JP2016523880A - フェノール類またはチオフェノール類の存在下においてキラルピロリジン類を使用するキラル4−クロマノン類の生成 - Google Patents

フェノール類またはチオフェノール類の存在下においてキラルピロリジン類を使用するキラル4−クロマノン類の生成 Download PDF

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Abstract

本発明は、クロマノン環またはクロマン環中の2位から考えて立体特異的な状態でのクロマノン類またはクロマン類の合成に関する。この合成は、特定の種類の式のキラル化合物の存在下および少なくとも1種のフェノール類またはチオフェノール類の存在下において特に可能であることが見出された。【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
[技術分野]
本発明は、トコフェロールおよびトコトリエノールの合成の分野に関する。
[発明の背景]
クロマン化合物は、キラル天然物および生物活性化合物の重要なクラスを代表する。クロマン化合物の1つの重要なクラスは、ビタミンEおよびそのエステルである。多くの場合、ビタミンEは、そのエステルの形態で商品化されており、なぜなら後者は向上した安定性を示すからである。
一方において、ビタミンEの典型的な技術的合成は、異性体の混合物をもたらす。他方において、分子の環中のエーテル原子の隣に位置しているキラル中心(本明細書において後で用いられる式の中でで示される)においてR配置(すなわち、2R配置)を有するトコフェロールおよびトコトリエノールによって、一般的に、S配置を有する対応する異性体と比較してより高い対生物活性(生物作用能)が生じることが示されている。特に活性があるのは、例えばH.WeiserらによりJ.Nutr.1996,126(10),2539−49において開示されているように、全てのキラル中心において天然の配置を有するトコフェロールの異性体、例えば、(R,R,R)−トコフェロールである。このことは、この異性体を分離するための効率的な方法に対する強い要求に繋がる。したがって、ビタミンEの、またそれのみならずそのエステル、特にその酢酸エステルの、およびその前駆体の、異性体分離に主要な関心がある。
クロマトグラフィー法による全ての異性体の分離は、極めて難しく費用がかかる。
こうした固有の問題を克服するために、所望の異性体のみの選択的生成を可能にする立体特異的合成を提供することが試みられてきた。しかしながら、こうした方法は、異性体混合物をもたらす従来からの工業的合成と比較して、非常に費用がかかり、複雑で、かつ/または珍しい。
したがって、所望の異性体をもたらす立体特異的合成経路を提供することに大きな関心が存在する。
特に困難であるのは、クロマン環の2位におけるキラル炭素中心において所望のキラリティを特異的に達成することである。
クロマン類の合成経路は、それらの対応するクロマノン類を介するものである。α−トコフェロールは、ピロリジンの存在下において2−アセチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノンおよびファルネシルアセトンから入手可能である4−オキソ−α−トコトリエノールからα−トコトリエノールを介して合成され得ることが、Kabbe and Heitzer,Synthesis 1978;(12):888−889から知られている。しかしながら、この手順は、クロマン環またはクロマノン環の2位における配置から考えてラセミ混合物をもたらす。
[発明の概要]
したがって、本発明が解決しようとする課題は、クロマノン環またはクロマン環における2位から考えて立体特異的な状態でのクロマノン類またはクロマン類(すなわち、式(I)または(V)の化合物)の合成のための方法を提供することである。
驚くべきことに、請求項1に記載の製造方法が、この課題を解決することができることが見出された。
特に、特定のキラル化合物と少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する有機触媒との組み合わせが、所望の生成物の生成および所望の立体選択的生成をもたらすことが見出された。詳しく言えば、所望の異性体が所望されない異性体よりも選択的に生成され、ゼロより大きいエナンチオマー比、または1より大きい[2R]立体異性体と[2S]立体異性体との比が得られる。
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の主題である。特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
[発明の詳細な説明]
第1の態様において、本発明は、式(I)
Figure 2016523880

の化合物の製造方法であって、少なくとも1種の式(II−C)のキラル化合物の存在下および少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する少なくとも1種の有機触媒の存在下において、式(II−A)の化合物と式(II−B)の化合物とを反応させる工程
Figure 2016523880

を含み、
式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素またはメチル基であり、
およびR2’は、水素またはフェノール保護基を表し、
は、直鎖もしくは分岐の完全に飽和したC6〜25アルキル基または少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む直鎖もしくは分岐のC6〜25アルキル基のいずれかを表し、
は、CHまたは
Figure 2016523880

[式中、Rは、少なくとも1個の芳香族基および/またはC=Oおよび/またはNHおよび/またはNH基を任意選択でさらに含む直鎖または分岐のC1〜12アルキル基を表し、
は、OHまたはORまたはNHRまたはNHCOORまたは
Figure 2016523880

(式中、Rは、
少なくとも1個の芳香族基および/もしくはC=Oおよび/もしくはNHおよび/もしくはNH基を任意選択でさらに含む直鎖もしくは分岐のC1〜12アルキル基、
または
アリール基もしくは置換アリール基もしくはヘテロアリール基もしくは置換ヘテロアリール基
のいずれかを表す)のいずれかを表し、および
点線は、対応する置換基を式(II−C)の残部に結合している結合を表す]のいずれかを表し、
式中、は、式(I)のキラル異性体のキラル中心を表す、
方法に関する。
本明細書における用語「互いに独立して」とは、置換基、部分または基に関連して、同様に示された置換基、部分または基が、同じ分子内において異なる意味を持って同時に存在し得ることを意味している。
「Cx〜yアルキル」基または「Cx〜yアシル」基は、それぞれ、x〜y個の炭素原子を含むアルキル基またはアシル基であり、すなわち、例えば、C1〜3アルキル基は、1〜3個の炭素原子を含むアルキル基である。アルキル基またはアシル基は、直鎖でも分岐でもよい。例えば、−CH(CH)−CH−CHは、Cアルキル基と見なさる。
「Cx〜yアルキレン」基は、x〜y個の炭素原子を含むアルキレン基であり、すなわち、例えば、C〜Cアルキレン基は、2〜6個の炭素原子を含むアルキル基である。アルキレン基は、直鎖でも分岐でもよい。例えば、基−CH(CH)−CH−は、Cアルキレン基と見なされる。
用語「水素」とは、本明細書において、HではなくHを意味する。
分子の式中の符号は、本明細書において、前記分子中のキラル中心を表す。
本明細書において、一重の点線はいずれも、置換基を分子の残部に結合している結合を表す。
個々のキラル炭素中心のキラリティは、R.S.Cahn、C.K.IngoldおよびV.Prelogにより定義された規則に従ってRまたはSという表示で示される。立体化学におけるこのR/S概念および絶対配置の決定のための規則は、当業者に知られている。
「フェノール基」とは、本明細書において、芳香族基に直接結合しているヒドロキシル基(OH)を意味する。このOHが結合している芳香族基は、1個または数個の芳香族環または縮合芳香族環を有する芳香族基であり得る。フェノール基を有する化合物を、フェノール類と呼ぶ。
「チオフェノール基」とは、本明細書において、芳香族基に直接結合しているチオール基(SH)を意味する。このSHが結合している芳香族基は、1個または数個の芳香族環または縮合芳香族環を有する芳香族基であり得る。チオフェノール基を有する化合物を、チオフェノール類と呼ぶ。
残基Rは、直鎖もしくは分岐の完全に飽和したC6〜25アルキル基または少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む直鎖もしくは分岐のC6〜25アルキル基のいずれかを表す。
好ましくは、基Rは、式(III)のものである。
Figure 2016523880
式(III)において、mおよびpは、互いに独立して、0〜5の値を表すが、但し、mとpとの合計は、1〜5である。さらに、s1およびs2で表される式(III)中の部分構造は、任意の順序であり得る。点線は、式(III)の置換基を式(II−B)または式(I)の化合物の残部に結合している結合を表す。さらに、#は、キラル中心を表すが、但し、前記中心が2個のメチル基に連結されている場合は明らかにこの限りではない。
基Rは、式(III−x)のものであることが好ましい。
Figure 2016523880
上述のように、s1およびs2で表される式(III)中の部分構造は、任意の順序であり得る。したがって、末端基が部分構造s2を有している場合は、この末端部分構造がキラル中心を有さないことは明らかである。
1つの好ましい実施形態において、mは3を表し、pは0を表す。
別の好ましい実施形態において、pは3を表し、mは0を表す。
したがって、Rは、好ましくは、式(III−A)、特に(III−ARR)、または(III−B)のものである。
Figure 2016523880
好ましいのは、R、RおよびRの以下の組み合わせである。
=R=R=CH
または
=R=CH、R=H
または
=H、R=R=CH
または
=R=H、R=CH
およびR2’は、水素またはフェノール保護基のいずれかを表す。
フェノール保護基は、フェノール基(式(I)または(II−A)中のOH)を保護する基であって、容易に(すなわち、従来技術の方法により)脱保護されて再びフェノール基とし得る基である。
フェノール保護基は、分子の残部と共に、特にエステル、エーテルまたはアセタールからなる群から選択される、化学官能基を形成している。この保護基は、当業者に知られている標準的な方法によって容易に除去され得る。
フェノール保護基が分子の残部と共にエーテルを形成する場合、置換基RまたはR2’は、特に、直鎖または分岐のC1〜10アルキル基またはシクロアルキル基またはアラルキル基である。好ましくは、置換基RまたはR2’は、ベンジル基または置換ベンジル基であり、特に好ましくは、ベンジル基である。
フェノール保護基が分子の残部と共にエステルを形成する場合、このエステルは、有機酸または無機酸のエステルである。
エステルが有機酸のエステルである場合、この有機酸は、モノカルボン酸またはポリカルボン酸(すなわち、2個以上のCOOH基を有する酸)であり得る。ポリカルボン酸は、好ましくは、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸またはフマル酸である。
好ましくは、この有機酸は、モノカルボン酸である。
したがって、置換基RまたはR2’は、好ましくはアシル基である。このアシル基は、特に、C1〜7アシル基、好ましくは、アセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、もしくはベンゾイル基、または置換ベンゾイル基である。
エステルが無機酸のエステルである場合、この無機酸は、好ましくは、硝酸または特にリン酸、ピロリン酸、亜リン酸、硫酸および亜硫酸からなる群から選択される多塩基酸(すなわち、酸分子1個当たり2個以上のプロトンを供与することができる酸)である。
フェノール保護基が分子の残部と共にアセタールを形成する場合、置換基RまたはR2’は、好ましくは、
Figure 2016523880

であり、n=0または1である。
したがって、そのように形成されたアセタールは、好ましくは、メトキシメチルエーテル(MOMエーテル)、β−メトキシエトキシメチルエーテル(MEMエーテル)またはテトラヒドロピラニルエーテル(THPエーテル)である。この保護基は、酸によって容易に除去され得る。
保護基は、HであるRまたはR2’を有する対応する分子と保護剤との反応によって導入される。
対応するフェノール保護基をもたらす保護剤、ならびにこの反応の化学プロセスおよび条件は、当業者に知られている。例えばフェノール保護基が分子の残部と共にエステルを形成する場合、好適な保護剤は、例えば酸、無水物またはハロゲン化アシルである。
保護剤との上記の反応によってエステルが形成され、前記エステルが有機ポリカルボン酸または無機多塩基酸のエステルである場合において、必ずしも全ての酸基が本明細書の意味において保護されたと認められるようにエステル化されているとは限らない。無機多塩基酸の好ましいエステルは、リン酸エステルである。
保護基RまたはR2’は、ベンゾイル基またはC1〜4アシル基、特に、アセチル基またはトリフルオロアセチル基であることが好ましい。RまたはR2’がアシル基、特にアセチル基を表す分子は、対応する未保護の分子からエステル化により容易に調製され得、それぞれ、フェノール化合物は、対応するエステルからエステル加水分解により得られ得る。
保護剤と反応させる工程は、式(I)または式(V)の化合物(これらの調製は、本明細書において後でより詳細に説明される)の製造の異なる段階で行われ得る(すなわち、この反応は、例えば、式(II−A)の化合物のレベルで、または化合物(I)もしくは化合物(V)の調製の前もしくは後に行われ得る)ということを認識することが重要である。
およびR2’は、Hであることが特に好ましい。
本発明の方法は、式(II−A)の化合物と式(II−B)の化合物とを反応させる工程を含む。
(II−A)の対応する化合物および式(II−B)の化合物は、容易に入手可能である。例えば、(II−A)の化合物は、G.Manecke,G.Bourwieg,Chem.Ber.1962,95,1413−1416に開示されている方法から合成され得る。
式(II−A)の化合物と式(II−B)の化合物との間の上述の反応は、少なくとも1種の式(II−C)のキラル化合物の存在下および少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する少なくとも1種の有機触媒の存在下において行われる。
Figure 2016523880
基Yは、CHまたは
Figure 2016523880

のいずれかを表す。
は、第1の例において、直鎖または分岐のC1〜12アルキル基を表す。特に好適な直鎖または分岐のC1〜12アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基である。
は、第2の例において、少なくとも1個の芳香族基および/またはC=Oおよび/またはNHおよび/またはNH基をさらに含む直鎖または分岐のC1〜12アルキル基を表す。この実施形態に好適な式(II−C)の化合物の例は、
Figure 2016523880

である。
は、OHまたはORまたはNHRまたはNHCOORまたは
Figure 2016523880

のいずれかを表す。
は、第1の例において、直鎖または分岐のC1〜12アルキル基を表す。特に好適な直鎖または分岐のC1〜12アルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソ−プロピル基、n−ブチル基、イソ−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基およびオクチル基である。
は、第2の例において、少なくとも1個の芳香族基および/またはC=Oおよび/またはNHおよび/またはNH基をさらに含む直鎖または分岐のC1〜12アルキル基を表す。
は、第3の例において、アリール基または置換アリール基またはヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基を表す。このアリール基または置換アリール基またはヘテロアリール基または置換ヘテロアリール基は、特に、
Figure 2016523880

である。
式(II−C)の化合物は、
Figure 2016523880

からなる群から選択されることが好ましい。
式(II−B)の化合物は、対応する前駆体から合成され得、例えば、国際公開第2009/019132号パンフレットに記載されているように、化合物(E,E)−ファルネシルアセトンが、ネロリドールから鎖延長反応により合成され得る。
1つの好ましい実施形態において、基Rは、キラル中心を何ら含まない。(E)−6,10−ジメチルウンデカ−5,9−ジエン−2−オン、(5E,9E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9,13−トリエン−2−オンおよび(5E,9E,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13,17−テトラエン−2−オン、特に、(5E,9E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9,13−トリエン−2−オンからなる群からの式(II−B)の化合物が好ましい。
基Rがキラル中心を含む場合は、式(II−B)の化合物は、純粋なキラル異性体の形態であることが好ましい。
これは、立体特異的合成経路によるか、または天然に存在する化合物もしくはその誘導体の単離によるか、またはキラル立体異性体の混合物からの分離により達成され得る。
例えば、(6R,10R)−6,10,14−トリメチルペンタデカン−2−オンは、Thomas EltzらによりJ.Chem.Ecol.(2010)36:1322−1326において開示されているように、NaIOおよび触媒量のRuClを用いた酸化により、天然に存在する(R,R)−フィトールから得られ得る。
別の好ましい実施形態において、式(II−B)の化合物は炭素−炭素二重結合を少なくともケト基に対してγ,δ位に有するメチルケトンである。好ましくは、これは、6−メチルヘプタ−5−エン−2−オン、(E)−6,10−ジメチルウンデカ−5−エン−2−オン、(Z)−6,10−ジメチルウンデカ−5−エン−2−オン、(E)−6,10−ジメチルウンデカ−5,9−ジエン−2−オン、(Z)−6,10−ジメチルウンデカ−5,9−ジエン−2−オン、(E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5−エン−2−オン、(Z)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5−エン−2−オン;(5E,9E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9−ジエン−2−オン、(5E,9Z)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9−ジエン−2−オン、(5Z,9E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9−ジエン−2−オン、(5Z,9Z)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9−ジエン−2−オン;(E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,13−ジエン−2−オン、(Z)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,13−ジエン−2−オン;(5E,9E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5E,9Z)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5Z,9E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5Z,9Z)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9,13−トリエン−2−オン;(E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5−エン−2−オン、(Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5−エン−2−オン;(5E,9E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9−ジエン−2−オン、(5E,9Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9−ジエン−2−オン、(5Z,9E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9−ジエン−2−オン、(5Z,9Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9−ジエン−2−オン;(5E,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,13−ジエン−2−オン、(5E,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,13−ジエン−2−オン、(5Z,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,13−ジエン−2−オン、(5Z,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,13−ジエン−2−オン;(E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,17−ジエン−2−オン、(Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,17−ジエン−2−オン;(5E,9E,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5E,9E,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5E,9Z,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5E,9Z,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5Z,9E,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5Z,9E,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5Z,9Z,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13−トリエン−2−オン、(5Z,9Z,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13−トリエン−2−オン;(5E,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,13,17−トリエン−2−オン、(5E,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,13,17−トリエン−2−オン、(5Z,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,13,17−トリエン−2−オン、(5Z,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,13,17−トリエン−2−オン;(5E,9E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,17−トリエン−2−オン、(5E,9Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,17−トリエン−2−オン、(5Z,9E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,17−トリエン−2−オン、(5Z,9Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,17−トリエン−2−オン;(5E,9E,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13,17−テトラエン−2−オン、(5E,9E,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13,17−テトラエン−2−オン、(5E,9Z,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13,17−テトラエン−2−オン、(5E,9Z,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13,17−テトラエン−2−オン、(ZE,9E,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13,17−テトラエン−2−オン、(5Z,9E,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13,17−テトラエン−2−オン、(5Z,9Z,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13,17−テトラエン−2−オン、(5Z,9Z,13Z)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13,17−テトラエン−2−オン、(5E,9E,13E)−6,10,14,18−テトラメチルノナデカ−5,9,13−トリエン−2−オンからなる群から選択される。
基R中にキラル中心が存在する場合において、特にRが式(III−ARR)を有する場合、式(II−B)の対応する化合物は、国際公開第2006/066863A1号パンフレットおよび国際公開第2012/152779A1号パンフレット(これらの全内容が参照により本明細書に援用される)に開示されているように、そのオレフィン不飽和前駆体を、キラルイリジウム錯体を用いて不斉水素化することにより調製され得る。
今記述したばかりの化合物がキラル炭素中心を有する場合において、前記キラル中心は、R配置を有することが好ましい。
今記述したばかりの化合物がキラル炭素中心を有する場合において、前記キラル中心は、式(III−x)に示されるとおりの配置を有することが好ましい。
好ましくは、この実施形態における式(II−B)の化合物は、(E)−6,10−ジメチルウンデカ−5,9−ジエン−2−オン(ゲラニルアセトン)または(Z)−6,10−ジメチルウンデカ−5,9−ジエン−2−オン(ネリルアセトン)または(5E,9E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9−ジエン−2−オン(E,E−ファルネシルアセトン)または(5Z,9Z)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5,9−ジエン−2−オン(Z,Z−ファルネシルアセトン)または(E)−6,10−ジメチルウンデカ−5−エン−2−オンまたは(Z)−6,10−ジメチルウンデカ−5−エン−2−オンまたは(E)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5−エン−2−オンまたは(Z)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5−エン−2−オンであり、好ましくは、ゲラニルアセトンまたはE,E−ファルネシルアセトンまたは(Z)−6,10−ジメチルウンデカ−5−エン−2−オンまたは(Z)−6,10,14−トリメチルペンタデカ−5−エン−2−オンであり、より好ましくは、ゲラニルアセトンまたはE,E−ファルネシルアセトンである。
より好ましくは、式(II−B)の化合物は、6,10−ジメチルウンデカン−2−オンまたは6,10,14−トリメチルペンタデカン−2−オンである。
最も好ましくは、式(II−B)の化合物は、(6R),10−ジメチルウンデカン−2−オンまたは(6R,10R),14−トリメチルペンタデカン−2−オンのいずれかである。
式(II−C)の化合物は、
Figure 2016523880

からなる群から選択されることがより好ましい。
本発明の方法は、少なくとも1種の式(II−C)のキラル化合物の存在下および少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する少なくとも1種の有機触媒の存在下において式(II−A)の化合物と式(II−B)の化合物とを反応させる工程を含む。
有機触媒は、少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する。一実施形態において、有機触媒は、1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する。
1個のフェノール基またはチオフェノール基を有するそのような有機触媒についての例は、フェノール(1−ヒドロキシベンゼン)、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、ナフタレン−1−オール、ナフタレン−2−オール、アントラセン−9−オール、4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトールおよび8−ヒドロキシキノリン、4−トリフルオルメチルテトラフルオロフェノール、ならびに少なくとも1つのOHがSHに置き換わったそれらのメルカプト類似体である。
別の実施形態において、有機触媒は、2つ以上のフェノール基またはチオフェノール基を有する。そのOHまたはSHは、同じ芳香族環もしくは異なる芳香族環上に、または縮合芳香族環を有する芳香族基上に結合され得る。2個以上のフェノール基またはチオフェノール基を有するそのような有機触媒についての例は、1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,4−ジヒドロキシベンゼン、アントラセン−9,10−ジオール、ナフタレン−1,2−ジオール、ナフタレン−1,3−ジオールナフタレン−1,4−ジオール、ナフタレン−1,5−ジオール、ナフタレン−1,6−ジオール、ナフタレン−1,7−ジオール、ナフタレン−2,3−ジオール、ナフタレン−2,6−ジオール、4,4’−メチレンジフェノール、[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジオール、および少なくとも1つのOHがSHに置き換わったそれらのメルカプト類似体である。
有機触媒は、1個のフェノール基または1個のチオフェノール基を有することが好ましい。
好ましい実施形態において、少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する有機触媒は、フェノール、4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、1−ナフトール、2−ナフトールおよび8−ヒドロキシキノリンからなる群から選択される。
好ましい実施形態において、少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する有機触媒は、チオフェノール、p−ニトロチオフェノール、2,4−ジニトロフェノール、1−ナフタレンチオール、2−ナフタレンチオールおよび4−トリフルオルメチルテトラフルオルチオフェノールからなる群から選択される。
式(II−C)の化合物は、キラル化合物である。この化合物は、純粋な立体異性体として直接使用されるか、または知られている技術によって本発明のための使用の前にR立体異性体とS立体異性体とに分離される。
式(II−C)で示される異性体は、で示されたキラル中心においてR配置を示す式(I)または式(V)の化合物の異性体を選択的にもたらすことが見出された。
したがって、式(II−C)の化合物のキラリティは、生成される化合物のキラリティに、すなわち、式(I)または式(V)の化合物に、重要な影響を及ぼすことが見出された。
したがって、上記の方法により、式(I)中のの付いたキラル中心においてR配置を有する異性体が、前記キラル中心においてS配置を有する対応する異性体と比較して選択的に生成される。
他方において、式(II−C)の化合物の代わりに式(II−C’)で示される立体異性体を用いた場合は、で示されたキラル中心においてS配置を示す式(I)または式(V)の化合物の異性体が選択的に得られることが見出された。
Figure 2016523880
式(II−A)の化合物と式(II−B)の化合物とは、少なくとも1種の式(II−C)のキラル化合物の存在下および少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する少なくとも1種の有機触媒の存在下において反応させられる。
この反応は、有機溶媒中で行われることが好ましい。一実施形態において、反応は、炭化水素である有機溶媒中、好ましくは芳香族炭化水素中、特にトルエン中で、特に、好ましくは80℃〜150℃の間の温度、より好ましくは90℃〜140℃の間の温度、最も好ましくは100〜110℃の間の温度において、周囲圧力で行われる。反応温度は、溶媒の沸点よりも約5〜10℃低いことが好ましい。
別の実施形態において、反応は、アルコール、エーテル、エステル、カルボニトリル、ハロゲン化炭化水素およびラクタムからなる群から選択される有機極性溶媒中で行われる。特に好適な極性溶媒は、アセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン(THF)、N−メチルピロリドン(NMP)、1,2−ジクロロエタン、2,2,2−およびイソプロパノールである。
さらに、有機溶媒の量は、少なくとも、式(II−A)の化合物の4重量%溶液が得られるように選択されることが好ましいということが明らかになった。好ましい実施形態において、式(II−A)の化合物と有機溶媒との間の重量比は、2:98〜80:20の間、特に3:97〜50:50の間、好ましくは4:96〜30:70の間である。
式(II−A)の化合物と式(II−B)の化合物との反応のための温度が低ければ低いほど、で示されたキラル中心におけるキラリティから考えて式(I)または(V)の化合物のキラル純度が高くなることが見出された。このキラル純度は、R異性体の量とS異性体の量との差を両異性体の量の合計で除した値の絶対値により決定されるエナンチオマー過剰率(ee)で表され、通常、%で表される。
Figure 2016523880
本発明者らは、0℃の反応温度を用いることにより、この方法が、2.3の[R]/[S]の比に相当する40%までのエナンチオマー過剰率を有する生成物の生成をもたらすことを明らかにすることができた。しかしながら、反応速度はかなり遅かった。
反応速度の点から見れば、0℃を上回るより高い温度で反応を起こさせることが好ましい。
さらに、特に、低い反応温度が使用される場合においては、反応媒体中に分子篩を用いることが役立ち得るであろう。
エナンチオマー比は、反応条件を最適化することによりさらに高められ得る。エナンチオマー比は、大きければ大きいほどよい。しかしながら、より低いエナンチオマー比においても、本発明は、異性体の(例えば、クロマトグラフィーによる、特にキラル固定相を用いたクロマトグラフィーによる)完全な分離がラセミ混合物と比較してはるかにより少ない労力を必要とするため、有利であり得る。したがって、エナンチオマー比は、少なくとも15%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%であるべきである。
さらなる態様において、本発明は、
i)上に詳細に説明されたとおりの式(I)の製造方法の工程と、
ii)式(I)の化合物の還元の工程と
を含む、式(V)
Figure 2016523880

の化合物の製造方法に関する。
置換基R、R、R、RおよびRについては、既に上で詳細に述べられている。
最も好ましくは、式(V)のキラル異性体は、
・α−トコフェロール(R=R=R=CH、R=(II−A)、特に(II−ARR)、R=H)、
・β−トコフェロール(R=R=CH、R=H、R=(II−A)、特に(II−ARR)、R=H)、
・γ−トコフェロール(R=H、R=R=CH、R=(II−A)、特に(II−ARR)、R=H)、
・δ−トコフェロール(R=R=H、R=CH、R=(II−A)、特に(II−ARR)、R=H)、
・α−トコトリエノール(R=R=R=CH、R=(II−B)、R=H)、
・β−トコトリエノール(R=R=CH、R=H、R=(II−B)、R=H)、
・γ−トコトリエノール(R=H、R=R=CH、R=(II−B)、R=H)、
・δ−トコトリエノール(R=R=H、R=CH、R=(II−B)、R=H)、
およびそれらのエステル、特に、酢酸エステル(R=COCH)、またはリン酸エステル
からなる群から選択される異性体である。
特に好ましい式(V)の化合物は、有機酸および無機酸のエステルである。有機酸のエステルの例は、酢酸エステルおよびコハク酸エステルであり、無機エステルのエステルは、リン酸トコフェリル、リン酸ジトコフェリル、特に、リン酸α−トコフェリルおよびリン酸α−ジトコフェリルである。
最も好ましい式(V)の化合物は、トコフェロールおよび酢酸トコフェリルである。
工程ii)における還元は、様々な方法で行われ得る。典型的に、これは、還元手段を用いることにより還元される。
好ましくは、還元は、例えば米国特許第6,096,907号明細書または欧州特許出願公開第0989126号明細書(これらの全開示内容が参照により本明細書に援用される)に開示されているように、酸または酸混合物の存在下において金属亜鉛により行われる。
還元工程ii)は、典型的に、不活性雰囲気下において撹拌容器中で行われる。工程ii)は、30〜90℃の範囲内、特に40〜65℃の間の温度で行われることがさらに好ましい。
反応完了後、式(V)の化合物は、特に抽出によって、精製される。
式(I)の化合物の式(V)の化合物への還元は、式(I)または(V)中ので示されたキラル中心のキラリティを変更しないことが認められた。
式(II−C)で示される異性体が、で示されたキラル中心においてR配置を示す式(I)または式(V)の化合物の異性体を選択的にもたらすことが見出された。
したがって、式(V)中のの付いたキラル中心においてR配置を有する異性体が、前記キラル中心においてS配置を有する対応する異性体と比較して選択的に生成される。
他方において、式(II−C)の化合物の代わりに式(II−C’)で示される立体異性体を用いた場合は、で示されたキラル中心においてS配置を示す式(I)または式(V)の化合物の異性体が選択的に得られることが見出された。
Figure 2016523880
さらなる態様において、本発明は、
a)少なくとも1種の式(II−A)の化合物、および
b)少なくとも1種の式(II−B)のケトン、および
c)少なくとも1種の式(II−C)のキラル化合物、および
d)少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する少なくとも1種の有機触媒
Figure 2016523880

を含む組成物に関する。
置換基R、R2’、R、R、RおよびYについては、既に上で詳細に述べた。
さらに、式(II−A)の化合物について、式(II−B)の化合物について、および式(II−C)のキラル化合物についての詳細、ならびにそれらの好ましい実施形態およびそれらの比についても、既に上で詳細に述べた。
上に記載したように、この組成物は、式(V)の化合物に変換され得る式(I)の化合物の合成に非常に適している。
したがって、式(II−C)のキラル化合物は、これも上で非常に詳細に述べたように、トコフェロールまたはトコトリエノールの調製のために使用され得る。この使用は、特に、式(V)の化合物への変換が後に続く式(I)の化合物の調製のための式(II−C)のキラル化合物の使用を含む。この使用が少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する少なくとも1種の有機触媒の存在下において行われる場合に、式(I)または(V)中のの付いたキラル炭素中心においてR配置を有する式(I)または(V)の立体異性体の生成が、S配置を有する対応する立体異性体に関して過剰に得られる。
式(II−C)のキラル化合物について、式(I)の化合物について、式(V)について、および少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する有機触媒についての詳細、ならびにそれらの好ましい実施形態およびそれらの比については、既に上で詳細に述べた。
[実施例]
本発明を、以下の実験によりさらに説明する。
[添加剤の使用]
0.5mmolの2−アセチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン(または2−アセチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン4−O−アセテート)および0.795mmolの表1に示す添加剤を、磁気撹拌棒、加熱デバイス、水分離器または分子篩(表1に示すとおり)およびアルゴン供給源を備えた丸底フラスコ中で、23℃(または40℃)にて、2.5mL(23.47mmol)のトルエンに懸濁させた。次いで、0.514mmolのE,E−ファルネシルアセトンを添加し、最後に0.795mmolの(S)−2−(メトキシメチル)ピロリジンを添加した。この反応混合物を、23℃(または40℃)で表1に示す時間にわたり撹拌した。120℃まで加熱すると、水が留去され、反応混合物が褐色になってきた。120℃での示される時間後に、反応混合物を23℃まで冷却した。次いで、1mLの2N HCl水を添加し、この混合物を分液漏斗に移し、十分に振盪した。トルエン相を分離し、中性の水相が得られるまで10mLの水複数回分で洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、40℃および10ミリバールで濃縮する。
出発物質として2−アセチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノンを使用した場合において、生成された生成物は、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−((3E,7E)−4,8,12−トリメチルトリデカ−3,7,11−トリエン−1−イル)クロマン−4−オンであると同定された。
Figure 2016523880

H NMR(CDCl,300MHz)δ1.30(s,3H);1.51(s,6H);1.52(s,3H);1.54−1.58(m,1H);1.61(d,J=0.9Hz,3H);1.67−1.78(m,1H);1.67−2.10(m,10H);2.08(s,3H);2.16(s,3H);2.48(s,3H);2.51(d,J=15.8Hz,1H);2.68(d,J=15.8Hz,1H),4.45(s br,1H);4.99−5.05(m,3H)ppm.
13C NMR(CDCl,75.5MHz)δ12.1;12.8;13.3;15.9;16.0;17.7;22.2;23.7;25.1;26.6;26.8;39.4;39.7(2C);49.5;79.4;116.7;120.4;123.5;124.0;124.1;124.4;131.3;132.0;135.1;135.7;145.8;152.8;195.2ppm.
エナンチオマー比の決定:HPLC、Chiralcel(登録商標)OD−H、250×4.6mm、10mLのEtOH、990mLのn−ヘキサン、1.0mL/分;220nmでの検出。
出発物質として2−アセチル−3,5,6−トリメチルヒドロキノン4−O−アセテート)を使用した場合において、対応する反応生成物が何であるかは、しかるべく確認された。
Figure 2016523880
[クロマノン類のクロマン類への転化]
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−((3E,7E)−4,8,12−トリメチルトリデカ−3,7,11−トリエン−1−イル)クロマン−4−オンを、Baldenius et al.(欧州特許出願公開第0989126A1号明細書)により詳細に記載されているように、亜鉛末および塩酸水での処理により、α−トコトリエノールに変換した。
6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2−((3E,7E)−4,8,12−トリメチルトリデカ−3,7,11−トリエン−1−イル)クロマン−4−オン(5.0mmol)を、25mLのトルエンに、アルゴン雰囲気下で溶解させ、25%HCl水(41.7mL、340mmol)を添加した。この機械的に撹拌した2相混合物に、4時間にわたり、亜鉛末(65mmol)を少量(約0.5g)ずつ添加した。撹拌を、40℃で16時間、そして65℃で1時間続けた。反応(TLC制御)の完了後に、混合物を室温まで冷却し、Dicaliteのパッドに通して濾過した。フィルター残留物を100mLのn−ヘプタンで洗浄し、合わせた濾液を50mLの水で洗浄した。有機層を、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、40℃および10ミリバールで濃縮し、23℃にて0.003ミリバールで2時間乾燥させた。2.22gの黄色がかった褐色の油状物を、カラムクロマトグラフィー(SiO、n−ヘキサン/EtOAc 9:1)により精製した。エバポレーション(40℃/20ミリバール)および乾燥(0.021ミリバール/23℃)後に、α−トコトリエノールを黄色がかった褐色の油状物として得た(1.291g、純度93.9重量%、収率57%)。
得られた化合物は、天然の(R,E,E)−α−トコトリエノールの基準試料と比較して同一の保持時間を示し、H NMR(CDCl,300MHz)を測定することにより得られた値は、例えばP.Schudel et al.,Helv.Chim.Acta 1963,46,2517−2526により報告されているような、α−トコトリエノールについての値と同一であった。
エナンチオマー比の決定:HPLC、Chiralcel(登録商標)OD−H、250×4.6mm、n−ヘキサン中0.5%のEtOH、1.0mL/分;220nmでの検出。

Claims (14)

  1. 式(I)
    Figure 2016523880

    の化合物の製造方法であって、少なくとも1種の式(II−C)のキラル化合物の存在下および少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する少なくとも1種の有機触媒の存在下において、式(II−A)の化合物と式(II−B)の化合物とを反応させる工程
    Figure 2016523880

    を含み、
    式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素またはメチル基であり、
    およびR2’は、水素またはフェノール保護基を表し、
    は、直鎖もしくは分岐の完全に飽和したC6〜25アルキル基または少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む直鎖もしくは分岐のC6〜25アルキル基のいずれかを表し、
    は、CHまたは
    Figure 2016523880

    [式中、Rは、少なくとも1個の芳香族基および/またはC=Oおよび/またはNHおよび/またはNH基を任意選択でさらに含む直鎖または分岐のC1〜12アルキル基を表し、
    は、OHまたはORまたはNHRまたはNHCOORまたは
    Figure 2016523880

    (式中、Rは、
    少なくとも1個の芳香族基および/もしくはC=Oおよび/もしくはNHおよび/もしくはNH基を任意選択でさらに含む直鎖もしくは分岐のC1〜12アルキル基、
    または
    アリール基もしくは置換アリール基もしくはヘテロアリール基もしくは置換ヘテロアリール基
    のいずれかを表す)のいずれかを表し、および
    点線は、前記対応する置換基を式(II−C)の残部に結合している結合を表す]のいずれかを表し、
    式中、は、式(I)のキラル異性体のキラル中心を表す、
    方法。
  2. が、式(III)
    Figure 2016523880

    (式中、mおよびpは、互いに独立して、0〜5の値を表すが、但し、mとpとの合計は、1〜5であり、
    ここで、s1およびs2で表される式(III)中の部分構造は、任意の順序であり得、および
    点線は、式(III)の置換基を式(II−B)または式(I)の残部に結合している結合を表し、
    式中、#は、キラル中心を表すが、但し、前記中心が2個のメチル基に連結されている場合は明らかにこの限りではない)
    のものであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. =R=R=CH
    または
    =R=CH、R=H
    または
    =H、R=R=CH
    または
    =R=H、R=CH
    を特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 式(II−C)が、
    Figure 2016523880

    からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する前記有機触媒が、フェノール、4−ニトロフェノール、2,4−ジニトロフェノール、1−ナフトール、2−ナフトールおよび8−ヒドロキシキノリンからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する前記有機触媒が、チオフェノール、p−ニトロチオフェノール、2,4−ジニトロチオフェノール、1−ナフタレンチオール、2−ナフタレンチオールおよび4−トリフルオルメチル−テトラフルオルチオフェノールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. i)請求項1〜6のいずれか一項に記載の式(I)の製造方法の工程と、
    ii)式(I)の化合物の還元の工程と
    を含む、式(V)
    Figure 2016523880

    の化合物の製造方法。
  8. 式(I)または(V)中のの付いた前記キラル中心においてR配置を有する異性体が、前記キラル中心においてS配置を有する対応する異性体と比較して選択的に生成されることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. a)少なくとも1種の式(II−A)の化合物、および
    b)少なくとも1種の式(II−B)のケトン、および
    c)少なくとも1種の式(II−C)のキラル化合物、および
    d)少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する少なくとも1種の有機触媒
    Figure 2016523880

    を含む組成物であって、
    式中、R、RおよびRは、互いに独立して、水素またはメチル基であり、
    2’は、水素またはフェノール保護基を表し、
    は、直鎖もしくは分岐の完全に飽和したC6〜25アルキル基または少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む直鎖もしくは分岐のC6〜25アルキル基のいずれかを表し、
    は、CHまたは
    Figure 2016523880

    [式中、Rは、少なくとも1個の芳香族基および/またはC=Oおよび/またはNHおよび/またはNH基を任意選択でさらに含む直鎖または分岐のC1〜12アルキル基を表し、
    は、OHまたはORまたはNHRまたはNHCOORまたは
    Figure 2016523880

    (式中、Rは、
    少なくとも1個の芳香族基および/もしくはC=Oおよび/もしくはNHおよび/もしくはNH基を任意選択でさらに含む直鎖もしくは分岐のC1〜12アルキル基、
    または
    アリール基もしくは置換アリール基もしくはヘテロアリール基もしくは置換ヘテロアリール基
    のいずれかを表す)のいずれかを表し、および
    点線は、前記対応する置換基を式(II−C)の残部に結合している結合を表す]のいずれかを表す、
    組成物。
  10. が、式(III)
    Figure 2016523880

    (式中、mおよびpは、互いに独立して、0〜5の値を表すが、但し、mとpとの合計は、1〜5であり、
    ここで、s1およびs2で表される式(III)中の部分構造は、任意の順序であり得、および
    点線は、式(III)の置換基を式(II−B)の残部に結合している結合を表し、
    式中、#は、キラル中心を表すが、但し、前記中心が2個のメチル基に連結されている場合は明らかにこの限りではない)
    のものであることを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
  11. =R=R=CH
    または
    =R=CH、R=H
    または
    =H、R=R=CH
    または
    =R=H、R=CH
    を特徴とする、請求項9または10に記載の組成物。
  12. 式(II−C)が、
    Figure 2016523880

    からなる群から選択されることを特徴とする、先行する請求項9〜11のいずれか一項に記載の組成物。
  13. 少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する前記有機触媒が、4−ニトロフェノール、フェノール、1−ナフトール、2−ナフトールおよび8−ヒドロキシキノリンからなる群から選択されることを特徴とする、先行する請求項9〜12のいずれか一項に記載の組成物。
  14. 少なくとも1個のフェノール基またはチオフェノール基を有する前記有機触媒が、チオフェノール、p−ニトロチオフェノール、1−ナフタレンチオール、2−ナフタレンチオールおよび4−トリフルオルメチル−テトラフルオルチオフェノールからなる群から選択されることを特徴とする、先行する請求項9〜12のいずれか一項に記載の組成物。
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