以下に詳述する本発明の実施例は、マッシブアンテナを構成するアンテナの相関度を用いてデータシンボルを送受信する方法及びこれを支援する装置を提供する。
以下の実施例は、本発明の構成要素と特徴を所定の形態で結合したものである。各構成要素又は特徴は、別の明示的な言及がない限り、選択的なものとして考慮することができる。各構成要素又は特徴は、他の構成要素や特徴と結合しない形態で実施することができる。また、一部の構成要素及び/又は特徴を結合して本発明の実施例を構成することもできる。本発明の実施例で説明する動作の順序は変更してもよい。ある実施例の一部の構成や特徴は他の実施例に含まれてもよく、又は他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替えられてもよい。
図面に関する説明において、本発明の要旨を曖昧にさせうる手順又は段階などは記述を省略し、当業者のレベルで理解できるような手順又は段階も記述を省略した。
本明細書で、本発明の実施例は、基地局と移動局間のデータ送受信関係を中心に説明した。ここで、基地局は移動局と直接通信を行うネットワークの終端ノード(terminal node)としての意味を有する。本文書で基地局によって行われるとした特定動作は、場合によっては、基地局の上位ノード(upper node)によって行われてもよい。
すなわち、基地局を含む複数のネットワークノード(network node)からなるネットワークで移動局との通信のために行われる様々な動作は、基地局又は基地局以外の他のネットワークノードによって行われてもよい。ここで、「基地局」は、固定局(fixed station)、Node B、eNode B(eNB)、発展した基地局(ABS:Advanced Base Station)又はアクセスポイント(access point)などの用語に代えてもよい。
また、本発明の実施例でいう「端末(Terminal)」は、ユーザ機器(UE:User Equipment)、移動局(MS:Mobile Station)、加入者端末(SS:Subscriber Station)、移動加入者端末(MSS:Mobile Subscriber Station)、移動端末(Mobile Terminal)、又は発展した移動端末(AMS:Advanced Mobile Station)などの用語に代えてもよい。
また、送信端は、データサービス又は音声サービスを提供する固定及び/又は移動ノードを意味し、受信端は、データサービス又は音声サービスを受信する固定及び/又は移動ノードを意味する。そのため、上りリンクでは、移動局を送信端とし、基地局を受信端とすることができる。同様に、下りリンクでは、移動局を受信端とし、基地局を送信端とすることができる。
本発明の実施例は、無線接続システムであるIEEE 802.xxシステム、3GPP(3rd Generation Partnership Project)システム、3GPP LTEシステム及び3GPP2システムのうち少なくとも一つに開示された標準文書によって裏付けることができ、特に、本発明の実施例は、3GPP TS 36.211、3GPP TS 36.212、3GPP TS 36.213及び3GPP TS 36.321の文書によって裏付けることができる。すなわち、本発明の実施例において説明していない自明な段階又は部分は、上記の文書を参照して説明することができる。また、本文書で開示している用語はいずれも上記の標準文書によって説明することができる。
以下、本発明に係る好適な実施の形態を、添付の図面を参照して詳しく説明する。添付の図面と共に以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施の形態を説明するためのもので、本発明が実施されうる唯一の実施の形態を示すためのものではない。
また、本発明の実施例で使われる特定用語は、本発明の理解を助けるために提供されたもので、このような特定用語の使用は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で他の形態に変更してもよい。
例えば、上りリンク同期信号は、同期信号、RACHプリアンブル又はRACH信号などのような意味で使うことができる。また、端末を用いて通信を行う主体をユーザと称し、当該端末とユーザは同じ意味で使われてもよい。また、高周波数帯域でRACH信号を検出するための受信フィルターは、検出フィルターという用語と同じ意味で使われてもよい。
以下の技術は、CDMA(code division multiple access)、FDMA(frequency division multiple access)、TDMA(time division multiple access)、OFDMA(orthogonal frequency division multiple access)、SC−FDMA(single carrier frequency division multiple access)などのような様々な無線接続システムに適用することができる。
CDMAは、UTRA(Universal Terrestrial Radio Access)やCDMA2000のような無線技術(radio technology)によって具現することができる。TDMAは、GSM(登録商標)(Global System for Mobile communications)/GPRS(General Packet Radio Service)/EDGE(Enhanced Data Rates for GSM(登録商標) Evolution)のような無線技術によって具現することができる。OFDMAは、IEEE 802.11(Wi−Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802−20、E−UTRA(Evolved UTRA)などのような無線技術によって具現することができる。
UTRAは、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)の一部である。3GPP LTE(Long Term Evolution)は、E−UTRAを用いるE−UMTS(Evolved UMTS)の一部であって、下りリンクでOFDMAを採用し、上りリンクでSC−FDMAを採用する。LTE−A(Advanced)システムは、3GPP LTEシステムの改良されたシステムである。本発明の技術的特徴に関する説明を明確にするために、本発明の実施例を3GPP LTE/LTE−Aシステムを中心に説明するが、IEEE 802.16e/mシステムなどに適用してもよい。
1. 3GPP LTE/LTE_Aシステム
無線接続システムにおいて、端末は下りリンク(DL:Downlink)を介して基地局から情報を受信し、上りリンク(UL:Uplink)を介して基地局に情報を送信する。基地局と端末が送受信する情報は、一般データ情報及び様々な制御情報を含み、これらが送受信する情報の種類/用途によって様々な物理チャネルが存在する。
1.1 システム一般
図1は、本発明の実施例で使用できる物理チャネル及びこれらを用いた信号送信方法を説明するための図である。
電源が消えた状態で電源がついたり、新しくセルに進入したりした端末は、S11段階で基地局と同期を取るなどの初期セル探索(Initial cell search)作業を行う。そのために、端末は基地局から1次同期チャネル(P−SCH:Primary Synchronization Channel)及び2次同期チャネル(S−SCH:Secondary Synchronization Channel)を受信して基地局と同期を取り、セルIDなどの情報を取得する。
その後、端末は基地局から物理放送チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)信号を受信してセル内の放送情報を取得することができる。
一方、端末は初期セル探索段階で下りリンク参照信号(DL RS:Downlink Reference Signal)を受信して下りチャネル状態を確認することができる。
初期セル探索を終えた端末は、S12段階で、物理下り制御チャネル(PDCCH:Physical Downlink Control Channel)、及び物理下り制御チャネル情報に基づく物理下り共有チャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)を受信し、より具体的なシステム情報を取得することができる。
その後、端末は、基地局に接続を完了するために、段階S13乃至段階S16のようなランダムアクセス手順(Random Access Procedure)を行うことができる。そのために、端末は物理ランダムアクセスチャネル(PRACH:Physical Random Access Channel)を用いてプリアンブル(preamble)を送信し(S13)、物理下り制御チャネル及びこれに対応する物理下り共有チャネルを用いてプリアンブルに対する応答メッセージを受信することができる(S14)。競合ベースのランダムアクセスでは、端末は、さらなる物理ランダムアクセスチャネル信号の送信(S15)、及び物理下り制御チャネル信号及びこれに対応する物理下り共有チャネル信号の受信(S16)のような衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)を行うことができる。
上述したような手順を行った端末は、その後、一般的な上り/下り信号送信手順として、物理下り制御チャネル信号及び/又は物理下り共有チャネル信号の受信(S17)及び物理上り共有チャネル(PUSCH:Physical Uplink Shared Channel)信号及び/又は物理上り制御チャネル(PUCCH:Physical Uplink Control Channel)信号の送信(S18)を行うことができる。
端末が基地局に送信する制御情報を総称して、上り制御情報(UCI:Uplink Control Information)という。UCIは、HARQ−ACK/NACK(Hybrid Automatic Repeat and reQuest Acknowledgement/Negative−ACK)、SR(Scheduling Request)、CQI(Channel Quality Indication)、PMI(Precoding Matrix Indication)、RI(Rank Indication)情報などを含む。
LTEシステムにおいて、UCIは、一般的にPUCCHを介して周期的に送信するが、制御情報とトラフィックデータが同時に送信されるべき場合にはPUSCHを介して送信してもよい。また、ネットワークの要請/指示に応じてPUSCHを介してUCIを非周期的に送信してもよい。
図2には、本発明の実施例で用いられる無線フレームの構造を示す。
図2(a)は、タイプ1フレーム構造(frame structure type 1)を示す。タイプ1フレーム構造は、全二重(full duplex)FDD(Frequency Division Duplex)システムと半二重(half duplex)FDDシステムの両方に適用することができる。
1無線フレーム(radio frame)は、
の長さを有し、
の均等な長さを有し、0から19までのインデックスが与えられた20個のスロットで構成される。1サブフレームは、2個の連続したスロットと定義され、i番目のサブフレームは、2i及び2i+1に該当するスロットで構成される。すなわち、無線フレーム(radio frame)は、10個のサブフレーム(subframe)で構成される。1サブフレームを送信するために掛かる時間をTTI(transmission time interval)という。ここで、T
sはサンプリング時間を表し、T
s=1/(15kHz×2048)=3.2552×10
−8(約33ns)と表示される。スロットは、時間領域で複数のOFDMシンボル又はSC−FDMAシンボルを含み、周波数領域で複数のリソースブロック(Resource Block)を含む。
1スロットは、時間領域で複数のOFDM(orthogonal frequency division multiplexing)シンボルを含む。3GPP LTEは、下りリンクでOFDMAを使用するので、OFDMシンボルは1シンボル区間(symbol period)を表現するためのものである。OFDMシンボルは、1つのSC−FDMAシンボル又はシンボル区間ということができる。リソースブロック(resource block)は、リソース割当単位であって、1スロットで複数の連続した副搬送波(subcarrier)を含む。
全二重FDDシステムでは、各10ms区間で10個のサブフレームを下り送信と上り送信のために同時に利用することができる。このとき、上り送信と下り送信は周波数領域で区別される。一方、半二重FDDシステムでは、端末は送信と受信を同時に行うことができない。
上述した無線フレームの構造は一つの例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数、又はスロットに含まれるOFDMシンボルの数は様々に変更されてもよい。
図2(b)には、タイプ2フレーム構造(frame structure type 2)を示す。タイプ2フレーム構造はTDDシステムに適用される。1無線フレームは、
の長さを有し、
長さを有する2個のハーフフレーム(half−frame)で構成される。各ハーフフレームは、
の長さを有する5個のサブフレームで構成される。i番目のサブフレームは、2i及び2i+1に該当する各
の長さを有する2個のスロットで構成される。ここで、T
sは、サンプリング時間を表し、T
s=1/(15kHz×2048)=3.2552×10
−8(約33ns)で表示される。
タイプ2フレームは、DwPTS(Downlink Pilot Time Slot)、保護区間(GP:Guard Period)、UpPTS(Uplink Pilot Time Slot)の3つのフィールドで構成される特別サブフレームを含む。ここで、DwPTSは、端末での初期セル探索、同期化又はチャネル推定に用いられる。UpPTSは、基地局でのチャネル推定と端末の上り送信同期を合わせるために用いられる。保護区間は、上りリンクと下りリンクの間に下りリンク信号の多重経路遅延によって上りリンクで生じる干渉を除去するための区間である。
下記の表1に、特別フレームの構成(DwPTS/GP/UpPTSの長さ)を示す。
図3は、本発明の実施例で使用できる下りリンクスロットのリソースグリッド(resource grid)を例示する図である。
図3を参照すると、1つの下りリンクスロットは、時間領域で複数のOFDMシンボルを含む。ここで、1つの下りリンクスロットは、7個のOFDMシンボルを含み、1つのリソースブロックは周波数領域で12個の副搬送波を含むとするが、これに限定されるものではない。
リソースグリッド上で各要素(element)をリソース要素(resource element)とし、1つのリソースブロックは12×7個のリソース要素を含む。下りリンクスロットに含まれるリソースブロックの数NDLは、下りリンク送信帯域幅(bandwidth)に依存する。上りリンクスロットの構造は、下りリンクスロットの構造と同一であってもよい。
図4は、本発明の実施例で使用できる上りリンクサブフレームの構造を示す。
図4を参照すると、上りリンクサブフレームは、周波数領域で制御領域とデータ領域とに区別される。制御領域には、上り制御情報を運ぶPUCCHが割り当てられる。データ領域には、ユーザデータを運ぶPUSCHが割り当てられる。単一搬送波特性を維持するために、一つの端末はPUCCHとPUSCHを同時に送信することがない。一つの端末に対するPUCCHにはサブフレーム内にRB対が割り当てられる。RB対に属するRBは、2個のスロットのそれぞれで異なる副搬送波を占める。これを、PUCCHに割り当てられたRB対はスロット境界(slot boundary)で周波数跳躍(frequency hopping)するという。
図5には、本発明の実施例で使用できる下りサブフレームの構造を示す。
図5を参照すると、サブフレームにおける第一のスロットでOFDMシンボルインデックス0から最大3個のOFDMシンボルが、制御チャネルが割り当てられる制御領域(control region)であり、残りのOFDMシンボルが、PDSCHが割り当てられるデータ領域(data region)である。3GPP LTEで用いられる下りリンク制御チャネルの例には、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PDCCH、PHICH(Physical Hybrid−ARQ Indicator Channel)などがある。
PCFICHは、サブフレームにおける最初のOFDMシンボルで送信され、サブフレーム内に制御チャネルの送信のために使われるOFDMシンボルの数(すなわち、制御領域のサイズ)に関する情報を運ぶ。PHICHは、上りリンクに対する応答チャネルであって、HARQ(Hybrid Automatic Repeat Request)に対するACK(Acknowledgement)/NACK(Negative−Acknowledgement)信号を運ぶ。PDCCHを介して送信される制御情報を下り制御情報(DCI:downlink control information)という。下り制御情報は、上りリソース割当情報、下りリソース割当情報、又は任意の端末グループに対する上り送信(Tx)電力制御命令を含む。
2. マッシブアンテナを支援する無線接続システム
本発明の実施例では、マッシブ(Massive)アンテナを支援する通信環境においてアンテナの相関関係を用いた送信ダイバーシチ確保方案を提供する。マッシブアンテナは、アンテナ間の距離が短くてもよい高周波帯域(数GHz領域)で具現しやい。
多数のアンテナが狭い領域に配置されるマッシブアンテナの特性の上、全てのアンテナを互いに相関関係の低い独立性を有する形態で具現することは不可能である。また、マッシブアンテナにビームフォーミング(Beamforming)技法を適用する場合にはかえって、アンテナ間相関度が高い場合にその性能が極大化するので、アンテナ間相関度の極端な特性はいずれも一長一短がある。したがって、マッシブアンテナの相関度特性を用いると、基地局のサービスカバレッジを安定して確保することができ、特に、制御チャネル送信時に、その効果を極大化することができる。
また、本発明の実施例は、3GHz以下のセルラー帯域の他、3GHzを超える高周波広帯域の通信状況でも同じ原理の下に適用可能であり、既存のマクロセルだけでなく小型セルにも適用可能である。以下では、マッシブアンテナの適用が可能な無線接続環境について説明する。
2.1 スモールセル中心の新しいセルの導入
現在3GPP LTE−Aシステムは、Rel−10乃至Rel−11規格に基づいて動作する無線接続システムである。本発明の実施例が適用される無線接続システムは、3GPP LTE Rel−12以下の規格で定義するシステムであってもよい。Rel−12システムでは、ユーザ別サービス支援をより一層強化するために局地(Local Area)セル(すなわち、スモールセル)の導入及び局地接続(LAA:Local Area Access)方式の導入を検討している。
図6は、スモールセルの概念的な特徴を示す図である。
図6を参照すると、左側は、既存セルラー帯域を示しており、右側は、スモールセルが適用される高周波帯域を示す。すなわち、スモールセルは、既存のセルラーシステムであるLTEシステムに運用される周波数帯域ではなく、より高い中心周波数を有する帯域に広いシステム帯域を設定して運用することができる。
また、スモールセルと既存セルラーセルとが混用されてもよい。例えば、既存のセルラー帯域ではシステム情報(SI:system information)のような制御信号に基づいて基本的なセルカバレッジを支援し、高周波のスモールセル帯域ではより広い周波数帯域を用いて送信効率を極大化するデータ送信を行うことができる。
したがって、本発明の実施例を適用し得る局地接続(LAA)という概念は、より狭い地域に位置している低速又は中速(low−to−medium mobility)の端末を対象とし、スモールセルのカバレッジは既存の数km乃至数百km単位のレガシーセル(すなわち、セルラーシステムのセル)よりも小さい100m単位となり得る。このため、スモールセルでは端末と基地局間の距離が短くなり、高周波帯域を用いることから、次のようなチャネル特性を有することができる。
(1)遅延拡散(Delay spread):基地局と端末間の距離が短くなることにより、信号の遅延が短くなり得る。
(2)サブキャリアスペーシング(Subcarrier spacing):既存のLTEシステムのそれと同じOFDMベースのフレームを適用する場合、各端末に割り当てられた周波数帯域が大きいので、スモールセルで用いられるサブキャリアスペーシングは、既存のLTEシステムにおける15kHzよりも極端的に大きい値に設定され得る。
(3)ドップラー周波数(Doppler’s frequency):スモールセルでは高周波帯域が用いられるので、同じ端末速度の低周波帯域に比べて高いDoppler周波数が現れ、コヒーレント時間(coherent time)が極端的に短くなり得る。
2.2 高周波帯域送信のためのランダムアクセスチャネル設計
端末は基地局と同期化している場合にのみ上りリンク信号を送信し、データ送信のためのスケジューリングを受けることができる。すなわち、ランダムアクセスチャネル(RACH:Random Access Channel)の主な役割は、同期化していない端末が送信する信号が互いに直交したり又は可能な限り重ならないようにする送信技法を用いて無線接続を行えるようにすることである。
2.2.1 ランダムアクセス用途及び要求事項
RACHの主な役割は、上りリンク初期接続と短文メッセージ(short message)送信である。WCDMA(登録商標)システムではRACHを介して初期ネットワーク接続と短文メッセージ送信がなされた。ただし、LTEシステムでは、RACHを介した短文メッセージ送信が提供されない。また、LTEシステムにおいてRACHは、WCDMA(登録商標)システムとは違い、既存の上りリンクデータ送信チャネルとは別に構成される。
すなわち、LTE/LTE−Aシステムにおいて上りリンクPUSCH信号は、基本サブキャリアスペーシング(subcarrier−spacing)であるΔf=15kHzのシンボル構造ではなくΔfRA=1.25kHzのSC−FDMA構造を有する。LTEシステムでは一応基地局と端末間に上りリンク同期が取れると、当該端末には直交リソースを割り当てるためのスケジューリングが行われる。RACHが用いられる関連シナリオは、下記のとおりである。
(1)端末がRRC_CONNECTED状態にあるが、上りリンク同期化がされておらず、新しい上りリンクデータ又は制御情報を送信する必要があるとき(例えば、イベントトリガー測定報告)
(2)端末がRRC_CONNECTED状態にあるが、上りリンク同期化がされておらず、新しい下りリンクデータを受信して相応のACK/NACK(ACKnowledgement/Negative ACKnowledgement)信号を上りリンクで送信する必要があるとき
(3)RRC_CONNECTED状態にある端末が、現在のサービングセルからターゲットセルにハンドオーバーを行おうとするとき
(4)端末のポジショニングのためにタイミングアドバンスが必要な場合、RRC_CONNECTED状態で端末のポジショニングのために
(5)RRC_IDLE状態からRRC_CONNECTED状態への切り替え時、例えば、初期接続又は位置更新追跡など
(6)無線リンク失敗から復旧時に
2.2.2 RACHプリアンブル構造
図7は、RACHプリアンブル構造の一例を示す図である。
端末は上りリンク同期を取るために基地局にRACHプリアンブル(すなわち、RACH信号)をRACHを介して送信する。RACHプリアンブルは、サイクリックプレフィックス(CP:Cyclic Prefix)及びRACHシーケンスから構成されており、基地局では、RACHプリアンブルを生成するためのRACHパラメータを構成するに当たり、セル半径によるガードタイム(Guard−time)を考慮してRACHパラメータを構成する。この時、CPは、最大チャネル遅延スプレッド(Maximum channel delay spread)+往復時間(Round Trip−Time)を考慮して設定され、GTは、往復時間を吸収する。CPは、OFDMシンボルの後半部をプリアンブルのCP区間に挿入して生成されるが、これによって、RACH受信機の周期的コリレーション(periodic correlation)が可能となる。
図7を参照すると、端末は、RACHプリアンブルを送信する際、タイミングアドバンス(TA:Timing Advance)=0ms、すなわち、基地局と同期化していると仮定してRACHプリアンブルを送信する。したがって、基地局と近い端末の場合、図7に示すように、基地局に受信された端末のプリアンブルがほとんど一致し、セル境界に位置した端末の場合は、伝搬遅延(propagation delay)をもって後に受信される。このとき、基地局は、各端末の送信したRACHシーケンスを知っているので、周期的コリレーションを用いて、各端末の送信したプリアンブルの検出位置を用いて同期化プロセスを進行することができる。
2.2.3 RACHプリアンブルシーケンスの種類
RACHプリアンブルには様々なシーケンスを利用可能である。特に、その代表には、自己相関(auto−correlation)ベースのザドフチュー(Zadoff−Chu)シーケンスと相互相関(cross−correlation)ベースの擬似ランダム(Pseudo−random)シーケンスがある。一般に、セル間干渉(Intra cell interference)が優勢な(dominant)場合(すなわち、外部セルからの干渉が小さい場合)には、自己相関ベースのシーケンスが用いられ、逆に、セル間干渉が大きい場合には相互相関ベースのシーケンスが好まれる。
LTEシステムでは長さ(N)839のザドフチューシーケンスが次のような理由から用いられている。
(1)同じ周波数−時間のRACHリソースを用いる異なるプリアンブル間の相関関係は小さい必要がある。
(2)セル間干渉はセルのサイズによって最適化されなければならない。すなわち、小さいセルであるほどより多い直交プリアンブルを作ることが、基地局の検出性能を向上させる。
(3)直交プリアンブル数が多いほど、検出性能が向上する。LTEシステムは、端末を区別するために64個のシグネチャ(signature)を用いるが、WCDMA(登録商標)システムは16個のシグネチャを用いる。
(4)基地局の検出複雑度を軽減しなければならない。
(5)高速移動端末も支援しなければならない。
上記のような理由を満たすために、次の式1のようなザドフチュー(ZC)シーケンスをRACHプリアンブルに用いることができる。
式1で、uは、ZCシーケンスのルートインデックスを表し、NZCは、ZCシーケンスの長さを表す。
ただし、端末を区別するために用いられるシグネチャ間のセル間干渉が大きい環境では、次の式2のようなPNシーケンスを用いることができる。
2.2.4 RACHプリアンブルの送信帯域
RACHプリアンブルの送信帯域を設定するに当たって考慮される2つの主要因子は、ダイバーシチ利得(diversity gain)と端末の送信電力制限である。すなわち、基地局と違い、端末はパワーアンプ(power amplifier)の性能が制限される。このため、広い周波数帯域をRACHプリアンブル送信のために割り当てる場合、リソースユニット/リソース要素(Resource unit/Resource element)別エネルギーは低くなるが、周波数ダイバーシチは極大化する。逆に、狭い帯域をRACHプリアンブル送信のために割り当てる場合、リソースユニット/リソース要素別エネルギーは高くなるが、周波数ダイバーシチは最小化する。
実際にLTE RACH送信帯域を決定するときには1.08MHz、2.16MHz、4.5MHz、50MHz(各6RBs、12RBs、25RBs、50RBs)を対象としたが、RACH未検出確率比較から1%未検出確率を満たすには6RBでも十分であったため、1.08MHzが最終RACH送信帯域として決定された。
2.3 高周波帯域特性を反映したRACHシーケンスのZCZ設定方法
LTEシステムでは、RACHシーケンスを設計するに当たり、RACHのサブキャリアスペーシング(subcarrier−spacing)を既存のデータに対する基本サブキャリアスペーシング
の約1/12倍と小さく設定した。これによって、最終的にLTEシステムの基本サブキャリアスペーシングは
=15kHzとなり、RACHサブキャリアスペーシングは
=1.25kHzとなる。
高周波帯域チャネルにおいてサブキャリアスペーシングを基本サブキャリアスペーシングよりも小さくする場合、ドップラー周波数に対する影響がより一層大きくなるので、基地局においてRACHプリアンブルに対する検出性能の低下が発生しうる。例えば、中心周波数2GHzを使用する時に比べて30GHzを使用する高周波帯域の送信では、基本的に、同じ移動速度の端末も15倍以上の大きいドップラーを経験することになる。このため、高周波帯域送信のためのRACHでは、既存LTEのような
のサイズを低くする接近は、大きな性能低下を誘発しうる。
一般に、
のサイズを小さくするほど、有効チャネルに該当するチャネルタップ(tap)が1つとして現れるようになるので、基地局でチャネルの有効多重経路を1つと仮定することができる。したがって、基地局は、小さい
を用いて、各端末が送信したRACHシーケンスに対してコリレーションを行って各端末を区別したり、タイミング差(Timing difference)を推定することができる。しかし、高周波チャネルではドップラー影響を考慮しなければならないことから、RACHサブキャリアスペーシングも基本サブキャリアスペーシングと同一に設定しなければならす、このとき、有効チャネルに対する数を単一タップと仮定することができない。
図8は、RACHサブキャリアスペーシングが小さい場合、有効単一経路発生及び基地局シーケンス受信の概念を示す図であり、図9は、RACHサブキャリアスペーシングが大きい場合、有効多重経路発生及び基地局シーケンス受信の概念を示す図である。
図8を参照すると、相対的に小さいサブキャリアスペーシングを有するRACHを介してZCシーケンス
が送信される時には、時間軸上でRACH送信シンボルの長さが長くなり、有効チャネル区間が単一タップとして仮定される。すなわち、図8は、一般セルラーシステム(例えば、LTE/LTE−Aシステム)で支援する帯域幅において用いられるRACHプリアンブルである場合を仮定している。
しかし、図9を参照すると、高周波帯域のシステムなどのように相対的に大きいサブキャリアスペーシングを有するRACHを介してZCシーケンス
が送信される時には、時間軸上でRACH送信シンボルの長さが短くなり、有効チャネル区間が複数の多重経路から構成されている。したがって、この場合には、RACHプリアンブルに対する各シーケンスサンプル(Sample)の区間が多重経路L個を重ねる分だけシーケンスのコリレーションを行わなければならない。すなわち、サブキャリアスペーシングが大きくなるにつれて多重経路の個数は増加し、基地局で考慮すべきコリレーションも多重経路の個数だけ増加することになる。このため、基地局にとってRACH信号を受信するための複雑度も急増しうる。
図8及び図9で、h
0,h
1,…,h
L−1は、RACHプリアンブルが送信されるチャネルを表し、
は、ZCシーケンスを意味する。このとき、基地局で同期信号の検出性能を最大化するためには、必ず、多重経路のうちの最先頭のチャネルタップ
の選択を保障しなければならない。仮に、基地局が
しか選択できないと、上りリンクのタイミングアドバンス(TA:Timing Advance)のための正確な値を推定するにおいて性能低下につながりうる。
3.上りリンク同期信号の検出方法
本発明の実施例では、高周波帯域を用いる通信環境に適した上りリンク同期信号の検出方法を提供する。
本発明では、高周波帯域のチャネル特性及び同期信号のサブキャリアスペーシング間の関係を考慮して同期信号検出フィルターを設計する方法を提供する。このとき、高周波帯域は、広い広帯域通信を仮定しているので、時間軸で単一サンプルの周期が極端に短くなりうる。このような環境でチャネルの多重経路チャネル遅延が必然として発生するので、これを考慮して同期信号検出フィルターを設計しなければならない。
また、基地局で低い複雑度で同期信号を検出するように、2段階の同期信号検出プロセスを提供する。一方、ZCZを考慮する場合、各端末からの同期信号検出の他、各端末が同期信号を送信する正確なシンボルタイミングも推定することができる。たとえ、本発明の実施例は、高周波広帯域通信環境に適した上り同期信号の検出方法に関するが、その用途は小型セルに限定されない。
以下、高周波帯域で同期信号であるRACHプリアンブルを検出するための検出フィルターを設計する方法について説明する。
3.1 同期信号検出フィルターの設計
高周波帯域で多重ユーザに対して多重経路遅延チャネルが存在する場合、基地局は、正確なRACHシーケンスを検出するためには、各多重経路に対するシーケンスコリレーション値をすべて合算しなければならない。次の式3は、基地局で多重経路遅延チャネルを介して受信したRACH信号を意味する。
式3で、rは、受信信号
ベクトルを表し、Nは、式1におけるZCシーケンスの全体長を意味する。第1端末(UE#1)には巡回シフト(Cyclic shift)‘n=0’シーケンスを割り当てたと仮定する。図9を参照すると、受信信号ベクトルrを式3のように構成したとき、各構成要素は次の式4乃至式6のように定義することができる。
式4は、
ZCシーケンスメトリクス
を意味し、式5は、
チャネルベクトル
を意味し、式6は、
AWGN(Additive White Gaussian Noise)ベクトル
を意味する。最後に、
は
だけ巡回シフトした
ZCシーケンスベクトルを意味する。式4で、
は、Modulo ‘m’演算を意味する。また、式5で、h
0,h
1,…,h
L−1は、有効な多重遅延チャネルを意味し、全体チャネル長はLである。ZCシーケンス長のうち、有効チャネル長Lを除いた部分(N−L)は、0シーケンスで埋められてもよい。
このとき、RACH信号を送信した端末を検出できる検出フィルターである
サイズのGマトリックスは、次の式7のように定義することができる。
式7で、
は、
だけ巡回シフトした
ZCシーケンスベクトルを意味し、‘m’は特定端末が使用する巡回シフト値、Lは有効チャネル遅延個数、NはZCシーケンスの全体長さを表す。仮に、m=0の場合に、検出フィルターG行列は、次の式8のように表現することができる。
各端末に直交−独立的に割り当てられる巡回シフト値(Cyclic shift value)‘m’は、次の式9のような単位で割り当てられる。
これは、各ユーザに割り当てられる巡回シフトベースのZCZのサイズが
であるからである。このとき、N
CSは、LTE/LTE−AシステムでRACHプリアンブル生成時に用いられる巡回シフト値を意味する。したがって、ZCZにおいて実際信号が存在するサンプルのサイズが‘L’であるので、検出フィルターGは
メトリクスとなる。
基地局において上りリンク同期信号に対するRACHシーケンス検出は、次の式10のように行われる。
すなわち、基地局は、
受信ベクトルrに対して各端末別に割り当てられた巡回シフト値‘m’に基づいて作られる検出フィルターGマトリックスのエルミート(Hermitian)行列をかけて最大値が得られる地点を探す。
例えば、全体RACHシーケンスの長さがN=12であり、ZCZのサイズはNCS=3であると仮定する。このとき、有効チャネル長(すなわち、有効チャネルタップ)がL=3だとすれば、当該ZCシーケンスが支援可能な端末は、合計2名である。この時、第1端末(UE#0)に1番目の巡回シフト値m=0を割り当て、第2端末(UE#1)に7番目の巡回シフト値m=6を割り当てたと仮定する。基地局が第1端末をに対してまず検出をすると、式10を次の式11のように展開することができる。
式11を参照すると、基地局の受信した上りリンク同期信号は、第1端末の送信した上りリンク同期信号が通過したチャネルに対する電力の和と表される。式11と同じ方法によって、第2端末の送信した上りリンク同期信号に対する検出結果を、次の式12のように展開することができる。
端末に割り当てた最終サイクリックプレフィックス値m=6であるので、式12からの最終導出値が基準値以上になると、基地局はRACH信号の受信を確定することができる。したがって、検出フィルター
は、各端末がZCシーケンス送信に使用した巡回シフト値を基準に各端末のシーケンス検出区間を示すフィルターであるといえる。
このとき、mは、各端末に割り当てる巡回シフトベースのZCZ値を意味する。また、m値は、全体有効チャネル遅延数Lを考慮して決定される。最後に、基地局はm値を端末にそれぞれ割り当てることによって、上りリンク同期信号を送信した端末を検出することができる。ここで、m値を割り当てるという意味は、基地局がm値に関する情報を放送チャネルで放送する場合、各端末がm値を用いてRACH信号を構成できるという意味である。
本発明の実施例で、各端末に許容される最大遅延はNCSに限定され、各ZCZ間の重なりを防止するためにチャネル有効遅延区間Lを導入したため、全体ZCシーケンスの巡回シフト区間は図10のように設定される。このとき、各端末が送信した異なる巡回シフト値を有するRACHシーケンスは、最大NCS区間の受信遅延を許容する。図10は、チャネルの有効遅延Lを考慮したZCZ設定方法の一つを示す図である。
図11は、ZCZ内に時間遅延による受信ベクトルrを抽出する方法の一つを示す図である。
端末の送信したRACH信号が時間遅延無しで基地局に受信された場合、受信ベクトルrの構成は、次の式13のように表現される。仮に、基地局と最も遠くに離れた端末(例えば、セル境界に位置した端末)が送信したRACH信号が最大NCS−1だけ遅延して受信されたとすれば、受信ベクトルrは次の式14のように表現される。
すなわち、基地局は、最大N
CSまでの端末の受信信号遅延に対して、長さNに対する受信信号ベクトルrを順に構成し、検出フィルターであるG行列とのコリレーションによってRACH検出を確認する。この時、前述した有効チャネル遅延による多重経路によって検出複雑度が
だけ増減したことが確認できる。
そこで、本発明では、検出複雑度を減少させるために、下記のような段階別RACH検出方案を提案する。
3.2 2段階の上りリンク同期信号検出方法
3.2.1 第1検出段階
基地局は、第1検出段階(すなわち、初期検出段階)で多重遅延チャネルを有効単一チャネルと仮定し、各ZCZから導出されたシーケンス相関度が基準値以上になる区間を検出する。このとき、基準値はチャネル環境及び/又はシステム上で設定された値であると仮定する。
各端末に割り当てられるZCZインデックス‘n’は、式9のように決定される巡回シフト値‘m’の一つに設定される。このとき、ZCZ値を用いる理由は、複数の端末の位置が異なることから発生する受信遅延によって各端末の送信するZCシーケンス(すなわち、RACH信号)が重なる現象を防止するとともに、タイミングアドバンス(TA)を行うためである。
また、ZCZを有効チャネル長‘L’だけ長く設定する理由は、多重経路を経て受信されたZCシーケンスに対する正確な受信位置を決定するためである。しかし、Lだけの有効チャネル長に対してZCシーケンスの長さNに対するシーケンスコリレーション作業を行う場合、複雑度が
から
へと増加する。
これは、基地局の受信複雑度を増加させ、同期信号検出遅延の現象を誘発しうる。また、多重ユーザベースの上りリンク制御チャネル構造上、全てのZCシーケンスに対して信号検出作業を行わなければならず、基地局の信号検出に対する複雑度が増加する。
このため、第1検出段階では検出フィルターG行列の有効チャネル区間を一部又は極端には1個と仮定して、検出フィルターGを設計する。以下では、説明の便宜のために、第1検出段階で用いられる検出フィルターであるG行列を第1検出フィルターと呼ぶ。すなわち、第1検出段階で用いられるG行列である第1検出フィルターは、
行列又は
行列と構成することが好ましい。
基地局は、第1検出段階で有効チャネル長Lを1と仮定した時のG行列である第1検出フィルターを設定することによって、上りリンク同期信号を送信した端末を特定することができる。したがって、初期検出段階は、全体有効チャネルのうち、最も大きいチャネル利得を有する位置を探すことを意味する。
しかし、この地点が必ずしも時間整列(timing−aligned)された位置を意味しない。ただし、基地局は、第1検出段階でユーザ別に重なり合わないように割り当てたRACHリソースで或る端末のRACH信号が現在受信されているということを判断することができる。
したがって、式7で説明した検出フィルターG行列は第1検出段階において次の式15のように変更して適用される。
基地局は、式15から導出された第1検出フィルターを用いて、受信したRACH信号を送信した端末が用いる巡回シフト値‘m’候補を導出することができる。このとき、基地局は、コリレーションされる巡回シフト値のうち、基準値以上である一つ以上の巡回シフト値を、第2検出段階の候補として選定することができる。
3.2.2 第2検出段階
第1検出段階で導出したZCZ候補に対して、基地局は、有効チャネル遅延Lをすべて適用して、正確なシーケンス相関度値及び遅延値を導出することができる。言い換えると、基地局は3.2.1節で説明した第1検出フィルターで検出された巡回シフト候補に対して、有効チャネルLに対する第2検出フィルターを設定してRACH信号を検出する第2検出段階を行うことができる。
第2検出段階は、ZCZ内で端末の正確な上りリンク時間同期を基地局が獲得することにその目的がある。そのために、第2検出フィルターを、有効チャネル遅延Lに対する、式7で説明したG行列に設定することができる。すなわち、第2検出フィルターは、式7の
行列と構成される。
結果として、基地局は、全体有効チャネルLに対して、式7のような第2検出フィルターを構成し、第1検出段階で導出したZCZ候補に限って第2検出段階を行う。これによって基地局は正確な時間同期を確定することができる。ただし、有効チャネルの電力は必ずしも
の順で整列されない。すなわち、h
0が選好チャネルであっても、最も電力の強い受信チャネルが正確な時間同期を意味するものではない。
このため、全体有効チャネルに対して第2検出フィルターが正確に整列(align)される時にのみZCシーケンスコリレーション値が最大となり、よって、基地局は、図12に示すように、h0に整列される地点で正確な時間同期を検出することができる。
図12は、有効チャネルLを考慮した第2検出フィルターを用いて同期信号を正確に受信する様子を示す図である。図12(a)は、多重遅延チャネルから検出フィルターであるG行列を用いてRACH信号を検出する様子を示し、図12(b)は、本発明である第2段階の検出過程を用いて正確な同期信号を検出する様子を示す。
したがって、基地局は、時間同期h0の遅延の度合を推定でき、これによって、各端末の同期信号の他、各端末の正確なシンボルタイミングも探すことができる。
図13は、RACH信号を段階的に検出する方法の一つを示す図である。すなわち、図13は、3.2節で説明した2段階RACH信号を検出する方法を、基地局と端末の観点で説明するための図である。
図13を参照すると、基地局は、端末がRACH信号を生成するために必要な巡回シフト値mを割り当てる。また、基地局は、巡回シフト値mを、システム情報を用いて周期的に放送することができる(S1310)。
一つ以上の端末は、巡回シフト値mを用いてRACH信号を構成し、基地局にRACH信号を送信する。基地局は、多重遅延チャネルから構成されるRACHを介して一つ以上の端末からRACH信号を受信し、これに基づいて受信信号ベクトルrを構成することができる。この時、受信信号ベクトルrは、式3のように示すことができる(1320)。
基地局は、多重遅延チャネルを1つの有効チャネルと仮定して第1検出フィルターを構成する。第1検出フィルターを構成する方法は、3.2.1節で説明した式15を参照する(S1330)。
基地局は、第1検出フィルターに基づいて巡回シフト(例えば、ZCZ)候補を導出する。すなわち、第1検出フィルターで検出したRACH信号のうち、基準値以上の巡回シフト値を有するRACH信号を巡回シフト値候補と構成する(S1340)。
基地局は、各RACH信号の正確なシーケンス相関度値及び/又は遅延値を導出するために、第2検出フィルターを構成する。第2検出フィルターを構成する方法は、3.2.2節で説明した内容を参照するが、第2検出フィルターは、式7のように構成することができる。すなわち、第2検出フィルターは、有効チャネルの個数Lを考慮して構成する(S1350)。
基地局は、第2検出フィルターを用いて、S1340段階で導出した巡回シフト値候補に対してRACH信号を検出する。すなわち、基地局は第2検出フィルターを用いて各RACH信号の送信される正確なシンボル開始地点を推定することによって、RACH信号を検出することができる(S1360)。
S1330段階及びS1350段階において第1検出フィルター及び第2検出フィルターは基地局で毎フレーム又は毎サブフレームごとに構成することができる。しかし、システムの複雑度から、第1検出フィルター及び第2検出フィルターは所定の個数に固定して用いられてもよく、システム上で固定した値として構成されてもよい。この場合、基地局は、巡回シフト値mによって構成された第1検出フィルター及び第2検出フィルターを用いて2段階のRACH信号検出を行うことができる。
3.2.3 段階別RACH信号検出を用いた多重端末検出方法
4名の端末(UE)に異なるRACHシーケンスがそれぞれ割り当てられており、中でも、第1端末(UE#0)及び第2端末(UE#1)がRACHを介してRACH信号(すなわち、RACHプリアンブル)を送信する場合を仮定する。このとき、基地局で検出フィルターを用いて取得した相関度は、図14のとおりである。図14は、本発明の実施例に係る、多重ユーザを検出する方法を説明するための図である。
全体ZCZ数をK個と仮定すとき、図14に示すように、第1端末及び第2端末は、それぞれ1番目及び3三番目のZCZが割り当てられると仮定する。基地局は、上述した第1段階検出過程でZCZ#0及びZCZ#2に一定以上のピーク(Peak)値(相関度)が発生したことが確認できる。したがって、基地局は、RACHを介して第1端末及び第2端末がRACH信号を送信したこと(すなわち、接続を行ったこと)が検出できる。
また、基地局は、検出したZCZに第2段階検出過程を行うことによって、第1端末及び第2端末のRACH信号が送信される正確なシンボル開始地点が推定できる。
以上では、高周波帯域を用いる通信環境に適した上りリンク同期信号の検出方法について説明した。本発明では、高周波帯域のチャネル特性及び同期信号のサブキャリアスペーシング関係を考慮して検出フィルター設計方案を提示し、これに基づいて複雑度の低い2段階の同期信号検出方法を提案している。
特に、高周波帯域は、広い広帯域通信を仮定しているため、時間軸で単一サンプルの周期が極端に短くなりうる。このような環境ではチャネルの多重経路遅延が必然として発生するので、これを考慮した適宜の検出フィルター設計が必須である。そこで、本発明は、このような多重経路チャネル遅延を考慮した多重ユーザ同期信号検出フィルター設計の基本原理を提示し、これに基づいて段階別同期信号検出プロセスを提示している。一方、本発明で提案された同期信号検出フィルターにZCZを考慮する場合、各端末の同期信号検出の他、各端末の正確なシンボルタイミングまで推定することができる。
最後に、本発明は、高周波広帯域通信環境に適した上り同期信号の検出に対する具体的な方法に関するが、その用途は小型セルに限定されず、一般セルラーセルにも適用可能である。すなわち、一般セルラーシステムが高周波帯域に適用される場合、小型セルの他、一般セルラーシステムにも適用可能である。
4. 具現装置
図15に説明する装置は、図1乃至図14で説明した方法を具現できる手段である。
端末(UE:User Equipment)は、上りリンクでは送信端として動作し、下りリンクでは受信端として動作することができる。また、基地局(eNB:e−Node B)は、上りリンクでは受信端として動作し、下りリンクでは送信端として動作することができる。
すなわち、端末及び基地局は、情報、データ及び/又はメッセージの送信及び受信を制御するためにそれぞれ送信モジュール(Tx module)1540,1550、及び受信モジュール(Rx module)1520,1570を備えることができ、情報、データ及び/又はメッセージを送受信するためのアンテナ1500,1510などを備えることができる。ここで、アンテナはマッシブアンテナであってもよく、マッシブアンテナは、複数のアンテナが2次元又は3次元の形態で配列されたアンテナグループを総称する。
また、端末及び基地局はそれぞれ、上述した本発明の実施例を行うためのプロセッサ(Processor)1520,1530、及びプロセッサの処理過程を臨時的に又は持続的に記憶できるメモリ1580,1590を備えることができる。
上述した端末及び基地局装置の構成成分及び機能を用いて本願発明の実施例を実行することができる。例えば、基地局のプロセッサは、上述した1節乃至3節に開示された方法を組み合わせて、検出フィルターを設計したり、2段階RACH信号検出方法を行うことができる。また、端末のプロセッサは、受信した巡回シフト値に基づいてRACH信号を構成することができ、これを基地局に送信して上りリンク同期を合わせることができる。詳細な内容は、第3節で説明した事項を参照されたい。
端末及び基地局に含まれた送信モジュール及び受信モジュールは、データ送信のためのパケット変復調機能、高速パケットチャネルコーディング機能、直交周波数分割多元接続(OFDMA:Orthogonal Frequency Division Multiple Access)パケットスケジューリング、時分割デュプレックス(TDD:Time Division Duplex)パケットスケジューリング及び/又はチャネル多重化機能を実行することができる。また、図15の端末及び基地局は、低電力RF(Radio Frequency)/IF(Intermediate Frequency)モジュールをさらに備えることができる。ここで、送信モジュール及び受信モジュールは、それぞれ、送信モジュール及び受信モジュールと呼ぶことができ、併せて用いられる場合にはトランシーバーと呼ぶこともできる。
一方、本発明で端末として、個人携帯端末機(PDA:Personal Digital Assistant)、セルラーフォン、個人通信サービス(PCS:Personal Communication Service)フォン、GSM(登録商標)(Global System for Mobile)フォン、WCDMA(登録商標)(Wideband CDMA)フォン、MBS(Mobile Broadband System)フォン、ハンドヘルドPC(Hand−Held PC)、ノートパソコン、スマート(Smart)フォン、又はマルチモードマルチバンド(MM−MB:Multi Mode−Multi Band)端末機などを用いることができる。
ここで、スマートフォンは、移動通信端末機と個人携帯端末機の長所を組み合わせた端末機であって、移動通信端末機に、個人携帯端末機の機能である日程管理、ファックス送受信及びインターネット接続などのデータ通信機能を統合した端末機を意味できる。また、マルチモードマルチバンド端末機は、マルチモデムチップを内蔵し、携帯インターネットシステムでも、その他の移動通信システム(例えば、CDMA2000システム、WCDMA(登録商標)システムなど)でも作動できる端末機のことを指す。
本発明の実施例は、様々な手段によって具現することができる。例えば、本発明の実施例は、ハードウェア、ファームウェア(firmware)、ソフトウェア又はそれらの結合などによって具現することができる。
ハードウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、1つ又はそれ以上のASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現することができる。
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の実施例に係る方法は、以上で説明された機能又は動作を実行するモジュール、手順又は関数などの形態として具現することもできる。例えば、ソフトウェアコードは、メモリユニット1580,1590に記憶され、プロセッサ1520,1530によって駆動されてもよい。メモリユニットは、プロセッサの内部又は外部に設けられ、公知の種々の手段によってプロセッサとデータを交換することができる。
本発明は、本発明の精神及び必須特徴から逸脱しない範囲で他の特定の形態として具体化されてもよい。したがって、上記の詳細な説明は、いずれの面においても制約的に解釈されてはならず、例示的なものとして考慮されなければならない。本発明の範囲は、添付した請求項の合理的解釈によって決定されなければならず、本発明の等価的範囲における変更はいずれも本発明の範囲に含まれる。また、特許請求の範囲で明示的な引用関係にない請求項を結合して実施例を構成してもよく、出願後の補正によって新しい請求項として含めてもよい。