスタ135、トランジスタ133、トランジスタ50[1]乃至[m]およびトランジスタ52[1]乃至[m]をオンとする。また、配線73(AOP[1]乃至[m])を”L”とすることにより、トランジスタ53[1]乃至[m]をオフとする。なお、配線165(SEL[x])は、任意の行(xはn以下の自然数)の配線165である。
この時、各列の配線156(VOUT[1]乃至[m])に供給される電流は基準フレームの撮像データに対応し、基準フレームの撮像データと差分検出用フレームの撮像データとで差分がゼロの時の電流値”I0”になる。この電流値I0は、基準電流値という場合もある。
トランジスタ50[1]乃至[m]を介して流れる電流Ip[1]乃至電流Ip[m]の電流値は電流値I0に等しく、また、トランジスタ51[1]乃至[m]を介して流れる電流Ic[1]乃至電流Ic[m]の電流値も”I0”に等しい。また、容量素子63[1]乃至[m]には、トランジスタ51[1]乃至[m]に”I0”を流すのに必要なゲート電圧に相当する電位が充電される。
時刻T02において、配線165(SEL[x])、配線163(AZ)、配線70(ABU)および配線72(ATC)を”L”とすることにより、トランジスタ135、トランジスタ133、トランジスタ50[1]乃至[m]およびトランジスタ52[1]乃至[m]をオフとする。
時刻T11において、配線165(SEL[1])、配線70(ABU)および配線73(AOP[1])を”H”とすることにより、第1の行の画素11が有するトランジスタ135と、トランジスタ50[1]乃至[m]およびトランジスタ53[1]とをオンとする。この時、画素11[1,1]により検出された差分に相当する電流が配線156(VOUT[1])に供給される。ここで、画素11[1,1]における差分はゼロとすると、配線156(VOUT[1])に供給される電流の電流値は”I0”となる。また、電流Ip[1]の電流値は”I0”に等しく、電流Ic[1]の電流値も”I0”に等しい。
時刻T12において、配線73(AOP[2])を”H”とすることにより、トランジスタ53[2]をオンとする。また、配線73(AOP[1])を”L”とすることにより、トランジスタ53[1]をオフとする。この時、画素11[1,2]により検出された差分に相当する電流が配線156(VOUT[2])に供給される。ここで、画素11[1,2]における差分はゼロとすると、配線156(VOUT[2])に供給される電流の電流値は”I0”となる。また、電流Ip[2]の電流値は”I0”に等しく、流れる電流Ic[2]の電流値も”I0”に等しい。
時刻T13において、配線73(AOP[2])を”L”とすることにより、トランジスタ53[2]をオフとする。また、時刻T14において、配線73(AOP[m])を”H”とすることにより、トランジスタ53[m]をオンとする。この時、画素11[1,m]により検出された差分に相当する電流が配線156(VOUT[m])に供給される。ここで、画素11[1,m]における差分はゼロとすると、配線156(VOUT[m])に供給される電流の電流値は”I0”となる。また、電流Ip[m]の電流値は”I0”に等しく、電流Ic[m]の電流値も”I0”に等しい。
時刻T15において、配線165(SEL[1])、配線70(ABU)および配線73(AOP[m])を”L”とすることにより、第1の行の画素11が有するトランジスタ135と、トランジスタ50[1]乃至[m]およびトランジスタ53[m]とをオフとする。以上で第1の行の画素11の差分検出が終了となる。
次に、時刻T21において、配線165(SEL[2])、配線70(ABU)および配線73(AOP[1])を”H”とすることにより、第2の行の画素11が有するトランジスタ135と、トランジスタ50[1]乃至[m]およびトランジスタ53[1]とをオンとする。この時、画素11[2,1]により検出された差分に相当する電流が配線156(VOUT[1])に供給される。ここで、画素11[2,1]における差分はゼロとすると、配線156(VOUT[1])に供給される電流の電流値は”I0”となる。また、電流Ip[1]の電流値は”I0”に等しく、電流Ic[1]の電流値も”I0”に等しい。
時刻T22において、配線73(AOP[2])を”H”とすることにより、トランジスタ53[2]をオンとする。また、配線73(AOP[1])を”L”とすることにより、トランジスタ53[1]をオフとする。この時、画素11[2,2]により検出された差分に相当する電流が配線156(VOUT[2])に供給される。ここで、配線156(VOUT[2])に供給される電流の電流値を”I0−ΔI1”とすると、電流Ip[2]の電流値は”I0−ΔI1”に等しく、また、電流Ic[2]の電流値は”I0”に等しいため、トランジスタ53[2]とトランジスタ54[2]を介して、電流値”ΔI1”の電流が流れることになる。
なお、電流値”I0−ΔI1”は、電流値“I0”より小さい。これは、画素11[2,2]が差分検出用フレームの撮像データを取得する際に光電変換素子120に照射される光の照度が、画素11[2,2]が基準フレームの撮像データを取得する際に光電変換素子120に照射される光の照度より高い場合に対応する。
ここで、コンパレータ64とトランジスタ56の働きにより、当該電流”I−”が供給される。ここで、トランジスタ56を介してトランジスタ54[2]に供給される電流”I−”が”ΔI1”より少ない(多い)場合は、コンパレータ64の+端子の電位が下がる(上がる)ことになり、コンパレータ64の出力は低下(上昇)する。すなわち、トランジスタ56のゲート電圧が低下(上昇)する。トランジスタ56はp−ch型なので、より多い(少ない)電流”I−”を供給することができるようになる。
さらに、トランジスタ56のゲートと同電位がトランジスタ57に印加されるため、トランジスタ56に対するトランジスタ57のW(チャネル幅方向)/L(チャネル長方向)比(n1)倍した電流”n1・I−”がトランジスタ57に流れる。また、トランジスタ62とトランジスタ57とで構成されるバッファにより、信号36(TRIG)が”H”となる。なお配線82(BIAS)にはバイアス電圧が印加される。バイアス電圧は適宜設定することができる。
時刻T23において、配線73(AOP[2])を”L”とすることにより、トランジスタ53[2]をオフとする。また、時刻T24において、配線73(AOP[m])を”H”とすることにより、トランジスタ53[m]をオンとする。この時、画素11[2,m]により検出された差分に相当する電流が配線156(VOUT[m])に供給される。ここで、画素11[2,m]における差分はゼロとすると、配線156(VOUT[m])に供給される電流の電流値は”I0”となる。また、電流Ip[1]の電流値は”I0”に等しく、電流Ic[1]の電流値も”I0”に等しい。
時刻T25において、配線165(SEL[2])、配線70(ABU)および配線73(AOP[m])を”L”とすることにより、第2の行の画素11が有するトランジスタ135と、トランジスタ50[1]乃至[m]およびトランジスタ53[m]とをオフとする。以上で第2の行の画素11の差分検出が終了となる。
次に、時刻T31において、配線165(SEL[n])、配線70(ABU)および配線73(AOP[1])を”H”とすることにより、第nの行の画素11が有するトランジスタ135と、トランジスタ50[1]乃至[m]およびトランジスタ53[1]とをオンとする。この時、画素11[n,1]により検出された差分に相当する電流が配線156(VOUT[1])に供給される。ここで、画素11[n,1]における差分はゼロとすると、配線156(VOUT[1])に供給される電流の電流値は”I0”となる。また、電流Ip[1]の電流値は”I0”に等しく、電流Ic[1]の電流値も”I0”に等しい。
時刻T32において、配線73(AOP[2])を”H”とすることにより、トランジスタ53[2]をオンとする。また、配線73(AOP[1])を”L”とすることにより、トランジスタ53[1]をオフとする。この時、画素11[n,2]により検出された差分に相当する電流が配線156(VOUT[2])に供給される。ここで、配線156(VOUT[2])に供給される電流の電流値を”I0+ΔI2”とすると、電流Ip[2]の電流値は”I0+ΔI2”に等しく、また、電流Ic[2]の電流値は”I0”に等しいため、トランジスタ53[2]とトランジスタ55[2]を介して、電流値”ΔI2”の電流が流れることになる。
なお、電流値”I0+ΔI2”は、電流値“I0”より大きい。これは、画素11[2,2]が差分検出用フレームの撮像データを取得する際に光電変換素子120に照射される光の照度が、画素11[2,2]が基準フレームの撮像データを取得する際に光電変換素子120に照射される光の照度より低い場合に対応する。
ここで、コンパレータ65とトランジスタ58の働きにより、当該電流”I+”供給される。ここで、トランジスタ55[2]からトランジスタ58に流れ込む電流”I+”が”ΔI2”より少ない(多い)場合は、コンパレータ65の+端子の電位が上がる(下がる)ことになり、コンパレータの出力は上昇(低下)する。すなわち、トランジスタ58のゲート電圧が上昇(低下)し、より多い(少ない)電流”I+”を供給することができるようになる。
また、トランジスタ58のゲートと同電位がトランジスタ59に印加されるため、トランジスタ58に対するトランジスタ59のW/L比(n2)倍した電流”n2・I+”がトランジスタ59に流れる。トランジスタ59に流れる電流がトランジスタ60にも流れ、さらに、トランジスタ60に対するトランジスタ61のW/L比(n3)倍した電流”n3・n2・I+”がトランジスタ61に流れる。そして、トランジスタ62と、トランジスタ57と、トランジスタ61と、で構成されるバッファにより、信号36(TRIG)が”H”となる。
時刻T33において、配線73(AOP[2])を”L”とすることにより、トランジスタ53[2]をオフとする。また、時刻T34において、配線73(AOP[m])を”H”とすることにより、トランジスタ53[m]をオンとする。この時、画素11[n,m]により検出された差分に相当する電流が配線156(VOUT[m])に供給される。ここで、画素11[n,m]における差分はゼロとすると、配線156(VOUT[m])に供給される電流の電流値は”I0”となる。また、電流Ip[m]の電流値は”I0”に等しく、電流Ic[m]の電流値も”I0”に等しい。
時刻T35において、配線165(SEL[n])、配線70(ABU)および配線73(AOP[m])を”L”とすることにより、第nの行の画素11が有するトランジスタ135と、トランジスタ50[1]乃至[m]およびトランジスタ53[m]とをオフとする。以上で第nの行の画素11の差分検出が終了となる。
上述した構成とすることで本発明の一態様は、差分検出の際にデジタル処理を要することなく、簡単な構成で画像データを書き換えるための信号36(TRIG)を生成できる。また、配線73(AOP)を配線73(AOP[1]乃至[m])に分離し、それぞれトランジスタ53[1]乃至[m]に電気的に接続することにより、1画素ごとの差分検出が可能となり、差分が検出された画素11を特定することができる。
なお、画素11が図5に示す構成以外の場合であっても、図17に示す構成の回路16を用いることができる。また、画素11が図5に示す構成以外である場合における回路16の動作は、図18に示すタイミングチャートを適宜参照することができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一態様の撮像装置の具体的な構成例について、図面を用いて説明する。
図19(A)は、本発明の一態様の撮像装置の断面図の一例であり、図1に示す画素11における光電変換素子120、トランジスタ131およびトランジスタ132の具体的な接続形態の一例を示している。なお、図19(A)にはトランジスタ133乃至トランジスタ135は図示されていない。当該撮像装置は、トランジスタ131乃至トランジスタ135が設けられる層1100、および光電変換素子120が設けられる層1200を有する。
なお、本実施の形態で説明する断面図において、各配線、各電極および各導電体91を個別の要素として図示しているが、それらが電気的に接続している場合においては、同一の要素として設けられる場合もある。また、トランジスタのゲート、ソース、またはドレインが導電体91を介して各配線と接続される形態は一例であり、トランジスタのゲート、ソース、またはドレインのそれぞれが配線としての機能を有する場合もある。
また、各要素上には保護膜、層間絶縁層または平坦化膜としての機能を有することができる絶縁層92および絶縁層93等が設けられる。例えば、絶縁層92および絶縁層93等は、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。絶縁層92および絶縁層93等の上面は、必要に応じてCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
なお、図面に示される配線等の一部が設けられない場合や、図面に示されない配線等やトランジスタ等が各層に含まれる場合もある。また、図面に示されない層が当該積層構造に含まれる場合もある。また、図面に示される層の一部が含まれない場合もある。
なお、図19(A)において、各トランジスタはバックゲートを有する形態を例示しているが、図19(B)に示すように、バックゲートを有さない形態であってもよい。また、図19(C)に示すように一部のトランジスタ、例えばトランジスタ131のみにバックゲートを有するような形態であってもよい。当該バックゲートは、対向して設けられるトランジスタのフロントゲートと電気的に接続する場合がある。または、当該バックゲートにフロントゲートとは異なる固定電位が供給される場合がある。なお、当該バックゲートの有無に関する形態は、本実施の形態で説明する他の撮像装置の形態にも適用することができる。
層1200に設けられる光電変換素子120は、様々な形態の素子を用いることができる。図19(A)では、セレン系材料を光電変換層121に用いた形態を図示している。セレン系材料を用いた光電変換素子120は、可視光に対する外部量子効率が高い特性を有する。当該光電変換素子では、アバランシェ現象により入射される光量に対する電子の増幅が大きい高感度のセンサとすることができる。また、セレン系材料は光吸収係数が高いため、光電変換層121を薄くしやすい利点を有する。
セレン系材料としては、非晶質セレンまたは結晶セレンを用いることができる。結晶セレンは、一例として、非晶質セレンを成膜後、熱処理することで得ることができる。なお、結晶セレンの結晶粒径を画素ピッチより小さくすることで、画素ごとの特性ばらつきを低減させることができる。また、結晶セレンは、非晶質セレンよりも可視光に対する分光感度や光吸収係数が高い特性を有する。
また、光電変換層121は、銅、インジウム、セレンの化合物(CIS)を含む層であってもよい。または、銅、インジウム、ガリウム、セレンの化合物(CIGS)を含む層であってもよい。CISおよびCIGSでは、セレンの単層と同様にアバランシェ現象が利用できる光電変換素子を形成することができる。
セレン系材料を用いた光電変換素子120は、例えば、金属材料などで形成された電極126と透光性導電層122との間に光電変換層121を有する構成とすることができる。また、CISおよびCIGSはp型半導体であり、接合を形成するためにn型半導体の硫化カドミウムや硫化亜鉛等を接して設けてもよい。
アバランシェ現象を発生させるためには、光電変換素子に比較的高い電圧(例えば、10V以上)を印加することが好ましい。OSトランジスタは、Siトランジスタよりもドレイン耐圧の高い特性を有するため、光電変換素子に比較的高い電圧を印加することが容易である。したがって、ドレイン耐圧の高いOSトランジスタと、セレン系材料を光電変換層とした光電変換素子とを組み合わせることで、高感度、かつ信頼性の高い撮像装置とすることができる。
なお、図19(A)では、光電変換層121および透光性導電層122を回路間で分離しない構成としているが、図20(A)に示すように回路間で分離する構成としてもよい。また、画素間において、電極126を有さない領域には、絶縁体で隔壁127を設け、光電変換層121および透光性導電層122に亀裂が入らないようにすることが好ましいが、図20(B)に示すように隔壁127を設けない構成としてもよい。また、図19(A)では、透光性導電層122と、配線94との間に配線95および導電体91を介する構成を図示しているが、図20(C)、(D)に示すように透光性導電層122と配線94が直接接する形態としてもよい。
また、電極126および配線94等は多層としてもよい。例えば、図21(A)に示すように、電極126を導電層126aおよび導電層126bの二層とし、配線94を導電層94aおよび導電層94bの二層とすることができる。図21(A)の構成においては、例えば、導電層126aおよび導電層94aを低抵抗の金属等を選択して形成し、導電層126bを光電変換層121とコンタクト特性の良い金属等を選択して形成するとよい。このような構成とすることで、光電変換素子の電気特性を向上させることができる。また、一部の金属は透光性導電層122と接触することにより電蝕を起こすことがある。そのような金属を導電層94aに用いた場合でも導電層94bを介することによって電蝕を防止することができる。
導電層126aおよび導電層94aには、例えば、アルミニウム、チタン、またはアルミニウムをチタンで挟むような積層を用いることができる。また、導電層126bおよび導電層94bには、例えば、モリブデンやタングステンなどを用いることができる。
また、絶縁層92等が多層である構成であってもよい。例えば、図21(B)に示すように、絶縁層92が絶縁層92aおよび絶縁層92bを有し、かつ絶縁層92aと絶縁層92bとのエッチングレート等が異なる場合は、導電体91は段差を有するようになる。層間絶縁層や平坦化膜に用いられるその他の絶縁層が多層である場合も同様に導電体91は段差を有するようになる。なお、ここでは絶縁層92が2層である例を示したが、絶縁層92およびその他の絶縁層は3層以上の構成であってもよい。
なお、隔壁127は、無機絶縁体や絶縁有機樹脂などを用いて形成することができる。また、隔壁127は、トランジスタ等に対する遮光のため、および/または1画素あたりの受光部の面積を確定するために黒色等に着色されていてもよい。
また、光電変換素子120には、非晶質シリコン膜や微結晶シリコン膜などを用いたpin型ダイオード素子などを用いてもよい。
例えば、図22は光電変換素子120にpin型の薄膜フォトダイオードを用いた例である。当該フォトダイオードは、p型の半導体層125、i型の半導体層124、およびn型の半導体層123が順に積層された構成を有している。i型の半導体層124には非晶質シリコンを用いることが好ましい。また、n型の半導体層123およびp型の半導体層125には、それぞれの導電型を付与するドーパントを含む非晶質シリコンまたは微結晶シリコンなどを用いることができる。非晶質シリコンを光電変換層とするフォトダイオードは可視光の波長領域における感度が高く、微弱な可視光を検知しやすい。
図22に示す光電変換素子120では、p型の半導体層125と電極126が電気的に接続されている。また、n型の半導体層123は、導電体91を介して配線94と電気的に接続されている。
また、pin型の薄膜フォトダイオードの形態を有する光電変換素子120の構成、ならびに光電変換素子120および配線の接続形態は、図23(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す例であってもよい。なお、光電変換素子120の構成、光電変換素子120と配線の接続形態はこれらに限定されず、他の形態であってもよい。
図23(A)は、光電変換素子120のn型の半導体層123と接する透光性導電層122を設けた構成である。透光性導電層122は電極として作用し、光電変換素子120の出力電流を高めることができる。
透光性導電層122には、例えば、インジウム錫酸化物、シリコンを含むインジウム錫酸化物、亜鉛を含む酸化インジウム、酸化亜鉛、ガリウムを含む酸化亜鉛、アルミニウムを含む酸化亜鉛、酸化錫、フッ素を含む酸化錫、アンチモンを含む酸化錫、またはグラフェン等を用いることができる。また、透光性導電層122は単層に限らず、異なる膜の積層であってもよい。
図23(B)は、光電変換素子120のn型の半導体層123と配線95が直接接続された構成である。
図23(C)は、光電変換素子120のn型の半導体層123と接する透光性導電層122が設けられ、配線95と透光性導電層122が電気的に接続されている構成である。
図23(D)は、光電変換素子120を覆う絶縁層にn型の半導体層123が露出する開口部が設けられ、当該開口部を覆う透光性導電層122と配線95が電気的に接続されている構成である。
図23(E)は、光電変換素子120を貫通する導電体91が設けられた構成である。当該構成では、配線94は導電体91を介してn型の半導体層123と電気的に接続されている。なお、図面上では、配線94と電極126とは、p型の半導体層125を介して見かけ上導通してしまう形態を示している。しかしながら、p型の半導体層125の横方向の電気抵抗が高いため、配線94と電極126との間に適切な間隔を設ければ、両者間は極めて高抵抗となる。したがって、光電変換素子120は、アノードとカソードが短絡することなく、ダイオード特性を有することができる。なお、n型の半導体層123と電気的に接続されている導電体91は複数であってもよい。
図23(F)は、図23(E)の光電変換素子120に対して、n型の半導体層123と接する透光性導電層122を設けた構成である。
なお、図23(D)、図23(E)、および図23(F)に示す光電変換素子120では、受光領域と配線等が重ならないため、広い受光面積を確保できる利点を有する。
また、光電変換素子120には、図24に示すように、シリコン基板100を光電変換層としたフォトダイオードを用いることもできる。
上述したセレン系材料や非晶質シリコンなどを用いて形成した光電変換素子120は、成膜工程、リソグラフィ工程、エッチング工程などの一般的な半導体作製工程を用いて作製するこができる。また、セレン系材料は高抵抗であり、図19(A)に示すように、光電変換層121を回路間で分離しない構成とすることもできる。したがって、本発明の一態様の撮像装置は、歩留りが高く、低コストで作製することができる。一方で、シリコン基板100を光電変換層としたフォトダイオードを形成する場合は、研磨工程や貼り合わせ工程などの難度の高い工程が必要となる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、回路が形成されたシリコン基板106が積層された構成としてもよい。例えば、図25(A)に示すようにシリコン基板106に活性領域を有するトランジスタ101およびトランジスタ102を有する層1400が画素回路と重なる構成とすることができる。なお、図25(B)はトランジスタのチャネル幅方向の断面図に相当する。
シリコン基板106に形成された回路は、画素回路が出力する信号を読み出す機能や当該信号を変換する処理などを行う機能を有することができ、例えば、図25(C)に示す回路図のようなCMOSインバータを含む構成とすることができる。トランジスタ101(n−ch型)のゲートとトランジスタ102(p−ch型)のゲートは互いに電気的に接続されている。また、一方のトランジスタのソースまたはドレインの一方は、他方のトランジスタのソースまたはドレインの一方と電気的に接続されている。また、両方のトランジスタのソースまたはドレインの他方はそれぞれ別の配線に電気的に接続されている。
また、シリコン基板100およびシリコン基板106はバルクのシリコン基板に限らず、ゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、炭化シリコン、ガリウムヒ素、アルミニウムガリウムヒ素、インジウムリン、窒化ガリウム、有機半導体を材料とする基板を用いることもできる。
ここで、図24および図25(A)に示すように、酸化物半導体を有するトランジスタが形成される領域と、Siデバイス(SiトランジスタまたはSiフォトダイオード)が形成される領域との間には絶縁層96が設けられる。
トランジスタ101およびトランジスタ102の活性領域近傍に設けられる絶縁層中の水素はシリコンのダングリングボンドを終端する。したがって、当該水素はトランジスタ101およびトランジスタ102の信頼性を向上させる効果がある。一方、トランジスタ131等の活性層である酸化物半導体層の近傍に設けられる絶縁層中の水素は、酸化物半導体層中にキャリアを生成する要因の一つとなる。そのため、当該水素はトランジスタ131等の信頼性を低下させる要因となる場合がある。したがって、Siトランジスタを有する一方の層と、OSトランジスタを有する他方の層を積層する場合、これらの間に水素の拡散を防止する機能を有することができる絶縁層96を設けることが好ましい。絶縁層96により、一方の層に水素を閉じ込めることでトランジスタ101およびトランジスタ102の信頼性が向上することができる。また、一方の層から他方の層への水素の拡散が抑制されることでトランジスタ131等の信頼性も向上させることができる。
絶縁層96としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化窒化ガリウム、酸化イットリウム、酸化窒化イットリウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、イットリア安定化ジルコニア(YSZ:Yttria−Stabilized Zirconia)等を用いることができる。
なお、図25(A)に示すような構成では、シリコン基板106に形成される回路(例えば、駆動回路)と、トランジスタ131等と、光電変換素子120とを重なるように形成することができるため、画素の集積度を高めることができる。すなわち、撮像装置の解像度を高めることができる。例えば、画素数が4K2K、8K4Kまたは16K8Kなどの撮像装置に用いることが適する。なお、8K4Kの撮像装置は約3千3百万個の画素を有するため、33Mと呼ぶこともできる。また、例えば画素11が有するトランジスタ134およびトランジスタ135をSiトランジスタで形成し、トランジスタ131、トランジスタ132、トランジスタ133および光電変換素子120と、トランジスタ134およびトランジスタ135と、が重なる領域を有する構成とすることもできる。この場合、トランジスタ131、トランジスタ132およびトランジスタ133はOSトランジスタで形成する。
また、図25(A)に示す撮像装置は、シリコン基板106には光電変換素子を設けない構成である。したがって、各種トランジスタや配線などの影響を受けずに光電変換素子120に対する光路を確保することができ、高開口率の画素を形成することができる。
なお、図25(A)、(B)において、Siトランジスタはフィン型の構成を例示しているが、図26(A)に示すようにプレーナー型であってもよい。または、図26(B)に示すように、シリコン薄膜の活性層105を有するトランジスタであってもよい。また、活性層105は、多結晶シリコンやSOI(Silicon on Insulator)の単結晶シリコンとすることができる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、図27に示す構成とすることができる。
図27に示す撮像装置は、図25(A)に示す撮像装置の変形例であり、OSトランジスタおよびSiトランジスタでCMOSインバータを構成する例を図示している。
ここで、層1400に設けるSiトランジスタであるトランジスタ102はp−ch型とし、層1100に設けるOSトランジスタであるトランジスタ101はn−ch型とする。p−ch型トランジスタのみをシリコン基板106に設けることで、ウェル形成やn型不純物層形成など工程を省くことができる。
なお、図27に示す撮像装置は、光電変換素子120にセレン等を用いた例を示したが、図22と同様にpin型の薄膜フォトダイオードを用いた構成としてもよい。
図27に示す撮像装置において、トランジスタ101は、層1100に形成するトランジスタ131およびトランジスタ132と同一の工程で作製することができる。したがって、撮像装置の製造工程を簡略化することができる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、図28に示すように、シリコン基板100に形成されたフォトダイオードおよびその上に形成されたOSトランジスタで構成された画素を有する構成と、回路が形成されたシリコン基板106とを貼り合わせた構成としてもよい。このような構成とすることで、シリコン基板100に形成するフォトダイオードの実効的な面積を向上することが容易になる。また、シリコン基板106に形成する回路を微細化したSiトランジスタで高集積化することで高性能な半導体装置を提供することができる。
図29(A)は、撮像装置にカラーフィルタ等を付加した形態の一例の断面図である。当該断面図は、3画素分の画素回路を有する領域の一部を示している。光電変換素子120が形成される層1200上には、絶縁層2500が形成される。絶縁層2500は可視光に対して透光性の高い酸化シリコン膜などを用いることができる。また、パッシベーション膜として窒化シリコン膜を積層する構成としてもよい。また、反射防止膜として、酸化ハフニウムなどの誘電体膜を積層する構成としてもよい。
絶縁層2500上には、遮光層2510が形成されてもよい。遮光層2510は、上部のカラーフィルタを通る光の混色を防止する機能を有することができる。遮光層2510には、アルミニウム、タングステンなどの金属層や当該金属層と反射防止膜としての機能を有することができる誘電体膜を積層する構成とすることができる。
絶縁層2500および遮光層2510上には平坦化膜として有機樹脂層2520を設ける構成とすることができる。また、画素別にカラーフィルタ2530(カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530b、カラーフィルタ2530c)が形成される。例えば、カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよびカラーフィルタ2530cに、R(赤)、G(緑)、B(青)、Y(黄)、C(シアン)、M(マゼンタ)などの色を割り当てることにより、カラー画像を得ることができる。
カラーフィルタ2530上には、透光性を有する絶縁層2560などを設けることができる。
また、図29(B)に示すように、カラーフィルタ2530の代わりに光学変換層2550を用いてもよい。このような構成とすることで、様々な波長領域における画像が得られる撮像装置とすることができる。
例えば、光学変換層2550に可視光線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層2550に近赤外線の波長以下の光を遮るフィルタを用いれば遠赤外線撮像装置とすることができる。また、光学変換層2550に可視光線の波長以上の光を遮るフィルタを用いれば紫外線撮像装置とすることができる。
また、光学変換層2550にシンチレータを用いれば、X線撮像装置などに用いる、放射線の強弱を可視化した画像を得る撮像装置とすることができる。被写体を透過したX線等の放射線がシンチレータに入射されると、フォトルミネッセンスと呼ばれる現象により可視光線や紫外光線などの光(蛍光)に変換される。そして、当該光を光電変換素子120で検知することにより撮像データを取得する。また、放射線検出器などに当該構成の撮像装置を用いてもよい。
シンチレータは、X線やガンマ線などの放射線が照射されると、そのエネルギーを吸収して可視光や紫外光を発する物質、または当該物質を含む材料からなる。例えば、Gd2O2S:Tb、Gd2O2S:Pr、Gd2O2S:Eu、BaFCl:Eu、NaI、CsI、CaF2、BaF2、CeF3、LiF、LiI、ZnOなどの材料や、それらを樹脂やセラミクスに分散させたものが知られている。
なお、セレン系材料を用いた光電変換素子120においては、X線等の放射線を電荷に直接変換することができるため、シンチレータを不要とする構成とすることもできる。
カラーフィルタ2530a、カラーフィルタ2530bおよびカラーフィルタ2530c上には、マイクロレンズアレイ2540を設けてもよい。マイクロレンズアレイ2540が有する個々のレンズを通る光が直下のカラーフィルタを通り、光電変換素子120に照射されるようになる。なお、図29(A)、(B)、(C)に示す層1200以外の領域を層1600とする。
図29(C)に示す撮像装置の具体的な構成は、図19(A)に示す撮像装置を例にすると、図30に示すようになる。また、図24に示す撮像装置を例にすると、図31に示すようになる。
また、本発明の一態様の撮像装置は、図32および図33に示すように回折格子1500と組み合わせてもよい。回折格子1500を介した被写体の像(回折画像)を画素に取り込み、画素における撮像画像から演算処理により入力画像(被写体の像)を構成することができる。また、レンズの替わりに回折格子1500を用いることで撮像装置のコストを下げることができる。
回折格子1500は、透光性を有する材料で形成することができる。例えば、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などの無機絶縁膜を用いることができる。または、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの有機絶縁膜などを用いてもよい。または、上記無機絶縁膜と有機絶縁膜との積層であってもよい。
また、回折格子1500は、感光性樹脂などを用いたリソグラフィ工程で形成することができる。また、リソグラフィ工程とエッチング工程とを用いて形成することもできる。また、ナノインプリントリソグラフィやレーザスクライブなどを用いて形成することもできる。
なお、回折格子1500とマイクロレンズアレイ2540との間に間隔Xを設けてもよい。間隔Xは、1mm以下、好ましくは100μm以下とすることができる。なお、当該間隔は空間でもよいし、透光性を有する材料を封止層または接着層として設けてもよい。例えば、窒素や希ガスなどの不活性ガスを当該間隔に封じ込めることができる。または、アクリル樹脂、エポキシ樹脂またはポリイミド樹脂などを当該間隔に設けてもよい。またはシリコーンオイルなどの液体を設けてもよい。なお、マイクロレンズアレイ2540を設けない場合においても、カラーフィルタ2530と回折格子1500との間に間隔Xを設けてもよい。
また、本発明の一態様における撮像装置は、図34(A1)および図34(B1)に示すように湾曲させてもよい。図34(A1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X1−X2の方向に湾曲させた状態を示している。図34(A2)は、図34(A1)中の二点鎖線X1−X2で示した部位の断面図である。図34(A3)は、図34(A1)中の二点鎖線Y1−Y2で示した部位の断面図である。
図34(B1)は、撮像装置を同図中の二点鎖線X3−X4の方向に湾曲させ、かつ、同図中の二点鎖線Y3−Y4の方向に湾曲させた状態を示している。図34(B2)は、図34(B1)中の二点鎖線X3−X4で示した部位の断面図である。図34(B3)は、図34(B1)中の二点鎖線Y3−Y4で示した部位の断面図である。
撮像装置を湾曲させることで、像面湾曲や非点収差を低減することができる。よって、撮像装置と組み合わせて用いるレンズなどの光学設計を容易とすることができる。例えば、収差補正のためのレンズ枚数を低減できるため、撮像装置を用いた半導体装置などの小型化や軽量化を容易とすることができる。また、撮像された画像の品質を向上させる事ができる。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態6)
本実施の形態では、表示装置23の構成について図面を用いて詳細に説明する。
図35は、表示装置23が有する画素210の構成例を示す回路図である。図35(A)は、表示素子として液晶素子を用いる画素の例であり、図35(B)は、表示素子として発光素子を用いる画素の例である。
図35(A)に示す画素210は、トランジスタ211、液晶素子212および容量素子213を有する。
トランジスタ211のゲートには配線215が電気的に接続されている。また、トランジスタ211のソースまたはドレインの一方には配線216が電気的に接続されている。また、トランジスタ211のソースまたはドレインの他方には液晶素子212および容量素子213の一方の端子が電気的に接続されている。
トランジスタ211は、液晶素子212と配線216との電気的接続を制御するスイッチング素子として機能することができ、配線215から入力される走査信号によりオン、オフが制御される。なおトランジスタ211には、オフ電流を小さくできるOSトランジスタが好適である。
図35(B)に示す画素210は、トランジスタ221、トランジスタ222および発光素子223を有する。
トランジスタ221のゲートには配線215が電気的に接続されている。また、トランジスタ221のソースまたはドレインの一方には配線216が電気的に接続されている。また、トランジスタ221のソースまたはドレインの他方にはトランジスタ222のゲートが電気的に接続されている。また、トランジスタ222のソースまたはドレインの一方には配線217が電気的に接続されている。また、トランジスタ222のソースまたはドレインの他方には発光素子223の一方の端子が電気的に接続されている。
トランジスタ221は、トランジスタ222のゲートと、配線216と、の電気的接続を制御するスイッチング素子であり、配線215から入力される走査信号によりオン、オフが制御される。なおトランジスタ221には、オフ電流を小さくできるOSトランジスタが好適である。
図35(A)、(B)に示した回路図においては、OSトランジスタであることを明示するために、OSトランジスタの回路記号に「OS」の記載を付している。
なお画素210は、撮像データ31の出力を行わない第2のモードにおいて、画像データを保持できればよい。このため、オフ電流の小さいトランジスタを用いる構成に限らない。画素210は、画像データを保持可能なメモリを有する構成でもよい。
画素210内にメモリを有する構成について図36(A)に示す。画素210は、メモリ214を有することで、ビデオデータを保持することができる。メモリとしては、SRAM(Static Random Access Memory)やDRAM(Dynamic Random Access Memory)等におけるメモリ回路を適用すればよい。図36(B)には、メモリ214にSRAMを適用した場合の回路図の一例を示す。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態7)
本実施の形態では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体を有するトランジスタについて図面を用いて説明する。なお、本実施の形態における図面では、明瞭化のために一部の要素を拡大、縮小、または省略して図示している。
図37(A)は本発明の一態様のトランジスタ401の上面図である。また、図37(A)に示す一点鎖線B1−B2方向の断面が図37(B)に相当する。また、図37(A)に示す一点鎖線B3−B4方向の断面が図39(A)に相当する。なお、一点鎖線B1−B2方向をチャネル長方向、一点鎖線B3−B4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ401は、基板415と、絶縁層420と、酸化物半導体層430と、導電層440と、導電層450と、絶縁層460と、導電層470と、絶縁層475と、絶縁層480と、を有する。
絶縁層420は基板415と接し、酸化物半導体層430は絶縁層420と接し、導電層440および導電層450は絶縁層420および酸化物半導体層430と接し、絶縁層460は絶縁層420、酸化物半導体層430、導電層440および導電層450と接し、導電層470は絶縁層460と接し、絶縁層475は絶縁層420、導電層440、導電層450および導電層470と接し、絶縁層480は絶縁層475と接する。
ここで、酸化物半導体層430における、導電層440と重なる領域を領域531、導電層450と重なる領域を領域532、絶縁層460と重なる領域を領域533とする。
また、導電層440および導電層450は酸化物半導体層430と電気的に接続されている。
導電層440はソースまたはドレインの一方、導電層450はソースまたはドレインの他方、絶縁層460はゲート絶縁層、導電層470はゲートとしての機能を有することができる。
また、図37(B)に示す領域531はソース領域またはドレイン領域の一方、領域532はソース領域またはドレイン領域の他方、領域533はチャネル形成領域としての機能を有することができる。
また、導電層440および導電層450は単層で形成される例を図示しているが、二層以上の積層であってもよい。さらに、導電層470は、導電層471および導電層472の二層で形成される例を図示しているが、一層または三層以上の積層であってもよい。当該構成は本実施の形態で説明する他のトランジスタにも適用できる。
なお、必要に応じて絶縁層480に平坦化膜としての機能を付加してもよい。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図37(C)、(D)に示す構成であってもよい。図37(C)はトランジスタ402の上面図である。また、図37(C)に示す一点鎖線C1−C2方向の断面が図37(D)に相当する。また、図37(C)に示す一点鎖線C3−C4方向の断面は、図39(B)に相当する。なお、一点鎖線C1−C2方向をチャネル長方向、一点鎖線C3−C4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ402は、絶縁層460の端部と導電層470の端部を一致させない点が、トランジスタ401と異なる。トランジスタ402の構造は、導電層440および導電層450が絶縁層460で広く覆われているため、導電層440および導電層450と、導電層470の間の電気抵抗が高く、ゲートリーク電流の少ない特徴を有している。
トランジスタ401およびトランジスタ402は、導電層470と導電層440および導電層450が重なる領域を有するトップゲート構造である。当該領域のチャネル長方向の幅は、寄生容量を小さくするために3nm以上300nm未満とすることが好ましい。当該構成では、酸化物半導体層430にオフセット領域が形成されないため、オン電流の高いトランジスタを形成しやすい。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図37(E)、(F)に示す構成であってもよい。図37(E)はトランジスタ403の上面図である。また、図37(E)に示す一点鎖線D1−D2方向の断面が図37(F)に相当する。また、図37(E)に示す一点鎖線D3−D4方向の断面は、図39(A)に相当する。なお、一点鎖線D1−D2方向をチャネル長方向、一点鎖線D3−D4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ403の絶縁層420は基板415と接し、酸化物半導体層430は絶縁層420と接し、絶縁層460は絶縁層420および酸化物半導体層430と接し、導電層470は絶縁層460と接し、絶縁層475は絶縁層420、酸化物半導体層430および導電層470と接し、絶縁層480は絶縁層475と接し、導電層440および導電層450は酸化物半導体層430および絶縁層480と接する。
絶縁層475および絶縁層480に開口部が設けられ、当該開口部を通じて導電層440および導電層450が酸化物半導体層430と電気的に接続されている。
なお、必要に応じて導電層440、導電層450および絶縁層480に接する絶縁層(平坦化膜)などを有していてもよい。
また、酸化物半導体層430において、絶縁層475と重なり、領域531と領域533に挟まれた領域を領域534とする。また、絶縁層475と重なり、領域532と領域533に挟まれた領域を領域535とする。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図38(A)、(B)に示す構成であってもよい。図38(A)はトランジスタ404の上面図である。また、図38(A)に示す一点鎖線E1−E2方向の断面が図38(B)に相当する。また、図38(A)に示す一点鎖線E3−E4方向の断面は、図39(A)に相当する。なお、一点鎖線E1−E2方向をチャネル長方向、一点鎖線E3−E4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ404の絶縁層420は基板415と接し、酸化物半導体層430は絶縁層420と接し、導電層440および導電層450は絶縁層420および酸化物半導体層430と接し、絶縁層460は絶縁層420および酸化物半導体層430と接し、導電層470は絶縁層460と接し、絶縁層475は絶縁層420、酸化物半導体層430、導電層440、導電層450および導電層470と接し、絶縁層480は絶縁層475と接する。
トランジスタ404は、導電層440および導電層450が酸化物半導体層430の端部を覆うように接している点が、トランジスタ403と異なる。
トランジスタ403およびトランジスタ404は導電層470と、導電層440および導電層450が重なる領域を有さないセルフアライン構造である。セルフアライン構造のトランジスタはゲートと、ソースおよびドレインと、の寄生容量が極めて小さいため、高速動作用途に適している。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図38(C)、(D)に示す構成であってもよい。図38(C)はトランジスタ405の上面図である。また、図38(C)に示す一点鎖線F1−F2方向の断面が図38(D)に相当する。また、図38(C)に示す一点鎖線F3−F4方向の断面は、図39(A)に相当する。なお、一点鎖線F1−F2方向をチャネル長方向、一点鎖線F3−F4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ405は、導電層440が導電層441と導電層442の2層で形成され、導電層450が導電層451と導電層452の2層で形成されている。また、絶縁層420は基板415と接し、酸化物半導体層430は絶縁層420と接し、導電層441および導電層451は酸化物半導体層430と接し、絶縁層460は絶縁層420、酸化物半導体層430、導電層441および導電層451と接し、導電層470は絶縁層460と接し、絶縁層475は絶縁層420、導電層441、導電層451および導電層470と接し、絶縁層480は絶縁層475と接し、導電層442は導電層441および絶縁層480と接し、導電層452は導電層451および絶縁層480と接する。
ここで、導電層441および導電層451は、酸化物半導体層430の上面と接し、側面には接しない構成となっている。
なお、必要に応じて導電層442、導電層452および絶縁層480に接する絶縁層などを有していてもよい。
また、導電層441および導電層451が酸化物半導体層430と電気的に接続されている。そして、導電層442が導電層441と、導電層452が導電層451とそれぞれ電気的に接続されている。
酸化物半導体層430において、導電層441と重なる領域がソース領域またはドレイン領域の一方としての機能を有することができる領域531となり、導電層451と重なる領域がソース領域またはドレイン領域の他方としての機能を有することができる領域532となる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図38(E)、(F)に示す構成であってもよい。図38(E)はトランジスタ406の上面図である。また、図38(E)に示す一点鎖線G1−G2方向の断面が図38(F)に相当する。また、図38(E)に示す一点鎖線G3−G4方向の断面は、図39(A)に相当する。なお、一点鎖線G1−G2方向をチャネル長方向、一点鎖線G3−G4方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ406は、導電層440が導電層441および導電層442の2層で形成され、導電層450が導電層451および導電層452の2層で形成されている点が、トランジスタ403と異なる。
トランジスタ405およびトランジスタ406の構成では、導電層440および導電層450が絶縁層420と接しない構成であるため、絶縁層420中の酸素が導電層440および導電層450に奪われにくくなり、絶縁層420から酸化物半導体層430中への酸素の供給を容易とすることができる。
なお、トランジスタ403、トランジスタ404およびトランジスタ406における領域534および領域535には、酸素欠損を形成し導電率を高めるための不純物を添加してもよい。酸化物半導体層に酸素欠損を形成する不純物としては、例えば、リン、砒素、アンチモン、ホウ素、アルミニウム、シリコン、窒素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、インジウム、フッ素、塩素、チタン、亜鉛、および炭素のいずれかから選択される一つ以上を用いることができる。当該不純物の添加方法としては、プラズマ処理法、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマイマージョンイオンインプランテーション法などを用いることができる。
不純物元素として、上記元素が酸化物半導体層に添加されると、酸化物半導体層中の金属元素および酸素の結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸化物半導体層に含まれる酸素欠損と酸化物半導体層中に残存または後から添加される水素の相互作用により、酸化物半導体層の導電率を高くすることができる。
なお、不純物元素の添加により酸素欠損が形成された酸化物半導体に水素を添加すると、酸素欠損サイトに水素が入り伝導帯近傍にドナー準位が形成される。その結果、酸化物導電体を形成することができる。ここでは、導電体化された酸化物半導体を酸化物導電体という。なお、酸化物導電体は酸化物半導体と同様に透光性を有する。
酸化物導電体は、縮退半導体であり、伝導帯端とフェルミ準位とが一致または略一致していると推定される。このため、酸化物導電体層とソースおよびドレインとしての機能を有することができる導電層との接触はオーミック接触であり、酸化物導電体層と、ソースおよびドレインとしての機能を有することができる導電層と、の接触抵抗を低減することができる。
また、図37乃至図39におけるトランジスタ401乃至トランジスタ406では、酸化物半導体層430が単層である例を図示したが、酸化物半導体層430は積層であってもよい。図40(A)は酸化物半導体層430の上面図であり、図40(B)、(C)は、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430bの二層構造を有する酸化物半導体層430の断面図である。また、図40(D)、(E)は、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430cの三層構造を有する酸化物半導体層430の断面図である。
なお、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cは、チャネル領域を形成しないため絶縁層と呼ぶこともできる。
酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cには、それぞれ組成の異なる酸化物半導体層などを用いることができる。
トランジスタ401乃至トランジスタ406の酸化物半導体層430は、図40(B)、(C)または図40(D)、(E)に示す酸化物半導体層430と入れ替えることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図41乃至図43に示す構成であってもよい。図41(A)、(C)、(E)および図42(A)、(C)、(E)はトランジスタ407乃至トランジスタ412の上面図である。また、図41(A)、(C)、(E)および図42(A)、(C)、(E)に示す一点鎖線H1−H2方向乃至M1−M2方向の断面が図41(B)、(D)、(F)および図42(B)、(D)、(F)に相当する。また、図41(A)、(E)および図42(A)、(C)、(E)に示す一点鎖線H3−H4およびJ3−J4乃至M3−M4方向の断面が図43(A)に相当する。さらに、図41(C)に示す一点鎖線I3−I4方向の断面が図43(B)に相当する。なお、一点鎖線H1−H2方向乃至M1−M2方向をチャネル長方向、一点鎖線H3−H4方向乃至M1−M2方向をチャネル幅方向と呼称する場合がある。
トランジスタ407およびトランジスタ408は、領域531および領域532において酸化物半導体層430が二層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b)である点、領域533において酸化物半導体層430が三層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430c)である点、および導電層440および導電層450と、絶縁層460と、の間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層430c)が介在している点を除き、トランジスタ401およびトランジスタ402と同様の構成を有する。
トランジスタ409、トランジスタ410およびトランジスタ412は、領域531、領域532、領域534および領域535において酸化物半導体層430が二層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b)である点、領域533において酸化物半導体層430が三層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430c)である点を除き、トランジスタ403、トランジスタ404およびトランジスタ406と同様の構成を有する。
トランジスタ411は、領域531および領域532において酸化物半導体層430が二層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b)である点、領域533において酸化物半導体層430が三層(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430c)である点、ならびに導電層441および導電層451と、絶縁層460と、の間に酸化物半導体層の一部(酸化物半導体層430c)が介在している点を除き、トランジスタ405と同様の構成を有する。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図44(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および図45(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示すトランジスタ401乃至トランジスタ412のチャネル長方向の断面図、ならびに図39(C)に示すトランジスタ401乃至トランジスタ406のチャネル幅方向の断面図および図43(C)に示すトランジスタ407乃至トランジスタ412のチャネル幅方向の断面図のように、酸化物半導体層430と基板415との間に導電層473を備えていてもよい。導電層473を第2のゲート(バックゲートともいう)として用いることで、酸化物半導体層430のチャネル形成領域は、導電層470と導電層473により電気的に取り囲まれる。このようなトランジスタの構造を、surrounded channel(s−channel)構造とよぶ。これにより、オン電流を増加させることができる。また、しきい値電圧の制御を行うことができる。なお、図44(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)および図45(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)に示す断面図において、導電層473の幅を酸化物半導体層430よりも短くしてもよい。さらに、導電層473の幅を導電層470の幅よりも短くしてもよい。
オン電流を増加させるには、例えば、導電層470と導電層473を同電位とし、ダブルゲートトランジスタとして駆動させればよい。また、しきい値電圧の制御を行うには、導電層470とは異なる定電位を導電層473に供給すればよい。導電層470と導電層473を同電位とするには、例えば、図39(D)および図43(D)に示すように、導電層470と導電層473とをコンタクトホールを介して電気的に接続すればよい。
また、本発明の一態様のトランジスタは、図46(A)、(B)、(C)に示す構成とすることもできる。図46(A)は上面図である。また、図46(B)は、図46(A)に示す一点鎖線N1−N2に対応する断面図である。また、図46(C)は、図46(A)に示す一点鎖線N3−N4に対応する断面図である。なお、図46(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いて図示している。
トランジスタ413の絶縁層420は基板415と接し、酸化物半導体層430(酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430c)は絶縁層420と接し、導電層440および導電層450は酸化物半導体層430bと接し、絶縁層460は酸化物半導体層430cと接し、導電層470は絶縁層460と接し、絶縁層480は絶縁層420、導電層440および導電層450と接する。なお、酸化物半導体層430c、絶縁層460および導電層470は、絶縁層480に設けられ、酸化物半導体層430bに達する開口部に設けられている。
トランジスタ413の構成は、前述したその他のトランジスタの構成と比較して、導電層440または導電層450と、導電層470と、が重なる領域が少ないため、寄生容量を小さくすることができる。したがって、トランジスタ413は、高速動作を必要とする回路の要素として適している。なお、トランジスタ413の上面は、図46(B)、(C)に示すようにCMP(Chemical Mechanical Polishing)法等を用いて平坦化することが好ましいが、平坦化しない構成とすることもできる。
また、本発明の一態様のトランジスタにおける導電層440および導電層450は、図47(A)に示す上面図のように酸化物半導体層の幅(WOS)よりも導電層440および導電層450の幅(WSD)が長く形成されていてもよいし、図47(B)に示す上面図のように短く形成されていてもよい。特に、WOS≧WSD(WSDはWOS以下)とすることで、ゲート電界が酸化物半導体層430全体にかかりやすくなり、トランジスタの電気特性を向上させることができる。また、図47(C)に示すように、導電層440および導電層450が酸化物半導体層430と重なる領域のみに形成されていてもよい。
なお、図47(A)、(B)、(C)において、酸化物半導体層430、導電層440および導電層450のみ図示している。
また、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430bを有するトランジスタ、ならびに酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430cを有するトランジスタにおいては、酸化物半導体層430を構成する二層または三層の材料を適切に選択することで酸化物半導体層430bに電流を流すことができる。酸化物半導体層430bに電流が流れることで、界面散乱の影響を受けにくく、高いオン電流を得ることができる。したがって、酸化物半導体層430bを厚くすることでオン電流が向上する場合がある。
以上の構成のトランジスタを用いることにより、半導体装置に良好な電気特性を付与することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態6に示したトランジスタの構成要素について詳細を説明する。
基板415の種類は、特定のものに限定されることはない。その基板415の一例としては、半導体基板(例えば単結晶基板またはシリコン基板)、SOI基板、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板、金属基板、ステンレス・スチル基板、ステンレス・スチル・ホイルを有する基板、タングステン基板、タングステン・ホイルを有する基板、可撓性基板、貼り合わせフィルム、繊維状の材料を含む紙、または基材フィルムなどがある。ガラス基板の一例としては、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、またはソーダライムガラスなどがある。可撓性基板、貼り合わせフィルム、基材フィルムなどの一例としては、以下のものがあげられる。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)に代表されるプラスチックがある。または、一例としては、アクリル等の合成樹脂などがある。または、一例としては、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリフッ化ビニル、またはポリ塩化ビニルなどからなるフィルムがある。または、一例としては、ポリアミド、ポリイミド、アラミド、エポキシ、無機蒸着フィルム、または紙類などがある。特に、半導体基板、単結晶基板、またはSOI基板などを用いてトランジスタを製造することによって、特性、サイズ、または形状などのばらつきが少なく、電流能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。このようなトランジスタによって回路を構成すると、回路の低消費電力化、または回路の高集積化を図ることができる。
また、基板415として、トランジスタが形成されたシリコン基板、および当該シリコン基板上に絶縁層、配線、コンタクトプラグとしての機能を有することができる導電体等が形成されたものを用いることができる。なお、シリコン基板にp−ch型のトランジスタのみを形成する場合は、n−型の導電型を有するシリコン基板を用いることが好ましい。または、n−型またはi型のシリコン層を有するSOI基板であってもよい。また、当該シリコン基板におけるトランジスタを形成する面の面方位は、(110)面であることが好ましい。(110)面にp−ch型トランジスタを形成することで、移動度を高くすることができる。
また、基板415として、可撓性基板を用い、可撓性基板上に直接、トランジスタを形成してもよい。または、基板とトランジスタの間に剥離層を設けてもよい。剥離層は、その上に半導体装置を一部あるいは全部完成させた後、基板より分離し、他の基板に転載するために用いることができる。その際、トランジスタは耐熱性の劣る基板や可撓性の基板にも転載できる。なお、上述の剥離層には、例えば、タングステン膜と酸化シリコン膜との無機膜の積層構造の構成や、基板上にポリイミド等の有機樹脂膜が形成された構成等を用いることができる。
つまり、ある基板を用いてトランジスタを形成し、その後、別の基板にトランジスタを転置し、別の基板上にトランジスタを配置してもよい。トランジスタが転置される基板の一例としては、上述したトランジスタを形成することが可能な基板に加え、紙基板、セロファン基板、アラミドフィルム基板、ポリイミドフィルム基板、石材基板、木材基板、布基板(天然繊維(絹、綿、麻)、合成繊維(ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル)若しくは再生繊維(アセテート、キュプラ、レーヨン、再生ポリエステル)などを含む)、皮革基板、またはゴム基板などがある。これらの基板を用いることにより、特性のよいトランジスタの形成、消費電力の小さいトランジスタの形成、壊れにくい装置の製造、耐熱性の付与、軽量化、または薄型化を図ることができる。
絶縁層420は、基板415に含まれる要素からの不純物の拡散を防止する役割を有するほか、酸化物半導体層430に酸素を供給する役割を担うことができる。したがって、絶縁層420は酸素を含む絶縁層であることが好ましく、化学量論組成よりも多い酸素を含む絶縁層であることがより好ましい。例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy))にて、酸素原子に換算しての酸素の放出量が1.0×1019atoms/cm3以上である膜とする。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、または100℃以上500℃以下の範囲が好ましい。また、基板415が他のデバイスが形成された基板である場合、絶縁層420は、層間絶縁層としての機能も有する。その場合は、表面が平坦になるようにCMP法等で平坦化処理を行うことが好ましい。
例えば、絶縁層420には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルなどの酸化物絶縁層、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの窒化物絶縁層、またはこれらの混合材料を用いることができる。また、上記材料の積層であってもよい。
なお、本実施の形態では、トランジスタが有する酸化物半導体層430が酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430cを絶縁層420側から順に積んだ三層構造である場合を主として詳細を説明する。
なお、酸化物半導体層430が単層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層430bに相当する層を用いればよい。
また、酸化物半導体層430が二層の場合は、本実施の形態に示す、酸化物半導体層430aに相当する層および酸化物半導体層430bに相当する層を絶縁層420側から順に積んだ積層を用いればよい。この構成の場合、酸化物半導体層430aと酸化物半導体層430bとを入れ替えることもできる。
また、酸化物半導体層430が四層以上である場合は、例えば、本実施の形態で説明する三層構造の酸化物半導体層430に対して他の酸化物半導体層を付加する構成とすることができる。
一例としては、酸化物半導体層430bには、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cよりも電子親和力(真空準位から伝導帯下端までのエネルギー)が大きい酸化物半導体を用いる。電子親和力は、真空準位と価電子帯上端とのエネルギー差(イオン化ポテンシャル)から、伝導帯下端と価電子帯上端とのエネルギー差(エネルギーギャップ)を差し引いた値として求めることができる。
酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cは、酸化物半導体層430bを構成する金属元素を一種以上含み、例えば、伝導帯下端のエネルギーが酸化物半導体層430bよりも、0.05eV、0.07eV、0.1eV、0.15eVのいずれか以上であって、2eV、1eV、0.5eV、0.4eVのいずれか以下の範囲で真空準位に近い酸化物半導体で形成することが好ましい。
このような構造において、導電層470に電界を印加すると、酸化物半導体層430のうち、伝導帯下端のエネルギーが最も小さい酸化物半導体層430bにチャネルが形成される。
また、酸化物半導体層430aは、酸化物半導体層430bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層430bと絶縁層420が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層430bと酸化物半導体層430aとの界面には界面準位が形成されにくくなる。該界面準位はチャネルを形成することがあるため、トランジスタのしきい値電圧が変動することがある。したがって、酸化物半導体層430aを設けることにより、トランジスタのしきい値電圧などの電気特性のばらつきを低減することができる。また、当該トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、酸化物半導体層430cは、酸化物半導体層430bを構成する金属元素を一種以上含んで構成されるため、酸化物半導体層430bとゲート絶縁層(絶縁層460)が接した場合の界面と比較して、酸化物半導体層430bと酸化物半導体層430cとの界面ではキャリアの散乱が起こりにくくなる。したがって、酸化物半導体層430cを設けることにより、トランジスタの電界効果移動度を高くすることができる。
酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cには、例えば、Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHfを酸化物半導体層430bよりも高い原子数比で含む材料を用いることができる。具体的には、当該原子数比を1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。前述の元素は酸素と強く結合するため、酸素欠損が酸化物半導体層に生じることを抑制する機能を有することができる。すなわち、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cは、酸化物半導体層430bよりも酸素欠損が生じにくいということができる。
また、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、および酸化物半導体層430cとして用いることのできる酸化物半導体は、少なくともInもしくはZnを含むことが好ましい。または、InとZnの双方を含むことが好ましい。また、該酸化物半導体を用いたトランジスタの電気特性のばらつきを減らすため、それらと共に、スタビライザーを含むことが好ましい。
スタビライザーとしては、Ga、Sn、Hf、Al、またはZr等がある。また、他のスタビライザーとしては、ランタノイドである、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu等がある。
例えば、酸化物半導体として、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、酸化亜鉛、In−Zn酸化物、Sn−Zn酸化物、Al−Zn酸化物、Zn−Mg酸化物、Sn−Mg酸化物、In−Mg酸化物、In−Ga酸化物、In−Ga−Zn酸化物、In−Al−Zn酸化物、In−Sn−Zn酸化物、Sn−Ga−Zn酸化物、Al−Ga−Zn酸化物、Sn−Al−Zn酸化物、In−Hf−Zn酸化物、In−La−Zn酸化物、In−Ce−Zn酸化物、In−Pr−Zn酸化物、In−Nd−Zn酸化物、In−Sm−Zn酸化物、In−Eu−Zn酸化物、In−Gd−Zn酸化物、In−Tb−Zn酸化物、In−Dy−Zn酸化物、In−Ho−Zn酸化物、In−Er−Zn酸化物、In−Tm−Zn酸化物、In−Yb−Zn酸化物、In−Lu−Zn酸化物、In−Sn−Ga−Zn酸化物、In−Hf−Ga−Zn酸化物、In−Al−Ga−Zn酸化物、In−Sn−Al−Zn酸化物、In−Sn−Hf−Zn酸化物、In−Hf−Al−Zn酸化物を用いることができる。
なお、ここで、例えば、In−Ga−Zn酸化物とは、InとGaとZnを主成分として有する酸化物という意味である。また、InとGaとZn以外の金属元素が入っていてもよい。また、本明細書においては、In−Ga−Zn酸化物で構成した膜をIGZO膜とも呼ぶ。
また、InMO3(ZnO)m(m>0、且つ、mは整数でない)で表記される材料を用いてもよい。なお、Mは、Ga、Y、Zr、La、Ce、またはNdから選ばれた一つの金属元素または複数の金属元素を示す。また、In2SnO5(ZnO)n(n>0、且つ、nは整数)で表記される材料を用いてもよい。
なお、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cが、少なくともインジウム、亜鉛およびM(Al、Ti、Ga、Ge、Y、Zr、Sn、La、CeまたはHf等の金属)を含むIn−M−Zn酸化物であるとき、酸化物半導体層430aをIn:M:Zn=x1:y1:z1[原子数比]、酸化物半導体層430bをIn:M:Zn=x2:y2:z2[原子数比]、酸化物半導体層430cをIn:M:Zn=x3:y3:z3[原子数比]とすると、y1/x1およびy3/x3がy2/x2よりも大きくなることが好ましい。y1/x1およびy3/x3はy2/x2よりも1.5倍以上、好ましくは2倍以上、さらに好ましくは3倍以上とする。このとき、酸化物半導体層430bにおいて、y2がx2以上であるとトランジスタの電気特性を安定させることができる。ただし、y2がx2の3倍以上になると、トランジスタの電界効果移動度が低下してしまうため、y2はx2の3倍未満であることが好ましい。
酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cにおけるZnおよびOを除いた場合において、InおよびMの原子数比率は、好ましくはInが50atomic%未満、Mが50atomic%より高く、さらに好ましくはInが25atomic%未満、Mが75atomic%より高くする。また、酸化物半導体層430bのZnおよびOを除いてのInおよびMの原子数比率は、好ましくはInが25atomic%より高く、Mが75atomic%未満、さらに好ましくはInが34atomic%より高く、Mが66atomic%未満とする。
また、酸化物半導体層430bは、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cよりもインジウムの含有量を多くするとよい。酸化物半導体では主として重金属のs軌道がキャリア伝導に寄与しており、Inの含有率を多くすることにより、より多くのs軌道が重なるため、InがMよりも多い組成となる酸化物はInがMと同等または少ない組成となる酸化物と比較して移動度が高くなる。そのため、酸化物半導体層430bにインジウムの含有量が多い酸化物を用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。
酸化物半導体層430aの厚さは、3nm以上100nm以下、好ましくは5nm以上50nm以下、さらに好ましくは5nm以上25nm以下とする。また、酸化物半導体層430bの厚さは、3nm以上200nm以下、好ましくは5nm以上150nm以下、さらに好ましくは10nm以上100nm以下とする。また、酸化物半導体層430cの厚さは、1nm以上50nm以下、好ましくは2nm以上30nm以下、さらに好ましくは3nm以上15nm以下とする。また、酸化物半導体層430bは、酸化物半導体層430cより厚い方が好ましい。
なお、酸化物半導体層をチャネルとするトランジスタに安定した電気特性を付与するためには、酸化物半導体層中の不純物濃度を低減し、酸化物半導体層を真性または実質的に真性にすることが有効である。ここで、実質的に真性とは、酸化物半導体層のキャリア密度が、1×1015/cm3未満であること、1×1013/cm3未満であること、8×1011/cm3未満であること、あるいは1×108/cm3未満であり、かつ1×10−9/cm3以上であることとする。
また、酸化物半導体層において、水素、窒素、炭素、シリコン、および主成分以外の金属元素は不純物となる。例えば、水素および窒素はドナー準位の形成に寄与し、キャリア密度を増大させてしまう。また、シリコンは酸化物半導体層中で不純物準位の形成に寄与する。当該不純物準位はトラップとなり、トランジスタの電気特性を劣化させることがある。したがって、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430cの層中や、それぞれの界面において不純物濃度を低減させることが好ましい。
酸化物半導体層を真性または実質的に真性とするためには、SIMS(Secondary Ion Mass Spectrometry)分析で見積もられるシリコン濃度が1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満となる領域を有するように制御する。また、水素濃度が、2×1020atoms/cm3以下、好ましくは5×1019atoms/cm3以下、より好ましくは1×1019atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1018atoms/cm3以下になる領域を有するように制御する。また、窒素濃度は、例えば、酸化物半導体層のある深さにおいて、または、酸化物半導体層のある領域において、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
また、シリコンや炭素が高濃度で含まれると、酸化物半導体層の結晶性を低下させることがある。酸化物半導体層の結晶性を低下させないためには、例えばシリコン濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満になる領域を有するように制御する。また、炭素濃度を1×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満になる領域を有するように制御する。
また、上述のように高純度化された酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いたトランジスタのオフ電流は極めて小さい。例えば、ソースとドレインとの間の電圧を0.1V、5V、または、10V程度とした場合に、トランジスタのチャネル幅あたりのオフ電流を数yA/μm乃至数zA/μmにまで低減することが可能となる。
なお、トランジスタのゲート絶縁層としては、シリコンを含む絶縁層が多く用いられるため、上記理由により酸化物半導体層のチャネルとなる領域は、本発明の一態様のトランジスタのようにゲート絶縁層と接しない構造が好ましいということができる。また、ゲート絶縁層と酸化物半導体層との界面にチャネルが形成される場合、該界面でキャリアの散乱が起こり、トランジスタの電界効果移動度が低くなることがある。このような観点からも、酸化物半導体層のチャネルとなる領域はゲート絶縁層から離すことが好ましいといえる。
したがって、酸化物半導体層430を酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cの積層構造とすることで、酸化物半導体層430bにチャネルを形成することができ、高い電界効果移動度および安定した電気特性を有したトランジスタを形成することができる。
酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cのバンド構造においては、伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化する。これは、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cの組成が近似することにより、酸素が相互に拡散しやすい点からも理解される。したがって、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、酸化物半導体層430cは組成が異なる層の積層体ではあるが、物性的に連続であるということもでき、図面において、当該積層体のそれぞれの界面は点線で表している。
主成分を共通として積層された酸化物半導体層430は、各層を単に積層するのではなく連続接合(ここでは特に伝導帯下端のエネルギーが各層の間で連続的に変化するU字型の井戸構造(U Shape Well))が形成されるように作製する。すなわち、各層の界面にトラップ中心や再結合中心のような欠陥準位を形成するような不純物が存在しないように積層構造を形成する。仮に、積層された酸化物半導体層の層間に不純物が混在していると、エネルギーバンドの連続性が失われ、界面でキャリアがトラップあるいは再結合により消滅してしまう。
例えば、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cにはIn:Ga:Zn=1:3:2、1:3:3、1:3:4、1:3:6、1:4:5、1:6:4または1:9:6(原子数比)などのIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。また、酸化物半導体層430bにはIn:Ga:Zn=1:1:1、2:1:3、5:5:6、または3:1:2(原子数比)などのIn−Ga−Zn酸化物などを用いることができる。なお、酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430b、および酸化物半導体層430cの原子数比はそれぞれ、誤差として上記の原子数比のプラスマイナス40%の変動を含む。
酸化物半導体層430における酸化物半導体層430bはウェル(井戸)となり、チャネルは酸化物半導体層430bに形成される。なお、酸化物半導体層430は伝導帯下端のエネルギーが連続的に変化しているため、U字型井戸とも呼ぶことができる。また、このような構成で形成されたチャネルを埋め込みチャネルということもできる。
また、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cと、酸化シリコン膜などの絶縁層との界面近傍には、不純物や欠陥に起因したトラップ準位が形成され得る。酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cがあることにより、酸化物半導体層430bと当該トラップ準位とを遠ざけることができる。
ただし、酸化物半導体層430aおよび酸化物半導体層430cの伝導帯下端のエネルギーと、酸化物半導体層430bの伝導帯下端のエネルギーとの差が小さい場合、酸化物半導体層430bの電子が該エネルギー差を越えてトラップ準位に達することがある。電子がトラップ準位に捕獲されることで、絶縁層界面にマイナスの電荷が生じ、トランジスタのしきい値電圧はプラス方向にシフトしてしまう。
酸化物半導体層430a、酸化物半導体層430bおよび酸化物半導体層430cには、結晶部が含まれることが好ましい。特にc軸に配向した結晶を用いることでトランジスタに安定した電気特性を付与することができる。また、c軸に配向した結晶は歪曲に強く、フレキシブル基板を用いた半導体装置の信頼性を向上させることができる。
ソースまたはドレインの一方として作用する導電層440およびソースまたはドレインの他方として作用する導電層450には、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、W、Ni、Mn、Nd、Sc、および当該金属材料の合金から選ばれた材料の単層、または積層を用いることができる。代表的には、特に酸素と結合しやすいTiや、後のプロセス温度が比較的高くできることなどから、融点の高いWを用いることがより好ましい。また、低抵抗のCuやCu−Mnなどの合金と上記材料との積層を用いてもよい。なお、トランジスタ405、トランジスタ406、トランジスタ411およびトランジスタ412においては、例えば、導電層441および導電層451にW、導電層442および導電層452にTiとAlとの積層膜などを用いることができる。
上記材料は酸化物半導体層から酸素を引き抜く性質を有する。そのため、上記材料と接した酸化物半導体層の一部の領域では酸化物半導体層中の酸素が脱離し、酸素欠損が形成される。膜中に僅かに含まれる水素と当該酸素欠損が結合することにより当該領域は顕著にn型化する。したがって、n型化した当該領域はトランジスタのソースまたはドレインとして作用させることができる。
また、導電層440および導電層450にWを用いる場合には、窒素をドーピングしてもよい。窒素をドーピングすることで酸素を引き抜く性質を適度に弱めることができ、n型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。また、導電層440および導電層450をn型の半導体層との積層とし、n型の半導体層と酸化物半導体層を接触させることによってもn型化した領域がチャネル領域まで拡大することを防ぐことができる。n型の半導体層としては、窒素が添加されたIn−Ga−Zn酸化物、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化インジウムスズなどを用いることができる。
ゲート絶縁層として作用する絶縁層460には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。また、絶縁層460は上記材料の積層であってもよい。なお、絶縁層460に、La、N、Zrなどを、不純物として含んでいてもよい。
また、絶縁層460の積層構造の一例について説明する。絶縁層460は、例えば、酸素、窒素、シリコン、ハフニウムなどを有する。具体的には、酸化ハフニウム、および酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを含むと好ましい。
酸化ハフニウムおよび酸化アルミニウムは、酸化シリコンや酸化窒化シリコンと比べて比誘電率が高い。したがって、酸化シリコンを用いた場合と比べて、絶縁層460の膜厚を大きくできるため、トンネル電流によるリーク電流を小さくすることができる。即ち、オフ電流の小さいトランジスタを実現することができる。さらに、結晶構造を有する酸化ハフニウムは、非晶質構造を有する酸化ハフニウムと比べて高い比誘電率を備える。したがって、オフ電流の小さいトランジスタとするためには、結晶構造を有する酸化ハフニウムを用いることが好ましい。結晶構造の例としては、単斜晶系や立方晶系などが挙げられる。ただし、本発明の一態様は、これらに限定されない。
また、酸化物半導体層430と接する絶縁層420および絶縁層460は、窒素酸化物の放出量の少ない膜を用いることが好ましい。窒素酸化物の放出量の多い絶縁層と酸化物半導体が接した場合、窒素酸化物に起因する準位密度が高くなることがある。当該窒素酸化物に起因する準位密度は酸化物半導体のエネルギーギャップ内に形成されうる場合がある。絶縁層420および絶縁層460には、例えば、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜または酸化窒化アルミニウム膜等の酸化物絶縁層を用いることができる。
なお、窒素酸化物の放出量の少ない酸化窒化シリコン膜は、TDS法において、窒素酸化物の放出量よりアンモニアの放出量が多い膜であり、代表的にはアンモニアの放出量が1×1018個/cm3以上5×1019個/cm3以下である。なお、アンモニアの放出量は、膜の表面温度が50℃以上650℃以下、好ましくは50℃以上550℃以下の加熱処理による放出量とする。
絶縁層420および絶縁層460として、上記酸化物絶縁層を用いることで、トランジスタのしきい値電圧のシフトを低減することが可能であり、トランジスタの電気特性の変動を低減することができる。
ゲートとして作用する導電層470には、例えば、Al、Ti、Cr、Co、Ni、Cu、Y、Zr、Mo、Ru、Ag、Mn、Nd、Sc、TaおよびWなどの導電層を用いることができる。また、上記材料の合金や上記材料の導電性窒化物を用いてもよい。また、上記材料、上記材料の合金、および上記材料の導電性窒化物から選ばれた複数の材料の積層であってもよい。代表的には、タングステン、タングステンと窒化チタンの積層、タングステンと窒化タンタルの積層などを用いることができる。また、低抵抗のCuまたはCu−Mnなどの合金や上記材料とCuまたはCu−Mnなどの合金との積層を用いてもよい。本実施の形態では、導電層471に窒化タンタル、導電層472にタングステンを用いて導電層470を形成する。
絶縁層475には、水素を含む窒化シリコン膜または窒化アルミニウム膜などを用いることができる。実施の形態6に示したトランジスタ403、トランジスタ404、トランジスタ406、トランジスタ409、トランジスタ410、およびトランジスタ412では酸化物半導体層430と絶縁層475が一部接しているため、絶縁層475として水素を含む絶縁層を用いることで酸化物半導体層430の一部をn型化することができる。また、窒化絶縁層は水分などのブロッキング膜としての作用も有し、トランジスタの信頼性を向上させることができる。
また、絶縁層475としては酸化アルミニウム膜を用いることもできる。特に、実施の形態6に示したトランジスタ401、トランジスタ402、トランジスタ405、トランジスタ407、トランジスタ408、およびトランジスタ411では絶縁層475に酸化アルミニウム膜を用いることが好ましい。酸化アルミニウム膜は、水素、水分などの不純物、および酸素の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウム膜は、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分などの不純物の酸化物半導体層430への混入防止、酸素の酸化物半導体層からの放出防止、絶縁層420からの酸素の不必要な放出防止の効果を有する保護膜として用いることに適している。また、酸化アルミニウム膜に含まれる酸素を酸化物半導体層中に拡散させることもできる。
また、絶縁層475上には絶縁層480が形成されていることが好ましい。当該絶縁層には、酸化マグネシウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムおよび酸化タンタルを一種以上含む絶縁層を用いることができる。また、当該絶縁層は上記材料の積層であってもよい。
ここで、絶縁層480は絶縁層420と同様に化学量論組成よりも多くの酸素を有することが好ましい。絶縁層480から放出される酸素は絶縁層460を経由して酸化物半導体層430のチャネル形成領域に拡散させることができることから、チャネル形成領域に形成された酸素欠損に酸素を補填することができる。したがって、安定したトランジスタの電気特性を得ることができる。
半導体装置を高集積化するにはトランジスタの微細化が必須である。一方、トランジスタの微細化によりトランジスタの電気特性が悪化することが知られており、特にチャネル幅が縮小するとオン電流が低下する。
本発明の一態様のトランジスタ407乃至トランジスタ412では、チャネルが形成される酸化物半導体層430bを覆うように酸化物半導体層430cが形成されており、チャネル形成層とゲート絶縁層が接しない構成となっている。そのため、チャネル形成層とゲート絶縁層との界面で生じるキャリアの散乱を抑えることができ、トランジスタのオン電流を大きくすることができる。
また、本発明の一態様のトランジスタでは、前述したように酸化物半導体層430のチャネル幅方向を電気的に取り囲むようにゲート(導電層470)が形成されているため、酸化物半導体層430に対しては垂直方向からのゲート電界に加えて、側面方向からのゲート電界が印加される。すなわち、チャネル形成層に対して全体的にゲート電界が印加されることになり実効チャネル幅が拡大するため、さらにオン電流を高められる。
また、本発明の一態様における酸化物半導体層430が二層または三層のトランジスタでは、チャネルが形成される酸化物半導体層430bを酸化物半導体層430a上に形成することで界面準位を形成しにくくする効果を有する。また、本発明の一態様における酸化物半導体層430が三層のトランジスタでは、酸化物半導体層430bを三層構造の中間に位置する層とすることで上下からの不純物混入の影響を排除できる効果などを併せて有する。そのため、上述したトランジスタのオン電流の向上に加えて、しきい値電圧の安定化や、S値(サブスレッショルド値)の低減をはかることができる。したがって、ゲート電圧VGが0V時の電流を下げることができ、消費電力を低減させることができる。また、トランジスタのしきい値電圧が安定化することから、半導体装置の長期信頼性を向上させることができる。また、本発明の一態様のトランジスタは、微細化にともなう電気特性の劣化が抑えられることから、集積度の高い半導体装置の形成に適しているといえる。
なお、本実施の形態で説明した金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜は、代表的にはスパッタリング法やプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)法により形成することができるが、他の方法、例えば、熱CVD法により形成してもよい。熱CVD法の例としては、MOCVD法やALD(Atomic Layer Deposition)法などがある。
熱CVD法は、プラズマを使わない成膜方法のため、プラズマダメージにより欠陥が生成されることが無いという利点を有する。
また、熱CVD法では、原料ガスと酸化剤を同時にチャンバー内に送り、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、基板近傍または基板上で反応させて基板上に堆積させることで成膜を行ってもよい。
ALD法は、チャンバー内を大気圧または減圧下とし、反応のための原料ガスをチャンバーに導入・反応させ、これを繰り返すことで成膜を行う。原料ガスと一緒に不活性ガス(アルゴン、或いは窒素など)をキャリアガスとして導入してもよい。例えば2種類以上の原料ガスを順番にチャンバーに供給してもよい。その際、複数種の原料ガスが混ざらないように第1の原料ガスの反応後、不活性ガスを導入し、第2の原料ガスを導入する。あるいは、不活性ガスを導入する代わりに真空排気によって第1の原料ガスを排出した後、第2の原料ガスを導入してもよい。第1の原料ガスが基板の表面に吸着・反応して第1の層を成膜し、後から導入される第2の原料ガスが吸着・反応して、第2の層が第1の層上に積層されて薄膜が形成される。このガス導入順序を制御しつつ所望の厚さになるまで複数回繰り返すことで、段差被覆性に優れた薄膜を形成することができる。薄膜の厚さは、ガス導入の繰り返す回数によって調節することができるため、精密な膜厚調節が可能であり、微細なFETを作製する場合に適している。
MOCVD法やALD法などの熱CVD法は、これまでに記載した実施形態に開示された金属膜、半導体膜、無機絶縁膜など様々な膜を形成することができ、例えば、In−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、トリメチルインジウム(In(CH3)3)、トリメチルガリウム(Ga(CH3)3)、およびジメチル亜鉛(Zn(CH3)2)を用いることができる。これらの組み合わせに限定されず、トリメチルガリウムに代えてトリエチルガリウム(Ga(C2H5)3)を用いることもでき、ジメチル亜鉛に代えてジエチル亜鉛(Zn(C2H5)2)を用いることもできる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化ハフニウム膜を形成する場合には、溶媒とハフニウム前駆体を含む液体(ハフニウムアルコキシドや、テトラキスジメチルアミドハフニウム(TDMAH、Hf[N(CH3)2]4)やテトラキス(エチルメチルアミド)ハフニウムなどのハフニウムアミド)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてオゾン(O3)の2種類のガスを用いる。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化アルミニウム膜を形成する場合には、溶媒とアルミニウム前駆体を含む液体(トリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH3)3)など)を気化させた原料ガスと、酸化剤としてH2Oの2種類のガスを用いる。他の材料としては、トリス(ジメチルアミド)アルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、アルミニウムトリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)などがある。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化シリコン膜を形成する場合には、ヘキサクロロジシランを被成膜面に吸着させ、酸化性ガス(O2、一酸化二窒素)のラジカルを供給して吸着物と反応させる。
例えば、ALDを利用する成膜装置によりタングステン膜を成膜する場合には、WF6ガスとB2H6ガスを順次導入して初期タングステン膜を形成し、その後、WF6ガスとH2ガスを順次導入してタングステン膜を形成する。なお、B2H6ガスに代えてSiH4ガスを用いてもよい。
例えば、ALDを利用する成膜装置により酸化物半導体層、例えばIn−Ga−Zn−O膜を成膜する場合には、In(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してIn−O層を形成し、その後、Ga(CH3)3ガスとO3ガスを順次導入してGaO層を形成し、更にその後Zn(CH3)2ガスとO3ガスを順次導入してZnO層を形成する。なお、これらの層の順番はこの例に限らない。これらのガスを用いてIn−Ga−O層やIn−Zn−O層、Ga−Zn−O層などの混合化合物層を形成してもよい。なお、O3ガスに変えてAr等の不活性ガスでバブリングして得られたH2Oガスを用いてもよいが、Hを含まないO3ガスを用いる方が好ましい。
なお、酸化物半導体層の成膜には、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることもできる。当該対向ターゲット式スパッタリング装置を用いた成膜法を、VDSP(vapor deposition SP)と呼ぶこともできる。
対向ターゲット式スパッタリング装置を用いて酸化物半導体層を成膜することによって、酸化物半導体層の成膜時におけるプラズマ損傷を低減することができる。そのため、膜中の酸素欠損を低減することができる。また、対向ターゲット式スパッタリング装置を用いることで低圧での成膜が可能となるため、成膜された酸化物半導体層中の不純物濃度(例えば水素、希ガス(アルゴンなど)、水など)を低減させることができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態9)
以下では、本発明の一態様に用いることのできる酸化物半導体層の構造について説明する。
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が−10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、−5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が−30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、CAAC−OS(c−axis−aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc−OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a−like OS:amorphous−like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
また別の観点では、酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体と、それ以外の結晶性酸化物半導体と、に分けられる。結晶性酸化物半導体としては、単結晶酸化物半導体、CAAC−OS、多結晶酸化物半導体およびnc−OSなどがある。
非晶質構造は、一般に、等方的であって不均質構造を持たない、準安定状態で原子の配置が固定化していない、結合角度が柔軟である、短距離秩序は有するが長距離秩序を有さない、などといわれている。
即ち、安定な酸化物半導体を完全な非晶質(completely amorphous)酸化物半導体とは呼べない。また、等方的でない(例えば、微小な領域において周期構造を有する)酸化物半導体を、完全な非晶質酸化物半導体とは呼べない。一方、a−like OSは、等方的でないが、鬆(ボイドともいう。)を有する不安定な構造である。不安定であるという点では、a−like OSは、物性的に非晶質酸化物半導体に近い。
まずは、CAAC−OSについて説明する。
CAAC−OSは、c軸配向した複数の結晶部(ペレットともいう。)を有する酸化物半導体の一種である。
CAAC−OSをX線回折(XRD:X−Ray Diffraction)によって解析した場合について説明する。例えば、空間群R−3mに分類されるInGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、図48(A)に示すように回折角(2θ)が31°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(009)面に帰属されることから、CAAC−OSでは、結晶がc軸配向性を有し、c軸がCAAC−OSの膜を形成する面(被形成面ともいう。)、または上面に略垂直な方向を向いていることが確認できる。なお、2θが31°近傍のピークの他に、2θが36°近傍にもピークが現れる場合がある。2θが36°近傍のピークは、空間群Fd−3mに分類される結晶構造に起因する。そのため、CAAC−OSは、該ピークを示さないことが好ましい。
一方、CAAC−OSに対し、被形成面に平行な方向からX線を入射させるin−plane法による構造解析を行うと、2θが56°近傍にピークが現れる。このピークは、InGaZnO4の結晶の(110)面に帰属される。そして、2θを56°近傍に固定し、試料面の法線ベクトルを軸(φ軸)として試料を回転させながら分析(φスキャン)を行っても、図48(B)に示すように明瞭なピークは現れない。一方、単結晶InGaZnO4に対し、2θを56°近傍に固定してφスキャンした場合、図48(C)に示すように(110)面と等価な結晶面に帰属されるピークが6本観察される。したがって、XRDを用いた構造解析から、CAAC−OSは、a軸およびb軸の配向が不規則であることが確認できる。
次に、電子回折によって解析したCAAC−OSについて説明する。例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、CAAC−OSの被形成面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、図48(D)に示すような回折パターン(制限視野電子回折パターンともいう。)が現れる場合がある。この回折パターンには、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる。したがって、電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットがc軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させたときの回折パターンを図48(E)に示す。図48(E)より、リング状の回折パターンが確認される。したがって、プローブ径が300nmの電子線を用いた電子回折によっても、CAAC−OSに含まれるペレットのa軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。なお、図48(E)における第1リングは、InGaZnO4の結晶の(010)面および(100)面などに起因すると考えられる。また、図48(E)における第2リングは(110)面などに起因すると考えられる。
また、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)によって、CAAC−OSの明視野像と回折パターンとの複合解析像(高分解能TEM像ともいう。)を観察すると、複数のペレットを確認することができる。一方、高分解能TEM像であってもペレット同士の境界、即ち結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を明確に確認することができない場合がある。そのため、CAAC−OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。
図49(A)に、試料面と略平行な方向から観察したCAAC−OSの断面の高分解能TEM像を示す。高分解能TEM像の観察には、球面収差補正(Spherical Aberration Corrector)機能を用いた。球面収差補正機能を用いた高分解能TEM像を、特にCs補正高分解能TEM像と呼ぶ。Cs補正高分解能TEM像は、例えば、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fなどによって観察することができる。
図49(A)より、金属原子が層状に配列している領域であるペレットを確認することができる。ペレット一つの大きさは1nm以上のものや、3nm以上のものがあることがわかる。したがって、ペレットを、ナノ結晶(nc:nanocrystal)と呼ぶこともできる。また、CAAC−OSを、CANC(C−Axis Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。ペレットは、CAAC−OSを被形成面または上面の凹凸を反映しており、CAAC−OSの被形成面または上面と平行となる。
また、図49(B)および図49(C)に、試料面と略垂直な方向から観察したCAAC−OSの平面のCs補正高分解能TEM像を示す。図49(D)および図49(E)は、それぞれ図49(B)および図49(C)を画像処理した像である。以下では、画像処理の方法について説明する。まず、図49(B)を高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)処理することでFFT像を取得する。次に、取得したFFT像において原点を基準に、2.8nm−1から5.0nm−1の間の範囲を残すマスク処理する。次に、マスク処理したFFT像を、逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)処理することで画像処理した像を取得する。こうして取得した像をFFTフィルタリング像と呼ぶ。FFTフィルタリング像は、Cs補正高分解能TEM像から周期成分を抜き出した像であり、格子配列を示している。
図49(D)では、格子配列の乱れた箇所を破線で示している。破線で囲まれた領域が、一つのペレットである。そして、破線で示した箇所がペレットとペレットとの連結部である。破線は、六角形状であるため、ペレットが六角形状であることがわかる。なお、ペレットの形状は、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合が多い。
図49(E)では、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を点線で示し、格子配列の向きの変化を破線で示している。点線近傍においても、明確な結晶粒界を確認することはできない。点線近傍の格子点を中心に周囲の格子点を繋ぐと、歪んだ六角形や、五角形または/および七角形などが形成できる。即ち、格子配列を歪ませることによって結晶粒界の形成を抑制していることがわかる。これは、CAAC−OSが、a−b面方向において原子配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
以上に示すように、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、かつa−b面方向において複数のペレット(ナノ結晶)が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。よって、CAAC−OSを、CAA crystal(c−axis−aligned a−b−plane−anchored crystal)と称することもできる。
CAAC−OSは結晶性の高い酸化物半導体である。酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC−OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。
なお、不純物は、酸化物半導体の主成分以外の元素で、水素、炭素、シリコン、遷移金属元素などがある。例えば、シリコンなどの、酸化物半導体を構成する金属元素よりも酸素との結合力の強い元素は、酸化物半導体から酸素を奪うことで酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。また、鉄やニッケルなどの重金属、アルゴン、二酸化炭素などは、原子半径(または分子半径)が大きいため、酸化物半導体の原子配列を乱し、結晶性を低下させる要因となる。
次に、nc−OSについて説明する。
nc−OSをXRDによって解析した場合について説明する。例えば、nc−OSに対し、out−of−plane法による構造解析を行うと、配向性を示すピークが現れない。即ち、nc−OSの結晶は配向性を有さない。
また、例えば、InGaZnO4の結晶を有するnc−OSを薄片化し、厚さが34nmの領域に対し、被形成面に平行にプローブ径が50nmの電子線を入射させると、図50(A)に示すようなリング状の回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)が観測される。また、同じ試料にプローブ径が1nmの電子線を入射させたときの回折パターン(ナノビーム電子回折パターン)を図50(B)に示す。図50(B)より、リング状の領域内に複数のスポットが観測される。したがって、nc−OSは、プローブ径が50nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認されないが、プローブ径が1nmの電子線を入射させることでは秩序性が確認される。
また、厚さが10nm未満の領域に対し、プローブ径が1nmの電子線を入射させると、図50(C)に示すように、スポットが略正六角状に配置された電子回折パターンを観測される場合がある。したがって、厚さが10nm未満の範囲において、nc−OSが秩序性の高い領域、即ち結晶を有することがわかる。なお、結晶が様々な方向を向いているため、規則的な電子回折パターンが観測されない領域もある。
図50(D)に、被形成面と略平行な方向から観察したnc−OSの断面のCs補正高分解能TEM像を示す。nc−OSは、高分解能TEM像において、補助線で示す箇所などのように結晶部を確認することのできる領域と、明確な結晶部を確認することのできない領域と、を有する。nc−OSに含まれる結晶部は、1nm以上10nm以下の大きさであり、特に1nm以上3nm以下の大きさであることが多い。なお、結晶部の大きさが10nmより大きく100nm以下である酸化物半導体を微結晶酸化物半導体(microcrystalline oxide semiconductor)と呼ぶことがある。nc−OSは、例えば、高分解能TEM像では、結晶粒界を明確に確認できない場合がある。なお、ナノ結晶は、CAAC−OSにおけるペレットと起源を同じくする可能性がある。そのため、以下ではnc−OSの結晶部をペレットと呼ぶ場合がある。
このように、nc−OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc−OSは、分析方法によっては、a−like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
なお、ペレット(ナノ結晶)間で結晶方位が規則性を有さないことから、nc−OSを、RANC(Random Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体、またはNANC(Non−Aligned nanocrystals)を有する酸化物半導体と呼ぶこともできる。
nc−OSは、非晶質酸化物半導体よりも規則性の高い酸化物半導体である。そのため、nc−OSは、a−like OSや非晶質酸化物半導体よりも欠陥準位密度が低くなる。ただし、nc−OSは、異なるペレット間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、nc−OSは、CAAC−OSと比べて欠陥準位密度が高くなる。
a−like OSは、nc−OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。
図51に、a−like OSの高分解能断面TEM像を示す。ここで、図51(A)は電子照射開始時におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図51(B)は4.3×108e−/nm2の電子(e−)照射後におけるa−like OSの高分解能断面TEM像である。図51(A)および図51(B)より、a−like OSは電子照射開始時から、縦方向に延伸する縞状の明領域が観察されることがわかる。また、明領域は、電子照射後に形状が変化することがわかる。なお、明領域は、鬆または低密度領域と推測される。
鬆を有するため、a−like OSは、不安定な構造である。以下では、a−like OSが、CAAC−OSおよびnc−OSと比べて不安定な構造であることを示すため、電子照射による構造の変化を示す。
試料として、a−like OS、nc−OSおよびCAAC−OSを準備する。いずれの試料もIn−Ga−Zn酸化物である。
まず、各試料の高分解能断面TEM像を取得する。高分解能断面TEM像により、各試料は、いずれも結晶部を有する。
なお、InGaZnO4の結晶の単位格子は、In−O層を3層有し、またGa−Zn−O層を6層有する、計9層がc軸方向に層状に重なった構造を有することが知られている。これらの近接する層同士の間隔は、(009)面の格子面間隔(d値ともいう。)と同程度であり、結晶構造解析からその値は0.29nmと求められている。したがって、以下では、格子縞の間隔が0.28nm以上0.30nm以下である箇所を、InGaZnO4の結晶部と見なした。なお、格子縞は、InGaZnO4の結晶のa−b面に対応する。
図52は、各試料の結晶部(22箇所から30箇所)の平均の大きさを調査した例である。なお、上述した格子縞の長さを結晶部の大きさとしている。図52より、a−like OSは、TEM像の取得などに係る電子の累積照射量に応じて結晶部が大きくなっていくことがわかる。図52より、TEMによる観察初期においては1.2nm程度の大きさだった結晶部(初期核ともいう。)が、電子(e−)の累積照射量が4.2×108e−/nm2においては1.9nm程度の大きさまで成長していることがわかる。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射開始時から電子の累積照射量が4.2×108e−/nm2までの範囲で、結晶部の大きさに変化が見られないことがわかる。図52より、電子の累積照射量によらず、nc−OSおよびCAAC−OSの結晶部の大きさは、それぞれ1.3nm程度および1.8nm程度であることがわかる。なお、電子線照射およびTEMの観察は、日立透過電子顕微鏡H−9000NARを用いた。電子線照射条件は、加速電圧を300kV、電流密度を6.7×105e−/(nm2・s)、照射領域の直径を230nmとした。
このように、a−like OSは、電子照射によって結晶部の成長が見られる場合がある。一方、nc−OSおよびCAAC−OSは、電子照射による結晶部の成長がほとんど見られない。即ち、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて、不安定な構造であることがわかる。
また、鬆を有するため、a−like OSは、nc−OSおよびCAAC−OSと比べて密度の低い構造である。具体的には、a−like OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の78.6%以上92.3%未満である。また、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は、同じ組成の単結晶の密度の92.3%以上100%未満である。単結晶の密度の78%未満である酸化物半導体は、成膜すること自体が困難である。
例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、菱面体晶構造を有する単結晶InGaZnO4の密度は6.357g/cm3である。よって、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、a−like OSの密度は5.0g/cm3以上5.9g/cm3未満である。また、例えば、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]を満たす酸化物半導体において、nc−OSの密度およびCAAC−OSの密度は5.9g/cm3以上6.3g/cm3未満である。
なお、同じ組成の単結晶が存在しない場合、任意の割合で組成の異なる単結晶を組み合わせることにより、所望の組成における単結晶に相当する密度を見積もることができる。所望の組成の単結晶に相当する密度は、組成の異なる単結晶を組み合わせる割合に対して、加重平均を用いて見積もればよい。ただし、密度は、可能な限り少ない種類の単結晶を組み合わせて見積もることが好ましい。
以上のように、酸化物半導体は、様々な構造をとり、それぞれが様々な特性を有する。なお、酸化物半導体は、例えば、非晶質酸化物半導体、a−like OS、nc−OS、CAAC−OSのうち、二種以上を有する積層膜であってもよい。
次に、酸化物半導体のキャリア密度について、以下に説明を行う。
酸化物半導体のキャリア密度に影響を与える因子としては、酸化物半導体中の酸素欠損(Vo)、または酸化物半導体中の不純物などが挙げられる。
酸化物半導体中の酸素欠損が多くなると、該酸素欠損に水素が結合(この状態をVoHともいう)した際に、欠陥準位密度が高くなる。または、酸化物半導体中の不純物が多くなると、該不純物に起因し欠陥準位密度が高くなる。したがって、酸化物半導体中の欠陥準位密度を制御することで、酸化物半導体のキャリア密度を制御することができる。
ここで、酸化物半導体をチャネル領域に用いるトランジスタを考える。
トランジスタのしきい値電圧のマイナスシフトの抑制、またはトランジスタのオフ電流の低減を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を低くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を低くする場合においては、酸化物半導体中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性と言う。高純度真性の酸化物半導体のキャリア密度としては、8×1015cm−3未満、好ましくは1×1011cm−3未満、さらに好ましくは1×1010cm−3未満であり、1×10−9cm−3以上とすればよい。
一方で、トランジスタのオン電流の向上、またはトランジスタの電界効果移動度の向上を目的とする場合においては、酸化物半導体のキャリア密度を高くする方が好ましい。酸化物半導体のキャリア密度を高くする場合においては、酸化物半導体の不純物濃度をわずかに高める、または酸化物半導体の欠陥準位密度をわずかに高めればよい。あるいは、酸化物半導体のバンドギャップをより小さくするとよい。例えば、トランジスタのId−Vg特性のオン/オフ比が取れる範囲において、不純物濃度がわずかに高い、または欠陥準位密度がわずかに高い酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。また、電子親和力が大きく、それにともなってバンドギャップが小さくなり、その結果、熱励起された電子(キャリア)の密度が増加した酸化物半導体は、実質的に真性とみなせる。なお、より電子親和力が大きな酸化物半導体を用いた場合には、トランジスタのしきい値電圧がより低くなる。
上述のキャリア密度が高められた酸化物半導体は、わずかにn型化している。したがって、キャリア密度が高められた酸化物半導体を、「Slightly−n」と呼称してもよい。
実質的に真性の酸化物半導体のキャリア密度は、1×105cm−3以上1×1018cm−3未満が好ましく、1×107cm−3以上1×1017cm−3以下がより好ましく、1×109cm−3以上5×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1010cm−3以上1×1016cm−3以下がさらに好ましく、1×1011cm−3以上1×1015cm−3以下がさらに好ましい。
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
(実施の形態10)
<CACの構成>
以下では、本発明の一態様に用いることができるCAC(Cloud Aligned Complementary)−OSの構成について説明する。
CACとは、例えば、酸化物半導体を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、酸化物半導体において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
例えば、In−Ga−Zn酸化物(以下、IGZOともいう。)におけるCAC−IGZOとは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、またはインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2OZ2(X2、Y2、およびZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、またはガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4OZ4(X4、Y4、およびZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、またはInX2ZnY2OZ2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
つまり、CAC−IGZOは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合酸化物半導体である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、およびOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO3(ZnO)m1(m1は自然数)、またはIn(1+x0)Ga(1−x0)O3(ZnO)m0(−1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、またはCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOナノ結晶がc軸配向を有し、かつa−b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
一方、CACは、材料構成に関する。CACとは、In、Ga、Zn、およびOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CACにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
なお、CACは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
<CAC−IGZOの解析>
続いて、各種測定方法を用い、基板上に成膜した酸化物半導体について測定を行った結果について説明する。
≪試料の構成と作製方法≫
以下では、本発明の一態様に係る9個の試料について説明する。各試料は、それぞれ、酸化物半導体を成膜する際の基板温度、および酸素ガス流量比を異なる条件で作製する。なお、試料は、基板と、基板上の酸化物半導体と、を有する構造である。
各試料の作製方法について、説明する。
まず、基板として、ガラス基板を用いる。続いて、スパッタリング装置を用いて、ガラス基板上に酸化物半導体として、厚さ100nmのIn−Ga−Zn酸化物を形成する。成膜条件は、チャンバー内の圧力を0.6Paとし、ターゲットには、酸化物ターゲット(In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比])を用いる。また、スパッタリング装置内に設置された酸化物ターゲットに2500WのAC電力を供給する。
なお、酸化物を成膜する際の条件として、基板温度を、意図的に加熱しない温度(以下、R.T.ともいう。)、130℃、または170℃とした。また、Arと酸素の混合ガスに対する酸素ガスの流量比(以下、酸素ガス流量比ともいう。)を、10%、30%、または100%とすることで、9個の試料を作製する。
≪X線回折による解析≫
本項目では、9個の試料に対し、X線回折(XRD:X−ray diffraction)測定を行った結果について説明する。なお、XRD装置として、Bruker社製D8 ADVANCEを用いた。また、条件は、Out−of−plane法によるθ/2θスキャンにて、走査範囲を15deg.乃至50deg.、ステップ幅を0.02deg.、走査速度を3.0deg./分とした。
図58にOut−of−plane法を用いてXRDスペクトルを測定した結果を示す。なお、図58において、上段には成膜時の基板温度条件が170℃の試料における測定結果、中段には成膜時の基板温度条件が130℃の試料における測定結果、下段には成膜時の基板温度条件がR.T.の試料における測定結果を示す。また、左側の列には酸素ガス流量比の条件が10%の試料における測定結果、中央の列には酸素ガス流量比の条件が30%の試料における測定結果、右側の列には酸素ガス流量比の条件が100%の試料における測定結果、を示す。
図58に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度を高くする、または、成膜時の酸素ガス流量比の割合を大きくすることで、2θ=31°付近のピーク強度が高くなる。なお、2θ=31°付近のピークは、被形成面または上面に略垂直方向に対してc軸に配向した結晶性IGZO化合物(CAAC(c−axis aligned crystalline)−IGZOともいう。)であることに由来することが分かっている。
また、図58に示すXRDスペクトルは、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流量比が小さいほど、明確なピークが現れなかった。従って、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流量比が小さい試料は、測定領域のa−b面方向、およびc軸方向の配向は見られないことが分かる。
≪電子顕微鏡による解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料を、HAADF(High−Angle Annular Dark Field)−STEM(Scanning Transmission Electron Microscope)によって観察、および解析した結果について説明する(以下、HAADF−STEMによって取得した像は、TEM像ともいう。)。
HAADF−STEMによって取得した平面像(以下、平面TEM像ともいう。)、および断面像(以下、断面TEM像ともいう。)の画像解析を行った結果について説明する。なお、TEM像は、球面収差補正機能を用いて観察した。なお、HAADF−STEM像の撮影には、日本電子株式会社製原子分解能分析電子顕微鏡JEM−ARM200Fを用いて、加速電圧200kV、ビーム径約0.1nmφの電子線を照射して行った。
図59(A)は、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の平面TEM像である。図59(B)は、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面TEM像である。
≪電子線回折パターンの解析≫
本項目では、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料に、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで、電子線回折パターンを取得した結果について説明する。
図59(A)に示す、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の平面TEM像において、黒点a1、黒点a2、黒点a3、黒点a4、および黒点a5で示す電子線回折パターンを観察する。なお、電子線回折パターンの観察は、電子線を照射しながら0秒の位置から35秒の位置まで一定の速度で移動させながら行う。黒点a1の結果を図59(C)、黒点a2の結果を図59(D)、黒点a3の結果を図59(E)、黒点a4の結果を図59(F)、および黒点a5の結果を図59(G)に示す。
図59(C)、図59(D)、図59(E)、図59(F)、および図59(G)より、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数のスポットが観測できる。
また、図59(B)に示す、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面TEM像において、黒点b1、黒点b2、黒点b3、黒点b4、および黒点b5で示す電子線回折パターンを観察する。黒点b1の結果を図59(H)、黒点b2の結果を図59(I)、黒点b3の結果を図59(J)、黒点b4の結果を図59(K)、および黒点b5の結果を図59(L)に示す。
図59(H)、図59(I)、図59(J)、図59(K)、および図59(L)より、リング状に輝度の高い領域が観測できる。また、リング状の領域に複数のスポットが観測できる。
ここで、例えば、InGaZnO4の結晶を有するCAAC−OSに対し、試料面に平行にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、InGaZnO4の結晶の(009)面に起因するスポットが含まれる回折パターンが見られる。つまり、CAAC−OSは、c軸配向性を有し、c軸が被形成面または上面に略垂直な方向を向いていることがわかる。一方、同じ試料に対し、試料面に垂直にプローブ径が300nmの電子線を入射させると、リング状の回折パターンが確認される。つまり、CAAC−OSは、a軸およびb軸は配向性を有さないことがわかる。
また、微結晶を有する酸化物半導体(nano crystalline oxide semiconductor。以下、nc−OSという。)に対し、大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。また、nc−OSに対し、小さいプローブ径の電子線(例えば50nm未満)を用いるナノビーム電子線回折を行うと、輝点(スポット)が観測される。また、nc−OSに対しナノビーム電子線回折を行うと、円を描くように(リング状に)輝度の高い領域が観測される場合がある。さらに、リング状の領域に複数の輝点が観測される場合がある。
成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の電子線回折パターンは、リング状に輝度の高い領域と、該リング領域に複数の輝点を有する。従って、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料は、電子線回折パターンが、nc−OSになり、平面方向、および断面方向において、配向性は有さない。
以上より、成膜時の基板温度が低い、または、酸素ガス流量比が小さい酸化物半導体は、アモルファス構造の酸化物半導体膜とも、単結晶構造の酸化物半導体膜とも明確に異なる性質を有すると推定できる。
≪元素分析≫
本項目では、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X−ray spectroscopy)を用い、EDXマッピングを取得し、評価することによって、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の元素分析を行った結果について説明する。なお、EDX測定には、元素分析装置として日本電子株式会社製エネルギー分散型X線分析装置JED−2300Tを用いる。なお、試料から放出されたX線の検出にはSiドリフト検出器を用いる。
EDX測定では、試料の分析対象領域の各点に電子線照射を行い、これにより発生する試料の特性X線のエネルギーと発生回数を測定し、各点に対応するEDXスペクトルを得る。本実施の形態では、各点のEDXスペクトルのピークを、In原子のL殻への電子遷移、Ga原子のK殻への電子遷移、Zn原子のK殻への電子遷移及びO原子のK殻への電子遷移に帰属させ、各点におけるそれぞれの原子の比率を算出する。これを試料の分析対象領域について行うことにより、各原子の比率の分布が示されたEDXマッピングを得ることができる。
図60には、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面におけるEDXマッピングを示す。図60(A)は、Ga原子のEDXマッピング(全原子に対するGa原子の比率は1.18乃至18.64[atomic%]の範囲とする。)である。図60(B)は、In原子のEDXマッピング(全原子に対するIn原子の比率は9.28乃至33.74[atomic%]の範囲とする。)である。図60(C)は、Zn原子のEDXマッピング(全原子に対するZn原子の比率は6.69乃至24.99[atomic%]の範囲とする。)である。また、図60(A)、図60(B)、および図60(C)は、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料の断面において、同範囲の領域を示している。なお、EDXマッピングは、範囲における、測定元素が多いほど明るくなり、測定元素が少ないほど暗くなるように、明暗で元素の割合を示している。また、図60に示すEDXマッピングの倍率は720万倍である。
図60(A)、図60(B)、および図60(C)に示すEDXマッピングでは、画像に相対的な明暗の分布が見られ、成膜時の基板温度R.T.、および酸素ガス流量比10%で作製した試料において、各原子が分布を持って存在している様子が確認できる。ここで、図60(A)、図60(B)、および図60(C)に示す実線で囲む範囲と破線で囲む範囲に注目する。
図60(A)では、実線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含み、破線で囲む範囲は、相対的に明るい領域を多く含む。また、図60(B)では実線で囲む範囲は、相対的に明るい領域を多く含み、破線で囲む範囲は、相対的に暗い領域を多く含む。
つまり、実線で囲む範囲はIn原子が相対的に多い領域であり、破線で囲む範囲はIn原子が相対的に少ない領域である。ここで、図60(C)では、実線で囲む範囲において、右側は相対的に明るい領域であり、左側は相対的に暗い領域である。従って、実線で囲む範囲は、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1などが主成分である領域である。
また、実線で囲む範囲はGa原子が相対的に少ない領域であり、破線で囲む範囲はGa原子が相対的に多い領域である。図60(C)では、破線で囲む範囲において、左上の領域は、相対的に明るい領域であり、右下側の領域は、相対的に暗い領域である。従って、破線で囲む範囲は、GaOX3、またはGaX4ZnY4OZ4などが主成分である領域である。
また、図60(A)、図60(B)、および図60(C)より、In原子の分布は、Ga原子よりも、比較的、均一に分布しており、InOX1が主成分である領域は、InX2ZnY2OZ2が主成分となる領域を介して、互いに繋がって形成されているように見える。このように、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域は、クラウド状に広がって形成されている。
このように、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有するIn−Ga−Zn酸化物を、CAC−IGZOと呼称することができる。
また、CACにおける結晶構造は、nc構造を有する。CACが有するnc構造は、電子線回折像において、単結晶、多結晶、またはCAAC構造を含むIGZOに起因する輝点(スポット)以外にも、数か所以上の輝点(スポット)を有する。または、数か所以上の輝点(スポット)に加え、リング状に輝度の高い領域が現れるとして結晶構造が定義される。
また、図60(A)、図60(B)、および図60(C)より、GaOX3が主成分である領域、及びInX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域のサイズは、0.5nm以上10nm以下、または1nm以上3nm以下で観察される。なお、好ましくは、EDXマッピングにおいて、各金属元素が主成分である領域の径は、1nm以上2nm以下とする。
以上より、CAC−IGZOは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC−IGZOは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。従って、CAC−IGZOを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する性質と、InX2ZnY2OZ2、またはInOX1に起因する性質とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、および高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
また、CAC−IGZOを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC−IGZOは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態、または他の実施例と適宜組み合わせて実施することができる。
(実施の形態11)
本実施の形態では、イメージセンサチップを収めたパッケージおよびモジュールの一例について説明する。当該イメージセンサチップには、本発明の一態様の撮像装置の構成を用いることができる。
図53(A)は、イメージセンサチップを収めたパッケージの上面側の外観斜視図である。当該パッケージは、イメージセンサチップ850を固定するパッケージ基板810、カバーガラス820および両者を接着する接着剤830等を有する。
図53(B)は、当該パッケージの下面側の外観斜視図である。パッケージの下面には、半田ボールをバンプ840としたBGA(Ball grid array)の構成を有する。なお、BGAに限らず、LGA(Land grid array)やPGA(Pin Grid Array)などであってもよい。
図53(C)は、カバーガラス820および接着剤830の一部を省いて図示したパッケージの斜視図であり、図53(D)は、当該パッケージの断面図である。パッケージ基板810上には電極パッド860が形成され、電極パッド860およびバンプ840はスルーホール880およびランド885を介して電気的に接続されている。電極パッド860は、イメージセンサチップ850が有する電極とワイヤ870によって電気的に接続されている。
また、図54(A)は、イメージセンサチップをレンズ一体型のパッケージに収めたカメラモジュールの上面側の外観斜視図である。当該カメラモジュールは、イメージセンサチップ851を固定するパッケージ基板811、レンズカバー821、およびレンズ835等を有する。また、パッケージ基板811およびイメージセンサチップ851の間には撮像装置の駆動回路および信号変換回路などの機能を有するICチップ890も設けられており、SiP(System in package)としての構成を有している。
図54(B)は、当該カメラモジュールの下面側の外観斜視図である。パッケージ基板811の下面および4側面には、実装用のランド841が設けられるQFN(Quad flat no− lead package)の構成を有する。なお、当該構成は一例であり、QFP(Quad flat package)や前述したBGA等であってもよい。
図54(C)は、レンズカバー821およびレンズ835の一部を省いて図示したモジュールの斜視図であり、図54(D)は、当該カメラモジュールの断面図である。ランド841の一部は電極パッド861として利用され、電極パッド861はイメージセンサチップ851およびICチップ890が有する電極とワイヤ871によって電気的に接続されている。
イメージセンサチップを上述したような形態のパッケージに収めることで実装が容易になり、様々な半導体装置、電子機器に組み込むことができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態12)
本実施の形態では、上記実施の形態1で説明した撮像装置10を監視装置に利用する場合について説明する。
図55は、本実施の形態の監視装置の構成例を示すブロック図である。監視装置は、カメラ600、記憶装置24および表示装置23を有する。カメラ600は、本発明の一態様の撮像装置である撮像装置10を有する。カメラ600、記憶装置24および表示装置23は、それぞれ機能的に接続される。カメラ600で撮影された画像は、記憶装置24に記録され、表示装置23に表示される。
カメラ600は、基準フレームと差分検出用フレームとの差分を検知した場合のみ、撮像装置10により撮像された撮像データを記憶装置24および表示装置23に出力する。このため、差分検出を行わない場合より撮像データを記憶装置24および表示装置23に出力する頻度を減らすことができ、したがって記憶装置24および表示装置23における消費電力を低減することができる。また、記憶装置24の記憶容量を節約することができ、より長時間の撮像が可能となるだけでなく、保存されたデータから必要なデータを検索することが容易にできるようになる。
また、撮像装置10において、A/D変換などの膨大な電力を消費する処理は、記憶装置24および表示装置23に出力するための撮像データを取得する場合にのみ行えばよい。このため、差分検出を行わない場合、またはA/D変換後のデータを用いて差分検出を行う場合と比べて消費電力を低減することができる。
本実施の形態における監視装置は、例えば、交通事故が起きやすい事象を検出したときのみ撮像データを記憶装置24および表示装置23に出力することができる。図56は、T字路の上方にカメラ600を設置した場合に、表示装置23に表示される画像を示す。該T字路では、右折する車の事故発生率が高く、直進する車の事故発生率は低いとする。この場合、事故発生率が高いT字路付近を、実施の形態1で前述した、基準フレームと差分検出用フレームとの差分を検出した場合に新たに撮像データを取得して外部機器へ出力する領域41とすることにより、T字路付近を車が通過した場合は撮像データを記憶装置24および表示装置23に出力することができる。一方、領域43のような、事故発生率が低い直線領域を車が通過しても撮像データは記憶装置24および表示装置23には出力されない。つまり、事故発生率が高い場所を車が通過した場合のみ記憶装置24に撮像データを記憶し、表示装置23に表示される画像を更新することができる。これにより、消費電力および記憶装置24の記憶容量を削減できる。また、領域41で事故が発生した場合、事故発生時の画像が容易に検索できる。
なお、基準フレームを更新しない場合、領域41を車が通らなくても、例えば時間の経過とともに明るさが変化しただけでも差分が検出されたとみなされ、撮像データが記憶装置24および表示装置23に出力されてしまう場合がある。例えば、基準フレームを深夜に撮影した場合、朝になって明るくなれば領域41への車の通行の有無によらず、全フレームで差分が検出されたと見なされてしまう。また、例えば深夜の交通量が少ない場合、朝になって明るくなるまで基準フレームが書き換えられない場合もある。そこで、基準フレームを定期的に書き換えることにより、領域41を車が通った場合のみ撮像データを記憶装置24および表示装置23に出力することができる。これにより、消費電力および記憶装置24の記憶容量を削減できる。また、領域41で事故が発生した場合、事故発生時の画像が容易に検索できる。
なお、本実施の形態における監視装置は、例えば不法侵入者を撮像する防犯カメラなど、様々な用途に応用することができる。
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
(実施の形態13)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る撮像装置を適用できる電子機器の一例について説明する。
本発明の一態様に係る撮像装置を適用できる電子機器として、テレビ、モニタ等の表示装置、照明装置、デスクトップ型或いはノート型のパーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、DVD(Digital Versatile Disc)などの記録媒体に記憶された静止画又は動画を再生する画像再生装置、ポータブルCDプレーヤ、ラジオ、テープレコーダ、ヘッドホンステレオ、ステレオ、ナビゲーションシステム、置き時計、壁掛け時計、コードレス電話子機、トランシーバ、携帯電話、自動車電話、携帯型ゲーム機、タブレット型端末、パチンコ機などの大型ゲーム機、電卓、携帯情報端末、電子手帳、電子書籍端末、電子翻訳機、音声入力機器、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、電気シェーバ、電子レンジ等の高周波加熱装置、電気炊飯器、電気洗濯機、電気掃除機、温水器、扇風機、毛髪乾燥機、エアコンディショナー、加湿器、除湿器などの空調設備、食器洗い器、食器乾燥器、衣類乾燥器、布団乾燥器、電気冷蔵庫、電気冷凍庫、電気冷凍冷蔵庫、DNA保存用冷凍庫、懐中電灯、チェーンソー等の工具、煙感知器、透析装置等の医療機器、ファクシミリ、プリンタ、プリンタ複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。さらに、誘導灯、信号機、ベルトコンベア、エレベータ、エスカレータ、産業用ロボット、電力貯蔵システム、電力の平準化やスマートグリッドのための蓄電装置等の産業機器が挙げられる。また、電力を用いて電動機により推進する移動体なども、電子機器の範疇に含まれるものとする。上記移動体として、例えば、電気自動車(EV)、内燃機関と電動機を併せ持ったハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、これらのタイヤ車輪を無限軌道に変えた装軌車両、電動アシスト自転車を含む原動機付自転車、自動二輪車、電動車椅子、ゴルフ用カート、小型又は大型船舶、潜水艦、ヘリコプター、航空機、ロケット、人工衛星、宇宙探査機や惑星探査機、宇宙船などが挙げられる。
図57(A)は監視装置であり、筐体961、レンズ962、支持部963等を有する。レンズ962の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。該監視装置として、実施の形態12で前述した監視装置を用いることができる。
図57(B)はビデオカメラであり、筐体941、筐体942、表示部943、操作キー944、レンズ945、接続部946等を有する。操作キー944およびレンズ945は筐体941に設けられており、表示部943は筐体942に設けられている。そして、筐体941と筐体942とは、接続部946により接続されており、筐体941と筐体942の間の角度は、接続部946により変更が可能である。表示部943における映像を、接続部946における筐体941と筐体942との間の角度に従って切り替える構成としても良い。レンズ945の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図57(C)は携帯電話であり、筐体951に、表示部952、マイク957、スピーカー954、カメラ959、入出力端子956、操作用のボタン955等を有する。カメラ959には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図57(D)はデジタルカメラであり、筐体921、シャッターボタン922、マイク923、発光部927、レンズ925等を有する。レンズ925の焦点となる位置には本発明の一態様の撮像装置を備えることができる。
図57(E)は携帯型ゲーム機であり、筐体901、筐体902、表示部903、表示部904、マイク905、スピーカー906、操作キー907、スタイラス908、カメラ909等を有する。なお、図57(A)に示した携帯型ゲーム機は、2つの表示部903と表示部904とを有しているが、携帯型ゲーム機が有する表示部の数は、これに限定されない。カメラ909には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
図57(F)は腕時計型の情報端末であり、筐体931、表示部932、リストバンド933、カメラ939等を有する。表示部932はタッチパネルとなっていてもよい。カメラ939には本発明の一態様の撮像装置を用いることができる。
なお、本発明の一態様の撮像装置を具備していれば、上記で示した電子機器に特に限定されない。
本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。