JP2016518349A - 乾燥膜保護のためのクロロトルロン及びオクチルイソチアゾリノン(oit)の相乗的組み合わせ - Google Patents

乾燥膜保護のためのクロロトルロン及びオクチルイソチアゾリノン(oit)の相乗的組み合わせ Download PDF

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Abstract

クロロトルロン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含有する相乗的抗菌性組成物が提供される。そのような相乗的抗菌性組成物を添加することによって建築材料中の微生物の増殖を阻害するか、または増殖を制御する方法も提供される。そのような相乗的抗菌性組成物を含有するコーティング組成物及びそのようなコーティング組成物から製造された乾燥膜も提供される。【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌化合物の組み合わせ及び乾燥膜保護用途でのそれらの使用であって、個々の抗菌性化合物の両方の使用に関して予想されるよりも予想外に高い活性を有する組み合わせに関する。
少なくとも2つの抗菌性化合物の組み合わせの使用は、潜在的な市場を広げ、使用濃度及びコストを低減し、廃棄物を低減することができる。場合によっては、商用抗菌性化合物は、高い使用濃度においてさえ、ある特定の種類の微生物(例えば、いくつかの抗菌性化合物に対して耐性のもの)に対する弱い活性のために、微生物の有効な制御を提供することができない。異なる抗菌性化合物の組み合わせは、時として、特定の最終使用環境において微生物の全体的な制御を提供するために使用される。例えば、WO1998/121962は、3−ヨード−2−プロピニル−ブチルカルバメート及びピリチオンの組み合わせを開示しているが、この参考文献は、本明細書で特許請求される組み合わせのうちのいずれも示唆していない。さらに、健康及び/または環境に対して比較的低い影響を有する抗菌性化合物の追加の組み合わせが必要になる。本発明によって対処される問題は、抗菌性化合物のこのような追加の組み合わせを提供することである。
抗菌性化合物は、時として、基板に適用され、乾燥膜となる液体コーティング組成物中に含まれる。このような乾燥膜は表面の真菌及び藻を制御し、かつこのような乾燥膜はまた健康及び環境にできる限り少ない悪影響を与えることが望ましい。
本発明において、クロロトルロン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含む相乗的抗菌性組成物が提供される。
本発明は、建築材料中の微生物の増殖を阻害するか、または増殖を制御する方法であって、クロロトルロン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含む相乗的抗菌性組成物を添加するステップを含む方法をさらに提供する。好ましくは、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン対クロロトルロンの重量比は、1:5〜5:1、代替的に1:5〜2:1の範囲である。
本発明は、クロロトルロン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含む相乗的抗菌性組成物を含むコーティング組成物をさらに含む。本発明のコーティング組成物はまた、クロロトルロン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含む相乗的抗菌性組成物を含み得、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン対クロロトルロンの重量比は、1:5〜5:1、代替的に、1:5〜2:1である。
最後に、本発明は、クロロトルロン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含むコーティング組成物の層を基板に適用することと、コーティング組成物を乾燥させることまたはコーティング組成物が乾燥することを可能にすることと、を含むプロセスによって製造される乾燥膜を提供する。好ましくは、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン対クロロトルロンの重量比は、1:5〜5:1、代替的に、1:5〜2:1である。
以下は、本発明の詳細な説明である。
本明細書で使用される場合、文脈が別途明らかに示さない限り、以下の用語は指定された定義を有する。
「抗菌性化合物」という用語は、微生物の増殖を阻害するか、または増殖を制御することが可能な化合物を指し、抗菌性化合物は、適用される投与レベル、システム条件、及び所望の微生物制御のレベルに応じて、殺菌剤、静菌剤、殺菌剤、静真菌剤、殺藻薬、及び静藻剤(algistat)を含む。本明細書で用いられるこのような「抗菌性化合物」という用語は、「殺生物剤」という用語と同義である。
「微生物」という用語は、例えば、真菌(例えば、酵母及びカビなど)、細菌、ならびに藻を含む。
以下の略語が明細書全体を通して使用される:ppm=百万分の一重量部(重量/重量)、mL=ミリリットル、ATCC=アメリカ菌株寄託機関(American Type Culture Collection)、SAG=ゲッティンゲン大学藻類寄託機関(Culture Collection of Algae at Goettingen University)、CCAP=藻類及び原生動物寄託機関(Culture Collection of Algae and Protozoa)、ならびにMIC=最小阻害濃度。
特に断らない限り、温度は摂氏(℃)であり、割合(%)への言及は、重量によるもの(重量%)である。本発明の組成物における抗菌性化合物の割合(%)は、溶媒、担体、分散剤、安定剤、または存在し得る他の材料の任意の量を除く、組成物(すなわち、抗菌性化合物自体)中の活性成分の総重量に基づく。
本明細書で使用される場合、「OIT」は2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン(CAS登録番号26530−20−1)であり、「IT」は4−イソチアゾリン−3−オンである。
比率が本明細書において「X:1以上」であるべきである場合、比率は、Y:1である(式中、YがX以上である)ことを意味し、比率が本明細書において「X:1以下」であるべきである場合、比率は、Z:1である(式中、ZがX以下である)ことを意味する。同じ論理が「1:X以上」及び「1:X以下」である比率に用いられる。
クロロトルロンは、C1013ClNO(登録番号15545−48−9)によって表される、除草剤、N′−(3−クロロ−4−メチルフェニル)−N,N−ジメチル尿素または3−(3−クロロ−p−トリル)−1,1−ジメチル尿素である。
クロロトルロンは、水中で比較的低い溶解度を有する。乾燥コーティング及び建築材料は水に曝露されており、これは、乾燥コーティングまたは建築材料から溶解性の高い化合物を除去する傾向があり得るので、水中のこの比較的低い溶解度は、コーティング組成物または他の建築材料中に含まれ得る抗菌性材料にとって好ましい。
本発明は、クロロトルロン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンの両方を含有する組成物に関与する。驚くべきことに、このような組成物は、殺生物剤として相乗的に有効であることが見出された。特に驚くべきことには、クロロトルロン及びOITの両方を含む組成物は、殺生物剤として相乗的に有効であることが見出された。好ましくは、OIT対クロロトルロン化合物の重量比は、1:5〜5:1、好ましくは、1:5〜2:1である。
クロロトルロン及びOITの混合物は、コーティング組成物中に含まれ得る。クロロトルロン及びOITは、別個に、またはそれらの混合物もしくは任意の組み合わせとして、コーティング組成物に添加され得る。好ましいコーティング組成物は液体である。コーティング組成物は、水性または非水性であり得る。水性コーティング組成物は、一般に、コーティング組成物の重量に基づいて、混合物の30重量%以上の水を含有する。
クロロトルロン及びOITが塗料または他のコーティング組成物中に含まれる実施形態の中で、好ましいコーティング組成物は、液体組成物、特に水性媒体中にポリマーの分散液を含有する組成物である。
塗料及び海洋防汚などの他のコーティング組成物に加えて、本発明の抗菌性化合物の組み合わせは、特に、建築材料(例えば、接着剤、コーキング、ジョイントコンパウンド、シーラント、壁板など、ポリマー、プラスチック、合成及び天然ゴム、紙製品、ガラス繊維シート、断熱材、外装絶縁仕上げシステム、屋根及びフロアーリングフェルト、建物プラスター、レンガ、モルタル、石膏ボード、木材製品及び木材プラスチック合成物)の保存のために有用である。本発明の抗菌性化合物の組み合わせが建築材料中に存在する場合、抗菌性化合物の組み合わせのいくつかまたは全部は、建築材料の表面上の微生物の増殖を阻害するため、建築材料の表面、または建築材料の表面の十分近くに存在することが好ましい。
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗菌性化合物の組み合わせを含有するラテックス塗料または他の液体コーティング組成物が使用される。
コーティング組成物は、コーティング組成物の層を容易に基板に適用し、次いで、乾燥させるか、または乾燥することを可能にして、乾燥膜を形成することができるように設計されている。コーティング組成物は、結合剤を含有する。結合剤は、以下の1つ以上を含む:1つ以上のポリマー、1つ以上のオリゴマー、及び/または1つ以上のモノマー。結合剤中のオリゴマー及びモノマーは、乾燥膜の形成中または形成後に重合及び/または架橋するように設計されている。結合剤中のポリマーは、乾燥膜の形成中または形成後に架橋するように設計されていてもいなくてもよい。
コーティング組成物は任意に、1つ以上の色素を含有する。色素は、小さな固体粒子の形態における無機または有機物質である。色素は、乾燥膜に対して完全なまたは部分的な不透明性を提供する。
抗菌性化合物の組み合わせは、塗料または他の液体コーティング組成物の適用後に生じた乾燥膜コーティングの保存のために有用である。好ましくは、抗菌性組成物は、本明細書に開示された抗菌性化合物の組み合わせのうちの1つ以上を含む水性ラテックス塗料、または表面への塗料の適用から生じた乾燥膜コーティングである。水性ラテックス塗料は、結合剤が中でラテックスの形態(すなわち、水全体に分散されたポリマー粒子の形態)のポリマーである、水性液体コーティング組成物である。結合剤が1つ以上のアクリルポリマーを中に含有する水性ラテックス塗料がより好ましい。
典型的には、微生物の増殖を制御するための本発明の抗菌性化合物の組み合わせの量は、100ppm〜25,000ppmの活性成分である。例えば、本発明において、クロロトルロン及びOITは、100ppm〜25,000ppmの量で存在する。組成物の抗菌性組み合わせは、少なくとも100ppm、ならびに20,000ppm以下、好ましくは、18,000ppm以下、好ましくは、16,000ppm以下、好ましくは、14,000ppm以下、好ましくは、12,000ppm以下、好ましくは、10,000ppm以下、好ましくは、8,000ppm以下、好ましくは、6,000ppm以下、好ましくは、5,000ppm以下、好ましくは、4,000ppm以下、好ましくは、3,000ppm以下、好ましくは、2500ppm以下、及び好ましくは、2,000ppm以下の量で存在する。上に述べた濃度は、抗菌性化合物の組み合わせを含有する液体コーティング組成物中のものである;乾燥膜コーティング中の抗菌性化合物の組み合わせレベルは、より高いであろう。
本発明はまた、建築材料において、特に乾燥膜コーティングにおいて、材料に特許請求される抗菌性化合物の組み合わせのうちのいずれかを組み込むことによって、微生物の増殖を防止するための方法を包含する。
典型的には、抗菌性組成物は、藻及び/または真菌の増殖を阻害するために使用される。
本発明の組成物は、クロロトルロン及びOITを含有する。いくつかの実施形態は1つ以上の追加の抗菌性化合物を含有し得ることが企図される。
以下は、本発明の実施例である。
抗菌性試験のための試料調製を以下の通りに実施した。
33%の抗菌性活性成分(クロロトルロン)を含有するスラリーを、殺生物剤を含まない白いアクリル/シリコーンベースの屋外塗料に事後添加し、それぞれ10000及び1000ppmの総有効成分濃度を得た。KATHON(商標)893T(100%OIT)を、殺生物剤を含まない白いアクリル/シリコーンベースの屋外塗料に事後添加し、それぞれ10000の合計活性成分濃度及び1000ppmを得た。これらの塗料を、次いで、抗菌剤を含まないアクリル/シリコーンベース塗料で希釈し、混合して、標的濃度の試験のための抗菌性化合物を調製した。試験された全体の殺生物剤濃度は、125、250、500、1000、2000、及び5000ppmであった。殺生物剤の添加または希釈後、塗料を、均一性が達成されるまで、馬力シェーカー(AXEL75M3372/Agitateur SO−10MI)で90秒間混合した。抗菌性化合物の所望の比率を得るために、同じレベルの異なる抗菌性化合物を含有する塗料を共に混合した。1日後、塗料を280μm湿潤膜厚でSchleicher&Schuell製の濾紙に塗布し、日光への直接の暴露を避けて、室温で3日間乾燥させた。正方形ディスク(1.6cm×1.6cm)を各パネルから切り出し、藻類有効性試験のための基板として使用した。この試料サイズは、試料ディスクを試験プレートのウェル中に置くときに寒天境界を可能にした。
藻類の有効性試験:
藻類の有効性を、藻類汚損に対する種々のコーティング(塗料を含む)の耐性を判定するための標準的な加速試験方法である、修正されたASTM5589に従って試験した。ハイスループットスクリーニングに適応するように、この方法は、ペトリ皿から6ウェルプレートに規模を縮小した。Bold Modified Basal Freshwater Nutrient Solutionを増殖培地として使用した。単一コーティング濾紙クーポンを、塗装面を上に向けてアガープラグの中央に(頂部に)1本の無菌鉗子を用いて置いた。藻類接種物を、指数関数的に増殖している藻類培養と等しい濃度(1×10cfu/ml)及び等しい体積で混合することによって調製した。
Figure 2016518349
試験されたクーポンを含む各ウェルに、1750μLの藻類懸濁液(1×10cfu/ml)を接種し、全面(塗料膜ならびにそれを取り巻く寒天)が均等に覆われたことを確認した。プレートを、4週間の期間、明暗相に周期的に曝露して、室温(21℃〜25℃)でインキュベートした。阻害された合計面積を、5%刻みで、覆われた面積割合に応じて各週の終わりに評価した。
3週間のインキュベーション期間の終わりに、試料を、ブランク試料と比較して、色強度に関して阻害割合(%)を採点した。
相乗的効果指数計算を以下のように実施した。
F.C.Kull et.Al.方法(Applied Microbiology,Vol.9(1961)に基づいて、SIを計算した。この研究において、以下の式に基づいて、試験した各微生物に対する個々の抗菌剤によって示される阻害割合(%)に基づいて選択された最小阻害濃度を用いて、SIを計算した。
SI=Qa/QA+Qb/QB
Qa=ブレンド中の抗菌剤Aの濃度
QA=単なる殺生物剤としての抗菌剤Aの濃度
Qb=ブレンド中の抗菌剤Bの濃度
QB=単なる抗菌剤としての抗菌剤Bの濃度
式中の<1のSI値は、ブレンドされた殺生物剤の存在の相乗的効果を示す。
注意:試験された最大濃度の活性体のいずれも多少の阻害を示さなかった場合、この最大濃度を推定SIを計算するために使用し、未満(<)の記号は、活性体(例えば、クロロトルロン)のより高い濃度が標的阻害を達成するために必要とされることを考慮するために含まれる。最小限の標的阻害は、75%に設定し、少なくとも75%の藻類増殖阻害を有するクーポンを合格と見なすことを意味した。
クロロトルロン及びOITの両方を含有する、下に列記される組成物は、本発明の実施例である。
3週間でのクロロトルロンを伴うOITの試験結果は以下の通りである。
Figure 2016518349
1:5〜5:1の比率でのOIT+クロロトルロンは、相乗的効果を示した。

Claims (9)

  1. クロロトルロン及び2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含む、相乗的抗菌性組成物。
  2. 前記2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン対クロロトルロンの重量比が、1:5〜5:1である、請求項1に記載の前記相乗的抗菌性組成物。
  3. 前記相乗的抗菌性組成物が、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オンを含み、前記2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン対クロロトルロンの重量比が、1:5〜2:1である、請求項1に記載の前記相乗的抗菌性組成物。
  4. 建築材料中の微生物の増殖を阻害するか、または増殖を制御する方法であって、請求項2に記載の前記相乗的抗菌性組成物を建築材料に添加するステップを含む、方法。
  5. 建築材料中の微生物の増殖を阻害するか、または増殖を制御する方法であって、請求項3の前記相乗抗菌性組成物を建築材料に添加するステップを含む、前記方法。
  6. 請求項1に記載の前記相乗的抗菌性組成物を含む、コーティング組成物。
  7. 請求項2に記載の前記相乗的抗菌性組成物を含む、コーティング組成物。
  8. 請求項3に記載の前記相乗的抗菌性組成物を含む、コーティング組成物。
  9. 請求項6に記載の前記コーティング組成物の層を基板に適用することと、前記コーティング組成物を乾燥させることまたは前記コーティング組成物が乾燥することを可能にすることと、を含むプロセスによって製造される乾燥膜。

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