本発明の開示において、上記の目的のうちの1つ若しくは複数に対処するか、又は以下の開示並びに例示的な実施形態の説明から明らかな目的に対処する実施形態及び態様を説明する。
このため、本発明の第1の態様では、外面を有するハウジングと、薬物が充填されたカートリッジ、又は薬物が充填されたカートリッジを受容する手段と、薬物吐出手段とを備える薬物送達デバイスが提供される。カートリッジは、出口と軸方向に変位可能なピストンとを備える。薬物吐出手段は、ピストンに係合し、ピストンを軸方向に動かし、これによってカートリッジから出口を通じてある量の薬物を吐出するように適合された駆動部材と、薬物送達デバイスにおいて又は薬物送達デバイスによって行われるアクションに対応して動くように構成されたインジケーター部材とを備える。薬物送達デバイスは可撓性シートを更に備え、この可撓性シートの上に、インジケーター部材の動きによって直接又は間接的に作動するように適合された入力手段と、時間パラメーターを表示するように適合されたディスプレイと、プロセッサと、エネルギー源とが形成又は搭載される。可撓性シートは、少なくとも部分的に、ハウジングの外側に搭載される。入力手段は、ガルバニック接触の形態、及び/又は例えば誘導に基づく、ガルバニック接触なしの形態をとることができる。プロセッサは、入力手段からの入力に基づいて、入力手段が作動した時間に関係する時間パラメーターを表示するようにディスプレイを制御するように適合される。
上記の構成によって、薬物送達デバイスにおいて、非常に単純で安価な電子システムが提供され、コストが低いことにより、この薬物送達デバイスを、プレフィルドの使い捨て薬物送達デバイスに一体に形成することが可能になる。実際に、電子システムは、恒久的デバイスに組み込まれてもよい。
入力手段は、第1の状態と第2の状態との間で作動するように適合されたスイッチ構造体の形態をとることができる。スイッチ構造体は、例えば、可撓性シートの接触エリア上に形成又は搭載されるいくつかの固定接触エリアを含むことができ、薬物送達デバイスは、固定接触エリアと係合し、これにより入力手段を作動させるように適合された移動可能なスイッチ構造体を更に備え、移動可能なスイッチ構造体は、インジケーター部材によって動かされるように適合される。移動可能なスイッチ構造体は、可撓性シートと一体に形成することができ、移動可能なスイッチ構造体は接触エリアを備え、接触エリアは、可撓性シートの屈曲によってこの接触エリアの動作位置に配置される。この文脈において「屈曲」とは、例えば、折りたたみ、旋回、回転を含めて広義で理解されるべきである。
代替的に、薬物送達デバイスは、ハウジングに形成された開口に対応して配置された1つ又は複数のスイッチ部材を更に備えることができる。少なくとも1つのスイッチ部材が、開口内に突き出し、インジケーター部材によって動かされるように適合された移動可能なスイッチ部材であり、これによって、1つ又は複数のスイッチ部材が、第1の状態と第2の状態との間で作動するように適合されたスイッチアセンブリを形成する。スイッチアセンブリは、個々に搭載されたスイッチ部材から事前に組み立て又は形成することができる。可撓性シートは開口を覆うように搭載され、スイッチアセンブリにおける対応する端子に係合し、これによって入力手段を提供するように適合された接触手段(端子)を備える。
例示的な実施形態では、インジケーター部材は、設定投与量に対応する設定位置から、設定投与量が吐出された投与終了位置まで回転するように適合され、入力手段は、インジケーター部材が投与終了位置に達したときに作動する。インジケーター部材の回転中、入力手段は2回以上作動する場合がある。プロセッサは、(i)入力手段が作動した時間を、例えば、HH:MMフォーマットを用いて示す時間パラメーター、又は(ii)入力手段が作動してからの時間を示す時間パラメーター、例えば、HH:MMフォーマットを用いる動的タイマー又は例えば1時間ごとのセグメントを用いた単純なバージョン、を表示するようにディスプレイを制御するように適合される。
インジケーター部材は、薬物吐出手段が投与量設定状態にあるときに第1の軸方向位置を有し、薬物吐出手段が吐出状態にあるときに第2の軸方向位置を有することができ、入力手段は、インジケーター部材が第2の軸方向位置にある状態においてのみ、インジケーター部材によって作動するように適合される。
更なる例示的な実施形態では、インジケーター部材は、投与量が設定されると、初期位置から設定位置まで動くように適合される。入力手段は、インジケーター部材が初期位置から離れるように動かされると作動する。上記のように、プロセッサは、入力手段が作動した時間を示す時間パラメーター、又は、入力手段が作動してからの時間を示す時間パラメーターを表示するようにディスプレイを制御するように適合される。
また更なる例示的な実施形態では、接触手段を設けられた1つ又は複数の可撓性部材を可撓性シートに接合させて、複合スイッチ構造体を提供することができる。薬物送達デバイスのための設計及び組み立てプロセス、並びにスイッチ設計に応じて、複合スイッチ構造体が、最もコスト効率が良いものであり得る。例えば、スイッチ構造体は、組み立て中にデバイスの内部又は外部に搭載することができ、可撓性シートは、デバイスの外面に搭載され、これによって2つの構造体間に接触が確立される。入力手段は、2つ以上のスイッチを含むことができ、スイッチは同じ設計又は異なる設計である。
また更なる例示的な実施形態では、インジケーター手段の回転量は、吐出手段によって容器から吐出される薬物量に対応し、入力手段は、インジケーター手段の回転量に対応して作動するように適合される。プロセッサは、(i)入力手段からの入力に基づいて、回転量に対応して吐出される薬物の量を計算し、(ii)計算された量を表示するようにディスプレイを制御する、ように適合される。加えて、計算された薬物量に関係する時間情報を表示することができる。プロセッサは、投与量及び関連付けられた時間値を含む投与ログを作成するように適合される。
代替的に、インジケーター手段の回転量は、吐出手段によって容器から吐出される薬物の、ユーザーにより設定された量に対応する。入力手段は、インジケーター手段の回転量に対応して作動するように適合され、プロセッサは、(i)入力手段からの入力に基づいて、回転量に対応して吐出される薬物の設定された量を計算し、(ii)計算された量を表示するようにディスプレイを制御する、ように適合される。そのような設計の場合、例えば従来の投与量ドラムにおけるように、機械ディスプレイの代わりに電子ディスプレイを用いることが可能であり、これによって、例えばより大きな数を用いることが可能になる。
投与量を検出するのに用いられるインジケーター部材は、イベントを検出するために上記で説明されたものと同じであってもよく、異なる部材であってもよい。代替的に、電子ラベルは、投与量を検出及び表示するようにのみ適合されてもよい。
ハウジングは湾曲した外側部分を有することができ、可撓性シート及びディスプレイは、ハウジングの湾曲した外側部分及び/又は内側部分に少なくとも部分的に搭載され得る。例えば、薬物送達デバイスは、概ね円形又は楕円形の形状のペン構成を有することができ、可撓性シートが、例えば接着材によって、外部「ラベル」としてハウジングに付着される。入力手段の設計に応じて、ハウジングは、入力手段が内部機械要素によって作動されることを可能にする開口を有して設計されてもよく、又は、入力手段を備える可撓性シートの部分が、そのような開口を通され、ハウジングの内面に取り付けられてもよい。更なる入力手段を薬物送達デバイスの内部に配置し、可撓性シートの入力手段と協働するように適合してもよい。
「ラベルのような」電子アセンブリをコスト効率良く提供するために、検出手段、ディスプレイ、プロセッサ及びエネルギー源のうちの1つ若しくは複数又は全てがプリンテッドエレクトロニクスの形態をとることができる。プリントによって、アンテナを可撓性シート上に形成することもでき、プロセッサは、アンテナを介して外部受信機からデータを送信するように適合される。
本発明の更なる態様では、上記で説明したような電子機器を有する可撓性シートが提供され、シートは、上記で説明したタイプの薬物送達デバイスの上に搭載されるように適合される。
本発明の更なる態様では、薬物送達デバイスを組み立てる方法が提供される。本方法は、完全に又は部分的に組み立てられた薬物送達デバイス、スイッチ手段及び可撓性シートを提供するステップを含む。完全に又は部分的に組み立てられた薬物送達デバイスは、外面及び開口を有するハウジング並びにハウジングの内面に配置される薬物吐出手段であって、薬物送達デバイスにおいて又は薬物送達デバイスによって行われるアクションに対応して動くように構成されたインジケーター部材を備える、薬物吐出手段とを備える。スイッチ手段は、開口に少なくとも部分的に搭載され、インジケーター部材によって作動するように適合される。スイッチ手段は接触端子を備える。可撓性シートの上に、入力端子と、時間パラメーターを表示するように適合されたディスプレイと、入力端子からの入力に基づいて、入力が検出された時間に関係する時間パラメーターを表示するようにディスプレイを制御するように適合されたプロセッサと、エネルギー源とが形成又は搭載される。本方法は、開口に対応してハウジングにスイッチ手段を搭載する、可撓性シートを、ハウジング外面に搭載する更なるステップを含む。入力端子はスイッチ手段の接触端子に連動し、可撓性シートは開口を覆う。そのようなアセンブリ設計によって、スイッチ手段の搭載をスキップし、ハウジングにおける開口を覆う従来のラベルを搭載することが可能であり、これによって、電子ラベルを有するか又は有しないペンの変形形態の効率的でコスト効率が良い製造が可能になる。
本発明のまた更なる態様では、第1のタイプの薬物を含む、薬物が充填されたカートリッジと、カートリッジからある量の薬物を吐出するための薬物吐出手段と、第1のタイプの薬物(例えば高速作用インスリン)を示す第1の視覚インジケーター(例えばラベル)ろ、第1のタイプの薬物を示す第2の視覚インジケーター(例えば、食事を示す)に関連付けられた第1のユーザー入力手段(例えば、アクティブボタン)と、第2のタイプの薬物を示す第3の視覚インジケーター(例えばベッドを示す)に関連付けられた第2のユーザー入力手段(例えば、「ダミー」ボタン)と、薬物吐出手段の通常動作を阻止する第1の状態と薬物吐出手段の通常動作を可能にする第2の状態とを有するブロック手段と、を備える薬物送達デバイスが提供される。そのような構成において、第1のユーザー入力手段の作動によって、ブロック手段が第1の状態から第2の状態になり、これにより、薬物吐出手段の通常動作が可能に入り、第2のユーザー入力手段の作動によって、ブロック手段は第1の状態から第2の状態に入らず、これによって、薬物吐出手段の通常動作が阻止される。
わかるように、上記で説明した構成は、ユーザーが摂取する薬物のタイプを確認しなくてはならないため、ユーザーが、薬物の正しい意図されたタイプ、例えばインスリンのタイプを摂取することを確実にするのに役立つ。このため、構想は、ユーザーに、例えば「薬物Xの投与量を注射することを望む−はい又はいいえ?」のような選択肢を確認させるのみでなく、ユーザーに誤った「ポシティブ」オプションを提供することである。
薬物吐出手段は、ユーザーが吐出される薬物の所望の投与量を設定することを可能にする投与量設定手段と、設定されている投与量の大きさを表示するための表示手段とを備えることができ、ブロック手段は、第1の状態において、設定投与量が見えることを阻止し、第2の状態において、設定投与量が見えることを可能にする。表示手段は、ディスプレイ開口に示すプリントされた数字の形態を取ることができ、ブロック手段は、第1の状態において、数字がウィンドウを通じて見えることを阻止し、第2の状態において、数字がウィンドウを通じて見えることを可能にする。ブロック手段は、開口を完全に又は部分的に覆い、第1の非透明状態及び第2の透明状態を有するウィンドウの形態をとることができる。
本発明の更なる態様では、薬物送達デバイスを用いる対応する方法が提供される。本方法は、(i)第1のタイプの薬物を含む薬物送達デバイスを提供するステップであって、デバイスは、デバイスが完全に動作可能でない第1の状態と、デバイスが完全に動作可能な第2の状態との間で動作するように適合され、デバイスは、第1のタイプの薬物に対応し、動作時にデバイスを第1の状態から第2の状態に入れるように適合された第1のユーザー確認手段と、第2の薬物に対応し、作動時にデバイス状態に影響を与えない第2のタイプの薬物に対応する第2のユーザー確認手段とを備える、ステップと、(ii)第1のユーザー確認手段を操作して、ユーザーが第1のタイプの薬物の投与量を投与することを望んでいることを確認するステップと、(iii)デバイスを操作して、第1のタイプの薬物の投与量を投与するステップと、を含む。
本明細書において用いられるとき、「薬物」という用語は、液体、溶液、ゲル又は微細懸濁液等、制御された方式でカニューレ又は中空ニードル等の送達手段を通過させることが可能である、薬物を含有する任意の流動性の薬を包含することを意味する。代表的な薬物は、ペプチド、タンパク質、及びホルモン等の薬品、生物学的に誘導された又は活性の薬剤、ホルモン及び遺伝子に基づく薬剤、栄養製剤、並びに固体(調剤されたもの)又は液体の双方の形態の他の物質を含む。例示的な実施形態の説明において、インスリンの使用が参照される。他の特定の薬物は、血友病及び炎症の治療のための成長ホルモン及び薬物であり得る。
本明細書において用いられるとき、「インスリン」という用語は、液体、溶液、ゲル又は微細懸濁液等、制御された方式でカニューレ又は中空針等の送達手段を通過させることが可能であり、血糖制御効果を有する、薬物を含む任意の流動性の薬、例えばヒトインスリン及びその類似物、並びにGLP−1等の非インスリン及びその類似物を包含することを意味する。
以下において、図面を参照して本発明を更に説明する。
図面において、類似の構造は主に類似の参照符号によって識別される。
以下において、「上側」及び「下側」、「右」及び「左」、「水平」及び「垂直」等の用語又は同様の相対表現が用いられるとき、これらは、添付の図面のみを指し、必ずしも実際の使用状況を指すものではない。示す図は概略図であり、このため、様々な構造体の構成並びにこれらの相対的な寸法は、単なる例示としての役割を果たすことが意図される。所与のコンポーネントについて、部材又は要素という用語が用いられるとき、これは通常、説明される実施形態において、そのコンポーネントがユニタリーコンポーネントであることを示すが、代替的に、同じ部材又は要素がいくつかのサブコンポーネントを備えてもよく、同様に、説明されるコンポーネントのうちの2つ以上が、ユニタリーコンポーネントとして提供され、例えば、単一の射出成形部として製造されてもよい。「アセンブリ」という用語は、説明されるコンポーネントが、所与の組み立て手順中に、ユニタリーアセンブリ若しくはサブアセンブリ又は機能アセンブリを提供するように組み立てられ得ることを必ずしも意味しておらず、単に、複数のコンポーネントを機能的により密に関係するものとしてまとめてグループにしたものを説明するのに用いられる。
本発明の実施形態自体に進む前に、プレフィルド薬物送達の例が説明される。そのようなデバイスは、本発明の例示的な実施形態の基礎を提供する。図1に示すペン形薬物送達デバイス200は、「包括的な」薬物送達デバイスを表すことができるが、実際に示されるデバイスは、デンマーク国バウスベアのNovo Nordisk A/Sによって製造及び販売されているFlex−Touch(登録商標)プレフィルド薬物送達ペンである。
ペンデバイス200は、キャップ部207と、主要部とを備え、主要部は、薬物吐出機構が配置又は一体化されるハウジング201を有する近位本体又はドライブアセンブリ部分と、遠位に針により貫通可能な隔膜を有する、薬物が満たされた透明カートリッジ213が、近位部分に取り付けられた取り外し不可能なカートリッジホルダーによって所定の位置に配置され保持される、遠位カートリッジホルダー部分とを有し、カートリッジホルダーは、カートリッジの一部分が検査されることを可能にする開口並びに針アセンブリが解除可能に搭載されることを可能にする遠位結合手段215と、を有する。カートリッジには、吐出機構の一部を形成するピストンロッドによって駆動されるピストンが設けられ、このカートリッジは例えば、インスリン、GLP−1又は成長ホルモン製剤を収容することができる。最も近位の回転可能な投与量設定部材280は、表示ウィンドウ202に示される薬物の所望の投与量を手動で設定する役割を果たし、そして、この投与量はボタン290が作動されると吐出され得る。薬物送達デバイスにおいて具現化される吐出機構のタイプに応じて、吐出機構は、示す実施形態のようにばねを備えることができる。このばねは、投与量設定中に伸張され、次に解除ボタンが作動すると、解除されてピストンロッドを駆動する。代替的に、吐出機構は完全に手動であってもよく、この場合、投与部材及び作動ボタンが、投与量設定中、設定される投与量に応じて近位方向に移動し、次に、例えば、Novo Nordisk A/Sによって製造及び販売されているFlexPen(登録商標)におけるように、設定投与量を吐出するようにユーザーによって遠位方向に動かされる。
図1は、プレフィルドタイプの薬物送達デバイスを示し、すなわち、この薬物送達デバイスは、予め搭載されたカートリッジを供給され、カートリッジが空になると廃棄されるが、代替的な実施形態では、薬物送達デバイスは、装填されたカートリッジが交換されることを可能にするように設計されてもよく、例えば、カートリッジホルダーがデバイスの主要部分から取り除かれるようになっている「背面装填」薬物送達デバイスの形態をとってもよく、又は代替的に、カートリッジが、デバイスの主要部に取り外し不可能に取り付けられたカートリッジホルダー内の遠位開口を通じて挿入される、「前面装填」デバイスの形態をとってもよい。
本発明は、薬物送達デバイスに組み込まれ、薬物送達デバイスと相互作用するように適合された電子回路に関するため、本発明のより良好な理解のためにそのようなデバイスの例示的な実施形態を説明する。
図2は、図1に示すペン形薬物送達デバイス200の展開図を示す。より詳細には、ペンは、ウィンドウ開口202を有する管状のハウジング201を備え、その上にカートリッジホルダー210が固定して搭載され、薬物が充填されたカートリッジ213がカートリッジホルダー内に配置される。カートリッジホルダーには、針アセンブリ216が解除可能に搭載されることを可能にする遠位結合手段215と、キャップ207がカートリッジホルダー及び搭載された針アセンブリを覆って解除可能に搭載されることを可能にする2つの対向する突出部211の形態の近位結合手段並びにペンが例えばテーブル上で転がることを防ぐ突出部212とが設けられる。ハウジング遠位端において、中央ねじ穴226を備えるナット要素225が固定して搭載され、ハウジング近位端において、中央開口を有するばね基材208が固定して搭載される。駆動システムは、2つの対向する長手方向の溝を有し、ナット要素のねじ穴内に受容されるねじ切りされたピストンロッド220と、ハウジング内に回転可能に配置されるリング形ピストンロッド駆動要素230と、駆動要素と回転係合する(以下を参照)リング形クラッチ要素240とを備え、係合によって、クラッチ要素の軸方向の移動が可能になる。クラッチ要素には、ハウジング内面において対応するスプライン204(図4Bを参照)に係合するように適合された外側スプライン要素241が設けられ、これによって、クラッチ要素が、スプラインが係合している、回転方向にロックされた近位位置と、スプラインが係合していない、回転方向に自由な遠位位置との間で動かされることが可能になる。今述べたように、双方の位置において、クラッチ要素は駆動要素に回転方向にロックされている。駆動要素は、ピストンロッド上の溝に係合した2つの対向する突出部231を有する中央穴を備え、これによって、駆動要素の回転の結果として回転が生じ、これにより、ピストンロッドとナット要素との間の螺合に起因してピストンロッドの遠位方向への軸方向の移動が生じる。駆動要素は、ハウジング内面に配置された対応するラチェット歯205に係合するように適合された、円周方向に延在する1対の対向する可撓性のラチェットアーム235を更に備える。駆動要素及びクラッチ要素は、これらを合わせて回転方向にロックするが、クラッチ要素が軸方向に動かされることを可能にする、協働する結合構造体を備え、これによってクラッチ要素がその遠位位置まで軸方向に動かされることを可能にし、この遠位位置においてクラッチ要素は回転することを可能にされ、これによって、ダイアルシステム(以下を参照)から駆動システムへ回転運動を伝達する。クラッチ要素と、駆動要素と、ハウジングとの間の相互作用が示され、図4A及び図4Bを参照して詳細に説明される。
ピストンロッドにおいて、内容物終了(EOC)部材228がねじ込みにより搭載され、遠位端において、ワッシャー227が回転可能に搭載される。内容物終了部材は、リセット管(以下を参照)に係合するための、1対の対向する径方向の突起229を備える。
ダイアルシステムは、ラチェット管250と、リセット管260と、投与量の数字の列が外側にらせん状に配列されたスケールドラム270と、吐出される薬物の投与量を設定するためのユーザー操作式ダイアル部材280と、解除ボタン290と、トルクばね255(図3を参照)とを備える。リセット管はラチェット管内に軸方向にロックされて搭載されるが、わずかな角度を回転することを可能にされる(以下を参照)。リセット管は、その内面に、内容物終了部材の放射状突起229に係合するように適合された2つの対向する長手方向の溝269を備え、これによって内容物終了部材はリセット管によって回転され得るが、軸方向に動くことを可能にされる。ラチェット管250の外側の遠位端部分上に軸方向にロックされてクラッチ要素が搭載される。これにより、ラチェット管はクラッチ要素を介して、ハウジングと軸方向に回転係合されるように、また回転係合を解除されるように、軸方向に動かされ得る。ハウジングの近位端に、軸方向にロックされるが回転方向に自由にダイアル部材280が搭載される。ダイアルリングは通常動作時はリセット管に回転方向にロックされ(以下を参照)、これによって、ダイアルリングの回転の結果として、リセット管の対応する回転が生じ、これによってラチェット管の対応する回転が生じる。解除ボタン290は、リセット管に対し軸方向にロックされるが、自由に回転する。戻りばね295が、ボタン及びそこに搭載されるリセット管に対し近位方向の力を与える。スケールドラム270は、ラチェット管とハウジングとの間の円周空間内に配置される。このドラムは、協働する長手方向のスプライン251、271を介してラチェット管に対し回転可能にロックされ、協働するねじ構造203、273を介してハウジングの内面に回転螺合し、これによって、ラチェット管によってドラムがハウジングに対して回転されるとき、数字の列がハウジングのウィンドウ開口202を通過する。トルクばねは、ラチェット管とリセット管との間の円周空間内に配置され、その近位端においてばね基材208に固定され、その遠位端においてラチェット管に固定され、これによって、ラチェット管がダイアル部材の回転によってハウジングに対し回転されるとき、ばねが伸張される。可撓性のラチェットアーム252を有するラチェット機構がラチェット管とクラッチ要素との間に設けられる。クラッチ要素には内周歯構造242が設けられ、各歯は、ラチェット係止部を提供し、その結果投与量が設定されたときにユーザーによってリセット管を介して回転される位置にラチェット管が保持されるようにする。設定投与量を低減することを可能にするために、リセット管にラチェット解除機構262が設けられ、ラチェット管に対し作用する。これによって、ダイアル部材を反対方向に回すことによって、設定投与量を1つ又は複数のラチェットインクリメント分低減することが可能になる。解除機構は、リセット管がラチェット管に対し上記で説明したわずかな角度を回転されたときに作動される。
吐出機構の様々なコンポーネント及びこれらの機能的関係について説明してきたが、次に、主に図3A及び図3Bを参照して機構の動作を説明する。
ペン機構は、2つの相互作用するシステム、すなわち投与システム及びダイアルシステムとみなすことができる。これについては上記で説明した通りである。投与量設定中、ダイアル機構は回転し、トーションばねに荷重がかかる。投与機構はハウジングにロックされ、動くことができない。プッシュボタンが押下されると、投与機構はハウジングから解除され、ダイアルシステムへの係合に起因して、ここでトーションばねはダイアルシステムを開始位置に戻すように回転させ、これと共に投与システムを回転させる。
投与機構の中央部分はピストンロッド220であり、プランジャーの実際の変位はピストンロッドによって行われる。投与量の送達中、ピストンロッドは駆動要素230によって回転され、ハウジングに固定されたナット要素225とのねじによる相互作用に起因して、ピストンロッドは遠位方向に前方に動く。ゴム製ピストンとピストンロッドとの間に、回転ピストンロッドのための軸方向ベアリングとしての役割を果たすピストンワッシャー227が設置され、ゴム製ピストンにかかる圧力を均一にする。ピストンロッドは非円形の断面を有し、この断面においてピストンロッド駆動要素がピストンロッドに係合するので、駆動要素はピストンロッドに対し回転方向にロックされるが、ピストンロッド軸に沿って自由に移動する。したがって、駆動要素の回転の結果として、ピストンの線形の前方移動が生じる。駆動要素には、駆動要素が(プッシュボタン側から見て)時計回りに回転することを阻止する小さなラチェットアーム234が設けられる。駆動要素との係合に起因して、このためピストンロッドは前方にしか移動することができない。投与量の送達中、駆動要素は反時計回りに回転し、ラチェットアーム235は、ラチェット歯205との係合に起因して小さなクリック音、例えば吐出されるインスリン1単位あたり1クリック音をユーザーに与えることができる。
ダイアルシステムを参照すると、ダイアル部材280を回すことによって投与量が設定及びリセットされる。ダイアルを回すとき、リセット管260、内容物終了部材228、ラチェット管250及びスケールドラム270は全てダイアルと共に回る。ラチェット管はトルクばね255の遠位端に接続されているので、ばねに荷重がかかる。投与量設定中、ラチェットのアーム252は、クラッチ要素の内側歯構造242との相互作用に起因して、ダイアルされる単位ごとにダイアルクリックを行う。示す実施形態では、クラッチ要素には、ハウジングに対する360度の全回転について24個のクリック音(インクリメント)を与える24個のラチェット係止部が設けられる。ばねは、組み立て中に予め荷重をかけられ、これによって、機構が受容可能な速度間隔内で小さな投与量及び大きな投与量の双方を送達することが可能になる。スケールドラムはラチェット管と回転方向に係合するが、軸方向に移動可能であり、スケールドラムはハウジングと螺合しているので、スケールドラムは、ダイアルシステムが回されると、らせん状パターンで動き、設定投与量に対応する数がハウジングウィンドウ202内に示される。
ラチェット管とクラッチ要素240との間のラチェット252、242によって、ばねが部品を逆に回すことが防がれる。リセット中、リセット管がラチェットアーム252を動かし、これによってラチェットを1クリックずつ解除する。説明される実施形態では、1つのクリックはインスリンの1単位IUに対応する。より詳細には、ダイアル部材が時計回りに回されると、リセット管は単にラチェット管を回転させ、ラチェットのアームがクラッチ要素の歯構造242と自由に相互作用することを可能にする。ダイアル部材が反時計回りに回されると、リセット管はラチェットクリックアームと直接相互作用して、クリックアームをクラッチの歯から離してペンの中央部に向かって進め、これによって、ラチェットのクリックアームが、荷重をかけられたばねによって生じるトルクに起因して「1クリック」後方に動くことを可能にする。
設定投与量を送達するために、図3Bに示すように、ユーザーによってプッシュボタン290が遠位方向に押し込まれる。リセット管260はダイアル部材から切り離され、その後、クラッチ要素240がハウジングスプライン204を切り離す。ここで、ダイアル機構は駆動要素230と共に「ゼロ」に戻り、これによって薬物の投与量が吐出される。薬物送達中の任意の時点でプッシュボタンを解除するか又は押すことによって、任意の時点で投与を停止及び開始することが可能である。5IU未満の投与は通常、中断することができない。なぜなら、ゴム製ピストンは非常に迅速に圧縮され、ゴム製ピストンの圧縮をもたらし、その後、ピストンが元の寸法に戻るときにインスリンの送達をもたらすためである。
内容物終了機能は、ユーザーがカートリッジ内に残っているよりも多くの投与量を設定することを防ぐ。内容物終了部材228は、リセット管に対し回転方向にロックされている。これによって、投与量の設定、リセット及び投与量の送達中に内容物終了部材が回転し、この間、内容物終了部材はピストンロッドのねじに従って軸方向に前後に動くことができる。内容物終了部材がピストンロッドの近位端に到達すると、係止が与えられ、これによって、ダイアル部材を含む全ての連結された部品が投与量設定方向に更に回転されることを防ぐ。すなわち、ここで設定投与量はカートリッジ内の残りの薬物内容量に対応する。
スケールドラム270には、ハウジング内面の対応する係止面に係合するように適合された遠位係止面274が設けられる。これによって、スケールドラムが、ダイアル部材を含む全ての連結された部品が投与量設定方向に更に回転されることを防ぐための最大投与量係止を提供する。示す実施形態では、最大投与量は80IUに設定される。これに応じて、スケールドラムには、ばねに基材において対応する係止面に係合するように適合された近位係止面が設けられる。これによって、ダイアル部材を含む全ての連結された部品が、投与量吐出方向に更に回転されることを防ぎ、これによって吐出機構全体に「ゼロ」係止を提供する。
ダイアル機構において何らかの故障が生じ、スケールドラムがそのゼロ位置を超えて動くことが可能になった場合の誤った過剰投薬を防ぐために、内容物終了部材はセキュリティシステムを提供する役割を果たす。より詳細には、フルカートリッジを有する初期状態において、内容物終了部材は、駆動要素と接触して最も遠位の軸方向位置に位置決めされる。所与の投与量が吐出された後、内容物終了部材は再び駆動要素と接触して位置決めされる。これに応じて、内容物終了部材は、機構がゼロ位置を超えて投与量を送達しようとする場合に、駆動要素に対しロックをかける。機構の様々な部品の耐性及び可撓性に起因して、内容物終了部材は短い距離進み、薬物のわずかな「過剰投与量」、例えば3〜5IUのインスリンが吐出されることを可能にする。
吐出機構は、吐出投与量の終了時に、薬物の全量が吐出されたことをユーザーに通知する別個のフィードバックを与える投与終了(EOD)クリック音機能部を更に備える。より詳細には、投与終了機能は、ばね基部とスケールドラムとの間の相互作用によって成される。スケールドラムがゼロに戻ると、前進するスケールドラムによって、ばね基部の小さなクリックアーム206が後方に進められる。「ゼロ」の直前でアームは解除され、アームはスケールドラムの皿頭表面を打つ。
示す機構には、ダイアル部材を介してユーザーによって加えられる過負荷から機構を保護するために、トルクリミッターが更に設けられる。この機能部は、上記で説明したように互いに対し回転方向にロックされたダイアル部材とリセット管との間の境界部によって提供される。より詳細には、ダイアル部材には、リセット管の可撓性の保持部261上に配置されたいくつかの対応する歯に係合する円周状の内側歯構造281が設けられる。リセット管の歯は、所与の指定の最大サイズ、例えば150〜300Nmmのトルクを伝達するように設計され、この上方に可撓性の保持部及び歯が内側に屈曲し、ダイアル機構の残り部分を回転させることなくダイアル部材を回す。このため、ペンの内部の機構は、トルクリミッターが歯を通じて伝達するよりも高い負荷で応力をかけられ得ない。
機械的薬物送達デバイスの動作原理を説明し終えたため、本発明の実施形態を説明する。
図4は、いくつかの構造が搭載又は形成される可撓性シートの形態の「電子ラベル」300の概略図を示す。示される例示的な実施形態及び特定のスイッチ構成は、以下に説明する図5、図7及び図8に開示されるようなペンデバイスと共に用いられるように適合される。
より詳細には、ポリマー可撓性シート基板310からラベルが形成され、このラベルは、プリントされた論理ユニット又は搭載されたチップ(又は2つの組み合わせ)のいずれかであるプリントされたディスプレイ320と、基板上にプリントされるか、積層されるか又は搭載された少なくとも1つのバッテリー340と、単極単投(SPST)スイッチ又は単極双投(SPDT)スイッチのいずれかとすることができる第1のスイッチ構造体350の形態の入力手段と、異なるコンポーネントの端子を接続する複数の個々のリード360を含むプリント回路とを備える。単極単投スイッチが最も単純であるが、単極双投は、必要であれば、バッテリーの消耗を防ぐことができる。図4において、単極単投スイッチが、点線の輪郭の代替構成301として示されている。プリントによって、可撓性シート上にアンテナ(図示せず)も形成することができ、プロセッサは、このアンテナを介して外部受信機にデータを送信するように適合される。
スイッチ構造体が作動すると、パルスが論理ユニット/チップに送信され、次に論理ユニット/チップが作動し、タイマーを始動する。タイミングサイクルにおける現在の段階をディスプレイ上で見ることができる。
タイミングサイクルは、いくつかの部分サイクルからなることができ、その各々をディスプレイの変更された構成に関係付けることができる。タイマーが実行されている間にスイッチが作動した場合、タイマーはリセットされ、新たなタイミングサイクルを始動する。
第1のスイッチ構造体は、第2のスイッチ構造体と協働するように適合されたプリントパッド353(単極単投スイッチの場合2つであり、単極双投スイッチの場合3つである)を有するエリア351からなる。第2のスイッチ構造体は、ラベルを作動させる役割を果たす導電性バー355を有する別のエリア357の形態をとる。2つのスイッチ構造体は組み合わされたスイッチを形成する。作動時に(以下を参照)、導電性バーは、単極単投スイッチの2つのパッドを接続するように摺動するか、又は単極双投スイッチの場合は一方の位置から他方に摺動する。プリントパッドを有するエリアは、ペンハウジング内の開口の上に搭載されるように適合され、導電性バーを有する他方のエリアは、舌部311の上に配置される。舌部は折り重ねられ、開口内に配置され、これによって、機械的に作動されるスイッチを形成する(以下を参照)。ペン内のインジケーター要素は、舌部と相互作用して閉じる(単極単投スイッチの場合)か、又は作動中に接続を変更する(単極双投スイッチの場合)。
図5は、図1Aに示すタイプのペンを示すが、表示ウィンドウが外方を向いた対向する「裏」側から見たところである。図2及び図3を参照して説明したペンの「基部」と対照的に、図5のペンは、図4に示すタイプの電子ラベルを付けるように適合されている。より詳細には、ハウジング401はここで、インジケーター要素としての役割を果たすラチェット管450(図7を参照)に突出部453が設けられているのとちょうど同じところに、スイッチ構造体のための開口409を含む。
図6に示すスイッチは、図4を参照して説明した組み合わされたスイッチ構造体に対応するが、折りたたまれたユニタリー設計の代わりに、スイッチは別個の可撓性ストリップ部分316を備える。この別個の可撓性ストリップ部分316は、屈曲「膝」部分356を設けられ、可撓性シート315上に搭載され、これによって可動スイッチ部分を形成する。屈曲した部分が圧縮され、その後、アクチュエーター構造体によって解除されるとき、自由接触端359が固定接触エリア358上で前後にシフトする。
上記で説明したように、ラチェット管は、設定モードに対応する近位位置と、吐出モードに対応する遠位位置とを有する。図5の実施形態では、開口は、搭載されたスイッチが、吐出モードにおいて回転するときにのみラチェット部材突出部によって作動するように構成される。突出部がスイッチを通過するとすぐに、スイッチはアイドル位置に戻る。このようにして、スイッチの作動は薬物の投与量の吐出に結合されるのに対し、ユーザーは、スイッチを作動させることなく、投与量を自由に設定及び調節することができる。ラチェット管突出部がより大きな投与量のためにスイッチを複数回通過すると、スイッチは、これに応じて、単一の吐出イベントについて複数回作動することになるが、作動は非常に短い時間内に生じるため、これは単に、タイマーが複数回リセットされることを意味し、最後のリセットは、最後の投与からの時間がカウントされるリセットである。代替的に、短期間内に続くリセットを無視して、最初のリセットを用いてもよい。
図9A〜図9Fを参照して、図4に示すタイプの「電子ラベル」のための時間表示ディスプレイの特定の実施形態が説明される。ディスプレイ1は、概ね円形の構成を有し、中央表示エリア2と、プリントされた境界によって画定される外側の湾曲表示エリア3とを含む。中央表示エリアにおいて、電子インクを用いて、作動可能なタイマーシンボル4が形成され、湾曲表示エリアにおいて、電子インクを用いて、4つの作動可能なカウントセグメント5、6、7、8が形成される。示す実施形態において、個々の作動可能なセグメントの輪郭が「オフ」状態(図9A)で示されているが、これは主に、非作動状態にある構造の存在を示すためのものである。タイマーが「オン」にされると、タイマーシンボル4が、例えば白色を有する非アクティブ状態から作動し(図9B)、黒色を有するアクティブ状態になる。ある期間、例えば1時間が経過すると、カウントシンボルのうちの第1のシンボル5が作動する(図9C)。その後、追加の時間ごとに、4つ全てのカウントセグメントがアクティブになるまで(図9F)、更なるカウントセグメント6、7、8が作動する(図9D及び図9E)。これは、時間表示ディスプレイがリセットされてから、すなわち、投与イベントに対応して作動してから、少なくとも4時間が経過したことを示す。代替的な実施形態では、期間が、例えば時間の代わりに日であり得るような、より多くの又はより少ないカウントセグメントを用いてもよい。
図10Aを参照すると、図9Aの時間表示ディスプレイ1を組み込む電子ラベルの概略図が説明される。より詳細には、電子タイマーラベルは、バッテリー540と、スイッチ550(接触点のみ)と、タイマー・表示制御装置チップ(「TaDC」)530と、ディスプレイ520とを含み、これらは全て、プリント電子回路560によって相互接続されている。バッテリーはタイマー・表示制御装置チップ及びスイッチに接続され、ラベル上のスイッチは、バッテリーの極の各々に接続された2つの電位キャリア(potential carrier)551、552、並びにタイマー・表示コントローラーチップのスイッチ入力に接続された電位キャリア553を含む。示された実施形態では、切換え装置は別個の機械部品であるが、図4を参照して説明されたように、ラベルと一体に形成されてもよい。電子ラベルは、搬送中のホイル上に導電性インクを用いて電子回路をプリントすることによって、ホイル上に作製される。バッテリーはプリントされるか、又は電子回路又は外部バッテリーに取り付けられ接続された可撓性バッテリーのいずれかであってもよい。タイマー・表示コントローラーチップは、電子回路に取り付けられ接続された小さな専用チップである。ディスプレイは、このディスプレイ用のプリントされた導体上のラベルに直接プリントされ、5つの表示セグメントの各々がタイマー・表示コントローラーチップからの個々の出力及びタイマー・表示コントローラーチップの共通グラウンド接続に接続される。ラベルのための製造プロセスのより詳細な説明が以下に与えられる。
図10Aに示すようにラベルが非アクティブ状態にある場合、切換え装置555は電位キャリア「VCC」551及び「SWI」553に接続し、これにより、タイマー・表示コントローラーチップにおけるSWI入力に、VCCの電位が与えられる。ディスプレイ内のセグメントのいずれも、この状態においてアクティブでなく、タイマー・表示コントローラーチップは非常に低い電力消費でスリープモードにある。投与量がデバイスによって解除されると、切換え装置は摺動し、電位キャリア「GND」552及びSWI553に接続される。これによって、タイマー・表示コントローラーチップにおけるSWI入力は、VCCの電位からGNDに変化し、これによりシステムが作動し(図10B)、ここで中央タイマーシンボルセグメント521がオンになる。切換え装置は、元の位置に戻った直後に、タイマー・表示コントローラーチップのSWI入力における電位をGNDからVCCに戻すように変更する(図10C)。しかしながら、これは現時点で作動しているタイマーシステムに影響を及ぼさず、システムが、タイマー・表示コントローラーチップにおけるSWI入力をVCCからGNDに再び変更することによって再始動されることを可能にする。1時間が経過すると、タイマー・表示コントローラーチップは、アクティブタイマーシンボルセグメントをアクティブ状態に維持しながら、4つの時間セグメントのうちの第1のセグメント522を作動させる(図10D)。1時間経過後ごとに追加の時間インジケーターセグメントが作動し、これは、4時間が経過したときに5つ全てのセグメントが作動するまで行われる。例えば5時間後、タイマー・表示コントローラーチップはスリープモードまで電力を落とすことができる。用いられる電子インクのタイプに依拠して、セグメントは作動状態に残されてもよく、又はタイマー・表示コントローラーチップとともに作動解除されてもよい。セグメントがアクティブ状態に留まるために電力を必要とする場合、通常、後者となる。
図11〜図13を参照して、スイッチのアクティブ部分が説明される。より詳細には、図11は、図1〜図8を参照して説明したタイプの薬物送達デバイス(図15.18を参照)の一部分601を部分透視図で示す。デバイスは、開口609を有する外側陥凹エリア610を含み、陥凹エリアは、図12Aに示すように屈曲した可撓性ストリップ部分が搭載されることを可能にする。図12Aにおいて、内側に突出する「膝」556及び遠位接触エリア555を有する別個の屈曲した可撓性ストリップ部分554が搭載されている。デバイスは、突出部653を設けられたラチェット管650を更に含み、これは図5〜図8の実施形態に対応する。図4を参照して説明したタイプの電子ラベルが、デバイスの外面に搭載され、接触エリアを有するストリップ部分が凹部に保持されるようにする。
図12Aは、接触エリアが非アクティブ位置にある、弛緩した非アクティブ状態のストリップを示す。ストリップの近位位置にはラチェット管が配置されている。図12Bにおいて、接触ストリップは、スケールドラム突出部によって作動しており、接触エリアは、突出部がスイッチストリップの膝部を通過し、この膝部を外側に押す短い期間中に、接触エリアの作動位置まで動かされる。
図13Aにおいて、電子ラベル501が搭載されており、スイッチ構造体のみが示されている。スイッチ状態は、図10Aを参照して説明した非作動状態に対応する。これに応じて、図13Bは、図10Bを参照して説明した作動状態に対応するスイッチ状態を示す。
図14は、可撓性ホイル710上に形成された電子ラベル700の更なる実施形態を示し、この電子ラベル700は、プリントされたディスプレイ720と、搭載されたチップ730と、搭載されたバッテリー740と、ラベルと一体に形成された可動ストリップ部711を有するスイッチ750と、異なるコンポーネントの端子を接続する複数のプリントされたリード760とを備える。ラベルは、概ね長方形の形状を有し、ラベルが対象とする薬物送達デバイスに固有の切欠き709を備える。説明のために、タイマー・表示コントローラーチップは商品の予期されるサイズより大きく示されている。
次に、図15.1〜図15.21を参照して、電子ラベル700の製造プロセスが説明される。様々なラベル構造が、製造ステーションのラインを通ってステップ単位で動かされる連続可撓性ホイルストリップの形態で、キャリア基板上に形成される。
より詳細には、図15.1は、形成されることになるラベルの輪郭702が示された透明なキャリアホイルストリップ701の一部分を示す。第1の製造ステップ(図15.2)において、ラベルグラフィック703がホイルの下面にプリントされ、最終製品において、ラベルの最も外側の層を形成する。示す実施形態において、プリントは、最終ラベル(未来の可撓性ストリップ部分711を形成する部分を含む)に対応する輪郭704を有し、例示の目的で、「ブランド」及び「薬物」のラベル付け705を保有する。次のステップ(図15.3)において、ホイルの上面の、ラベル内に形成されるウィンドウに対応する部分にディスプレイ720がプリントされる。これによって、ディスプレイが透明なホイルを通して見えるようになる。例示の目的で、ラベルのグラフィックは示されない。後続のステップ(図15.4)において、回路リード760がプリントされ、ホイル上に形成又は搭載された構造の様々な端子の電気的相互接続が提供される。次のステップ(図15.5及び図15.6)において、タイマー・表示コントローラーチップ730及び可撓性バッテリー740がホイル上面に搭載される。後続のステップ(図15.7)において、スイッチ接触エリアは、1対のマスキング部材801によってマスキングされ、ホイルの残りの上面に保護層715が施され、マスキング部材は、接触エリア716をコーティングなしの状態に保つ役割を果たす(図15.8)。次のステップにおいて(図15.9)、スイッチ接触エリア環境が更なるマスキング部材802によってマスキングされ、接着剤層717がホイルの残りの上面に施され、マスキング部材は、接触エリア環境718及び可撓性ストリップ部分を接着材なしの状態に保つ役割を果たす(図15.10)。その後、剥離可能な保護シート(図示せず)が上面全体に施され、これによって、ラベルがホイルから切り取られた後に処理及び積重されることが可能になり(図15.11)、これにより図14に示すラベルに対応するラベル700が生成される。代替的に、ホイルは、後の処理のためにロール上に巻きつけられてもよい。
薬物送達デバイス上にラベルを搭載する直前に実行することができる次のステップにおいて、1対のスタンプ工具803を用いて自由ストリップ部分711が屈曲構成になるように形成され(図15.12〜図15.15)、その後、屈曲ストリップ部分が折り重ねられ、最終的なスイッチ構造体が形成される(図15.16及び図15.17)。実際に、この段階において、保護シートは少なくともスイッチエリアから除去されている。最終ステップにおいて、残っている保護シートが存在する場合、この保護シートが除去され、ペン形薬物送達デバイス600の外側曲面601に可撓性ラベル700が取り付けられ(図15.18〜図15.21)、最終的なペン605が提供される。可撓性ストリップ部分711はペンハウジング陥凹エリア610に配置され、これによって、図13A及び図13Bを参照して説明したタイプのスイッチ構造体が提供される。示される実施形態では、ラベルディスプレイ720は試験モードに対応して作動し、試験モードにおいて全ての表示セグメントが作動し、これによって、搭載前に欠陥のあるラベルを特定することが可能になる。
図16.1〜図16.7を参照して、図15.21の最終的なペン製品605の使用が説明される。ユーザーは、ディスプレイの全てのセグメントが「オフ」状態にある非アクティブ状態又はスリープ状態のラベルを有するペンを受容する。この状態は、投与量設定部材680(図16.1)を回転させることによる投与量の設定中に変化しない。このため、ペンが投与量が設定された後にゼロにリセットされ、片付けられた場合、ペンは非アクティブ状態に留まることになる。これに対応して、投与量が設定されていない状態で解除ボタン690が作動する場合、ペンは非アクティブ状態に留まることになる。投与量が設定され、ユーザーが吐出機構を解除して投与量を吐出するとき、ラチェット管450(図7)は遠位方向に動かされ、回転を開始し、この結果、図5〜図8を参照して説明したように、これに続いてラベルスイッチが作動されることになり、これによって中央タイマーシンボル721がオンになる。ペンラベルは、この状態に一時間留まり(図16.3)、その後、カウントシンボル722が作動し(図16.4)、図16.5〜図16.7に示すように、更なるカウントシンボル723、724、725が後続の一時間ごとに、すなわち、薬物の投与量の送達から2時間後、3時間後及び4時間後に作動する。示される実施形態の場合、5時間後、全てのセグメントが作動解除されている。
以下において、上記で説明した一般的なタイプの電子ラベルのいくつかの代替的なスイッチ構成が説明される。
図17及び図18は、図1〜図3を参照して説明したペンデバイスに対応し、このため、変更されていないハウジング201を備える、ペンデバイス200上に搭載された電子ラベル800を部分的に示す。より詳細には、ラベルは、ウィンドウ開口202を通して配置され、内部ハウジング壁上に搭載された、一体形成されたストリップ部分810を備え、ストリップの遠位端部分は、上記で説明したような単極双投接触に対応する接触パッド811を備える。図6に示すスイッチに対応して、「膝」部分及び遠位接触端821を有する可撓性ストリップ部分820がストリップ部分810上に搭載され、これにより、移動可能なスイッチ部分を形成する。膝部分は、スケールドラムの遠位係止面274に隣接して配置され、これにより、スイッチは、投与量が設定されたときにオン状態に作動し、スケールドラムがゼロ位置に戻るときにオフ状態に戻り、双方のイベントがラベル回路に入力を提供する。
代替的な実施形態(図示せず)では、例えば、スケールドラム上に配置された導電性の突起の形態で、インジケーター部材上に移動可能なスイッチ部分を提供することができ、突起は接触パッド811に摺動により係合する。適切な電気接触を提供するために、接触構造体の一方又は双方を可撓性とし、これらの間の径方向の動きを可能にすることができる。
更なる代替的な実施形態(図示せず)では、スイッチ構造体は、2つの可撓性ストリップ部材を備えるスイッチアセンブリの形態をとり、アセンブリは、小さな距離で互いに向い合ってストリップ部分上に配置された1対の対向する接触パッドを有するスイッチ部分を備え、例えば、ストリップは、スイッチ部分の片側又は両側に搭載された非導電性の支持構造体上に搭載することができる。スイッチ部分は、通常、ペンの内側に配置されるように適合されたスイッチアセンブリの遠位部分上に配置されるのに対し、近位部分は、この後に搭載される電子ラベル上に配置される対応する接触パッドと接続されるように適合された搭載接触パッドを備える。代替的に、スイッチアセンブリは、電子ラベルと完全に又は部分的に一体に形成することができる。例えば図18の実施形態のスイッチ構成に対応して、可撓性スイッチ部分は、インジケーター部材、例えばスケールドラムによって作動するように配置される。通常、スイッチが作動されると、「固定」接触パッドも動かされる。
図19は、図1〜図3を参照して説明したペンデバイスに対応しているが、開口909が形成された変更されたハウジング901を備える、ペンデバイス900上に搭載された電子ラベル1000を部分的に示す。開口に対応して、ラベルに2つの接触パッド1001、1002が設けられている。「膝」部分及び2つの接触パッド1021、1022並びに関連付けられた導体を有する可撓性ストリップ1020がラベルの下面に搭載され、これによって、移動可能なスイッチ部分が形成される。このスイッチ部分は、接触パッドの第1の対1001、1021を備える第1のスイッチと、接触パッドの第2の対1002、1022を備える第2のスイッチとを提供する。非作動状態において、第1のスイッチは閉状態にあり、第2のスイッチは開状態にある。膝部分は、スケールドラムの遠位係止面274に隣接して配置され、これによって、投与量が設定されると、第1のスイッチがオフ状態に作動され、第2のスイッチがオン状態に作動され、スケールドラムがゼロ位置に戻ると、第1のスイッチがオン状態に戻り、第2のスイッチがオフ状態に戻る。双方のイベントによって、ラベル回路に入力が提供される。わかるように、図18の実施形態と対照的に、接触パッドは通常、作動中に互いに対して摺動しない。
図20及び図21は、図1〜図3を参照して説明したペンデバイスに対応しているが、開口1109が形成された変更されたハウジング1101を備える、ペンデバイス1100上に搭載された電子ラベル1200を部分的に示す。ラベルは、ウィンドウ開口1102を通って配置され、内部ハウジング壁上に搭載された、一体形成されたストリップ部分1210を備え、ストリップの遠位端部分は、両側に接触パッド1211を備える。可撓性のU字形状のストリップ部分1220がラベルストリップに搭載され、図に示すようにスケールドラム係止面部分274がゼロ位置から及びゼロ位置へ動かされるとき、遠位のU字部分を上下に動かすことができるようにされる。ラベルストリップ上の接触パッドに対応して、U字部分に2つの接触パッド1021、1222及び関連付けられた導体が設けられ、これにより2つのスイッチが形成される。U字部分がスケールドラム遠位係止面274に隣接して配置され、これによって、スイッチは、図19の実施形態に対応する開状態及び閉状態間で操作される。
図22は、図1〜図3を参照して説明したペンデバイスに対応しているが、開口1309が形成された変更されたハウジング1301を備える、ペンデバイス1300を部分的に示す。第1のストリップ部分1420及び第2のストリップ部分1430がハウジングの外面に搭載され、第1のストリップ部分は、開口の第1の端部に対応して搭載される第1の接触パッド1421を備える。第2のストリップ部分は、開口の長さに対応して配置された可撓性の自由膝部分を備え、この自由部分は、第1の接触パッド1421に係合するように適合された中間接触パッド(以下を参照)及び遠位接触パッド1431を備える。3つの搭載パッド(又は端子)1425、1435、1445が提供され、第1のパッド1425は、第1のストリップ部分1420上に配置され、第1の接触パッド1421に接続され、第2のパッド1435は、第2のストリップ部分1430上に配置され、中間接触パッド及び遠位接触パッド1431に接続され、第3のパッドは、開口にわたって搭載され、中間接触パッドと係合するように適合される。第1の搭載パッド及び第2の搭載パッドは、ストリップ部分と一体に形成することもできるし、別個のコンポーネントとして付加することもできる。搭載パッドは、この後搭載される電子ラベル上に配置される対応する接触パッド(又は端子)との電気接触を作成する役割を果たす。他のスイッチ設計について上記で説明したように、スイッチを作動させるために、スケールドラム上に設けられた突出部がストリップの膝部分に係合し、これによってスイッチを作動させる。
図23は、図1〜図3を参照して説明したペンデバイスに対応しているが、切欠き1509が形成された変更されたハウジング1501を備える、ペンデバイス1500上に搭載された電子ラベル1600を部分的に示す。切欠きに対応して、ラベルには、接触突出部1613及び2つの接触パッド1611、1612を備える短いストリップ1610が設けられる。回転可能な投与量設定部材(図示せず)の下側内周面において、周方向の接触ストリップ1620が搭載される。ストリップは、接触突出部1613と一定の摺動係合状態にある遠位バンド部分(グラウンドトラック)と、投与量設定部材がペンハウジングに対して回転されるときに、ラベル接触パッド1611、1612と係合するように配置された複数の近位の可撓性接触指部とを備える。わかるように、このようにして、ユーザーによって投与量が設定されると、多数の接触イベントが作成される。接触パッド及び接触指部の実際の設計及びロケーションに依拠して、スイッチは回転センサーを提供することができ、設定される投与量の大きさを検出するのに用いられ得る。
図24は、磁気誘導に基づくスイッチ構成の概略表現を示し、駆動要素230には1つ又は複数の磁石232が設けられ、ラベルには、いくつかの、例えば3つのプリントされた誘導コイル1710が設けられる。スイッチ構成は、イベント、例えば投与量の吐出並びに投与量の大きさの検出に用いることができる。
図25は、投与量設定及び/又は投与量吐出中に作動する圧電素子1801を設けられたラベルに基づくスイッチ構成の概略図を示す。圧電素子は、ハウジングの外面に配置することもできるし、内部インジケーター要素によって直接作動させるように配置することもできる。
同様の手法(図示せず)において、ラベルには、吐出イベントを示すハウジングの変形、すなわち、駆動ばねに蓄積されたエネルギーの解除によって生じる変形を検出することを可能にする歪みゲージを設けることができる。代替的に、投与量設定又は吐出イベント中に、例えば吐出機構からの振動を検出するように適合された加速度計をラベルに組み込んでもよい。
図26は、設定及び/又は吐出される投与量の大きさを検出するように配置された第1の接触部材及び第2の接触部材を示す。より詳細には、第1の接触部材1920は、3つの外側の搭載接触パッド1925、1926、1927にストリップ部分1928を介して接続された内側リング部分1929を備える。リング部分は、ナット要素225(図2を参照)の近位方向に面した面上に搭載されるように適合され、内周グラウンドトラック1921、並びに、複数の内方向に向いた延長部を備える外周接触トラック1922、及び外方向に向いた延長部を備える中周接触トラック1923を備える。各周方向トラックが搭載パッドに接続され、これによって、この後に搭載されるように適合される電子ラベルにおける対応する入力接触パッドに接続される。第2の接触部材1930は、例えば、フック構造1935を介して、駆動要素230の遠位方向に面した面上に搭載されるように適合されるリング部材の形態をとる。リング部材は、リング部材が投与量の吐出中に駆動要素とともに回転するときに、摺動係合がオン−オフの状態で、外側トラック接触延長部に係合するように適合された可撓性接触指部1931及び中間のトラック接触延長部に係合するように適合された可撓性接触指部1932の対を備える。回転センサー出力を提供する様々な構造が設計され、電子ラベル回路によって、すなわち図23の構成に対応して、吐出される投与量の大きさが検出されることを可能にする。
図27は、図1〜図3を参照して説明したペンデバイスに対応しているが、開口2009が形成された変更されたハウジング2001を備える、ペンデバイス2000を部分的に示す。第1のストリップ部材2110、第2のストリップ部材2120及び第3のストリップ部材2130がハウジング外面上に搭載される。第1のストリップ部材は、第1の搭載パッドに接続された第1の固定接触ポイント2111を備え、第2のストリップ部材は、第2の搭載パッドに接続された第2の固定接触ポイント2121を備え、第3のストリップ部材は、開口内に配置された可撓性の自由膝部分を備え、自由端は、第3の搭載パッドに接続された遠位の第3の接触ポイント2131を備える。搭載パッドは、この後搭載される電子ラベル上に配置される対応する接触パッドとの電気接触を作成する役割を果たす。スイッチを作動させるために、ラチェット管250上に提供される突出部又はエッジ部分は、ラチェット管が投与量解除中に軸方向に動かされるとき、スイッチを作動させる役割を果たし、イベントは、ラベル回路に入力を提供する。
様々なスイッチ設計の上記の記載に対応して、投与量の大きさを検知するスイッチと、投与イベントを検知するスイッチとを組み合わせることができる。すなわち、1組のスイッチを、設定及び/又は吐出される投与量の大きさを検出するのに用いることができるのに対し、イベントスイッチを、設定投与量が実際に吐出されたことを検出するのに用いることができる。実際に、投与量の大きさに関係する情報が電子ラベル上に表示される場合、対応する数値表示手段が提供されるべきである。設定投与量、及び/又は最後の設定投与量の大きさに加えて、カートリッジ内に残っている薬物の量も表示され得る。
上記で説明した電子ラベルに追加の機能を設けることができるか、又は電子ラベルを、薬物送達に更なる機能を提供するためのプラットフォームとして用いることができる。例えば、インスリン製品の製造者は、多くの場合に、様々なタイプのインスリンを作製し、これらのインスリンには、急速に効果を現すがあまり長期間効果がないものもあれば、より低速に効果を現すが、より長い時間効果があるものもある。更なる例として、温度センサーを設けることができる。測定される温度は、例えば、可変の使用期限を計算するための入力として用いられてもよく、あるいは過度の温度に晒されることに対し警告してもよい。上記で説明した表示機能に加えて、ログ機能、例えば、薬物が吐出されたとき、例えば日付及び/又は時間を図で示すディスプレイを提供してもよい。例えば、二重投与、最大投与量超過又は他の異常な使用に対して警告を提供してもよい。例えば、NFCアンテナを介して、個人設定を無線で入力してもよい。電子ラベルの表示手段は、2Dマトリックスコードを表示するように適合してもよく、この2Dマトリックスコードを用いて、データを、例えばカメラを設けられたスマートフォンに転送することができる。
製造コストを低く保つために、製造者は多くの場合、異なるコンポーネント(インスリンカートリッジを除く)が可能な限り少ない、同じタイプのデバイスを用いる。プレフィルドデバイスの場合、ハウジングの色は通例、異なるコンテンツを有するデバイス間の最も弁別的な(多くの場合唯一の)視認可能な差である。
インスリンタイプの混同は、より低速に効果を現すインスリンが急速に効果を現すインスリンの代わりに小さな投与量で摂取される場合に、不快で不都合である場合がある一方、就寝の直前に、より低速に効果を現すインスリンの代わりに大きな投与量の急速に効果を現すインスリンを摂取するという逆の混同は命に関わる場合がある。混同の場合のより大きなリスクに関連付けられる注射は、通常、夜にユーザーの就寝の直前に行われるため、特に、2つのデバイスが、準最適な照明条件において類似して見える場合がある色を有する場合において、誤ったペンが選択された場合に気づかないリスクの増大が存在する。
双方のタイプのインスリンの組合せのユーザーは、双方のデバイスの使用に非常に慣れているため、色、形状、外観及び扱いが大きく異なる場合であっても、ユーザーがデバイスを混同した場合に、必ずしもユーザーの注意をひかない。なぜなら、ユーザーは双方のデバイスを日常的に用いており、双方のデバイスに馴染んでいるためである。これは、所与の状況において誤ったデバイス/インスリンタイプを用いることに違和感をもたないというリスクを呈する。最悪のシナリオは、就寝の直前に、低速に効果を現すインスリンの代わりに大きな投与量の急速に効果を現すインスリンが摂取される場合の混同である。そのような混同は命に関わり得るが、ほとんどのユーザーは、同じ日の早い時間に、この急速に効果を現すインスリンデバイスを3〜5回使用しているため、違和感をもたず、6回目を普段と異なると感じないであろう。
上記の問題は、上記で説明したように、同じ概略的な設計及び構造の可撓性ラベルを提供することによって対処される。ラベルは、電源と、プロセッサと、ユーザーにより作動可能なスイッチと、制御可能な透明度を有するエリアとを含む。ラベルは、内容物を明確に示すようにマーク付けされ、2つの示されるボタンエリアを含む(ただし、実際にボタンであるのは1つのみである)。ラベルは、図1Aに示すタイプの、すなわち、設定投与量が示されるウィンドウを備えるデバイス上に搭載されるように設計され、これによって、制御可能な透明度のエリアがデバイスのウィンドウを覆う。
デバイスの薬物内容物を明確に示すことに加えて、全てのラベルは、異なる利用可能なインスリンタイプに関係付けられた、異なる使用状況についてマーク付けされた同じ(少なくとも2つの)ボタンを有する。唯一操作可能なボタンは、デバイス内に含まれる実際のインスリンタイプに対応してマーク付けされたボタンであり、他のボタンは「ダミー」ボタンである。正しいボタンが作動すると、切り替え可能な透明度のエリアが限られた時間にわたって透明になり、ユーザーが投与量設定スケールを見て、摂取する投与量の大きさを調節することが可能になる。他のボタンはアクティブでないため、投与量設定スケールは、ユーザーによって示される実際の状況において、ユーザーが正しいタイプのインスリンを選択したときにのみ視認可能になる。
これに対応して、説明したようなラベルの付加によって、ユーザーは、現在の状況を象徴するボタンを押下しなくてはならない。ユーザーが現在の状況(食事又は就寝)を選択するのを忘れた場合、投与量設定スケールは見えないままであり、これによって、ユーザーが意図される投与量を設定することが阻止される。ユーザーがミスにより誤ったデバイス/インスリンタイプを取り、現在の状況を選択する場合、投与量設定スケールは見えないままであり、このため、ユーザーは、正しいデバイス及び状況が選択されているか否かを調べるように促され、注射の前に混同に気がつく。
ユーザーが、適切なデバイスにおいて現在の状況(唯一の真にアクティブなボタン)を選択するとき、可変の透明度のウィンドウが透明になり、ユーザーが意図する通りに投与量をダイアルすることが可能になる。
図28.1は、電子ラベル2201が搭載された薬物カートリッジ2210を備えるプレフィルド薬物送達ペン2200の一実施形態を示す。ラベルは、デバイスに含まれる薬物2011のタイプ、この場合は、Novo Nordisk A/Sによって提供される高速作用NovoRapid(登録商標)インスリンを明確に示し、このラベルは、食事シンボルを設けられた第1の作動ボタン2202と、就寝シンボルを設けられた第2の操作不可能な「ダミー」ボタン2203と、制御可能な透明度を有するウィンドウ2204と、投与量設定ボタン2205とを備える。
ユーザーがデバイスを使用することを望み、このため、吐出される投与量を設定するとき、ユーザーは、正しいボタン、すなわち、デバイス内に含まれている薬物に対応するボタンを作動しなくてはならない。示されるペンは、高速作用インスリンを含むので、正しいボタンは、食事シンボルを保有するボタンである。しかしながら、ユーザーが実際には、就寝前に長く作用するインスリンの投与量を摂取することを望んでいる場合に、ユーザーは、誤ったペンを把持し、このペンが高速作用インスリンを含むことを見逃している場合がある。しかし、図28.2に示すように、就寝ボタンを作動させると、何も起こらず、ウィンドウは不透明なままであり、これにより、ユーザーに対し、ペンが意図される目的について正しくないことの明確な注意喚起が提供される。対照的に、ユーザーが実際に、食事を取る前に高速作用インスリンの投与量を摂取することを望む場合、ユーザーは図28.3に示すように食事ボタン2203を作動させ、これにより、ウィドウは透明になり、ユーザーがスケールドラムの数字2206を見ることを可能にする。
例示的な実施形態の上記の説明において、様々なコンポーネントについて説明した機能を提供する様々な構造及び手段を、本発明の構想が当業者である読み手に明らかになる程度まで説明してきた。様々なコンポーネントの詳細な構造及び仕様は、当業者によって、本明細書に記載の文言に沿って行われる通常の設計手順の対象とみなされる。