JP2016532115A - 被験体において心不全を診断するための手段及び方法 - Google Patents

被験体において心不全を診断するための手段及び方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、診断方法の分野に関する。具体的には、本発明は、バイオマーカーの群に基づいて、被験体において心不全を診断する方法を企図する。本発明はまた、診断用デバイスなどの、上述の方法を実施するためのツールに関する。【選択図】なし

Description

本発明は、診断方法の分野に関する。具体的には、本発明は、バイオマーカーの群に基づいて、被験体において心不全を診断する方法、並びに被験体において心不全の進行若しくは退行をモニタリングする方法を企図する。本発明はまた、診断用デバイスなどの、上述の方法を実施するためのツールに関する。
心不全は近代医学において重篤な問題である。心臓の機能障害は、生命に関わる状態を生じ、心不全を患う患者にとって不快をもたらす。心不全は、右心又は左心のそれぞれに影響を及ぼす可能性があり、強度も異なりうる。ニューヨーク心臓協会(New York Heart association:NYHA)によって最初に分類システムが開発された。この分類システムによると、軽症の心不全はクラスIの症例として分類される。これらの患者は、過度の運動時にのみ症候を示す。中程度の症例は、より少ない運動時にさえより顕著な症候を示す(クラスII及びIII)が、クラスIVは、安静時にさえ症候を示す(New York Heart Association. Diseases of the heart and blood vessels. Nomenclature and criteria for diagnosis, 6th ed. Boston: Little, Brown and co, 1964;114)。
心不全の有病率は、過去数年にわたって、欧米先進国の集団において着実に増加している。この増加の理由の1つは、近代医学による平均余命の上昇にあるとみられている。しかしながら、心不全による死亡率は、診断及び治療方法の改善によってさらに低下しうる。いわゆる「フラミンガム(Framingham)」研究は、1950〜1969年と1990〜1999年の時間枠で比較した場合に、5年死亡率が男性では70%から59%に、女性では57%から45%に低下したことを報告した。「メイヨー(Mayo)」研究は、1979〜1984年と比較して1996〜2000年の時間枠では、男性では65%から50%に、女性では51%から46%に低下したことを示している。このような死亡率の低下にもかかわらず、心不全による全体的な死亡率は依然として主要な社会的負担である。ACE阻害剤治療を受けたNYHAクラスII〜III患者の1年死亡率は依然として9〜12%(SOLVED)であり、ACE阻害剤治療を受けていないNYHAクラスIVの場合には52%(Consensus)である。
心エコー検査などの診断技術は、検査者個人の経験に依存し、それゆえ常に信頼性があるわけではない。さらに、これらの技術は心不全の初期発症では診断を誤ることがある。心臓ホルモン、例えば脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)などに基づく生化学アッセイもまた、他の疾患及び障害(腎不全など)の影響を受けたり、又は患者の全体的な健康状態に依存する。それでもなお、脳性ナトリウム利尿ペプチドは、心不全を生化学的に評価するための現在の代表的基準である。心不全の診断におけるBNPとN-末端pro-BNP(NT-proBNP)とを比較する最近の研究では、BNPが、心不全及び左心室収縮機能障害についてNT-proBNPよりも良好な指標となっている。症候を示す患者群において、BNPの診断オッズ比27を、心不全の検出における感度85%及び特異度84%と比較している(Ewald 2008, Intern Med J 38 (2):101-13.)。
最近、心不全を診断するため及び/又は心不全の進行若しくは退行をモニタリングするためのの代謝バイオマーカーが報告されている(それぞれWO2011/092285及びWO2013/014286を参照)。
WO2011/092285 WO2013/014286
New York Heart Association. Diseases of the heart and blood vessels. Nomenclature and criteria for diagnosis, 6th ed. Boston: Little, Brown and co, 1964;114 Ewald 2008, Intern Med J 38 (2):101-13.
近代医学の目的は、心不全を有する患者を信頼性をもって特定及び治療すること、特に心不全の初期発症時、すなわち初期のNYHAステージI〜III、特にNYHAステージIの時点で心不全患者を特定することである。従って、心不全を信頼性をもって診断するための手段及び方法が依然として強く望まれている。
従って、本発明は、被験体において心不全を診断する方法であって、
(a)バイオマーカーの群の量を、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおいて測定するステップであって、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含む、ステップ、及び
(b)前記バイオマーカーの量を参照と比較し、それによって心不全が診断されるステップ
を含む、方法に関する。
本発明において記載する方法としては、上述のステップより本質的になる方法又はさらなるステップを含む方法が含まれる。しかしながら、本方法は、好ましい実施形態では、ex vivoで行われる方法、すなわち、人体又は動物体に対して実施されない方法であることを理解されたい。本方法は、好ましくは自動化により支援することができる。
本明細書において用いられる「診断する」という用語は、被験体が心不全に罹患しているかどうかを評価することを指す。当業者であればわかるであろうが、そのような評価は、検査される被験体の100%に対して正しいことが好ましいが、通常はそうでない可能性がある。しかしながら、この用語は、統計学的に有意な一部の被験体を正確に評価でき、従って診断できることを必要とする。当業者であれば、労苦もなく、種々の周知の統計学的評価ツールを用いて、例えば、信頼区間の決定、p値の決定、スチューデントのt検定、マン・ホイットニー検定などを行って、その一部が統計学的に有意であるかどうかを判定することが可能である。詳細は、Dowdy and Wearden, Statistics for Research, John Wiley & Sons, New York 1983に見いだされる。好ましい信頼区間は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%である。p値は、好ましくは、0.2、0.1、又は0.05である。
この用語は、心不全又はその症候の個々の診断、並びに患者の継続的なモニタリングを含む。モニタリング、すなわち種々の時点における心不全又はそれに付随する症候の存在又は不在の診断には、心不全に罹患していることがわかっている患者のモニタリング、並びに心不全を発症するリスクを有することがわかっている被験体のモニタリングが含まれる。さらに、モニタリングは、患者の治療が成功したかどうか、又は少なくとも心不全の症候が特定の治療によって時間とともに改善しうるかどうかを判定するためにも用いられる。さらに、モニタリングは、積極的な患者管理、例えば入院の決定、集中的ケア方策、並びに/又はさらなる質的モニタリング及び量的モニタリング方策、すなわち、モニタリング頻度のために使用しうる。さらにこの用語は、心不全のためのニューヨーク心臓協会(NYHA)クラスに従って被験体を分類することも含む。この分類に従って、心不全を4つのクラスに細分類することができる。クラスIを示す被験体は、激しい運動時を除いて活動に制限がない。クラスIIを示す被験体は、活動にわずかで軽度な制限を示すが、安静時又は軽度の動作時には苦痛がない。クラスIIIを示す被験体は、どのような活動にも顕著な制限を示すが、安静時にのみ苦痛がない。クラスIVを示す被験体は、安静時にさえ苦痛があり、症候を示す。好ましくは、本発明に従って判定する心不全は、無症候性心不全、すなわちNYHAクラスIの心不全、又は症候性心不全、すなわち少なくともNYHAクラスII及び/若しくはIIIの心不全である。
米国心臓協会(American Heart Association)によって別のステージ決定システム(しばしば「ACC/AHA分類」と呼ばれる)が提供されている。心不全の4つのステージが細分類されている。ステージA:将来的にHFを発症するリスクが高いが、機能的又は器質的心疾患がない患者。ステージB:器質的心疾患があるが、いずれのステージの症候もない患者。ステージC:原因となっている器質的心臓問題の関係で心不全の以前の又は現在の症候を示すが、治療により管理されている。ステージD:病院での支援、心臓移植又は緩和ケアが必要な進行疾患である。本発明の方法はまたこのシステムによる心不全のステージ決定のために用いることもでき、好ましくは、同定されたバイオマーカーによって、ステージA〜Cの心不全を診断したり、無症候性のステージA及びBと、より重症なステージC、すなわち症候性心不全とを区別することが可能となることが理解されよう。
本明細書において用いられる「心不全」という用語は、心臓の機能障害に関する。この障害は、心臓からの血液の駆出率が有意に低下し、従って血流が低下する収縮機能障害でありうる。具体的には、収縮期心不全は、有意に低下した左心室駆出率(LEVF)、好ましくは50%未満の駆出率を特徴とする(減少した駆出率を有する心不全、HfrEF)。あるいは、この障害は、拡張機能障害、すなわち心室が適切に弛緩できないことでありうる。後者は通常、心室壁の硬化を伴う。拡張機能障害は、心室の不十分な充満を引き起こし、それゆえ一般的には血流についての結果を生じる。従って、拡張機能障害はまた拡張終期圧の上昇を生じ、結末は収縮機能障害の場合と同等である(左心不全における肺水腫、右心不全における末梢浮腫)。従って、心不全は、右心(肺循環)、左心(体循環)、又は両方に影響を及ぼしうる。心機能の障害、すなわち心不全を測定するための技術は当技術分野で周知であり、心エコー検査、電気生理学、血管造影、及び血中のペプチドバイオマーカー(脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)又はそのプロペプチドのN-末端断片など)の測定が含まれる。心臓の機能障害は、永続的に生じることもあるし、又は特定のストレス若しくは運動条件下でのみ生じることもあることが理解されよう。症候の強度に応じて、心不全は本明細書の他の箇所で記載したように分類することができる。心不全の典型的な症候としては、呼吸困難、胸痛、めまい、錯乱、肺及び/又は末梢浮腫が挙げられる。症候の発生及びその重度は、心不全の重度、心不全の特徴及び原因、収縮期又は拡張期又は限定した(すなわち右心若しくは左心に限局した)心不全に応じて異なることが理解されよう。心不全のさらなる症候は当技術分野で周知であり、医学の標準的なテキスト、例えばStedman又はBrunnwaldなどに記載されている。
好ましくは、本明細書において用いられる心不全は、鬱血性心不全(CHF)、より好ましくは、拡張型心筋症(DCMP)、肥大型心筋症(HCMP)、一般に減少した駆出率を有する心不全(HFrHF)、又は虚血性心筋症(ICMP)に関する。心不全患者のHFrHFサブグループは、DCMPに罹患している患者及びICMPに罹患している患者を含む。
また、本明細書において用いられる心不全は、症候性又は無症候性心不全に関する。
本明細書において用いられる「バイオマーカー」という用語は、本明細書において言及する疾患又は効果の指標として機能する分子種を指す。該分子種は、被験体のサンプル中に見いだされる代謝物質自体であってもよい。さらに、バイオマーカーはまた、該代謝物質に由来する分子種であってもよい。そのような場合、実際の代謝物質は、サンプル中で又は測定の過程で化学的に修飾されることがあり、その修飾の結果として、化学的に異なる分子種、すなわちアナライトが測定される分子種となる。そのような場合、アナライトは実際の代謝物質を表し、各医学的状態の指標として同じ可能性を有することが理解されよう。
本明細書において用いられる代謝物質は、特定の代謝物質の少なくとも1つの分子から該特定の代謝物質の複数の分子までを指す。さらに、代謝物質の群とは、各代謝物質ごとに少なくとも1分子〜複数分子が存在しうる、複数の化学的に異なる分子を意味することが理解されよう。本発明において、代謝物質は、生物学的材料(生物など)に含まれるものをはじめとするすべてのクラスの有機又は無機の化学化合物を包含する。本発明において、代謝物質は、小分子化合物であることが好ましい。より好ましくは、複数の代謝物質が想定される場合、該複数の代謝物質とは、メタボローム、すなわち、特定の時間に特定の条件下で生物、器官、組織、体液又は細胞に含まれる代謝物質の集合を表す。
代謝物質とは、代謝経路の酵素の基質、そのような経路の中間体、又は代謝経路により得られる産物のような小分子化合物のことである。代謝経路は、当技術分野で周知であり、種間で異なりうる。好ましくは、該経路としては、少なくとも、クエン酸回路、呼吸鎖、解糖、糖新生、ヘキソース一リン酸経路、酸化的ペントースリン酸経路、脂肪酸の産生及びβ酸化、尿素回路、アミノ酸生合成経路、タンパク質分解経路(例えばプロテアソームによる分解)、アミノ酸分解経路、次の物質の生合成又は分解が挙げられる: 脂質、ポリケチド(例えば、フラボノイド及びイソフラボノイドなど)、イソプレノイド(例えば、テルペン、ステロール、ステロイド、カロテノイド、キサントフィルなど)、炭水化物、フェニルプロパノイド及びその誘導体、アルカロイド、ベンゼノイド、インドール、インドール硫黄化合物、ポルフィリン、アントシアン、ホルモン、ビタミン、補因子(例えば補欠分子族又は電子伝達体)、リグニン、グルコシノレート、プリン、ピリミジン、ヌクレオシド、ヌクレオチド、及び関連分子、例えば、tRNA、マイクロRNA(miRNA)、又はmRNA。従って、小分子化合物代謝物質は、好ましくは、次のクラスの化合物を包含する: アルコール、アルカン、アルケン、アルキン、芳香族化合物、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アミン、イミン、アミド、シアニド、アミノ酸、ペプチド、チオール、チオエステル、リン酸エステル、硫酸エステル、チオエーテル、スルホキシド、エーテル、又は上述の化合物の組合せ若しくは誘導体。代謝物質のうちの小分子は、正常な細胞機能、器官機能、又は動物の成長、発生若しくは健康に必要とされる一次代謝物質でありうる。さらに、小分子代謝物質は、不可欠な生態学的機能を有する二次代謝物質、例えば、生物をその環境に適応できるようにする代謝物質をも包含する。そのうえさらに、代謝物質は、一次代謝物質及び二次代謝物質に限定されるものではなく、人工小分子化合物をも包含する。そのような人工小分子化合物は、投与されるか又は生物により取り込まれるが上で定義したような一次代謝物質でも二次代謝物質でもない外因的に供給される小分子に由来する。例えば、人工小分子化合物は、動物の代謝経路により薬物から得られる代謝産物でありうる。さらに、代謝物質は、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、オリゴヌクレオチド、及びポリヌクレオチド、例えば、RNA又はDNAをも包含する。より好ましくは、代謝物質は、50Da(ダルトン)〜30,000Da、最も好ましくは30,000Da未満、20,000Da未満、15,000Da未満、10,000Da未満、8,000Da未満、7,000Da未満、6,000Da未満、5,000Da未満、4,000Da未満、3,000Da未満、2,000Da未満、1,000Da未満、500Da未満、300Da未満、200Da未満、100Da未満の分子量を有する。しかしながら、好ましくは、代謝物質は少なくとも50Daの分子量を有する。最も好ましくは、本発明において、代謝物質は50Da〜1,500Daの分子量を有する。
本発明に係る方法では、バイオマーカーの上述の群が測定される。従って、好ましくは、測定されるバイオマーカーの群は、上述の5つのバイオマーカーからなる。しかしながら、本発明は、一般に、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインに加えて1つ以上のバイオマーカーが同様に測定されうることを想定する。このようなさらなるバイオマーカーは、心不全又はその素因に関連することが当技術分野で知られている代謝物質、タンパク質又はDNAバイオマーカーを包含する。例えば、NT-proBNPなどのナトリウム利尿ペプチドは、さらなるバイオマーカーとして測定されうる。
より好ましくは、表2に記載されるバイオマーカーから選択される前記少なくとも1つのさらなるバイオマーカーが測定される。交絡因子についての補正、例えば、ANOVA補正が実施されるかどうかに依存して、少なくとも1つのさらなるバイオマーカーが、「交絡因子についてのANOVAなし」について示される又は「交絡因子についてのANOVAあり」について示されるバイオマーカーとして、表2におけるリストから選択されうることが理解されよう。
好ましくは、本発明の方法に従って言及される前記「スフィンゴミエリンC23:0」及び/又は「スフィンゴミエリンC24:0」は、表1Bに記載されるスフィンゴミエリンから選択される。従って、好ましいスフィンゴミエリンC23:0は、スフィンゴミエリンC23:0(d16:1,C23:0)、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、スフィンゴミエリン(d18:1,C23:0)、及びスフィンゴミエリン(d18:2,C23:0)からなる群より選択され、好ましいスフィンゴミエリンC24:0は、スフィンゴミエリン(d16:1,C24:0)、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、スフィンゴミエリン(d18:1,C24:0)、及びスフィンゴミエリン(d18:2,C24:0)からなる群より選択される。
本明細書において用いられる「サンプル」という用語は、体液、好ましくは、血液、血漿、血清、唾液、若しくは尿に由来するサンプル、又は生検などにより細胞、組織、若しくは器官、特に心臓から得られるサンプルを指す。サンプルは、より好ましくは血液、血漿又は血清サンプルであり、最も好ましくは血漿サンプルである。生物学的サンプルは、本明細書中の他の箇所に明記されるような被験体に由来するものでありうる。上述のさまざまなタイプの生物学的サンプルを取得するための技術は、当技術分野で周知である。例えば、血液サンプルは、血液採取により取得可能であり、一方、組織又は器官のサンプルは、例えば生検などにより取得可能である。
上述のサンプルは、好ましくは、本発明の方法に使用される前に前処理される。以下にさらに詳細に記載されるように、この前処理としては、化合物の放出若しくは分離又は過剰の材料若しくは廃物の除去に必要な処理が挙げられる。好適な技術は、化合物の遠心分離、抽出、分画、限外濾過、タンパク質沈降とそれに続く濾過及び精製、並びに/又は濃縮を含む。さらに、化合物の分析に好適な形態又は濃度で化合物を提供するために、他の前処理が行われる。例えば、本発明の方法でガスクロマトグラフィ連結質量分析を使用する場合、該ガスクロマトグラフィを行う前に化合物を誘導体化する必要があろう。好適な所要の前処理は、本発明の方法を実施するために使用される手段に応じて異なり、当業者に周知である。上に記載したように前処理されたサンプルもまた、本発明に従って用いられる「サンプル」という用語に包含される。
本明細書において用いられる「被験体」という用語は、動物、好ましくは哺乳動物を指す。被験体は、より好ましくは霊長類であり、最も好ましくはヒトである。好ましくは、被験体は、心不全に罹患していることが疑われ、より好ましくは被験体は、該疾患に伴う症候の一部又はすべてを既に示しうる。しかし、心不全に罹患していることが疑われる被験体として、リスク群に属している被験体、又は疾患スクリーニングプロジェクト若しくは方策に含まれている被験体も包含される。より好ましくは、被験体は、NYHAクラスIの症候を示している無症候性の被験体であるか、又はNHYAクラスII及び/若しくはIIIの症候を示している症候性の被験体である。さらに被験体はまた、好ましくは、収縮不全、例えば拡張型心筋症などによる鬱血性収縮期心不全を示す。しかしながら被験体は、好ましくは、上記疾患及び障害以外は見かけ上健康である。特に、被験体は、NYHAクラスIV患者の症候を示さないか、又はサンプル取得前の最近4ヶ月以内に卒中、心筋梗塞に罹患していないか、又は急性若しくは慢性炎症性疾患及び悪性腫瘍に罹患していないことが好ましい。さらに被験体は、サンプル取得前の最近4週間以内に安定した薬物治療を受けていることが好ましい。
好ましくは、被験体は成人である。また好ましくは、被験体は、40歳よりも年上であるか、又は50歳よりも年上である。好ましくは、検査される被験体は、心筋梗塞の病歴を有しうる、及び/又はII型糖尿病に罹患しうる。さらに、被験体は、好ましくは、高血圧症に罹患しうる。
本明細書において用いられる「量の測定」という用語は、サンプル中の本発明の方法によって測定すべきバイオマーカーの少なくとも1つの特徴的特性を測定することを指す。本発明において特徴的特性とは、バイオマーカーの物理的性質及び/又は化学的性質(生化学的性質を包含する)を特徴付ける特性のことである。そのような性質としては、例えば、分子量、粘度、密度、電荷、スピン、光学活性、色、蛍光、化学発光、元素組成、化学構造、他の化合物と反応する能力、生物学的読取り系で応答を引き起こす能力(例えば、レポーター遺伝子の誘導)などが挙げられる。該性質の値は、特徴的特性として機能でき、当技術分野で周知の技術により測定可能である。さらに、特徴的特性は、標準的操作、例えば、乗算、除算、又は対数計算のような数学的計算により、バイオマーカーの物理的性質及び/又は化学的性質の値から導かれる任意の特性でありうる。最も好ましくは、少なくとも1つの特徴的特性は、該少なくとも1つのバイオマーカー及びその量の測定及び/又は化学的同定を可能にする。従って、特性値はまた、その特性値を導いたバイオマーカーの存在量に関する情報を含むことが好ましい。例えば、バイオマーカーの特性値は、質量スペクトルのピークでありうる。かかるピークは、バイオマーカーの特徴的な情報、すなわちm/z情報、並びにサンプル中のそのバイオマーカーの存在量(すなわちその量)に関連する強度値を含む。
上述したように、サンプルに含まれる各バイオマーカーは、好ましくは、本発明に従って定量的又は半定量的に測定可能である。定量的測定では、本明細書において上で言及した特徴的特性(複数可)に関して測定される値に基づいて、バイオマーカーの絶対量若しくは正確な量が測定されるか又はバイオマーカーの相対量が測定されるかのいずれかであろう。バイオマーカーの正確な量を測定できないか又は測定しない場合、相対量を測定しうる。この場合、バイオマーカーの存在量が、該バイオマーカーを第2の量で含む第2のサンプルと対比して増加又は減少しているかどうかを、決定することが可能である。好ましい実施形態では、該バイオマーカーを含む該第2のサンプルは、本明細書の他の箇所に記載されるように計算された参照である。従って、バイオマーカーの定量的分析は、バイオマーカーの半定量的分析と呼ばれることもある分析をも包含する。
さらに、本発明の方法に使用される測定は、好ましくは、上で言及した分析ステップの前に化合物分離ステップを使用することを含む。好ましくは、該化合物分離ステップでは、サンプルに含まれる代謝物質の時間分解分離が得られる。従って、好ましくは、本発明において使用される分離に好適な技術としては、すべてのクロマトグラフィ分離技術、例えば、液体クロマトグラフィ(LC)、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)、ガスクロマトグラフィ(GC)、薄層クロマトグラフィ、サイズ排除クロマトグラフィ、又はアフィニティークロマトグラフィが挙げられる。これらの技術は、当技術分野で周知であり、当業者であれば労苦もなく適用可能である。最も好ましくは、LC及び/又はGCが、本発明の方法で想定されるクロマトグラフィ技術である。バイオマーカーのそのような測定に好適なデバイスは、当技術分野で周知である。好ましくは、質量分析、特には、ガスクロマトグラフィ質量分析(GC-MS)、液体クロマトグラフィ質量分析(LC-MS)、直接注入質量分析若しくはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析(FT-ICR-MS)、キャピラリー電気泳動質量分析(CE-MS)、高速液体クロマトグラフィ連結質量分析(HPLC-MS)、四重極質量分析、任意の逐次連結質量分析、例えばMS-MS若しくはMS-MS-MSなど、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)、熱分解質量分析(Py-MS)、イオン移動度質量分析、又は飛行時間質量分析(TOF)が使用される。最も好ましくは、以下に詳細に記載されるようにLC-MS及び/又はGC-MSが使用される。これらの技術については、例えば、Nissen, 1995, Journal of Chromatography A, 703:37-57、米国特許第4,540,884号、又は米国特許第5,397,894号(その開示内容は参照により本明細書に組み入れられるものとする)に開示されている。質量分析技術の他の選択肢として又はそれに追加して、次の技術を化合物測定に使用可能である:核磁気共鳴(NMR)、磁気共鳴イメージング(MRI)、フーリエ変換赤外分析(FT-IR)、紫外(UV)分光、屈折率(RI)、蛍光検出、放射化学的検出、電気化学的検出、光散乱(LS)、分散ラマン分光、又はフレームイオン化検出(FID)。これらの技術は、当業者に周知であり、労苦もなく適用可能である。本発明の方法は、好ましくは、自動化により支援されるものとする。例えば、サンプルの処理又は前処理をロボット工学により自動化することが可能である。データの処理及び比較は、好ましくは、好適なコンピュータプログラム及びデータベースにより支援される。上で本明細書に記載したような自動化を行えば、本発明の方法をハイスループット方式で使用することが可能である。
さらに、少なくとも1つのバイオマーカーはまた、特異的な化学的アッセイ又は生物学的アッセイにより測定可能である。該アッセイは、サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーを特異的に検出できる手段を含む。好ましくは、該手段は、バイオマーカーの化学構造を特異的に認識可能であるか、又は他の化合物と反応する能力若しくは生物学的読取り系で応答を引き起こす能力(例えば、レポーター遺伝子の誘導)に基づいてバイオマーカーを特異的に同定可能である。バイオマーカーの化学構造を特異的に認識可能な手段は、好ましくは、化学構造(例えば、レセプター若しくは酵素)と特異的に相互作用する抗体又は他のタンパク質である。例えば、特異的抗体は、当技術分野で周知の方法によりバイオマーカーを抗原として用いて取得可能である。本明細書中で言及される抗体は、ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体の両方、さらにはそれらのフラグメント、例えば、抗原又はハプテンに結合可能なFv、Fab、及びF(ab)2フラグメントを包含する。本発明はまた、所望の抗原特異性を呈する非ヒトドナー抗体のアミノ酸配列とヒトアクセプター抗体の配列とが組み合わされたヒト化ハイブリッド抗体を包含する。さらに、一本鎖抗体も包含される。ドナー配列は、通常、ドナーの少なくとも抗原結合性アミノ酸残基を含むが、ドナー抗体の他の構造上及び/又は機能上関連するアミノ酸残基をも含みうる。そのようなハイブリッドは、当技術分野で周知のいくつかの方法により調製可能である。バイオマーカーを特異的に認識可能な好適なタンパク質は、好ましくは、該バイオマーカーの代謝変換に関与する酵素である。該酵素は、バイオマーカーを基質として使用可能であるか又は基質をバイオマーカーに変換可能である。さらに、該抗体は、バイオマーカーを特異的に認識するオリゴペプチドを生成する基礎として使用可能である。これらのオリゴペプチドは、例えば、該バイオマーカーに対する酵素の結合ドメイン又は結合ポケットを含む。好適な抗体及び/又は酵素に基づくアッセイは、RIA(ラジオイムノアッセイ)、ELISA(酵素結合免疫吸着アッセイ)、サンドイッチ酵素免疫検査、電気化学発光サンドイッチイムノアッセイ(ECLIA)、解離増強ランタニド蛍光イムノアッセイ(DELFIA)、又は固相免疫検査でありうる。さらに、他の化合物と反応する能力に基づいて、すなわち、特異的な化学反応により、バイオマーカーを測定することも可能である。さらに、生物学的読取り系で応答を引き起こす能力に基づいて、サンプル中のバイオマーカーを測定することが可能である。生物学的応答は、サンプルに含まれるバイオマーカーの存在及び/又は量を示す読取り値として検出される。生物学的応答は、例えば、遺伝子発現の誘導又は細胞若しくは生物の表現型応答でありうる。好ましい実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーの測定は、定量的方法、例えばサンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーの量の測定もまた可能とする方法である。
上に記載のように、少なくとも1つのバイオマーカーの前記測定は、好ましくは、質量分析(MS)を含む。本明細書において用いられる質量分析には、本発明に従って測定しようとする化合物、すなわちバイオマーカーに対応する分子量(すなわち質量)又は質量変数の測定を可能にするすべての技術が含まれる。本明細書において用いられる質量分析は、好ましくは、GC-MS、LC-MS、直接注入質量分析、FT-ICR-MS、CE-MS、HPLC-MS、四重極質量分析、逐次連結質量分析、例えばMS-MS若しくはMS-MS-MS、ICP-MS、Py-MS、TOF、又は上記技術を用いた併用手法に関する。これらの技術を適用する方法は当業者に周知である。さらに、好適なデバイスは市販されている。より好ましくは、本明細書において用いられる質量分析はLC-MS及び/又はGC-MS、すなわち、前のクロマトグラフィ分離ステップと動作可能に連結された質量分析に関する。より好ましくは、本明細書において用いられる質量分析には四重極MSが含まれる。最も好ましくは、前記四重極MSは以下のように実施する(a)質量分析器の最初の分析四重極におけるイオン化により生じるイオンの質量/電荷指数(m/z)の選択、(b)衝突ガスで満たされ、衝突室として機能する、さらに次の四重極に加速電圧を印加することによる、ステップ(a)で選択されたイオンのフラグメンテーション、(c)さらに次の四重極における、ステップ(b)のフラグメンテーションプロセスにより生じるイオンの質量/電荷指数の選択であって、それにより上記方法のステップ(a)〜(c)は、イオン化プロセスの結果として物質の混合物中に存在するすべてのイオンの質量/電荷指数の分析を少なくとも1回行い、それにより四重極が衝突ガスで満たされるが、加速電圧は分析中には印加されない。本発明において用いるべき最も好ましい質量分析についての詳細はWO 2003/073464号に見出すことができる。
質量分析は、好ましくは、測定されるバイオマーカーがイオン化される、イオン化ステップを含む。バイオマーカーのイオン化は、特に、電子衝撃イオン化、高速原子衝撃、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、大気圧化学イオン化(APCI)、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)によって、適切と見なされる任意の方法によって行うことができる。
好ましい実施形態では、イオン化は、実施例の項に記載されるように行われる。
より好ましくは、前記質量分析は、液体クロマトグラフィ(LC)MS及び/又はガスクロマトグラフィ(GC)MSである。本明細書において用いられる液体クロマトグラフィは、液相又は超臨界相における化合物(すなわち代謝物質)の分離を可能にするすべての技術を指す。液体クロマトグラフィは、移動相中の化合物が固定相を通過することを特徴とする。化合物が異なる速度で固定相を通過する場合には、これらは、個々の化合物の各々がその特異的な保持時間(すなわち、化合物がシステムを通過するのに必要な時間)を有するため、所定時間で分離される。本明細書において用いられる液体クロマトグラフィにはHPLCも含まれる。液体クロマトグラフィ用のデバイスは市販されており、例えばAgilent Technologies, USAから入手可能である。本発明において使用されるガスクロマトグラフィは、原理として、液体クロマトグラフィと同等に動作する。しかし、固定相を通過する液体移動相中に化合物(すなわち代謝物質)を有するのではなく、化合物は気体体積中に存在する。化合物は、固定相として固体支持体材料を含みうるカラム、又は固定相として機能する若しくはそれでコーティングされた壁を含みうるカラムを通過する。同様に、各化合物は、カラムを通過するのに要する特異的な時間を有する。さらにガスクロマトグラフィの場合には、 好ましくは、ガスクロマトグラフィの前に化合物を誘導体化することが想定される。誘導体化の好適な技術は当技術分野で周知である。好ましくは、本発明において誘導体化は、好ましくは極性化合物のメトキシム化(methoxymation)及びトリメチルシリル化、並びに、好ましくは非極性(すなわち親油性)化合物のメチル基転移、メトキシム化(methoxymation)及びトリメチルシリル化に関する。
「参照」という用語は、本明細書において言及する医学的症候、すなわち疾患の有無、疾患の状態又は効果に相関付けることのできる、各バイオマーカーの特徴的特性の値を指す。好ましくは、参照は、検査対象のサンプルに見いだされる、閾値より高い又はそれと本質的に同じ値が医学的状態の存在の指標となり、一方、低い値が医学的状態の不在の指標となる、バイオマーカーの閾値(例えば、量又は量の比)である。また好ましくは、参照は、検査対象のサンプル中に見いだされる、閾値より低い又はそれと同じ値が医学的状態の存在の指標となり、一方、高い値が医学的状態の不在の指標となる、バイオマーカーの閾値であってもよいことが理解されよう。
上述の本発明の方法において、参照は、好ましくは、心不全に罹患していることがわかっている被験体又は被験体群由来のサンプルから得られる参照である。このような場合、試験サンプル中に見いだされる群の各バイオマーカーの本質的に同じ値は、疾患の存在の指標となる。さらに、参照は、同様に好ましくは、心不全に罹患していないことがわかっている被験体又は被験体群、好ましくは見かけ上健康な被験体から得られる。このような場合、試験サンプル中に見いだされる群の各バイオマーカーの、参照と比較して変化した値は、疾患の存在の指標となる。計算された参照、最も好ましくは、検査される被験体を含む個体集団の少なくとも1つのバイオマーカーの相対値又は絶対値の平均値又は中央値にも同じことが当てはまる。該集団の個体のバイオマーカーの絶対値又は相対値は、本明細書中の他の箇所に明記されるように測定可能である。好適な参照値、好ましくは平均値又は中央値の計算方法は、当技術分野で周知である。上で言及した被験体集団は、複数の被験体、好ましくは、少なくとも5、10、50、100、1,000、又は10,000の被験体を含む。本発明の方法により診断される被験体と該複数の被験体の被験体とは、同一種であることが理解されよう。
特徴的特性の値、定量的測定の場合は強度値が本質的に同一であれば、試験サンプルのバイオマーカーの値と参照値とは本質的に同一である。本質的に同一とは、2つの値の差が、好ましくは、有意ではないことを意味し、強度の値が参照値の少なくとも1〜99パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、40〜60パーセンタイルの範囲内、好ましくは参照値の50、60、70、80、90、若しくは95パーセンタイルであることを特徴とする。2つの量が本質的に同じであるかどうかを決定するための統計学的検定は当技術分野で周知であり、また本明細書の他の箇所において記載されている。
好ましい実施形態では、特徴的特性の値はまた、本明細書の他の箇所に記載される「弾性ネット(elastic net)」のような分類アルゴリズムのスコアなどの計算された出力であることができる。
一方、2つの値について観察される差は統計学的に有意である。相対値又は絶対値の差は、好ましくは、参照値の45〜55パーセンタイル、40〜60パーセンタイル、30〜70パーセンタイル、20〜80パーセンタイル、10〜90パーセンタイル、5〜95パーセンタイル、1〜99パーセンタイルの著しい範囲外にある。中央値の好ましい変化及び比は、添付の表と実施例に記載されている。
好ましくは、参照、すなわちバイオマーカーの少なくとも1つの特徴的特性の値又はその比は、データベースのような好適なデータ記憶媒体中に記憶されて、従って、将来の評価にも利用可能となる。
「比較」という用語は、好ましくは、バイオマーカーの測定値が、参照と本質的に同一であるか、又は参照と異なっているかを判定することを指す。好ましくは、バイオマーカーの値は、本明細書の他の箇所で言及する統計学的手法により決定することができる観察される差が統計学的に有意である場合に、参照と異なるとみなされる。差が統計学的に有意ではない場合には、バイオマーカーの値及び参照は本質的に同一である。上に記載した比較に基づいて、被験体は、疾患に罹患しているか又は罹患していないと評価することができる。
本明細書中で言及される特定のバイオマーカーについて、相対量若しくは比の変化(すなわち、平均の比として表される変化)の好ましい値、又は調節の種類(すなわち、より多い若しくはより少ない相対量若しくは比及び/若しくは絶対量若しくは比をもたらす「上方」調節若しくは「下方」調節又は増加若しくは減少)は、以下の表1A、1B又は2並びに実施例に示される。平均の比は、増加又は減少の度合いを示す。例えば、2の値は、量が、参照と比較してバイオマーカーの量の2倍であることを意味する。さらに、「上方調節」又は「下方調節」が存在するかどうかも明らかである。「上方調節」の場合には、平均の比は1.0を超えるのに対し、「下方」調節の場合には1.0未満となる。従って、調節の方向も同様に表から導くことができる。平均の代わりに、中央値が同様に使用できることは理解されよう。
好ましくは、本発明に従って被験体のサンプルにおいて測定される値又は比は、参照と比較される前に、年齢、BMI、性別又は他の既存の疾患、例えば、糖尿病の存在又は非存在について調整される。あるいは、参照は、年齢、BMI、性別又は他の交絡因子、例えば疾患、例えば糖尿病の存在又は非存在について同様に調整された値又は比から導くことができる。個々の被験体が、検査対象の被験体とこれらのパラメーターに関して本質的に同一である、被験体の群から、参照及び基礎となる値又は比を導くことによって、このような調整を行うことができる。あるいは、調整は、統計計算によって行いうる。従って、交絡因子についての補正を行ってもよい。しかし、本明細書の他の箇所に記載されるように、交絡因子についての補正は行わなくてもよい。
比較は、好ましくは、自動化により支援される。例えば、2つの異なるデータセット(例えば、特徴的特性(複数可)の値を含むデータセット)を比較するためのアルゴリズムを含む好適なコンピュータプログラムを使用することが可能である。そのようなコンピュータプログラム及びアルゴリズムは、当技術分野で周知である。上に述べたとおりであるが、手動で比較を行うことも可能である。
本発明のステップ(b)の文脈において、本発明の方法のステップ(a)に記載されるバイオマーカーの群の量は、個々のバイオマーカーについての参照と比較される。これにより、本明細書で言及される疾患の存在又は非存在が診断される。
特に、個々のバイオマーカーの量に基づくスコア、すなわち単一スコアを計算し、このスコアを参照スコアと比較することも想定される。計算されたスコアは、バイオマーカーの群の量に関する情報を組み合わせる。スコアは、心不全を診断するための分類子パラメータと見なすことができる。特に、それは、単一スコアに基づいて診断を提供する人を可能にする。従って、この人は、個々のバイオマーカーの量に関する全情報を解釈する必要はない。
従って、本発明の好ましい実施形態では、本発明の方法のステップ(b)に記載された参照との量の比較は、ステップ(a)に記載されるバイオマーカーの測定された量に基づいてスコアを計算するステップ(b1)、及びこうして計算されたスコアを参照スコアと比較するステップ(b2)を包含する。
従って、本発明は、特に、被験体において心不全を診断する方法であって、
(a)バイオマーカーの群の量を、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおいて測定するステップであって、該群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含む、ステップ、及び
(b1)ステップ(a)に記載されるバイオマーカーの測定された量に基づいてスコアを計算するステップ、及び
(b2)こうして計算されたスコアを参照スコアと比較し、それによって心不全が診断されるステップ
を含む、方法。
好ましくは、参照スコアは、被験体が、本明細書で言及される疾患に罹患しているか、又はしていないかを識別することを可能にする。好ましくは、診断は、検査被験体のスコアが参照スコアを上回る又は下回るかどうかを評価することによって、行われる。正確な参照スコアを提供する必要はない。関連する参照スコアは、任意のスコアについて感度と特異度、及び感度/特異度を相関させることによって、得ることができる。高感度をもたらす参照スコアは、より低い特異度をもたらし、その逆も同様である。
好ましくは、スコアは、適切なスコアリングアルゴリズムに基づいて計算される。前記スコアリングアルゴリズムは、好ましくは、測定されるバイオマーカーの量に基づき、被験体が、本明細書で言及される疾患に罹患しているか、又はしていないかを識別することを可能にする。
好ましくは、前記スコアリングアルゴリズムは、本明細書で言及される疾患に罹患している患者由来の又は前記疾患に罹患していない患者由来のサンプルにおいて、ステップ(a)において言及される個々のバイオマーカーの量に関する情報を比較することによって、予め決定されている。従って、ステップ(b)はまた、スコアリングアルゴリズムを決定する又は実行するステップ(b0)を含みうる。好ましくは、このステップは、ステップ(b1)及び(b2)の前に実施される。
適切なスコアリングアルゴリズムは、苦も無く当業者によってステップ(a)において言及されるバイオマーカーの群を用いて決定できる。例えば、スコアリングアルゴリズムは、心不全に罹患している及び心不全に罹患していない被験体のコホートにおいてバイオマーカーの量に関する情報を使用する数学的関数であってもよい。スコアリングアルゴリズムを決定する方法は、当技術分野で周知であり、マイクロアレイの有意性分析(Significance Analysis of Microarrays)、ツリーハーベスティング(Tree Harvesting)、CART、MARS、自己組織化マップ(Self Organizing Maps)、頻出アイテムセット(Frequent Item Set)、ベイジアンネットワーク(Bayesian networks)、マイクロアレイの予測分析(PAM)、SMO、シンプルロジスティック回帰(Simple Logistic Regression)、ロジスティック回帰、多層パーセプトロン(Multilayer Perceptron)、ベイズネット(Bayes Net)、ナイーブベイズ(Naive Bayes)、ナイーブベイズシンプル(Naive Bayes Simple)、ナイーブベイズアップ(Naive Bayes Up)、IB1、Ibk、Kstar、LWL、AdaBoost、ClassViaRegression、デコレート(Decorate)、マルチクラスクラシファイア(Multiclass Classifier)、ランダムコミッティ(Random Committee)、j48、LMT、NBTree、パート(Part)、ランダムフォレスト(Random Forest)、オーディナルクラシファイア(Ordinal Classifier)、疎線形プログラミング(Sparse Linear Programming、SPLP)、スパースロジスティック回帰(Sparse Logistic Regression、SPLR)、弾性ネット(Elastic net)、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)、予測残差平方和(Prediction of Residual Error Sum of Squares、PRESS)、罰則付きロジスティック回帰(Penalized Logistic Regression)、相互情報(Mutual Information)を含む。好ましくは、スコアリングアルゴリズムは、本明細書の他の箇所に記載されるように交絡因子についての補正あり又はなしで決定される。
好ましくは、スコアリングアルゴリズムは、バイオマーカーの群を用いて弾性ネットで決定される(実施例のセクションも参照のこと)。
有利には、本発明の基礎をなす研究において、上に言及される特定のバイオマーカーの群の量が、心不全の指標であることが見出されている。従って、サンプル中の上に特定されるバイオマーカーの群は、原則として、被験体が心不全に罹患しているかどうかを評価するために使用できる。これは、疾患の効率的な診断のためだけでなく、心不全の前臨床及び臨床管理の改善のため、並びに患者の効率的なモニタリングのために特に役立つ。さらに、本発明の基礎をなす知見はまた、効率的な薬物ベースの療法、又は他の介入、例えば以下に詳細に記載される心不全に対する栄養食、の開発を促進する。
上になされた用語の定義及び説明は、本明細書中以下に指定した場合を除き、本発明の以下の実施形態に適用する。
本発明の基礎となる研究によれば、上述の群に加えて、1つ以上のバイオマーカーを含むバイオマーカーの特定の群は、鬱血性心不全(CHF)、より好ましくは、拡張型心筋症(DCMP)、肥大型心筋症(HCMP)、一般に減少した駆出率を有する心不全(HFrHF)、又は虚血性心筋症(ICMP)に罹患している被験体を同定するための好適なバイオマーカーとして同定されている。
従って、本発明の方法の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIの鬱血性心不全であり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルメタネフリン、及びマンノースを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルメタネフリン、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、及びベヘン酸(C22:0)を含む。
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIの鬱血性心不全であり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ノルメタネフリン、リグノセリン酸(C24:0)、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、リグノセリン酸(C24:0)、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含む。
本発明の方法のさらなる好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのDCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、トランス-4-ヒドロキシプロリン、及び尿酸を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、アルファ-ケトグルタレート、尿酸、及びリグノセリン酸(C24:0)を含む。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのDCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、尿酸、リグノセリン酸(C24:0)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びノルアドレナリン(ノルエピネフリン)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、尿酸、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びマンノースを含む。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのHCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、TAG_ステアリン酸(C18:0)、マンノース、ピルベート、及び尿酸を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ピルベート、タウリン、尿酸、及びマンノースを含む。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのHCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、シスチン、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、アルファ-ケトグルタレート、及びマンノースを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、シスチン、及びアルファ-ケトグルタレートを含む。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのHFrEFであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルメタネフリン、及びベヘン酸(C22:0)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ノルメタネフリン、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含む。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのHFrEFであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、マンノース、グリシン、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含む。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのICMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含む。
本発明の方法の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのICMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ベヘン酸(C22:0)、及びノルメタネフリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、ベヘン酸(C22:0)、マンノース、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含む。
本発明はまた、被験体が心不全の治療又は治療の変更を必要とするかどうかを特定する方法であって、本発明の方法のステップと、心不全が診断された場合に被験体をその必要があると特定するさらなるステップを含む方法に関する。
本明細書において用いられる「心不全の治療を必要とする」という表現は、被験体における疾患が、心不全又はそれに付随する症候の改善又は治療のために治療的介入が必要である又は有益である状態にあることを意味する。従って、本発明の基礎となる研究の知見は、被験体における心不全の診断を可能とするだけではなく、心不全治療によって処置すべき又はその心不全治療に調整を要する被験体の特定をも可能とする。その被験体が特定された場合には、本方法は、心不全の治療について推奨するステップをさらに含みうる。
本発明に従って使用される心不全の治療は、好ましくは、以下: ACE阻害剤(ACEI)、ベータブロッカー、AT1阻害剤、アルドステロンアンタゴニスト、レニンアンタゴニスト、利尿薬、Ca増感剤、ジギタリスグリコシド、抗血小板薬、ビタミンKアンタゴニスト、タンパク質S100ファミリーのポリペプチド(DE000003922873A1、DE000019815128A1又はDE000019915485A1により開示されているようなもの、参照により本明細書に組み入れられるものとする)、ナトリウム利尿ペプチド、例えばBNP(ネシリチド(Nesiritide)ヒト組換え脳性ナトリウム利尿ペプチド-BNP)若しくはANPからなる群より選択される少なくとも1つの薬剤の投与を含む又はその投与からなる治療に関する。
原則として、患者は、好ましくは、欧州心臓病学会のガイドラインで推奨されている薬物療法で治療される(参考: European Heart Journal (2012), 33:1787-1847)。
心不全がDCMPである場合、好ましくは、治療は、利尿薬、アルドステロンアンタゴニスト及び/又はACE阻害剤の投与を含む。
心不全がICMPである場合、好ましくは、治療は、利尿薬、アルドステロンアンタゴニスト及び/又はACE阻害剤の投与を含む。また、ビタミンKアンタゴニスト及び抗血小板剤が好ましい。
心不全がHCMPである場合、好ましくは、治療は、ビタミンKアンタゴニスト、及び/又は抗血小板薬の投与を含む。
本発明はさらに、心不全に対する治療が被験体において成功しているかどうかを判定する方法であって、本発明の方法のステップ、及び心不全が診断されない場合に治療が成功しているかどうかを判定するさらなるステップを含む、方法に関する。
心不全又は少なくとも一部のその症候が、未治療の被験体と比較して治療又は改善されうる場合に、心不全治療が成功していることが理解されよう。さらに、疾患の進行が、未治療の被験体と比較して阻止又は少なくとも遅延されうる場合に、治療はまた、本明細書で意味するように成功している。
本発明はまた、被験体が心不全に罹患しているか否かを診断するための補助を確立する方法に関し、前記方法は、
(a)心不全に罹患していることが疑われる被験体を選択するステップ、
(b)検査される前記被験体からサンプルを得るステップ、
(c)分析に備えて前記サンプルを前処理するステップ、
(d)前記被験体のサンプルにおいて上に言及されるバイオマーカーの群の各バイオマーカーの量を測定するステップであって、前記測定は、(i)サンプルを、前記少なくとも1つのバイオマーカーに特異的に結合する検出剤と、前記検出剤とサンプルに由来するバイオマーカーとの複合体の形成を可能にするのに十分な時間接触させること、(ii)形成された複合体の量を測定すること、ここで、形成された複合体の前記量はサンプル中に存在するバイオマーカーの量に比例する、及び(iii)形成された複合体の量を、サンプル中に存在するバイオマーカーの量を反映するバイオマーカーの量に変換すること、を含むステップ、
(e)前記量を参照と比較するステップ、及び
(f)ステップ(e)でなされた比較の結果に基づいて、心不全を診断するための補助を確立するステップ
を含む。
適切な検出剤は、好ましくは、本発明の方法により検査される被験体のサンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーに特異的に結合する抗体であってよい。適用することができる別の検出剤は、好ましくは、サンプル中の少なくとも1つのバイオマーカーに特異的に結合するアプタマーであってもよい。さらなる好ましい実施形態では、形成された複合体の量を測定する前に検出剤と少なくとも1つのバイオマーカーとの間で形成された複合体から、サンプルを取り出す。従って、好ましい実施形態では、検出剤は、固体支持体上に固定されうる。さらなる好ましい実施形態では、洗浄溶液を適用することによって、固体支持体上の形成された複合体からサンプルを取り出すことができる。形成された複合体は、サンプル中に存在する少なくとも1つのバイオマーカーの量に比例する。適用される検出剤の特異度及び/又は感度が、特異的に結合されることが可能なサンプル中に含まれる少なくとも1つのバイオマーカーの割合の程度を定義することが理解されよう。測定を行うことができる方法の詳細はまた、本明細書の他の箇所で見出される。形成された複合体の量は、サンプル中に実際に存在する量を反映する少なくとも1つのバイオマーカーの量に変換される。このような量は、好ましくは、実質的にサンプル中に存在する量であってもよく、又は好ましくは、形成された複合体と元のサンプル中に存在する量との関係のために、その一定の割合である量であってもよい。
上述の方法のさらなる好ましい実施形態では、ステップ(d)は、分析ユニット、一態様では、本明細書の他の箇所で定義されるような分析ユニットによって行ってよい。
本発明の方法の好ましい実施形態では、ステップ(d)において測定された量は、参照と比較される。好ましくは、参照は、本明細書の他の箇所で定義されるような参照である。さらなる別の好ましい実施形態では、参照は、複合体の測定量と元のサンプル中に存在する量との間の比例関係を考慮に入れる。従って、本発明の方法の好ましい実施形態に適用される参照は、使用されている検出剤の制限を反映するために採用される人工的な参照である。別の好ましい実施形態では、例えば、測定された量の値と参照とを実際に比較する前に、測定された量についての正規化及び/又は補正計算ステップを含むことにより、比較を行う際に前記関係を考慮することもできる。再度、測定された量についての正規化及び/又は補正計算ステップは、使用されている検出剤の制限が適切に反映されるように、比較ステップを採用する。好ましくは、比較は、自動的に行われ、例えば、コンピュータシステムなどによって支援される。
診断のため補助は、被験体を、特定の可能性で心不全に罹患している被験体の群、又は心不全に罹患していない被験体の群のいずれかに割り当てることによって、ステップ(b)において実施される比較に基づいて確立される。本明細書の他の場所で既に論じたように、検査される被験体の割り当ては、検査例の100%で正確である必要はない。さらに、検査される被験体が割り当てられてる被験体の群は、それらが統計学的考察、すなわち、本発明の方法がそれに基づいて作動する、可能性の特定の予め選択した程度、に基づいて確立される点で、人工的な群である。従って、本方法は、一態様では、他の技術によって診断のさらなる強化を必要としうる診断の補助を確立しうる。好ましくは、診断のための補助は、自動的に確立され、例えば、コンピュータシステムなどによって支援される。
本発明の方法の好ましい実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーの測定は、質量分析技術(好ましくは、GCMS及び/又はLCMS)、NMR又は本明細書で上に言及される他の技術によって達成される。このような場合には、好ましくは、分析されるサンプルは前処理される。前記前処理は、好ましくは、サンプル材料から少なくとも1つのバイオマーカーを得ることを含み、例えば、血漿又は血清は、全血から得てもよく、又はさらには、少なくとも1つのバイオマーカーは、サンプル材料から特異的に抽出されてもよい。さらに、GCMSのため、少なくとも1つのバイオマーカーの誘導体化などのさらなるサンプル前処理が、好ましくは、必要とされる。好ましい実施形態では、誘導体化は、実施例の項に記載されるように行われる。さらに、前処理はまた、好ましくは、サンプル材料を希釈すること、及びその中に含まれる成分の濃度を調整又は正規化することを含む。この目的のために、好ましくは、正規化基準が予め定義された量でサンプルに添加されてよく、これは、少なくとも1つのバイオマーカーの量と参照との間の、及び/又は分析される異なるサンプル間の比較を可能にする。
本発明の方法の別の好ましい実施形態では、被験体のサンプル中の上に言及されるバイオマーカーのバイオマーカーの測定は、測定の少なくとも2つの異なる技術を適用することによって達成され、ここで、前記バイオマーカーのいくつかは、第1の技術で測定され、前記バイオマーカーの他のいくつかは第2の技術などで測定される。例えば、前記バイオマーカーのいくつかは、質量分析技術により測定され、前記バイオマーカーの他のいくつかは抗体検査又は酵素ベースの試験によって測定される。液体クロマトグラフィと質量分析の組み合わせによって前記バイオマーカーのいくつかを測定し、ガスクロマトグラフィと質量分析の組み合わせによって前記バイオマーカーの他のいくつかを測定することも可能である。
本発明の方法は、好ましい実施形態では、ステップ(c)で確立された診断の補助の結果に従って、被験体に提言する及び/又は被験体を管理するステップをさらに含む。このような提言は、一態様では、生活環境を改善することを目指したライフスタイル、栄養などの適応、本明細書の他の箇所に詳細に記載される治療的処置の適用、及び/又は定期的な疾患のモニタリングでありうる。
上述の方法の別の好ましい実施形態では、ステップ(e)及び/又は(f)は、本明細書の他の箇所に記載される評価ユニットによって行われる。
本方法は、別の好ましい実施形態では、提言又は診断結果に従って、被験体を管理又は治療するステップも含む。好ましくは、前記治療は、ACE阻害剤(ACEI)、ベータブロッカー、AT1阻害剤、アルドステロンアンタゴニスト、レニンアンタゴニスト、利尿薬、Ca増感剤、ジギタリスグリコシド、抗血小板薬、ビタミンKアンタゴニスト、タンパク質S100ファミリーのポリペプチド(参照により本明細書に組み入れられるものとするDE000003922873A1、DE000019815128A1又はDE000019915485A1により開示される)、ナトリウム利尿ペプチド、例えばBNP(ネシリチド(Nesiritide)ヒト組換え脳性ナトリウム利尿ペプチド-BNP)若しくはANPからなる群より選択される少なくとも1つの薬剤の治療上有効量を被験体に投与することを包含する。
さらに、本発明はまた、一態様では、心不全を治療する方法であって、本発明の方法のステップを含む、被験体が、心不全の治療又は治療の変更を必要とするかどうかを特定する方法のステップを含み、心不全が診断された場合に被験体をその必要があると特定するさらなるステップ、及びそれに応じて被験体を治療するさらなるステップを含む方法に関する。
上になされた用語の定義及び説明は、以下に本明細書に指定した場合を除き、本発明の以下の実施形態に適用する。
本発明はまた、被験体において心不全の進行又は退行をモニタリングする方法であって、
(a)バイオマーカーの群の量を、前記被験体の第1及び第2のサンプルにおいて測定するステップであって、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含み、前記第1のサンプルは前記第2のサンプルの前に得られたものである、ステップ、及び
(b)第1のサンプルにおいて測定された量を、第2のサンプルにおいて測定された量と比較し、それによって心不全の進行又は退行が診断されるステップ
を含む、方法に関する。
本明細書の他の箇所に記載されるように、また、第1及び第2のサンプルにおいて、心不全又はその素因に関連することが当技術分野で公知のさらなるバイオマーカーの量を測定することが想定される。例えば、NT-proBNPなどのナトリウム利尿ペプチドは、さらなるバイオマーカーとして測定されうる。
より好ましくは、前記さらなるバイオマーカーは、表2に記載されるバイオマーカーから選択されるバイオマーカーである。
好ましくは、本発明の方法において言及される前記「スフィンゴミエリンC23:0」及び/又は前記「スフィンゴミエリンC24:0」は、表1Bに記載されるスフィンゴミエリンから選択される。
特に、本発明は、被験体において心不全の進行又は退行をモニタリングする方法であって、
(a)バイオマーカーの群の量を、前記被験体の第1及び第2のサンプルにおいて測定するステップであって、前記第1のサンプルは前記第2のサンプルの前に得られたものである、ステップ、及び
(b)第1のサンプルにおいて測定された量を、第2のサンプルにおいて測定された量と比較し、それによって心不全の進行又は退行が診断されるステップを含む方法を想定し、
ここで、前記心不全は、NYHAクラスIのHCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、TAG_ステアリン酸(C18:0)、マンノース、ピルベート、及び尿酸を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ピルベート、タウリン、尿酸、及びマンノースを含み、
前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのHCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、シスチン、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、アルファ-ケトグルタレート、及びマンノースを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、シスチン、及びアルファ-ケトグルタレートを含み、
前記心不全は、NYHAクラスIのHFrEFであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルメタネフリン、及びベヘン酸(C22:0)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ノルメタネフリン、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含み、
前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのHFrEFであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、マンノース、グリシン、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含み、
前記心不全は、NYHAクラスIのICMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含み、
前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのICMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ベヘン酸(C22:0)、及びノルメタネフリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、ベヘン酸(C22:0)、マンノース、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含む。
本明細書において用いられる「モニタリング」という用語は、第1のサンプルが採取された時点から、第2のサンプルが採取された時点までの心不全の進行又は心不全の退行を判定することを指す。モニタリングはまた、患者の治療が成功したかどうか、又は特定の治療によって時間とともに心不全の少なくとも症候が改善されうるかどうかを判定するために使用できる。
本明細書において用いられる「進行」という用語は、心不全又はそれに付随する症候の悪化を指す。同様に、本明細書において用いられる「退行」という用語は、心不全又はそれに付随する症候群の改善を指す。心不全の退行は、好ましくは、本明細書の他の箇所で指定される心不全の療法の適用後に生じることが理解されよう。従って、上述の方法は、好ましくは、心不全に対する療法が、被験体において成功したかどうかを決定するためにも適用できる。
本明細書で上述したように、第1のサンプルは、第2のサンプルの前に得られているものである。好ましくは、第1のサンプルは、第2のサンプルの少なくとも1ヶ月、より好ましくは少なくとも3ヶ月、さらにより好ましくは少なくとも6ヶ月、最も好ましくは少なくとも9ヶ月前に得られたものである。
本明細書で言及される特定のバイオマーカーについて、調節の種類(すなわち、より多い若しくはより少ない相対量若しくは比及び/若しくは絶対量若しくは比をもたらす「上方」調節若しくは「下方」調節又は増加若しくは減少)は、表1A、1B若しくは2並びに以下の実施例に示される。バイオマーカーが表に「上方調節」と示される場合(「上方」)、第1のサンプルと比較した第2のサンプルにおけるバイオマーカーの量の増加は、心不全の進行を示し、一方、第1のサンプルと比較した第2のサンプルにおけるバイオマーカーの量の減少は、心不全の退行を示す。バイオマーカーが表に「下方調節」と示される場合(「下方」)、第1のサンプルと比較した第2のサンプルにおけるバイオマーカーの量の減少は、心不全の進行を示し、一方、第1のサンプルと比較した第2のサンプルにおけるバイオマーカーの量の増加は、心不全の退行を示す。好ましくは、増加又は減少は、統計学的に有意である。
個々のバイオマーカーの量(第1のサンプルと比較した第2のサンプル中)の増加又は減少に基づいてスコアを計算すること、及びこのスコアを参照スコアと比較することも想定される。従って、計算されたスコアは、バイオマーカーの群の量の増加又は減少についての情報を組み合わせる。スコアは、心不全をモニタリングするための分類子パラメータとみなすことができる。
従って、上述の方法の好ましい実施形態では、方法は、ステップ(a)で言及されるバイオマーカーの量の測定された増加及び/又は減少に基づいてスコアを計算するステップをさらに含む。このスコアに基づいて、心不全をモニタリングすることができる。
バイオマーカーの群を測定するための上述の方法は、デバイスに組み込むことができる。本明細書において用いられるデバイスは、少なくとも上述の手段を含むものである。さらにデバイスは、好ましくは、少なくとも1つのバイオマーカーの検出された特徴的特性、同様に好ましくは測定されたシグナル強度の比較及び評価のための手段も含む。デバイスの手段は、好ましくは、互いに動作可能に連結されている。これらの手段を動作可能に連結する方法は、デバイスに組み込まれる手段の種類に応じて異なる。例えば、自動で定性的又は定量的にバイオマーカーを測定する手段を適用する場合には、評価を容易にするために、該自動動作手段により得られるデータを例えばコンピュータプログラムにより処理することが可能である。好ましくは、そのような場合、手段は単一のデバイスに含まれる。従って、上記デバイスは、バイオマーカーの分析ユニットと、得られたデータを評価のために処理するコンピュータユニットとを備えていてもよい。好ましいデバイスは、専門臨床医の特別な知識がなくても適用可能なもの、例えば単にサンプルをロードするだけでよい電子デバイスである。
他の選択肢として、少なくとも1つのバイオマーカーの測定方法は、好ましくは互いに動作可能に連結されたいくつかのデバイスを含むシステムに組み込むことが可能である。具体的には、上に詳細に記載したように本発明の方法を実施できるように手段を連結する必要がある。従って、動作可能に連結された(operatively linked)とは、本明細書において用いられる場合、好ましくは、機能的に連結された(functionally linked)ことを意味する。本発明のシステムに使用される手段に応じて、該手段間のデータ伝送を可能にする手段、例えば、ガラスファイバーケーブル及びハイスループットデータ伝送用の他のケーブルを用いて各手段を他の手段に接続することにより、該手段を機能的に連結することが可能である。それにもかかわらず、本発明では、例えばLAN(無線LAN、W-LAN)を介する手段間の無線データ転送も想定される。好ましいシステムは、バイオマーカーを測定する手段を含む。本明細書において用いられるバイオマーカーの測定手段とは、バイオマーカーの分離手段(例えばクロマトグラフィデバイス)、及び代謝物質の測定手段(例えば質量分析デバイス)を含む。好適なデバイスについては、上に詳細に記載されている。本発明のシステムに使用される好ましい化合物分離手段としては、クロマトグラフィデバイス、より好ましくは液体クロマトグラフィ用、HPLC用、及び/又はガスクロマトグラフィ用のデバイスが挙げられる。好ましい化合物測定デバイスは、質量分析デバイス、より好ましくはGC-MS、LC-MS、直接注入質量分析器、FT-ICR-MS、CE-MS、HPLC-MS、四重極質量分析器、逐次連結質量分析器(例えばMS-MS若しくはMS-MS-MS)、ICP-MS、Py-MS又はTOFを含む。好ましくは、分離手段と測定手段とを互いに連結させる。最も好ましくは、本明細書中の他の箇所に詳細に記載されるように、LC-MS及び/又はGC-MSを本発明のシステムに使用する。さらに、バイオマーカーの測定手段から得られた結果の比較手段及び/又は分析手段も含まれるものとする。結果の比較手段及び/又は分析手段は、少なくとも1つのデータベース、及び結果を比較するために実装されたコンピュータプログラムを含みうる。また、上述のシステム及びデバイスの好ましい実施形態については、以下に詳細に記載する。
従って、本発明は、
(a)バイオマーカーの群についての少なくとも1つの検出器を含む分析ユニットであって、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含み、前記分析ユニットは少なくとも1つの検出器によって検出される前記バイオマーカーの量を測定するために適合されている、分析ユニットと、それと動作可能に連結された
(b)バイオマーカーの群の測定された量の参照量との比較を実施するための具体的に組み込まれたコンピュータプログラムコードを含むコンピュータと、前記バイオマーカーについての前記参照量を含むデータベースとを含む評価ユニットであって、それにより、被験体が心不全に罹患しているかどうかが診断される、評価ユニットと
を含む診断用デバイスに関する。
好ましくは、コンピュータプログラムコードは、本明細書の他の箇所で詳細に記載される本発明の方法のステップを実行することが可能である。従って、デバイスは、被験体のサンプルに基づいて、本明細書に記載されるように心不全を診断するために使用できる。
好ましい実施形態では、デバイスは、表1A、1B又は2のいずれか1つにおける各バイオマーカーについて示される調節の種類及び/又は調節の倍数値を含むさらなるデータベース、並びに決定された調節の種類及び/若しくは調節の倍数値と、データベースに含まれるそれらとの間の比較を実施するためのさらなる具体的に組み込まれたコンピュータプログラムコードを含む。
本発明のデバイスの好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIの鬱血性心不全であり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルメタネフリン、及びマンノースを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルメタネフリン、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、及びベヘン酸(C22:0)を含む。
本発明のデバイスの別の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIの鬱血性心不全であり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ノルメタネフリン、リグノセリン酸(C24:0)、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、リグノセリン酸(C24:0)、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含む。
本発明のデバイスのさらなる好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのDCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、トランス-4-ヒドロキシプロリン、及び尿酸を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、アルファ-ケトグルタレート、尿酸、及びリグノセリン酸(C24:0)を含む。
本発明のデバイスの好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのDCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、尿酸、リグノセリン酸(C24:0)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びノルアドレナリン(ノルエピネフリン)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、尿酸、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びマンノースを含む。
本発明のデバイスの好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのHCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、TAG_ステアリン酸(C18:0)、マンノース、ピルベート、及び尿酸を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ピルベート、タウリン、尿酸、及びマンノースを含む。
本発明のデバイスの好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのHCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、シスチン、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、アルファ-ケトグルタレート、及びマンノースを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、シスチン、及びアルファ-ケトグルタレートを含む。
本発明のデバイスの好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのHFrEFであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルメタネフリン、及びベヘン酸(C22:0)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ノルメタネフリン、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含む。
本発明のデバイスの好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのHFrEFであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、マンノース、グリシン、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含む。
本発明のデバイスの好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのICMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含む。
本発明のデバイスの好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのICMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ベヘン酸(C22:0)、及びノルメタネフリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、ベヘン酸(C22:0)、マンノース、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含む。
さらに本発明は、上に記載の医学的状態又は効果(すなわち、被験体における心不全の診断)の指標となるバイオマーカーの群の特性値を含むデータ集合に関する。
「データ集合」という用語は、物理的及び/又は論理的に一まとめにしうるデータの集合を指す。一実施形態では、物理的又は論理的グループ化は、弾性ネット、ランダムフォレスト、罰則付きロジスティック回帰又は当業者に公知の他のアプローチのような分類アプローチによって実現される。従って、データ集合は、単一のデータ記憶媒体又は互いに動作可能に連結された物理的に分離されたデータ記憶媒体に組込み可能である。好ましくは、データ集合は、データベースを利用して実装される。従って、本明細書において用いられるデータベースとは、好適な記憶媒体上のデータ集合を含む。さらにデータベースは、好ましくは、データベース管理システムをも含む。データベース管理システムは、好ましくは、ネットワーク型、階層型、又はオブジェクト指向型のデータベース管理システムである。そのうえさらに、データベースは、連邦データベース又は統合データベースでありうる。より好ましくは、データベースは、分散型(連邦)システムとして、例えばクライアントサーバシステムとして実装される。より好ましくは、データベースは、検索アルゴリズムにより試験データセットをデータ集合に含まれるデータセットと比較できるように構築される。具体的には、そのようなアルゴリズムを用いて、上に記載した医学的状態又は効果の指標となる類似又は同一のデータセットが得られるように、データベースを検索することが可能である(例えば、クエリー検索)。従って、データ集合で同一又は類似のデータセットを同定できれば、試験データセットは、該医学的状態又は効果と関連付けられる。その結果として、データ集合から得られた情報を、例えば上述した本発明の方法のための参照として用いることが可能である。より好ましくは、データ集合は、上で記載した群のいずれかに含まれるすべてのバイオマーカーの特性値を含む。また好ましくは、データ集合は、上で記載したバイオマーカーの群についてのスコアを含む。
上記を考慮して、本発明は、上述のデータ集合を含むデータ記憶媒体を包含する。
本明細書において用いられる「データ記憶媒体」という用語は、単一の物理的要素に基づくデータ記憶媒体、例えば、CD、CD-ROM、ハードディスク、光記憶媒体、又はディスケットを包含する。さらに、この用語は、好ましくはクエリー検索に好適な方式で、上述のデータ集合を提供するように互いに動作可能に連結された物理的に分離された要素よりなるデータ記憶媒体をも包含する。
本発明はまた、
(a)サンプルのバイオマーカーの群のバイオマーカーの特性値又はバイオマーカーの群のスコアを比較するための手段と、それと動作可能に連結された
(b)上に記載したようなデータ記憶媒体
とを含むシステムに関する。
本明細書において用いられる「システム」という用語は、互いに動作可能に連結された異なる手段に関する。該手段は、単一のデバイスに組み込みうるか、又は互いに動作可能に連結された物理的に分離されたデバイスでありうる。バイオマーカーの特性値を比較するための手段は、好ましくは、上で述べたような比較用のアルゴリズムに基づいて動作する。データ記憶媒体は、好ましくは、それぞれの記憶データセットが上で記載した医学的状態又は効果の指標となる上述のデータ集合又はデータベースを含む。従って、本発明のシステムを用いれば、データ記憶媒体に記憶されたデータ集合に試験データセットが含まれるかどうかを同定することが可能である。その結果として、本発明の方法は、本発明のシステムにより実施することができる。
システムの好ましい実施形態では、サンプルのバイオマーカーの特性値を測定する手段が含まれる。「バイオマーカーの特性値を測定する手段」という用語は、好ましくは、代謝物質を測定するための上述のデバイス、例えば、質量分析デバイス、NMRデバイス、又はバイオマーカーの化学的アッセイ若しくは生物学的アッセイを行うためのデバイスに関する。
さらに本発明は、上に記載した群のいずれかから選択される少なくとも1つのバイオマーカーの測定手段を含む診断用手段に関する。
「診断用手段」という用語は、好ましくは、本明細書中の他の箇所に詳細に明記されるような診断用デバイス、システム、又は生物学的アッセイ若しくは化学的アッセイに関する。
「少なくとも1つのバイオマーカーの測定手段」という表現は、バイオマーカーを特異的に認識可能なデバイス又は作用剤を指す。好適なデバイスは、分光測定デバイス、例えば、質量分析デバイス、NMRデバイス、又はバイオマーカーの化学的アッセイ若しくは生物学的アッセイを行うためのデバイスでありうる。好適な作用剤は、バイオマーカーを特異的に検出する化合物でありうる。本明細書において用いられる検出とは、二工程プロセスであってもよい。すなわち、最初に、化合物を検出対象のバイオマーカーに特異的に結合させ、続いて、検出可能なシグナル、例えば、蛍光シグナル、化学発光シグナル、放射性シグナルなどを発生させることが可能である。検出可能なシグナルを発生させるために、さらなる化合物が必要になることもある。こうした化合物はすべて、「少なくとも1つのバイオマーカーの測定手段」という用語に包含される。バイオマーカーに特異的に結合する化合物は、本明細書中の他の箇所に詳細に記載されており、好ましくは、酵素、抗体、リガンド、レセプター、又はバイオマーカーに特異的に結合する他の生物学的分子若しくは化学物質などである。
さらに、本発明は、上で言及されるバイオマーカーの群の少なくともバイオマーカーを含む診断用組成物に関する。
バイオマーカーの前記群は、本明細書の他の箇所で記載されるように被験体における医学的状態又は効果の指標として機能する。従って、バイオマーカー分子自体が、好ましくは、本明細書中で言及される手段による可視化又は検出において、診断用組成物として機能しうる。従って、本発明のバイオマーカーの存在を示す診断用組成物はまた、物理的に前記バイオマーカーを含んでよく、例えば、抗体と検出されるバイオマーカーとの複合体は、診断用組成物として機能しうる。従って、診断用組成物は、本明細書の他の箇所で記載される代謝物質の検出のための手段をさらに含みうる。あるいは、MS又はNMRに基づく技術などの検出手段が使用される場合、リスク状態の指標として機能する分子種は、検査される試験サンプルに含まれる少なくとも1つのバイオマーカーである。従って、本発明に従って言及されるバイオマーカーの群は、疾患の指標としてのその同定のために、診断用組成物としてそれ自体機能する。
全般に、本発明は、心不全を診断するための、又は心不全を診断するための医薬及び/若しくは診断用組成物の調製のための、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおける、バイオマーカーの群の使用を企図し、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含む。
全般に、本発明は、心不全をモニタリングするための、又は心不全をモニタリングするための医薬及び/若しくは診断用組成物の調製のための、心不全に罹患している被験体の第1及び第2のサンプルにおける、バイオマーカーの群の使用を企図し、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含む。
本発明の使用の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIの鬱血性心不全であり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルメタネフリン、及びマンノースを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルメタネフリン、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、及びベヘン酸(C22:0)を含む。
本発明の使用の別の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIの鬱血性心不全であり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ノルメタネフリン、リグノセリン酸(C24:0)、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、リグノセリン酸(C24:0)、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含む。
本発明の使用のさらなる好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのDCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、トランス-4-ヒドロキシプロリン、及び尿酸を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、アルファ-ケトグルタレート、尿酸、及びリグノセリン酸(C24:0)を含む。
本発明の使用の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのDCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、尿酸、リグノセリン酸(C24:0)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びノルアドレナリン(ノルエピネフリン)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、尿酸、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びマンノースを含む。
本発明の使用の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのHCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、TAG_ステアリン酸(C18:0)、マンノース、ピルベート、及び尿酸を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ピルベート、タウリン、尿酸、及びマンノースを含む。
本発明の使用の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのHCMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、シスチン、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、アルファ-ケトグルタレート、及びマンノースを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、シスチン、及びアルファ-ケトグルタレートを含む。
本発明の使用の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのHFrEFであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルメタネフリン、及びベヘン酸(C22:0)を含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ノルメタネフリン、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含む。
本発明の使用の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのHFrEFであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、マンノース、グリシン、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含む。
本発明の使用の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスIのICMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含む。
本発明の使用の好ましい実施形態では、前記心不全は、NYHAクラスII又はIIIのICMPであり、かつ
(i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ベヘン酸(C22:0)、及びノルメタネフリンを含むか、又は
(ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、ベヘン酸(C22:0)、マンノース、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含む。
本発明はまた、本発明の方法を実施するためのキットに関し、前記キットは、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含むバイオマーカーの群の各バイオマーカーについての検出剤を含む。
本明細書において用いられる「キット」という用語は、好ましくは別々に又は単一容器内に提供される、上述の成分の集合を指す。検出剤は、「すぐに使える」液体形態又は乾燥形態で、本発明のキットにおいて提供されうる。キットは、対照、緩衝液、及び/又は試薬をさらに含みうる。キットはまた、本発明の方法を実施するための説明書、及び参照値に関する情報を含む。これらの説明書は、マニュアルの形態であってもよく、又は電子的にアクセス可能な情報であってもよい。後者の情報は、データ記憶媒体又はデバイス、例えば光記憶媒体(例えば、コンパクトディスク)上に、又はコンピュータ若しくはデータ処理デバイス上に直接提供されうる。
バイオマーカーのための好適な検出剤は、本明細書の他の箇所に詳細に記載されている。好ましくは、検出剤は、抗体又はアプタマー又はバイオマーカーに特異的に結合することが可能な他の分子であってよい。
本発明のキットは、好ましくは、本発明の方法を実施するために、すなわち、本明細書の他の箇所に詳細に記載されるように心不全を診断するために使用できる。
本発明のさらなる実施形態
さらに、本発明の基礎をなす研究において、表1Cに示されるバイオマーカーの群の測定、表1Dに示されるバイオマーカーの群の測定、及びコレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、システイン、イソロイシン、アルファ-ケトグルタレート、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、ステアリン酸(C18:0)(TAG由来)、及びノルアドレナリンを含むバイオマーカーの群の測定は、心不全の信頼できる診断を可能にすることが見出されている。従って、本発明は、以下の方法、使用及びデバイスを想定する。本明細書中上になされた定義及び説明は、以下の方法、使用及びデバイスにも適用する。
本発明は、被験体において心不全を診断する方法であって、
(a)バイオマーカーの群の量を、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおいて測定するステップであって、前記群は、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、及びスフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)を含む、ステップ、及び
(b)前記バイオマーカーの量を参照と比較し、それによって心不全が診断されるステップ
を含む、方法にさらに関する。
また、本発明は、心不全を診断するための、又は心不全を診断するための医薬及び/若しくは診断用組成物の調製のための、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおける、バイオマーカーの群の使用を企図し、前記群は、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、及びスフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)を含む。
また、本発明は、
(a)バイオマーカーの群についての少なくとも1つの検出器を含む分析ユニットであって、前記群は、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、及びスフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)を含み、前記分析ユニットは少なくとも1つの検出器によって検出される前記バイオマーカーの量を測定するために適合されている、分析ユニットと、それと動作可能に連結された
(b)バイオマーカーの群の測定された量の参照量との比較を実施するための具体的に組み込まれたコンピュータプログラムコードを含むコンピュータと、前記バイオマーカーについての前記参照量を含むデータベースとを含む評価ユニットであって、それにより、被験体が心不全に罹患しているかどうかが診断される、評価ユニットと
を含む、診断用デバイスに関する。
さらに、本発明は、被験体において心不全を診断する方法であって、
(a)バイオマーカーの群の量を、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおいて測定するステップであって、前記群は、コレステリルエステルC15:0、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、及びスフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)を含む、ステップ、及び
(b)前記バイオマーカーの量を参照と比較し、それによって心不全が診断されるステップ
を含む、方法に関する。
また、本発明は、心不全を診断するための、又は心不全を診断するための医薬及び/若しくは診断用組成物の調製のための、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおける、バイオマーカーの群の使用を企図し、前記群は、コレステリルエステルC15:0、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、及びスフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)を含む。
また、本発明は、
(a)バイオマーカーの群についての少なくとも1つの検出器を含む分析ユニットであって、前記群は、コレステリルエステルC15:0、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、及びスフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)を含み、前記分析ユニットは少なくとも1つの検出器によって検出される前記バイオマーカーの量を測定するために適合されている、分析ユニットと、それと動作可能に連結された
(b)バイオマーカーの群の測定された量の参照量との比較を実施するための具体的に組み込まれたコンピュータプログラムコードを含むコンピュータと、前記バイオマーカーについての前記参照量を含むデータベースとを含む評価ユニットであって、それにより、被験体が心不全に罹患しているかどうかが診断される、評価ユニットと
を含む、診断用デバイスに関する。
さらに、本発明は、被験体において心不全を診断する方法であって、
(a)バイオマーカーの群の量を、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおいて測定するステップであって、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、システイン、イソロイシン、アルファ-ケトグルタレート、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、ステアリン酸(C18:0)(TAG由来)、ノルアドレナリンを含む、ステップ、及び
(b)前記バイオマーカーの量を参照と比較し、それによって心不全が診断されるステップ
を含む、方法に関する。
また、本発明は、心不全を診断するための、又は心不全を診断するための医薬及び/若しくは診断用組成物の調製のための、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおける、バイオマーカーの群の使用を企図し、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、システイン、イソロイシン、アルファ-ケトグルタレート、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、ステアリン酸(C18:0)(TAG由来)、ノルアドレナリンを含む。
また、本発明は、
(a)バイオマーカーの群についての少なくとも1つの検出器を含む分析ユニットであって、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、システイン、イソロイシン、アルファ-ケトグルタレート、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、ステアリン酸(C18:0)(TAG由来)、ノルアドレナリンを含み、前記分析ユニットは少なくとも1つの検出器によって検出される前記バイオマーカーの量を測定するために適合されている、分析ユニットと、それと動作可能に連結された
(b)バイオマーカーの群の測定された量の参照量との比較を実施するための具体的に組み込まれたコンピュータプログラムコードを含むコンピュータと、前記バイオマーカーについての前記参照量を含むデータベースとを含む評価ユニットであって、それにより、被験体が心不全に罹患しているかどうかが診断される、評価ユニットと
を含む、診断用デバイスに関する。
また、上記のさらなる実施形態について、さらなるバイオマーカーとしてNT-proBNPなどのナトリウム利尿ペプチドを測定することが想定される。同じことが、バイオマーカーの前記群の使用及び診断用デバイスに適用される。
心不全という用語は、本明細書において上で定義されている。定義は、状況に応じて適用される。好ましくは、さらなる実施形態に関連して診断される心不全は、HFrEFである。より好ましくは、心不全は、ICMP、特にNYHAクラスI、II及び/又はIIIのICMP、特にNYHAクラスII及び/又はIIIのICMPである。
本明細書に引用されるすべての参考文献は、一般にそれらの開示内容に関して、又は上に示される特定の開示内容に関して、参照により本明細書に組み入れられるものとする。
本発明は、本発明の範囲を制限又は限定することを意図しない以下の実施例により説明される。
[実施例1]
CHFサブタイプDCMP(拡張型心筋症)、ICMP(虚血性心筋症)とHCMP(肥大型心筋症)の、健常対照からの識別のための研究デザイン
3つの臨床センターを有し、かつ合計843人の被験体における多中心性研究を行った。研究は、35〜75歳の年齢範囲及び20〜35 kg/m2のBMI範囲にある、194人の男性及び女性のDCMP-、183人の男性及び女性のICMP-、並びに210人の男性及び女性のHCMP患者に加えて、256人の男性及び女性の健常対照を含んだ。患者のNYHA(ニューヨーク心臓協会)スコアは、1〜3の範囲であった。患者及び対照は、年齢、性別、及びBMIをマッチさせた。すべての患者及び対照について、血液サンプルを採取した。血漿を、遠心分離により調製し、測定が行われるまでサンプルを-80℃で保存した。
CHFの3つのサブグループ(DCMP、ICMP及びHCMP)は、心エコー検査及び血行動態基準に基づいて定義された:
(a)サブグループDCMPは、心肥大を有する収縮期ポンプ不全として血行動態的に定義されルる(左室拡張末期径の心エコーによる増大>55 mm及び<50%の制限された左室駆出率-LVEF)。
(b)サブグループICMPは、冠不全による収縮期ポンプ不全として血行動態的に定義される(>50%の冠動脈狭窄及びストレス誘導性心内膜運動不全、並びに<50%のLVEF)。
(c)サブグループHCMP: 求心性心肥大(心エコー検査-中隔>11 mm、後壁心筋>11 mm)及び拡張期CHF(≧50%のLVEFを有する、ポンプ機能の障害なし又は軽度障害)。
卒中に罹患している患者、検査前の最近4ヶ月以内に心筋梗塞を有した患者、試験前の最近4ヶ月以内に薬物治療を変更した患者、並びに急性若しくは慢性炎症性疾患及び悪性腫瘍に罹患した患者と同様に、NYHA IV患者を除外した。
[実施例2]
代謝物質の測定
ヒト血漿サンプルを、以下に記載するように調製し、LC-MS/MS及びGC-MS又はSPE-LC-MS/MS(ホルモン)分析に供した。
タンパク質を血漿から沈降により分離した。水、及びエタノールとジクロロメタンの混合物を加えた後、残留サンプルを極性の水相と親油性の有機相に分画した。
脂質抽出物のトランスメタノリシスのために、140μlのクロロホルム、37μlの塩酸(37重量%HCl水溶液)、320μlのメタノール及び20μlのトルエンの混合物を、蒸発させた抽出物に加えた。その容器を密封し、100℃にて振とうしながら2時間加熱した。次いで溶液を蒸発乾固させた。残留物を完全に乾燥した。
カルボニル基のメトキシム化を、密封した容器中でメトキシアミン塩酸塩(ピリジン中の20mg/ml、100 l、1.5時間、60℃にて)との反応によって行った。奇数炭素数の直鎖脂肪酸の溶液20μl(3/7(v/v)ピリジン/トルエン中の、7〜25個の炭素原子の脂肪酸それぞれ0.3mg/mLと27、29及び31個の炭素原子の脂肪酸それぞれ0.6mg/mLの溶液)を時間標準として加えた。最後に、100μlのN-メチル-N-(トリメチルシリル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(MSTFA)による誘導体化を60℃にて30分間、密封した容器中で再び行った。GC中への注入前の最終体積は220μlであった。
極性相については、次の手順で誘導体化を実施した。カルボニル基のメトキシム化を、密封した容器中でメトキシアミン塩酸塩(ピリジン中の20mg/ml、50 l、1.5時間、60℃にて)との反応によって行った。奇数炭素数の直鎖脂肪酸の溶液10μl(3/7(v/v)ピリジン/トルエン中の、7〜25個の炭素原子の脂肪酸それぞれ0.3mg/mLと27、29及び31個の炭素原子の脂肪酸それぞれ0.6mg/mLの溶液)を時間標準として加えた。最後に、50μlのN-メチル-N-(トリメチルシリル)-2,2,2-トリフルオロアセトアミド(MSTFA)による誘導体化を60℃にて30分間、密封した容器中で再び行った。GC中への注入前の最終体積は110μlであった。
GC-MSシステムはAgilent 5973 MSDと連結したAgilent 6890 GCから成った。オートサンプラーはCTCからのCompiPal又はGCPalであった。
分析については、通常の市販キャピラリー分離カラム(30m x 0.25mm x 0.25μm)を使用し、このカラムは分析サンプル材料と相分離ステップからの画分に応じて0%〜35%の芳香族部分を含有する異なるポリ-メチル-シロキサン固定相を備えた(例えば: DB-1ms、HP-5ms、DB-XLB、DB-35ms、Agilent Technologies)。1μLまでの最終体積をスプリットレス注入し、オーブン温度プログラムを70℃にてスタートし、十分なクロマトグラフィ分離と各アナライトピーク内の走査数を達成するために、サンプル材料と相分離ステップからの画分に応じて異なる昇温速度で340℃にて終了した。さらにRTL(Retention Time Locking(保持時間ロッキング)、Agilent Technologies)を分析に使用し、通常のGC-MS標準条件、例えば公称1〜1.7ml/分の定常流、及び移動相ガスとしてヘリウムでイオン化を70eVの電子衝突で行い、m/z範囲15〜600内で2.5〜3走査/秒の走査速度及び標準チューン条件により走査した。
HPLC-MSシステムは、API 4000質量分析計(Applied Biosystem/MDS SCIEX、Toronto、Canada)と連結したAgilent 1100 LCシステム(Agilent Technologies、Waldbronn、Germany)から構成された。HPLC分析は、C18固定相(例えば: GROM ODS 7 pH、Thermo Betasil C18)を備えた市販の逆相分離カラムで実施した。10μLまでの最終サンプル体積の蒸発させかつ再構成した極性及び親油性相を注入し、分離はメタノール/水/ギ酸又はアセトニトリル/水/ギ酸勾配を用いて200μL/分の流量にて勾配溶出により実施した。
質量分析は、エレクトロスプレーイオン化により非極性画分についてはポジティブモードで、そして極性画分についてはネガティブ若しくはポジティブモードで、多重反応モニタリング(MRM)モード及び100〜1000amuのフルスキャンを用いて行った。
ステロイドとそれらの代謝物質は、オンラインSPE-LC-MS(固相抽出-LC-MS)により測定した。カテコールアミンとそれらの代謝物質は、Yamada et al.(J. Anal.Toxicol. (26), 2002, 17-22)に記載されているオンラインSPE-LC-MSにより測定した。カテコールアミン及び関連する代謝物質、並びにステロイド及び関連する代謝物質に関して、安定同位体標識標準を用いて定量を行い、絶対濃度を算出した。
血漿サンプル中の複合脂質の分析:
クロロホルム/メタノールを用いる液/液抽出によって、血漿から総脂質を抽出した。続いて、Christie(Journal of Lipid Research (26), 1985, 507-512)に従って、順相液体クロマトグラフィ(NPLC)によって脂質抽出物を11の異なる脂質群へと分画した。
コレステロールエステル(CE)、遊離ステロール(FS)、スフィンゴミエリン(SM)及びセラミド(CER)についてそれぞれ特異的な多重反応モニタリング(MRM)遷移の検出を有するエレクトロスプレーイオン化(ESI)及び大気圧化学イオン化(APCI)を用いて、画分をLC-MS/MSにより分析した。スフィンゴシン及びスフィンゴシン-1-リン酸(SP)を、Schmidt H et.al., Prostaglandins & other Lipid Mediators 81(2006), 162-170に記載されているように、特異的な多重反応モニタリング(MRM)遷移の検出を有するエレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いてLC-MS/MSにより分析した。これらの画分の1つに由来する下記の表における代謝物質は、その名称のそれぞれの略称を含む。
脂質クラス、モノアシルグリセリド(MAG)、トリアシルグリセリド(TAG)、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、ホスファチジルイノシトール(PI)、リゾホスファチジルコリン(LPC)、ジアシルグリセロール(DAG)、遊離脂肪酸(FFA)をGC-MSによって測定した。
画分は、TMSH(トリメチルスルホニウムヒドロキシド)で誘導体化し、クラス分離脂質のアシル部分に対応する脂肪酸メチルエステル(FAME)を得た後、GC-MSによって分析した。C14〜C24のFAMEの濃度を、各画分において測定した。
これらの画分の1つから誘導された下記の表における代謝物質は、アンダースコアで区切られたそれらの名前の前にそれぞれの略称を含む。例えば、TAG_ステアリン酸(C18:0)は、トリアシルグリセリドの少なくとも脂肪酸部分がステアリン酸(C18:0)であるTAG(トリアシルグリセリド)を意味する。
エイコサノイド及び関連物質は、オフライン及びオンラインSPE LC-MS/MS(固相抽出-LC-MS/MS)により血漿から測定した(Masoodi M and Nicolaou A: Rapid Commun Mass Spectrom. 2006 ; 20(20): 3023-3029)。絶対的定量は、安定同位体標識標準を用いて実施した。
すべての患者からのサンプルを、上に記載した代謝物質プロファイリング分析の完全な方法スペクトルに供した。但し、血漿の極性相の代謝物質プロファイリングは、ポジティブエレクトロスプレーイオン化モードを用いたLC-MS/MSによって分析し、これは対照、DCMP NYHA I、DCMP NYHA III、HCMP NYHA II及びICMP NYHA III患者を含む75個のサンプルのサブセットに適用された。
[実施例3]
データ分析及び統計学的評価
血漿サンプルを、無作為化分析シーケンス設計で、各サンプルのアリコートから作製したプールサンプル(いわゆる「プール」)を用いて分析した。包括的分析ヴァリデーションステップの後、各アナライトの生ピークデータを、分析シーケンス毎のプールの中央値に対して正規化して、プロセスの変動性を説明した(いわゆる「プール正規化比」)。利用可能な場合には、代謝物質の絶対濃度を統計学的分析に用いた。他のすべての場合には、プール正規化比を用いた。すべてのデータは、正規分布を達成するためにlog10変換した。
実施例1に記載した研究のデータを、健常対照と比較した、CHFサブグループの分類のためのマルチマーカーパネルの同定に使用した。代謝物質データを交絡因子について補正するか、又は未補正の代謝物質データを使用した。交絡因子についての補正のためのANOVAモデルは、年齢、BMI、性別及びCHFサブグループの因子を含んだ(ANOVAモデル: CHF_サブグループ+(性別+年齢+BMI)^2; 補正因子: 性別、年齢及びBMI)。CHF患者を、NYHAクラス(I又はII〜III)及びCHFサブタイプ(DCMP、HCMP、ICMP又はHfrEFと名付けられる結合したDCMP+ICMP群(減少した駆出率を有する心不全))の組み合わせに基づき細分類した。
DCMP及びICMPは、収縮機能障害と左心室の減少した駆出率を有する心不全を定義し、従って、減少した駆出率を有する心不全と呼ばれる組み合わせた群(HfrEF)を同様に分析に含めた。対照的に、HCMPは、左心室の保存された駆出率を有する拡張機能障害を有する心不全を定義し、従って、この群は、同様に、保存された駆出率を有する心不全(HfpEF)と呼ぶことができる。
これらのサブグループについて、マルチマーカーパネルを定義した。これらのパネルは、コアパネルと呼ばれる少なくとも5つの代謝物質を含んだ(コアパネルの基本的組成について表1A、及びコアパネル組成のための代謝物質選択について表1Bを参照)。表1Aに示すように、この(最小)コアパネルは、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、システイン、及びそれぞれC23脂肪酸を有するそれぞれ1つのスフィンゴミエリン及びC24脂肪酸を有する1つを含む。この基本的コアパネル組成に関して、C23又はC24脂肪酸成分を有するスフィンゴミエリンのすべての可能な順列について、同様の性能が観察された(表3参照)。
上記のようにコアパネルの特定のさらなる低減したサブセットは、表1Cに示され、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、及びスフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)を含む。
別のパネルは、表1Dに示され、コレステリルエステルC15:0、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、及びスフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)を含む。
性能計算について、各脂肪酸成分について2つのみの代表的スフィンゴミエリンを、表1Aに示すようにコアパネルに含め、そのため、コアパネルの5つの代謝物質は、すべてのCHFサブグループについて各分類タスクについて同一であった(表4B参照)。
表2からの代謝物質「イソロイシン」及び「スフィンゴミエリン(d18:1, C21:0)」は、公知のマーカーNT-proBNPとの組み合わせでの使用について価値があることが示された(データ示さず)。
表4Aに示される10個の代謝物質の拡張パネルを、表2に含まれるものから選択される代謝物質を加えることによって、上に記載されるようにコアパネルから作製した。
拡張リスト(表2)のさらなる代謝物質を、特に各CHFサブグループ及び分類タスクについて弾性ネットを用いて選択した。各サブグループ及び分類タスクについての代謝物質の概要について、表4Aを参照。
さらに、9個の代謝物質の以下の拡張パネルは、特にICMP(NYHA I)又はDCMP(NYHA I)について、公知のマーカーNT-proBNPとの組み合わせで優れた性能を示した(データ示さず):
コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、システイン、イソロイシン、アルファ-ケトグルタレート、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、ステアリン酸(C18:0)(TAG由来)、ノルアドレナリン
分類子を、代謝物質のこれらのセットを用いた弾性ネットを用いて構築し、交差検証分類性能(cross validated classification performance)を、受信者操作特性(ROC)分析の曲線下面積(AUC)を用いて推定した。性能計算を、交絡因子(年齢、性別、BMI)についての代謝物質データの先行するANOVA補正あり又はなしで行った。
マルチマーカーパネルの性能を、WO2013/014286からの各サブグループについて、最良の代謝物質からなるマルチマーカーパネルに対する(ANOVA p値に基づいて; それぞれ表5A及び5B)、又は本明細書中上記の実施例1に記載される研究においても考慮/検証された無作為に選択した代謝物質に対する比較によって、評価した。
この文脈において及び以下において、WO2013/014286からの「最良の」代謝物質は、上に記載される研究の過程でも評価された(5又は10個の)最良の代謝物質を指すことを意味する; すなわち、WO2013/014286からのいくつかの代謝物質は、分類子計算に使用される各データセットの比較可能性を保証するために除外されている。
より正確には、表4Aに示すように10個の代謝物質の拡張パネルを、WO2013/014286に見出され、かつ表5Aに示される最良の10個の代謝物質のパネルと、及び各無作為選択(パネルは示さず)と比較し、表4Bに示される5個の代謝物質のコアパネルを、WO2013/014286に見出され、かつ表5Bに示される最良の5個の代謝物質のパネルと、及び各無作為選択(パネルは示さず)と比較した。
最良の代謝物質又は無作為に選択した代謝物質を、それぞれ有意に脱調節された(上方又は下方調節; ANOVA p値<0.05)代謝物質のCHFサブグループ特異的リストから得て、分類についての同じアプローチ(弾性ネット)を、本発明のマルチマーカーパネルについて適用した。無作為に選択した代謝物質を有するパネルについて、各分類タスクについて無作為に選択した代謝物質の10個の交差検証バリアントの平均性能を計算した。DCMP NYHA Iについての性能計算は、この群についてWO2013/014286における有意に脱調節された代謝物質のあまりに少ない数のため、最良の代謝物質又は無作為に選択した代謝物質について可能ではなかった。
一般に、WO2013/014286からの最良の代謝物質又は無作為に選択した代謝物質と比較して、優れた性能が、本発明に従うマルチマーカーパネルを用いて観察された。各サブグループについての分類子の性能及び分類タスクの概要について、表6(コアパネル)及び表7(コアパネルに加え、拡張パネルからの代謝物質)を参照。
それぞれ表1C及び1Dに示されるパネルについて、特に公知のマーカーNT-proBNPと組み合わせた場合に、さらなる代謝物質を加えなくても、高性能値が得られた。これは、CHFサブグループHFrEFに関して、ここでは特にICMP(NYHAクラスI、II、及びIII)に関して特に当てはまった。
下記の表では、AUC(曲線下面積)値は、実施例1に記載されるデータセットについての交差検証ROC(受信者操作特性)分析によって推定される分類性能を示す。AUC値がより高いほど、分類性能はより優れている。
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Claims (15)

  1. 被験体において心不全を診断する方法であって、
    (a)バイオマーカーの群の量を、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおいて測定するステップであって、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含む、ステップ、及び
    (b)前記バイオマーカーの量を参照と比較し、それによって心不全が診断されるステップ
    を含む、方法。
  2. 前記スフィンゴミエリンC23:0及び/又は前記スフィンゴミエリンC24:0が、表1Bに記載されるスフィンゴミエリンから選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 表2に記載されるバイオマーカーから選択される少なくとも1つのさらなるバイオマーカーが測定される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記心不全が、NYHAクラスIの鬱血性心不全であり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルメタネフリン、及びマンノースを含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルメタネフリン、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、及びベヘン酸(C22:0)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記心不全が、NYHAクラスII又はIIIの鬱血性心不全であり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ノルメタネフリン、リグノセリン酸(C24:0)、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、リグノセリン酸(C24:0)、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記心不全が、NYHAクラスIのDCMPであり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、トランス-4-ヒドロキシプロリン、及び尿酸を含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、アルファ-ケトグルタレート、尿酸、及びリグノセリン酸(C24:0)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記心不全が、NYHAクラスII又はIIIのDCMPであり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、尿酸、リグノセリン酸(C24:0)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びノルアドレナリン(ノルエピネフリン)を含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、尿酸、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びマンノースを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記心不全が、NYHAクラスIのHCMPであり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、TAG_ステアリン酸(C18:0)、マンノース、ピルベート、及び尿酸を含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ピルベート、タウリン、尿酸、及びマンノースを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記心不全が、NYHAクラスII又はIIIのHCMPであり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、シスチン、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、アルファ-ケトグルタレート、及びマンノースを含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ラクテート、リグノセリン酸(C24:0)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、シスチン、及びアルファ-ケトグルタレートを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記心不全が、NYHAクラスIのHFrEFであり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、TAG_ステアリン酸(C18:0)、ノルメタネフリン、及びベヘン酸(C22:0)を含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、ノルメタネフリン、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記心不全が、NYHAクラスII又はIIIのHFrEFであり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、マンノース、グリシン、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、TAG_ステアリン酸(C18:0)、及びベヘン酸(C22:0)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記心不全が、NYHAクラスIのICMPであり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、アルファ-ケトグルタレート、4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニルグリコール(HMPG)、ベヘン酸(C22:0)、ラクテート、及びトランス-4-ヒドロキシプロリンを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記心不全が、NYHAクラスII又はIIIのICMPであり、かつ
    (i)交絡因子についての補正が行われないならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、マンノース、ベヘン酸(C22:0)、及びノルメタネフリンを含むか、又は
    (ii)交絡因子についての補正が行われるならば、バイオマーカーの群は、スフィンゴミエリン(d17:1,C24:0)、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリン(d17:1,C23:0)、システイン、コレステリルエステルC18:1、ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)、アルファ-ケトグルタレート、ベヘン酸(C22:0)、マンノース、及びTAG_ステアリン酸(C18:0)を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  14. 心不全を診断するための、心不全に罹患していることが疑われる被験体のサンプルにおける、バイオマーカーの群の使用であって、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含む、使用。
  15. 心不全を診断するためのデバイスであって、
    (a)バイオマーカーの群についての少なくとも1つの検出器を含む分析ユニットであって、前記群は、コレステリルエステルC18:1、コレステリルエステルC18:2、スフィンゴミエリンC23:0、スフィンゴミエリンC24:0、及びシステインを含み、前記分析ユニットは少なくとも1つの検出器によって検出される前記バイオマーカーの量を測定するために適合されている、分析ユニットと、それと動作可能に連結された
    (b)バイオマーカーの群の測定された量の参照量との比較を実施するための具体的に組み込まれたコンピュータプログラムコードを含むコンピュータと、前記バイオマーカーについての前記参照量を含むデータベースとを含む評価ユニットであって、それにより、被験体が心不全に罹患しているかどうかが診断される、評価ユニットと
    を含む、デバイス。
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