JP2017005514A - 無線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】歪補償特性の劣化を抑制し、かつ、電圧定在波比の算出精度を維持すること。【解決手段】無線装置は、複数のアンテナ系統と、制御部とを備える。複数のアンテナ系統は、アンテナと、反射信号を第1の反射信号及び第2の反射信号に分岐し、第1の反射信号を他のアンテナ系統へ出力する分岐部とをそれぞれ有する。複数のアンテナ系統は、第2の反射信号、他のアンテナ系統の分岐部によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号を選択し、選択した信号を共通経路を介して出力する選択部をそれぞれ有する。制御部は、複数のアンテナ系統のうち一つのアンテナ系統の選択部によって選択されるフィードバック信号を用いた送信信号の歪の補償が実行される場合に、一つのアンテナ系統の分岐部によって出力される第1の反射信号を用いた定在波比の算出が実行されるように、他のアンテナ系統の選択部を制御する。【選択図】図2

Description

本発明は、無線装置に関する。
従来、基地局などの無線装置には、送信信号に対して歪補償を行うものがある。具体的には、無線装置によって送信される信号は、増幅が行われることにより歪みが発生する。このため、無線装置は、増幅後の送信信号を歪補償回路にフィードバックすることにより、送信信号の歪を補償する。
また、近年では、アンテナの高周波特性を監視するための指標として、電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)を測定する無線装置がある。電圧定在波比は、進行波と、反射波との電圧の比である。ここで、進行波とは、無線装置の送信信号であり、反射波とは、送信信号がアンテナで反射されて得られる反射信号である。
特開2013−110693号公報 特開2005−323203号公報
ところで、従来の無線装置では、送信信号のフィードバック信号をフィードバックする回路と、反射信号をフィードバックする回路とが別々に搭載される場合、回路規模が増大する恐れがある。
これに対して、回路規模を削減するために、送信信号のフィードバック信号をフィードバックする回路と、反射信号をフィードバックする回路とを部分的に共有化する構造が考えられる。この構造では、例えば、無線装置は、反射信号又は送信信号のフィードバック信号を選択部によって選択し、選択した信号を共通経路を介して歪補償部又は定在波比算出部へ出力する。
しかしながら、回路を部分的に共有化する構造では、歪補償特性の劣化を抑制し、かつ、電圧定在波比の算出精度を維持することが困難である。すなわち、回路を部分的に共有化する構造では、選択部によって送信信号のフィードバック信号が選択されて送信信号の歪の補償が実行される場合、反射信号が選択されないため、電圧定在波比の算出が実行されない。このため、電圧定在波比の算出精度が低下する。その一方で、選択部によって反射信号が選択されて電圧定在波比の算出が実行される場合、送信信号のフィードバック信号が選択されないため、歪補償が実行されない。このため、歪補償特性が劣化する。
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、歪補償特性の劣化を抑制し、かつ、電圧定在波比の算出精度を維持することができる無線装置を提供することを目的とする。
本願の開示する無線装置は、一つの態様において、複数のアンテナ系統と、歪補償部と、定在波比算出部と、制御部とを備える。前記複数のアンテナ系統は、アンテナと、送信信号が前記アンテナで反射されて得られる反射信号を第1の反射信号及び第2の反射信号に分岐し、前記第1の反射信号を他のアンテナ系統へ出力する分岐部とをそれぞれ有する。また、前記複数のアンテナ系統は、前記第2の反射信号、他のアンテナ系統の前記分岐部によって出力される前記第1の反射信号、又は前記送信信号のフィードバック信号を選択し、選択した信号を共通経路を介して出力する選択部をそれぞれ有する。前記歪補償部は、各前記アンテナ系統の前記選択部によって選択される前記フィードバック信号を用いて、前記送信信号の歪を補償する。前記定在波比算出部は、各前記アンテナ系統の前記選択部によって選択される前記第1の反射信号又は前記第2の反射信号を用いて、定在波比を算出する。前記制御部は、前記複数のアンテナ系統のうち一つのアンテナ系統の前記選択部によって選択される前記フィードバック信号を用いた前記送信信号の歪の補償が実行される場合に、前記一つのアンテナ系統の前記分岐部によって出力される前記第1の反射信号を用いた前記定在波比の算出が実行されるように、他のアンテナ系統の前記選択部を制御する。
本願の開示する無線装置の一つの態様によれば、歪補償特性の劣化を抑制し、かつ、電圧定在波比の算出精度を維持することができるという効果を奏する。
図1は、実施例1に係る無線基地局装置の構成例を示す図である。 図2は、実施例1におけるRRHの詳細を示すブロック図である。 図3は、RRHによる処理動作の一例を説明するための図(その1)である。 図4は、RRHによる処理動作の一例を説明するための図(その2)である。 図5は、RRHにおける信号の選択処理の流れを示すフローチャート(その1)である。 図6は、RRHにおける信号の選択処理の流れを示すフローチャート(その2)である。 図7は、実施例2におけるRRHの詳細を示すブロック図である。
以下に、本願の開示する無線装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により開示技術が限定されるものではない。
図1は、実施例1に係る無線基地局装置の構成例を示す図である。図1に示すように、実施例1に係る無線基地局装置は、Remote Radio Head(RRH)1及びBase Band Unit(BBU)2を有する。
BBU2は、無線制御部(無線制御装置)である。BBU2は、信号の送受信の制御や、ベースバンド処理を行う。
RRH1は、無線部(無線装置)である。RRH1は、BBU2から送信されたベースバンド信号を無線信号に変換し、変換した信号をアンテナを介して外部装置に送信する。また、RRH1は、外部装置から送信された信号をアンテナにより受信し、受信した信号をベースバンド信号に変換し、変換した信号をBBU2へ送信する。
次に、図2を参照して、RRH1の詳細について説明する。図2は、実施例1におけるRRHの詳細を示すブロック図である。図2に示すように、RRH1は、アンテナ系統10,30及び信号処理部50を有する。また、信号処理部50は、送信信号処理部51、受信信号処理部52及びSW(Switch)制御部53を有する。また、RRH1には、「送信区間」と「受信区間」とが時間的に分けられる時分割多重(TDD:Time Division Duplex)方式が適用される。なお、以下では、アンテナ系統10,30を「複数のアンテナ系統」と呼び、アンテナ系統10,30の各々を「各アンテナ系統」と呼ぶことがある。
アンテナ系統10は、アンテナ11、DAC(Digital Analog Converter)12、周波数変換器13、増幅器(PA:Power Amplifier)14、CPL(Coupler)15、CIR(Circulator)16、BPF(Band Pass Filter)17、CPL18及び分岐器19を有する。また、アンテナ系統10は、SW部20、ATT(Attenuator)21、周波数変換器22及びADC(Analog Digital Converter)23を有する。また、アンテナ系統10は、LNA(Low Noise Amplifier)24、周波数変換器25及びADC26を有する。
アンテナ11は、CPL18から入力される信号を外部装置に送信する。また、アンテナ11は、外部装置から送信される信号を受信してCPL18へ出力する。
DAC12は、送信信号の入力を送信信号処理部51から受ける。DAC12は、ディジタル信号である送信信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号に変換された送信信号を周波数変換器13へ出力する。
周波数変換器13は、送信信号の入力をDAC12から受ける。周波数変換器13は、送信信号に対して周波数変換を施して無線信号に変換する。周波数変換器13は、無線信号に変換された送信信号をPA14へ出力する。
PA14は、無線信号に変換された送信信号の入力を周波数変換器13から受ける。PA14は、送信信号を増幅し、増幅した送信信号をCPL15へ出力する。
CPL15は、送信信号の入力をPA14から受ける。CPL15は、送信信号を2つの送信信号に分岐し、一方の送信信号をCIR16へ出力し、他方の送信信号をフィードバック信号としてSW部20へ出力する。
CIR16は、送信信号の入力をCPL15から受け、送信信号をBPF17へ出力する。また、CIR16は、受信信号の入力をCPL18及びBPF17を介してアンテナ11から受け、受信信号をLNA24へ出力する。
BPF17は、送信信号の入力をCIR16から受ける。BPF17は、予め定められた周波数帯域に属する送信信号のみを通過させ、通過させた送信信号をCPL18へ出力する。また、BPF17は、受信信号の入力をアンテナ11から受ける。BPF17は、予め定められた周波数帯域に属する受信信号のみを通過させ、通過させた受信信号をCIR16へ出力する。
CPL18は、送信信号の入力をBPF17から受ける。CPL18は、送信信号を、アンテナ11を介して外部装置へ送信する。また、CPL18は、送信信号がアンテナ11で反射されて得られる反射信号の入力をアンテナ11から受ける。CPL18は、反射信号を分岐器19へ出力する。また、CPL18は、外部装置から送信される信号をアンテナ11を介して受信する。CPL18は、受信信号をBPF17へ出力する。
分岐器19は、反射信号の入力をCPL18から受ける。分岐器19は、反射信号を第1の反射信号及び第2の反射信号に分岐し、第1の反射信号を他のアンテナ系統であるアンテナ系統30へ出力し、第2の反射信号をSW部20へ出力する。分岐器19は、分岐部の一例である。
SW部20は、第2の反射信号、後述するアンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号を選択し、選択した信号を共通経路を介して出力する。具体的には、SW部20は、SW20a及びSW20bを有する。
SW20aは、フィードバック信号の入力をCPL15から受け、第2の反射信号の入力を分岐器19から受ける。SW20aは、フィードバック信号又は第2の反射信号を選択し、選択したフィードバック信号又は第2の反射信号をSW20bへ出力する。
SW20bは、フィードバック信号又は第2の反射信号の入力をSW20aから受け、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号の入力をアンテナ系統30の分岐器39から受ける。SW20bは、第2の反射信号、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又はフィードバック信号を選択し、選択した信号をATT21へ出力する。SW20bからATT21へ出力された信号は、ATT21、周波数変換器22及びADC23を介してアンテナ系統10から出力され、信号処理部50の送信信号処理部51へ入力される。
このように、SW部20は、SW20a及びSW20bを用いて、第2の反射信号、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号を選択する。そして、SW部20は、選択した信号を、共通経路である、ATT21、周波数変換器22及びADC23を介して、信号処理部50の送信信号処理部51へ出力する。このように、ATT21、周波数変換器22及びADC23が共通経路として共用されることによって、アンテナ系統10の回路規模が削減される。
なお、SW部20における信号の選択は、後述するSW制御部53によって制御される。SW部20は、選択部の一例である。
ATT21は、SW部20によって選択される、第2の反射信号、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号の入力を受ける。ATT21は、第2の反射信号、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号の電力を減衰させ、減衰させた信号を周波数変換器22へ出力する。
周波数変換器22は、第2の反射信号、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号の入力をATT21から受ける。周波数変換器22は、第2の反射信号、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号に対して周波数変換を施してベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号に変換された信号をADC23へ出力する。
ADC23は、第2の反射信号、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号の入力を周波数変換器22から受ける。ADC23は、第2の反射信号、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換された信号を信号処理部50の送信信号処理部51へ出力する。
LNA24は、受信信号の入力をCIR16から受ける。LNA24は、受信信号を増幅し、増幅した受信信号を周波数変換器25へ出力する。
周波数変換器25は、受信信号の入力をLNA24から受ける。周波数変換器25は、受信信号に対して周波数変換を施してベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号に変換された受信信号をADC26へ出力する。
ADC26は、受信信号の入力を周波数変換器25から受ける。ADC26は、受信信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換された受信信号を信号処理部50の受信信号処理部52へ出力する。
アンテナ系統30は、アンテナ31、DAC32、周波数変換器33、PA34、CPL35、CIR36、BPF37、CPL38及び分岐器39を有する。また、アンテナ系統30は、SW部40、ATT41、周波数変換器42及びADC43を有する。また、アンテナ系統30は、LNA44、周波数変換器45及びADC46を有する。
アンテナ31は、CPL38から入力される信号を外部装置に送信する。また、アンテナ31は、外部装置から送信される信号を受信してCPL38へ出力する。
DAC32は、送信信号の入力を送信信号処理部51から受ける。DAC32は、ディジタル信号である送信信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号に変換された送信信号を周波数変換器33へ出力する。
周波数変換器33は、送信信号の入力をDAC32から受ける。周波数変換器33は、送信信号に対して周波数変換を施して無線信号に変換する。周波数変換器33は、無線信号に変換された送信信号をPA34へ出力する。
PA34は、無線信号に変換された送信信号の入力を周波数変換器33から受ける。PA34は、送信信号を増幅し、増幅した送信信号をCPL35へ出力する。
CPL35は、送信信号の入力をPA34から受ける。CPL35は、送信信号を2つの送信信号に分岐し、一方の送信信号をCIR36へ出力し、他方の送信信号をフィードバック信号としてSW部40へ出力する。
CIR36は、送信信号の入力をCPL35から受け、送信信号をBPF37へ出力する。また、CIR36は、受信信号の入力をCPL38及びBPF37を介してアンテナ31から受け、受信信号をLNA44へ出力する。
BPF37は、送信信号の入力をCIR36から受ける。BPF37は、予め定められた周波数帯域に属する送信信号のみを通過させ、通過させた送信信号をCPL38へ出力する。また、BPF37は、受信信号の入力をアンテナ31から受ける。BPF37は、予め定められた周波数帯域に属する受信信号のみを通過させ、通過させた受信信号をCIR36へ出力する。
CPL38は、送信信号の入力をBPF37から受ける。CPL38は、送信信号を、アンテナ31を介して外部装置へ送信する。また、CPL38は、送信信号がアンテナ31で反射されて得られる反射信号の入力をアンテナ31から受ける。CPL38は、反射信号を分岐器39へ出力する。また、CPL38は、外部装置から送信される信号をアンテナ31を介して受信する。CPL38は、受信信号をBPF37へ出力する。
分岐器39は、反射信号の入力をCPL38から受ける。分岐器39は、反射信号を第1の反射信号及び第2の反射信号に分岐し、第1の反射信号を他のアンテナ系統であるアンテナ系統10へ出力し、第2の反射信号をSW部40へ出力する。分岐器39は、分岐部の一例である。
SW部40は、第2の反射信号、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号を選択し、選択した信号を共通経路を介して出力する。具体的には、SW部40は、SW40a及びSW40bを有する。
SW40aは、フィードバック信号の入力をCPL35から受け、第2の反射信号の入力を分岐器39から受ける。SW40aは、フィードバック信号又は第2の反射信号を選択し、選択したフィードバック信号又は第2の反射信号をSW40bへ出力する。
SW40bは、フィードバック信号又は第2の反射信号の入力をSW40aから受け、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号の入力をアンテナ系統10の分岐器19から受ける。SW40bは、第2の反射信号、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又はフィードバック信号を選択し、選択した信号をATT41へ出力する。SW40bからATT41へ出力された信号は、ATT41、周波数変換器42及びADC43を介してアンテナ系統30から出力され、信号処理部50の送信信号処理部51へ入力される。
このように、SW部40は、SW40a及びSW40bを用いて、第2の反射信号、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号を選択する。そして、SW部40は、選択した信号を、共通経路である、ATT41、周波数変換器42及びADC43を介して、信号処理部50の送信信号処理部51へ出力する。このように、ATT41、周波数変換器42及びADC43が共通経路として用いられることによって、アンテナ系統30の回路規模が削減される。
なお、SW部40における信号の選択は、後述するSW制御部53によって制御される。
ATT41は、SW部40によって選択される、第2の反射信号、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号の入力を受ける。ATT41は、第2の反射信号、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号の電力を減衰させ、減衰させた信号を周波数変換器42へ出力する。
周波数変換器42は、第2の反射信号、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号の入力をATT41から受ける。周波数変換器42は、第2の反射信号、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号に対して周波数変換を施してベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号に変換された信号をADC43へ出力する。
ADC43は、第2の反射信号、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号の入力を周波数変換器42から受ける。ADC43は、第2の反射信号、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換された信号を信号処理部50の送信信号処理部51へ出力する。
LNA44は、受信信号の入力をCIR36から受ける。LNA44は、受信信号を増幅し、増幅した受信信号を周波数変換器45へ出力する。
周波数変換器45は、受信信号の入力をLNA44から受ける。周波数変換器45は、受信信号に対して周波数変換を施してベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号に変換された受信信号をADC46へ出力する。
ADC46は、受信信号の入力を周波数変換器45から受ける。ADC46は、受信信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換された受信信号を信号処理部50の受信信号処理部52へ出力する。
送信信号処理部51は、歪補償部51a及び電圧定在波比(VSWR:Voltage Standing Wave Ratio)算出部51bを有する。歪補償部51aは、Digital Pre-Distortion(DPD)方式の歪補償を行う回路である。歪補償部51aは、各アンテナ系統のSW部(SW部20又はSW部40)によって選択されるフィードバック信号を用いて、対応する送信信号の歪を補償する。具体的には、歪補償部51aは、ベースバンド信号である送信信号の入力をBBU2から受ける。歪補償部51aは、各アンテナ系統のSW部(SW部20又はSW部40)によって選択されるフィードバック信号の入力を各アンテナ系統のADC(ADC23又はADC43)から受ける。歪補償部51aは、フィードバック信号と、対応する送信信号とを比較して差分を求め、求めた差分を0に近づける歪補償係数を算出し、算出した歪補償係数を用いて、対応する送信信号の歪を補償する。そして、歪補償部51aは、歪補償処理が施された送信信号を各アンテナ系統のDAC(DAC12又はDAC32)へ出力する。また、歪補償部51aは、歪補償係数の算出に用いられた、フィードバック信号と、対応する送信信号との差分を示す情報をSW制御部53へ出力する。
VSWR算出部51bは、各アンテナ系統のSW部(SW部20又はSW部40)によって選択される第1の反射信号又は第2の反射信号を用いて、対応するアンテナ(アンテナ11又はアンテナ31)のVSWRを算出する。具体的には、VSWR算出部51bは、ベースバンド信号である送信信号の入力をBBU2から受ける。VSWR算出部51bは、各アンテナ系統のSW部(SW部20又はSW部40)によって選択される第1の反射信号又は第2の反射信号の入力を各アンテナ系統のADC(ADC23又はADC43)から受ける。VSWR算出部51bは、送信信号に対する第1の反射信号又は第2の反射信号の電圧比率であるVSWRを算出する。VSWRは、定在波比の一例であり、VSWR算出部51bは、定在波比算出部の一例である。
また、送信信号処理部51は、時分割多重方式の送信区間のタイミングを制御する。そして、送信信号処理部51は、送信区間の開始タイミング及び終了タイミングを示す情報をSW制御部53へ出力する。
また、送信信号処理部51は、時分割多重方式の送信区間において、BBU2から入力される送信信号のデータ量に応じて、アンテナ系統10,30のうちいずれか一方を用いて信号の送信を行うか、又は、両方を用いて信号の送信を行うかを決定する。そして、送信信号処理部51は、決定した送信方式を示す情報をSW制御部53へ出力する。
受信信号処理部52は、時分割多重方式の受信区間のタイミングを制御する。そして、受信信号処理部52は、受信区間の開始タイミング及び終了タイミングを示す情報をSW制御部53へ出力する。
また、受信信号処理部52は、時分割多重方式の受信区間において、受信信号の入力を各アンテナ系統のADC(ADC26又はADC46)から受ける。そして、受信信号処理部52は、受信信号に対して所定の受信処理を施し、受信処理が施された受信信号をBBU2へ送信する。
SW制御部53は、各アンテナ系統のSW部(SW部20又はSW部40)を制御する。具体的には、SW制御部53は、アンテナ系統10,30のうち一つのアンテナ系統のSW部によって選択されるフィードバック信号を用いた送信信号の歪の補償が実行される場合に、以下の処理を行う。すなわち、SW制御部53は、一つのアンテナ系統の分岐器によって出力される第1の反射信号を用いたVSWRの算出が実行されるように、他のアンテナ系統のSW部を制御する。
ここで、SW制御部53の制御について、さらに詳細に説明する。例えば、アンテナ系統10のSW部20によってフィードバック信号が選択されることによって、アンテナ系統10に対応するフィードバック信号を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される場合を想定する。この場合、SW制御部53は、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号を用いたVSWRの算出が実行されるように、他のアンテナ系統であるアンテナ系統30のSW部40を制御する。具体的には、SW制御部53は、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号を選択する旨を指示する選択指令をSW部40のSW40bへ送出する。SW部40のSW40bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号を選択し、選択した第1の反射信号を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する。これにより、アンテナ系統10に対応するフィードバック信号を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される場合に、アンテナ系統10に対応する第1の反射信号を用いたVSWRの算出がVSWR算出部51bによって実行される。
また、例えば、アンテナ系統30のSW部40によってフィードバック信号が選択されることによって、アンテナ系統30に対応するフィードバック信号を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される場合を想定する。この場合、SW制御部53は、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号を用いたVSWRの算出が実行されるように、他のアンテナ系統であるアンテナ系統10のSW部20を制御する。具体的には、SW制御部53は、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号を選択する旨を指示する選択指令をSW部20のSW20bへ送出する。SW部20のSW20bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号を選択し、選択した第1の反射信号を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する。これにより、アンテナ系統30に対応するフィードバック信号を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される場合に、アンテナ系統30に対応する第1の反射信号を用いたVSWRの算出がVSWR算出部51bによって実行される。
また、SW制御部53は、時分割多重方式の送信区間において、アンテナ系統10,30のうち一つのアンテナ系統のSW部によって選択されるフィードバック信号を用いた送信信号の歪の補償が実行される場合に、他のアンテナ系統のSW部を制御する。
また、SW制御部53は、歪補償係数の算出に用いられた、フィードバック信号と、対応する送信信号との差分(以下単に「差分」という)を示す情報を歪補償部51aから受ける。そして、SW制御部53は、送信信号の歪の補償が実行され、かつ、差分が予め定められた閾値よりも大きい場合に、他のアンテナ系統のSW部を制御する。差分が予め定められた閾値よりも大きい場合、差分を0に近づける歪補償係数を算出するための時間が比較的に長くなり、時分割多重方式の送信区間において、VSWRを算出するための時間が残されない可能性がある。そこで、SW制御部53は、一つのアンテナ系統に対応する送信信号の歪の補償が実行され、かつ、差分が予め定められた閾値よりも大きい場合に、他のアンテナ系統のSW部を制御することによって、一つのアンテナ系統に対応するVSWRの算出を可能とする。
一方、SW制御部53は、送信信号の歪の補償が実行され、かつ、差分が予め定められた閾値以下である場合に、他のアンテナ系統のSW部の制御を停止し、送信信号の歪の補償が終了した後に、以下の処理を行う。すなわち、SW制御部53は、一つのアンテナ系統の分岐器によって出力される第2の反射信号を用いたVSWRの算出が実行されるように、一つのアンテナ系統のSW部を制御する。例えば、アンテナ系統10に対応する歪の補償が実行され、かつ、差分が予め定められた閾値以下である場合を想定する。この場合、差分を0に近づける歪補償係数を算出するための時間が比較的に短くなり、時分割多重方式の送信区間において、VSWRを算出するための時間が残存する可能性が高い。そこで、SW制御部53は、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号を用いたVSWRが実行されるように、アンテナ系統10のSW部20を制御する。具体的には、SW制御部53は、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号を選択する旨を指示する選択指令をSW部20のSW20a及びSW20bへ送出する。SW部20のSW20a及びSW20bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号を選択し、選択した第2の反射信号を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する。これにより、アンテナ系統10のみを用いて、送信信号の歪の補償及びVSWRの算出の両方が実行される。
次に、図3及び図4を参照して、RRH1による処理動作の一例について説明する。図3は、RRHによる処理動作の一例を説明するための図(その1)である。図3の例では、アンテナ系統10,30のうちアンテナ系統10のみを用いて信号の送受信が実行される場合の処理動作を説明するものとする。なお、アンテナ系統10,30のうちアンテナ系統10のみを用いて信号の送受信が実行される場合としては、例えば、報知情報等の、比較的にデータ量の小さい送信信号を外部装置へ送信する場合等が想定される。
例えば、時分割多重方式では、送信区間と、受信区間とが明確に区分されている。図3の最上段に示すように、送信区間(図3の例では、「TX」と記載)、受信区間(図3の例では、「RX」と記載)、送信区間、受信区間の順番で、区間が切り替えられるものとする。
図3の上から2段目に示すように、最初の送信区間が開始されると、SW制御部53は、送信信号のフィードバック信号FB0を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統10のSW部20へ送出する。SW部20のSW20a及びSW20bは、選択指令を受け付けると、フィードバック信号FB0を選択し、選択したフィードバック信号FB0を共通経路を介して送信信号処理部51の歪補償部51aへ出力する。これにより、アンテナ系統10に対応するフィードバック信号FB0を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される。
ここで、最初の送信区間が開始されてから所定数の送信区間が繰り返されるまでの前半区間(図3の例では、「A区間」と記載)では、フィードバック信号FB0の時間変動が比較的に大きいため、フィードバック信号FB0と、対応する送信信号との差分が大きくなる。すると、フィードバック信号FB0と、対応する送信信号との差分が予め定められた閾値よりも大きくなる。このため、差分を0に近づける歪補償係数の算出に費やされる時間が長くなり、結果として、送信信号の歪の補償に費やされる時間が長くなる。すると、A区間に含まれる各送信区間において、アンテナ系統10に対応するVSWRを算出するための時間が残されない可能性がある。
そこで、図3の最下段に示すように、SW制御部53は、A区間に含まれる各送信区間において、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号V0を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統30のSW部40へ送出する。SW部40のSW40bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号V0を選択し、選択した第1の反射信号V0を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する。これにより、アンテナ系統10に対応するフィードバック信号FB0を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される場合に、アンテナ系統10に対応する第1の反射信号V0を用いたVSWRの算出がVSWR算出部51bによって実行される。
また、A区間の後の区間(図3の例では、「B区間」と記載)では、フィードバック信号FB0の時間変動が比較的に小さいため、フィードバック信号FB0と、対応する送信信号との差分が小さくなる。すると、フィードバック信号FB0と、対応する送信信号との差分が予め定められた閾値以下となる。このため、差分を0に近づける歪補償係数の算出に費やされる時間が短くなり、結果として、送信信号の歪の補償に費やされる時間が短くなる。すると、B区間に含まれる各送信区間において、アンテナ系統10に対応するVSWRを算出するための時間が残存する可能性が高い。
そこで、図3の上から2段目に示すように、SW制御部53は、B区間に含まれる各送信区間において、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号V0´を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統10のSW部20へ送出する。SW部20のSW20a及びSW20bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号V0´を選択し、選択した第2の反射信号V0´を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する。これにより、アンテナ系統10のみを用いて、アンテナ系統10に対応する送信信号の歪の補償及びVSWRの算出の両方が実行される。
図4は、RRHによる処理動作の一例を説明するための図(その2)である。図4の例では、図3に示した処理動作の後に、アンテナ系統10,30の両方を用いて信号の送受信が実行される場合の処理動作を説明するものとする。なお、アンテナ系統10,30の両方を用いて信号の送受信が実行される場合としては、例えば、MIMO(Multiple-Input and Multiple-Output)通信方式によって、比較的にデータ量の大きい送信信号を外部装置へ送信する場合等が想定される。また、図4では、図3のB区間の後の区間を「C区間」と記載し、C区間の後の区間を「D区間」と記載するものとする。
図4の上から2段目に示すように、SW制御部53は、C区間に含まれる各送信区間において、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号V0´を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統10のSW部20へ送出する。SW部20のSW20a及びSW20bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号V0´を選択し、選択した第2の反射信号V0´を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する。これにより、アンテナ系統10のみを用いて、アンテナ系統10に対応する送信信号の歪の補償及びVSWRの算出の両方が実行される。
また、図4の上から3段目に示すように、SW制御部53は、C区間に含まれる各送信区間において、送信信号のフィードバック信号FB1を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統30のSW部40へ送出する。SW部40のSW40a及びSW40bは、選択指令を受け付けると、フィードバック信号FB1を選択し、選択したフィードバック信号FB1を共通経路を介して送信信号処理部51の歪補償部51aへ出力する。これにより、アンテナ系統30に対応するフィードバック信号FB1を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される。
ここで、C区間では、フィードバック信号FB1の時間変動が比較的に大きいため、フィードバック信号FB1と、対応する送信信号との差分が大きくなる。すると、フィードバック信号FB1と、対応する送信信号との差分が予め定められた閾値よりも大きくなる。このため、差分を0に近づける歪補償係数の算出に費やされる時間が長くなり、結果として、送信信号の歪の補償に費やされる時間が長くなる。すると、C区間に含まれる各送信区間において、アンテナ系統30に対応するVSWRを算出するための時間が残されない可能性がある。
そこで、図4の上から2段目に示すように、SW制御部53は、C区間に含まれる各送信区間において、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号V1を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統10のSW部20へ送出する。SW部20のSW20bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号V1を選択し、選択した第1の反射信号V1を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する。これにより、アンテナ系統30に対応するフィードバック信号FB1を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される場合に、アンテナ系統30に対応する第1の反射信号V1を用いたVSWRの算出がVSWR算出部51bによって実行される。
また、C区間の後の区間(図4の例では、「D区間」と記載)では、フィードバック信号FB1の時間変動が比較的に小さいため、フィードバック信号FB1と、対応する送信信号との差分が小さくなる。すると、フィードバック信号FB1と、対応する送信信号との差分が予め定められた閾値以下となる。このため、差分を0に近づける歪補償係数の算出に費やされる時間が短くなり、結果として、送信信号の歪の補償に費やされる時間が短くなる。すると、D区間に含まれる各送信区間において、アンテナ系統30に対応するVSWRを算出するための時間が残存する可能性が高い。
そこで、図4の最下段に示すように、SW制御部53は、D区間に含まれる各送信区間において、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第2の反射信号V1´を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統30のSW部40へ送出する。SW部40のSW40a及びSW40bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第2の反射信号V1´を選択し、選択した第2の反射信号V1´を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する。これにより、アンテナ系統30のみを用いて、アンテナ系統30に対応する送信信号の歪の補償及びVSWRの算出の両方が実行される。
次に、図5及び図6を参照して、RRH1における信号の選択処理について説明する。図5は、RRHにおける信号の選択処理の流れを示すフローチャート(その1)である。なお、図5に示す信号の選択処理は、図3に示した処理動作に対応するものとする。
図5に示すように、送信区間が到来すると(S101肯定)、SW制御部53は、送信信号のフィードバック信号FB0を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統10のSW部20へ送出する。SW部20のSW20a及びSW20bは、選択指令を受け付けると、フィードバック信号FB0を選択し、選択したフィードバック信号FB0を共通経路を介して送信信号処理部51の歪補償部51aへ出力する(S102)。これにより、アンテナ系統10に対応するフィードバック信号FB0を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される。
SW制御部53は、歪補償係数の算出に用いられた、フィードバック信号FB0と、対応する送信信号との差分を示す情報を歪補償部51aから受ける。SW制御部53は、差分が予め定められた閾値以下である場合(S103否定)、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号V0´を選択する旨を指示する選択指令をSW部20のSW20a及びSW20bへ送出する。SW部20のSW20a及びSW20bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号V0´を選択し、第2の反射信号V0´を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する(S104)。これにより、アンテナ系統10のみを用いて、送信信号の歪の補償及びVSWRの算出の両方が実行される。
一方、SW制御部53は、差分が予め定められた閾値よりも大きい場合(S103肯定)、アンテナ系統10に対応するVSWRを算出するための時間が残存するか否かを判定する(S105)。SW制御部53は、アンテナ系統10に対応するVSWRを算出するための時間が残存する場合(S105肯定)、処理をS102に戻し、フィードバック信号FB0の選択を継続する。
SW制御部53は、アンテナ系統10に対応するVSWRを算出するための時間が残存しない場合(S105否定)、以下の処理を行う。すなわち、SW制御部53は、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号V0を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統30のSW部40へ送出し(S106)、処理をS102に戻し、フィードバック信号FB0の選択を継続する。
アンテナ系統30のSW部40は、SW制御部30からの選択指令を受け付けていない場合(S107否定)、そのまま処理を終了する。SW部40のSW40bは、選択指令を受け付けると(S107肯定)、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第1の反射信号V0を選択し、第1の反射信号V0を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する(S108)。これにより、アンテナ系統10に対応するフィードバック信号FB0を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される場合に、アンテナ系統10に対応する第1の反射信号V0を用いたVSWRの算出がVSWR算出部51bによって実行される。
図6は、RRHにおける信号の選択処理の流れを示すフローチャート(その2)である。なお、図6に示す信号の選択処理は、図4に示した処理動作に対応するものとする。
図6に示すように、送信区間が到来すると(S111肯定)、SW制御部53は、送信信号のフィードバック信号FB1を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統30のSW部40へ送出する。SW部40のSW40a及びSW40bは、選択指令を受け付けると、フィードバック信号FB1を選択し、選択したフィードバック信号FB1を共通経路を介して送信信号処理部51の歪補償部51aへ出力する(S112)。これにより、アンテナ系統30に対応するフィードバック信号FB1を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される。
SW制御部53は、歪補償係数の算出に用いられた、フィードバック信号FB1と、対応する送信信号との差分を示す情報を歪補償部51aから受ける。SW制御部53は、差分が予め定められた閾値以下である場合(S113否定)、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第2の反射信号V1´を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統30のSW部40へ送出する。SW部40のSW40a及びSW40bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第2の反射信号V1´を選択し、第2の反射信号V1´を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する(S114)。これにより、アンテナ系統30のみを用いて、アンテナ系統30に対応する送信信号の歪の補償及びVSWRの算出の両方が実行される。
一方、SW制御部53は、差分が予め定められた閾値よりも大きい場合(S113肯定)、アンテナ系統30に対応するVSWRを算出するための時間が残存するか否かを判定する(S115)。SW制御部53は、アンテナ系統30に対応するVSWRを算出するための時間が残存する場合(S115肯定)、処理をS112に戻し、フィードバック信号FB1の選択を継続する。
SW制御部53は、アンテナ系統30に対応するVSWRを算出するための時間が残存しない場合(S115否定)、以下の処理を行う。すなわち、SW制御部53は、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号V1を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統10のSW部20へ送出し(S116)、処理をS112に戻し、フィードバック信号FB1の選択を継続する。
また、送信区間が到来すると(S111肯定)、SW制御部53は、送信信号のフィードバック信号FB0を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統10のSW部20へ送出する。SW部20のSW20a及びSW20bは、選択指令を受け付けると、フィードバック信号FB0を選択し、選択したフィードバック信号FB0を共通経路を介して送信信号処理部51の歪補償部51aへ出力する(S117)。これにより、アンテナ系統10に対応するフィードバック信号FB0を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される。
SW制御部53は、歪補償係数の算出に用いられた、フィードバック信号FB0と、対応する送信信号との差分が予め定められた閾値以下であるため、以下の処理を行う。すなわち、SW制御部53は、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号V0´を選択する旨を指示する選択指令をアンテナ系統10のSW部20へ送出する。SW部20のSW20a及びSW20bは、選択指令を受け付けると、アンテナ系統10の分岐器19によって出力される第2の反射信号V0´を選択し、第2の反射信号V0´を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する(S118)。これにより、アンテナ系統10のみを用いて、アンテナ系統10に対応する送信信号の歪の補償及びVSWRの算出の両方が実行される。
アンテナ系統10のSW部20は、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号V1を選択する旨を指示する選択指令をSW制御部30から受け付けていない場合(S119否定)、そのまま処理を終了する。SW部20のSW20bは、選択指令を受け付けると(S119肯定)、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号V1を選択し、第1の反射信号V1を共通経路を介して送信信号処理部51のVSWR算出部51bへ出力する(S120)。これにより、アンテナ系統30に対応するフィードバック信号FB1を用いた送信信号の歪の補償が歪補償部51aによって実行される場合に、アンテナ系統30に対応する第1の反射信号V1を用いたVSWRの算出がVSWR算出部51bによって実行される。
以上のように、本実施例のRRH1は、アンテナ系統10,30のうち一つのアンテナ系統によって選択されるフィードバック信号を用いた歪の補償が実行される場合に、他のアンテナ系統のSW部を制御して、一つのアンテナ系統に対応するVSWRを算出する。これにより、歪の補償とVSWRの算出とを両立することができる。
例えば、本実施例のRRH1は、一つのアンテナ系統によって選択されるフィードバック信号と、対応する送信信号との差分が予め定められた閾値よりも大きい場合に、他のアンテナ系統のSW部を制御して、一つのアンテナ系統に対応するVSWRを算出する。これにより、上記の差分を0に近づける歪補償係数を算出するための時間が比較的に長くなる場合であっても、他のアンテナ系統を用いて、一つのアンテナ系統に対応するVSWRを算出することが可能となる。その結果、本実施例のRRH1によれば、歪補償特性の劣化を抑制し、かつ、VSWRの算出精度を維持することができる。
実施例2では、各アンテナ系統のSW部が受信信号を選択し得る点が、実施例1と異なる。そこで、以下では、各アンテナ系統のSW部が受信信号を選択し得る点について主に説明する。
図7は、実施例2におけるRRHの詳細を示すブロック図である。なお、実施例2において実施例1と同様の符号を有する各部は、特に説明の無い限り実施例1と同様の機能を有するものとする。
図7に示すように、RRH100は、アンテナ系統110,130及び信号処理部150を有する。また、信号処理部150は、図2に示したSW制御部53に代えて、SW制御部153を有する。また、信号処理部150は、SW154及びSW155を新たに有する。
アンテナ系統110は、図2に示したSW部20に代えて、SW部120を有する。また、アンテナ系統110は、図2に示した周波数変換器22及び周波数変換器25に代えて、周波数変換器122を有する。また、アンテナ系統110は、図2に示したADC23及びADC26に代えて、ADC123を有する。また、アンテナ系統110は、図2に示したATT21を有さない。
SW部120は、第2の反射信号、アンテナ系統130の分岐器39によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号を選択し、選択した信号を共通経路を介して出力する。具体的には、SW部120は、SW120a及びSW120bを有する。
SW120aは、フィードバック信号の入力をCPL15から受け、受信信号の入力をLNA24から受ける。SW120aは、フィードバック信号又は受信信号を選択し、選択したフィードバック信号又は受信信号をSW120bへ出力する。
SW120bは、フィードバック信号又は受信信号の入力をSW120aから受け、第2の反射信号の入力を分岐器19から受け、アンテナ系統130の分岐器39によって出力される第1の反射信号の入力をアンテナ系統30の分岐器39から受ける。SW120bは、第2の反射信号、アンテナ系統130の分岐器39によって出力される第1の反射信号、フィードバック信号又は受信信号を選択し、選択した信号を周波数変換器122へ出力する。SW120bから周波数変換器122へ出力された信号は、周波数変換器122及びADC123を介してアンテナ系統110から出力され、信号処理部150のSW154へ入力される。
このように、SW部120は、SW120a及びSW120bを用いて、第2の反射信号、アンテナ系統30の分岐器39によって出力される第1の反射信号、フィードバック信号又は受信信号1を選択する。そして、SW部120は、選択した信号を、共通経路である、周波数変換器122及びADC123を介して、信号処理部150のSW154へ出力する。このように、周波数変換器122及びADC123が共通経路として共用されることによって、アンテナ系統110の回路規模が削減される。
なお、SW部120における信号の選択は、後述するSW制御部153によって制御される。SW部120は、選択部の一例である。
周波数変換器122は、SW部120によって選択される、第2の反射信号、アンテナ系統130の分岐器39によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号の入力を受ける。周波数変換器122は、第2の反射信号、アンテナ系統130の分岐器39によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号に対して周波数変換を施してベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号に変換された信号をADC123へ出力する。
ADC123は、第2の反射信号、アンテナ系統130の分岐器39によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号の入力を周波数変換器122から受ける。ADC123は、第2の反射信号、アンテナ系統130の分岐器39によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換された信号を信号処理部150のSW154へ出力する。
アンテナ系統130は、図2に示したSW部40に代えて、SW部140を有する。また、アンテナ系統130は、図2に示した周波数変換器42及び周波数変換器45に代えて、周波数変換器142を有する。また、アンテナ系統130は、図2に示したADC43及びADC46に代えて、ADC143を有する。また、アンテナ系統130は、図2に示したATT41を有さない。
SW部140は、第2の反射信号、アンテナ系統110の分岐器19によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号を選択し、選択した信号を共通経路を介して出力する。具体的には、SW部140は、SW140a及びSW140bを有する。
SW140aは、フィードバック信号の入力をCPL35から受け、受信信号の入力をLNA44から受ける。SW140aは、フィードバック信号又は受信信号を選択し、選択したフィードバック信号又は受信信号をSW140bへ出力する。
SW140bは、フィードバック信号又は受信信号の入力をSW140aから受け、第2の反射信号の入力を分岐器39から受け、アンテナ系統110の分岐器19によって出力される第1の反射信号の入力をアンテナ系統110の分岐器19から受ける。SW140bは、第2の反射信号、アンテナ系統110の分岐器19によって出力される第1の反射信号、フィードバック信号又は受信信号を選択し、選択した信号を周波数変換器142へ出力する。SW140bから周波数変換器142へ出力された信号は、周波数変換器142及びADC143を介してアンテナ系統130から出力され、信号処理部150のSW155へ入力される。
このように、SW部140は、SW140a及びSW140bを用いて、第2の反射信号、アンテナ系統110の分岐器19によって出力される第1の反射信号、フィードバック信号又は受信信号を選択する。そして、SW部140は、選択した信号を、共通経路である、周波数変換器142及びADC143を介して、信号処理部150のSW155へ出力する。このように、周波数変換器142及びADC143が共通経路として共用されることによって、アンテナ系統130の回路規模が削減される。
なお、SW部140における信号の選択は、後述するSW制御部153によって制御される。SW部140は、選択部の一例である。
周波数変換器142は、SW部140によって選択される、第2の反射信号、アンテナ系統110の分岐器19によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号の入力を受ける。周波数変換器142は、第2の反射信号、アンテナ系統110の分岐器19によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号に対して周波数変換を施してベースバンド信号に変換し、ベースバンド信号に変換された信号をADC143へ出力する。
ADC143は、第2の反射信号、アンテナ系統110の分岐器19によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号の入力を周波数変換器142から受ける。ADC143は、第2の反射信号、アンテナ系統110の分岐器19によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号をディジタル信号に変換し、ディジタル信号に変換された信号を信号処理部50のSW155へ出力する。
SW154は、SW制御部153の制御に従って、ADC123からの信号を送信信号処理部51又は受信信号処理部52へ選択的に出力する。
SW155は、SW制御部153の制御に従って、ADC143からの信号を送信信号処理部51又は受信信号処理部52へ選択的に出力する。
SW制御部153は、基本的には、図2に示したSW制御部53と同様の機能を有する。さらに、SW制御部153は、各アンテナ系統のSW部(SW部120又はSW部140)によって選択される受信信号を受信信号処理部52に入力させる。例えば、SW制御部153は、時分割多重方式の受信区間において、SW154を制御して、ADC123からの受信信号を受信信号処理部52に入力させ、SW155を制御して、ADC143からの受信信号を受信信号処理部52に入力させる。
また、SW制御部153は、各アンテナ系統のSW部(SW部120又はSW部140)によって選択される受信信号以外の信号を送信信号処理部51に入力させる。例えば、SW制御部153は、時分割多重方式の送信区間において、SW154を制御して、第2の反射信号、アンテナ系統130の分岐器39によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号を送信信号処理部51に入力させる。また、例えば、SW制御部153は、時分割多重方式の送信区間において、SW155を制御して、第2の反射信号、アンテナ系統110の分岐器19によって出力される第1の反射信号、又は送信信号のフィードバック信号を送信信号処理部51に入力させる。
以上のように、本実施例のRHH100において、各アンテナ系統のSW部は、第2の反射信号、他のアンテナ系統の分岐器によって出力される第1の反射信号、送信信号のフィードバック信号、又は受信信号を選択し、選択した信号を共通経路を介して出力する。そして、本実施例のRHH100は、各アンテナ系統のSW部によって選択される受信信号を受信信号処理部に入力させる。これにより、反射信号、送信信号のフィードバック信号又は受信信号を1つの経路を用いて出力することができ、結果として、RHH全体の回路規模を削減することが可能となる。
なお、上述の説明では、RHHが2つのアンテナ系統(アンテナ系統10,30又はアンテナ系統110,130)を有する例を示したが、アンテナ系統の個数は、2つに限られず、3つ以上であってもよい。
1、100 RHH
10、30、110、130 アンテナ系統
11、31 アンテナ
19、39 分岐器
20、40、120、140 SW部
51a 歪補償部
51b VSWR算出部
53、153 SW制御部

Claims (5)

  1. アンテナと、送信信号が前記アンテナで反射されて得られる反射信号を第1の反射信号及び第2の反射信号に分岐し、前記第1の反射信号を他のアンテナ系統へ出力する分岐部と、前記第2の反射信号、他のアンテナ系統の前記分岐部によって出力される前記第1の反射信号、又は前記送信信号のフィードバック信号を選択し、選択した信号を共通経路を介して出力する選択部とをそれぞれ有する複数のアンテナ系統と、
    各前記アンテナ系統の前記選択部によって選択される前記フィードバック信号を用いて、前記送信信号の歪を補償する歪補償部と、
    各前記アンテナ系統の前記選択部によって選択される前記第1の反射信号又は前記第2の反射信号を用いて、定在波比を算出する定在波比算出部と、
    前記複数のアンテナ系統のうち一つのアンテナ系統の前記選択部によって選択される前記フィードバック信号を用いた前記送信信号の歪の補償が実行される場合に、前記一つのアンテナ系統の前記分岐部によって出力される前記第1の反射信号を用いた前記定在波比の算出が実行されるように、他のアンテナ系統の前記選択部を制御する制御部と
    を備えることを特徴とする無線装置。
  2. 前記歪補償部は、各前記アンテナ系統の前記選択部によって選択される前記フィードバック信号と、対応する前記送信信号との差分を0に近づける歪補償係数を算出し、算出した歪補償係数を用いて、前記送信信号の歪を補償し、
    前記制御部は、前記一つのアンテナ系統の前記選択部によって選択される前記フィードバック信号と、対応する前記送信信号との差分が予め定められた閾値よりも大きい場合に、前記他のアンテナ系統の前記選択部を制御することを特徴とする請求項1に記載の無線装置。
  3. 前記制御部は、前記差分が予め定められた閾値以下である場合に、前記他のアンテナ系統の前記選択部の制御を停止し、前記送信信号の歪の補償が終了した後に、前記第2の反射信号を用いた前記定在波比の算出が実行されるように、前記一つのアンテナ系統の前記選択部を制御することを特徴とする請求項2に記載の無線装置。
  4. 各前記アンテナ系統の前記選択部は、前記第2の反射信号、他のアンテナ系統の前記分岐部によって出力される前記第1の反射信号、前記送信信号のフィードバック信号、又は受信信号を選択し、選択した信号を前記共通経路を介して出力し、
    前記制御部は、さらに、各前記アンテナ系統の前記選択部によって選択される前記受信信号を、所定の受信処理を行う受信信号処理部に入力させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の無線装置。
  5. 前記無線装置は、時分割多重方式が適用された無線装置であり、
    前記制御部は、前記時分割多重方式の送信区間において、前記送信信号の歪の補償が実行される場合に、前記他のアンテナ系統の前記選択部の制御を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の無線装置。
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