(詳細な説明)
いくつかの態様において、本開示は、クエン酸第二鉄を用いて、慢性腎臓病(CKD)患者において血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させる方法を提供する。他の態様において、本開示は、慢性腎臓病を有する対象において有害心臓事象を治療するため、又は有害心臓事象の発生率もしくはリスクを低下させるため、有害心臓事象に関連する死亡率及び罹患率を低下させるため、かつ有害心臓事象に関連する入院の頻度もしくはリスクを低下させるためにクエン酸第二鉄を使用する方法を提供する。
それぞれの場合において、本方法は、非透析CKD(ND-CKD)患者及び末期腎臓病(ESRD)患者を含むCKD患者にクエン酸第二鉄を投与することを含む。いくつかの態様において、クエン酸第二鉄の投与は、例えば、最大52週間(52週を含む)を含む長期間にわたって行われる。いくつかの実施態様において、クエン酸第二鉄の投与は、最大56週間(56週を含む)にわたって行われる。
これらの開示される方法の各々において、クエン酸第二鉄は、少なくとも52週間、いくつかの実施態様において、最大56週間(56週を含む)又はそれより長い期間にわたって該CKD患者に投与することができる。さらに、これらの方法の各々において、該クエン酸第二鉄は、第二鉄を210mg含有する1グラムの錠剤又はカプレットの剤形で該CKD患者に経口投与することができる。特定の実施態様において、最大18錠、又はカプレットを1日かけて投与することができる。他の実施態様において、最大12個(12個を含む)の錠剤、又はカプレットを1日かけて投与することができる。
本開示は、CKD患者に投与することができる、鉄補給剤でもあり得る医薬組成物も提供する。該組成物/鉄補給剤は、クエン酸第二鉄及び下記のような他の医薬として許容し得る成分を含む。該組成物/鉄補給剤は、CKD患者に鉄を提供するために製剤化され、該組成物/鉄補給剤によって提供される鉄の量は、CKD患者において鉄吸収を増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し、鉄欠乏を治療し、かつ/又は貧血を治療するのに十分である。該組成物/鉄補給剤は、下記のような任意の数の形態で提供することができる。特に、該組成物/鉄補給剤は、経口用錠剤剤形として提供することができる。
次に、クエン酸第二鉄の剤形、組成物、合成方法及び使用方法の特定の実施態様について詳細に言及する。開示される実施態様は、特許請求の範囲を限定することを意図するものではない。それとは反対に、特許請求の範囲は、全ての代替物、修飾物、及び等価物を網羅することを意図するものである。
(クエン酸第二鉄の治療的使用)
以下により詳細に記載するように、非透析CKD(ND-CKD)患者及び末期腎臓病(ESRD)患者を含むCKD患者において、血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させるために使用することができる方法及び剤形が本明細書に開示される。
したがって、様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、血清リンを低下させ、かつ/又は制御することができる。様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、血清重炭酸塩を増加させることができる。様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、血清フェリチンの増加、トランスフェリン飽和度(TSAT)の増加、及びヘモグロビン濃度の増加を含む、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善することができる。様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、鉄吸収を増加させることができる。様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、鉄貯蔵を維持することができる。様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、鉄欠乏を治療することができる。様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、貧血を治療することができる。様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、IV鉄及び/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させることができる。
CKD患者を治療する方法も開示される。様々な態様において、本開示は、血清リンを低下させ、かつ/又は制御する方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は血清リンの低下をもたらす。様々な態様において、本開示は、血清重炭酸塩を増加させる方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は血清重炭酸塩の増加をもたらす。様々な態様において、本開示は、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善する方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は1以上の鉄貯蔵パラメータの改善をもたらす。様々な態様において、本開示は、血清フェリチンを増加させる方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は血清フェリチンの増加をもたらす。様々な態様において、本開示は、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させる方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄はTSATの増加をもたらす。様々な態様において、本開示は、ヘモグロビン濃度を増加させる方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄はヘモグロビン濃度の増加をもたらす。様々な態様において、本開示は、鉄吸収を増加させる方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は鉄吸収の増加をもたらす。様々な態様において、本開示は、鉄貯蔵を維持する方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は鉄貯蔵の維持をもたらす。様々な態様において、本開示は、鉄欠乏を治療する方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は鉄欠乏の治療をもたらす。様々な態様において、本開示は、貧血を治療する方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は貧血の治療をもたらす。様々な態様において、本開示は、CKD患者において静注(IV)鉄の使用を低下させる方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該CKDにIV鉄を投与する必要性を低下させる。様々な態様において、本開示は、CKD患者において赤血球生成刺激剤(ESA)の使用を低下させる方法であって、該CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、投与された場合、該CKD患者に1以上のESAを投与する必要性を低下させる。これらの方法の各々において、該クエン酸第二鉄は、最大56週間(56週を含む)を含む、最大52週間(52週を含む)の期間にわたって投与することができる。
(慢性腎臓病患者)
様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄を任意の慢性腎臓病(CKD)患者に投与して、CKDと関連する状態及び障害のいずれか、例えば、本明細書に記載される状態及び障害を治療する。糸球体濾過量(GFR)が3ヶ月間、60ml/分/1.73m2未満である全ての個体は、腎損傷の有無にかかわらず、CKDを有すると分類される。透析又は腎移植のいずれかを必要とするCKDを有する個人は、通常、末期腎臓病(ESRD)患者と呼ばれる。したがって、患者が、CKDの非透析依存的な初期段階の最後に到達している場合、伝統的に、ESRD患者と分類される。その時より前は、該患者は、非透析依存的CKD患者と呼ばれる。しかしながら、透析をまだ開始していない、又は移植が勧められていない、進行期、例えば、ステージ5のCKDを有する患者も、通常、非透析依存的なCKD患者と呼ばれる。
非透析CKD(ND-CKD)患者は、初期の慢性腎臓病と診断された患者及び透析を受けるように医学的にまだ指示されていない患者である。上述したように、米国国立腎臓財団は、慢性腎臓病の5つのステージを定義した。通常、患者は、透析が医学的に必要となる前に、ステージ1から4を経て進行する。
本明細書で使用されるように、ND-CKDは、慢性腎臓病と診断されたが、クエン酸第二鉄の投与中は透析を受けていない全ての患者を包含することを意図している。そのような患者としては、例えば、今まで透析を受けたことがない患者、いくつかの実施態様において、透析を受けたことがあるが、クエン酸第二鉄の投与中は透析を受けていない患者を挙げることができる。
様々な態様において、ESRD患者とは、通常、後期の慢性腎臓病と診断された患者である。場合により、「末期腎臓病」という語句は、第5ステージのCKDを示すために使用される。したがって、本明細書で使用されるように、ESRD患者とは、進行期、例えば、ステージ5のCKDを有する患者、及び血液透析もしくは腹膜透析のどちらかを開始した患者並びに/又は医療提供者によって腎移植が勧められている患者である。
いくつかの実施態様において、CKD患者は、次の特徴: 2.5mg/dL〜8.0mg/dLの血清リンレベル;リン酸塩結合剤の服用をやめたとき、6.0mg/dL以上の血清リンレベル; 3〜18ピル/日の酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ランタン、セベラマー(炭酸塩もしくは塩酸塩もしくは同等のセベラマー粉末)、リン酸塩結合剤としての役割を果たす任意の他の薬剤、又は上記のいずれかの組合せを服用している; 1000mg/L未満の血清フェリチンレベルを有する;スクリーニング時に50%未満のトランスフェリン飽和度レベル(TSAT)を有する; 1年を超える平均余命を有する;或いは上記のいずれかの組合せのうちの1以上を示す。
さらに、CKD患者は、クエン酸第二鉄以外のリン結合剤を服用していてもよいが、これは必須ではない。該CKD患者は、哺乳動物であり得、いくつかの実施態様において、ヒトである。いくつかの実施態様において、CKD患者は、任意の年齢及び/もしくは体重の女性又は男性である。いくつかの実施態様において、CKD患者は、少なくとも18歳であり、かつ少なくとも3ヶ月間、週に3回の血液透析及び/又は腹膜透析を受けている男性又は非妊娠、非授乳期の女性である。
(血清リン)
リン酸塩は、広範囲の細胞過程に極めて重要である。それは、骨格の主要な構成要素のうちの1つであり、かつDNA及びRNAを構成する核酸の不可欠な構成要素である。さらに、アデノシン三リン酸(ATP)のリン酸結合は、全ての細胞機能に必要とされるエネルギーを担持している。リン酸塩は、骨、血清、及び尿中の緩衝剤として機能し、酵素及びタンパク質へのリン酸基の付加並びに/又は酵素及びタンパク質からのリン酸基の除去は、それらの活性の調節のための共通機序である。リン酸塩が有する影響の大きさを考慮すると、そのホメオスタシスは、当然のことながら、高度に調節された過程である。
CKD患者は、通常、血清リン酸塩のレベルの上昇を示す。非CKD患者では、正常な血清リン酸塩レベルは、0.81mmol/L〜1.45mmol/Lであるべきである。しかしながら、CKD患者では、腎機能が失われ、体が尿を介してリン酸塩を排泄するその能力を失うので、血清リン酸塩レベルは、通常、顕著に増加している。これは、CKD患者が、通常、高リン血症を経験することを意味し、高リン血症は、血液中のリン酸塩のレベルが異常に上昇している電解質平衡異常である。高リン血症は、大多数のCKD患者で発症し、通常、二次性副甲状腺機能亢進症及び腎性骨ジストロフィーの進行を伴う。さらに、高リン血症は、最近、透析患者における心血管死の増加と関連付けられている。血清リンの適切な制御は、二次性副甲状腺機能亢進症の進行を軽減するために、並びに血管石灰化及び心血管死のリスクを低下させるために、CKD患者の臨床管理において重要である。CKD患者において血清リン酸塩レベルを制御するために取られる典型的な対策としては、食事性リン制限、透析、及び経口リン酸塩結合剤が挙げられる。残念ながら、食事制限は、進行期のCKD、例えば、ESRDでは限られた効果しかない。したがって、CKD患者においてリンの食事性吸収を制限するためには、経口リン酸塩結合剤が必要である。
本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清リン酸塩レベルの改善を経験し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清リン酸塩レベルの減少を経験する。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者における血清リンを低下させる方法であって、CKD患者、例えば、末期腎臓病患者又は非透析慢性腎臓病患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者における血清リンの低下をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者における高リン血症の治療のための方法であって、CKD患者、例えば、末期腎臓病患者又は非透析慢性腎臓病患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者における血清リンの低下をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、血清リンを低下させる方法であって、末期腎臓病患者に、210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者における血清リンの低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって投与される。いくつかの実施態様において、24週間にわたり、いくつかの実施態様において、36週間にわたり、いくつかの実施態様において、48週間にわたり、いくつかの実施態様において、52週間にわたり、かついくつかの実施態様において、最大56週間(56週を含む)にわたる。いくつかの実施態様において、53週間にわたる。いくつかの実施態様において、54週間にわたり、かついくつかの実施態様において、55週間にわたる。いくつかの実施態様において、56週間にわたる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.00〜3.00mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.10〜2.90mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.20〜2.80mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.30〜2.70mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.40〜2.60mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.50〜2.50mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.60〜2.40mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.70〜2.30mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.80〜2.20mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.90〜2.10mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。上記の範囲は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の範囲のいずれかを、任意の方法、製剤、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.00〜1.25mg/dl、1.00〜1.50mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.00〜1.75mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.00〜2.00mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.00〜2.25mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.00〜2.50mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.00〜2.75mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.00〜3.00mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.00〜2.25mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.00〜2.50mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.00〜2.75mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.00〜3.00mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.00〜2.50mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。上記の範囲は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の範囲のいずれかを、任意の方法、製剤、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.00を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.10を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.20超から選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.30を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.40を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.50を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.60を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.70を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.80を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.90を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.00を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.10を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.20を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.30を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.40を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.50を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.60を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.70を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.80を超える血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.90mg/dlを超える血清リンの平均低下をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、下で開示される下限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、3.00mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.90mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.80mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.70mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.60mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.50mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.40mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.30mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.20mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.10mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2.00mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.90mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.80mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.70mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.60mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.50mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.40mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.30mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.20mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.10mg/dl未満の血清リンの平均低下をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、上で開示された上限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって投与したとき、約1.90、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2.00、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09及び2.10mg/dlのうちの1つの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって投与したとき、約2.00mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、24週間にわたって投与したとき、約2.10、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.20、2.21、2.22、2.23、2.24及び2.25mg/dlのうちの1つの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、24週間にわたって投与したとき、約2.20mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、36週間にわたって投与したとき、約2.10、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19及び2.20mg/dlのうちの1つの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、36週間にわたって投与したとき、約2.20mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、48週間にわたって投与したとき、約1.95mg/dl、1.96、1.97、1.98、1.99、2.00、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.10、2.11、2.12、2.13、2.14及び2.15mg/dlのうちの1つの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、48週間にわたって投与したとき、約2.10mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、約1.95mg/dl、1.96、1.97、1.98、1.99、2.00、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.10、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.20、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29及び2.30mg/dlのうちの1つの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、約2.10mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、56週間にわたって投与したとき、52週のベースラインから測定して、約0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34及び0.35mg/dlのうちの1つの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、56週間にわたって投与したとき、52週のベースラインから測定して、0.30mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20〜35%から選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20〜35%、22〜33%及び25〜30%から選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、27〜28.5%の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、27〜28.4%の血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20%超、21%超、22%超、23%超、24%超、25%超、26%超、27%超、28%超、29%超、30%超、31%超、32%超、33%超及び34%超から選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、35%未満、34%未満、33%未満、32%未満、33%未満、32%未満、31%未満、30%未満、29%未満、28%未満、27%未満、26%未満、25%未満、24%未満、23%未満、22%未満及び21%未満から選択される血清リンの平均低下をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって投与したとき、1.90、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2.00、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09及び2.10mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって投与したとき、2.00mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、24週間にわたって投与したとき、2.10、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.20、2.21、2.22、2.23、2.24及び2.25mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、24週間にわたって投与したとき、2.20mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、36週間にわたって投与したとき、2.10、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19及び2.20mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、36週間にわたって投与したとき、2.20mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、48週間にわたって投与したとき、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2.00、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.10、2.11、2.12、2.13、2.14及び2.15mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、48週間にわたって投与したとき、2.10mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2.00、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.10、2.11、2.12、2.13、2.14、2.15、2.16、2.17、2.18、2.19、2.20、2.21、2.22、2.23、2.24、2.25、2.26、2.27、2.28、2.29及び2.30mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、2.10mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、56週間にわたって投与したとき、52週のベースラインから測定して、0.20、0.21、0.22、0.23、0.24、0.25、0.26、0.27、0.28、0.29、0.30、0.31、0.32、0.33、0.34及び0.35mg/dlから選択される血清リンの平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、56週間にわたって投与したとき、52週のベースラインから測定して、0.30mg/dlの血清リンの平均低下をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、表Aに示すような血清リンの平均低下をもたらす:
表A: 1最終観察繰越法(Last observation carried forward)を欠測データに用いた。
2LS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、表Bに示すような血清リンの平均低下をもたらす:
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者、例えば、ESRD患者は、その血清リンレベルの維持を経験し、その結果、その血清リンレベルは、該クエン酸第二鉄の投与の間、実質的に不変であり続ける。
(血清重炭酸塩)
代謝性アシドーシスは、体が過剰な酸を生成する時、かつ/又は腎臓が体から十分な酸を除去していない時にCKD患者に生じる状態である。抑制されなければ、代謝性アシドーシスは酸血症を引き起こし、その場合、血液のpHは、体による水素の産生増加及び/又は体による腎臓での重炭酸塩(HCO3-)形成不能が原因で、7.35未満に下がる。CKD患者における代謝性アシドーシスの結果は、昏睡及び死を含め、重篤になり得る。したがって、CKD患者が、その血流中の重炭酸塩の正常なレベルを維持することは重要である。非CKD患者では、血清重炭酸塩の一般的な基準は、それぞれ、22mEq/L〜28mEq/L、又は22mmol/L〜28mmol/Lの範囲である。しかしながら、CKD患者では、腎臓が重炭酸塩を産生するその能力を失うので、血清重炭酸塩濃度は大きく低下し得る。
本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清重炭酸塩濃度の増加を経験し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清重炭酸塩濃度の増加を経験する。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者、例えば、ESRD患者又はND-CKD患者において血清重炭酸塩濃度を増加させる方法であって、CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者における血清重炭酸塩濃度の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、血清重炭酸塩濃度を増加させる方法であって、CKD患者に210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者における血清重炭酸塩濃度の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該患者に、1日当たり最大18個の錠剤剤形が投与される。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって、いくつかの実施態様において、36週間にわたって、いくつかの実施態様において、52週間にわたって、かついくつかの実施態様において、最大56週間(56週を含む)にわたって投与される。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、該患者における0.1〜1.0mEq/Lの血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、該患者における0.70、0.71、0.72、0.73、0.74、0.75、0.76、0.77、0.78、0.79及び0.80mEq/Lから選択される血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、該患者における0.71mEq/Lの血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.70mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.71mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.72mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.73mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.74mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.75mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.76mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.77mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.78mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.79mEq/Lを超える血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、下で開示される下限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.80mEq/L未満の血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.79mEq/L未満の血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.78mEq/L未満の血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.77mEq/L未満の血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.76mEq/L未満の血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.75mEq/L未満の血清重炭酸塩の濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.74mEq/L未満の血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.73mEq/L未満の血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.72mEq/L未満の血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、上で開示された上限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、0.71mEq/Lの血清重炭酸塩濃度の平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者、例えば、ESRD患者は、その血清重炭酸塩濃度の維持を経験し、その結果、その血清重炭酸塩レベルは、該クエン酸第二鉄の投与の間、実質的に不変であり続ける。
(鉄貯蔵パラメータ)
CKD患者は、全身鉄状態のマーカーの低下又は不足を示し得る。これは、CKD患者が、適切な鉄レベルを維持するのに十分な鉄をその体内に貯蔵していない可能性があることを意味する。先進国で暮らしている、栄養状態の良好な大部分の非CKDの人々は、約4〜5グラムの鉄をその体内に貯蔵している。この鉄のうちの約2.5gが、血液を通じて酸素を運ぶヘモグロビン中に含まれている。残りの約1.5〜2.5グラムの鉄の大部分は、全ての細胞に存在する鉄結合複合体中に含まれているが、これは、骨髄並びに臓器、例えば、肝臓及び脾臓に、より高度に濃縮されている。鉄の肝貯蔵は、非CKDの体における鉄の主な生理的予備力である。体の全鉄含有量のうち、約400mgが、酸素貯蔵(ミオグロビン)又はエネルギー生成レドックス反応の実行(シトクロムタンパク質)などの細胞過程のために鉄を使用するタンパク質に利用される。貯蔵鉄に加えて、通常、約3〜4mgの少量の鉄が、トランスフェリンと呼ばれるタンパク質に結合して血漿中を循環している。その毒性のために、遊離の可溶性第一鉄(鉄(II)又はFe2+)は、通常、体内では低濃度で維持されている。
鉄欠乏により、体内の貯蔵鉄がまず枯渇する。体によって利用される鉄の大部分は、ヘモグロビンに必要とされるので、鉄欠乏性貧血は、鉄欠乏の主な臨床症状である。組織への酸素運搬は人の生命にとって非常に重要であるので、重篤な貧血は、その臓器から酸素を奪うことによって、ND-CKD患者及びESRD患者を含むCKDの人々を害するか、又は死なせる。鉄欠乏症のCKD患者は、細胞が細胞内プロセスに必要とされる鉄を使い果たすよりもずっと前に、酸素の枯渇が原因で生じる臓器障害に苦しみ、場合によっては、死ぬこともある。
CKD患者が適度な健康を維持するのに十分な鉄貯蔵を有するかどうかを決定するために測定することができる全身鉄状態のマーカーがいくつか存在する。これらのマーカーは、循環鉄貯蔵、鉄結合複合体に貯蔵される鉄、又はその両方に関するものであり得、通常、鉄貯蔵パラメータとも呼ばれる。鉄貯蔵パラメータとしては、例えば、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度(Hb)、総鉄結合能(TIBC)、トランスフェリン飽和度(TSAT)、血清鉄レベル、肝臓鉄レベル、脾臓鉄レベル、及び血清フェリチンレベルを挙げることができる。これらのうち、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度(Hb)、総鉄結合能(TIBC)、トランスフェリン飽和度(TSAT)及び血清鉄レベルは、一般に、循環鉄貯蔵として知られている。肝臓鉄レベル、脾臓鉄レベル、及び血清フェリチンレベルは、一般に、貯蔵鉄又は鉄結合複合体に貯蔵される鉄と呼ばれる。
いくつかの実施態様において、本開示は、それを必要とする患者において1以上の鉄貯蔵パラメータを改善する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本方法は、CKD患者、例えば、非透析慢性腎臓病患者又は末期腎臓病患者に1日当たり約1g〜約18gの範囲の量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む。いくつかの実施態様において、少なくとも1つの鉄貯蔵パラメータは、血清フェリチンレベル、トランスフェリン飽和度(TSAT)、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値、総鉄結合能、鉄吸収レベル、血清鉄レベル、肝臓鉄レベル、脾臓鉄レベル、及びこれらの組み合わせから選択することができる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は1グラムの錠剤剤形で投与される。いくつかの実施態様において、該患者に、1日当たり最大18個の錠剤剤形が投与される。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって、いくつかの実施態様において、36週間にわたって、いくつかの実施態様において、52週間にわたって、かついくつかの実施態様において、最大56週間(56週を含む)にわたって投与される。
別の実施態様において、少なくとも1つの鉄貯蔵パラメータはヘマトクリット値であり、改善には患者のヘマトクリット値を増加させることが含まれる。他の実施態様において、少なくとも1つの鉄貯蔵パラメータはヘモグロビン濃度であり、改善には患者のヘモグロビン濃度を増加させることが含まれる。さらに他の実施態様において、少なくとも1つの鉄貯蔵パラメータは総鉄結合能であり、改善には患者の総鉄結合能を減少させることが含まれる。さらに他の実施態様において、少なくとも1つの鉄貯蔵パラメータはトランスフェリン飽和度であり、改善には患者のトランスフェリン飽和度を増加させることが含まれる。さらに他の実施態様において、少なくとも1つの鉄貯蔵パラメータは血清鉄レベルであり、改善には患者の血清鉄レベルを増加させることが含まれる。さらに他の実施態様において、少なくとも1つの鉄貯蔵パラメータは肝臓鉄レベルであり、改善には患者の肝臓鉄レベルを増加させることが含まれる。さらに他の実施態様において、少なくとも1つの鉄貯蔵パラメータは脾臓鉄レベルであり、改善には患者の脾臓鉄レベルを増加させることが含まれる。さらに他の実施態様において、少なくとも1つの鉄貯蔵パラメータは血清フェリチンレベルであり、改善には患者の血清フェリチンレベルを増加させることが含まれる。
(血清フェリチン)
フェリチンの肝貯蔵は、体内の貯蔵鉄の主な供給源である。フェリチンは、鉄を貯蔵し、それを制御された方法で放出する細胞内タンパク質である。医学的に、血液試料中及び/又は肝組織の試料中に存在するフェリチンの量は、肝臓に貯蔵される鉄の量を反映する(とはいえ、フェリチンは遍在性であり、肝臓に加えて、体内の多くの他の組織に見出すことができる)。フェリチンは、鉄を肝臓に無毒な形態で貯蔵し、必要とする部位に鉄を輸送する役割を果たす。非CKD患者では、基準範囲と呼ばれることもある正常フェリチン血清レベルは、通常、男性で30〜300ng/ml、女性で15〜200ng/mlである。しかしながら、CKD患者では、フェリチンによって結合され、肝臓に貯蔵できる鉄の量が減少するので、血清フェリチンレベルは、通常、顕著に低下している。これは、体が鉄を吸収し、かつ貯蔵するその能力を失うために起こる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清フェリチンレベルの増加を経験する。いくつかの実施態様において、本開示は、それを必要とする患者において血清フェリチンを増加させる方法であって、CKD患者、例えば、ESRD患者又はND-CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、血清フェリチンの増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、血清フェリチンを増加させる方法であって、CKD患者に210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者における血清フェリチンの増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって、いくつかの実施態様において、24週間にわたって、いくつかの実施態様において、36週間にわたって、いくつかの実施態様において、48週間にわたって、かついくつかの実施態様において、52週間にわたって投与される。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100〜400ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、110〜390ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、120〜380ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、130〜370ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、140〜360ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、150〜350ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、160〜340ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、170〜330ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、180〜320ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、190〜310ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、200〜300ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、210〜290ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、220〜280ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、230〜270ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、240〜260ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100〜400ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100〜375ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100〜350ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100〜325ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100〜300ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100〜275ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、150〜310ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、151〜309ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、152〜308ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、153〜307ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、154〜306ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、155〜306ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、155〜305ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、155〜304ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、155〜303ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、155〜302ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、150〜305ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。上記の範囲は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の範囲のいずれかを、任意の方法、製剤、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したときに、302ng/mlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、110ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、120ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、130ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、140ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、150ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、160ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、170ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、180ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、190ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、200ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、210ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、220ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、230ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、240ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、250ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、260ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、270ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、280ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、290ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、300ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、310ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、320ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、330ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、340ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、350ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、360ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、370ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、380ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、390ng/mlを超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、下で開示される下限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、400ng/ml未満から選択される血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、390ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、380ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、370ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、360ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、350ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、340ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、330ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、320ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、310ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、300ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、290ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、280ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、270ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、260ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、250ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、240ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、230ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、220ng/ml未満である血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、210ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、200ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、190ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、180ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、170ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、160ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、150ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、140ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、130ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、120ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、110ng/ml未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、上で開示された上限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、約280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309及び310mg/dlから選択される血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、302mg/dlの血清フェリチンの平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、約1〜100%の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、約10〜90%の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、約20〜80%の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、約30〜70%の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、約40〜60%の血清フェリチンの平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60%から選択される血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、48.0、48.1、48.2、48.3、48.4、48.5、48.6、48.7、48.9、49.0、49.1、49.2、49.3、49.4、49.5、49.6、49.7、49.8、49.9、50.0、50.1、50.2、50.3、50.4、50.5、50.6、50.7、50.8、50.9及び50.8%から選択される血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、50.8%の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、50.8%の血清フェリチンの平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、10%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、30%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、40%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、50%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、60%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、70%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、80%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、90%を超える血清フェリチンの平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、下で開示される下限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、90%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、80%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、70%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、60%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、50%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、40%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、30%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、10%未満の血清フェリチンの平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、上で開示された上限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、49.0、49.1、49.2、49.3、49.4、49.5、49.6、39.7、49.8、49.9及び50.0%から選択される血清フェリチンの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、49.2%の血清フェリチンの平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、表Cに示す血清フェリチンの平均増加をもたらす:
表C: 1最終観察繰越法を欠測データに用いた。
2LS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者、例えば、ESRD患者は、その血清フェリチンレベルの維持を経験し、その結果、その血清フェリチンレベルは、該クエン酸第二鉄の投与の間、実質的に不変であり続ける。
(トランスフェリン飽和度(TSAT))
貯蔵鉄に加えて、通常、約3〜4mgの少量の鉄が、トランスフェリンと呼ばれるタンパク質に結合して血漿中を循環している。したがって、血清鉄レベルは、タンパク質トランスフェリンに結合している、血液中を循環している鉄の量で表すことができる。トランスフェリンは、1個又は2個の第二鉄(鉄(III)又はFe3+)イオンに結合することができる、肝臓によって産生される糖タンパク質である。トランスフェリンは、最も一般的かつ動的な血液中の鉄の担体であり、したがって、全身で使用するための貯蔵鉄を輸送する身体能力の必須構成要素である。トランスフェリン飽和度(又はTSAT)は、百分率として測定され、血清鉄と総鉄結合能の割合に100を乗じたものとして計算される。この値は、鉄に結合することができるトランスフェリンの総量に対して、どのくらいの血清鉄が実際に結合しているかを臨床医に知らせる。例えば、35%のTSAT値は、血液試料中のトランスフェリンの利用可能な鉄結合部位の35%が鉄によって占められていることを意味する。非CKD患者では、典型的なTSAT値は、男性で約15〜50%であり、女性で12〜45%である。しかしながら、CKD患者では、トランスフェリンによって結合できる鉄の量が減少するので、TSAT値は、通常、顕著に低下している。これは、体が鉄を吸収し、かつ貯蔵するその能力を失うために起こる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、TSAT値の増加を経験する。いくつかの実施態様において、本開示は、それを必要とする患者においてトランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させる方法であって、CKD患者、例えば、ESRD患者又はND-CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者におけるTSAT値の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させる方法であって、末期腎臓病患者に210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者におけるTSATの増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって、いくつかの実施態様において、24週間にわたって、いくつかの実施態様において、36週間にわたって、いくつかの実施態様において、48週間にわたって、かついくつかの実施態様において、52週間にわたって投与される。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1〜20%のトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1〜15%のトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1〜12%のトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、5〜12%のトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、5〜10%のトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、6〜9%のトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、8%のトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1%を超えるトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2%を超えるトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、3%を超えるトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、4%を超えるトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、5%を超えるトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、6%を超えるトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、7%を超えるトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、8%を超えるトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、9%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、10%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、11%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、13%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、14%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、15%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、16%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、17%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、18%を超えるTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、19%を超えるTSATの平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の範囲のいずれかを、任意の方法、製剤、下で開示される下限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20%未満のトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、19%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、18%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、17%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、16%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、15%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、14%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、13%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、11%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、10%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、9%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、8%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、7%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、6%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、5%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、4%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、3%未満のTSATの平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、2%未満のTSATの平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の範囲のいずれかを、任意の方法、製剤、上で開示された上限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%及び18%から選択されるトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、8%のトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、表Dに示すトランスフェリン飽和度(TSAT)の平均増加をもたらす:
表D: 1最終観察繰越法を欠測データに用いた。
2LS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者、例えば、ESRD患者は、そのTSAT値の維持を経験し、その結果、そのトランスフェリン飽和度(TSAT)の値は、該クエン酸第二鉄の投与の間、実質的に不変であり続ける。
(ヘマトクリット値)
パック細胞容積又は赤血球の体積分率とも呼ばれるヘマトクリット値は、血液中の赤血球の体積百分率である。非CKD患者では、ヘマトクリット値は、通常、男性では血液体積の約45%であり、女性では血液体積の約40%である。しかしながら、CKD患者では、ヘマトクリット値は、鉄吸収の不足及び/又は鉄貯蔵能の不足が原因で、顕著に減少している場合が多い。
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、ヘマトクリット値を増加させることができる。投与の正確なタイミングは、例えば、CKD患者が経験するCKDの重症度、患者が経験しているか又は経験していない鉄吸収のレベル、及び治療を施す医療専門家の判断によって、必然的に患者毎に異なる。いくつかの実施態様において、本開示は、それを必要とする患者においてヘマトクリット値を増加させる方法であって、CKD患者、例えば、ESRD患者又はND-CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者のヘマトクリット値の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者においてヘマトクリット値を増加させる方法であって、該患者に210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者のヘマトクリット値の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与される。いくつかの実施態様において、該増加は1%〜30%である。いくつかの実施態様において、該増加は1%〜20%である。いくつかの実施態様において、該増加は1%〜15%であり、いくつかの実施態様において、該増加は1%〜12%であり、いくつかの実施態様において、該増加は1%〜10%であり、いくつかの実施態様において、該増加は1%〜9%であり、いくつかの実施態様において、該増加は1%〜8%であり、いくつかの実施態様において、該増加は1%〜7%であり、いくつかの実施態様において、該増加は1%〜6%であり、いくつかの実施態様において、該増加は1%〜5%であり、いくつかの実施態様において、該増加は1%〜4%であり、いくつかの実施態様において、該増加は1%〜3%であり、かついくつかの実施態様において、該増加は1%〜2%である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者、例えば、ESRD患者は、そのヘマトクリットレベルの維持を経験し、その結果、その血液中の赤血球の全体積は、該クエン酸第二鉄の投与の間、実質的に不変であり続ける。
(ヘモグロビン濃度)
平均赤血球ヘモグロビン濃度又はMCHCとも呼ばれるヘモグロビン濃度は、所与の体積の充填赤血球中のヘモグロビンタンパク質の濃度の尺度である。これは、通常、ヘモグロビンタンパク質の総量をヘマトクリット値で除することにより計算される。ヘモグロビン濃度は、質量又は重量分率として測定し、百分率(%)として示すこともできる。しかしながら、血漿中の1g/mlの赤血球密度及びごくわずかなヘモグロビン損失を仮定すると、数字上、ヘモグロビン濃度の質量又はモル濃度測定値と質量又は重量分率(%)は、同一である。非CKD患者では、ヘモグロビン濃度の典型的な質量又はモル濃度測定値は、それぞれ、32g/dl〜36g/dl、又は4.9mmol/L〜5.5mmol/Lの範囲である。しかしながら、CKD患者では、体が鉄を吸収し、貯蔵するその能力を失うので、ヘモグロビン濃度は大きく低下し得る。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、ヘモグロビン濃度の増加を経験する。いくつかの実施態様において、本開示は、それを必要とする患者においてヘモグロビン濃度を増加させる方法であって、CKD患者、例えば、ESRD患者又はND-CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は該患者におけるヘモグロビン濃度の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、ヘモグロビン濃度を増加させる方法であって、CKD患者に210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者におけるヘモグロビン濃度の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって、いくつかの実施態様において、24週間にわたって、いくつかの実施態様において、36週間にわたって、いくつかの実施態様において、48週間にわたって、かついくつかの実施態様において、52週間にわたって投与される。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.1〜5.0g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.1〜4.0g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.1〜3.0g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.1〜2.0g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.1〜1.0g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.2〜0.9g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.3〜0.8g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.3〜0.7g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.3〜0.6g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.3〜0.5g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.4g/dlのヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.1g/dlを超えるヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.2g/dlを超えるヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.3g/dlを超えるヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.4g/dlを超えるヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.5g/dlを超えるヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.6g/dlを超えるヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.7g/dlを超えるヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.8g/dlを超えるヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.9g/dlを超えるヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、下で開示される下限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.0g/dl未満のヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.9g/dl未満のヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.8g/dl未満のヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.7g/dl未満のヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.6g/dl未満のヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.5g/dl未満のヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.4g/dl未満のヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.3g/dl未満のヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、0.2g/dl未満のヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、上で開示された上限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、表Eに示すヘモグロビン濃度の平均増加をもたらす:
表E: 1最終観察繰越法を欠測データに用いた。
2LS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者、例えば、ESRD患者は、そのヘモグロビン濃度の維持を経験し、その結果、そのヘモグロビンレベルは、該クエン酸第二鉄の投与の間、実質的に不変であり続ける。
(総鉄結合能(TIBC))
総鉄結合能(TIBC)は、鉄をタンパク質トランスフェリンと結合させる血液の能力の尺度である。TIBCは、通常、血液試料を採取し、該試料が担持することができる鉄の最大量を測定することによって測定される。したがって、TIBCは、血液中で鉄を輸送するタンパク質であるトランスフェリンを間接的に測定するものである。非CKD患者では、TIBCの典型的な質量又はモル濃度測定値は、それぞれ、250〜370μg/dL又は45〜66μmol/Lの範囲である。しかしながら、CKD患者では、体が、鉄を赤血球前駆細胞に送達して、ヘモグロビンを産生するために、より多くのトランスフェリンを産生しなければならないので、TIBCは、通常、これらのレベルを上回って増加している。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、TIBCの低下を経験する。いくつかの実施態様において、本開示は、それを必要とする患者においてTIBCを低下させる方法であって、CKD患者、例えば、ESRD患者又はND-CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は該患者のTIBCの低下をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者においてTIBCを低下させる方法であって、該患者に210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者のTIBCの低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与される。いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜30%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜28%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜26%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜25%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜24%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜23%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜22%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜21%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜20%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜15%であり、いくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜10%であり、かついくつかの実施態様において、該低下は0.1%〜5%である。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者、例えば、ESRD患者は、そのTIBCの維持を経験し、その結果、そのTIBCレベルは、該クエン酸第二鉄の投与の間、実質的に不変であり続ける。
(鉄吸収)
CKD患者は、他の健康上の懸念、例えば、鉄枯渇及び貧血につながり得る鉄吸収の低下又は不足に苦しむことがある。ヒトでは、食品又は栄養補助食品から吸収される鉄の大部分は、小腸で、特に、十二指腸内膜に存在する特殊な腸細胞によって十二指腸で吸収される。これらの細胞は、それらが腸管腔から体内に鉄を移動させるのを可能にする特殊な輸送体分子を有する。吸収されるためには、食事に含まれる鉄は、タンパク質の一部、例えば、ヘムとして存在しなければならないか、又は、第一鉄(鉄(II)又はFe2+)形態でなければならない。腸細胞は、第二鉄(鉄(III)又はFe3+)を第一鉄に還元する第二鉄還元酵素Dcytbを発現する。その後、二価金属輸送体タンパク質は、腸細胞の細胞膜を横切って、細胞内に鉄を輸送する。
非CKDの人では、体は、これらの段階のうちの1以上に関連するタンパク質の発現レベルを変化させることにより、鉄レベルを調節する。例えば、鉄欠乏性貧血に応答して、細胞は、腸管腔から吸収される鉄の量を増加させるために、より多くのDcytb酵素及びより多くの金属輸送体タンパク質を産生することができる。CKD患者では、これらの段階のうちの1以上を調節する体の能力が損なわれ、これがさらに、鉄吸収の低下又は不足につながる。
本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、鉄吸収の増加を経験し得る。いくつかの実施態様において、吸収される鉄は、該CKD患者に投与されるクエン酸第二鉄によって提供され;腸管腔から体内に吸収されるのは、第二鉄イオンである。クエン酸第二鉄は経口投与されるので、鉄吸収の増加は、腸を通じて生じる。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、鉄吸収の増加は、該CKD患者に投与されるクエン酸第二鉄中のクエン酸塩の存在によるものであり得ると考えられる。いくつかの研究により、クエン酸塩と組み合わせた鉄(クエン酸の共役塩基)の投与が、食事供給源から吸収される鉄の量を顕著に(例えば、数倍)増加させるのに役立つことが示されている(例えば、Ballotらの文献、Br. J. Nutr. (1987) 57, 331-343; Gilloolyらの文献、Br. J. Nutr. (1983) 49, 331-342; Zhangらの文献、Eur. J. Nutr. (2007) 46, 95-102;及びSalovaaraらの文献、J. Agric. Food Chem. (2002) 50, 6233-6238を参照されたい)。
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をCKD患者に投与して、鉄吸収を増加させることができる。投与の正確なタイミングは、例えば、CKD患者が経験するCKDのステージ、患者が経験しているか又は経験していない鉄吸収のレベル、及び治療を施す医療専門家の判断によって、必然的に患者毎に異なる。いくつかの実施態様において、本開示は、末期腎臓病患者において鉄吸収を増加させる方法であって、該患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者によって吸収される鉄の量の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、末期腎臓病患者において鉄吸収を増加させる方法であって、該患者に210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者によって吸収される鉄の量の増加をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与される。
(鉄欠乏及び貧血)
上述したように、先進国に住んでいる、栄養状態の良好な大部分の非CKDの人々は、何らかの方法で(例えば、循環鉄又は貯蔵鉄又はその両方として)、その体内に約4〜5グラムの鉄を貯蔵している。この量の減少は、鉄欠乏を表し、これは、CKD患者によく見られる。鉄欠乏の症状は、この状態が鉄欠乏性貧血に進行する前に、CKD患者で生じ得る。鉄欠乏の症状としては、例えば、とりわけ、疲労、目眩、蒼白、脱毛、易刺激性、脱力感、異食症、脆い爪又はすじ爪、プランマー・ヴィンソン症候群(舌、咽頭及び食道を覆う粘膜の有痛性萎縮)、免疫機能障害、氷食症、及びレストレスレッグ症候群を挙げることができる。
本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、鉄欠乏の改善を経験し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、鉄欠乏の減少を経験する。この減少は、CKD患者の体内の鉄の総量が本明細書に開示されるクエン酸第二鉄の投与によって増加するために起こり得る。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、鉄欠乏の1以上の症状の減少を経験し、該症状は、疲労、目眩、蒼白、脱毛、易刺激性、脱力感、異食症、脆い爪又はすじ爪、プランマー・ヴィンソン症候群(舌、咽頭及び食道を覆う粘膜の有痛性萎縮)、免疫機能障害、氷食症、レストレスレッグ症候群並びに前記の組合せから選択される。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、鉄欠乏の1以上の症状の消失を経験し、該症状は、疲労、目眩、蒼白、脱毛、易刺激性、脱力感、異食症、脆い又はすじ爪、プランマー・ヴィンソン症候群(舌、咽頭、及び食道を覆う粘膜の有痛性萎縮)、免疫機能障害、氷食症、レストレスレッグ症候群並びに前記の組合せから選択される。
いくつかの実施態様において、鉄欠乏は、貧血である。いくつかの実施態様において、鉄欠乏は、鉄欠乏性貧血である。鉄欠乏性貧血は、循環赤血球のレベルの低さを特徴とし、CKD患者では、鉄の不十分な食事摂取、吸収及び/又は貯蔵によって生じ得る。赤血球は、ヘモグロビンタンパク質中に結合した鉄を含有し、通常、体内の鉄の量が不足しているときは形成されない。
鉄欠乏性貧血は、通常、蒼白(皮膚及び粘膜内のオキシヘモグロビンの低下によって生じる血色の悪さ)、疲労感、立ちくらみ、及び脱力感を特徴とする。しかしながら、鉄欠乏性貧血の兆候は、CKD患者間で異なり得る。CKD患者における鉄欠乏はゆっくりと発症する傾向があるので、該疾患への適応が起こり得、これは、しばらくの間、認識されないまま進み得る。場合により、CKD患者は、とりわけ、呼吸困難(dyspnea)(呼吸困難(trouble breathing))、異食症(異常な強迫的食物渇望)、OCD型の衝動強迫及び強迫観念をもたらす場合が多い不安症、易刺激性又は悲嘆、狭心症、便秘、眠気、耳鳴、口腔内潰瘍、動悸、脱毛、失神又は気が遠くなる感覚、鬱病、労作時の息切れ、筋肉痙攣、淡黄色の皮膚、ヒリヒリ感(しびれ)又は灼熱感、月経周期(複数可)の停止、月経過多期(複数可)、社会性の発達の遅れ、舌炎(舌の炎症もしくは感染)、口角炎(口角炎症性病変)、匙状爪(スプーン形の爪)又は弱い爪もしくは脆い爪、食欲不振、掻痒症(全身の痒み)、プランマー・ヴィンソン症候群(舌、咽頭及び食道を覆う粘膜の有痛性萎縮)、並びにレストレスレッグ症候群を発症し得る。
貧血は、通常、患者の血液試料から測定される全血算に基づいて診断される。通常、試料中の赤血球の総数、ヘモグロビンレベル、及び赤血球のサイズをフローサイトメトリーによって報告する自動計数器が利用される。しかしながら、試料中の赤血球の総数を計数し、貧血を診断するために、顕微鏡スライド上の染色された血液スメアを、顕微鏡を用いて調べることができる。多くの国々では、貧血の存在を決定するために、4つのパラメータ(赤血球数、ヘモグロビン濃度、平均赤血球体積及び赤血球分布幅)が測定される。世界保健機関は、ヘモグロビンレベル(Hb)についての特定の閾値を設定しており、そのため、CKD患者のヘモグロビンレベルがその値を下回ったときに、貧血の診断を行うことができる。その値は:0.5〜5.0歳の子供では、Hb=11.0g/dL又は6.8mmol/L;5〜12歳の子供では、Hb=11.5g/dL又は7.1mmol/L;12〜15歳の十代では、Hb=12.0g/dL又は7.4mmol/L;15歳以上の非妊娠女性では、Hb=12.0g/dL又は7.4mmol/L;妊娠女性では、Hb=11.0g/dL又は6.8mmol/L;及び15歳を超える男性では、Hb=13.0g/dL又は8.1mmol/Lである。
本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、貧血の改善を経験し得る。本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、鉄欠乏性貧血の改善を経験し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、貧血又は鉄欠乏性貧血のうちの1以上の症状の減少を経験する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、貧血又は鉄欠乏性貧血のうちの1以上の症状の消失を経験する。いくつかの実施態様において、貧血又は鉄欠乏性貧血のうちの1以上の症状は、蒼白、疲労、立ちくらみ、脱力感、呼吸困難、異食症、不安症、易刺激性又は悲嘆、狭心症、便秘、眠気、耳鳴、口腔内潰瘍、動悸、脱毛、失神又は気が遠くなる感覚、鬱病、労作時の息切れ、筋肉痙攣、淡黄色の皮膚、ヒリヒリ感(しびれ)又は灼熱感、月経周期(複数可)の停止、月経過多期(複数可)、社会性の発達の遅れ、舌炎、口角炎、匙状爪、食欲不振、掻痒症、プランマー・ヴィンソン症候群、レストレスレッグ症候群及び前記の組合せから選択される。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、ヘモグロビンレベルが閾値レベルを超えて上昇し、かつ/又は維持されるので、貧血及び/又は鉄欠乏性貧血の改善を経験し得る。いくつかの実施態様において、CKD患者において貧血を治療する方法であって、該CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法が開示され、該クエン酸第二鉄は、該CKD患者において11.0g/dL、11.5g/dL、12.0g/dL、及び13.0g/dLから選択されるレベルを含む、11.0g/dL〜13.0g/dLの範囲のレベル又はそれを上回るヘモグロビンレベルをもたらす。いくつかの実施態様において、CKD患者において貧血を治療する方法であって、該CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法が開示され、該クエン酸第二鉄は、該CKD患者において6.8mmol/L、7.1mmol/L、7.4mmol/L、及び8.1mmol/Lから選択されるレベル又はそれを上回るヘモグロビンレベルをもたらす。いくつかの実施態様において、男性CKD患者において貧血を治療する方法であって、該男性CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法が開示され、該クエン酸第二鉄は、該男性CKD患者において13.0g/dL及び8.1mmol/Lから選択されるレベル又はそれを上回るヘモグロビンレベルをもたらす。いくつかの実施態様において、女性CKD患者において貧血を治療する方法であって、該女性CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法が開示され、該クエン酸第二鉄は、該女性CKD患者において12.0g/dL及び7.4mmol/Lから選択されるレベル又はそれを上回るヘモグロビンレベルをもたらす。
いくつかの実施態様において、CKD患者において貧血を治療する方法で使用するためのクエン酸第二鉄が開示され、該クエン酸第二鉄は、該CKD患者において11.0g/dL、11.5g/dL、12.0g/dL、及び13.0g/dLから選択されるレベルを含む、11.0g/dL〜13.0g/dLの範囲のレベル又はそれを上回るヘモグロビンレベルをもたらす。いくつかの実施態様において、CKD患者において貧血を治療する方法で使用するためのクエン酸第二鉄が開示され、該クエン酸第二鉄は、該CKD患者において6.8mmol/L、7.1mmol/L、7.4mmol/L、及び8.1mmol/Lから選択されるレベル又はそれを上回るヘモグロビンレベルをもたらす。いくつかの実施態様において、男性CKD患者において貧血を治療する方法で使用するためのクエン酸第二鉄が開示され、該クエン酸第二鉄は、該男性CKD患者において13.0g/dL及び8.1mmol/Lから選択されるレベル又はそれを上回るヘモグロビンレベルをもたらす。いくつかの実施態様において、女性CKD患者において貧血を治療する方法で使用するためのクエン酸第二鉄が開示され、該クエン酸第二鉄は、該女性CKD患者において12.0g/dL及び7.4mmol/Lから選択されるレベル又はそれを上回るヘモグロビンレベルをもたらす。
(静注鉄)
CKD患者は、鉄欠乏のリスクがあり得るか、又は鉄欠乏を罹患し得る。鉄欠乏症又は低鉄血症とも呼ばれる鉄欠乏は、よくあるタイプの栄養欠乏であり、体が腸管腔から鉄を吸収し、かつ/又は長期使用のために鉄を貯蔵するその能力を失うために、CKD患者で起こり得る。体内の鉄の損失又は減少が、例えば、食事からの十分な鉄の摂取によって補われない場合、鉄欠乏が時間とともに発症し得る。鉄欠乏の状態が治されないままでいると、鉄欠乏性貧血に至り得る。したがって、未治療の長期の鉄欠乏の直接的な結果は、鉄欠乏性貧血、場合によっては、貧血であり得る。
CKD患者では、通常、鉄欠乏性貧血を治療することが可能な手段が3つある。第一の手法は、鉄を豊富に含む食品を食べることによるものである。それで不十分ならば、臨床医は、経口鉄補給剤を処方してもよい。しかしながら、多くの経口鉄補給剤は、CKD患者において数々の有害な副作用を引き起こし、患者のノンコンプライアンスをもたらす。CKD患者が経口鉄補給剤を服用することができない場合、該患者は静注鉄補給を受けなければならない可能性がある。
静注(IV)鉄補給は、筋肉を通じて、又は静脈内への針による注射によって、鉄を送達する方法である。IV鉄を受け取っているCKD患者は、経口鉄を服用することができないので、通常、そのようにする。特に、ESRD患者は透析を受けており、透析中に血液を失う場合が多い。これらの患者は、通常、赤血球生成刺激剤(ESA−下記参照)も服用しており、それが利用で、同じく追加の鉄を必要とする場合がある。静注鉄は、鉄溶液を含有するIVバッグに取り付けられている針を通してCKD患者の静脈内に送達される。処置は医院又は診療所で行われ、医師が処方した治療によっては、最長で数時間かかる場合がある。CKD患者は、通常、その鉄レベルが妥当なものとなるまで、数回の診察にわたって鉄注射を受ける。場合により、CKD患者は、恒久的なIV鉄補給を必要とする場合がある。
IVの鉄補給の副作用としては、とりわけ、吐き気及び痙攣を含む胃腸痛;呼吸困難;発疹を含む皮膚の問題;胸痛;低血圧;並びにアナフィラキシーが挙げられる。
本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、IV鉄補給の必要性の減少を経験し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、累積IV鉄補給の減少を経験する。いくつかの実施態様において、本開示は、それを必要とする患者において静注(IV)鉄の使用を低下させる方法であって、CKD患者、特に、ESRD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者におけるIV鉄使用の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、末期腎臓病患者において静注(IV)鉄の使用を低下させる方法であって、該患者に210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者におけるIV鉄使用の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与される。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1〜100%の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、10〜90%の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20〜80%の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、30〜70%の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。上記の範囲は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の範囲のいずれかを、任意の方法、製剤、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、40〜60%の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59及び60%から選択される平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、51.0、51.1、51.2、51.3、51.4、51.5、51.6、51.7、51.9及び52.0%から選択される平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、51.6%の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、51.6%の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、10%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、30%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、40%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、50%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、100%未満から選択される平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、90%未満の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、80%未満の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、70%未満の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、60%未満の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、50%未満の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、40%未満の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、30%未満の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20%未満の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、10%未満の平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、上で開示された上限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、60%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、70%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、90%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、下で開示される下限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者、例えば、ESRD患者は、必要とされるIV鉄補給の量の維持を経験し、その結果、該CKD患者が受け取るIV鉄補給の総量は、該クエン酸第二鉄の投与の間、実質的に不変であり続ける。
(赤血球生成刺激剤)
上記のCKD患者における鉄欠乏性貧血を制御する手段に加えて、CKD患者、特に、ESRD患者は、貧血を制御する試みで、1以上の赤血球生成刺激剤(ESA)を服用することもできる。ESAは、体が赤血球を産生するのを助けることによって作用する。これらの赤血球は、その後、骨髄から血流中に放出され、そこで血液鉄レベルの維持を助ける。一般にESAと略記される赤血球生成刺激剤は、体内での赤血球産生(赤血球生成)を刺激するサイトカインであるエリスロポエチンと構造及び/又は機能が類似している薬剤である。典型的なESAは、構造的かつ生物学的に、天然タンパク質のエリスロポエチンと類似している。市販のESAの例としては、エリスロポエチン(Epo)、エポエチンアルファ(プロクリット(Procrit)/エポゲン(Epogen))、エポエチンベータ(ネオレコルモン)、ダルべポエチンアルファ(アラネスプ(Aranesp))、及びメトキシポリエチレングリコール-エポエチンベータ(ミルセラ(Mircera))が挙げられる。米国での販売が現在許可されている2つのESAは、エポエチンアルファ(プロクリット、エポゲン)、及びダルべポエチンアルファ(アラネスプ)である。
ESAは、一般に、ESRD患者に投与される。これらの患者は、十分なエリスロポエチンを産生することができないので、通常、ヘモグロビンレベルがより低い。ESA使用によって最もよく生じる副作用としては、とりわけ:高血圧;腫脹;発熱;目眩;吐き気;及び注射部位での疼痛が挙げられる。これらの副作用に加えて、ESA使用によって生じるいくつかの安全性の問題がある。ESAは、静脈血栓塞栓症(静脈内の血栓)のリスクを高める。ESAは、ヘモグロビンをあまりに高く上昇させることもあり、これにより、患者の心臓発作、脳卒中、心不全、及び死のリスクがより高まる。
本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、ヘモグロビンレベルを維持するために必要とされるESAの量の減少を経験し得る。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、ESA使用の減少を経験する。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者、特に、ESRD患者においてESA使用を低下させる方法であって、該患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者におけるESA使用の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、本開示は、末期腎臓病患者においてESA使用を低下させる方法であって、該患者に210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供し、該クエン酸第二鉄は、該患者におけるESA使用の低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与される。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1〜50%となるESA摂取中央値の減少をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、10〜40%となるESA摂取中央値の減少をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20〜30%となるESA摂取中央値の減少をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29及び30%から選択されるESA摂取中央値の減少をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、27.0、27.1、27.2、27.3、27.4、27.5、27.6、27.7、27.9及び28.0%から選択されるESA摂取中央値の減少をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、27.1%のESA摂取中央値の減少をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、52週間にわたって投与したとき、27.1%のESA摂取中央値の減少をもたらす。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、20%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、21%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、22%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、23%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、24%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、25%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、26%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、27%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、28%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、29%を超える平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、下で開示される下限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、30%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、29%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、28%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、27%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、26%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、25%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、24%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、23%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、22%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、21%未満である平均累積IV鉄摂取の平均低下をもたらす。上記の限度は、効率目的でこの形式で開示されており、上記の限度のいずれかを、任意の方法、製剤、上で開示された上限、又はこれらの組合せと組み合わせることができる。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者、特に、ESRD患者は、ヘモグロビンレベルを維持するために必要とされるESAの量の維持を経験し、その結果、該患者によるESA使用の総量は、該クエン酸第二鉄の投与の間、実質的に不変であり続ける。
(有害心臓事象)
心臓血管疾患は、慢性腎臓病(CKD)患者における死亡のよくある原因である。CKD患者においてアテローム性動脈硬化症の伝統的な危険因子の高い有病率にもかかわらず、心不全、不整脈、及び心臓突然死は、冠動脈疾患(CAD)に比べて、CKD患者における心血管関連死亡率の不釣り合いに大きな負担になっている。左心室肥大(LVH)及び左心室機能不全は、CKDにおける心血管傷害の一般的な非アテローム性動脈硬化症のメカニズムである。冠動脈疾患、左心室肥大(LVH)及び心不全(HF)を含む心疾患は、慢性腎臓病(CKD)患者で一般的である。LVHは、糸球体濾過量(GFR)が低下するにつれて、かつ透析耐容性(dialysis vintage)の増加と共にますます増えるように思われる。LVHは、まだ透析を行っていない慢性腎臓病(CKD)患者の47%ほどに見られ、腎機能の程度がますます低い人々では有病率が高く、LVHは重篤である(Elias MF, Sullivan LM, Elias PKらの文献、フラミンガム子孫における左心室質量、血圧、及び認知能力の低下(Left ventricular mass, blood pressure, and lowered cognitive performance in the Framingham offspring)、Hypertension 2007; 49:439; Barrios V, Escobar C, Calderon A,らの文献、高血圧集団におけるコーネル電圧期間製品(Cornell voltage-duration product)によって検出される左心室肥大の有病率(Prevalence of left ventricular hypertrophy detected by Cornell voltage-duration product in a hypertensive population)、Blood Press 2008; 17:110; Ang D, Lang C.らの文献、高血圧におけるECGの予後値:我々は今どこにいるのか?(The prognostic value of the ECG in hypertension: where are we now?)、J Hum Hypertens 2008; 22: 460; Levy D, Garrison RJ, Savage DD,らの文献、フラミンガム心臓研究における心エコーによって決定される左心室質量の予後の影響(Prognostic implications of echocardiographically determined left ventricular mass in the Framingham Heart Study)、 N Engl J Med 1990; 322: 1561)。求心性LVHは、透析の開始時に患者の42%において(Koren MJ, Devereux RB, Casale PN,らの文献、合併症のない本態性高血圧症における罹患率及び死亡率と左心室の質量及び形状の関係(Relation of left ventricular mass and geometry to morbidity and mortality in uncomplicated essential hypertension)、Ann Intern Med 1991; 114: 345))並びに10年間血液透析を続けている75%もの患者において(Verdecchia P, Carini G, Circo A,らの文献、本態性高血圧症における左心室質量と心血管疾患の罹患率(Left ventricular mass and cardiovascular morbidity in essential hypertension):ナビ研究(the MAVI study). J Am Coll Cardiol 2001; 38: 1829)心エコー検査により立証されている。
LVHは、CKD患者における死亡率の重要な予測因子であり、貧血は、CKDにおけるLVH及びHFの発症及び進行、並びに死亡率を含む有害心血管転帰の発症及び進行に関する、重要で、独立した危険因子として浮上している(Verdecchia P, Carini G, Circo A,らの文献、本態性高血圧症における左心室質量と心血管疾患の罹患率(Left ventricular mass and cardiovascular morbidity in essential hypertension):ナビ研究(the MAVI study)、J Am Coll Cardiol 2001; 38: 1829; Beache GM, Herzka DA, Boxerman JL,らの文献、酸素依存磁気共鳴イメージングによって明らかにされた高血圧肥大症患者における心筋の血管拡張反応の減弱(Attenuated myocardial vasodilator response in patients with hypertensive hypertrophy revealed by oxygenation-dependent magnetic resonance imaging)、Circulation 2001; 104: 1214; Carluccio E, Tommasi S, Bentivoglio M,らの文献、最初の合併症を伴わない心筋梗塞患者における左室肥大と形状の予後値(Prognostic value of left ventricular hypertrophy and geometry in patients with a first, uncomplicated myocardial infarction)、Int J Cardiol 2000; 74:177)。
LVHの存在は、心不全、心室性不整脈、心筋梗塞後の死亡、LV駆出率の低下、心臓突然死、大動脈基部拡張、及び脳血管事象の発症率の増加と関連しているため、臨床的に重要である。一般的に、LVHを伴う心不全の発症は、左室収縮機能の低下及び/又は拡張機能障害に起因する。左心室リモデリングの有害な影響は、顕性心不全への進行の重要な決定要因であり得る。
理論に束縛されることを意図するものではないが、貧血及びLVHの発達との関係を説明できる潜在的なメカニズムには、おそらく筋細胞壊死及びアポトーシスの増加、貧血に関連した心拍出量の増加及び全身血管抵抗の減少、酸化ストレスの増加、並びに交感神経系の活性化につながる心筋への酸素送達の低下の影響が含まれる(Burke AP, Farb A, Liang YH,らの文献、心臓突然死における冠動脈の形態に対する高血圧及び心臓肥大の影響(Effect of hypertension and cardiac hypertrophy on coronary artery morphology in sudden cardiac death)、Circulation 1996; 94: 3138; Norton GR, Woodiwiss AJ, Gaasch WH,らの文献、圧負荷肥大における心不全、心室リモデリング及び心筋機能障害の相対的な役割(Heart failure in pressure overload hypertrophy. The relative roles of ventricular remodeling and myocardial dysfunction)、J Am Coll Cardiol 2002; 39: 664; Gardin JM, McClelland R, Kitzman D,らの文献、高齢者コホートにおける冠動脈性心疾患、脳卒中、うっ血性心不全、及び死亡率の6〜7年の発症のMモード心エコー予測因子(M-mode echocardiographic predictors of six- to seven-year incidence of coronary heart disease, stroke, congestive heart failure, and mortality in an elderly cohort(心臓血管の健康調査(the Cardiovascular Health Study))、Am J Cardiol 2001; 87: 1051)。
CKDでは、重篤度が増している貧血は、CKD及び心疾患の患者におけるより高頻度で、重篤なLVH、LV拡張、HF、及び全心臓の予後不良と関連している。CKDにおける貧血の増加が、LVH及び心不全の重篤度の増加と関連していることを考慮すると、本開示の態様に従って、貧血に関連する欠乏の修正は、HF及びLVHの臨床的特徴に有益な影響を及ぼす。これには、HFの臨床症状並びにLVHのその後の発症及び進行が含まれる。
いくつかの、ほとんど制御されていない短期的な研究により、HF及びCKDの患者においてエリスロポエチンを用いて約10〜12g/dLのHgbレベルまで貧血を改善すると、HFの臨床症状が改善され、入院の割合が減少することが示唆された(Pierdomenico SD, Lapenna D, Cuccurullo F.らの文献、(本態性高血圧症患者における心血管リスクを低下させる治療の2年後の心エコー左心室肥大の回帰(Regression of echocardiographic left ventricular hypertrophy after 2 years of therapy reduces cardiovascular risk in patients with essential hypertension)、Am J Hypertens 2008; 21:464)。しかしながら、エリスロポエチンの使用に関連するむしろ予想外の有害転帰を考慮すると、正常又はほぼ正常なHgbレベルを満たすことを目的としたエリスロポエチン治療による罹患率及び/又は死亡率のリスクが患者において増加する可能性がある。
LVHは、それ自体はCKD患者における心血管の有害転帰の有力な予後マーカーであるが、一部の患者においてHgbレベルが10g/dL未満から最高で10g/dL以上のレベルまで改善することで消失するように思われる。再び、限定することを意図するものではないが、Hgbがより正常なレベルまでさらに上昇すると、LVHのさらなる退行又は臨床的改善がもたらされるとは考えられない。LVHのベースラインの幾何は、LVH患者における貧血是正に対するその後の臨床応答を決定する上で重要な因子であり得る。
線維芽細胞増殖因子23(FGF-23)レベルの上昇は、心血管疾患の新規な危険因子として理解されるようになってきた。FGF-23レベルの上昇は、CKD及び非CKD集団における、診断されている(prevalent)及び新規診断の(incident)LVH、心血管疾患事象、並びに死亡率と独立して関連している。さらに、最近の研究により、FGF-23がLVHを直接誘導することが実証され、FGF-23は、単なる心血管系リスクのバイオマーカーではないことが示唆された(Faul C, Amaral AP, Oskouei B,らの文献、FGF23は左心室肥大を誘導する(FGF23 induces left ventricular hypertrophy)、J Clin Invest. 2011;121(11):4393-4408)。
FGF23レベルの上昇は、CKDにおいて正常範囲内に血清リン酸塩を維持するのに役立ち、FGF-23濃度は、推定糸球体濾過量(eGFR)の減少と共に増加し、より大きなネフロン単位のリン酸塩排泄を刺激し、1,25-ジヒドロキシビタミンDレベルを減少させることによって、腎質量が減少するにもかかわらず、正常なリン酸塩の恒常性維持に役立つ。非経口鉄は、尿細管リン酸塩再吸収及びビタミンDの1-α-ヒドロキシル化を抑制するので、結果として低リン血症になる。データによって、低リン血症がFGF23の増加によって媒介されることが示されている。
透析前のCKD、新規診断のESRD及び既に診断されているESRD、並びに腎移植レシピエントの集団での前向き研究により、FGF23レベルの上昇は、CKDの進行及び心血管事象の発症並びに死亡率と独立して関連していることが示されている。もともとはこれらの観察は、リン酸塩に起因する毒性の高感度バイオマーカーとして働くFGF23レベルの上昇によるものと考えられていた。しかしながら、FGF23自体は、心臓において「オフターゲット」で、直接的な末端臓器毒性を媒介することが現在示されており、FGF23レベルの上昇がCKDにおける有害転帰の新たなメカニズムであり得ることを示唆している。
さらに別の態様において、本開示は、慢性腎臓病を有する対象において有害心臓事象を治療する方法、又は有害心臓事象の発生率もしくはリスクを低下させる方法を提供する。他の実施態様において、本開示は、慢性腎臓病を有する対象において有害心臓事象に関連する死亡率及び有病率を低下させる方法を提供する。他の実施態様において、本開示は、慢性腎臓病を有する対象において有害心臓事象に関連する入院の頻度又はリスクを低下させる方法を提供する。いくつかの実施態様において、本方法は、CKDを有する対象、例えば、非透析慢性腎臓病患者又は末期腎臓病患者に1日当たり約1g〜約18gの範囲の量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む。いくつかの実施態様において、本方法は、CKDを有する対象、例えば、非透析慢性腎臓病患者又は末期腎臓病患者に1日当たり約6g〜約12gの範囲の量でクエン酸第二鉄を経口投与することを含む。いくつかの実施態様において、本方法は、対象のヘモグロビンレベルを、例えば、10g/dLを超える、11g/dLを超える、12g/dLを超える、又は13g/dLを超えるレベルまで上昇させることを含む。他の実施態様において、本方法は、対象のFGF-23レベルを、例えば、少なくとも30%、少なくとも32%、少なくとも35%、少なくとも37%だけ低下させることを含む。特定の実施態様において、血清又は血漿中の無傷FGF-23レベルが測定される。他の実施態様において、CKD患者の血清又は血漿中のFGF-23のC末端断片が測定される。いくつかの実施態様において、CKD患者の血清又は血漿中の無傷FGF-23及びFGF-23のC-末端断片が測定される。当業者に公知の又は本明細書に記載の技術、例えば、ウェスタンブロット、ELISA及び他のイムノアッセイなどを用いて、無傷FGF-23及び/又はFGF-23のC-末端断片を測定することができる。特定の方法において、本方法は、血清リン酸塩濃度を低下させることを含む。
有害心臓事象には、例えば、心エコー又はECG基準、例えば、Sokolow-Lyon振幅(Sokolow-Lyon Amplitude)、コーネル振幅(Cornell Amplitude)、Sokolow-Lyon積(Sokolow-Lyon Product)、又はコーネル積(Cornell Product)によって測定されるような心不全、心室性不整脈、心筋梗塞(MI)、左心室(LV)駆出率の低下、心臓突然死、大動脈基部拡張、脳血管事象(脳卒中)、左心室肥大(LVH)が含まれ得る。
特定の実施態様において、CKD患者における1以上の有害心臓事象の発生率を低下させる方法であって、該患者にクエン酸第二鉄を投与することを含む方法を本明細書に提供する。特定の実施態様において、CKD患者における1以上の有害心臓事象と関連する1以上の症状の数及び/又は発症を低下させる方法であって、該患者にクエン酸第二鉄を投与することを含む方法を本明細書に提供する。特定の実施態様において、CKD患者における1以上の有害心臓事象を防止するか、又は1以上の有害心臓事象と関連する1以上の症状の発症を防止する方法であって、該患者にクエン酸第二鉄を投与することを含む方法を本明細書に提供する。一実施態様において、該有害心臓事象は心不全である。別の実施態様において、該有害心臓事象は心室性不整脈である。別の実施態様において、該有害心臓事象は心筋梗塞(MI)である。別の実施態様において、該有害事象は左心室(LV)駆出率の低下である。別の実施態様において、該有害事象は心臓突然死である。別の実施態様において、該有害事象は大動脈基部拡張である。別の実施態様において、該有害事象は脳血管事象(脳卒中)である。具体的な実施態様において、該有害事象は左心室肥大(LVH)である。
具体的な実施態様において、CKD患者における1以上の有害心臓事象を治療する方法であって、(a)1以上の有害心臓事象についてCKD患者を評価すること、及び(b)1以上の有害心臓事象と診断されたCKD患者にクエン酸第二鉄を投与すること、を含む方法を本明細書に提供する。いくつかの実施態様において、CKD患者における1以上の有害心臓事象を治療する方法であって、(a)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)について1以上の有害心臓事象と診断されたCKD患者を評価すること、並びに(b)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が上昇した1以上の有害心臓事象と診断されたCKD患者にクエン酸第二鉄を投与すること、を含む方法を本明細書に提供する。具体的な実施態様において、1以上の有害心臓事象の治療方法は、1以上の有害心臓事象と関連する症状の数を低下させ、かつ/又は1以上の有害心臓事象と関連する1以上の症状の発症を防止する。一実施態様において、この段落で開示される方法に従って、1日当たり該患者に投与されるクエン酸第二鉄の用量は、(i)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が該CKD患者において低下している場合には低下するか、もしくは維持され、又は(ii)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が該CKD患者において低下しなかった場合には増加し得る。別の実施態様において、この段落で開示される方法に従って、該患者に投与されるクエン酸第二鉄の用量は、(i)鉄貯蔵パラメータ(例えば、ヘモグロブリン濃度、血清フェリチンレベル、及び/もしくはトランスフェリン飽和度)のうちの1つ、2つ又はそれ以上が非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内のレベルを超えた場合には低下し、(ii)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が該CKD患者において低下し、かつ鉄貯蔵パラメータ(例えば、ヘモグロブリン、血清フェリチン、及び/もしくはトランスフェリン飽和度)のうちの1つ、2つ又はそれ以上が非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内のレベルを超えた場合には低下し、かつ(iii)該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が、正常な健康なヒトの範囲のFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)と比較してなお上昇しているか、又は該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が、少なくとも15%、20%、もしくは30%減少しなかった場合には増加し、或いは(iv)鉄貯蔵パラメータ(例えば、ヘモグロブリン濃度、血清フェリチンレベル、及び/もしくはトランスフェリン飽和度)のうちの1つ、2つ又はそれ以上が、非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内のレベルを超えず、該CKD患者におけるFGF-23レベルが正常な健康なヒトの範囲のFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)と比較してなお上昇しているか、又は該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が、少なくとも15%、20%、もしくは30%減少しなかった場合には増加し得る。特定の実施態様において、この段落で開示される方法に従って、該CKD患者は、1以上の有害心臓事象の進行についても監視される。一実施態様において、該有害心臓事象は心不全である。別の実施態様において、該有害心臓事象は心室性不整脈である。別の実施態様において、該有害心臓事象は心筋梗塞(MI)である。別の実施態様において、該有害事象は左心室(LV)駆出率の低下である。別の実施態様において、該有害事象は心臓突然死である。別の実施態様において、該有害事象は大動脈基部拡張である。別の実施態様において、該有害事象は脳血管事象(脳卒中)である。具体的な実施態様において、該有害事象は左心室肥大(LVH)である。
特定の実施態様において、CKD患者における1以上の有害心臓事象を治療する方法であって、(a)1以上の有害心臓事象についてCKD患者を評価すること、(b)1以上の有害心臓事象と診断されたCKD患者にクエン酸第二鉄を投与すること、並びに(c)次の(i)1以上の鉄貯蔵パラメータ、(ii)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)、及び/もしくは(iii)血清リンレベルのうちの1つ、2つ、又は全部について該CKD患者を監視すること、を含む方法を本明細書に提供する。いくつかの実施態様において、CKD患者における1以上の有害心臓事象を治療する方法であって、(a)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)について1以上の有害心臓事象と診断されたCKD患者を評価すること、(b)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が上昇している1以上の有害心臓事象と診断されたCKD患者にクエン酸第二鉄を投与すること、並びに(c)次の(i)1以上の鉄貯蔵パラメータ、(ii)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)、及び/もしくは(iii)リン酸塩レベルのうちの1つ、2つ、又は全部について該CKD患者を監視すること、を含む方法を本明細書に提供する。具体的な実施態様において、1以上の有害心臓事象を治療する方法は、1以上の有害心臓事象と関連する症状の数を低下させ、かつ/又は1以上の有害心臓事象と関連する1以上の症状の発症を防止する。一実施態様において、この段落で開示される方法に従って、1日当たり該患者に投与されるクエン酸第二鉄の用量は、(i)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が該CKD患者において低下している場合には低下するか、もしくは維持され、又は(ii)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が該CKD患者において低下しなかった場合には増加し得る。別の実施態様において、この段落で開示される方法に従って、該患者に投与されるクエン酸第二鉄の用量は、(i)鉄貯蔵パラメータ(例えば、ヘモグロブリン濃度、血清フェリチンレベル、及び/もしくはトランスフェリン飽和度)のうちの1つ、2つ又はそれ以上が非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内のレベルを超えた場合には低下し、(ii)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が該CKD患者において低下し、かつ鉄貯蔵パラメータ(例えば、ヘモグロブリン、血清フェリチン、及び/もしくはトランスフェリン飽和度)のうちの1つ、2つ又はそれ以上が非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内のレベルを超えた場合には低下し、かつ(iii)該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が、正常な健康なヒトの範囲のFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)と比較してなお上昇しているか、又は該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が、少なくとも15%、20%、もしくは30%減少しなかった場合には増加し、或いは(iv)鉄貯蔵パラメータ(例えば、ヘモグロブリン濃度、血清フェリチンレベル、及び/もしくはトランスフェリン飽和度)のうちの1つ、2つもしくはそれ以上が、非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内のレベルを超えず、かつ該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が正常な健康なヒトの範囲のFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)と比較してなお上昇しているか、又は該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が、少なくとも15%、20%、もしくは30%減少しなかった場合には増加し得る。特定の実施態様において、この段落で開示される方法に従って、該CKD患者は、1以上の有害心臓事象の進行についても監視される。一実施態様において、該有害心臓事象は心不全である。別の実施態様において、該有害心臓事象は心室性不整脈である。別の実施態様において、該有害心臓事象は心筋梗塞(MI)である。別の実施態様において、該有害事象は左心室(LV)駆出率の低下である。別の実施態様において、該有害事象は心臓突然死である。別の実施態様において、該有害事象は大動脈基部拡張である。別の実施態様において、該有害事象は脳血管事象(脳卒中)である。具体的な実施態様において、該有害事象は左心室肥大(LVH)である。
特定の実施態様において、CKD患者における1以上の有害心臓事象を防止するか、又はCKD患者における1以上の有害心臓事象と関連する1以上の症状の発症を防止する方法であって、(a)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)についてCKD患者を評価すること、(b)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が上昇したCKD患者にクエン酸第二鉄を投与すること、並びに(c)次の(i)1以上の鉄貯蔵パラメータ、(ii)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)、及び/もしくは(iii)血清リンレベルのうちの1つ、2つ、又は全部について該CKD患者を監視すること、を含む方法を本明細書に提供する。具体的な実施態様において、1以上の有害心臓事象を治療する方法は、1以上の有害心臓事象と関連する症状の数を低下させ、かつ/又は1以上の有害心臓事象と関連する1以上の症状の発症を防止する。特定の実施態様において、該CKD患者の血清又は血漿中の無傷FGF-23レベルは、50pg/mL、75pg/mL、100pg/mL、125pg/mL、150pg/mL、175pg/mL、200pg/mL、250pg/mL、300pg/mL、325pg/mL又は350pg/mLである。いくつかの実施態様において、該CKD患者の血清又は血漿中の無傷FGF-23レベルは、50pg/mL〜100pg/mL、100pg/mL〜200pg/mL、200pg/mL〜300pg/mL、150pg/mL〜250pg/mL、250pg/mL〜350pg/mL、又は300pg/mL〜375pg/mLである。特定の実施態様において、該CKD患者の血清又は血漿中のFGF-23のC-末端断片レベルは、60RU/mL、75RU/mL、100RUg/mL、125RU/mL、150RU/mL、175RU/mL、200RU/mL、250RU/mL、300RU/mL、325RU/mL又は350RU/mLである。いくつかの実施態様において、該CKD患者の血清又は血漿中のFGF-23のC-末端断片レベルは、60〜100RU/mL、100RU/mL〜200RU/mL、200RU/mL〜300RU/mL、150〜250RU/mL、250RU/mL〜350RU/mL、又は300RU/mL〜375RU/mLである。一実施態様において、この段落で開示される方法に従って、1日当たり該患者に投与されるクエン酸第二鉄の用量は、(i)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が該CKD患者において低下している場合には低下するか、もしくは維持され、又は(ii)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が該CKD患者において低下しなかった場合には増加し得る。別の実施態様において、この段落で開示される方法に従って、該患者に投与されるクエン酸第二鉄の用量は、(i)鉄貯蔵パラメータ(例えば、ヘモグロブリン濃度、血清フェリチンレベル、及び/もしくはトランスフェリン飽和度)のうちの1つ、2つ又はそれ以上が非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内のレベルを超えた場合には低下し、(ii)FGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が該CKD患者において低下し、かつ鉄貯蔵パラメータ(例えば、ヘモグロブリン、血清フェリチン、及び/もしくはトランスフェリン飽和度)のうちの1つ、2つ又はそれ以上が非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内のレベルを超えた場合には低下し、かつ(iii)該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が、正常な健康なヒトの範囲のFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)と比較してなお上昇しているか、又は該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が、少なくとも15%、20%、もしくは30%減少しなかった場合には増加し、或いは(iv)鉄貯蔵パラメータ(例えば、ヘモグロブリン濃度、血清フェリチンレベル、及び/もしくはトランスフェリン飽和度)のうちの1つ、2つ又はそれ以上が、非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内のレベルを超えず、該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が正常な健康なヒトの範囲のFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)と比較してなお上昇しているか、又は該CKD患者におけるFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)が、少なくとも15%、20%、もしくは30%減少しなかった場合には増加し得る。特定の実施態様において、この段落で開示される方法に従って、該CKD患者は、1以上の有害心臓事象についても監視される。一実施態様において、該有害心臓事象は心不全である。別の実施態様において、該有害心臓事象は心室性不整脈である。別の実施態様において、該有害心臓事象は心筋梗塞(MI)である。別の実施態様において、該有害事象は左心室(LV)駆出率の低下である。別の実施態様において、該有害事象は心臓突然死である。別の実施態様において、該有害事象は大動脈基部拡張である。別の実施態様において、該有害事象は脳血管事象(脳卒中)である。具体的な実施態様において、該有害事象は左心室肥大(LVH)である。
特定の実施態様において、1以上の有害心臓事象のために本明細書に記載の方法に従って治療されるCKD患者は、非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内の血清リン酸塩レベルを有する。他の実施態様において、1以上の有害心臓事象のために本明細書に記載の方法に従って治療されるCKD患者は、血清リン酸塩レベルが上昇している。特定の実施態様において、1以上の有害心臓事象のために本明細書に記載の方法に従って治療されるCKD患者は、非CKD患者(例えば、健康なヒト)に見られる血清リン酸塩のレベルを約10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、又はそれ以上超える血清リン酸塩レベルを有する。具体的な実施態様において、1以上の有害心臓事象のために本明細書に記載の方法に従って治療されるCKD患者は、FGF-23レベルが上昇している。いくつかの実施態様において、1以上の有害心臓事象のために本明細書に記載の方法に従って治療されるCKD患者は、非CKD患者(例えば、健康なヒト)の正常範囲内の血清リン酸塩レベル及び上昇したFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23レベル及び/もしくはFGF-23のC-末端断片レベル)を有する。健康なヒトの血清中の無傷FGF-23の正常レベルは、約26.1pg/mLであり、健康なヒトの血清中のFGF-23のC末端断片の正常レベルは、約49.0RU/mLである。特定の実施態様において、該CKD患者のFGF-23レベル(例えば、無傷FGF-23及び/もしくはFGF-23のC-末端断片)は、健康なヒトの正常範囲と比較して上昇している。いくつかの実施態様において、該CKD患者の血清中の無傷FGF-23レベルは、250pg/mL〜350pg/mL、200pg/mL〜300pg/mL、200pg/mL〜350pg/mL、300pg/mL〜350pg/mL、300pg/mL〜400pg/mL、又は250pg/mL〜500pg/mLである。特定の実施態様において、該CKD患者の血清中の無傷FGF-23レベルは、200pg/mL、225pg/mL、250pg/mL、275pg/mL、300pg/mL、325pg/mL、又は350pg/mLを超える。いくつかの実施態様において、該CKD患者の血清中のFGF-23のC-末端断片レベルは、60RU/mL〜100RU/mL、100RU/mL〜200RU/mL、200RU/mL〜300RU/mL、又は250RU/mL〜400RU/mLである。特定の実施態様において、該CKD患者の血清中のFGF-23のC-末端断片レベルは、60RU/mL、100RUg/mL、125RU/mL、150RU/mL、175RU/mL、200RU/mL、225RU/mL、250RU/mL、275RU/mL、又は300RU/mLを超える。
いくつかの実施態様において、1以上の有害心臓事象のために本明細書に記載の方法に従って治療されるCKD患者は、静注鉄を受け取っていない。他の実施態様において、本明細書に記載の方法に従って治療されるCKD患者は、静注鉄を受け取っている。特定の実施態様において、CKD患者が受け取っている静注鉄の量は、該クエン酸第二鉄投与後に、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれ以上低下する。いくつかの実施態様において、1以上の有害心臓事象のために本明細書に記載の方法に従って治療されるCKD患者は、EPOを受け取っていない。他の実施態様において、1以上の有害心臓事象のために本明細書に記載の方法に従って治療されるCKD患者は、EPOを受け取っていない、受け取っている。特定の実施態様において、CKD患者が受け取っているEPOの量は、該クエン酸第二鉄投与後に、少なくとも5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又はそれ以上低下する。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、ヘモグロビン濃度の増加及び/又はFGF23の減少を経験する。具体的な実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、該対象のヘモグロビンレベルにおいて10g/dLを超える、11g/dLを超える、12g/dLを超える、13g/dLを超える、又は15g/dLを超えるレベルまでの増加を経験する。特定の実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、該対象のヘモグロビンレベルにおいて10g/dL〜11g/dL、11g/dL〜12g/dL、10g/dL〜13g/dL、11g/dL〜13g/dL、11g/dL〜15g/dL、又は12g/dL〜15g/dLのレベルまでの増加を経験する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清又は血漿中の無傷FGF-23レベルの少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%の減少を経験する。特定の実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清又は血漿中の無傷FGF-23レベルの15%〜30%、20%〜30%、25%〜50%、30%〜60%又は15%〜60%の減少を経験する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清又は血漿中のFGF-23のC-末端断片レベルの少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%の減少を経験する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清又は血漿中のFGF-23のC-末端断片レベルの15%〜30%、20%〜30%、25%〜50%、30%〜60%又は15%〜60%の減少を経験する。
特定の実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清リンレベルの減少を経験する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清リンレベルの少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%の減少を経験する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、血清リンレベルの15%〜30%、20%〜30%、25%〜50%、30%〜60%又は15%〜60%の減少を経験する。特定の実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、1以上の鉄貯蔵パラメータ、例えば、血清フェリチンレベル、TSAT値及び/又はヘモグロビン濃度の増加を経験する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、1以上の鉄貯蔵パラメータ、例えば、血清フェリチンレベル、TSAT値及び/又はヘモグロビン濃度の少なくとも15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、又は60%の増加を経験する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、1以上の鉄貯蔵パラメータ、例えば、血清フェリチンレベル、TSAT値及び/又はヘモグロビン濃度の15%〜30%、20%〜30%、25%〜50%、30%〜60%又は15%〜60%の増加を経験する。具体的な実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、1以上の心機能の改善を経験する。特定の実施態様において、本明細書に開示される方法に従って治療されるCKD患者は、1以上の有害心臓事象に関連する症状の数の減少及び/又は1以上の有害心臓事象に関連する1以上の症状の発症の低下を経験する。
いくつかの実施態様において、本開示は、慢性腎臓病を有する対象における有害心臓事象に関連する死亡率及び罹患率を低下させる方法であって、CKD患者、例えば、ESRD患者又はND-CKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法を提供する。特定の実施態様において、本開示は、慢性腎臓病を有する対象において有害心臓事象の発生又はリスクを低下させる方法であって、1g〜18g、6g〜12g、又は3g〜12gの範囲の量で慢性腎臓病患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法に関する。他の実施態様において、本開示は、慢性腎臓病を有する対象において有害心臓事象に関する入院の頻度又はリスクを低下させる方法であって、1g〜18g、6g〜12g、又は3g〜12gの範囲の量で慢性腎臓病患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法に関する。さらに他の実施態様は、慢性腎臓病を有する対象において心臓突然死の発生またはリスクを低下させる方法であって、1g〜18g、6g〜12g、又は3g〜12gの範囲の量で慢性腎臓病患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法に関する。さらに他の実施態様は、慢性腎臓病を有する対象において左心室肥大(LVH)を治療する方法であって、1g〜18g、6g〜12g、又は3g〜12gの範囲の量で慢性腎臓病患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む方法に関する。
いくつかの実施態様において、本方法は、210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でCKD患者にクエン酸第二鉄を経口投与することを含む。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、12週間にわたって、いくつかの実施態様において、24週間にわたって、いくつかの実施態様において、36週間にわたって、いくつかの実施態様において、48週間にわたって、かついくつかの実施態様において、52週間にわたって投与される。
再び、いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、各剤形が第二鉄を210mg含む1グラムの錠剤剤形で投与される。いくつかの実施態様において、該患者に、1日当たり最大18個の錠剤剤形が投与される。特定の実施態様において、該患者に、1日当たり3個の錠剤剤形が投与される。いくつかの実施態様において、該患者に、1日当たり6個の錠剤剤形が投与される。特定の実施態様において、該患者に、1日当たり3〜12個の錠剤剤形が投与される。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、該患者による食事又は間食の摂取後1時間以内に投与される。いくつかの実施態様において、該患者は、該クエン酸第二鉄の投与前の少なくとも3ヶ月間、週3回の血液透析又は腹膜透析により治療された。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、約16m2/gを超えるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、該BET活性表面積は、約16m2/g〜約20m2/gの範囲である。いくつかの実施態様において、該BET活性表面積は、約27.99m2/g〜約32.34m2/gの範囲である。いくつかの実施態様において、該BET活性表面積は、27.99m2/g、28.87m2/g及び32.34m2/gから選択される。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1.88〜4.0mg/cm2/分の固有溶解速度を有する。
(経口鉄補給剤)
いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において鉄吸収を増加させるのに有効な量のクエン酸第二鉄を含む経口鉄補給剤を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において鉄貯蔵を維持するのに有効な量のクエン酸第二鉄を含む経口鉄補給剤を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において1以上の鉄貯蔵パラメータを改善するのに有効な量のクエン酸第二鉄を含む経口鉄補給剤を提供する。いくつかの実施態様において、該1以上の鉄貯蔵パラメータは、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度(Hb)、総鉄結合能(TIBC)、トランスフェリン飽和度(TSAT)、血清鉄レベル、肝臓鉄レベル、脾臓鉄レベル、及び血清フェリチンレベルから選択される。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において鉄欠乏を治療するのに有効な量のクエン酸第二鉄を含む経口鉄補給剤を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において貧血を治療するのに有効な量のクエン酸第二鉄を含む経口鉄補給剤を提供する。
いくつかの実施態様において、本開示は、210mgの用量の第二鉄を有するクエン酸第二鉄を含む経口鉄補給剤を提供する。いくつかの実施態様において、クエン酸第二鉄を含む経口鉄補給剤は、第二鉄の用量が210mg〜2,520mgの範囲となるように投与することができる。
いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において鉄吸収を増加させるための経口鉄補給剤の製造で使用するためのクエン酸第二鉄を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において鉄貯蔵を維持するための経口鉄補給剤の製造で使用するためのクエン酸第二鉄を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において1以上の鉄貯蔵パラメータを改善するための経口鉄補給剤の製造で使用するためのクエン酸第二鉄を提供する。いくつかの実施態様において、該1以上の鉄貯蔵パラメータは、ヘマトクリット値、ヘモグロビン濃度(Hb)、総鉄結合能(TIBC)、トランスフェリン飽和度(TSAT)、血清鉄レベル、肝臓鉄レベル、脾臓鉄レベル、及び血清フェリチンレベルから選択される。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において鉄欠乏を治療するための経口鉄補給剤の製造で使用するためのクエン酸第二鉄を提供する。いくつかの実施態様において、本開示は、CKD患者において貧血を治療するための経口鉄補給剤の製造で使用するためのクエン酸第二鉄を提供する。
いくつかの実施態様において、本開示は、210mgの用量の第二鉄を含む経口鉄補給剤の製造で使用するためのクエン酸第二鉄を提供する。
(クエン酸第二鉄)
様々な態様において、本開示は、CKD患者において、血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させるためのクエン酸第二鉄の使用に関する。様々な態様において、本開示は、CKD患者において、血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させるためのクエン酸第二鉄及び医薬として許容し得る結合剤を含む医薬組成物の使用に関する。特定の態様において、本開示は、1以上の有害心臓事象、LVH、左心室機能不全、及び/又は心不全を治療するためのクエン酸第二鉄及び医薬として許容し得る結合剤を含む医薬組成物の使用に関する。
したがって、クエン酸第二鉄の製剤及び該クエン酸第二鉄を含む医薬組成物が本明細書に開示される。様々な実施態様において、該クエン酸第二鉄製剤、及び該クエン酸第二鉄製剤を含む医薬組成物は、特定の溶解、錠剤化、及び崩壊基準を満たす。様々な態様において、該医薬組成物は、活性成分としてのクエン酸第二鉄と、結合剤とを含むことができる。該医薬組成物は、滑沢剤及び/又は崩壊剤(これは、いくつかの実施態様において、結合剤と同じであり得る)も含むことができる。
使用について本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤の特定の実施態様は、米国特許第7,767,851号、同第8,093,423号、同第8,299,298号、同第8,338,642号、同第8,754,258号、同第8,846,976号、及び同第8,754,257号、並びにPCT公開WO 2004/074444号、WO 2007/022435号、WO 2007/089571号、WO 2007/089577号及びWO 2011/011541号にも開示されている。しかしながら、該クエン酸第二鉄製剤の特定の実施態様は、本開示に特有である。本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、市販又は化学グレード形態のクエン酸第二鉄と比べて増大したBET活性表面積を示す。BET理論は、固体表面上への気体分子の物理的吸着を説明するものである。この理論は、材料の比表面積の測定の根拠として役立つ。この理論は、非常に正確な方法での材料の表面積の計算を可能にし、それにより、それ以外の方法では同じ材料であるように見える別々の製剤の違いを見分けることができる。例えば、活性炭は、それが極めて多孔性となり、それにより、非常に大きい表面積を有するように加工されている炭素の形態である。活性炭は、BET理論から導き出される計算を用いて、約3000m2g-1の表面積を有することが実験的に明らかにされている。この表面積は、同じ材料でできているとしても、炭素の他の製剤の活性表面積よりも顕著に大きい。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、16m2/gを超えるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される高純度クエン酸第二鉄製剤は、20m2/gを超えるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される高純度クエン酸第二鉄製剤は、25m2/gを超えるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される高純度クエン酸第二鉄製剤は、30m2/gを超えるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される高純度クエン酸第二鉄製剤は、35m2/gを超えるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される高純度クエン酸第二鉄製剤は、40m2/gを超えるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される高純度クエン酸第二鉄製剤は、45m2/gを超えるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示される高純度クエン酸第二鉄製剤は、50m2/gを超えるBET活性表面積を有する。具体的な実施態様において、該高純度クエン酸第二鉄製剤は、不純物、例えば、ベータ−水酸化鉄酸化物を6重量%未満、5重量%未満、4重量%未満、3重量%未満又は2重量%未満を有する。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、16.17m2/g〜19.85m2/gの範囲のBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、16.17m2/g及び19.85m2/gから選択されるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、27m2/gを超えるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、27.99m2/g〜32.34m2/gの範囲のBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、28.5m2/g〜31.5m2/gの範囲のBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、27.99m2/g、28.87m2/g及び32.34m2/gから選択されるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、28.5m2/g、29.1m2/g、30.6m2/g及び31.5m2/gから選択されるBET活性表面積を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、30m2/g〜40m2/gのBET活性表面積を有する。これは、クエン酸第二鉄の他の製剤、例えば、本開示の出願日の時点で公知かつ市販されている化学グレード製剤とは際立って対照的である。市販グレードのクエン酸第二鉄製剤は、本開示のクエン酸第二鉄製剤よりも実質的に小さいBET活性表面積を有する。したがって、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、吸着又は化学反応に利用可能な顕著により大きい表面積を有し、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、市販の製剤よりも実質的に反応性が高くなっている。
PCT公開WO2004/074444号に開示されている方法によって生成される5つのクエン酸第二鉄製剤について測定されたBET活性表面積が明らかにされている。これらのBET活性表面積を、市販グレードのクエン酸第二鉄製剤のBET活性表面積と比較して、下の表1に示す:
表1.様々な形態のクエン酸第二鉄のBET活性表面積
PCT公開WO2011/011541号に開示されている方法によって製造される5つのクエン酸第二鉄製剤について測定されたBET活性表面積が明らかにされている。これらのBET活性表面積を、市販グレードのクエン酸第二鉄製剤のBET活性表面積と比較して、下の表2に示す:
表2. BET活性表面積
1 PCT公開WO 2011/011541号の実施例10から引用。
2 PCT公開WO 2011/011541号の実施例10から引用。
3 PCT公開WO 2011/011541号の実施例11から引用。
4 PCT公開WO 2011/011541号の実施例11から引用。
5 PCT公開WO 2011/011541号の実施例11から引用。
本明細書に開示される方法によって生成される4つの追加のクエン酸第二鉄製剤についてのBET活性表面積も明らかにされている。これらのBET活性表面積を、市販グレードのクエン酸第二鉄製剤のBET活性表面積と比較して、下の表3に示す:
表1、2、及び3に開示されるクエン酸第二鉄製剤の実施態様のBET活性表面積は、このように、市販グレードのクエン酸第二鉄のBET活性表面積よりも顕著に大きい。
表4は、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄の第二鉄アッセイ含有量を示す。第二鉄アッセイ含有量は、表4に示すクエン酸第二鉄製剤のそれぞれの中の第二鉄の量を表す。いくつかの実施態様において、第二鉄アッセイ含有量は、約20%w/wを上回るか又はそれを超える。いくつかの実施態様において、第二鉄アッセイ含有量は、21.2%w/wである。いくつかの実施態様において、第二鉄アッセイ含有量は、22.1%w/wである。いくつかの実施態様において、第二鉄アッセイ含有量は、22.4%w/wである。いくつかの実施態様において、第二鉄アッセイ含有量は、21%w/w〜23%w/wである。
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、鉄(III)とクエン酸の錯体である。具体的な態様において、鉄(III)とクエン酸の錯体は水を含む。いくつかの態様において、鉄(III)対クエン酸のモル比は、1:0.70〜1:0.78である。いくつかの態様において、鉄(III)対クエン酸のモル比は、1:0.69〜1:0.87である。いくつかの態様において、鉄(III)対クエン酸のモル比は、1:0.75〜1:1.10である。いくつかの態様において、鉄(III)対クエン酸のモル比は、1:0.78〜1:0.95である。いくつかの態様において、鉄(III)対クエン酸のモル比は、1:0.80〜1:0.92である。いくつかの態様において、鉄(III)対クエン酸のモル比は、1:0.81〜1:0.91である。いくつかの態様において、鉄(III)対クエン酸のモル比は、1:0.75〜1:1.15である。いくつかの態様において、鉄(III)対クエン酸のモル比は、1:0.80〜1:1.10である。
いくつかの態様において、鉄(III)対水のモル比は、1:0.32〜1:0.42である。いくつかの態様において、鉄(III)対水のモル比は、1:0.32〜1:0.46である。いくつかの態様において、鉄(III)対水のモル比は、1:1.8〜1:3.2である。いくつかの態様において、鉄(III)対水のモル比は、1:1.8〜1:3.2である。いくつかの態様において、鉄(III)対水のモル比は、1:2.4〜1:3.1である。いくつかの態様において、鉄(III)対水のモル比は、1:2.7〜1:3.1である。
具体的な実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、鉄(+3),x(1,2,3-プロパントリカルボン酸、2-ヒドロキシ-),y(水)として化学的に知られている。
x = 0.70〜0.87、y = 1.9〜3.3
具体的な実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、四鉄トリクエン酸十水和物(tetraferric tricitrate decahydrate)である。
具体的な実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、不純物、例えば、ベータ−水酸化鉄酸化物を実質的に含まない。特定の実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、クエン酸第二鉄製剤の総重量に基づいて、不純物、例えば、ベータ−水酸化鉄酸化物を6重量%未満含有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、該クエン酸第二鉄製剤の総重量に基づいて、不純物、例えば、ベータ−水酸化鉄酸化物を5重量%未満含有する。特定の実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、該クエン酸第二鉄製剤の総重量に基づいて、不純物、例えば、ベータ−水酸化鉄酸化物を4重量%未満含有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、該クエン酸第二鉄製剤の総重量に基づいて、不純物、例えば、ベータ−水酸化鉄酸化物を3重量%未満含有する。
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、市販グレード又は化学グレード形態のクエン酸第二鉄と比べて、より可溶性である。溶解試験では、5分以内に溶解した本開示のクエン酸第二鉄のパーセンテージは、装置IIを用いて、USP<711>容器中でクエン酸第二鉄製剤に対して行われた溶解試験において、91%以上であり、15分以内では96%以上、30分以内では96%以上、及び60分以内では95%以上である。表5は、本開示によるクエン酸第二鉄の4つの例示的バッチについての溶解試験データを示す。溶解試験に使用した特定の標準物質は、100という基準値を設定するものであり、したがって、あるバッチが100%を超えて溶解し得る程度まで、それは、その標準物質と比較した溶解率である。
したがって、いくつかの実施態様において、15分以内に溶解したクエン酸第二鉄のパーセンテージは、装置IIを用いてUSP<711>容器中で行われた溶解試験において80%以上である。いくつかの実施態様において、15分以内に溶解したクエン酸第二鉄のパーセンテージは、装置IIを用いてUSP<711>容器中で行われた溶解試験において85%以上である。いくつかの実施態様において、15分以内に溶解したクエン酸第二鉄のパーセンテージは、装置IIを用いてUSP<711>容器中で行われた溶解試験において90%以上である。いくつかの実施態様において、15分以内に溶解したクエン酸第二鉄のパーセンテージは、装置IIを用いてUSP<711>容器中で行われた溶解試験において91%以上である。いくつかの実施態様において、15分以内に溶解したクエン酸第二鉄のパーセンテージは、装置IIを用いてUSP<711>容器中で行われた溶解試験において95%以上である。いくつかの実施態様において、15分以内に溶解したクエン酸第二鉄のパーセンテージは、装置IIを用いてUSP<711>容器中で行われた溶解試験において96%以上である。いくつかの実施態様において、15分以内に溶解したクエン酸第二鉄のパーセンテージは、装置IIを用いてUSP<711>容器中で行われた溶解試験において97%以上である。いくつかの実施態様において、15分以内に溶解したクエン酸第二鉄のパーセンテージは、装置IIを用いてUSP<711>容器中で行われた溶解試験において100%以上である。
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、市販グレード又は化学グレード形態のクエン酸第二鉄と比べて、より可溶性である。本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤のこの溶解度の増加は、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤の特有の、顕著に大きい活性表面積の結果であると考えられる。固有溶解速度は、一定の表面積の条件下での純物質の溶解速度と定義される。原薬の固有溶解速度及び生体利用率は、その固体状態特性の影響を受け、該特性には:結晶化度、無定形性、多形性、水和、溶媒和、粒径及び粒子表面積が含まれる。測定される固有溶解速度は、これらの固体状態特性に依存し、通常、一定の温度、撹拌速度、及びpHを維持しながら、材料の一定の表面積を適当な溶解媒体に露出させることによって決定される。
いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、1.88mg/cm2/分〜4mg/cm2/分の固有溶解速度を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、2.28mg/cm2/分を上回る固有溶解速度を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、2.28mg/cm2/分を超える固有溶解速度を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、2.99mg/cm2/分の固有溶解速度を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、2.28mg/cm2/分〜2.99mg/cm2/分の範囲の固有溶解速度を有する。いくつかの実施態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、2.28mg/cm2/分及び2.99mg/cm2/分から選択される固有溶解速度を有する。これは、クエン酸第二鉄の他の製剤、例えば、公知かつ市販の化学グレード製剤とは際立って対照的である。市販グレードのクエン酸第二鉄製剤は、本開示のクエン酸第二鉄製剤よりも実質的に低い固有溶解速度を有する。したがって、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、顕著により高い固有溶解速度を有し、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤は、市販の製剤よりも実質的に可溶性が高くなっている。
固有溶解速度を、本開示に従って生成されるクエン酸第二鉄製剤について決定した。平均固有溶解速度を、市販グレードのクエン酸第二鉄製剤の溶解速度と比較して、下の表6に示す:
表6に開示されるクエン酸第二鉄製剤の固有溶解速度は、このように、市販グレードのクエン酸第二鉄の固有溶解速度よりも顕著に高い。
(製造方法)
本開示によって提供されるクエン酸第二鉄製剤の例示的な製造方法は、米国特許第7,767,851号、同第8,093,423号、同第8,299,298号、同第8,338,642号、同第8,754,258号、同第8,846,976号、及び同第8,754,257号、並びにPCT公開WO 2004/074444号、WO 2007/022435号、WO 2007/089571号、WO 2007/089577号及びWO 2011/011541号に開示されている。
(投与様式)
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、ヒト用医薬品で有利に使用することができる。本明細書に開示されるように、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、CKD患者において、血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させるのに有用である。本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、鉄補給剤として有利に使用することもできる。様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、経口投与することができる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、経口剤形で投与される。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、経口錠剤剤形で投与される。いくつかの実施態様において、該錠剤は、カプレットの形態である。
上記の疾患及び/もしくは状態を治療するために使用する場合、又は鉄補給剤として使用する場合、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、単独で、或いは他の薬剤と組み合わせて投与するか、又は適用することができる。本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、単独で、或いはCKD患者において血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させることが知られている他の薬剤を含む他の医薬活性薬剤と組み合わせて、投与するか、又は適用することもできる。
さらに、該クエン酸第二鉄は、高血圧を含む有害心臓事象を治療することが知られている医薬活性薬剤と組み合わせて投与することができる。適切な高血圧の薬としては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、例えば、カプトプリル(カポテン)、リシノプリル(プリニビル、ゼストリル)及びラミプリル(アルテース);アンジオテンシンII受容体遮断薬、例えば、ロサルタン(コザール)、オルメサルタン(ベニカー)及びバルサルタン(ディオバン);ベータ遮断薬、例えば、メトプロロール(ロプレソール、トプロールXL)、ナドロール(コルガード)及びペンブトロール(レバトール);カルシウムチャネル遮断薬、例えば、アムロジピン(ノルバスク)、ジルチアゼム(カルジゼム、ジラコールXR)及びニフェジピン(アダラート、プロカルディア);レニン阻害剤、例えば、アリスキレン(テクツルナ(Tekturna));及び利尿薬、例えば、チアジドが挙げられる。
該クエン酸第二鉄及び追加の医薬活性薬剤は、当技術分野で公知の任意の方法、例えば、単位剤形で、又は治療を必要とする対象への同時投与もしくは連続投与を意図した別々の剤形で組み合わせることができる。逐次投与する場合、組み合わせは、2回以上の投与で投与することができる。代替実施態様において、異なる経路によって本発明の1以上の化合物及び1以上の追加の活性成分を投与することが可能である。
本発明の方法によれば、活性成分の組み合わせは:(1)同時製剤化して、投与するか、又は複合製剤で同時に送達するか、(2)別々の製剤として交互に又は並行して送達するか、或いは(3)当技術分野で公知の任意の他の併用療法投与計画によるものであってよい。交互療法で送達する場合、本発明の方法は、例えば、別々の剤形で、活性成分を順次投与するか、又は送達することを含んでよい。一般に、交互療法の間、有効投与量の各活性成分が、順次、すなわち、連続して投与されるが、同時治療においては、有効投与量の2種類以上の活性成分が共に投与される。間欠的な併用療法の様々な順序も使用してよい。
治療方法は上で開示されており、210mg〜2,520mgの範囲の第二鉄の用量でクエン酸第二鉄を患者に経口投与することを含む。したがって、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、経口投与することができる。様々な態様において、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、1グラムのクエン酸第二鉄及び約210mgの用量の第二鉄を含む経口錠剤剤形で投与してもよい。
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、腸管腔からの鉄の吸収を強化し、かつ吸収後の鉄の貯蔵を強化/維持するのに役立つ。鉄の吸収及び貯蔵の強化は、CKD患者に投与されるクエン酸第二鉄中のクエン酸塩の存在によるものであり得ると考えられる。いかなる理論にも束縛されることを望まないが、いくつかの研究により、クエン酸塩と組み合わせた鉄(クエン酸の共役塩基)の投与が、食事供給源から吸収される鉄の量を顕著に(例えば、数倍)増加させるのに役立つことが示されている(例えば、Ballotらの文献、Br. J. Nutr.(1987) 57, 331-343; Gilloolyらの文献、Br. J. Nutr.(1983) 49, 331-342; Zhangらの文献、Eur. J. Nutr.(2007) 46, 95-102;及びSalovaaraらの文献、J. Agric. Food Chem.(2002) 50, 6233-6238を参照されたい)。
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄は、いくつかの実施態様において、1日に1回、いくつかの実施態様において、1日に2回、いくつかの実施態様において、1日に3回、かついくつかの実施態様において、1日に3回以上投与することができる。様々な態様において、該クエン酸第二鉄は、1日のうちに、分割される日用量の形態で投与してもよい。例として、クエン酸第二鉄の1日用量は6グラムであってよく、その6グラムを、午前中に2グラムを服用し、午後に2グラムを服用し、かつ夜に最後の2グラムを服用して、1日で合計6グラムとなるように、1日の間に分散させてもよい。
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄を用いて、CKD患者において血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させると同時に、既知の形態の経口鉄補給剤(例えば、第一鉄含有補給剤)及び/又はIV鉄補給剤と関連する薬物副作用を軽減することもできる。
(医薬組成物及び鉄補給剤)
本明細書に開示されるクエン酸第二鉄製剤及び結合剤を含むクエン酸第二鉄含有医薬組成物が本明細書に開示される。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、CKD患者に鉄補給剤として提供することができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、CKD患者に、リン酸塩結合剤として提供するか、かつ/又はCKD患者において血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させるために提供することができる。様々な実施態様において、該医薬組成物は、特定の溶解、錠剤化、及び/又は崩壊の基準を満たす。様々な態様において、該医薬組成物は、活性成分としてのクエン酸第二鉄及び結合剤を含むことができる。該医薬組成物は、滑沢剤及び/又は崩壊剤(これは、いくつかの実施態様において、結合剤と同じであり得る)も含むことができる。いくつかの実施態様において、該医薬組成物は、経口錠剤剤形である。
本開示によって提供される医薬組成物及び経口錠剤剤形の特定の実施態様は、PCT公開WO 2011/011541号に開示されている。しかしながら、他の実施態様は、本開示に特有である。
(経口錠剤剤形及び経口鉄補給剤)
一態様において、該医薬組成物は、クエン酸第二鉄及び結合剤を含む錠剤である。本明細書で使用されるように、「錠剤」は、例えば、打錠機を用いた圧縮力により生成される物質である。他の実施態様において、該錠剤は、クエン酸第二鉄、結合剤、滑沢剤及び崩壊剤を含むことができる。いくつかの実施態様において、単一の錠剤は、210mg用量の第二鉄を有する1グラムのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤を用いて、CKD患者において、血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させることができる。いくつかの実施態様において、該錠剤をCKD患者に経口鉄補給剤として投与することができる。
いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、製剤の約65重量%を超える、製剤の約70重量%を超える、製剤の約75重量%を超える、製剤の約80重量%を超える、製剤の約85重量%を超える、製剤の約90重量%を超える、及び製剤の約92%にも達する値で錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に存在するクエン酸第二鉄の高充填薬物と特徴付けることができる。中間値、例えば、約80重量%のクエン酸第二鉄、約85重量%のクエン酸第二鉄、及び約90重量%のクエン酸第二鉄なども、クエン酸第二鉄の錠剤及び/又は経口鉄補給剤で使用することができる。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約75%〜約92%、約80%〜約92%、約85%〜約92%、及び約90%〜約92%の値で錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に存在するクエン酸第二鉄の高充填薬物と特徴付けることができる。これらの高充填重量パーセントで生成される錠剤及び/又は経口鉄補給剤の特徴は、様々なもの、例えば、結合剤、結合剤の量、崩壊剤、崩壊剤の量、使用される製剤化方法(例えば、造粒、直接圧縮)、錠剤化パラメータなどによって制御される。したがって、錠剤及び/又は経口鉄補給剤が作られ、それが微量のラミネーション又はキャッピングを有する場合、上記の様々なもののうちの1以上を変えることによって、該ラミネーション又はキャッピングを補正することができる。
様々な実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、1以上の結合剤、1以上の滑沢剤、及び1以上の崩壊剤の中から選択される1以上の成分を含有する。
結合剤は、当技術分野で公知の任意の結合剤であり得る。限定するものではないが、結合剤の例としては、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、カルボポル(carbolpol)、セルロースゴム(カルボキシメチルセルロース)、エチルセルロース、マルトデキストリン、PVP/VA、ポビドン、微結晶性セルロース、デンプン、部分又は完全アルファ化デンプン、及びメチルセルロースのうちの1以上を挙げることができる。該クエン酸第二鉄の錠剤及び/又は経口鉄補給剤中で使用される場合、マルトデキストリン、PVP/VA、及びメチルセルロースは、即放性結合剤として機能する。具体的な実施態様において、錠剤及び/又は鉄補給剤で使用される結合剤は、アルファ化デンプンを含む。
結合剤の組合せを用いて、結合剤の効果を制御し、かつ変更することができることも理解されるべきである。例えば、結合剤系を、微結晶性セルロースの有無にかかわらず、ヒドロキシプロピルセルロース及びポリビニルピロリドン(ポビドン)から作製することができる。ヒドロキシプロピルセルロース及びポビドンのうちの一方又は両方をアルファ化デンプンと置き換えることができる。
様々な態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、滑沢剤を含むことができる。該クエン酸第二鉄の錠剤及び/又は経口鉄補給剤用の滑沢剤の一例として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム及び組合せを使用することができる。他の好適な滑沢剤としては、ポリエチレングリコール(3350を上回る分子量)、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、鉱油、ロイシン、及びポロキサマーのうちの1以上が挙げられる。
様々な態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、崩壊剤を含むことができる。崩壊剤を該錠剤及び/又は経口鉄補給剤に含めることができる。崩壊剤は、結合剤と同じもの又は異なるものであり得る。限定するものではないが、例として、微結晶性セルロースは、結合剤と崩壊剤の両方の性質を有しており、微結晶性セルロースは、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中の唯一の結合剤/崩壊剤として使用することができる。他の好適な崩壊剤の例としては、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、グリコール酸デンプンナトリウム、及びデンプンが挙げられる。
結合剤は、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に、約4.5重量%〜約30重量%の範囲の量で存在することができる。特定の実施態様において、結合剤は、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に、約5重量%〜約15重量%の範囲の量で存在する。いくつかの実施態様において、結合剤は、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に、約10重量%〜約15重量%の範囲の量で存在する。崩壊剤は、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に、約1.5重量%〜約15重量%の範囲の量で存在することができる。様々な実施態様において、いくつかの非デンプン崩壊剤は、より低い重量パーセント、例えば、わずか0.25%程度で使用される場合が多く、したがって、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に存在する崩壊剤は、いくつかの条件では、わずか0.25%程度であり得る。
滑沢剤は、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に、約0.5重量%〜約3重量%の範囲の量で存在することができる。特定の実施態様において、滑沢剤は、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に、約0.5重量%〜約2重量%の範囲の量で存在する。いくつかの実施態様において、滑沢剤は、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中に、約0.5重量%〜約1重量%の範囲の量で存在する。いくつかの成分、例えば、微結晶性セルロースは、崩壊剤と結合剤の両方の性質をもって機能することができることが理解されるべきである。
個々の錠剤及び/又は経口鉄補給剤の重量は、生成されるべき最終投与量;例えば、125mg、250mg、500mg、667mg、750mg及び1,000mgのクエン酸第二鉄に依存し得る。いくつかの実施態様において、錠剤は、1グラムのクエン酸第二鉄、したがって、210mgの用量の第二鉄を含む。
様々な実施態様において、錠剤及び/又は経口鉄補給剤を、Opadry懸濁液又は同等物を穿孔パンコーターで用いて、約2%〜5%の重量増までコーティングする。ステアリン酸カルシウム及びOpadryパープルを、それぞれ、異なる滑沢剤もしくはコーティング系に置き換えるか、又はそれらとともに使用することができる。
他のバリエーションにおいて、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、含水量が低い。一実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、20%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、19%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、18%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、17%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、16%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、15%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、14%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、13%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、12%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの含水量は、11%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの含水量は、10%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、9%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、8%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、7%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、6%未満である。別の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、5%未満である。
特定の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、10%〜15%である。いくつかの実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、5%〜10%である。特定の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、5%〜14%である。いくつかの実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、5%〜12%である。特定の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、10%〜14%である。いくつかの実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、2%〜14%である。特定の実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、2%〜10%である。いくつかの実施態様において、LOD%で測定したときの該錠剤の含水量は、2%〜12%である。
LOD(乾燥減量)は、熱重量分析による水分測定法である。熱重量分析過程において、材料の水分は、加温中に揮発する物質を含み、したがって、該材料の質量損失の一因となる。水と同時に、これは、アルコール又は分解産物も含み得る。熱重量測定法を使用する(赤外線、ハロゲン、マイクロ波又はオーブンを用いて乾燥させる)場合、水と他の揮発性成分とは区別されない。
いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約1000mg、約667mg、約500mg、約250mg及び約125mgから選択される量のクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、1グラム(1000mg)のクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含む。
いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、1.3グラムのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、1.5グラムのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、1.6グラムのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg及び2000mgから選択される量のクエン酸第二鉄を含む。具体的な実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約1グラムのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約1000mg〜1050mg、975mg〜1050mg、又は950mg〜1050mgのクエン酸第二鉄を含む。
いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約65重量%〜92重量%のクエン酸第二鉄;約4.5重量%〜30重量%の結合剤;及び0.5重量%〜3重量%の滑沢剤を含む。特定の実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約80重量%〜約92重量%のクエン酸第二鉄;約5重量%〜約15重量%の結合剤;及び約0.5重量%〜約2重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約85重量%〜約92重量%のクエン酸第二鉄;約5重量%〜約15重量%の結合剤;及び約0.5重量%〜約1重量%の滑沢剤を含む。いくつかの実施態様において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムのうちの1以上から選択される。具体的な実施態様において、滑沢剤はステアリン酸カルシウムである。特定の実施態様において、結合剤はアルファ化でんぷんであり、滑沢剤はステアリン酸カルシウムである。
いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、65重量%〜92重量%のクエン酸第二鉄及び4.5重量%〜30重量%の結合剤を含み、前記錠剤の平均表面積対質量比は、1グラム当たり1m2以上であり、該錠剤のLOD%水は20%水w/w未満である。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤の平均表面積対質量比は、1グラム当たり5m2以上であり得る。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤の平均表面積対質量比は、1グラム当たり10m2以上であり得る。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、少なくとも70重量パーセントのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、少なくとも80重量パーセントのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、少なくとも90重量パーセントのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、結合剤は、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、グアーガム、アラビアゴム、キサンタンガム、カルボポル、セルロースゴム(カルボキシメチルセルロース)、エチルセルロース、マルトデキストリン、PVP/VA、ポビドン、微結晶性セルロース、デンプン(部分又は完全アルファ化デンプン)及びメチルセルロースのうちの1以上を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤のLOD%水は、15%水w/w未満である。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤のLOD%水は、10%水w/w未満である。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、微結晶性セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、及びデンプンのうちの1以上から選択される崩壊剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、及びフマル酸ステアリルナトリウムのうちの1以上から選択される滑沢剤をさらに含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、0.5%〜3%の滑沢剤を含む。いくつかの実施態様において、結合剤は、アルファ化デンプンを含む。いくつかの実施態様において、滑沢剤は、ステアリン酸カルシウム及びフマル酸ステアリルナトリウムを含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中のクエン酸第二鉄の少なくとも80%は、試験法USP<711>で測定したとき60分以下の時間で溶解する。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中のクエン酸第二鉄の少なくとも80%は、試験法USP<711>で測定したとき45分以下の時間で溶解する。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約1000mgのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約667mgのクエン酸第二鉄を含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約500mgのクエン酸第二鉄を含む。
特定の実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約80重量%〜約92重量%のクエン酸第二鉄及び約5重量%〜約15重量%の結合剤を含み、前記錠剤の平均表面積対質量比は、1グラム当たり1m2以上であり、該錠剤のLOD%水は5%〜14%である。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約85重量%〜約92重量%のクエン酸第二鉄及び約5重量%〜約15重量%の結合剤を含み、該錠剤の平均表面積対質量比は、1グラム当たり1m2以上であり、該錠剤のLOD%水は5%〜14%である。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤の平均表面積対質量比は、1グラム当たり5m2以上であり得る。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤の平均表面積対質量比は、1グラム当たり10m2以上である。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約0.5%〜約3%の滑沢剤を含む。特定の実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約0.5%〜約2%の滑沢剤を含む。いくつかの実施態様において、結合剤は、アルファ化デンプンを含む。いくつかの実施態様において、滑沢剤は、ステアリン酸カルシウムを含む。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中のクエン酸第二鉄の少なくとも80%は、試験法USP<711>で測定したとき60分以下の時間で溶解する。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中のクエン酸第二鉄の少なくとも80%は、試験法USP<711>で測定したとき45分以下の時間で溶解する。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約1000mgのクエン酸第二鉄を含む。
特定の実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約80重量%〜約92重量%のクエン酸第二鉄;約5重量%〜約15重量%の結合剤;及び約0.5重量%〜約2重量%の滑沢剤を含み、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中のクエン酸第二鉄の少なくとも80%は、試験法USP<711>で測定したとき45分以下、又は60分以下の時間で溶解する。いくつかの実施態様において、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、約85重量%〜約92重量%のクエン酸第二鉄;約5重量%〜約15重量%の結合剤;及び約0.5重量%〜約1重量%の滑沢剤を含み、該錠剤及び/又は経口鉄補給剤中のクエン酸第二鉄の少なくとも80%は、試験法USP<711>で測定したとき45分以下、又は60分以下の時間で溶解する。
表7は、本開示の一実施態様によるクエン酸第二鉄の錠剤及び/又は経口鉄補給剤用の製剤を提供する:
表7.クエン酸第二鉄の錠剤及び/又は経口鉄補給剤の製剤化
*−精製水は製造プロセスの乾燥段階中に除去される。
表8は、本開示の一実施態様によるクエン酸第二鉄の錠剤及び/又は経口鉄補給剤用の製剤を提供する:
表8:
(1)-ステアリン酸カルシウム又はフマル酸ステアリルナトリウムのどちらかを滑沢剤として使用する。
*-精製水は除去される。
表9は、本開示の一実施態様によるクエン酸第二鉄の錠剤及び/又は経口鉄補給剤用の製剤を提供する:
表10は、本開示の一実施態様によるクエン酸第二鉄の錠剤及び/又は経口鉄補給剤用の製剤を提供する:
表10:
*精製水は除去される。
表11は、本開示の一実施態様によるクエン酸第二鉄の錠剤及び/又は経口鉄補給剤用の製剤を提供する:
(投薬)
本明細書に開示される錠剤及び/又は経口鉄補給剤は、多くの用量のクエン酸第二鉄を収容するように作製することができる。個々の錠剤及び/又は経口鉄補給剤の重量は、生成されるべき最終投与量;例えば、1錠当たり125mg、250mg、500mg、667mg、750mg及び1,000mgのクエン酸第二鉄によって決まり得る。様々な態様において、該クエン酸第二鉄は、約210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含む錠剤剤形で提供される。投与される錠剤及び/又は経口鉄補給剤の数は、投与されるべきクエン酸第二鉄の所望の量に適合するように調整することができる。例えば、CKD患者が、単回用量で毎日4グラムのクエン酸第二鉄を服用するように指示される場合、該CKD患者は、各々1グラムのクエン酸第二鉄を含む4個の錠剤及び/又は経口鉄補給剤を服用してもよいし、又は各々500mgのクエン酸第二鉄を含む8個の錠剤及び/又は経口鉄補給剤を服用してもよい。
いくつかの実施態様において、CKD患者に投与されるクエン酸第二鉄の日用量は、210mg〜3,780mgの範囲の第二鉄の用量で、1グラム〜18グラムであり得る。いくつかの実施態様において、各錠剤が210mgの用量の第二鉄を有する1グラムのクエン酸第二鉄を含む1以上の錠剤は、CKD患者において血清リンレベルを低下させ、かつ/又は制御し、血清重炭酸塩レベルを増加させ、1以上の鉄貯蔵パラメータを改善し(例えば、血清フェリチンレベルを増加させ、トランスフェリン飽和度(TSAT)を増加させ、ヘモグロビン濃度を増加させ)、鉄吸収を増加させ、鉄貯蔵を維持し、鉄欠乏を治療し、貧血を治療し、IV鉄の必要性を低下させ、かつ/又は赤血球生成刺激剤(ESA)の必要性を低下させるために投与される。
いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり1錠の日用量で投与され、該錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、1グラムのクエン酸第二鉄及び210mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり2錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、2グラムのクエン酸第二鉄及び420mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり3錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、3グラムのクエン酸第二鉄及び630mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり4錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、4グラムのクエン酸第二鉄及び840mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり5錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、5グラムのクエン酸第二鉄及び1,050mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり6錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、6グラムのクエン酸第二鉄及び1,260mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり7錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、7グラムのクエン酸第二鉄及び1,470mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり8錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、8グラムのクエン酸第二鉄及び1,680mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり9錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、9グラムのクエン酸第二鉄及び1,890mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり10錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、10グラムのクエン酸第二鉄及び2,100mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり11錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、11グラムのクエン酸第二鉄及び2,310mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり12錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、12グラムのクエン酸第二鉄及び2,520mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり13錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、13グラムのクエン酸第二鉄及び2,730mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり14錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、14グラムのクエン酸第二鉄及び2,940mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり15錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、15グラムのクエン酸第二鉄及び3,150mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり16錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、16グラムのクエン酸第二鉄及び3,360mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり17錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、17グラムのクエン酸第二鉄及び3,570mgの第二鉄になる。いくつかの実施態様において、該クエン酸第二鉄は、1日当たり18錠の日用量で投与され、各々の錠剤は、210mgの第二鉄を含有する1グラムのクエン酸第二鉄を含み、総日用量は、18グラムのクエン酸第二鉄及び3,780mgの第二鉄になる。
(実施例)
以下の実施例は、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄の使用を詳細に記載するものである。本開示の範囲を逸脱することなく、材料と方法の両方に対する多くの変更を実施してもよいことは当業者には明らかであろう。
実施例1
(透析を受けている末期腎臓病(ESRD)患者におけるリン酸塩結合剤としてのクエン酸第二鉄の3期の58週間試験)
この試験の第一の目的は、次の通りであった:
1.血液透析又は腹膜透析のいずれかを受けている末期腎臓病患者における最大12(12)カプレット/日のKRX-0502(クエン酸第二鉄)の52週間にわたる長期安全性を決定すること
2. 4週間の無作為化非盲検プラセボ対照有効性評価期間におけるKRX-0502(クエン酸第二鉄)の有効性を決定すること。
(研究の理論的根拠)
以前の臨床試験により、クエン酸第二鉄が、週3回の血液透析を受けているESRD患者において、血清リンレベルを低下させることができることが示された。これらの試験では、最大約12g/日のクエン酸第二鉄が4週間使用された。
本臨床試験により、安全性評価期間内の52週間の実薬対照及び4週間の無作為化非盲検プラセボ対照有効性評価期間内のプラセボと比較したときの56週間の治療期間にわたる血清リンレベルの制御及び維持におけるクエン酸第二鉄の長期安全性が決定された。
(研究設計)
本試験は、3期の多施設安全性及び有効性臨床試験であった。第1の期間は、2週間の休薬(休薬期間)であり、第2の期間は、52週間の無作為化非盲検実薬対照安全性評価(安全性評価期間)であり、第3の期間は、安全性評価期間中、クエン酸第二鉄による治療に割り付けられた患者のみでの4週間の無作為化非盲検プラセボ対照有効性評価(有効性評価期間)であった。
第1期(休薬期間)
患者を、最大約2週間、その時点のリン酸塩結合剤から休薬させた。休薬期間中、≧6.0mg/dLの血清リンを達成する患者のみを安全性評価期間に移した。休薬中、≧6.0mg/dLの血清リンを達成しなかった患者をスクリーニング不適格者とした。
第2期(安全性評価期間)
休薬後、患者を、PI及び/又は患者の判断により、該クエン酸第二鉄群、又は酢酸カルシウム、炭酸セベラマー、もしくは酢酸カルシウムと炭酸セベラマーの任意の組合せのいずれかの実薬対照群のどちらかに、2:1で無作為に割り付けた。クエン酸第二鉄と実薬対照薬はどちらも、スポンサーによって提供された。患者は、52週間にわたる安全性評価のための無作為化割当てに従った。患者が、少なくとも2回連続診察して、12カプレット/日のクエン酸第二鉄又は12ピル/日の酢酸カルシウム及び/もしくは炭酸セベラマーを80%以上順守し、かつ>8.0mg/dLの血清リンを有していた場合、該患者を治療不適格者とみなし、治験薬を中止したが、引き続き、全ての試験診察を完了した。該クエン酸第二鉄又は実薬対照薬を中止し、患者をその担当の腎臓専門医のケアに戻したが、引き続き、全ての試験診察及び転帰について追跡調査した。
第3期(有効性評価期間)
安全性評価期間の後、クエン酸第二鉄による治療に無作為に割り付けられた患者は、4週間の無作為化非盲検プラセボ対照有効性評価期間に入った。有効性評価期間に入った患者を、クエン酸第二鉄又はプラセボによる治療に、1:1で再び無作為に割り付けた。
栄養士は、研究で支給されるビタミンDが豊富な食物のリストを、休薬期間中又は無作為化診察時のどちらかで患者に提供し、該患者に、試験を通してできる限り、ビタミンDが豊富な食物に関して一貫した食事を維持するように指示した。有効性評価期間の開始前30日以内に、栄養士は、ビタミンDが豊富な食物のリストを患者とともに再検討し、該患者に、できれば試験の終わりまで、ビタミンDが豊富な食物に関して一貫した食事を維持するよう努めるように念を押した。栄養士は、有効性評価期間中のクエン酸第二鉄又はプラセボの割当てについては知らされなかった。
安全性及び有効性を評価するために、研究を通して、検査室測定を実施した。投与される用量及び具体的なIV鉄製剤(必要な場合)は、PIの判断に委ねられた。経口鉄療法は許可されなかった。カルシウム含有薬物は、投与されるにしても、食物摂取の2時間以内には許可されなかった(カルシウム含有薬物は、血清カルシウムを上昇させる目的で、食物摂取の2時間以上前又は食物摂取後又は就寝前には許可された)。ビタミンC補給剤は許可されなかった。患者は、少量のビタミンCを含む水溶性ビタミン(例えば、Centrum、Nephrocaps、Renaphro)を毎日服用することは認められたが、該患者は、それを、食物摂取の2時間以上前又は食物摂取後又は就寝前に服用するよう指示された。IV鉄療法は、フェリチンレベルが>1000マイクログラム/Lであるか、又はTSATが>30%である場合には許可されなかった。これらのパラメータ以外のIV鉄を受け取ることが患者の最善の利益と考えられれば、臨床コーディネーティングセンター(CCC)に相談し、承認及び文書化された場合、プロトコルの例外とみなされなかった。
(研究期間)
試験期間は、約18〜24ヶ月とし、約6〜8ヶ月を患者スクリーニング、休薬期間、及び無作為化に割り当て、12ヶ月を安全性評価期間に割り当て、1(1)ヶ月を有効性評価期間に割り当てた。
(研究集団)
スクリーニング診察(0回目の診察)前に少なくとも3ヶ月、週3回の血液透析を受けているか、又は腹膜透析を受けているESRD患者であって、その時点で、≧3かつ<18ピル/日の酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ランタン、及び/又はセベラマー(炭酸塩もしくは塩酸塩もしくはセベラマー錠と同等のセベラマー粉末)、或いはリン酸塩結合剤として働く任意の他の薬剤、或いはこれらの薬剤の任意の組合せを服用している者に登録の資格があった。米国に約20〜40施設及びイスラエルに約5〜10施設あると予想された。最大で約775人の患者をスクリーニングし、約350人の患者をクエン酸第二鉄群又は実薬対照群に無作為に割り付けた。約25〜50カ所の各施設は、約35人以下の患者を無作為に割り付けるように求められた。
組み入れ基準:
・男性又は非妊娠、非授乳期の女性
・18歳以上
・スクリーニング診察(0回目の診察)前の少なくとも直近3ヶ月間、週3回の血液透析を受けているか、又は腹膜透析を受けている
・スクリーニング診察(0回目の診察)時に、≧2.5mg/dLかつ<8.0mg/dLの血清リンレベル
・休薬期間(2回目又は3回目の診察)中、≧6.0mg/dLの血清リン
・スクリーニング診察(0回目の診察)時に患者によって報告される、3〜18ピル/日の酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ランタン、及び/又はセベラマー(炭酸塩もしくは塩酸塩もしくは同等のセベラマー粉末)、或いはリン酸塩結合剤として働く任意の他の薬剤、或いはこれらの薬剤の任意の組合せの服用
・スクリーニング診察(0回目の診察)時に、<1000マイクログラム/Lの血清フェリチン及び<50%のTSAT
・その時点のリン酸塩結合剤を中止し、クエン酸第二鉄又は実薬対照群に無作為に割り付けられることを受け入れること
・インフォームドコンセントを受け入れ、それを与えることができること
・1年を超える平均余命
除外基準:
・スクリーニング診察(0回目の診察)前6ヶ月以内の副甲状腺摘出
・活発な症候性消化管出血又は炎症性腸疾患
・スクリーニング診察(0回目の診察)前3ヶ月における(透析部でルーチンに行われる)3ヶ月に1回の検査の全てにおいて報告される≧10.0mg/dLの血清リンレベル
・最近5年における悪性腫瘍歴(CCCが承認すれば、治療済みの子宮頸癌又は非黒色腫皮膚癌は許可される場合がある)
・経口鉄療法の絶対的必要性
・ビタミンC(マルチビタミン[Nephrocaps、Renaphroなど]も認められる)の絶対的必要性
・食事と一緒のカルシウム、マグネシウム、又はアルミニウム含有薬物の絶対的必要性
・経口鉄含有製品への不耐性
・経口投与される酢酸カルシウム及び炭酸セベラマーへの不耐性
(治験薬)
KRX-0502(クエン酸第二鉄)は、本研究で検討中の薬物であった。該薬物は、カプレットとして投与され、各々のカプレットは、約210mgの第二鉄を含有する1グラム(1,000mg)のクエン酸第二鉄を含んでいた。
(治験薬投与)
血清リンの標的目標値は、3.5〜5.5mg/dLであった。
クエン酸第二鉄、実薬対照、及びプラセボを治験薬とみなした。休薬期間後に≧6.0mg/dLの血清リンレベルを有する適格な患者をクエン酸第二鉄群又は実薬対照群に2:1の比で無作為に割り付けた。クエン酸第二鉄に割り付けられた患者については、開始用量は6カプレット/日であった。実薬対照群に割り付けられた患者については、リン酸塩結合剤の開始用量は、(患者が同じリン酸塩結合剤を服用し続けた場合)休薬期間の開始直前に投与された最後の用量であったか、又は患者が結合剤を変えた場合、添付文書の手引きを受けたPIの判断に委ねられた。しかしながら、リン酸塩結合剤の過去の用量が12ピル/日を超える患者について、実薬対照群に割り付けられた場合、その実薬対照薬の開始用量は、PIの判断に委ねられたが、12ピル/日を超えることはない。試験期間中、酢酸カルシウムの667mgカプセル及び炭酸セベラマーの800mg錠が使用され、Keryx Biopharmaceuticals社(Keryx)によって供給された。
血清リン及びカルシウムを、5回目の診察(第1週)時に、4回目の診察(無作為化診察)後の最初の12週間2週間毎に、及び安全性評価期間の残りの期間毎月、チェックした。有効性評価期間中、血清リン及びカルシウムを毎週採取した。これらの値が、治験薬投与の指針となった。治験薬の服用中、他のリン酸塩結合剤の使用は許可されなかった。クエン酸第二鉄の用量調整は、用量設定スケジュールによって導かれた。52週間の安全性評価期間中の酢酸カルシウム及び炭酸セベラマーの用量設定は、これらの薬剤についてのその時点の添付文書に準拠し、かつ/又は施設PIの判断に委ねられた。
患者は、治験薬を、食事もしくは間食とともに、又は食事もしくは間食の1時間以内に経口で服用した。患者は、その食事又は間食を摂取してから1時間以上が経過している場合、治験薬を服用しないように指示された。各施設のPI又は被委任者は、治験薬を患者に調剤し、該患者にその投与の仕方を教えた。間食したために、又は食事を取り忘れたために、一部の患者は、ある特定の日に異なるピルの分配を必要とすることが認識された。食事に合わせた分配がどうであれ、患者がプロトコルによって要求される1日当たりのピルの総数を服用している場合、CCCによる承認の必要はなかった(例えば、開始用量のクエン酸第二鉄6g/日を服用する患者は、朝食とともに1カプレット、間食とともに1カプレット、昼食とともに2カプレット、かつ夕食とともに2カプレットを服用してもよい)。
(検査による評価)
血液透析を受けている患者については、血液試料を、可能であれば、その週の第2又は第3の透析期間の透析前に取得した。月曜日、水曜日又は金曜日に透析される血液透析を受けている患者については、全ての血液試料を、可能であれば、水曜日又は金曜日の透析前に採取した。火曜日、木曜日又は土曜日に透析される患者については、全ての血液試料を、可能であれば、木曜日又は土曜日の透析前に採取した。イスラエルでは、これらの収集方法は、施設によって異なることが許された。試験関連分析用に各患者から収集される血液の総量は、1回の診察につき約15mlであった。
腹膜透析を受けている患者については、血液試料を、研究プロトコル通りに、透析部又は診療所のどちらかで収集した。
血清リン及びカルシウムは、スクリーニング(0回目の診察)時;1回目の診察(第2週)後の休薬期間中、毎週;4回目の診察(無作為化診察)時;52週間の安全性評価期間の5回目の診察(第1週)、6回目の診察(第2週)、7回目の診察(第4週)、8回目の診察(第6週)、9回目の診察(第8週)、10回目の診察(第10週)、11回目の診察(第12週)、12回目の診察(第16週)、13回目の診察(第20週)、14回目の診察(第24週)、15回目の診察(第28週)、16回目の診察(第32週)、17回目の診察(第36週)、18回目の診察(第40週)、19回目の診察(第44週)、20回目の診察(第48週)、及び21回目の診察(第52週)時;並びに有効性評価期間の22回目の診察(第53週)、23回目の診察(第54週)、24回目の診察(第55週)及び25回目の診察(第56週)時に実施された。
全血球計算(CBC)(白血球[WBC]数、白血球型[WBC分画]、赤血球[RBC]数、ヘマトクリット値[HCT]、ヘモグロビン[Hgb]、赤血球指数、血小板(platelet)[血小板(thrombocyte)]数)は、無作為化診察(4回目の診察)時;52週間の安全性評価期間の11回目の診察(第12週)、14回目の診察(第24週)、17回目の診察(第36週)、20回目の診察(第48週)、及び21回目の診察(第52週)時;並びに有効性評価期間の25回目の診察(第56週)時に行われた。
完全化学プロファイル(ナトリウム、カリウム、塩化物、血液尿素窒素(BUN)、クレアチニン、グルコース[無作為]、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ[AST]、アラニンアミノトランスフェラーゼ[ALT]、アルカリ性リン酸塩[ALP]、総ビリルビン、総タンパク質、アルブミン、及びアルブミン調整カルシウム)は、無作為化診察(4回目の診察)時;52週間の安全性評価期間の11回目の診察(第12週)、14回目の診察(第24週)、17回目の診察(第36週)、20回目の診察(第48週)、及び21回目の診察(第52週)時;並びに有効性評価期間の25回目の診察(第56週)時に行われた。
血清鉄、フェリチン、TSAT、及び総鉄結合能を含む鉄の検討は、スクリーニング(0回目の診察)時;無作為化診察(4回目の診察)時;52週間の安全性評価期間の7回目の診察(第4週)、9回目の診察(第8週)、11回目の診察(第12週)、12回目の診察(第16週)、13回目の診察(第20週)、14回目の診察(第24週)、15回目の診察(第28週)、16回目の診察(第32週)、17回目の診察(第36週)、18回目の診察(第40週)、19回目の診察(第44週)、20回目の診察(第48週)、及び21回目の診察(第52週)時;並びに有効性評価期間の25回目の診察(第56週)時に行われた。
無傷副甲状腺ホルモン(iPTH)レベルは、無作為化診察(4回目の診察)時;安全性評価期間中の11回目の診察(第12週)、17回目の診察(第36週)、及び21回目の診察(第52週)時;並びに有効性評価期間の25回目の診察(第56週)時に行われた。
血清ビタミン(25-ジヒドロキシ-ビタミンD3、ビタミンA、ビタミンB-12、ビタミンE、ビタミンK、及び葉酸)は、無作為化診察(4回目の診察)時;並びに安全性評価期間中の11回目の診察(第12週)、17回目の診察(第36週)、及び21回目の診察(第52週)時に行われた。
脂質プロファイル(総コレステロール、低密度リポタンパク質[LDL]、高密度リポタンパク質[HDL]、及びトリグリセリド)は、無作為化診察(4回目の診察)時;安全性評価期間中の11回目の診察(第12週)、17回目の診察(第36週)、及び21回目の診察(第52週)時に行われた。
血清アルミニウムは、無作為化診察(4回目の診察)時及び21回目の診察(第52週)時に行われた。
血清重炭酸塩は、地域の検査室で実施され、無作為化診察(4回目の診察)時;安全性評価期間中の11回目の診察(第12週)、14回目の診察(第24週)、17回目の診察(第36週)、20回目の診察(第48週)及び21回目の診察(第52週)時;並びに有効性評価期間の25回目の診察(第56週)時に行われた。
地域で収集及び測定される血清重炭酸塩を除き、全ての検査は、Spectra Clinical Research, Rockleigh, NJ, USAによって実施された。
(統計的考察:有効性)
別途明記されない限り、全ての仮説を0.05の両側有意水準で検定し、95%信頼区間を両側とした。全ての解析を、SASバージョン9を用いて実施した。
データベースロックの前に、詳細な統計解析計画(SAP)を完成させ、ファイルに入れた。データ解析計画は、統計解析で使用される方法に関する下記のものよりも包括的な説明を含んでいた。データ解析計画は、該解析を実施するために使用される規則及びデータ取扱い規約、並びに欠測データを説明するために使用される手順も含んでいた。
まとめの集計では、観察の回数、平均値、標準偏差、中央値、最小値、最大値、及び連続変数についての適当なパーセンタイル値、並びにカテゴリーデータについてのカテゴリー別の数及びパーセンテージを示した。まとめには、治療群別の、及び適切な場合、全体的な、データが提示されている。データ一覧には、全ての入手可能な有効性及び安全性データが含まれる。
有効性解析は、少なくとも1用量の治験薬を服用した全ての患者からなる全解析(FA)集団に基づくものであり、ベースライン有効性評価及び少なくとも1回のベースライン後有効性評価を提供した。安全性解析は、少なくとも1用量の治験薬を服用した全ての患者からなる安全性集団に基づくものであった。
2つの独特かつ個別のベースライン評価があった。安全性評価期間のベースラインは、無作為化診察(4回目の診察)であり、「第0週のベースライン」と定義された。有効性評価期間のベースラインは、安全性評価期間の最後の診察(21回目の診察、第52週)であり、「研究ベースライン」と定義された。
この試験の主要有効性転帰は、研究ベースライン(21回目の診察、第52週)から有効性評価期間の終わり(25回目の診察、第56週)までの血清リンの変化に対する、プラセボと比べたクエン酸第二鉄の効果であった。主要有効性変数を、治療を固定効果とし、研究ベースラインを共変量とするANCOVAモデルで解析した。治療間差を推定し、該差の両側95%信頼区間を提示した。
この試験の二次エンドポイントは、次のものを含む:
(1.第52週におけるベースラインからのフェリチンの変化)
ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第52週におけるベースラインからのフェリチンの変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)、及びベースライン(共変量)を含む。感度解析を、MMRM法を用いて実施する。
(2.第52週におけるベースラインからのTSATの変化)
ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第52週におけるベースラインからのTSATの変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)、及びベースライン(共変量)を含む。感受性解析を、MMRM法を用いて実施する。
(3. 52週間にわたるIV鉄の累積使用)
無作為化から第52週までの累積IV鉄摂取を治療群間で比較する。この変数を、ANCOVA法を用いて、主要有効性変数として同様に解析する。全ての上記の比較についての治療差の両側95%信頼区間を提示する。
(4. 52週間にわたるEPO(ESA)の累積使用)
無作為化から第52週までに投与される累積的EPO(ESA)を治療群間で比較する。この変数を、ANCOVA法を用いて、主要有効性変数として同様に解析する。全ての上記の比較についての治療差の両側95%信頼区間を提示する。
クエン酸第二鉄と全ての実薬対照結合剤の治療差、並びに4回目の診察のベースラインからの血清リン、リン×カルシウムの積、及び血清カルシウムの変化に関する第12週(11回目の診察)における単剤としてのクエン酸第二鉄と炭酸セベラマーの差を解析する。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及び4回目の診察のベースライン(共変量)を含む。MMRM法を用いる解析を感度解析として実施する。治療効果の最小二乗平均推定値及び治療効果の両側95%信頼区間(CI)を導出する。治療差の両側95%信頼区間の下限が対照の最小二乗平均の20%以内である場合、非劣性が主張される。
(5.リン目標値を達成する患者のパーセンテージ)
1.第12週、第24週、第36週、第48週、第52週、及び第56週でリン目標値(≦5.5mg/dL)を達成する患者のパーセンテージ-これらの変数をχ二乗検定で解析する。パーセンテージでの治療間差を推定し、該差の両側95%信頼区間を、連続性補正なしで正規近似を用いて算出する。
2. 4週間の有効性評価期間中、治験薬を服用し続けている患者についての、第56週でリン目標値(≦5.5mg/dL)を達成する患者のパーセンテージ-これらの変数をχ二乗検定で解析する。パーセンテージでの治療間差を推定し、該差の両側95%信頼区間を、連続性補正なしで正規近似を用いて算出する。
3. 4週間の有効性評価期間中の任意の時点で≧9.0mg/dLの血清リンを得る患者のパーセンテージ-これらの変数をχ二乗検定で解析する。パーセンテージでの治療間差を推定し、該差の両側95%信頼区間を、連続性補正なしで正規近似を用いて算出する。
(6.血清リン濃度の変化)
1.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週における血清リン濃度の変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)、及びベースライン(共変量)を含む。
(7.他の検査測定量の変化)
1.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週における血清カルシウム濃度の変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
2.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第24週、第36週、及び第48週におけるフェリチン及びTSATの変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
3.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週における血清鉄及びTIBC変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
4.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週におけるCa×Pの積の変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
5.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第36週、第52週、及び第56週におけるiPTHの変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
6.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第36週、及び第52週における血清25-ジヒドロキシ-ビタミンD3、ビタミンA、ビタミンB-12、ビタミンE、ビタミンK、及び葉酸の変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
7.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第36週、及び第52週における血清重炭酸塩濃度の変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
8.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週におけるIV鉄摂取の変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
9.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週における投与されるEPO(ESA)の使用の変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
10.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週におけるビタミンD補給剤(及びその類似体)並びにセンシパー(Sensipar)(シナカルセト)の使用の変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
11.ベースライン(4回目の診察)と比較したときの第12週、第36週、及び第52週におけるLDL、HDL、及びトリグリセリドの変化。この変数を、LOCF法を用いて解析する。ANCOVAを利用する。本モデルは、治療(固定効果)及びベースライン(共変量)を含む。
(統計的考察:安全性)
治療割当て別の有害事象、同時に行われる投薬使用、身体検査、及び連続血液を記録し、これらをモニタリングすることにより、安全性を評価した。有害事象の割合を、全体として、並びに治療割当て別の臓器系の種類、好ましい期間、重症度、及び治験薬との疑わしい関係別にまとめた。AEを、治療割り当て別の休薬期間、安全性評価期間、及び有効性評価期間について個別にまとめた。ベースラインからの検査パラメータの経時的変化を治療割当て別にまとめた。
(統計的考察:検出力)
約434人の患者を、安全性評価期間中に治療される、クエン酸第二鉄(約288人の患者)又は実薬対照(約146人の患者)のどちらかに、2:1の比で無作為に割り付けた。この試料サイズは、治療差が1.2であり、共通の標準偏差が2であると仮定すると、5%有意水準でクエン酸第二鉄とプラセボの治療差を検出する少なくとも90%の検出力を提供した。
(結果)
単剤としてのクエン酸第二鉄と炭酸セベラマーの間の第12週における研究ベースラインからの血清リン、リン×カルシウムの積及び血清カルシウムの変化の治療差(ANCOVA法)、全解析集団のまとめを表12に示す:
表12:
注記:[1]血清リン、Ca×P及びCaの変化についてのLS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、第0日のベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。治療間の差は、LS平均(KRX-0502)−LS平均(対照)として算出される。関心対象のパラメータのベースライン観測とベースライン後観測の両方を有する対象のみが含まれた。
治療別の第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週における平均血清リン値及び研究ベースラインからの変化のまとめ(ANCOVA法)、全解析集団を表13に示す:
表13:
注記:[1]フェリチンの変化についてのLS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、第0日のベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。治療間の差は、LS平均(KRX-0502)−LS平均(対照)として算出される。
関心対象のパラメータのベースライン観測とベースライン後観測の両方を有する対象のみが含まれた。
有効性評価期間中の治療及び診察別の平均血清リン値及び第52週のベースラインからの変化のまとめ(ANCOVA法)、全解析集団を表14に示す:
表14:
注記:[1]血清リンの変化についてのLS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、第52週のベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。治療間の差は、LS平均(KRX-0502)−LS平均(プラセボ)として算出される。関心対象のパラメータのベースライン観測とベースライン後観測の両方を有する対象のみが含まれた。
治療別の第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週における平均フェリチン並びに研究ベースラインからの変化のまとめ(ANCOVA法)、全解析集団を表15に示す:
表15:
注記:[1]フェリチンの変化についてのLS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、第0日のベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。治療間の差は、LS平均(KRX-0502)−LS平均(対照)として算出される。
関心対象のパラメータのベースライン観測とベースライン後観測の両方を有する対象のみが含まれた。
治療別の第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週における平均TSAT並びに研究ベースラインからの変化のまとめ(ANCOVA法)、全解析集団を表16に示す:
表16:
注記:[1]フェリチンの変化についてのLS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、第0日のベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。治療間の差は、LS平均(KRX-0502)−LS平均(対照)として算出される。
関心対象のパラメータのベースライン観測とベースライン後観測の両方を有する対象のみが含まれた。
治療別の第12週、第24週、第36週、第48週、及び第52週における平均ヘモグロビン並びに研究ベースラインからの変化のまとめ(ANCOVA法)、全解析集団を表17に示す:
表17:
注記:[1]フェリチンの変化についてのLS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、第0日のベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。治療間の差は、LS平均(KRX-0502)−LS平均(対照)として算出される。
関心対象のパラメータのベースライン観測とベースライン後観測の両方を有する対象のみが含まれた。
治療別の第12週、第24週、第36週、第48週及び第52週における平均血清重炭酸塩濃度並びに研究ベースラインからの変化のまとめ(ANCOVA法)、全解析集団を表18に示す:
表18:
注記:[1]フェリチンの変化についてのLS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とし、第0日のベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。治療間の差は、LS平均(KRX-0502)−LS平均(対照)として算出される。
関心対象のパラメータのベースライン観測とベースライン後観測の両方を有する対象のみが含まれた。
治療別の第52週までの累積IV鉄摂取、全解析集団、重複用量を取り扱うための方法1のまとめを表19に示す:
表19:
注記:[1]累積IV鉄摂取についてのLS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とするANCOVAモデルによって求められる。治療間の差は、LS平均(KRX-0502)−LS平均(対照)として算出される。
注記:[2]第52週までの累積IV鉄摂取に基づく平均1日IV鉄摂取は、全累積IV鉄摂取を、治験薬を服用した全日数で除したものとして算出される。
注記:[3]重複用量を取り扱うための方法1は、次の通りである:重複用量は、安全性評価期間で治験薬を服用している期間中の用量のみを含むよう、日数に基づいて配分される。
注記:[4] ANCOVAの基本前提が満たされない場合、ウィルコクソン順位和検定を用いてp値を算出し、CI及びLS平均を削除する。
治療別の第52週までに投与される累積EPO(ESA)、全解析集団、重複用量を取り扱うための方法1のまとめを表20に示す:
表20:
注記:[1]累積EPO(ESA)摂取についてのLS平均治療差及びp値は、治療を固定効果とするANCOVAモデルによって求められる。治療間の差は、LS平均(KRX-0502)−LS平均(対照)とし算出される。
注記:[2]第52週までの累積EPO(ESA)摂取に基づく平均1日IV鉄摂取は、全累積EPO(ESA)摂取を、治験薬を服用した全日数で除したものとして算出される。
注記:[3]重複用量を取り扱うための方法1は、次の通りである:重複用量は、安全性評価期間で治験薬を服用している期間中の用量のみを含むよう、日数に基づいて配分される。
注記:[4] ANCOVAの基本前提が満たされない場合、ウィルコクソン順位和検定を用いてp値を算出し、CI及びLS平均を削除する。
試験データはまた、KRX-0502が、実薬対照と比較して、心臓の重篤な有害事象に関連する入院を減らすことができたことを示す。
実施例2
(透析を受けていないステージIII〜Vの慢性腎臓病を有する貧血対象での血清リン及び鉄欠乏の管理におけるKRX-0502(クエン酸第二鉄)の研究)
第2相、概念実証型、多施設無作為化プラセボ対照非盲検臨床試験を実施する。
研究を約5〜7ヶ月継続し、約8〜12週間を対象のスクリーニングに割り当て、2週間を、対象をその時点のリン酸塩結合剤から休薬させることに(リン酸塩結合剤を服用している場合)、かつ12週間を治験薬による治療に割り当てる。該治験薬は、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄、又はプラセボのどちらかである。本実施例のために、本明細書に開示されるクエン酸第二鉄をKRX-0502(クエン酸第二鉄)と呼ぶ。
本研究の目的は、非透析依存的なステージIII〜Vの慢性腎臓病(CKD)を有する貧血対象での血清リン及び鉄欠乏の管理におけるKRX-0502(クエン酸第二鉄)の有効性及び安全性を決定することである。
最大で約200人の対象をスクリーニングして、約140人の対象に無作為に割り付ける。有資格対象を、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボのどちらかに、1:1の比で無作為に割り付ける。治療群当たり約70人の対象が無作為に割り付けられる。2週間の休薬期間及び12週間の治療期間における脱落率は約20%であり、したがって、約110人の対象が治験薬(KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボ)による12週間の治療を完了する。約55人の対象が治験薬(KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボ)による12週間の治療を完了することになっている。
試験は、3つの期間:スクリーニング期間、2週間の休薬期間、及び12週間の治療期間からなる。約200人の対象を約10〜15の施設でスクリーニングするには、約8〜12週間かかる。2週間の休薬期間は、リン酸塩結合剤をその時点で服用している対象だけのためのものである。
試験には、2つの異なるタイプの貧血ステージIII〜VのCKD対象が登録される。該対象は、次の通りである:1)低リン酸塩食に失敗し、いかなるリン酸塩結合剤の服用も開始しておらず(デノボ対象)、かつ貧血歴の報告がある、≧4.5mg/dLかつ<6.0mg/dLの血清リンを有する対象;又は2)その血清リンを管理するためにリン酸塩結合剤をその時点で服用しており、かつ貧血歴の報告がある対象。デノボ対象は、休薬期間に入らず、リン酸塩結合剤をその時点で服用している対象は、2週間の休薬期間に入る。2週間の休薬の後、これらの対象は、12週間の治療期間に入るために、≧4.5mg/dLかつ<6.0mg/dLの血清リンを有する。
登録は、デノボ対象とリン酸塩結合剤をその時点で服用している対象について層別化されない。
(研究設計/方法)
本試験は、スクリーニング期間、2週間の休薬期間、及び12週間の治療期間からなる3期の臨床試験である。対象に登録の資格があると決定した後、該対象を、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボのどちらかに無作為に割り付ける。対象を、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボのどちらかに、1:1の比で無作為に割り付ける。
リン酸塩結合剤をその時点で服用している対象を2週間の休薬期間に入れ、該2週間の休薬期間の終了後、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボのどちらかに無作為に割り付ける。リン酸塩結合剤を服用していない有資格対象は、直ちに治験薬(KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボ)の服用を開始する。この対象集団には休薬期間がない。全ての対象は、12週間の治療期間に入るために、≧4.5mg/dLの血清リンを有する。
治験薬(KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボ)による治療を開始した後、対象を、治療目標値(3.0〜4.0mg/dLの血清リン)に用量設定する。対象が、12週間の治療期間中、少なくとも2回連続診察で、≧6.0mg/dLの血清リンを有する場合、該対象を治療不適格者とみなし、治験薬をし、研究を終了する。
IV鉄及びエリスロポエチン刺激剤(ESA)の使用は、2週間の休薬期間及び12週間の治療期間中は許可されない。対象のヘモグロビンレベル(Hgb)が、2週間の休薬中、<9.0g/dLである場合、該対象は、スクリーニング不適格者となる。対象のHgbが、12週間の治療期間中、少なくとも2回連続診察で<9.0g/dLである場合、該対象を治療不適格者とみなし、治験薬を中止し、研究を終了する。
血清リン、血清カルシウム、血清クレアチニン(糸球体濾過量を推定するために使用される)、無傷線維芽細胞成長因子23(FGF23)、無傷副甲状腺ホルモン(iPTH)、並びにいくつかの血液学的パラメータ(フェリチン、TSAT、不飽和鉄結合能(UIBC)、TIBC、血清鉄、ヘマトクリット値(HCT)及びHgb)を、スクリーニング時、休薬期間中、4回目の診察(第0週)時の治験薬(KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボ)の投与前、及び12週間の治療期間中毎週、決定する。
尿中リンを、12週間の治療期間中の4回目の診察(第0週)時、7回目の診察(第4週)時、及び9回目の診察(第8週)時、並びに12週間の治療期間の最後(11回目の診察、第12週)に、治験薬(KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボ)の投与前に決定する。
この試験の組み入れ基準は、次の通りである:
1.男性及び非妊娠、非授乳期の女性;
2.18歳を超える年齢;
3.血清リンを制御するための低リン酸塩食に失敗し、かつ:(i)その血清リンを管理するためにリン酸塩結合剤をその時点で服用しており、スクリーニング時に>2.5mg/dLかつ<6.0mg/dLの血清リンを有するか、又は(ii)リン酸塩結合剤を服用しておらず、スクリーニング時に、≧4.5mg/dLかつ<6.0mg/dLの血清リンレベルを有する、透析を受けていないステージIII〜VのCKD対象;
4.貧血歴の報告がある;
5.<200ng/mLの血清フェリチン及び20%のTSAT;
6.>9.5g/dLかつ<11.5g/dLのヘモグロビン;
7.<60mL/分の糸球体濾過量(GFR);
8.リン酸塩結合剤をその時点で服用している場合、その時点のリン酸塩結合剤(複数可)を中止し、休薬期間に入り、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボのどちらかに無作為に割り付けられることを受け入れること;並びに
9.インフォームドコンセントを受け入れ、それを与えることができること。
この試験の除外基準は、次の通りである:
1.スクリーニング診察(0回目の診察)前6ヶ月以内の副甲状腺摘出;
2.スクリーニング診察(0回目の診察)前3ヶ月以内の症候性消化管出血及び炎症性腸疾患;
3.透析を受けている;
4.無作為化(4回目の診察、第0週)前60日以内にIV鉄が投与された;
5.無作為化(4回目の診察、第0週)前60日以内の輸血;
6.無作為化(4回目の診察、第0週)の3(3)ヶ月以内に腎臓移植又は透析の開始が予想される;
7.鉄欠乏以外の貧血の原因;
8.>1000pg/mlの血清副甲状腺ホルモン;
9.複数の薬物に対するアレルギー歴;
10.過去5年における悪性腫瘍歴(承認されれば、治療済みの子宮頸癌又は皮膚癌は許可される場合がある);
11.経口クエン酸第二鉄に対する過去の不耐性;
12.経口鉄療法の絶対的必要性;
13.ビタミンCの絶対的必要性;しかしながら、マルチビタミン(すなわち、Centrum、Nephrocaps、Renaphroなど)は認められる;
14.食事と一緒のカルシウム、マグネシウム、又はアルミニウム含有薬物の絶対的必要性;
15.研究プロトコルに従う対象の能力を妨げる精神障害;
16.研究中に手術又は入院の予定がある(予定された外来内視鏡下手術(outpatient access surgery)は認められる);
17.対象が研究を終えられないもしくは終えられそうにない状態にするか、又は研究への最適な参加を妨げるか、もしくは対象に重大なリスクをもたらす任意の他の医学的状態;
18.無作為化(4回目の診察、第0週)から30日以内に何らかの治験薬を受けたこと;並びに
19.研究員と協力することができないこと、又はノンコンプライアンス歴。
(治験薬投与)
KRX-0502(クエン酸第二鉄)を、約210mgの第二鉄を含有するクエン酸第二鉄の1グラムカプレットとして、クエン酸第二鉄に割り付けられた対象に供給する。
対応するプラセボを、プラセボに無作為に割り付けられた対象に供給する。
全ての対象が、1日に3カプレットの固定用量のKRX-0502(クエン酸第二鉄)(約630mgの第二鉄としての約3グラムのクエン酸第二鉄)又はプラセボ(1日に約3個の対応するカプレット)で治験薬の服用を開始する。血清リンの目標レベルは、3.0〜4.0mg/dLである。対象を次のように用量設定する:
1.血清リンが目標値(3.0〜4.0mg/dL)である場合、用量を調整する必要はない。
2.血清リンが<3.0mg/dLである場合、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボの用量を1日当たり1カプレット減らし、対象の血清リンを7日以内に再検査する。
3.血清リンが>4.0mg/dLである場合、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボの用量を1日当たり1カプレット増やし、対象の血清リンを7日以内に再検査する。
1日当たりのKRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボのカプレットの最大数は12、すなわち、クエン酸第二鉄は12g/日である。対象が、12週間の治療期間中、少なくとも2回連続診察で、≧6.0mg/dLの血清リンを有する場合、該対象を治療不適格者とみなし、治験薬を中止し、研究を終了する。
対象のHgbが、2週間の休薬中、<9.0g/dLである場合、該対象は、スクリーニング不適格者である。対象のHgbが、12週間の治療期間中、少なくとも2回連続診察で、<9.0g/dLである場合、該対象を治療不適格者とみなし、治験薬を中止し、研究を終了する。
対象は、食事もしくは間食とともに、又はその食事もしくは間食後1時間以内に、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボを経口的に服用する。対象は、その食事又は間食を摂取してから1時間以上が経過している場合、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボを服用しないように指示される。
(統計的考察:有効性)
ベースラインから12週間後の治療の終わりまでの血清リン、フェリチン及びTSATレベルの変化を一次エンドポイントとする。
この研究は、ベースライン(4回目の診察、第0週)からエンドポイント(11回目の診察、第12週)までの、リン酸塩結合剤を必要とする、透析を受けていない、貧血ステージIII〜VのCKD対象における血清リン及び鉄欠乏の管理において、KRX-0502(クエン酸第二鉄)がプラセボよりも統計的に優れていることを示している。
ベースライン(4回目の診察、第0週)から治療のエンドポイント(11回目の診察、第12週)までの、カルシウム×リンの積、血清カルシウム、推定糸球体濾過量(eGFR)、尿中リン、重炭酸塩レベル、血清鉄、UIBC、TIBC、iPTH、及び無傷線維芽細胞成長因子23(FGF23)の変化も、二次エンドポイントとして評価する。
(統計的考察:試料サイズ)
最大で約200人の対象をスクリーニングして、約140人の対象を無作為に割り付ける。有資格対象を、KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボのどちらかに、1:1の比で無作為に割り付ける。治療群当たり約70人の対象が割り付けられる。2週間の休薬期間及び12週間の治療期間における脱落率は約20%であり、したがって、約110人の対象が治験薬(KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボ)による12週間の治療を完了する。約55人の対象が治験薬(KRX-0502(クエン酸第二鉄)又はプラセボ)による12週間の治療を完了することになっている。
11回目の診察(第12週)時の終点の血清リンは、KRX-0502(クエン酸第二鉄)群で約4.3mg/dLであり、プラセボ処置群で4.6mg/dLである。共通の標準偏差は、約0.5mg/dLである。これらのパラメータに基づき、本試験は、2群間の差を検出する少なくとも80%の検出力を有する(α=0.05、両側)。
11回目の診察(第12週)時の終点のフェリチンレベルは、KRX-0502(クエン酸第二鉄)群で約300ng/mLであり、プラセボ処置群で150ng/mLである。共通の標準偏差は、約75ng/mLである。これらのパラメータに基づき、本試験は、2群間の差を検出する少なくとも80%の検出力を有する(α=0.05、両側)。
11回目の診察(第12週)時の終点のTSATレベルは、KRX-0502(クエン酸第二鉄)群で約25%であり、プラセボ処置群で17%である。共通の標準偏差は、約5%である。これらのパラメータに基づき、本試験は、2群間の差を検出する少なくとも80%の検出力を有する(α=0.05、両側)。
(コプライマリーエンドポイント及び主要セカンダリーエンドポイント)
KRX-0502は、非常に統計的に有意な結果でコプライマリーエンドポイント及び全ての主要セカンダリーエンドポイントの両方を満たした。治療意図(ITT)群には、KRX-0502又はプラセボの少なくとも1用量を服用し、少なくとも1つのベースライン後の有効性評価を与えた全ての対象を表す141人の対象が含まれる。
本試験のコプライマリー有効性エンドポイントは、ITT群におけるプラセボに対するベースラインから12週間の治療期間の終わりまでの血清リン及びTSATの平均変化であった。
1最終観察繰越法を欠測データに用いた。
2p値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
1最終観察繰越法を欠測データに用いた。
2p値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
研究の主要なセカンダリーエンドポイントは、ITT群におけるプラセボに対するベースラインから12週間の治療期間の終わりまでのフェリチン、ヘモグロビン及びFGF-23の平均変化であった。
1最終観察繰越法を欠測データに用いた。
2p値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
1最終観察繰越法を欠測データに用いた。
2p値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
1最終観察繰越法を欠測データに用いた。
2p値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
1最終観察繰越法を欠測データに用いた。
2p値は、治療を固定効果とし、ベースラインを共変量とするANCOVAモデルによって求められる。
KRX-0502は、第12週でのベースラインに対する上記のコプライマリーエンドポイント及び主要セカンダリーエンドポイントの全ての平均変化においても非常に統計的に有意であった。
(治療の失敗)
2回連続診察で患者のヘモグロビン測定値が<9.0g/dLであるか、又は無作為化後の2回連続診察で患者の血清リン測定値が≧6.0mg/dLであった場合に、試験を中止した。本研究の治療の失敗は次の通りであった:
(安全性及び忍容性プロファイル)
本研究における安全性集団には、治験薬の少なくとも1用量を服用した、全ての無作為割り付けされた患者が含まれていた。KRX-0502は、この第2相試験では安全で、かつ良好な忍容性を示し、治療の失敗を含めてKRX-0502群及びプラセボ群のそれぞれの中止率は19%及び32%であった。本研究では、低リン血症による研究中止はなかった。
重篤な有害事象は、6人のKRX-0502対象(8%)対10人のプラセボ対象(14%)で生じた。本試験では、プラセボ群からの2人の死亡を記録した。アラニントランスアミナーゼ(ALT)及びアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)によって測定されるように、血清カルシウムレベル及び肝酵素において臨床的に意味のある、又は統計的に有意な差はなかった。
実施例1及び2は、LVHに対してIV鉄が悪影響を及ぼすことなく、KRX-0502が鉄欠乏性貧血を治療できることを示している。FGF23の低下及びヘモグロビンの補正は、エリスロポエチン刺激剤の負の影響(罹患率及び死亡率のリスクの増加)並びにIV鉄の負の影響(LVHの増加)が生じることなく、LVH及び心不全の治療に相乗的に寄与することができる。
最後に、本明細書に開示される実施態様を実施する別の方法があることに留意されたい。したがって、本実施態様は、制限的なものではなく、例示的なものとみなされるべきである。さらに、特許請求の範囲は、本明細書に示された詳細に限定されるべきではなく、その完全な範囲及びその同等物が権利として認められる。
本明細書で引用された全ての参考文献は、各個々の刊行物又は特許又は特許出願が具体的かつ個別に全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれていることが示された場合と同じ程度に、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書中に組み込まれている。