JP2016516546A - 接着性シールドを有する女性用コンドームおよびその製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、拡張されたシールドを備えた女性用コンドームであり、外性器を被覆および封止して性交時の性液の侵入および病気の伝染を防ぐ。【解決手段】本発明の製造方法は、オメガ形状または類似の形状となるよう二重層の膜状フィルムを封止して管状部およびシールド部を作り出し、続いて、両シールド片の外面に接着剤を塗布して剥離シートを貼り付けた後に最終製品として切断することを含む。管状部は、膣用の防護バリアを形成する（コンドームとして機能する）一方、外性器に接着するシールド部は、体液の漏出を防ぐ。管状部を裏返して男性用コンドームとして用いることもできる。管状部を２つ製造することにより一般的でない性的活動にも対応する。短手方向に折返したり長手方向に折り畳んだりして管状部を大きくすることもできる。女性用コンドームは、ユーザの需要に応じて、形状、凹凸、色、および風味を変更することができる。【選択図】図５ｂ

Description

本発明の目的は、性交渉時の精子の受精および性感染症（ＳＴＤ）を防ぐための性的バリアに関する。特に、本発明は、拡張されたシールドを備えた可撓性のある薄い膜厚部を備えた女性用コンドームにより、性交渉パートナー両者の内性器および外性器の両方を防護し、体液交流を防ぐことに関する。本発明のさらなる目的は、従来よりも安価で生産でき、かつ容易に使用できる器具を提供することである。

良好なバリア型の避妊器具および抗感染症器具を作り出すことへの需要が今までになく高まっている。世界人口は常に増加しており、無計画の望まない妊娠もまた増加している。特にＡＩＤＳなどの性感染症は、世界の多くの地域で蔓延している。この傾向を抑制すべく、バリア型の方法において多くの試みがなされており、そのうちのいくつかは一定の成功を収めている。しかしながら、避妊と性病予防の両方において真に効果を発揮するものはなかった。

一般的なコンドームにおける問題はよく知られるところである。所定の位置に配置されるかは、不確定要素であるペニスの硬さに左右される。また、覆われるのはペニスの胴部のみであり根本部分は覆われない。したがって、外性器、肛門、または口腔接触を介したヘルペスやいぼといった病気を防ぐことは難しい。さらに、使用するかどうかは男性パートナーの意欲による。また、使い勝手が良いともいえない。うす暗い明りのもとで開封した結果、誤った向きに広げてしまうこともしばしばであるし、その締め付け圧力はペニスの触感を減少させる。

したがって、女性用コンドームは、男性用コンドームの実用的な代替物となる。

特許文献１には、閉塞端と開口端とを有する膜厚の薄い管状器具が記載されている（図１ａ参照）。この器具は、子宮頸部に配置される閉塞端に内リングと、膣口に配置される開口端に外リングとを備える。この器具では、外性器はその一部しか保護されず、また膣口は密閉されない。したがって、外性器の直接接触または体液交流を介する感染を防ぐことはできない。さらに、製造コストも通常のコンドームよりも高い。

上述の、体液交流を防ぎ、かつ外性器を保護することで、性交時の避妊および性病防止をより良好に達成するという課題を解決すべく、特許文献２には、拡張されたシールドを開口端に有するゴム製の女性用コンドームが記載されている（図１ｂ参照）。シールドにより外性器や外陰部は覆われ、またシールドは接着剤により所定の位置に固定される。このシールドは、ショーツまたは男性用ブリーフの一部として形成することもできる。管状部は小さく折り畳まれた状態で、シールド部とともに両側の剥離紙によって被覆された状態で提供される。

特許文献３には、ゴムラテックスからなる類似の女性用コンドームが記載されている。この女性用コンドームのシールド領域はより広く、弱い接着剤または性器の周りに取り付けられる紐により所定に位置に保持される（図１ｃ参照）。

特許文献４には、さらに別の類似の女性用コンドームが記載されている。特許文献４の女性用コンドームのシールドはさらに大きく、開口端をシールするように取り付けられるか、または開口端と一体形成されている。また、シールドには明確に画定された６つの領域があり、それらにより開口端を取り囲む連続した継ぎ目のない表面が形成される。該表面には連続する外縁がある（図１ｄ参照）。陰毛の生え際を越えて外縁全体の近傍およびまわりに接着剤を塗布して、性交時の体液の漏出を阻止している。特許文献２に記載の発明に見られるように、管状部はアコーディオン様に折り畳まれている。

米国特許第５０９４２５０号明細書 米国特許第５２６９３２０号明細書 米国特許第４８９８１８４号明細書 米国特許第５５１５８６２号明細書

接着性シールドを有する上述の３つの女性用コンドームはすべて、薄くて柔軟な水を通さない材料からつくられている。例えば、ゴムラテックス、または、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、バイオプラスチック、ニトリルなどといった、他の生物学的に容認されているプラスチックフィルムが挙げられる。シールド部は、管状部に対して垂直または傾斜した平面を有するため、これらの女性用コンドームの構造は複雑であり、また、管状部はシールドの中央に配置されるため、脆弱なシールドへの接着剤の塗布が困難であることは言うまでもない。上記、１ｂおよび１ｃの従来技術における構造に示されるようにラバーラテックスを用いた場合、複雑な成型工程や接着剤の塗布が必要となり製造コストが増加する。一方、薄く可撓性のある膜状フィルムを用いた場合、特許文献４に記載されるような、シールド用の「連続した継ぎ目のない表面」を作り出すことはできない。また膜状フィルムは脆弱なため、取扱いが難しい。例えば、薄い膜状の管状部を、特許文献４に記載されるようなアコーディオン様に折り畳むことは技術的に難しい。

したがって、低コストで製造でき、かつ取扱いが容易である一方、内性器および外性器の両方に対して確実なバリアを実現し、性交時の無計画な妊娠および性感染症の伝染を効果的に防ぐことが可能な、接着性シールドを備えた女性用コンドームが必要とされている。

本発明によれば、性交渉時の性感染症の伝染および精液の侵入を防ぐために、人間によって装着される予防器具が提供される。該器具は、ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリ塩化ビニル、バイオプラスチック、ニトリル、シリコーンなどの可撓性を有する薄い膜状フィルムを２層重ね、それらをオメガ形状または類似の形状に封止してなる女性用コンドームである。封止は、熱エネルギー、化学的エネルギー、機械的エネルギー、光エネルギー、電気エネルギー、または他のエネルギー源を用いて行うことができる。オメガ形状の基部を形成する継ぎ目は、２つの細長いフランジ部を有し、それら２つのフランジ部は互いに分離している際、女性用コンドームのシールド部を形成し、一方、オメガ形状により作り出される管状空間は、閉塞端と開口端とを備える女性用コンドームとなる。上記開口端の直径は、ペニスの挿入および運動を許容するのに十分な大きさに設定される一方、上記管状空間の長さは、ペニス全体を収容するのに十分な長さに設定される。上記シールド部は、外性器全体を封止するのに十分な大きさに設定され、女性性器からの体液の漏出を防ぐ。シールド部を大きくして、下半身のより広い領域を覆うようにすることで、ユーザの外性器とそのユーザのパートナーとの間での直接的な皮膚の接触を防ぐこともできる。

本明細書に記載する様々な実施形態のすべてにおいて、上記オメガ形状の管状部は、幅の狭い釣鐘状、長方形状、またはこれらの組み合わせなど、他の類似の形状と置き換えることができる。

本発明の別の特徴によれば、シールド部の外表面に、剥離紙またはプラスチックシートとともに、接着剤が塗布される。本発明の別の特徴によれば、上記接着剤は、管状部とシールド部の両方に部分的または全体的に塗布することができる。膜状のシールド部を所定の位置に維持するものならすべて「接着剤」として用いることができる。「接着剤」は、静電気に始まり、ポリイソブチレン、ポリシロキサン、ポリアクリレートなどの工業用接着剤、ヒドロゲルなどの弱い接着剤、またはワセリン、ラノリン、軟膏、クリーム、ローション、グリース、はちみつ、シロップなどの非接着剤まで多岐にわたる。後者の利点として、女性用コンドームを装着した後でもシールド部を調整可能であることや、毛で覆われた皮膚からシールドを剥がす際も痛みを伴わないことが挙げられる。後者はさらに、脆弱な女性用コンドームを破らず容易に取り外すことを可能にする。したがって、膣内の精液の流出を回避することができる。

本発明の別の特徴によれば、接着剤は殺精子剤および／または他の殺菌剤で薬用化することもできる。接着剤はまた、ビタミンやミネラルといった健康補助剤によって強化することもできる。

本発明の別の特徴によれば、畝状、鋲状、瘤状などの凹凸をつけるために、上記管状部の内部および／または外部に裏張りという前処理を行って、性的刺激を高めたり、静電場を抑制したり、または、特に複数回出産を経験した女性の場合、膣の内腔のサイズを小さくしたりする。

本発明の別の実施形態によれば、上記シールド部（および管状部）は、様々な形状、サイズ、色、不透明度、凹凸、追加の絵柄、文字、およびロゴを有するように設計され、防護機能、美的外観、および性的魅力を向上させることができる。

本発明の別の特徴によれば、管状部およびシールド部のサイズおよび形状は、（１）ユーザによって異なる体格、および（２）外性器および下半身の覆いたい領域、に応じて設定する。

本発明の別の特徴によれば、シールドの前部のサイズおよび形状は、個人の好みを満たすよう、後部と同じか、あるいは異なるように設定することができる。

本発明の別の実施形態によれば、女性用コンドームは、湿潤させ、香りを付け、かつ／または風味を付けて、「見た目よく、香りよく、味よく、心地よく」することができる。

別の実施形態によれば、本発明の管状部は裏返して男性用コンドームとして使用することもできる。

別の実施形態によれば、薄い膜状フィルムのオメガ形状の封止は長手方向に行われ、結果として、前部・後部構造に代わって、２分割されたシールドが横向きに開く構成が得られる。

別の実施形態によれば、薄い膜状フィルムのオメガ形状の長手方向における封止は１つではなく２つ存在し、女性ユーザおよび男性ユーザの両方にとって、膣性交と肛門性交の両方を可能にする２つの管状部が形成される。

さらに別の実施形態によれば、管状部は、１回または複数回にわたって長手方向に折り畳まれてから封止される。その場合、得られる管状部の外周は所与の幅に対して大きくなり、それにより、女性用コンドームの開口端にかかる張力を抑制できる。

さらに別の実施形態によれば、薄い膜状フィルムの両層は、管状部の閉塞端において、短手方向に二重層になるように折り返されてから（例えば、５ｍｍ〜２５ｍｍ）封止される。その場合、得られる管状部の閉塞端は、開口時の開口端における直径よりも大きい直径を有することになり、したがって、閉塞端において、女性用コンドームを膣に留めるのに用いられるリングペッサリをより確実に配置することが可能になる。

本発明のさらに別の実施形態によれば、女性用コンドームは、３片以上の薄い膜状フィルム同士を封止することによりつくられ、該３片以上の薄い膜状フィルムのそれぞれが管状部とシールド部の両方の一部をなす。さらに別の実施形態によれば、剥離紙／プラスチックシートに凹凸をつけ、感触による識別を容易にしている。

特許文献１に係る女性用コンドームの図である。 特許文献２に係る女性用コンドームの図である。 特許文献３に係る女性用コンドームの図である。 特許文献４に係る女性用コンドームの図である。 本発明の製造方法に係る簡易的な模式平面図である。 装着直前の女性用コンドームの斜視図である。 装着に備え、シールド部を開いた状態の女性用コンドームの斜視図である。 剥離シートを一部剥離した状態の女性用コンドームの斜視図である。 女性ユーザの性器に適切に装着された状態の女性用コンドームの斜視図である。 女性用コンドームの管状部への中指の挿入を示す斜視図である。 図５ａの正面斜視図であり、剥離シートを剥がしている途中を示す図である。 図５ｂの背面斜視図である。 女性用コンドームの正面図である。 装着完了後の女性用コンドームの斜視図である。 女性用コンドームを装着完了した女性ユーザの立ち姿の斜視図である。 図６ａ〜図６ｃに対する、シールド部の代替的形状を示す図である。 図７ａ〜図７ｃに示される形状のさらなる例示である。 図６ｃに示すシールド部をいちじくの葉のデザインにしたものである。 図６ｃと同様だが、シールド部が膣口のみを覆う場合の必要最低限のデザインを示す図である。 管状部が長手方向に折り畳まれた状態の女性用コンドームの斜視図である。 図１１ａに示す器具を装着完了した女性ユーザの斜視図である。 剥離紙／剥離シートが付いていない状態の女性用コンドームの斜視図である。 図１２ａに示す女性用コンドームの斜視図だが、管状部が裏返されており、男性用コンドームとして機能する。 図１２ｂに示す男性用コンドームの男性ユーザへの装着を示す斜視図である。 図１２ｂに示す男性用コンドームの男性ユーザへの装着を示す斜視図である。 前部と後部とで丈の異なるシールド部を有する女性用コンドームの斜視図である。 図１３ａに示すコンドームを女性ユーザに装着完了した状態の女性用コンドームの斜視図である。 オメガ形状の封止が長手方向に伸びている女性用コンドームの斜視図である。 図１４ａに示す女性用コンドームを装着完了した女性ユーザの斜視図である。 長手方向に伸びるオメガ形状の封止が２箇所に存在する女性用コンドームの斜視図である。 女性ユーザに装着完了した状態の図１５ａに示す女性用コンドームの斜視図である。 図１５ａに示す女性用コンドームの男性ユーザへの装着を示す斜視図だが、管状部のうち一方は裏返されており、男性用コンドームとして機能している。 図１６ｂに示す折返し端を有する管状部の側面図である。 折返し閉塞端を有し、女性用コンドームのシールド部内に膣用リングペッサリを有する女性用コンドームの正面図である。 リングペッサリが管状部に対して垂直に配置された状態の、図１６ｂの斜視図である。 複数片の薄い膜状フィルム同士を封止してつくられた女性用コンドームの斜視図であり、薄い膜状フィルムの各片は、管状部とシールド部両方の一部をなすものである。

これより、添付図面を参照しつつ本発明を例示を用いて記載する。

本発明は、拡張された接着性シールド部を有する女性用コンドームであり、性交渉時に、外性器を防護し、精子の侵入および性感染症の伝染を防ぐものである。

本発明の原理および動作は、上述の図面および以下の実施形態を参照することにより理解可能となる。

本発明の好適な実施形態の構造の簡易的な模式平面図を図２に示す。図２では、好適な実施形態がどのようにして効率よく低コストで生産可能であるかを説明すると同時に、該実施形態による器具をどのように装着するかも明らかにする。スーパーマーケットのビニール袋を生産するかの如く、二重層になっている薄くて可撓性のある熱可塑性フィルム１を製造作業台に広げる。ここで、フィルム１は、素早く連続的なスタンピング３により熱融着されてオメガ形状または類似の形状に成形される。上述した「接着剤」４のうちの１つを、オメガ形状２の基部における継ぎ目の下の膜状フィルム５の部分に、部分的または全体的に塗布する。その後、非吸収性の剥離紙６またはプラスチックシート６を膜状フィルムの幅全体に貼り付ける。製品をひっくり返し（符号７参照）、対向する膜状フィルムの外側表面に、同じやり方で、接着剤を塗布し剥離シートを貼り付ける（符号８参照）。代替的な方法として、逆方向から同時に反対表面を接近させることにより、両表面に対して同時に接着剤を塗布し剥離紙を貼り付けることが可能になる。さらに別の方法としては、剥離紙に接着剤を塗布してから該剥離紙を膜状フィルムに貼り付ける方法もある。このようにして封止された二重層からなる膜状フィルムには接着剤が塗布され、該膜状フィルムの両面は剥離シートによって完全に覆われる。そして、スタンピング技術やローラカッター技術を用いて最終製品１０として切断される（符号９参照）。

管状部の切断端は継ぎ目の近傍に設定され、一方、シールド部１１となりうる上述の下部は、オメガ形状２の基部における継ぎ目に対して垂直または傾斜した直線状または曲線状に切断する。

膜状フィルムには、上述の封止を行う前に、絵柄や文字を描く、または凹凸をつけるなどの前処理を施してもよい。したがって、シールド１１の形状は、前処理の種類によって変更可能なように構成してもよい。コンドームの装着を容易にするために、封止を行う前に、シールド部の内側に支持シート／裏当てシートを取り付けることもできる。同様に、剥離紙／プラスチックシートに凹凸をつけて、感触により取り外しを容易にすることもできる。

本発明の範囲と趣旨から逸脱することなく、他の製造方法を用いてもよい。そのような変形例としては、「接着剤」を女性用コンドームの管状部とシールド部の一方または両方の一部または全体に塗布する、接着剤および剥離シートを塗布および貼り付ける前に膜状フィルムを切断する、またはレーザ溶接や誘電加熱接着などの他の方法を用いて膜状フィルムの封止を行う、といったものが挙げられる。

性的活動が予想されたら、女性パートナー１６は、図３ａおよび図３ｂに示すように、オメガ形状２の基部にある封止された継ぎ目にヒンジされている２分割されたシールド１１を開く。女性パートナー１６は、その後、上記管状開口端１３から上記閉塞端１４に至るまで、潤滑状態にある中指１７または誘導子／挿入子をすっかり挿入する（図５ａ）。それにより、管状部の外側が潤滑され、膣１５内に挿入される（図４ａ）。上記覆われた中指１７を膣の内部に残した状態で、同じ手の掌と残りの立てた状態の４本の指で、外性器の皮膚に対してシールド部１１を押し付ける。そして、もう片方の手でゆっくりと前部の剥離紙６または剥離シート６を引き剥がす（図５ｂ）。その後、後部の剥離紙６または剥離シート６も同様に引き剥がす。剥離紙に凹凸をつけて、感触によって容易に認識できるようにしてもよい。上記シールド１１が外性器にしっかりと接着したら（図４ｂ）、上記中指を管状部から引き抜くが、該管状部は膣の内側に留置される。必須ではないが、管状部の上記閉塞端１４に半剛体リング２７（図１６ｂおよび図１６ｃ）または任意の定着具を挿入および配置して、膣内に管状部がより確実に留置するようにしてもよい。裏当てシート／支持シートが存在する場合は、その後しかるべきタイミングでシールド部から引き剥がす。

性的活動が終了したら、シールド１１を外性器から引き剥がし、続いて管状部１２を膣から抜き取って廃棄する。

図６ａ〜図６ｃには、剥離紙が付いていない状態の好適な実施形態を示す。上述のように、好適な実施形態は、オメガ形状または類似の形状に封止された２枚の薄くて可撓性のある膜状フィルム１８を備え、オメガ形状２の基部における継ぎ目は拡張シールド部１１を備える。オメガ形状のうち細長い部分は、女性用コンドームの管状部１２となる。上記女性ユーザ１６に女性用コンドームを装着することにより、開口端１３は性交の準備が整う（図６ｂ）。外性器は女性用コンドームによって完全に覆われる一方で、肛門はシールドによって覆われることもあれば覆われないこともある。すべてはユーザの選択次第である。したがって、肛門を覆うかどうかは、単に、女性用コンドームの製造時に後部のシールド部２３をより広範囲に延在させるどうかの問題である。

図６ｃは、立った姿勢の女性ユーザ１６を示すものである。図に示されるように、本願の女性用コンドームは、上述の特許文献１のものと比較して、より確実であり、快適かつ見た目も美しい。特許文献１のコンドームの場合、立った姿勢では、外リングが膣口から外側に垂れ下がった状態となる。

図７ａ〜図７ｃには、シールド部が別の形状を有する実施形態を示す。シールド部の裁ち目１９は、長方形状に代えて、反転したハート形状に似せた形状をしている。装着時には、ハートが恥骨部に乗っているような様子が見られる。

図８ａには、さらに別の実施形態を示す。図８ａでは、裁ち目１９がオメガ形状２の基部に対して傾斜している。それにより恥骨部はより広範囲にわたって覆われる（符号１１参照）（図８ｂ）。図９では、シールド部１１がイチジクの葉の形状をしている別の実施形態が示され、一方、図１０では、シールド部１１によって恥骨部が必要最小限しか覆われない実施形態が示されている。

図１１には、女性用コンドームの管状部１２に長手方向の折り目２０を有する別の実施形態を示す。それら折り目により、所与の幅に対する管状部の容積が増加し、それにより、性交時、管状部の開口端における張力を抑制できる。

図１２ａ〜図１２ｄには、単に管状部１２を裏返すだけで、本発明がいかにして男性用コンドームとして使用可能となるかを示す。図１２ａおよび図１２ｂでは剥離シートは図示しない。図１２ｃでは、剥離シートを部分的に剥がしつつ、潤滑剤を用いて開口端１３をペニスに被せる様子を示す。図示のように、シールド部１１は、恥骨領域および陰嚢領域に接着する。このようにして、本発明では、男性も同じように主導権を持って防護可能である。

上述のように、後部シールド部２３の長さを前部シールド２２の長さよりも短くするだけで、肛門を覆わない構成とすることもできる（図１３ａ〜図１３ｂ）。シールドの前部および後部の寸法は、ユーザの選択に応じて設定することができる。

別の実施形態では、２つの膜状フィルム層の封止は長手方向に行われる。この場合、シールドは横向きに開けられることになり（図１４ａ〜図１４ｂ）、また、オメガ形状２の基部の継ぎ目は長手方向に伸びることとなる。この実施形態により、肛門２５への挿入用に、オメガ形状の管状領域２４を余分に追加することが可能になり、したがって安全にアナルセックスを行うことが可能となる（図１５ａ〜図１５ｂ）。ユーザが男性の場合には、同じやり方で、ペニスと肛門の両方を防護することができる（図１５ｃ）。

図１６に示す別の実施形態は、管状部の閉塞端を膣に留めるリングペッサリ２７を配置するために特に発明されたものである。長方形状の閉塞端１４における膜状フィルムの両層は、短手方向に（例えば５ｍｍ〜２５ｍｍ）折返してから（符号２６参照）（図１６ａ）、図１６ｂに示すように封止する。リングの直径は、平らに置かれたとき、管状部の幅よりも僅かに小さくなるよう設定すべきである。折り目２６の存在により、閉塞端１４における空間が増加し、したがってリングペッサリを閉塞端内に垂直に配置することが可能となる。これにより、女性用コンドームの装着時および性交時にリングペッサリが管状部の閉塞端から移動するという問題が解消される。

別の実施形態では、女性用コンドームは、複数の膜状フィルム同士を封止して管状部とシールド部の両方を設けることにより作製することもできる（図１７）。この場合、性交時に管状部の開口端にかかる張力を抑制できるという利点がある一方、生産工程はより複雑となる。

本発明は、適切に用いることにより、女性パートナーの内性器および外性器の両方を完全に封止し、パートナー間における性交時の性器液の交流を防ぐことを可能にするものである。そして、本発明は完全に性器を封止するものであるため、不快感を伴う膣からの排出物、流血、または臭気を覆い隠すことが可能となる。またこれにより、本発明は、浴室、シャワー、水泳用プール、海、ビーチ、およびオーラルセックスやアナルセックスといった状況など様々な場面においても、汚損や汚染を心配することなく使用できるという可能性も有する。作製されたシールドの不透明度によっては、見苦しい陰毛や、傷跡、身体構造上の奇形、色素沈着等を覆い隠すために用いることもできる。また本発明は、性接触前どの時点において装着することもでき、また性接触後どの時点において取り外すこともできるため、使い勝手もよい。さらに一般的なコンドームとは異なり、性接触時、ペニスの硬さの変化の度合いとは関係なく用いることができる。

本発明は、その特有の設計、製造工程、および装着の容易性により、可能な限り最も薄い膜状フィルムを用いて製造することができる。したがって、従来技術と比較して、より良好な触感および熱感度を実現することができる。

Claims (19)

1. 女性用コンドームであって、
   ａ）可撓性を有する膜厚の薄い膜状フィルムからなる層を２層備え、該２層は、オメガ形状または類似の形状となるよう互いに封止され、
   ｂ）前記オメガ形状の基部を形成する継ぎ目は、２つの細長いフランジ部を有し、該２つのフランジ部は互いに分離している際、前記女性用コンドームのシールド部となり、一方、前記オメガ形状により作り出される管状空間は、閉塞端と開口端とを備える前記女性用コンドームとなり、
   ｃ）前記開口端の直径は、ペニスの挿入および運動を許容するのに十分な大きさである一方、前記管状空間の長さは、ペニス全体を不足なく収容するのに十分な長さであり、
   ｄ）前記シールド部は、外性器を完全に封止するのに十分な大きさを有し、女性性器からの体液の漏出を防ぎ、
   ｅ）任意で裏当て紙／裏当てシートを備えた剥離紙／剥離シートとともに、前記シールド部の外表面に接着剤が塗布されている、女性用コンドーム。
2. 前記オメガ形状の管状部が、幅の狭い釣鐘状または長方形状といった他の略細長形状によって置き換えられた、請求項１に記載のコンドーム。
3. 前記シールド部は、外性器を不足なく覆うのに十分な大きさを有しており、ユーザの外性器とそのユーザのパートナー間における直接的な皮膚の接触を防ぐ、請求項１に記載のコンドーム。
4. 前記接着剤は、ヒドロゲルである、請求項１に記載のコンドーム。
5. 前記接着剤は、軟膏基剤である、請求項１に記載のコンドーム。
6. 前記接着剤は、健康補助剤およびミネラルによって薬用化または強化された、請求項１に記載のコンドーム。
7. 前記接着剤は、前記剥離シートとともに、前記管状部および／または前記シールド部に部分的または全体的に塗布されている、請求項１に記載のコンドーム。
8. 前記管状部の内側および／または外側の裏張りを前処理して、畝状、鋲状、および瘤状の凹凸をつけた、請求項１に記載のコンドーム。
9. 前記シールド部は、様々な形状、サイズ、色、不透明度、凹凸、追加の絵柄、文字、およびロゴを有するように設計された請求項１に記載のコンドーム。
10. 湿潤され、香りを付けられ、かつ／または風味を付けられた請求項１に記載のコンドーム。
11. 外性器および下半身用の前記管状部および前記シールド部のサイズは、ユーザによって異なる体格およびユーザが覆いたい領域に応じて設定される、請求項１に記載のコンドーム。
12. 前記シールド部の前部および後部のサイズおよび形状は、ユーザの好みを満たすように設定される、請求項１に記載のコンドーム。
13. 前記管状部は、裏返すと男性用コンドームとして使用可能な、請求項１に記載のコンドーム。
14. 前記膜状フィルムの前記オメガ形状の封止は長手方向に行われ、結果として、前部・後部構造に代わって、２分割されたシールド部が横向きに開くよう構成された、請求項１に記載のコンドーム。
15. 前記膜状フィルムの前記オメガ形状の封止は２つ存在し、よって２つの管状部が形成され、女性ユーザおよび男性ユーザの両方にとって膣性交と肛門性交の両方が可能になる、請求項１に記載のコンドーム。
16. 前記管状部は、一回以上または複数回にわたって長手方向に折り畳まれてから封止され、結果として前記管状部の外周は、所与の幅に対して大きくなる、請求項１に記載のコンドーム。
17. 前記管状部の前記閉塞端における膜状フィルムの両層は、限定はしないが、典型的には５ｍｍ〜２５ｍｍ長の二重層または複数層になるように短手方向に折り返されてから熱融着される、請求項１に記載のコンドーム。
18. 前記コンドームは、３片以上の膜状フィルムを封止してつくられ、該３片以上の膜状フィルムのそれぞれが、前記管状部と前記シールド部の両方の一部を形成する、請求項１に記載のコンドーム。
19. 請求項１に記載のコンドームの製造方法であって、
    ａ）裏当て紙／裏当てシートによる前処理を任意で行い、二重層の膜状フィルムを封止し、
    ｂ）一方の膜状フィルムに接着剤を塗布して剥離紙／プラスチックシートを貼り付け、
    ｃ）同時にまたは続けて、もう一方の膜状フィルムに接着剤を塗布して剥離紙／プラスチックシート貼り付け、
    ｄ）前記膜状フィルムを切断して最終製品を得る、方法。

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