JP2016514954A - 神経再生ペプチドおよびその使用 - Google Patents

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Abstract

本発明は、NRP−2945、NRP−2983およびNNZ−4921を含む神経再生ペプチド(NRP)、ならびにこれらのNRPと相互作用するものとして新規に同定されている受容体、例えばCCR3と協働するCXCR4に関する。本発明はまた、これらのNRPおよびその各々のケモカイン受容体、ならびにかかる成分を含む組成物を使用する方法に関する。

Description

本発明は、NRP2945、NRP2983およびNNZ−4921を含む神経再生ペプチド(NRP:neural regeneration peptides)、ならびにこれらのNRPと相互作用するものとして新規に同定されている受容体、例えばCCR3と協働するCXCR4に関する。本発明はまた、これらのNRPおよびその各々のケモカイン受容体、ならびにかかる成分を含む組成物を使用する方法に関する。
NRP
本明細書に開示されたペプチドは、神経再生ペプチド(NRP)と命名された、新規に発見されたペプチドファミリーに属する。それらは、神経再生にとって重要な一連の生物学的機能を発揮する小ペプチドであり、ニューロンの生存、増殖、移動および分化の促進に関与する(非特許文献1;非特許文献2)。
NRPは、ニューロンの移動を誘発する新規な因子をスクリーニングするための生体外ラット脳切片培養モデルを用いて発見された。ラットの新皮質および背側視床(脳の器官)の培養された器官型切片中で、高度に精製されたペプチド(後に「神経再生ペプチド」またはNRPと命名された)が、ニューロンの増殖および移動ならびにニューロン由来の視床皮質細胞間橋(bridges)の形成を刺激した一方、酸化的および機械的ストレスから脳組織を保護する場合に驚くべき活性を示した(非特許文献3)。
魚類、両生類、鳥類、ならびにマウス、ラット、イヌおよびヒトのゲノムを含む脊椎動物ゲノム内部には、様々なNRP遺伝子ファミリーメンバがコードされている。完全長の注釈付きでかつEST由来のNrp遺伝子配列は、わずかに35〜40%の配列類似性を示す。にもかかわらず、これらの遺伝子産物に由来する生物活性のあるNRP配列(11〜25アミノ酸長)は、様々なゲノムの中で比較すると、55〜90%の配列類似性を示す。
NRP2945は、安定性および薬物動態について最適化されている合成11−merペプチド模倣薬である。NRP2945配列Gly Arg Arg Ala Ala Pro Gly Arg Aib Gly Gly(配列番号l)は、様々なNRP関連配列に対して、80〜90%の配列類似性を示す。NRP2945は、配列Gly Arg Arg Ala Ala Pro Gly Arg Ala Gly Gly(配列番号2)を有するNNZ−4921と非常に密接に関連する。NNZ−4921は、アミノ酸40〜50位を含む分泌アイソフォーム2(CAPS−2)におけるカルシウム依存性活性化タンパク質のN末端配列内に天然に見出される配列を示している。CAPS−2中のアスパラギン酸が存在する43位については1つの違いが存在するが、これはNNZ−4921中でアラニンに変化している。CAPS−2は、CAPSの3つのアイソフォームのうちの1つを表し、それは分泌小胞のカルシウム調節エキソサイトーシス(calcium regulated exocytosis)にとって必要とされる(非特許文献4)。
NRP2983は、合成11−merペプチド模倣薬GRRAAPGR−β−Ala−GG(配列番号9)であり、NRP2945およびNRP4921に密接に関連する。
ヒトCAPS−2は、シナプス前終末の小胞内で発現される。CAPS−2が豊富に存在する小胞はまた、NT3およびBDNFを有し、それ故、CAPS−2が神経保護に関与しうるであろうと考えられる(非特許文献5)。胚性および出生後組織に対して実施さ
れた試験によると、NRP2945が、生存、増殖、移動、および分化に関与することが示されている。特に、このペプチドは、酸化的および興奮毒性ストレスの間に細胞生存を促進することに関与する化学誘引物質として作用すると考えられる(非特許文献1)。
CCR3およびCXCR4
CCケモカイン受容体(βケモカイン受容体とも称される)は、CCケモカインファミリーのサイトカインに特異的に結合しかつ応答する膜内在性タンパク質である。それらは、Gタンパク質共役受容体のより大きなファミリーに属する、ケモカイン受容体の1つのサブファミリーを示す。CCR3は、エオタキシン(CCL11)、エオタキシン−3(CCL26)、MCP−3(CCL7)、MCP−4(CCL13)、およびRANTES(CCL5)を含む、複数の炎症性/誘導性ケモカインに対する受容体である(非特許文献6;非特許文献7;非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10;非特許文献11;非特許文献12)。
CCR3は、好酸球および好塩基球の双方において高度に発現され、さらにTh1およびTh2細胞ならびに気道上皮細胞において発現される。CCR3は、アレルギー反応に関与する好酸球および他の炎症性細胞の蓄積および活性化に寄与すると考えられ、また寄生虫感染部位に見いだされる場合がある。さらに、それは、ヒト免疫不全ウイルス、HIV−1の侵入に対する共受容体であることが知られている(非特許文献13)。
CXCケモカイン受容体4(CXCR4)は、Gタンパク質共役ケモカイン受容体(GPCR:G−protein−coupled chemokine receptor)である。それは、T細胞、B細胞、および単球などの白血球、ならびに様々なCNS領域(例えば、後頭、側頭皮質および脊髄−非特許文献14)およびPNS組織(例えば、後根神経節−非特許文献15)や、初期胎盤形成事象の間、肺、心臓、肝臓、腎臓、脾臓、精巣および子宮組織のような様々な個体発生的に発生する器官において、広く発現される(非特許文献16)。CXCR4の遺伝子操作によって創出された「ノックアウト」マウス変異体が、胚発生の過程で致死性を示すことから、このケモカイン受容体は全体的な細胞生存および細胞分化にとって重要であることが明示される。
CXCR4受容体系の遺伝子発現については、正常酸素圧条件下でCXCR4遺伝子発現を下方制御する顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)またはインターロイキン21(IL−21)のような作用物質が、細胞生存および再生に対して有益な効果を有するという逆説が存在する(非特許文献17;非特許文献18)。毛様体神経栄養因子(CNTF:ciliar neurotrophic factor)によるCXCR4メッセージの一時的な上方制御は、神経前駆体細胞のニューロン分化の開始の間で生じ(非特許文献19)、次いでその後の発現が急激に低下する。さらに、長期的に上方制御されるCXCR4遺伝子の発現は、有害であり、過形成(非特許文献20)およびがん細胞において認めることができる。
本発明者らの試験に先行して、CXCR4受容体に対する唯一既知の天然リガンドは、ストロマ細胞由来因子1(SDF−1)と命名された。生理的条件下で、SDF−1は、前駆体B細胞の増殖および発生において骨髄間質細胞により分泌される。高濃度のSDF−1が炎症性部位に存在することから、CXCR4を発現する幹細胞のSDF−1勾配への移動により、様々な損傷組織の修復が促進される。さらに、CNSの内部では、リガンドSDF−1は、アストロサイトおよびニューロンにより分泌され、それにより介在ニューロンの生存、移動、および最終分化の発生的側面が影響を受ける。
様々なタイプのがん細胞の中で、CXCR4の過剰発現および器官特異的な転移を含む、CXCR4に関連したがんの病理については、多数の報告がなされている。転移の間、
二次損傷において発現されるSDF−1は、CXCR4を発現する悪性細胞の移動を方向づける化学誘引物質として機能する。すべてのがんの約75%が、調節不全のCXCR4遺伝子およびタンパク質発現の兆候を示し、それによりCXCR4はがんにおける重要な治療標的として認定されている。
CXCR4は、心不全を有する患者において上方制御される数種のケモカイン受容体のうちの1つである(非特許文献21;非特許文献22;非特許文献23)。さらに、CXCR4は、T細胞株の熱帯性ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)の標的宿主細胞への侵入を促進する主要な共受容体として同定されている。SDF−1のHIV感染に対する阻害効果は、CXCR4に対する競合的結合ならびにCXCR4の下方制御によるものと考えられる。CXCR4は、有望な抗転移薬および抗HIV薬における有望な分子標的であり、それ故、数種のCXCR4リガンド(拮抗剤)が開発されている。
生理学的な(正常酸素圧での)出生後のヒト脳の発生過程では、CXCR4は、海馬および小脳において最も顕著に発現される(非特許文献24)。しかし、中大脳動脈閉塞(MCAO:Mid cerebral artery occlusion)の技術の使用によって脳を操作する間、ニューロンおよび反応性アストロサイトのCXCR4遺伝子発現は、同側内部、特に帯状回皮質のVI層内部の正常酸素圧下の制御レベルより2〜6倍上方制御される(非特許文献25)。他方で、CXCR4に特異的なリガンドSDF−1は、数時間にわたって同時に下方制御される(非特許文献25)。CXCR4/SDF−1受容体リガンド系のこの対抗した発現レベルの場合、脱感作は、MCAOで損傷した脳のプレナンブラ(prenumbra)近傍でのその後の再生を可能にする受容体のレベルで阻止される。
CXCR4受容体タンパク質の下方制御は、その細胞質側末端のリン酸化により開始され、その後、リン酸化セリン残基およびCXCR4関連C末端でのジロイシンモチーフが重要な役割を有する、β−アレスチンの結合が生じる。この複合体は、分解経路または回収エンドソームに対する後期エンドソーム/リソソームに選別される。CXCR4の下方制御は、他のGPCRの刺激を通じても生じうるであろう。SDF−1によるCXCR4の活性化過程については、十分に文書化されている。CXCR4は、そのリガンドの結合後、二量体化を生じ、Gタンパク質Giを活性化する。しかし、CXCR4を介した下流活性化は、他のGタンパク質および非Gタンパク質を介しても生じうるであろう。
SDF−1との結合時、CXCR4は、ヘテロ三量体Gタンパク質の解離を介した下流シグナル伝達、次いで細胞内サイクリックAMP(cAMP:cyclic adenosine monophosphate)濃度の低下、細胞内Ca2+放出の上方制御、および細胞外シグナル制御キナーゼ(ERK:extracellular−signal−regulated kinase)1/2リン酸化の増加を誘起する。CXCR4関連のシグナル伝達における別の制御機構は、原形質膜上のCXCR4受容体の密度によって媒介される。CXCR4タンパク質の実際の量は、細胞内プロテアソーム経路を含む受容体のユビキチン化/脱ユビキチン化事象によって調節される(非特許文献26)。
CXCR4がホモ二量体を形成することに加えて、CXCR4がヘテロ二量体を形成する証拠があり、それからGi以外の別のGタンパク質共役が生じうる。非特許文献27は、T細胞の免疫シナプス(IS:immunological synapses)へのCXCR4およびCCR5の動員、およびその後の受容体の会合が、ケモカイン誘導性のT細胞の同時刺激を促進することを示唆する証拠を提供している。興味深いことに、CXCR4/CCR5ヘテロ二量体は、Gqおよび/またはG11に共役し、T細胞活性化を増強しうる刺激性シグナルを生成し、それによりT細胞挙動を調節するための機構を提供することが示された(非特許文献27)。
骨髄幹細胞ホーミングへの関与および様々な免疫細胞型に対する効果とは別に、SDF−1α/CXCR4シグナル伝達は、膵島起源の重要な成分であることが示されている(例えば、非特許文献28を参照)。CXCR4/SDF−1系は、胚性脳の発生過程でのニューロンの化学誘引に関与することも示されており、脳組織の酸化的/興奮毒性ストレス後でのニューロン生存の促進にとっても重要である。
CNSにおいては、CXCR4リガンドSDF−1は、ニューロンおよびグリアの増殖、移動、および生存を増強するなどの種々の生物学的活性を示す。SDF−1生物活性の有望な機構は、細胞内カルシウム濃度の増加を誘起することによる、細胞外制御キナーゼ1/2(ERK1/2)経路の下流活性化を含む(非特許文献29)。さらに、CXCR4の活性化により、リン酸化β−カテニンの核への移行が促進され、神経前駆体細胞内でニューロン生存および増殖を促進する遺伝子を支持する遺伝子発現パターンが惹起される(非特許文献30)。
特に、SDF−1は、ホモ二量体構造のCXCR4受容体に結合するが、ケモカイン受容体の刺激において低い効力を示す。ナノモルでの低域範囲内の濃度が必要とされ、9nMのSDF−1は、神経幹細胞を化学誘引するのに必要とされる最低濃度である(非特許文献31)。しかし、この最低必要濃度のSDF−1は、脳発生の感受期中に分析される場合、インビボで存在する可能性は低い。
さらに、SDF−1が、細胞表面上にCXCR4受容体を有する免疫細胞を誘引することは望ましくない。この活性は、SDF−1が脳損傷後に各々の損傷部位に投与される場合、問題でありうる。これらの検討結果から、CXCR4/SDF−1神経再生領域における薬剤開発の努力(例えば、(非特許文献32)を参照)は、より強力でかつ免疫細胞に対してより少ない負の効果を有する受容体作動薬の発見から多いに恩恵を受けることになるであろう。
ここで本発明は、例としてのみ図を参照しながら説明される。
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ラタイチャク(Ratajczak),MZおよびキム(Kim),C著、2012年、「幹細胞動員におけるケモカイン受容体アゴニストの使用(The use of chemokine receptor agonists in stem cell mobilization)」、エキスパート・オピニオン・オン・バイオロジカル・セラピー(Expert Op Biol Ther)、第12巻(3)、p.287〜297
により誘発された細胞死に対するNRP2945の効果。記号**、##は、実施例18に記載のように、統計学的に有意なp値を示す。 酸素グルコース欠乏(OGD:oxygen glucose deprivation)により誘発された細胞死に対するNRP2945の効果。記号**、##は、実施例18に記載のように、統計学的に有意なp値を示す。 により誘発された細胞死に対するNRP2945の時間依存的効果。記号**、##は、実施例18に記載のように、統計学的に有意なp値を示す。 OGDにより誘発された細胞死に対するNRP2945の時間依存的効果。記号**、##は、実施例18に記載のように、統計学的に有意なp値を示す。 酸素グルコース欠乏(OGD)により誘発された細胞死に対するNRP2945の効果は、CXCR4阻害剤AMD3100の同時投与によって消滅される。記号##は、実施例18に記載のように、統計学的に有意なp値を示す。 CXCR4およびCCR3アセンブリならびにその後のNNZ−4921による同時活性化への小脳顆粒細胞の生存の依存性。 NRP2945との接触後のヒト分化ESC中でのCXCR4遺伝子発現における、未処理のhESC対照およびヒト組織cDNAライブラリーの場合と比較した倍率変化。 酸化ストレス後、かつNRP2945の存在下でのNRP13ql3.2の遺伝子発現特性。 NRP2945によって促進された、DU−145前立腺がん細胞の化学反発。 ヒト染色体13q13.2NRPコーディング配列。フォワードプライマー(配列番号10)は、太字/下線で示される。リバースプライマー(配列番号l1)は、逆相補方向(reverse complement direction)であり、太字/イタリック体/下線で示される。 ペプチド模倣薬NRP2983(配列番号9)は、NRP2945に匹敵する生存促進活性を示した。1fMのNRP2983を酸化ストレス下の小脳微小外植片(microexplants)に添加した結果、培養された小脳細胞の生存が70%促進された。
神経再生ペプチド(NRP)は、哺乳類における神経機能を促進するのに望ましい特性を呈することが示されているペプチドのクラスである。これらの機能は、神経生存、神経増殖、ニューロン突出伸長(neuronal outgrowth)、神経移動、およびニューロン分化を含む。いくつかのNRPについては前述のとおりであり、米国特許出願第10/225,838号明細書および米国特許出願第10/976,699号明細書、米国特許第7563862号明細書、米国特許第7767786号明細書、米国特許第8138304号明細書、および米国特許第8309684号明細書、PCT/US02/026782号、PCT/US2004/036203号、PCT/US2006/017534号、PCT/US2006/026994号、およびPCT/US2008/011951号で開示されているものを含む。上記特許および特許出願の各々は、あたかも個別に援用されるように、参照により全体が本明細書中に明示的に援用される。
典型的なNRPは、以下を含む。
GRRAAPGR−Aib−GG(NRP2945;配列番号l)
GRRAAPGRAGG(NNZ−4921;配列番号2)
GRRA−Aib−PGRAGG(配列番号5)
GRRAAPGRANG(配列番号6)
GRDRAAPGRAGG(配列番号7)
REGRRDAPGRAGG(配列番号8)
GRRAAPGR−β−Ala−GG(NRP2983)(配列番号9)
前述のとおり、CXCR4受容体は、炎症中の白血球の輸送、酵素分泌およびT細胞活性化に関与するGPCR型のケモカイン受容体である。過去10年間に、CXCR4がCNSにおいて広く発現されることが見出されている。さらに、CXCR4が、新皮質における介在ニューロンの移動を促進するために極めて重要であることが見出されている(スタム(Stumm)ら、2007年)。上述のとおり、CXCR4はまた、がん、過形成、および転移に関与している。さらに、CXCR4は、HIV−1の標的宿主細胞への侵入における主要な共受容体として同定されている。
GPCRは、CXCR4の他に、その乱雑な(promiscuous)性質が知られている。しかし、本発明者らは、CXCR4もまた乱雑であることを見出している。本明細書中に示されるように、CXCR4の他の高親和性リガンドとして、SDF−1に加え、神経再生ペプチドNRP2945、NRP2983およびNNZ−4921が挙げられる。特に、SDF−1がナノモルの低域範囲内での化学誘引におけるEC50値を有する一方、予備実験によると、NRP2945は、フェムトモルの低域範囲内でのEC50値を有することが示される。したがって、NRP2945のニューロンの化学誘引(chemoattractive)の効力は、SDF−1の場合より百万倍高い可能性がある。
NRPにおける様々な作用機序は、先行的に、また本明細書で詳述されるように、本発明者らの試験によって判明している。本明細書中に提供される本発明者らのデータによると、NRP2945およびNNZ−4921などのNRPが、CXCR4受容体の刺激作用(または活性化)に関与することが示される。本発明者らは、NRP2945およびNNZ−4921のようなNRPリガンドによるCXCR4の活性化が、酸化ストレス条件下での神経細胞死を阻止する際に重要な役割を果たすことを見出している。さらに、本発明者らの現在の知見によると、ニューロン移動および最終のニューロン分化の促進(例えば、ゴルバ(Gorba)ら、2006年を参照)が、NRPとそれらの受容体CXCR4との相互作用によって影響されうることが示唆される。
本発明者らは、先行的に、リガンドNRP2945がヒトNRP遺伝子発現を自己分泌様式で促進することを判定している。既報のとおり、ヒト染色体のクロマチンバンド15ql2および13ql3.2は、NRP遺伝子配列を有する。ヒト胚性W9幹細胞およびヒトがん由来の細胞株NTERA−2は、各々、100fMおよび100pMのNRP2945を投与した後の5〜10分以内に、刺激された内因性NRP遺伝子の発現を示す。
本発明者らはまた、NRPが、ERK1/2リン酸化の活性化およびAkt−1リン酸化を介したホスファチジルイノシトール3−キナーゼ(PI3K)経路の活性化により、それらの下流シグナル伝達を行うことができることを公表している(ゴルバ(Gorba)ら、2006年)。さらに、本発明者らは、本明細書中に、NRPとCXCR4との間の相互作用が特異的な拮抗剤AMD3100の投与によって遮断されうることを示している。高度に特異的な拮抗剤として、AMD3100はまた、CXCR4との会合時、SDF−1の結合ポケットを遮断する(リアン(Liang)ら、2012年)。
しかし、SDF−1相互作用ではホモ二量体立体配置のCXCR4受容体が必要とされるのに対して、NRP2945およびNNZ−4921は、ホモ二量体CXCR4受容体に結合しない。これは、競合におけるCXCR4ホモ二量体受容体と非標識NNZ−4921およびNRP2945とを使用する放射性125I−SDF−1置換試験によって判定された。NRP分子は、ホモ二量体CXCR4受容体複合体から、放射性標識されたSDF−1分子を置換することができない(125I−SDF−1結合試験では、競合的リガンドとしてNNZ−4921が使用され、それは組換えホモ二量体CXCR4を発現するHEK293細胞内で使用された。NNZ−4921は放射性リガンドSDF−1を置換することができなかった − セレップ(CEREP)、フランスにより実施)。
さらに、本発明者らは、本明細書中に、NRP2945およびNNZ−4921が、ヘテロ二量体立体配置のCXCR4およびCCR3という名称の別のケモカイン受容体と相互作用することを示す。このことは、NNZ−4921の存在下で、CCR3受容体のリガンド(エオタキシン−3またはCCL−26)を、酸化ストレスを受けた小脳微小外植片に添加することにより、解明された(本明細書中の図6を参照)。NNZ−4921の生存を促進する活性は、部分アゴニストのエオタキシン−3によって完全に遮断された。NNZ−4921の添加を伴わずにエオタキシン−3が小脳微小外植片に投与されると、これにより、正常酸素圧または酸化ストレス条件下のいずれにしてもニューロン生存率全体に対する効果は全くなかった(本明細書中の図6を参照)。
新規に発見されたCXCR4/CCR3ヘテロ二量体複合体は、CXCR4媒介性の下流の細胞内シグナル伝達に対して調節効果を有すると考えられる。特に、CXCR4/CCR3複合体の刺激(agonization)により、CXCR4遺伝子発現の速やかな下方制御や、おそらくはGタンパク質サブユニットのCXCR4受容体への共役がもたらされる。さらに、両ケモカイン受容体(CXCR4およびCCR3)を発現する細胞型は、生存、移動および最終細胞分化に関与する遺伝子の下流遺伝子発現の活性化により、
NRP2945およびNNZ−4921媒介性のリガンド結合に応答する。
要するに、本明細書で詳述される試験によると、NRP2945およびNNZ−4921が、ニューロンにおけるH誘発性の細胞死および酸素グルコース欠乏に誘発される細胞死のレベルを有意に低下させることが示される。この神経保護活性は、CXCR4およびCCR3との相互作用に依存している。したがって、NRP2945およびNNZ−4921は、受容体アゴニストとして作用しており、ヘテロ二量体CXCR4/CCR3複合体を原形質膜に動員すると考えられる。さらに、NRP2945の結合活性化により、CXCR4遺伝子発現の即時型下方制御がもたらされる。それと同時に、NRP2945は、CXCR4/CCR3を発現するがん細胞に対して抗浸潤および抗移動効果を示す。
したがって、NRP2945およびNNZ−4921などのNRPを使用することで、細胞内でのCXCR4の立体配置およびレベルの双方の調節が可能である。このことから、NRPおよび受容体CXCR4/CCR3は、CNS障害、心不全および他の心血管状態、糖尿病、特に膵臓β細胞がCXCR4およびCCR3を同時発現する1型糖尿病、および様々な増殖性障害の予防および治療、ならびに特にがん細胞の移動および転移の予防を含む、広範囲の医学的用途において有用性を有する。さらに、NRPは、NRPに基づく治療を監視する方法および新しい薬剤候補を同定する方法を含む、種々のアッセイにおいて有用性を有する。
発明の概要
一態様では、本発明は、細胞内でCXCR4発現を下方制御する方法であって、細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それによりCXCR4発現を下方制御するステップを含む、方法を包含する。
他の一態様では、本発明は、がん細胞の移動を阻害する方法であって、がん細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それにより移動を阻害するステップを含む、方法を包含する。
さらに他の一態様では、本発明は、がん細胞による組織の浸潤を阻害する方法であって、がん細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それにより浸潤を阻害するステップを含む、方法を包含する。
さらに他の一態様では、本発明は、腫瘍転移を阻害する方法であって、腫瘍を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それにより腫瘍転移を阻害するステップを含む、方法を包含する。
特定の態様では、本方法におけるがん細胞は、前立腺由来の腺がん細胞である。別の特定の態様では、がん細胞は、前立腺がん細胞である。
別の態様では、本発明は、患者におけるがんを治療するかまたは寛解させる方法であって、NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体を患者に投与し、それによりがんを治療するかまたは寛解させるステップを含む、方法を包含する。
さらに別の態様では、本発明は、患者における腫瘍転移を予防または阻害する方法であ
って、NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体を患者に投与し、それにより腫瘍転移を予防または阻害するステップを含む、方法を包含する。
さらに別の態様では、本発明は、損傷によるニューロンにおけるアポトーシスを阻害する方法であって、ニューロンを、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それによりアポトーシスを阻害するステップを含む、方法を包含する。
さらなる態様では、本発明は、患者におけるCNS損傷によるニューロンのアポトーシスを予防または阻害する方法であって、NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体を患者に投与し、それによりアポトーシスを阻害するステップを含む、方法を包含する。
さらなる態様では、本発明は、CXCR4/CCR3ヘテロ二量体形成を促進する方法であって、細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それによりCXCR4/CCR3ヘテロ二量体形成を促進するステップを含む、方法を包含する。
さらなる態様では、本発明は、細胞内のCXCR4受容体を活性化させる方法であって、細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それによりCXCR4受容体を活性化させるステップを含む、方法を包含する。
さらなる態様では、本発明は、配列番号9の神経再生ペプチドを提供する。
別の態様では、本発明は、配列番号9の神経再生ペプチドを含む組成物をさらに提供する。
別の態様では、動物における神経細胞の欠損によって特徴づけられる神経障害を治療する方法であって、前記動物にある量の配列番号9または上で定義された組成物を投与するステップを含む、方法が提供される。神経障害は、筋萎縮性側索硬化症、神経毒性損傷、酸化的損傷、多発性硬化症、末梢神経障害、低酸素/虚血、外傷性脳損傷、視神経損傷または糖尿病性末梢神経障害から選択される。
本発明のさらなる態様および実施形態は、以下の説明から明らかになるであろう。
定義
本明細書中の各事例において、本発明の説明、実施形態、および実施例において、用語「含む(comprising)」、「含む(including)」などは、限定することなく、拡大解釈されるべきである。したがって、文脈的に明確に他を必要としない限り、本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、用語「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、排他的意味ではなく包含的意味で、すなわち、「含むが限定されない」の意味で解釈されるべきである。
便宜上、本説明における「NRP」に対する一般的な参照は、任意の供給源、例えば、単離された天然NRP、組換えNRP、および合成NRPから得られるペプチドを含み、かつ、天然ペプチド配列を有するNRPおよび修飾ペプチド配列を有するNRPを含むものと解釈される。特に注目すべきなのは、NRPの機能的類似体、すなわち開始ペプチド配列の活性のうちの1つ以上を保持する類似体である。かかる活性は、以下にさらに説明される。
「外因性」は、本明細書で使用される場合、参照される分子または参照される活性が宿主細胞または宿主生物に導入されることを意味するように意図される。「外因性」NRPは、人工的な、すなわち非天然の手段によって得られるペプチドを示す。これは、限定はされないが、合成化学、組換え技術、精製プロトコルなどを含む。天然、組換え、または合成供給源から単離されたペプチドが含まれる。また、細胞または無細胞翻訳系に導入可能なプラスミド、ベクター、または他の発現構築物によって生成されたペプチドも含まれる。「外因性」NRPは、ヒトの介入なしに細胞によって作られる内因性の天然ペプチドとは明確に区別される。
また、用語「NRP」、「NRP化合物」、「NRP類似体」、「配列番号」、および他のかかる用語は、簡素化のため、本明細書に記載の分子を同定するために使用され、それらの完全な特徴づけを提供するために使用されないことも理解されるべきである。したがって、「NRPの類似体」は、本明細書中で特定のアミノ酸配列、特定の二次元表現の構造を有するものとして特徴づけられる場合があるが、主張される実際の分子が、三次元構造、特定の結合についての移動性および分子の全体としての他の特性を含む、他の特徴を有することは理解される。分子自体およびそれらの全体としての特性は、本開示によって包含される。
特定の実施形態では、NRPの「類似体」は、少なくとも一部には、酵素分解の低下によって安定性が増大していてもよい。NRP類似体は、アミノ酸置換基または修飾アミノ酸を有してもよい。NRP類似体は、アミノ酸を置換する非アミノ酸置換基を有してもよい。NRPの類似体は、いずれかのアミド化されたC末端を含んでもよく、またはC末端のヒドロキシル残基(OH)を有してもよい。他の有用な類似体は、本明細書中に詳述される。
本明細書で使用される「NRP」、「NRP化合物」、「NRP類似体」および類似用語は、機能的配列、例えば、以下の活性、すなわち、CXCR4および/またはCCR3結合活性、CXCR4活性化の活性、細胞保護活性(例えば神経保護活性)、アポトーシスを予防または阻害する(例えば、ニューロンにおけるアポトーシスを予防する)活性、CXCR4発現を下方制御する活性、CXCR4/CCR3ヘテロ二量体形成を促進する活性、およびがん細胞の移動、浸潤、および/または転移を阻害する活性のうちの1つ以上を有する配列を示す。
したがって、ペプチドが「NRP」と命名されたことは、それが単に神経効果を有することを意味していない。むしろ、用語NRPは、本明細書に記載される類似の構成成分を有するペプチドを含むことが意図されているが、他の細胞型、組織、および/または器官に対する効果を有してもよい。
NRP類似体
NRPの類似体は、天然アミノ酸の配列および立体構造を有するように作製してもよい。あるいは、NRP類似体は、以下のタイプの修飾、すなわち(1)βターンの安定化、(2)グリシン残基の置換、(3)N末端グリシン残基の置換、および/または(4)環化、のうちの1つ以上を含んでもよい。
チョウ(Chou)およびファスマン(Fasman)のβターン予測によると、様々なNRPにおいてβターンが示されている。これらは、アミノ酸ドメインAPGR(配列番号3)およびRAGG(配列番号4)中に見出される。βターンの安定化のため、アルキル化アミノ酸などの立体的制約を導入することは可能である。容易に入手可能なアルキル化アミノ酸として、α−アミノイソ酪酸(Aib)が挙げられ、それは、NRPにおけるアラニンおよびグリシン残基の片方または双方と置換させて使用してもよい。
1つの他の有用な修飾は、アラニンのβ−アラニンとの置換である。例えば、ペプチド配列Gly Arg Arg Ala Ala Pro Gly Arg β−Ala Gly Gly(配列番号9)を作製することは可能である。
アミノ酸ドメインAPGR(配列番号3)の修飾においては、アラニンまたはグリシンは、α−アミノイソ酪酸(Aib)と置換してもよい。アミノ酸ドメインRAGG(配列番号4)の修飾においては、アラニンは、アミノイソ酪酸(Aib)と置換してもよい。
NRPにおいては、アスパラギン(N)による内部グリシン残基の置換が、グリシンよりも高いβターンの傾向を有するアスパラギンに起因して、βターンを誘発しうることは留意すべきである。したがって、内部グリシン残基のアスパラギンとの置換の代わりに、グリシンをアスパラギンとアミノ酸10位で置換することは可能である(例えば、GRRAAPGRANG(配列番号6))。
NRPのN末端でのGの切断は、生物学的活性の欠損をもたらす可能性がある。特定の環境下では、Gは、アセチル基と置換してもよい。L−アミノ酸のD−アミノ酸との置換については、これによりペプチドの二次構造が影響を受ける場合がある。NRPにおいては、N末端から3番目のアミノ酸L−ArgがD−Argと置換される環境があってもよい。
NRPの環状ペプチド模倣物を作製することが望ましい場合がある。環化の一方法は、システイン残基を配列の各末端に付加し、次いで得られた生成物を酸化し、環状ジスルフィドを生成することを含む。NおよびC末端双方のグリシン残基がシステイン残基と置換され、次いで酸化される状況があってもよい。C末端残基のN末端残基への直接環化は、アミド結合を作ることによって生じさせることができる。
円二色性の使用は二次構造を指し示す可能性があり、また小ペプチドのモデリング用のコンピュータシミュレーションソフトウェアの使用は、従来の方法を用いて行ってもよい。これらの技術の双方は、NRP類似体の構造的特徴を決定するために使用してもよい。
NRP類似体の合成
ペプチド合成のための出発物質および試薬は、アルドリッチケミカル社(Aldrich Chemica Company)(ミルウォーキー、ウィスコンシン州)、バケム(Bachem)(トランス、カリフォルニア州)、およびシグマ(Sigma)(セントルイス、ミズーリ州)などの供給業者から得てもよい。あるいは、試薬は、当業者に周知の方法により調製してもよい。
典型的な手順は、「有機合成のためのフィーザーおよびフィーザーの試薬(Fieser And Fieser’s Reagents for Organic Synthesis)」、第1〜17巻、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク、ニューヨーク州、1991年;「ロッドの炭素化合物の化学(Rodd’s Chemistry of Carbon Compounds)」、第1〜5巻および付録、エルゼビア・サイエンス・パブリッシャーズ(Elsevier Science Publishers)、1989年;「オーガニック・リアクションズ(Organic Reactions)」、第1〜40巻、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク、ニューヨーク州、1991年;マーチ(March)J著、「アドバンスド・オーガニック・ケミストリー(Advanced Organic Chemistry)」、第4版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons
)、ニューヨーク、ニューヨーク州、1992年;およびラロック(Larock)著、「コンプリヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations)」、ブイシーエイチ・パブリッシャーズ(VCH Publishers)、1989年、などの参考文献中に記載されている。
ほとんどの場合、アミノ酸、そのエステルまたはアミド、および保護アミノ酸は、供給業者から入手してもよい。また、修飾アミノ酸およびそのアミドまたはエステルの調製は、化学および生化学の文献に幅広い記載がある。かかる手順は、当業者に周知であると考えられる。例えば、N−ピロリジン酢酸は、デガ−スザフラン(Dega−Szafran)Z.およびプリズビラク(Pryzbylak)R著、ジャーナル・オブ・モレキュラー・ストラクチャー(J.Mol.Struct.)、第436巻−7、p.107〜121、1997年に記載されており、またN−ピペリジン酢酸は、マツダ(Matsuda)O、イトウ.(Ito)S、およびセキヤ(Sekiya)M著、ケミカル・アンド・ファーマシューティカル・ブレティン(Chem.Pharm.Bull.)、第23巻(1)、p.219〜221、1975年に記載されている。
合成生産は、グッドマン(Goodman)M編、「ペプチドおよびペプチドミメティックの合成(Synthesis of Peptides and Peptidomimetics)」、「有機化学の方法(Methods of organic chemistry)」(ハウベン−ウェイル(Houben−Weyl))(ワークベンチ・エディション(Workbench Edition)、2004年;ゲオルグ・チーメ出版(Georg Thieme Verlag)、スタットガート、ニューヨーク)に記載の固相合成方法を用いて行ってもよい。この技術は、十分に理解されており、ペプチドの調製における一般的な方法である。
本方法の一般概念は、鎖の最初のアミノ酸の固体ポリマーへの共有結合による付着によって決まる。次いで、保護アミノ酸が、一つずつ(段階的戦略)、または数ブロック単位で(セグメント戦略)、所望される配列が構築されるまで添加される。最終的に、保護ペプチドは固体樹脂支持体から除去され、保護基は切断される。この手順により、試薬および副産物は濾過によって除去され、それ故に中間体を精製する必要性がなくなる。
アミノ酸は、樹脂のような任意の適切なポリマーに付着させてもよい。アミドポリマー樹脂は、特に本発明に適している。同樹脂であれば、最初の保護アミノ酸が共有結合によって強く結合できる官能基を含む必要がある。様々なポリマー、例えばセルロース、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、およびポリスチレンは、この目的に適している。適切な樹脂は、市販されており、当業者にとって周知である。
かかる合成において使用可能な適切な保護基は、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、ベンジル(Bzl)、t−アミロキシカルボニル(Aoc)、トシル(Tos)、o−ブロモ−フェニルメトキシカルボニル(BrZ)、2,6−ジクロロベンジル(BzlCl)、およびフェニルメトキシカルボニル(ZまたはCBZ)を含む。さらなる保護基が、グッドマン(Goodman)(上記)、ならびにマクオミエ(McOmie)JFW著:「有機化学における保護基(Protective Groups in
Organic Chemistry)」、プレナム出版社(Plenum Press)、ニューヨーク、1973年において同定されている。
ペプチドを調製するための一般的手順は、最初にカルボキシル末端の保護アミノ酸を樹脂に付着させることを含む。付着後、樹脂は、濾過され、洗浄され、カルボキシル末端アミノ酸のα−アミノ基上の保護基が除去される。この保護基の除去は、当然ながら、アミ
ノ酸と樹脂の間の結合を破壊することなくなされる必要がある。次のアミノ、また必要に応じて側鎖の保護アミノ酸は、次いで樹脂上のアミノ酸の遊離アミノ基に共役される。この共役は、2番目のアミノ酸の遊離カルボキシル基と樹脂に付着された最初のアミノ酸のアミノ基の間でのアミド結合の形成によって生じる。
上記の一連の事象は、連続するアミノ酸と、すべてのアミノ酸が樹脂に付着するまで繰り返される。最終的に、保護ペプチドは樹脂から切断され、保護基は除去され、所望されるペプチドが得られる。ペプチドを樹脂から分離しかつ保護基を除去するのに用いられる切断技術は、樹脂および保護基の選択に左右され、ペプチド合成技術の熟練者にとって既知である。
ペプチドは、2つのシステイン残基間でのジスルフィド結合の形成によって環化させてもよい。かかる結合を形成するための方法は、周知であり、G.A.グラント(G.A.Grant)編、「合成ペプチド:ユーザーガイド(Synthetic Peptides:A User’s Guide)」、第2版、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、2002年、W.C.チャン(W.C.Chan)およびP.D.ホワイト(P.D.White)編、「Fmoc固相合成:実践的アプローチ(Fmoc Solid Phase Synthesis:A Practical Approach)」、オックスフォード大学出版局(Oxford University Press)、2000年およびそれらの中の参考文献に記載のような方法を含む。
ペプチド合成における代替技術は、ボダンスズキー(Bodanszky)ら著、「ペプチド合成(Peptide Synthesis)」、第2版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ(John Wiley and Sons)、ニューヨーク、1976年(参照により全体が本明細書中に明示的に援用される)中に記載されている。例えば、NRPはまた、アミド結合形成の化学的または酵素的方法を用いたアミノ酸またはペプチド断片の段階的またはブロック共役を含む、標準の溶液ペプチド合成法を用いて合成してもよい。これらの溶液合成法は、当該技術分野で周知である。例えば、H.D.ジャクブケ(H.D.Jakubke)著、「ペプチド、分析、合成、生物学(The Peptides,Analysis,Synthesis,Biology)」、アカデミック・プレス(Academic Press)、ニューヨーク、1987年、p.103〜165;J.D.グラス(J.D.Glass)著、同書、p.167〜184;および欧州特許出願公開第0324659A2号明細書(酵素的ペプチド合成法について記述)を参照。
市販のペプチドシンセサイザー、例えばアプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)製モデル430A(Model 430A)もまた、使用してもよい。NRP類似体の化学合成は、ペプチドの入手、特にペプチドの大規模生成ための最も便利な手段を示しうる一方、組換えペプチドの作製および内因性ペプチドの単離を含む他の方法もまた、当業者にとって使用可能であることは理解されるであろう。したがって、NRPの供給源は、決して本発明に限定するものではない。
NRPを使用するアッセイ
本明細書中に示されるように、NRP2945およびNNZ−4921は、CXCR4アゴニストとして作用する。NRP2945およびNNZ−4921は、CXCR4/CCR3のヘテロ二量体複合体を原形質膜に能動的に動員するものと考えられる。さらに、NRPの結合活性化により、CXCR4遺伝子発現の即時型下方制御がもたらされる。これに基づき、NRP2945、NNZ−4921、およびその機能的類似体などのNRPは、細胞内でのCXCR4の立体配置およびレベルの双方を調節するために使用してもよ
い。これは、治療的有用性、ならびに当業者によって利用可能な様々なアッセイにおける有用性を有する。
NRPを可視化する、例えばNRPの結合またはレベルを評価するためのアッセイにおいては、ペプチドは、検出可能な物質を含む1つ以上の標識を含むように修飾してもよい。適切な検出可能な物質として、酵素、補欠分子族、蛍光材料、発光材料、および放射性物質が挙げられる。適切な酵素の例として、西洋わさびペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、β−ガラクトシダーゼ、およびアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。適切な補欠分子族複合体の例として、ストレプトアビジン/ビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられる。適切な蛍光材料の例として、ウンベリフェロン、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、ローダミン、ジクロロトリアジニルアミン(dichlorotriazinylamine)フルオレセイン、塩化ダンシルまたはフィコエリトリンが挙げられる。発光材料の例として、ルミノールが挙げられる。適切な放射性物質の例として、14C、123I、124I、125I、13II、99mTc、35S、およびHが挙げられる。
NRPは、NRP中の修飾基または1つ以上のアミノ酸構造への14Cの取り込みにより、14Cで放射性標識してもよい。標識NRPは、化合物のインビボでの薬物動態を評価するため、ならびに用量または投与計画の適合性を評価するため、また用量の増加または低下が必要であるか否かを予測するため、使用してもよい。CXCR4受容体の組織分布は、インビボまたは被験体から得られたインビトロ試料中のいずれかで、標識NRPを用いて検出してもよい。
NRPは、インビボでの使用においては、放射性テクネチウムまたはヨウ素で標識してもよい。標識用のキレート化基が導入可能な部位を提供する修飾基、例えば遊離アミノ基を有するコール酸のAic誘導体は、選択してもよい。放射性ヨードの様々な同位体のいずれかは、導入してもよい。123I(半減期=13.2時間)は全身シンチグラフィ用に使用可能であり、124I(半減期=4日)はポジトロンCT(PET)用に使用可能であり、125I(半減期=60日)は代謝回転試験用に使用可能であり、また13II(半減期=8日)は全身計測および遅延低分解能造影試験用に使用可能である。
1つ以上の検出可能な標識をNRPに付加するため、クリックケミストリーを用いることも可能である。クリックケミストリーは、モジュラー構成要素、例えば、炭素−ヘテロ原子結合形成を含む。しかし、天然のモジュラー反応(例えば、ペプチド/タンパク質合成)と異なり、クリックケミストリー反応は不可逆性である。同反応は、エネルギーの高い試薬または反応物に左右される(コルブ(Kolb)ら著、ドラッグ・ディスカバリー・トゥデイ(Drug Discov Today)、第8巻、p.1128、2003年)。クリックケミストリー反応の例として、環化付加反応、例えば1,3−双極子ファミリー、およびヘテロディールス・アルダー反応(カール・アンカー(Karl Anker)著、アンゲバンテ・ケミーエ(Angew Chem.)、第39巻、p.3558、2000年);求核開環反応(例えば、エポキシド、アジリジン、環状硫酸エステル(cyclic sulfates)など;コルブ(Kolb)ら著、アンゲバンテ・ケミエ・インターナショナル・エディション(Angew Chem Int Ed.)、第40巻、p.2004、2001年);ならびに、カルボニル化学、例えばオキシムエーテル、ヒドラゾン、および芳香族複素環の形成、が挙げられる。他の反応として、炭素−炭素多重結合、例えばエポキシ化(アドルフソン(Adolfsson)ら著、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahedron Lett.)、第40巻、p.3991、1999年)およびジヒドロキシル化(コルブ(Kolb)ら著、ケミカル・レビューズ(Chem Rev.)第94巻、p.2483、1994年)およびアジド−ホスフィン共役(シュタウディンガー・ライゲーション(Staudinger ligati
on);シュタウディンガー(Staudinger)ら著、ヘルベティカ・キミカ・アクタ(Helv Chim Acta.)、第2巻、p.635、1919年;ゴロロボフ(Gololobov)ら著、4面体(Tetrahedron)、第37巻、p.437、1981年)、が挙げられる。
クリックケミストリーは、特にアミノ酸配列の標識にとって有用である。例えば、ワン(Wang)ら著、米国化学会誌(J Am Chem Soc.)、第125巻、p.3192、2003年;リンク(Link)およびティレル(Tirrell)著、米国化学会誌(J Am Chem Soc.)、第125巻、p.11164、2003年、ディーターズ(Dieters)ら著、米国化学会誌(J Am Chem Soc.)、第125巻、p.11782、2003年を参照。ペプチドは、リジンまたはシステイン残基のいずれかをアジドまたはアルキンで修飾し、その後フルオレセインを有する補助基と反応させることにより、フルオレセインで標識してもよい。同様に、ペプチドは、アジドまたはアセチレンに基づく合成アミノ酸を用いて合成してもよい。特に、アルキンまたはアジドを有するペプチドは、対応物の非天然アミノ酸と反応させてもよい。また、アジド−アルキン[3+2]環化付加反応において、アジドまたはアルキンを有するペプチドをアジドまたはアルキンを有する色素と反応させることにより、有機分子をペプチドに挿入することも可能である。本発明においては、NRP2945およびNNZ−4921などのNRPは、内部アルデヒド基を活性化させることによって修飾してもよく、それにより、CXCR4および/またはCCR3受容体の結合時に蛍光が発せられるようになる(サリック(Salic)およびミッチソン(Mitchison)著、プロナス(PNAS)、第105巻(7)、pp.2415〜2420、2008年)。
他の実施形態では、NRPは、有望な薬剤候補のスクリーニングにおいて使用される。かかるスクリーニング法は、CXCR4受容体への結合時に検出可能なシグナルを有する標識NRPを提供することによって実施してもよい。CXCR4受容体は、少なくとも1つの試験分子と既知の濃度で接触することで、試験試料が形成される。次いで、試験試料は、NRPと接触される。それとは別に、NRPは、任意の試験分子を含まない試料に添加され、対照試料が形成される。試験試料から得られるシグナルは、対照試料から得られるシグナルと比較される。
NRPと受容体の結合によって誘発されるシグナルは、蛍光シグナルであってもよい。一例として、シグナルは、第2のアクセサリー分子の添加時に誘発してもよく、例えば蛍光分子は、標識NRPに結合する分子に結合させてもよい。1つの特定例として、NRPは、ビオチンで標識してもよく、またアクセサリー分子は、蛍光標識されたストレプトアビジン分子であってもよい。かかる実験においては、CXCR4受容体は、細胞株中で発現させてもよい。プロセスは、用量反応曲線として実施してもよい。試験化合物は、異なる濃度で受容体とともにインキュベートしてもよく、標識NRPの結合後に誘発されるシグナルは、測定され、対照と、さらには相互に比較される。
別のアプローチとして、試験化合物は、CXCR4を遮断するモノクローナル抗体を用いて、受容体結合についてアッセイしてもよい(フォン・チャーナー(von Tscharner)ら著、ネイチャー(Nature)、第324巻、p.369〜372、1986年;米国特許第8138304号明細書も参照)。試験化合物とNRPの競合は、上記のように行ってもよい。他の競合実験は、CXCR4受容体の代わりにまたはそれに加えて、CCR3受容体を用いて行ってもよい。
NRPの治療用途
CNS損傷および障害
本明細書に示される実験結果に基づき、NRP2945、NNZ−4921、およびそ
の機能的類似体などのNRPは、中枢神経系(CNS:central nervous
system)におけるアポトーシスを介した細胞死を予防するために使用してもよい。特に、NRPは、作製し、CNS損傷または疾患を発症した患者に投与してもよい。
ニューロンのアポトーシスは、急性CNS損傷、例えば、虚血性または外傷性障害に続く細胞欠損、ならびに慢性神経変性に関与する。CNS損傷は、ニューロン、星状細胞、乏突起膠細胞、ならびに好中球、ミクログリア、およびマクロファージなどの炎症細胞においてアポトーシス死をもたらしうる。アポトーシスを介したニューロン死はまた、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病、脳卒中、進行性MSおよび筋萎縮性側索硬化症(ALS:amyotrophic lateral sclerosis)を含む神経障害に関与する。かかる障害では、アポトーシスは、酸化ストレス、ならびにミトコンドリアおよびER機能障害を生じるカルシウム恒常性の撹乱を含む。
NRPの保護活性は、予防的治療において、例えば、CNSにおける細胞死を遮断または低減するため、利用してもよい。したがって、NRPは、脳卒中、虚血性脳卒中、低酸素/虚血、虚血性梗塞、アテローム硬化性血栓症(Atherosclerotic thrombosis)、ラクナ(lacunes)、塞栓症、高血圧性出血、破裂動脈瘤、血管奇形、一過性脳虚血発作、頭蓋内出血、自然発症くも膜下出血、低酸素性虚血性脳症、高血圧性脳症、脳動脈の炎症性疾患、例えば心不全(おそらくは冠動脈バイパス術に起因する)によって誘発される灌流低下、および脳血管疾患の他の形態、を含む脳血管障害の効果からCNS細胞を保護しうる。
NRPはまた、頭蓋底骨折、脳神経損傷、びまん性軸索損傷、窒息、周産期低酸素虚血性損傷、頸動脈海綿洞瘻、気頭症、気瘤および鼻漏、脳挫傷、外傷性脳損傷、外傷性脳内出血、外傷性脳損傷、穿通性外傷性脳損傷および小児における急性脳腫脹を含む、脊髄または頭蓋脳損傷に引き続くアポトーシスからCNS細胞を保護するために使用してもよい。
NRPは、さらに、視神経脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎、急性および亜急性壊死性出血性脳炎、末梢神経障害に併発するシルダー汎発性脳硬化症および多発性硬化症、ならびに進行性認知症、びまん性脳萎縮、非アルツハイマー型のびまん性皮質萎縮、レビー小体病、ピック病、前頭側頭型認知症、視床変性症、深部虚血性および出血性視床脳卒中(deep ischaemic and haemorrhagic thalamic strokes)、非ハンチントン型舞踏病および認知症、皮質脊髄変性(ヤコブ病)、認知症−パーキンソン病−筋萎縮性側索硬化症合併症(グアマニナ(Guamanina)およびその他)および筋萎縮性側索硬化症(ALS)のうちの1つ以上を含む神経系の変性疾患を含む脱髄性疾患に起因するアポトーシスからCNS細胞を保護するために使用してもよい。
さらに、NRPは、末梢神経障害に起因するアポトーシスからCNS細胞を保護するために使用してもよい。末梢神経障害には100を超えるタイプがあり、各々、症状、発生のパターン、および予後からなる一連のその固有の特徴を有する。末梢神経障害は、遺伝性または後天性のいずれかでありうる。遺伝型の末梢神経障害は、遺伝子突然変異または潜在的な遺伝子発現の乱れをもたらす後成的に関連のあるゲノムの領域内での有意な遺伝的変異によって誘発されうる。
後天性末梢神経障害は、例えば、神経に至る肉体的損傷(外傷)、腫瘍、毒素(化学療法を含む)、自己免疫応答、栄養障害、アルコール依存、血管および代謝障害(例えば、糖尿病性神経障害)に起因しうる。HIV関連末梢神経障害は、HIVウイルスの逆転写酵素を標的にする薬剤の一般的な副作用である。末梢神経障害の症状は、一過性のしびれ
、刺痛、およびチクチクする感覚、触覚または筋力低下に対する感受性から、灼熱痛、筋消耗、麻痺、器官または腺の機能障害などのより極端な症状まで様々でありうる。
さらに、NRPは、錯乱、昏迷または昏睡−虚血−低酸素症、低血糖症、高血糖症、高炭酸ガス血症、肝不全およびライ症候群のうちの1つ以上を含む症候群を呈する代謝疾患、進行性錐体外路症候群を呈する代謝疾患、小脳性運動失調、高熱症、セリアック・スプルー病を呈する代謝疾患、クッシング病およびステロイド脳症、甲状腺性精神病および甲状腺機能低下症および膵性脳症を含む精神病または認知症を引き起こす代謝疾患、を含む神経系の後天性代謝障害に起因するアポトーシスからCNS細胞を保護するために使用してもよい。神経障害を生じうる代謝障害の例として、ビタミンB6(ピリドキシン)の過剰な消費が挙げられる。これは、一日推奨摂取量の100倍上回る量が数週間摂取される場合によって発症しうる。
さらなる態様では、NRPは、栄養障害、薬剤、アルコール、およびアルコール依存による神経系の疾患に起因するアポトーシスからCNS細胞を保護するために使用してもよい。薬剤および他の化学薬品による神経系の障害は、オピエートおよび合成鎮痛薬、鎮静・催眠薬、刺激薬、向精神薬、細菌性毒素、植物毒、有毒生物咬傷および刺傷、重金属、工業毒、抗新生物薬および免疫抑制薬、サリドマイド、アミノグリコシド抗生物質(聴器毒性)およびペニシリン誘導体(発作)、および心保護薬(β遮断薬、ジギタリス誘導体およびアミオダロン)を含む。
本発明の組成物および方法は、限定はされないが、CNS毒素への暴露、および中枢神経系の感染、例えば細菌、真菌、スピロヘータ、寄生虫、およびサルコイド感染、例えば発熱性感染症、細菌性髄膜炎、および軟膜炎を含む、急性脳損傷によるCNSにおける細胞死の予防においても用途が見出される。
上記の疾患または損傷のうちの1つ以上を患う患者であれば、CNSにおけるアポトーシスを遮断または低減可能な予防的治療の恩恵を受けることになる。
増殖性状態
本明細書に示されるように、NRP2945は、様々な増殖性状態、特に過形成、がん、および転移に関与している、CXCR4の発現を下方制御する。NRP2945はまた、CXCR4/CCR3を発現するがん細胞に対して抗浸潤性および抗移動性効果を有することが本明細書中に示されている。したがって、NRPは、ある範囲の増殖性状態に対する予防薬および/または治療薬において使用してもよい。NRP、特にNRP2945、NNZ−4921、およびその機能的類似体は、がん細胞の移動、浸潤、および/または転移を阻害するために使用してもよい。
様々な態様において、NRPは、増殖性状態、例えば過形成およびがんを予防または治療するか、あるいは転移性疾患を予防または阻害するための作用物質として使用してもよい。したがって、NRPは、口腔がん、咽喉がん、口唇がん、舌がん、歯肉がん、鼻咽頭がん、食道がん、胃がん、小腸がん、結腸直腸がんを含む大腸がん、肝臓がん、胆嚢がん、膵がん、鼻腔がん、肺がん、骨がん、軟部組織がん、皮膚がん、メラノーマ、乳がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、睾丸がん、陰茎がん、膀胱がん、腎臓がん、脳がん、特に、多形神経膠芽腫および神経芽細胞腫、甲状腺がん、リンパ腫、白血病などの寛解、予防、および/または治療にとって有用でありうる。
NRPは、特に、前立腺がんの治療または寛解、および/または前立腺がんの転移の予防または阻害に適する場合がある。また、腺がん、特に悪性の腺がんは注目すべきである。典型的な腺がんは、前立腺のもの、ならびに結腸、直腸、肺、子宮頸部、前立腺、尿膜管、腟、乳房、食道、膵臓、胃、および咽頭の腺がんを含む。
NRPは、特に、悪性増殖性または腫瘍性疾患、例えば、腫瘍、例えば乳腺腫瘍;循環系腫瘍(例えば、心臓、縦隔、胸膜、および他の胸腔内臓器腫瘍、血管腫瘍、および腫瘍関連血管組織);排泄系腫瘍(例えば、腎臓、腎盂、尿管、膀胱、他の不特定の泌尿器腫瘍);胃腸管腫瘍(例えば、食道、胃、小腸、結腸、結腸直腸、直腸S状部、直腸、肛門および肛門管腫瘍)、肝臓および肝内胆管、胆嚢、胆道の他の不特定の部分、膵臓、他の消化器の腫瘍を含む腫瘍);頭頸部;口腔腫瘍(例えば、唇、舌、歯肉、口腔底、口蓋、および口の他の部分、耳下腺、および唾液腺の他の部分、扁桃腺、中咽頭、鼻咽頭、梨状陥凹、下咽頭、および唇における他の部位、口腔および咽頭の腫瘍)、の予防または治療において有用であると考えられる。
また、生殖器系腫瘍(例えば、外陰部、腟、子宮頸部、子宮体、子宮、卵巣、および女性生殖器に関連する他の部位、胎盤、陰茎、前立腺、精巣、および男性生殖器に関連する他の部位);気道腫瘍(例えば、鼻腔および中耳、副洞、喉頭、気管、気管支、および肺の腫瘍、例えば、小細胞肺がんまたは非小細胞肺がん);骨格系腫瘍(例えば、肢の骨および関節軟骨、骨・関節軟骨および他の部位);皮膚腫瘍(例えば、皮膚の悪性メラノーマ、非メラノーマ皮膚がん、皮膚の基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん、中皮腫、カポジ肉腫);ならびに脳および他の中枢神経系腫瘍(例えば、髄膜、脳、脊髄、脳神経および中枢神経系の他の部分の腫瘍、例えば、神経膠芽腫または髄質芽細胞腫);ならびに頭部および/または頸部がん、も含まれる。
さらに、末梢神経および自律神経系、結合および軟部組織、後腹膜および腹膜、眼および付属器、甲状腺、副腎および他の内分泌腺および関連の構造体を含む他の組織に関与する腫瘍、リンパ節の二次および不特定の悪性新生物、呼吸器系および消化器系の二次悪性新生物および他の部位の二次悪性新生物、血液およびリンパ系の腫瘍(例えば、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、バーキットリンパ腫、エイズ関連リンパ腫、悪性免疫増殖性疾患、多発性骨髄腫および悪性形質細胞新生物(malignant plasma cell neoplasms)、リンパ性白血病、急性または慢性骨髄性白血病、急性または慢性リンパ性白血病、単球性白血病、特定細胞型の他の白血病、不特定細胞型の白血病、リンパ系、造血および関連組織の他の不特定の悪性新生物、例えばびまん性大細胞型リンパ腫、T細胞リンパ腫または皮膚T細胞リンパ腫)、も含まれる。脊髄がんとして、例えば急性または慢性骨髄性白血病が挙げられる。
腫瘍、腫瘍性疾患、がん(carcinoma)、またはがん(cancer)が言及される場合、これはまた、元の器官または組織における転移、および/または、元の部位に代わってまたはそれに加えた任意の他の部位における転移を含み、この任意の他の部位は、腫瘍および/または転移のいずれの1もしくは複数の部位でもありうる。NRPは、それを必要とする被験者において、腫瘍侵襲性またはかかる腫瘍成長に関連した症状を治療するか、腫瘍の転移拡散を予防するか、あるいは微小転移の成長を予防または阻害する、特に腫瘍の転移拡散を治療または予防する場合に適用される。
一実施形態では、NRPは、CXCR4受容体系の脱感作およびそれに続く機能不全をもたらす、CXCR4および/またはSDF−1の過剰発現によって媒介される転移、腫瘍侵襲性、および/または腫瘍成長を予防または治療する場合に適用される。さらなる実施形態では、NRPは、それを必要とする被験者に、腫瘍に関連した調節解除された血管新生、例えばCXCR4および/またはSDF−1によって媒介される血管新生を阻害または制御する場合に適用される。
抗がん剤としてのNRPの使用は、特に、他の抗がん薬、例えば、化学療法薬、免疫療法薬、または細胞成長因子およびそれらの受容体の活性を阻害する薬剤と同時に行っても
よい。したがって、NRPは、単一の調製形態で使用される場合、有益な治療活性を示しうるが、同活性は、1つ以上の併用薬と併用される場合、さらに増強されうる。同時投与においては、典型的な化学療法薬は、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗生物質および植物由来の抗がん薬を含む。
アルキル化薬として、ナイトロジェンマスタード、ナイトロジェンマスタード−N−オキシド塩酸塩、クロラムブチル(chlorambutyl)、シクロホスファミド、イホスファミド、チオテパ、カルボコン、インプロスルファントシラート、ブスルファン、ニムスチン塩酸塩、ミトブロニトール、メルファラン、ダカルバジン、ラニムスチン、リン酸エストラムスチンナトリウム、トリエチレンメラミン、カルムスチン、ロムスチン、ストレプトゾシン、ピポブロマン、エトグルシド、アルトレタミン、アンバムスチン、ジブロスピジウム塩酸塩(dibrospidium hydrochloride)、ホテムスチン、プレドニムスチン、プミテパ(pumitepa)、リボムスチン(ribomustin)、テモゾロミド、トレオスルファン、トロホスファミド、ジノスタチンスチマラマー、カルボコン、アドゼレチン(Adzelecin)、システムスチン(systemstin)、ビセレシン、白金錯体(カルボプラチン、シスプラチン、ミボプラチン(miboplatin)、ネダプラチン、オキサリプラチンなど)、が挙げられる。
代謝拮抗薬は、例えば、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、チオイノシン、メトトレキサート、エノシタビン、シタラビン、シタラビンオクホスファート、アンシタビン塩酸塩、5−FU剤(例えば、フルオロウラシル、テガフール、UFT、ドキシフルリジン、カルモフール、ガロシタビン(galocitabine)、エミテフール(emitefur)など)、アミノプテリン、ロイコボリンカルシウム、タブロイド(tabloid)、ブトシン(butocin)、カルシウムホリエート(calcium foliate)、レボホリナートカルシウム、クラドリビン、エミテフール、フルダラビン、ゲムシタビン、ヒドロキシカルバミド、ペントスタチン、ピリトレキシム、イドクスウリジン、ミトグザオン(mitoguzaon)、チアゾフリン(thiazofurin)、アンバムスチン(ambamustin)およびゲムシタビン、を含んでもよい。
抗がん抗生物質は、例えば、アントラサイクリン抗がん剤(ドキソルビシン塩酸塩、ダウノルビシン塩酸塩、アクラルビシン塩酸塩、ピラルビシン塩酸塩(pirarubicin hydrochloride)、エピルビシン塩酸塩など)、アクチノマイシンD、アクチノマイシンC、マイトマイシンC、クロモマイシンA3、ブレオマイシン塩酸塩、ブレオマイシン硫酸塩、フレオマイシン硫酸塩(phleomycin sulfate)、ネオカルチノスタチン、ミスラマイシン、サルコマイシン(sarkomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin)、ミトタン、ゾルビシン塩酸塩(zorbicin hydrochloride)、ミトキサントロン塩酸塩およびイダルビシン塩酸塩、を含んでもよい。
植物由来の抗がん剤は、例えば、ビンカアルカロイド抗がん剤(ビンブラスチン硫酸塩、ビンクリスチン硫酸塩、ビンデシン硫酸塩(vindesin sulfate)、ビノレルビンなど)、タキサン抗がん剤(イチイ属/イチイの植物由来、タキソール型の薬剤)、(パクリタキセル、ドセタキセルなど)、エトポシド、エトポシドリン酸塩、テニポシド、およびビノレルビン、を含んでもよい。
細胞成長因子およびそれらの受容体の活性を阻害する前記薬剤における細胞成長因子は、EGF(上皮成長因子:epidermal growth factor)またはEGFと実質的に同じ活性を有する材料(例えば、EGF、HER2リガンドなど)、イン
スリンまたはインスリンと実質的に同じ活性を有する材料(例えば、インスリン、IGF(インスリン様成長因子:insulin−like growth factor)−1、IGF−2など)、FGF(線維芽細胞成長因子:fibroblast growth factor)、FGFと実質的に同じ活性を有する材料(例えば、酸性FGF、塩基性FGF、KGF(ケラチノサイト成長因子:keratinocyte colony stimulating factor)、FGF−10など)、または他の細胞成長因子(例えば、G−CSF(顆粒球コロニー刺激因子:granulocyte cology stimulating factor)、EPO(エリスロポエチン:erythropoietin)、IL−2(インターロイキン2:interleukin−2)、NGF(神経成長因子:nerve growth factor)、PDGF(血小板由来成長因子:platelet−derived growth factor)、TGF−β(トランスフォーミング成長因子:transforming growth factor)、HGF(肝細胞成長因子:hepatocyte growth factor)、VEGF(血管内皮成長因子:vascular endothelial growth factor)など)、を含んでもよい。
細胞成長因子の受容体は、上記の細胞成長因子に結合する能力を有する任意の受容体であってもよい。詳細には、それらは、EGF受容体、HER2、インスリン受容体、IGF受容体、FGF受容体1またはFGF受容体2、HGF受容体(c−met)、VEG受容体、SCF受容体(c−kit)、インスリン受容体およびソニックヘッジホッグ(EPOに対する標的)を含む。細胞成長因子の活性を阻害する薬剤は、ハーセプチン(Herceptin)(HER2抗体)、グリベック(GLEEVEC)(c−met、c−kit、Abl阻害剤)、イレッサ(Iressa)(EGF受容体阻害剤)などを含んでもよい。上記薬剤に加えて、トポイソメラーゼI阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカンなど)、トポイソメラーゼII阻害剤(例えば、ソブゾキサンなど)、血管新生阻害剤などもまた、使用してもよい。
心血管疾患
CXCR4は、心不全を有する患者において過剰発現され、本明細書中に示されるように、NRP2945は、CXCR4の発現を下方制御する。したがって、NRP2945、NNZ−4921、およびその機能的類似体などのNRPは、心不全および他の心血管疾患のための予防薬および/または治療薬において使用してもよい。
心不全(うっ血性心不全(congestive heart failure)またはうっ血性心不全(congestive cardiac failure)と称されることが多い)は、心臓が十分なポンプ作用を提供し、血流を分布させ、身体の需要を満たすことができない場合に生じる。心不全は、例えば、心筋梗塞や、様々な形態の虚血性心疾患、高血圧、心臓弁疾患、および/または心筋症と関連する場合がある。例えば、マクマレー(McMurray)およびプフェッファー(Pfeffer)、ランセット(Lancet)著、第365巻(9474)、p.1877〜89、2005年を参照。
心不全はまた、酸素および栄養分に対する身体の必要量が増加し、需要が心臓の能力を超える場合に生じうる。これは、重症貧血、グラム陰性敗血症、脚気(ビタミンB1/チアミン欠乏)、甲状腺中毒症、パジェット病、動静脈瘻、または動静脈奇形と合併して生じうる。
診断の間、心不全は、慢性(例えば、喫煙、肥満、または糖尿病に関連)、または急性として特徴づけられる場合がある。急性非代償性心不全は、増悪するものか、あるいは、患者が緊急の治療または入院を必要とする症状を有するというエピソードを示す非代償性心不全である。例えば、ジェサップ(Jessup)ら著、サーキュレーション(Cir
culation)、第119巻(14)、p.1977〜2016、2009年を参照。
心不全は、心臓の片側に対する疾患(すなわち、左心不全と右心不全)、または両側に対する疾患(すなわち、混合症状)を含んでもよい。それは、収縮不全または拡張機能障害に関連しうる。同疾患は、静脈背圧(前負荷)の一次的な増加、または十分な動脈灌流(後負荷)を供給できないことに起因しうる。この疾患は、高い全身血管抵抗を伴う低い心拍出量または低い血管抵抗を伴う高い心拍出量(すなわち、低拍出性心不全と高拍出性心不全)に起因しうる。心不全のあらゆる形態および原因は、本明細書に包含される。
予防または治療可能な他の心血管疾患は、冠動脈心疾患(虚血性心疾患または冠動脈疾患とも称される)、心筋症(心筋の疾患)、高血圧性心疾患(高血圧に続発する心臓の疾患)、不整脈(心拍リズムの異常)、炎症性心疾患、例えば心内膜炎(心臓の内層の炎症)、炎症性心肥大、心筋炎(心臓の筋肉部分の炎症)、心臓弁疾患、脳血管疾患(脳卒中など、脳に供給する血管の疾患)、末梢動脈疾患(手足に供給する血管の疾患)、先天性心疾患(出生時に存在する心奇形)、およびリウマチ性心疾患(リウマチ熱による心臓障害)、を含む。
心血管作動薬としてのNRPの使用は、他の心血管治療薬と同時に行ってもよい。例えば、1つ以上のNRPは、1つ以上のアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤、アンジオテンシンII受容体遮断薬、ジゴキシン、β遮断薬、利尿薬、またはアルドステロン拮抗薬とともに投与してもよい。
非限定的な例証が、以下のように提供される。ACE阻害剤は、エナラプリル(例えば、バソテック(Vasotec)(登録商標))、リシノプリル(例えば、プリニビル(Prinivil)(登録商標)、ゼストリル(Zestril)(登録商標))、およびカプトプリル(例えば、カポテン(Capoten)(登録商標))を含む。アンジオテンシンII受容体遮断薬は、ロサルタン(例えば、コザール(Cozaar)(登録商標))およびバルサルタン(例えば、ディオバン(Diovan)(登録商標))を含む。ジゴキシン(例えば、ラノキシン(Lanoxin)(登録商標))はまた、ジギタリスと称される。β遮断薬は、カルベジロール(例えば、コレグ(Coreg)(登録商標))、メトプロロール(例えば、ロプレッサー(Lopressor)(登録商標))、およびビソプロロール(例えば、ゼベタ(Zebeta)(登録商標))を含む。利尿薬は、ブメタニド(例えば、ブメックス(Bumex)(登録商標))およびフロセミド(例えば、ラシックス(Lasix)(登録商標))を含む。アルドステロン拮抗薬は、スピロノラクトン(例えば、アルダクトン(Aldactone)(登録商標))およびエプレレノン(例えば、インスプラ(Inspra)(登録商標))を含む。
糖尿病状態
CXCR4シグナル伝達は、膵島細胞の発生にとって必要である。本明細書に示されるように、NRP2945およびNNZ−4921などのNRPは、CXCR4アゴニストであり、CXCR4/CCR3のヘテロ二量体に結合する。したがって、NRP2945、NNZ−4921、およびその機能的類似体などのNRPは、糖尿病、特に膵β細胞がCXCR4およびCCR3を同時発現させる1型糖尿病のための予防薬および/または治療薬において使用してもよい。
1型糖尿病(1型糖尿病(diabetes mellitus type 1)とも称され、かつてはインスリン依存性糖尿病または若年性糖尿病と称された)は、インスリンを産生する膵臓のβ細胞の自己免疫性破壊に起因する糖尿病の一形態である。続発するインスリン欠乏は、血中および尿中グルコースの増加をもたらす。1型糖尿病は、脱水、
体重減少、糖尿病性ケトアシドーシスに関連しており、最終的に神経(糖尿病性神経障害)および眼の小血管(糖尿病性網膜症)、腎臓(糖尿病性腎症)、および心臓に損傷をもたらし、また心臓発作および脳卒中を誘発しうる大動脈のアテローム動脈硬化症に人を罹患させる可能性がある。NRPは、これらの糖尿病状態の発症を停止または遅延させるのに有用でありうる。
NRPは、糖尿病用の他の薬剤または治療と同時に使用してもよい。例えば、1つ以上のNRPは、インスリン治療(例えば、皮下インスリン注射またはインスリンポンプ)とともに投与してもよく、または膵移植、膵島細胞移植、または幹細胞エデュケーター療法(stem cell educator therapy)と併用してもよい。特定の態様では、NRPは、免疫抑制薬と同時に使用してもよい。適切な薬剤として、例えば、シクロスポリンA、抗CD3抗体、例えばテプリズマブおよびオテリキシズマブ、抗CD20抗体、例えばリツキシマブ、抗CD4抗体、および抗CD8抗体、が挙げられる。
NRPの投与
NRP2945、NNZ−4921、およびその機能的類似体などのNRPは、患者への直接投与を介して使用してもよい。特に、1つ以上のNRPは、治療薬として調製し、使用してもよい。ペプチドは、薬物または薬剤の一部として投与してもよい。これは、NRPに、任意の薬学的に適切な担体、アジュバント、または賦形剤を結合させることを含んでもよい。さらに、NRPは、他の非NRP神経保護剤または他の治療薬とともに使用してもよい。担体、アジュバント、または賦形剤の選択は、利用される投与経路に左右されうる。
投与経路は、特定の条件に適するように幅広く変更してもよい。NRPは、様々な方法で、すなわち腹腔内に、静脈内に、局所的に(例えば点眼剤)または脳室内に投与してもよい。末梢投与は、中枢神経系との直接的干渉を回避するため、使用してもよい。任意の既知の末梢投与経路は、使用してもよい。
これは、非経口投与、例えば、末梢循環の中への注射、皮下投与、眼窩内投与、点眼、脊髄内投与、大槽内投与、局所投与、注入による投与(例えば、浸透圧ポンプまたは皮膚パッチなどの持続放出デバイスまたはミニポンプを使用)、植込錠による投与、エアロゾル投与、吸入による投与、乱刺投与(scarification administration)、腹腔内投与、関節内投与、筋肉内投与、鼻腔内投与、経口投与、頬側投与、経肺投与、直腸投与または腟内投与を含む。
組成物は、上記のCNS細胞保護のため、治療有効量(例えば予防をもたらす量)でのヒトまたは他の哺乳類への非経口投与を意図して製剤化してもよい。特定の投与経路は、皮下注射(例えば、0.9%塩化ナトリウム中に溶解)および経口投与(例えば、カプセル剤中)を含む。
NRPを患者のCNSに直接的に投与することが望ましい場合がある。これは、任意の適切な投与経路により、行ってもよい。例として、側脳室内注射によるかまたは外科的に挿入されたシャントを通じた、患者の脳の側脳室へ、髄液中へまたは直接的に患者の脳の発症部位への投与が挙げられる。
増殖性障害においては、注射は、腫瘍の内部または近位部位あるいは病変に直接的に、静脈内、筋肉内、皮下、臓器内、鼻腔内、皮内、眼内(例えば点眼剤)、脳内、直腸内、腟内、または腹腔内投与により、投与してもよい。
上記の様々な治療法においては、1つ以上のNRPは、患者にとっての利点を高めるため、1つ以上の併用薬とともに投与してもよい(例えば、1つ以上のNRPとメチルプレ
ドニソン(methylprednisone)の併用療法)。この投与時間は限定されない。NRPおよび併用薬は、同時にまたは様々な時刻に被験体に投与してもよい。併用薬の用量は、臨床的に採用される通常用量に従ってもよく、また投与対象、投与経路、疾患状態、組み合わせなどに応じて適切に決定してもよい。
NRPおよび併用薬の投与方法は、特に限定されることなく、NRPまたはその塩および投与時に結合させるべき併用薬にとって許容可能なものであってもよい。かかる投与方法は、例えば、NRPおよび併用薬の同時組み合わせによって製剤化された単一の調製物の投与であってもよい。あるいは、同時投与は、2つの異なる薬剤(一方はNRPを用いて製剤化された薬剤であり、もう一方は併用薬である)の同一投与経路によるものであってもよい。
別の実施形態として、同一経路による投与は、様々な時刻に、2つの異なる薬剤(一方はNRPを用いて製剤化された薬剤であり、もう一方は併用薬である)を用いて行ってもよい。さらに別の実施形態として、同時投与は、2つの異なる薬剤(一方はNRPを用いて製剤化された薬剤であり、もう一方は併用薬である)を用いた、異なる経路によるものであってもよい。さらに別の実施形態として、投与は、2つの異なる薬剤(一方はNRPを用いて製剤化された薬剤であり、もう一方は併用薬(例えば、NRPの投与とその後の併用薬の投与、またはその逆)などである)を用いた、様々な時刻での異なる経路によるものであってもよい。
いずれの併用薬であっても低毒性を有する必要がある。したがって、かかる薬剤は、当該技術分野で既知の方法に従い、NRPおよび/または上記の併用薬を薬理学的に許容できる担体と混合することによって調製された医薬組成物の形態で、安全に経口的または非経口的に(例えば、局所、直腸、静脈などにより)投与してもよい。かかる医薬組成物として、限定はされないが、錠剤(糖衣錠およびフィルムコート錠を含む)、散剤、顆粒剤、カプセル剤(ソフトカプセルを含む)、溶液、注射、坐剤、徐放性製剤などが挙げられる。
NRPの治療量
投与されるべきNRP、例えば、NRP2945、NNZ−4921、またはその機能的類似体の有効量の決定は、当業者の技能の範囲内であり、かつ当業者にとって一般的なものである。特定の実施形態では、使用されるべきNRPの量は、本明細書に記載のアッセイ系を用いたインビトロ試験によって評価してもよい。投与されるべきNRPの最終量は、投与経路、使用されるNRPや治療されるべき障害または状態の性質に左右されることになる。
薬物中への封入については、NRPは、本明細書に記載のような従来の方法により、直接的に合成してもよい。NRP化合物を含有する組成物は、本明細書に記載の経路を含む1つ以上の経路により投与してもよい。例として、静脈内、腹腔内、脳内、脳室内、吸入、洗浄、直腸、腟内、経皮、または皮下投与は、使用してもよい。
適切な用量範囲は、例えば、約0.1μg〜約15μg/kg体重、または他の実施形態では、約20μg/kg〜約30μg/kg体重/日であってもよい。他の用量としては、約0.1μg/kg体重〜約100μg/kg体重の範囲であってもよい。他の実施形態では、1μg/kg体重〜約10μg/kg体重の用量は、有用でありうる。さらなる実施形態では、NRPの用量は、約0.1μg/kg体重〜約0.1mg/kgの範囲内であってもよい。記載された用量が限定を意図していないことは理解されるであろう。記載された範囲外の他の用量については、当業者によって決定してもよい。
NRPが別の薬剤と組み合わせて投与される場合、併用薬の含量は、使用される薬物製剤形態に応じて変わることになる。それは、全製剤中、約0.1〜100重量%、または約0.1〜50重量%、または約0.5〜20重量%であってもよい。併用薬中の担体などの添加剤の含量もまた、使用される薬物製剤形態に応じて変わってもよい。それは、全製剤中、約1〜99.9重量%、または約10〜90重量%であってもよい。
一般的提案として、非経口投与されるNRPの1用量あたりの全薬学的有効量は、用量応答曲線によって測定可能な範囲内となる。例えば、血中のNRPは、治療されるべき哺乳動物の体液中で測定し、投薬量を決定してもよい。あるいは、漸増量のNRP化合物を患者に投与し、同ペプチドに対する患者の血清レベルを検査してもよい。使用すべきNRPの量は、NRPのこれらの血清レベルに基づき、モル基準で計算してもよい。
化合物の適切な投薬量を決定するための一方法は、体液または血液などの生体液中のNRPレベルを測定することを必要とする。かかるレベルの測定は、例えば、13C−15Nで標識されたNRP2945またはNNZ−4921を使用し、RIA ELISAおよびHPLCに基づく方法を含む任意の手段により、行ってもよい。NRPレベルを測定後、生体液は、単一または複数用量を用いて同化合物と接触される。この接触ステップ後、NRPレベルは、生体液中で再測定される。生体液中のNRPレベルが、同分子が投与されるべきである場合の所望される有効性をもたらすのに十分な量低下している場合、同分子の用量は、最大有効性をもたらすように調整してもよい。
この方法は、インビトロまたはインビボで行ってもよい。例えば、生体液が哺乳動物から抽出され、NRPレベルが測定された後、本明細書中の化合物は、単一または複数用量を用いて哺乳動物に投与してもよく(すなわち、接触ステップは、哺乳動物への投与によってなされる)、次いでNRPレベルは、哺乳動物から抽出された生体液から再測定される。
NRPは、徐放系により適切に投与してもよい。徐放性組成物の例として、成型物の形態での半透性ポリマーマトリックス、例えばフィルム、またはマイクロカプセルが挙げられる。徐放性マトリックスは、ポリ乳酸(米国特許第3773919号明細書、欧州特許第58481号明細書)、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(ランガー(Langer)ら、1981年)、酢酸エチレンビニル(ランガー(Langer)ら、上記)、またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許第133988号明細書)を含む。徐放性組成物はまた、リポソーム結合(liposomally associated)化合物を含む。
化合物を含有するリポソームは、独国特許第3218121号明細書;フワン(Hwang)ら、1980年;欧州特許第52322号明細書;欧州特許第36676号明細書;欧州特許第88046号明細書;欧州特許第143949号明細書;欧州特許第142641号明細書;日本国特許出願公開第83−118008号明細書、米国特許第4485045号明細書および米国特許第4544545号明細書ならびに欧州特許第102324号明細書によって例示される、当業者に既知の方法により調製される。リポソームは、脂質含量が約30モルパーセントコレステロール(この選択された比率は最も有効な治療用に調節されている)より多い、小型単層型(約200〜800オングストローム)であってもよい。非PEG化ペプチドよりも長寿命を有するPEG化ペプチドもまた、例えば国際公開第95/32003号パンフレット中に記載の複合技術(conjugate
technology)に基づいて使用してもよい。
一部の実施形態では、NRPは、一般に、単位用量の注射可能な形態(溶液、懸濁液、または乳濁液)での所望される純度の各々を、薬学的または非経口的に許容できる担体と
混合することにより、製剤化してもよい。許容できる担体とはすなわち、用いられる用量および濃度でレシピエントに対して無毒でありかつ製剤(formulation)の他の成分と適合できるものである。例えば、製剤は、好ましくは、ペプチドに対して有害であることが知られている酸化剤および他の化合物を含まない。
一部の実施形態では、製剤(formulation)は、化合物を、液体担体、または微粉化した固体担体、またはその両方と、均一かつ緊密に接触させることにより、調製してもよい。次いで、必要に応じて、生成物は、所望される製剤に形成してもよい。一部の実施形態では、担体は、非経口担体、あるいはレシピエントの血液と等張な溶液である。かかる担体媒体の例として、水、生理食塩水、リンガー液、緩衝溶液、およびデキストロース溶液が挙げられる。固定油およびオレイン酸エチルなどの非水性媒体もまた、本明細書において有用である。
担体は、等張性および化学的安定性を高める物質などの添加剤を適度に少量含有する。かかる材料は、望ましくは、使用される用量および濃度でレシピエントに対して無毒であり、またあくまで例として、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸、および他の有機酸またはそれらの塩などの緩衝液;アスコルビン酸などの抗酸化剤;低分子量(約10残基未満)のポリペプチド、例えばポリアルギニンまたはトリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン;グルタミン酸、アスパラギン酸、ヒスチジン、またはアルギニンなどのアミノ酸、を含む。
他の添加剤は、単糖、二糖、および他の炭水化物、例えば、セルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノース、トレハロース、またはデキストリン;EDTAなどのキレート剤;マンニトールまたはソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの対イオン;ポリソルベート、ポロクサマー、またはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤;および/または中性塩、例えば、NaCl、KCl、MgCl、CaClなど、を含む。特定の実施形態では、本明細書に記載のペプチドは、0.5Mスクロースまたは0.5Mトレハロースを用いて安定化させてもよい。かかる糖類を使用することにより、ペプチドの長期貯蔵が可能になる。
NRPは、望ましくは、約6.5〜約8のpHでかかる媒体中で製剤化してもよい。他のpHレベル、例えば約4.5〜約8もまた、有用でありうる。特定の前述の賦形剤、担体、または安定剤を使用する結果、化合物の塩が形成されることは理解されるであろう。最終調製物は、安定な液体または凍結乾燥固体であってもよい。
他の実施形態では、アジュバントは、使用してもよい。錠剤、カプセル剤などに組み込み可能な典型的なアジュバントは、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤;結晶セルロースなどの賦形剤;コーンスターチまたはアルギン酸のような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤;スクロースまたはラクトースなどの甘味料;ペパーミント、ウィンターグリーン、またはサクランボなどの香味料である。剤形がカプセル剤の場合、それはまた、上記材料に加えて、脂肪油などの液体担体を含有してもよい。様々なタイプの他の材料は、コーティング剤としてかまたは投薬単位の物理的形態の修飾因子として使用してもよい。シロップまたはエリキシル剤は、活性化合物、スクロースなどの甘味料、プロピルパラベンのような保存剤、着色料、およびサクランボなどの香味料を含有してもよい。
注射用の無菌組成物は、従来からの薬務に従って製剤化してもよい。例えば、水、あるいはゴマ、ピーナッツ、または綿実油のような天然植物油、あるいはオレイン酸エチルのような合成脂肪媒体などの媒体中への活性化合物の溶解または懸濁は、所望される場合が
ある。緩衝液、保存剤、抗酸化剤などは、承認された薬務に従って、組み込んでもよい。
望ましくは、治療的投与のために使用されるべきNRP組成物は、無菌であってもよい。無菌性は、無菌濾過膜(例えば、約0.2ミクロンの孔径を有する膜)を通す濾過により、容易に得ることができる。治療組成物は、一般に、無菌アクセスポートを有する容器、例えば皮下注射針によって貫通可能なストッパーを有する静脈内溶液バッグまたはバイアルの中に入れてもよい。
他の実施形態では、NRPは、単位または複数用量用の容器、例えば、水溶液としてかまたは再構成のための凍結乾燥製剤として、密封アンプルまたはバイアルの中に貯蔵してもよい。凍結乾燥製剤の例として、10mlのバイアルを、5mlの無菌濾過された、化合物の0.01%(w/v)水溶液で満たし、得られた混合物を凍結乾燥する。注入溶液は、静菌水または他の適切な溶媒を用いて凍結乾燥化合物を再構成することによって調製してもよい。
さらなる実施形態では、キットは、所定量の凍結乾燥NRP化合物、剤形の調製のための生理学的に適合性の溶液、混合バイアル、混合デバイス、および使用説明書を含んでもよい。かかるキットは、業界での通常業務に従って、作製し、保存してもよい。
(実施例)
本明細書に記載の実施例は、本発明の特定の実施形態を例示する目的のために提供され、決して本発明を限定することを意図していない。当業者は、本明細書中の開示および教示内容を利用し、過度の実験を行うことなく、他の実施形態および変形形態を作成することができる。すべてのかかる実施形態および変形形態は、本発明の一部であると考えられる。
実施例1:ヒトES細胞培養液
ヒトES細胞(hESC:human embryonic stem cells)を用いる実験は、NHMRCの指針および規制に従い、またオースティン・ヘルス・ヒューマン・リサーチ・エシックス・コミッティ(Austin Health Human
Research Ethics Committee)(承認番号H2008/03194)、およびメルボルン大学ヒューマン・リサーチ・エシックス・コミッティ(University of Melbourne Human Research Ethics Committee)(承認番号0605017)の承認の下で行った。H9(WA−09、ワイセル(WiCell))細胞株は、前述のように成長させた(ドットリ(Dottori)およびペラ(Pera)、2007年)。
簡潔に述べると、hESCは、1%のインスリン/トランスフェリン/セレン、0.1mMのβ−メルカプトエタノール、1%の非必須アミノ酸(NEAA:nonessential amino acids)、2mMのグルタミン、25U/mlのペニシリン、25μg/mlのストレプトマイシン(全部がインビトロジェン(Invitrogen)製)および20%のウシ胎仔血清(FCS:fetal calf serum)(ハイクローン(Hyclone))を添加した、ピルビン酸ナトリウムを含まない、高グルコースのダルベッコ変法イーグル培地(DMEM:Dulbecco’s Modified Eagle Medium)からなるhESC培地中のマイトマイシンCで処理されたマウス胚性線維芽細胞(MEF:mouse embryonic fibroblasts)において培養した。
あるいは、hESCは、0.1mMのβ−メルカプトエタノール、1%非必須アミノ酸(NEAA)、2mMのグルタミン、25U/mlのペニシリン、25μg/mlのスト
レプトマイシンおよび20%のノックアウト血清代替物(全部がインビトロジェン(Invitrogen)製)を添加した、DMEM/栄養素混合物F−12からなるKSR培地中のマイトマイシンCで処理されたヒト包皮線維芽細胞(HFF;アメリカ培養細胞系統保存機関、CRL−2097)において培養した。
全細胞は、100%湿度下、37℃、5%CO中で培養した。コロニーは、7日ごとに機械的に切断し(継代培養または継代し)、新しく調製したMEFまたはHFFに移した。培地は、2日ごとに変更した。
実施例2:ニューロンの分化および成長
ニューロン分化は、ヒトニューロスフェアについてドットリ(Dottori)によって適応された、マウスニューロスフェアについて記載されたノギン誘導方法を用いて行った(ドットリ(Dottori)およびペラ(Pera)、2007年)。コロニーは、500ng/mlのノギンを添加したhESC培地中、5%CO下、37℃で14日間維持する一方、ノギンを一日おきに交換した。
この時点で、細胞は、PBSで洗浄し、コロニーは、再び機械的に分離したが、この時、コロニーの中心の(分化した)部分は、さらに26ゲージ針を使用してより小さい切片に切断した。同切片は、1X B−27(登録商標)(インビトロジェン(Invitrogen))および1X N−2(インビトロジェン(Invitrogen))、20ng/mlのヒト組換えEGFおよび20ng/mlのヒト組換えbFGF(ファルマシア(Pharmacia))を添加したニューロベーサル(Neurobasal)(登録商標)A(NBM)(インビトロジェン(Invitrogen))を含有する低接着性96ウェルプレート内の個々のウェルに移した。培地は、2〜3日ごとに変更し、2週間にわたってニューロスフェアを形成させておいた。
ニューロン分化を促進するため、ニューロスフェアは、解剖顕微鏡下でより小さい切片に再び分離し、3〜4つの切片を96ウェルプレートの各ウェルに移した。この移動の前に、プレートは、ポリ−D−リジン(PBS中、10μg/ml)でプレコーティングし、PBSで洗浄し、マウスラミニン(PBS中、5μg/ml)で再コーティングし、再洗浄した。次いで、細胞は、損傷の誘発および低体温の評価の前に、成長因子が欠如したNBM中で11日間成長させた(培地は2日おきに変更した)。
実施例3:損傷および低体温の誘発
実験の当日、培地を、通常の抗酸化剤が欠如したB27調製物(インビトロジェン(Invitrogen);10889−038)を含有するNBM+N2に変更し、その交絡効果を排除した(NBM−AO)。
実施例4:酸素およびグルコース欠乏(ODG:Oxygen and glucose deprivation)
等張圧条件を維持するため、25mMの2−デオキシ−D−グルコースを、上記のように、NBM−AO培地に添加し、最初の培地変更前に室温で30分間平衡化した。1fM〜100pMの範囲で増加する濃度のNRP2945を、損傷誘発時に細胞に添加した(グリコシン(GlycoSyn)、ローワーハット、ニュージーランド)。培養上清を、この4時間が経過後に除去し、乳酸脱水素酵素(LDH)活性について分析するまで、4℃で貯蔵した。
培地を新しいNBM−AOと交換し、LDHを再び測定するまで、薬物を含有させてさらに細胞を20時間インキュベートした。実験の開始時、50μΜの新しいH(シグマ(Sigma)、H1009)を成長因子が陰性のNBMに添加することによって酸
化ストレスを誘発するとともに、培養を4時間継続してLDHを測定し、Hを含まないNBM−AOを培養液に戻し、それを、LDHを再測定するまでさらに20時間維持した。濃度が1fM〜100pMの範囲のNRP2945を、酸化ストレス誘発時に細胞に添加した。
損傷の誘発後の時間経過とともにNRP2945の効果を評価するため、最も活性のある2つの濃度でのNRP2945とのインキュベーションを、損傷の誘発の直後、1時間後、3時間後、および6時間後に開始し、モデルの各々において24時間後まで維持し、上記のように、転帰を4時間後および24時間後に評価した。乳酸脱水素酵素活性(全細胞死のマーカー)およびTUNEL染色(アポトーシス死のマーカー)の測定は、キットの製造業者の使用説明書に従って実施した(ロシェ(Roche)、各々、1164479001および11684795910)。
実施例5:小脳微小外植片のための基材の調製
カバーガラスは、ニュージーランド・バイオラブ(New Zealand BioLabs)から入手した(サイズ18mm×18mm)。カバースリップは、150mmのペトリ皿内に1皿あたり8カバースリップで置いた。カバーガラスの両側は、無水エタノールに浸漬し、洗浄した。エタノールを廃棄し、オートクレーブしたミリQ(MilliQ)(登録商標)を添加し、カバーガラスの両側をリンスした。次いで、水を廃棄し、カバーガラスを層流下で風乾した。
ポリ−D−リジン(PDL)は、シグマ(Sigma)から入手した(P7280、凍結乾燥散剤、γ照射、平均モル重量30,000〜70,000、試験対象の細胞培養液)。これをオートクレーブしたPBSで希釈し、1mg/mlの保存液を作製した。保存液は、500μl/チューブのアリコートに分割し、−20℃で貯蔵した。
実験においては、PDLの保存液をPBSで1:10に希釈し、最終濃度が100μg/mlである希釈標準溶液を作製した。約100μlのPDL希釈標準溶液をカバーガラスに添加し、これを2時間(最低)から一晩、34℃でインキュベートした。
次いで、10mlより多いオートクレーブしたミリQ(MilliQ)(登録商標)を各ペトリ皿に添加し、PDLでコーティングしたカバーガラスをリンスした。次いで、カバーガラスを、6ウェルの培養プレートに移した。風乾後、プレートをホイルでラップし、使用するまで4℃で貯蔵した。貯蔵は、最大で2週間可能であった。
実施例6:培養するための小脳微小外植片の調製
子ラットとして、P3/4またはP7/8のいずれかをこの実験用に使用した(ウィスターラット)。
P3/4小脳皮質の抽出においては、0.5mlの氷冷PBS/0.65%D(+)−グルコース緩衝液をペトリ皿に入れ、組織をこの溶液に入れた。P7/8小脳皮質の抽出においては、1.0mlの氷冷PBS/0.65%D(+)−グルコース緩衝液をペトリ皿に入れ、組織をこの溶液に入れた。
積層小脳皮質を外科的に除去し、氷冷PBS/0.65%D(+)−グルコース緩衝液に上記の量を用いて直ちに貯蔵した。次いで、皮質をペトリ皿に移し、髄膜を小脳から除去した。組織をハサミによりスライスし、1ccのシリンジに取り付けた23ゲージサイズの針を1回(P3/P4子)または2回(P7/P8子)通し、均一なサイズの微小外植片を得た。これをペトリ皿内に蓄えた。
次いで、組織を15mlのファルコンチューブに移し、4℃、350rpmで2分間遠心分離した。PBS/Glu(+)緩衝液は、ピペットを使用して慎重に廃棄した。ペレットは、1ml/子で、低温のニューロベーサル(Neurobasal)(登録商標)培地(インビトロジェン(Invitrogen))に再懸濁した。これを、4℃、350rpm(60XG)で2分間遠心分離した。
培地は廃棄し、ペレットは、P3/4子につき0.5mlおよびP7/8子につき1.5mlの温かいニューロベーサル(Neurobasal)(登録商標)培地に再懸濁した。次いでこれを、6ウェルプレート内のPDLでコーティングしたカバースリップ上に1カバーガラスあたり40〜45μlの量で播種した。
カバーガラスは、100%の湿度下、5%CO中、34℃で、45分〜1.5時間インキュベートし、付着を可能にした。次いで、ニューロベーサル(Neurobasal)(登録商標)培地を1ウェルあたり1ml添加し、微小外植片を顕微鏡下で付着性について検査した。
実施例7:毒素、AMD3100、エオタキシン−3、およびNNZ−4921の投与
毒素の3−ニトロプロピオン酸およびグルタミン酸塩は、100倍の濃度で調製した。50mMの3−ニトロプロピオン酸(シグマ(Sigma))について、NaOHで7〜7.2のpH値に保存液を滴定した。50mMのL−グルタミン酸塩については、これを加熱(熱水)下で溶解した。
負の対照として、10μlの3−ニトロプロピオン酸および10μlのグルタミン酸塩を投与した(4ウェル)。正の対照として、20μlのPBSを、毒素を全く含まない正常酸素圧下の微小外植片に投与した(4ウェル)。
AMD3100(シグマ(Sigma)製の特異的なCXCR4拮抗剤)を、300nMの濃度で同時投与する一方、ヒト組換えエオタキシン−3(ファルマコ(Pharmaco))を、10および100nMの最終濃度で各々同時に適用した。1fMの最終濃度から始まり100nMの最終濃度までの希釈系列で、NNZ−4921(GRRAAPGRAGG;配列番号2)を投与した(各希釈につき4ウェル)。
実施例8:小脳微小外植片中の細胞の固定および計数
4%パラホルムアルデヒド(PFA:paraformaldehyde)溶液は、4gのPFA/100mlのPBSおよび100μlの1N NaOH(最終が1mM NaOH)を用いて調製した。
細胞培養の終了時、細胞培地をピペットにより除去し、1ウェルあたり1mlのPFA溶液を添加した。固定は、室温で10分間または4℃で一晩行った。固定後、PFA溶液を除去し、1ウェルあたり1mlのPBS溶液を添加した。
完全な成長領域(付着したニューロン)について、スクリーニングした。1ウェルあたり最も高密度に集合した領域のうちの最高の4つを、双眼顕微鏡を使用して、20倍の倍率下で観察した。各々の微小外植片の外側縁から移動した全細胞について計数した。
実施例9:ヒトDU−145前立腺がん細胞の運動性の分析
ヒト上皮DU−145細胞は、アメリカ培養細胞系統保存機関から得た(HTB−81)。DU−145細胞株は、脳内で形成された転移性の前立腺由来のがんから元は単離された。同細胞は、接着性があり、神経芽細胞およびニューロンに類似したCXCR4およびCCR3受容体を同時発現する。この実験においては、DU−145細胞を、5%CO
中で10%FBSを有するアメリカ培養細胞系統保存機関で調合されたイーグル最小必須培地中、37℃で培養した。次いで、同細胞を、次のように継代培養した。
培地を除去し、廃棄した。細胞層は、0.25%(w/v)トリプシンおよび0.5mM EDTAで短時間リンスし、すべての残存するトリプシンインヒビターを血清から除去した。各フラスコに、2〜3mlのトリプシン−EDTA溶液を添加した。これを、室温でインキュベートした。
細胞は、除去するまで倒立顕微鏡下で観察した(10〜15分間)。細胞の凝集を阻止するため、振盪は避けた。除去することが困難だった細胞については、フラスコを37℃に短時間置いた。フラスコに6〜8mlの完全成長培地を添加し、細胞をピペットにより緩やかに吸引した。1:4〜1:6の継代培養容量比が得られた。
実施例10:DU−145細胞アッセイ用のボイデンチャンバー(Boyden chamber)の調製
ボイデンチャンバーインサート(コーニング(Corning))は、100μg/mlのポリ−D−リジン(PDL;インビトロジェン(Invitrogen)製培養グレード)で、37℃で2時間コーティングした。インサートは、PBSで1回リンスした。底板は、0.001%BSA/PBS中、100pg/mlのNRP2945で一晩コーティングした。次いで、底板はPBSで1回リンスした。その後、コーティングしたボイデンチャンバーは、細胞播種のため、冷却し、貯蔵し、準備することができた。
実施例11:ボイデンチャンバーバイオアッセイにおけるDU−145細胞の播種、培養および分析
細胞は、上記のようにトリプシン処理した。トリプシン処理は、余分な完全成長培地の添加によって停止させた。その後、細胞を遠心分離(4℃、1500rpmで5分間)により採取し、約500万個の細胞/mlの目標濃度にて新しい培地中で再構成した。典型的な実験では、12ウェルプレートあたり約0.3mlの細胞懸濁液が必要であった。
細胞を計数し、50,000個の細胞を、12ウェルのボイデンチャンバーの1つのインサートに播種した。約50μ1の細胞懸濁液は、ピペット操作により各ウェルに播種した。細胞は、5%CO中、37℃でインキュベートした。24時間後、インサート(コーニング(Corning)製で8μmの孔径)を、4%パラホルムアルデヒド/PBS中に固定した。細胞の上層は、Qチップ(Q−tip)(登録商標)の使用により除去した。
インサート膜の下層に付着させたDU−145細胞は、ヘマトキシクリン(hematoxyclin)染色を使用する標準の細胞可視化法を用いて、可視化し、計数した。細胞数計測は、インサートの下層部分に移動している全細胞を計数することによって行った。
実施例12:作用試験の機構
NRP2945がCXCR4受容体の活性化を通じて作用するか否かを評価するため、2つの追加的な実験を実施した。
最初の実験では、ヒトニューロンを、上記のように酸素グルコース欠乏(OGD)損傷に暴露した。2つの濃度のNRP2945を、この実験用に、300nMのAMD3100(CXCR4受容体に対する既知の拮抗剤)の存在下または不在下いずれかにおいて使用した。AMD3100の濃度は、ラットの海馬および小脳細胞に対して実施した先行試験から選択した。細胞は上記実験と同じ方法で成長させ、分析はLDHアッセイを用いて
行った。
第2の実験は、NRP2945の、その標的受容体サブユニットCXCR4の遺伝子発現を調節する能力を評価するため、実施した。この目的のため、W9−hESCを、正常酸素圧条件下で、10分、30分または60分、10pMまたは100pMいずれかのNRP2945に暴露するか、あるいは、4時間のOGD損傷を組み合わせて、10pMまたは100pMいずれかの濃度のRP2945で暴露した。4時間の終了時、mRNAを全細胞試料から抽出し、cDNA合成は、スーパースクリプト(SuperSript)(登録商標)cDNAキット(インビトロジェン(Invitrogen))とそれに続くリアルタイムPCRを用いて実施した。リアルタイムPCRの有効性は、CXCR4産物増幅のために以下のプライマーを使用する場合で99%であった。
フォワード:AGCTGTTGGCTGAAAAGGTGGTCTATG(27−mer)(配列番号15)(刊行物:ナガセ(Nagase)、ミヤマス(Miyamasu)ら著(2000年)− ジャーナル・オブ・イムノロジー(J Immunol)、第164巻、p.5935−5943による)
リバース:GCGCTTCTGGTGGCCCTTGGAGTGTG(26−mer)(配列番号16)
実施例13:統計学的分析
マルチウェルプレート内の周辺ウェルからの示差的蒸発(differential evaporation)のため導入される系統的バイアスの潜在的な影響を最小にするため、これらのウェルは、培養には使用しないが内部試験用ウェルと同じ容量の培地で満たした。時間および資源の制約のため、インキュベーターの使用を各々の温度条件ごとに無作為化することはできなかった。トンネル(Tunnel)陽性細胞の計測前、ウェルは画像化し、画像は定量前に別々に再符号化した。機械で読み込むLDHアッセイプロセスにおいて、追加的な結合は全く行わなかった。
実験の中で、各比較は、少なくとも3通りに実施し、これらの値の平均値は、フォワードにとり、群比較を行った。二元配置ANOVAを実施し、次いでSPSS(スタティスティクス20(Statistics 20))を使用して、p<0.05での有意水準(significance set)で、ダネットの事後多重比較検定(post−hoc Dunnett’s multiple comparison test)を行った。この検定では、3つの群間変数;処理、プレート内の位置および実験番号と、1つの群内変数;評価時間とを用いた。すべての値は、平均値±SEMとして提示した。
実施例14:NKP13.ql3.2遺伝子配列
ヒト染色体13ql3.2は、大発作てんかん、双極性障害および自閉症の形態における既知の感受性遺伝子座である。NRP領域内の唯一知られたESTは、ヒト子宮EST(ジェンバンク(GenBank):DB276481;イントロンを含む)である。米国特許第7767786号明細書は、特定のNRP13ql3.2スプライスバリアントについて報じている。USB2における先に公表されたスプライスバリアントと比較すると、エクソン1は、異なる同一性を有する。全コーディング配列は、3つのエクソンに短縮される。完全コーディング配列は、115のアミノ酸長のタンパク質をコードする345の核酸長を有する。完全長NRP配列は、非古典的な分泌経路を介して分泌されると考えられる。
ヒト染色体13ql3.2NRP cds(3エクソン)を図10に示す。完全長ヌクレオチド配列は配列番号12に対応する一方、完全長アミノ酸配列は配列番号13に対応する。アミノ酸配列はまた、下記に示す。下記に示されるように、エクソン1は、太字/大文字で示す。エクソン2は、太字/イタリックで示す。エクソン3は、太字/小文字で示す。下線の配列(配列番号14)は、再生活性における最短の生理活性配列である。
実施例15:cDNA合成および半定量RT−PCR
mRNAを、標準的手順に従って抽出した(インビトロジェン(Invitrogen)製トリアゾール(TRIzole)(登録商標)またはキアゲン(Qiagen)製RNイージーミニ(RNeasy Mini))。DNアーゼI(DNAseI)インキュベーション混合物を用い、mRNA画分を、DNアーゼI(DNAseI)処理に供した。この処理においては、10μlのDNアーゼI(DNAseI)ストック+70μlの緩衝液をmRNA調製物に添加し、室温で5分間インキュベートした。次いで、cDNA合成を、標準的手順に従って行った(インビトロジェン(Invitrogen)製スーパースクリプト(SuperScript)(登録商標)III逆転写酵素(Reverse Transcriptase))。
最適化されたRT−PCR法では、高いGC含量およびTM(78℃)の場合でのイントロン介在性(intron−spanning)フォワードプライマーと、より低いTM(60℃)の場合でのリバースプライマーとを使用した。これらのプライマーは、図10に示すとともに、さらに以下に示す。mRNAは、cDNAの合成開始前にDNアーゼI(DNaseI)で処理したが、イントロン介在性プライマーが9つの核酸のイントロンのみに架橋した。これにより、事前のDNアーゼI(DNaseI)処理から、フォワードプライマーのヘアピン構造の形成がもたらされ、偽陽性のPCR産物のゲノム増殖が生じた可能性があることが仮定された。
予想されたRT−PCR産物は、221bp長であった。PCR条件は、58℃でのアニーリングおよび36の全サイクルを含んだ。ジーンアンプ(GeneAmp)(登録商標)サイクラーの操作開始時、試料は、94℃で5分間インキュベートした。36サイクルは、94℃で30秒間;58℃で30秒間;72℃で30秒間;続いてPCRの終了時に15℃に冷却、といったシークエンスを含んだ。
フォワードプライマー:humChrl3NRP−F2Aフォワード(25−mer)
5’−GCCTACATCCCTGTCTAGCAGCATC−3’(配列番号10)
リバースプライマー:humChrl3NRP−R2リバース(22−mer)
5’−CATTCTAAAACAAGGATCCAAG−3’(配列番号11)
PCR反応は、25.00μlの全容量を得るように、10倍緩衝液(2.50μl)、50mMのMgCl(0.75μl)、10mMのdNTPs(0.50μl)、プライマー1(0.50μl)、プライマー2(0.50μl)、タック・ポリメラーゼ(Taq Polymerase)(0.10μl)、cDNA(1.00μl)、HO(19.15μl)を含んだ。タックDNAポリメラーゼ(Taq DNA Polymerase)は、インビトロジェン(Invitrogen)から供給された(プラチナム(Platinum)(登録商標)タック・ポリメラーゼ(Taq Polymerase))。
実施例16:NTERA−2細胞株の培養、分化、および分析
NTERA−2(アメリカ培養細胞系統保存機関番号CRL−1973)は、染色体1、10、11および13の唯一のコピーを有するヒトがん由来の多能性細胞株である。これは、NRP発現の検出を意図して36サイクルのPCRを用いるための起動力であった
未分化のNTERA−2細胞を入手した。凍結ストックは、最大2継代数で調製した。NRP発現は、最大4〜5継代数を有する細胞内で評価することができた。細胞培地は、アメリカ培養細胞系統保存機関で調合されたDMEM+10%FCSを含んだ。培地は、2〜3日ごとに交換した。継代のため、細胞を擦過により除去し、次いで75cmのフラスコに移した。初期播種は、フラスコ1本あたり12〜15mlの細胞培地中に500万個の細胞を含んだ。
継代培養は、遺伝子発現試験のために実施した。継代培養のため、細胞は、擦過により除去し、次いで4℃、1500rpmで7分間の遠心分離により収集した。培地を廃棄し、細胞を、16mlの新しいDMEM/10%FBSに再懸濁した。予想される収量は、フラスコ内で1200万〜1500万個の細胞であった。したがって、再懸濁された細胞は、1mlあたり約100万個の細胞の濃度であった。1mlの細胞懸濁液を12ウェル組織培養プレートの各ウェルに添加したことにより、1ウェルあたり約100万個の細胞のプレーティング密度が得られた。
継代数3においては、残存する4mlの細胞懸濁液+8mlの培地を、新しいT75培養フラスコに移した。
実施例17:遺伝子発現アッセイにおけるmRNAの採取
処理条件は、以下のとおりであった。1)正常酸素圧条件下での未処理対照;2)酸化ストレス下の未処理対照(pH:6.8〜7.0に滴定された50mMのストック(シグマ(Sigma))から得た0.5mMの3−ニトロプロピオン酸(3−NP));3)正常酸素圧条件下での1pMのNRP2945;および4)酸化ストレス下での1pMのNRP2945(0.5mMの3−NP)。すべての条件は、15分間、30分間、および60分間適用した。
次いで、mRNAを採取した。細胞は、処理終了時に1回洗浄し、次いで細胞を擦過した。細胞は、25ゲージ針により15mlのファルコンチューブに通した。ファルコンチューブの細胞含有物を吸引し、DMEMで1回洗浄し、その後トリプシン処理した。これを、DMEM/10%FCSを添加することによって停止させた。遠心分離は、4℃、1500rpmで7分間行った。その後、ペレットは、RNA抽出まで、−80℃または液体窒素中のいずれかで貯蔵しておいた。
RNA抽出においては、解凍した細胞ペレットを、製造業者の使用説明書に従って調製した(キアゲン(Qiagen)製RNイージーミニ(RNeasy Mini))。RNA濃度は、ナノドロップ(NanoDrop)(商標)により測定した。これに続き、cDNA合成を行った。十分な量のcDNAを合成するため、細胞試料中のRNA濃度が10〜20ng/μlであることを確認した。これにより、全収量が1つの条件あたり数μgに近づいた。
実施例18:実験結果
ニューロンの損傷および死滅
酸素グルコース欠乏および酸化ストレスの双方により、4時間後、約37%の細胞死がもたらされた(図1参照)。50μΜのHにより、損傷の4時間後、3.7倍の酸化ストレスの増大が誘発された(図1A参照)。Hの除去により、最初の4時間以内の9%/時から、その後の20時間の約0.61%/時間に、細胞死の速度が低下した(図1参照)。
本発明者らのデータによると、両損傷モデルでのヒトW9−hESCにおいて、NRP
2945が、用量依存的な神経保護を提供することが示される。細胞死の有意な低下が1fMの濃度で見られ、そこでは細胞死は23.2%低下した(p≦0.037 95%CI 1.04〜45.3)(図1A)。10fMの濃度では、細胞死は40%低下した(p≦0.0001 95%CI 17.9−62.2)(図1A)。100fMでは、細胞死は44%低下した(p≦0.0001 95%CI 21.5〜65.8)(図1A)。1pMでは、細胞死は35%低下した(p≦0.0004 95%CI 13.50〜057.7)(図1A)。ここでは、対照における基本的損傷(basal injury)に対する補正が考慮される。
4時間後のHの除去および24時間後の実験終了後、NRP2945は、神経保護効果を示し続ける。10fMおよび100fMの濃度では、各々、LDHで検出された細胞死の70%(p≦0.01 95%CI 13.30〜0126.4)および57%(p≦0.048 95%CI 0.37〜113.4)の低下があった(図1B)。
24時間後の正味効果は、以下のとおりである。1fMではLDH放出が27%低下し(p≦0.05 95%CI 0.03〜53.7)、10fMではLDH放出が48%低下し(p≦0.0001 95%CI 20.8〜74.5)、100fMではLDH放出が47%低下し(p≦0.0001 95%CI 20.1〜74.0)、1pMではLDH放出が26%低下した(p≦0.001 95%CI 13.4〜67.1)(図1C)。
24時間後のアポトーシス細胞死に対するTUNEL染色によると、細胞死の19%が正常酸素圧条件下で発生し、かつH媒介性酸化ストレスが約35%のアポトーシス細胞を誘発することが示唆された。100fMのNRP2945の投与の場合、細胞の56.2%(p≦0.002 95%CI 17.7〜86.2)が、酸化ストレス条件下でアポトーシスを免れた(図1D)。
酸素欠乏単独では、LDHで検出された細胞死が、4時間後に約2.9倍増加した(図2参照)。培養液を通常の空気/5%COインキュベーターに戻し、4時間後に再び培地を交換することにより、酸素欠乏に誘発される細胞損傷は、緩徐化したが、完全には停止しなかった(各々、6%/時間と0.29%/時間;図2参照)。酸素およびグルコース欠乏の組み合わせにより、はるかにより有意な損傷が引き起こされ、LDHで検出された細胞死が4時間後に4.2倍増加した(図2参照)。この細胞死は、正常な培養条件に戻した際、より遅い速度で継続した(各々、9.8%/時間と0.65%/時間;図2参照)。
NRP2945は、OGD後、LDHで検出された細胞死の用量依存的低下を示したが、H媒介性損傷の間に必要な濃度よりはるかに高い濃度が必要とされた。LDHで検出された細胞死の有意な低下が、1pMの濃度で始まるように見られ、細胞死における23%の低下をもたらした(p≦0.005 95%CI 5.3〜40.7)(図2A)。10pMでは、細胞死は37%低下した(p≦0.0001 95%CI 19.4〜54.8)(図2A)。100pMでは、細胞死は43%低下した(p≦0.0001
95%CI 25.9〜61.3)(図2A)。
4時間後のOGDの除去と24時間後の実験終了との間に生じる損傷の緩徐化については、10pMおよび100pMで各々、67%(p≦0.001 95%CI 24.3〜110.0)および79%(p≦0.0001 95%CI 36.0〜121.8)の大幅な低下があった(図2B)。
24時間後の正味効果は、以下のようなLDH放出の有意な低下であった。100fM
では17%の低下がもたらされ(p≦0.032 95%CI 1.13〜34.7)、1pMでは28%の低下がもたらされ(p≦0.00001 95%CI 11.5〜45.1)、10pMでは44%の低下がもたらされ(p≦0.0001 95%CI 27.8〜61.4)、また100pMでは52%の低下がもたらされた(p≦0.0001 95%CI 35.6〜69.2)(図2C)。
24時間後のアポトーシス細胞死に対するTUNEL染色によると、細胞死の20%がこの機序によって生じることと、100pMではW9−hESCの23%(p≦0.036 95%CI 1.2〜45.0)がアポトーシス細胞死から保護されることが示唆された(図2D)。
これらの観察結果を確認するため、H媒介性の損傷およびOGD実験は、最高の神経保護効果を示すNRP2945の濃度(H損傷については10fMおよび100fM、OGDについては10pMおよび100pM)を用いて、以前と同様に繰り返した。損傷暴露の時間は4時間である一方、NRP2945の投与は、1時間、3時間、および6時間遅らせた(図3)。したがって、6時間経過時は、損傷時間の終了の2時間後であった。
以前と同様、H損傷の最初の4時間以内に、10fMおよび100fMの双方のNRP2945では、細胞死における40%(p≦0.0001 95%CI 16.2〜65.3)および37%(p≦0.001 95%CI 12.7〜61.8)の低下がもたらされた。10fMおよび100fMの双方のRP2945では、H損傷誘発の1時間後に投与した時(3時間暴露)、細胞死は各々、35%(p≦0.002 95%CI 10.8〜59.9)および33%(p≦0.003 95%CI 9.2〜58.3)、有意に低下した(図3A)。NRP2945をH損傷誘発の3時間後に添加した時(1時間暴露)、有益な効果は全く有意でなかった。
24時間後の正味効果は、10fMのNRP2945を投与した場合で、LDH放出の48%(p≦0.0001 95%CI 21.4〜74.9)、35%(p≦0.004 95%CI 8.6〜62.1)、および23%(p≦0.124 95%CI −
3.8〜49.6)の低下、また100fMのNRP2945を投与した場合で、41%(p≦0.0001 95%CI 15.1〜68.5)、39%(p≦0.001 95%CI 12.5〜66.0)および27%(p≦0.04 95%CI 0.82〜54.3)の低下であった(各々、H誘発の0時間後、1時間後、および3時間後に添加)(図3B)。3時間後の100fMのNRP2945添加によるLDH放出における正味の低下は、統計学的に有意である。
LDH誘発性の細胞死における同様の低下が、OGD損傷後に認められた。LDHで検出された細胞死における有意な低下が、10pMおよび100pMの濃度のNRP2945を損傷誘発期間に投与した時に認められ(10pMでは41%低下(p≦0.0001
95%CI 18.6〜63.6)および100pMでは47%低下(p≦0.0001 95%CI 25.2〜70.2))、また損傷誘発の1時間後に認められた(10pMでは31%低下(p≦0.003 95%CI 9.1〜54.1)および100pMでは34%低下(p≦0.001 95%CI 11.2〜56.2))(図4A)。
OGD損傷の24時間後の正味効果は、10pMのNRP2945を投与した場合で、LDH放出の48%(p≦0.0001 95%CI 21.2〜74.2)、36%(p≦0.004 95%CI 8.52〜61.5)、および22%(p≦0.045 95%CI 0.95〜53.5)の低下、また100pMのNRP2945を投与した場合で、LDH放出の54%(p≦0.0001 95%CI 14.9〜67.9)、
35%(p≦0.001 95%CI 12.4〜65.4)および22%(p≦0.04 95%CI 0.8〜53.7)の低下であった(各々、0時間後、1時間後、および3時間後の添加時)(図4B)。3時間後の10pMおよび100pMのNRP2945添加によるLDH放出における正味の低下は、統計学的に有意である。
CXCR4受容体
NRP2945がヒト神経細胞調製物中でCXCR4受容体を介してその細胞保護的効果を発揮するか否かを評価するため、本発明者らは、細胞を、CXCR4受容体の既知の合成拮抗剤である300nMのAMD3100に暴露した。本発明者らは、2つの異なる濃度のNRP2945を使用した。本発明者らは、a)OGDの間に神経保護効果を示さなかった100fM、およびb)OGD損傷の間に神経保護を確かに示した100pMといった濃度を選択した。
細胞は、先行実験と同じ方法でOGD損傷に暴露した。300nMのAMD3100がW9−hESCに対して全く毒性作用を有しないことを確認するため、AMD3100は、正常酸素圧およびOGD条件下で試験した。それは、これらの試験条件下で全く毒性を示さなかった(図5A)。
OGD損傷の4時間後、100pMのNRP2945の投与の場合に認められるLDHで検出された細胞死において有意な低下があった(44%の低下(p≦0.0001 95%CI 22.8〜65.6))が、この低下は、阻害剤の投与後に消失した(図5A)。
同様の結果が、OGD誘発の24時間後に認められた。24時間後の正味効果は、100pMのNRP2945を投与した場合でのLDH放出の有意な低下であったが(55%の低下(p≦0.0001 95%CI 26.1〜76.5))、この低下はAMD3100によって遮断された(図5B)。結果によると、NRP2945が、CXCR4受容体を介して原形質膜でその作用を確かに発揮していることが示される。
CXCR4およびCCR3受容体
次いで、小脳顆粒細胞の生存を、実施例7に記載のように評価した。小脳微小外植片の成分を表す小脳顆粒細胞を、グルタミン酸塩および3−NPの毒性によって同時負荷した一方、NNZ−4921、エオタキシン−3およびAMD3100を同時投与した。細胞生存分析は、48時間後に実施した。特に、エオタキシン−3は、単独では、正常酸素圧下の細胞または酸化/興奮毒性ストレス下で維持された細胞に対して全く毒性作用を有しなかった(図6)。
両濃度のエオタキシン−3により、NNZ−4921によって発揮される神経保護効果の抑止がもたらされた(図6)。さらに、同結果によると、エオタキシン−3およびAMD3100の同時投与が、NNZ−4921の神経保護活性の完全な阻害に対して相乗効果をもたらすことが示された。上記のように、エオタキシン−3をAMD3100と組み合わせることで、10fMまたは100fMのNNZ−4921の細胞死の低下における活性が完全に遮断された(図6)。これから、CXCR4が、NRPに促進されるニューロン生存にとって決定的なCCR3とのヘテロ二量体を形成すると解釈することができる。
特に、CXCR4およびCCR3受容体の各々の両拮抗剤(AMD3100およびエオタキシン−3)は、NNZ−4921のニューロン生存を促進する活性を完全に遮断する能力を有する。AMD3100およびエオタキシン−3の併用については相乗効果が全くなく、それから、NRP分子における結合ポケットが両受容体サブユニット(CXCR4
およびCCR3)によって構成されなければならず、それによりこのヘテロ二量体複合体のアゴニズムを促進するという結論が導かれる。
CXCR4およびNRPの発現
以下の実験セットは、NRP2945を使用することで、W9−hESCとの接触後、CXCR4遺伝子発現を調節可能か否かを評価するために実施した。成長因子がその各々の標的ケモカイン受容体の遺伝子発現状態を調節可能であることは既知である。SDF−1およびCXCR4の発現レベルを評価する、幹細胞および神経前駆体細胞に関するいくつかの試験が実施されている。さらに、G−CSFが、培養されたNPCsの細胞培地へ添加されると、インキュベーションの24時間以内にCXCR4の上方制御を誘発することが示されている(キム(Kim)ら、2006年)。にもかかわらず、短い時間枠、すなわち数分以内でのCXCR4遺伝子発現の調節を示すデータは存在しない。
本発明者らは、NRP2945が、暴露からわずか10分の時間枠内に、自己分泌の様式で、ヒトNTERA−2細胞内の内因性NRP遺伝子発現(13ql3.2上に位置づけられるNRP遺伝子)を上方制御可能であることを先行的に見出している(シエグ(Sieg)およびミヤスマス(Miyasmasu)、結果は未公表)。したがって、NRP2945がまた、CXCR4遺伝子発現に対して即時型効果を有しうることが仮定された。
データは、正常酸素圧条件についてはCXCR4遺伝子の任意の発現単位として示し、βアクチン発現(ハウスキーピング遺伝子)に正規化した(図7)。リアルタイムPCRによると、CXCR4遺伝子の発現が、正常酸素圧条件下でNRP2945の暴露量を増加させると、わずか10分後に有意に低下することが示された。OGDの存在下で、CXCR4遺伝子発現は、50%増加し、NRP2945の添加により変化しなかった(図7)。CXCR4遺伝子の下方制御は、30分後にピークに達し、それは少なくとも1時間維持された(図7参照)。したがって、30分以内に、NRP2945は、CXCR4発現を、ヒト組織cDNAライブラリー中に見られる構成的に発現されるレベルまで下方制御することができた。
この発現パターンを、ヒト染色体13上でのNRP発現と比較した。正常酸素圧条件下で各々のNRP遺伝子発現を示すように36のPCRサイクルを用いる必要があったため、酸素正常状態の間、NRPは、低い構成的レベルで発現された(図8)。酸化ストレスの開始後、NRP遺伝子発現は、完全に遮断されたが、30分後に回復した(図8)。遺伝子発現は、酸化ストレスの開始から60分後、さらに増加した。NRP2945を正常酸素圧下のNTERA−2細胞と接触させた時、NRP13ql3.2の遺伝子発現は、わずか15分後に非常に増加した。これは、ペプチドとの接触の30分後にピークに達した(図8)。酸化ストレスとNRP2945の同時投与の間、NRP13ql3.2遺伝子発現は、15分後に上方制御され、分析期間中、高値のままである(図8)。
がん細胞阻害
追加的な試験では、DU−145細胞(ヒト前立腺がん細胞)の運動性を、実施例9〜11に記載のように評価した。本発明者らは、NRP2945が、化学反発性に、ヒト前立腺がん由来のDU−145細胞の運動性/浸潤性を低下させる能力を有することを見出した。0.1ng/mlのRP2945のボイデンチャンバー底板への付着およびその後のDU−145細胞の播種は、インキュベーションの24時間後、移動細胞の36%の低下をまねいた(図9)。CXCR4のみを発現するがん細胞は、NRPとの接触後、運動性に関して全く効果を示さない。
したがって、0.1ng/mlのRP2945の投与は、ヒトDU−145細胞の運動
性における有意な低下をまねいた。これは、神経幹細胞または初代神経細胞を用いかつNRP2945と同じコーティング濃度を適用する、先行的な走触性移動アッセイと好対照をなす。これらの先行実験によると、ニューロン移動における有意な増加が示された。例えば、米国特許第7563862号明細書を参照。特に、神経細胞の化学誘引を誘発する同一濃度のNRP2945は、ヒトDU−145細胞において示されるように、CXCR4およびCCR3受容体を同時発現するがん細胞に対して抑制的な遊走活性をもたらす。
実施例19:結論
実験データから、本発明者らは、次のように結論づけた。NRP結合活性化(例えば、NRP2945またはNNZ−4921による)は、CXCR4/CCR3ヘテロ二量体の形成を誘発し、CXCR4遺伝子発現の即時型下方制御をもたらす。特に、最終の細胞分化が、NRPが分化前の(pre−differentiated)神経幹細胞と接触してから開始されることから、CXCR4下方制御は好ましい生物活性である。したがって、NRP2945およびNNZ−4921などのNRPは、ヘテロ二量体CXCR4/CCR3複合体を原形質膜に動員する能力があると考えられる受容体アゴニストとして作用している。それと同時に、NRP2945およびNNZ−4921を含むNRPは、CXCR4/CCR3を発現するがん細胞に対するそれらの抗浸潤および抗移動効果において有用である。
本発明は例として記載されているが、変形形態および修正形態が本発明の範囲から逸脱することなくなされる場合があることは理解されるべきである。さらに、既知の均等物が特定の特徴に対して存在する場合、かかる均等物は、あたかも本明細書中で特別に参照されるように援用される。
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本明細書中に記載されたすべての公表された書籍、論文、特許、および特許出願を含む各刊行物は、明確かつ完全に参照により本明細書中に援用される。

Claims (34)

  1. 細胞内でCXCR4発現を下方制御する方法であって、
    前記細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それによりCXCR4発現を下方制御するステップを含む、方法。
  2. 前記細胞が、がん細胞である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞が、腺がん型のがん細胞である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記細胞が、前立腺がん細胞である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記細胞が、神経細胞、神経幹細胞または神経前駆体細胞である、請求項1に記載の方法。
  6. がん細胞の移動を阻害する方法であって、
    前記がん細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それにより前記移動を阻害するステップを含む、方法。
  7. 前記がん細胞が、腺がん細胞である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記がん細胞が、前立腺がん細胞である、請求項6に記載の方法。
  9. がん細胞による組織の浸潤を阻害する方法であって、
    前記がん細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それにより前記浸潤を阻害するステップを含む、方法。
  10. 前記がん細胞が、腺がん細胞である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記がん細胞が、前立腺がん細胞である、請求項9に記載の方法。
  12. 腫瘍転移を阻害する方法であって、前記腫瘍を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それにより腫瘍転移を阻害するステップを含む、方法。
  13. 前記腫瘍が、腺がん型腫瘍である、請求項12に記載の方法。
  14. 前記腫瘍が、前立腺腫瘍である、請求項12に記載の方法。
  15. 患者におけるがんを治療するかまたは寛解させる方法であって、
    NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体を前記患者に投与し、それにより前記がんを治療するかまたは寛解させるステップを含む、方法。
  16. 前記がんが、腺がん型のがんである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記がんが、前立腺がんである、請求項15に記載の方法。
  18. 患者における腫瘍転移を予防または阻害する方法であって、
    NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体を前記患者に投与し、それにより腫瘍転移を予防または阻害するステップを含む、方法。
  19. 前記腫瘍が、腺がん型腫瘍である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記腫瘍が、前立腺腫瘍である、請求項18に記載の方法。
  21. 損傷によるニューロンにおけるアポトーシスを阻害する方法であって、
    前記ニューロンを、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それによりアポトーシスを阻害するステップを含む、方法。
  22. 前記損傷が、機械的損傷、酸化的損傷、酸素およびグルコース欠乏による損傷、または毒素による損傷である、請求項21に記載の方法。
  23. 患者におけるCNS損傷によるニューロンのアポトーシスを予防または阻害する方法であって、
    NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体を前記患者に投与し、それによりアポトーシスを阻害するステップを含む、方法。
  24. 前記CNS損傷が、虚血傷害、外傷による損傷、または神経性疾患による損傷である、請求項23に記載の方法。
  25. CXCR4/CCR3ヘテロ二量体形成を促進する方法であって、
    前記細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それによりCXCR4/CCR3ヘテロ二量体形成を促進するステップを含む、方法。
  26. 前記細胞が、がん細胞である、請求項25に記載の方法。
  27. 前記細胞が、腺がん型のがん細胞である、請求項25に記載の方法。
  28. 細胞内のCXCR4受容体を活性化させる方法であって、
    前記細胞を、外因性NRP2945(配列番号l)、NNZ−4921(配列番号2)、NRP2983(配列番号9)またはその機能的類似体と接触させ、それにより前記CXCR4受容体を活性化させるステップを含む、方法。
  29. 前記細胞が、CNS細胞である、請求項28に記載の方法。
  30. 前記細胞が、ニューロンである、請求項28に記載の方法。
  31. 配列番号9の神経再生ペプチド。
  32. 配列番号9の神経再生ペプチドを含む組成物。
  33. 動物における神経細胞の欠損によって特徴づけられる神経障害を治療する方法であって

    前記動物に、ある量の配列番号9または請求項32に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
  34. 前記神経障害が、筋萎縮性側索硬化症、神経毒性損傷、酸化的損傷、多発性硬化症、末梢神経障害、低酸素/虚血、外傷性脳損傷、視神経障害または糖尿病性末梢神経障害である、請求項33に記載の方法。
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