開示される実施形態の上記説明は全ての当業者が発明を製造または使用することができようにするために提供される。これらの実施形態に対する様々な改変は当業者であれば容易にわかり、本明細書で記載される一般原理は、発明の精神または範囲から逸脱せずに他の実施形態に適用することができる。このように、本明細書で提示される説明および図面は、発明の現在好ましい実施形態を表し、よって、本発明により広く企図される対象物を表すことが理解されるべきである。本発明の範囲は、当業者に明らかとなり得る他の実施形態を完全に包含し、したがって本発明の範囲は限定されないことがさらに理解される。
発明の化合物は様々な手順により調製することができ、それらのいくつかは以下で記載される。全ての置換基は、別記されない限り、前に規定された通りである。各工程の生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、トリチュレーション、結晶化、などを含む従来の方法により回収することができる。手順では、望まれない反応を最小に抑えるために、ある一定の基、例えばヒドロキシ、アミノ、またはカルボキシ基の保護が要求され得る。保護基の選択、使用、および除去はよく知られており、標準的な習慣として認識され、例えばT.W. Greene and P. G. M. Wuts in Protective Groups in Organic Chemistry(John Wiley and Sons,1991)。
ある一定の例示的な専門用語
別に規定されない限り、本明細書で使用される全ての技術および科学用語は、特許請求される対象物が属する分野の当業者により普通に理解されるのと同じ意味を有する。万一、本明細書の用語に対して複数の定義がある場合には、このセクションにおけるものが優先する。URLまたは他のそのような識別子またはアドレスに照会する場合、そのような識別子は変わることがあり、インターネット上の特定の情報は移り変わることがあるが、等価の情報はインターネットを検索することにより見出すことができることが理解される。それらへの照会により、そのような情報の有効性および公における普及が明らかになる。
前記概要および下記詳細な説明は例示であり、説明にすぎず、特許請求されるいずれの対象物をも制限しようとするものではないことが理解されるべきである。本出願では、単数形の使用は、特に別記されない限り、複数形を含む。明細書および添付の特許請求の範囲において使用されるように、単数形「1つの(a)」および「その(the)」は、文脈で明確に別記されない限り、複数の指示対象を含むことに注意しなければならない。本出願では、「または」の使用は別記されない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含んでいる」という用語ならびに他の形態、例えば「含む」、「含有する」および「含まれる」の使用は制限するものではない。
本明細書で使用されるセクション見出しは、組織的目的にすぎず、記載される対象物を限定するものとして解釈されるべきではない。本出願で引用される全ての文書、または文書の一部、例えば、限定はされないが、特許、特許出願、記事、本、マニュアルおよび論文はこれにより、その全体が、いかなる目的に対しても参照により明確に組み込まれる。
標準化学用語の定義は、下記を含む参考文献において見出され得る:Carey and Sundberg “ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4.sup.TH ED.” Vols. A (2000) and B (2001), Plenum Press, New York。別記されない限り、当技術分野の技術の範囲内の、質量分析、NMR、HPLC、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の従来の方法が使用される。特定の定義が提供されない限り、本明細書で記載される分析化学、有機合成化学、および医薬品および薬化学に関連して使用される命名法、ならびにそれらの実験手順および技術は当技術分野で知られているものである。標準技術は、化学合成、化学分析、医薬調製物、製剤、および送達、ならびに患者の治療のために使用することができる。反応および精製技術は例えば、製造者の仕様書のキットを使用して、または当技術分野で普通に達成されるように、または本明細書で記載されるように実施することができる。当技術分野でよく知られた従来の方法の前記技術および手順は、一般に実施することができ、本明細書を通して引用され、記載される、様々な一般的かつより特定的な参考文献において記載される通りである。
本明細書で記載される方法および組成物は本明細書で記載される特定の方法、プロトコル、細胞株、コンストラクト、および試薬に限定されず、そのようなものとして変動し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記載する目的のためのものにすぎず、本明細書で記載される方法および組成物の範囲を制限することは意図されないこともまた理解されるべきである。
本明細書では、C1−CxはC1−C2、C1−C3...C1−Cxを含む。
「アルキル」基は、脂肪族炭化水素基を示す。アルキル部分は「飽和アルキル」基であってもよく、これは、アルケンまたはアルキン部分を含まないことを意味する。アルキル部分はまた「不飽和アルキル」部分であってもよく、これは、少なくとも1つのアルケンまたはアルキン部分を含むことを意味する。「アルケン」部分は、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素二重結合から構成される基を示し、「アルキン」部分は、少なくとも2つの炭素原子および少なくとも1つの炭素−炭素三重結合から構成される基を示す。アルキル部分は、飽和か不飽和に関係なく、分枝、直鎖、または環状であってもよい。構造によって、アルキル基はモノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アルキレン基)とすることができる。
「アルキル」部分は1〜10個の炭素原子を含み得る(本明細書で現れる場合はいつでも、「1〜10」などの数値範囲は、与えられた範囲内の各整数を示し;例えば、「1〜10個の炭素原子」は、アルキル基が、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、など、10個までの炭素原子から構成され得ることを意味するが、この定義はまた、数値範囲が指定されていない「アルキル」という用語の存在もまた含む)。アルキル基はまた、1〜6個の炭素原子を有する「低級アルキル」とすることができる。
本明細書で記載される化合物のアルキル基は、「C1−C4アルキル」または同様の名称として指定され得る。ほんの一例として、「C1−C4アルキル」は、アルキル鎖中に1〜4個の炭素原子が存在することを示し、すなわち、アルキル鎖は、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、およびt−ブチルからなる群より選択される。典型的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、第三ブチル、ペンチル、ヘキシル、エテニル、プロペニル、ブテニル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、などが挙げられるが、決してこれらに限定されない。
「アルコキシ」基は、(アルキル)O−−基を示し、ここで、アルキルは本明細書で規定される通りである。「低級アルコキシ」は1〜6個の炭素原子を有する。
「アルケニル」という用語は、アルキル基の最初の2つの原子が二重結合を形成し、これは芳香族基の一部ではないアルキル基の型を示す。すなわち、アルケニル基は原子−−C(R)=CR2で始まり、ここで、Rは、アルケニル基の残りの部分を示し、これは同じか、または異なってもよい。アルケニル基の非限定的な例としては−−CH=CH2、−−C(CH3)=CH2、−−CH=CHCH3および−−C(CH3)=CHCH3が挙げられる。アルケニル部分は分枝、直鎖、または環状(その場合、「シクロアルケニル」基としても知られているであろう)であってもよい。構造によって、アルケニル基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アルケニレン基)とすることができる。「低級アルケニル」は2〜6個の炭素原子を鎖中に有する。
「アルキルアミン」という用語は、−−N(アルキル)xHy基を示し、ここで、アルキルは本明細書で規定される通りであり、xおよびyは、x=1、y=1およびx=2、y=0群から選択される。x=2である場合、アルキル基はそれらに付着している窒素原子と一緒になって、任意で複素環系を形成することができる。
「アミド」は式−−C(=O)NHRまたは−−NHC(=O)Rを有する化学部分であり、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合される)およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合される)からなる群より選択される。アミドは本明細書で記載される化合物、例えば、例として、式(I)の化合物に付着されたアミノ酸またはペプチド分子であってもよく、これにより、プロドラッグが形成される。本明細書で記載される化合物上の任意のアミンまたはカルボキシル側鎖はアミド化させることができる。そのようなアミドを製造するための手順および特定の基は、当業者に知られており、参照元、例えばGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3.sup.rd Ed., John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1999(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において容易に見出すことができる。
「エステル」という用語は、式−−COORを有する化学部分を示し、ここで、Rは、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合される)およびヘテロ脂環式(環炭素を介して結合される)からなる群より選択される。本明細書で記載される化合物上の任意のヒドロキシ、またはカルボキシル側鎖はエステル化させることができる。そのようなエステルを製造するための手順および特定の基は、当業者に知られており、参照元、例えばGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 3.sup.rd Ed., John Wiley & Sons, New York, N.Y., 1999(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において容易に見出すことができる。
本明細書では、「環」という用語は、任意の共有結合により閉じられた構造を示す。環としては、例えば、炭素環(例えば、アリールおよびシクロアルキル)、複素環(例えば、ヘテロアリールおよび非芳香族複素環)、芳香族(例えばアリールおよびヘテロアリール)、および非芳香族(例えば、シクロアルキルおよび非芳香族複素環)が挙げられる。環は任意で置換され得る。環は単環または多環とすることができる。
本明細書では、「環系」という用語は、1、または1を超える環を示す。
「員環」という用語は、任意の環状構造を包含することができる。「員」という用語は、環を構成する骨格原子の数を示すことを意味する。このように、例えば、シクロヘキシル、ピリジン、ピランおよびチオピランは6員環であり、シクロペンチル、ピロール、フラン、およびチオフェンは5員環である。
「縮合」という用語は、2つ以上の環が1つ以上の結合を共有する構造を示す。
「炭素環状」または「炭素環」という用語は、環を形成する原子の各々が炭素原子である環を示す。炭素環はアリールおよびシクロアルキルを含む。このように、その用語は、炭素環を、環骨格が炭素とは異なる少なくとも1つの原子(すなわちヘテロ原子)を含む複素環(「複素環式」)から区別する。複素環はヘテロアリールおよびヘテロシクロアルキルを含む。炭素環および複素環は任意で置換され得る。
本明細書では、「アリール」という用語は、環を形成する原子の各々が炭素原子である芳香環を示す。アリール環は、5、6、7、8、9、または9を超える炭素原子により形成させることができる。アリール基は任意で置換され得る。アリール基の例としてはフェニル、ナフタレニル、フェナントレニル、アントラセニル、フルオレニルおよびインデニルが挙げられるが、それらに限定されない。構造によって、アリール基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、アリーレン基)とすることができる。
「シクロアルキル」という用語は、単環式または多環式非芳香族ラジカルを示し、ここで、環を形成する原子の各々(すなわち骨格原子)は炭素原子である。シクロアルキルは飽和であってもよく、または部分不飽和であってもよい。シクロアルキル基は3〜10個の環原子を有する基を含む。構造によって、シクロアルキル基は、モノラジカルまたはジラジカル(例えば、シクロアルキレン基)とすることができる。単環式シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられるが、それらに限定されない。「低級シクロアルキル」は3〜8個の環炭素原子を有する。
「シクロアルキルアルキル」は、本明細書で規定されるシクロアルキルで置換された、本明細書で規定されるアルキルを示す。シクロアルキルアルキルとしては、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、およびシクロオクチルメチルが挙げられるが、それらに限定されない。
「シクロアルコキシ」は、−−O−(シクロアルキル)を示し、ここで、シクロアルキルは本明細書で規定される通りである。低級シクロアルコキシは3〜8個の炭素を有する。
「ヘテロアリール」、あるいは、「ヘテロ芳香族」という用語は、窒素、酸素および硫黄から選択される、1つ以上の環ヘテロ原子を含むアリール基を示す。N含有「ヘテロ芳香族」または「ヘテロアリール」部分は、環の骨格原子の少なくとも1つが窒素原子である芳香族基を示す。多環式ヘテロアリール基は縮合されてもよく、または縮合されてなくてもよい。構造によって、ヘテロアリール基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、ヘテロアリーレン基)とすることができる。
「複素環」という用語は、各々がO、SおよびNから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む、ヘテロ芳香族およびヘテロ脂環式基を示し、ここで、各複素環基はその環系中に4〜10個の原子を有し、ただし、前記基の環は2つの隣接するOまたはS原子を含まないことを条件とする。非芳香族複素環基は、それらの環系中に3つの原子のみを有する基を含むが、芳香族複素環基は少なくとも5つの原子をそれらの環系中に有さなければならない。複素環基はベンゾ縮合環系を含む。
3員複素環基の一例はアジリジニルである。4員複素環基の一例はアゼチジニル(アゼチジンから誘導)である。5員複素環基の一例はチアゾリルである。6員複素環基の一例はピリジルであり、10員複素環基の一例はキノリニルである。
非芳香族複素環基の例は、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、3H−インドリルおよびキノリジニルである。
芳香族複素環基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、およびフロピリジニルである。前記基は、可能であれば、C付着またはN付着されてもよい。例えば、ピロールから誘導される基はピロール−1−イル(N付着)またはピロール−3−イル(C付着)であってもよい。さらに、イミダゾールから誘導される基はイミダゾール−1−イルまたはイミダゾール−3−イル(どちらもN付着)あるいはイミダゾール−2−イル、イミダゾール−4−イルまたはイミダゾール−5−イル(全てC付着)であってもよい。複素環基はベンゾ縮合環系および1つまたは2つのオキソ(=O)部分で置換された環系、例えばピロリジン−2−オンを含む。構造に応じて、複素環基は、モノラジカルまたはジラジカル(すなわち、ヘテロシクレン基)とすることができる。
「ヘテロ脂環式」または「ヘテロシクロアルキル」基は、炭素ではない少なくとも1つの環原子を含む、すなわち、少なくとも1つの環原子が窒素、酸素および硫黄から選択されるヘテロ原子であるシクロアルキル基を示す。ヘテロシクロアルキルラジカルは、アリールまたはヘテロアリールと縮合されてもよい。ヘテロ脂環式という用語はまた、炭水化物の全ての環形態を含み、限定はされないが、単糖、二糖およびオリゴ糖を含む。ヘテロシクロアルキルは環中に2〜10個の炭素を有する。「低級ヘテロシクロアルキル」は2〜8個の環炭素原子を有する。ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数に言及する場合、ヘテロシクロアルキル中の炭素原子の数は、ヘテロシクロアルキルを構成する原子(ヘテロ原子を含む)(すなわち、ヘテロシクロアルキル環の骨格原子)の総数と同じではないことが理解される。
「ハロ」、「ハロゲン化物」および「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」、「ハロアルキニル」および「ハロアルコキシ」という用語は、1つ以上のハロゲンで置換されたアルキル、アルケニル、アルキニルおよびアルコキシ構造を含む。ハロゲンは同じであってもよく、またはそれらは異なっていてもよい。「低級ハロアルキル」は鎖中に1〜6個の炭素原子を有する。「低級ハロアルケニル」は鎖中に2〜6個の炭素原子を有する。「低級ハロアルキニル」は鎖中に2〜6個の炭素原子を有する。「低級ハロアルコキシ」は鎖中に1〜6個の炭素原子を有する。
「フルオロアルキル」および「フルオロアルコキシ」という用語は、それぞれ、ハロアルキルおよびハロアルコキシ基を含み、この場合、ハロはフッ素である。「低級フルオロアルキル」および「低級フルオロアルコキシ」は鎖中に1〜6個の炭素原子を有する。
「ヘテロアルキル」「ヘテロアルケニル」および「ヘテロアルキニル」という用語は、任意で置換アルキル、アルケニルおよびアルキニルラジカルを含み、これらは炭素以外の原子、例えば、酸素、窒素、硫黄、リン、ケイ素、またはそれらの組み合わせから選択される1つ以上の骨格鎖原子を有する。ヘテロ原子(複数可)はヘテロアルキル基の任意の内部位置に配置され得る。例としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:−−CH2−−O−−CH3、−−CH2−−CH2−−O−−CH3、−−CH2−−NH−−CH3、−−CH2−−CH2−−NH−−CH3、−−CH2−−N(CH3)−−CH3、−−CH2−−CH2−−NH−−CH3、−−CH2−−CH2−−N(CH3)−−CH3、−−CH2−−S−−CH2−−CH3、−−CH2−−CH2、−−S(O)−−CH3、−−CH2−−CH2−−S(O)2−−CH3、−−CH=CH−−O−−CH3、−−Si(CH3)3、−−CH2−CH=N−−OCH3、および−CH=CH−−N(CH3)−−CH3。加えて、2つまでのヘテロ原子は、連続してもよく、例えば、例として、−−CH2−−NH−−OCH3および−−CH2−−O−−Si(CH3)3である。「低級ヘテロアルキル」は鎖中に1〜6個の炭素原子を有する。「低級ヘテロアルケニル」は、鎖中に2〜6個の炭素原子を有する。「低級ヘテロアルキニル」は、鎖中に2〜6個の炭素原子を有する。
「結合」または「単結合」という用語は、2つの原子、または、結合により一緒になった原子がより大きな構造の一部であると考えられる場合、2つの部分の間の化学結合を示す。
「部分」という用語は、分子の特定のセグメントまたは官能基を示す。化学部分はしばしば、分子に埋め込まれた、またはこれに付加された化学実体として認識される。
「シアノ」基は、−−CN基を示す。
「イソシアナート」基は、−−NCO基を示す。
「イソチオシアナート」基は、−−NCS基を示す。
「アシル」は、RC(=O)−−基を示す。
「アシルオキシ」は、RC(=O)O−−基を示す。
「スルファニル」は、−−S−−部分を示す。
「スルフィニル」または「スルホキシド」は、−−S(=O)−−部分を示す。
「スルホニル」は、−−S(=O)2−−部分を示す。
「メルカプチル」基または「チオアルコキシ」または「アルキルチオ」は、(アルキル)S−−基を示す。
「チオシアナト」基は、−−CNS基を示す。
本明細書では、それだけで、番号指定なしで現れる置換基「R」は、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール(環炭素を介して結合される)および非芳香族複素環(環炭素を介して結合される)の中から選択される置換基を示す。
「任意で置換された」または「置換された」という用語は、言及された基がC1−C6アルキル、C3−C8シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、C2−C6ヘテロ脂環式、ヒドロキシ、C1−C6アルコキシ、アリールオキシ、C1−C6アルキルチオ、アリールチオ、C1−C6アルキルスルホキシド、アリールスルホキシド、C1−C6アルキルスルホン、アリールスルホン、シアノ、ハロ、C2−C8アシル、C2−C8アシルオキシ、ニトロ、C1−C6ハロアルキル、C1−C6フルオロアルキル、およびアミノ、例えばC1−C6アルキルアミノ、ならびにその保護誘導体から個々にかつ独立して選択される1つ以上の追加の基(複数可)で置換され得ることを意味する。
ほんの一例として、任意的な置換基はLsRsであってもよく、この場合、個々のLsは、結合、−−O−−、−−C(=O)−−、−−S−−、−−S(=O)−−、−−S(=O)2−−、−−NH−−、−−NHC(=O)−−、−−C(=O)NH−−、S(=O)2NH−−、−−NHS(=O)2−−、−−OC(=O)NH−−、−−NHC(=O)O−−、−−(C1−C6アルキル)−、または−−(C2−C6アルケニル)−から独立して選択され;かつ各Rsは、H、(C1−C4アルキル)、(C3−C8シクロアルキル)、ヘテロアリール、アリール、およびC1−C6ヘテロアルキルから独立して選択される。任意で置換された非芳香族基は、1つ以上のオキソ(=O)で置換されてもよい。上記置換基の保護誘導体を形成することができる保護基は、当業者に知られている。
本明細書で提示される化合物は1つ以上の立体中心を有することができ、各中心はRまたはS配置で存在し得る。本明細書で提示される化合物は全てのジアステレオマー、鏡像異性体、およびエピマー形態ならびにその適切な混合物を含む。立体異性体は、所望であれば、当技術分野で知られている方法、例えば、例として、キラルクロマトグラフィーカラムまたは立体選択的合成による個々の立体異性体の分離により得られ得る。
本明細書で記載される方法および製剤は、式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ie、式If、式Ig、式Ih、式II、式IIa、式IIb、式IIc、式IId、式IIe、式IIf、式IIg、式IIh、式III、式IIIa、式IIIb、式IIIc、式IIId、式IIIe、式IIIf、式IIIg、式IIIh、式IV、式V、式VI、式VII、式VIIIのいずれかの構造を有する化合物のN−オキシド、結晶形態(多形としても知られている)、または薬学的に許容される塩、ならびに同じ型の活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用を含む。場合によっては、化合物は、互変異性体として存在し得る。全ての互変異性体は本明細書で提示される化合物の範囲内に含まれる。加えて、本明細書で記載される化合物は、非溶媒和ならびに溶媒和形態で、薬学的に許容される溶媒、例えば水、エタノール、などと共に存在することができる。本明細書で提示される化合物の溶媒和形態もまた、本明細書で開示されると考えられる。
製剤、組成物または材料成分に関しての「許容される」という用語は、本明細書では、治療される被験体の全体的な健康に持続性の有害な影響を有さないことを意味する。
本明細書では、特定の化合物または医薬組成物の投与による、特定の疾患、障害または病状の症状の寛解は、永久か一時的か、持続するか一過性かに関係なく、化合物または組成物の投与に起因する、またはこれに関連する可能性がある重症度のいくらかの軽減、発症の遅延、進行の減速、または持続期間の短縮を示す。
「調節する」という用語は、本明細書では、標的の活性を変化させる、ほんの一例として、標的の活性を増強する、標的の活性を阻害する、標的の活性を制限する、または標的の活性を延長させるように、直接または間接的に標的と相互作用することを意味する。
本明細書では、「モジュレーター」という用語は、分子の活性を変化させる化合物を示す。例えば、モジュレーターは、モジュレーターがない場合の活性の大きさに比べ、分子のある一定の活性の大きさの増加または減少を引き起こすことができる。ある一定の実施形態では、モジュレーターは阻害剤であり、これは分子の1つ以上の活性の大きさを減少させる。ある一定の実施形態では、阻害剤は完全に分子の1つ以上の活性を阻害する。ある一定の実施形態では、モジュレーターは活性化薬であり、これは、分子の少なくとも1つの活性の大きさを増加させる。ある一定の実施形態では、モジュレーターの存在により、モジュレーターがない場合には起こらない活性が得られる。
本明細書では、「標的活性」という用語は、選択的モジュレーターにより調節することができる生物活性を示す。ある一定の例示的な標的活性としては、結合親和性、シグナル伝達、酵素活性、腫瘍成長、炎症または炎症関連過程、および疾患または病状と関連する1つ以上の症状の寛解が挙げられるが、それらに限定されない。
「癌」という用語は、本明細書では、細胞の異常成長を示し、これは制御されない様式で増殖する、場合によっては、転移する(伝播する)傾向がある。癌の型としては、固形腫瘍(例えば、膀胱、腸、脳、乳房、子宮内膜、心臓、腎臓、肺、リンパ組織(リンパ腫)、卵巣、膵臓または他の内分泌器官(甲状腺)、前立腺、皮膚(メラノーマ)のものまたは血液腫瘍(例えば、白血病)が挙げられるが、それらに限定されない。Ding X Z et al., Anticancer Drugs. 2005 June; 16(5):467−73. Review; Chen X et al., Clin Cancer Res. 2004 Oct. 1; 10(19):6703−9(それぞれ、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
「担体」という用語は、本明細書では、化合物の細胞または組織中への組み込みを促進する相対的に無毒性の化学化合物または作用物質を示す。
「同時投与」などという用語は、本明細書では、選択された治療薬の単一患者への投与を含むことが意味され、作用物質が同じか異なる投与経路により、あるいは同時か、または異なる時間に投与される治療レジメンを含むことが意図される。
「希釈剤」という用語は、送達前に対象となる化合物を希釈するために使用される化学化合物を示す。希釈剤はまた、化合物を安定化するために使用することができ、というのも、それらは、より安定な環境を提供することができるからである。緩衝液に溶解させた塩(pH制御または維持をも提供することができる)、例えば、限定はされないがリン酸緩衝生理食塩水溶液が当技術分野において希釈剤として使用される。
「有効量」または「治療的有効量」という用語は本明細書では、治療される疾患または病状の1つ以上の症状をある程度緩和する、投与される作用物質または化合物の十分な量を示す。結果として、疾患の徴候、症状、または原因の低減および/または軽減、または生物系の任意の他の所望の変化が得られる。例えば、治療的使用のための「有効量」は、疾患症状において臨床的に有意な減少を提供するのに要求される本明細書で開示される化合物を含む組成物の量である。任意の個々の症例における適切な「有効な」量は、用量漸増試験などの技術を用いて決定され得る。
「増強させる」または「増強する」という用語は、本明細書では、効力または持続期間のいずれかにおいて所望の効果を増加または延長させることを意味する。このように、治療薬の効果を増強することに関しては、「増強する」という用語は、効力または持続期間のいずれかにおいて、他の治療薬の系に対する効果を増加または延長させる能力を示す。「増強する有効量」は本明細書では、所望の系において別の治療薬の効果を増強させる十分な量を示す。
「キット」および「製造物品」という用語は同義語として使用される。
本明細書で開示される化合物の「代謝物」は、化合物が代謝されると形成されるその化合物の誘導体である。「活性代謝物」という用語は、化合物が代謝されると形成される化合物の生物活性誘導体を示す。「代謝された」という用語は、本明細書では、特定の物質が生物により変化されるプロセス(限定はされないが、加水分解反応および酵素により触媒される反応を含む)の和を示す。このように、酵素は特定の構造変化を化合物に生じさせ得る。例えば、チトクロムP450は様々な酸化および還元反応を触媒し、一方、ウリジン二リン酸グルクロニルトランスフェラーゼは、活性化グルクロン酸分子の芳香族アルコール、脂肪族アルコール、カルボン酸、アミンおよび遊離スルフヒドリル基への移動を触媒する。代謝に関するさらなる情報は、The Pharmacological Basis of Therapeutics,第9版, McGraw−Hill (1996)から得られ得る。本明細書で開示される化合物の代謝物は、化合物の受給者への投与および受給者由来の組織試料の分析、または化合物の肝臓細胞とのインビトロでのインキュベーションおよび得られた化合物の分析のいずれかにより同定することができる。どちらの方法も当技術分野でよく知られている。
「薬学的に許容される」により、本明細書では、化合物の生物活性または特性を抑制せず、相対的に無毒性である担体または希釈剤などの材料が示され、すなわち、材料は、望ましくない生物学的効果を引き起こさず、または組成物中に含まれる成分のいずれとも有害な様式で相互作用せずに、個体に投与され得る。
「薬学的に許容される塩」という用語は、これが投与される生物に著しい刺激作用を引き起こさず、化合物の生物活性および特性を抑制しない化合物の製剤を示す。
「被験体」または「患者」という用語は、哺乳類および非哺乳類を包含する。哺乳類の例としては、哺乳綱の任意の一員:ヒト、非ヒト霊長類、例えばチンパンジー、および他の類人猿およびサル種;農場動物、例えばウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ;飼育動物、例えばウサギ、イヌ、およびネコ;実験動物、例えば齧歯類、例としてラット、マウスおよびモルモット、などが挙げられるが、それらに限定されない。非哺乳類の例としては、鳥類、魚などが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書で提供される方法および組成物の1つの実施形態では、哺乳類はヒトである。
「治療する」「治療している」または「治療」という用語は本明細書では、疾患または病状症状を軽減、緩解または寛解する、追加の症状を予防する、症状の根底にある代謝原因を寛解または予防する、疾患または病状を阻止する、例えば、疾患または病状の発症を抑止する、疾患または病状を緩和する、疾患または病状の退行を引き起こす、疾患または病状により引き起こされる状態を緩和する、または疾患または病状の症状を予防的におよび/または治療的に停止させることを含む。
例示的な医薬組成物/製剤
便宜上、このセクションおよび本明細書における他の部分で記載される医薬組成物および製剤は、例として「式I」などの単一の式を使用する。加えて、本明細書で記載される医薬組成物および製剤は、式(I)の範囲内に含まれる本明細書で提示される全ての式に同様に、うまく当てはまる。例えば、本明細書で記載される医薬組成物および製剤は、式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ie、式If、式Ig、式Ih、式II、式IIa、式IIb、式IIc、式IId、式IIe、式IIf、式IIg、式IIh、式III、式IIIa、式IIIb、式IIIc、式IIId、式IIIe、式IIIf、式IIIg、式IIIh、式IV、式V、式VI、式VII、式VIIIのいずれかの構造を有する化合物、ならびにこれらの一般式の範囲内に含まれる特定の化合物の全てに適用することができる。
医薬組成物は、賦形剤および活性化合物を加工処理して薬学的に使用することができる調製物にするのを促進する助剤を含む、1つ以上の生理的に許容される担体を使用して従来通りに製剤化され得る。適正な製剤は、選択される投与経路に依存する。よく知られた技術、担体、および賦形剤のいずれも、好適なものとして、当技術分野で理解されるように使用され得る。本明細書で記載される医薬組成物の概要は、例えば、下記において見出され得る:Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 第19版 (Easton, Pa.: Mack Publishing Company, 1995); Hoover, John E., Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, Pa. 1975; Liberman, H. A. and Lachman, L., Eds., Pharmaceutical Dosage Forms, Marcel Decker, New York, N.Y., 1980;およびPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 第7版 (Lippincott Williams & Wilkins 1999)(本明細書でそれらの全体が参照により組み込まれる)。
本明細書において、本明細書で記載される化合物および薬学的に許容される希釈剤(複数可)、賦形剤(複数可)、および/または担体(複数可)を含む医薬組成物が提供される。加えて、本明細書で記載される化合物は、併用療法におけるように、本明細書で記載される化合物が他の活性成分と混合される、医薬組成物として投与することができる。
医薬組成物は、本明細書では、本明細書で記載される化合物の、他の化学成分、例えば担体、安定剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、増粘剤、および/または賦形剤との混合物を示す。医薬組成物は、化合物の生物への投与を促進する。本明細書で提供される治療または使用の方法を実施する際には、治療的有効量の、本明細書で記載される化合物が医薬組成物中で、治療される疾患または病状を有する哺乳類に投与される。好ましくは、哺乳類はヒトである。治療的有効量は、疾患の重症度、被験体の年齢および相対的な健康、使用される化合物の効力および他の因子によって広く変動する可能性がある。化合物は単独で、または混合物の成分として1つ以上の治療薬と組み合わせて使用することができる。
静脈内注射のために、本明細書で記載される化合物は、水溶液、好ましくは生理的に適合する緩衝液、例えばハンクス液、リンゲル液、または生理食塩水緩衝液中で製剤化され得る。経粘膜的投与のために、浸透されるべきバリアに適切な浸透剤が製剤中で使用される。そのような浸透剤は一般に当技術分野で知られている。他の非経口注射のために、適切な製剤は水性または非水性溶液を、好ましくは生理的に適合する緩衝液または賦形剤と共に含み得る。そのような賦形剤は、一般に当技術分野で知られている。
経口投与のために、本明細書で記載される化合物は、この活性化合物を当技術分野でよく知られた薬学的に許容される担体または賦形剤と組み合わせることにより容易に製剤化することができる。そのような担体により、本明細書で記載される化合物は、治療される患者による経口摂取のための錠剤、粉末、丸薬、糖衣錠、カプセル、液剤、ゲル、シロップ、エリキシル剤、スラリー、懸濁液などとして製剤化することができる。
経口使用のための医薬調製物は、1つ以上の固体賦形剤を1つ以上の、本明細書で記載される化合物と混合し、得られた混合物を任意で粉砕し、所望であれば、好適な助剤を添加した後、顆粒の混合物を加工処理し、錠剤または糖衣錠コアを得ることにより、得ることができる。好適な賦形剤としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:フィラー、例えば糖、例としてラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール;セルロース調製物、例えば:例として、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガントガム、メチルセルロース、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム;または、他のもの、例えば:ポリビニルピロリドン(PVPまたはポビドン)またはリン酸カルシウム。所望であれば、崩壊剤、例えば架橋クロスカルメロースナトリウム、ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸またはその塩、例えばアルギン酸ナトリウムを添加してもよい。
糖衣錠コアには好適なコーティングが提供される。このために、濃縮糖溶液が使用され得、これは任意で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含み得る。識別のため、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、色素または顔料が錠剤または糖衣錠コーティングに添加され得る。
経口で使用することができる医薬調製物は、ゼラチンで製造された押し込み式のカプセル、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えばグリセロールまたはソルビトールで製造されたソフト密封カプセルを含む。押し込み式のカプセルは、活性成分をフィラー、例えばラクトース、バインダ、例えばデンプン、および/または潤滑剤、例えばタルクまたはステアリン酸マグネシウム、および、任意で、安定剤との混合物中に含むことができる。ソフトカプセルでは、活性化合物は、好適な液体、例えば脂肪油、液体パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁され得る。加えて、安定剤が添加され得る。経口投与のための全ての製剤は、そのような投与に好適な投与量でなければならない。
口腔または舌下投与のために、組成物は、従来通りに製剤化された錠剤、ロゼンジ、またはゲルの形態をとることができる。非経口注射はボーラス注射または持続注入を含み得る。注射のための製剤は単位剤形で、例えば、アンプルまたは複数回投与容器中で、添加された保存剤と共に提供され得る。本明細書で記載される化合物の医薬組成物は油性または水性ビヒクル中の滅菌懸濁液、溶液またはエマルジョンとして、非経口注射に好適な形態で存在することができ、調合剤、例えば懸濁、安定および/または分散剤を含み得る。非経口投与のための医薬製剤は、水溶性形態の活性化合物(複数可)の水溶液を含む。加えて、活性化合物の懸濁液は適切な油性注射懸濁液として調製され得る。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルまたはトリグリセリド、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させる物質、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含み得る。任意で、懸濁液はまた、好適な安定剤または化合物の溶解度を増加させ、高濃度溶液の調製を可能にする作用物質を含み得る。あるいは、活性成分は粉末形態であってもよく、好適なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない滅菌水と、使用前に構成される。
本明細書で記載される化合物は局所投与することができ、様々な局所投与可能な組成物、例えば溶液、懸濁液、ローション、ゲル、ペースト、薬用スティック、バーム、クリームまたは軟膏剤に製剤化することができる。そのような医薬化合物は可溶化剤、安定剤、張度増強剤、緩衝液および保存剤を含むことができる。
本明細書で記載される化合物の経皮投与に好適な製剤は、経皮送達装置および経皮送達パッチを使用してもよく、ポリマーまたは接着剤中に溶解および/または分散された、親油性エマルジョンまたは緩衝水溶液とすることができる。そのようなパッチは、医薬品の連続、拍動、またはオンデマンド送達のために構築され得る。さらに、本明細書で記載される化合物の経皮送達は、イオントフォレシス用パッチなどにより達成することができる。加えて、経皮パッチは本明細書で記載される化合物の制御送達を提供することができる。吸収速度は、律速膜を使用することにより、または化合物をポリマーマトリクスまたはゲル内にトラップさせることにより遅くすることができる。反対に、吸収エンハンサーを使用して、吸収を増加させることができる。吸収エンハンサーまたは担体は皮膚の通過を助けるために、吸収性の薬学的に許容される溶媒を含むことができる。例えば、経皮装置は、裏当て部材、化合物を受給者の皮膚に、制御された、およびあらかじめ決められた速度で、長期間にわたって送達させるための、化合物を、任意で担体、任意で律速バリアと共に含むリザーバ、および装置を皮膚に固定するための手段を含む包帯の形態である。
吸入による投与では、本明細書で記載される化合物は、エアロゾル、ミスト、または粉末としての形態とすることができる。本明細書で記載される化合物の医薬組成物は便宜上、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用する、加圧パックまたは噴霧器からのエアゾールスプレー提示の形態で送達される。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、計量された量を送達するためにバルブを提供することにより決定され得る。吸入器または吹きつけ器において使用するための、ほんの一例として、ゼラチンなどのカプセルおよびカートリッジは、化合物および好適な粉末ベース、例えばラクトースまたはデンプンの粉末混合物を含んで製剤化され得る。
本明細書で記載される化合物はまた、直腸組成物、例えば浣腸、直腸ゲル、直腸フォーム、直腸エアロゾル、坐薬、ゼリー坐薬、または停留浣腸で、従来の坐薬ベース、例えばカカオバターまたは他のグリセリド、ならびに合成ポリマー、例えばポリビニルピロリドン、PEG、などを含んで、製剤化され得る。組成物の坐薬形態では、低融点ワックス、例えば、限定はされないが、脂肪酸グリセリドの、任意でカカオバターと組み合わせた混合物が最初に融解される。
医薬組成物は、賦形剤および活性化合物を加工処理して薬学的に使用することができる調製物にするのを促進する助剤を含む1つ以上の生理的に許容される担体を使用して、従来通りに製剤化され得る。適正な製剤は、選択される投与経路に依存する。よく知られた技術、担体、および賦形剤のいずれも、好適なものとして、当技術分野で理解されるように使用され得る。本明細書で記載される化合物を含む医薬組成物は、従来通りに、例えば、ほんの一例として従来の混合、溶解、顆粒化、糖衣錠製造、粉末化、乳化、カプセル化、封入または圧縮プロセスにより製造され得る。
医薬組成物は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体、希釈剤および/または賦形剤ならびに活性成分としての遊離酸または遊離塩基形態の、あるいは薬学的に許容される塩形態の本明細書で記載される化合物を含む。加えて、本明細書で記載される方法および医薬組成物は同じ型の活性を有するこれらの化合物のN−オキシド、結晶形態(多形としても知られている)、ならびに活性代謝物の使用を含む。
場合によっては、化合物は、互変異性体として存在し得る。全ての互変異性体は本明細書で提示される化合物の範囲内に含まれる。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される環状化合物は開鎖形態と平衡で存在し得る。どちらの形態、環状および開形態も含まれる。加えて、本明細書で記載される化合物は、非溶媒和ならびに溶媒和形態で、薬学的に許容される溶媒、例えば水、エタノール、などと共に存在することができる。本明細書で提示される化合物の溶媒和形態もまた、本明細書で開示されると考えられる。加えて、医薬組成物は他の薬用または医薬品、担体、アジュバント、例えば保存、安定、湿潤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩、および/または緩衝液を含み得る。加えて、医薬組成物はまた、他の治療的に有益な物質を含むことができる。
本明細書で記載される化合物を含む組成物を調製するための方法は、化合物を1つ以上の不活性な薬学的に許容される賦形剤または担体と製剤化し、固体、半固体または液体を形成させることを含む。固体組成物としては、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤、および坐薬が挙げられるが、それらに限定されない。液体組成物は、化合物が溶解された溶液、本明細書で記載される化合物を含むエマルジョン、または本明細書で開示される化合物を含むリポソーム、ミセル、もしくはナノ粒子を含む溶液を含む。半固体組成物としては、ゲル、懸濁液およびクリームが挙げられるが、それらに限定されない。組成物は液体溶液または懸濁液で、使用前に液体中で溶解または懸濁するのに好適な固体形態で、またはエマルジョンとして存在し得る。これらの組成物はまた、少量の無毒性の補助物質、例えば湿潤または乳化剤、pH緩衝剤、などを含み得る。
本明細書で記載される化合物を含む組成物は、例示的に、作用物質が溶液、懸濁液、または両方中に存在する液体の形態をとることができる。典型的には組成物が溶液または懸濁液として投与される場合、化合物の第1の部分は溶液で存在し、化合物の第2の部分は微粒子形態で、液体マトリクス中に懸濁して存在する。いくつかの実施形態では、液体組成物はゲル製剤を含み得る。他の実施形態では、液体組成物は水性である。
水性懸濁液はまた、1つ以上のポリマーを懸濁剤として含むことができる。有用なポリマーとしては、水溶性ポリマー例えばセルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、および水不溶性ポリマー、例えば架橋カルボキシル含有ポリマーが挙げられる。有用な組成物はまた、例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボマー(アクリル酸ポリマー)、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリアクリルアミド、ポリカルボフィル、アクリル酸/アクリル酸ブチルコポリマー、アルギン酸ナトリウム、およびデキストランから選択される粘膜付着性ポリマーを含むことができる。
組成物は、本明細書で記載される化合物の溶解度を支援するために可溶化剤を含んでもよい。「可溶化剤」という用語は一般に、作用物質のミセル溶液または真溶液の形成が得られる作用物質を含む。ある一定の許容される非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート80は、眼科的に許容されるグリコール、ポリグリコール、例えば、ポリエチレングリコール400、およびグリコールエーテルであるので、可溶化剤として有用であり得る。
組成物はまた、1つ以上のpH調整剤または緩衝剤を含むことができ、下記が挙げられる:酸、例えば酢酸、ホウ酸、クエン酸、乳酸、リン酸および塩酸;塩基、例えば水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウムおよびトリス−ヒドロキシメチルアミノメタン;ならびに緩衝液、例えばクエン酸塩/デキストロース、重炭酸ナトリウムおよび塩化アンモニウム。そのような酸、塩基および緩衝液は、組成物のpHを許容される範囲で維持するために必要とされる量で含まれる。
組成物はまた、1つ以上の塩を、組成物の浸透圧を許容される範囲にするのに要求される量でを含み得る。そのような塩としては、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムカチオンおよび塩化物、クエン酸、アスコルビン酸、ホウ酸、リン酸、重炭酸、硫酸、チオ硫酸または亜硫酸水素アニオンを有するものが挙げられ;好適な塩としては塩化ナトリウム、塩化カリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウムおよび硫酸アンモニウムが挙げられる。
他の組成物はまた、微生物の活性を阻止するために1つ以上の保存剤を含み得る。好適な保存剤としては水銀含有物質、例えばメルフェン(merfen)およびチオメルサール;安定化二酸化塩素;ならびに四級アンモニウム化合物、例えば塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよび塩化セチルピリジニウムが挙げられる。
さらに他の組成物は、物理的安定性を増強させるため、または他の目的のために1つ以上の界面活性剤を含み得る。好適な非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリドおよび植物油、例えば、ポリオキシエチレン(60)水素化ヒマシ油;ならびにポリオキシエチレンアルキルエーテルおよびアルキルフェニルエーテル、例えば、オクトキシノール10、オクトキシノール40が挙げられる。
さらに他の組成物は、要求される場合、化学安定性を増強させるために1つ以上の抗酸化剤を含み得る。好適な抗酸化剤としては、ほんの一例として、アスコルビン酸およびメタ重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。
水性懸濁液組成物は1回量の再び密閉できない容器でパッケージすることができる。あるいは、複数回用量の再び密閉できる容器を使用することができ、この場合、保存剤を組成物中に含めることが典型的である。
あるいは、疎水性医薬化合物のための他の送達系が使用され得る。リポソームおよびエマルジョンは疎水性薬物のための送達ビヒクルまたは担体のよく知られた例である。ある一定の有機溶媒、例えばN−メチルピロリドンもまた、使用され得るが、通常、より大きな毒性という代償を払うことになる。加えて、化合物は、徐放系、例えば治療薬を含む固体疎水性ポリマーの半透性マトリクスを使用して送達され得る。様々な徐放材料は確立されており、当業者によりよく知られている。徐放カプセルは、それらの化学的性質によって、化合物を4−24時間の間にわたって放出することができる。治療薬の化学的性質および生物学的安定性によって、タンパク質安定化のための追加の戦略が使用され得る。
本明細書で記載される製剤は全て、抗酸化剤、金属キレート剤、チオール含有化合物および他の一般的な安定化剤から恩恵を受け得る。そのような安定化剤の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:(a)約0.5%〜約2%w/vのグリセロール、(b)約0.1%〜約1%w/vのメチオニン、(c)約0.1%〜約2%w/vのモノチオグリセロール、(d)約1mM〜約10mMのEDTA、(e)約0.01%〜約2%w/vのアスコルビン酸、(f)0.003%〜約0.02%w/vのポリソルベート80、(g)0.001%〜約0.05%w/vのポリソルベート20、(h)アルギニン、(i)ヘパリン、(j)デキストラン硫酸、(k)シクロデキストリン、(l)ペントサンポリサルフェートおよび他のヘパリン類似物質、(m)二価カチオン、例えばマグネシウムおよび亜鉛;または(n)それらの組み合わせ。
例示的な投与方法および治療レジメン
便宜上、このセクションおよび本明細書における他の部分で記載される投与方法および治療レジメンは例として単一の式を使用する。加えて、本明細書で記載される投与方法および治療レジメンは、式(I)の範囲内に含まれる本明細書で提示される全ての式に同様に、うまく当てはまる。例えば、本明細書で記載される投与方法および治療レジメンは、式I、式Ia、式Ib、式Ic、式Id、式Ie、式If、式Ig、式Ih、式II、式IIa、式IIb、式IIc、式IId、式IIe、式IIf、式IIg、式IIh、式III、式IIIa、式IIIb、式IIIc、式IIId、式IIIe、式IIIf、式IIIg、式IIIh、式IV、式V、式VI、式VII、式VIIIのいずれかの構造を有する化合物、ならびにこれらの一般式の範囲内に含まれる特定の化合物の全てに適用することができる。
本明細書で記載される化合物は、特定の疾患または病状の治療または予防のための薬剤の調製において使用することができる。加えて、そのような治療の必要な被験体において本明細書で記載される疾患または病状のいずれかを治療するための方法は、本明細書で記載される少なくとも1つの化合物またはその薬学的に許容される塩、薬学的に許容されるN−オキシド、薬学的に活性な代謝物、薬学的に許容されるプロドラッグ、または薬学的に許容される溶媒和物を含む医薬組成物の、治療的有効量での前記被験体への投与を含む。
本明細書で記載される化合物(複数可)を含む組成物は、予防的および/または治療的処置のために投与することができる。治療的適用では、組成物が、すでに疾患または病状を患う患者に、疾患または病状の症状を治癒する、または少なくとも部分的に抑止するのに十分な量で投与される。この使用に有効な量は、疾患または病状の重症度および経過、前の治療法、患者の健康状態、体重、および薬物への応答、ならびに治療している医師の判断に依存するであろう。そのような治療的有効量をルーチン実験(例えば、限定はされないが、用量漸増臨床試験)により決定することは、十分当技術分野の技術の範囲内であると考えられる。
予防的適用では、本明細書で記載される化合物を含む組成物が、特定の疾患、障害、または病状にかかりやすい、またはそうでなければ、そのリスクがある患者に投与される。そのような量は、「予防的に有効な量または用量」であると規定される。この使用では、正確な量はまた、患者の健康状態、体重、などに依存する。そのような予防的に有効な量をルーチン実験(例えば、用量漸増臨床試験)により決定することは、十分当技術分野の技術の範囲内であると考えられる。患者において使用される場合、この使用のための有効量は疾患、障害または病状の重症度および経過、前の治療法、患者の健康状態および薬物への応答、治療している医師の判断に依存するであろう。
患者の病状が改善しない場合、医師の分別によって、患者の疾患または病状の症状を寛解させる、またはそうでなければ制御もしくは制限するために、本明細書で記載される化合物の投与は慢性的に、すなわち、長期間、例えば患者の寿命を通して投与され得る。
患者の状態が改善した場合、医師の分別によって、本明細書で記載される化合物の投与は、連続して与えてもよく;あるいは、投与される本明細書で記載される化合物の用量は、ある一定の長さの期間の間、一時的に低減されてもよく、または、一時的に中断されてもよい(すなわち、「休薬期間」)。休薬期間の長さは2日〜1年の間で変動する可能性があり、例えば、ほんの一例として、2日、3日、4日、5日、6日、7日、10日、12日、15日、20日、28日、35日、50日、70日、100日、120日、150日、180日、200日、250日、280日、300日、320日、350日、および365日が挙げられる。休薬期間中の用量低減は10%−100%、例えば、ほんの一例として10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、および100%としてもよい。
患者の病状の改善が起きるとすぐに、維持量が必要に応じて投与される。その後、投与量または投与頻度、または両方は、症状の関数として、疾患、障害または病状の改善された状態が維持されるレベルまで低減させることができる。しかしながら、患者は、症状の再発により、長期的に間欠治療を要求する。
そのような量に対応するある作用物質の量は、特定の化合物、疾患状態およびその重症度、治療の必要な被験体または宿主のアイデンティティ(例えば、年齢、体重、性別、など)などの因子によって変動するが、それにもかかわらず、当技術分野で知られているように、症例を取り囲む特定の状況、例えば、例として、投与される特定の作用物質、投与経路、治療される病状、および治療される被験体または受給者に従い、ルーチン的に決定することができる。しかしながら、一般に、成人ヒトの治療のために使用される用量は、典型的には0.02−5000mg/日、いくつかの実施形態では1−1500mg/日の範囲である。所望の用量は、便宜上、単回投与で、または同時に(または、短期間にわたって)投与される分割用量としてまたは適切な間隔で、例えば2、3、4またはそれ以上のサブ用量/日として提供され得る。
本明細書で記載される医薬組成物は、正確な投与量の単回投与に好適な単位剤形であってもよい。単位剤形では、製剤は適切な量の1つ以上の化合物を含む単位用量に分割される。単位投与量は別々の量の製剤を含むパッケージの形態であってもよい。非限定的な例はパッケージ錠剤またはカプセル、およびバイアルまたはアンプル内の粉末である。水性懸濁液組成物は1回用量の再び密閉できない容器中でパッケージすることができる。あるいは、複数回用量の再び密閉できる容器を使用することができ、この場合、保存剤を組成物中に含めることが典型的である。ほんの一例として、非経口注射のための製剤は単位剤形(アンプルが挙げられるが、それらに限定されない)、または保存剤が添加された複数回投与容器で提供することができる。
本明細書で記載される化合物のために適切な1日投与量は約0.01〜2.5mg/kg体重である。より大きな哺乳類、例えば、限定はされないが、ヒトにおいて示される1日投与量は、約0.5mg〜約100mgの範囲であり、便宜上分割用量で、例えば、限定はされないが、1日4回まで、または持続放出形態で投与される。経口投与のための好適な単位剤形は約1mg〜約50mgの活性成分を含む。前記範囲は示唆にすぎず、というのも、個々の治療レジームに関する変数の数は大きく、これらの推奨値からのかなりの逸脱はまれでないからである。そのような投与量は、多くの変数、限定はされないが、使用される化合物の活性、治療される疾患または病状、投与方法、個々の被験体の要求、治療される疾患または病状の重症度、および施術者の判断によって変化させることができる。
そのような治療レジメンの毒性および治療効力は細胞培養または実験動物における標準医薬手順、例えば、限定はされないが、LD50(集団の50%に対して致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効な用量)の決定により決定することができる。毒性効果と治療効果の間の用量比は治療指数であり、これは、LD50とED50の間の比として表すことができる。高い治療指数を示す化合物が好ましい。細胞培養アッセイおよび動物試験から得られるデータは、ヒトにおいて使用するための投与量の範囲を製剤化する際に使用することができる。そのような化合物の投与量は、好ましくは、ED50を含み、毒性が最小である血中濃度の範囲内にある。投与量は、使用される剤形および使用される投与経路によって、この範囲内で変動し得る。
そのような治療が必要な患者の治療を実施する際には、発明の化合物は、化合物を生物が利用可能なものとする任意の形態および経路で投与することができる。発明の化合物は様々な経路、例えば経口および非経口経路により、より特定的には吸入により、皮下に、筋肉内に、静脈内に、経皮的に、鼻腔内に、直腸に、経膣的に、眼に、局所的に、舌下に、および口腔に、腹腔内に、静脈内に、動脈内に、経皮的に、舌下に、筋肉内に、直腸に、口腔に、鼻腔内に、脂肪内に、くも膜下腔内におよび、例えばカテーテルまたはステントによる局所送達により投与することができる。
当業者は、選択された化合物の特定の特性、治療される障害または病状、障害または病状の段階、および他の関連する状況によって、投与の適正な形態および経路を容易に選択することができる。本発明の医薬組成物は患者に、例えば、錠剤、カプセル、カシェ剤、紙、ロゼンジ、ウエハ、エリキシル剤、軟膏剤、経皮パッチ、エアロゾル、吸入薬、坐薬、溶液、および懸濁液の形態で投与され得る。
本発明の医薬組成物は医薬分野においてよく知られているように調製され、発明の化合物の少なくとも1つを活性成分として含む。本発明の化合物の量は、その特定の形態によって変動する可能性があり、便宜上単位剤形の重量の1%〜約70%とすることができる。「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、医薬組成物を調製する際に典型的に使用されるものを示し、使用される量で、薬学的に純粋で無毒でなければならない。それらは一般に固体、半固体、または液体材料であり、それらは、活性成分のためのビヒクルまたは媒質として機能することができる。
薬学的に許容される賦形剤のいくつかの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences and the Handbook of Pharmaceutical Excipientsにおいて見出され、希釈剤、ビヒクル、担体、軟膏剤ベース、バインダ、崩壊剤、潤滑剤、滑剤、甘味剤、香味剤、ゲルベース、徐放マトリクス、安定化剤、保存剤、溶媒、懸濁剤、緩衝液、乳化剤、染料、噴射剤、コーティング剤、などが挙げられる。
本医薬組成物は、好ましくは単位剤形で製剤化され、各投与量は典型的には約0.5mg〜約1000mgの、発明の化合物を含む。「単位剤形」という用語は、単回投与量として好適な物理的に別々の単位を示し、各単位はあらかじめ決められた量の活性成分を、好適な医薬賦形剤と共に含み、これにより、1つ以上が所望の治療効果を得るために投与レジメンを通して使用される。
1つの特定のバリエーションでは、組成物は、経口投与のために適合された医薬組成物、例えば、経口投与のために適合された液体製剤、例として、溶液または懸濁液、または錠剤もしくはカプセルである。さらに別の特定のバリエーションでは、医薬組成物は、非経口投与のために適合された液体製剤である。
別の実施形態では、発明は、必要のある患者に有効量の、発明の化合物を投与することを含む、JAKと関連する病状を治療する方法を提供する。別の実施形態では、発明は、酵素を発明の化合物と接触させることを含む、JAKを阻止する方法を提供する。さらなる実施形態では、発明は、インビボで発明の化合物に変換される第1の化合物を被験体に投与することを含む、JAKを阻止する方法を提供する。
「JAKと関連する病状」としては、JAKの阻害により治療効果が提供される障害および疾患、例えば癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾患および病状、炎症、中枢神経系(CNS)の疾患および病状、心血管疾患、ウイルス感染、皮膚疾患、ならびに制御されない血管新生に関連する疾患および病状、などが挙げられる。JAKと関連する病状を説明するために、一般用語が本明細書で使用される場合、様々な診断マニュアルおよび他の材料において言及される、より特定的に記載される病状はこの発明の範囲内に含まれることが理解される。
例えば、癌の治療は、それらの病理組織学的な外観に関係なく、全ての新生物の治療を含むことが理解される。特に、治療することができる癌としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:血液の癌、例えば骨髄線維症、白血病(急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病を含む)、皮膚の癌、例えばメラノーマ、基底細胞がん、および扁平上皮がん、骨、肝臓、肺(小細胞肺腫瘍、非小細胞肺癌および気管支肺胞上皮癌を含む)、脳、乳房、前立腺、喉頭、胆嚢、膵臓、直腸、胆管、副甲状腺、甲状腺、副腎、神経組織、膀胱、脾臓、頭頸部、下顎、口、および鼻が含まれる、結腸、胃、精巣、食道、子宮、子宮頸部および外陰、結腸直腸、気管支、胆管、膀胱、腎臓、卵巣、膵臓の癌、多発性骨髄腫、リンパ腫、基底細胞がん、潰瘍化および乳頭型の両方の扁平上皮がん、骨肉腫、ユーイング肉腫、細網肉腫、骨髄腫、巨細胞腫、膵島腫瘍、急性および慢性リンパ球性および顆粒球性腫瘍、ヘアリー細胞腫瘍、腺腫、過形成、髄様がん、褐色細胞腫、粘膜神経腫、腸管神経節腫、過形成性角膜神経腫瘍、マルファノイド体質腫瘍、ウィルムス腫瘍、精上皮腫、卵巣腫瘍、平滑筋腫腫瘍、子宮頸部異形成および上皮内がん、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、骨髄異形成症候群、真菌症殺真菌薬、横紋筋肉腫、星状細胞腫、非ホジキンリンパ腫、カポジ肉腫、骨肉腫および他の肉腫、悪性高カルシウム血症、真性多血症、腺がん、多形神経膠芽腫、神経膠腫、リンパ腫、類表皮がん、ならびに他の癌腫および肉腫。
良性腫瘍もまた、本発明の化合物により治療することができ、下記が挙げられるが、それらに限定されない:血管腫、肝細胞腺腫、海綿状血管腫、限局性結節性過形成、聴神経腫瘍、神経線維腫、胆管腺腫、胆管嚢腺腫、線維腫、脂肪腫、平滑筋腫、中皮腫、奇形腫、粘液腫、結節性再生性過形成、トラコーマ、化膿性肉芽腫、など、ならびに過誤腫状態、例えばポイツ・ジェガース症候群(PJS)、カウデン病、バナヤン・ライリー・ルバルカバ症候群(BRRS)、プロテウス症候群、レルミット・デュクロ病および結節性硬化症(TSC)。
本発明の化合物はまた、外科手術中での体組織への侵襲による異常細胞増殖を治療するために使用され得る。これらの侵襲は、様々な外科的手順、例えば関節手術、腸手術、およびケロイド瘢痕の結果として生じ得る。線維性組織を生成させる疾患としては肺気腫が挙げられる。本発明を使用して治療することができる反復性運動障害としては、手根管症候群が挙げられる。
発明の化合物はまた、脈管構造疾患の治療におけるステントの導入による、脈管構造における正常細胞の望ましくない増殖の制御である、再狭窄の防止において有用であり得る。
発明のJAK阻害剤を使用して治療することができる臓器移植と関連する増殖性応答としては、潜在的な臓器拒絶反応または関連する合併症の一因となる増殖性応答が挙げられる。特定的には、これらの増殖性応答は、心臓、肺、肝臓、腎臓、および他の体内臓器または臓器系の移植中に起こり得る。
発明の化合物はまた、下記に付随する異常血管新生を含む異常血管新生の治療で有用であり得る:関節リウマチ、虚血性再灌流関連脳浮腫および傷害、皮質虚血、卵巣過形成および血管過多、(多嚢胞性卵巣症候群)、子宮内膜症、乾癬、糖尿病性網膜症、および他の眼内血管新生疾患、例えば未熟児網膜症(後水晶体線維増殖症)、黄斑変性症、角膜移植後拒絶反応、神経性(neuroscular)緑内障、Oster Webber症候群、網膜/脈絡膜新生血管および角膜新血管新生、ベスト病、近視、視窩、シュタルガルト病、パジェット病、静脈閉塞、動脈閉塞、鎌状赤血球貧血、サルコイド、梅毒、弾性線維性仮性黄色腫頸動脈閉塞疾患、慢性ぶどう膜炎/硝子体炎、マイコバクテリア感染、ライム病、全身性エリテマトーデス、未熟児網膜症、イールズ病、糖尿病性網膜症、黄斑変性症、ベーチェット病、網膜炎または脈絡膜炎を引き起こす感染、推定眼ヒストプラスマ症候群、毛様体扁平部炎、慢性網膜剥離、過粘稠度症候群、トキソプラズマ症、外傷およびレーザー後合併症、虹彩血管新生と関連する疾患(隅角の新血管新生)、全ての形態の増殖性硝子体網膜症を含む血管結合組織または線維組織の異常増殖により引き起こされる疾患、アトピー性角膜炎、上輪部角膜炎、翼状片乾性角膜炎、シェーグレン、酒さ性ざ瘡、フリクテン症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、角膜移植後拒絶反応、モーレン潰瘍、テリエン周辺変性、辺縁角質溶解、多発動脈炎、ウェゲナーサルコイドーシス、強膜炎、類天疱瘡放射状角膜切開、血管新生緑内障および後水晶体線維増殖症、梅毒、マイコバクテリア感染、脂質変性、化学熱傷、細菌性潰瘍、真菌性潰瘍、単純ヘルペス感染、ヘルペス帯状疱疹感染、原虫感染、およびカポジ肉腫、アルツハイマー病、パーキンソン病筋萎縮性側索硬化症(ALS)、てんかん、てんかん発作、ハンチントン病、ポリグルタミン病、外傷性脳損傷、虚血性および出血脳卒中、脳虚血または神経変性疾患、例えば、外傷性障害、急性低酸素症、虚血またはグルタミン酸神経毒性により引き起こされるアポトーシス駆動神経変性疾患。
例えば、炎症の治療は、下記を含むが、それらに限定されないことが理解される:急性膵炎、慢性膵炎、喘息、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸促迫症候群および制御されない血管新生と関連する慢性炎症疾患、炎症性腸疾患、例えばクローン病および潰瘍性大腸炎、乾癬、サルコイドイス(sarcoidois)、および関節リウマチ、サルコイドーシス、および多系統肉芽腫性障害。
例えば、自己免疫性の治療は、下記を含むが、それらに限定されないことが理解される:糸球体腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、慢性甲状腺炎、グレーブス病、自己免疫性胃炎、糖尿病、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性好中球減少症、血小板減少症、アトピー性皮膚炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、多発性硬化症、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、移植片対宿主病、多発性硬化症、またはシェーグレン症候群。
本発明の化合物はまた、肥満、糖尿病、インスリン抵抗性、メタボリックシンドローム、および高脂血症を治療するのに有用である。
多種多様の治療薬が本発明による化合物との治療の相加的または相乗的効果を有し得る。本発明の1つ以上の化合物を1つ以上の他の治療薬と共に含む併用療法は、例えば、下記のために使用することができる:(1)本発明の1つ以上の化合物および/または1つ以上の他の治療薬の治療効果(複数可)を増強させる;(2)本発明の1つ以上の化合物および/または1つ以上の他の治療薬により示される副作用を低減させる;および/または(3)本発明の1つ以上の化合物および/または1つ以上の他の治療薬の有効用量を低減させる。併用療法は、作用物質が互いの前または後に投与される場合(連続療法)ならびに作用物質が同時に投与される場合を含むことが意図されることが示されている。
本化合物と組み合わせて使用され得るそのような治療薬の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:抗細胞増殖剤、抗癌剤、アルキル化剤、抗生物質製剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、植物由来作用物質、および生物剤。
本明細書で開示される化合物と組み合わせて使用され得るそのような治療薬の例としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:抗細胞増殖剤、抗癌剤、アルキル化剤、抗生物質製剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、植物由来作用物質、および生物剤。
本発明の化合物と組み合わせて有用な抗細胞増殖剤としては下記が挙げられるが、それらに限定されない:レチノイド酸およびその誘導体、2−メトキシエストラジオール、アンジオスタチン(商標)タンパク質、エンドスタチン(商標)タンパク質、スラミン、スクアラミン、組織メタロプロテアーゼ阻害物質−I、組織メタロプロテアーゼ阻害物質−2、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター−1、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター−2、軟骨由来の阻害剤、パクリタキセル、血小板第4因子、硫酸プロタミン(クルペイン)、硫酸化キチン誘導体(クイーンクラブ殻から調製)、硫酸化ポリサッカライドペプチドグリカン複合体(sp−pg)、スタウロスポリン、マトリクス代謝のモジュレーター、例えば、例として、プロリン類似体((1−アゼチジン−2−カルボン酸(LACA)、シスヒドロキシプロリン、d,l−3,4−デヒドロプロリン、チアプロリン、フマル酸β−アミノプロピオニトリル、4−プロピル−5−(4−ピリジニル)−2(3H)−オキサゾロン、メトトレキサート、ミトキサントロン、ヘパリン、インターフェロン、2マクログロブリン−血清、chimp−3、キモスタチン、β−シクロデキストリンテトラデカスルフェート、エポネマイシン(eponemycin);フマギリン、金チオリンゴ酸ナトリウム、d−ペニシラミン(CDPT)、β−1−アンチコラゲナーゼ−血清、α−2−プラスミンインヒビター、ビサントレン、ロベンザリット二ナトリウム、n−(2−カルボキシフェニル−4−クロロアントラニル酸二ナトリウムまたは「CCA」、サリドマイド、血管新生抑制ステロイド、カルボキシナミノールミダゾール(cargboxynaminolmidazole)、メタロプロテアーゼ阻害剤、例えばBB94。使用され得る他の抗血管新生剤としては、これらの血管新生成長因子に対する抗体、好ましくはモノクローナル抗体が挙げられる:bFGF、aFGF、FGF−5、VEGFアイソフォーム、VEGF−C、HGF/SFおよびAng−1/Ang−2。
mTOR、PI3K、MEK、MAPK、またはERKキナーゼの阻害剤は、本発明の化合物と組み合わせて有用である。具体的には、(R)−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−8−メチルピリド[2,3−d]ピリミジン−4,7(3H,8H)−ジオンが本発明の化合物と組み合わせて有用である。ヘッジホッグキナーゼの阻害剤は本発明の化合物と組み合わせて有用である。プロテアソーム阻害剤、特にボルテゾミブは本発明の化合物と組み合わせて有用である。
NAE阻害剤、VPS34阻害剤、オーロラキナーゼ、例えばオーロラA阻害剤、およびEGFR阻害剤(抗体およびキナーゼ阻害剤の両方)は本発明の化合物と組み合わせて有用である。
本明細書で開示される化合物と組み合わせて有用なアルキル化剤としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:ビスクロロエチルアミン(ナイトロジェンマスタード、例えばクロランブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ウラシルマスタード)、アジリジン(例えばチオテパ)、アルキルアルコンスルホネート(alkyl alkone sulfonate)(例えばブスルファン)、ニトロソウレア(例えばカルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン)、非古典的アルキル化剤(アルトレタミン、ダカルバジン、およびプロカルバジン)、白金化合物(カルボプラチン(carboplastin)およびシスプラチン)。JAK阻害剤およびアルキル化剤を含む併用療法は、癌の治療において治療相乗効果を有し、これらの化学療法薬と関連する副作用を低減させることが予期される。
本明細書で開示される化合物と組み合わせて有用な抗生物質製剤の例としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:アントラサイクリン(例えばドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシンおよびアントラセンジオン)、マイトマイシンC、ブレオマイシン、ダクチノマイシン、プリカトマイシン(plicatomycin)。これらの抗生物質製剤は、異なる細胞成分を標的にすることにより細胞増殖を妨害する。
本明細書で開示される化合物と組み合わせて有用な代謝拮抗剤としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:フルオロウラシル(5−FU)、フロクスウリジン(5−FUdR)、メトトレキサート、ロイコボリン、ヒドロキシ尿素、チオグアニン(6−TG)、メルカプトプリン(6−MP)、シタラビン、ペントスタチン、リン酸フルダラビン、クラドリビン(2−CDA)、アスパラギナーゼ、およびゲムシタビン。本明細書で開示される化合物および代謝拮抗剤を含む併用療法は、癌に対して治療相乗効果を有し、これらの化学療法薬と関連する副作用を低減させることが予期される。
本明細書で開示される化合物と組み合わせて有用なホルモン剤としては、合成エストロゲン(例えば、ジエチルスチルベストロール)、抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、フルオキシメステロール(fluoxymesterol)およびラロキシフェン)、抗アンドロゲン薬(ビカルタミド、ニルタミド、およびフルタミド)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アミノグルテチミド、アナストロゾールおよびテトラゾール)、ケトコナゾール、ゴセレリン酢酸塩、リュープロリド、酢酸メゲストロールおよびミフェプリストンが挙げられる。本明細書で開示される化合物およびホルモン剤を含む併用療法は、癌に対して治療相乗効果を有し、これらの化学療法薬と関連する副作用を低減させることが予期される。
本明細書で開示される化合物と組み合わせて有用な植物由来作用物質としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:ビンカアルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、ビンゾリジンおよびビノレルビン)、ポドフィロトキシン(例えば、エトポシド(VP−16)およびテニポシド(VM−26))、タキサン(例えば、パクリタキセルおよびドセタキセル)。これらの植物由来作用物質は、一般に、チューブリンに結合し、有糸分裂を阻害する有糸分裂阻害薬として作用する。ポドフィロトキシン、例えばエトポシドは、トポイソメラーゼIIを妨害し、DNA鎖切断に至らしめることにより、DNA合成を妨害すると考えられる。本明細書で開示される化合物および植物由来作用物質を含む併用療法は癌に対して治療相乗効果を有し、これらの化学療法薬と関連する副作用を低減させることが予期される。
本明細書では、「有効量」という用語は、言及される病状を患う患者を単回または複数回用量投与で治療する発明の化合物の量を示す。有効量は、当業者としての担当診断医により、周知の技術を使用することにより、類似の状況下で得られる結果を観察することにより容易に決定することができる。有効量、用量の決定においては、多くの因子が、担当診断医により考慮され、限定はされないが、下記が挙げられる:患者の種;そのサイズ、年齢、および全体的な健康;関連する特定の病状、障害、または疾患;病状、障害、または疾患の関与の程度または重症度、個々の患者の応答;投与される特定の化合物;投与方法;投与される調製物のバイオアベイラビリティ特性;選択される用量レジメン;併用薬物の使用;ならびに他の関連する状況。本使用発明、例えば発明の化合物の有効量は、体重1kgあたり、1日に約0.1ミリグラム(mg/kg/日)〜約40mg/kg/日で変動することが予期される。特定の量は当業者により決定され得る。
特定の実施形態では、本発明は、必要のある患者に有効量の、発明の化合物を投与することを含む、癌を治療するための方法を提供する。
発明はまた、発明の少なくとも1つの化合物およびラベルを含む製造物品を提供する。ラベルは、製造者、用量、治療される病状、および化合物または医薬組成物の使用についての情報を含み得る。
別の実施形態では、発明は、発明の少なくとも1つの化合物、ラベル、および投与のための装置を含むキットを提供する。装置は、混合バイアル、溶液または懸濁液を形成するための液体、チューブ、シリンジ、などを含み得る。
化合物
明細書を通して、基およびその置換基は、安定な部分および化合物を提供するように当業者により選択され得る。
化合物の例示的なさらなる形態
本明細書で記載される化合物は1つ以上の立体中心を有することができ、各中心は、RまたはS配置で存在することができる。本明細書で提示される化合物は全てのジアステレオマー、鏡像異性体、およびエピマー形態ならびにその適切な混合物を含む。立体異性体の分離は、クロマトグラフィーに実施され得る。あるいは、個々の立体異性体は、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させ、ジアステレオ異性化合物の対を形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋な鏡像異性体を回収することにより取得され得る。
鏡像異性体の分割は、本明細書で記載される化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を使用して実施することができ、解離性複合体もまた可能である(例えば、結晶ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは明らかな物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性、など)を有し、これらの相違点を利用することにより容易に分離することができる。ジアステレオマーは、キラルクロマトグラフィーにより、または溶解度の違いに基づく分離/分割技術により分離することができる。光学的に純粋な鏡像異性体はその後、分割剤と共に、ラセミ化が得られることのない任意の実用的手段により回収される。化合物の立体異性体のそれらのラセミ混合物からの分割に適用可能な技術のより詳細な説明はJean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981(本明細書でその全体が参照により組み込まれる)において見出すことができる。立体異性体はまた、立体選択的合成により得ることもできる。
場合によっては、化合物は、互変異性体として存在し得る。全ての互変異性体は、本明細書で記載される式に含まれる。
場合によっては、本明細書で記載される環状化合物は開鎖形態と平衡にある場合がある。閉環状形態ならびに閉環状形態と平衡にある対応する開鎖形態は、本開示の一部であると考えられる。
本明細書で記載される方法および製剤は、本明細書で記載される化合物のN−オキシド、結晶形態(多形としても知られている)、または薬学的に許容される塩、ならびに同じ型の活性を有するこれらの化合物の活性代謝物の使用を含む。場合によっては、化合物は、互変異性体として存在し得る。全ての互変異性体は本明細書で提示される化合物の範囲内に含まれる。加えて、本明細書で記載される化合物は、非溶媒和ならびに溶媒和形態で、薬学的に許容される溶媒、例えば水、エタノール、などと共に存在することができる。本明細書で提示される化合物の溶媒和形態もまた、本明細書で開示されると考えられる。
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される化合物はプロドラッグとして調製される。「プロドラッグ」は、インビボで親薬物に変換される作用物質を示す。プロドラッグはしばしば有用であり、というのも、場合によっては、それらは親薬物よりも投与が容易であり得るからである。それらは、例えば、経口投与により生物が利用可能であるが、親はそうではない。プロドラッグはまた、医薬組成物において、親薬物よりも改善された溶解度を有し得る。限定はされないが、プロドラッグの例は本明細書で記載される化合物であり、これは、水溶性が移動性に弊害のある細胞膜を横切る伝送を促進するエステル(「プロドラッグ」)として投与されるが、これはその後、水溶性が有益な細胞に入るとするぐに、代謝により加水分解されカルボン酸、活性実体となる。プロドラッグのさらなる例は酸基に結合された短ペプチド(ポリアミノ酸)であり、この場合、ペプチドは代謝され、活性部分が明らかになる。ある一定の実施形態では、インビボ投与では、プロドラッグは、化合物の生物学的に、薬学的にまたは治療的に活性な形態に化学的に変換される。ある一定の実施形態では、プロドラッグは酵素的に、1つ以上の工程またはプロセスにより代謝され、化合物の生物学的に、薬学的にまたは治療的に活性な形態となる。
プロドラッグを生成させるためには、薬学的に活性な化合物が、インビボ投与されると活性化合物が再生されるように修飾される。プロドラッグは、薬物の代謝安定性または輸送特性を変化させる、副作用または毒性をマスクする、薬物の香味を改善する、または薬物の他の特性または性質を変化させるように設計することができる。インビボでの薬力学的プロセスおよび薬物代謝の知識のために、当業者は、薬学的に活性な化合物がわかればすぐに、化合物のプロドラッグを設計することができる。例えば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, 388−392ページ; Silverman (1992), The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, Academic Press, Inc., San Diego,352−401ページ, Saulnier et al., (1994), Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. (1985)(各々が、その全体として参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
本明細書で記載される化合物のプロドラッグ形態は、プロドラッグがインビボで代謝され、本明細書で明記される誘導体が生成される場合、特許請求の範囲内に含まれる。場合によっては、本明細書で記載される化合物のいくつかは、別の誘導体または活性化合物のためのプロドラッグであってもよい。
プロドラッグはしばしば有用であり、というのも、場合によっては、それらは親薬物よりも投与が容易であり得るからである。それらは、例えば、経口投与により生物利用可能とすることができるが、親はそうではない。プロドラッグはまた、医薬組成物中で親薬物よりも改善された溶解度を有し得る。プロドラッグは、部位特異的な組織への薬物輸送を増強させる修飾剤として使用するために、可逆薬物誘導体として設計され得る。いくつかの実施形態では、プロドラッグの設計は、有効な水溶性を増加させる。例えば、Fedorak et al., Am. J. Physiol., 269:G210−218 (1995); McLoed et al., Gastroenterol, 106:405−413 (1994); Hochhaus et al., Biomed. Chrom., 6:283−286 (1992); J. Larsen and H. Bundgaard, Int. J. Pharmaceutics, 37, 87 (1987); J. Larsen et al., Int. J. Pharmaceutics, 47, 103 (1988); Sinkula et al., J. Pharm. Sci., 64:181−210 (1975); T. Higuchi and V. Stella, Pro−drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14 of the A.C.S. Symposium Series;ならびにEdward B. Roche, Bioreversible Carriers in Drug Design, American Pharmaceutical Association and Pergamon Press, 1987(全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
本明細書で記載される化合物の芳香環部分上の部位は様々な代謝反応を受けやすく、そのため、芳香環構造上での適切な置換基、例えば、ほんの一例として、ハロゲンの組み込みはこの代謝経路を低減させ、最小に抑えまたは排除することができる。
本明細書で記載される化合物は同位体的に(例えば、放射性同位元素を用いて)、または他の手段、例えば、限定はされないが、発色団または蛍光部分、生物発光標識、または化学発光標識の使用により標識され得る。
本明細書で記載される化合物は同位体標識された化合物を含み、これらは、1つ以上の原子が自然に通常見られる原子質量または質量数とは異なる原子質量または質量数を有する原子により置換されているという事実を別にすれば、様々な式において列挙されるものおよび本明細書で提示される構造と同一である。本化合物に組み込むことができる同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、フッ素および塩素の同位体、例えば、例として、それぞれ2H、3H、13C、14C、15N、18O、17O、35S、18F、36Clが挙げられる。本明細書で記載されるある一定の同位体標識された化合物、例えば、3Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれたものが薬物および/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。さらに、重水素、すなわち、2Hなどの同位体による置換は代謝安定性の増加、例えばインビボ半減期の増加または投与量要求の低減から得られる、ある一定の治療的利点を提供することができる。
追加のまたはさらなる実施形態では、本明細書で記載される化合物は、必要とする生物に投与されると代謝され、代謝物が生成され、これはその後、所望の効果、例えば所望の治療効果を生成させるために使用される。
本明細書で記載される化合物は、薬学的に許容される塩として形成され、および/または使用され得る。薬学的に許容される塩の型としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:(1)化合物の遊離塩基形態を薬学的に許容される下記のものと反応させることにより形成される酸付加塩:無機酸、例えば、例として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタリン酸、など;または有機酸、例えば、例として、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、4−メチルビシクロ−[2.2.2]オクト−2−エン−1−カルボン酸、グルコヘプトン酸、4,4’−メチレンビス−(3−ヒドロキシ−2−エン−1−カルボン酸)、3−フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸、など;(2)親化合物中に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類イオン(例えばマグネシウム、またはカルシウム)、またはアルミニウムイオン;あるいは有機塩基との配位物のいずれかにより置換された場合に形成される塩。許容される有機塩基としては下記が挙げられる:エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミン、ジシクロヘキシルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、およびアミノ酸例えばアルギニン、リジン、などとの塩。酸性プロトンを含む化合物と塩を形成するのに使用される許容される無機塩基としては、下記が挙げられるが、それらに限定されない:水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、など。
薬学的に許容される塩への言及は、溶媒付加形態またはその結晶形、特に溶媒和物または多形を含むことが理解されるべきである。溶媒和物は化学量論または非化学量論量の溶媒を含み、薬学的に許容される溶媒、例えば水、エタノール、などを用いた結晶化プロセス中に形成され得る。水和物は溶媒が水である場合に形成され、または、溶媒がアルコールである場合アルコラートが形成される。本明細書で記載される化合物の溶媒和物は、便宜上、本明細書で記載されるプロセス中に調製または形成させることができる。加えて、本明細書で提供される化合物は非溶媒和ならびに溶媒和形態で存在することができる。一般に、溶媒和形態は、本明細書で提供される化合物および方法の目的のためには、非溶媒和形態と等価であると考えられる。
本明細書で記載される化合物は、様々な形態、例えば、限定はされないが、アモルファス形態、破砕形態およびナノ微粒子形態で存在することができる。加えて、本明細書で記載される化合物は、多形としても知られている結晶形態を含む。多形は、化合物の同じ元素組成の異なる結晶充填配列を含む。多形は通常、異なるX線回折パターン、赤外線スペクトル、融点、密度、硬度、結晶形、光学および電気特性、安定性、および溶解度を有する。様々な因子、例えば再結晶溶媒、結晶化速度、および貯蔵温度により、単結晶形が優先し得る。
薬学的に許容される塩、多形および/または溶媒和物のスクリーニングおよびキャラクタリゼーションは、様々な技術、例えば、限定はされないが、熱分析、X線回折、分光法、蒸気収着、および顕微鏡法を使用して達成することができる。熱分析方法は熱化学分解または熱物理プロセス、例えば、限定はされないが、多形転移に対処し、そのような方法が、多形形態間の関係を分析する、重量減少を決定する、ガラス転移温度を見出すために、または賦形剤適合性研究のために使用される。そのような方法としては、示差走査熱量測定(DSC)、変調示差走査熱量測定(MDCS)、熱重量分析(TGA)、ならびに熱重量および赤外分析(TG/IR)が挙げられるが、それらに限定されない。X線回折方法としては、単結晶および粉末回折計およびシンクロトロン放射源が挙げられるが、それらに限定されない。使用される様々な分光技術としては、Raman、FTIR、UV−VIS、およびNMR(液体および固体状態)が挙げられるが、それらに限定されない。様々な顕微鏡法技術としては、偏光顕微鏡法、エネルギー分散型X線分析(EDX)を備えた走査電子顕微鏡法(SEM)、EDXを備えた環境走査電子顕微鏡法(ガスまたは水蒸気雰囲気中)、IR顕微鏡法、およびRaman顕微鏡法が挙げられるが、それらに限定されない。
明細書を通して、基およびその置換基は安定な部分および化合物を提供するように当業者により選択され得る。
化合物の例示的な調製
本明細書で記載される化合物の合成は、化学文献で記載される手段を使用して、本明細書で記載される方法を使用して、またはそれらの組み合わせにより達成され得る。
本明細書で記載される化合物は、当業者に知られている標準合成技術を使用して、または当技術分野で知られている方法を本明細書で記載される方法と組み合わせて使用して合成され得る。加えて、本明細書で提示される溶媒、温度および他の反応条件は当業者によって変動し得る。
本明細書で記載される化合物の合成のために使用される開始材料は合成され得、または商業的供給源、例えば、限定はされないが、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee、Wis.)、またはSigma Chemical Co.(St.Louis、Mo.)から入手することができる。本明細書で記載される化合物、および異なる置換基を有する他の関連化合物は、本明細書で記載される技術および材料ならびに当業者に知られている、例えば、例として、下記に記載されるものを使用して合成することができる:March, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4.sup.th Ed., (Wiley 1992); Carey and Sundberg, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4.sup.th Ed., Vols. A and B (Plenum 2000, 2001)、およびGreen and Wuts, PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 3.sup.rd Ed., (Wiley 1999)(各々、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)。
本明細書で開示される化合物の調製のための一般的方法は、当技術分野における公知の反応から誘導することができ、反応は、当業者に認識されるように、本明細書で提供される式において見出される様々な部分を導入するために、適切な試薬および条件を使用することにより改変させることができる。参考のために下記合成方法が使用され得る。
様々な実施形態では、本明細書において、式I:
または式II:
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、類似体、プロドラッグ、異性体もしくは互変異性体が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
2、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式Iおよび式IIの化合物を調製するための特定の合成方法が、下記スキームAに示される:
スキームAでは、工程1および工程2は式(a)の化合物(ここで、R3は、その化合物の最終化合物において要求される通りである)の、式(b)の化合物(ここで、R3は最終化合物において要求される通りであり、Pg1はC1−4アルキルアルキル基である)との反応を示し、式(c)の化合物が得られる。
工程3は、式(d)の化合物を与える式(c)の適切な化合物の反応を示し、ここで、Pg2は保護基である。式(d)の化合物の合成は当技術分野においてよく理解されている。例えば、Nucleosides and Nucleotides, 1997, vol. 16, # 3, 315−338ページ(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
工程4は、式(d)の化合物の式(e)の化合物との反応を示し、式(f)の化合物が得られ、ここでR1、R2、R3、およびG1は式Iの最終化合物で要求される通りであり、Pg1およびPg2は保護基である。そのような鈴木カップリング反応はよく理解され、認識されている。
工程5は、式(f)の化合物の還元を示し、式(g)の化合物が得られる。エステルの対応するアルコールへのそのような還元反応はよく理解され、認識されている。
工程6は、式(g)の化合物の酸化を示し、式(h)の化合物が得られる。アルコールの対応するアルデヒドへのそのような酸化反応はよく理解され、認識されている。
工程7は、式(h)の化合物の環化反応を示し、式(i)の化合物が得られる。そのような環化反応は、様々な条件下で実施することができる。
工程8は、式(i)の化合物の酸化を示し、式(j)の化合物が得られる。そのような脱保護反応は、様々な条件下で実施することができる。
工程9は、式(j)の化合物の変換を示し、式Iまたは式IIの化合物が得られる。当業者に理解されるように、そのような反応は、様々な条件下で実施することができる。
様々な実施形態では、本明細書において、式IIIの化合物:
、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、類似体、プロドラッグ、異性体もしくは互変異性体が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
2、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式IIIの化合物を調製するための特定の合成方法は下記スキームBに示される:
スキームBは、スキームAにおいて上記したものに類似する化学反応に従い、式(B−a)の適切な化合物の変換を示し、式IIIの化合物が得られる。
様々な実施形態では、本明細書において、式Ia:
および式IIa:
の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、類似体、プロドラッグ、異性体もしくは互変異性体が提供される。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式Iaおよび式IIaの化合物を調製するための特定の合成方法がスキームAで示される。
様々な実施形態では、本明細書において、式IIIa:
の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、類似体、プロドラッグ、異性体もしくは互変異性体が提供される。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式IIIaの化合物を調製するための特定の合成方法がスキームBで示される。
様々な実施形態では、本明細書において、式Ib:
および式IIb:
の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、類似体、プロドラッグ、異性体もしくは互変異性体が提供される。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式Ibおよび式IIbの化合物を調製するための特定の合成方法は下記スキームCに示される:
スキームCに示されるように、これらの化合物は、式(h)を有する化合物を開始材料として使用することにより合成することができる。工程C−1は、式(h)の化合物の環化反応を示し、式(C−a)の化合物が得られる。そのような環化反応は、当技術分野で知られている様々な条件下で実施することができる。
工程C−2は、式(C−a)の化合物の還元反応を示し、式(C−b)の化合物が得られる。そのような還元反応は、Et3SiH、TFAなどの様々な条件下で実施することができる。工程C−3は、式(C−b)の化合物の還元反応を示し、式(C−c)の化合物が得られる。工程C−4は、式(C−c)の化合物の変換を示し、式Ibまたは式IIbの化合物が得られる。そのような反応は、当技術分野で知られている様々な条件下で実施される。
様々な実施形態では、本明細書において、式IIIb:
の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、類似体、プロドラッグ、異性体もしくは互変異性体が提供される。発明のこれらの実施形態は、スキームBおよびCに示されるように、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。
様々な実施形態では、本明細書において、式Ic:
;式IIc:
;ならびに式IIIc:
の化合物が提供される。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式Ic;式IIcおよび式IIIcの化合物を調製するための特定の合成方法は下記スキームDに示される:
工程D−1は、求核剤、例えばGrignard試薬のカルボニル上への求核付加反応を示す。ケトンの対応するアルコールへのそのような還元反応は、当分野においてよく理解されている。
様々な実施形態では、本明細書において、式Id:
;式IId:
;ならびに式IIId:
の化合物が提供される。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式Id;式IIdおよび式IIIdの化合物を調製するための特定の合成方法は下記スキームEに示される:
工程E−1は、ケトンの対応するシクロプロピル基への変換を示す。そのような反応は、当分野においてよく理解されている。例えば、米国公開第US2010/292128号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
様々な実施形態では、本明細書において、式Ie:
;式IIe:
;ならびに式IIIe:
の化合物が提供される。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式Ie;式IIeおよび式IIIeの化合物を調製するための特定の合成方法は下記スキームFに示される:
工程F−1は、ケトンの対応するジフルオリドへの変換を示す。そのような反応は、当分野においてよく理解されている。例えば、米国特許第7,265,247号(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。
様々な実施形態では、本明細書において、式If、式IIf、式IIIf、式If、式IIgおよび式IIIgの化合物が提供される。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。これらの化合物を調製するための特定の合成方法は、下記スキームGにおいて提供される。
工程G−1は、ケトンの対応するラクタムへの環拡大反応を示す。そのような反応はよく理解され、認識されている。それらは、様々な条件、例えばSchmidt反応またはBeckmann転位(オキシム中間体を介する)条件下で実施することができる。
様々な実施形態では、本明細書において、式Ih、式IIh、および式IIIhの化合物が提供される。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。これらの化合物を調製するための特定の合成方法は、下記スキームHにおいて提供される。
工程H−1は、式(H−a)と(H−b)、(H−c)、(H−d)を有する化合物の間の鈴木カップリング反応を示し、式(H−e)、(H−f)、(H−g)を有する化合物が得られる。工程H−2は、ブロム化反応を示す。そのような反応は、当分野においてよく理解されている。工程3は、遷移金属触媒C−N結合形成を示す。そのような反応は当業者によく理解されており、様々な条件、例えばBuchwald−Hartwigアミノ化条件下で実施することができる。
様々な実施形態では、本明細書において、式IV:
または式V:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
3’、R
4、G
1、G
2、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式IVおよび式Vの化合物を調製するための特定の合成方法は下記スキームIに示される:
スキームIは、スキームAに示される同様の化学反応に従う、式(I−a)または式(I−b)の化合物の変換を示し、式IVもしくは式Vの化合物が得られる。
様々な実施形態では、本明細書において、式VI:
;式VII:
;または式VIII:
の化合物が提供され;式中R
1、R
2、R
4、G
1、G
2、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。発明のこれらの実施形態は、当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる。式VI、式VIIおよび式VIIIの化合物を調製するための特定の合成方法は下記スキームJに示される:
スキームJは、スキームAに示される同様の化学反応に従う、式(J−a)、式(J−b)または式(J−c)の化合物の変換を示し、式VI、式VIIもしくは式VIIIの化合物が得られる。
スキームA〜Iにおける工程は、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよびIa−h、IIa−h、IIIa−hの化合物を提供するために変化させることができることが、当業者により認識されるであろう。特に、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよびIa−h、IIa−h、IIIa−hの化合物を生成させるのに必要とされる工程の順序は合成される特定の化合物、開始化合物、および置換部分の相対不安定性に依存する。例えば、式(i)の化合物は、式(j)の化合物に2段階シーケンスで変換させることができる:最初に、−OMe基の−OHへの変換;ならびにその後、−OH基のケトンへの酸化。また、例えば、式(d)、(f)、(g)、(h)、(i)の化合物のPg2基は、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよびIa−h、IIa−h、IIIa−hの最終化合物において要求される−(G3)n−R4基で置換することができる。
式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよびIa−h、IIa−h、IIIa−hのいくつかの化合物は、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよびIa−h、IIa−h、IIIa−hの他の化合物に、示されていない追加の工程で生成され得ることもまた理解される。例えば、G2がC=Oである式I、II、IIIの化合物は、求核剤(例えばGrignard試薬)による付加反応を受けることができ、第三級アルコールが得られ、または、ジェミナルなジハライドに変換させることができる。式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよびIa−h、IIa−h、IIIa−hの化合物は様々な他の方法で生成され得る。そのような反応としては、加水分解、酸化、還元、アルキル化、アミド化、スルホン化、アルキン化(alkynation)、アルケン化(alkyenation)、などが挙げられる。また、任意的な工程(図示せず)で、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよびIa−h、IIa−h、IIIa−hの化合物は、当技術分野においてよく知られ、認識されている方法により、薬学的に許容される塩に変換させることができる。
例示的な化合物
式IVに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
式Vに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
式VIに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
式VIIに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
式VIIIに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式Ia:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式Iaに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式Ib:
の化合物が提供される、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式Ibに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式Ic:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式Icに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式Id:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式Idに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式Ie:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式If:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式Ifに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式Ig:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式Igに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式Ih:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIa:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIaに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIb:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIbに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIc:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IId:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIdに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIe:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIeに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIf:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIfに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIg:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIgに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIh:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIIa:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIIaに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIIb:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIIbに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIIc:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
6、R
7、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIIcに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIId:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIIdに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIIe:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIIf:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIIfに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIIg:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。式IIIgに含まれる化合物の特定の非限定的な例は下記である:
。
いくつかの特定の実施形態では、本明細書において、式IIIh:
の化合物が提供され、式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
8、G
1、G
3、およびnは本明細書で規定される通りである。
今、発明を一般的に記載してきたが、これは、下記実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。実施例は例として提供され、特定されない限り、本発明を制限することを意図しない。
実施例
調製A:エチル1−(オキサン−2−イル)−4−{1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル}−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート:
エチル4−ブロモ−1−(オキサン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(ピラゾールの窒素原子でのテトラヒドロピラン基の位置異性体の混合物として)(7.9g、26.23mmol)、4−(テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン(6.4g、26.23mmol)、およびPd(PPh3)4(1.8g、1.57mmol)を脱気DMF(100mL)およびNaHCO3(飽和、50mL)中に窒素雰囲気下で溶解した。
得られた混合物を、100℃で5時間撹拌し、室温まで冷却し、薄いセライトパッドに通して濾過した(酢酸エチルで溶離)。有機層を水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製し(石油エーテル:酢酸エチル=2:1で溶離)、7.8gの標題化合物を黄色固体として得た。[M+H]観測値341。
調製B:[1−(オキサン−2−イル)−4−{1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル}−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール:
エチル1−(オキサン−2−イル)−4−{1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル}−1H−ピラゾール−3−カルボキシレート(7.8g、22.94mmol)を含むTHF(100mL)の撹拌溶液に、LiALH4(3g、70mmol)を3回に分けて0℃で添加した。得られた混合物を、室温で一晩撹拌した。反応が完了したと判断した時に、水(3mL)により反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、5.5gの標題化合物をオフホワイト固体として得た。[M+H]観測値299。
調製C:1−(オキサン−2−イル)−4−{1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル}−1H−ピラゾール−3−カルバルデヒド:
[1−(オキサン−2−イル)−4−{1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル}−1H−ピラゾール−3−イル]メタノール(5.5g、18.46mmol)を含むジクロロメタン(40mL)の撹拌溶液に、Dess−Martin試薬(11.7g、27.68mmol)を添加した。反応混合物を、3時間室温で撹拌した。TLCにより、反応の完了が示された時に、NaHCO3水溶液(飽和、100mL)で反応停止させ、酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮して粗生成物を得た。カラムクロマトグラフィーにより精製し(DCM:MeOH=20:1で溶離)、4.6gの標題化合物を、黄色固体として得た。[M+H]観測値297。
調製D:7−メトキシ−4−(オキサン−2−イル)−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン:
1−(オキサン−2−イル)−4−{1H−ピロロ[2,3−b]ピリジン−4−イル}−1H−ピラゾール−3−カルバルデヒド(1.88g、6.35mmol)を含むMeOH(280mL、0.023mol/Lの濃度)の撹拌溶液に、KOH(3.56g、27.68mmol)を添加した。反応混合物を、室温で42時間撹拌した。TLCにより、反応の完了が示された時に、pHを、HCl(4M MeOH溶液)の添加により、7に調整した。
反応混合物を濃縮し、クロマトグラフィーカラムにより、酢酸エチルで溶離して精製し、370mgの標題化合物を得た。LC−MSにより、生成物は上記で示される対応するアルコールを約30%含んだ。[M+H]観測値311。
調製E:4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−7−オン:
7−メトキシ−4−(オキサン−2−イル)−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン(1.0g、約30%のアルコール副産物を含む)を含むCH3CN/H2O(30mL、2:1、V:V)の撹拌溶液に硝酸セリウムアンモニウム(4.6g、27.68mmol)を添加した。反応混合物を、0℃で3時間撹拌した。TLCにより反応の完了が示された時に、pHを、飽和Na2CO3水溶液を添加することにより、9−10に調整した。
反応混合物を凍結乾燥させ、残渣をクロマトグラフィーカラムにより、DCM:MeOH=20:1〜5:1で溶離して精製し、150mgの標題化合物を得た。[M+H]観測値211。
実施例1:3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−4−イル}プロパンニトリル:
実施例2:3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2(6),3,8,11,13−ヘキサエン−5−イル}プロパンニトリル:
4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−7−オン(0.15g、0.71mmol)を含むDMSO(2mL)の撹拌溶液に3−シクロペンチルアクリロニトリル(0.09g、0.71mmol)、K2CO3(15mg、0.15当量)を添加した。反応混合物を、室温で3日間撹拌した。TLCにより、反応の完了が示された時に、水を添加した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、水、ブラインで洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、真空下で濃縮した。
得られた残渣を、分取TLCにより、ヘキサン:EtOAc(10:1)で溶離して精製し、80mgの3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−4−イル}プロパンニトリル、[M+H]観測値332;ならびに40mgの3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2(6),3,8,11,13−ヘキサエン−5−イル}プロパンニトリル、[M+H]観測値332を得た。
実施例3:(3S)−3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−4−イル}プロパンニトリル:
。
実施例4:(3R)−3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−4−イル}プロパンニトリル:
。
3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−4−イル}プロパンニトリル(実施例1)を、キラルSFC[ChiralPakAD−H、250×30mmI.D.カラム、流速=50mL/分、移動相:液体CO2に対してAおよびIPAに対してB、勾配:B40%]により分離し、実施例3((3S)−3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−4−イル}プロパンニトリル、50mg)および実施例4((3R)−3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−4−イル}プロパンニトリル、58mg)を得た。
キラル分析カラム[ChiralPakAD−H、250×4.6mmカラム、流速=2.4mL/分、移動相:CO2に対してAおよびIPA(0.05%DEA)に対してB、勾配:B40%]上で、実施例3は7.56分の保持時間を有し、実施例4は(10.09分)の保持時間を有した。
実施例5:(3S)−3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2(6),3,8,11,13−ヘキサエン−5−イル}プロパンニトリル:
実施例6:(3R)−3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2(6),3,8,11,13−ヘキサエン−5−イル}プロパンニトリル:
3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2(6),3,8,11,13−ヘキサエン−5−イル}プロパンニトリル(実施例2)を、キラルSFC[ChiralPakAS−H、250×30mmI.D.カラム、流速=50mL/分、移動相:液体CO2に対してAおよびEtOHに対してB、勾配:B40%]により分離し、実施例5((3S)−3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2(6),3,8,11,13−ヘキサエン−5−イル}プロパンニトリル、12mg)および実施例6((3R)−3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2(6),3,8,11,13−ヘキサエン−5−イル}プロパンニトリル、34mg)を得た。
キラル分析カラム[ChiralPakAS−H、250×4.6mmカラム、流速=2.4mL/分、移動相:CO2に対してAおよびMeOH(0.05%DEA)に対してB、勾配:B5−40%]上で、実施例5は7.34分の保持時間を有し、実施例6は(9.14分)の保持時間を有した。
実施例7:3−シクロペンチル−3−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−4−イル}プロパンニトリル
実施例8:3−シクロペンチル−3−{4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2(6),3,8,11,13−ヘキサエン−5−イル}プロパンニトリル
7−メトキシ−4−(オキサン−2−イル)−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン(1.0g、3.22mmol)を含む40mLメタノールの溶液に−10℃で、5mLの飽和塩酸メタノール溶液を添加した。得られた混合物を、0℃で1.0時間撹拌し、その後、飽和炭酸ナトリウム溶液に注ぎ入れた。得られた懸濁液を濾過した。濾過ケーキを、10mLの水で洗浄した。ケーキを、70℃で乾燥させ、化合物7a(0.58g、80%収率)を淡色の固体として得た。[M+H]観測値227。
密閉管に、化合物7a(1.0g、4.42mmol)、塩酸溶液(18mL、5.0M、90.0mmol)を添加した。得られた混合物を、100℃で3.5時間撹拌し、その後室温まで冷却し、飽和炭酸ナトリウム溶液に注ぎ入れた。得られた懸濁液を濾過した。濾過ケーキを、10mLの水で洗浄した。ケーキを、70℃で乾燥させ、化合物7b(0.75g、80%収率)をオフホワイト固体として得た。[M+H]観測値212.9。
トリフルオロ酢酸(10mL)およびトリエチルシラン(5mL)を、化合物7b(500mg、2.36mmol)を含む20mLのジクロロメタンの溶液に添加した。この混合物を磁気的に撹拌し、2時間還流しながら加熱した。その後、50℃未満で溶液を蒸発させて、溶媒を除去した。残渣に10mLの飽和重炭酸ナトリウムを添加し、室温で0.5時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過した。濾過ケーキを、10mLの水で洗浄した。ケーキを、フラッシュクロマトグラフィー(5%メタノール/DCM)により精製し、286mgの化合物7c(収率:92%)をオフホワイト固体として得た。[M+H]観測値196.9。
化合物7c(0.21g、1.0mmol)を含むDMSO(8mL)の撹拌溶液に3−シクロペンチルプロプ−2−エンニトリル(0.24g、2.0mmol)およびDBU(15mg、0.1mmol)を添加した。反応混合物を、室温で48時間撹拌した。10mLの水を添加した。混合物を酢酸エチル(6×100mL)で抽出し、有機抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濾過し、50℃未満の真空下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(3%メタノール/DCM)により精製し、33mgの化合物7(収率:10%)および14mgの化合物8(収率:4%)を淡黄色固体として得た。[M+H]観測値318.0。
実施例9:1−(3−メチル−2−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−4−イル}ブタノイル)アゼチジン−3−カルボニトリル
実施例10:1−(3−メチル−2−{7−オキソ−4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.0
2,6.0
11,15]ペンタデカ−1(15),2(6),3,8,11,13−ヘキサエン−5−イル}ブタノイル)アゼチジン−3−カルボニトリル
イソ吉草酸(0.90g、8.85mmol)を含むDCM(20mL)の撹拌溶液に、0.1mLのN,N−ジメチルホルムアミドを添加した。溶液を、0℃まで冷却し、続いて、塩化オキサリル(1.45g、11.5mmol)を添加した。反応混合物を室温まで温め、4.0時間撹拌した。その後、50℃未満で溶液を蒸発させて、溶媒を除去した。残渣およびアゼチジン−3−カルボニトリル塩酸塩(0.94g、7.96mmol)を20mLのDCMに溶解した。溶液を、−20℃まで冷却し、続いて、DIPEA(3.83mL、26.55mmol)を添加した。反応混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。得られたものを、飽和NaHCO3水溶液の添加により反応停止させた。混合物をDCM(3×100mL)で抽出し、抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濾過し、40℃未満にて真空下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(20%石油エーテル/酢酸エチル)により精製し、833mgの化合物9a(収率:63%)を淡黄色油として得た。[M+H]観測値167。
LiHMDS(1.0MのTHF溶液、8.91mL、8.91mmol)を含む40mLのTHFの溶液に、−78℃でトリメチルシリルクロリド(1.2mL、8.91mmol)をシリンジポンプを介して滴下した。化合物9a(1.23g、7.42mmol)を含む5mLのTHFをその後、混合物にシリンジポンプを介して滴下した。混合物を、−78℃で1時間撹拌し、その後NBS(1.58g、8.91mmol)を含む5mLのTHFをシリンジポンプを介して滴下した。反応混合物を徐々に室温まで温めさせ、3時間撹拌した。得られたものを、飽和NH4Cl水溶液の添加により反応停止させた。混合物を酢酸エチル(3×100mL)で抽出し、抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濾過し、40℃未満にて真空下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(10%石油エーテル/酢酸エチル)により精製し、363mgの化合物9b(収率:20%)を淡黄色油として得た。[M+H]観測値246.9。
化合物4,5,10,12−テトラアザテトラシクロ[6.6.1.02,6.011,15]ペンタデカ−1(15),2,5,8,11,13−ヘキサエン−7−オン(0.47mmol、調製Eから)を含むDMSO(5mL)の撹拌溶液に、化合物9b(175mg、0.71mmol)およびDBU(11mg、0.07mmol)を添加した。反応混合物を、室温で48時間撹拌した。10mLの水を添加した。混合物を酢酸エチル(6×60mL)で抽出し、抽出物を合わせ、ブラインで洗浄し、Na2SO4により乾燥させ、濾過し、50℃未満にて真空下で濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(3%メタノール/DCM)により精製し、17mgの化合物9(収率:10%)および6.8mgの化合物10(収率:4%)を淡黄色固体として得た。[M+H]観測値375。
実施例11:JAK活性
JAK活性をInvitrogenのSelectScreen(登録商標)Biochemical Kinase Profiling Serviceを用い、Z’−LYTEスクリーニングプロトコルおよびアッセイ条件を使用して決定した(KmでのATP濃度)。
例示された化合物は実施例AのアッセイにおいてヒトJAKを阻害し、IC
50は表1で示されるように下記であった:+++約10nM未満、++10〜100nM、および+100nM超。