JP2016527199A5 - - Google Patents

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本明細書にはASCII形式で電子的に提出した配列表が含まれており、参照によりその全体が本明細書に取り込まれる。2015年9月16日作成のかかるアスキーファイルのコピーファイル名は89352-8002.WO00_SL.txtであり、サイズは180,964バイトである。
本明細書に開示する実施形態は、一般に、細胞透過性ペプチド複合体を投与することによってさまざまな状態または疾患を治療するための組成物および方法に関し、特に、限定されるわけではないが非限定的に、その形態が、ヒトホメオボックス(HOX)遺伝子および細胞透過化特性を備えるホメオドメインを含有する他のヒト遺伝子によりコードされるホメオドメインのアミノ酸配列に由来するペプチドを使用した、融合タンパク質またはタンパク質/核酸複合体であることに関する。より詳細には、諸実施形態は、1以上の機能性もしくは調節性のペプチドまたはタンパク質に連結された、ヒトホメオドメインまたは多様体またはその一部を含む送達系に関する。これらのペプチドにより、組織、細胞および細胞の核への侵入が促進されるため、生物学的に活性な第2の領域、すなわち「カーゴ(積み荷)」を含んだ融合タンパク質または複合体を治療のための作用部位に到達させることができる。
遺伝子機能の異常または機能低下による症状を呈する疾患では、遺伝子は、核酸、ペプチドおよびタンパク質などの生物学的活性分子がそれらの細胞内および核内での作用部位に直接送達されることで制御されて、転写、翻訳または転写因子の産生と作用への直接または間接的な干渉を介して遺伝子発現に影響を与えており、また、欠失または欠陥のあるタンパク産物は置換され、上記の生物学的活性分子が生殖細胞系列変異または体細胞変異を有する個体に提供される。遺伝的に欠損のある個体では、こうした生物学的に重要なタンパク質の直接置換は、(i)これらのタンパク質が、通常の機能場所である中枢神経系(CNS)などの細胞内部位および組織部位に到達することができないこと、および(ii)これらのタンパク質の免疫原性が障害となっている。
図1は、「カーゴ」ペプチドN末端における60アミノ酸ヒトHOX C12ホメオドメイン(第1の領域)(配列番号1)または多様体またはその一部の一例を示す。
図2は、60アミノ酸ヒトHOX D12ホメオドメインまたは多様体またはその一部のN末端におけるカーゴペプチド(第2の領域)(配列番号2)の一例を示す。
図3aは、C末端(配列番号107〜108、それぞれ、出現順)に「カーゴ」ペプチド(第2および第3の領域)を有している、60アミノ酸ヒトHOX D12ホメオドメイン(第1の領域)または多様体またはその一部の一例を示し、これにおいて、かかる第3の領域を使用して、特定の組織または細胞種へ向かわせるために構造全体を標的とすることができる。
図3bは、N末端に(配列番号107〜108、それぞれ、出現順)「カーゴ」ペプチド(第2および第3の領域)を有している、60アミノ酸ヒトHOX D12ホメオドメイン(第1の領域)または多様体またはその一部の一例を示し、これにおいて、かかる第3の領域を使用して、特定の組織または細胞種へ向けるために構造全体を標的とすることができる。
図4は、「カーゴ」ペプチドのN末端(第2の領域)における60アミノ酸ヒトHOX C12ホメオドメイン(第1の領域)または多様体またはその一部(配列番号109〜110、それぞれ、出現順)、およびGSリンカー(配列番号111)を介してC末端に結合しているHis尾部の一例を示す。
図5は、NBD「カーゴ」ペプチド(第2の領域)N末端において60アミノ酸ヒトHOX D12ホメオドメイン(第1の領域)または多様体またはその一部(配列番号112および108、それぞれ、出現順)、およびGSリンカー(配列番号111)を介してC末端に結合しているHis尾部の一例を示す。
図6は、転移配列SAAを伴う6HISリーダー配列(配列番号80)の後にTEV切断部位(ENLYFQS)(配列番号81)が続いて配列番号21(PPL-002とも呼ぶ)をなす、適切なN末端を有するプラスミドpJ411:129925の配列の一例を示す。図は、DNAおよびタンパク質の完全長配列を、それぞれ、配列番号115および116として開示している。
図7は、転移配列SAAを伴う6HISリーダー配列(配列番号80)の後にTEV切断部位(ENLYFQS)(配列番号81)が続いて配列番号22(PPL-003とも呼ぶ)をなす、適切なN末端を有するプラスミドpJ411:129926の配列の一例を示す。図は、DNAおよびタンパク質の完全長配列を、それぞれ、配列番号115および116として開示している。
図8aは、マウスのRAW264.7細胞におけるNF-κB活性化阻害を示す(LPSで4時間刺激)。エラーバーは平均標準誤差(SEM)を表す。
図8bは、ヒト胎児由来腎臓(HEK)293細胞におけるNF-κB活性化阻害を示す(TNF-αで4時間刺激)。エラーバーは平均標準誤差(SEM)を表す。
図9は、NBDカーゴ含有する細胞透過性ペプチドによる、HEK293NF-κBルシフェラーゼレポーター細胞における、TNF-αの刺激によるNF-κB活性化阻害を示す。図10:NBDカーゴ-含有細胞透過性ペプチドのインビボ活性測定のタイムライン:マウスにペプチドで前処置を行い、リポ多糖(LPS)注射を行い、サイトカインアッセイ用に指定時間に血液試料を採取した。
図11aは、LPS注射およびペプチドまたはデキサメタゾン(Dex)による前処置を行った後のTNF-α応答を示す。各データポイントはマウス1匹についての値を表す。
図11bは、LPS注射およびペプチドまたはデキサメタゾン(Dex)による前処置を行った後のIP-10応答を示す。各データポイントはマウス1匹についての値を表す。
図12は、LPS注射およびペプチドまたはデキサメタゾン(Dex)による前処置を行った後のIL-10応答を示す。各データポイントはマウス1匹についての値を表す。
図13は、PPL-003を500、1000、および2000マイクログラム投与後の血漿中濃度を示す。
図14は、PPL-003の用量ごとの血漿中Cmaxを示し、Cmax(30分)時の平均値および中央値を示す。
図15aおよび15bは、LPS刺激の0、30および60分前に2000マイクログラムのPPL-003で前処置してから行ったLPS投与後2時間のアミロイドAタンパク質(SAA)の応答を示す。図15aにおいてエラーバーは平均標準誤差(SEM)を表し、また、図15bにおいて、データポイントは個々のマウスのものであり、水平ラインは中央値である。
タンパク質/核酸複合体を含むさらなる実施形態では、複合体は、第2の領域の一部として、核酸(またはDNA)結合ドメインをさらに含むことができる。ある実施形態では、核酸結合ドメインを、特異的高親和性、およびタンパク質の構成要素と核酸またはPNAの構成要素との非共有結合的相互作用を仲介するために機能させてよい。
核酸結合ドメインは、RNA結合領域またはDNA結合領域、例えば、転写因子、特に酵母またはヒト転写因子のDNA結合領域であってよい。例えば、GAL4誘導可能ドメインは、DNA配列CGGAGGACAGTCCTCCG(配列番号82)に対するタンパク質の選択的結合を仲介する(Cavey et al J Mol Biol 209:423、1989)。さらに、DNA結合領域はGAL4アミノ酸2〜147個からなる。DNA結合領域は、第2のドメイン上で一本鎖DNAまたは二本鎖DNAに結合してよい。
開示した、複合体または融合タンパク質の実施形態の他の用途として、抗菌性および抗ウイルス性処置の開発が含まれる。例えば、HOX遺伝子由来または他のヒトホメオドメイン由来の細胞透過性ペプチドを使用して、組換え抗体、非人工的に存在する自然免疫エフェクター分子またはDNA結合分子を感染細胞の細胞質内で輸送することができ、これにより、細菌、寄生虫の破壊、または細菌もしくはウイルスが複製する重要な段階の妨害を行う。
好適なペプチドおよびタンパク質としては、治療および/または診断に応用されるものが含まれ、例えば、サイトカイン、ケモカイン、ホルモン、抗体、人工の免疫グロブリン様分子、一本鎖抗体、複合体、酵素、免疫共刺激分子、免疫調節分子、アンチセンスRNA、標的タンパク質のトランスドミナントネガティブ変異体、毒素、例えば、エンドトキシンA、コリシンA、d-エンドトキシン、ジフテリア毒素、桿菌アントロクス(anthrox)毒素、コレラ毒素、百日咳毒素、大腸菌の各種毒素、志賀毒素または志賀毒素様毒素、条件付き毒素などの毒素、抗原、腫瘍抑制タンパク質および成長因子、膜タンパク質、血管作動性タンパク質およびペプチド、抗ウイルスタンパク質およびリボザイム、並びに誘導体といった用途が含まれるが、これらに限定されない。このようなコード配列が含まれている場合、これらの配列は、典型的に、好適なプロモーターに機能的に連結されてよく、そのような好適なプロモーターは、リボザイム(複数可)の発現を駆動するプロモーター、または異なるプロモーター(単数または複数)であってよい。
第1の(HOXまたは他のヒトホメオドメイン)領域および第2の(カーゴ)領域を、切断可能なリンカー領域で連結してよく、このリンカー領域は、その付加により複合体の機能が損なわれない限り、リンカーの目的に好適な任意の領域であってよい。切断可能なリンカー領域は、プロテアーゼで切断可能なリンカーであるが、例えば、低分子で切断可能な他のリンカーを使用してよい。これらのリンカーには、臭化シアンで切断可能なMet-X部位、ヒドロキシルアミンで切断可能なAsn-Gly、弱酸で切断可能なAsp-Pro、および特に、NBS-スカトールで切断可能なTrp-Xが含まれる。プロテアーゼによる切断部位は、より穏やかな切断条件を必要とし、例えば、第Xa因子、トロンビンおよびコラゲナーゼに見られる。これらのいずれを使用してもよい。正確な配列は当該技術分野で利用可能であり、当業者は問題なく好適な切断部位を選択するであろう。一例として、第Xa因子が標的とする、プロテアーゼによる切断領域はI E G R(配列番号83)である。エンテロキナーゼが標的とする、プロテアーゼによる切断領域はD D D D K(配列番号84)である。トロンビンが標的とする、プロテアーゼによる切断領域はL V P R G(配列番号85)である。切断可能なリンカー領域は、細胞内プロテアーゼが標的とするリンカー領域であってよい。リンカーは、機能に必要というわけではないが、第1領域と第2の領域の間にリンカーを含めて、機能を損なうことなく第2の領域を標的に合わせて放出させる、またはリンカーの切断で第2の領域の生物学的活性を高めてよい。
Figure 2016527199
開示の実施形態により、具体的な治療処置用に同定済みの多数のペプチドのうち任意のものを細胞内および核内の作用部位へ効率的に移行させることを含む、高い治療的作用を得ることができ、これにおいて、(i)標的組織はCNSであり、かつ、(ii)標的組織を問わず、かかる移行により、複合体の暴露および/もしくは有効性を減じる、または有害なもしくは望ましくない臨床的事象を発生させるような、望ましくない免疫応答を生じさせることがない。「第2の領域」の生物学的に活性なペプチドは、ヒトホメオドメイン配列または多様体またはその一部(「第1の領域」)に結合される前は、それらに非人工的には会合していない。
さらに、さまざまな実施形態では、複合体または融合タンパク質は、やはりカーゴペプチドを含む第3の領域を含んでよい。図3aおよび3bは、アミノ酸60個のヒトホメオドメイン(「第1の領域」、ここでは短縮して表示)を含む別の実施形態、および、融合タンパク質または複合体に、それらが作用する細胞部位を標的にさせ得るさらなるカーゴタンパク質を示す。図3aにおいて、左にあるヒトHOX D12ホメオドメイン(1)は、そのC末端(4)で、関心対象である生物学的に活性なカーゴペプチド(「第2の領域」)(2)のN末端(5)に連結しており、一方、関心対象である第3のカーゴペプチド(「第3の領域」)(7)は、そのN末端(8)で「第2の領域」(2)のC末端(6)に連結している。この第3の領域は、融合タンパク質全体にペプチド結合を介して連結または融合した状態のままであるか、または、標的とした組織内の特定部位への取り込みもしくは結合終了後に除去するよう設計してよい。
図3bは別の実施形態を示しており、右にあるヒトHOX D12ホメオドメイン(1)は、そのN末端(3)で第2の領域(2)のC末端(6)に連結しており、一方、第3の領域のカーゴペプチド(7)は、第2の領域(2)のN末端(5)で連結している。連結は、単純なペプチド結合(13)または当技術分野で公知のリンカー配列(12)、またはこれらの組み合わせであってよいが、その際、リンカー配列の付加により複合体の機能が損なわれないことが条件となる。第2のカーゴペプチド(「第3の領域」)(7)は、複合体または融合タンパク質に、それが作用する細胞部位を標的にさせ得る。実施例2を参照のこと。
別の実施形態は、複合体または融合タンパク質の調製方法であり、
(i)プロモーターに機能的に連結され、融合タンパク質をコードする核酸を含む発現ベクターにより形質転換した宿主細胞を培養し、これにおいて、
(a)第1の領域は、HOXペプチドまたは他のヒトホメオドメインペプチドを含み、
(b)前記第1の領域に非人工的には会合していない第2の領域は、前記宿主細胞内の発現ベクターから前記融合タンパク質を発現させる条件下で、ペプチドまたはタンパク質を含むこと、および
(ii)前記融合タンパク質を回収し、かかる回収方法は、アミノ酸尾部または別のリガンドを前記複合体に融合させることを含み、ここで、尾部は、少なくとも1つの基質に結合することができるが別の基質には結合せず、また、前記複合体を少なくとも1つの基質に尾部を介して結合させ宿主細胞の構成要素がこの基質に結合しないようにすること、および、前記複合体を別の基質と接触させ、その別の基質に前記複合体は結合しないが残りの宿主細胞の構成要素は結合するようにすることを含む、複合体または融合タンパク質の調製方法である。
アフィニティー精製過程に含まれる別の実施形態では、複合体または融合タンパク質に結合している尾部またはリガンドの使用が実施形態に含まれ、これにより、陽性および陰性いずれの精製工程も可能である。
第1および第2の領域の結合配列すべてに、精製を行いやすくするために、さらなるアミノ酸配列をアミノ末端またはカルボキシ末端いずれにでも加えることができる。このような配列は、FLAGタグ(DYKDDDDK)(配列番号102)、mycタグ(EQKLISEEDL)(配列番号103)、Hisタグ(HHHHHH(配列番号80)、HHHHHHGS(配列番号104)などで、後者はGSリンカーを利用している。図4および5を参照のこと)、および他に当業者に公知の同様のタグを含んでよい。さらに、ビオチン受容タンパク質(GLNDIFEAQKIEWHE)(配列番号105)などのリガンドを活性BirAタンパク質とともに使用してよい。N末端を開始するメチオニンを含む配列については、N末端精製ドメインを付加した場合は、メチオニンは、ヒトホメオドメインペプチドの第1の領域のN末端にくるのではなく精製ドメインのN末端にくることになる。いずれのタグについても、当技術分野で公知のペプチドリンカーを使用し精製後に特異的プロテアーゼで除去してよい。
ある実施形態では、複合体または融合タンパク質は、ヒトホメオドメインまたは多様体またはその一部に連結している、機能酵素である生物学的に活性なペプチドまたはタンパク質を含む。
他の実施形態は、同定されている状態または疾患を治療するためのあらゆる製剤を含む。
配列番号21および配列番号22の上流の作製.標的タンパク質の発現を制御でき、TEVで切断可能なN末端のHisタグが付いた、ホメオボックス候補の2タンパク質PPL-002(配列番号21、表3)とPPL-003(配列番号22、表3)の細菌発現構成体を、T7ベクター系において作製した。T7発現系は、動物での効力試験のための材料作製に好適であるが、他の発現ベクター/発現系も企図され、分子生物学/生物工学技術分野の当業者には公知である。
合成により作製し、コドンを最適化した遺伝子配列をベクターにクローニングし、カナマイシン選択法で選択したタンパク質の誘導発現を行った。ホメオボックスタンパク質PPL-002(例えば、プラスミドpJ411:129925)およびPPL-003(例えば、pJ411:129926)のDNA配列および対応するアミノ酸配列を、それぞれ、図6および図7に示す。発現したタンパク質の各々は、SAAの転移配列の付いた6HISリーダー配列(配列番号80)、およびそれに続くTEV切断部位(ENLYFQS)(配列番号81)を含有し、適切なN末端を有するPPL-002またはPPL-003配列を与える。
DH5αへの形質転換の際、各構成体につき6クローンを、挿入部の存在について制限酵素消化により試験した。合成したDNA配列の配列決定を確認のため行った。各タンパク質について発現が検証・確認された構成体を使用して、Invitrogenから市販されている菌株、大腸菌BL21(DE3)(www.lifetechnologies.com/us/en/home/brands/invitrogen)を形質転換し、発現が最良のクローンそれぞれについてPDグリセロール細胞ストックを調製した。
発現最適化の予備試験をフラスコ振盪培養で実施した。小規模培養槽への移動時、細胞増殖のさらなる最適化を実施した。初期の酸素供給およびpH設定値約7.1が最適であった。導入温度を約18℃で最適化した。
本明細書に開示する組成物の実施形態は、薬理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤を含んでよい。「薬理学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤」という用語は、それ自体は治療剤ではないが、治療剤を被検体に送達するための担体またはビヒクルとして使用される物質、または、医薬組成物への添加によりその組成物の取扱いもしくは保管特性が改善されるかまたは組成物の単位用量の形成が可能もしくは容易になる物質であり、忍容できない毒性または組成物の他成分との相互作用を生じることのないあらゆる物質をいう。
配列番号21および22それぞれのサイズにより、融合タンパク質全体の人工的合成が可能である。配列番号21および22、または多様体またはそれらの一部の組換え合成により作製する場合は、N末端のメチオニンを含んでよい。リンカーは、機能には必要ではないが、複合体の機能を損なわない限り、別の実施形態における第1および第2の領域間にリンカーを含めてよい。その末端には、この複合体の実施形態を得るために当技術分野で公知の任意のリンカー(例えば、表2を参照のこと)を使用してよく、リンカー配列がこれら第1および第2の領域をつなぐ程度まで、配列番号21および22は、少なくとも一部、改変されることが考えられる。
なおさらなる実施形態では、精製を行いやすくするために、さらなるアミノ酸配列(「尾部」)をアミノ末端またはカルボキシ末端のいずれにでも付加することができる。このような配列に、FLAGタグ(DYKDDDDK)(配列番号102)、mycタグ(EQKLISEEDL)(配列番号103)、Hisタグ(HHHHHH)(配列番号80)、および当業者に公知の他の同様のタグを含めてよい。このようなタグにリンカーを含めてもよいし、含めなくてもよい。さらに、ビオチン受容タンパク質(GLNDIFEAQKIEWHE)などのリガンド(配列番号105)を活性BirAタンパク質とともに使用してよい。N末端を開始するメチオニンを含む配列については、N末端精製ドメインを付加した場合は、メチオニンは、ヒトホメオドメインペプチドの第1の領域のN末端にくるのではなく精製ドメインのN末端にくることになる。図5は、HOX D12ホメオドメインがNBDカーゴペプチドに結合し、それがさらにGSリンカー一によりHisタグに結合している実施形態を示す。
さまざまな実施形態では、配列番号21および22またはその一部は、炎症性疾患治療の全身送達または局所送達用に製剤化され得る。局所送達の実施形態には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)用の吸入液体または乾燥粉末製剤、結腸および/または直腸のインメント(inment)の付いた潰瘍性大腸炎またはクローン病(炎症性腸疾患)用の結腸浣腸製剤、ドライアイ(乾性ケラトコンジュンティヴィティス(keratoconjuntivitis))、ぶどう膜炎および強膜炎などの炎症性眼疾患用の点眼製剤、並びに乾癬および円形脱毛症などの炎症性および自己免疫性皮膚疾患用の外用軟膏およびクリーム製剤などの例が含まれる。全身投与用製剤には、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬等のような慢性炎症性疾患の治療、並びに、急性心筋梗塞(冠動脈血栓症)および脳卒中の予防、脳卒中および心筋梗塞(梗塞サイズ縮小および機能回復)並びに臓器移植患者(臓器機能の回復)における虚血再灌流傷害の予防のための、炎症性アテローム性プラークの不安定性のような急性炎症性状態の治療を目的とした、静脈内、皮下および筋肉内注射製剤および持続的放出のための注射可能インプラント製剤を含む。NF-?B炎症経路活性化が、例えば、結腸癌、肺癌および一部の皮膚癌において文献で広く報告されているように、特定の癌の病因および進行に関与している場合、全身投与には癌治療が含まれる。
別の実施形態では、p200ペプチドは、配列番号3〜19のいずれに結合してもよい。
なおさらなる実施形態では、精製を行いやすくするために、さらなるアミノ酸配列をアミノ末端またはカルボキシ末端いずれにでも加えることができる。このような配列は、FLAGタグ(DYKDDDDK)(配列番号102)、mycタグ(EQKLISEEDL)(配列番号103)、Hisタグ(HHHHHH)(配列番号80)、および当業者に公知の他の同様のタグを含んでよい。このようなタグにリンカーを含めてもよいし、含めなくてもよい。さらに、ビオチン受容タンパク質(GLNDIFEAQKIEWHE)(配列番号105)などのリガンドを活性BirAタンパク質とともに使用してよい。N末端を開始するメチオニンを含む配列については、N末端精製ドメインを付加した場合は、メチオニンは、ヒトHOX C12またはHOX D12ホメオドメインのN末端にくるのではなく精製ドメインのN末端にくることになる。
PC1 CTT p200ペプチドを第2の領域に有する、60アミノ酸ヒトHOX C12もしくはHOX D12ホメオドメインまたは多様体またはその一部を含む、融合タンパク質の実施形態は、静脈内、皮下、筋肉内および注射可能な持続放出用インプラント製剤などの全身投与用製剤に含められことになる。また、これらの製剤を、糸球体でろ過されネフロンに入った後、尿細管細胞により再吸収させるか、または血液を介して腎嚢胞細胞を標的にすることができるバソプレシン2受容体(V2R、下記を参照のこと)のような特異的受容体を介して標的にするような、特異構造を含むよう製剤化してもよい。このような構造を表す第3の領域は、例えば、図3を参照のこと。留意されるとおり、融合タンパク質の生物学的活性は、cyst様構造の形成が阻害されているPKD変異のある腎尿細管細胞培養のインビトロで、また、嚢胞形成および腎肥大の進行が阻害されているPKDげっ歯類モデルにおいても示すことができる(Lalら、2008年)。融合タンパク質の実施形態(配列番号24もしくは25、もしくはその一部であって開始因子メチオニンを含まないもの、または、別のPC1 CTT p200ペプチド含有複合体実施形態)が嚢胞形成に及ぼす効果を、これらの尿細管細胞培養のインビトロで、また、PKD動物モデル(例えば、PKD1トランスジェニックマウス(Pkd2W525/-))においても評価していく。このPKD-1トランスジェニックマウスモデルでは、腎の拡大阻害(すなわち、腎肥大阻害)について超音波測定を行う。PC1 CTT p200ペプチドを第2の領域に含む、融合タンパク質および/または複合体の開示実施形態のうち1以上の医薬製剤を使用するPKD患者において、総腎容積および嚢胞の大きさと数の増減をMRIで評価する。
腎嚢胞を標的にする:PKDにおける嚢胞の一部または大部分は腎の集合管に最初に発生すると考えられている。集合管細胞はバソプレシン2受容体(V2R)を発現する。いくつかの実施形態にペプチドV2R拮抗因子を連結して含めるか、またはペプチドV2R拮抗因子を融合タンパク質のさらなるセグメントとして付加することにより、ヒトHOX C12またはHOX D12ホメオドメインペプチドまたは多様体またはその一部を第1の領域に有し、p200またはp21を第2の領域に有する融合タンパク質および複合体実施形態に、集合管を起源とする腎嚢胞を標的にさせることが可能であり得る。いくつかの実施形態では、リンカーの付加により複合体の機能が損なわれることがなければ、除去可能なリンカーを使用してよい。非競合的ペプチドV2R拮抗因子の一例が、Rihakova, et al. "VRQ397 (CRAVKY): a novel noncompetitive V2 receptor antagonist" Am. J. Physiol. Integr. Comp. Physiol. 297:R1009-R1018, 2009 ("CRAVKY" disclosed as SEQ ID NO: 29)により報告された。露出されたヒトホメオドメイン領域が一旦細胞の細胞質まで侵入を促進した後は連結解除または溶解するよう設計されたリンカーを有する、ヒトHOX C12もしくはHOX D12ホメオドメイン-p200および/またはヒトHOX C12もしくはHOX D12ホメオドメイン-p21の融合(複合体)タンパク質の実施形態のN末端またはC末端に、非競合的ペプチドV2R拮抗因子であるVRQ397(CRAVKY)(表3に示す配列番号29)を付加する試験を行い、有効性(腎の大きさの変化など)並びに作用部位への送達効率を得るための必要用量について評価を行いたいと考えている。さらに、ペプチドV2R拮抗因子が異なる機序を介して融合タンパク質または複合体の実施形態の有効性に影響を与えるのかどうかについて調べていく。
配列番号29(表3):ペプチドV2R 6アミノ酸拮抗因子:CRAVKY。
さまざまな実施形態では、PKD治療たのめに標的としたペプチドは、以下のいずれでもよい:CRAVKY-(リンカー)-p200-ヒトホメオドメイン(配列番号29として開示した"CRAVKY");CRAVKY-(リンカー)-p21-ヒトホメオドメイン(配列番号29として開示した"CRAVKY");ヒトホメオドメイン-p200-(リンカー)-CRAVKY(配列番号29として開示した"CRAVKY");ヒトホメオドメイン-p21-(リンカー)-CRAVKY(配列番号29として開示した"CRAVKY")。このうち、最初の2つの実施例ではCRAVKY配列(配列番号29)はタンパク質のN末端にあり、残りの2つの実施例ではタンパク質のC末端にある。
例えば、CRAVKYペプチド(配列番号29)連結の有無による、p21ペプチドおよびp200ペプチドを含む実施形態の相対活性を、上記のようにPKD嚢胞細胞培養でインビトロ評価することができる。ただし、これらの細胞は、細胞表面にV2Rを発現するようにも操作された細胞である。例えば、上記のような、記載されたさまざまなCRAVKY含有融合タンパク質(配列番号29として開示した"CRAVKY")または複合体の実施形態に対するインビトロでの用量反応は、細胞培養のインビトロ表現型をcyst様から管様に変化させる能力を、CRAVKY(配列番号29)のない、同一の融合タンパク質または複合体の実施形態と比較して行うことができる。さらに、これらの構成体を、腎の肥大を低減させる相対的な能力について上記のPKDマウスモデルで試験することもできる。
(1)ヒトHOX C12もしくはHOX D12ホメオドメイン-p21の融合タンパク質製剤もしくは複合体製剤の実施形態および/またはヒトHOX C12もしくはHOX D12ホメオドメイン-p200の融合タンパク質製剤または複合体製剤の実施形態のPKD嚢胞細胞培養における有効性が認められる場合、および(2)上記のPDK-1トランスジェニックマウスモデルにおいて、CRAVKYペプチド(配列番号29)を使用して標的とさせた場合に、より大きな効力(すなわち、用量-反応曲線の左への移動)が認められる場合は、配列番号24、25、27および/もしくは28(または多様体またはその一部)、または対応するそれらの複合体ではなく、配列番号29を含む上記の配列実施形態の少なくとも1つについて、PDK-1トランスジェニックマウスモデル並びに罹患者で試験を行う。腎肥大速度は、公知の方法で評価される。
配列番号1〜19の任意の配列、または多様体またはそれらの一部を含み(1)p200ペプチドまたは(2)p21ペプチドに結合している実施形態など、別の実施形態には、当技術分野で公知の任意のリンカーを実施形態の機能を損なうことなく1以上含んでいるさまざまな融合タンパク質または複合体が含まれ、これらにさらにCRAVKYペプチド(配列番号29)を含めてよい。
実施例3
リソソーム蓄積症の細胞透過性ペプチド酵素補充療法
細胞透過性ペプチドは抗体などの大きな「カーゴ(積み荷)」ペプチドまたはタンパク質が細胞に侵入できるようにすことができるという強力な証拠がある。HOX由来ペプチド、または開示に類似する、他のヒトホメオドメインの細胞透過性ペプチドを含む複合体もしくは融合タンパク質の実施形態は、大きい分子が細胞膜を通過して細胞内の作用部位へ入るのを助ける(chaperone)ことができる。これらの実施形態は、他の場合には抗原性となるカーゴペプチドおよびタンパク質の免疫原性も低下させるため、こうしたペプチドおよびタンパク質が血液脳関門を通過してCNSへ入ることができる。したがって、開示した実施形態およびそれらの修正形態形態は、複合体または融合タンパク質の第1の領域がアミノ酸60個のヒトホメオドメインまたは多様体またはその一部であり、第2の領域が活性酵素である実施形態も含む。これらの化合物により、リソソーム蓄積症などの先天性酵素欠損の患者の酵素機能が回復されるであろう。ここに、リソソーム蓄積症および関連「カーゴ(積み荷)」構造の3実施例を含めるが((1)ゴーシェ病のための、例えば、配列番号30に示すグルコセレブロシダーゼ(GCase)、(2)ハーラー症候群のための、例えば、配列番号45に示すアルファ-L-イズロニダーゼ;および(3)ハンター症候群のための、例えば、配列番号48に示すイズロン酸-2-スルファターゼ)、他のリソソーム蓄積症において欠如しているまたは欠陥のある酵素を積んだ他の「カーゴ(積み荷)」を有するヒトホメオドメイン融合タンパク質または複合体に対しても同一の原則が適用される。
タンパク質のグリコシル化も最終構造において改変され得る。幾つかのグリコシル化部位でマンノースが露出されると、例えば、配列番号31および/もしくは32または多様体またはそれらの一部を含む実施形態がリソソームをより優れて標的にすることができる。
なおさらなる実施形態では、精製を行いやすくするために、さらなるアミノ酸配列をアミノ末端またはカルボキシ末端いずれにでも加えることができる。このような配列は、FLAGタグ(DYKDDDDK)(配列番号102)、mycタグ(EQKLISEEDL)(配列番号103)、Hisタグ(HHHHHH)(配列番号80)、および当業者に公知の他の同様のタグを含んでよい。このようなタグにリンカーを含めてもよいし、含めなくてもよい。さらに、ビオチン受容タンパク質(GLNDIFEAQKIEWHE)(配列番号105)などのリガンドを活性BirAタンパク質とともに使用してよい。N末端を開始するメチオニンを含む配列については、N末端精製ドメインを付加した場合は、メチオニンは、ヒトホメオドメインまたはHOXペプチド第1の領域のN末端にくるのではなく精製ドメインのN末端にくることになる。
ヒトホメオドメインまたは多様体またはその一部、および、例えば、第2の領域のGCase配列を含む複合体または融合タンパク質の実施形態は、静脈内、皮下、筋肉内投与および注射が可能な持続的放出用インプラント製剤などの全身投与用製剤中に含まれることになる。ヒトの変異型がマウスGCase配列に組み込まれているゴーシェ病マウスモデルでは、これらの融合タンパク質は、さまざまな組織における基質の蓄積を予防し、ゴーシェ病の神経学的症状を予防する。
60アミノ酸ヒトHOX C12もしくはHOX D12ホメオドメイン(または多様体またはその一部)の複合体または融合タンパク質の実施形態の免疫原性を、当技術分野で周知のリンパ球増殖アッセイを用いて調べていく。例えば、60アミノ酸ヒトホメオドメインまたは多様体またはその一部が、他の場合には免疫原となるタンパク質の免疫原性を取り除く一般的能力を検討するため、破傷風トキソイドに免疫のある被検者から単離されたヒト単核球を、約1μM〜約115μMの範囲のさまざまな判定対象濃度のヒトホメオドメイン(または多様体またはその一部)ペプチド-破傷風トキソイド複合体または破傷風トキソイドとともにインビトロで3日間インキュベートする。その後、培養リンパ球による3H-チミジン取り込み量を測定する。
リンカーは機能に必要というわけではないが、機能を損なわせなければさまざまな実施形態において、例えば、配列番号1と33の間、または配列番号2と33の間、または多様体またはそれらの一部にリンカーを含めてよい。当技術分野で公知の任意のリンカーを使用してよいが、その付加により複合体の機能が損なわれないことが条件となる。例えば、配列番号34および/もしくは35または多様体またはそれらの一部などの実施形態は、リンカー配列で第1と第2の領域がつながる程度に、少なくとも一部、改変されることが考えられる。
なおさらなる実施形態では、精製を行いやすくするために、さらなるアミノ酸配列をアミノ末端またはカルボキシ末端いずれにでも加えることができる。このような配列は、FLAGタグ(DYKDDDDK)(配列番号102)、mycタグ(EQKLISEEDL)(配列番号103)、Hisタグ(HHHHHH)(配列番号80)、および当業者に公知の他の同様のタグを含んでよい。このようなタグにリンカーを含めてもよいし、含めなくてもよい。さらに、ビオチン受容タンパク質(GLNDIFEAQKIEWHE)などのリガンド(配列番号102)を活性BirAタンパク質とともに使用してよい。N末端を開始するメチオニンを含む配列については、N末端精製ドメインを付加した場合は、メチオニンは、ヒトホメオドメインまたはHOXペプチド第1の領域のN末端にくるのではなく精製ドメインのN末端にくることになる。
通常は酵素が少ないまたは欠如している細胞内に酵素がうまく機能的移行を果たしたかどうか、例えば、HEK293細胞内の酵素の移行は、酵素の基質を与えてグアニル酸シクラーゼ活性標準的な方法で測定することにより判定することができる。グアニル酸シクラーゼ活性の上昇を示す証拠が認められた場合、それは、細胞透過化能力を有するヒトHOX C12またはHOX D12ホメオドメインなどの実施形態がヒト細胞に機能酵素を送達することができるという実験的証拠として捉えられるであろう。
例えば、ヒトHOX C12またはHOX D12ホメオドメインとRetGC-1酵素との融合タンパク質または複合体を含む実施形態をノックアウトマウスモデルで評価する。LCA1に最も近い動物モデルは、RetGC-1をコードする遺伝子Gucy2eをノックアウトさせたマウスである。このマウスは、錐体光受容体の無反応を示し、LCA1表現型を示す。Jacobson et al. "Determining consequences of retinal membrane guanylyl cyclase (RetGC1) deficiency in human Leber congenital amaurosis en route to therapy: residual cone-photoreceptor vision correlates with biochemical properties of the mutants." Human Molecular Genetics 22(1):168-83, 2013。
ヒトホメオドメインとRetGC-1との複合体または融合タンパク質の実施形態を網膜(球後)注射または点眼剤(すなわち、局所投与)によりノックアウトマウスに投与し、網膜電図(ERG)に見る機能回復を視力の戻りとして評価する。結果を、ヒトHOX C12またはHOX D12ホメオドメイン-RetGC-1を含まない緩衝液を投与した対照群のものと比較する。ある実施形態では、マウスに、ヒトHOX C12もしくはHOX D12ホメオドメインまたは多様体またはその一部に結合させたRetGC-1ペプチドを含む製剤、または1つ以上のリンカーを含んだ、融合タンパク質または複合体を含むRetGC-1の代替実施形態を、マウス20gあたり少なくとも約1μg〜少なくとも約500μgの用量で、網膜(球後)注射または点眼剤によりタンパク質を投与する。ERGで見た機能の回復について、未治療の対照群と比較して調べる。
リンカーは機能に必要というわけではないが、機能を損なわせなければさまざまな実施形態において、例えば、配列番号1と36、39、または42との間、または配列番号2と36、39、または42との間、またはその一部にリンカーを含めてよい。当技術分野で公知の任意のリンカーを使用してよいが、その付加により複合体の機能が損なわれないことが条件となる。例えば、表2を参照のこと。配列番号37、38、40、41、43および/または44などの実施形態は、リンカー配列で第1と第2の領域がつながる程度に、少なくとも一部、改変されることが考えられる。
なおさらなる実施形態では、精製を行いやすくするために、さらなるアミノ酸配列をアミノ末端またはカルボキシ末端いずれにでも加えることができる。このような配列は、FLAGタグ(DYKDDDDK)(配列番号102)、mycタグ(EQKLISEEDL)(配列番号103)、Hisタグ(HHHHHH)(配列番号80)、および当業者に公知の他の同様のタグを含んでよい。さらに、ビオチン受容タンパク質(GLNDIFEAQKIEWHE)(配列番号105)などのリガンドを活性BirAタンパク質とともに使用してよい。N末端を開始するメチオニンを含む配列については、N末端精製ドメインを付加した場合は、メチオニンは、ヒトホメオドメインまたはHOXペプチド第1の領域のN末端にくるのではなく精製ドメインのN末端にくることになる。ヒトHOX C12またはHOX D12ホメオドメインとジンクフィンガーとの融合タンパク質または複合体の実施形態について、構成体が機能的に移行すること、および変異型HTT遺伝子が抑制されることを測定するため、適切な細胞株で試験を行う。マウスHTT遺伝子の第1エキソンを、111CAGリピート(STHdhQ111/HdhQ111またはSTHdhQ7/HdhQ111)を有するヒトエキソンで置換したSTHdhノックイン細胞を使用する。
ある実施形態では、融合タンパク質または複合体を含有する60アミノ酸ヒトHOX C12もしくはHOX D12ホメオドメイン(または多様体またはその一部)を用いたジンクフィンガーカーゴタンパク質の移行について、STHdhノックイン細胞を、最適マイクロモル濃度の判定対象と考えられる約1μM〜約115μMで1時間、2時間、3時間、4時間、6時間、または24時間などのさまざまな期間インキュベーションした後の培養中のジンクフィンガーカーゴタンパク質の存在を調べる。変異型HTT遺伝子の発現を公知の方法により評価し、結果と対照培養と比較する。
R6/2マウスは、最も広く使用されているHD動物モデルである。このHDノックインマウスモデルは、ヒト患者で障害が知られている脳内部位、線条体でヒトHTT遺伝子を過剰発現する。R6/2マウスは、HD患者の徴候および症状に似た運動障害を表現型として示し、例えば、R6/2マウスは前足の爪で物をとる能力が欠如している。
結核ワクチン抗原85Aおよびそのエピトープ.抗原85複合体は、マイコバクテリアで主に分泌される極めて類似した幾つかのタンパク質をコードする多重遺伝子族である。シグナルペプチドは成熟したAg85タンパク質で開裂する。Ag85Aは、アミノ酸338個からなる分子量35.7kDa、予測pI値6.5のペプチドである。細胞外α-抗原とも呼ばれ、細胞壁合成において重要なmycolyltransferase活性を有する。組換え型アデノウイルスベクター、組換え型Ag85Aそのものまたは重複15merペプチドセットを使用してマウスの経鼻および全身免疫化を行った後(単一Balb/c H-2D拘束エピトープ)、Balb/cマウスにおける低分子ペプチドエピトープの免疫原性および防御活性についての解析(Tchilian et. al. Immunization with different formulations of Mycobacterium tuberculosis antigen 85A induces immune responses with different specificity and protective efficacy. Vaccine 31:4624-31, 2013)では、経鼻の免疫化後の結核菌(Mtb)投与に対する優れた防御が示された。CD4 85A99-118およびCD8 85A70-78の応答は防御的であったがCD8 85A145-152に対する応答は防御的ではなかった。
乳児におけるBCGワクチンの有効性を高めるための、アデノウイルスAg85Aワクチンを用いたヒトワクチン臨床試験では、わずかな免疫応答しか誘導されず、臨床的有効性はなかった(Tameris et.al. Safety and efficacy of MVA85A, a new tuberculosis vaccine, in infants previously vaccinated with BCG: a randomised, placebo-controlled phase 2b trial. The Lancet 381:1021-1028, 2013)。これは、免疫応答を下方制御するIL-10応答を誘発することが示されているアデノウイルス成分がもつTLR2作動特性の抑制作用のため、またはいくつかのAg85Aエピトープに対する非防御的応答のためである可能性がある。
結核ワクチン.防御的ヒト結核ワクチンの現在の実施形態は、複合体または複合体混合物を吸入、経鼻または非経口的注射経路で投与するものである。ある実施形態では、吸入経路により肺の局所免疫が提供される。
Balb/cマウスでは、複合体または複合体混合物が、第1の領域である、配列番号1〜19または多様体またはその一部のいずれかに記載の配列を含むが、これらに限定されない、ヒトホメオドメインまたは多様体またはその一部が、かかる第1の領域と非人工的には会合していない第2の領域に結合して構成されているという概念について検討する。ある実施形態では、第2の領域は、Ag85A99-118エピトープ全体に広がる4ペプチドのうち1以上のペプチドである(表3を参照のこと):
Ag85A99-118エピトープの4ペプチドうちの1ペプチドは配列番号51:
ETFLTSELPGWLQAN
であり;
Ag85A99-118エピトープの4ペプチドうちの2ペプチドは配列番号54:
SELPGWLQANRHVKP
であり;
Ag85A99-118エピトープの4ペプチドうちの3ペプチドは配列番号57:
WLQANRHVKPTGSAV
であり;
Ag85A99-118エピトープの4ペプチドうちの4ペプチドは配列番号60:
RHVKPTGSAVVGLSM
である。さらに他の実施形態では、第2の領域は、これらの4ペプチドのうちの1以上についての変形ペプチドである。これらの複合体の幾つかの配列番号を表3に示す。例えば、ある実施形態では、第1の領域(HOX C12)および第2の領域の配列番号51を組み合わせた、Ag85A99-118エピトープの完全アミノ酸配列は配列番号52:
SRKKRKPYSKLQLAELEGEFLVNEFITRQRRRELSDRLNLSDQQVKIWFQNRRMKKKRLLETFLTSELPGWLQAN
である。同様に、別の実施形態では、第1の領域(HOX D12)および第2の領域の配列番号51を組み合わせた、Ag85A99-118エピトープの完全アミノ酸配列は配列番号53:
ARKKRKPYTKQQIAELENEFLVNEFINRQKRKELSNRLNLSDQQVKIWFQNRRMKKKRVVETFLTSELPGWLQAN
である。
Balb/cマウスで試験を行うための第2の複合体または複合体混合物は、第1の領域である、配列番号1〜19のいずれかに記載の配列または多様体またはその一部を有する、ヒトホメオドメインまたは多様体またはその一部を、かかる第1の領域と非人工的には会合していない第2の領域に結合させて構成されている。ある実施形態では、第2の領域は、Ag85A70-78エピトープ全体に広がる3ペプチドのうち1以上のペプチドである(表3を参照のこと):
Ag85A70-78エピトープの3ペプチドのうちの1ペプチドは配列番号63:
QSGLSVVMPVGGQSS
であり;
Ag85A70-78エピトープの3ペプチドのうちの2ペプチドは配列番号66:
VVMPVGGQSSFYSDW
であり;
Ag85A70-78エピトープの3ペプチドのうちの3ペプチドは配列番号69:
GGQSSFYSDWYQPAC
である。さらに他の実施形態では、第2の領域は、これらの3つのペプチドのうちの1以上についての変形ペプチドである。これらの複合体の幾つかの配列番号も表3に示す。例えば、ある実施形態では、第1の領域(HOX C12)および第2の領域の配列番号63を組み合わせた、Ag85A70-78エピトープの完全アミノ酸配列は配列番号64:
SRKKRKPYSKLQLAELEGEFLVNEFITRQRRRELSDRLNLSDQQVKIWFQNRRMKKKRLLQSGLSVVMPVGGQSS
である。同様に、別の実施形態では、第1の領域(HOX D12)および第2の領域の配列番号63を組み合わせた、Ag85A70-78エピトープの完全アミノ酸配列は配列番号65:
ARKKRKPYTKQQIAELENEFLVNEFINRQKRKELSNRLNLSDQQVKIWFQNRRMKKKRVVQSGLSVVMPVGGQSS
である。
ヒト用ワクチンのある実施形態では、ワクチンは、第1の領域である、配列番号1〜19または多様体またはその一部のいずれかに記載の配列などを含むが、これらに制限されない、ヒトホメオドメインまたは多様体またはその一部を、かかる第1の領域と非人工的には会合していない第2の領域に結合させて構成され、これにおいて、前記第2の領域が、ある実施形態では、Ag85A338-アミノ酸ペプチド全体、または適切なヒト被検者において免疫応答を引き起こすことが示された、Ag85Aの1以上の特異的HLA拘束エピトープのようなAg85AのHLA拘束エピトープである(表3を参照のこと)。Ag85Aペプチド、またはそのヒトエピトープを、上記のように第1の領域に連結させてよい。別の実施形態では、HLAクラスIおよびクラスIIのゲノタイプが異なる被検者に対し単一ワクチン構成体を提供するため、Ag85A全体配列は第1の領域に連結している。Ag85A配列は:
MQLVDRVRGA VTGMSRRLVV GAVGAALVSG LVGAVGGTAT AGAFSRPGLP VEYLQVPSPS MGRDIKVQFQ SGGANSPALY LLDGLRAQDD FSGWDINTPA FEWYDQSGLS VVMPVGGQSS FYSDWYQPAC GKAGCQTYKW ETFLTSELPG WLQANRHVKP TGSAVVGLSM AASSALTLAI YHPQQFVYAG AMSGLLDPSQ AMGPTLIGLA MGDAGGYKAS DMWGPKEDPA WQRNDPLLNV GKLIANNTRV WVYCGNGKPS DLGGNNLPAK FLEGFVRTSN IKFQDAYNAG GGHNGVFDFP DSGTHSWEYW GAQLNAMKPD LQRALGATPN TGPAPQGA:
(配列番号106)である。
ここで、太字で示した長い配列領域および下線上のフォントはシグナルペプチドであり、成熟したAg85A配列が作製されると開裂する(残り296アミノ酸ペプチド)。フィブロネクチン結合ドメインは太字で示し、その直下に斜体で示し、その下の太字に下線を引いた斜体フォントの3アミノ酸は触媒ドメインにある。
ある実施形態では、第2の領域のAg85Aのアミノ酸配列(シグナルペプチドなし)は:
AFSRPGLP VEYLQVPSPS MGRDIKVQFQ SGGANSPALY LLDGLRAQDD FSGWDINTPA FEWYDQSGLS VVMPVGGQSS FYSDWYQPAC GKAGCQTYKW ETFLTSELPG WLQANRHVKP TGSAVVGLSM AASSALTLAI YHPQQFVYAG AMSGLLDPSQ AMGPTLIGLA MGDAGGYKAS DMWGPKEDPA WQRNDPLLNV GKLIANNTRV WVYCGNGKPS DLGGNNLPAK FLEGFVRTSN IKFQDAYNAG GGHNGVFDFP DSGTHSWEYW GAQLNAMKPD LQRALGATPN TGPAPQGA
と考えられる。このAg85Aカーゴペプチドの配列番号(配列番号72)を表3に示すが、それとともに、Ag85Aカーゴペプチドまたは変形ペプチドが複合体もしくは融合タンパク質の第2の領域を含んでいる、数ある可能な実施形態のうちの2形態、すなわち、第1の領域にHOX C12(配列番号73)配列またはHOX D12(配列番号74)配列を含有するものを示す。分子生物学/生物工学技術分野の当業者であれば、表3に示すこれらおよび他のあらゆる配列の多数の変形が本明細書に開示の実施形態の範囲に入ることを理解されるであろう。
ワクチンで誘導された免疫応答の測定.アデノウイルスベクターAg85Aワクチンに対する免疫応答を第I相臨床試験で測定するため、特異抗体とのインビトロ全血培養およびI型サイトカイン応答の測定を使用し、成功した(Smaill et.al. A Human Type 5 Adenovirus-Based Tuberculosis Vaccine Induces Robust T Cell Responses in Humans Despite Preexisting Anti-Adenovirus Immunity. Sci. Transl. Med. 5, 205: 1-11, 2013)。この手法を使用して、CPP系Ag85Aエピトープワクチン混合物に対するヒトの免疫応答を測定できる。マウスモデルにおいて、同様の方法を使用することができ、処置後の秘蔵リンパ球培養およびBalb/cマウスにおけるサイトカイン応答を記載のエピトープを用いて行う。
遺伝子発現への影響:1以上の実施形態では、第2の領域のカーゴはDYRK1bに結合して遺伝子発現を抑制する。
この遺伝子の過剰発現は、肺癌および膵癌など多くの癌に存在する。発現増加をもたらすDYRK1bの変異も、II型糖尿病、中心性肥満および早期の冠動脈疾患、メタボリック症候群のすべての特徴の家族性遺伝に関連している。この経路が、一般母集団におけるII型糖尿病および肥満の病因に寄与していると考えられる。そのため、以下に記載するようなDYRK1b阻害剤による全身治療は、DYRK1bを異常に高発現する癌のほか、II型糖尿病およびメタボリック症候群の他の特徴を発症している患者においても有効となるであろう。特に、過剰発現をもたらすDYRK1bの変異が同定された患者では有効であろう。前述したRas経路および腫瘍抑制因子の経路の実施例同様、さまざまな実施形態で、第1の領域のホメオドメイン配列は、例えば、HOX C12(配列番号1)またはHOX D12(配列番号2)であり得る(表3を参照のこと)。ある実施形態では、配列5'-GTGGTGAAAGCCTATGATCAT-3'(配列番号79、表4を参照のこと)またはその変形配列はDYRK1bに結合する。別の実施形態では、配列番号79の変形配列はDYRK1b、またはその機能的変形配列に結合する。

Claims (34)

  1. ヒトホメオドメイン構造を含み、配列番号1〜19のいずれか1つのポリペプチド配列またはその多様体を含む第1の領域、および
    該第1の領域に非人工的には会合していない、機能性または調節性のポリペプチドもしくはタンパク質または薬理学的に活性な低分子を含む第2の領域、を含む複合体。
  2. ヒトHOX D12ホメオドメインまたはHOX C12ホメオドメインの少なくとも1つを含む第1の領域、および
    該第1の領域に非人工的には会合していない、機能性または調節性のポリペプチドもしくタンパク質または薬理学的に活性な低分子を含む第2の領域、を含む複合体。
  3. 前記第2の領域が、NEMO結合ドメイン、PC1 CTT由来の融合タンパク質、先天的な酵素欠損を有する被検者の酵素機能を回復させる酵素、RPE65遺伝子産物、ジンクフィンガーペプチド、Ag85Aペプチド、Ag85A99-118エピトープペプチド、またはAg85A70-78エピトープペプチドの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載の複合体。
  4. 前記NEMO結合ドメインが、配列番号20のポリペプチド配列またはその多様体を有する、請求項3に記載の複合体。
  5. 前記PC1 CTT由来の融合タンパク質が、配列番号23または26の少なくとも1つに記載のポリペプチド配列またはその多様体を有する;
    前記先天的な酵素欠損を有する被検者の酵素機能を回復させる酵素が、配列番号30、45、もしくは48の少なくとも1つのポリペプチド配列またはその多様体を有する;
    前記RPE65遺伝子産物が、少なくとも配列番号33またはその多様体を含むポリペプチド配列を有する;
    前記ジンクフィンガーペプチド配列が、配列番号36、29、もしくは42またはその多様体を少なくとも1つ含む;
    前記Ag85Aペプチドが、配列番号72の配列またはその多様体を有する;
    前記Ag85A99-118エピトープペプチドが、配列番号51、54、57、もしくは60またはその多様体を少なくとも1つ含む配列を有する;または
    前記Ag85A70-78エピトープペプチドが、配列番号63、66、もしくは69またはその多様体を少なくとも1つ含む配列を有する、請求項3に記載の複合体。
  6. 前記第2の領域が、前記第1の領域のC末端に、または前記第1の領域のN末端に結合している、請求項1または2に記載の複合体。
  7. 融合タンパク質の形態である、請求項1または2に記載の複合体。
  8. 前記第2の領域が、細胞内標的および/または核内標的と相互作用する、請求項1または2に記載の複合体。
  9. 前記第2の領域と前記細胞内標的および/または前記核内標的との相互作用が、NF-κB活性化、ぶどう膜炎、多発性嚢胞腎変異を有する尿細管細胞のPC1転写因子活性、GCaseのゴーシェ病変異を有する細胞のグルコセレブロシダーゼ基質、ハーラー症候群またはハンター症候群を有する被検者のグリコサミノグリカン、網膜グアニル酸シクラーゼが欠損している網膜細胞の網膜グアニル酸シクラーゼ基質、ハンチントン舞踏病変異を有する細胞の変異ハンチンチン遺伝子の転写調節、および、感染症に暴露されている被検者の結核を予防する結核ワクチンなどのためのワクチン実施形態において有効な免疫応答を誘発するための、抗原提示細胞の細胞質内への抗原エピトープの送達、の1つ以上に影響を与える、請求項8に記載の複合体。
  10. 前記第2の領域が、配列番号23もしくは26またはその多様体を含むポリペプチド配列を有し、かつ、前記複合体が非競合的V2受容体拮抗因子をさらに含む、請求項1または2に記載の複合体。
  11. 前記第1および第2の領域間にリンカー配列をさらに含む、請求項1または2に記載の複合体。
  12. 前記第1および第2の領域の組み合わせが、配列番号21、22、24、25、27、28、31、32、34、35、37、38、40、41、43、44、46、47、49、並びに50、52、53、55、56、58、59、61、62、64、65、67、68、70、71、73および74からなる群から選択されるポリペプチド配列またはその多様体を有する、請求項1に記載の複合体。
  13. 前記配列の開始因子メチオニン残基は、活性剤および/または治療剤として使用する前に除去される、請求項12に記載の複合体。
  14. 前記第1および第2の領域の組み合わせが、ヒトホメオドメイン構造および少なくとも1つのNEMO結合ドメイン、PC1 CTT由来の融合タンパク質、先天的な酵素欠損を有する被検者の酵素機能を回復させる酵素、RPE65遺伝子産物、ジンクフィンガーペプチド、Ag85A99-118エピトープペプチド、並びにAg85A70-78エピトープペプチドを含む配列を有する、請求項1に記載の複合体。
  15. 前記第2の領域が、細胞内標的および/または核内標的と相互作用する、請求項14に記載の複合体。
  16. 前記第2の領域と細胞内標的および/または核内標的との相互作用が、NF-κB活性化、ぶどう膜炎、多発性嚢胞腎変異を有する尿細管細胞のPC1転写因子活性、GCaseのゴーシェ病変異を有する細胞のグルコセレブロシダーゼ基質、ハーラー症候群またはハンター症候群を有する被検者のグリコサミノグリカン、網膜グアニル酸シクラーゼが欠損している網膜細胞の網膜グアニル酸シクラーゼ基質、ハンチントン舞踏病変異を有する細胞の変異ハンチンチン遺伝子の転写調節、および、例えば、感染症に暴露されている被検者の結核を予防するための結核ワクチンにおけるように、ワクチン活性成分として有効な免疫応答を誘発するための、抗原提示細胞の細胞質内への抗原エピトープの送達、の1以上に影響を与える、請求項15に記載の複合体。
  17. 請求項1または2に記載の複合体を含む、組成物。
  18. 前記組成物が、吸入可能な組成物、局所用または注射用の点眼製剤他の眼用組成物、浣腸剤、外用組成物、または持続的放出のための注射可能なインプラントを含む注射可能な組成物の形態である、請求項17に記載の組成物。
  19. ドライアイまたは他の炎症性眼状態の治療に使用するための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の複合体、または請求項17もしくは18に記載の組成物。
  20. HOX D12ホメオドメインまたはHOX C12ホメオドメインであるヒトホメオドメイン構造を含む第1の領域、および
    該第1の領域に非人工的には会合していない、機能性または調節性の核酸またはペプチド核酸を含む第2の領域、を含む複合体。
  21. 配列番号1〜19のいずれか一項に記載のポリペプチド配列またはその多様体を有するヒトホメオドメイン構造を含む第1の領域、および
    該第1の領域に非人工的には会合していない、機能性または調節性の核酸またはペプチド核酸を含む第2の領域、を含む複合体。
  22. 前記第2の領域が、DNA、RNA、LNA、PNA、γPNA、または細胞内での生物学的活性を有する、これらの構成要素の組み合わせを含む、請求項20または21に記載の複合体。
  23. 前記第2の領域が、miRNA21またはDYRK1bに結合し、および/またはこれらの発現を調節する核酸を含む;配列番号76、78、もしくは79の少なくとも1つに記載のヌクレオチド配列またはその多様体を有する;前記第1の領域のC末端に結合している;前記第1の領域のN末端に結合している;前記第1の領域にペプチド結合で連結している;前記第1の領域に非ペプチド結合を介して結合している;またはこれらの任意の組合せである、請求項20または21に記載の複合体。
  24. 前記第2の領域が、前記第1の領域のC末端に結合している、前記第1の領域のN末端に結合している、前記第1の領域にペプチド結合で連結している、前記第1の領域に非ペプチド結合を介して結合している、請求項20〜23のいずれか一項に記載の複合体。
  25. 前記第2の領域が、Ras経路に影響を与えるためにmiRNA132に結合する、核酸またはPNA;配列番号75に記載のmiRNAヌクレオチド配列またはその多様体に安定にハイブリダイズする核酸配列もしくはPNA;配列番号78に記載のヌクレオチド配列、または、miRNA132に安定にハイブリダイズする該ヌクレオチド配列の一部もしくはその多様体;腫瘍抑制因子の経路または腫瘍増殖に影響を与えるためにmiRNA21に結合する核酸配列もしくはPNA;配列番号76に記載のヌクレオチド配列またはその多様体からなる群から選択され、または配列番号77に記載のヌクレオチド配列またはその多様体に安定にハイブリダイズ可能である、請求項20〜23のいずれか一項に記載の複合体。
  26. 前記第1の領域のホメオドメイン構造が、配列番号2のポリペプチド配列またはその多様体を有する、請求項20〜23のいずれか一項に記載の複合体。
  27. 前記第2の領域が、DYRK1bに結合する、請求項26に記載の複合体。
  28. 前記第2の領域が、配列番号79に記載のヌクレオチド配列またはその多様体を有する、請求項27に記載の複合体。
  29. 前記第1の領域および前記第2の領域が、「クリックケミストリー」を介して、またはペプチド結合を介して結合している、請求項20または21に記載の複合体。
  30. 癌を治療するための請求項20または21記載の複合体の使用。
  31. 癌を治療するための請求項28または29記載の複合体の使用。
  32. 癌の治療に使用するための、請求項1〜16のいずれか一項記載の複合体、または請求項17もしくは18記載の組成物。
  33. ワクチンとして使用するための、請求項1〜16のいずれか一項記載の複合体、または請求項17もしくは18記載の組成物。
  34. 中枢神経系疾患の治療に使用するための、請求項1〜16のいずれか一項記載の複合体、または請求項17もしくは18記載の組成物。
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