JP2017000032A - 封止部材および検査キット - Google Patents

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Tsunehisa Kawada
倫久 川田
義朗 山本
Yoshiro Yamamoto
義朗 山本
直美 富田
Naomi Tomita
直美 富田
中野 郁雄
Ikuo Nakano
郁雄 中野
林 隆志
Takashi Hayashi
隆志 林
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Abstract

【課題】試料に対する計測をより正確に行うことを可能とする。【解決手段】封止部材(100)は、光の走査による計測の対象である粒子状物質(51)を含む液体試料(50)を保持するための試料保持空間を形成する試料保持部(5)を備えた試料容器(1)に用いられる。封止部材は、試料保持部に装着されることにより、試料注入孔(2a)および通気孔(2b)を封止するものである。【選択図】図1

Description

本発明は、試料を保持することが可能な試料容器に用いられる封止部材に関する。
従来から、液体試料中に存在する細胞、微生物、微粒子等の粒子状物質を観察するために用いられる、当該粒子状物質を含む液体試料を保持することが可能な試料保持部材が開発されている。このような試料保持部材の一例は、特許文献1〜4に開示されている。
特許文献1には、カバーガラスの辺縁部と、試料保持領域を備えた下部材との間を、少なくとも一種のシーリング材で接着するプレパラートの作製方法が開示されている。
特許文献2には、スライドガラスとカバーガラスとが、その間にシリコンオイルを挟んで封止材により封止されている蛍光標準試料が開示されている。
特許文献3には、観察対象物を添付した粘着テープが貼着された窓枠を備えているホルダが開示されている。また、窓枠の内部にセットされた観察対象物には、カバーガラスが載置されることが開示されている。
特許文献4には、上側透明板を被せた場合に、下側透明板の自重および試料の重さによってその中央部が窪むことにより、上側透明板と下側透明板とで試料を密封することが可能な光学的観察用チャンバが開示されている。
また、特許文献1には、その従来技術として、試料が載置されたスライドガラスにカバーガラスを接着する手順の一例が開示されている。この手順は、以下の(1)〜(4)を含み、いわゆる「マニキュア法」として知られている。
まず、(1)スライドガラスに試料を少量載置し、(2)このスライドガラスに、気泡が入り込まないようにカバーガラスを被せる。そして、(3)カバーガラスの周囲(辺縁部)から漏れ出た液体を露紙などで吸い取った後、(4)当該辺縁部にマニキュアを塗って、マニキュアが硬化するまで待機する。これにより、上記辺縁部におけるカバーガラスとスライドガラスとの間に形成される隙間を封止することができる。
特開2004−229548号公報(2004年8月19日公開) 特開平10−153529号公報(1998年6月9日公開) 特開平5−312697号公報(1993年11月22日公開) 国際公開第2011/010525号(2011年1月27日公開)
しかしながら、特許文献1〜4の技術では、スライドガラス等に試料が載置され、当該試料をカバーガラス等によって被覆している。すなわち、これらの技術では、試料保持領域の全面を被覆する構成となっている。したがって、これらの技術は、カバーガラスに少なくとも試料を注入するための孔を形成し、当該孔から試料を注入するものではない。つまり、特許文献1〜4には当然ながら、試料を覆う部材に形成された孔から試料中の液体が蒸発し、試料中で対流が生じることを防止するための構造については何ら開示されていない。
また、上記マニキュア法を含めてこれらの技術では、光学顕微鏡等を用いて試料を撮像して観察することを目的としている。つまり、これらの技術では、試料に対して光を走査することにより、当該試料に対する計測を行うものではない。
一方、光を走査して上記計測を行う場合には特に、試料を撮像して観察する場合とは異なり、試料に含まれる測定対象物の計測をより正確に行うために、試料を覆う部材に形成された孔から試料中の液体が蒸発し、対流することを防止することにより、試料中の測定対象物の移動を抑制する必要がある。
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、その目的は、試料に対する計測をより正確に行うことを可能とする封止部材を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る封止部材は、
光の走査による計測の対象である粒子状物質を含む液体試料を保持するための保持空間を形成する試料保持部を備えた試料容器に用いられる封止部材であって、
上記試料保持部には、上記保持空間と外部空間とを連通する複数の孔が形成されており、
上記試料保持部に装着されることにより、上記複数の孔を封止するものである。
本発明の一態様によれば、試料に対する計測をより正確に行うことを可能とするという効果を奏する。
本発明の実施形態1に係る封止部材の一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は液体試料中に粒子状物質が浮遊している状態を示す図である。 本発明の実施形態1に係る試料容器の平面図である。 本発明の実施形態1に係る試料容器を構成する各部の図であって、(a)は、上側基板の平面図、(b)は、下側基板の平面図、(c)は、スペーサの配置を示す平面図である。 本発明の実施形態1に係る試料容器の断面図である。 本発明の実施形態1に係る試料容器の計測領域を示す拡大図である。 本発明の実施形態1に係る試料容器を用いて計測を行う計測装置の図である。 本発明の実施形態1に係る封止部材の構造の一例を示す概略図であり、(a)は封止部材が2層構造である場合を示す図であり、(b)は1層構造である場合を示す図である。 本発明の実施形態1に係る計測方法の一例を示すフローチャートである。 (a)および(b)は、粒子状物質に対してレーザ光を複数回走査させる場合の概念図である。 本発明の実施形態2に係る封止シートの一例を示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図、(c)は当該封止シートの封止部材が載置された試料容器の断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の実施形態2に係る封止シートの取付け方法の一例を示す図である。 本発明の実施形態2に係る封止シートの変形例を示す図である。 本発明の実施形態2に係る封止シートの変形例を説明するための図であり、(a)は当該封止シートの封止部材が載置される試料容器の平面図であり、(b)は当該封止シートの変形例を示す平面図である。 本発明の実施形態3に係る封止シートを示す図であり、(a)は断面図、(b)は当該封止シートの変形例を示す断面図である。 本発明の実施形態4に係る封止シートを示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)〜(c)は当該試料容器の各部の一例を示す平面図、(d)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)および(b)は当該試料容器の一例を示す平面図、(c)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)当該試料容器の一例を示す平面図、(b)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)〜(c)は当該試料容器の一例を示す平面図、(d)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)当該試料容器の一例を示す平面図、(b)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)〜(d)は当該試料容器の一例を示す平面図、(e)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)当該試料容器の一例を示す平面図、(b)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)当該試料容器の一例を示す平面図、(b)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)〜(d)は当該試料容器の一例を示す平面図、(e)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)当該試料容器の一例を示す平面図、(b)は当該封止シートの一例を示す平面図である。 本発明の実施形態5に係る封止シートと、当該封止シートが用いられる試料容器とを示す図であり、(a)当該試料容器の一例を示す平面図、(b)は当該封止シートの一例を示す平面図である。
〔実施形態1〕
本発明の実施形態について、図1〜図8に基づいて説明すれば、以下の通りである。図1に示す本実施形態の封止部材100は、図2〜5を用いて説明する試料容器(検査用具)1に用いられるものであり、試料容器1が備える上側基板(基板、第1基板)2に形成された試料注入孔(第2孔)2aおよび通気孔(第1孔)2bを封止することが可能な薄膜状のシール部材である。
まず、本実施形態の封止部材100について説明する前に、封止部材100が用いられる対象となる試料容器1、試料容器1に注入された試料(液体試料)に対する計測を行う計測装置10の概要について説明する。当該計測には、例えば、液体試料に含まれる粒子状物質の大きさ、数または形状等の計測(測定)が含まれる。
<試料容器の構成>
図2に基づいて、計測装置10(後述の図6を参照)による計測の対象となる試料を保持する試料容器1について説明する。図2は、本実施形態の試料容器1の概略構成を示す模試図である。
この試料容器1は、試料を保持するための試料保持空間(保持空間、環状の空間)を形成する試料充填部(試料保持部)5を備えており、試料容器1を回転させながら上記試料の計測が行われる。
図2は、試料容器1の平面図である。図3の(a)〜(c)は、試料容器1を構成する各部を示す図である。図4は、試料容器1の断面図である。図5は、計測領域7を示す拡大図である。図6は、試料容器1を用いて計測を行う計測装置の図である。
図2〜4に示すように、試料容器1は、上側基板2と、下側基板(基板、第2基板)3と、スペーサ4とを備えている。また、試料容器1は、試料充填部5に試料を注入するための試料注入孔2aと、試料充填部5内の気体を逃がすための通気孔2bとを有している。
上側基板2は、試料の計測時に試料充填部5の鉛直上側に位置する。下側基板3は、試料の計測時に試料充填部5の鉛直下側に位置する。上側基板2および下側基板3は、ほぼ同じ大きさの円板である。上側基板2および下側基板3は、例えば、直径6〜10cm、厚さ1mmである。上側基板2および下側基板3の大きさおよび厚さは、計測の対象となる試料の容量に応じて設定されればよい。
上側基板2には、試料注入孔2aおよび通気孔2bが試料保持空間に沿って複数形成されている。試料注入孔2aは、試料充填部5に試料を注入するための開口部である。通気孔2bは、試料注入時に試料充填部5内の気体を逃がすための開口部である。試料注入孔2aおよび通気孔2bは、図2に示すように、試料保持空間の外側および内側に、試料保持空間を挟んで形成されている。なお、試料注入の観点から、上側基板2に形成されている開口部の、試料保持空間に沿った長さが長いほうを試料注入孔として選択することが好ましい。詳細な理由は後述する。
上側基板2の中央には、円形の開口26(挿入口)が設けられている。下側基板3の中央には、円形の開口36(挿入口)が設けられている。開口26および開口36の大きさは等しく、中心は一致している。開口26および開口36には、後述する計測装置10の固定軸35が挿入される。
上側基板2および下側基板3は基板に用いる素材に応じて、切削加工、打ち抜き加工、レーザー加工、射出成形、圧縮成形等の加工方法にて作製される。
スペーサ4は、上側基板2と下側基板3との隙間を一定に維持する部材であり、それぞれ環状である外側スペーサ4aおよび内側スペーサ4bで構成されている。外側スペーサ4aの外径は、上側基板2の外径および下側基板3の外径と同じである。内側スペーサ4bの内径は、開口26および開口36の大きさと等しいか、またはそれらよりも大きい。スペーサ4は、外側スペーサ4aおよび内側スペーサ4bの中心を、上側基板2および下側基板3の中心と一致させた状態で、上側基板2と下側基板3との間に挟持されている。
スペーサ4の厚さは、計測の対象となる試料の容量および計測装置10による計測方法に応じて設定されればよく、例えば、50μm〜1mmである。
スペーサ4の材質は、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレン、COP(シクロオレフィンポリマー)、COC(シクロオレフィンコポリマー)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、ABS(アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン)、または光硬化樹脂等の樹脂材料である。スペーサ4として両面テープを用いてもよい。
上述した通り、試料容器1は上側基板2と下側基板3とでスペーサ4を挟むことにより形成されている。液体試料の流出を防ぐためには、基板とスペーサとは接着剤、両面テープ、熱融着、超音波融着等の接合手段により接合されていることが好ましい。スペーサに両面テープあるいは光硬化樹脂を用いる場合は、スペーサ自身が接着剤としての役割も果たすことになる。
試料充填部5は、環状の試料保持空間を形成する構造体であり、上側基板2と、下側基板3と、スペーサ4とによって構成されている。これらの部材によって囲まれた空間が試料保持空間である。試料充填部5の高さは、スペーサ4の高さで規定される。試料充填部5の幅は、外側スペーサ4aの内径と、内側スペーサ4bの外径とで規定される。
また、試料容器1の、上記環状の空間の中心軸を含む複数の平面により上記環状の空間を切断したときの断面は、全て同じ形状であることが好ましい。図4には、当該断面の一例が示されており、上記環状の空間に相当する試料充填部5の断面は長方形である。固定軸35の中心軸を含む平面を用いて切断するのであれば、どの箇所で試料充填部5を切断しても、その断面は長方形である。換言すれば、試料充填部5(すなわち、試料保持空間)の厚みは、上側基板2と、上側基板2に相対する下側基板3との間隔によって一定に規定されている。
この構成により、試料容器1を回転させ、試料充填部5内に充填された試料を計測する場合に、試料充填部5の断面形状が変化することにより計測結果に悪影響を与えてしまうことを防止できる。
開口6(挿入口)は、上側基板2の開口26と、下側基板3の開口36とが、平面視で重なることで構成されている。
図5に示すように、平面視で試料充填部5における試料注入孔2aと通気孔2bとの間の領域が、計測領域7となる。換言すれば、試料注入孔2aおよび通気孔2bは、上側基板2または下側基板3の表面の垂線方向から見て、計測領域7を挟んで試料充填部5(具体的には、上側基板2)に形成されている。この計測領域7は、計測装置10による計測の対象となる領域(計測が行われる領域)である。
また、図5に示すように、試料注入孔2aおよび通気孔2bは、上側基板2における、計測領域7と相対する領域以外の領域(すなわち、計測領域7以外の領域)に形成されている。
計測装置10による計測の場合、計測領域7に光が照射される。上側基板2における計測領域7と相対する領域に、試料注入孔2aまたは通気孔2bが形成されている場合、試料注入孔2aまたは通気孔2bへの光の入射により、試料注入孔2aまたは通気孔2bにて発生する散乱光が計測領域7に入射する可能性がある。この場合、試料以外の物質により発生した散乱光が計測対象となり、計測誤差が生じてしまう可能性がある。上記のように、試料注入孔2aおよび通気孔2bが、計測領域7と相対する領域以外の領域に形成されていることにより、試料注入孔2aまたは通気孔2bへの光の入射を防止することができるため、計測誤差の発生を防止することが可能となる。
(上側基板の詳細な説明)
上述した通り、上側基板2には、試料注入孔2aおよび通気孔2bが設けられている。上側基板2は、試料注入孔2aおよび通気孔2bが設けられていることによる強度の低下を補うため、所定値以上の厚さで形成されることが好ましい。
図3の(a)および図4に示すように、試料注入孔2aは、試料充填部5の外縁に沿うように設けられた、円弧状のスリットである。すなわち、試料注入孔2aは、試料保持空間に沿って形成されたスリット形状を有している。試料注入孔2aは、等角度間隔に4箇所設けられている。試料注入孔2aの外縁は、外側スペーサ4aの内縁より内側に位置する。
通気孔2bは、試料充填部5の内縁に沿うように設けられた円形の孔である。通気孔2bは、等角度間隔に36箇所設けられている。それぞれの通気孔2bの一部分は、内側スペーサ4bの外縁より内側に位置してもよい。すなわち、通気孔2bの一部分が内側スペーサ4bによって塞がれていてもよい。通気孔2bについては、わずかでも開いていれば、空気を逃す役割を果たすことができる。
試料注入孔2aおよび通気孔2bを上側基板2に設け、上側基板2を鉛直上側にして試料容器1を形成し、上側基板2側を鉛直上側に向けて試料容器1を計測装置に設置することにより、試料計測中の試料充填部5からの試料の漏れを防止することができる。また、試料注入孔2aおよび通気孔2bは、同一半径円の円周上に等角度間隔で設けられている。すなわち、開口6の中心を中心とする同一円上に等間隔で設けられている。これにより、試料注入孔2aおよび通気孔2bを設けることによる、上側基板2の強度の低下の影響が分散され、また、試料注入孔2aおよび通気孔2bが形成されない箇所に、基板への荷重が均等に分散される。その結果、上側基板2がたわむことを防止できる。
このように、試料充填部5を構成する上側基板2には、試料充填部5によって形成される試料保持空間と、その外部空間とを連通する試料注入孔2aおよび通気孔2bから構成される複数の孔が形成されている。なお、本実施形態では、試料注入孔2aおよび通気孔2bは、少なくとも1つずつ試料充填部5の上側基板2に形成されていればよく、その少なくとも一方が複数形成されている構成であってもよい。
(試料容器の材質)
上側基板2、下側基板3およびスペーサ4の材質は、計測の妨げとなるものでなければ、特に限定されない。
例えば、試料に対して光学的な計測が行われる場合には、上側基板2または下側基板3が透明な部分を有していればよい。また、光学的計測のうち、蛍光を利用して計測が行われる場合、自家蛍光の少ない材質であることが好ましい。そのような部分は、例えば石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、ポリメタクリル酸メチル、シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー、ポリカーボネートのうちの少なくとも1つを含むことが好ましい。
また例えば、水に分散された試料の場合、試料注入のしやすさを考えて、上側基板2および下側基板3は、親水性の材質であることが好ましい。具体的には、試料充填部5の表面と、当該試料充填部5に保持された純水との接触角が70度以下であることがさらに好ましい。上側基板2および/または下側基板3が疎水性の材料、例えば合成樹脂などで構成される場合、少なくとも試料充填部5を形成する表面には、純水との接触角が70°以下になるように、親水化加工を施すことが好ましい。
(試料)
試料容器1に充填される試料は、可溶性の計測対象物質を含む液体試料、または不溶性の粒子状物質が液体中に分散した試料であれば特に限定されず、試料充填部5に充填できる組成の試料であればよい。
上記試料は、例えば体液(具体的には、血液、唾液、または尿等)であってよい。また、例えば水(具体的には、河川、海、飲料水、工業用の洗浄水、または植物栽培用の水等)であってもよい。
このような試料に対する計測としては、定量分析(粒子の数カウント、濃度など)、定性分析(特定物の存在の有無、物質の特定など)、光学的分析(散乱光、蛍光、燐光、吸光、発光、画像、顕微鏡など)、またはその他の計測(電気化学的計測、微小電場計測、微小磁場計測)などが挙げられる。
本発明の各実施形態では、計測の対象となる試料としては、細胞、微生物、微粒子等の粒子状物質を含む液体試料であることが好ましい。特に、図1の(c)に示すように、粒子状物質51は、液体試料50が試料保持空間に保持された状態において、液体試料50内において浮遊していることが好ましい。この場合、粒子状物質の粒径(直径)は、細胞の場合、10μm未満であることが好ましい。
また、液体試料に対する計測は、光学的な計測が好ましい。光学的な計測は、特に、液体試料に対して光を連続的に走査することにより発生する散乱光または蛍光を検出し、当該検出結果を分析することによって行われることが好ましい。換言すれば、粒子状物質は、光学的な計測、特に光の走査による計測の対象である。
このような試料に対して光学的な計測を行う場合には、液体試料内で対流が生じてしまう可能性がある。この対流の発生を抑制するために、本発明の各実施形態では、試料注入孔および通気孔を封止部材で封止している。
(試料の注入方法)
上記試料は、先細のピペットを用いて試料注入孔2aへ注入される。ピペットは、試料注入孔2aの幅より細い先端を有する。試料注入孔2aへ注入された試料は、毛細管現象(毛細管力)により、試料充填部5に充填される。一方、試料充填部5に存在していた気体、例えば空気などは試料により通気孔2bから押し出される。
上述した通り、試料注入孔2aはスリット状であるため、当該スリットに沿って連続的に試料を注入すると、その試料は、試料充填部5の内側(開口6が位置する側)へ移動する。そのため、1箇所の円形の注入孔から注入するよりも、試料が試料充填部5内を移動する距離が短くなる。そのため、試料の充填に要する時間が短くなる。
また、スリット状の試料注入孔2aに沿って連続的に試料を注入するため、気泡の発生が低減される。一般に、気泡は、複数箇所から注入された液体の合流箇所に発生しやすいため、液体の注入孔が多いと、気泡が発生する虞は増大する。スリット状の試料注入孔2aに沿って連続的に試料を注入することにより、ある注入孔から注入された液体が、他の注入孔から注入された液体と合流するときの境界面の発生を少なくすることができる。このため、上述した通り、上側基板2に形成されている開口部の、試料保持空間に沿った長さが長いほうを試料注入孔2aとして選択することが好ましい。
<計測装置の構成>
図6は、本実施形態の試料容器1を用いて計測を行う計測装置10の一例を示す図であるここでは、計測装置10の一例として、試料容器1の下側基板3の側から試料の計測を行う装置について説明する。すなわち、試料容器1が計測装置10に載置された状態において、光源装置11と相対する下側基板3と試料保持空間を挟んで反対側に設けられた上側基板2の側に、試料注入孔2aおよび通気孔2bが設けられている。
この計測装置10は、封止部材100(後述)が載置された試料容器1によって保持された試料(特に、液体試料中の粒子状物質)に対する計測を行うものである。計測装置10は、試料を保持した試料容器1を回転させる回転駆動系(回転軸32、モータ34)と、光(例えばレーザ光)を出射するとともに、散乱光および蛍光を検出する光学モジュール16と、光学モジュール16を半径方向に駆動させる駆動機構(不図示)と、光学モジュール16の検出結果を受けて各種計測を行う計測部40とを備えている。
(光学モジュール16)
光学モジュール16は、主な構成要素として、光源装置11、対物レンズ12、第1〜第3検出装置13〜15、プリズムミラー17、第1・第2ダイクロイックミラー18・19を備えている。光学モジュール16の上方には対物レンズ12に対向して試料容器1が配置される。
主として、上記回転駆動系と光学モジュール16(特に光源装置11)とによって、テーブル33に載置された試料充填部5に対して光を走査する光走査部の基本構成が実現される。また、主として、第1〜第3検出装置13〜15によって、試料(特に、粒子状物質)が光を受光することにより生じる蛍光または散乱光を受光する受光部の基本構成が実現される。
光源装置11から出射した光は、プリズムミラー17によって対物レンズ12に向けて反射される。
第1ダイクロイックミラー18は、対物レンズ12からの蛍光を透過する一方、散乱光は反射する。第2ダイクロイックミラー19は、第1ダイクロイックミラー18を透過した蛍光のうち、第1波長を有する第1の蛍光を透過する一方、第1波長よりも波長が短い第2波長を有する第2の蛍光を反射する。これらの部材の機能により、第1の蛍光は第1検出装置13に入射し、第2の蛍光は第2検出装置14に入射し、散乱光は第3検出装置15に入射する。
また、光学モジュール16は、第1波長とは異なる波長の光を減光する第1バンドパスフィルタ20、第1バンドパスフィルタ20を通過した第1波長の第1の蛍光を集光する第1レンズ21を備えている。
第1検出装置13は、第1レンズ21を通過した第1の蛍光の迷光をカットする第1アパーチャ22、および第1アパーチャ22を通過した第1の蛍光を検出する光電子増倍管(PMT、Photoelectron Multiplier Tube)等の検出素子を含む第1検出器23を備えている。
また、光学モジュール16は、第2バンドパスフィルタ24、第2レンズ25を備えている。第2検出装置14は、第2アパーチャ37および第2検出器27を備えている。これらの部材は、基本的には、第1バンドパスフィルタ20、第1レンズ21、第1アパーチャ22および第1検出器23と同じ構成を有している。但し、第2波長の第2の蛍光に対する処理を行う点において異なる。
また、光学モジュール16は、ND(Neutral Density、減光)フィルタ28、第3レンズ29を備えている。第3検出装置15は、第3アパーチャ30および第3検出器31を備えている。これらの部材は、基本的には、第1バンドパスフィルタ20、第1レンズ21、第1アパーチャ22および第1検出器23と同じ構成を有している。但し、上記試料からの散乱光に対する処理を行う点において異なる。
第1〜第3検出装置13〜15の検出結果は、計測部40に送信される。計測部40は、これらの検出結果に基づいて、試料に対する各種計測(例えば、液体試料に含まれる粒子状物質の粒径の計測)を行う。例えば、記憶部(不図示)に、第1の蛍光、第2の蛍光、散乱光のそれぞれの強度と、これらの強度から推定される計測値とを示すデータが記憶されている。計測部40は、上記データと上記検出結果とを比較することにより、実際の計測結果を、計測装置10の表示部(不図示)に出力する。
なお、上記検出結果が上記表示部に表示されてもよい。この場合、ユーザが表示内容(検出結果)を解析するか、計測結果を出力する装置に表示内容を入力することにより、試料に対する各種計測が行われる。
光学モジュール16の上方には、試料容器1を載置するための、回転軸32に固定された透明且つ円形なテーブル33が設けられている。テーブル33には、円柱状の固定軸35(図4参照)が設けられている。固定軸35の直径は、試料容器1の開口6よりわずかに小さい。
固定軸35の中心軸は、回転軸32の中心軸と一致している。回転軸32は、上記回転駆動系の一例としてのモータ34で回転可能になっている。これに対し、光学モジュール16は、試料容器1の半径方向に、上記駆動機構によって移動可能になっている。
尚、光学モジュール16の上記駆動機構については特に限定するものではない。例えば、光学モジュール16の枠体を、ステッピングモータ等で上記半径方向に往復動されるタイミングベルト等により、上記半径方向に配設されたガイドレールで案内されて、移動可能に構成する。
上述したとおり、上側基板2は、下側基板3より厚く形成されている。そのため、基板の厚みが計測結果に影響を与えるような計測、例えば光学的計測などを行う場合、計測装置10の光学モジュール16を試料容器1の下側に設けることが好ましい。下側基板3は上側基板2より薄いため、光学モジュール16を試料容器1の上側に設ける場合に比べて、計測信号に与える影響が小さくなる。
<封止部材の構成>
次に、図1および図7に基づいて、試料容器1に載置される封止部材100の構成について説明する。図1は、本実施形態の封止部材100の概略構成の一例を示す図である。
図1の(b)に示すように、封止部材100は、試料容器1の試料充填部5に装着されることにより、試料注入孔2aおよび通気孔2bを封止するものである。具体的には、封止部材100は、試料容器1の上側基板2に載置された場合に(すなわち、上側基板2に載置された状態において)、試料注入孔2aおよび通気孔2bを封止するものである。また、図1の(a)および(b)に示すように、封止部材100は、試料充填部5に装着されることにより、通気孔2bを封止する第1封止部材101と、試料注入孔2aを封止する第2封止部材102を備えている。
図3等に示すように、試料充填部5には、環状の試料保持空間が形成されている。そして、上側基板2には、この環状の試料保持空間の外周に沿って、4個のスリット状の試料注入孔2aが形成され、環状の試料保持空間の内周に沿って36個の円形の通気孔2bが形成されている。
第1封止部材101および第2封止部材102は、環状の試料保持空間の内縁部および外縁部にそれぞれ相対する環状の部材である。第1封止部材101は、上記状態において試料保持空間の内周に沿うように形成された1つの環状部材である。これにより、上側基板2に装着された状態において、上記36個の通気孔2bを一度に封止することができる。また、第2封止部材102は、試料保持空間の外周に沿うように形成された1つの環状部材である。これにより、上側基板2に装着された状態において、上記4個の試料注入孔2aを一度に封止することができる。そして、試料注入孔2aおよび通気孔2bを封止することにより、液体試料中の液体(例えば水蒸気)が試料注入孔2aおよび通気孔2bから蒸発することを防止することができる。
第2封止部材102よりも内径が小さい第1封止部材101は、開口26の形状と同一形状の第1開口部103を有している。これにより、開口26を塞ぐことなく、第1封止部材101を上側基板2に載置することができる。そのため、試料容器1に対して第1封止部材101を用いた場合でも、計測装置10の固定軸35に挿入することができる。
第1封止部材101および第2封止部材102の幅(封止部材100の半径方向の長さ)は、通気孔2bおよび試料注入孔2aをそれぞれ封止することができる程度であればよい。一方で、封止部材100が載置された状態において、上側基板2における、試料充填部5の内部に形成された計測領域7に相対する領域には、第1封止部材101および第2封止部材102が載置されないように、上記幅が規定されていることが好ましい。
上記のように幅が規定されている場合、第1封止部材101または第2封止部材102に計測装置10からの光が入射することにより、第1封止部材101または第2封止部材102において発生した散乱光が、計測領域7に入射することを防止することができる。そのため、計測領域7に含まれる試料以外の物質に光が照射されることにより発生した散乱光を原因とする計測誤差の発生を抑制することができる。
本実施形態では、第1封止部材101は、開口26と同一形状の第1開口部103を有しているが、これに限られない。すなわち、第1封止部材101は、上側基板2に載置された状態において通気孔2bを封止可能な幅を有していればよく、この場合、第1封止部材101の内径が開口26の内径より大きくてもよい。また、円形に限らず、矩形等であってもよい。
また、図7の(a)に示すように、第1封止部材101は、上側基板2に粘着される第1粘着面を有する第1粘着層111a、および第1粘着層111aを保持する第1粘着層保持基材112aを備えている。第2封止部材102は、上側基板2に粘着される第2粘着面を有する第2粘着層111b、および第2粘着層111bを保持する第2粘着層保持基材112bを備えている。すなわち、封止部材100は、試料充填部5の表面に粘着される粘着面を有する粘着層と、粘着層を保持する粘着層保持基材とを備えている。
封止部材100が第1粘着層111aおよび第2粘着層111bを備えていることにより、第1封止部材101および第2封止部材102を上側基板2に対して接着する(貼り付ける)ことができる。それゆえ、試料注入孔2aおよび通気孔2bを確実に封止することができる。また、封止部材100が第1粘着層保持基材112aおよび第2粘着層保持基材112bを備えていることにより、第1粘着層111aおよび第2粘着層111bだけで構成された場合に比して、封止部材100の強度を高めることができる。
なお、上記強度を考慮しないのであれば、図7の(b)に示すように、封止部材100は、第1粘着層保持基材112aおよび第2粘着層保持基材112bを備えず、第1粘着層111aおよび第2粘着層111bのみを備える構成であってもよい。
第1封止部材101および第2封止部材102は、試料保持空間に保持された液体試料中の液体の蒸発を防止する材質を含んでいる。当該材質としては、ポリエチレン(〔密度〕:0.5(g/m/24h))、ポリプロピレン(1.6(g/m/24h))、ポリエステル(8.0(g/m/24h))、四フッ化エチレン(1.2(g/m/24h))、ポリスチレン等が挙げられる。なお、前記各数値は、室温25℃、相対湿度(RH)90%、材質厚さ25μmの条件下で測定したものである。
換言すれば、第1封止部材101および第2封止部材102は、試料に対する計測に影響を及ぼさない程度の低透湿性を有している。具体的には、第1粘着層111aおよび第2粘着層111bと、第1粘着層保持基材112aおよび第2粘着層保持基材112bとが、上記低透湿性を有している。
上記構成により、液体試料中の液体が封止部材100を介して蒸発することを防止することができる。そのため、試料注入孔2aおよび通気孔2bからの液体の蒸発を一層低減できる。また、第1封止部材101および第2封止部材102に、10(g/m/24h)以下の透湿性を有する材質を含ませることで、上記効果をより発揮させることができる。
なお、第1粘着層保持基材112aおよび第2粘着層保持基材112bが上記材質を有していれば、第1粘着層111aおよび第2粘着層111bの透湿性の程度は問わない。これは、第1粘着層111aおよび第2粘着層111bの透湿性の程度に拘らず液体試料の蒸発を低減できるためである。この場合、第1粘着層111aおよび第2粘着層111bの形成に用いられる粘着剤をユーザが任意に選択できる。
また、(1)第1粘着層111aの第1粘着面以外の基材と、第1粘着層保持基材112aとの少なくとも一方、および、(2)第2粘着層111bの第2粘着面以外の基材と、第2粘着層保持基材112bとの少なくとも一方が上記材質を有していてもよい。この場合であっても、液体試料中の液体の蒸発を確実に防止することができる。そのため、第1および第2粘着面に用いられる粘着剤をユーザが任意に選択することを可能とする。
また、第1封止部材101および第2封止部材102を上側基板2に接着することにより載置する場合には、第1粘着面および第2粘着面の面積が大きいほど、上側基板2に対する接着を確実に行うことができる。この点も考慮して、第1封止部材101および第2封止部材102の幅が規定されることが好ましい。
第1封止部材101および第2封止部材102は、それぞれをユーザが把持した状態で上側基板2に対する位置合わせが行われた後、上側基板2に取り付けられる。なお、これに限らず、実施形態2にて後述するように、第1封止部材101および第2封止部材102は、保持基材201に保持された状態で上側基板2に取り付けられてもよい。
<計測方法>
次に、図8を用いて、本実施形態の計測方法について説明する。図8は、本実施形態の計測方法の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の計測方法は、試料容器1によって保持された試料(特に、液体試料中の粒子状物質)に対する計測を行うものである。まず、計測の前段階として、ユーザは、試料(粒子状物質を含んだ液体試料)を、試料注入孔2aから試料容器1の試料充填部5に注入する(S1;試料注入工程)。本実施形態では、試料は、少なくとも計測領域7に充填されるまで、試料充填部5に注入される。これに限らず、計測が可能な量が計測領域7に注入されていればよい。
その後、ユーザは、試料注入孔2aおよび通気孔2bが形成された試料充填部5(具体的には、上側基板2)に、封止部材100を載置する(S2;封止部材載置工程)。ユーザは、試料注入孔2aの全てと相対するように第1封止部材101の位置合わせを行った後、第1封止部材101を上側基板2に接着する。同様に、ユーザは、通気孔2bの全てと相対するように第2封止部材102の位置合わせを行った後、第2封止部材102を上側基板2に接着する。
封止部材100が載置された試料容器1は、テーブル33に載置される(S3;容器載置工程)。試料容器1の開口6は、テーブル33の固定軸35に嵌合されているため、試料容器1は回転軸32に対して固定されている。
次に、試料容器1が載置されたテーブル33をモータ34によって回転させることで、試料容器1もまた回転する。このようにして、計測時に試料充填部5の環の中心を軸として、試料容器1を回転させる。一方、光源装置11と対物レンズ12と第1〜第3検出装置13〜15とが収納された光学モジュール16は、試料容器1の半径方向に移動する。この駆動制御のもとで、光源装置11がレーザ光を出射し、当該レーザ光は、対物レンズ12を介して試料容器1の試料充填部5に保持されている試料に対して照射される。
具体的には、試料の計測時には、回転駆動系(回転軸32、モータ34)によって試料容器1が回転した状態で、光源装置11からレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、プリズムミラー17によって反射され、対物レンズ12およびテーブル33を通過して、試料容器1の試料充填部5に集光される。このレーザ光が照射され、かつ走査される領域が計測領域7である。すなわち、光源装置11および回転駆動系によって、対物レンズ12によって集束されたレーザ光は、試料充填部5に保持されている試料に対して走査される(S4;光走査工程、計測工程)。
計測領域7にレーザ光が照射されると、計測領域7の試料から散乱光および蛍光が発生する。発生した散乱光および蛍光は、第1〜第3検出装置13〜15の第1〜第3検出器23・27・31によって検出される(S5;光検出工程、計測工程)。なお、本実施形態では、粒子状物質へのレーザ光の照射によって散乱光および蛍光の両方が発生しているが、散乱光および蛍光のいずれか一方が発生する場合もある。
具体的には、対物レンズ12で集光されたレーザ光が、試料容器1内の液体試料に含まれる粒子状物質(微小粒子)に照射されると、粒子状物質によって散乱光および蛍光が発生する(以下、散乱光と蛍光とをまとめて信号光と言う)。発生した上記信号光を、第1〜第3レンズ21・25・29で集束光にする。
上記信号光のうちの散乱光は、第1ダイクロイックミラー18で反射され、NDフィルタ28で減光された後、第3レンズ29で収束されて第3検出器31に導かれる。第3レンズ29の焦点位置には第3アパーチャ30が配置されており、迷光が除去される。
第1ダイクロイックミラー18を透過した上記信号光のうち、上記第2波長を有する第2の蛍光は第2ダイクロイックミラー19で反射され、第2バンドパスフィルタ24を透過した後、第2レンズ25で収束されて第2検出器27に導かれる。第2レンズ25の焦点位置には第2アパーチャ37が配置されており、第2アパーチャ37によって迷光が除去される。
第2ダイクロイックミラー19を透過した上記第1波長を有する第1の蛍光も同様に、第1バンドパスフィルタ20を透過した後に、第1レンズ21で収束されて第1検出器23に導かれる。第1レンズ21の焦点位置には第1アパーチャ22が配置されており、迷光が除去される。
第1〜第3検出器23・27・31によって第1および第2の蛍光、および散乱光が検出されると、計測部40は、その検出結果に基づいて、粒子状物質に対する計測を行う(S6;計測工程)。その計測結果は、計測装置10の表示部(不図示)に表示される。すなわち、計測装置10は、試料容器1に対して光を走査することにより、試料容器1(具体的には、試料充填部5の試料保持空間内)に注入された液体試料中の粒子状物質に対する計測を行う。
S5において、光学モジュール16は、計測の開始時には、計測領域7の外縁の1点を計測する位置にある。試料容器1の回転に伴って、光学モジュール16は、回転軸32に近づく方向に移動していく。そのため、計測領域7内での計測位置の軌跡は、渦状になる。
なお、光学モジュール16は、計測の開始時に、計測領域7の内縁の1点を計測する位置にあってもよい。その場合、光学モジュール16は、計測中に回転軸32から離れる方向に移動する。
また、上述した通り、試料注入孔2aおよび通気孔2bは、上側基板2、すなわち試料容器1の上側に設けられている。一方、計測装置10の光学モジュール16は、上述した通り試料容器1の下側に設けられているため、試料容器1の下側から計測信号を検出する。つまり、試料容器1の、試料注入孔2aおよび通気孔2bが設けられている側と異なる側から計測信号を検出する。
<レーザ光の走査回数について>
上述のように、計測領域7内での計測位置の軌跡は、渦状になる。この場合、レーザ光は、図9に示すように、レーザ光の径b2、試料容器1の1回転当りのレーザ光の移動ピッチL2(レーザ光の径方向の移動ピッチ)および測定対象となる粒子状物質である測定対象粒子の粒子径a2に応じて、複数回走査される。
まず、粒子径a2よりもレーザ光の半径b2の方が大きい場合、レーザ光の径b2よりも移動ピッチL2の方が小さければ、図9の(a)に示すように、測定対象粒子に対してレーザ光が複数回走査される。具体的には、測定対象粒子に対してレーザ光の1回目(n=1)の走査がなされた後(試料容器1の回転時刻T=0)、試料容器1が1回転しても(T=t´(t´=回転周期))、測定対象粒子はレーザ光の照射領域内にある。すなわち、レーザ光の2回目(n=2)の走査がなされる。試料容器1がさらに1回転したら(T=2t´)、測定対象粒子はレーザ光の照射領域から外れる。すなわち、レーザ光の3回目(n=3)の走査はなされない。この走査回数は、移動ピッチL2が小さくなるほど増える。
一方、レーザ光の半径b2と移動ピッチL2とが略同一であれば、1回目の走査で測定対象粒子の一部だけがレーザ光の照射領域内にある場合を除いて、試料容器1が1回転しても2回目の走査はなされない。
次に、粒子径a2よりもレーザ光の半径b2の方が小さい場合、レーザ光の径b2よりも移動ピッチL2の方が小さければ、図9の(b)に示すように、レーザ光が複数回走査される。具体的には、測定対象粒子に対してレーザ光の1回目(n=1)の走査がなされた後(T=0)、試料容器1が1回転しても(T=t´)、測定対象粒子の一部はレーザ光の照射領域内にある。すなわち、レーザ光の2回目(n=2)の走査がなされる。試料容器1がさらに1回転したら(T=2t´)、測定対象粒子はレーザ光の照射領域から外れる。すなわち、レーザ光の3回目(n=3)の走査はなされない。この走査回数は、移動ピッチL2が小さくなるほど増える。
また、レーザ光の半径b2と移動ピッチL2とが略同一であっても、2回目以降の走査がなされる。
なお、上記軌跡が渦状ではなく、複数の円形を形成するものであってもよい。この場合、光学モジュール16は、計測領域7の外縁または内縁を光の照射位置とし、試料容器1を回転させることにより、外縁または内縁に沿って複数回光を走査させる。その後、光学モジュール16は、光の照射位置を半径方向に所定の距離だけずらし、試料容器1を回転させることにより、その位置において、複数回光を走査させる。これを繰り返すことにより、光学モジュール16は、粒子状物質に対して複数回光を走査させる。
以上より、上記軌跡が渦状であっても、複数の円形を形成する場合であっても、レーザ光を複数回走査させることができる。また、複数回走査させる場合に、移動ピッチL2を細かくすることによって走査回数が増えることから、より精度高く測定することができる。
ここで、光を複数回走査させて計測を行う場合、1回走査させて計測を行う場合に比して、1つの粒子状物質に対する走査時間が長くなる。粒子状物質の流動が生じている場合、走査時間が長くなるほど計測誤差が大きくなってしまう。そのため、複数回走査させた場合の計測結果は、1回走査させた場合に比して、上記流動の影響をより大きく受けることになる。
本実施形態では、封止部材100によって試料注入孔2aおよび通気孔2bを封止し、粒子状物質の流動を抑制した状態で上記計測を行うことができる。そのため、複数回の光走査による計測の場合であっても、1回の光走査の場合と同様、計測誤差の発生を抑制することができる。
<変形例>
上記では、上側基板2における、計測領域7に相対する領域には封止部材100が載置されない封止部材100の構成について説明した。しかし、封止部材100で発生する散乱光を抑制することが可能であれば、計測領域7に相対する領域に封止部材100が載置されてもよい。すなわち、封止部材100は、第1封止部材101の最内周から第2封止部材102の最外周までの領域を有する、1つの中空円形板状部材であってもよい。この場合、上記散乱光の発生を抑制するために、封止部材100は、計測装置10からの光の透過率が高いことが好ましい(例えば90%以上)。
また、封止部材100は、上側基板2に載置された場合に、少なくとも試料注入孔2aおよび通気孔2bが封止可能であれば、円形である必要はなく、例えば矩形状であってもよい。
<本実施形態における主たる効果>
本実施形態の封止部材100は、上述した試料容器1の試料充填部5(具体的には、上側基板2)に形成された試料注入孔2aおよび通気孔2bを封止する。
一般に、試料注入孔および通気孔を有する試料容器を用いて、液体試料に含まれる粒子状物質の計測(光の走査による計測)が行われる場合、試料容器に注入された液体試料中の液体の蒸発等により、液体試料の気液界面の形状に変化が生じる可能性がある。気液界面の形状が変化すると液体試料内で対流が生じるため、この対流の影響で計測中に粒子状物質が流動してしまい、その結果、粒子状物質の計測に誤差(計測誤差)が生じてしまう可能性がある。
上記対流が生じた場合、特に光の走査による粒子状物質の大きさ(粒径)の計測の場合には、以下のような計測誤差が生じる可能性がある。
例えば、粒子状物質の移動方向が光の走査方向と逆方向である場合には、計測装置10は、粒子状物質の移動に伴い、粒子状物質の大きさを小さく見積もってしまう可能性がある。一方、粒子状物質の移動方向が光の走査方向と同方向である場合には、計測装置10は、粒子状物質の移動に伴い、粒子状物質の大きさを大きく見積もってしまう可能性がある。また、粒子状物質の移動方向が、光の走査方向および封止部材100の半径方向と垂直な方向である場合にも、粒子の大きさを大きく見積もってしまう可能性がある。また、1つの粒子状物質に複数回光が照射される場合には、1つの粒子状物質に対して光が走査される時間に加えて、光が当該粒子状物質に再び戻ってくるまでの時間もさらに必要となる。そのため、粒子状物質の移動による計測誤差は大きくなってしまう。
したがって、試料容器1のような、試料注入孔および通気孔が形成された試料容器を用いて試料に対する計測を行う場合に、上述したような計測誤差の発生を抑制するためには、上記対流の主要因となる液体の蒸発の発生を抑制することが必要となる。これは、発明者らが新たに見出した課題である。
本実施形態の封止部材100は、試料容器1の試料注入孔2aおよび通気孔2bを封止することができる。そのため、試料注入孔2aおよび通気孔2bからの液体の蒸発等による液体試料の対流を低減できることから、上記計測中における粒子状物質の流動を低減できる。それゆえ、粒子状物質の流動を原因とする計測誤差の発生を抑制することができる。つまり、封止部材100は、試料に対する計測をより正確に行うことを可能とする。
また、特許文献1〜4の技術、およびいわゆる「マニキュア法」等の従来技術では、光の走査ではなく、試料を撮像することにより試料に対する計測が行われる。そのため、これらの従来技術では、光の走査とは異なり、試料の動きが止まった状態で計測を行うことができるため、上記対流が生じたとしても、その影響を受けることなく当該計測を行うことができる。すなわち、これらの技術では、上記対流の発生を抑制する必要がそもそもない。
さらに、粒子状物質が液体試料中に沈降する(細胞であれば、その粒径が10μm以上)場合には、試料保持空間を形成する下側基板との摩擦力によって当該下側基板に密着する。そのため、粒子状物質は、上記対流が生じても、当該対流によって流されにくい。
しかしながら、(1)撮像方式ではない光学的な計測(特に、光の走査による計測)で、かつ、(2)粒子状物質が液体試料中を浮遊している場合に、計測結果が上記対流の影響を受けやすい。そのため、この場合には特に、当該対流の発生に伴う粒子状物質の動きを厳密に止める必要がある。本実施形態の封止部材100を試料容器1に用いることにより、上記対流の発生を抑制することができるので、粒子状物質の動きを止めることができる。そのため、上記(1)および(2)の場合であっても、より正確な計測を行うことが可能となる。
なお、特許文献1〜4の技術では、本実施形態の試料容器1とは異なり、毛細管力を用いて試料保持空間に試料を注入するものではない。
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、図10〜図13に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<封止シート>
図10に基づいて、本実施形態の封止シート200の構成について説明する。図10の(a)および(b)は、本実施形態の封止シート200の一例を示す図である。また、図10の(c)は、第1封止部材101および第2封止部材102が上側基板2に載置された状態を示す図である。
図10の(a)および(b)に示すように、封止シート200は、試料充填部5の表面に装着されることにより(上側基板2に載置された場合に)、通気孔2bを封止する第1封止部材101、および試料注入孔2aを封止する第2封止部材102を含む封止部材100を備えている。封止部材100については、実施形態1にて説明したので、その説明は省略する。また、図10の(b)に示すように、封止シート200は、その他、保持基材201および保護シート202を備えている。
保持基材201は、通気孔2bと試料注入孔2aとの相対位置関係に対応する相対位置関係で第1封止部材101および第2封止部材102を保持するものである。第1封止部材101および第2封止部材102は、例えば保持基材201に接着されることにより、保持されている。これにより、封止シート200を上側基板2に載置するだけで、第1封止部材101によって通気孔2bのすべてを、第2封止部材102によって試料注入孔2aのすべてを一度に封止することができる。また、第1封止部材101および第2封止部材102のような細長い環状の形状を有する場合であっても、上側基板2に対する位置合わせおよび接着を容易に行うことが可能となる。
保護シート202は、第1封止部材101の第1粘着層111aおよび第2封止部材102の第2粘着層111bのそれぞれの粘着面(すなわち、第1粘着面および第2粘着面)を保護するものである。保護シート202は、例えば第1封止部材101および第2封止部材102に接着されることにより、第1封止部材101および第2封止部材102を保護している。これにより、上側基板2に載置(接着)する前に保護シート202を剥がすまで、第1粘着面および第2粘着面に埃または微粒子等が付着することがない。それゆえ、埃または微粒子等の付着によって第1粘着面および第2粘着面の粘着力が低下し、第1封止部材101および第2封止部材102が上側基板2から剥がれやすくなることを防止することができる。
保持基材201は、第1封止部材101および第2封止部材102が保持可能な程度の大きさであればよく、保護シート202は、第1粘着面および第2粘着面を保護可能な程度の大きさであればよい。図10では、保持基材201および保護シート202は、第1封止部材101よりも内径が大きい第2封止部材102よりも十分に大きい矩形の板状部材である。
このように、保持基材201と封止部材100とが互いに接着され、封止部材100と保護シート202とが互いに接着されていることにより、上側基板2への載置前の封止シート200が構成されている。
保護シート202の、第1粘着層111aおよび第2粘着層111bと相対する保護面は、保持基材201の、第1封止部材101および第2封止部材102と相対する保持面よりも、第1封止部材101および第2封止部材102に対する粘着性が低い。
図11を用いて後述するように、ユーザは、保持基材201を把持した状態で、保護シート202を第1封止部材101および第2封止部材102から剥がす。その後、第1封止部材101および第2封止部材102を上側基板2に接着する。
上記のような粘着性の関係となっていない場合には、第1封止部材101および第2封止部材102から保護シート202を剥がす時に、保持基材201が意図せず剥がれてしまう。そのため、第1封止部材101および第2封止部材102から保護シート202を剥がすことが困難になってしまう。本実施形態では、上記のような関係となっているため、保持基材201が意図せず剥がれてしまうことを防止することができる。そのため、保護シート202をスムースに剥がして、封止部材100を上側基板2に接着することができる。
保持基材201の上記保持面の、第1封止部材101および第2封止部材102に対する粘着性は、第1粘着面および第2粘着面の、試料充填部5(具体的には、上側基板2)に対する粘着性よりも低い。
図11を用いて後述するように、上側基板2に第1封止部材101および第2封止部材102のみが接着される場合、ユーザは、上側基板2に接着された第1封止部材101および第2封止部材102から保持基材201を剥がす。上記のような粘着性の関係となっていない場合には、第1封止部材101および第2封止部材102から保持基材201を剥がす時に、第1封止部材101および第2封止部材102が上側基板2から意図せず剥がれてしまう。そのため、第1封止部材101および第2封止部材102が上側基板2に接着した状態を維持することが困難になってしまう。本実施形態では、上記のような関係となっているため、第1封止部材101および第2封止部材102が意図せず剥がれてしまうことを防止することができる。そのため、保持基材201をスムースに剥がして、上記状態を維持することができる。
上記粘着性の違いを実現するために、第1粘着面および第2粘着面には、上側基板2に対する粘着力が保護シート202に対する粘着力よりも強く、かつ保持基材201の封止部材100に対する粘着力よりも強い粘着剤が用いられる。一方で、当該粘着剤は、保護シート202に対する粘着力については、保持基材201の封止部材100に対する粘着力よりも弱いものである。また、上記実現のために、封止部材100、保持基材201、保護シート202および上側基板2の材質が考慮されてもよい。
なお、第1封止部材101および第2封止部材102から保持基材201を剥がさない場合には、保持基材201の上記保持面の、第1封止部材101および第2封止部材102に対する粘着性は、保護シート202の上記保護面の粘着性よりも、第1粘着面および第2粘着面の、上側基板2に対する粘着性よりも高いことが好ましい。
<取付け方法>
次に、図11を用いて、封止シート200の第1封止部材101および第2封止部材102を試料容器1に接着するまでの、封止シート200の取付け方法について説明する。図11は、封止シート200の取付け方法の一例を示す図である。
図11の(a)に示すように、第1封止部材101および第2封止部材102を上側基板2に接着するために、ユーザは、保持基材201を把持して、保護シート202を第1封止部材101および第2封止部材102から剥離する(保護シート剥離工程)。その後、図11の(b)に示すように、ユーザは、試料注入孔2aおよび通気孔2bがそれぞれ封止されるよう、上側基板2に対して第1封止部材101および第2封止部材102の位置合わせを行い、第1粘着面および第2粘着面を上側基板2に接着する(封止部材接着工程)。この状態では、試料容器1に、封止部材100と保持基材201とが載置されている。
第1封止部材101および第2封止部材102を上側基板2に接着した後、図11の(c)に示すように、ユーザは、第1封止部材101および第2封止部材102が上側基板2から剥がれないように、保持基材201を、第1封止部材101および第2封止部材102からゆっくりと剥離する(保持基材剥離工程)。すなわち、封止部材接着工程および保持基材剥離工程において、ユーザは、第1封止部材101および第2封止部材102を上側基板2に接着(転写)した後に、保持基材201から第1封止部材101および第2封止部材102を除去している。この状態では、試料容器1に、第1封止部材101および第2封止部材102のみが載置されている。
このように、簡易な手法で試料注入孔2aおよび通気孔2bを封止することができる。
なお、図11では、封止部材100のみを試料容器1に接着させているが、これに限らず、図11の(b)に示すように、保持基材201を封止部材100から剥離せずに、保持基材201および封止部材100を試料容器1に載置した状態としてもよい。
この場合、封止部材100から保持基材201を剥離するという工程を削減することができる。また、保持基材201を封止部材100から剥離しないため、保持基材201の上記保持面、保護シート202の上記保護面、および封止部材100の粘着面がそれぞれ有する粘着性を、保持基材201を剥離する場合に比して厳密に規定する必要はない。それゆえ、封止部材100のみを試料容器1に載置する場合に比して、より簡易な取付け方法を実現することができる。
一方、図11の(c)に示すように、封止部材100のみを試料容器1に載置する場合には保持基材201が剥離されるので、保持基材201の重量分、封止後の試料容器の軽量化を図ることができる。また、計測領域7の上方には上側基板2以外の部材は載置されないので、当該部材(例えば保持基材201)に計測装置10からの光が照射され、その結果当該部材から散乱光が発生することはない。そのため、計測装置10は、計測領域7に含まれる試料において発生する散乱光または蛍光のみを検出することができる。すなわち、保持基材201を剥離することにより、保持基材201で散乱光が発生することに起因した計測誤差が生じることを防止することができる。
なお、保持基材201を封止部材100から剥離しない場合には、保持基材201における散乱光の発生を抑制するために、計測装置10からの光の透過率が高いことが好ましい(例えば90%以上)。
<変形例>
次に、図12および図13に基づいて、封止シート200の変形例である封止シート210、220について説明する。図12および図13は、封止シート200の変形例を説明するための図である。なお、図12および図13では、簡素化のため、保護シート202の図示を省略している。
図12に示すように、封止シート210では、保持基材201は、第1封止部材101aおよび第2封止部材102を保持している。第1封止部材101aは、第1封止部材101に比してその幅が小さい。そのため、第1封止部材101よりも軽量で、かつ材料費を節約することができる。また、第1封止部材101aが有する第1開口部103aの大きさは、第1開口部103よりも大きいので、第1封止部材101aは、開口26を考慮して通気孔2bに対する位置合わせを行う必要がない。そのため、第1封止部材101よりも容易に当該位置合わせを行うことが可能となる。
次に、図13の(a)は、上側基板2cを備える試料容器1を示すものである。上側基板2cには、試料注入孔2aaと通気孔2bとが形成されている。試料注入孔2aaは、上側基板2cにおいて、試料注入孔2aと同様の位置に形成されているが、環状ではなく、小さなスリット状の孔である。図13の(a)では、試料注入孔2aaは、2個を1セット、計4セットを等角度間隔で、上側基板2cの外周(試料保持空間の外側)に沿って形成されている。
図13の(b)に示すように、封止シート220では、保持基材201は、通気孔2bと試料注入孔2aaとの相対位置関係に対応する相対位置関係で第1封止部材101aおよび第2封止部材102aを保持している。第2封止部材102aは、図13の(a)のように形成された試料注入孔2aaのそれぞれを封止可能なように、保持基材201に配置されている。具体的には、第2封止部材102aは、等角度間隔で4個配置されており、上側基板2cに載置された状態において、1個の第2封止部材102aによって、隣接する2つの試料注入孔2aa(1セットの試料注入孔2aa)を封止する。
このように、第2封止部材102aは、複数の試料注入孔2aaをいくつかの区画に分け、各区画を一単位として封止するものである。したがって、第2封止部材102aは、第2封止部材102のように、複数の試料注入孔2aを1つの封止部材で封止せずとも、第2封止部材102と同様に、複数の試料注入孔2aaを封止することができる。
なお、第2封止部材102aは、試料注入孔2aaを1個ずつ封止可能なように、保持基材201に8個設けられていてもよい。すなわち、第2封止部材102aは、複数の試料注入孔2aaを個々に(一対一対応で)封止する構成であってもよい。ただし、第2封止部材102aを細分化するほど、保持基材201に対する第2封止部材102aの配置に手間がかかる。この点および試料注入孔の配置位置等を考慮して、第2封止部材102aの個数が決定されることが好ましい。
第1封止部材101、101aについても同様である。すなわち、第1封止部材101、101aは、複数の通気孔2bをいくつかの区画に分け、各区画を一単位として封止するものであってよい。また、第1封止部材101、101aは、複数の通気孔2bを個々に封止する構成であってもよい。
また、封止シート200、210、220は、保護シート202を備えていなくてもよい。ただし、第1粘着面および第2粘着面を保護する観点から、保護シート202を備えていることが好ましい。
<本実施形態における主たる効果>
本実施形態の封止シート200〜220の封止部材100(第1封止部材101、101aおよび第2封止部材102、102a)は、試料容器1、1cの試料充填部5(具体的には、上側基板2、2c)に形成された試料注入孔2a、2aaおよび通気孔2bを封止する。これにより、実施形態1と同様、液体試料中の液体の蒸発に伴う対流の発生を抑制し、当該対流による計測誤差の発生を抑制することができる。
また、本実施形態の封止シート200〜220は、通気孔2bと試料注入孔2a、2aaとの相対位置関係に対応する相対位置関係で、通気孔2bを封止する第1封止部材101、101aと、試料注入孔2a、2aaを封止する第2封止部材102、102aを保持する保持基材201を備えている。
そのため、封止シート200〜220を上側基板2、2cに装着するだけで、第1封止部材101、101aおよび第2封止部材102、102aによって通気孔2bおよび試料注入孔2a、2aaのすべてを一度に封止することができる。それゆえ、例えば、個々の孔に封止材(例えばマニキュア)の塗布するような手間を省くことができる。また、塗布された封止材の乾燥を待つ必要がないので、封止にかかる時間を削減することができる。
すなわち、封止シート200〜220を用いることにより、試料注入孔2a、2aaおよび通気孔2bを、簡易な手法で封止することができる。
ここで、試料充填部に形成された試料注入孔および通気孔をそれぞれ個別に封止する場合、通気孔を封止する第1封止部材、および試料注入孔を封止する第2封止部材を、個別に試料充填部に接着することになる。この場合、封止部材を複数枚接着する必要があるため、その分作業工程が増えてしまう。また、当該作業を複数回繰り返すことになるため、試料注入孔および通気孔からずれた位置に、第1封止部材および第2封止部材が接着されてしまう可能性が高くなる。すなわち、試料充填部に対する第1封止部材および第2封止部材の位置ずれが生じてしまう可能性がある。
一方、単一の封止部材で試料注入孔および通気孔の一度に封止しようとした場合、試料充填部における計測領域と相対する領域の上にも封止部材が装着されることになる。それゆえ、光学的な計測では、上記領域の上に存在する封止部材における不要な散乱光の発生により、計測誤差が生じてしまう可能性がある。
本実施形態の封止シート200〜220では、第1封止部材101、101aおよび第2封止部材102、102aが保持基材201に保持されており、通気孔2bおよび試料注入孔2a、2aaのすべてを一度に封止することができる。そのため、上述のような位置ずれの発生を防止するとともに、第1封止部材および第2封止部材の装着に伴う作業工程を簡素化することができる。
また、第1封止部材101、101aおよび第2封止部材102、102aは、計測領域7を挟んで形成された通気孔2bおよび試料注入孔2a、2aaのそれぞれを封止する。そのため、上側基板2、2cにおける計測領域7と相対する領域の上に封止部材100が装着されることを防止することができる。それゆえ、封止部材100による不要な散乱光の発生を抑制し、計測誤差の発生を抑制することができる。
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、図14に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図14の(a)は、本実施形態の封止シート230の概略構成の一例を示すものであり、図14の(b)は、その変形例である封止シート240の概略構成の一例を示すものである。封止シート230、240は、保持基材201に代えて、保持基材231、241をそれぞれ備えている点で、封止シート200と異なる。
図14の(a)に示すように、封止シート230は、保持基材231、封止部材100および保護シート202を備えている。保持基材231は、第1開口部103の形状と同一形状の第2開口部(開口部)232を有している。すなわち、第2開口部232は、上側基板2に形成された開口26と略同一形状および略同一の大きさを有している。そして、第1開口部103の壁面と第2開口部232の壁面とは面一となっている。図14の(a)では、保持基材231は、その略中心に第2開口部232を有している。
この場合、保護シート202を剥がし、封止部材100を上側基板2に接着するときに、ユーザは、第1開口部103および第2開口部232の壁面と、開口26を形成する上側基板2の壁面とが面一となるように、上側基板2に、保護シート202を剥がした封止シート230を載置するだけで、第1封止部材101と通気孔2bとの位置合わせ、および、第2封止部材102と試料注入孔2aとの位置合わせを正確に行うことができる。すなわち、上側基板2と封止部材100との位置合わせを、上記2つの壁面を利用して物理的に行うことができるので、簡易でかつ正確な位置合わせを行うことができる。
なお、第1封止部材101の代わりに、第1封止部材101よりも幅の狭い、図12に示す第1封止部材101aが設けられている場合、第1開口部103の内径よりも第1開口部103aの内径の方が大きいため、第1開口部103の壁面と第2開口部232の壁面とは面一とはならない。この場合、上記位置合わせは、開口26の壁面と第2開口部232の壁面とが面一となるように行われればよい。
また、第2開口部232は、開口26と同一の大きさを有していなくともよく、開口26の内径より大きくてもよい。この場合であっても、ユーザは、例えば第2開口部232の中心軸と開口26の中心軸とが略一致するように上記位置合わせを行えば、試料注入孔2aおよび通気孔2bを正確に封止することができる。
すなわち、保持基材231は、少なくとも開口26と略同一形状の第2開口部232を有していればよい。
また、図14の(b)のように、封止シート240は、保持基材241、封止部材100および保護シート202を備えている。保持基材241は、保持基材231と同様、第1開口部103と同一形状の第2開口部242を有しており、第1開口部103の壁面と第2開口部242の壁面とは面一となっている。
さらに、保持基材241は、保持基材241の外周面243と、第1封止部材101よりも外縁部に配置された第2封止部材102の外周面104とが面一となるような形状となっている。外周面243は、保持基材241の外周側の壁面であり、外周面104は、第2封止部材102の外周側の壁面である。すなわち、保持基材241の外周形状は、第2封止部材102の外周形状と略同一である。
また、保持基材241は、上側基板2に載置された状態において、上記外周面243と外周面104とが、上側基板2の外周面2osと面一となるような形状を有している。外周面2osは、上側基板2の外周側の壁面である。すなわち、保持基材241の外周形状は、試料充填部5の外周形状と略同一である。
この場合、保護シート202を剥がし、封止部材100を上側基板2に接着するときに、ユーザは、上記各外周面243、104、2osが面一となるように、上側基板2に、保護シート202を剥がした封止シート240を載置するだけで、第1封止部材101と通気孔2bとの位置合わせ、および、第2封止部材102と試料注入孔2aとの位置合わせを正確に行うことができる。すなわち、上側基板2と封止部材100との位置合わせを、外周面243、104と外周面2osとを利用して物理的に行うことができるので、簡易でかつ正確な位置合わせを行うことができる。
なお、第2封止部材102の代わりに、第2封止部材102よりも幅の狭い第2封止部材が設けられている場合、保持基材241の外周面243と、第2封止部材102の外周面104とは面一とはならない。この場合、上記位置合わせは、上側基板2の外周面2osと保持基材241の外周面243とが面一となるように行われればよい。すなわち、保持基材241は、上側基板2に載置された状態において、上記外周面243が上記外周面2osと面一となるような形状を有していればよい。さらに換言すれば、保持基材241の外周形状は、少なくとも試料充填部5の外周形状と略同一であればよい。
なお、保持基材231、241の上述した形状以外の機能については、実施形態2で述べた封止シート200の保持基材201と同様の機能を有する。また、封止シート200と同様、封止シート230、240において、保護シート202は必須の構成ではない。
<本実施形態における主たる効果>
本実施形態の封止シート230および240によれば、実施形態1,2で述べた効果に加え、試料充填部5(具体的には、上側基板2)と、第1封止部材101および第2封止部材102との位置合わせを、簡易にかつ正確に行うことが可能となる。
〔実施形態4〕
本発明の他の実施形態について、図15に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
図15は、本実施形態の封止シート250の概略構成の一例を示すものである。図15の(a)に示すように、封止シート250では、保持基材201は、通気孔2bと試料注入孔2aとの相対位置関係に対応する相対位置関係で第1封止部材101bおよび第2封止部材102bを保持している。第1封止部材101bおよび第2封止部材102bの幅は、図12に示す第1封止部材101aおよび第2封止部材102の幅とそれぞれ同一である。第1封止部材101bの幅は、第1封止部材101の幅と同一であってもよい。
図15の(b)に示すように、第1封止部材101bおよび第2封止部材102bは、それぞれ突起部を有している。第1封止部材101bの突起部は、通気孔2bに嵌合可能な形状となっており、第2封止部材102bの突起部は、試料注入孔2aに嵌合可能な形状となっている。例えば、図3の(a)に示すように、上側基板2には、スリット状の試料注入孔2aと円形の通気孔2bとが形成されている。そのため、例えば、第1封止部材101bの突起部は、平面視で円形状となっており、第2封止部材102bの突起部は、平面視でスリット状となっていてもよい。
ただし、第1封止部材101bの突起部および第2封止部材102bの突起部がそれぞれ通気孔2bおよび試料注入孔2aに嵌合され、第1封止部材101bおよび第2封止部材102bが試料注入孔2aおよび通気孔2bを封止可能であれば、各突起部の形状および大きさは任意に設定することができる。例えば、上側基板2に形成された全ての試料注入孔2aおよび通気孔2b分の突起部が設けられている必要も、第2封止部材102bの突起部がスリット状である必要もない。
上記のような構成により、第1封止部材101bおよび第2封止部材102bが、それぞれ第1粘着面および第2粘着面を有していなくても、上側基板2から外れないように、試料注入孔2aおよび通気孔2bを封止することができる。すなわち、接着によらず、第1封止部材101bおよび第2封止部材102bを、上側基板2から外れないように、上側基板2に固定することができる。
なお、第1封止部材101bおよび第2封止部材102bの、上側基板2との接触面、または突起部の表面に、粘着面を設けてもよい。この場合、第1封止部材101bおよび第2封止部材102bを、より強固に上側基板2に固定することができる。
<本実施形態における主たる効果>
本実施形態の封止シート250によれば、実施形態1〜3で述べた効果に加え、接着によらず、第1封止部材101bおよび第2封止部材102bを試料充填部5に固定することができる。そのため、封止シート250を用いた場合であっても、通気孔2bおよび試料注入孔2aを封止することができる。
〔実施形態5〕
本発明の他の実施形態について、図16〜図26に基づいて説明すれば、以下のとおりである。なお、説明の便宜上、前記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を省略する。
<本実施形態の概要>
(試料容器および封止シート)
実施形態1〜4では、例えば図2〜図5、図13の(a)に示すように、試料容器1、1cは、平面視で環状の試料充填部5(すなわち、計測領域7)を備え、試料注入孔2a、2aaおよび通気孔2bもその形状にあわせて形成されている。そして、実施形態1〜4では、試料容器1、1cに用いられる、環状の第1封止部材101、101a、101bおよび第2封止部材102、102a、102bの概略構成について説明した。一方、本実施形態では、平面視で矩形の試料充填部に用いられる封止部材の概略構成について説明する。
本実施形態の各試料容器の各部および各封止シートの各部は、実施形態1〜4で説明した各部と、その大きさおよび形状は異なるが、同様の機能を有している。例えば、以下で説明する封止部材は、封止部材を上側基板と接着するための粘着層(粘着面)を有していてもよいし、試料注入孔または通気孔に嵌合可能な突起部を有していてもよい。
また、本実施形態の各封止シートは、封止部材の粘着面を保護する保護シートを備えているが、その図示は省略している。なお、例えば封止部材が粘着面を有しない場合には、保護シートを備えている必要は必ずしもない。
(計測方法)
実施形態1で説明した計測方法と同様に、試料に対する計測が行われる。例えば、計測装置10を用いて光学的な計測が行われる。この場合、本実施形態の各試料容器に試料が注入された後、封止部材が上側基板に載置される。封止部材が載置された試料容器は、計測装置10のテーブル33に載置される。
本実施形態の各試料容器には、試料容器1のように開口26、36が形成されていない。そのため、各試料容器は、例えば、各試料容器の長手方向がテーブル33の周方向に沿う(すなわち、光の走査方向となる)ように、テーブル33に載置される。その後、計測装置10は、各試料容器に保持されている試料に対して光を照射し、試料で発生した散乱光または蛍光を検出することにより、試料に対する計測を行う。
なお、各試料容器が備えるスペーサ、または、上側基板に形成された試料注入孔もしくは通気孔に光が照射されると、これらの部材で発生した散乱光により、計測誤差が生じてしまう可能性がある。そのため、当該計測誤差の発生を防止するために、計測装置10は、上記スペーサ、試料注入孔または通気孔に光が照射されないように、回転駆動系または光源装置11の駆動を制御することが好ましい。
例えば、図16の(c)に矢印で示すように、光源装置11は光を照射し続けるが、回転駆動系は、光源装置11からの光が計測領域内において往復走査するように、テーブル33の回転方向を切り替える。または、回転駆動系はテーブル33を一定の方向に回転し続けるが、光源装置11は、計測領域内にのみ光が照射されるように(すなわち、上記スペーサ、試料注入孔および通気孔には光が照射されないように)、光の出射制御(点灯制御)を行う。
(取付け方法)
各封止シートの、上側基板への取付け方法は、実施形態2で説明した取付け方法と同様である。なお、ユーザは、保持基材に封止部材が保持されている状態で上側基板に取り付けるのではなく、封止部材から保持基材および保護シートを剥がし、封止部材を上側基板に取り付けてもよい。
<試料容器および封止シートの具体例>
以下に、図16〜図26を用いて、試料容器および封止シートの種々の具体例について説明する。
(複数の孔が計測領域を挟んでいる構成)
図16〜図20を用いて、平面視で試料注入孔および通気孔が計測領域を挟んで形成されている上側基板を備える試料容器と、当該試料容器に用いられる封止シートとについて説明する。
(長手方向に延伸する孔および封止部材の構成)
まず、図16を用いて、試料容器1dを構成する各部の構成と、試料容器1dに用いられる封止シート260の構成とについて説明する。図16は、これらの概略構成の一例を示す図である。
図16の(a)〜(c)に示すように、試料容器1dは、上側基板2dと、下側基板3dと、スペーサ4dとを備えている。
上側基板2dおよび下側基板3dは、ほぼ同じ大きさの長方形状の板状部材である。上側基板2dには、1つのスリット状の試料注入孔2adと、3つのスリット状の通気孔2bdとが、矩形の試料充填部5dに沿って(すなわち、光の走査方向に沿って)形成されている。試料注入孔2adと通気孔2bdとは、互いに離間し、かつ相対するように上側基板2dに形成されている。すなわち、試料注入孔2adおよび通気孔2bdは、矩形の計測領域7dを挟んで上側基板2dに形成されている。
スペーサ4dは、上側基板2dと下側基板3dとの隙間を一定に維持する部材である。本実施形態において、スペーサ4dは、上側基板2dおよび下側基板3dの外縁部に配置された外側スペーサとして機能する。
試料充填部5dは、矩形の試料保持空間を形成する構造体であり、上側基板2dと、下側基板3dと、スペーサ4dとによって構成されている。これらの部材によって囲まれた空間が試料保持空間である。試料充填部5dの高さは、スペーサ4dの高さ(厚み)で規定される。試料充填部5dの長辺方向の長さは、スペーサ4dを構成する4辺のうちの長い方の2辺の長さで規定される。
図16の(d)に示す封止シート260は、試料容器1dに用いられるものである。図16の(d)に示すように、封止シート260は、第1封止部材101c、第2封止部材102cおよび保持基材261を備えている。第1封止部材101cは、上側基板2dに載置された場合に、通気孔2bdを封止する。第2封止部材102cは、上側基板2dに載置された場合に、試料注入孔2adを封止する。保持基材261は、第1封止部材101cおよび第2封止部材102cを保持する。
第1封止部材101cは、保持基材261の、上側基板2dに載置された状態において通気孔2bdのそれぞれと相対する位置に3個配置されている。そして、各第1封止部材101cは、上側基板2dに載置された状態において各通気孔2bdを封止可能なように、通気孔2bdよりも大きい矩形形状を有している。すなわち、第1封止部材101cは、通気孔2bをそれぞれ封止するものである。なお、第1封止部材101cは、3個の通気孔2bd全体を封止可能な1つの封止部材から構成されていてもよい。
同様に、第2封止部材102cは、保持基材261の、上側基板2dに載置された状態において試料注入孔2adと相対する位置に配置されている。そして、第2封止部材102cは、上側基板2dに載置された状態において試料注入孔2adを封止可能なように、試料注入孔2adよりも大きい矩形形状を有している。
次に、図17の(a)は、試料注入孔2aeおよび通気孔2beが計測領域を挟むように形成された上側基板2eを備える試料容器1eを示すものである。図17の(b)は、試料注入孔2afおよび通気孔2bfが計測領域を挟むように形成された上側基板2fを備える試料容器1fを示すものである。
試料注入孔2ae、2afはそれぞれ、上側基板2e、2fの長辺の一方に沿って(すなわち、光の走査方向に沿って)形成されている。試料注入孔2ae、2afはそれぞれ、上側基板2e、2fにおいて、図16の(a)に示す上側基板2dにおける試料注入孔2adの形成位置と同様の位置に形成されている。同様に、通気孔2be、2bfはそれぞれ、上側基板2e、2fの長辺の他方に沿って、試料注入孔2ae、2afと相対する位置に形成されている。通気孔2be、2bfはそれぞれ、上側基板2e、2fにおいて、図16の(a)に示す上側基板2dにおける通気孔2bdの形成位置と同様の位置に形成されている。
試料容器1eでは、試料注入孔2aeおよび通気孔2beはそれぞれ、上側基板2eと下側基板との間に形成される試料充填部(具体的には、試料充填部内に形成される計測領域)の長手方向に延伸する1つのスリット状の孔である。一方、試料容器1fでは、試料注入孔2afおよび通気孔2bfはそれぞれ、上側基板2fと下側基板との間に形成される試料充填部の長手方向に延伸するスリット状の孔であり、3個ずつ一列に形成されている。
図17の(c)に示す封止シート270は、試料容器1e、1fに用いられるものである。図17の(c)に示すように、封止シート270は、第1封止部材101d、第2封止部材102dおよび保持基材271を備えている。
第1封止部材101dは、保持基材271の、上側基板2e、2fに載置された状態において通気孔2be、2bfと相対する位置に配置されている。そして、第1封止部材101dは、通気孔2beの全体および3個の通気孔2bfの全体よりも大きい矩形形状を有している。同様に、第2封止部材102dは、保持基材271の、上側基板2e、2fに載置された状態において試料注入孔2ae、2afと相対する位置に配置されている。そして、第2封止部材102dは、試料注入孔2aeの全体および3個の試料注入孔2afの全体よりも大きい矩形形状を有している。
次に、図18の(a)は、試料注入孔2agおよび通気孔2bgが計測領域を挟むように形成された上側基板2gを備える試料容器1gを示すものである。試料容器1gは、通気孔2bgが、図17の(a)に示す通気孔2beよりも短い点を除き、試料容器1eと同様の構成である。
図18の(b)に示す封止シート280は、試料容器1gに用いられるものである。図18の(b)に示すように、封止シート280は、第1封止部材101e、第2封止部材102eおよび保持基材281を備えている。封止シート280は、第1封止部材101eが、通気孔2bgの大きさに合わせて図17の(c)に示す第1封止部材101dよりも短い点を除き、封止シート270と同様の構成である。なお、図18の(a)の試料容器1gに、図17の(c)の封止シート270を用いることも可能である。
(短手方向に延伸する孔および封止部材の構成)
次に、図19を用いて、試料容器1h、1i、1jを構成する各部の構成と、試料容器1h、1i、1jに用いられる封止シート290の構成とについて説明する。図19は、これらの概略構成の一例を示す図である。
図19の(a)〜(c)は、試料容器1h、1i、1jを示すものである。試料容器1hは、図19の(a)に示すように、試料注入孔2ahおよび通気孔2bhが計測領域を挟むように形成された上側基板2hを備えている。試料容器1iは、図19の(b)に示すように、試料注入孔2aiおよび通気孔2biが計測領域を挟むように形成された上側基板2iを備えている。試料容器1jは、図19の(c)に示すように、試料注入孔2ajおよび通気孔2bjが計測領域を挟むように形成された上側基板2jを備えている。
図19の(a)では、試料注入孔2ahは、上側基板2hの短辺の一方に沿って(すなわち、光の走査方向と垂直な方向に沿って)形成されている。通気孔2bhは、上側基板2hの短辺の他方に沿って、試料注入孔2ahと相対する位置に形成されている。図19の(b)および(c)においても同様に、試料注入孔2ai、2ajおよび通気孔2bi、2bjは、それぞれ相対するように上側基板2i、2jの短辺に沿って形成されている。
試料注入孔2ah、2ajおよび通気孔2bhは、上側基板2h、2jのそれぞれと下側基板との間に形成される試料充填部の短手方向に延伸する1つのスリット状の孔である。一方、試料注入孔2aiおよび通気孔2bi、2bjはそれぞれ、上記短手方向に延伸するスリット状の孔であり、2個ずつ一列に形成されている。
図19の(d)に示す封止シート290は、試料容器1h、1i、1jに用いられるものである。図19の(d)に示すように、封止シート290は、第1封止部材101f、第2封止部材102fおよび保持基材291を備えている。第1封止部材101fは、通気孔2bhの全体、および、2個の通気孔2bi、2bhの全体よりも大きい矩形形状を有している。同様に、第2封止部材102fは、試料注入孔2ah、2ajの全体、および、2個の試料注入孔2aiの全体よりも大きい矩形形状を有している。
なお、第1封止部材101fは、2個の通気孔2bi、2bjのそれぞれを封止可能な封止部材であってもよく、第2封止部材102fは、2個の試料注入孔2aiのそれぞれを封止可能な封止部材であってもよい。すなわち、封止部材は、試料注入孔および通気孔と一対一で上側基板に載置される構成であってもよい。
次に、図20の(a)は、試料注入孔2akおよび通気孔2bkが計測領域を挟むように形成された上側基板2kを備える試料容器1kを示すものである。試料容器1kは、通気孔2bkが、図19の(a)に示す通気孔2bhよりも短い点を除き、試料容器1hと同様の構成である。
図20の(b)に示す封止シート300は、試料容器1kに用いられるものである。図20の(b)に示すように、封止シート300は、第1封止部材101g、第2封止部材102gおよび保持基材301を備えている。封止シート300は、第1封止部材101gが、通気孔2bkの大きさに合わせて図19の(d)に示す第1封止部材101fよりも短い点を除き、封止シート290と同様の構成である。なお、図20の(a)の試料容器1kに、図19の(d)の封止シート290を用いることも可能である。
(複数の孔が計測領域を挟まない構成)
次に、図21〜図26を用いて、平面視で試料注入孔または通気孔が計測領域の上に形成されている上側基板を備える試料容器と、当該試料容器に用いられる封止シートとについて説明する。
図21〜図26に示す各試料容器は、図16の(a)〜(c)と同様、上側基板と下側基板との間にスペーサが設けられ、上側基板と下側基板との間に試料保持空間が形成された試料充填部を備えている。そして、試料保持空間の内部に計測領域が形成されている。図21〜図26に示す各試料容器では、上側基板において、平面視で計測領域を挟むように試料注入孔が形成され、計測領域に相対する領域に通気孔が形成されている。
(長手方向に延伸する孔および封止部材の構成)
まず、図21を用いて、試料容器1m、1n、1p、1qを構成する各部の構成と、試料容器1m、1n、1p、1qに用いられる封止シート310の構成とについて説明する。図21は、これらの概略構成の一例を示す図である。
図21の(a)は、2個の試料注入孔2amが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に通気孔2bmが形成された上側基板2mを備える試料容器1mを示すものである。試料注入孔2amは、上側基板2mの長辺に沿って(すなわち、光の走査方向に沿って)形成されている。具体的には、計測領域の長手方向に延伸するように、上側基板2mの長辺の一方に1個の試料注入孔2amが形成されており、その他方にも1個の試料注入孔2amが形成されている。また、通気孔2bmは、試料注入孔2amと略平行に、かつ上側基板2mの中心付近を通るように形成されている。試料注入孔2amおよび通気孔2bmは、計測領域の長手方向に延伸するスリット状の孔であり、略同一形状である。
図21の(b)は、6個の試料注入孔2anが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に通気孔2bnが形成された上側基板2nを備える試料容器1nを示すものである。試料注入孔2anは、上側基板2nの長辺に沿って形成された、図21の(a)の試料注入孔2amよりも短いスリット状の孔である。具体的には、計測領域の長手方向に延伸するように、上側基板2nの長辺の一方に3個の試料注入孔2anが一列に形成されており、その他方にも3個の試料注入孔2anが一列に形成されている。通気孔2bnは、図21の(a)の通気孔2bmと同様の形状および大きさであり、上側基板2nにおける形成位置も同様である。
図21の(c)は、6個の試料注入孔2apが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に3個の通気孔2bpが形成された上側基板2pを備える試料容器1pを示すものである。通気孔2bpは、上側基板2pの長辺方向に延伸する、図21の(a)の通気孔2bmよりも短いスリット状の孔である。具体的には、3個の通気孔2bpは、計測領域の長手方向に延伸するように一列に形成されている。また、その列が、上側基板2pの中心付近を通るように形成されている。試料注入孔2apは、図21の(b)の試料注入孔2anと同様の形状および大きさであり、上側基板2pにおける形成位置も同様である。
図21の(d)は、2個の試料注入孔2aqが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に3個の通気孔2bqが形成された上側基板2qを備える試料容器1qを示すものである。試料注入孔2aqは、図21の(a)の試料注入孔2amと同様の形状および大きさであり、上側基板2qにおける形成位置も同様である。通気孔2bqは、図21の(c)の通気孔2bpと同様の形状および大きさであり、上側基板2qにおける形成位置も同様である。
図21の(e)に示す封止シート310は、試料容器1m、1n、1p、1qに用いられるものである。図21の(e)に示すように、封止シート310は、第1封止部材101h、第2封止部材102hおよび保持基材311を備えている。第1封止部材101hは、上側基板2m、2n、2p、2qに載置された場合に、通気孔2bm、2bn、2bp、2bqをそれぞれ封止する。第1封止部材101hは、通気孔2bmの全体、通気孔2bnの全体、3個の通気孔2bpの全体、または3個の通気孔2bqの全体よりも大きな矩形形状を有する1つの封止部材である。
第2封止部材102hは、上側基板2m、2n、2p、2qに載置された場合に、試料注入孔2am、2an、2ap、2aqをそれぞれ封止する。第2封止部材102hは、各試料注入孔2amの全体、または、各試料注入孔2aqの全体よりも大きな矩形形状を有する1つの封止部材である。また、第2封止部材102hは、上側基板2nにおいて、各列を形成する3個の試料注入孔2anの全体、または、上側基板2pにおいて、各列を形成する3個の試料注入孔2apの全体よりも大きな矩形形状を有する1つの封止部材である。
すなわち、第1封止部材101hおよび第2封止部材102hは、上側基板2m、2n、2p、2qの長辺方向に延伸する3つの列を形成する複数の孔を、列ごとに封止するものである。なお、第1封止部材101hおよび第2封止部材102hは、個々の孔を一対一で封止可能な大きさに調整され、保持基材311に配置されていてもよい。
次に、図22は、2個の試料注入孔2arが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に通気孔2brが形成された上側基板2rを備える試料容器1rを示すものである。試料容器1rは、試料注入孔2arが、図21の(a)に示す試料注入孔2amよりも短い点を除き、試料容器1mと同様の構成である。
図22の(b)に示す封止シート320は、試料容器1rに用いられるものである。図22の(b)に示すように、封止シート320は、第1封止部材101i、第2封止部材102iおよび保持基材321を備えている。封止シート320は、第2封止部材102iが、試料注入孔2arの大きさに合わせて図21の(e)に示す第2封止部材102hよりも短い点を除き、封止シート310と同様の構成である。なお、図22の(a)の試料容器1rに、図21の(e)の封止シート310を用いることも可能である。
次に、図23の(a)は、2個の試料注入孔2asが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に2個の通気孔2bsが形成された上側基板2sを備える試料容器1sを示すものである。通気孔2bsは、図21の(a)に示す通気孔2bmと同様のものである。試料容器1sでは、上側基板2sの中央付近を通るように、2個の通気孔2bsが隣接して略平行に形成されている。試料容器1sは、この点を除き、図21の(a)に示す試料容器1mと同様の構成である。
図23の(b)に示す封止シート330は、試料容器1sに用いられるものである。図23の(b)に示すように、封止シート330は、第1封止部材101j、第2封止部材102jおよび保持基材331を備えている。第1封止部材101jは、上側基板2sに載置された状態において2個の通気孔2bsの全体を封止可能なように、2個の通気孔2bsの全体よりも大きな矩形形状を有している。封止シート330は、この点を除き、図21の(e)に示す封止シート310と同様の構成である。
(短手方向に延伸する孔および封止部材の構成)
次に、図24を用いて、試料容器1t、1u、1v、1wを構成する各部の構成と、試料容器1t、1u、1v、1wに用いられる封止シート340の構成とについて説明する。図24は、これらの概略構成の一例を示す図である。
図24の(a)は、2個の試料注入孔2atが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に1個の通気孔2btが形成された上側基板2tを備える試料容器1tを示すものである。試料注入孔2atは、上側基板2tの短辺に沿って(すなわち、光の走査方向と垂直な方向に沿って)形成されている。具体的には、計測領域の短手方向に延伸するように、上側基板2tの短辺の一方に1個の試料注入孔2atが形成されており、その他方にも1個の試料注入孔2atが形成されている。また、通気孔2btは、試料注入孔2atと略平行に、かつ上側基板2tの中心付近を通るように形成されている。試料注入孔2atおよび通気孔2btは、計測領域の短手方向に延伸するスリット状の孔であり、略同一形状である。
図24の(b)は、4個の試料注入孔2auが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に1個の通気孔2buが形成された上側基板2uを備える試料容器1uを示すものである。試料注入孔2auは、上側基板2uの長辺に沿って形成された、図24の(a)の試料注入孔2atよりも短いスリット状の孔である。具体的には、計測領域の短手方向に延伸するように、上側基板2uの短辺の一方に2個の試料注入孔2auが一列に形成されており、その他方にも2個の試料注入孔2auが一列に形成されている。通気孔2buは、図24の(a)の通気孔2btと同様の形状および大きさであり、上側基板2uにおける形成位置も同様である。
図24の(c)は、2個の試料注入孔2avが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に2個の通気孔2bvが形成された上側基板2vを備える試料容器1vを示すものである。通気孔2bvは、上側基板2vの短辺方向に延伸する、通気孔2btよりも短いスリット状の孔である。具体的には、2個の通気孔2bvは、計測領域の短手方向に延伸するように一列に形成されている。また、その列が、上側基板2vの中心付近を通るように形成されている。試料注入孔2avは、図24の(a)の試料注入孔2atと同様の形状および大きさであり、上側基板2vにおける形成位置も同様である。
図24の(d)に示すように、4個の試料注入孔2awが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に2個の通気孔2bwが形成された上側基板2wを備える試料容器1wを示すものである。試料注入孔2awは、図24の(b)の試料注入孔2auと同様の形状および大きさであり、上側基板2wにおける形成位置も同様である。通気孔2bwは、図24の(c)の通気孔2bvと同様の形状および大きさであり、上側基板2wにおける形成位置も同様である。
図24の(e)に示す封止シート340は、試料容器1t、1u、1v、1wに用いられるものである。図24の(e)に示すように、封止シート340は、第1封止部材101k、第2封止部材102kおよび保持基材341を備えている。第1封止部材101kは、上側基板2t、2u、2v、2wに載置された場合に、通気孔2bt、2bu、2bv、2bwをそれぞれ封止する。第1封止部材101kは、通気孔2btの全体、通気孔2buの全体、2個の通気孔2bvの全体、または2個の通気孔2bwの全体よりも大きな矩形形状を有する1つの封止部材である。
第2封止部材102kは、上側基板2t、2u、2v、2wに載置された場合に、試料注入孔2at、2au、2av、2awをそれぞれ封止する。第2封止部材102kは、各試料注入孔2atの全体、または、各試料注入孔2avの全体よりも大きな矩形形状を有する1つの封止部材である。また、第2封止部材102kは、上側基板2uにおいて、各列を形成する2個の試料注入孔2auの全体、または、上側基板2wにおいて、各列を形成する2個の試料注入孔2awの全体よりも大きな矩形形状を有する1つの封止部材である。
すなわち、第1封止部材101kおよび第2封止部材102kは、上側基板2t、2u、2v、2wの短辺に延伸する3つの列を形成する複数の孔を、列ごとに封止するものである。なお、第1封止部材101kおよび第2封止部材102kは、個々の孔を一対一で封止可能な大きさに調整され、保持基材341に配置されていてもよい。
次に、図25の(a)は、2個の試料注入孔2axが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に2個の通気孔2bxが形成された上側基板2xを備える試料容器1xを示すものである。通気孔2bxは、図24の(a)に示す通気孔2btと同様であるものである。試料容器1xでは、上側基板2xの中央付近を通るように、2個の通気孔2bxが略平行に形成されている。試料容器1xは、この点を除き、図24の(a)に示す試料容器1tと同様の構成である。
図25の(b)に示す封止シート350は、試料容器1xに用いられるものである。図25の(b)に示すように、封止シート350は、第1封止部材101m、第2封止部材102mおよび保持基材351を備えている。第1封止部材101mは、上側基板2xに載置された状態において2個の通気孔2bxの全体を封止可能なように、2個の通気孔2bsの全体よりも大きな矩形形状を有する。封止シート350は、この点を除き、図24の(e)に示す封止シート340と同様の構成である。
次に、図26の(a)は、2個の試料注入孔2ayが計測領域を挟むように形成され、計測領域の上に1個の通気孔2byが形成された上側基板2yを備える試料容器1yを示すものである。試料容器1yは、試料注入孔2ayが、図24の(a)に示す試料注入孔2atよりも短い点を除き、試料容器1tと同様の構成である。
図26の(b)に示す封止シート360は、試料容器1yに用いられるものである。図26の(b)に示すように、封止シート360は、第1封止部材101n、第2封止部材102nおよび保持基材361を備えている。封止シート360は、第2封止部材102nが、試料注入孔2ayの大きさに合わせて図24の(e)に示す第2封止部材102kよりも短い点を除き、封止シート340と同様の構成である。なお、図26の(a)の試料容器1yに、図24の(e)の封止シート340を用いることも可能である。
<変形例>
なお、上記各試料容器において、上側基板、下側基板、試料充填部(試料保持空間)および計測領域の形状は、平面視で矩形形状でなくてもよく、例えば円形形状(環状ではない)、楕円形状等であってもよい。また、上記各封止シートは、上側基板に載置された状態において、上側基板に形成された試料注入孔および通気孔を封止可能なように封止部材が配置されていれば、どのような形状であってもよい。
<本実施形態における主たる効果>
本実施形態の上記各封止シートによれば、実施形態1と同様、液体試料中の液体の蒸発に伴う対流の発生を抑制し、当該対流による計測誤差の発生を抑制することができる。また、実施形態2と同様、試料注入孔および通気孔を簡易な手法で封止することができる。
また、平面視で計測領域を挟んで試料注入孔および通気孔が形成されている場合には、実施形態2と同様、計測領域の上に装着された封止部材による不要な散乱光の発生を抑制し、計測誤差の発生をさらに抑制することができる。
また、上記各封止シートの保持基材の外周形状と試料充填部の外周形状とが略同一である場合には、実施形態3と同様、保持基材の試料充填部に対する位置合わせを、簡易にかつ正確に行うことができる。
また、上記各封止シートの第1封止部材および第2封止部材が、図15の(b)に示す突起部を有している場合には、実施形態4と同様、接着以外の方法で第1封止部材および第2封止部材を試料充填部に固定することができる。
〔その他〕
各実施形態において、試料容器と、当該試料容器に用いられる封止部材または封止シートを含む検査キットが構成されてもよい。
また、試料容器の上側基板に形成される試料注入孔および通気孔の個数は、各実施形態で示した個数に限定されるものではない。また、試料注入孔および通気孔の形状および大きさも、各実施形態で示した形状および大きさに限定されるものではない。また、各実施形態において、上側基板における試料注入孔および通気孔の形成位置についても一例を示したにすぎず、例えば試料注入孔の形成位置に通気孔が、通気孔の形成位置に試料注入孔が形成されていてもよい。
上記試料注入孔および通気孔の個数、形状、大きさ、および上側基板における形成位置は、試料注入孔から注入された試料が試料充填部に充填されるように規定されていればよい。特に、試料充填部において気泡を生じることなく、試料が均一に充填されるように構成されていることが好ましい。
また、図21〜図26では、平面視で試料注入孔および通気孔が計測領域を挟まない構成について説明したが、平面視で試料注入孔および通気孔の間にのみ計測領域が形成されるように、上側基板および下側基板の間にスペーサが設けられてもいてもよい。
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る封止部材(封止部材100、第1封止部材101、101a〜101k、101m、101n、第2封止部材102、102a〜102k、102m、102n)は、
光の走査による計測の対象である粒子状物質(51)を含む液体試料(50)を保持するための保持空間(試料保持空間)を形成する試料保持部(5、5d)を備えた試料容器(1、1c〜1k、1m、1n、1p〜1y)に用いられる封止部材であって、
上記試料保持部には、上記保持空間と外部空間とを連通する複数の孔(試料注入孔2a、2aa、2ad〜2ak、2am、2an、2ap〜2ay、通気孔2b、2bd〜2bk、2bm、2bn、2bp〜2by)が形成されており、
上記試料保持部に装着されることにより、上記複数の孔を封止するものである。
上記構成によれば、光の走査による計測の対象である粒子状物質が含まれた液体試料を保持するための保持空間と外部空間とを連通する複数の孔が形成された試料保持部を備えた試料容器の、当該複数の孔を封止することができる。以下に示すように、本発明の一態様に係る封止部材は、上記試料容器に対して用いられる場合に、特に有効である。
試料保持部に、液体試料が保持された保持空間と外部空間とを連通する孔が形成されている場合、液体試料中の液体の蒸発等により、液体試料の気液界面の形状に変化が生じる可能性がある。気液界面の形状が変化すると液体試料内で対流が生じるため、この対流の影響で光の走査中に粒子状物質が流動してしまい、その結果、粒子状物質の粒径等について計測誤差が生じてしまう可能性がある。
その点、上記構成によれば、複数の孔を封止することにより、複数の孔からの液体の蒸発等による液体試料の対流を低減できることから、光の走査中における粒子状物質の流動を低減できる。それゆえ、粒子状物質の流動を原因とする上記計測誤差の発生を抑制する(または、計測誤差を小さくする)ことができる。
つまり、本発明の一態様に係る封止部材は、試料に対する計測をより正確に行うことを可能とするという効果を奏する。
さらに、本発明の態様2に係る封止部材は、態様1において、
上記保持空間に保持された上記液体試料の蒸発を防止する材質を含むことが好ましい。
上記構成によれば、液体試料の液体が保持空間から一定量以上放出することによる上記計測への悪影響を排除しつつ、複数の孔からの液体の蒸発を一層低減できる。それゆえ、粒子状物質の流動を原因とする計測誤差の発生をより抑制することができる。
さらに、本発明の態様3に係る封止部材は、態様2において、
上記試料保持部の表面に粘着される粘着層(第1粘着層111a、第2粘着層111b)を備えていることが好ましい。
上記構成によれば、封止部材を試料保持部の表面に対して接着することができる。それゆえ、複数の孔を確実に封止することができる。
さらに、本発明の態様4に係る封止部材は、態様3において、
上記粘着層を保持する粘着層保持基材(第1粘着層保持基材112a、第2粘着層保持基材112b)を備えていることが好ましい。
上記構成によれば、封止部材の強度を高めることができる。また、粘着層の透湿性の程度に拘らず液体試料の蒸発を低減できることから、粘着層の形成に用いられる粘着剤をユーザが任意に選択できる。
さらに、本発明の態様5に係る封止部材は、態様1から4のいずれかにおいて、
上記粒子状物質は、上記液体試料が上記保持空間に保持された状態において、上記液体試料中を浮遊していることが好ましい。
粒子状物質が液体試料中を浮遊している場合、例えば、液体試料が保持された保持空間の底部に粒子状物質が沈殿している場合に比して、液体試料の対流を原因とする粒子状物質の流動現象が生じやすい。その点、上記構成によれば、封止部材は、粒子状物質が浮遊している液体試料を保持している試料容器について、複数の孔を封止することから、粒子状物質の流動現象の低減効果がより顕著に現れる。それゆえ、液体試料中を浮遊している粒子状物質に対して光の走査による計測を行う場合であっても、精度良く計測を行うことができる。
さらに、本発明の態様6に係る封止部材は、態様1から5のいずれかにおいて、
上記試料容器は、上記保持空間内に上記計測が行われる領域である計測領域を有し、
上記複数の孔は、上記計測領域以外の領域に形成されていることが好ましい。
例えば、計測領域と相対する試料保持部の領域内に複数の孔を形成した場合、複数の孔への光の入射により発生する散乱光(または蛍光)が計測領域に入射しやすい。そのため、当該散乱光の計測領域への入射を原因とする計測誤差が生じやすくなる。その点、上記構成によれば、複数の孔は、計測領域以外の領域に形成されている。それゆえ、上記散乱光が計測領域に入射しにくくなることから、当該散乱光を原因とする計測誤差の発生を抑制することができる。
さらに、本発明の態様7に係る封止部材は、態様1から6のいずれかにおいて、
上記試料保持部は、互いに相対する2つの基板(上側基板2、2c〜2k、2m、2n、2p〜2y、下側基板3、3d)を備え、
上記保持空間の厚みは、上記2つの基板の間隔によって一定に規定されていることが好ましい。
上記構成によれば、各基板と直交する複数の平面により保持空間を切断したときの断面形状が全て同一になる。それゆえ、試料保持部内の定量性を確保することができ、上記断面形状が変化することにより計測結果に悪影響を与えてしまうことを防止することができる。
さらに、本発明の態様8に係る計測装置(10)は、
態様1から7のいずれかの封止部材が載置された上記試料容器によって保持された液体試料中の粒子状物質に対する計測を行う計測装置であって、
上記試料保持部に対して光を走査する光走査部(光源装置11、回転軸32、モータ34)と、
上記粒子状物質が上記光を受光することにより生じる蛍光または散乱光を受光する受光部(第1検出装置13、第2検出装置14、第3検出装置15)と、を備えていることが好ましい。
上記構成によれば、粒子状物質の流動を低減させて計測誤差の発生を抑制しつつ、光の走査による粒子状物質の計測を行うことができる検査装置を実現することができる。
さらに、本発明の態様9に係る検査キットは、
態様1から7のいずれかの封止部材と、上記試料容器とを含むことが好ましい。
上記構成によれば、粒子状物質の流動を低減させて計測誤差の発生を抑制しつつ、光の走査による粒子状物質の計測を行うことができる検査キットを実現することができる。
さらに、本発明の態様10に係る計測方法は、
態様1から7のいずれかの封止部材が用いられる上記試料容器によって保持された液体試料中の粒子状物質に対する計測を行う計測方法であって、
上記粒子状物質を含む液体試料を、上記複数の孔の少なくともいずれかの孔から上記試料容器に注入する試料注入工程と、
上記試料容器の、上記複数の孔が形成された上記試料保持部に、上記封止部材を載置する封止部材載置工程と、
上記試料保持部に対して光を走査することにより、上記試料保持部に注入された上記液体試料中の上記粒子状物質に対する計測を行う計測工程と、を含んでいることが好ましい。
上記構成によれば、粒子状物質の流動を低減させて計測誤差の発生を抑制しつつ、光の走査による粒子状物質の計測を行うことができる計測方法を実現することができる。
さらに、本発明の態様11に係る計測方法は、態様10において、
上記計測工程では、上記粒子状物質に対して上記光を複数回走査させることが好ましい。
上記構成によれば、封止部材の使用によって粒子状物質の流動を抑制した状態が維持されている。それゆえ、光の走査回数に拘らず計測誤差の発生を抑制することができる。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
本発明は、液体試料に含まれる粒子状物質に対する計測を行うときに必要となる試料容器に用いられる封止部材として、好適に利用することができる。
1、1c〜1k、1m、1n、1p〜1y 試料容器
2a、2aa、2ad〜2ak、2am、2an、2ap〜2ay 試料注入孔(孔)
2b、2bd〜2bk、2bm、2bn、2bp〜2by 通気孔(孔)
2、2c〜2k、2m、2n、2p〜2y 上側基板(基板)
3、3d 下側基板(基板)
5、5d 試料充填部(試料保持部)
7、7d 計測領域
10 計測装置
11 光源装置(光走査部)
13 第1検出装置(受光部)
14 第2検出装置(受光部)
15 第3検出装置(受光部)
32 回転軸(光走査部)
34 モータ(光走査部)
50 液体試料
51 粒子状物質
100 封止部材
101、101a〜101k、101m、101n 第1封止部材(封止部材)
102、102a〜102k、102m、102n 第2封止部材(封止部材)
111a 第1粘着層(粘着層)
111b 第2粘着層(粘着層)
112a 第1粘着層保持基材(粘着層保持基材)
112b 第2粘着層保持基材(粘着層保持基材)

Claims (5)

  1. 光の走査による計測の対象である粒子状物質を含む液体試料を保持するための保持空間を形成する試料保持部を備えた試料容器に用いられる封止部材であって、
    上記試料保持部には、上記保持空間と外部空間とを連通する複数の孔が形成されており、
    上記試料保持部に装着されることにより、上記複数の孔を封止することを特徴とする封止部材。
  2. 上記保持空間に保持された上記液体試料の蒸発を防止する材質を含むことを特徴とする請求項1に記載の封止部材。
  3. 上記試料保持部の表面に粘着される粘着層を備えていることを特徴とする請求項2に記載の封止部材。
  4. 上記粘着層を保持する粘着層保持基材を備えていることを特徴とする請求項3に記載の封止部材。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の封止部材と、上記試料容器とを含むことを特徴とする検査キット。
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