JP2017003154A - 太陽熱マグネシウム還元炉 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転式でない高温ガスの送風手段を用いた太陽熱マグネシウム還元炉を提供する。
【解決手段】耐熱送風手段10が耐熱製材料により形成されたダイアフラムポンプ構造であるため、回転機構がなく、耐熱製材料によるストローク運動だけで送風できるため、水冷が不要である。簡単な構造であるため故障が少なくメンテナンスも容易である。
【選択図】 図1

Description

本発明は太陽熱マグネシウム還元炉に関するものである。
環境に負荷を与えることのないクリーンエネルギーとしての太陽光を集光し、その集光した太陽光を熱エネルギーに変換することで非常に高い温度を作り出し、その熱により高温の反応環境が必要とされる所定の反応物の化学反応を進行させるようにした太陽熱反応炉が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方でマグネシウム金属を利用したマグネシウム電池が知られている。マグネシウム金属を負極として電解液中に浸漬させることにより起電力を発生させる一次電池である。このマグネシウム電池では使用後に不溶酸化物(水酸化マグネシウム)が生じる。その不溶酸化物を太陽熱により還元して再度マグネシウム金属に復元することで電池として繰り返し利用することが望まれている。
酸化物の還元にはレトルトという筒型の鋼製容器が使用される。このレトルト内にマグネシウムの酸化物と還元剤とを入れて高温(約1200℃)に加熱することにより還元されて、マグネシウムだけが気化してレトルトの一端の冷却部に凝固し回収される。この太陽炉を太陽熱マグネシウム還元炉という。
太陽熱マグネシウム還元炉内の高温ガスは循環する必要があり、回転するタービン或いは回転することにより高温ガスを送出するポンプが用いられる。このような高温ガスのポンプでは高温ガスに直接接触するインペラを回転軸の一端に固定し、その回転軸を転がり軸受により回転自在に支持した構造が一般的に採用されている。転がり軸受の高温化を防止するため、回転軸の周囲には水冷ジャケットが形成され、冷却水を循環することで回転軸周辺を冷却している
特開2010-144956号公報
しかしながら、このような関連技術にあっては、水冷ジャケット構造により回転軸周辺を冷却する構造になっているものの、装置の構造によっては大きな面積の水冷ジャケット構造を設けられない場合がある。
また近年太陽熱利用技術分野において太陽集光により1000℃以上の高温ガスを作りだし、その高温ガスを必要な場所に送るために高温に耐えられるポンプが必要となるが、このようなタイプのポンプの場合、全ての冷却に水冷ジャケットを採用すると構造が複雑になりすぎるため、水冷に頼らない新規な耐熱送風手段が求められる。
本発明は、このような関連技術に着目してなされたものであり、回転式でない高温ガスの送風手段を用いた太陽熱マグネシウム還元炉を提供することを目的としている。
本発明の第1の側面によれば、ヘリオスタットにより反射された太陽光が入光する耐熱性の透明窓が上部に形成され且つ複数のレトルトの加熱部を挿入可能な加熱室と、加熱室に気体を循環可能な送風通路と、送風通路の途中に設けられた耐熱送風手段とから成ることを特徴とする太陽熱マグネシウム還元炉であって、前記耐熱送風手段が耐熱製材料により形成されたダイアフラムポンプ構造であることを特徴とする。
本発明の第2の側面によれば、耐熱送風手段が、駆動部により往復動するストローク板を内部に有するシリンダ部と、一方への逆止弁を有する吐出口と吸込口を備えた構造であることを特徴とする。
本発明の第3の側面によれば、加熱室に循環される気体が不活性ガスであることを特徴とする。
本発明の第1の側面によれば、耐熱送風手段が耐熱製材料により形成されたダイアフラムポンプ構造であるため、回転機構がなく、耐熱製材料によるストローク運動だけで送風できるため、水冷の必要がない。
本発明の第2の側面によれば、駆動部により往復動するストローク板を内部に有するシリンダ部と、一方への逆止弁を有する吐出口と吸込口を備えた簡単な構造であるため、故障が少なくメンテナンスも容易である。
本発明の第3の側面によれば、加熱室に循環される気体が不活性ガスであるため、気体が接する設備の金属を酸化させない。
本発明の実施形態に係る太陽熱マグネシウム還元炉を示す断面図。 加熱室を示す斜視図。 耐熱送風手段の吸入状態を示す断面図。 耐熱送風手段の吐出状態を示す断面図。
図1及〜図4は本発明の好適な実施形態を示す図である。
ビームダウン式の太陽集光装置の場合上から下向きに太陽光が集光する。その集光点付近に太陽熱マグネシウム還元炉1が設置されている。太陽熱マグネシウム還元炉1自体は矩形状で、その上部に円形の開口2が形成されている。
開口2上部には筒型集光鏡3が設置されている。筒型集光鏡3は上部開口よりも下部開口の方が小さく且つ内面が鏡面とされた構造をしている。この筒型集光鏡3内に太陽光Lが取り入れられる。
太陽熱マグネシウム還元炉1内には基本的に矩形の加熱室4が形成されている。この加熱室4の底部はロート状に傾斜している。加熱室4は上部が開口2に対応する円形の透明窓5となっている。この透明窓5は耐熱性を有する石英硝子製で二重に形成されており、その間の空間に冷却空気が循環するようになっている。
加熱室4の内壁は耐熱レンガ6で形成され、その外側は断熱材料7にて形成されている。加熱室4の上部と底部との間には送風通路8が形成されている。送風通路8の途中には耐熱送風手段10とガスバーナー(加熱手段)9が設けられている。
この送風通路8及び加熱室4には、耐熱粒子(炭化ケイ素)を混合した窒素ガス(不活性ガス)11が循環される。
太陽熱マグネシウム還元炉1には側面から6本のレトルト12が挿入できるようになっている。レトルト12は先端側の主要部が加熱部13で、基端側が冷却部14である。冷却部14は加熱室4内に挿入されず水冷等により冷却される。レトルト12内には酸化マグネシウムと還元剤が入れられている。
耐熱粒子が混合された窒素ガス11は加熱室4内で上から下向きに循環する。その下向きに循環する耐熱粒子に対して透明窓5から入射した太陽光Lが当たり、耐熱粒子自体が加熱される。そのためその耐熱粒子が混合された窒素ガス11も高温化する。1200℃程度まで加熱される。
6本のレトルト12は高温で循環する窒素ガス11内に臨まされているため、全体が均一に加熱される。従ってレトルト12の加熱部13内で酸化マグネシウムは還元されて金属マグネシウムとして気化し、基端側の冷却部14で凝固して金属マグネシウムに戻る。耐熱粒子が炭化ケイ素粒子であるため、加熱室4内を必要に応じて高温雰囲気(最高1500℃程度まで)にすることができる。
雨天など太陽光Lがない場合は、バックアップ用のガスバーナー9で窒素ガス11を加熱する。加熱室4に循環される気体が窒素ガス(不活性ガス)11であるため、気体が接する設備の金属を酸化させない。
次に図3及び図4を用いて耐熱送風手段10の構造を説明する。
耐熱送風手段10はダイアフラムポンプ構造で、駆動部15により往復動するストローク板16を内部に有するシリンダ部17を備えている。耐熱送風手段10は送風通路8の途中に介在しており、上下に吐出口18と吸込口19を有する。それぞれ全ての構成部品が耐熱製材料に形成されている。
吐出口18と吸込口19には上方への流れだけを許容する逆止弁20、21がそれぞれ設けられている。従って、ストローク板16を往復動させることにより、窒素ガス11は上方だけに流れる。
耐熱送風手段10が耐熱製材料により形成されたダイアフラムポンプ構造であるため、回転機構がなく、耐熱製材料によるストローク運動だけで送風できるため、水冷が不要である。また簡単な構造であるため故障が少なくメンテナンスも容易である。
1 太陽熱マグネシウム還元炉
4 加熱室
8 送風通路
9 ガスバーナー
10 耐熱送風手段)
11 窒素ガス(不活性ガス)
12 レトルト
15 駆動部
16 ストローク板
17 シリンダ部
18 吐出口
19 吸込口
20、21逆止弁
L 太陽光

Claims (3)

  1. ヘリオスタットにより反射された太陽光が入光する耐熱性の透明窓が上部に形成され且つ複数のレトルトの加熱部を挿入可能な加熱室と、加熱室に気体を循環可能な送風通路と、送風通路の途中に設けられた耐熱送風手段とを具備する太陽熱マグネシウム還元炉であって、
    前記耐熱送風手段が耐熱製材料により形成されたダイアフラムポンプ構造であることを特徴とする太陽熱マグネシウム還元炉。
  2. 耐熱送風手段が、駆動部により往復動するストローク板を内部に有するシリンダ部と、一方への逆止弁を有する吐出口と吸込口を備えた構造であることを特徴とする請求項1記載の太陽熱マグネシウム還元炉。
  3. 加熱室に循環される気体が不活性ガスであることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の太陽熱マグネシウム還元炉。
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