定義
特定の官能基及び化学用語の定義が、以下、より詳細に記載される。化学元素は、元素周期表、CAS version、Handbook of Chemistry and Physics 75版、内表紙に従い特定された。加えて、有機化学の一般原理並びに特定の官能基及び反応性は、Thomas Sorrell, Organic Chemistry, University Science Books, Sausalito, 1999; Smith and March, March’s Advanced Organic Chemistry, 5th Edition, John Wiley & Sons, Inc., New York, 2001; Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers, Inc., New York, 1989; and Carruthers, Some Modern Methods of Organic Synthesis, 3rd Edition, Cambridge University Press, Cambridge, 1987に記載される。
粉末X線回折(XRPD)のピーク位置を指すとき、「約」は±0.3、好ましくは±0.2、より好ましくは±0.1、より好ましくは±0.05、さらにより好ましくは±0.02であることを意味する。
他の定義
本願を通じて使用されるより一般的な用語は以下に定義される。
“多形体”とは、化合物(又はその塩、水和物、溶媒和物)のある特定の結晶パッキング配列である結晶形態である。すべての多形体は、同じ元素構成を有する。異なる結晶形態は通常異なるX線回折パターン(例えばXRPDパターン)、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学的若しくは電気的特性、安定性、及び/又は溶解性を示す。再結晶溶媒、結晶化速度、貯蔵温度、及び他のファクターによりある1つの結晶形が支配的となる。化合物の異なる結晶形態を特徴付ける1つの方法は粉末X線回折(XRPD)分析であり、これは当業者によく知られている。化合物の種々の多形体が異なる条件下での結晶化により調製されうる。本明細書で使用する“結晶形”又は“結晶形態”は、例えば特定のX線回折又はXRPDパターンといった、1以上の同定できる特徴を有する化合物の1つの特定の多形体である。
投与が意図されている“対象”は、限定されることなく、ヒト(すなわち、ある年齢層の男性又は女性、例えば、小児の対象(例えば、乳児、小児、青年)又は成人の対象(例えば、若者、中年又は高齢者))及び/又は他の非ヒト動物、例えば、哺乳動物(例えば、霊長類(例えば、カニクイザル、アカゲザル)、畜牛、ブタ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ネコ及び/又はイヌといった商業関連の哺乳動物、並びに鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ及び/又はシチメンチョウといった商業関連の鳥類)を含む。特定の実施形態において、動物は哺乳動物である。動物は、発達のある段階での雄又は雌であってもよい。動物は、トランスジェニック動物又は遺伝子操作動物であってもよい。特定の実施形態において、対象は、非ヒト動物である。特定の実施形態では、動物は魚である。“患者”は、疾患の治療を必要とするヒトの対象を意味する。
本明細書で使用される“投与する”、“投与すること”又は“投与”の用語は、対象において又は対象に対して、本発明の化合物5(例えば、結晶形態III又は結晶形態II)又はその医薬組成物を移植し、吸収させ、摂取させ、注入し、吸入させ又は他の方法で導入することを意味する。
本明細書で使用する場合、“治療”、“治療する”及び“治療すること”の用語は、本明細書に記載の疾患の進行を逆転、緩和、遅延させ、又はその進行を抑制することを意味する。いくつかの実施形態では、治療は、進行している又は観察されている疾患の1又は2以上の徴候又は症状がみられた後に行われてもよい。他の実施形態では、治療は、疾患の徴候又は症状の非存在下で行われ得る。例えば、治療は、症状の発生の前に(例えば、症状の履歴の観点及び/又は遺伝的又は他の感受性因子の観点において)、又は病原体への暴露の前に、感受性を有する対象に行われてもよい。治療はまた、例えば、再発を遅延又は防止するために、症状が解消した後、継続され得る。
本明細書で使用する場合、“状態(condition)”、“疾患”及び“障害(disorder)”の用語は、互換的に使用される。
本明細書に記載の化合物5の結晶形態の“有効量”は、所望の生物学的応答を誘発する、すなわち、状態を治療するのに十分な量を表す。本技術分野の当業者によって理解されるように、本明細書に記載の化合物5の結晶形態の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、化合物5の結晶形態の薬物動態、治療される状態、投与の様式並びに対象の年齢及び健康状態といった要因に依存して変化し得る。有効量は、治療的及び予防的処置を包含する。例えば、癌の治療においては、本明細書に記載の化合物5の結晶形態の有効量は、腫瘍による負荷を低減し、もしくは腫瘍の成長又は拡がりを停止する。黄斑変性症の治療においては、本明細書に記載の化合物5の結晶形態の有効量は、視力を改善し、失明のリスクを低減し、又は中心視力の悪化を防止する。
本明細書に記載の化合物5の結晶形態の“治療上の有効量”は、状態の治療において治療上の利益を提供する、または症状に関連する1もしくは2以上の症状を遅延もしくは最小限化するのに十分な量である。化合物5の結晶形態の治療上の有効量は、単独で又は他の療法と組み合わせた、化合物5の結晶形態の量を意味し、それは、状態の治療において治療上の利益を提供する。“治療上の有効量”の用語は、全体的な治療を改善させ、症状、兆候もしくは状態の原因を低減もしくは回避し、および/または他の治療剤の治療効果を増強する量を包含し得る。ある実施形態において、化合物5の結晶形態または組成物の“治療上の有効量”は、対象における血管新生を抑制するのに必要な量である。
本明細書に記載の化合物5の結晶形態の“予防上の有効量”は、状態またはその状態に関連する1もしくは2以上の症状を予防し、もしくはその再発を予防するのに十分な量である。化合物5の結晶形態の予防上の有効量は、状態の予防において予防的利益を提供する、単独でまたは他の薬剤との組み合わせにおける化合物5の結晶形態の量を意味する。“予防上の有効量”の用語は、全体的な予防を改善する、又は別の予防剤の予防効果を高める量を包含することができる。
本明細書中で使用される“増殖因子”の用語は、細胞の成長、増殖および/または細胞分化を刺激することのできる天然に存在する物質(例えば、タンパク質またはステロイドホルモン)を表す。増殖因子は、細胞間のシグナル伝達分子として機能し、ならびに/または細胞分化および成熟を促進し得る。
“増殖性疾患”は、細胞の増殖による異常成長または拡張に起因して生じる疾患を表す(Walker, Cambridge Dictionary of Biology; Cambridge University Press: Cambridge, UK, 1990)。増殖性疾患は、1)正常な静止細胞の病的な増殖、2)その正常な位置からの細胞の病理学的遊走(例えば、腫瘍細胞の転移)、3)マトリックスメタロプロテアーゼといったタンパク質分解酵素(例えば、コラゲナーゼ、ゼラチナーゼおよびエラスターゼ)の病理学的発現、または4)増殖性網膜症および腫瘍転移において見られるような病的血管新生に関連し得る。代表的な増殖性疾患は、癌(すなわち“悪性新生物”)、良性腫瘍、血管新生、炎症性疾患および自己免疫疾患を含む。
本明細書中で使用される“血管新生”の用語は、生理的プロセスを表し、その生理的プロセスを介して、既存の血管に由来する新しい血管が形成される。血管新生は、中胚葉細胞前駆体由来の内皮細胞の新たな形成である脈管新生とは異なるものである。成長中の胚における最初の血管は、脈管新生を介して形成され、その後、血管新生が正常又は異常な進展の間ほとんどの血管の成長に関与する。血管新生は、創傷治癒及び肉芽組織の形成におけるのと同様に、増殖及び成長においても、不可欠なプロセスである。しかしながら、血管新生はまた、良性の状態から悪性の状態まで腫瘍の移行の基本的な過程であり、それは、癌の治療における血管新生阻害剤の使用につながるものである。血管新生は、増殖因子(例えば、VEGF)といった血管新生タンパク質により化学的に刺激され得る。
“新生物”及び“腫瘍”の用語は、本明細書中で交換可能に使用され、組織の異常な集団でありその集団の増殖が上回るものを表し、正常な組織の増殖と調和しないものである。新生物又は腫瘍は、以下の特性に応じて、“良性”又は“悪性”であってもよい。特性:細胞分化の程度(形態的及び機能的を含む)、成長速度、局所浸潤および転移。“良性新生物”は一般的に良好に分化しており、悪性新生物よりも特徴的にゆっくりした成長を示し、元の部位に局在化したままである。また、良性新生物は、離れた部位に浸潤し、侵入し又は転移する能力を有していない。典型的な良性新生物は、限定されることなく、脂肪腫、軟骨腫、腺腫、アクロコルドン、老人性血管腫、脂漏性角化症、黒子及び皮脂過形成を含む。いくつかの場合において、特定の“良性”腫瘍は、後に、悪性新生物となり得、それは、腫瘍の新生物細胞亜集団における付加的な遺伝子変化により生じ、これらの腫瘍は、“前悪性新生物”と呼ばれる。典型的な前悪性新生物は、奇形腫である。これに対して、“悪性新生物”は、一般的に低分化(退形成)であり、進行的な侵入、浸潤及び周囲の組織の破壊を伴う特徴的な急速成長を示す。さらに、悪性新生物は、一般的に、離れた部位に転移する能力を有する。“転移”、“転移性”及び“転移する”の用語は、最初の又は元の腫瘍から他の臓器又は組織への癌性細胞の拡散又は移動を表し、最初の又は元の腫瘍の組織のタイプであり、二次性(転移性)腫瘍が位置している臓器又は組織のタイプではない“二次性腫瘍”又は“二次性細胞集団”の存在によって典型的には識別される。例えば、骨に移動した前立腺癌は、転移した前立腺癌と称され、骨組織において成長する癌性前立腺癌細胞を含む。
本明細書中で使用される“癌”の用語は、悪性新生物を表す(Stedman’s Medical Dictionary, 25th ed.; Hensyl ed.; Williams & Wilkins: Philadelphia, 1990)。例示的な癌は、限定されることなく、聴神経腫、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫)、虫垂癌、良性単クローン性免疫グロブリン血症、胆道癌(例えば、胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳頭癌、乳房の髄様癌)、脳腫瘍(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起膠腫)、髄芽腫)、気管支癌、カルチノイド腫瘍、子宮頸癌(例えば、子宮頸部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、結合組織癌、上皮癌、上衣腫、内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性の特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫)、食道癌(例えば、食道腺癌、バレット腺癌)、ユーイング肉腫、眼性癌(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、家族性好酸球増加症、胆嚢癌、胃癌(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、胚細胞癌、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌)、咽頭癌(例えば、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌)、造血系癌(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)及び慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL)といった白血病)、ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)といったB細胞NHL)(例えば、広範性大B細胞リンパ腫)、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓周辺帯B細胞リンパ腫)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、ワルデンストレームマクログロブリン血症)、有毛細胞白血病(HCL)、免疫大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球リンパ腫および原発中枢神経系(CNS)リンパ腫、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉腫、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫及び未分化大細胞リンパ腫)といったT細胞NHLといったリンパ腫、上述の1又は2以上の白血病/リンパ腫の組み合わせ、多発性骨髄腫(MM)、重鎖病(例えば、α鎖病、γ鎖病、μ鎖病)、血管芽腫、下咽頭癌、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、免疫球性アミロイドーシス、腎臓癌(例えば、腎芽腫(別名ウィルムス腫瘍)、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝細胞癌)、肺癌(例えば、気管支癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、筋肉の癌、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真性多血症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、原発性骨髄線維症(AMM)(別名骨髄線維症(MF))、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増多症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1または2型、神経鞘腫症)、神経内分泌癌(例えば、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP−NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫(例えば、骨肉腫)、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎生期癌、卵巣腺癌)、乳頭状腺癌、膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍)、陰茎癌(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病)、松果体腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、形質細胞新生物、腫瘍随伴症候群、上皮内新生物、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、直腸癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば、虫垂癌)、軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、皮脂腺癌、小腸癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胚性癌腫)、甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、尿道癌、膣癌、並びに外陰癌(例えば、外陰部のパジェット病)を含む。
本明細書で使用される“炎症性疾患”または“炎症”の用語は、炎症によって引き起こされる、炎症に起因する又は炎症をもたらす疾患を表す。“炎症性疾患”の用語はまた、異常な組織の損傷および/または細胞死をもたらす、マクロファージ、顆粒球および/またはTリンパ球による過度な反応を引き起こす無調節な炎症反応を表し得る。炎症性疾患は、急性または慢性の炎症状態のいずれかであってもよく、感染性または非感染性の要因によってもたらされてもよい。炎症性疾患は、限定されることなく、アテローム性動脈硬化症、動脈硬化症、自己免疫疾患、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、リウマチ性多発筋痛(PMR)、痛風性関節炎、変形性関節症、腱炎、滑液包炎、乾癬、嚢胞性線維症、骨関節炎、関節リウマチ、炎症性関節炎、シェーグレン症候群、巨細胞性動脈炎、進行性全身性硬化症(強皮症)、強直性脊椎炎、多発性筋炎、皮膚筋炎、天疱瘡、類天疱瘡、糖尿病(例えば、タイプI)、重症筋無力症、橋本甲状腺炎、バセドウ病、グッドパスチャー病、混合性結合組織病、硬化性胆管炎、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、悪性貧血、炎症性皮膚疾患、通常型間質性肺炎(UIP)、石綿症、珪肺症、気管支拡張症、ベリリウム症、滑石肺症、塵肺症、サルコイドーシス、剥離性間質性肺炎、リンパ性間質性肺炎、巨細胞間質性肺炎、細胞性間質性肺炎、外因性アレルギー性肺胞炎、ヴェゲナー肉芽腫症および血管炎の関連形態(側頭動脈炎および結節性多発動脈炎)、炎症性皮膚病、肝炎、遅延型過敏反応(例えば、ポイズンアイビー皮膚炎)、肺炎、気道の炎症、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)、脳炎、即時型過敏反応、喘息、花粉症、アレルギー、急性アナフィラキシー、リウマチ熱、糸球体腎炎、腎盂腎炎、蜂巣炎、膀胱炎、慢性胆嚢炎、虚血(虚血性傷害)、再灌流障害、同種移植片拒絶反応、宿主対移植片拒絶反応、虫垂炎、動脈炎、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、子宮頸管炎、胆管炎、絨毛羊膜炎、結膜炎、涙腺炎、皮膚筋炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎(enteritis)、全腸炎(enterocolitis)、上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合組織炎、胃炎、胃腸炎、歯肉炎、回腸炎、虹彩炎、喉頭炎、脊髄炎、心筋炎、腎炎、臍炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、中耳炎、膵炎、耳下腺炎、心膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺炎、直腸炎、前立腺炎、鼻炎、卵管炎、静脈洞炎、口内炎、滑膜炎、精巣炎、扁桃炎、尿道炎、膀胱炎、ブドウ膜炎、膣炎、血管炎、外陰炎、外陰膣炎、血管炎、慢性気管支炎、骨髄炎、視神経炎、側頭動脈炎、横断性脊髄炎、壊死性筋膜炎および壊死性腸炎を含む。眼の炎症性疾患は、限定されることなく、眼のアレルギー、ブドウ膜炎(例えば、前部ブドウ膜炎、中間ブドウ膜炎及び後部ブドウ膜炎)、結膜炎、全ブドウ膜炎、毛様体炎、強膜炎、上強膜炎、視神経炎、球後視神経炎、角膜炎(例えば、免疫性角膜炎及び感染性角膜炎)、眼瞼炎、マイボーム腺疾患又は機能不全、角膜潰瘍、結膜潰瘍およびそれらによって引き起こされる症状、眼の障害によって引き起こされる眼の炎症性疾患、物理的な損傷によって引き起こされる眼の炎症性疾患、手術後の炎症及びドライアイ(例えば、ドライアイ症候群)を含む。
本明細書中で使用される“自己免疫疾患”は、身体中に正常に存在する物質および組織に対する、対象の身体の不適切な免疫応答に起因する疾患を表す。換言すれば、免疫系が身体の一部を病原体と間違えて、自身の細胞を攻撃する。これは、特定の臓器(例えば、自己免疫性甲状腺炎)に限定されてもよく、又は別の場所で特定の組織に関与していてもよい(例えば、肺および腎臓の両方において基底膜に影響を与え得るグッドパスチャー病)。自己免疫疾患の治療は典型的には、免疫抑制剤、例えば、免疫応答を減少させる薬物療法である。典型的な自己免疫疾患は、限定されることなく、糸球体腎炎、グッドパスチャー症候群、壊死性血管炎、リンパ節炎、周囲動脈炎結節性多発動脈炎、全身性エリテマトーデス、リウマチ、関節炎、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデス、乾癬、潰瘍性大腸炎、全身性硬化症、皮膚筋炎/多発性筋炎、抗リン脂質抗体症候群、強皮症、尋常性天疱瘡、ANCA関連血管炎(例えば、ウェゲナー肉芽腫症、顕微鏡的多発性血管炎)、ぶどう膜炎、シェーグレン症候群、クローン病、ライター症候群、強直性脊椎炎、ライム関節炎、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎および心筋症を含む。
“自己炎症性疾患”とは、自己免疫疾患と似てはいるが異なるカテゴリーの疾患を表す。自己炎症性疾患と自己免疫疾患は、いずれのグループの障害も対象の自己組織を攻撃する免疫機構により引き起こされ、炎症を増大させるという結果を引き起こすという点で共通の特徴を有する。自己炎症性疾患では、対象の先天的な免疫系が未知の理由で炎症を引き起こす。先天的な免疫系が、対象内でそれまで遭遇したことのない自己抗体又は抗原に対してであっても反応する。自己炎症性疾患の障害は、発熱、発疹、関節腫脹といった症状を引き起こす強い炎症の発現によって特徴付けられる。これらの疾患はまた、潜在的に致命的な、生体臓器内における血液タンパク質の蓄積である、アミロイドーシスのリスクをもたらす。自己炎症性疾患は、限定されることなく、家族性地中海熱(FMF)、新生児多臓器炎症疾患(NOMID)、腫瘍壊死因子(TNF)受容体関連周期性症候群(TRAPS)、インターロイキン−1受容体拮抗分子欠損症(DIRA)、及びベーチェット病が含まれる。
“生体試料”とは、組織試料(組織の切片や組織の穿刺生検など)、細胞試料(例えば、細胞学的スミア(パパニコロースミアや血液スミアなど)又は顕微切断により得られる細胞試料)、生命体の全体試料(酵母菌やバクテリアの試料など)、もしくは細胞の断片、一片又は小器官(細胞溶解と遠心分離やその他の方法によるその成分の分離により得られるものなど)を含む任意の試料を表す。他の生体試料の例として、血液、血清、尿、精液、糞便物質、脳脊髄液、間質液、粘液、涙、汗、膿、生検組織(例えば、外科的生検又は穿刺生検で得られるもの)、乳頭吸引物、乳、膣液、唾液、拭き取り採取物(口腔内検体など)又は最初の生体試料から得られる生物学的分子を含む任意の物質を含む。生体試料は、遺伝子導入の卵母細胞、精子細胞、胚盤胞、胎芽、胎児、ドナー細胞、又は細胞核といった遺伝子導入生体試料をも含む。
“眼疾患” または“眼の障害”の用語は、任意の眼の疾患および/または障害を表す。例えば、眼疾患は、眼瞼、涙器系及び眼窩の障害、結膜の障害、強膜、角膜、虹彩及び毛様体の障害、脈絡膜の障害、網膜、緑内障の障害、視神経および視覚経路の障害、眼の血管新生疾患又は障害、眼の炎症性疾患、または眼の筋肉の障害であり得る。さらに、眼疾患はまた、損傷、手術またはレーザー治療後の不快感を表し得る。目の疾患および障害又は眼の疾患は、限定されることなく、網膜症、糖尿病性網膜症、網膜静脈閉塞症、黄斑変性症、加齢黄斑変性症、ドライアイ症候群、眼瞼炎、炎症性マイボーム腺疾患、ブドウ膜炎、アレルギー性結膜炎、緑内障、黄斑浮腫、糖尿病性黄斑浮腫、類嚢胞黄斑浮腫、および眼の酒さを含む。別名で乾性角結膜炎(KCS)、乾燥角膜炎、乾燥症候群または眼球乾燥症として知られているドライアイ症候群(DES)は、ヒト及びいくつかの動物において通常みられる涙液産生の減少又は涙液膜蒸発の増加により引き起こされる眼の疾患である。
“加齢黄斑変性症”又は“AMD”の用語は、通常、高齢者に影響を与え、網膜への損傷に起因して視野(黄斑)中心における視力の低下をもたらす眼疾患である。それは、“ドライ”及び“ウェット”の形態で発生する。それは、高齢者(>50歳)における失明及び視力障害の主な原因である。
十分な周辺視野が日常生活の他の活動を可能にするために残っているものの、黄斑変性は、読むこと又は顔を認識することを困難又は不可能にし得る。黄斑は網膜の中心領域であり、それは最も詳細な中心視力を提供する。乾燥(非滲出性)の形態では、網膜と脈絡膜との間にドルーゼンと呼ばれる細胞の破片が蓄積し、網膜は剥離されるようになり得る。より厳しいウェット(滲出性)の形態では、血管が脈絡膜から網膜の後方に発達し、網膜もまた剥離されるようになり得る。それは、レーザー凝固により、及び血管の成長を停止させ、時には逆行させる薬剤により治療され得る。黄斑変性症は、加齢性黄斑変性症(AMDまたはARMD)とともにより若い対象に影響を与えるいくつかの黄斑ジストロフィーを含むが、前者の方がより一般に知られている。AMDは、網膜色素上皮とその下にある脈絡膜との間の、黄斑における特徴的な黄色沈着(ドルーゼン)から始まる。これらの初期の変化(加齢性黄斑変性症とも呼ばれる)を有するほとんどの患者は、良好な視力を有している。ドルーゼンを有する患者では、進行したAMDを継続して進行し得る。ドルーゼンが大きく、多数あり、黄斑の下の色素性細胞層の乱れを伴っている場合、リスクはかなり高い。最近の研究では、大きなソフトドルーゼンは、増加したコレステロール沈着に関連し、コレステロール低下薬に応答し得ることが示唆されている。
“黄斑浮腫”の用語は、眼疾患嚢胞様黄斑浮腫(CME)または糖尿病性黄斑浮腫(DME)を表す。CMEは、眼の網膜中心または黄斑に影響を与える眼疾患である。この状態が存在する場合、液体の複数の嚢胞様(嚢腫状)領域が黄斑に現れ、網膜の腫れ及び浮腫を引き起こす。CMEは、網膜静脈閉塞症、ブドウ膜炎および/または糖尿病といった様々な疾患を伴い得る。CMEは一般的に、白内障の手術後に発生する。糖尿病患者の網膜の血管が黄斑に漏出し始めると、DMEが発生する。これらの漏出によって、黄斑は厚くなり、腫れて、急性の視覚は徐々に歪められる。腫れは失明を引き起こすわけではないが、その影響によって、中心視野の著しい損失が引き起こされ得る。
“緑内障”の用語は、視神経が特徴的なパターンで損傷されている眼疾患を表す。これは、影響を受けた眼の視覚に恒久的なダメージを与え、処置をしないままにした場合、失明を引き起こし得る。それは、通常、眼(房水)における増加した流体圧力に関連している。高眼圧症の用語は、関連する視神経の損傷なしに、常に上昇した眼内圧(IOP)を有する患者に対して使用される。逆に、正常張力または低眼圧緑内障の用語は、視神経の損傷および関連する視野欠損を有するが、IOPは正常または低い患者に対して使用される。神経損傷は、特徴的なパターンにおける網膜神経節細胞の損失に関連している。緑内障の多くの異なるサブタイプが存在するが、それらはすべて一種の視神経障害であると考えられ得る。上昇した眼内圧(例えば、21mmHg又は2.8kPaを超える)は、緑内障に対する最も重要かつ唯一の修正可能な危険因子である。しかしながら、数年にわたって高い眼圧を有するが損傷には進行しない患者がいる一方で、比較的低い眼圧で神経損傷に進行し得る患者もいる。緑内障を治療しないことにより、視神経が永久的に損傷を受け、結果として視野欠損が生じ、当該欠損は時間をかけて失明に進行する可能性がある。
“ブドウ膜炎”の用語は、網膜と白目(強膜)との間に挟まれた目の血管層であるブドウ膜の炎症性疾患を表す。ブドウ膜は、眼の前方に向かって延びており、虹彩、脈絡膜層及び毛様体で構成されている。ブドウ膜炎は、前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎および後部ブドウ膜炎を含む。ブドウ膜炎の最も一般的なタイプは、虹彩炎(前部ぶどう膜炎)と呼ばれる虹彩の炎症である。ブドウ膜炎はまた、眼の後部で(例えば、脈絡膜で)発生する場合がある。ブドウ膜の炎症は、再発し得、治療しないままにした場合、失明といった深刻な問題を引き起こし得る(世界的に失明の10%を占める)。早期診断及び治療が、ブドウ膜炎の合併症を防ぐために重要である。
“ドライアイ”または“ドライアイ(dry eyes)”の用語は、目を潤し、目に栄養を与えるための涙液が十分に存在しない眼疾患を表す。涙液は、目の前表面の健康を維持し、明瞭な視野を提供するのに必要である。ドライアイの患者は、十分な涙液を生成することができないか、質の悪い涙液を有するかのいずれかである。ドライアイは、特に高齢者では、一般的であり、しばしば慢性的な問題である。まばたきに伴って、涙液は、角膜として知られている目の前表面全体に拡散される。涙液は、潤いを与え、眼の感染のリスクを低減させ、目の中の異物を洗い流し、目の表面を滑らかかつ清潔に保つ。目における過剰な涙は、まぶたの内側の隅にある細いドレイン管に流れ込み、当該ドレイン管は鼻の奥に流れ出る。涙液は、まぶたの中及び周辺におけるいくつかの腺(例えば、涙腺)によって産生されている。涙液産生は、年齢とともに、様々な医学的状態に伴い、又は特定の薬の副作用として、減少する傾向がある。風及び乾燥した気候といった環境条件もまた、涙液の蒸発を増加させることにより、涙液量に影響を与え得る。涙液産生の通常の量が減少する、または涙液が目からあまりにも急速に蒸発すると、ドライアイの症状が進行し得る。ドライアイの最も一般的な形態は、涙液の水層の不十分な量に起因する。乾性角結膜炎(KCS)と呼ばれるこの状態は、“ドライアイ症候群”とも呼ばれる。
“糖尿病性網膜症”の用語は、最終的には失明を引き起こし得る、糖尿病の合併症に起因する網膜症(すなわち、網膜の疾患)を表す。糖尿病性網膜症は、無症状の場合もあるが、軽度の視覚障害又は失明さえも引き起こし得る。糖尿病性網膜症は、微小血管の網膜の変化の結果である。高血糖誘発性の壁内周皮細胞死及び基底膜及び肥厚は、血管壁の不全を引き起こす。これらのダメージは、血液網膜関門の形成を変化させ、また、網膜血管の透過性を高める。高血糖が持続的にプロテインキナーゼC−δ(PKC−δ、PRKCDによってコードされる)およびp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を活性化して、PKC−δシグナリング、Src相同性−2ドメイン−含有ホスファターゼ−1(SHP−1)、タンパク質チロシンホスファターゼの未知の標的の発現を増加させる場合、周皮細胞死が引き起こされる。このシグナリングカスケードは、周皮細胞のアポトーシスをもたらす、PDGF受容体の脱リン酸化及びこの受容体から下流方向のシグナリングの減少を引き起こす。目の小血管といった、小血管は、血糖値の不十分な制御に特に脆弱である。グルコースおよび/またはフルクトースの過剰蓄積は、網膜の小血管にダメージを与える。“非増殖性糖尿病性網膜症”(NPDR)と呼ばれる初期段階の間、ほとんどの患者は、彼らの視力の変化に気付かない。可逆的であり、中心視力に影響を与えていない初期の変化は、時々、単純網膜症又は背景網膜症と呼ばれる。疾患が進行するにつれて、重度の非増殖性糖尿病性網膜症は、血管が増殖する場合、高度な“増殖性糖尿病性網膜症”(PDR)の段階に入る。網膜における酸素の欠乏は、網膜に沿って、及び目の内側を満たす透明なゲル状の硝子体液において、壊れやすい新しい血管を成長させ、それによって、出血、曇った視界、網膜損傷または牽引網膜剥離が引き起こされ得る。
“VEGF”の用語は、本明細書では血管内皮増殖因子と互換的に用いる。VEGFは、限定されることなく、胎盤増殖因子(PIGF)、VEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−E、及びVEGF−FといったVEGFに関連するタンパク質を含む。用語VEGFは、8エクソンの単一VEGF遺伝子のmRNAの選択的スプライシングにより得られる2つのファミリーからの多数のタンパク質もカバーする。異なる2つのファミリーは、末端エクソン(エクソン8)のスプライス部位により、近位スプライス部位(VEGFxxxと記載する)又は遠位スプライス部位(VEGFxxxbと記載する)と表す。さらに、エクソン6及び7の選択的スプライシングは、そのヘパリン結合親和性とアミノ酸数を変える(ヒトではVEGF121、VEGF121b、VEGF145、VEGF165、VEGF165b、VEGF189、VEGF206;これらのタンパク質の齧歯類のオーソログは1つ少ないアミノ酸を含む)。これらの領域はVEGFのスプライス変異体に重要な機能的影響を及ぼす。なぜなら、末端(エクソン8)スプライス部位は、そのタンパク質が血管新生を促進する(近位スプライス部位、血管新生中に発現)か、血管新生を抑制する(遠位スプライス部位、通常の組織で発現)かを決定するからである。さらに、エクソン6及び7の包含又は除外は、細胞表面のへパラン硫酸塩プロテオグリカン(HSPG)及びニューロピリンコレセプターとの相互作用を仲介し、それらの結合性を強化してVEGFレセプター(VEGFR)を活性化する。“VEGF”の用語は、VEGFレセプターも包含する。VEGFRには、1、2、3と番号付けされた3つの主要なサブタイプがある。また、それらは選択的スプライシングにより、膜結合性(mbVEGFR)又は可溶性(sVEGFR)でありうる。
“粒子”の用語は、単一元素、無機材料、有機材料またはそれらの混合物であり得る、小さな物体、フラグメント、または物質の一部を表す。粒子の例は、ポリマー粒子、シングルエマルジョン粒子、ダブルエマルジョン粒子、コアセルベート、リポソーム、ミクロ粒子、ナノ粒子、マクロ粒子、ペレット、結晶(例えば、化合物または活性薬剤の結晶形態)、凝集体、複合材料、粉砕され、挽砕されまたは他の方法で破砕されたマトリックス及び架橋タンパク質または多糖粒子を含み、各々は、約1mm未満及び少なくとも1nmの特徴的な平均長さを有し、粒子の特徴的な寸法又は“限界寸法”は、粒子の最小断面寸法である。粒子は、単一の物質または複数の物質で構成されてもよい。特定の実施形態において、粒子はウイルス粒子ではない。他の実施形態において、粒子はリポソームではない。特定の実施形態において、粒子はミセルではない。特定の実施形態において、粒子は、全体にわたって実質的に固体である。特定の実施形態において、粒子はナノ粒子である。特定の実施形態において、粒子はミクロ粒子である。
“ナノ粒子”の用語は、約1マイクロメートル未満で少なくとも約1ナノメートルの特徴的な寸法を有する粒子を表し、粒子の特徴的な寸法は、粒子の最小断面寸法である。結晶性ナノ粒子は、“ナノ結晶”と称される。
“ミクロ粒子”の用語は、約1ミリメートル未満で少なくとも約1マイクロメートルの特徴的な寸法を有する粒子を表し、粒子の特徴的な寸法は、粒子の最小断面寸法である。
“ナノ構造”の用語は、約1000nm未満、例えば、約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満又は約50nm未満の寸法を有する少なくとも一つの領域または特徴的な寸法を有する構造を表す。典型的に、領域または特徴的な寸法は、構造の最小軸に沿っている。このような構造の例は、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分枝状ナノ結晶、ナノテトラポッド、トリポッド、バイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、分枝状テトラポッド(例えば、無機デンドリマー)等を含む。ナノ構造は、例えば、材料特性において実質的に均質であり得、特定の実施形態では、不均質(例えばヘテロ構造)であり得る。ナノ構造は、例えば、実質的に結晶性、実質的に単結晶性、多結晶性、アモルファス、またはそれらの組み合わせであり得る。一実施形態において、ナノ構造の三次元の各々は、約1000nm未満、例えば、約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満又は約50nm未満の寸法を有する。ナノ構造は、1又は2以上の表面リガンド(例えば、界面活性剤)を含むことができる。
“結晶性”または“実質的に結晶性”の用語は、ナノ構造に関して使用される場合には、ナノ構造が典型的には、構造の1又は2以上の寸法を横断する長距離秩序を示すという事実を表す。単一の結晶に対する秩序は結晶の境界を越えて拡張することができないため、“長距離秩序”の用語は特定のナノ構造の絶対サイズに依存することは当業者によって理解されるであろう。このような場合は、“長距離秩序”の用語はナノ構造の少なくとも寸法の大部分にわたる実質的な秩序を意味する。いくつかの例では、ナノ構造は、酸化物又は他のコーティングを担持することができ、あるいはコア及び少なくとも1つのシェルから構成され得る。このような場合において、酸化物、シェル又はその他のコーティングは、このような秩序を示す必要がないことが理解されるであろう(例えば、アモルファス、多結晶性又は他のものであり得る)。このような場合において、“結晶性”、“実質的に結晶性”、“実質的に単結晶性”又は“単結晶性”の用語は、ナノ構造の中心コアを表す(コーティング層又はシェルを除く)。本明細書で使用される“結晶性”又は“実質的に結晶性”の用語はまた、構造が実質的長距離秩序を示す限り(例えば、ナノ構造又はそのコアの少なくとも1つの軸の少なくとも約80%の長さを超える秩序)、様々な欠陥、積層欠陥、原子置換等を含む構造を包含することも意図される。また、コアとナノ構造の外側との間、コアと隣接シェルとの間又はシェルと第二の隣接シェルとの間の接触面は、非結晶性領域を含んでいてもよく、又はアモルファスであってもよいと理解される。これは、ナノ構造が、本明細書に定義される結晶性または実質的に結晶性であることを妨げない。“単結晶性”の用語は、ナノ構造に関して使用される場合、ナノ構造が実質的に結晶性であり、実質的に単一の結晶を含むことを示す。コア及び1又2以上のシェルを含むナノ構造のヘテロ構造に関して使用される場合、“単結晶性”は、コアが実質的に結晶性であり、実質的に単一の結晶を含むことを示す。ナノ構造に関して使用されない場合、“単結晶性”の用語は、実質的に同じサイズ及び方向性の実質的に単一の結晶で構成されている材料を表す。
“ナノ結晶”は、実質的に単結晶性であるナノ構造である。従って、ナノ結晶は、約1000nm未満、例えば、約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満又は約50nm未満の寸法を有する少なくとも1つの領域または特徴的な長さを有する。典型的には、領域または特徴的な長さは、構造の最小軸に沿っている。このような構造の例は、ナノワイヤ、ナノロッド、ナノチューブ、分枝状ナノワイヤ、ナノテトラポッド、ナノトリポッド、ナノバイポッド、ナノ結晶、ナノドット、量子ドット、ナノ粒子、ナノリボン等を含む。ナノ構造は、材料特性において実質的に均質であり得、または特定の実施形態では、不均質であり得る(例えば、ヘテロ構造)。任意に、ナノ結晶は、1又は2以上の表面リガンド(例えば、界面活性剤)を含み得る。ナノ結晶は任意に、構造において実質的に単一の結晶である(“単一の結晶ナノ構造”または“単結晶性ナノ構造”)。本発明における使用のためのナノ構造は、本質的に任意の適切な材料または材料から製造され得るが、好ましくは、ナノ構造は、無機材料、例えば、無機導電性または半導体材料から調製される。導電性または半導電性ナノ構造は、多くの場合、1次元の量子閉じ込めを示し、例えば、電子は、多くの場合、構造の一次元のみに沿って移動することができる。ナノ結晶は、材料特性において実質的に均質であり得、または特定の実施形態では、不均質であり得る(例えば、ヘテロ構造)。“ナノ結晶”の用語は、様々な欠陥、積層欠陥、原子置換等を含む実質的に単結晶性のナノ構造及びこのような欠陥(defects)、欠陥(faults)又は置換のない実質的に単結晶性であるナノ構造を包含することが意図される。コア及び1又は2以上のシェルを含むナノ結晶ヘテロ構造の場合において、ナノ結晶のコアは、典型的には、実質的に単結晶性であるが、シェルはそうである必要はない。ナノ結晶は、実質的に任意の適切な材料または複数の材料から製造され得る。
“多結晶”の用語は、様々なサイズ及び向きの多くの微結晶で構成されている材料を意味する。ナノ構造に関連して使用される場合、“多結晶”の用語は、単結晶ではない結晶性ナノ構造を表す。
“生体適合可能な”材料は、対象に挿入または注入されたとき、典型的には有害反応を誘発しない材料を表す。有害反応は、対象の免疫系、例えば、T細胞媒介性応答による顕著な炎症および/または材料の急性拒絶反応を含む。“生体適合性”は、相対的な用語であり、いくらかの程度の免疫応答が、対象の生体組織と高度に適合可能である材料に対しても予測されうることが認識される。しかしながら、本明細書で使用される“生体適合性”は、免疫系の少なくとも一部による材料の急性拒絶を表す。すなわち、そのような材料は、対象において生体適合性を欠いている(すなわち、対象において生体適合可能でない)材料であり、それは、対象において、免疫系により材料の拒絶が適切に制御され得ないほど重篤であり、多くの場合、対象を、対象に生体適合可能でない材料が導入される前と同程度の状態にするために、材料が対象から除去されなければならない程度の免疫反応を引き起こす。材料の生体適合性を決定するための1つの試験は、in vitroで細胞(例えば、線維芽細胞または上皮細胞)に材料を暴露することであり、材料が、中程度の濃度で、例えば、約50マイクログラム/106細胞の濃度で、有意な細胞死をもたらさない場合、その材料は生体適合可能であるとされる。特定の実施形態では、細胞によって貪食又はその他の方法で取り込まれても、細胞の約20%未満が死んでいる場合、有意な細胞死は存在しない。いくつかの実施形態では、in vitroで材料を細胞に接触させたら約20%未満の細胞死をもたらす場合、及びin vivoでの材料の投与が望ましくない炎症または他の有害反応を誘発しない場合、材料は生体適合可能である。特定の実施形態では、生体適合可能な材料は、生分解性である。生体適合可能な材料の非限定的な例は、(生体適合可能なコポリマーを含む)生体適合可能なポリマーである。
“生分解性”材料は、生体内または細胞に導入された場合といった生理的環境内において、化学的および/または生物学的に(例えば、加水分解または酵素活性によって)分解され得る材料を表す。例えば、材料は、水への曝露の際に(例えば、対象内で)自発的に加水分解され得る、及び/又は熱への曝露の際に(例えば、約37°Cの温度で)分解され得るものであってもよい。材料の分解は、使用される材料に応じて、様々な速度で起こり得る。例えば、材料の半減期(物質の50%がより小さな成分に分解される時間)は、数日、数週間、数ヵ月または数年のオーダーであってもよい。材料は、生物学的に、例えば、酵素活性または細胞機構によって、例えば、リゾチームへの曝露を介して、分解され得る。いくつかの実施形態では、材料は、細胞への有意な毒性効果無しに細胞が再利用又は処理することのできる、より小さな成分に分解され得る(例えば、成分がin vitroで細胞に添加された場合、約20%より少ない細胞が殺される)。生分解可能な材料の非限定的な例は、生分解可能なポリマーである(生分解可能なコポリマーを含む)。生分解可能なポリマーの例は、限定されることなく、ポリ(エチレングリコール)−ポリ(プロピレンオキシド)−ポリ(エチレングリコール)トリブロックコポリマー、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ポリ(ラクチド)(またはポリ(乳酸))、ポリ(グリコリド)(またはポリ(グリコール酸))、ポリ(オルトエステル)、ポリ(カプロラクトン)、ポリリジン、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ウレタン)、ポリ(無水物)、ポリ(エステル)、ポリ(トリメチレンカーボネート)、ポリ(エチレンイミン)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ウレタン)、ポリ(βアミノエステル)、およびそれらのコポリマー(例えば、ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)(PLGA))を含む。
本明細書中で使用される“医薬組成物”および“製剤”の用語は、互換的に使用される。
本明細書中で使用される“薬剤”および“薬物”の用語は、互換的に使用される。
本発明の実施形態の説明
本発明は、本明細書において化合物5と称する、以下に示される化合物4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−1−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−1−オンの結晶形態を提供する。
(化合物5)
ある実施形態において、結晶形態は、約8.44、10.57、14.92、17.22、21.26及び22.42±0.2度2θ又は面間隔dで10.47、8.36、5.93、5.15、4.18及び3.96±0.2Åでのピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する結晶形態IIである。さらなる実施形態において、結晶形態IIは、XRPDパターンが、約6.59、10.21、12.67、13.15、15.47、18.76及び23.17±0.2度2θ又は面間隔dで13.41、8.66、6.98、6.73、5.72、4.73及び3.84±0.2Åでのピークを更に有する。さらなる実施形態において、結晶形態IIは、XRPDパターンが、約6.24、14.08、16.24、20.71、26.98及び28.50±0.2度2θ又は面間隔dで14.15、6.28、5.45、4.29、3.30及び3.13±0.2Åでのピークを更に有する。
他の実施形態において、結晶形態は、約9.60、10.45、19.30、19.71、21.84及び23.42±0.2度2θ又は面間隔dで9.21、8.46、4.60、4.50、4.07及び3.80±0.2Åでのピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する結晶形態IIIである。さらなる実施形態において、結晶形態IIIは、XRPDパターンが、約6.76、13.45、16.45、17.08、17.72、24.57、25.56及び26.74±0.2度2θ又は面間隔dで13.07、6.58、5.38、5.19、5.00、3.62、3.48及び3.33±0.2Åでのピークを更に有する。さらなる実施形態において、結晶形態IIIは、XRPDパターンが、約12.29、20.21、21.06、27.11及び30.07±0.2度2θ又は面間隔dで7.20、4.39、4.21、3.29及び2.97±0.2Åでのピークを更に有する。
1つの側面において、本発明は、結晶形態IIである次の化学式を有する化合物に関する。
他の側面において、本発明は、次の化学式を有する化合物の結晶形態に関し、その結晶形態は、約8.44、10.57、14.92、17.22、21.26及び22.42±0.2度2θ又は面間隔dで10.47、8.36、5.93、5.15、4.18及び3.96±0.2Åでのピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する結晶形態IIである。
他の実施形態において、本発明は、結晶形態IIIである次の化学式を有する化合物に関する。
他の実施形態において、本発明は、次の化学式を有する化合物の結晶形態に関し、その結晶形態は、約9.60、10.45、19.30、19.71、21.84及び23.42±0.2度2θ又は面間隔dで9.21、8.46、4.60、4.50、4.07及び3.80±0.2Åでのピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する結晶形態IIIである。
本発明はまた、化合物5の結晶形態を調製する工程に関する。ある実施形態において、本発明は化合物5の結晶形態IIを調製する方法に関する。追加的実施形態において、結晶形態IIの調製方法は、水中で化合物5(即ち4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−1−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−1−オン)の懸濁液を攪拌する工程と、懸濁液から化合物5の結晶形態IIを単離する工程と、を含む。さらなる実施形態において、得られた結晶形態IIのナノ粒子は、粉末X線回折(XRPD)パターンが約8.44、10.57、14.92、17.22、21.26及び22.42±0.2度2θ又は面間隔dで10.47、8.36、5.93、5.15、4.18及び3.96±0.2Åでのピークを有する。さらなる実施形態において、結晶形態IIは、XRPDパターンが約6.59、10.21、12.67、13.15、15.47、18.76及び23.17±0.2度2θ又は面間隔dで13.41、8.66、6.98、6.73、5.72、4.73及び3.84±0.2Åでのピークを更に有する。さらなる実施形態において、結晶形態IIは、XRPDパターンが約6.24、14.08、16.24、20.71、26.98及び28.50±0.2度2θ又は面間隔dで14.15、6.28、5.45、4.29、3.30及び3.13±0.2Åでのピークを更に有する。
他の実施形態において、本発明は、化合物5の結晶形態IIIの調製方法に関する。ある実施形態において、結晶形態IIIの調製方法は、その化合物の結晶形態IIIのナノ粒子を得るために、化合物5(即ち4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−lH−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−l−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−l−オン)の結晶形態I及び非イオン性界面活性剤を含む水性スラリーをウエットミルすることを含む。ある実施形態において、得られる結晶形態IIIは、約9.60、10.45、19.30、19.71、21.84及び23.42±0.2度2θ又は面間隔dで9.21、8.46、4.60、4.50、4.07及び3.80±0.2Åでのピークを有するXRPDパターンを有する。さらなる実施形態において、結晶形態IIIのXRPDパターンは、約6.76、13.45、16.45、17.08、17.72、24.57、25.56及び26.74±0.2度2θ又は面間隔dで13.07、6.58、5.38、5.19、5.00、3.62、3.48及び3.33±0.2Åでのピークを更に有する。さらなる実施形態において、結晶形態IIIのXRPDパターンは、約12.29、20.21、21.06、27.11及び30.07±0.2度2θ又は面間隔dで7.20、4.39、4.21、3.29及び2.97±0.2Åでのピークを更に有する。
また本発明は、増殖性疾患、眼疾患、皮膚の疾患、炎症性疾患、自己免疫性疾患、自己炎症性疾患及び代謝性疾患を含む疾患を治療するための、化合物5の結晶形態の使用方法を提供する。本発明はさらに、例えば異常な血管新生及び/もしくは増殖因子活性(例えば血管内皮増殖因子(VEGF)又は血管新生の異常なシグナリングに関連する疾患の治療及び/又は予防などの治療法としての、化合物5の結晶形態II又は結晶形態IIIの使用方法を提供する。ある実施形態において、化合物5の結晶形態II又は結晶形態III、医薬組成物、キット、使用及び方法を使用して治療及び/又は予防される疾患は、増殖性疾患(例えば癌、良性新生物、血管新生に関連する疾患、炎症性疾患、自己免疫疾患)及び眼疾患(例えば、黄斑変性症、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜芽細胞腫、浮腫、眼浮腫、角膜血管新生、ブドウ膜炎、ドライアイ、眼瞼炎、及び手術後の炎症)を含む。
ある実施形態において、本発明の結晶形態は単結晶性である。ある実施形態において、本発明の化合物は多結晶性である。
本発明の結晶形態は、比較的低い水溶解度をも有し得る(すなわち、水における溶解度、任意に1又は2以上の緩衝剤を伴う)。例えば、化合物5の結晶形態は、25℃において、約3mg/mL以下、約1mg/mL未満、約0.3mg/mL未満、約0.1mg/mL未満、約0.03mg/mL未満、約0.01mg/mL未満、約1μg/mL未満、約0.1μg/mL未満、約0.01μg/mL未満、約1ng/mL未満、約0.1ng/mL未満、又は約0.01ng/mL未満の水溶解度を有し得る。いくつかの実施形態において、化合物5の結晶形態は、25℃において、少なくとも約1pg/mL、少なくとも約10pg/mL、少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約0.1μg/mL、少なくとも約1μg/mL、少なくとも約3μg/mL、少なくとも約0.01mg/mL、少なくとも約0.03mg/mL、少なくとも約0.1mg/mL、少なくとも約0.3mg/mL、少なくとも約1.0mg/mL、又は少なくとも約3mg/mLの水溶解度を有し得る。上記範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約10pg/mL及び約1mg/mL未満の水溶解度)。他の範囲も可能である。化合物5の結晶形態は、pH範囲にわたる任意の点(例えば、約pH7、又はpH1からpH14まで)でのこれらの又は他の水溶解度範囲を有し得る。
化合物5の結晶形態は、粘液貫通医薬組成物に加工されるのに適切であり得る(例えば、粒子又は結晶)。特定の実施形態において、化合物5の結晶形態は、製粉に適している(例えば、ナノ−製粉)。特定の実施形態において、化合物5の結晶形態は、沈殿に適している(例えば、マイクロ沈殿、ナノ沈殿、結晶化、又は制御された結晶化)。特定の実施形態において、化合物5の結晶形態は、乳化に適している。特定の実施形態において、化合物5の結晶形態は、凍結乾燥に適している。
化合物5は、任意の適切な方法を用いて調製されうる。ある実施形態において、化合物5はスキーム1に示す方法Aを用いて調製されうる。
スキーム1:化合物5の合成方法
医薬組成物、キットならびに使用及び投与の方法
本発明は、化合物5の結晶形態II及び選択的に薬学的に許容可能な賦形剤、又は化合物5の結晶形態III及び選択的に薬学的に許容可能な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。特定の実施形態において、本明細書に記載する化合物は、医薬組成物中に有効量で提供される。特定の実施形態において、有効量は、治療上の有効量である。特定の実施形態において、有効量は、予防上の有効量である。特定の実施形態において、有効量は、予防上の有効量である。特定の実施形態において、有効量は、疾患の治療及び/又は予防に有効な量ある。特定の実施形態において、有効量は、疾患を治療するのに有効な量である。特定の実施形態において、有効量は、増殖因子の異常なシグナリングに関連する疾患の治療及び/又は予防に有効な量である。特定の実施形態において、有効量は、増殖因子の異常なシグナリングに関連する疾患を治療するのに有効な量である。特定の実施形態において、有効量は、血管内皮増殖因子(VEGF)の異常なシグナリングに関連する疾患の治療及び/又は予防に有効な量である。特定の実施形態において、有効量は、癌、良性新生物、アテローム性動脈硬化症、高血圧、炎症性疾患、関節リウマチ、黄斑変性症、脈絡膜血管新生、網膜血管新生、及び糖尿病性網膜症のような異常な血管新生に関連する疾患の治療及び/又は予防に有効な量である。特定の実施形態において、有効量は、癌(例えば、眼の癌)を治療するのに有効な量である。特定の実施形態において、有効量は、黄斑変性症を治療するのに有効な量である。
本発明の化合物5の結晶形態の有効量は、1又は数日間(投与の様式に応じて)の1又は2回以上の投与量で約0.001mg/kgから約1000mg/kgまでで変化し得る。特定の実施形態において、投与量当たりの有効量は、約0.001mg/kgから約1000mg/kgまで、0.01mg/から約750mg/kgまで、約0.1mg/kgから約500mg/kgまで、約1.0mg/kgから約250mg/kgまで、及び約10.0mg/kgから/約150mg/kgまでで変化する。
本発明の化合物5の結晶形態の有効量は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、又は少なくとも約90%だけ、異常な血管新生及び/又は増殖因子の異常なシグナリングを阻害し得る。本発明の化合物5の有効量は、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、又は約10%未満だけ、異常な血管新生及び/又は増殖因子の異常なシグナリングを阻害し得る。本明細書に記載された範囲の組み合わせ(例えば、少なくとも20%、及び50%未満)は、本発明の範囲内である。特定の実施形態において、本発明の化合物5の有効量は、正常な血管新生及び/又はシグナリングと比較して、本明細書に記載のパーセンテージ又はパーセンテージの範囲だけ異常な血管新生及び/又は増殖因子の異常なシグナリングを阻害する。
本明細書に記載の医薬組成物は、薬理学の分野で公知の任意の方法によって調製され得る。一般に、本明細書に記載の化合物5の結晶形態(すなわち、「活性成分」)を担体又は賦形剤、及び/又は1つ以上の他の補助成分と会合させる工程、その後、必要及び/又は所望により、製品を成形する工程、及び/又は製品を所望の単回又は複数回投与量単位に包装する工程を含む。
医薬組成物は、1つの単回単位投与量及び/又は複数の単回単位投与量として、大量に調製、包装、及び/又は販売され得る。本明細書で使用する場合、「単位投与量」は、所定量の活性成分を含む医薬組成物の個別量である。活性成分の量は、対象に投与される活性成分の投与量及び/又は例えば、そのような投与量の1/2又は1/3のように簡便に分画された活性成分の投与量と一般的には等しい。
本発明の医薬組成物における活性成分、薬学的に許容可能な賦形剤、及び/又は任意の追加の成分の相対量は、同一性、サイズ及び/又は処置される対象の状態に応じて変化し、さらに投与される組成物の経路に依存する。組成物は、0.001%及び100%(w/w)間の活性成分を含み得る。
提供される医薬組成物の製造において使用される薬学的に許容可能な賦形剤は、不活性希釈剤、造粒及び/又は分散剤、界面活性剤及び/又は乳化剤、崩壊剤、結合剤、保存剤、緩衝剤、潤滑剤、及び/又は油を含む。例えば、ココアバター及び坐剤ワックス、着色剤、コーティング剤、甘味料、香味料、及び香料などの賦形剤も、組成物中に存在し得る。
典型的な希釈剤は、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸ナトリウム、ラクトース、スクロース、セルロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン、コーンスターチ、粉末糖、及びそれらの混合物を含む。
典型的な造粒剤及び/又は分散剤は、ポテトデンプン、コーンスターチ、タピオカデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、粘土、アルギン酸、グアーガム、シトラスパルプ、寒天、ベントナイト、セルロース及び木製品、天然スポンジ、陽イオン交換樹脂、炭酸カルシウム、ケイ酸塩、炭酸ナトリウム、架橋ポリ(ビニル−ピロリドン)(クロスポビドン)、カルボキシメチルデンプンナトリウム(デンプングリコール酸ナトリウム)、カルボキシメチルセルロース、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロース)、メチルセルロース、アルファデンプン(デンプン1500)、微結晶性デンプン、水不溶性デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム)、ラウリル硫酸ナトリウム、第四級アンモニウム化合物、及びそれらの混合物を含む。
典型的な界面活性剤及び/又は乳化剤は、天然の乳化剤(例えば、アカシア、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、トラガカント、ツノマタ、コレステロール、キサンタン、ペクチン、ゼラチン、卵黄、カゼイン、羊毛脂、コレステロール、ワックス、及びレシチン)、コロイド粘土(例えば、ベントナイト(ケイ酸アルミニウム)及びビーガム(ケイ酸アルミニウムマグネシウム))、長鎖アミノ酸誘導体、高分子量アルコール(例えば、ステアリルアルコール、セチルアルコール、オレイルアルコール、トリアセチンモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、グリセリルモノステアレート、及びプロピレングリコールモノステアレート、ポリビニルアルコール)、カルボマー(例えば、カルボキシポリメチレン、ポリアクリル酸、アクリル酸ポリマー、及びカルボキシビニルポリマー)、カラギーナン、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、粉末セルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース)、ソルビタン脂肪酸エステル(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタン(TWEEN(登録商標)60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)80)、ソルビタンモノパルミテート(SPAN(登録商標)40)、ソルビタンモノステアレート(SPAN(登録商標)60)、ソルビタントリステアレート(SPAN(登録商標)65)、モノオレイン酸グリセリル、モノオレイン酸ソルビタン(SPAN(登録商標)80)、ポリオキシエチレンエステル(例えば、ポリオキシエチレンモノステアレート(MYRJ(登録商標)45)、ポリオキシエチレン水素化ヒマシ油、ポリエトキシル化ヒマシ油、ポリオキシメチレンステアレート、及びSOLUTOL(登録商標))、ショ糖脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル(例えば、CREMOPHOR(登録商標))、ポリオキシエチレンエーテル(例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(BRIJ(登録商標)30))、ポリ(ビニルピロリドン)、ジエチレングリコールモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム、オレイン酸エチル、オレイン酸、ラウリン酸エチル、ラウリル硫酸ナトリウム、PLURONIC(登録商標)F−68、ポロキサマーP−188、臭化セトリモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、ドキュセートナトリウム、及び/又はそれらの混合物を含む。
典型的な結合剤は、デンプン(例えば、コーンスターチ及びデンプン糊)、ゼラチン、糖類(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、デキストリン、糖蜜、ラクトース、ラクチトール、マンニトールなど)、天然及び合成ゴム(例えば、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アイリッシュモス抽出物、パンワー(panwar)ガム、ガティガム、イザポール(isapol)殻のゴムのり、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、微結晶性セルロース、酢酸セルロース、ポリ(ビニルピロリドン)、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(ビーガム(登録商標))、及びカラマツアラボガラクタン)、アルギネート、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、無機カルシウム塩、ケイ酸、ポリメタクリレート、ワックス、水、アルコール、及び/又はそれらの混合物を含む。
典型的な保存剤は、抗酸化剤、キレート剤、抗菌保存剤、抗カビ保存剤、抗原虫保存剤、アルコール保存剤、酸性保存剤、及び他の保存剤を含む。特定の実施形態において、保存剤は抗酸化剤である。他の実施形態において、保存剤はキレート剤である。
典型的な酸化防止剤は、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、モノチオグリセロール、メタ重亜硫酸カリウム、プロピオン酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、及び亜硫酸ナトリウムを含む。
典型的なキレート剤は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)並びにその塩及び水和物(例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸カルシウム二ナトリウム、エデト酸二カリウムなど)、クエン酸並びにその塩及び水和物(例えば、クエン酸一水和物)、フマル酸並びにその塩及び水和物、リンゴ酸並びにその塩及び水和物、リン酸及びその塩及び水和物、並びに酒石酸及びそれらの塩及び水和物を含む。典型的な抗菌性保存剤は、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、ブロノポール、セトリミド、塩化セチルピリジニウム、クロルヘキシジン、クロロブタノール、クロロクレゾール、クロロキシレノール、クレゾール、エチルアルコール、グリセリン、ヘキセチジン、イミド尿素、フェノール、フェノキシエタノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、プロピレングリコール、及びチメロサールを含む。
典型的な抗真菌性保存剤は、ブチルパラベン、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、安息香酸カリウム、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、及びソルビン酸を含む。
典型的なアルコール保存剤は、エタノール、ポリエチレングリコール、フェノール、フェノール化合物、ビスフェノール、クロロブタノール、ヒドロキシベンゾエート、及びフェニルエチルアルコールを含む。
典型的な酸性保存剤は、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、ベータカロチン、クエン酸、酢酸、デヒドロ酢酸、アスコルビン酸、ソルビン酸、及びフィチン酸を含む。
他の保存剤は、トコフェロール、酢酸トコフェロール、メシル酸デテロキサイム(deteroxime)、セトリミド、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、エチレンジアミン、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸カリウム、GLYDANT(登録商標)プラス、PHENONIP(登録商標)、メチルパラベン、GERMALL(登録商標)115、GERMABEN(登録商標)II、NEOLONE(登録商標)、KATHON(登録商標)、及びEUXYL(登録商標)を含む。
典型的な緩衝剤は、クエン酸塩緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝溶液、塩化アンモニウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルビオン酸カルシウム、グルセプト酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、D−グルコン酸、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、プロパン酸、レブリン酸カルシウム、ペンタン酸、二塩基性リン酸カルシウム、リン酸、三塩基性リン酸カルシウム、水酸化カルシウムリン酸塩、酢酸カリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、カリウム混合物、二塩基性リン酸カリウム、一塩基性リン酸カリウム、リン酸カリウム混合物、酢酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、二塩基性リン酸ナトリウム、一塩基性リン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム混合物、トロメタミン、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、アルギン酸、発熱物質を含まない水(滅菌精製水)、等張生理食塩水、リンゲル溶液、エチルアルコール、及びこれらの混合物を含む。
典型的な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、シリカ、タルク、麦芽、ベヘン酸グリセリル、水素化植物油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ロイシン、ラウリル硫酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びこれらの混合物を含む。
典型的な天然オイルは、アーモンド、杏仁、アボカド、ババス、ベルガモット、ブラックカレントシード(black current seed)、ルリヂサ油、ジュニパータール油、カモミール、キャノーラ、キャラウェイ、カルナバ、ヒマシ油、シナモン、ココアバター、ココナッツ、タラ肝油、コーヒー、トウモロコシ、綿の種子、エミュー、ユーカリ油、月見草油、魚油、アマニ、ゲラニオール、ヘチマ、ブドウの種、ヘーゼルナッツ、ヒソップ、ミリスチン酸イソプロピル、ホホバ、ククイナッツ、ラバンジン、ラベンダー、レモン、リツェアクベバ、マカデミアナッツ、アオイ、マンゴーの種、メドウフォーム種子、ミンク、ナツメグ、オリーブ、オレンジ、オレンジラフィー、パーム、パーム核、桃の核、ピーナッツ、ケシの実、カボチャの種、菜種、米ぬか、ローズマリー、ベニバナ、サンダルウッド、サスクアナ(sasquana)、セイボリー、シーバックソーン、ゴマ、シアバター、シリコーン、大豆、ヒマワリ、ティーツリー、アザミ、ツバキ、ベチベル、クルミ、及び小麦胚芽油を含む。典型的な合成油は、限定されないが、ステアリン酸ブチル、カプリル酸トリグリセリド、カプリン酸トリグリセリド、シクロメチコン、セバシン酸ジエチル、ジメチコーン360、ミリスチン酸イソプロピル、鉱油、オクチルドデカノール、オレイルアルコール、シリコーン油、及びこれらの混合物を含む。
経口及び非経口投与用の液体剤形は、薬学的に許容可能なエマルジョン、マイクロエマルジョン、溶液、懸濁液、シロップ及びエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば、水又は他の溶媒、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミドのような可溶化剤及び乳化剤、油(例えば、綿実油、ラッカセイ油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル、及びそれらの混合物のような本分野で通常用いられる不活性希釈剤を含み得る。不活性希釈剤以外に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、香味料、及び香料などのアジュバントを含み得る。非経口投与のための特定の実施形態において、本発明の複合体はCREMOPHOR(登録商標)、アルコール、油、変性油、グリコール、ポリソルベート、シクロデキストリン、ポリマー、及びこれらの混合物などの可溶化剤と混合される。
本発明の医薬組成物は、静脈投与、腹腔内投与、筋肉投与、皮下投与、非経口投与、硬膜外投与、又は眼内投与を含む、任意の許容可能な剤形で注入投与するための製剤とすることができる。注射用製剤、例えば、滅菌注射用水性又は油性懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、公知の技術に従って製剤化し得る。無菌注射製剤は、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射用溶液、懸濁液、又はエマルジョンであり得る。用いられ得る許容されるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P及び等張性塩化ナトリウム溶液が含まれる。さらに、無菌の固定油は、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。この目的のために、合成モノ−又はジ−グリセリドを含む任意のマイルドな固定油を使用し得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、注射用製剤の調製に使用される。
例えば、注射用製剤は、細菌保持フィルターを通して濾過することにより、又は、使用する前に滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体中に溶解又は分散し得る滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって、滅菌され得る。製剤は、無菌条件下で調整され得、又は熱若しくは照射により滅菌し得る。
本発明の注射用製剤又は医薬組成物はまた、眼への注射投与のための任意の許容可能な剤形で製剤化しうる。このような剤形として、硝子体内投与、眼周囲投与、基質内投与、前眼房内投与、網膜下投与、結膜投与、結膜下投与、テノン嚢下投与(例えば前部又は後部)、角膜周囲投与、強膜投与、上強膜投与、後部強膜近傍投与、眼球周囲投与、眼球後方投与、上脈絡膜投与、及び涙管投与ための剤形を含む。本発明の医薬組成物はまた、インプラント又はリザーバの使用(例えば、生体分解性送達システム、非生体分解性送達システム、及び他のインプラント式の持続又は徐放放出装置又は製剤)による眼科的投与のために製剤化しうる。
直腸又は膣投与のための組成物は、典型的には、この発明の化合物5の結晶形態を、ココアバター、ポリエチレングリコールのような適切な非刺激性の賦形剤又は担体、又は周囲温度で固体であるが、体温では液体であるため、直腸又は膣腔内で溶融し、活性成分を放出する座薬ワックスと製剤化することによって調製され得る坐剤である。
経口投与用の固体剤形は、カプセル、錠剤、ピル、粉末、及び顆粒を含む。このような固体剤形において、活性成分は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムのような、少なくとも1つの不活性な薬学的に許容可能な賦形剤又は担体、及び/又は(a)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸などの充填剤又は増量剤、(b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシアのような結合剤、(c)グリセロールのような保湿剤、(d)寒天、炭酸カルシウム、ポテト又はタピオカ澱粉、アルギン酸、特定のシリケート、及び炭酸ナトリウムのような崩壊剤、(e)パラフィンのような溶解遅延剤、(f)例えば、第四級アンモニウム化合物のような吸収促進剤、(g)例えば、セチルアルコール及びグリセロールモノステアレートのような湿潤剤、(h)カオリン及びベントナイト粘土のような吸収剤、及び(i)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの潤滑剤、及びこれらの混合物と混合される。この場合、カプセル、錠剤、及びピルの場合、剤形は緩衝剤を含み得る。
同様のタイプの固体組成物は、高分子量ポリエチレングリコールなどと同様にラクトース又は乳糖のような賦形剤を使用する、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いられ得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒の固体剤形は、腸溶コーティング及び薬理学の技術分野において周知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製され得る。これらは、選択的に不透明化剤を含んでもよく、腸管の特定の部分において、選択的に遅延様式で、活性成分だけ又はそれを優先的に放出する組成物であってもよい。使用され得る封入組成物の例は、ポリマー物質及びワックスを含む。同様のタイプの固体組成物は、高分子量ポリエチレングリコールなどと同様にラクトース又は乳糖のような賦形剤を使用する、軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤として用いられ得る。
活性成分は、上述した1又は2以上の賦形剤と共にマイクロカプセル化した形態であり得る。錠剤、糖衣錠、カプセル、ピル及び顆粒の固体剤形は、例えば、腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び医薬製剤分野で公知の他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて調製され得る。このような固体剤形において、活性成分は、スクロース、ラクトース、又はデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合され得る。常道に従って、このような剤形は、例えば、ステアリン酸マグネシウム及び微結晶性セルロースのような錠剤化潤滑剤及び他の錠剤化助剤のような、不活性な希釈剤以外の追加の物質を含み得る。カプセル、錠剤及びピルの場合、剤形は緩衝剤を含み得る。これらは、必要に応じて不透明化剤を含んでもよく、それらは腸管の特定の部分において、選択的に遅延様式で、活性成分だけ又はそれを優先的に放出する組成物であってもよい。使用され得るカプセル化剤の例は、ポリマー物質及びワックスを含む。
本発明の化合物の局所及び/又は経皮投与用の剤形は、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、粉末、溶液、懸濁液、スプレー、吸入剤、及び/又はパッチを含み得る。一般的に、活性成分は、薬学的に許容可能な担体又は賦形剤及び/又は必要とされ得るように任意の必要な保存剤及び/又は緩衝剤と無菌条件下で混合される。さらに、本発明は、多くの場合、身体への活性成分の制御された送達を提供するというさらなる利点を有する経皮パッチの使用を意図する。そのような剤形は、例えば、適切な媒体中に活性成分を溶解及び/又は分散させることによって調製し得る。代替的に又は付加的に、速度は、速度制御膜を提供すること及び/又はポリマーマトリックス及び/又はゲル中に活性成分を分散させることによって制御し得る。
本明細書に記載の皮内医薬組成物の送達において使用に適した装置は、米国特許第4,886,499号明細書、同第5,190,521号明細書、同第5,328,483号明細書、同第5,527,288号明細書、同第4,270,537号明細書、同第5,015,235号明細書、同第5,141,496号明細書、及び同第5,417,662号明細書に記載されているような短針デバイスを含む。皮内組成物は、国際公開第99/34850号に記載されているもの及びそれと機能的に等価なもののように、皮膚への針の有効貫入長を制限する装置により投与され得る。代替的に又は追加的に、従来の注射器は、皮内投与の古典的なマントー法において使用され得る。液体ジェット式注射器を介して、及び/又は角質層を貫通し真皮に達するジェットを生成する針を介して液体ワクチンを真皮に送達するジェット式注射デバイスが適している。ジェット式注射デバイスは、例えば、米国特許第5,480,381号明細書、同第5,599,302号明細書、同第5,334,144号明細書、同第5,993,412号明細書、同第5,649,912号明細書、同第5,569,189号明細書、同第5,704,911号明細書、同第5,383,851号明細書、同第5,893,397号明細書、同第5,466,220号明細書、同第5,339,163号明細書、同第5,312,335号明細書、同第5,503,627号明細書、同第5,064,413号明細書、同第5,520,639号明細書、同第4,596,556号明細書、同第4,790,824号明細書、同第4,941,880号明細書、4,940,460号明細書、並びに国際公開第97/37705号及び同第97/13537号に記載されている。表皮の外側の層を通じて真皮へ粉末形態の化合物を加速するために圧縮ガスを使用する弾道粉末/粒子送達装置が好適である。
局所投与(眼投与及び経皮投与を含む)に適した製剤は、限定されないが、リニメント剤、ローション剤などの液体及び/又は半液体の調製物、クリーム、軟膏及び/又はペーストなどの水中油型及び/又は油中水型エマルジョン、及び/又は溶液及び/又は懸濁液を含む。活性成分の濃度は溶媒中の活性成分の溶解限度と同じぐらいに高くすることができるが、局所投与製剤は、例えば、約0.001%から約50%(w/w)の活性成分を含み得る。局所投与のための製剤は、本明細書に記載の追加の成分の1又は2以上をさらに含んでいてもよい。1つの側面において、本発明は化合物5の結晶形態II又は化合物5の結晶形態IIIを含む局所投与に適した製剤又は医薬組成物に関する。
本発明の医薬組成物は、肺投与に適した製剤として調製、包装、及び/又は販売され得る。そのような製剤は、約0.5から約7ミクロン、又は約1から約6ミクロンの範囲の直径を有する活性成分を含む乾燥粒子を含み得る。このような組成物は、好適には、噴射剤の流れが粉末を分散させるように方向付けられた乾燥粉末リザーバを含む装置を使用、及び/又は密封容器内の低沸点噴射剤中に溶解及び/懸濁された活性成分を含む装置のような自己噴射溶媒/粉末分配容器を使用した投与のための乾燥粉末の形態である。そのような粉末は、粒子の少なくとも98重量%が0.5ナノメートルより大きい直径を有し、且つ少なくとも数で95%の粒子が20ミクロン未満の直径を有する。あるいは、粒子の少なくとも95重量%が1ナノメートルより大きい直径を有し、且つ少なくとも数で90%の粒子が15ミクロン未満の直径を有する。乾燥粉末組成物は、糖などの固体微粉希釈剤を含み得、好適には単位剤形で提供される。
低沸点噴射剤は、一般的に、大気圧で65°F未満の沸点を有する液体噴射剤を含む。一般に、噴射剤は、組成物の50から99.9%(w/w)を構成してもよく、活性成分は、組成物の0.001から20%(w/w)を構成してもよい。噴霧剤はさらに、液体非イオン性及び/又は固体のアニオン性界面活性剤、及び/又は固体希釈剤(活性成分を含む粒子と同程度の粒径を有し得る)などの追加の成分を含み得る。
肺送達のために処方された本発明の医薬組成物は、溶液及び/又は懸濁液の液滴の形態で活性成分を提供し得る。このような製剤は、活性成分を含む水溶液及び/希アルコール溶液及び/又は懸濁液として、選択的に滅菌されて、調製、包装及び/又は販売され得、且つ任意の噴霧及び/又は霧化装置を用いて便利に投与され得る。そのような製剤は、限定されないが、サッカリンナトリウムなどの香味剤、揮発性油、緩衝剤、界面活性剤、及び/又はヒドロキシ安息香酸メチルのような保存剤を含む1つ以上の追加の成分をさらに含み得る。この投与経路により提供される液滴は、約0.01から約200ミクロンの範囲の平均直径を有し得る。代替的に、肺投与のための製剤は、活性成分を含む粉末並びに/もしくはエアロゾル化された及び/又はアトマイズされた溶液並びに/もしくは懸濁液を含みうる。このような粉末化され、エアロゾル化され、及び/又はアトマイズされた製剤は、分散されると、約0.01から約200ミクロンまでの範囲の平均粒子サイズ及び/又は液滴サイズを有し得、さらに本明細書に記載した1又は2以上の追加的な成分を含みうる。
肺送達のために有用であるとして本明細書に記載された製剤は、本発明の医薬組成物の鼻腔内送達に有用である。鼻腔内投与に適した別の製剤は、活性成分を含み、且つ約0.2から500マイクロメートルの平均粒子を有する粗い粉末である。このような製剤は、鼻孔の近くに保持された粉末の容器から鼻腔を介して迅速な吸入によって投与される。経鼻投与のための製剤は、例えば、活性成分の約0.001%(w/w)ほどの少量から約100%(w/w)ほどの大量まで含んでもよく、そして本明細書中に記載の1又は2以上追加の成分を含んでもよい。
本発明の医薬組成物は、経口投与のための製剤として調製、包装、及び/又は販売され得る。そのような製剤は、例えば、従来の方法を用いて製造された錠剤及び/又はトローチ剤の形態であってもよく、例えば、0.1から20%(w/w)の活性成分を含み、残余として経口溶解及び/又は分解可能な組成物を含み、選択的に、1又は2以上の本明細書に記載の追加の成分を含み得る。
本明細書に記載の製剤も、口腔投与を介して送達され得る。そのような製剤は、例えば、従来の方法を用いて製造された錠剤及び/又はトローチ剤の形態であってもよく、例えば、0.001から50%(w/w)活性成分を含み、残余として経口溶解及び/又は分解可能な組成物を含み、及び選択的に本明細書に記載の1又は2以上の追加の成分を含み得る。
本発明の医薬組成物は、眼投与のための製剤として調製、包装、及び/又は販売され得る。そのような製剤は、例えば、水性又は油性の液体担体又は賦形剤中に活性成分を、例えば、0.001/10.0%(w/w)含む溶液及び/又は懸濁液を含む点眼剤の形態であってもよい。このような点眼剤は、緩衝剤、塩、及び/又は本明細書に記載の1又は2以上の他の追加の成分をさらに含み得る。有用な他の眼科的に投与可能な製剤は、微結晶形態及び/又はリポソーム製剤中に活性成分を有するものを含む。
本発明の医薬組成物はまた、例えば、点眼剤、軟膏、又はジェルなど、眼粘膜経路による投与のために製剤化され得る。これらの製剤は、従来の手段によって調製されてもよいし、必要に応じて、対象組成物は、緩衝剤又はpH調整剤、張度調整剤、粘度調整剤、懸濁安定剤、保存剤、及び他の医薬賦形剤のような任意の従来の添加剤と混合し得る。さらに、特定の実施形態において、本明細書に記載の対象組成物は、凍結乾燥され得るか、又は噴霧乾燥などの他の適切な乾燥技術に供され得る。点耳剤もまた本発明の範囲内であると考えられる。
本明細書で提供される医薬組成物の説明は、主にヒトへの投与に適した医薬組成物に向けられているが、そのような組成物は概してすべての種類の動物への投与に適していると当業者に理解される。組成物を様々な動物への投与に適したものとするための、ヒトへの投与に適した医薬組成物についての変更はよく理解され、そして通常熟練した獣医薬理学者は、設計及び/又は通常の実験を用いてそのような変更を行うことができる。
本明細書で提供される組成物は、典型的には、投与の容易さ及び投与量を均一にするために投与量単位剤形で処方される。しかしながら、本発明の組成物の1日の総使用量は、十分な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解される。任意の特定の対象又は生物に対する特定の治療上の有効投与量レベルは、治療される疾患及び障害の重症度、採用される特定の活性成分の活性、採用される特定の組成物、年齢、体重、一般健康状態、性別、及び対象の食事、投与時間、投与経路及び採用される特定の活性成分の排泄速度、治療期間、採用される特定の活性成分と組み合わせて又は同時に使用される薬、及び医学分野でよく知られた要因等を含む種々の要因に依存する。
本明細書において提供される組成物は、経腸(例えば経口)、非経口、注入、眼球内、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、髄腔内、皮下、脳室内、経皮、皮内、直腸、膣内、腹腔内、局所(皮膚又は眼球を含み、粉末、軟膏剤、クリーム剤、及び/又はドロップなどによって)、粘膜、鼻、頬、舌下を含む経路により、気管内注入、気管支点滴、及び/又は吸入により、及び/又は経口スプレー、鼻スプレー及び/又はエアロゾルにより投与され得る。具体的に企図される経路は、静脈内投与(例えば、全身静脈内注射)、眼球内投与、血液及び/又はリンパ供給を介した局部投与、及び/又は局所投与(例えば、皮膚及び/又は眼球)を含む患部への直接投与を含む経口投与、注射である。一般に、投与の最も適切な経路は、薬剤の性質(例えば、胃腸管の環境でのその安定性)及び/又は、対象の状態(例えば、対象が経口投与を許容できるか否か)を含む種々の要因に依存する。特定の実施形態において、本発明の化合物又は医薬組成物は、対象の眼への投与に適している。他の実施形態において、本発明の化合物5の結晶形態の化合物又は医薬組成物は、対象の眼への局所投与に適している。
有効量を達成するのに必要とされる本発明の化合物5の結晶形態の正確な量は、例えば、種、年齢、及び対象の一般状態、副作用又は障害の重症度、投与の様式などに依存して、対象によって変わる。所望の投与量は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おき、2日おき、毎週、隔週、3週間ごと、又は4週間ごとに送達され得る。特定の実施形態において、所望の投与量は、複数回の投与(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又はそれ以上の投与)を用いて送達され得る。
特定の実施形態において、70kgの成人に1日1回以上投与するための化合物5の結晶形態の有効量は、投与量単位剤形当たり、約0.0001mgから約3000mg、約0.0001mgから約2000mg、約0.0001mgから約1000mg、約0.001mgから約1000mg、約0.01mgから約1000mg、約0.1mgから約1000mg、約1mgから約1000mg、約1mgから約100mg、約10mgから約1000mg、約10mgから約100mg、又は約100mgから約1000mg程度の化合物5を含み得る。
特定の実施形態において、本明細書に記載の化合物5の結晶形態は、所望の治療及び/又は予防効果を得るために、1日当たり1回以上、その日の対象の体重に基づいて約0.001mg/kgから約1000mg/kg、約0.01mg/kgから約500mg/kg、好ましくは約0.1mg/kgから約400mg/kg、好ましくは約0.5mg/kgから約300mg/kg、約0.01mg/kgから約100mg/kg、約0.1mg/kgから約10mg/kg及びより好ましくは約1mg/kgから約25mg/kgを送達するのに十分な投与レベルであり得る。
本明細書に記載されている投与量範囲は、成人に提供される医薬組成物の投与のための指針を提供するものとして理解される。例えば、子供又は青年に投与される量は、医師又は当業者によって決定され得、成人に投与されるのより低い及び同じであり得る。
また、本明細書に記載のように、化合物5の結晶形態又はその組成物は、1又は2以上の追加の薬剤(例えば、治療上の及び/又は予防上の活性剤)と組み合わせて投与され得ることが理解される。化合物5の結晶形態又は組成物は、それらの活性(例えば、増殖因子(例えば、VEGF)の異常なシグナリング又は対象の異常な血管新生と関連する疾患の予防及び/又は治療における活性、又は対象若しくは細胞における増殖因子(例えば、VEGF)の異常シグナリングの阻害における活性、又は対象の異常な血管新生の抑制における活性)を改善し、生物学的利用能、それらの代謝を低減及び/又は緩和し、それらの排泄を抑制し、及び/又は対象の体内の配分を緩和する、追加の薬剤と組み合わせて投与され得る。また、採用される治療は、同じ障害に対する所望の効果を達成し、及び/又はそれが異なる効果を達成し得ることも理解される。
本発明の化合物5の結晶形態又は組成物は、例えば、併用治療として有用である1又は2以上の追加の薬剤、と同時、の前に、又は、の後に、投与され得る。薬剤は、治療上の活性薬剤を含む。薬剤はまた、予防上の活性薬剤を含む。薬剤は、薬剤化合物(例えば、米国連邦規則集(CFR)に規定されている米国食品医薬品局によりヒト又は獣医学的使用用に承認された化合物)のような小有機分子、ペプチド、タンパク質、炭水化物、単糖、オリゴ糖、多糖類、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質、合成ポリペプチド又はタンパク質、タンパク質に結合した小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸、DNA、RNA、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、アンチセンスオリゴヌクレオチド、脂質、ホルモン、ビタミン、及び細胞を含む。特定の実施形態において、追加の薬剤は、本明細書に記載の疾患を治療及び/又は予防するために有用な薬剤である。それぞれの追加の薬剤は1回投与及び/又はその薬剤について決定された時間スケジュールで投与され得る。追加の薬剤は、互いに及び/又は本明細書に記載の化合物又は組成物とともに、1回の投与で投与され又は異なる投与で分離して投与され得る。レジメンにおいて採用される特定の組合せは、追加の薬剤(単数又は複数)と本発明の化合物との適合性及び/又は達成すべき所望の治療及び/又は予防効果を考慮し得る。一般的に、組み合わせて利用される追加の薬剤(単数又は複数)は、それらが個別に利用されるレベルを超えないレベルで利用されることが期待される。いくつかの実施形態において、組み合わせて利用されるレベルは、個々に利用されるものよりも低くなる。
追加の薬剤は、限定されないが、抗増殖剤(例えば、抗癌剤)、抗血管新生剤、抗炎症剤、免疫抑制剤、抗細菌剤、抗ウイルス剤、抗糖尿病薬、抗アレルギー剤、及び鎮痛薬を含む。特定の実施形態において、追加の薬剤は、成長因子阻害剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、VEGF阻害剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、血管新生阻害剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、内因性血管新生阻害剤(例えば、血管内皮増殖因子受容体1(VEGFR−1、例えば、パゾパニブ(VOTRIENT(登録商標))、セジラニブ(RECENTIN(登録商標))、チボザニブ(tivozanib)(AV−951)、アキシチニブ(INLYTA(登録商標))、セマキサニブ)、HER2(ラパチニブ(TYKERB(登録商標)、TYVERB(登録商標))、リニファニブ(linifanib)(ABT−869)、MGCD−265、及びKRN−633)、VEGFR−2(例えば、レゴラフェニブ(BAY 73−4506)、telatinib(BAY 57−9352)、バタラニブ(PTK787、PTK/ZK)、MGCD−265、OSI−930、及びKRN−633)、NRP−1、アンジオポエチン2、TSP−1、TSP−2、アンジオスタチン、エンドスタチン、バソスタチン、カルレティキュリン、血小板因子−4、TIMP、CDAI、メタ−1、メタ−2、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、CXCL10、IL−4、IL−12、IL−18、プロトロンビン(クリングルドメイン−2)、アンチトロンビンIIIフラグメント、プロラクチン、VEGI、SPARC、オステオポンチン、マスピン、カンスタチン、プロリフェリン関連タンパク質、ソラフェニブ(NEXAVAR(登録商標))、及びレスチン)である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、外因性の血管新生阻害剤(例えば、ベバシズマブ、イトラコナゾール、カルボキシアミドトリアゾール、TNP−470、CM101、IFN−α、IL−12、血小板因子−4、スラミン、SU5416、トロンボスポンジン、VEGFRアンタゴニスト、血管新生抑制ステロイド、血管新生抑制ステロイド+ヘパリン、軟骨由来の血管新生阻害因子、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、アンジオスタチン、エンドスタチン、2−メトキシエストラジオール、テコガラン、テトラチオモリブデン酸、サリドマイド、トロンボスポンジン、プロラクチン、αvβ3阻害剤、リノミド、及びタスキニモド)である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、コルチコステロイド、受容体チロシンキナーゼ(RTK)阻害剤、シクロオキシゲナーゼ(COX)阻害剤、プロスタグランジン類似体、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ベータ遮断薬、又は炭酸脱水酵素阻害剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、ベルテポルフィン(verteporfin)(例えば、CHLORIN(登録商標)、VISUDYNE(登録商標))、サリドマイド(例えば、AMBIODRY(登録商標)、SYNOVIR(登録商標)、THALOMID(登録商標))、タラポルフィンナトリウム(例えば、APTOCINE(登録商標)、LASERPHYRIN(登録商標)、LITX(登録商標))、ラニビズマブ(例えば、LUCENTIS(登録商標))、ペガプタニブオクタナトリウム(例えば、MACUGEN(登録商標)、MACUVERSE(登録商標))、イソプロピルウノプロストン(例えば、OCUSEVA(登録商標)、RESCULA(登録商標))、インターフェロンベータ(例えば、FERON(登録商標))、フルオシノロンアセトニド(例えば、ENVISION TD(登録商標)、RETISERT(登録商標))、エベロリムス(例えば、AFMITOR(登録商標)、CERTICAN(登録商標)、VOTUBIA(登録商標)、ZORTRESS(登録商標))、エクリズマブ(例えば、SOLARIS(登録商標)、SOLIRIS(登録商標))、デキサメタゾン(例えば、OSURDEX(登録商標)、OZURDEX(登録商標)、POSURDEX(登録商標)、SURODEX(登録商標))、カナキヌマブ(canakinumab)(例えば、ILARIS(登録商標))、ブロムフェナク(BROMDAY(登録商標))、オフタルミック(ophthalmic)(例えば、BRONAC(登録商標)、BRONUCK(登録商標)、XIBROM(登録商標)、YELLOX(登録商標))、ブリモニジン(例えば、ALPHAGAN(登録商標)、BROMOXIDINE(登録商標)、ENIDIN(登録商標))、酢酸アネコルタブ(例えば、RETAANE(登録商標)、EDEX(登録商標)、PROSTAVASIN(登録商標)、RIGIDUR(登録商標)、VASOPROST(登録商標)、VIRIDAL(登録商標))、アフリベルセプト点眼液(例えば、EYELEA(登録商標)、EYLEA(登録商標)、VEGF−TRAP−EYE(登録商標))、オクリプラスミン(例えば、ILUVIEN(登録商標)、MEDIDUR(登録商標)、MEDIDUR FA(登録商標))、シロリムス(例えば、PERCEIVA(登録商標))、NT−501、KH−902、フォスブレタブリントロメタミン(例えば、ZYBRESTAT(登録商標))、AL−8309、アガニルセン(aganirsen)(例えば、NORVESS(登録商標))、ボロシキシマブ(volociximab)(例えば、OPTHOTEC(登録商標))、トリアムシノロン(例えば、Icon Bioscience)、TRC−105、ブリキサフォル(Burixafor)(例えば、TG−0054)、TB−403(例えば、R−7334)、スクアラミン(例えば、EVIZON(登録商標))、SB−623、S−646240、RTP−801i−14(例えば、PF−4523655)、RG−7417(例えば、FCFD−4514S)、AL−78898A(例えば、POT−4)、PG−11047(例えば、CGC−11047)、パゾパニブ塩酸塩、ソネプシズマブ(sonepcizumab)(例えば、ASONEP(登録商標)、SPHINGOMAB(登録商標))、パデリポルフィン(padeliporfin)(例えば、STAKEL(登録商標))、OT−551、オンテシズマブ(ontecizumab)、NOX−A12、hCNS−SC、Neu2000、NAFB00l、MA09−hRPE、LFG−316、iCo−007(例えば、ISIS−13650)、hI−conl、GSK−933776A、GS−6624(例えば、AB−0024)、ESBA−1008、エピタロン(epitalon)、E−10030(例えば、ARC−127)、ダランテルセプト(dalantercept)、MP−0112、CNTO−2476、CERE−120、AAV−NTN、CCX−168、ブリモニジン−DDS、ベバシラニブナトリウム(例えば、Cand5)、ベルチリムマブ(bertilimumab)、AVA−101、ALG−1001、AL−39324、AGN−150998、ACU−4429、A6(例えば、PARALIT(登録商標))、TT−30、sFLT−01遺伝子治療、RETINOSTAT(登録商標)、PRS−050(例えば、ANGIOCAL(登録商標))、PF−4382923、パロミド(Palomid)−529、MC−1101、GW−824575、Dzl3(例えば、TRC−093)、D93、CDX−1135(例えば、TP10)、ATL−1103、ARC−1905、XV−615、wet−AMD抗体(例えば、pSivida)、VEGF/rGel、VAR−10200、VAL−566−620−MULTI、TKI、TK−001、STP−601、乾燥AMD幹細胞治療(例えば、EyeCyte)、OpRegen、SMT−D004、SAR−397769、RTU−007、RST−001、RGNX−004、RFE−007−CAI、網膜退化プログラム(例えば、ORPHAGEN)、網膜細胞(例えば、ISCO)、ReN003、PRM−167、プロデックス(ProDex)、フォトスイッチズ(Photoswitches(例えば、Photoswitch Biosciences)、パーキンソン治療、OMS−721、OC−10X、NV.AT.08、NT−503、NAFB002、NADPHオキシダーゼ阻害剤(例えば、Alimera Sciences)、MC−2002、クコ抗血管新生プロテオグリカン、IXSVEGF、インテグリン阻害剤、GW−771806、GBS−007、Eos−013、EC−400、ドライ−AMD治療(例えば、Newron Systems)、CGEN−25017、CERE−140、AP−202、AMD治療(例えば、Valens Therapeutics)、AMD治療(例えば、Amarna Therapeutics)、AMD RNAi治療(例えば、RXi)、ALK−001、AMD治療(例えば、Aciont)、AC−301、4−IPP、亜鉛−モノシステイン錯体(例えば、Adeona)、バタラニブ、TG−100−344、プリノマスタット、PMX−53、ネオバスタット(Neovastat)、メカミラミン、JSM−6427、JPE−1375、CereCRIB、BA−285、ATX−S10、AG−13958、ベルテポルフィン(verteporfin)/アルファブ(alphav)β3複合体、VEGF/rGel、VEGF−サポリン、VEGF−R2アンタゴニスト(例えば、Allostera)、VEGF阻害剤(例えば、Santen)、VEGFアンタゴニスト(例えば、Ark)、VANGIOLUX(登録商標)、トリフェニルメタン(例えば、Alimera)、TG−100−801、TG−100−572、TA−106、T2−TrpRS、SU−0879、幹細胞治療(例えば、Pfizer及びUCL)、SOD模倣物(例えば、Inotek)、SHEF−1、ロスタポリフィン(rostaporfin)(例えば、PHOTREX(登録商標)、PURLYTIN(登録商標)、SnET2)、RNA干渉(例えば、Idera及びMerck)、rhCFHp(例えば、Optherion)、網膜−NPY、網膜色素変性症治療(例えば、Mimetogen)、AMDの遺伝子治療(例えば、Novatis)、網膜遺伝子治療(例えば、Genzyme)、AMD遺伝子治療(例えば、Copernicus)、網膜ジストロフィー治療(例えば、Fovea及びGenzyme)、ラモットプロジェクトNO.K−734B、PRS−055、ブタRPE細胞(例えば、GenVec)、PMI−002、PLG−101(例えば、BiCentis(登録商標))、PJ−34、PI3K複合体(例えば、Semafore)、フォトポイント(PhotoPoint)、ファーマプロジェクトNo.6526、ペガプタニブナトリウム(例えば、SurModics(登録商標))、PEDF ZFP TF、PEDF遺伝子治療(例えば、GenVec)、PDS−1.0、PAN−90806、Opt−21、OPK−HVB−010、OPK−HVB−004、オフタルモロジカルス(Ophthalmologicals)(例えば、Cell NetwoRx)、眼科用化合物(例えば、AstraZencaと及びAlcon)、オキュキサン(OcuXan)、NTC−200、NT−502、NOVA−21012、NEUROSOLVE(登録商標)、
神経保護(例えば、BDSI)、MEDI−548、MCT−355、MCEYE(登録商標)、LENTIVUE(登録商標)、LYN−002、LX−213、ルテチウムテキサフィリン(例えば、ANTRIN(登録商標))、LG−339阻害剤(例えば、レキシコン)、KDRキナーゼ阻害剤(例えば、Merck)、ISV−616、INDUS−815C、ICAM−1アプタマー(例えば、Eyetech)、ヘッジホッグアンタゴニスト(例えば、Opthalmo)、GTx−822、GS−102、GranzymeB/VEGF(登録商標)、遺伝子治療(例えば、EyeGate)、GCS−100アナログプログラム、FOV−RD−27、線維芽細胞増殖因子(例えば、Ramot)、フェンレチニド、F−200(例えば、Eos−200−F)、PANZEM SR(登録商標)、ETX−6991、ETX−6201、EG−3306、Dz−13、ジスルフィラム(例えば、ORA−102)、ジクロフェナク(Diclofenac)(例えば、Ophthalmopharma)、ACU−02、CLT−010、CLT−009、CLT−008、CLT−007、CLT−006、CLT−005、CLT−004、CLT−003(例えば、CHIROVIS(登録商標))、CLT−001、CETHRIN(登録商標)(例えば、BA−210)、セレコキシブ、CD91アンタゴニスト(例えば、Ophthalmophar)、CB−42、BNC−4、ベストロフィン(bestrophin)、バチマスタット、BA−1049、AVT−2、AVT−1、atu012、Ape1プログラム(例えば、ApeX−2)、抗VEGF(例えば、Gryphon)、AMD ZFPs(例えば、ToolGen)、AMD治療(例えば、Optherion)、AMD治療(例えば、ItherX)、ドライAMD治療(例えば、Opko)、AMD治療(例えば、CSL)、AMD治療(例えばPharmacopeia及びAllergan)、AMD治療タンパク質(例えば、ItherX)、AMD RNAi治療(例えば、BioMolecular Therapeutics)、AM−1101、ALN−VEG01、AK−1003、AGN−211745、ACU−XSP−001(例えば、EXCELLAIR(登録商標))、ACU−HTR−028、ACU−HHY−011、ACT−MD(例えば、NewNeural)、ABCA4モジュレーター(例えば、Active Pass)、A36(例えば、Angstrom)、267268(例えば、SB−267268)、ベバシズマブ(例えば、VASTIN(登録商標))、アフリベルセプト(例えば、EYLEA(登録商標))、131−I−TM−601、バンデタニブ(例えば、CAPRELSA(登録商標)、ZACTIMA(登録商標)、ZICTIFA(登録商標))、リンゴ酸スニチニブ(例えば、SUTENE(登録商標)、SUTENT(登録商標))、ソラフェニブ(例えば、NEXAVAR(登録商標))、パゾパニブ(例えば、AMIALA(登録商標)、PATORMA(登録商標)、VOTRIENT(登録商標))、アキシチニブ(例えば、INLYTA(登録商標))、チボザニブ(tivozanib)、XL−647、RAF−265、ペグジネタニブ(例えば、ANGIOCEPT(登録商標))、パゾパニブ、MGCD−265、イクルクマブ(icrucumab)、フォレチニブ(foretinib)、ENMD−2076、BMS−690514、レゴラフェニブ、ラムシルマブ、プリチデプシン(plitidepsin)(例えば、APLIDIN(登録商標))、オランチニブ(orantinib)、ニンテダニブ(nintedanib)(例えば、VARGATEF(登録商標))、モテサニブ、ミドスタウリン、リニファニブ(linifanib)、テラチニブ(telatinib)、レンバチニブ、エルパモチド(elpamotide)、デビチニブ(dovitinib)、セジラニブ(例えば、RECENTIN(登録商標))、JI−101、カボザンチニブ(cabozantinib)、ブリバニブ(brivanib)、アパチニブ(apatinib)、ANGIOZYME(登録商標)、X−82、SSR−106462、レバスチニブ(rebastinib)、PF−337210、IMC−3C5、CYC116、AL−3818、VEGFR−2阻害剤(例えば、AB Science)、VEGF/rGel(例えば、Clayton Biotechnologies)、TLK−60596、TLK−60404、R84抗体(例えば、Peregrin)、MG−516、FLT4キナーゼ阻害剤(例えば、Sareum)、flt−4キナーゼ阻害剤、サレウム(Sareum)、DCC−2618、CH−330331、XL−999、XL−820、バタラニブ、SU−14813、セマキサニブ、KRN−633、CEP−7055、CEP−5214、ZK−CDK、ZK−261991、YM−359445、YM−231146、VEGFR−2キナーゼ阻害剤(例えば、Takeda)、VEGFR−2キナーゼ阻害剤(例えば、Hanmi)、VEGFR−2アンタゴニスト(例えば、Affymax)、VEGF/rGelを(例えば、Targa)、VEGF−TK阻害剤(例えば、AstraZeneca)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、Abbott)、チロシンキナーゼ阻害剤(例えば、Abbott)、タイ−2キナーゼ阻害剤(例えば、GSK)、SU−0879、SP−5.2、ソラフェニブビーズ(例えば、NEXAVAR(登録商標)ビーズ)、SAR−131675、Ro−4383596、R−1530、ファーマプロジェクツ(Pharmaprojects)No.6059、OSI−930、OSI−817、OSI−632、MED−A300、L−000021649、KM−2550、キナーゼ阻害剤(例えば、MethylGene)、キナーゼ阻害剤(例えば、Amgen)、Ki−8751、KDRキナーゼ阻害剤(例えば、Celltech)、KDRキナーゼ阻害剤(例えば、Merck)、KDRキナーゼ阻害剤(例えば、Amgen)、KDR阻害剤(例えば、Abbott)、KDR阻害剤(例えば、LGLS)、JNJ−17029259、IMC−1C11、Flt3/4抗がん剤(例えば、Sentinel)、EG−3306、DP−2514、DCC−2157、CDP−791、CB−173、c−kit阻害剤(例えば、Deciphera)、BIW−8556、抗がん剤(例えば、Bracco及びDyax)、抗−Flt−1MAbs(例えば、ImClone)、AGN−211745、AEE−788、又はAB−434である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、シクロスポリン(RESTASIS(登録商標))のような、ドライアイの治療及び/又は予防するために有用な薬剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、NSAID(例えば、ブロムフェナク(BROMDAY(登録商標)))のような嚢胞様黄斑浮腫(CME)の治療及び/又は予防するために有用な薬剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標))などの糖尿病性黄斑浮腫(DME)の治療及び/又は予防するために有用な薬剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、TOBRADEX(登録商標)(0.1%デキサメタゾン/0.3%トブラマイシン)、ZYLET(登録商標)(0.5%ロテプレドノール/0.3%トブラマイシン))、トリアムシノロンアセトニド(TRIVARIS(登録商標)及びTRIESENCE(登録商標))、フルオシノロンアセトニド(RETISERt(登録商標))、及びデキサメタゾン(OZURDEX(登録商標))のようなぶどう膜炎の治療及び/又は予防に有用な薬剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、ラタノプロスト(XALATAN(登録商標))、ビマトプロスト(LUMIGAN(登録商標))、トラボプロスト(TRAVATAN Z(登録商標))、チモロール(TIMOPTIC(登録商標))、酒石酸ブリモニジン(ALPHAGAN(登録商標))、ドルゾラミド(TRUSOPT(登録商標))、及びピロカルピン(ISOPTO(登録商標))のような緑内障の治療及び/予防に有用な薬剤である。特定の実施形態において、追加の薬剤は、ステロイド(例えば、エタボン酸ロテプレドノール(LOTEMAX(登録商標))、ジフルプレドナート(DUREZOL(登録商標))、酢酸プレドニゾロン(PREDMILD(登録商標)及びOMNIPRED(登録商標))及びNSAIDs(例えば、ブロムフェナク(BROMDAY(登録商標))、ネパフェナク(NEVANAC(登録商標))、ケトロラクトロメタミン(ACULAR LS(登録商標)、ACUVAIL(登録商標)、TORADOL(登録商標)、及びSPRIX(登録商標))、ジクロフェナク(VOLTAREN(登録商標)、ACLONAC(登録商標)、及びCATAFLAM(登録商標))のような眼の炎症性疾患(例えば、手術後の炎症)の治療及び/又は予防に有用な薬剤である。
また、本発明によって包含されるものは、キット(例えば、医薬パック)である。キットは、本発明の医薬組成物又は化合物5の結晶形態及び容器(例えば、バイアル、アンプル、ボトル、シリンジ、及び/又はディスペンサーパッケージ、又は他の適切な容器)を含む。いくつかの実施形態において、提供されるキットは、所望により、本発明の医薬組成物又は化合物5の結晶形態の希釈液又は懸濁液のための医薬賦形剤を有する第2容器を含んでもよい。いくつかの実施形態において、第1容器及び第2容器内に設けられた本発明の医薬組成物又は化合物5の結晶形態は、1つの単位剤形を形成するために組み合わされる。
したがって、1つの側面において、提供されるものは、本明細書に記載の化合物5の結晶形態又はその薬学的に許容可能な塩、溶媒和物、水和物、多形体、共結晶、互変異性体、立体異性体、同位体標識した誘導体、若しくはそのプロドラッグ、又はその医薬組成物を有する第1容器を含むキットである。特定の実施形態において、本明細書に記載のキットは、本明細書に記載の疾患の予防及び/又は治療するために有用である。特定の実施形態において、本明細書に記載のキットは、予防及び/又は治療を必要とする対象における増殖因子(例えば、VEGF)の異常シグナリングに関連する疾患の予防及び/又は治療に有用である。特定の実施形態において、本明細書に記載のキットは、予防及び/又は治療を必要とする対象における異常な血管新生に関連する疾患の予防及び/又は治療に有用である。特定の実施形態において、本明細書に記載のキットは、増殖性疾患(例えば、癌、良性新生物、炎症性疾患、自己免疫疾患)、及び/又は眼疾患(例えば、黄斑変性、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜芽細胞腫、浮腫、ブドウ膜炎、ドライアイ、又は手術後の炎症)の予防及び/又は治療に有用である。特定の実施形態において、本明細書に記載のキットは、抑制を必要とする対象又は細胞の成長因子(例えば、VEGF)の異常なシグナリングを抑制するために有用である。特定の実施形態において、本明細書に記載のキットは、抑制を必要とする対象の異常な血管新生の抑制に有用である。特定の実施形態において、キットは、化合物5の結晶形態、又はその医薬組成物をさらに含む。キットはまた、米国食品医薬品局(FDA)などの規制機関によって要求される情報を含み得る。特定の実施形態において、キットに含まれる情報は、処方情報である。特定の実施形態において、キット及び説明書は、本明細書に記載の疾患の治療及び/又は予防を提供する。特定の実施形態において、キット及び説明書は、予防及び/又は治療を必要とする対象における増殖因子(例えば、VEGF)の異常なシグナリングに関連する疾患の予防及び/又は治療を提供する。特定の実施形態において、キット及び説明書は、予防及び/又は治療を必要とする対象において異常な血管新生に関連する疾患の予防及び/又は治療を提供する。特定の実施形態において、キット及び説明書は、抑制を必要とする対象又は細胞の成長因子(例えば、VEGF)の異常なシグナリングの抑制を提供する。特定の実施形態において、キット及び説明書は、抑制を必要とする対象において、異常な血管新生の抑制を提供する。本発明のキットは、別個の組成物として、本明細書に記載の1又は2以上の追加の薬剤を含んでもよい。
本発明によって、粘液に浸透することができる、本明細書に記載の化合物5の結晶形態を含む粒子、その医薬組成物、キット、及び粒子と使用及び調製方法、並びにその医薬組成物も提供される。医薬組成物、キット及び方法は、低水溶解度を有する薬剤の粒子のような、粒子の表面コーティングの修正を含んでもよい。そのような医薬組成物、キット及び方法は、対象の粘液バリアを通る、発明の化合物5の結晶形態を備える粒子の効率的な輸送を達成するために使用することができる。
特定の実施形態において、本発明の結晶形態、粒子、医薬組成物、キット及び方法は、眼疾患(例えば、黄斑変性症、網膜症、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞、ドライアイ症候群、ぶどう膜炎、アレルギー性結膜炎、緑内障、及び酒さ)の治療及び/又は予防のような、眼への適用に有用である。
本発明の粒子(例えば、ナノ粒子及びミクロ粒子)は、化合物5の結晶形態を含む。特定の側面において、粒子は、化合物5の結晶形態IIIを含む。本発明の粒子は、粘液に対する粒子の付着を低減するため、及び/又は粘液を通る粒子の浸透を促進するために、粒子の表面を修正する表面改変剤も含む。
本発明は、また、本発明の粒子を備える医薬組成物を提供する。ある実施形態において、本発明の医薬組成物は、対象の眼へ局所的に投与されうる。局所的医薬組成物は、注射による又は経口的に投与される医薬組成物より有利である。
粒子
本発明は、また、粘液へ浸透する粒子又は結晶(MPPs)であり得る、本発明の複数の粒子又は結晶を含む医薬組成物を提供する。本発明で有用な化合物5の結晶形態II又は結晶形態IIIを含むMPPsは、例えば、米国特許出願公開第2013/0316001号明細書、米国特許出願公開2013/0316006号明細書、米国特許出願公開2013/0323179号明細書、米国特許出願公開2013/0316009号明細書、米国特許出願公開2012/0121718号明細書、米国特許出願公開2010/0215580号明細書及び米国特許出願公開2008/0166414号明細書に開示されたように調製され、これらはその全体を参照することで本明細書に組み入れられる。当該医薬組成物は、本明細書に記載される様々な経路での投与に好適である。1つの実施形態では、化合物5の結晶形態II又は結晶形態IIIを含む複数の粒子を含み、該粒子が粘液移行する粒子である医薬組成物は、対象の眼への輸送のために、あるいは対象の眼疾患を治療及び/又は予防するために、処方される。
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、コア−シェル型の構造を有する。コアは、化合物5の結晶形態、ポリマー担体、脂質、及び/又はタンパク質を含んでもよい。コアは、ゲル又は液体を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、コアは固体である。固体は、例えば化合物5の結晶形態(例えば、結晶形態III)である。特定の実施形態では、コアはゲル又は液体(例えば、水中油型又は油中水型のエマルジョン)である。
化合物5の結晶形態(例えば、結晶形態III)は、任意の適切な量、例えば、コアの少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約60重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約85重量%、少なくとも約90重量%、少なくとも約95重量%、又は少なくとも約99重量%の量で、コアに存在してもよい。1つの実施形態において、コアは100重量%の化合物5の結晶形態(例えば、結晶形態III)から形成される。場合によっては、化合物5の結晶形態(例えば、結晶形態III)は、コアの約100重量%以下、約95重量%以下、約90重量%以下、約85重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、約30重量%以下、約20重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下、約2重量%以下、又は約1重量%以下で、コアに存在してもよい。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、コアの少なくとも約80重量%及び約100重量%以下の量で存在)。他の範囲も可能である。1つの実施形態において、化合物5の結晶形態(例えば、結晶形態III)は、本発明の粒子のコアの少なくとも90重量%を構成する。他の実施形態では、化合物5の結晶形態(例えば、結晶形態III)は、本発明の粒子のコアの少なくとも95重量%を構成する。
ポリマーがコア中に存在する場合、ポリマーは任意の好適な量、例えば、約100重量%未満、約80重量%未満、約60重量%未満、約50重量%未満、約40重量%未満、約30重量%未満、約20重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、又は約1重量%未満の量でコア中に存在してもよい。いくつかの場合において、ポリマーは、コア中に少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約20重量%、少なくとも約30重量%、少なくとも約40重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約90重量%、又は少なくとも約99重量%の量で存在してもよい。上記に参照する範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約1重量%及び約20重量%未満の量で存在)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、コアはポリマー成分を実質的に含まない。
コアは、任意の好適な形及び/又はサイズを有していてもよい。例えば、コアは実質的に球形、非球形、楕円形、ロッド形、ピラミッド形、立方形状、ディスク状、ワイヤ状、又は不規則な形状であってもよい。コアは、例えば、約10μm未満、約3μm未満、約1μm未満、約500nm未満、約400nm未満、約300nm未満、約200nm未満、約100nm未満、約30nm未満、又は約10nm未満の最大又は最小の断面寸法を有していてもよい。いくつかの場合において、コアは、例えば、少なくとも約10nm、少なくとも約30nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1μm、又は少なくとも約3μmの最大又は最小の断面寸法を有していてもよい。上記に参照する範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約30nm及び500nm未満の最大又は最小断面寸法)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の工程によって形成されたコアの大きさは、ガウス型の分布を有する。特に示されない限り、粒子の大きさ又はコアの大きさの測定は、最小断面寸法を指す。
粒子サイズ(例えば、最小又は最大断面寸法)を決定するための技術は、本技術分野において知られている。好適な技術の例は、動的光散乱法(DLS)法、透過型電子顕微鏡、走査型電子顕微鏡、電気抵抗カウント(electroresistance counting)法及びレーザー回折法を含む。粒子のサイズを決定するための多くの方法が知られているが、ここで説明されているサイズ(例えば、平均粒子サイズ、及び厚さ)は、DLSによって測定されたものを指す。
いくつかの実施形態では、コアのかなりの部分が、本明細書に記載の化合物5の結晶形態から形成され、特定の利益及び/又は治療効果をもたらす。コアは、例えば、化合物5の結晶形態のナノ結晶(すなわち、ナノ結晶の粒子)であってもよい。特定の実施形態では、コアはポリマー担体を含み、任意にカプセル化された、あるいはコアに結合させた化合物5の結晶形態を有する。特定の実施形態では、コアは、対象に輸送される脂質、タンパク質、ゲル、液体、及び/又は他の好適な物質を含む。コアは、1つ以上の表面改変剤が加えられる表面を含む。
いくつかの実施形態では、内側表面及び外側表面を有するコアは、コーティング剤によって囲まれている。コーティング剤は、1つ以上の、ポリマー(例えば、ブロックコポリマー及び/又はペンダントヒドロキシル基を有するポリマー)等の表面改変剤から少なくとも部分的に形成され、コアの表面に結合してもよい。表面改変剤は、例えば、コア粒子への共有結合、コア粒子への非共有結合、コアへの吸着、又はイオン相互作用を介したコアへの結合、疎水性及び/又は親水性相互作用、静電相互作用、ファン・デル・ワールス相互作用、あるいはこれらの組み合わせによって、コア粒子に結合してもよい。
本発明の粒子のコーティング剤及び/又は表面改変剤は、疎水性材料、親水性材料及び/又は両親媒性材料のような任意の好適な材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、コーティング剤はポリマーを含む。ある実施形態において、ポリマーは合成ポリマー(例えば、天然では生成されないポリマー)である。他の実施形態において、ポリマーは天然ポリマー(例えば、タンパク質、多糖類、又はゴム)である。ある実施形態において、ポリマーは界面活性ポリマーである。ある実施形態において、ポリマーは非イオンポリマーである。ある実施形態において、ポリマーは直鎖状合成非イオンポリマーである。ある実施形態において、ポリマーは、非イオン性ブロックコポリマーである。ポリマーは、コポリマーであってもよい。ある実施形態において、コポリマーの1つの繰り返し単位は、比較的疎水性であって、コポリマーの他の繰り返し単位は比較的親水性である。コポリマーは、例えばダイブロック、トリブロック、交互の又はランダムコポリマーであってもよい。ポリマーは電荷を帯びていても、帯びていなくともよい。
コーティング剤の好適なポリマーの非限定的な例は、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーバメート、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、及びポリアリーレートを含み得る。特定のポリマーの非限定的な例は、ポリ(カプロラクトン)(PCL)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)(PLGA)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコール酸)(PLLGA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−カプロラクトン−コ−グリコリド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PEO−コ−D,L−ラクチド)、ポリ(D,L−ラクチド−コ−PPO−コ−D,L−ラクチド)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリ−L−リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリエチレンとポリプロピレン等のポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)等のポリアルキレングリコール、ポリ(エチレンテレフタレート)等のポリアルキレンテレフタレート、ポリビニアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリ(酢酸ビニル)等のポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)(PVC)等のポリハロゲン化ビニル、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、アルキルセルロース等の誘導セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(へキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)(一体的に「ポリアクリル酸」と呼ぶ)、及びコポリマーとその混合物等のアクリル酸のポリマー、ポリジオキサノンとそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルト)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン)、及び、トリメチレンカーボネートを含む。
コーティング剤のポリマーの分子量は多様である。いくつかの実施形態において、コーティング剤のポリマーの分子量は、少なくとも約0.5kDa、少なくとも約1kDa、少なくとも約1.8kDa、少なくとも約2kDa、少なくとも約3kDa、少なくとも約4kDa、少なくとも約5kDa、少なくとも約6kDa、少なくとも約8kDa、少なくとも約10kDa、少なくとも約12kDa、少なくとも約15kDa、少なくとも約20kDa、少なくとも約30kDa、少なくとも約40kDa、又は少なくとも約50kDaである。いくつかの実施形態において、コーティング剤のポリマーの分子量は、約50kDa未満、約40kDa未満、約30kDa未満、約20kDa未満、約12kDa未満、約10kDa未満、約8kDa未満、約6kDa未満、約5kDa未満、又は約4kDa未満である。上記に参照する範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約2kDa及び約15kDa未満の分子量)。他の範囲も可能である。コーティング剤のポリマーの分子量は、光散乱及びゲル浸透クロマトグラフィー等の任意の公知技術を用いて決定できる。本技術分野では、他の方法も公知である。本発明の粒子、及びそのコーティング剤は、いくつかの実施形態でそれぞれポリマーを含み得るが、本発明の粒子は、ポリマー又は薬剤ではない疎水性材料を含む。非ポリマーの疎水性物質の非限定的な例は、例えば、金属、ワックス、及び有機物質(例えば、有機シラン及び過フッ素化又はフッ素化された有機物質)等である。
いくつかの実施形態では、表面改変剤、又はその部分は、粘膜バリア(例えば、粘液又は粘膜)を介した、あるいは粘膜バリアの中への粒子の輸送を促進するために選択される。本明細書に記載される特定の実施形態では、1つ以上の表面改変剤は、コーティング剤における特定の構造に適応される。いくつかの実施形態では、表面改変剤が(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)の構成を備えるトリブロックコポリマー等のトリブロックコポリマーであるいくつかの実施形態において、疎水性ブロックがコアの表面に配向され、親水性ブロックがコアの表面から離れて(粒子の外側に向かって)配向されてもよい。親水性ブロックは、粘膜バリアを介した粒子の輸送を促進する特徴を有してもよい。コーティング剤及び表面改変剤の特定の化学的構成及び/又は成分は、粘膜バリアを介した輸送を増強する等の特定の機能性を粒子に付与するように選択され得る。
いくつかの実施形態では、本発明の少なくとも1つの粒子は、コアとコアの周囲のコーティング剤とを含む。コアとコア上のコーティング剤とを含む粒子は、“被覆粒子”と称される。特定の実施形態では、本発明の少なくとも1つの粒子は、コアを含むがコア上のコーティング剤を含まない。コアを含むがコア上のコーティング剤を含まない粒子は、“非被覆粒子”と称される。
コアを覆うコーティング剤はコアを完全に覆っていなくともよいが、そのような実施形態も可能であってよい、ということが理解されるべきである。例えば、コーティング剤は、コアの表面積の少なくとも約10%、少なくとも約30%、少なくとも約50%、少なくとも約70%、少なくとも約90%、又は少なくとも約99%を覆ってもよい。いくつかの場合において、コーティング剤は実質的にコアを覆っている。他の場合において、コーティング剤は完全にコアを覆っている。他の実施形態において、コーティング剤は、コアの表面積の約100%未満、約90%未満、約70%未満、又は約50%未満を覆っている。上で示した範囲の組み合わせも可能である(例えば、コアの表面積の少なくとも70%及び100%未満を覆っている)。
コーティング剤の材料は、いくつかの場合において、コアの表面をわたり均等に分布していてもよく、他の場合において不均等であってもよい。例えば、コーティング剤は、何も材料を含んでいない部分(例えば、穴)を含んでいてもよい。所望されるならば、コーティング剤は、特定の分子及び成分がコーティング剤の内へ、又は外へと貫通及び/又は輸送されるように設計されてもよいが、他の分子及び成分がコーティング剤の内へ又は外へと貫通及び/又は輸送されることを防いでもよい。特定の分子がコーティング剤の内又は外へと貫通及び/輸送される能力は、例えば、コーティング剤を形成する表面改変剤の装填の程度及びコーティング剤を形成する成分の物理的特性に依存してもよい。本明細書に記載のように、コーティング剤は材料の1つの層(すなわち、モノレイヤー)、又は材料のマルチレイヤーを含んでもよい。表面改変剤の1つの型又は複数の型が存在してもよい。
本発明の粒子のコーティング剤は、任意の好適な厚みを有することができる。例えば、コーティング剤は、少なくとも約1nm、少なくとも約3nm、少なくとも約10nm、少なくとも約30nm、少なくとも約100nm、少なくとも約300nm、少なくとも約1μm、又は少なくとも約3μmの平均厚さを有してもよい。いくつかの場合において、コーティング剤の平均厚さは、約3μm未満、約1μm未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、約10nm未満、又は約3nm未満である。上記に参照する範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約1nm及び100nm未満の平均厚さ)。他の範囲も可能である。複数のコーティング剤を有する粒子にとって、各コーティング剤がここで説明する厚みのうちの1つを有してもよい。
本発明の医薬組成物は、コアの表面に対する表面改変部分の共有結合を必要とせずに、親水性の表面改変部分を備える本発明の粒子のコーティング剤を可能とすることができる。いくつかの実施形態において、疎水性の表面を有するコアは、本明細書に記載のポリマーで覆われており、それにより、コア自身の特性を実質的に変更することなく、複数の表面改変部分をコアの表面上に存在させる。例えば、表面改変剤は、コアの外表面に存在(例えば、吸着)してもよい。他の実施形態において、表面改変剤は、コアに共有結合的に結合する。
コアの表面上に表面改変剤が吸着された特定の実施形態において、表面改変剤は、溶液中の表面改変剤の他の分子と、任意に他の成分と(例えば、医薬組成物)平衡状態であってもよい。いくつかの場合において、吸着された表面改変剤は、本明細書に記載の密度でコアの表面上に存在してもよい。密度は、表面改変剤が溶液中で他の成分と平衡状態にあるように、平均密度であってもよい。
いくつかの実施形態において、本発明は、本明細書に記載された化合物5の結晶形態II又は結晶形態IIIを含有するコアとコアの周囲のコーティング剤とを含む被覆粒子に関連する。いくつかの実施形態では、コーティング剤は親水性材料を含む。コーティング剤は、ポリマー及び/又は界面活性剤(例えば、PVA、ポロキサマー、ポリソルベート(例えば、TWEEN(商標) 80))のような本明細書に記載の1つ以上の表面改変剤を含んでもよい。本発明に有用な他のコーティング剤又は表面改変剤は、例えば、米国特許出願公開第2013/0316001号明細書、米国特許出願公開第2013/0316006号明細書、米国特許出願公開第2013/0323179号明細書、米国特許出願公開第2013/0316009号明細書、米国特許出願公開第2012/0121718号明細書、米国特許出願公開第2010/0215580号明細書及び米国特許出願公開第2008/0166414号明細書に記載されており、各々の全てが参照として本明細書に取り込まれる。
いくつかの実施形態において、組成物及び方法は、粘液における粒子の輸送を補助するポロキサマーの使用を含む。ポロキサマーは、一般に2つの親水性ブロック(例えば、ポリ(エチレンオキシド)ブロック)を両側に有する中央の疎水性ブロック(例えば、ポリ(プロピレンオキシド)ブロック)を備える非イオン性トリブロックコポリマーである。ポロキサマーは、PLURONIC(登録商標)の商標名を有する。本明細書に記載の実施形態において有用なPLURONIC(登録商標)ポリマーは、これに限られるものではないが、F127(ポロキサマー 407)、F38、F108(ポロキサマー 338)、F68、F77、F87、F88、F98、L101、L121、L31、L35、L43、L44、L61、L62、L64、L81、L92、N3、P103、P104、P105、P123、P65、P84及びP85を含む。特定の実施形態では、(親水性ブロック)−(疎水性ブロック)−(親水性ブロック)構造のトリブロックコポリマーの疎水性ブロックの分子量は、少なくとも約2kDaであって、2つの親水性ブロックは、トリブロックコポリマーの少なくとも約15重量%を構成する。ある実施形態において、組成物及び方法は、粘液における粒子の輸送を補助するポリソルベートの使用を含む。ポリソルベートは、一般的に脂肪酸とともにエステル化されたPEG化ソルビタン(ソルビトールの誘導体)から誘導される。ポリソルベートの一般的な商標名は、TWEEN(登録商標)、ALKEST(登録商標)、CANARCEL(登録商標)を含む。ポリソルベートの例は、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(例えば、TWEEN 80(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(例えば、TWEEN 60(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(例えば、TWEEN 40(登録商標))、及びポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例えば、TWEEN 20(登録商標))を含む。
本明細書で開示されたもの以外の要素及び構成が、特定の粒子及び医薬組成物にとって好適であってもよいこと、及び開示されている要素の全てが、いくつかの実施形態において必ずしも存在するわけではないことが、理解されるべきである。
いくつかの実施形態において、対象に導入された場合、本発明の粒子は、粘液、細胞、組織、器官、粒子、体液(例えば、血液)、微生物及びそれらの部分また組み合わせのような、対象内の1つ以上の構成要素と相互作用してもよい。いくつかの実施形態において、本発明の粒子のコーティング剤は、対象からの1つ以上の材料との好ましい相互作用(例えば、輸送、結合及び吸着)を可能とする特性を有する、表面改変剤又は他の成分を含むように設計することが可能である。例えば、コーティング剤は、対象内の特定の相互作用を促進又は低減するため、特定の親水性、疎水性、表面電荷、官能基、結合の特異性、及び/又は密度を有する、表面改変剤又は他の成分を含んでもよい。1つの例では、粘液を通る粒子の移動度を高めるように、粒子と対象の粘液との間の物理的及び/又は化学的相互作用を低減させるため、1つ以上の表面改変剤の親水性、疎水性、表面電荷、官能基、結合の特異性、及び/又は密度を選択する。他の例は、以下により詳細に説明する。
いくつかの実施形態において、一旦粒子が、対象の粘膜バリア(例えば、粘液又は粘膜の膜)の中へ及び/又は横切って正常に輸送されると、粒子と対象との間の更なる相互作用が生じ得る。コアが薬剤又は本発明の化合物を含む、いくつかの実施形態において、粒子からの薬剤の変換、分解、放出及び/又は輸送は、対象内において、特定の有益な及び/又は治療効果を導くことができる。それゆえ、本発明の粒子は、特定の疾患の治療及び/又は予防のために使用することができる。
本発明の粒子の使用例は、対象内の粘膜バリア(例えば、粘液又は粘膜の膜)への投与に好適であるという文脈において、以下に提供される。当然のことながら、多くの実施形態は、この文脈において、及び粘膜バリアを横切る材料の輸送に関わる疾病への有益性を提供する文脈において、説明されているが、本発明はそのようなものに限定されず、本発明の粒子、医薬組成物及びキットは、他の疾病の治療及び/又は予防のために使用してもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、化合物5の結晶形態と任意に少なくとも1つ付加的な薬剤とを含み、それぞれがカプセル化又は他の処理によってポリマー担体と会合されているMPPを備える。他の実施形態において、本発明の医薬組成物は、ポリマー担体のない、又はポリマー担体を最小限に使用したMPPを備える。ポリマー系MPPは、いくつかの実施形態において1つ以上の固有の限界を有することがある。特に、薬剤輸送の利用の観点から、これらの限界は、以下の1つ以上を含むことがある。A)低い薬剤カプセル化効率と低い薬物負荷:製造工程中に粒子中にカプセル化されるのは、使用された薬剤の全量の一般に10%未満であるので、ポリマー粒子内への薬剤のカプセル化は、しばしば非効率的である。加えて、50%以上の薬剤負荷が達成されない。B)使用の利便性:薬剤を負荷させたポリマー粒子系の医薬組成物は、一般に、典型的には早期の薬剤の放出を避けるため、乾燥粉末として保管する必要があり、それゆえ、使用時点の再構成又は洗練された薬品注入装置のいずれかが必要である。C)生体適合性:反復投与後にゆっくりと分解するポリマー担体の蓄積と、長期間にわたるそれらの毒性とが、ポリマー薬剤担体への主要な懸念を示している。D)化学的及び物理的な安定性:ポリマーの分解は、カプセル化された薬剤の安定性を損なうことがある。多くのカプセル化の処理において、薬剤は、溶液相から、新たに現れる固体相の物理的形状(つまり、アモルファス、対結晶、対結晶性多形)という点で十分コントロールされない固体相へと転位を経る。これは、物理的及び化学的な安定性と放出反応速度とを含む医薬組成物の性能の複数の観点にとって懸念である。E)製造の複雑性:薬剤負荷ポリマーMPPの製造、特に拡張性は、複数のステップと相当な量の有毒な有機溶剤とを含む、非常に複雑な工程である。それゆえ、ポリマー担体内へ薬剤をカプセル化する必要性を避ける、又は最小化させることにより、薬剤負荷、使用の利便性、生体適合性、安定性及び/又は製造の複雑性に関するポリマー担体の特定の限界が対処されてもよい。
しかし、他の実施形態において、薬剤はカプセル化または他の処理によってポリマー担体と関連づけられてもよいことが理解されるべきである。このように、本明細書で提供される説明は、この観点に限定されるものではない。例えば、ポリマー担体を含む、ある粘液浸透粒子は上記の欠点はあるにもかかわらず、ある実施形態においては、そのような粒子が好ましいことがある。例えば、コントロールされた放出目的のため、及び/又は、粒子内に形成することが困難な特定の薬剤をカプセル化するため、ポリマー担体を使用することが好ましいことがある。このように、本明細書に記載のいくつかの実施形態において、ポリマー担体を含む粒子を説明する。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、その全体を参照することで本明細書に組み入れられる米国特許出願公開2013/0316009号明細書に開示されたように、粘液内の粒子の輸送を補助するため、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、水溶性の非イオン性合成ポリマーを使用することを含む。医薬組成物は、例えば、特定のPVAの存在下の乳化処理によってMPP又はMPCを形成することを含み得る。ある実施形態において、医薬組成物及び方法は、特定のPVAを用いた非共有結合的なコーティングによって、既成の粒子からMPP又はMPCを形成することを含む。いくつかの実施形態において、医薬組成物及び方法は、任意のポリマー担体を用いずに、又はポリマー担体を最小限使用して、特定のPVAの存在下でMPPを形成することを含む。しかし、当然のことながら、他の実施形態において、ポリマー担体を使用可能である。
粘膜付着が低減された粒子
化合物5の結晶形態(例えば、結晶形態III)を含む本発明の粒子は、粘膜付着性が低下し得る。粘液を通る拡散性の増加が必要な材料は、疎水性あってもよく、多くの水素結合ドナー又アクセプタを含んでもよく、及び/又は高度に電荷を帯びていてもよい。いくつかの場合において、材料は、結晶質又は非晶質の固体材料を含んでもよい。コアとして機能しうる材料は、本明細書に記載の好適なポリマーで被覆されていてもよく、それにより表面に複数の表面改変部分を有する粒子を形成し、結果として、粘膜付着性が低減される。粘膜付着性が低減された本発明の粒子は、代わりに、粘膜を通る輸送性が増加している、と特徴付けられてもよい。粘膜中を移動可能である又は粘液浸透性(換言すれば、粘液浸透粒子)は、ネガティブコントロールの粒子と比べて早く粘液中を輸送される粒子を意味する。ネガティブコントロールの粒子は、例えば、200nmのカルボキシル化ポリスチレン粒子のような、本明細書に記載のコーティング剤で被覆されていない非改質粒子又はコア粘膜付着性であることが知られている粒子であってもよい。
本発明の粒子は、対象の粘液又は粘膜表面への輸送(例えば、眼の輸送)に適合されてもよい。表面改変部分を有する粒子は、対象の粘膜表面へと運ばれてもよく、対象の粘膜バリアを通過してもよく、及び/又は長期間の保持、及び/又は例えば低減された粘膜付着性によって、粘膜表面での粒子の均一的な分布が増加される。
更には、いくつかの実施形態において、低減された粘膜付着性を有する本発明の粒子は、より高い粘膜付着性の粒子と比較して、対象の組織表面での粒子の良好な分散を促進させ、及び/又は組織表面に長期間存在する。例えば、胃腸管などの管腔空間は、粘液に覆われた表面で囲まれている。そのようなスペースへと運ばれた粘膜付着性の粒子は、一般的に管腔空間から及び粘液に被覆された表面から、対象の自然の除去機構によって、除去される。低減された粘膜付着性の本発明の粒子は、粘膜付着性の粒子と比べて比較的長い期間、管腔空間に存在し続けることができる。この長期間の存在は、粒子の除去を防ぐ又は低減させる、及び/又は組織の表面上に粒子を良好に分散させることができる。長期間の存在は、管腔空間を通る粒子の輸送に影響を与えてもよく、例えば、粒子が粘液層内へと分散する及び下層の上皮へと達することができる。
ある実施形態において、コーティング剤のポリマーで被覆された本発明の粒子のコアは、対象の粘液又は粘膜を通過し、長期間の保持を示し、及び/又は粘膜表面での粒子の均一な分布を増加させてもよく、例えば、そのような材料は、本発明のネガティブコントロールの粒子と比較し、対象の身体から、よりゆっくりと(例えば、少なくとも約2倍、約5倍、約10倍、又は少なくとも約20倍よりもゆっくりと)除去される。
粘液における本発明の粒子の移動度は、例えば、粒子の相対速度及び/又は拡散率で特徴づけられてもよい。ある実施形態において、本発明の粒子は、以下で定義されるような、特定の相対速度<Vmean>relを有する。
ここで、
<Vmean>は、アンサンブル平均軌道−平均速度であり;
Vmeanは、その軌道に対して平均化された個々の粒子の速度であり;
サンプルは、対象とする粒子であり
ネガティブコントロールは、200nmのカルボキシル化ポリスチレン粒子であり、かつ、
ポジティブコントロールは、2から5kDaPEGで密にPEG化された200nmのポリスチレン粒子である。
相対速度は、複数の粒子追跡技術によって測定することができる。例えば、CCDカメラが備え付けられた蛍光顕微鏡は、粒子の種類(サンプル、ネガティブコントロール及びポジティブコントロール)ごとに、粒子の各サンプル内のいくつかの領域から100×倍率の下で66.7mm秒(15フレーム/秒)の時間分解能で15秒ムービーを撮るために使用することができる。サンプル、ネガティブコントロール及びポジティブコントロールは、追跡を観察するために蛍光粒子であってもよい。代替的に、非蛍光粒子は、蛍光分子、蛍光標識が付された表面剤、又は蛍光標識が付されたポリマーで被覆されてもよい。高度な画像処理ソフトウェア(例えば、Image Pro又はMetaMorph)は、少なくとも3.335秒(50フレーム)のタイムスケールに対して複数の粒子の個々の軌道を測定するために使用することができる。
いくつかの実施形態において、ここで説明する粒子は、粘液において、約0.3以上、約0.4以上、約0.5以上、約0.6以上、約0.7以上、約0.8以上、約0.9以上、約1.0以上、約1.1以上、約1.2以上、約1.3以上、約1.4以上、約1.5以上、約1.6以上、約1.7以上、約1.8以上、約1.9以上、又は約2.0以上の相対速度を有する。いくつかの実施形態において、ここで説明する粒子は、粘液中において、約10.0以下、約8.0以下、約6.0以下、約4.0以下、約3.0以下、約2.0以下、約1.9以下、約1.8以下、約1.7以下、約1.6以下、約1.5以下、約1.4以下、約1.3以下、約1.2以下、約1.1以下、約1.0以下、約0.9以下、約0.8以下、約1.7の相対速度を有する。上記の範囲の組み合わせも可能(例えば、約0.5以上及び約6.0以下の相対速度)である。他の範囲も可能である。粘液は例えば、ヒトの頸膣粘液であってもよい。
ある実施形態において、本明細書に記載の粒子は、コントロール粒子又は対応する粒子(例えば、非修飾及び/又は本明細書に記載のコーティング剤で被覆されていない対応する粒子)よりも速い速度又は拡散率で粘液又は粘膜バリアを通って拡散することができる。いくつかの場合において、ここで説明する粒子は、粘液又は粘膜バリアを、コントロール粒子又は対応する粒子と比較して、約10倍、20倍、30倍、50倍、100倍、200倍、500倍、1000倍、2000倍、10000倍、またはそれ以上の速い拡散速度で通過してもよい。いくつかの場合において、ここで説明する粒子は、粘液又は粘膜バリアを、コントロール粒子又は対応する粒子と比較して、約1000倍以下、約5000倍以下、約2000倍以下、約1000倍以下、約500倍以下、約200倍以下、約100倍以下、約50倍以下、約30倍以下、約20倍以下、又は約10倍以下、の速い拡散速度で通過してもよい。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、コントロール粒子又は対応する粒子と比較して、少なくとも約10倍及び約1000倍以下より速い)。他の範囲も可能である。
本明細書に記載の比較目的のため、対応する粒子は、本発明の粒子と、ほぼ同じ大きさ、形状及び/又は密度であるが、粘液において本発明の粒子を移動させるコーティング剤を欠く。いくつかの実施形態において、粒子(例えば、対応する粒子と本発明の粒子)の幾何学的な平均二乗変位と拡散速度との測定は、約1秒、約3秒、又は約10秒のタイムスケールに基づく。幾何学的平均二乗変位及び拡散速度の決定方法は、当技術分野で知られている。本発明の粒子は、ネガティブコントロール粒子又は対応する粒子より、少なくとも約10倍、約30倍、約100倍、約300倍、約1000倍、約3000倍、約10000倍高い、幾何学的平均二乗変位で粘液又は粘膜バリアを通過する可能性がある。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、ネガティブコントロール粒子又は対応する粒子より、約10000倍未満高い、約3000倍未満高い、約1000倍未満高い、約300倍未満高い、約100倍未満高い、約100倍未満高い、約30倍未満高い、約10倍未満高い、幾何学的平均二乗変位で粘液又は粘膜バリアを通過する。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば、ネガティブコントロール粒子又は対応する粒子より少なくとも約10倍及び約1000倍未満高い)。他の範囲も可能である。
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、粒子が水を通って拡散することができる速度又は拡散率に近づいた速度で粘膜バリアを通って拡散する。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、同様な条件下の水で粒子が水を通って拡散する拡散率の約1/100未満、約1/300未満、約1/1000未満、約1/3000未満、約1/10000未満の速度又は拡散率で、粘膜バリアを通過する。いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、同様な条件下の水で粒子が水を通って拡散する拡散率の約1/1000以上、約1/3000以上、約1/1000以上、約1/300以上、又は約1/100以上の速度又は拡散率で、粘膜バリアを通過する。上で示した範囲の組み合わせも可能である(例えば、同様の条件下の水を通って粒子が拡散する拡散率の約1/3000以上及び約1/300未満拡散率)。他の範囲も可能である。拡散率の測定は、約1秒、又は約0.5秒、又は約2秒、又は約5秒又は約10秒のタイムスケールに基づいてもよい。
いくつかの実施形態において、本発明の粒子は、粒子が水を通って拡散する拡散率の約訳1/500未満の拡散率でヒトの頸腟粘液を通って拡散する。いくつかの実施形態において、拡散率の測定は、約1秒、又は約0.5秒、又は約2秒、又は約5秒、又は約10秒のタイムスケールに基づく。
ある実施形態において、本発明は、特定の絶対拡散係数で、ヒトの頸腟粘液のような、粘液を通って移動する粒子を提供する。例えば、本明細書に記載の粒子は、少なくとも約1×10−4μm/s、約2×10−4μm/s、約5×10−4μm/s、約1×10−3μm/s、約2×10−3μm/s、約5×10−3μm/s、約1×10−2μm/s、約2×10−2μm/s、約4×10−2μm/s、約5×10−2μm/s、約6×10−2μm/s、約8×10−2μm/s、約1×10−1μm/s、約2×10−1μm/s、約5×10−1μm/s、約1μm/s、又は約2μm/sの拡散率で移動することができる。いくつかの場合において、粒子は、約2μm/s以下、約1μm/s以下、約5×10−1μm/s以下、約2×10−1μm/s以下、約1×10−1μm/s以下、約8×10−2μm/s以下、約6×10−2μm/s以下、約5×10−2μm/s約4×10−2μm/s以下、約2×10−2μm/s以下、約1×10−2μm/s以下、約5×10−3μm/s以下、約2×10−3μm/s以下、約1×10−3μm/s以下、約5×10−4μm/s以下、約2×10−4μm/s以下、約1×10−4μm/s以下の拡散率で移動することができる。上記に参照する範囲の組み合わせも可能である(例えば、約2×10−4μm/s以上及び約1×10−1μm/s以下)。他の範囲も可能である。いくつかの場合において、測定は、約1秒、又は約0.5秒、又は約2秒、又は約5秒、又は約10秒のタイムスケールに基づく。
当然ながら、本発明の粒子の移動度(例えば、相対速度及び拡散速度)は、ヒトの頸腟粘液において測定されてもよく、同様の他の種類の粘液において移動度を測定してもよい。
ある実施形態において、本明細書に記載の粒子は、所定の密度の表面改変部分を備える。表面改変部分は、例えば、粒子を含む溶媒に曝された表面改変剤の一部であってもよい。例として、PVAの加水分解された単位/ブロックは、表面改変剤であるPVAの表面改変部分であってもよい。他の例では、PEGセグメントは、表面改変剤であるPEG−PPO−PEGの表面改変部分であってもよい。いくつかの場合において、表面改変部分及び/又は表面改変剤は、nm2あたり少なくとも約0.001単位又は分子、nm2あたり少なくとも約0.002、少なくとも約0.005、少なくとも約0.01、少なくとも約0.02、少なくとも約0.05、少なくとも約0.1、少なくとも約0.2、少なくとも約0.5、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約5、少なくとも約10、少なくとも約20、少なくとも約50、少なくとも約100単位又は分子、又はnm2あたりそれ以上の単位又は分子の密度で存在する。いくつかの場合において、表面改変部分及び/又は表面改変剤は、nm2あたり約100単位又は分子以下、nm2あたり約50以下、約20以下、約10以下、約5以下、約2以下、約1以下、約0.5以下、約0.2以下、約0.1以下、約0.05以下、約0.02以下、約0.01以下の単位又は分子の密度で存在する。上記に参照する範囲の組み合わせが可能である(例えば、nm2あたり少なくとも約0.01及び約1以下の単位又は分子の密度)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、上述した密度の値は、表面改変剤が溶液の他の成分と平衡状態にある時の平均密度であってもよい。
当業者は、表面改変部分の平均密度を推定する方法に気づくであろう(例えば、Budijono et al.,CoIloids and Surfaces A:Physicochem.Eng.Aspects 2010,360,105−110;Joshi et al.,Αnal.Chim.Acta 1979,104,153−160を参照)。例えば、本明細書に記載するように、表面改変部分の平均密度は、HPLC定量及びDLS分析によって決定されることができる。表面密度の決定の対象である粒子の懸濁液は、DLSを用いて最初にサイズに分けられる。小さい体積のものは、適切な濃度(例えば、約100μg/mL)まで希釈され、そしてz平均直径は、粒子サイズの代表測定値とされる。そして、残りの懸濁液を2つのアリコートに分ける。HPLCを用いて、第1のアリコートは、コア材料の全体の濃度のため、及び表面改変部分の全体の濃度が分析される。再びHPLCを用いて、第2のアリコートは、自由な又は非結合の表面改変部分の濃度の分析がされる。第2のアリコートから自由な又は非結合の表面改変部分のみを得るために、粒子及び任意の結合した表面改変部分は、超遠心分離によって除去される。表面改変部分の全体濃度から非結合の表面改変部分の濃度を差し引くことで、結合した表面改変部分の濃度を決定することができる。コア材料の全体の濃度は、第1のアリケートから決定しているため、コア材料と表面改変部分の質量比を決定することができる。表面改変部分の分子量を使用し、コア材料の質量に対する表面改変部分の数を算出できる。この数を表面密度測定に換算するには、コア材料の質量あたりの表面積を算出する必要がある。粒子の体積は、コア材料の質量あたりの表面積の算出を可能とするDLSから得られた直径を用いた球体の体積として、近似される。このように、表面積あたりの表面改変部分の数を決定することができる。
ある実施形態において、本発明の粒子は、粒子のゼータ電位に影響を与える表面改変部分及び/又は表面改変剤を備える。粒子のゼータ電位は、例えば少なくとも約−100mV、少なくとも約−30mV、少なくとも約−10mV、少なくとも約−3mV、少なくとも約3mV、少なくとも約10mV、少なくとも約30mV、又は少なくとも約100mVであってもよい。粒子のゼータ電位は、例えば約100mV未満、約30mV未満、約10mV未満、約3mV未満、約−3mV未満、約−10mV未満、約−30mV未満、又は約−100mV未満である。上で示した範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも約−30mV及び30mV未満のゼータ電位)。他の範囲も可能である。
ここで説明する被覆粒子は、任意の好適な形状及び/又は大きさであってもよい。いくつかの実施形態において、被覆粒子は、実質的にコアの形状に類似する形状である。いくつかの実施形態において、ここで説明する被覆粒子は、ナノ粒子であってもよく、換言すれば、粒子は約1マイクロメートル未満の特徴的な寸法を有し、該粒子の特徴的な寸法は、粒子と同じ体積を有する完全球体の直径である。他の実施形態において、より大きいサイズも可能(例えばm約1−10ミクロン)である。いくつかの実施形態において、複数の粒子は、平均サイズ(例えば、複数の粒子の最大断面寸法の平均、又は最小断面寸法の平均)によって特徴付けられてもよい。複数の粒子は、例えば、約10μm以下、約5μm以下、約1μm以下、約800nm以下、約700nm以下、約500nm以下、約400nm以下、約300nm以下、約200nm以下、約100nm以下、約75nm以下、約50nm以下、約40nm以下、約35nm以下、約30nm以下、約25nm以下、約20nm以下、約15nm以下、又は約5nm以下の平均のサイズを有してもよい。いくつかの場合において、複数の粒子は、例えば、少なくとも約5nm、少なくとも約20nm、少なくとも約50nm、少なくとも約100nm、少なくとも約200nm、少なくとも約300nm、少なくとも約400nm、少なくとも約500nm、少なくとも約1μm、又は少なくとも約5μmの平均サイズを有してもよい。上記に参照する範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約50nm及び500nm以下の平均サイズ)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、本明細書の方法で形成されたコアのサイズは、ガウス型分布を有する。
薬剤
本発明の粒子又は医薬組成物は、少なくとも1つの化合物5の結晶形態を含んでもよい。1つの実施形態において、粒子又は医薬組成物は、結晶形態IIを含む。他の実施形態では、粒子又は医薬組成物は、結晶形態IIIを含む。化合物5の結晶形態は、粒子のコア及び/又は1以上のコーティング剤中に存在してもよい(例えば、コア及び/又はコーティング剤の全体にわたって分散)。いくつかの実施形態において、化合物5の結晶形態は粒子の表面(例えば、1つ以上のコーティング剤の外面若しくは内面、又はコアの表面)に配置されてもよい。化合物5の結晶形態は、一般的に知られている技術(例えば、コーティング、吸着、共有結合、及びカプセル化)を使用して、粒子内に含有される及び/又は粒子部分に配置されてもよい。いくつかの実施形態において、化合物5の結晶形態は、コアの形成の間に存在する。他の実施形態において、化合物5の結晶形態は、コアの形成中に存在しない。特定の実施形態において、薬剤は、コアのコーティング剤中に存在する。
いくつかの実施形態において、本発明の粒子又は医薬組成物内に含まれる化合物5の結晶形態は、標的の粘膜組織の治療及び/又は予防効果を有する。粘膜組織の非限定的な例は、眼、呼吸器(例えば、鼻、咽頭、気管、及び気管支膜を含む)、口腔(例えば、口腔及び食道膜、並びに扁桃表面を含む)、胃腸管(例えば、胃、小腸、大腸、結腸、直腸を含む)、鼻、及び生殖器(例えば、膣、子宮頸部及び尿道膜を含む)の組織を含む。
任意の好適な数の薬剤が、本発明の粒子又は医薬組成物中に存在してもよい。例えば、化合物5の結晶形態に加えて、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、又はより多くの薬剤が、本発明の粒子又は医薬組成物中に存在してもよい。ある実施形態において、10未満の薬剤が本発明の粒子又は医薬組成物中に存在する。
ある実施形態において、粒子内の薬剤又は本発明の医薬組成物は、化合物5の結晶形である。1つの実施形態において、粒子内の薬剤又は本発明の医薬組成物は、化合物5の結晶形態IIである。他の実施形態において、粒子内の薬剤又は本発明の医薬組成物は、化合物5の結晶形態IIIである。本明細書に記載の薬剤(例えば、本発明の化合物5の結晶形態)は、ポリマー、脂質、タンパク質、又はそれらの組み合わせに、カプセル化されていてもよい。
医薬組成物
別の側面において、本発明は、本発明の少なくとも1つの粒子を含む医薬組成物を提供する。本明細書に記載の物品及び方法に従って、本明細書に記載の医薬組成物及び本明細書に記載の物品及び方法により従って使用される医薬組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤又は担体を含み得る。薬学的に許容可能な賦形剤又は薬学的に許容可能な担体は、任意の適切な種類の、非毒性、不活性固体、半固体又は液体充填剤、希釈剤、カプセル化材料又は製剤補助剤を含み得る。薬学的に許容可能な担体として働き得る材料のいくつかの例は、ラクトース、グルコース、及びスクロースのような糖、コーンスターチ及びポテトデンプンなどのデンプン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロースのようなセルロース及びその誘導体、粉末トラガカント、麦芽、ゼラチン、タルク、ココアバター及び坐剤ワックスのような賦形剤、落花生油、綿実油のような油、ベニバナ油、胡麻油、オリーブオイル、トウモロコシ油及び大豆油、プロピレングリコールのようなグリコール、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル、寒天、TWEEN80のような界面活性剤、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤、アルギン酸、発熱物質を含まない水(滅菌精製水)、等張生理食塩水、リンゲル液、エチルアルコール、及びリン酸緩衝溶液、並びに、ラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのような他の非毒性適合性潤滑剤、並びに、着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤及び芳香剤、保存剤及び抗酸化剤が、処方者の判断に従って、組成物中に存在し得る。当業者によって理解されるように、賦形剤は、送達される薬剤、薬剤の送達の時間経過など後述のように、投与の経路に基づいて選択され得る。
本明細書に記載の粒子を含む医薬組成物は、当分野に公知の任意の経路を介して対象に投与され得る。これらは、限定されないが、経口、舌下、鼻内、注射(例えば、静脈内、皮内、皮下、筋肉内)、直腸内、膣内、静脈内、動脈内、大槽内、腹腔内、硝子体内、眼周囲、局所(例えば、粉末、クリーム、軟膏又は点滴等による眼又は皮膚)、口腔内及び吸入投与を含む。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、注射(静脈内、筋肉内、又は皮下)、点滴製剤、又は座薬として非経口的に投与され得る。当業者によって理解されるように、投与経路及び所望の生物学的効果を達成するのに有効な投与量は、投与される薬剤、対象臓器、投与される製剤、投与の時間経過、治療されている疾患、使用意図などによって決定され得る。
特定の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の化合物5の結晶形態の、対象の粘液若しくは粘膜表面を通る送達、又は、対象の粘液若しくは粘膜表面への送達に有用である。医薬組成物は、例えば、低減した粘膜付着に起因して、対象の粘膜表面に送達され得、対象の粘膜バリア(例えば、粘液)を通過し得、及び/又は、粘膜表面で、本発明の粒子の、長期間の保持及び/又は高められた均一分散を示し得る。特定の実施形態において、医薬組成物は、対象における化合物5の生物的利用性を増加させるのに有用である。特定の実施形態において、医薬組成物は、対象における化合物5の濃度を増加させるのに有用である。特定の実施形態において、医薬組成物は、対象における化合物5の曝露を増加させるのに有用である。さらに、医薬組成物は、対象の疾患(例えば、眼の疾患)の治療及び/又は予防に有用であり得る。
さらに、医薬組成物は、注射(静脈内、筋肉内、又は皮下)、点滴製剤、又は坐剤として非経口的に投与され得る。眼の用途のために、医薬組成物は、注射(例えば、眼内、結膜内、結膜下、基質内、硝子体内又は房内)により、又は局所の若しくは眼の粘膜経路により投与され得、医薬組成物は、溶液、懸濁液(例えば、点眼剤)、ゲル又は軟膏のように局所的に投与され得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された粒子は、吸入療法に有用な、アジュバント、診断薬、造影剤、治療薬のような1又は2以上の薬剤を含む吸入又はエアロゾル製剤として投与され得る。粒子状の薬剤の粒径は、エアゾール製剤の投与の際に肺へ薬剤のすべてが実質的に吸入されるようなサイズであるべきであり、例えば、約20μm未満であり得、例えば、約1から約10μmの範囲内であり得、例えば、約1から約5μmの範囲内であり得、他の範囲も可能である。薬剤の粒径は、例えば製粉又は微粉化のような、従来の手段によって小さくされ得る。あるいは、粒子状薬剤は、懸濁液の噴霧を介して肺に投与され得る。最終のエアロゾル製剤は、製剤の全重量に対して、例えば、0.005から90%w/wの間、0.005から50%の間、0.005から10%の間、約0.005から5%w/wの間、又は0.01から1.0%w/wの間の薬剤を含み得る。他の範囲も可能である。
決して必要とされないが、本明細書に記載された製剤は、成層圏オゾンの分解を誘発し得る成分を含有しないことが望ましい。特に、いくつかの実施形態において、噴射剤は、CCl3F、CCl2F2、及びCF3CC13のようなクロロフルオロカーボンを含まない又は本質的にそれのみから構成されないものが選択され得る。
エアロゾルは、噴射剤を含み得る。噴射剤は、選択的に、噴射剤より高い極性及び/又はよりも高い沸点を有するアジュバントみ得る。使用され得る極性アジュバントは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、好ましくはエタノールのような(例えば、C2−6)脂肪族アルコール及びポリオールを含む。一般的には、ごく少量の極性アジュバント(例えば、0.05から3.0%w/w)は、分散の安定性を改善するために必要であるが、5%を越える量の使用は、薬剤を溶解させる傾向がある。本明細書に記載の実施形態に従った製剤は、1%w/w未満、例えば、約0.1%w/wの極性アジュバンドを含み得る。しかしながら、本明細書に記載の製剤は、極性アジュバンド、特にエタノールを実質的に含まなくてもよい。適切な揮発性アジュバントは、例えば、プロパン、n−ブタン、イソブタン、ペンタン及びイソペンタン並びにジメチルエーテルのようなアルキルエーテル等の飽和炭化水素を含む。一般に、50%w/wまでの噴射剤は、例えば、揮発性飽和C1−C6炭化水素の30%w/wまでの揮発性アジュバンドを含み得る。選択的に、本発明によるエアロゾル製剤は、1又は2以上の界面活性剤をさらに含み得る。界面活性剤は、吸入による投与の際に、生理学的に許容可能であり得る。L−α−ホスファチジルコリン(PC)、1,2−ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、オレイン酸、ソルビタントリオレエート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、天然レシチン、オレイルポリオキシエチレンエーテル、ステアリルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、オキシエチレン及びオキシプロピレンのブロックコポリマー、合成レシチン、ジエチレングリコールジオレエート、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノリシノール酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール400、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、オリーブ油、モノラウリン酸グリセリル、トウモロコシ油、綿実油、ヒマワリ種子油のような界面活性剤はこのカテゴリー内に含まれる。
本明細書に記載の製剤は、例えば、超音波処理の助けを借りて、適切な容器に選択された噴射剤及び/又は共噴射剤中に粒子を分散させて、調製され得る。粒子は、共噴射剤中に懸濁され、適切な容器に充填され得る。容器のバルブは、従来の方法でバルブを通じて加圧充填によって導入された噴射剤とともにシールされている。粒子は、液化噴射剤中に懸濁又は溶解され、計量弁を備えた容器内に密封され、アクチュエータに嵌合され得る。このような計量吸入器は、本分野で周知である。計量バルブは、10から500μL、好ましくは25から150μL目盛りであり得る。特定の実施形態において、分散は、(乾燥粉末として残存する)粒子用の乾燥粉末吸入器(例えば、Spinhaler)を用いて達成され得る。他の実施形態において、ナノ粒子は、水性流体中に懸濁されてもよいし、肺中でエアロゾル化される微細な液滴へ噴霧されてもよい。
超音波噴霧器は、粒子の分解をもたらし得る剪断に、薬剤をさらすことを最小限にするので、超音波噴霧器が用いられ得る。通常、水性エアロゾルは、従来の薬学的に許容可能な担体及び安定剤と共に粒子の水溶液又は懸濁液を処方することによって作られる。担体及び安定剤は特定の組成物の要件に応じて変化するが、典型的には、非イオン性界面活性剤(TWEENS、PLURONIC(登録商標)、又はポリエチレングリコール)、血清アルブミン等の無害のタンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、グリシンなどのアミノ酸、緩衝液、塩、糖又は糖アルコールを含む。エアロゾルは、一般的に等張溶液から調製される。
本明細書に記載の組成物及び/又は製剤は、任意の適切なモル浸透圧濃度を有し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物及び/又は製剤は、少なくとも約0mOsm/L、少なくとも約5mOsm/L、少なくとも約25mOsm/L、少なくとも約50mOsm/L、少なくとも約75mOsm/L、少なくとも約100mOsm/L、少なくとも約150mOsm/L、少なくとも約200mOsm/L、少なくとも約250mOsm/L、又は少なくとも約310mOsm/Lのモル浸透圧濃度を有し得る。特定の実施形態において、本明細書に記載の組成物及び/又は製剤は、約310mOsm/L以下、約250mOsm/L以下、約200mOsm/L以下、約150mOsm/L以下、約100mOsm/L以下、約75mOsm/L以下、約50mOsm/L以下、約25mOsm/L以下、約5mOsm/L以下であり得る。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約0mOsm/Lで約50mOsm/L以下のモル浸透圧濃度)。他の範囲も可能である。組成物及び/又は製剤のモル浸透圧濃度は、例えば、組成物及び/又は製剤の溶媒中に存在する塩の濃度を変えることによって変化され得る。
本発明の医薬組成物は、化合物5の結晶形態のような本明細書に記載される1又は2以上の薬剤を含み得る。特定の実施形態において、医薬組成物は、粒子のコア及び/又はコーティング剤に1又は2以上の薬剤を含む本発明の複数の粒子を含む。いくつかの実施形態において、薬剤(又は、その塩)に対する表面改変剤の比率は、少なくとも0.001:1(重量比、モル比、又はW:V比)、少なくとも0.01:1、少なくとも0.01:1、少なくとも1:1、少なくとも2:1、少なくとも3:1、少なくとも5:1、少なくとも10:1、少なくとも25:1、少なくとも50:1、少なくとも100:1、又は少なくとも500:1であり得る。いくつかの場合において、薬剤(又は、その塩)に対する表面改変剤の比率は、1000:1(重量比又はモル比)以下、500:1以下、100:1以下、75:1以下、50:1以下、25:1以下、10:1以下、5:1以下、3:1以下、2:1以下、1:1以下、0.1:1以下であり得る。上記参照範囲の組み合わせが可能である(例えば、少なくとも5:1で50:1以下の比率)。他の範囲も可能である。いくつかの実施形態において、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載の形成プロセス及び/又は希釈プロセス中に、1又は2以上の表面改変剤のそれぞれの重量に対する薬剤のそれぞれの重量比について上記範囲を含む。特定の実施形態において、医薬組成物は、医薬組成物が対象に投与される又は生物サンプルに接触させる直前に、1又は2以上の表面改変剤のそれぞれの重量に対する薬剤のそれぞれの重量比について上述の範囲を含む。薬剤は、任意の適切な量、例えば、医薬組成物の少なくとも約0.01重量%、少なくとも約0.1重量%、少なくとも約1重量%、少なくとも約5重量%、少なくとも約10重量%、少なくとも約30重量%で本発明の医薬組成物中に存在し得る。いくつかの場合において、薬剤は、医薬組成物の約30重量%未満、約10重量%未満、約5重量%未満、約2重量%未満、又は約1重量%未満で医薬組成物中に存在し得る。上記参照範囲の組み合わせも可能である(例えば、医薬組成物の少なくとも約0.1重量%で約10重量%未満の量で存在)。他の範囲も可能である。特定の実施形態において、薬剤は、医薬組成物の約0.1から2重量%である。特定の実施形態において、薬剤は、医薬組成物の約2から20重量%である。特定の実施形態において、薬剤は、医薬組成物の約0.2重量%、約0.4重量%、約1重量%、約2重量%、約5重量%、又は約10重量%である。
1組の実施形態において、組成物及び/又は製剤は、1又は2以上のキレート剤を含む。本明細書で使用されるキレート剤は、1又は2以上の結合を介して錯体を形成する金属イオンと反応する能力を有する化学化合物を指す。1又は2以上の結合は、典型的に、イオン又は配位結合である。キレート剤は、無機又は有機の化合物であり得る。金属イオンがキレート剤と結合して錯体を形成するとき、特定の化学反応(例えば、酸化反応)を触媒することができる金属イオンは、その触媒活性を失い得る。そのため、キレート剤が金属イオンに結合するとき、キレート剤が保存特性を示し得る。保存特性を有する任意の適切なキレート剤として、ホスホン酸、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、ポリアミン、アミノアルコール、及び高分子キレート剤が使用され得る。キレート剤の具体例は、限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、四ホウ酸塩、トリエチルアミンジアミン、並びにそれらの塩及び誘導体を含む。特定の実施形態において、キレート剤はEDTAである。特定の実施形態において、キレート剤はEDTAの塩である。特定の実施形態において、キレート剤はEDTA二ナトリウムである。
特定の実施形態において、医薬組成物は、粒子を含有する製剤においてキレート剤を含む本発明の複数の粒子を含む。特定の実施形態において、キレート剤の濃度は、約0重量%以上、約0.0001重量%以上、約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.05重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上である。特定の実施形態において、キレート剤の濃度は、約3重量%以下、約1重量%以下、約0.3重量%以下、約0.1重量%以下、約0.05重量%以下、約0.03重量%以下、約0.01重量%以下、約0.003重量%以下、約0.001重量%以下、又は約0.0003重量%以下である。上記範囲の組合せが可能である(例えば、約0.01重量%以上で約0.3重量%以下の濃度)。他の範囲も可能である。特定の実施形態において、キレート剤の濃度は、約0.001から0.1重量%である。特定の実施形態において、キレート剤の濃度は約0.005重量%である。特定の実施形態において、キレート剤の濃度は約0.01重量%である。特定の実施形態において、キレート剤の濃度は約0.05重量%である。特定の実施形態において、キレート剤の濃度は約0.1重量%である。
いくつかの実施形態において、抗菌剤は、本明細書に記載の被覆粒子を含む組成物及び/又は製剤に含まれ得る。本明細書で使用される抗菌剤は、細菌、微生物、真菌、ウイルス、胞子、酵母、カビ、及び概して感染に関連する他のもののような微生物の阻害、予防、保護に有効な生物活性剤を指す。抗菌剤の例は、セファロスポリン、クリンダマイシン、クロラムフェニコール、カルバペネム、ミノサイクリン、リファンピン、ペニシリン、モノバクタム、キノロン、テトラサイクリン、マクロライド、サルファ系抗生物質、トリメトプリム、フシジン酸、アミノグリコシド、アムホテリシンB、アゾール、フルシトシン、シロフンギン、殺菌性ニトロフラン化合物、金属銀又は約2.5重量%の銅を含む合金のナノ粒子、クエン酸銀、酢酸銀、安息香酸銀、ビスマスピリチオン、ピリチオン亜鉛、過炭酸亜鉛、過ホウ酸亜鉛、ビスマス塩、パラベン(例えば、メチル−、エチル−、プロピル−、ブチル−及びオクチル−安息香酸エステル)、クエン酸、塩化ベンザルコニウム(BAC)、リファマイシン、及び過炭酸ナトリウムを含む。
特定の実施形態において、医薬組成物は、粒子を含有する製剤中に抗菌剤を含む本発明の複数の粒子を含む。特定の実施形態において、抗菌剤の濃度は、約0重量%以上、約0.0001重量%以上、約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上であり得る。特定の実施形態において、抗菌剤の濃度は、約3重量%以下、約1重量%以下、約0.3重量%以下、約0.1重量%以下、約0.03重量%以下、約0.01重量%以下、約0.003重量%以下、約0.001重量%以下、又は約0.0003重量%以下であり得る。上記範囲の組合せが可能である(例えば、約0.001重量%以上で約0.1重量%以下の濃度)。他の範囲も可能である。特定の実施形態において、抗菌剤の濃度は、約0.001から0.05重量%である。特定の実施形態において、抗菌剤の濃度は、約0.002重量%である。特定の実施形態において、抗菌剤の濃度は、約0.005重量%である。特定の実施形態において、抗菌剤の濃度は、約0.01重量%である。特定の実施形態において、抗菌剤の濃度は、約0.02重量%である。特定の実施形態において、抗菌剤の濃度は、約0.05重量%である。
いくつかの実施形態において、等張化剤は、本明細書に記載の被覆粒子を含む組成物及び/又は製剤に含まれ得る。本明細書で使用される張性剤は、所望のモル浸透圧濃度の範囲に製剤の組成を調整し得る化合物又は物質を指す。特定の実施形態において、所望のモル浸透圧濃度の範囲は、血液と適合する等張の範囲である。特定の実施形態において、所望のモル浸透圧濃度の範囲は低張的である。特定の実施形態において、所望のモル浸透圧濃度の範囲は高張的である。等張剤の例は、グリセリン、ラクトース、マンニトール、デキストロース、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、ソルビトール、食塩水クエン酸ナトリウム(SSC)、などを含む。特定の実施形態において、1又は2以上の等張化剤を組み合わせて使用され得る。特定の実施形態において、等張化剤はグリセリンである。特定の実施形態において、等張化剤は塩化ナトリウムである。
等張化剤(本明細書中に記載のもののような)は、本明細書に記載の被覆粒子を含む組成物及び/又は製剤に適切な濃度で存在し得る。特定の実施形態において、等張剤の濃度は、約0重量%以上、約0.001重量%以上、約0.03重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量以上%である。特定の実施形態において、等張剤の濃度は、約30重量以下、約10重量%以下、約3重量%以下、約1重量%以下、約0.3重量%以下、約0.1重量%以下、約0.03重量%以下、約0.01重量%以下、約0.003重量%以下である。上記範囲の組合せが可能である(例えば、約0.1重量%以上で約10重量%以下の濃度)。他の範囲も可能である。特定の実施形態において、等張剤の濃度は、約0.1から1%である。特定の実施形態において、等張剤の濃度は約0.5から3%である。特定の実施形態において、等張剤の濃度は約0.25重量%である。特定の実施形態において、等張剤の濃度は約0.45重量%である。特定の実施形態において、等張剤の濃度は約0.9重量%である。特定の実施形態において、等張剤の濃度は、約1.2重量%である。特定の実施形態において、等張剤の濃度は約2.4重量%である。特定の実施形態において、等張剤の濃度は約5重量%である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物及び/又は製剤は、少なくとも約0mOsm/L、少なくとも約5mOsm/L、少なくとも約25mOsm/L、少なくとも約50mOsm/L、少なくとも約75mOsm/L、少なくとも約100mOsm/L、少なくとも約150mOsm/L、少なくとも約200mOsm/L、少なくとも約250mOsm/L、少なくとも約310mOsm/L、又は少なくとも約450mOsm/Lのモル浸透圧濃度を有し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された組成物及び/又は製剤は、約450mOsm/L以下、約310mOsm/L以下、約250mOsm/L以下、約200mOsm/L以下、約150mOsm/L以下、約100mOsm/L以下、約75mOsm/L以下、約50mOsm/L以下、約25mOsm/L以下、又は約5mOsm/L以下のモル浸透圧濃度を有し得る。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、少なくとも約0mOsm/Lで、約50mOsm/L以下のモル浸透圧濃度)。他の範囲もまた可能である。
本分野において、本発明の多数の粒子を含む本発明の医薬組成物のイオン強度は、多数の粒子の多分散性に影響を与え得ることが分かっている。イオン強度は、また、多数の粒子のコロイド安定性にも影響を与え得る。例えば、医薬組成物の比較的高いイオン強度は、多数の粒子を凝固させるため、医薬組成物が不安定化し得る。いくつかの実施形態において、医薬組成物は反発する粒子間力により安定化する。例えば、多数の粒子は、電気的又は静電的に帯電し得る。2つの帯電した粒子は互いに反発し、衝突及び凝集を回避する。反発する粒子間力が弱まり又は引き合うようになると、多数の粒子は凝集し始める。例えば、医薬組成物のイオン強度があるレベルまで増加すると、多数の粒子の電荷(例えば、負の電荷)は、医薬組成物中に存在する反対に帯電したイオン(例えば、溶液中のNa+イオン)によって中和され得る。その結果、多数の粒子は互いに衝突し結合して大きなサイズの凝集体(例えば、クラスター又はフロック)を形成し得る。形成された粒子の凝集体は大きさが異なり、そのため医薬組成物の多分散性もまた増加し得る。例えば、同じ大きさの粒子を含む本発明の医薬組成物は、医薬組成物のイオン強度があるレベルを超えて増加すると、様々な大きさの粒子を含む(例えば、凝集により)医薬組成物となり得る。凝集の過程で凝集体のサイズは成長して、最終的には容器の底に沈殿し、医薬組成物はコロイド的に不安定になると考えられる。一旦、医薬組成物の多数の粒子が凝集体を形成すると、凝集を中断して個々の粒子にすることは一般的に困難である。
特定の本発明の医薬組成物は、とりわけ、1又は2以上のイオン等張化剤(例えば、NaCl等の塩)の医薬組成物中の特定の濃度における存在により、医薬組成物中に存在する粒子の凝集の程度を実際に低減させるか又は維持させ、及び/又は凝集を顕著に増加さるという、予期しない特定を示す。特定の実施形態において、医薬組成物への1又は2以上のイオン等張化剤の適切な量の追加によって、医薬組成物の多分散性は減少するか、比較的一定であり、又は変化しない。例えば、いくつかの実施形態において、医薬組成物の多分散性は、追加されたイオン強度の存在下で、及び/又は、医薬組成物に追加されたイオン強度が比較的一定に保たれ又は増加した場合(例えば、本明細書に記載された形成及び/又は希釈工程の間)、比較的一定である。特定の実施形態において、イオン強度が少なくとも50%増加した場合、多分散性は、約300%未満、約100%未満、約30%未満、約10%未満、約3%未満、又は約1%未満だけ増加する。特定の実施形態において、イオン強度が少なくとも50%増加した場合、多分散性は、約1%以上、約3%以上、約10%以上、約30%以上、又は約100%以上だけ増加する。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、約30%未満で、約3%以上の多分散性の増加)。他の範囲もまた可能である。
本発明の医薬組成物のイオン強度は、1又は2以上のイオン等張化剤(例えば、NaCl等の塩)の医薬組成物への追加等の、様々な方法によって、制御(例えば、増加、減少、又は維持)され得る。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物のイオン強度は、約0.0003M以上、約0.001M以上、約0.003M以上、約0.01M以上、約0.03M以上、約0.1M以上、約0.3M以上、約1M以上、約3M以上、又は約10M以上である。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物のイオン強度は、約10M未満、約3M未満、約1M未満、約0.3M未満、約0.1M未満、約0.03M未満、約0.01M未満、約0.003M未満、約0.001M未満、又は約0.0003M未満である。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、約0.01M以上で、約1M未満のイオン強度)。他の範囲もまた可能である。特定の実施形態において、本発明の医薬組成物のイオン強度は、約0.1M、約0.15M、又は約0.3Mである。
特定の実施形態において、医薬組成物の多分散性は、医薬組成物への1又は2以上のイオン等張化剤の追加によって変化しない。特定の実施形態において、医薬組成物の多分散性は、医薬組成物への1又は2以上のイオン等張化剤の追加によって顕著には増加しない。特定の実施形態において、医薬組成物の多分散性は、医薬組成物への1又は2以上のイオン等張化剤の添加によって、本明細書に記載されたレベルまで増加する。
多数の粒子を含む本発明の医薬組成物の多分散性は、多分散性指数(PDI)によって測定され得る。特定の実施形態において、本医薬組成物のPDIは、約1未満、約0.8未満、約0.6未満、約0.4未満、約0.3未満、約0.2未満、約0.15未満、約0.1未満、約0.05未満、約0.01未満、又は約0.005未満である。特定の実施形態において、本医薬組成物のPDIは、約0.005以上、約0.01以上、約0.015以上、約0.05以上、約0.1以上、約0.2以上、約0.3以上、約0.4以上、約0.6以上、約0.8以上、又は約1以上である。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、約0.1以上で、約0.5未満のPDI)。他の範囲もまた可能である。特定の実施形態において、本医薬組成物のPDIは、約0.1、約0.15、又は約0.2である。特定の実施形態において、本医薬組成物は高度に分散し、凝集体を形成する傾向はない。粒子が凝集体を形成した場合であっても、凝集体は、医薬組成物を激しくかき混ぜることなく、容易に分解して個々の粒子となる。
例えば、いくつかの実施形態において、組成物及び/又は製剤の多分散性は、追加されたイオン強度の存在下で、及び/又は、組成物及び/又は製剤に追加されたイオン強度が、比較的一定に保たれ又は増加した場合(例えば、本明細書に記載された形成及び/又は希釈過程の間)、比較的一定である。特定の実施形態において、イオン強度が少なくとも50%増加した場合、多分散性は、約200%以下、約150%以下、約100%以下、約75%以下、約50%以下、約30%以下、約20%以下、約10%以下、約3%以下、又は約1%以下だけ増加する。特定の実施形態において、イオン強度が少なくとも50%増加した場合、多分散性は、約1%以上、約3%以上、約10%以上、約30%以上、又は約100%以上だけ増加する。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、約50%以下で、約1%以上の多分散性の増加)。他の範囲もまた可能である。
本明細書に記載された製剤のイオン強度は、1又は2以上のイオン等張化剤(例えば、NaCl等の塩)の製剤への追加等の、様々な方法によって、制御(例えば、増加)され得る。特定の実施形態において、本明細書に記載された製剤のイオン強度は、約0.0005M以上、約0.001M以上、約0.003M以上、約0.01M以上、約0.03M以上、約0.1M以上、約0.3M以上、約1M以上、約3M以上、又は約10M以上である。特定の実施形態において、本明細書に記載された製剤のイオン強度は、約10M以下、約3M以下、約1M以下、約0.3M以下、約0.1M以下、約0.03M以下、約0.01M以下、約0.003M以下、約0.001M以下、又は約0.0005M以下である。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、約0.01M以上で、約1M以下のイオン強度)。他の範囲もまた可能である。特定の実施形態において、本明細書に記載された製剤のイオン強度は、約0.1Mである。特定の実施形態において、本明細書に記載された製剤のイオン強度は、約0.15Mである。特定の実施形態において、本明細書に記載された製剤のイオン強度は、約0.3Mである。
通常、対象への投与の前又は投与の際に、製剤は無菌であることが好ましい。無菌製剤は、バクテリア、微生物、真菌、ウイルス、胞子、酵母、糸状菌、及び感染症に一般的に関連するその他の微生物等の病原微生物を本質的に有しない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された被覆粒子を含む組成物及び/又は製剤は、無菌化工程及び/又は他の殺菌工程で処理される。無菌化工程は、典型的には製剤の成分、最終製剤、及び/又は薬剤製品の容器を、加熱、ガンマ線放射、酸化エチレン、又はろ過等の工程を通して、殺菌することを含み、及び無菌環境下で混合することを含む。ある場合には、無菌化工程が好ましい。他の実施形態においては、終端での殺菌が好ましい。
他の殺菌方法の例としては、放射線殺菌(例えば、ガンマ線、電子線、又はX線)、加熱殺菌、殺菌ろ過、及び酸化エチレン殺菌が含まれる。“放射”及び“照射”の語は、ここでは同じ意味で使用される。他の殺菌方法と異なり、放射線殺菌は、例えば、温度、圧力、真空性、又は湿度を制御する必要がなく、高い浸透性及び瞬時の効果という利点を有する。特定の実施形態において、本明細書に記載された被覆粒子を殺菌するために使用される放射は、ガンマ線放射である。ガンマ線放射は、被覆粒子の中又は上の微生物の大部分又は実質的に全てを殺すのに十分な量が付与され得る。本明細書に記載された被覆粒子の温度及び放射速度は、ガンマ線放射の全期間の間において、比較的一定とし得る。ガンマ線照射は、いかなる適切な温度(例えば、周囲温度、約40℃、約30−約50℃の間)においても行われ得る。特に明記しない限り、本明細書に記載されたガンマ線照射の測定は、約40℃において実施されたものを示す。
殺菌工程が使用された実施形態において、工程は、(1)本明細書に記載された被覆粒子の粒径を著しく変化させるものでなく、(2)本明細書に記載された被覆粒子の活性成分(例えば薬物)の一貫性を著しく変化させるものでなく、及び(3)工程の間に又は後に許容不能な濃度の不純物を発生させるものでないことが好ましい。特定の実施形態において、工程の間に又は後に発生する不純物は、本明細書に記載された被覆粒子の活性成分の分解物である。
特定の実施形態において、本明細書に記載された組成物及び/又は製剤の殺菌に使用される工程は、製剤中に1又は2以上の分解物を、約10重量%(分解されていない薬の重量に対して)以下、約3重量%以下、約2重量%以下、約1.5重量%以下、約1重量%以下、約0.9重量%以下、約0.8重量%以下、約0.7重量%以下、約0.6重量%以下、約0.5重量%以下、約0.4重量%以下、約0.3重量%以下、約0.2重量%以下、約0.15重量%以下、約0.1重量%以下、約0.03重量%以下、約0.01重量%以下、約0.003重量%以下、又は約0.001重量%以下だけ残留させる。いくつかの実施形態において、本工程は、製剤中に分解物を約0.001重量%以上、約0.003重量%以上、約0.01重量%以上、約0.03重量%以上、約0.1重量%以上、約0.3重量%以上、約1重量%以上、約3重量%以上、又は約10重量%以上残留させる。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、約1重量%以下で、約0.01重量%以上)。他の範囲もまた可能である。
殺菌工程においてガンマ照射を使用する場合、使用されるガンマ線放射の累積量は、変化し得る。特定の実施形態において、ガンマ線放射の累積量は、約0.1kGy以上、約0.3kGy以上、約1kGy以上、約3kGy以上、約10kGy以上、約30kGy以上、約100kGy以上、又は約300kGy以上である。特定の実施形態において、ガンマ線放射の累積量は、約0.1kGy以下、約0.3kGy以下、約1kGy以下、約3kGy以下、約10kGy以下、約30kGy以下、約100kGy以下、又は約300kGy以下である。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、約1kGy以上で、約30kGy以下)。他の範囲もまた可能である。特定の実施形態において、好ましい累積放射量を達成するために、複数の放射量が利用される。
本明細書に記載された組成物及び/又は製剤は、いかなる適切なpH値をも有し得る。用語“pH”は、特に明示しない限り、周囲温度(例えば、約20℃、約23℃、又は約25℃)で測定されたpHを指す。組成物及び/又は製剤は、例えば、酸性のpH、中性のpH、又は塩基性のpHを有し、例えば、体内のどこに組成物及び/又は製剤が送達されるかに依存し得る。特定の実施形態において、組成物及び/又は製剤は、生理学的なpH値を有する。特定の実施形態において、組成物及び/又は製剤のpH値は、少なくとも約1、少なくとも約2、少なくとも約3、少なくとも約4、少なくとも約5、少なくとも約6、少なくとも約6.2、少なくとも約6.4、少なくとも約6.6、少なくとも約6.8、少なくとも約7、少なくとも約7.2、少なくとも約7.4、少なくとも約7.6、少なくとも約7.8、少なくとも約8、少なくとも約8.2、少なくとも約8.4、少なくとも約8.6、少なくとも約8.8、少なくとも約9、少なくとも約10、少なくとも約11、又は少なくとも約12である。特定の実施形態において、組成物及び/又は製剤のpH値は、約12以下、約11以下、約10以下、約9以下、約8.8以下、約8.6以下、約8.4以下、約8.2以下、約8以下、約7.8以下、約7.6以下、約7.4以下、約7.2以下、約7以下、約6.8以下、約6.6以下、約6.4以下、約6.2以下、約6以下、約5以下、約4以下、約3以下、約2以下、又は約1以下である。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、少なくとも約5で、約8.2以下のpH値)。他の範囲もまた可能である。特定の実施形態において、本明細書に記載された組成物及び/又は製剤のpH値は、少なくとも約5で、約8以下である。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された粒子、組成物及び/又は製剤は、化合物5の眼での生物学的利用能を、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約500倍、又は少なくとも約1000倍だけ増加させる。特定の実施形態において、本明細書に記載された粒子、組成物及び/又は製剤は、化合物5の眼での生物学的利用能を、約1000倍以下、約500倍以下、約100倍以下、約50倍以下、約20倍以下、約10倍以下、約5倍以下、約200%以下、約150%以下、約100%以下、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、又は約10%以下だけ増加させる。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、少なくとも約10%で、約10倍以下の増加)。他の範囲もまた可能である。いくつかの例では、化合物5のAUCは、眼の前部の組織及び/又は流体において増加する。他の例では、化合物5のAUCは、眼の後部(眼底)の組織及び/又は流体において増加する。
通常、眼での生物学的利用能の増加は、対象となる重要な眼の組織において(例えば、眼房水において)測定されたAUCの差、すなわち、試験組成物とコントロール組成物との差を取り、その差をコントロール組成物の生物学的利用能で割ることにより計算され得る。試験組成物は、化合物5の結晶形態を含む粒子を含有し、粒子は粘液浸透性(例えば、粘液中で約0.5を超える相対速度、又はその他の本明細書に記載された相対速度を有すること)により特徴づけられ得る。コントロール組成物は、試験組成物中に存在するものと同じ化合物5の結晶形態を含む粒子を含有してもよく、粒子は試験組成物と実質的に同一のサイズを有し得るが、それは粘液浸透性ではない(例えば、粘液中で約0.5以下の相対速度、又はその他の本明細書に記載された相対速度を有する)。
化合物5の眼での生物学的利用能は、適切な動物モデル(例えば、ニュージーランド白ウサギモデル、又はゲッティンゲンミニブタモデル)において測定され得る。化合物5の濃度及び、適切な場合には、適切な眼の組織又は流体におけるその代謝物質の濃度が、投与後の時間の関数として測定される。化合物5の眼での生物学的利用能を測定する他の方法も可能である。
いくつかの実施形態において、化合物5の結晶形態が、本明細書に記載された粒子、組成物及び/又は製剤を使用して送達(例えば、眼への局所的投与により)された場合、眼の組織及び/又は流体における化合物5の濃度は、化合物5の結晶形態が、同じ化合物5の結晶形態を含むある既存の粒子、組成物及び/又は製剤、を使用して送達された場合と比較して(又は問題の被覆粒子と同じ(例えば、同じサイズ)であるが被覆を有しない化合物5の結晶形態の送達と比較して)、増加し得る。特定の実施形態において、粒子、組成物及び/又は製剤の投与分が、眼の組織及び/又は流体における化合物5の結晶形態の濃度の測定の前に、投与される。比較の目的で、本明細書に記載された粒子、組成物及び/又は製剤の投与量に含有される化合物5の結晶形態の量は、既存の粒子、組成物及び/又は製剤の投与量に含有される化合物5の結晶形態の量と、同様又は実質的に等しくされ得る。特定の実施形態において、眼の組織及び/又は流体における化合物5の濃度は、本明細書に記載された粒子、組成物及び/又は製剤の投与、又は既存の粒子、組成物及び/又は製剤の投与に続く特定の時間(「投与後時間」)に測定される。特定の実施形態において、濃度が測定される時間は、投与の後、約1分、約10分、約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、約11時間、約12時間、約18時間、約24時間、約36時間、又は約48時間である。
いくつかの実施形態において、眼の組織及び/又は流体における化合物5の濃度は、問題となる被覆粒子と同じ(例えば、似たようなサイズの)化合物5の結晶形態を含むがコーティング剤を有しない粒子と比較して、粒子に粘液浸透性を与える、化合物5の結晶形態を含むコア粒子上の部分的な被覆に起因して、増加し得る。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤は、眼の組織及び/又は流体における化合物5の濃度を、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、又は少なくとも約10倍、少なくとも約20倍、少なくとも約50倍、少なくとも約100倍、少なくとも約1000倍、少なくとも約104倍、少なくとも約105倍、又は少なくとも約106倍だけ増加させる。ある場合には、本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤は、眼の組織及び/又は流体における化合物5の濃度を、約106倍以下、約105倍以下、約104倍以下、約1000倍以下、約100倍以下、約10倍以下、約500%以下、約400%以下、約300%以下、約200%以下、約100%以下、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、又は約10%以下だけ増加させる。上述した範囲の組合せも可能である(例えば、約10%以上で、約90%以下の増加)。他の範囲もまた可能である。いくつかの例では、化合物5の濃度は、眼の前部の組織及び/又は流体において増加する。他の例では、化合物5の濃度は、眼の後部の組織及び/又は流体において増加する。
眼の化合物5の濃度、及び、適切な場合には、その代謝物質の濃度が、適切な眼の流体又は組織において、適切な動物モデルを用いて、生体内で、時間の関数として測定され得る。化合物5の眼における濃度を決定する一つの方法は、対象とする(例えば、対象と比較される動物モデル中の)組織を分離するために眼の解剖をすることを含む。対象とする組織での化合物5の濃度は、それからHPLCやLC/MS分析で決定される。
特定の実施形態において、本明細書に記載された粒子の投与から、濃度又はAUCの測定のためのサンプルを得るまでの時間は、約1時間未満、約2時間以下、約3時間以下、約4時間以下、約6時間以下、約12時間以下、約36時間以下、又は約48時間以下である。特定の実施形態において、その時間は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約8時間、少なくとも約12時間、少なくとも約36時間、又は少なくとも約48時間である。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、連続投与の間で、約3時間以上で、約12時間以下の期間)。他の範囲もまた可能である。
対象又は動物モデルの眼における化合物5の濃度を測定する他の方法もまた可能である。いくつかの実施形態では、化合物5の濃度は、対象の眼において直接的に又は間接的に測定され得る(例えば、対象の眼から硝子体液等の流体のサンプルを取る)。
通常、眼の部位における化合物5の濃度の増加は、試験組成物とコントロール組成物との間で測定された濃度の差を取り、その差をコントロール組成物の濃度で割ることにより計算され得る。試験組成物は、化合物5の結晶形態を含む粒子を含有し、粒子は粘液浸透性(例えば、粘液中で約0.5を超える相対速度、又はその他の本明細書に記載された相対速度を有すること)により特徴付けられ得る。コントロール組成物は、試験組成物中に存在するものと同じ化合物5の結晶形態を含む粒子を含有してもよく、粒子は試験組成物と実質的に同様のサイズを有し得るが、それは粘液浸透性ではない(例えば、粘液中で約0.5以下の相対速度、又はその他の本明細書に記載された相対速度を有する)。
本明細書に記載されるように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載された粒子、組成物及び/若しくは製剤、又はその成分は、本明細書に記載された粒子、組成物及び製剤、又はその成分が存在しない状態で眼の組織に化合物5の結晶形態が投与される場合と比較して、眼の組織での化合物5の生物学的利用能及び/又は濃度を増加させるのに十分な量で存在する。
眼組織は、前方の眼組織(例えば、眼瞼結膜、眼球結膜、又は角膜)であり得る。特定の実施形態において、化合物5の結晶形態を含む製剤のコア粒子は、眼組織中の化合物5の生物学的利用能及び/又は濃度を増加させるのに十分な量で存在している。特定の実施形態において、化合物5の結晶形態を含む製剤のコア粒子上のコーティングは、眼組織中の化合物5の生物学的利用能及び/又は濃度を増加させるのに十分な量で存在している。特定の実施形態において、化合物5の結晶形態を含む製剤のコア粒子上のコーティングは、製剤の眼組織への投与の後、少なくとも10分、少なくとも20分、少なくとも30分、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも9時間、少なくとも12時間、少なくとも18時間、又は少なくとも24時間後において、眼組織中での化合物5の濃度を増加させるのに十分な量で存在している。特定の実施形態において、化合物5の結晶形態を含む製剤のコア粒子上のコーティングは、製剤の眼組織への投与の後、24時間以下、18時間以下、12時間以下、9時間以下、6時間以下、4時間以下、3時間以下、2時間以下、1時間以下、30分以下、20分以下、又は10分以下の時間の後において、眼組織中での化合物5の濃度を増加させるのに十分な量で存在している。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも10分かつ2時間以下の後において化合物5の濃度が増加する)。他の範囲もまた可能である。特定の実施形態において、化合物5の結晶形態を含む製剤のコア粒子上のコーティングは、製剤の眼組織への投与の後、約30分後において眼組織中での化合物5の濃度を増加させるのに十分な量で存在している。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤は、いろいろな服用形式で対象の眼へ局所投与され得る。例えば、本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤は、単回投与量単位を投与しても、又は複数の単回投与量単位を繰り返し投与してもよい。本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤の服用単位は、予め定められた薬剤の量を含む別々の量である。いくつかの実施形態において、本明細書に記載された粘液浸透性の被覆を有する粒子の使用により、そのような被覆を有していない粒子と比較して、より少ない回数の服用(例えば、1/2、1/3、又は1/4の服用回数)しか必要としない。
治療上又は予防上の有効量を達成するのに必要とされる本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤の正確な量は、例えば、種、年齢、及び対象の一般状態、副作用又は障害の重症度、投与の様式等に依存して、対象によって変わる。本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤は、連続的な服用の間に期間を設けた複数回の繰り返し投与を用いて送達され得る。繰り返しの投与は、眼の状態を治療、予防又は管理するのに十分長い期間において、治療上又は予防上の有効量の化合物5に眼を曝すことが可能となるので、有益である。特定の実施形態において、連続服用の間の期間は、約1時間以下、約2時間以下、約3時間以下、約4時間以下、約6時間以下、約12時間以下、約36時間以下、又は約48時間以下である。特定の実施形態において、連続服用の間の期間は、少なくとも約1時間、少なくとも約2時間、少なくとも約3時間、少なくとも約4時間、少なくとも約6時間、少なくとも約12時間、少なくとも約36時間、又は少なくとも約48時間である。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、連続服用の間の約3時間以上で、約12時間以下の期間)。他の範囲もまた可能である。
本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤の眼の組織への送達は、投与(例えば、局所的な又は直接の注射による投与)後の長時間の間、眼の組織における眼科学上の有効な化合物5のレベルに帰着し得る。眼科学上の化合物5の有効なレベルは、所望される眼の組織での生物学的反応を引き起こす、すなわち眼の疾患の治療するのに十分な量を指す。当業者であれば上述した内容からわかるように、眼科学上の化合物5の有効なレベルは、所望する生物学的終了点、化合物5の薬物動態、治療される眼の疾患、投与様式、及び対象の年齢と健康状態等の様々な要因に依存して変わり得る。特定の実施形態において、眼科学上の化合物5の有効なレベルは、眼の状態の治療で治療効果をもたらす単独の又は他の治療法との組み合わせによる化合物5の量である。眼科学上の化合物5の有効なレベルは、眼の状態の症状又は原因を低減し若しくは回避して、又は他の治療薬の治療効果を高め、全体的な治療法を改善するレベルを含むことができる。
いくつかの実施形態において、眼科学上の化合物5の有効なレベルは、投与後の眼の組織における化合物5の最大の濃度(Cmax)によって、少なくとも一部において、測定され得る。
いくつかの実施形態において、眼科学上の化合物5の有効なレベルは、例えば本分野で公知のIC50又はIC90での化合物5の最小での有効濃度によって、少なくとも一部において、測定され得る。
特定の実施形態において、眼科学上の化合物5の有効なレベル(又はCmax、IC50若しくはIC90)が投与後の延長された時間において眼の組織に存在しており、投与後の延長された時間は、数時間から数日の範囲に及び得る。特定の実施形態において、投与後の延長された時間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも4時間、少なくとも6時間、少なくとも9時間、少なくとも12時間、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも5日、少なくとも6日、又は少なくとも1週間である。特定の実施形態において、投与後の延長された時間は、1週間以下、6日以下、5日以下、4日以下、3日以下、2日以下、1日以下、12時間以下、9時間以下、6時間以下、4時間以下、2時間以下、1時間以下である。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約4時間で、約1週間以下の延長された時間)。他の範囲もまた可能である。
特定の実施形態において、本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤は、所望の治療上又は予防上の効果を得るために対象の眼に有効量の化合物5を送達するのに十分な用量レベルであり得る。特定の実施形態において、適切な眼の組織に送達される化合物5の有効量は、組織の重量の、少なくとも約10−3ng/g、少なくとも約10−2ng/g、少なくとも約10−1ng/g、少なくとも約1ng/g、少なくとも約101ng/g、少なくとも約101ng/g、少なくとも約102ng/g、少なくとも約103ng/g、少なくとも約104ng/g、少なくとも約105ng/g、又は少なくとも約106ng/gである。特定の実施形態において、眼に送達される化合物5の有効量は、組織の重量の、約106ng/g以下、約105ng/g以下、約104ng/g以下、約103ng/g以下、約102ng/g以下、約101ng/g以下、約1ng/g以下、約10−1ng/g以下、約10−2ng/g以下、又は約10−3ng/g以下である。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、組織の重量の少なくとも約10−2ng/gで約103ng/g以下の化合物5の有効量)。他の範囲もまた可能である。特定の実施形態において、本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤は、所望の治療上又は予防上の効果を得るために対象の眼の後部に有効量の化合物5を送達するのに十分な用量レベルであり得る。
本明細書に記載された服用範囲は、大人へ提供される粒子、組成物、及び/又は製剤の投与の指針を提供することが分かるであろう。例えば、子供や10代の若者に投与される量は、医師又は当業者により決定されて、大人への投与量より低く又は同じにすることができる。
本明細書に記載された粒子、組成物、及び/又は製剤は、あらゆる手段、例えば、点滴剤、粉末剤、軟膏剤、又はクリームとして、(例えば、眼又は皮膚へ)局所的に投与され得る。他の局所的投与の手法又は様式もまた可能である。
特定の実施形態において、本明細書に記載された組成物及び/又は製剤は、常温保存可能な懸濁液を用いて準備されたものとして包装される。点眼製剤は、慣例的に、(液体の標準滴下量を分配する)点眼容器又は(典型的に防腐剤のない点滴剤に使用され、一度使用されて捨てられる)個々の容器中に包装され得る液体の製剤(溶液又は懸濁液)である。これらは、懸濁液中に保存することができ、粒子が粘液に付着するのを避ける特性を維持し得る。
粒子及びその医薬組成物の調製方法
1つの観点から、本発明は、本発明の粒子の調製方法を提供する。同様な粒子の調製方法は、例えば、米国特許出願公開第2013/0316001号明細書、米国特許出願公開第2013/0316006号明細書、米国特許出願公開第2013/0316009号明細書及び米国特許出願公開第2013/0323179号明細書に記載されており、各々の全てが参照として取り込まれる。
粒子のコアは、あらゆる適切な方法で形成され得る。適切な方法は、例えば、トップダウン技術、即ち比較的大きな粒子をより小さい粒子にするサイズ縮小に基づく技術(例えば、粉砕又は均質化)、又はボトムアップ技術、即ちより小さな粒子や個々の分子からの粒子の成長に基づく技術(例えば、沈殿、又は液体になるスプレーフリーズ)が含まれ得る。
いくつかの実施形態において、粒子のコアは、コーティングで被覆され得る。例えば、第一段階においてコアが提供され又は形成され、それから、第二段階においてコアが被覆され得る。いくつかの実施形態において、コア粒子は、実質的に同時に形成され及び被覆される(例えば、単一の段階)。
いくつかの実施形態において、粒子は、製剤工程、粉砕工程、及び/又は希釈工程の使用を含む方法で形成される。特定の実施形態において、粒子を形成する方法は、粉砕工程を有し、任意に製剤工程及び/又は希釈工程を有する。製剤工程は、コア材料、1又は複数の表面改変剤、並びに、本明細書に記載された溶媒、等張化剤、キレート試薬、塩及び/又は緩衝剤(例えば、クエン酸ナトリウム及びクエン酸緩衝剤)等の他の成分、を含む懸濁液を形成するために使用され得る。製剤工程は、製剤容器を使用して実施され得る。コア材料と他の成分は、同時に又は異なる時に、製剤容器の中に加えられ得る。コア材料及び/又は1又は複数の他の成分の混合物は、懸濁液を形成するように成分の懸濁を促進するために、容器中で、撹拌及び/若しくは振盪され、又は別な方法で激しく撹拌され得る。コア材料、他の成分、及び/又は混合物の温度、及び/又は圧力は、懸濁の工程を促進させるために、それぞれ増加又は減少させられ得る。いくつかの実施形態において、コア材料及び他の成分は、不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)及び/又は光から保護された状態で、製剤容器中で本明細書に記載された処理がなされる。製剤容器から得られた懸濁液は、続いて粉砕工程で処理され、その後に希釈工程が続き得る。
固体材料(例えば、本発明の結晶性化合物)を含むコアを含有するいくつかの実施形態において、マイクロメーターからナノメーターの大きさの範囲まで粒子を形成するために、固体材料のサイズを低減する粉砕工程が使用され得る。粉砕工程は、粉砕器又は他の適切な装置を使用して実施され得る。ジェット粉砕、凍結粉砕、ボールミル粉砕、メディア粉砕、超音波処理及び均質化等の乾式又は湿式粉砕工程は公知であり、本発明の方法に使用することができる。例えば、湿式粉砕工程において、コアを形成するために使用される固体材料(「コア材料」)の懸濁液は、形成されるコアのサイズを低減するために、賦形剤を伴い又は伴わずに激しく撹拌される。乾式粉砕工程は、形成されるコアのサイズを低減するために、コア材料が賦形剤を伴い又は伴わずに粉砕媒体とともに混合される工程である。凍結粉砕工程において、コア材料の懸濁液は、冷却温度の下で賦形剤を伴い又は伴わず、粉砕媒体とともに混合される。特定の実施形態において、表面改変剤が使用される場合、被覆粒子を含む懸濁液が粉砕工程から得られる。特定の実施形態において、表面改変剤が使用されない場合、非被覆粒子を含む懸濁液が粉砕工程から得られる。
粉砕工程から得られた(被覆された又は非被覆の)本発明の粒子の懸濁液は、さらに希釈工程で処理され得る。希釈工程は、表面改変剤及び/又は他の成分を伴い又は伴わず、粉砕工程の間に形成された粒子の懸濁液を薄めることで標的の投薬濃度を達成するために使用され得る。特定の実施形態において、第1の表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が第2の表面改変剤を含む希釈工程で処理される場合、第2の表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が希釈工程から得られる。特定の実施形態において、表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が何も含まない又は同じ表面改変剤を含む希釈工程で処理される場合、希釈工程から表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が得られる。特定の実施形態において、非被覆粒子の懸濁液が表面改変剤を含む希釈工程で処理される場合、表面改変剤を含む被覆粒子の懸濁液が希釈工程から得られる。希釈工程は、製品容器又は他のいかなる適切な装置を使用して実施され得る。特定の実施形態において、粒子の懸濁液は、製品容器の中で薄められ、即ち混合又は別な方法で希釈剤と共に処理される。希釈剤は、本明細書に記載された溶媒、表面改変剤、等張化剤、キレート剤、塩、抗菌剤、又はそれらの組み合わせを含み得る。懸濁液と希釈剤は、同時に又は異なる時に製品容器に加えられ得る。特定の実施形態において、懸濁液が粉砕媒体を含む粉砕工程から得られる場合、粉砕媒体は、懸濁液が製品容器に加えられる前に懸濁液から分離され得る。懸濁液、希釈剤、又は懸濁液と希釈剤との混合物は、本発明の粒子及び/又は医薬組成物を形成するために、撹拌及び/又は振盪され、又は別の方法で、激しく撹拌され得る。懸濁液、希釈剤又はそれらの混合物の温度及び/又は圧力は、被覆粒子を形成するために、それぞれ増加させられ又は減少させられ得る。いくつかの実施形態において、懸濁液及び希釈剤は、不活性雰囲気(例えば、窒素又はアルゴン)、及び/又は光から保護された状態で、製品容器の中で処理される。
いくつかの実施形態において、コア及び/又は被覆粒子は、1又は複数の表面改変剤の存在下で、固体材料(例えば、薬剤)の粉砕により製造され得る。固体材料の小さい粒子は、液体溶液中で凝集又は集合することなく粒子の懸濁液を安定させるために、いくつかの実施形態において、安定剤として機能し得る1又は複数の表面改変剤の存在を必要とし得る。いくつかの実施形態において、安定剤は、本発明の被覆粒子を形成する表面改変剤として振る舞い得る。
本明細書に記載されたように、コア及び/又は被覆粒子を形成する方法は、粉砕及び粒子に粘液浸透性を与えるコア上へのコーティングの形成、の両方に適切な表面改変剤の選択をすることを含み得る。
湿式粉砕工程において、粉砕は、少なくとも1つの表面改変剤、粉砕媒体、粉砕される固体(例えば、固体の薬剤)、及び溶媒を含む分散液(例えば、水性分散液)中で実施され得る。本明細書に記載された溶媒は、単一溶媒又は異なる溶媒の混合物を含む。いかなる適切な量の表面改変剤が、溶媒に含まれることができる。いくつかの実施形態において、表面改変剤は、少なくとも約0.001%(重量%又は体積に対する重量(w:v)の%)、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約3%、少なくとも約10%、少なくとも約30%、又は少なくとも約60%の量で溶媒中に存在し得る。ある場合には、表面改変剤は、約100%の量で、溶媒中に存在し得る(例えば、表面改変剤が溶媒である場合)。他の実施形態では、表面改変剤は、約100%未満、約60%未満、約30%未満、約10%未満、約3%未満、又は約1%未満の量で溶媒中に存在し得る。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、溶媒の約3%未満で、少なくとも約1%の量)。他の範囲もまた可能である。特定の実施形態において、表面改変剤は、溶媒の約0.01−2%、約0.2−20%、約0.1%、約0.4%、約1%、約2%、約5%、又は約10%の量で、溶媒中に存在する。
選ばれる粒子の範囲は、粒子の表面の表面改変剤のコーティングの安定性、粒子上の表面改変剤のコーティングの平均の厚さ、粒子上の表面改変剤の配向、粒子上の表面改変剤の密度、表面改変剤と薬剤の比率、薬剤の濃度、形成される粒子の大きさ、分散性及び多分散性、並びに、形成された粒子の形態等の、粘液に浸透するための粒子の能力に作用し得る要因に影響を与え得る。
薬剤は、いかなる適切な量で溶媒に存在してもよい。いくつかの実施形態において、薬剤は、溶媒の少なくとも約0.001%(重量%又は体積に対する重量(w:v)の%)、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.1%、少なくとも約1%、少なくとも約3%、少なくとも約10%、少なくとも約30%、又は少なくとも約60%の量で存在し得る。ある場合には、薬剤は、溶媒の約100%未満、約60%未満、約30%未満、約10%未満、約3%未満、又は約1%未満の量で溶媒中に存在し得る。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、溶媒の約30%未満で、少なくとも約1%の量)。
溶媒中の薬剤に対する表面改変剤の比率もまた変化し得る。いくつかの実施形態において、薬剤に対する表面改変剤の比率は、少なくとも約0.001:1(重量比、モル比、又はw:v)、少なくとも約0.01:1、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約5:1、少なくとも約10:1、少なくとも約30:1、少なくとも約100:1、又は少なくとも約1000:1である。いくつかの実施形態において、薬剤に対する表面改変剤の比率は約1000:1(重量比、モル比、又はw:v)未満、約100:1未満、約30:1未満、約10:1未満、約5:1未満、約3:1未満、約2:1未満、約1:1未満、又は約0.1:1未満である。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約5:1で、約30:1未満の比率)。他の範囲もまた可能である。
安定剤として振る舞い得る本明細書に記載された表面改変剤は、例えばポリマー又は界面活性剤であり得る。ポリマーの例は、ポリ(ビニルアルコール)とPLURONICS(登録商標)等の、本発明の粒子のコーティングの使用に適切なものを含む。界面活性剤の例として、L−α―ホスファチジルコリン(PC)、1.2−ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、オレイン酸、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシレンソルビタン脂肪酸エステル(TWEENS)、ポリソルベート(例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)(例えば、TWEEN80(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸(例えば、TWEEN60(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート(例えば、TWEEN40(登録商標))、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(例えば、TWEEN20(登録商標))、天然レシチン、オレイルポリオキシエチレンエーテル、ステアリルポリオキシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシレンアルキルエーテル、オキシエチレンとオキシプロピレンのブロックコポリマー、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンヒマシ油とそれらの誘導体、ビタミン―PEGとそれらの誘導体、合成レシチン、ジエチレングリコールジオレエート、オレイン酸テトラヒドロフルフリル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノリシノール酸グリセリル、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、オリーブ油、モノラウリン酸グリセリル、トウモロコシ油、綿実油、及びヒマワリ種子油を含む。上述した化合物の誘導体も可能である。上述した化合物と、本明細書に記載された他のものの組み合わせもまた、本発明の粒子の表面改変剤として使用され得る。本明細書に記載されたように、いくつかの実施形態において、表面改変剤は、安定剤、界面活性剤、及び/又は乳化剤として振る舞い得る。いくつかの実施形態において、表面改変剤は、粘液の中で、粒子の輸送を助け得る。
粉砕に使用される安定剤は、本発明の粒子を粘液浸透性にするコーティングを形成し得る。安定剤はまた、粒子が形成された後に、1又は複数の他の表面改変剤で交換され得る。例えば、第1の安定剤/表面改変剤は粉砕工程の間使用され、本発明の粒子の第1のコーティングを形成してもよく、その後、全ての又は一部の第1の安定剤/表面改変剤が粒子の第2のコーティングを形成するための第2の安定剤/表面改変剤で交換され得る。いくつかの実施形態において、第2の安定剤/表面改変剤は、第1の安定剤/表面改変剤よりも粒子を粘液浸透性とすることができる。いくつかの実施形態において、多数の表面改変剤を含む多数のコーティングを含む粒子は、本発明の方法で形成される。
いかなる適切な粉砕媒体も粉砕のために使用することができる。いくつかの実施形態において、セラミック及び/又は高分子材料、並びに金属が使用され得る。適切な材料の例は、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、ケイ酸ジルコニウム、酸化イットリウム、ガラス、アルミナ、アルファアルミナ、酸化アルミニウム、ポリスチレン、ポリ(メタクリル酸メチル)、チタン、及び鋼を含む。粉砕媒体は、任意の適切な大きさを持ち得る。例えば、粉砕媒体は、少なくとも約0.1mm、少なくとも約0.2mm、少なくとも約0.5mm、少なくとも約0.8mm、少なくとも約1mm、少なくとも約2mm、又は少なくとも約5mmの平均直径を持ち得る。ある場合には、粉砕媒体は、約5mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.8mm未満、約0.5mm未満、又は約0.2mm未満の平均直径を持ち得る。上述した範囲の組み合わせも可能である(例えば、少なくとも約0.5ミリメートルで、約1mm未満の平均直径)。他の範囲もまた可能である。
溶媒は粉砕のために使用され得る。粉砕に適切な溶媒の選択は、粉砕される固体材料(例えば、固体薬剤)、安定剤/表面改変剤(例えば、粒子を粘液浸透性にし得るもの)の特定の種類、及び粉砕材料等の要素により得る。粉砕に適切な溶媒は、固体材料又は粉砕材料を実質的に溶解しないが、適切な程度に安定剤/表面改変剤を溶解する溶媒のうちの一つであり得る。粉砕に適切な溶媒の例は、水、水溶液、緩衝液、アルコール(例えば、エタノール、メタノール、及びブタノール)及びそれらの混合物を含み、それぞれは任意で、1又は複数の医薬賦形剤、ポリマー、薬剤、塩、保存剤、粘度調節剤、浸透張力調整剤、矯味剤、酸化防止剤及びpH調節剤等の他の成分を含み得る。いくつかの実施形態において、粉砕に適切な溶媒は、有機溶媒である。
本明細書に記載された薬剤(例えば、化合物5の結晶形態)は、コーティング液における水溶解度又は溶解度のために本明細書に記載された1又は複数の範囲における溶解度等の、粉砕に適切な溶媒における適切な溶解度を持ち得る。溶媒(例えば、水又はコーティング液)中において、比較的低い溶解度を持つ薬剤は、本明細書に記載された粉砕工程が、通常、材料を粉砕するために固体形態になる材料(例えば、薬剤)を必要とするため、好ましくあり得る。ある場合には、粉砕される材料が粉砕工程で使用される溶媒(例えば、水又はコーティング液)中で比較的高い可溶性を持つ場合、溶媒中で粉砕される材料の十分な又は完全な溶解が起こるので、粉砕が行われないこともあり得る。特定の実施形態において、溶媒中の固体材料(例えば、固体薬剤)の比較的高い溶解度は、25℃で、少なくとも約1mg/mL、少なくとも約3mg/mL、又は少なくとも約10mg/mLである。特定の実施形態において、溶媒中の物質(例えば、薬剤)の比較的低い溶解度は、25℃で、約1mg/mL未満、約0.3mg/mL未満、約0.1mg/mL未満、約0.03mg/mL未満、約0.01mg/mL未満、約0.003mg/mL未満、又は約0.001mg/mL未満である。固体材料は、pHの範囲(例えば、pH1からpH14まで)の間の任意の点において、これらの又は他の範囲の溶解度を持ち得る。
他の実施形態において、コア及び/又は被覆粒子は、乳化工程、又は当該分野で知られている方法(乳化)により形成され得る。例えば、米国特許出願公開第2013/0316006号明細書を参照のこと。通常は、乳化方法は、溶媒中のコアとして使用される材料を溶解すること又は分散させることを含み得る。この溶解又は分散は、その後、第2の不溶解性の溶液中で乳化され、それによって、材料を含む多数の粒子を形成する。適切な乳化方法は、例えば後に続く蒸発や抽出による溶媒の除去を伴い又は伴わず、水中油型エマルション、油中水型エマルション、水/油/水型エマルション、油/水/油型エマルション、水中油中固体型エマルション、及び油中水中固体型エマルション等の形成を含み得る。乳化方法は、多目的に使用でき、及び比較的高い水溶解度を持つ薬剤はもちろん、比較的低い水溶解度を持つ薬剤を含むコア粒子の調製に役立ち得る。
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたコア粒子は、1又は複数の表面改変剤の存在下の乳化により生産され得る。いくつかの実施形態において、安定剤は、粒子にコーティングを形成する表面改変剤として行動し得る(すなわち、乳化とコーティング段階は、実質的に、同時に実行され得る)。
いくつかの実施形態において、乳化によりコア粒子を形成する方法は、乳化と粒子にコーティングを形成して粒子を粘液浸透性にすることに、適切な安定剤を選ぶことを含む。例えば、下記でより詳細に述べるように、所定のPVAポリマーの存在下で、乳化により生産された典型的なポリマーPLAの200−500nmのナノ粒子は、確立したPEG化された高分子MPPと同じ割合で生理学的な粘液のサンプルに浸透し得る粒子をもたらすことが示されている。下記により詳細に述べるように、試験されたPVAポリマーの分画だけは、乳化と、粒子を粘液浸透性にする粒子にコーティングを形成するのに適切な基準に合うと認められる。
他の実施形態において、粒子は最初に乳化技術を用いて形成され、続いて表面改変剤で粒子がコーティングされる。
いくつかの適切な溶媒と溶媒の組み合わせは、乳化のために使用され得る。油相として機能し得る溶媒のいくつかの例は、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エチルエーテル、石油エーテル(ヘキサン、ヘプタン)、及びピーナッツ油、コットン種油等の油類、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブオイル、トウモロコシ油、大豆油、及びシリコーンオイル等の有機溶媒である。水相として機能する溶媒のいくつかの例は、水及び水性緩衝液である。他の溶媒もまた可能である。
コア及び/又は被覆粒子は、沈殿工程又は方法(沈殿)により形成され得る。沈殿方法(例えば、マイクロ沈殿、ナノ沈殿、結晶化、及び制御された結晶化)は、コア(例えば、薬剤)と第1の溶媒を形成するための、材料を含む第1の溶液であって、材料が第1の溶媒において比較的高い溶解度を持つ、溶液を形成することを含み得る。第1の溶液は、材料が比較的低い溶解度を持ち、それにより材料を含む多数の粒子を形成する、逆溶媒である第2の溶媒を含む第2の溶液に加えられ得る。特定の実施形態において、第2の溶媒は、第1の溶媒と混和できる。いくつかの実施形態において、1又は複数の表面改変剤、及び/又は界面活性剤は、第1の及び/又は第2の溶液に存在し得る。コーティングは、本発明の被覆粒子を形成するためのコア(例えば、沈殿が形成される時、粒子のコーティングがほぼ同時に形成され得る)を沈殿させる工程の間に形成され得る。
他の実施形態において、本発明の粒子のコアは、最初に、沈殿方法を使用して形成され、続いて、本発明の被覆粒子を形成するために表面改変剤でコアがコーティングされる。
いくつかの実施形態において、沈殿方法は、薬剤を伴い又は伴わず、本発明の粒子のポリマーコアを形成するのに使用され得る。通常は、沈殿方法は、溶液を形成するために薬剤の存在下で又は非存在下で、第1の溶媒中でコアを形成するためのポリマーを溶解することを含む。溶液は、粒子のコアを形成するために、逆溶媒であり、及び1又は複数の賦形剤の存在下で又は非存在下で第1の溶媒に混和できる、第2の溶媒に加えられる。いくつかの実施形態において、沈殿物は、比較的低い水溶解度を持つ1又は複数の薬剤を含むポリマーコアの調製に役立つ。
本明細書に記載された沈殿には、第1の溶媒の使用を含む。沈殿のための適切な第1の溶媒の例は、有機溶媒(例えば、アセトン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、及びテトラヒドロフラン)、及び非有機溶媒を含む。
本明細書に記載された沈殿には、第2の溶媒の使用もまた含む。特定の実施形態において、沈殿に適切な第2の溶媒は、逆溶媒である。沈殿に適切な第2の溶媒の例は、粉砕のために使用され得る本明細書に記載された溶媒を含む。いくつかの実施形態において、沈殿に適切な第2の溶媒は、水、水溶液(例えば、緩衝液)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、又はブタノール)又はそれらの混合物であり、任意には、医薬賦形剤、ポリマー、及び薬剤等の1又は複数の他の成分を含み得る。
本明細書に記載された乳化と沈殿のための表面改変剤は、粉砕のために使用され得る本明細書に記載されたその表面改変剤を含むポリマー又は界面活性剤であり得る。
乳化又は沈殿により、本発明の粒子の全部又は一部のそのコアを形成するのに適切なポリマーの例は、ポリアミン、ポリエーテル、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーバメート、ポリウレア、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリスルホン、ポリウレタン、ポリアセチレン、ポリエチレン、ポリエチレンイミン、ポリイソシアナート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリアリーレート、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、及び多糖類を含み得る。特定のポリマーの非限定的な例は、ポリ(カプロラクトン)(PLC)、エチレン酢酸ビニルポリマー(EVA)、ポリ(乳酸)(PLA)、ポリ(L−乳酸)(PLLA)、ポリ(グリコール酸)(PGA)、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸共重合体)(PLGA)、ポリ(L−乳酸−コ−グリコール酸共重合体)(PLLGA)、ポリ(D,L−ラクチド)(PDLA)、ポリ(L−ラクチド)(PLLA)、ポリ(D,Lラクチド−コ−カプロラクトン共重合体)、ポリ(D,Lラクチド−コ−カプロラクトン−コ−グリコリド共重合体)、ポリ(D,Lラクチド−コ−PEO−コ−D,Lラクチド共重合体)、ポリ(D,Lラクチド−コ−PPO−コ−D,Lラクチド共重合体)、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリウレタン、ポリ−L−リジン(PLL)、ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ−L−グルタミン酸、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ無水物、ポリオルトエステル、ポリ(エステルアミド)、ポリアミド、ポリ(エステルエーテル)、ポリカーボネート、ポリエチレンとポリプロピレン等のポリアルキレン、ポリ(エチレングリコール)(PEG)等のポリアルキレングリコール、ポリアルキレンオキサイド(PEO)、ポリ(エチレンテレフタレート)等のポリアルキレンテレフタレート、ポリビニアルコール(PVA)、ポリビニルエーテル、ポリ(酢酸ビニル)等のポリビニルエステル、ポリ(塩化ビニル)等のポリハロゲン化ビニル(PVC)、ポリビニルピロリドン、ポリシロキサン、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、アルキルセルロース等の誘導セルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)(PMMA)、ポリ(エチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソブチル(メタ)アクリレート)、ポリ(へキシル(メタ)アクリレート)、ポリ(イソデシル(メタ)アクリレート)、ポリ(ラウリル(メタ)アクリレート)、ポリ(フェニル(メタ)アクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)(一体的に「ポリアクリル酸」と呼ぶ)、及びコポリマーとその混合物等のアクリル酸のポリマー、ポリジオサンとそのコポリマー、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリプロピレンフマレート、ポリオキシメチレン、ポロキサマー、ポリ(オルソ)エステル、ポリ(酪酸)、ポリ(吉草酸)、ポリ(ラクチド−コ−カプロラクトン共重合体)、及び、トリメチレンカーボネート、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミン、ヒト血清アルブミン、コラーゲン、DNA、RNA、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストランを含む。
コア及び/又は表面改変剤の全部又は一部を形成するのに適切なポリマーは、ポリ(エチレングリコール)−ビタミンE複合体(以下、「PEG−ViE複合体」という)もまた含み得る。PEG−ViE複合体を含む粒子、組成物、及び/又は製剤、並びに、粒子、組成物、及び/又は製剤の作成と使用方法は、全ての目的に関して、参考としてここに取り入れる国際公開第2012/061703号に、より詳細に記載されている。ある場合には、PEG−ViE複合体のPEGの一部の分子量は約2kDaより大きい。PEG−ViE複合体のPEGの一部の分子量は、本明細書に記載された粘膜バリアを超える粒子の形成、及び/又は輸送の助けとなるように選ばれ得る。いくつかの実施形態において、約2kDaよりも大きな分子量を持つPEGの一部を有するPEG−ViE複合体の使用は、約2kDa未満の分子量を持つPEGの一部を有するPEG−ViE複合体の使用と比較して、粘膜バリアを通過する粒子のより高い浸透を可能とする。加えて、特定の実施形態において、より大きな分子量のPEGの一部は、薬物封入を促進し得る。界面活性剤として行動すること及び粘膜付着を低減することの複合能力は、薬物封入のために通常使用される他の界面活性剤と比較して重要な利益を供給する。ある場合には、PEG−ViE複合体のPEGの一部の分子量は、約2kDaと約8kDaの間、又は約3kDaと約7kDaの間、又は約4kDaと約6kDaの間、又は約4.5kDaと約6.5kDaの間、又は約5kDaである。
いくつかの実施形態において、沈殿方法は、主に薬剤(例えば、化合物5の結晶形態)を含む粒子の形成に使用され得る。特定の実施形態において、沈殿方法により形成された本発明の粒子は、主に、ナノ結晶である化合物5の結晶形態を含む。一般的に、そのような沈殿方法は、コア又は被覆粒子を形成するための1又は複数の医薬賦形剤の存在下で又は非存在で、第1の溶媒に、コアを形成するための化合物5を溶解することを含み、それから、化合物5の結晶形態が比較的低い溶解度となる逆溶媒である第2の溶媒に加えられる。いくつかの実施形態において、この方法は、例えば、水溶液(例えば、比較的低い水溶解度を持つ薬剤)中で、難溶性(1−10mg/mL)、高い難溶性(0.1−1mg/mL)、又は、事実上不溶性(<0.1mg/mL)の薬剤の粒子の調製に役立ち得る。
本明細書に記載された薬剤(例えば、化合物5の結晶形態)は、コーティング液の中で、水溶解度や溶解度について本明細書に記載された1又は複数の範囲の溶解度等の、沈殿に適切な第1の及び第2の溶媒中で適切な溶解度を持ち得る。第1の溶媒(例えば、有機溶媒)中で、比較的高い溶解度を持つ薬剤は、好まれ得る。特定の実施形態において、薬剤は、実質的に又は完全に、第1の溶媒中に溶ける。第2の溶媒(例えば、水やコーティング液)中で比較的低い溶解度を持つ薬剤もまた、好まれ得る。特定の実施形態において、第1と第2の溶媒の混合物中の薬剤の溶解度は、第1の溶媒中の薬剤の溶解度より低い。比較的高い溶解度と比較的低い溶解度は、本明細書に記載された通りである。
コア及び/又は被覆された粒子を形成する他の典型的な製造方法は、フリーズドライプロセス又は当業者に公知の他の方法である。例えば米国特許出願公開第2013/0316006号明細書を参照のこと。この方法では、化合物5を、水溶液(任意に表面改変剤を含む)に溶解してもよい。溶液をすぐに急速冷凍し、フリーズドライすることができる。乾燥粉末は、適切な溶媒(例えば水等の水溶液)に溶解して所望の濃度に再構成することができる。
フリーズドライの前に溶媒に表面改変剤が存在する場合、表面改変剤は任意の適切な濃度で存在しても良く、例えば、水溶液中に少なくとも約0.001%(w/v)、少なくとも約0.005%(w/v)、少なくとも約0.01%(w/v)、少なくとも約0.05%(w/v)、少なくとも約0.1%(w/v)、少なくとも約0.5%(w/v)、少なくとも約1%(w/v)、又は少なくとも約5%(w/v)の濃度である。ある場合には、溶媒中の表面改変剤は約5%(w/v)以下、約1%(w/v)以下、約0.5%(w/v)以下、約0.1%(w/v)以下、約0.05%(w/v)以下、約0.01%(w/v)以下、又は約0.005%(w/v)以下の濃度で溶媒中に存在する。上記の範囲を合わせたもの(例えば少なくとも約0.01%(w/v)で約1%(w/v)以下)でもよい。他の範囲も可能である。
溶媒中に存在する表面改変剤の濃度は、用いる特定の表面改変剤によって、表面改変剤の臨界ミセル濃度(CMC)より大きいか、又はより小さい。他の実施形態では、薬剤を含む溶液に過剰の対イオンを加えて安定な粒子を形成することができる。沈殿物は、遠心分離法等の種々の方法により洗浄することができる。得られたスラリーは超音波処理することができる。得られた粒子を安定化するため、一以上の表面改変剤を加えることができる。
コア粒子を形成する他の方法も可能である。例えば、コア及び/又は被覆された粒子を形成する他の方法として、コアセルベート相分離、溶融分散、境界析出、その場(in situ)重合、巨大分子の自己会合(例えばポリ電解質複合体又はポリ電解質−界面活性剤複合体の形成)、スプレー乾燥又はスプレー凝固、電気スプレー、空気懸濁コーティング、パンアンドスプレーコーティング、フリーズドライ、エア乾燥、真空乾燥、流動床乾燥、沈殿(例えばナノ沈殿、ミクロ沈殿)、臨界流体抽出、及びリソグラフィ的手法(ソフトリソグラフィ、ステップアンドフラッシュインプリントリソグラフィ、干渉リソグラフィ、及びフォトリソグラフィ)等がある。これらの方法の組み合わせも可能である。ある実施形態では、薬剤のコアが最初に析出法で形成され、次いでコアのサイズを粉砕工程により小さくするか、選択的に、粉砕工程によりコアにコーティングが形成される。
薬剤を含む粒子のコアを形成したあと、コアは選択的に、コアと会合し得る、及び/又はコアをコーティングし得る、(第2の)表面改変剤を含む溶液に曝される。薬剤が第1の表面改変剤のコーティングを既に含む場合の実施形態では、すべての又は一部の第1の表面改変剤が第2の表面改変剤に入れ変わる。ある実施形態では、第2の表面改変剤は、第1の表面改変剤が与える粘液浸透性よりも高い粘液浸透性を粒子に与える。ある実施形態では、複数の表面改変剤を含むコーティングを有する粒子が形成される(例えば単層又は複数の層で)。ある実施形態では、複数のコーティング(例えば、各コーティングは選択的に異なる表面改変剤を含む)を有する粒子が形成され得る。ある実施形態では、コーティングは表面改変剤の単層の形態である。他の形態も可能である。
本明細書に記載したいずれの方法においても、表面改変剤を含むコーティングは、表面改変剤を含む溶液中で本発明の粒子のコアを少なくとも約1分、少なくとも約3分、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、少なくとも約60分、あるいはそれ以上、インキュベートすることにより、コアの上に形成することができる。ある実施形態では、約10時間未満、約3時間未満、約60分未満インキュベートすることができる。上記の範囲の組み合わせも可能である(例えば60分未満で少なくとも約1分のインキュベート)。
治療方法及び使用方法
疾患の範囲は、対象の体が血管新生に対して抑制を失うとき、即ち新血管の異常成長(例えば過剰又は不足)又は腫瘍による成長が生じている状態を指す。過剰な血管新生は、増殖性疾患(例えば、癌、良性新生物、炎症性疾患、自己免疫疾患)及び特に癌を伴う眼疾患、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、リウマチ性関節炎、及び乾癬のような疾患に罹患した対象にしばしば見られる。これらの疾患では、新しい血管が異常な組織に栄養を供給し、及び/又は正常な組織を破壊する。過剰な血管新生は、異常な量の血管新生因子が存在し、自然な血管新生抑制剤の効果を圧倒する時に生じうる。従って、過剰血管新生に関連する疾患を治療するためには、新しい血管の成長を抑制することが有効であろう。不十分な血管新生は、冠状動脈疾患、脳卒中、慢性的な傷といった疾患を有する対象に典型的に見られる。これらの疾患では、血管の形成が不十分であり、循環が適正に回復せず、組織の死に繋がり得る。
VEGFは、例えば従来のネットワークに多数の毛細血管を増加させることにより、血管新生において主要な役割を果たすことが判明した。in vitro(インビトロ)研究により、VEGFによる刺激によりウシ属の内皮細胞の毛細血管が増殖し、チューブ構造の兆候が見られたことが実証された。VEGFによる上方調節は運動に対する生理学的反応の主要要素であり、血管新生に果たす役割は血管損傷の治療法になりうると考えられている。in vitro研究により、VEGFは潜在的な血管新生の刺激因子となることを示した。なぜなら、とりわけこの増殖因子の存在下でプレート上の内皮細胞が増殖し、移動し、最終的には毛細血管に似たチューブ構造を形成したからである。VEGFは内皮細胞に大量のシグナリングカスケードを生じさせるのかもしれない。VEGF受容体−2に結合することにより、チロシンキナーゼシグナリングカスケードが始まり、それにより血管透過性、増殖/回復、移動、最終的な成熟血管への分化を様々に刺激する因子の生成が刺激される。機構的には、VEGFは作用範囲の血流を増大させることにより、筋肉の収縮を上方調節する。血流の増大は、VEGF受容体−1及び2内のmRNAの生成の大幅な増加も引き起こす。受容体生成の増大は、筋肉の収縮が血管新生に関するシグナリングカスケードの上方調整を引き起こしうることを示している。
1つの側面において、本発明は、治療及び/又は予防を必要とする対象に化合物5の有効量を投与することを含む、異常な血管新生に関連する疾患の治療法及び/又は予防法を提供する。ある実施形態では、本発明の方法により、異常な血管新生に関連する疾患が治療及び/又は予防される。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される疾患は、過剰な及び/又病的な血管新生に関連する。
他の側面において、本発明は、治療及び/又は予防を必要とする対象における増殖因子の異常なシグナリングに関連する疾患の治療法及び/又は予防法を提供する。ある実施形態では、本発明の方法により、増殖因子の異常なシグナリングに関連する疾患が治療及び/又は予防される。ある実施形態では、疾患は増殖因子の過剰なシグナリングに関連する。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される疾患は、VEGFの異常なシグナリングに関連する。ある実施形態では、疾患はVEGF−A、VEGF−B、VEGF−C、VEGF−D、VEGF−F、及び/又は胎盤増殖因子(PGF)の過剰な及び/又は異常なシグナリングに関連する。ある実施形態では、本発明の方法により、VEGFの異常なシグナリングに関連する疾患が治療及び/又は予防される。
本明細書で使用する“増殖因子関連疾患”は、増殖因子が役割を果たすことが公知である任意の疾患である。従って、いくつかの実施形態では、本開示は、増殖因子が役割を果たすことが公知である疾患の治療に関する。このような疾患は、増殖性疾患、眼疾患、皮膚疾患、炎症性疾患及び代謝性疾患を含む。
いくつかの実施形態では、本開示は生体試料を有効量の化合物5と接触させることを含む、疾患を治療する方法を提供する。ある実施形態では、生体試料は、細胞又は組織を含む。いくつかの実施形態では、方法は、細胞、組織又は対象における増殖因子シグナル伝達を阻害することを含む。いくつかの実施形態では、生体試料は眼組織である。ある実施形態では、方法はin vitroの方法である。ある実施形態では、方法はin vivoの方法である。阻害レベルは100%である必要がないことは、当業者であれば理解されるだろう。阻害レベルは、少なくとも10%の阻害、約10%から約25%の阻害、約25%から約50%の阻害、約50%から約75%の阻害、少なくとも50%の阻害、少なくとも75%の阻害、約80%の阻害、約90%の阻害又は90%よりも大きい阻害であり得る。
ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される疾患は、増殖性疾患である。本明細書に記載されるすべての種類の増殖性疾患が本発明の方法により治療及び/又は予防されうる。ある実施形態では、本発明の方法によりその増殖性疾患が治療及び/又は予防される。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される疾患は、癌である。本明細書に記載されるすべての種類の癌が本発明の方法により治療及び/又は予防されうる。ある実施形態では、癌は眼の癌である。ある実施形態では、眼の癌は、網膜芽腫、髄様上皮種、ブドウ膜メラノーマ、毛様体メラノーマ、又は原発性眼球内リンパ腫である。ある実施形態では、本発明の方法によりその癌が治療及び/又は予防される。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される疾患は、良性新生物である。本明細書に記載される全ての種類の良性新生物が本発明の方法により治療及び/又は予防されうる。ある実施形態では、良性新生物は、眼の良性新生物である。ある実施形態では、良性新生物は、眼窩皮様嚢腫である。ある実施形態では、本発明の方法によりその良性新生物が治療及び/又は予防される。
ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される疾患は、炎症性疾患である。本明細書に記載されるすべての種類の炎症性疾患が本発明の方法により治療及び/又は予防されうる。ある実施形態では、炎症性疾患は、眼の炎症性疾患である。ある実施形態では、眼の炎症性疾患は手術後の炎症(術後炎症)である。ある実施形態では、本発明の方法によりその炎症性疾患が治療及び/又は予防される。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される疾患は、自己免疫疾患である。本明細書に記載される全ての種類の自己免疫疾患が本発明の方法により治療及び/又は予防されうる。ある実施形態では、自己免疫疾患はリウマチ性関節炎である。ある実施形態では、本発明の方法によりその自己免疫疾患が治療及び/又は予防される。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される疾患は、糖尿病である。ある実施形態では、当該疾患は1型糖尿病である。ある実施形態では、当該疾患は2型糖尿病である。ある実施形態では、当該疾患は妊娠性糖尿病である。ある実施形態では、本発明の方法によりそれらの糖尿病が治療及び/又は予防される。
本発明の方法により治療及び/又は予防される疾患は、眼疾患でありうる。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される眼疾患は、対象の前眼部又は眼の前部に発生する前眼部の疾患である。眼の前部には、角膜、虹彩、結膜、涙液膜、角膜上皮、前房、水晶体、毛様体、毛様体小帯、後眼房、網膜、黄斑、強膜、視神経、脈絡膜、及び硝子体腔が含まれる。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される前眼部の疾患は、アレルギー、術後炎症、ブドウ膜炎、感染症(例えばウイルス、細菌、又は菌による感染症)、無水晶体症、偽水晶体、乱視、眼瞼けいれん、白内障、結膜疾患、結膜炎、角膜疾患、角膜浮腫、眼瞼炎、マイボーム腺疾患、角膜移植手術、角膜潰瘍、ドライアイ(例えばドライアイ症候群)、眼瞼疾患、涙器疾患、涙管閉塞症、レーザーによる滲出、近視、老眼、翼状片、瞳孔異常、角膜血管新生、屈折異常、斜視、又は緑内障である。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される眼疾患は、眼の後部、又は後方に発生する後眼部の疾患である。眼の後部には、脈絡膜、強膜、硝子体液、硝子体腔、網膜、黄斑、視神経、並びに、後眼部又は後眼位置を血管新生又は刺激する血管及び神経が含まれる。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される後眼部の疾患は、眼球内メラノーマ、急性黄斑視神経網膜症、滲出性眼疾患、ベーチェット病、滲出性網膜症、黄斑浮腫、未熟児網膜症、網膜前膜異常、脈絡膜血管新生、ブドウ膜炎、糖尿病性ブドウ膜炎、ヒストプラスマ症、感染症(例えばウイルス、細菌、又は菌による感染症)、黄斑変性症(例えば急性黄斑変性症及び加齢黄斑変性症(非滲出性加齢黄斑変性症及び滲出性加齢黄斑変性症等のAMD))、浮腫(例えば嚢腫状黄斑浮腫(CME)及び糖尿病性黄斑浮腫(DME)等の黄斑浮腫)、多巣性脈絡膜炎、眼の後部又は後部位置に影響する眼の外傷、眼の癌、網膜異常(例えば網膜中心静脈閉塞)、糖尿病性網膜症(例えば増殖性糖尿病性網膜症及び非増殖性糖尿病性網膜症)、増殖性硝子体網膜症(PVR)、網膜動脈閉塞症、網膜剥離、ブドウ膜炎網膜症、交感性眼炎、ボークト−コヤナギ−ハラダ(VKH)症候群、ブドウ膜拡散、眼のレーザー治療を原因とする(の影響による)眼後部疾患、光力学治療を原因とする(の影響による)眼後部疾患、光凝固、照射網膜症、網膜上膜異常、網膜静脈分枝閉塞、虚血性前部視神経障害、非網膜症性糖尿病性網膜不全、網膜性色素変性症、網膜芽腫、又は緑内障である。ある実施形態では、本発明の方法により治療及び/又は予防される眼疾患は黄斑変性症である。ある実施形態では、眼疾患は加齢黄斑変性症(AMD)である。ある実施形態では、眼疾患は緑内障である。ある実施形態では、眼疾患は糖尿病性網膜症である。ある実施形態では、眼疾患は網膜芽腫である。ある実施形態では、眼疾患は浮腫である。ある実施形態では、眼疾患は嚢腫状黄斑浮腫(CME)である。ある実施形態では、眼疾患は糖尿病性黄斑浮腫(DME)である。ある実施形態では、眼疾患は眼の炎症疾患である。ある実施形態では、眼疾患は術後炎症である。ある実施形態では、眼疾患はブドウ膜炎(例えば前部ブドウ膜炎、中間部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎)である。ある実施形態では、眼疾患は手術後の眼瞼炎である。ある実施形態では、眼疾患は全ブドウ膜炎である。ある実施形態では、眼疾患は強膜炎である。ある実施形態では、眼疾患はドライアイである。ある実施形態では、眼疾患はシェーグレン症候群である。ある実施形態では、眼疾患は眼の手術である。ある実施形態では、それらの眼疾患は本発明の方法により治療及び/又は予防される。
ある実施形態では、本明細書に記載の化合物、粒子、組成物及び/又は製剤は、即使用可能な常温保存可能な懸濁液として包装されている。点眼製剤は、従来の液体製剤(溶液又は懸濁液)である、(液体の標準滴下用量を分配する)点眼器ボトル中に、又は(典型的に防腐剤フリーの液滴で使用され一度で使い捨てられる)個別使用の点眼器中に包装することができる。これらの製剤はすぐに使用される状態であり、自己投与することができる。ある場合では、製剤を均質に確保するために使用前にボトルを振とうするべきだが、他の調製物を必要としなくともよい。これは簡単で最も便利な眼への送達方法であり得る。本明細書に記載の組成物及び/又は製剤は、従来の点眼製剤と同様の方法で包装することができる。
本発明の他の側面は、対象内又は細胞内の増殖因子(例えばVEGF)のシグナリング経路の異常なシグナリングを阻害する方法に関する。ある実施形態では、増殖因子の異常なシグナリングは本発明に係る方法で阻害される。
他の側面において、本発明は、阻害を必要とする対象内の異常な又は病理学的な血管新生を阻害する方法を提供する。ある実施形態では、異常な又は病理学的な血管新生は、本発明に係る方法で阻害される。
ある実施形態では、本明細書でいう対象はヒトである。ある実施形態では、対象は動物である。動物は、どちらの性でもよく、どのような発達段階でも良い。ある実施形態では、対象は魚である。ある実施形態では、対象はほ乳類である。ある実施形態では、対象は犬、猫、牛、豚、馬、羊、山羊といった飼い慣らされた動物である。ある実施形態では、対象は犬や猫といった同伴動物である。ある実施形態では、対象は牛、豚、馬、羊、山羊といった家畜である。ある実施形態では、対象は動物園にいるような動物である。ある実施形態では、対象は齧歯類(例えばマウスやラット)、犬、豚、又はヒトではない霊長類といった研究用動物である。ある実施形態では、動物は遺伝子操作された動物である。ある実施形態では、動物は形質転換された動物である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の結晶形態は、癌を治療するために使用される。癌は、聴神経腫、腺癌、副腎癌、肛門癌、血管肉腫(例えば、リンパ管肉腫、リンパ管内皮肉腫、血管肉腫)、虫垂癌、良性単クローン性免疫グロブリン血症、胆道癌(例えば、胆管癌)、膀胱癌、乳癌(例えば、乳房の腺癌、乳房の乳頭癌、乳頭癌、乳房の髄様癌)、脳腫瘍(例えば、髄膜腫、神経膠芽腫、神経膠腫(例えば、星状細胞腫、乏突起膠腫)、髄芽腫)、気管支癌、カルチノイド腫瘍、子宮頸がん(例えば、子宮頸部腺癌)、絨毛癌、脊索腫、頭蓋咽頭腫、結腸直腸癌(例えば、結腸癌、直腸癌、結腸直腸腺癌)、上皮癌、上衣腫、内皮肉腫(例えば、カポジ肉腫、多発性の特発性出血性肉腫)、子宮内膜癌(例えば、子宮癌、子宮肉腫)、食道癌(例えば、食道腺癌、バレット腺癌)、ユーイング肉腫、眼性癌(例えば、眼内黒色腫、網膜芽細胞腫)、家族性好酸球増加症、胆嚢癌、胃癌(例えば、胃腺癌)、消化管間質腫瘍(GIST)、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮癌、口腔癌(例えば、口腔扁平上皮癌(OSCC))、咽頭癌(例えば、喉頭癌、咽頭癌、鼻咽頭癌、口腔咽頭癌)、造血系癌(例えば、急性リンパ性白血病(ALL)(例えば、B細胞ALL、T細胞ALL)、急性骨髄性白血病(AML)(例えば、B細胞AML、T細胞AML)、慢性骨髄性白血病(CML)(例えば、B細胞CML、T細胞CML)及び慢性リンパ性白血病(CLL)(例えば、B細胞CLL、T細胞CLL)といった白血病)、ホジキンリンパ腫(HL)(例えば、B細胞HL、T細胞HL)及び非ホジキンリンパ腫(NHL)(例えば、びまん性大細胞リンパ腫(DLCL)(例えば、広範性大B細胞リンパ腫(DLBCL))、濾胞性リンパ腫、慢性リンパ球性白血病/小リンパ球性リンパ腫(CLL/SLL)、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯B細胞リンパ腫(例えば、粘膜関連リンパ組織(MALT)リンパ腫、節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾臓周辺帯B細胞リンパ腫)、原発性縦隔B細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫(すなわち、ワルデンストレームマクログロブリン血症)、有毛細胞白血病(HCL)、免疫大細胞リンパ腫、前駆Bリンパ芽球リンパ腫及び原発中枢神経系(CNS)リンパ腫といったB細胞NHL、並びに、前駆Tリンパ芽球性リンパ腫/白血病、末梢T細胞リンパ腫(PTCL)(例えば、皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)(例えば、菌状息肉腫、セザリー症候群)、血管免疫芽球性T細胞リンパ腫、節外性ナチュラルキラーT細胞リンパ腫、腸症型T細胞リンパ腫、皮下脂肪織炎様T細胞リンパ腫及び未分化大細胞リンパ腫といったT細胞NHL)といったリンパ腫、上述の1又は複数の白血病/リンパ腫の組み合わせ、並びに、多発性骨髄腫(MM))、重鎖病(例えば、α鎖病、γ鎖病、μ鎖病)、血管芽腫、炎症性筋線維芽細胞腫瘍、免疫球性アミロイドーシス、腎臓癌(例えば、腎芽腫(別名ウィルムス腫瘍)、腎細胞癌)、肝臓癌(例えば、肝細胞癌(HCC)、悪性肝細胞癌)、肺癌(例えば、気管支癌、小細胞肺癌(SCLC)、非小細胞肺癌(NSCLC)、肺の腺癌)、平滑筋肉腫(LMS)、肥満細胞症(例えば、全身性肥満細胞症)、骨髄異形成症候群(MDS)、中皮腫、骨髄増殖性疾患(MPD)(例えば、真性多血症(PV)、本態性血小板増加症(ET)、原発性骨髄線維症(AMM)(別名骨髄線維症(MF))、慢性特発性骨髄線維症、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性好中球性白血病(CNL)、好酸球増多症候群(HES))、神経芽細胞腫、神経線維腫(例えば、神経線維腫症(NF)1又は2型、神経鞘腫症)、神経内分泌癌(例えば、膵消化管神経内分泌腫瘍(GEP−NET)、カルチノイド腫瘍)、骨肉腫、卵巣癌(例えば、嚢胞腺癌、卵巣胎生期癌、卵巣腺癌)、乳頭状腺癌、膵臓癌(例えば、膵臓腺癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)、膵島細胞腫瘍)、陰茎癌(例えば、陰茎及び陰嚢のパジェット病)、松果体腫、原始神経外胚葉性腫瘍(PNT)、前立腺癌(例えば、前立腺腺癌)、直腸癌、横紋筋肉腫、唾液腺癌、皮膚癌(例えば、扁平上皮癌(SCC)、ケラトアカントーマ(KA)、黒色腫、基底細胞癌(BCC))、小腸癌(例えば、虫垂癌)、軟部組織肉腫(例えば、悪性線維性組織球腫(MFH)、脂肪肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)、軟骨肉腫、線維肉腫、粘液肉腫)、皮脂腺癌、汗腺癌、滑膜腫、精巣癌(例えば、精上皮腫、精巣胚性癌腫)、甲状腺癌(例えば、甲状腺の乳頭癌、甲状腺乳頭癌(PTC)、甲状腺髄様癌)、尿道癌、膣癌、並びに、外陰癌(例えば、外陰部のパジェット病)を含むが、これらに限定されることはない。
ある実施形態では、本明細書に記載の細胞はin vivoのものである。ある実施形態では、本明細書に記載の細胞はin vitroのものである。ある実施形態では、本明細書に記載の細胞は試験管外のものである。
ある実施形態では、本発明の方法は、有効量の本発明の化合物5、粒子又は医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む。ある実施形態では、本発明の方法は、細胞を、有効量の本発明の化合物、粒子又は医薬組成物に接触させることを含む。
ある実施形態では、本発明の方法はin vivoの方法である。ある実施形態では、本発明の方法はin vitroの方法である。ある実施形態では、本発明の方法は試験管外の方法である。
他の側面では、本発明は、本明細書に記載の疾患の治療及び/又は予防を必要とする対象における使用のための、本発明の化合物5の結晶形態、粒子及び医薬組成物を提供する。
さらなる側面では、本発明は、異常な血管新生の阻害を必要とする対象における使用のための、本発明の化合物5の結晶形態、粒子及び医薬組成物を提供する。
さらなる側面では、本発明は、増殖因子の異常なシグナリングの阻害を必要とする対象又は細胞における使用のための、本発明の化合物5の結晶形態、粒子及び医薬組成物を提供する。
本明細書に記載の本発明がより十分に理解され得るように、次の実施例について述べる。これらの実施例は例示目的のためのみのものであり、いかなる手法においても本発明を限定するように解釈されないことは理解されるべきである。
実施例1:化合物5の合成
化合物2:エチル4−(4−クロロ−6−メトキシキナゾリン−7−イルオキシ)ブタノエート
テトラヒドロフラン(30mL)中の4−クロロ−6−メトキシキナゾリン−7−オール(化合物1、3.0g、14.25mmol)及びエチル4−ブロモブタノエート(4.53g、28.49mmol)の溶液に炭酸カリウム(5.90g、42.74mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を水(60mL)で希釈し、酢酸エチルで抽出した(100mL×2)。合わせた有機相を濃縮し、黄色固形物の粗製生成物を得た。粗製生成物をシリカゲルカラム(ヘキサン:酢酸エチルが10:1から2:1の勾配)によって精製し、黄色固形物の化合物2(3.7g)を得た。
化合物3:エチル4−(4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イルオキシ)ブタノエート
アセトニトリル(50mL)中の化合物2(5.0g、15.39mmol)及び4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−オール(3.56g、21.55mmol)の溶液に炭酸セシウム(15.05g、46.18mmol)を添加した。反応混合物を2時間にわたり50℃で攪拌した。TLCでは出発物質は残っていないことを示していた。無機物質を濾過により除去し、濾液を濃縮して褐色固形物を得た。固形物を酢酸エチル(100mL)中に溶解し、水(100mL×2)で洗浄した。有機相を濃縮し、残渣をシリカカラム(ヘキサン:酢酸エチルが5:1から1:2の勾配)によって精製し、紫色固形物の化合物3(5.90g)を得た。
化合物4:4−(4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イルオキシ)ブタン酸
テトラヒドロフラン(250mL)中の化合物3(5.90g、10.12mmol)の溶液に水酸化リチウム水溶液(1N、50.60mL)を滴下して加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物を塩酸(1N、水溶液)で中和し、乾燥するまで濃縮して褐色固形物の粗製化合物4(8.0g)を得た。粗製生成物を精製せずに次の工程で使用した。
化合物5:4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−1−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−1−オン
N,N−ジメチルホルムアミド(100mL)中の化合物4(9.8g、粗製、塩化リチウムを含む)の溶液に、ヒドロキシベンゾトリアゾール(6.22g、46.07mmol)、2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナンヘミオキサレート(4.39g、34.56mmol)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.93g、69.11mmol)及び1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(8.83g、46.07mmol)を順次添加した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、次いで水(800mL)中に注いだ。形成された灰色固形物を濾過により回収した。この固形物をフラッシュクロマトグラフィー(勾配は、ジクロロメタンから、ジクロロメタン:メタノールが10:1まで)により精製し、オフホワイト色固形物の化合物5(5.20g)を得た。m/zは、535.3(M+H、100%)(ポジティブイオンモード)であった。1H−NMR(CDCl3,400MHz)は、δ1.83(4H,m);2.27(2H,m);2.30(3H,s);2.46(2H,t);3.41(2H,t);3.42(2H,t);4.05(3H,s);4.27(2H,t);4.46(4H,q);6.34(1H,q);7.0(1H,dd);7.10(1H,d);7.34(1H,s);7.63(1H,s);8.17(1H,s);8.60(1H,s)、であった。
実施例2:粘液浸透粒子(MPP)としての化合物5の製剤化
化合物5を粘液浸透粒子(MPP)として製剤化した。具体的には、実施例1の化合物5をPLURONIC F127(F127)の存在下で粉砕して、1)F127が粒子サイズを数百ナノメートルまで小さくすることに役立つか否か、及び2)F127が粘液構成成分との粒子相互作用を最小化し、粘液接着を抑制するであろう粘液不活性コーティングで、生成ナノ粒子の表面を物理的に(非共有結合的に)被覆するか否か、を判定した。
動的光散乱法により測定した粒子サイズが300nm(z−平均)未満になるまで、粗製薬剤粒子とPLURONIC F127(F127)とを含む水性分散液を粉砕媒体と共に粉砕するという粉砕プロセスを用いた。この実施例では、懸濁液はDPBS(ダルベッコリン酸塩緩衝生理食塩水)を用いて緩衝化され、その結果得られた懸濁液は等張性であり且つ生理学的に適切なpHを有する。
生成された粒子がムチンとの相互作用を減少させたか否か、その結果捕捉されることなく粘液内を移動できるか否かを判定するため、粒子をヒトの頸膣部粘液(CVM)と共にインキュベートして、暗視野顕微鏡で観察した。20μLのCVMに1μL以下のナノ粒子懸濁液を加えた。観察は、CVMサンプルの、最低限3カ所のランダムに選択された異なる領域で行った。既知の挙動を示す対照粒子を用いて、CVMサンプルが分析に適切であることを確認した。粘液中の移動性が観察され、従ってこのナノ粒子は効果的なMPPであるとみなされた。
実施例3:化合物5の結晶形態
化合物5の結晶形態を調製し、次いでXRPDで分析した。XRPDでは、CuのX線管(Cu/Kα=1.54059Å)、6サンプルチェンジャ及びD/teX Ultra検出器を具備したRigaku MiniFlex600卓上型X線回折装置を使用してパターンを得た。
全ての測定で、ゼロバックグラウンドXRPDサンプルホルダ(Rigaku 906165 Flush、Si510)を使用した。粉砕され均整化された(neat)結晶形態を、種々の方法を使用してフラットゼロバックグラウンドXRPDサンプルホルダ上へ載置した。均整化された結晶形態I及び結晶形態IIについては、固形成分のミリグラム量をフラットゼロバックグラウンドXRPDサンプルホルダ上へ薄く均一に載置した。粉砕された結晶形態IIIでは、55000rpmでの15分間の遠心分離によりバルク製剤から粒子を単離して、次いでフラットゼロバックグラウンドXRPDサンプルホルダ上へ薄く均一に載置した。その後、視覚的に乾燥するまで通常最大3分間まで穏やかな空気流下でサンプルを乾燥させた。
0.02°ステップ幅及び5°/分スキャン速度で、3−40°2θのXRPDパターンを得た。機器設計は、40kV−15mA X線発生装置、2.5°ソーラースリット、10mmHIS、0.625°発散スリット、Kβフィルタを備えた8mm散乱スリット及びオープン受光スリットを備えた。機器製造元により提供されるPDXL分析ソフトウェアを用いて、回折パターンを検討及び分析した。
上記のサンプル調製手順を用いると、参照標準のシリコン粉末(NIST Standard Reference Material 640d)は28.44°2θでピークを生じた。
均整化された結晶形態Iの特性解析
実施例1に記載した化合物5の合成で、結晶形態Iを生成させた。結晶形態IのXRPDパターンを図1に示し、そのXRPDパターンに含まれる反射を表1に列挙する。
結晶形態Iは、約6.62、8.24、8.88、10.14、10.56、13.46、14.93、16.71、21.18及び22.10±0.2度2θ又は面間隔dで13.34、10.73、9.95、8.72、8.37、6.57、5.93、5.30、4.19及び4.02ÅでのピークのX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。結晶形態Iは、約15.33、17.72、18.37、18.64、23.13、23.67、26.57及び27.65±0.2度2θ又は面間隔dで5.78、5.00、4.83、4.76、3.84、3.76、3.35及び3.22±0.2ÅでのXRPDピークを更に有する。
均整化された結晶形態IIの調製及び特性解析
結晶形態Iの水性スラリーを攪拌することによって結晶形態IIを調製した。具体的には、化合物5(150mg)を7×2mmの攪拌棒を含む6mLのシンチレーションバイアルに添加し、その後水(2mL)を添加した。懸濁液を室温で500rpmにおいて一晩攪拌した。その後、遠心濾過により懸濁させた固形物を回収し、それを真空下で一晩乾燥させた。単離された固形物質のXRPD分析では、結晶形態IIの形成が示された。
得られた化合物5の結晶形態IIのXRPD分析を行った。結晶形態IIのXRPDパターンを図2に示し、そのXRPDパターンに含まれる反射を表2に列挙する。
結晶形態IIIを含むMPPの調製及び特性解析
実施例2に従って化合物5の結晶形態Iを湿式粉砕することにより、結晶形態IIIを含む粘液浸透粒子を調製した。簡潔に言うと、PBS(0.0067M PO4 3−)中に5%の化合物5の結晶形態I及び5%のF127を含むpH7.1のスラリーを、ガラスバイアル中の同嵩体積の1mmセリア安定化酸化ジルコニウムビーズ(例えばビーズ0.5mL毎にスラリー0.5mL)に添加した。磁気攪拌棒を使用して約500rpmでビーズを攪拌した。サンプルを3日間粉砕した。動的光散乱(DLS)により測定される直径が約180nm(z−平均)であるナノ粒子が生成された。粉砕工程の間、化合物5が結晶形態Iから結晶形態IIIへと変わったことがXRPDにより確認された。
得られた化合物5の結晶形態IIIのXRPD分析を行った。結晶形態IIIのXRPDパターンを図3に示し、そのXRPDパターンに含まれる反射を表3に列挙する。
均等物及び範囲
特許請求の範囲において、「1つの」、「その」、「前記」等(数詞がない場合を含む)は、そうではないことの特記がない限り、また文脈からそうではないことが明らかである場合を除き、1つあるいは2以上であることを意味する。1つのグループの1以上の要素の間に「又は」を含む特許請求の範囲又は明細書は、1つ、2つ以上又は全てのグループ要素が、所定の生成物又はプロセスに存在し、用いられ、又は他の関連性がある場合は、そうではないことの特記がない限り、また文脈からそうではないことが明らかである場合を除き、満たされていると判断される。本発明は、グループのただ1つの要素が、所定の生成物又はプロセスに存在し、用いられ、又は他の関連性がある実施形態を含む。本発明は、グループの2以上、又は全ての要素が、所定の生成物又はプロセスに存在し、用いられ、又は他の関連性がある実施形態を含む。
また本発明は、1以上の請求項から1以上の限定、要素、節、及び記述用語が他の請求項に導入された形式である全ての変形、組み合わせ、並べ替え、置換を含む。例えば、ある請求項の従属項は、その基礎請求項に従属する他のいずれかの請求項の中の1以上の限定を含むように変形できる。要素が列挙されている場合、例えばマーカッシュ群形式で記載されている場合、要素の各サブグループもまた開示されており、どの要素もその群から除くことができる。全般に、本発明又は本発明の側面が特定の要素及び/又は特徴を含むことを言及している場合は、本発明又は本発明の側面のある実施形態においては、そのような要素及び/又は特徴だけからなるか、実質的にそのような要素及び/又は特徴だけからなるということが理解されるべきである。簡略化のため、実施形態においては上記のような記載は特にしていない。「含む」、「有する」という記載は非限定的であり、追加の要素やステップを含んでもよいことに注意すべきである。範囲が規定されている場合、両端を含む。また、他の記載がない限り、また文脈及び当業者の知識から他の意味であることが明らかである場合を除き、範囲として記載された数値は、文脈で明確に規定しない限り、範囲の下限の単位の10分の1で本発明の他の実施形態で述べられた範囲内のどのような特定の数値又はサブレンジとしてもよい。
本出願は種々の特許公報、出願公開公報、学術誌、及び他の出版物について言及しており、これらは全て引用により本明細書に組み込む。もしも組み込んだ文献と本明細書との間で齟齬がある場合は、明細書が優先する。さらに、本発明のいかなる実施形態も、先行技術の範囲内にあるものは特許請求の範囲から明示的に除くものである。なぜなら、そのような実施形態は当業者に公知のものであるから、明示的に除外するとの記載がなくとも除外されるものである。本発明のどの実施形態も、どのような理由かにかかわらず、先行技術の存在に関係するしないにかかわらず、特許請求の範囲から除外されうるものである。
当業者は、本明細書に記載した詳細な実施形態の均等物を通常のルーチンワークを超えることなく認識し、把握することができるであろう。本明細書に記載した実施形態の範囲は、上述の明細書に限定する意図はなく、添付の特許請求の範囲に記載したものである。当業者は、本明細書のさまざまな変形や改良を、以下の特許請求の範囲に記載した本発明の真髄と範囲から逸脱することなく行うことができることを理解するであろう。
(付記)
(付記1)
結晶形態IIの4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−1−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−l−オン。
(付記2)
結晶形態が、約8.44、10.57、14.92、17.22、21.26及び22.42±0.2度2θ又は面間隔dで10.47、8.36、5.93、5.15、4.18及び3.96±0.2Åでのピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する結晶形態IIである、
ことを特徴とする4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−1−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−l−オンの結晶形態。
(付記3)
前記XRPDパターンは、約6.59、10.21、12.67、13.15、15.47、18.76及び23.17±0.2度2θ又は面間隔dで13.41、8.66、6.98、6.73、5.72、4.73及び3.84±0.2Åでのピークを更に有する、
ことを特徴とする付記2に記載の結晶形態II。
(付記4)
前記XRPDパターンは、約6.24、14.08、16.24、20.71、26.98及び28.50±0.2度2θ又は面間隔dで14.15、6.28、5.45、4.29、3.30及び3.13±0.2Åでのピークを更に有する、
ことを特徴とする付記2又は3に記載の結晶形態II。
(付記5)
図2に示すような粉末X線回折パターンを有する付記1に記載の結晶形態II。
(付記6)
結晶形態IIIの4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−lH−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−l−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−l−オン。
(付記7)
結晶形態が、約9.60、10.45、19.30、19.71、21.84及び23.42±0.2度2θ又は面間隔dで9.21、8.46、4.60、4.50、4.07及び3.80±0.2Åでのピークを有する粉末X線回折(XRPD)パターンを有する結晶形態IIIである、
ことを特徴とする4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−lH−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−l−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−l−オンの結晶形態。
(付記8)
前記XRPDパターンは、約6.76、13.45、16.45、17.08、17.72、24.57、25.56及び26.74±0.2度2θ又は面間隔dで13.07、6.58、5.38、5.19、5.00、3.62、3.48及び3.33±0.2Åでのピークを更に有する、
ことを特徴とする付記7に記載の結晶形態III。
(付記9)
前記XRPDパターンは、約12.29、20.21、21.06、27.11及び30.07±0.2度2θ又は面間隔dで7.20、4.39、4.21、3.29及び2.97±0.2Åでのピークを更に有する、
ことを特徴とする付記7又は8に記載の結晶形態III。
(付記10)
図3に示すような粉末X線回折パターンを有する付記6に記載の結晶形態III。
(付記11)
a)水中で4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−lH−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−l−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−l−オンの懸濁液を撹拌することと、
b)前記懸濁液から結晶形態IIを単離することと、
を含む、ことを特徴とする付記1又は2に記載の結晶形態IIを調製する方法。
(付記12)
前記結晶形態IIは、約8.44、10.57、14.92、17.22、21.26及び22.42±0.2度2θ又は面間隔dで10.47、8.36、5.93、5.15、4.18及び3.96±0.2Åでのピークを有するXRPDパターンを有する付記11に記載の方法。
(付記13)
前記XRPDパターンは、約6.59、10.21、12.67、13.15、15.47、18.76及び23.17±0.2度2θ又は面間隔dで13.41、8.66、6.98、6.73、5.72、4.73及び3.84±0.2Åでのピークを更に有する付記11又は12に記載の方法。
(付記14)
前記XRPDパターンは、約6.24、14.08、16.24、20.71、26.98及び28.50±0.2度2θ又は面間隔dで14.15、6.28、5.45、4.29、3.30及び3.13±0.2Åでのピークを更に有する付記11から13のいずれか1つに記載の方法。
(付記15)
前記方法は、前記化合物の結晶形態IIIのナノ粒子を得るために、4−((4−((4−フルオロ−2−メチル−lH−インドール−5−イル)オキシ)−6−メトキシキナゾリン−7−イル)オキシ)−l−(2−オキサ−7−アザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)ブタン−l−オンの結晶形態I及び非イオン性界面活性剤を含む水性スラリーをウエットミルすることを含む、
ことを特徴とする付記6又は7に記載の結晶形態IIIを調製する方法。
(付記16)
前記結晶形態IIIは、約9.60、10.45、19.30、19.71、21.84及び23.42±0.2度2θ又は面間隔dで9.21、8.46、4.60、4.50、4.07及び3.80±0.2Åでのピークを有するXRPDパターンを有する付記15に記載の方法。
(付記17)
前記XRPDパターンは、約6.76、13.45、16.45、17.08、17.72、24.57、25.56及び26.74±0.2度2θ又は面間隔dで13.07、6.58、5.38、5.19、5.00、3.62、3.48及び3.33±0.2Åでのピークを更に有する付記15又は16に記載の方法。
(付記18)
前記XRPDパターンは、約12.29、20.21、21.06、27.11及び30.07±0.2度2θ又は面間隔dで7.20、4.39、4.21、3.29及び2.97±0.2Åでのピークを更に有する付記15から17のいずれか1つに記載の方法。
(付記19)
付記1から5のいずれか1つに記載の結晶形態を含む医薬組成物であって、
当該組成物は、薬学的に許容可能なキャリアを更に含む医薬組成物。
(付記20)
付記1から5のいずれか1つに記載の結晶形態を含むコア粒子であって、前記結晶形態は、当該コア粒子の少なくとも約80wt%を構成する、コア粒子と、
前記コア粒子を囲む1以上の表面改変剤を含むコーティングと、
を含む複数の被覆粒子、
を含む医薬組成物。
(付記21)
前記1以上の表面改変剤は、親水性ブロック−疎水性ブロック−親水性ブロック構造を含むトリブロックコポリマーを含み、
前記疎水性ブロックは、少なくとも約2kDaの分子量を有し、前記親水性ブロックは、前記トリブロックコポリマーの少なくとも約15wt%を構成する、
ことを特徴とする付記20に記載の医薬組成物。
(付記22)
前記医薬組成物は、局所投与に適している、
ことを特徴とする付記19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記23)
前記医薬組成物は、注射に適している、
ことを特徴とする付記19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記24)
前記医薬組成物は、眼への送達に適している、
ことを特徴とする付記19から23のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記25)
前記医薬組成物は、経口投与に適している、
ことを特徴とする付記19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記26)
前記医薬組成物は、吸入に適している、
ことを特徴とする付記19から21のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記27)
付記6から10のいずれか1つに記載の結晶形態を含む医薬組成物であって、
当該組成物は、薬学的に許容可能なキャリアを更に含む医薬組成物。
(付記28)
付記6から10のいずれか1つに記載の結晶形態を含むコア粒子であって、前記結晶形態は、当該コア粒子の少なくとも約80wt%を構成する、コア粒子と、
前記コア粒子を囲む1以上の表面改変剤を含むコーティングと、
を含む複数の被覆粒子、
を含む医薬組成物。
(付記29)
前記1以上の表面改変剤は、親水性ブロック−疎水性ブロック−親水性ブロック構造を含むトリブロックコポリマーを含み、
前記疎水性ブロックは、少なくとも約2KDaの分子量を有し、前記親水性ブロックは、前記トリブロックコポリマーの少なくとも約15wt%を構成する、
ことを特徴とする付記28に記載の医薬組成物。
(付記30)
前記医薬組成物は、局所投与に適している、
ことを特徴とする付記27から29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記31)
前記医薬組成物は、注射に適している、
ことを特徴とする付記27から29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記32)
前記医薬組成物は、眼への送達に適している、
ことを特徴とする付記27から31のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記33)
前記医薬組成物は、経口投与に適している、
ことを特徴とする付記27から29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記34)
前記医薬組成物は、吸入に適している、
ことを特徴とする付記27から29のいずれか1つに記載の医薬組成物。
(付記35)
治療上有効量の、付記1から5のいずれか1つに記載の結晶形態又は付記19から26のいずれか1つに記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む、疾患を治療する方法。
(付記36)
治療上有効量の、付記6から10のいずれか1つに記載の結晶形態又は付記27から34のいずれか1つに記載の医薬組成物を、それを必要とする対象に投与することを含む疾患を治療する方法。
(付記37)
前記疾患は、増殖性疾患である、
ことを特徴とする付記35又は36に記載の方法。
(付記38)
前記疾患は、癌である、
ことを特徴とする付記37に記載の方法。
(付記39)
前記疾患は、眼疾患である、
ことを特徴とする付記35又は36に記載の方法。
(付記40)
前記眼疾患は、網膜症である、
ことを特徴とする付記39に記載の方法。
(付記41)
前記眼疾患は、加齢性黄斑変性(AMD)、
ことを特徴とする付記39に記載の方法。
(付記42)
前記眼疾患は、角膜血管新生である、
ことを特徴とする付記39に記載の方法。
(付記43)
前記眼疾患は、糖尿病性黄斑浮腫である、
ことを特徴とする付記39に記載の方法。
(付記44)
前記眼疾患は、網膜静脈閉塞症である、
ことを特徴とする付記39に記載の方法。
(付記45)
治療上有効量の、付記1から10のいずれか1つに記載の結晶形態又は付記19から34のいずれか1つに記載の医薬組成物を対象に投与すること含む増殖因子のシグナリングを阻害する方法。
(付記46)
前記化合物又は前記組成物は、局所的に投与される、
ことを特徴とする付記35から45のいずれか1つに記載の方法。
(付記47)
前記化合物又は前記組成物は、注射によって投与される、
ことを特徴とする付記35から45のいずれか1つに記載の方法。
(付記48)
前記化合物又は前記組成物は、経口投与される、
ことを特徴とする付記35から45のいずれか1つに記載の方法。
(付記49)
前記化合物又は前記組成物は、眼に投与される、
ことを特徴とする付記35から45のいずれか1つに記載の方法。
(付記50)
前記化合物又は前記組成物は、吸入によって投与される、
ことを特徴とする付記35から45のいずれか1つに記載の方法。
(付記51)
細胞を、有効量の、付記1から10のいずれか1つに記載の結晶形態又は付記19から34のいずれか1つに記載の医薬組成物に接触させることを含む増殖因子のシグナリングを阻害する方法。
(付記52)
前記細胞は、in vitroである、
ことを特徴とする付記51に記載の方法。
(付記53)
付記1から10のいずれか1つに記載の結晶形態又は付記19から34のいずれか1つに記載の医薬組成物を含むキット。