以下の詳しい説明では、この説明の一部を構成する添付の図面を参照する。但し、ここに記述する構成は、例示的なものに過ぎない。したがって、当業者は、これらに代えて又はこれらに加えて、この他の構成及び要素(例えば、マシン、インタフェース、機能、機能の順序)を用いることを想到できる。更に、ここに記述する要素の多くは、個別の又は分散された構成要素として、又は適切なあらゆる組合せ及び位置で他の構成要素とともに実現できる機能的なエンティティである。1以上のエンティティによって実行されるここに記述する様々な機能は、ハードウェア、ファームウェア又はソフトウェアロジックによって実現してもよい。例えば、ここに記述する様々な機能は、適切な任意のプログラミング言語で書かれ、メモリに保存された命令を実行するプロセッサによって実行してもよい。
ここに記述する実施形態は、オプションに基づいてSOQ及び/又はスポット指数を算出する方法及びシステムに関するものであるが、ここに記述された又は同様な方法及びシステムを使用して、他の値を算出することもできる。ここに説明するように、方法及びシステムは、1以上のコンピュータ化されたシステムに統合してもよい。コンピュータ化されたシステムは、例えば、シカゴオプション取引所(Chicago Board Options Exchange Incorporated:CBOE)等の金融交換所によってこれまで使用され、又は現在使用されている金融取引システムを含んでいてもよい。コンピュータ化されたシステムは、金融取引システムから独立した非金融交換所システムも含んでいてもよい。金融交換所システム及び非金融交換所システムは、ここに記述する1以上の機能を実現するために単独で使用してもよく、組合せて使用してもよい。すなわち、全ての実施形態は、通常、電子金融取引、金融指数算出又はこの幾つかの組合せを遂行する目的で設計及び実現されたコンピュータハードウェア及び専用ソフトウェアの組合せである専門システムを必要とする。
図1は、ここに開示する方法及びエンティティの実施形態を実現することができる金融取引システム100を示す単純化されたブロック図である。図1のブロックのそれぞれは、ブロックの各機能を達成するように設計及び実装されたコンピュータハードウェア及びソフトウェアの組合せを用いて実現することができる。例えば、会員インタフェース106は、後に詳細に説明するように、コンピュータサーバの通信ポートを介して金融交換メッセージを受け取るように構成された特定用途ソフトウェアを含んでいてもよく、コンピュータサーバは、コンピュータネットワーク設備の1以上の部分(例えば、スイッチ)を介して、ソフトウェアウェアによって、金融交換メッセージを受信し、金融取引システム100によって適切な宛先にルーティングするように構成された電子通信ネットワーク(例えば、LAN又はインターネット)に接続されている。
金融取引システム100は、金融交換所コンポーネントと、他のコンポーネントを含み、他のコンポーネントは、金融交換所にアクセスする非交換所エンティティ(non-exchange entities)によって運営されるものであってもよい。金融交換所コンポーネントの例は、点線102内に示している。点線102の外のコンポーネントは、非交換所エンティティによって運営されていてもよいコンポーネントである。金融取引システム100内の電子通信は、ローカルエリアネットワーク(local area network:LAN)、ワイドエリアネットワーク(wide area network:WAN)、インターネット等を含む様々な既知の媒体を使用して達成してもよい。
ここに示す金融取引システム100の交換所コンポーネントは、コンピュータによって実現された取引プラットフォーム104と、(以下に限定されるわけではないが、会員インタフェース106、照合エンジン108、電子オーダブック110、演算エンジン112及びデータ出力エンジン114を含む。)及びコンピュータによって実現された交換所バックエンドシステム116とを含む。会員インタフェース106は、金融交換所で取引を行う1以上のトレーダ又は他のエンティティに関連する1以上の演算デバイスから取引メッセージ(例えば、ビッド、オファー、クォート、オーダ及び取引指示)を受け取るための電子インタフェースを提供してもよい。会員インタフェース106は、グラフィカルユーザインタフェース(graphical user interface:GUI)として実現してもよく、取引機能を実行するように構成された演算デバイス上で動作する1以上のソフトウェアコンポーネントを含んでいてもよい。
会員インタフェース106は、電子取引メッセージが適切なフォーマット及び情報を有しているかを分析するように実現してもよい。取引メッセージが適切なフォーマット及び情報を有していると会員インタフェース106(又は他の金融交換所コンポーネント)が判定した場合、会員インタフェース106は、適格な電子取引メッセージを適切な照合エンジン108に転送し、ここで、適格な取引メッセージは、相対するポジション(contra-position)と照合してもよい。
実施形態においては、取引プラットフォーム104は、アプリケーションプログラミングインタフェース(application programming interface:API)を含んでいてもよく、これは、会員インタフェース106及び/又は交換システム102の他のコンポーネントと通信してもよい。APIは、プログラミング命令及び規格を含んでいてもよく、これにより1以上のエンティティ(例えば、マーケットメーカ122、顧客124、会員会社オーダルーティングシステム126等)は、特別にプログラムされたコンピュータコードによって、取引プラットフォーム104にインタフェース接続することができる。例えば、マーケットメーカ122は、取引プラットフォーム104においてAPIに接続するためのソフトウェアをプログラムすることができる。一旦接続されると、マーケットメーカ122は、特別にプログラムされたコンピュータにクォートを入力でき、又は所定のストラテジに基づいて、プログラムにコンピュータクォートを生成させることができる。入力され又は生成されたクォートは、APIを介して取引プラットフォーム104に送信することができる。APIは、クォートを受け取ると、会員インタフェース106に関連するプロセッサにクォートを転送することができ、ここで、クォートが行使に適格であるかを判定することができる。適格なクォートは、照合エンジン108に送信することができる。多数の取引メッセージが毎秒単位で受信されるため、API及び/又は会員インタフェース106は、大量のデータを速やかに及び正確に処理できるように構成する必要がある。
幾つかの実施形態においては、会員インタフェース106(又はAPI)が受信した取引メッセージは、データフィード(data feed)を介して、照合エンジン108及び/又は演算エンジン112に通信してもよい。幾つかの実施形態においては、データフィードのデータは、金融商品に関連する1以上の属性に基づいて分類又はグループ化することができる。属性は、例えば、商品シンボル、寄り付き値、ストライク価格、満了日、クォート、オーダ又はクォートの発信者、クラス、ビッド、アスク、又はグループ取引データに使用できる他の多くの属性を含んでいてもよい。1以上の類似した属性を有するデータを組合せて入力セットを形成してもよい。入力セットの形成、属性グループ化、又はデータフィードのデータの他の分類は、取引プラットフォーム104においてプロセッサが実行してもよい。入力セットは、データフィード内の1以上の取引メッセージにおける全部又は一部のデータを含んでもよい。幾つかの例では、入力セットは、照合エンジン108によって形成してもよく、他の例では、演算エンジン112によって入力セットを形成してもよい。これら以外の例も存在する。
照合エンジン108は、金融交換所において、トレーダ又はビジネスを取引する他のエンティティによって金融交換所に提出される相対するポジションのビッド及びオファーを照合する電子メカニズムを提供してもよい。ここでは、金融取引システム100内に1つの照合エンジン108を示しているが、複数の照合エンジンを取引プラットフォーム104に含ませてもよい。複数の照合エンジンは、金融交換所のビジネスに関連する様々な要因に応じて、独立して又は連携して動作することができる。例えば、異なる交換所取引商品(例えば、株、オプション、先物等)が異なる照合エンジンを利用してもよい。照合エンジン108は、相対するオーダを対にすることによって、取引を実行してもよい。幾つかの具体例では、市場性を有さないオーダは、電子オーダブック(electronic order book:EBOOK)110に記帳してもよい。電子オーダブック110は、データベース製品と組合せて、既知のコンピュータハードウェアを用いて実現してもよい。EBOOK110内のオーダは、これらが相対ポジションと照合されるまで残してもよい。残されたオーダは、SOQ又はスポット算出に含ませるために演算エンジン112に送信してもよく、送信しなくてもよい。
照合エンジン108は、実行された取引に基づいて、EBOOK110を更新してもよい。取引が実行された後、照合エンジン108は、実行された取引に関係する情報をデータ出力エンジン114に送信することができる。データ出力エンジン114は、受信した情報を交換所バックエンドシステム116に送信してもよく、この情報は、金融交換所において実行された取引を決済する処理に使用してもよい。更に、データ出力エンジン114は、実行された取引に関係する情報を1以上の会員会社バックエンドシステム120に送信してもよい。会員会社バックエンドシステム120は、エンティティの実行された取引及び/又はまだ実行されていない取引を記録又は追跡してもよい。
照合エンジン108は、取引メッセージの全部又は一部を演算エンジン112に送る電子メカニズムも含んでいてもよい。幾つかの実施形態においては、照合エンジン108は、データフィードを介して演算エンジン112に取引メッセージを提供してもよい。データフィードは、演算エンジン112に継続的に又は定期的に提供してもよい。例えば、幾つかの実施形態においては、照合エンジン108は、照合された相対するビッド及びオファーを蓄積し、照合されて蓄積された相対するビッド及びオファーを1秒、5秒又は15秒毎にデータフィード内で演算エンジン112に送信してもよい。他の例では、照合エンジン108は、照合された相対するビッド及びオファーを演算エンジン112に送信することができる。更に他の例では、ビッド及びオーダは、先に照合エンジン108を用いて照合することなく、会員インタフェース106から演算エンジン112に送信してもよい。他の例も想到される。
演算エンジン112は、データフィードを受け取り、取引のための1以上の演算を行う。この演算は、以下に限定されるわけではないが、SOQ及び/又はスポット価格の算出を含む。このような演算を実行する処理は、どのような演算が実行されているかの識別、演算を実行するためのデータの選択、及び演算エンジン112による1以上の演算の実行を含んでいてもよい。演算エンジン112によって実行される演算(例えば、SOQ及び/又はスポット指数価格の演算)は、検証してもよく、或いは演算エンジン112におけるエラー処理モジュールによってエラー処理を行ってもよく、データ出力エンジン114に送信してもよい。幾つかの実施形態においては、演算エンジン112は、会員インタフェース106、照合エンジン108又は他の取引プラットフォームコンポーネントと通信し、演算の実行、受信データの検証等のための更なるデータを取得してもよい。
例えば、演算エンジン112は、通信チャンネルを介して、照合エンジン108からデータフィードを受け取ってもよい。演算エンジン112は、どのような演算を実行するべきかを示す識別子を識別又は受信してもよい。1つの例では、演算エンジン112は、クロック又はタイマとどのような演算をいつ実行するかを特定する規則とに基づいて、識別を実行してもよい。他の例では、演算エンジン112は、特定の演算を実行するように特別にプログラムされたソフトウェアモジュールを含んでいてもよく、各モジュールは、データフィードを介して受信したデータに基づいて又はスケジューリングされたタスクテーブルを参照して、それぞれの演算を実行する。各モジュールは、1以上の規則に基づいて、指定された間隔で1以上の定義済みの演算を実行するように特別にプログラムしてもよい。演算が特定されると、演算エンジン112は、演算を実行する目的でデータフィード内のデータを選択することができる。
実施形態においては、SOQを演算する際、演算エンジン112は、定義済みの入力セットを受信し又は入力セットを選択してもよく、この選択は、(i)有効な満了日が存在するか、(ii)金融商品の流動性に関連する情報、(iii)金融商品のクォート幅、(iv)ストライク範囲のスパン、(v)金融商品がデリバティブである場合の金融商品について上場連番コード、(vi)金融商品の未決済取引残高に関連する情報、(vii)金融商品について利用できる情報のロバスト性及び/又は品質に関する情報、(viii)オーダ又はクォートの発信者及び(iX)この他に基づいて行ってもよい。他の例では、スポット価格を算出する際、演算エンジン112は、定義済み入力セットを受信してもよく、又は、SOQを算出するために入力セットを選択する際に使用された1以上の因子に基づいて、複数の入力セットを選択してもよい。SOQを算出するために用いられる入力セットの1以上を用いてスポット価格を算出してもよい。なお、SOQ及び/又はスポット価格を算出するために使用した方法に基づいて、選択された入力セットの1以上に付けられた重みを変更してもよい。
例えば、データフィードは、1以上の資産又はオプションの基礎となる同じクラスに結び付けられた一意的なシンボルを含んでいてもよい。1以上のクラスのそれぞれは、入力セットとして演算エンジン112に提示してもよい。演算エンジン112は、適用可能であれば、SOQを演算するためにどの入力セットを使用するかを選択してもよい。演算エンジン112は、入力セットの1以上がSOQを算出するために設計又は定義されているかを判定することによって、この選択を行ってもよい。これに該当する場合、演算エンジン112は、指定された又は定義済み入力セットの1以上を用いて、SOQを算出してもよい。例えば、データフィードは、インジケータに関連付けられたデータがSOQ又はスポット指数演算に含まれることを特定するインジケータを有するデータを含んでいてもよい。これは、例えば、データフィードの取引メッセージの満了日が特定の基準を満たすとき、及び/又は商品シンボルが取引メッセージにおいて特定されたときに行ってもよい。これら以外の例も存在する。
入力セットが定義されていない場合、又は演算が、定義済みの入力に加えて、入力セットにも対応している場合、演算エンジン112は、1以上の因子に基づいて入力セットを選択してもよい。これらの因子は、以下に限定されるわけではないが、(i)有効な満了日が存在するか、(ii)金融商品の流動性に関連する情報、(iii)金融商品のクォート幅、(iv)ストライク範囲のスパン、(v)金融商品がデリバティブである場合の金融商品について上場連番コード、(vi)金融商品の未決済取引残高に関連する情報、(vii)金融商品について利用できる情報のロバスト性及び/又は品質に関する情報、(viii)オーダ又はクォートの発信者及び(iX)この他を含んでいてもよい。金融商品は、金融取引可能な任意の商品を含んでいてもよく、以下に限定されるわけではないが、デリバティブ契約を含んでいてもよい。
幾つかの具体例では、演算エンジン112は、上記の因子の1以上に重みを適用してもよい。この重みは、固定であってもよく、実現例及び入力セットの間で変化させてもよい。演算エンジン112は、1以上の重みを使用して、SOQ、スポット指数又は他の値を算出するためにどの入力セットを使用するかを特定してもよい。例えば、データフィードから入力セットを選択する際、演算エンジン112は、満了日「X」、「Y」及び「Z」を有するクォートに遭遇することがある。ここで、スポット指標を算出する目的では、演算エンジン112は、2つの満了日に満了するクォートのみを必要とする場合がある。演算エンジン112は、(例えば、カレンダ検索機能によって)スポット指標を演算する際、どの2つの満了日を使用するかを決定することができ及び決定された日付に関連する入力セットに重みを割り当てることができる。
例えば、23日以上37日未満で満了になるオプションを有する入力セットによってスポット指標を算出する場合、演算エンジン112は、このような範囲に含まれる日付に満了するオプションを有する入力セットを選択してもよい。このような選択は、満了日が定義済みの範囲に含まれないオプションを有する入力セットより、満了日が定義済みの範囲に含まれるオプションを有する入力セットにより高い重み又はスコアを与えることによって、少なくとも部分的に、実行してもよい。
他の例では、演算エンジン112は、スポット指標を算出するために2つ以上の入力セットを選択してもよい。入力セットの1以上は、ここに記述する因子の1以上に基づいて設計し、定義し、或いは選択することができる。幾つかの実施形態においては、演算エンジン112は、スポット指標を算出する際にデータを外挿する必要性を、排除しないまでも、限定することによって、オプション価格によって算出されるスポット指標を最適化させる入力セットを特定する1以上の更なる手法を使用してもよい。
例えば、演算エンジン112は、スポット指標が算出されている時点より前に残余期間を有するニアターム(near term)オプションに関係する入力セットを特定してもよい。実施形態においては、ニアタームオプションは、全ての入力セットのうち、スポット指標が算出されている時点に最も近い残余期間を有するものであってもよい。この実施形態は、全ての入力セットのうち、スポット指標が算出されている時点に最も近い残余期間を有するネクストターム(next term)オプションを更に含んでいてもよい。スポット指標が算出されている時点に最も近いニアタームオプション及びネクストタームオプションを含む入力セットを確認することによって、演算エンジン112は、内挿機能を用いて、その時点のスポット指標を算出する。
演算エンジン112が内挿を使用できない場合(例えば、入力データが不完全であるため、スポット指標を算出するために使用できる入力セットの制限のため等)、演算エンジン112は、スポット指標を算出するために有効な次に近いニアタームオプション及び/又はネクストタームオプションを特定し、使用してもよい。有効である次に近いニアタームオプション及び/又はネクストタームオプションを特定する処理は、ニアタームオプションと、ネクストタームオプションのどの組合せによって、スポット指標を算出する際の外挿の量が最も少なくなるかを判定することを含んでいてもよい。量が最も少ない外挿を判定する際、演算エンジン112は、(i)ニアタームオプション及びネクストタームオプションの間の時間、(ii)ニアタームオプション及び/又はネクストタームオプションに含まれるオプション契約、(iii)どの又はどのようにニアタームオプション及び/又はネクストタームオプションを使用してよいかについての制限、(iv)ニアタームオプション及び/又はネクストタームオプションの満了の曜日、(v)この他を考慮してもよい。幾つかの具体例では、ニアタームオプション及び/又はネクストタームオプションの1以上は、無効又は無価値な入力セットである場合がある。このような例では、演算エンジン112は、有効な入力セットの組合せを判定し、有効な入力セットを用いて、最小量の外挿を行う。
ここに記述する選択、重み付け及び演算処理は、短い時間間隔で(例えば、1、5、10又は15秒毎に)実行してもよい。各演算は、事前の演算の後に受信及びアクセスされるデータに基づいており、このため、ここに開示する機能を実行するシステムは、包括的に、システム内のデータ遅延を最小化するように設計される。演算を実行するための限られた時間、データの量及び演算の複雑さのために、SOQ、スポット及び他の値を正確且つタイムリーに算出することが重要である。
演算エンジン112は、算出された価格をデータストレージに保存してもよく、及び/又は算出された価格をデータ出力エンジン114に送信し、そこから精算機関システム118に広めてもよい。また、幾つかの具体例では、データ出力エンジン114は、更に又は任意で、算出された価格を他の金融エンティティ、市場参加者等に広めてもよい。
金融取引システム100の非交換所コンポーネントは、精算機関システム118及び会員会社バックエンドシステム120を含むことができるが、更なる非交換所コンポーネントも想到される。精算機関システム118は、金融交換所によって実行された取引を決済する処理に用いてもよい。精算機関の1つの例は、エクイティデリバティブ精算組織(equity derivatives clearing organization)であるオプション精算機関である。幾つかの具体例では、データ出力エンジン114は、1以上の取引の決済に使用するために、算出されたSOQ、スポット指標又は他の値を精算機関システム118に送信してもよい。会員会社バックエンドシステム120は、金融交換所でビジネスを行うエンティティがそれらの取引に関する決済情報を受け取るために使用してもよい。例えば、決済処理に使用されるSOQ又は他の値を含む受信した決済情報は、通信メカニズムによって、交換所システム102(例えば、データ出力エンジン114)から会員会社バックエンドシステム120に送信してもよい。実施形態においては、会員会社バックエンドシステム120は、決済情報を保存するためのストレージデバイス、決済情報を表示するための表示デバイス及び/又は決済情報の使用を補助するために用いることができる他の多くのコンポーネントを含んでいてもよい。
金融交換所においてビジネスを行うエンティティは、様々な手法でコンピュータによって実現された取引プラットフォーム104にアクセスできる。例えば、マーケットメーカは、会員インタフェース106(又はAPI)と電子通信を行うマーケットメーカコンピュータ122によって、コンピュータによって実現された取引プラットフォーム104にアクセスしてもよい。マーケットメーカコンピュータ122を用いて、電子取引メッセージ(例えば、ビッド、オファー、クォート、オーダ、取引指示)をコンピュータによって実現された取引プラットフォーム104に送信してもよい。これに代えて、電子取引メッセージは、会員会社オーダルーティングシステム126を介してルーティングしてもよい。取引メッセージは、SOQ、スポット指標又は他の値の演算のために演算エンジン112に転送してもよい。取引メッセージは、単純な及び/又は複雑なオーダを交換するための命令を含んでいてもよい。単純なオーダは、単一のレグを含んでいてもよく、複合的なオーダは、複数のレグを含んでいてもよく、これらは、正価で履行してもよい。オーダのレグの1以上は、SOQによる指数、スポット指標価格、又はここに説明するように演算エンジン112を用いて判定される他の値であってもよい。
更なる実施形態においては、金融交換所において取引を望む非会員エンティティは、顧客コンピュータ124を用いて、非会員エンティティの取引指示を入力できる。顧客コンピュータ124は、例えば、携帯電話、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、ラップトップ型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、個人用携帯情報端末(personal digital assistant:PDA)、他の既知のデバイス及び今後開発されるデバイス等の1以上のデバイスを含んでいてもよい。非会員エンティティが入力した取引指示は、電子取引指示を送信できる会員会社オーダルーティングシステム126によって、会員インタフェース106(又はAPI)に転送してもよい。取引指示は、演算エンジン112を用いて価値が判定された1以上の金融商品を買うために使用することができる。
交換所バックエンドシステム116は、複数の機能を実行してもよい。例えば、交換所バックエンドシステム116は、契約定義及び上場データに関係する動作を実行してもよい。更に、交換所バックエンドシステム116は、(i)オーダに関する情報(以下に限定されないが、指数ベースのデリバティブに関するオーダ)を市場データベンダ128に送信すること、(ii)デリバティブの基礎となる金融商品のパフォーマンスに関する動作を実行すること、(iii)適切な契約決済値を判定すること、(iv)精算機関システム118及び会員会社バックエンドシステム120に最終的な決済データを供給すること、及び(v)この他の1以上を含む動作を実行してもよい。幾つかの具体例では、交換所バックエンドシステム116は、演算エンジン112がアクセスし、SOQ、スポット指標又は他の値を算出するために使用できる1以上の規則を含んでいてもよい。
幾つかの実施形態においては、デリバティブの演算及び決済は、交換所バックエンドシステム116によって処理してもよく、交換所バックエンドシステム116は、市場データベンダ128及び/又は交換所システム102の1以上のコンポーネントと通信する1以上の独立型コンピュータ又はネットワーク化されたコンピュータであってもよい。指数ベースのデリバティブの決済値の演算は、満了した指数ベースのデリバティブの原資産の満了日の判定に基づいて自動的にトリガしてもよい。指数ベースのデリバティブの時価は、定期的に自動的に算出してもよい。例えば、交換所バックエンドシステム116は、時価を自動的に算出し、1、5、10又は15秒毎にその値を広めてもよい。幾つかの金融商品については、ここに説明するように、広告される時価は演算エンジン112によって判定してもよい。
図2は、例えば、ここに記述する実施形態に基づき、図1に示す取引プラットフォーム104又は交換所バックエンドシステム116で使用される演算デバイス200を例示する機能的なブロック図である。演算デバイス200は、様々な形式で実現することができる。例えば、演算デバイス200は、演算エンジン(例えば、図1内の演算エンジン112)を含んでいてもよく、このような演算エンジンとして構成してもよい。他の例として、演算デバイス200は、ここに記述する機能を達成するように設計及び実現された専用ソフトウェアを使用して構成された、既知の又は今後開発されるサーバ、コンピュータ、又は他のデバイス又は処理コンポーネントを含んでいてもよく、これらとして構成してもよい。
図に示すように、演算デバイス200は、通信インタフェース202、プロセッサ204及びデータストレージ206を含んでいてもよく、これらは全て、システムバス、ネットワーク又は1以上の他の接続メカニズム214によって通信可能にリンクさせてもよい。図には示していないが、演算デバイス200は、例えば、外部ストレージ、演算デバイスとインタラクトするための入力デバイス等の他のコンポーネントを含んでいてもよい。なお、演算デバイス200の構成又は機能は、複数のエンティティ、例えば、複数の演算デバイスの間で分散又は再分割してもよい。更に、ここに記述する機能の幾つかは、演算デバイス200以外のエンティティによって実行してもよい。
演算デバイス200では、通信インタフェース202は、1以上のソースからデータを受信し、1以上の宛先のグループにデータを配信する1以上の構造及び関連する設備を備えていてもよい。通信インタフェース202は、1以上のエンティティ(例えば、図1の照合エンジン108)から入力セットデータを受信し、及び入力セットデータの全部又は一部をデータストレージ206に保存するように構成してもよい。通信インタフェース202は、入力セットが保存され、又は入力データに他の処理が施された後に、入力セットデータの全部又は一部をデータ出力エンジン114に通信するように構成してもよい。
通信インタフェース202は、ネットワーク208、外部メディア、ディスプレイ又は取引システム(例えば、図1内の金融取引システム100)に存在できる他の何らかのコンポーネントに接続するように構成してもよい。ネットワーク208(及び/又はこのコンポーネント)との接続は、有線接続であっても、無線接続であっても、この組合せであってもよい。例えば、この接続は、物理的接続、例えば、有線イーサネット(登録商標)接続であってもよい。他の例として、この接続は、無線接続、例えば、携帯電話ネットワーク、802.11、802.16、802.20コントローラ又はコンポーネント、WiMaxネットワーク、又は他の任意のタイプのネットワークであってもよい。更に、ネットワーク208は、例えば、インターネット等の公共ネットワークであってもよく、例えば、イントラネット等のプライベートネットワークであってもよく、これらの組合せであってもよく、以下に限定されるわけではないがTCP/IPベースのネットワーキングプロトコルを含む現在利用可能な又は後に開発される様々なネットワーキングプロトコルを利用してもよい。
プロセッサ204は、例えば、汎用プロセッサ(例えば、マイクロプロセッサ)、専用プロセッサ(例えば、特定用途向け集積回路(application-specific integrated circuit:ASIC)、デジタル信号プロセッサ(digital-signal processor:DSP))、プログラム可能な論理デバイス(例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(field programmable gate array:FPGA))、既知の又は後に開発される他のあらゆるプロセッサコンポーネントを含む1以上のプロセッサを備えていてもよい。プロセッサ204は、1以上の算術的、論理的及び/又は入出力動作を用いて、1以上の命令を実行する。プロセッサ204は、1つのコンポーネントとして示しているが、プロセッサ204は、全体的又は部分的に演算デバイス200の他のコンポーネントに統合してもよい。
データストレージ206は、メインメモリ、スタティックメモリ又はダイナミックメモリであってもよい。データストレージ206は、例えば、以下に限定されるわけではないが、ランダムアクセスメモリ、読出専用メモリ、プログラミング可能読出専用メモリ、電気的プログラミング可能読出専用メモリ、電気的消去可能読出専用メモリ、フラッシュメモリ、磁気テープ又はディスク、光学式媒体、有機ストレージコンポーネント等を含む様々なタイプの揮発性及び不揮発性記憶媒体を含み、これらに限定されない、コンピュータ可読記憶媒体を含んでいてもよい。1つのケースでは、データストレージ206は、プロセッサ204のためのキャッシュ又はランダムアクセスメモリを含んでいてもよい。これに代えて又はこれに加えて、データストレージ206は、プロセッサ204から独立していてもよく、例えば、プロセッサのキャッシュメモリ、システムメモリ又は他のメモリであってもよい。データストレージ206は、データを格納するための外部ストレージデバイス又はデータベースであってもよい。例えば、これは、ハードドライブ(hard drive)、コンパクトディスク(compact disc:CD)、デジタルビデオディスク(digital video disc:DVD)、メモリカード、メモリスティック、汎用シリアルバス(universal serial bus:USB)、メモリデバイス、又はデータを格納できる他の任意のデバイスであってもよい。
更に図に示すように、データストレージ206は、プログラムデータ210及び/又はプログラムロジック212を含んでいてもよい。プログラムデータ212は、所与の実装に適する1以上のタイプのデータを含んでいていてもよい。例えば、プログラムデータ212は、データ(例えば、入力セット)を含んでいてもよく、これをメモリに保存してもよい。プログラムロジック210は、例えば、様々な機能、例えば、ここに記述する方法及びシステムの機能を実行するためにプロセッサ204が実行可能な機械言語命令を含んでいてもよい。幾つかの具体例では、機能、動作又はタスクは、特定のタイプの命令セット、ストレージ媒体、プロセッサ又は処理ストラテジから独立していてもよく、ソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、マイクロコード等が単独で又はこれらの組合せによって実行してもよい。処理ストラテジは、マルチプロセシング、マルチタスキング、並列処理等を含んでいてもよい。
図3は、演算デバイスで使用されるデータフィード及びコンポーネントを例示するブロック図である。具体的には、図3は、複数の取引メッセージ(例えば、TM1、TM3、TMx)を有するデータフィード220を例示している。取引メッセージは、例えば、マーケットメーカ122、顧客124、会員会社オーダルーティングシステム126等のエンティティによって取引システム100に送信してもよく、データストレージ206に保存してもよい。取引メッセージのフォーマットは、取引システム100が何を受け取るように構成されているかに基づいて変更してもよい。ある例では、エンティティは、FIXプロトコル言語及びこれに関連するメッセージング規格を用いて、取引メッセージを交換システム102に送信してもよい。他の例では、取引メッセージを送信及び/又は受信する目的で、専用のデータフォーマットを定義してもよい。
取引メッセージによって、様々な情報を通信することができる。この情報の例は、基礎となる指数、ティッカーシンボル、契約タイプ(例えば、コール又はプットオプション契約)、満了日、ストライク価格、権利行使スタイル(例えば、アメリカ式又はヨーロッパ式、AM決済又はPM決済等)、決済価格、及び/又は他の情報を含んでいてもよい。通信メカニズム(例えば、図2の通信メカニズム214)を介して、演算エンジン112に取引メッセージを通信してもよい。
取引メッセージを受信すると、演算エンジン112は、どのような演算が実行されているかを判定し、判定された演算を実行する目的でデータを選択する。実施形態においては、この選択は、選択モジュール224によって実行してもよい。選択モジュール224は、共通の属性を有するデータフィード220内からデータを選択し、選択されたデータを1以上の入力セットにグループ化してもよい。入力セットは、データストレージ206に保存してもよい。例えば、選択モジュール224は、データフィード220を受信し、同じ満了日を有する取引メッセージをグループ化することによって入力セットを形成してもよい。他の例では、選択モジュール224は、ティッカーシンボルに基づいて入力セットを形成してもよい。更に他の例では、選択モジュール224は、複数の因子、例えば、同じ満了日及びティッカーシンボルに基づいて入力セットを形成してもよい。更なる例では、選択モジュールは、取引プラットフォーム104内の1以上の他のコンポーネントと通信して市場ボラティリティを識別し、識別された市場ボラティリティに基づいて入力セットを形成してもよい。他の例も想到される。
選択モジュール224は、データフィード220から入力セットを特定する際に1以上の繰り返しを実行してもよい。例えば、最初の繰り返しにおいて、選択モジュール224は、データフィード220内のデータを解析し、将来の残余期間が23日を超え37日未満である取引メッセージを選択してもよい。2回目の繰り返しにおいては、選択モジュール224は、ティッカーシンボルに基づいて、データフィード220(又はデータフィード220からすでに解析されている入力セット)を解析し、9日、30日、四半期、又は満了より前の他の期間を有する取引メッセージを特定してもよい。選択モジュール224は、SOQ、スポット指標又は他の値を算出するための潜在的入力セットを特定するために、データフィード220又はその一部の解析を継続してもよい。他の例では、定義済みの時間間隔内で個々のクォート又は買い注文及び売り注文を捕捉し、特定のシリーズの最初の、最後の、又はこの他のクォートを指数演算に使用してもよい。
スコアリングモジュール226は、選択された入力セットの1以上をスコアリング又は重み付けしてもよい。スコアリング処理は、幾つか因子に基づいていてもよい。例えば、スコアリングモジュール226は、演算に組み込むための入力セットの適合性に基づいて、1以上の入力セットにスコアを割り当ててもよい。他の例では、スコアは、定義済みの基準又は閾値に基づいていてもよく、第1の閾値内のデータを有する入力セットに第1のスコアを割り当て、第2の閾値内のデータを有する入力セットに第2のスコアを割り当ててもよい。更に他の例では、スコアは、交換システム102を制御するエンティティによって、プログラム的に定義される1以上の規則に基づいて定義し又は割り当ててもよい。
更なる例では、スコアは動的に割り当ててもよい。動的スコアリングは、例えば、特定の時点における入力セットの実際の又は想定される重要性に基づいて、入力セットのための1以上のスコアを調整することを含んでいてもよい。例えば、スポット指標を算出する際、特定の残余期間を有する入力セットに関連するスコアは、満了日が近づくにつれて高めてもよい。同様に、指定された閾値を上回る流動性を有する入力セットに関連するスコアは、残余期間が短くなるにつれて、動的に低めてもよい。更なる又はこの他の動的なスコアリングも想到される。入力セットに関連する1以上のスコアは、データストレージ206に保存し、後に演算エンジン112又は交換システム102の他のコンポーネントによってアクセスできるようにしてもよい。
選択モジュール224及びスコアリングモジュール226は、連携して動作して、潜在的入力セットを識別し、スコアリングしてもよい。スコアリングの後、選択モジュール224、スコアリングモジュール226又は演算エンジン112の他のモジュールは、どの入力セットが最高のスコアを有するか又は演算を実行する目的で最も健全なスコア(most viable scores)を有するかを特定してもよい。演算エンジン112は、特定された入力セットを使用して演算を実行し、算出された値230をデータ出力エンジン114に出力してもよい。
例えば、スポット指標を算出する際、演算エンジン112は、データフィード220を受信してもよく、選択モジュール224は、特定の日付の範囲内で満了になる取引メッセージを有する入力セットを特定してもよい。選択モジュール224は、特定された入力セット内のデータを、ティッカーシンボルに基づいて更に解析し、ニアタームオプション及びネクストタームオプションを判定する潜在的候補を特定してもよい。スコアリングモジュール226は、特定の日付の範囲内にあり、且つ特定の満了(例えば、第3金曜日、AM決済又はPM決済等)を示すティッカーシンボルを有する入力セットに対して、より高い重みを割り当てることによって入力セットをスコアリングしてもよい。演算エンジン112は、最も高いスコアを有する入力セットに対して健全性チェック(viability check)を実行し、スポット指標演算に組み込むために入力セットが適切かどうかを判定してもよい。適切であると判定されない場合、演算エンジン112は、健全な次に高いスコアを有する入力セットを選択してもよい。入力セットが健全である場合、演算エンジン112は、(他の部分で説明するような)スポット演算を実行し、算出された値230をデータ出力エンジン114に広めてもよい。
なお、スポット指標演算のコンテキストを用いて説明しているが、演算エンジン112は、以下に限定されないが、SOQ演算を含む様々なコンテキストで、ここに記述する選択、スコアリング及び演算処理を実行することができる。
図4〜図6は、ここに記述する方法を実現するために取引システムに含むことができ又は取引システムによって実行することができる機能を示すフローチャートである。この方法は、金融取引システム100によって使用してもよく、金融取引システム100の1以上のコンポーネントによって実行してもよい。説明のため、図4〜図6に示す方法は、演算デバイス(例えば、図2内の演算デバイス200又は図1内の演算エンジン112)によって実現されるものとするが、他の例も想到される。実施形態では、図4〜図6に示すステップは、ここに記述する専用ソフトウェアを使用して実行してもよい。
この方法の説明では、連続的な順序で幾つかブロックを例示するが、これらのブロックは、並列に実行してもよく、ここに記述する順序とは異なる順序で実行してもよい。また、様々なブロックは、より少ないブロックに統合してもよく、更なるブロックに分割してもよい。更に、このフローチャートは、本実施形態の可能な機能及び動作の実現例を示しているが、他の実現例も想到される。更に、フローチャート内の各ブロックは、処理内の特定の論理的機能又はステップを実現するためにプロセッサによって実行可能な1以上の命令を含むモジュール、セグメント又はプログラムコードの一部を表すことができる。プログラムコードは、データストレージ(例えば、データストレージ206)に保存してもよい。
図4は、ここに記述する方法を実現するために取引プラットフォーム104に含ませることができる機能を表すフローチャートである。一実施形態では、ステップ302において、演算エンジン112は、1以上のデータフィードを受信し、1以上のデータフィードから1以上の入力セットを特定する。この実施形態では、これらの入力セットは、照合エンジン108から演算エンジン112にルーティングされる。他の実施形態では、交換所の取引システムの他の部分が1以上の入力セットを有する1以上のデータフィードを受信し、入力セットを演算エンジン112にルーティングしてもよい。更に、幾つかの実施形態では、取引プラットフォーム104内で1以上の入力セットを有する1以上のデータフィードを生成してもよく、或いは取引プラットフォーム104においてこれを受信してもよい。
受信されるデータフィードは、金融商品の取引に関連する入力セットを含んでいてもよい。一実施形態では、受信したデータフィード内の入力セットは、以下に限定されるわけではないが、シンボル、満了日、ストライク価格及び寄り付き値等を含む。他の実施形態では、入力セットは、金融商品の流動性に関連する情報、入力セットが満了する曜日、金融商品のクォート幅、ストライク範囲のスパン、商品がデリバティブである場合の金融商品の上場用の通し番号、金融商品の未決済取引残高に関連する情報、及び/又は金融商品が利用できる情報のロバスト性又は品質に関連する情報を含んでいてもよい。
一実施形態では、受信されるデータフィードの入力セットは、1つの金融商品(例えば、同じ満了日及び同じ原資産を有するオプション契約)に関連する。他の実施形態では、受信されるデータフィードに含まれる入力セットは、複数の異なる金融商品(例えば、異なる満了日及び同じ原資産を有するオプション契約、異なる満了日及び異なる原資産を有するオプション契約、並びに同じ満了日及び異なる原資産を有するオプション契約)に関連する。一実施形態では、受信されるデータフィードに含まれる入力セットは、同じ原資産、異なる満了日、及び異なる満了間隔(expiration intervals)を有するオプション契約(例えば、毎日、毎週、毎月、毎四半期、毎年、及び他の設定された期間毎に満了するオプション契約)に関連する。
ステップ304では、受信されたデータフィードから入力セットを選択する。一実施形態では、ステップ304の選択は、演算エンジン112によって実行される。他の実施形態では、取引プラットフォーム104又は交換システム102の他の部分が、ステップ304における選択を実行する。
演算エンジン112は、選択された入力セットの全部又は一部を用いて、値を算出してもよい。算出される値は、SOQ、スポット指標、又は他の何らかの値であり、これらは、入力セットから全体的に又は部分的に算出できる。入力セットの数及び使用する入力セットは、演算エンジン112によって実行されるSOQ演算に基づいて変更してもよい。例えば、SOQを算出する際、指数のSOQが単一の入力セットの使用を必要とする場合、演算エンジン112は、SOQ演算で使用するための単一の入力セットを選択することができる。SOQの算出の他の例では、SOQ演算は、SOQを算出する目的で複数の入力セットをそれぞれ単独で又は互いに連携させて使用することを要求してもよい。例えば、オプション価格によってスポット指標を算出する場合、演算エンジン112は、2つ以上の入力セットを選択し、使用することができる。スポット指標を算出するために演算エンジン112が使用する入力セットは、SOQを算出するために用いられる入力セットと同じであってもよく、その上位集合であってもよく、又はその下位集合であってもよい。ある場合には、スポット指標を算出するために使用される入力セットは、SOQを算出するために使用される入力セットとは、完全に異なるものであってもよい。なお、SOQ及びスポット指標について例示的に説明したが、演算エンジン112は、同じ又は同様の手法を用いて、他の多くの値を算出することができる。
SOQを算出する例として、演算エンジン112は、入力セットを受信し、これを用いて、スタンダードアンドプアーズ(S&P)500オプション契約(すなわち、S&P500指数を原資産とするオプション契約)に基づくボラティリティ演算のSOQを算出してもよい。演算エンジン112は、選択された入力セットを使用して、以下の式に基づいてSOQを算出してもよい。
ここで、
Tは、残余期間であり、
Fは、フォワード指数レベル(forward index level)であり、
K
iは、i番目のアウト・オブ・ザ・マネー(out-of-the-money)オプション(K
i>Fの場合はコール、K
i<Fの場合はプット)のストライク価格であり、
ΔK
iは、ストライク価格の間隔であり、
K
0は、フォワード指数レベルFを下回る最初のストライクであり、
Rは、満了への無リスク金利であり、
Q(K
i)は、ストライクK
iによる各オプションのためのビッド−アスクスプレッドの中間点である。
演算エンジン112は、データフィードから、Tに等しい残余期間を有するオプションに関係する単一のセットを選択してもよい。例えば、Tを9暦日と定義し(実施形態応じて、Tは任意の数に定義してもよい)、受信されるデータフィードが異なる期間を有するS&P500オプション契約(例えば、毎日、毎週、毎月、毎四半期、毎年、及び他の設定された期間毎に原資産の収益を測定するオプション契約)及び残余期間(例えば、毎週S&P500オプションシリーズ契約残余期間=16暦日、毎月S&P500オプションシリーズ契約残余期間=9暦日及び毎四半期S&P500オプションシリーズ契約残余期間=19暦日)に関係する入力セットを含む場合、SOQを算出する際に使用する単一の入力セットは、残余期間がTに等しいので、毎月S&P500オプション契約に関係する。他の実施形態では、n個の入力セットの使用を要求するSOQについては、n個の入力セットを選択する。入力セットの選択については、図4及び図5並びにこれらに関連する記述によって更に説明する。
他の例では、演算エンジン112は、2つ以上の選択された入力セットを用いて、スポット指標を算出してもよく、これらの選択された入力セットは、上記の例でSOQを算出するのために使用された選択された入力セットと同じであっても、異なっていてもよい。演算エンジン112は、選択された入力セットを用いて、以下の式に基づいてスポット指標を算出してもよい。
ここで、
σ
2 1は、ニアタームオプションであり、
σ
2 2は、ネクストタームオプションであり、
T
1は、ニアタームオプションの残余期間であり、
T
2は、ネクストタームオプションの残余期間であり、
Fは、フォワード指数レベルであり、
K
iは、i番目のアウト・オブ・ザ・マネー(out-of-the-money)オプション(K
i>Fの場合はコール、K
i<Fの場合はプット)のストライク価格であり、
ΔK
iは、ストライク価格の間隔であり、
K
0は、フォワード指数レベルFを下回る最初のストライクであり、
Rは、満了への無リスク金利であり、
Q(K
i)は、ストライクK
iによる各オプションのためのビッド−アスクスプレッドの中間点である。
演算エンジン112は、データフィードから2つ以上のセットを選択してもよく、第1の入力セットは、T1に等しい残余期間を有するニアタームオプションに関係し、第2の入力セットは、T2に等しい残余期間を有するネクストタームオプションに関係していてもよい。例えば、スポット指標が12日で算出され(幾つかの実施形態では、日数は、任意の数として予め定義してもよく暦日、営業日又は他の任意の形式で表してもよい)、受信されるデータフィードが異なる期間を有するS&P500オプション契約(例えば、毎日、毎週、毎月、毎四半期、毎年、及び他の設定された期間毎に原資産の収益を測定するオプション契約)及び残余期間(例えば、毎週S&P500オプションシリーズ契約残余期間=16日、毎月S&P500オプションシリーズ契約残余期間=9日及び毎四半期S&P500オプションシリーズ契約残余期間=19日)に関係する入力セットを含む場合、毎月の残余期間(T1)が、スポット指標が算出されている時点より前の最も近くであり、並びに毎週の残余期間(T2)が、スポット指標が算出されている時点より後の最も近くであるため、スポット指標を算出する際に使用する入力セットは、毎月S&Pオプション契約及び毎週S&P500オプション契約に関係する。他の実施形態では、n個の入力セットの使用を要求するスポット指標については、n個の入力セットを選択する。入力セットの選択については、図4及び図5並びにこれらに関連する記述によって更に説明する。
ステップ304で選択される入力セットは、一定ではないことが重要である。すなわち、入力セットは、具体例に応じて変更することができる。このような変更は、取引の動的な性質、処理されるデータの量、変化及び取引を行うためにデータを処理する必要がある速度に部分的に基づいて行ってもよい。更に、入力セットは、具体例毎に動的に選択することができ、例えば、第1の具体例においては、入力セットの第1のセットを選択し、第2の具体例においては、入力セットの第2セットを選択してもよく、第1のセット及び第2のセットは、同じSOQ、スポット指標及び/又は他の値の演算において個別に使用してもよい。例えば、他の時点において、毎週S&P500オプション契約残余期間は、9日であってもよい。その時点においては、毎月ではなく毎週のS&P500オプションシリーズ契約のための入力セットを選択して、SOQを判定してもよい。同様に、スポット指標に関して、毎四半期S&P500オプションシリーズ契約残余期間は、15日であってもよい。このような例では、毎月及び毎四半期オプションシリーズ契約のための入力セットを選択して、スポット指標を判定してもよい。これによって、演算エンジン112は、ニアターム毎月オプションシリーズ契約と、ネクストターム毎四半期オプションシリーズ契約との間の内挿を用いて、外挿を最小化又は排除することができる。
ステップ306では、演算エンジン112は、少なくとも選択された入力セットに基づいて値を算出する。例えば、上述したように、算出される値がS&P500オプション契約に基づくボラティリティ演算のためのSOQである場合、選択される入力セットは、9日の残余期間を有する毎月S&P500オプション契約である。入力セットは、例えば、アット・ザ・マネー及びアウト・オブ・ザ・マネーの毎月S&P500オプションシリーズ契約の寄り付き値(例えば、ビッド及びオファー対、並びに取引価格)を含む。これに代えて又はこれに加えて、入力セットは、アット・ザ・マネー及びアウト・オブ・ザ・マネーの毎月S&P500オプションシリーズ契約の取引価格を含むことができる。寄り付き値及び/又は取引価格を使用するか否かに関する判断は、演算エンジン112が行ってもよい。演算エンジン112は、寄り付き値及び/又は取引価格を用いて、F、Ki、ΔKi、K0及びQ(Ki)を決定してもよい。
算出される値がS&P500オプション契約に基づくボラティリティ演算のためのスポット指標である例では、選択される入力セットは、例えば、9日の残余期間を有する毎月S&P500オプション契約及び16日の残余期間を有する毎週S&P500オプション契約である。これらの入力セットは、F、Ki、ΔKi、K0及びQ(Ki)を算出するために使用してもよい。
ステップ308では、算出された値を、データ出力エンジン114を介して、市場参加者及び他の金融エンティティ、例えば、精算機関118に広告する。他の実施形態では、算出された価格は、取引プラットフォーム104又は交換システム102の幾つかの他の部分を介して広告してもよい。更に他の実施形態では、算出された価格を広告するために使用される取引プラットフォーム104又は交換システム102は、広範囲に亘る市場参加者に同時に算出された価格を広告する技術的システム能力を有していてもよい。ここでは、1回の演算のコンテキストで説明を行っているが、図4内(並びに図5及び図6)の処理は、短い間隔(例えば、1秒、5秒、10秒又は15秒間隔)で繰り返し実行される。したがって、ここに記述するシステム及び方法は、金融市場へのリスクを最小化するように高水準な品質を維持ながら、毎日、多数の高速で正確な演算を実行する必要がある。
図5は、図4に示し上述したステップ304の更なる詳細を示すフローチャートである。図5は、一実施形態に基づき、単一の入力セットを1以上の受信された入力セットから選択する際に用いられるステップを示している。
ステップ402では、受信した入力セット毎に選択スコアを判定する。選択スコアは、演算エンジン112において判定してもよい。これに代えて、選択スコアは、交換システム102又は取引プラットフォーム104内の1以上の他のポイントで判定してもよい。
演算エンジン112(又は他のコンポーネント)は、選択スコアを1以上の入力セットに関連付けてもよい。選択スコアは、例えば、0又は1、ヌル又は非ヌル等のバイナリ演算子であってもよい。また、非バイナリ演算子を使用してもよい。幾つかの実施形態においては、選択スコアは、算出される値、受信される入力セット等に応じて変更してもよい。例えば、算出されるSOQは、SOQを算出するために使用される又は使用する必要がある1以上の選択入力に関連付けてもよい。このような例では、これらの選択入力により高い重みを適用してもよい。例えば、算出されるSOQは、9日の残余期間を有するS&P500オプション契約に基づくボラティリティ演算のためのものであってもよい。このSOQ演算のための入力セットの例は、毎週、毎月、毎四半期の値を含んでいてもよい。これらの値のそれぞれためのスコアは、表1に示すものであってもよく、ここでは、定義されたTに最も近い残余期間を有する入力セットには、満了が時間的に遠すぎる又は近すぎる入力セットより高い重み又はスコアを与えてもよい。
ステップ404では、判定された選択スコアに基づいて入力セットを選択する。例えば、表1では、毎月の入力グループが最も高いスコアを有するので、この入力グループが選択される。他の実施形態では、選択処理は、最も低いスコアを有する入力グループが選択されるように構築してもよい。
他の実施形態では、選択スコアは、合計、平均又は他の数学的に導出されるスコア又は入力セットの因子に関連を有する様々なサブスコアであってもよい。導出されるスコアが使用される例は、第1の因子によって同じ選択スコアを有する2以上の入力セットが生じる場合に、タイブレーク(同点決勝)を行う場合である。例えば、上述の例では、複数の入力セットが9日の残余期間を有することがある。これは、例えば、AM決済及びPM決済の両方の毎月オプション契約シリーズがある場合に生じる。このような例では、表2に示すように、同じ入力スコアを有する複数の入力セットが生じることがある。
表2の例では、AM及びPMの毎月契約の両方の選択スコアが1になっている。どの入力セットを選択するべきかについて判定するために、更なる因子(例えば、流動性)を考慮してもよい。一実施形態では、流動性は、現在の契約シリーズのリスティングに先立つ前月のオプションシリーズのボリュームによって判定される。表3は、この更なる因子を、ステップ402において残余期間スコア及び流動性スコアを合計することによって算出される最終的な選択スコアとともに示している。
この例では、ステップ404において、AM−毎月の入力セットが最も高い選択スコアを有するので、この入力セットが選択される。
ステップ402及びステップ404は、SOQが算出されるたびに実行される。例えば、第1の時点では、(ステップ402及びステップ404によって)1以上の選択された入力セットに基づいて第1のSOQが算出される。第2の時点では、同じ又は異なるSOQを算出する必要がある。第1のSOQから選択された入力セットを使用するのではなく、演算エンジンは、ステップ402及びステップ404を繰り返して、SOQの演算のための新しい入力セットを選択してもよい。新しい入力セットは、第1のSOQを算出するために使用される1以上の入力セットを含んでいてもよい。したがって、選択処理は、SOQが以前に算出されているか否かを問わず、SOQ演算が行われるたびに行ってもよい。
他の例では、演算エンジン112は、SOQの演算に関して上述した手法と同様の手法で重み、残余期間スコア、流動性スコア、選択スコア等を適用することによって、スポット指標を算出してもよい。表4は、可変の残余期間、残余期間スコア、流動性スコア及び選択スコアを有する入力セットを示している。
演算エンジン112は、スポット指標を算出するために、2以上の入力セットを使用することができる。幾つかの実施形態においては、スポット指標が算出されている時点に最も近いニアタームオプション及び最も近いネクストタームオプションを有する入力セットには、より高い選択スコアを与えてもよい。1以上の入力セットについて、曜日満了スコア(day of week expiration score)を判定してもよい。比較的より高い曜日満了スコアは、週、月、四半期、年等における特定の日に満了するように設定されている入力セットに関連付けてもよい。例えば、週の最後の取引日に満了する入力セットに、より高い曜日満了スコアを関連付けてもよいが、他の例も想到される。流動性スコア、並びに1以上の更なる因子を判定し、選択スコアの算出に使用してもよい。
表4は、選択スコアを判定する際に、1以上のタイプのスコア(例えば、残余期間スコア、曜日満了スコア及び流動性スコア)が同じ重みを有するように示しているが、1以上のタイプのスコアに異なる重みを与えてもよく、すなわち、スポット指標を算出する際に、第1のタイプのスコアが第2のタイプのスコアより比較的大きな影響力を有するようにしてもよい。更に、あるタイプのスコアを有効な入力セットとして使用する前に、最小のスコアを要求してもよい。例えば、週の最後の取引日に満了する入力セットを用いてスポット指標を算出する場合、週の最後の取引日に満了しない入力セットは、演算目的において入力セットを無効な入力セットにする値を有していてもよい。したがって、例えば、0の曜日満了スコアを有する表4の入力セットは、スポット指標を算出する際に使用できない無効な入力セットを表していてもよい。これに対し、0より大きい曜日満了スコアを有する入力セットは、スポット指標を算出するために使用してもよい有効な入力セットとみなしてもよい。なお、曜日満了スコアのコンテキストで説明を行っているが、1以上の任意のタイプのスコアに重み付けし、及び/又は有効性のインジケータを関連付けてもよく、これらは、スポット指標を判定する際に単独で又は組合せて考慮してもよい。
表4の例では、スポット指標が算出される時点は、12日である。ニアタームオプションのための最も近い残余期間は、9日におけるAM−毎月及び/又はPM−毎月である。更に、ネクストタームオプションのための最も近い残余期間は、16日における毎週である。したがって、9日におけるAM−毎月及び/又はPM−毎月及び16日における毎週は、スポット指標が算出される時点から遠い満了期間より高い残余期間スコアを有する。より高い残余期間スコアは、スポット指標を算出するために演算エンジン112が2以上の入力セットを選択する際、選択スコアに影響を与えてもよい。
なお、以上では特定の例を説明したが、任意の数の因子を用いて選択スコアを判定してもよい。例えば、演算エンジン112は、金融商品の流動性に関連する情報、金融商品のクォート幅、ストライク範囲のスパン、商品がデリバティブである場合の金融商品の上場用の通し番号、金融商品の未決済取引残高に関連する情報、及び/又は金融商品が利用できる情報のロバスト性又は品質に関連する情報を含む因子の1以上を使用して選択スコアを判定してもよい。
更に、複数の入力セットが同じ選択スコアを有する場合には、演算エンジン112は、タイブレーカー(又は一連のタイブレーカー)を使用して、同じ選択スコアを有する複数の入力セットから1以上の入力セットを選択する。1つの例では、タイブレーク処理は、選択スコアを算出するために使用される重み、満了スコア、流動性スコア等に優先順位を与えてもよい。他の例では、タイブレーク処理は、ユーザ又はエンジンからのフィードバックの要求を含んでいてもよく、ユーザ又はエンジンは、同じ選択スコアを有する複数の入力セットから1以上の入力セットを入力又は選択してもよい。更に他の例では、1以上の入力セットは、複数の入力セットから無作為に選択してもよく、ハードウェア、ファームウェア及び/又はソフトウェアロジックによって実行される予め定められた規則の組によって選択してもよい。他の例も想到される。
図6は、図4に示し上述したステップ304の他の更なる詳細を示すフローチャートである。ステップ502では、演算のために必要とされる入力セットの数及び/又はタイプを判定する。SOQ演算のための入力セットの数は、演算のために幾つの入力セットが許可又は要求されているかに基づいて判定してもよい。幾つかの実施形態においては、この判定は、演算のための入力セットの数を特定するデータベース検索又はデータの受信によって実行してもよい。例えば、演算エンジン112は、データベース検索を実行し、SOQ演算において使用される変数及び/又は他のパラメータに基づいて、SOQ演算が単一の入力セットのみを必要とすると判定してもよい。他の例では、演算エンジン112は、SOQ演算のために複数の入力セットを使用する必要があると判定してもよい。更に他の例では、演算エンジン112は、スポット指標演算が2以上の入力セットを必要とすると判定してもよい。SOQ演算のために必要とされる入力セットの数は、SOQ、スポット指標又は他の値を算出するために使用される他の情報とともに、データベース(例えば、図2内のデータストレージ206)に保存してもよい。
また、演算エンジン112は、SOQ、スポット指標又は他の演算のために必要とされる入力セットのタイプを判定もしてもよい。この判定は、SOQ、スポット指標又は他の演算のために必要とされる入力セットのタイプを特定するデータベース検索又はデータの受信によって実行してもよい。入力セットのタイプは、単純な入力セットであっても、複合的な入力セットであってもよい。単純な入力セットは、単一のオプション契約シリーズ(例えば、9日の残余期間を有する毎月AM決済S&P500オプションシリーズ契約)に関する情報を含んでいてもよい。複合的な入力セットは、複数の単純な入力セットに由来する情報を含んでいてもよい。例えば、複合的な入力セットは、オプションシリーズ契約の特定のグループ、例えば、セクタの平均寄り付き値であってもよい。幾つかの例では、演算エンジンは、取引プラットフォーム104又は交換システム102内の1以上の他のコンポーネントを介して複合的な入力セットを受信してもよい。他の例では、演算エンジンは、1以上の単純な入力セット(例えば、ステップ402において選択スコアが与えられた1以上の入力セット)に基づいて複合的な入力セットを算出してもよい。演算エンジン112を使用して複合的な入力セットを算出する場合には、この演算において重み付けスキームを使用してもよい。入力セットのタイプは、SOQ、スポット指標又は他の値を算出するために使用できる他の情報とともに、データベース(例えば、図2内のデータストレージ206)に保存してもよい。
上述と同様の手法で、演算エンジン112は、SOQ、スポット指標又は他の値を算出するために使用できる更なる情報を判定してもよい。この情報は、例えば、どの入力セットに選択スコアを与える必要があるかに関する情報を含んでいてもよい。この情報は、SOQ、スポット指標又は他の値を算出するために使用できる他の情報とともにデータベース(例えば、図2内のデータストレージ206)に保存してもよい。
ステップ402では、上述したように、単純な又は複合的な各入力セットに選択スコアを割り当てる。ステップ404では、上述したように、判定された選択スコアに基づいて入力セットを選択する。
ステップ502、ステップ402及びステップ404は、値が算出されるたびに実行される。例えば、第1の時点では、(ステップ502、ステップ402及びステップ404によって)1以上の選択された入力セットに基づいて第1の指数値を算出する。第2の時点では、同じ又は異なる指数値を算出する必要がある。第1の指数値から選択される入力セットを使用するのではなく、演算エンジンは、ステップ502、ステップ402及びステップ404を繰り返して、指数値の演算のための新しい入力セットを選択してもよい。新しい入力セットは、第1の指数値を算出するために使用される1以上の入力セットを含んでいてもよい。したがって、選択処理は、指数値が以前に算出されているか否かを問わず、指数値演算のたびに行ってもよい。
他の例では、スポット指標が算出されるたびに、ステップ502、402及び404が実行される。例えば、第1の時点で第1のスポット指標が算出され、第2の時点で第2のスポット指標が算出される。第1のスポット指標は、2以上の入力セットを使用して算出され、第2のスポット指標は、変化してもよく、したがって、新しいスポット指標が算出されるたびに、新しい選択処理が必要である。
一実施形態では、ステップ402で判定される選択スコアを用いて選択される単純な入力セットに基づいて演算エンジン112によって算出される1つの複合的な入力セットがSOQ、スポット指標又は演算に必要な場合、取引プラットフォーム104は、後述する追加的なステップを用いることができる。
第1に、複合的な入力セットの定義を判定してもよい。一実施形態では、この定義は、電子データベースに格納することができる。例えば、複合的な入力セットは、最も高い選択スコアを有する情報技術セクタからの3つのオプションシリーズ契約の等しく重み付けされた組合せであってもよい。
第2に、ステップ404において、単純な入力セットのための選択スコアを判定する。第3に、判定された選択スコア及び複合的な入力セット定義に基づいて、演算エンジン112が複合的な入力セットを生成する。第4に、ステップ404において、複合的な入力セットのヌル/非ヌル選択スコア(null/not null selection score)に基づいて、複合的な入力セットを選択する。
他の実施形態では、SOQ、スポット指標又は他の演算は、幾つの単純な又は複合的な(事前に又は動的に算出された)入力セットを要求してもよい。
図7は、ここに記述する一実施形態に基づく契約満了日を表すタイムラインである。ここに示すように、図7は、満了日A、B、C、D、D’及びEを含む。満了日は、様々な契約タイプに対応していてもよい。例えば、満了日A及びDは、毎月の同じ日(例えば、各月の第3金曜日)に満了する毎月の契約に対応してもよい。満了日Cは、四半期、毎年又は他の期間に満了する契約に対応してもよい。満了日B及びEは、毎週又は毎月の契約より短い他の期間によって満了する短期契約に対応してもよい。満了日D’は、フレキシブルな契約満了日、例えば、1以上の市場参加者によって定義される満了日に対応してもよい。満了日の時間的間隔は本質的に、通常、定期的(例えば、毎週、毎月、毎四半期等)であるが、(例えば、取引所の休日又は他の設計上の理由のために)満了日の時間的間隔が変化する例も存在する。更に、決済価格の演算の間の時間的間隔も、通常、一定であるが、(例えば、天災、行政措置又は他のイベントのために)決済価格の演算の時間的間隔が変化する例も存在する。このようなイベントでは、1以上の満了への時間の変化を考慮して、1以上の決済価格の演算を調整してもよい。
ここに記述するシステム及び方法は、時刻Sにおけるスポット指標を判定するために使用してもよい。スポット指標を判定する処理は、演算エンジン112(又は他のデバイス又は処理コンポーネント)がデータフィードを受信すること、データフィードから2以上の入力セットを選択すること及び少なくとも2以上の選択された入力セットに基づいてスポット指標を算出することを含んでいてもよい。入力セットの選択は、幾つかの因子のうちから、特に、入力セットのオプション契約の満了日に基づいて行ってもよい。幾つかの実施形態においては、演算エンジン112は、時刻Sに最も近いニアタームオプション及びネクストタームオプションを表す入力セットを選択してもよく、選択された入力セットを用いて、時刻Sにおけるスポット指標を内挿してもよい。幾つかの実施形態においては、最も近いニアタームオプション及び/又はネクストタームオプションを選択できない場合、演算エンジンは、時刻Sにおけるスポット指標を推定するために必要な外挿を最小にするニアタームオプション及び/又はネクストタームオプションを選択してもよい。
例えば、演算エンジンは、定期的な毎月のオプションA及びD、定期的な毎四半期のオプションC、定期的な毎週のオプションB及びE、及びフレキシブルなオプションD’に関連する入力セットを含む複数の入力セットを有するデータフィードを受信してもよい。演算エンジン112は、2以上の入力セット(例えば、入力セットA及びC、A及びD、B及びC、B及びD、B及びD’等)を特定し、これを用いて、時刻Sにおけるスポット指標を算出してもよい。演算エンジン112は、特定された入力セットのうち、2つの毎月の入力セットA及びDを使用する時刻Sにおけるスポット指標の算出には、外挿が必要であることを判定してもよい。なお、契約タイプを変更して、毎週及び毎四半期の満了の組合せ(例えば、毎週のオプションB及び毎四半期のオプションC)を含ませることによって、演算エンジン112は、より正確な内挿法を用いて、時刻Sにおけるスポット指標を算出することができる。
演算エンジン112は、外挿を可能にする入力セットを使用するか内挿を必要とする入力セットを使用するかを判断する際に、幾つか因子を考慮してもよい。例えば、演算エンジン112は、1以上の入力セットが有効であるか否かを判定してもよい。入力セットの有効性は、表4を参照して記述した1以上のスコアのタイプ、スポット指標を算出するための1以上の規則、1以上の入力セットに関連する1以上の重み等に基づいて判定してもよい。例えば、毎四半期オプションCの曜日満了スコアが週の最後の取引日にあたらない場合、毎四半期オプションCの入力セットは、有効なセットではないとしてもよい。したがって、有効な毎週のオプションB及び無効な毎四半期のオプションCを利用する内挿法を使用するのではなく、演算エンジン112は、入力セットの異なる組合せ、例えば、時刻Sにおけるスポット指標の算出に必要な外挿を最小にする毎週のオプションB及び毎月のオプションDを選択してもよい。
他の例では、演算エンジン112は、(例えば、毎月のオプションDによる計画的又は非計画的な決済問題のために)定期的な毎週のオプションB及び定期的な毎月のオプションDの組合せが健全性を有する組合せでないと判定してもよい。このような例では、演算エンジン112は、定期的な毎週のオプションB及びフレキシブルなオプションD’の組合せのために必要な外挿の量が、定期的な毎月のオプションA及び毎月のオプションDの組合せのために必要な外挿及び/又は定期的な毎週のオプションB及びEの外挿より少ないことを判定してもよい。したがって、定期的な毎週のオプションB及びフレキシブルなオプションD’の組合せは、時刻Sにおけるスポット指標のより正確で健全な演算を可能にするため、演算エンジン112は、この組合せを選択してもよい。
なお、ここに記述する構成は、例示のみを目的とする。したがって、当業者には明らかなように、望まれる結果に応じて、他の構成及び他の要素(例えば、マシン、インタフェース、機能、命令、機能のグループ等)を代替的に用いてもよく、幾つかの要素を省略してもよい。更に、ここの記述した要素の多くは、機能的なエンティティであり、独立型又は分散型のコンポーネントとして実現してもよく、又はあらゆる適切な組合せ及び位置で他のコンポーネントと連携して実現してもよい。
様々な側面及び実施形態を開示したが、他の側面及び実施形態も当業者にとって明らかである。ここに開示した様々な側面及び実施形態は、説明のためのものであり、特許請求の範囲に与えられる全範囲の均等物を伴う特許請求の範囲に示す真の範囲を限定する意図はない。また、ここで使用する表現は、特定の実施形態を記述することのみを目的とし、限定的な意図はないことは明らかである。