JP2017000110A - イオン液体、グルコースの製造方法及びエタノールの製造方法 - Google Patents

イオン液体、グルコースの製造方法及びエタノールの製造方法 Download PDF

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浩介 黒田
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憲司 高橋
恭平 宮村
Kyohei Miyamura
恭平 宮村
一章 仁宮
Kazuaki Nimiya
一章 仁宮
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Abstract

【課題】本発明は、イオン液体を使用したセルロースの加水分解によって形成したグルコースをイオン液体及びフラン類から容易に分離することのできる方法を提供することを課題とする。
【解決手段】前記課題は、疎水性酸性イオン液体からなる疎水性相と親水性溶媒からなる親水性相とから構成される二相系においてセルロースを加水分解することによって解決することができる。
【選択図】なし

Description

本発明はイオン液体、特に疎水性カチオンと酸性アニオンとを含むイオン液体に関する。また、本発明は前記イオン液体を使用したグルコースの製造方法に関する。更に、本発明は前記グルコースの製造方法により製造されたグルコースを使用したエタノールの製造方法に関する。
化石燃料の枯渇に対する懸念から、代替燃料としてバイオ燃料、特にバイオエタノールへの期待が高まっている。近年、バイオエタノールの製造のためにトウモロコシやサトウキビ等の穀物が使用されていたが、これらの穀物に対する需要が急増した結果、食糧や家畜飼料の価格が高沸するという問題が生じていた。そのため、食糧や家畜飼料と競合しない木材や草等からバイオエタノールを製造することが求められている。
木材や草等に含まれるセルロースからバイオエタノールを製造するためには、セルロースを糖に分解(糖化)し、得られた糖をエタノールに変換する必要がある。糖化の方法としては、例えば、硫酸による加水分解法(酸糖化法)、亜臨界水による水熱糖化法、セルラーゼによる酵素糖化法等が知られている。特許文献1及び2は、酵素糖化法として、セルロース含有材料を含む疎水性イオン液体相と親水性溶媒相とから構成される二相系において、セルラーゼを使用してセルロース含有材料のセルロースを分解する方法を開示している。
また、イオン液体によるセルロースの分解方法も知られている。例えば、非特許文献1〜3は、イオン液体を使用してセルロースを分解する方法を開示している。
特開2010−220490号公報 特開2012−55167号公報
J. Am. Chem. Soc., 2002, 124, 4974-4975 Industrial & Engineering Chemistry Research, 2009, 48, 10152-10155 Industrial & Engineering Chemistry Research, 2011, 50, 12276-12280
イオン液体を使用することにより、硫酸による加水分解法と比較して、より効率的にセルロースを分解できることが知られている。しかしながら、イオン液体を使用した方法では次の問題が存在していた。即ち、(1)糖化により生じたグルコースをエタノールへ変換するエタノール発酵菌をイオン液体が阻害すること;(2)イオン液体とグルコースとの分離が困難であること;及び(3)グルコースの過分解により、エタノール発酵阻害物質であるHMF(5−ヒドロキシメチルフルフラール)、フルフラール等(以下「フラン類」という)が生じること;等の問題が存在していた。
本発明は前記の問題に鑑みてなされたものであり、セルロースの分解後にグルコースをイオン液体及びフラン類から容易に分離することのできる方法論を提供することを目的とする。
本発明者等は、第1に、イオン液体に酸性の性質を持たせることにより、イオン液体によるセルロースの効率的な分解を可能にした。第2に、イオン液体に疎水性の性質を持たせることにより、イオン液体と親水性溶媒とを用いて二相系を構成することを可能とした。これにより、親水性のグルコースをイオン液体相から親水性溶媒相に移行させる一方で、疎水性のフラン類はイオン液体相に保持させることができる。この結果、イオン液体及びフラン類の大部分が除去されたグルコースを容易に得ることが可能となる。
即ち、本発明は以下の発明を包含する。
[1]
疎水性酸性イオン液体からなる疎水性相と親水性溶媒からなる親水性相とから構成される二相系においてセルロースを加水分解してグルコースを形成する加水分解工程を含む、グルコースの製造方法。
[2]
加水分解工程後にグルコースを含む親水性相を疎水性相から分離する分離工程を更に含む、[1]に記載の製造方法。
[3]
疎水性酸性イオン液体からなる疎水性相においてセルロースを加水分解してグルコースを形成する加水分解工程を含む、グルコースの製造方法。
[4]
加水分解工程後に疎水性相と親水性溶媒とを混合することにより、疎水性相と親水性溶媒からなる親水性相とから構成される二相系を形成し、グルコースを疎水性相から親水性相に移行させ、グルコースを含む親水性相を疎水性相から分離する分離工程を更に含む、[3]に記載の製造方法。
[5]
疎水性酸性イオン液体が疎水性カチオンと酸性アニオンとを含むイオン液体である、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
疎水性カチオンが置換又は非置換の炭素数2〜20のアルキル基を有するカチオンである、[5]に記載の製造方法。
[7]
疎水性カチオンが以下の式:
Figure 2017000110
[式中、
〜Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数2〜20のアルキル基であり、
はホスホニウムカチオン又はアンモニウムカチオンである]
で表されるカチオンである、[6]に記載の製造方法。
[8]
酸性アニオンが無機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオンである、[5]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]
無機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオンが硫酸に由来するアニオン(HSO )である、[8]に記載の製造方法。
[10]
親水性溶媒が水である、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]
[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法により製造されたグルコースをエタノールに変換する変換工程を含む、エタノールの製造方法。
[12]
以下の式:
Figure 2017000110
[式中、
〜Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数2〜20のアルキル基であり、
は無機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオンである]
で表されるイオン液体。
本発明によればイオン液体及びフラン類の大部分が除去されたグルコースを容易に得ることができる。
所定の加水分解温度における反応時間とグルコース収率との関係を示す。 所定の疎水性酸性イオン液体の割合における反応時間とグルコース収率との関係を示す。
以下、本発明について詳細に説明する。
<グルコースの製造方法>
本発明の第1の実施形態は、疎水性酸性イオン液体からなる疎水性相と親水性溶媒からなる親水性相とから構成される二相系においてセルロースを加水分解してグルコースを形成する加水分解工程を含む、グルコースの製造方法に関する。前記製造方法は、加水分解工程後にグルコースを含む親水性相を疎水性相から分離する分離工程を更に含むことが好ましい。分離工程において残された疎水性相は加水分解工程において再利用することができる。
第1の実施形態では、二相系においてセルロースを加水分解する。二相系の疎水性相を構成する疎水性酸性イオン液体は、酸性の性質を有するため、セルロースを効率的に加水分解してグルコースを形成することができる。そのため、セルロースの分解のためにセルラーゼ等の酵素を使用する必要はない。また、親水性のグルコースは疎水性相から親水性相に移行するため、グルコースと疎水性酸性イオン液体とを容易に分離することができる。更に、グルコースの過分解により生じる疎水性のフラン類は疎水性相に保持されるため、グルコースとフラン類とを容易に分離することもできる。その結果、イオン液体及びフラン類の大部分が除去されたグルコースを容易に得ることができる。
本発明の第2の実施形態は、疎水性酸性イオン液体からなる疎水性相においてセルロースを加水分解してグルコースを形成する加水分解工程を含む、グルコースの製造方法に関する。前記製造方法は、加水分解工程後に疎水性相と親水性溶媒とを混合することにより、疎水性相と親水性溶媒からなる親水性相とから構成される二相系を形成し、グルコースを疎水性相から親水性相に移行させ、グルコースを含む親水性相を疎水性相から分離する分離工程を更に含むことが好ましい。分離工程において残された疎水性相は加水分解工程において再利用することができる。
第2の実施形態では、一相系においてセルロースを加水分解し、その後に二相系を構成する。一相系の疎水性相を構成する疎水性酸性イオン液体は、酸性の性質を有するため、セルロースを効率的に加水分解してグルコースを形成することができる。そのため、セルロースの分解のためにセルラーゼ等の酵素を使用する必要はない。加水分解後に親水性溶媒を使用して疎水性相と親水性相とから構成される二相系を形成することにより、親水性のグルコースを疎水性相から親水性相に移行させることができるため、グルコースと疎水性酸性イオン液体とを容易に分離することができる。グルコースの過分解により生じる疎水性のフラン類は親水性相に移行することなく疎水性相に保持されるため、グルコースとフラン類とを容易に分離することもできる。その結果、イオン液体及びフラン類の大部分が除去されたグルコースを容易に得ることができる。
疎水性相を構成する疎水性酸性イオン液体は、疎水性及び酸性の性質を併せ持つイオン液体であり、具体的には親水性相を構成する親水性溶媒と混和しない程度(即ち、親水性溶媒と二相系を構成する程度)の疎水性、及びセルロースを加水分解できる程度の酸性を有するイオン液体である。疎水性酸性イオン液体は疎水性カチオンと酸性アニオンとを含むことが好ましい。
疎水性カチオンは親水性相を構成する親水性溶媒と混和しない程度の疎水性を有するカチオンであることが好ましい。疎水性カチオンは親水性相を構成する親水性溶媒と混和しない程度の疎水性をもたらす置換基を有するカチオンであることが好ましい。疎水性カチオンは親水性相を構成する親水性溶媒と混和しない程度の疎水性をもたらす置換基を有するホスホニウムカチオン、アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、スルホニウムカチオン、ピラゾリウムカチオン、ピリジニウムカチオン、ピロリジニウムカチオン、モルホリニウムカチオン、シクロプロペニリウムカチオン又はピペリジニウムカチオンであることが好ましく;親水性相を構成する親水性溶媒と混和しない程度の疎水性をもたらす置換基を有するホスホニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることがより好ましく;親水性相を構成する親水性溶媒と混和しない程度の疎水性をもたらす置換基を有する四級ホスホニウムカチオン又は四級アンモニウムカチオンであることが更に好ましく;親水性相を構成する親水性溶媒と混和しない程度の疎水性をもたらす置換基を有する四級ホスホニウムカチオンであることが特に好ましい。
親水性相を構成する親水性溶媒と混和しない程度の疎水性をもたらす置換基は、親水性溶媒の種類、イオン液体のカチオンの種類等によって異なるが、例えば:
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のアルキル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のアルケニル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のアルキニル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のヘテロアルキル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のヘテロアルケニル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のヘテロアルキニル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルケニル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のシクロアルキニル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のヘテロシクロアルキル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のヘテロシクロアルケニル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のヘテロシクロアルキニル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のアリール基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のヘテロアリール基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のアルコキシル基;
・炭素数2〜20(好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8)のアシル基;
等を挙げることができる。前記置換基における水素原子は更なる置換基で置換されていてもよい。更なる置換基としては、アルコキシル基、ヒドロキシル基等を挙げることができる。
好ましい疎水性カチオンとしては、以下の式で表されるカチオンを挙げることができる:
Figure 2017000110
[式中、
〜Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数2〜20、好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8のアルキル基であり、
はホスホニウムカチオン又はアンモニウムカチオン、好ましくはホスホニウムカチオンである]。
酸性アニオンはセルロースを加水分解できる程度の酸性を有するアニオンであることが好ましい。酸性アニオンは、多塩基酸に由来し、且つプロトンを有するアニオンであることが好ましい。多塩基酸のpKa(水中)は5以下であることが好ましく、1以下であることがより好ましい。酸性アニオンとしては、無機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオン、有機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオン等を挙げることができる。
無機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオンとしては、硫酸に由来するアニオン(HSO )、リン酸に由来するアニオン(HPO )等を挙げることができる。
有機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオンとしては、マロン酸に由来するアニオン(HOC(O)CHC(O)O)、ジスルホン酸に由来するアニオン等を挙げることができる。
特に好ましい疎水性酸性イオン液体としては、以下の式で表されるイオン液体を挙げることができる:
Figure 2017000110
[式中、
〜Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数2〜20、好ましくは炭素数4〜12、より好ましくは炭素数5〜8のアルキル基であり、
はホスホニウムカチオン又はアンモニウムカチオン、好ましくはホスホニウムカチオンであり、
は無機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオン、好ましくは硫酸に由来するアニオン(HSO )である]。
疎水性酸性イオン液体は公知の方法を適宜利用又は応用することにより容易に調製することができる。例えば、特開2008−222592号公報、特開2014−159453号公報等に記載されたイオン液体の調製方法を参照することができる。
親水性相を構成する親水性溶媒は、疎水性相を構成する疎水性酸性イオン液体と混和しない程度(即ち、疎水性酸性イオン液体と二相系を構成する程度)の親水性を有する溶媒である。
疎水性酸性イオン液体と二相系を構成する親水性溶媒は、疎水性酸性イオン液体の種類によって異なるが、例えば、水、アルコール類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等)、エーテル類(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等)、ケトン類(アセトン等)、ニトリル類(アセトニトリル等)、アミド類(ジメチルホルムアミド等)等を挙げることができる。特に限定するものではないが、親水性溶媒として水を使用することが好ましい。
グルコース及びフラン類(HMF、フルフラール等)の疎水性相及び親水性相への分配比率は、疎水性酸性イオン液体と親水性溶媒との組み合わせ(種類及び割合)等に依存する。
疎水性酸性イオン液体及び親水性溶媒は、二相系を構成した状態において、グルコースの親水性相への分配比率が0.80以上となるように組み合わせることが好ましく、0.85以上となるように組み合わせることがより好ましく、0.90以上となるように組み合わせることが更に好ましく、0.95以上となるように組み合わせることが特に好ましい。グルコースの親水性相への分配比率は以下の式に基づいて決定する。
分配比率=(親水性相中のグルコース重量)/[(親水性相中のグルコース重量)+
(疎水性相中のグルコース重量)]
疎水性酸性イオン液体及び親水性溶媒は、二相系を構成した状態において、HMFの親水性相への分配比率が0.25以下となるように組み合わせることが好ましく、0.20以下となるように組み合わせることがより好ましく、0.15以下となるように組み合わせることが更に好ましく、0.10以下となるように組み合わせることが特に好ましい。HMFの親水性相への分配比率は以下の式に基づいて決定する。
分配比率=(親水性相中のHMF重量)/[(親水性相中のHMF重量)+(疎水性相中のHMF重量)]
疎水性酸性イオン液体及び親水性溶媒は、二相系を構成した状態において、フルフラールの親水性相への分配比率が0.35以下となるように組み合わせることが好ましく、0.30以下となるように組み合わせることがより好ましく、0.25以下となるように組み合わせることが更に好ましく、0.20以下となるように組み合わせることが特に好ましい。フルフラールの親水性相への分配比率は以下の式に基づいて決定する。
分配比率=(親水性相中のフルフラール重量)/[(親水性相中のフルフラール重量)+(疎水性相中のフルフラール重量)]
セルロースの原料としては、特に限定されないが、樹木、草本、パルプ、間伐材、廃木材、古紙等を挙げることができる。
セルロースの加水分解温度は、グルコースの収率を向上させる観点から、170〜210℃であることが好ましく、180〜205℃であることがより好ましく、190〜200℃であることが特に好ましい。加水分解温度が低すぎるとセルロースの分解に時間がかかる場合がある。一方、加水分解温度が高すぎるとグルコースが即座に過分解してしまうおそれがある。
セルロースの加水分解はマイクロ波加熱下で行うことが好ましい。マイクロ波加熱下で行うことにより、セルロースの加水分解を促進させることができる。
セルロースの加水分解時間は、加水分解温度等によって異なるが、例えば、10〜40分、15〜35分、20〜30分等を挙げることができる。加水分解時間を長くしすぎるとグルコースが過分解する場合があるため、加水分解条件に応じて適切な時間を設定することが好ましい。
セルロースの加水分解を二相系において実施する場合には、グルコースの収率を向上させる観点から、疎水性酸性イオン液体と親水性溶媒とを0.5〜3.5:7.5の重量比で使用することが好ましく、0.5〜2.5:7.5の重量比で使用することがより好ましく、1.0〜1.5:7.5の重量比で使用することが特に好ましい。疎水性酸性イオン液体の量が少なすぎるとセルロースの分解に時間がかかる場合がある。一方、疎水性酸性イオン液体の量が多すぎるとグルコースが過分解しやすくなるおそれがある。
<エタノールの製造方法>
本発明の更なる実施形態は、前記製造方法により製造されたグルコースをエタノールに変換する変換工程を含む、エタノールの製造方法に関する。
変換工程は、既に確立されているエタノール製造技術を利用して実施することができる。例えば、前記製造方法により製造されたグルコースにエタノール発酵菌等を加え、発酵することによりエタノールを製造することができる。
エタノール発酵菌として、例えば、サッカロミセス(Saccharomyces)属の酵母、シゾサッカロミセス(Schizosaccharomyces)属の酵母等を挙げることができる。具体的には、エタノール発酵菌として、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、シゾサッカロミセス・ジャポニカス(Schizosaccharomyces japonicus)、シゾサッカロミセス・オクトスポラス(Schizosaccharomyces octosporus)等を挙げることができる。
また、エタノール発酵菌として、KO11株等の大腸菌を挙げることができる。
発酵温度及び発酵時間は、使用するエタノール発酵菌等の種類に応じて、適切な条件を設定することが好ましい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれに限定されるものではない。
<イオン液体の調製>
(1)トリオクチル(ペンチル)ホスホニウムブロマイド([P8,8,8,5]Br)の調製
トリオクチルホスフィン(75.09g、0.20mol)をナスフラスコに入れ、その後、溶媒としてヘキサン(40ml)を加えた。そして、1−ブロモペンタン(30.60g、0.20mol)を攪拌しながらゆっくりと加えた。この混合溶液を200℃で約72時間環流させた。その後、生成物がヘキサンに溶けないことが確認できたので、ヘキサン(500ml)を加え、しばらく攪拌した。約30分間攪拌した後、静置し、相分離したら上澄みを捨て、再度ヘキサン(500ml)を加え、攪拌した。この操作を合計5回繰り返した。その後、水(300ml)を加え、約1時間攪拌し、分液漏斗によって分液した。生成物のH−NMRを測定し、[P8,8,8,5]Brであることを確認した。
(2)アニオン交換によるトリオクチル(ペンチル)ホスホニウムハイドロオキシド([P8,8,8,5]OH)の調製
[P8,8,8,5]Br(53g)をビーカーに移し、メタノール/水混合溶液(1000ml)を加え、透明均一な溶液を得た。次に、アニオン交換樹脂(750ml)を加え、3日間攪拌した。硝酸銀によるハロゲンチェックを行い、アニオン交換の完了を確認した。次に、減圧濾過を行い、[P8,8,8,5]OHを含む混合溶液を回収した。
(3)中和滴定によるトリオクチル(ペンチル)ホスホニウム硫酸水素塩([P8,8,8,5]HSO)の調製
[P8,8,8,5]OH水溶液(20g)を測り取った。フェノールフタレイン液を1滴加え、フタル酸水素カリウム水溶液(0.05重量%、100g)を加えていき、中和滴定を行った。結果、上記混合溶液中に1.41重量%の[P8,8,8,5]OHが含まれていることが判明した。この結果から、[P8,8,8,5]OHと硫酸がモル比で1:1になるように(即ち、[P8,8,8,5]OH :12.85g、0.028mol、及び硫酸:2.64g、0.028mol)、混合溶液に硫酸を攪拌しながら加え、目的物を調製した。その後、真空乾燥を行った。目的物のH−NMRを測定し、以下の式で表される[P8,8,8,5]HSOであることを確認した。
Figure 2017000110
1H-NMR H (400 MHz; CDCl3; Me4Si); 0.84-0.92 (12H, m, P(CH2)7CH 3 及びP(CH2)4CH 3 ), 1.20-1.38 (26H, m, P(CH2)3(CH 2 )4CH3及びP(CH2)3CH 2 CH3), 1.43-1.58 (16H, m, PCH2(CH 2 )2(CH2)4CH3及びPCH2(CH 2 )2C2CH3), 2.36-2.48 (8H, m, PCH 2 (CH2)6CH3及びPCH 2 (CH2)3CH3)
<イオン液体の疎水性>
[P8,8,8,5]HSOに水を添加すると二相系が構成された。上相が[P8,8,8,5]HSO相(疎水性相)であり、下相が水相(親水性相)である。疎水性相中の水含有量は13.4重量%であり、水相中の[P8,8,8,5]HSO含有量は<0.07重量%であった。
<グルコース及びフラン類の分配>
[P8,8,8,5]HSO及び水を25:75の重量比で混合し、二相系を構成した。二相系にグルコース及びフラン類(HMF及びフルフラール)を添加し、10分間激しく攪拌した。その後、水相中の各濃度をHPLCで測定し、水相への分配比率を以下の式に基づいて決定した。
分配比率=(水相中の重量)/[(水相中の重量)+(疎水性相中の重量)]
Figure 2017000110
グルコースの水相への分配比率は0.92であり、この結果は92重量%のグルコースが水相に存在することを意味している。HMFの水相への分配比率は0.12であり、この結果は88重量%のHMFが[P8,8,8,5]HSO相に存在することを意味している。フルフラールの水相への分配比率は0.21であり、この結果は79重量%のフルフラールが[P8,8,8,5]HSO相に存在することを意味している。
HMFは24mM以上の濃度でサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)によるエタノール発酵を阻害する。具体的には、HMFを含まない溶液と比較して、24mM又は39mMのHMF溶液を使用すると、24時間後におけるエタノール生成がそれぞれ32%又は16%に減少する。一方、8mMのHMF溶液を使用した場合には、24時間後におけるエタノール生成が98%であり、発酵はほとんど阻害されない。前記の通り、[P8,8,8,5]HSOを使用することにより、水相中のHMFを発酵を阻害しない濃度(4mM)にまで低減することができた。
フルフラールは31mM以上の濃度でサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)によるエタノール発酵を阻害する。前記の通り、[P8,8,8,5]HSOを使用することにより、水相中のフルフラールを発酵を阻害しない濃度(8mM)にまで低減することができた。
<セルロースの加水分解>
[P8,8,8,5]HSO及び水から構成される二相系においてマイクロ波加熱しながらセルロースを加水分解した。図1に示すように、190℃又は200℃で25分間加熱した場合における水相中のグルコース収率は12〜13%であった。一方、160℃又は220℃で加熱した場合における水相中のグルコース収率はそれぞれ9%又は6%であった。
セルロースを加水分解した後の水相中のHMF濃度は2mMであった。そのため、HMFによってエタノール発酵は阻害されない。
<イオン液体の割合>
[P8,8,8,5]HSO(2.5g又は1.0g)及び水(7.5g)から構成される二相系においてセルロースを加水分解した。図2に示すように、[P8,8,8,5]HSOを2.5gから1.0gに低減することにより、グルコースの過分解が抑制され、水相中のグルコースの収率が向上した。
<イオン液体の再利用>
セルロースの加水分解において[P8,8,8,5]HSOを再利用した。4回目の使用においても、11%のグルコース収率を得ることができた。

Claims (12)

  1. 疎水性酸性イオン液体からなる疎水性相と親水性溶媒からなる親水性相とから構成される二相系においてセルロースを加水分解してグルコースを形成する加水分解工程を含む、グルコースの製造方法。
  2. 加水分解工程後にグルコースを含む親水性相を疎水性相から分離する分離工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 疎水性酸性イオン液体からなる疎水性相においてセルロースを加水分解してグルコースを形成する加水分解工程を含む、グルコースの製造方法。
  4. 加水分解工程後に疎水性相と親水性溶媒とを混合することにより、疎水性相と親水性溶媒からなる親水性相とから構成される二相系を形成し、グルコースを疎水性相から親水性相に移行させ、グルコースを含む親水性相を疎水性相から分離する分離工程を更に含む、請求項3に記載の製造方法。
  5. 疎水性酸性イオン液体が疎水性カチオンと酸性アニオンとを含むイオン液体である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 疎水性カチオンが置換又は非置換の炭素数2〜20のアルキル基を有するカチオンである、請求項5に記載の製造方法。
  7. 疎水性カチオンが以下の式:
    Figure 2017000110
    [式中、
    〜Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数2〜20のアルキル基であり、
    はホスホニウムカチオン又はアンモニウムカチオンである]
    で表されるカチオンである、請求項6に記載の製造方法。
  8. 酸性アニオンが無機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオンである、請求項5〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. 無機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオンが硫酸に由来するアニオン(HSO )である、請求項8に記載の製造方法。
  10. 親水性溶媒が水である、請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法により製造されたグルコースをエタノールに変換する変換工程を含む、エタノールの製造方法。
  12. 以下の式:
    Figure 2017000110
    [式中、
    〜Rは、それぞれ独立して、置換又は非置換の炭素数2〜20のアルキル基であり、
    は無機酸に由来し、且つプロトンを有するアニオンである]
    で表されるイオン液体。
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