本発明は、一方の端部が第1のチューブプレートに結合されており、第1のチューブプレートとは反対側の端部が第2のチューブプレートに結合された複数のチューブを備えるチューブバンドルが内蔵されたケーシングを有するチューブバンドル装置から出発する。この場合、第1のチューブプレートと第2のチューブプレートとは、ケーシング内に取外し可能に取り付けられている。
本発明は更に、チューブバンドル装置の使用から出発する。
チューブバンドル装置は一般に、第1の媒体から第2の媒体へ熱伝達を行う必要のあるところに使用される。相応する装置は、例えば熱交換器又は反応器である。チューブバンドル装置内では、第1の媒体がチューブを通流し、第2の媒体が、チューブを取り囲んでいる空間を通流する。この場合、流体案内は、並流、向流、直交並流又は直交向流式に行われてよい。直交並流又は直交向流式に流れを案内するためには、チューブバンドル装置の個々のチューブが、チューブの周りを流れる第2の媒体を変向させる変向板を貫通してガイドされる。変向板に沿って変向することにより、チューブの周りを流れる媒体の、蛇行する流れが生ぜしめられる。
第1の媒体と第2の媒体との混合を避けるために、チューブは通常その端部で以て、一方のチューブプレートに流体密に取り付けられている。各チューブプレート自体もやはり流体密に、チューブバンドル装置のシェルに結合されている。
目下使用されているチューブバンドル装置では、第1のチューブプレートと第2のチューブプレートとが、それぞれチューブバンドル装置のケーシング内に固定されて取り付けられており、このためには一般に、フランジ継手が用いられる。チューブプレートの慣用の構成及び取付けは、例えばPerry's Chemical Engineer's Handbook Eighth Edition、第11〜34頁に記載されている。
公知のチューブバンドル装置の欠点は、特にチューブを通流する媒体と、チューブの周りを流れる媒体との間の温度差が大きい場合に、チューブの線膨張と、シェルの線膨張とが異なっており、その結果、チューブバンドル装置内のチューブが変形することがある、という点である。更に、必要であろう場合にチューブバンドルのチューブを簡単に交換すること、或いはチューブバンドル又はシェルにおけるクリーニング作業を簡単に実施することは、一般に不可能である。
前記変形を回避するためには通常、装置のシェル側において補償装置が使用されるが、これらの補償装置は、低圧領域において、制限された壁厚さを有する装置にしか使用することができない。前記補償装置は、このような構造の1つの公知の弱点であり、1つの故障がシェル空間内の媒体の、環境への流出を招くことになる。このことは、シェル側がプロセスケミカル処理されるケースでは、許容不能な流出となる。
よって本発明の課題は、従来技術から公知の欠点を有さないチューブバンドル装置を提供することにある。
この課題は、一方の端部が第1のチューブプレートに結合されており、第1のチューブプレートとは反対の側の端部が第2のチューブプレートに結合された複数のチューブを備えるチューブバンドルが内蔵されたケーシングを有するチューブバンドル装置であって、第1のチューブプレートと第2のチューブプレートとは、ケーシング内に取外し可能に取り付けられており、第1のチューブプレートは、チューブとは反対の側で以て、ケーシングに設けられたストッパに支持され且つ該ストッパにおいて固定されており、第2のチューブプレートは、シール部材によりケーシング内でガイドされているチューブバンドル装置により解決される。
第1のチューブプレートをストッパにおいて固定することにより、チューブバンドル反応器の運転時に、チューブバンドルがケーシング内でずれて移動する可能性が回避される。第2のチューブプレートをシール部材によりケーシング内でガイドすることにより、例えばチューブとケーシングの伸長する長さが異なる場合、特にチューブ内を案内される媒体の温度と、チューブの周りを流れる媒体の温度とが大きく異なる場合には、第2のチューブプレートはケーシング内で移動することができ、このようにして、温度差に基づいて異なる伸長長さを相殺することが可能になる。第2のチューブプレートをパッキンによりシールすることによって、一方ではケーシング内で第2のチューブプレートが移動可能になり、且つ他方では第2のチューブプレートによって分離されたケーシング内の複数の空間を互いにシールすることが可能になる。これにより、第2のチューブプレートとケーシングカバーとによって仕切られる空間から流体がチューブに流入すること、更に、ケーシング内に供給されチューブの周りを流れる媒体が、チューブに通じる流入部に流入することはない、ということが保証される。
チューブプレートがストッパにおいて固定されている側でも、チューブプレートとケーシングカバーとの間の空間から、流体が、ケーシングシェルと両チューブプレートとによって画定されたチューブ包囲空間内に流入し、且つ他方では、流体がチューブ包囲空間から、チューブプレートとケーシングカバーとの間の空間に流入する可能性を回避するために、第1のチューブプレートも、好適にはケーシングに対してシールされており、この場合もやはり、パッキンが使用されてよい。
パッキンとして形成されたシール部材の使用は、高圧下、例えば100barを上回る圧力下で媒体を使用する場合や、特にチューブを通流する媒体と、チューブの周りを流れる媒体との間の圧力差が大きい場合でも、各チューブプレートによって分離された空間の間では十分なシールが保証され得る、という利点を有している。
パッキンとして形成されたシール部材の使用は特に、シェルとチューブ側との間で圧力差が比較的大きな各媒体を、流れの混合を生じることなく分離することができる、という利点を有している。同時に、パッキンは寸法設定を十分にしてあると、熱負荷が加えられたときにシェルに対して生じるチューブバンドルの長さ伸長を、圧縮により吸収することができる。このことはとりわけ、主に中・高圧領域で使用されるような、大きな壁厚さを有する装置の場合には、シェル側において必要とされる。それというのも、この場合は非定常加熱過程又は冷却過程において、チューブ側をシェルよりも大幅に急速に加熱するからである。
1つの好適な構成では、第1のチューブプレートを支持するストッパには、ケーシングの溝に収容された、分割されたリングが含まれる。この場合、リングは2つ以上のセグメントに分割されていてよい。リングを2つ以上のセグメントに分割することにより、個々のセグメントをケーシングから取り出すことが可能になり、これにより、ストッパの取出し後にはチューブプレート延いてはチューブバンドルが、ケーシング内で自由に移動可能である。このことは、チューブバンドルをケーシングの両側から取り出すことができる、という利点を有している。これにより一方では、チューブバンドルをケーシングから引き出すことが可能であり、且つ他方では、チューブバンドルをケーシングから押し出すことも可能である。
第1のチューブプレートをストッパに対して取外し可能に固定するために、第1のチューブプレートが固定部材によりストッパに対して固定されていると、好適である。固定部材は、例えば外径がシェルの内径に等しい別のリングであり、このリングは、第1のチューブプレートに対向する側で、ストッパに当接する。固定部材の、第1のチューブプレートとの結合は、例えば複数の緊締ねじを用いて行われる。このためには例えば、第1のチューブプレートに複数のねじ山付き開口が形成されていることが可能であり、これらのねじ山付き開口に緊締ねじが締め込まれる。択一的に、例えば第1のチューブプレートに複数のねじ山付きロッドを形成することも可能であり、これらのねじ山付きロッドは、固定部材に設けられた対応する開口を貫通してガイドされ、適当なナットにより固定される。1つのリングの形で形成された固定部材に対して択一的に、複数の固定部材を設けることも可能である。つまり例えば、1つの固定手段、例えば1つの緊締ねじ又は1つのねじ山付きロッドの領域毎に、各1つの固定部材を、例えば緊締フックの形で設けることも可能である。択一的に、例えば第1のチューブプレートに対向する側でストッパに当接する相応のワッシャを使用することも可能である。この場合は例えば、各緊締ねじ若しくは各ねじ山付きロッド毎に1つのワッシャを設けることが可能である。複数の緊締ねじ又はねじ山付きロッドが1つのワッシャを貫通してガイドされるように、ワッシャを形成することも可能である。この場合には、チューブバンドルの個々のチューブに通じる流入部が開いたままになるようにワッシャが形成されていることが、その都度必要になる。
チューブを通って案内されるべき媒体が、チューブの周りを流れる領域に流入すること、若しくは媒体が逆の方向で、チューブ包囲空間からチューブ開口領域に流入することを回避するためには、第1のチューブプレートを流体密にケーシング内に取り付けることが必要である。本発明の1つの構成では、例えば第1のチューブプレートを第2のシール部材により、ストッパに対して押圧することが可能である。この場合、シール部材としては、例えば平型シール又は相応に寸法決めされたOリングが適している。択一的に、第1のチューブプレートをケーシングに対してシールする第2のシール部材を、パッキンとして形成することも可能である。この場合、パッキンを固定するためには、例えばストッパ若しくは固定部材を利用してもよい。
ケーシングの向かい合う側にそれぞれ取り付けられる2つのチューブプレートを用いることにより、直線的な、即ち曲がっていないチューブを使用することが可能である。このことは、チューブをチューブバンドル装置から取り外さずに検査、試験及びクリーニングすることができる、という利点を有している。直線的なチューブを、チューブの各端部が取り付けられた、対向して位置するチューブプレートと共に使用することの別の利点は、各チューブプレートが一様な温度分布を有しているので、漏れにつながる歪みが発生する恐れは一切ない、という点にある。これとは異なり、U字形のチューブの場合は、チューブの流入部と流出部との間の温度差と、同じチューブプレートに流入部と流出部とが取り付けられていることに基づき、チューブプレートに温度勾配が生じ、この温度勾配が歪みにつながる恐れがある。
直線的なチューブを使用することにより、例えば試験又はクリーニングのために、直線的なクリーニングランスを、チューブを通して摺動させることが可能である。更に、直線的なチューブを備えたチューブバンドルは、曲がったチューブを備えたチューブバンドルよりも容易に製造可能である。それというのも、チューブを曲げることが不要であると共に、チューブをチューブプレートに、より簡単に通すことができるからである。
本発明によるチューブバンドル装置の別の利点は、2つのチューブプレートと複数の直線的なチューブとを使用することにより、円筒形のケーシングを使用することができ、これにより、チューブバンドルはケーシングの両側から引き出すことができるか、又は択一的に押し出すことができる、という点にある。
2つのチューブプレートの使用により、チューブバンドル装置は互いに分離された3つの領域に分けられる。端面側にはそれぞれ、チューブの開口している空間が生じ、この場合、一方の空間はチューブに通じる流入部を形成しており、他方の空間は、チューブからの流出部を形成している。中央に生じる別の領域はチューブを包囲しており、この別の領域内には第2の媒体が流入可能である。
第2のチューブプレートがシール部材によってケーシング内でガイドされているようにチューブバンドル装置を形成することは、例えばケーシング用とチューブ用とに、それぞれ熱膨張も異なる別の材料を使用することができ、且つ第2のチューブプレートは適当なシール部材と共に移動可能であることから、チューブバンドル装置を分ける個々の前記領域間は常にシールされていることが保証される、という利点を有している。例えば高温での線膨張が異なる場合には、第2のチューブプレートがケーシング内で移動するので、チューブ又はケーシングに引張荷重若しくは圧縮荷重が加わったり、これにより場合によっては変形が生じることもない。別の利点は、移動可能な第2のチューブプレートに基づき、チューブの大きな長さも可能である点にあり、例えば高圧下又は高温でのチューブバンドル装置の運転時に、チューブ又はケーシングの変形が生じることはない。
本発明によるチューブバンドル装置は一般に、ガス状又は液状の材料流が比較的高い運転圧で加熱又は冷却される必要のある設備で使用される。この場合、チューブバンドル装置は、チューブバンドル反応器として使用されるか、或いは好適には熱交換器又は熱統合におけるレキュペレータとして使用され得る。本発明によるチューブバンドル装置は特に、大きな寸法、例えば長いチューブが要求されている場合に適している。また、本発明によるチューブバンドル装置は、チューブバンドル装置内を案内される媒体間に大きな温度差が生じるか、又は前記媒体が高温で、チューブバンドル装置を通って案内される場合に使用されると、特に有利である。この場合、装置にわたる大きな温度差とは、50〜350℃の範囲、好適には50〜200℃の範囲の温度差を意味する。本発明の意味での高温とは、100〜500℃の範囲、好適には100〜350℃の範囲の温度である。
「比較的高い運転圧」とは、本発明の枠内で、チューブバンドル装置を構造的に有利に運転可能な圧力を意味する。この圧力は、例えば60〜500barの範囲、好適には100〜350barの範囲である。シェルとチューブ側との間の圧力差は、最大100barであってよい。
もちろん、本発明によるチューブバンドル装置は、小さな温度差又は低い温度、若しくは小さな圧力差又は低い圧力でも運転され得る。本発明による反応器の運転は、大きな圧力差又は温度差、若しくは高い圧力又は温度が発生する方法に限定されるものではないが、その構成に基づき、高い圧力及び/又は温度での運転に、特に適している。
本発明によるチューブバンドル装置は、断熱式に運転される反応器系の発熱反応の反応熱が、反応器流入部を反応温度に加熱すべき方法において、特に適している。この装置では、反応エンタルピを有する反応器流出物が、チューブバンドル装置の両方の側の内の一方で案内されるのに対し、他方の側では反応器流入物が加熱されながら系に供給される。
本発明による装置は、例えばtert−ブチルアミン製造法において、熱交換器として使用するために、特に適している。この場合、チューブバンドル装置は、抽出物流を230〜320℃の範囲の、例えば300℃の、所定の反応器入口温度に加熱するための熱交換器として使用される。これらの抽出物流は、それぞれ熱交換器内で反応器入口温度に加熱されて、反応器に供給される。次いで反応器内で反応が行われて、tert−ブチルアミンが生成される。
チューブバンドル装置の断面図である。
ストッパにおいて固定されたチューブプレートの一部を示した図である。
ケーシング内でガイドされたチューブプレートの一部を示した図である。
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
図1には、チューブバンドル装置の断面図が示されている。
チューブバンドル装置1は、シェル5を備えたケーシング3を有しており、シェル5は両側を、それぞれカバー7によって閉鎖されている。この場合、シェル5は一般に円筒形に形成されているが、円形横断面の他に、あらゆる任意の別の横断面を有していてもよい。
カバー7は一般に、それぞれフランジ継手によってシェル5に取り付けられている。
ケーシング3内にはチューブバンドル9が収容されている。チューブバンドル9は、第1のチューブプレート11と、第2のチューブプレート13と、複数のチューブ15とを有している。この場合、これらのチューブ15の各端部が、両チューブプレート11,13の内の一方に取り付けられている。この場合、チューブ15は、好適にはそれぞれチューブプレート11,13と整合して終わるように、チューブプレート11,13に取り付けられている。これにより、チューブバンドル装置1を直立した状態で運転する場合に、液体がチューブプレート上に残留してチューブ15内に流入不可能になることが回避される。
チューブプレート11,13は、ケーシング3と流体密に結合されている。この場合、本発明では、第1のチューブプレート11は、ケーシング3に取外し可能に固定されており、第2のチューブプレート13は、ケーシング3のシェル5内で移動可能に位置決めされている。チューブプレート11,13により、ケーシング3は3つの領域に分けられる。第1の領域17と第2の領域19とは、それぞれ装置の外側に位置しており、チューブ15はそれぞれ双方の領域17,19の内の一方に開口している。中央の領域21は、両側をそれぞれ第1のチューブプレート11と第2のチューブプレート13とによって仕切られている。
チューブバンドル装置1の運転用に、各カバー7には接続部23が設けられている。この場合、液状又はガス状であってよい第1の流体が、両接続部23の内の一方を通じて供給され、第1の領域17若しくは第2の領域19に流入し、そこからチューブ15内に流入する。媒体は、チューブを通流してその時々の他方の領域19,17に流入し、第2の接続部23を通ってチューブバンドル装置1から流出する。チューブ15の周りを流れる第2の媒体は、チューブ15を包囲する中央の領域21に開口している流入部25を介して供給され、流出部27を介して中央の領域21から取り出される。
チューブバンドル装置1が熱交換器として使用される場合には、例えば、チューブ15を通流する第1の媒体を加熱又は冷却することが可能である。このためには、温度調整媒体が中央の領域21を通って案内される。チューブ15内を案内される媒体が加熱されるべき場合には、中央の領域を通って案内される媒体は、加熱されるべき媒体よりも高い温度を有しており、チューブ15を通って案内される媒体が冷却されるべき場合には、中央の領域21を通って案内される媒体の温度の方が低くなっている。チューブバンドル装置1を通って案内される媒体は、並流、向流、又は直交並流、又は直交向流式で案内されてよい。直交並流又は直交向流内での流れ案内が想定されている場合は一般に、中央の領域21に複数の変向板29が設けられており、これにより流体が変向されるようになっている。
チューブバンドルが運転中にケーシング3内でずらされないようにするためには、両チューブプレート11,13の内の一方がケーシング3に固定されていることが必要である。ケーシング内でストッパにより固定されたチューブプレートの一部が図2に例示されている。第1のチューブプレート11をケーシング3に、好適にはシェル5に固定するために、第1のチューブプレート11はストッパ31に対して固定されている。ストッパ31は、例えば図2に示すように、溝33内でガイドされているリングとして形成されていてよい。ストッパ31及び第1のチューブプレート11の簡単な取付けを可能にするために好適なのは、ストッパ31が分割されたリングとして形成されている場合である。この場合、ストッパ31は2つ以上のセグメントを有していてよい。ストッパ31が3つ以上のセグメントを有していると好適である。それというのも、この場合にはより簡単な取付けが可能だからである。
第1のチューブプレート11をストッパ31において固定するためには、ストッパ31の、第1のチューブプレート11とは反対の側に、固定部材35が位置決めされる。固定部材35を貫通して、例えば緊締ねじ37が案内され、緊締ねじ37は、第1のチューブプレート11内のねじ山に螺合する。択一的に、第1のチューブプレート11に、固定部材35に設けられた穴を貫通案内されてナットにより固定される、ねじ山付きロッドを形成することも可能である。緊締ねじ37による固定、若しくはねじ山付きロッドを介した固定は、例えばケーシング3からチューブバンドル9を取り出すために、チューブプレート11の簡単な取外しを可能にする。
チューブプレート11とケーシング3若しくはシェル5との間の流体密な結合を保持するためには、第1のチューブプレート11にシール部材39が設けられる。シール部材39は、例えば平型シール又はOリング、又は図2に示したようにパッキンであってよい。この場合、パッキンとして形成されたシール部材39は、チューブプレートの溝内でガイドされ且つストッパ31に対して押圧されるので、チューブプレート11とシェル5との間に流体密な結合が形成される。これにより一方では、チューブプレート11を貫通してガイドされているチューブ15が開口している第1又は第2の領域から中央の領域21に流体が流入する可能性、若しくは中央の領域21から、チューブが開口している第1若しくは第2の領域に液体が流入する可能性が回避される。
本発明に基づき、第2のチューブプレート13は、ケーシング3内で移動可能に支持されている。このことは図3に例示されている。
ケーシング3に固定されている第1のチューブプレート11とは異なり、第2のチューブプレート13は、ケーシング3内で移動可能に支持されている。
流体が中央の領域21から、チューブ15が開口している外側の領域17,19に流入する可能性、又は外側の領域17,19から中央の領域21に流入する可能性を回避するために、第2のチューブプレート13はシール部材41により、シェル5内でガイドされている。この場合、シール部材41は片側でシェル5に当接している。シール部材41としては例えば、パッキン押さえ43によって加圧されるパッキンが適している。これにより、シール部材41のパッキンがケーシングシェル5に押し付けられるので、流体密な結合が得られる。それにもかかわらず、チューブプレート13はシェル内で尚、移動可能であり、これにより、例えば圧力差又は温度差に基づいて生じるチューブ15の長さ変化を、第2のチューブプレート13の移動により相殺することができる。これにより特に、極めて長いチューブを備えたチューブバンドル装置の構造、又は温度により伸長する長さの違う、それぞれ異なる材料から成るチューブとケーシングとを備えたチューブバンドル装置の構造が可能になる。
チューブバンドル装置1からチューブバンドル9を取り出すためには、緊締ねじ37若しくはねじ山付きロッドにより生ぜしめられた結合が解除され、固定部材35が取り外されて、ストッパ31が溝から取り出される。今や第1のチューブプレート11はケーシング3内で移動可能なので、チューブバンドル9を引き出すか、又はシェル5から押し出すことができる。
この場合、チューブ用の材料としては、チューブを製造可能なあらゆる材料が適している。チューブバンドル装置1を熱交換器として使用しようとする場合には、良好に熱伝導するチューブ用材料を使用することが好適である。金属を使用することが好適である。チューブバンドル9のチューブ15に適した金属は、例えば鋼等の鉄金属、或いは銅又はアルミニウムである。ケーシング3もやはり、相応する金属から製造されていてよい。金属の他に、チューブ及びケーシングは、プラスチック、ガラス又はセラミックから製造されていてもよい。この場合、チューブ及びケーシング用に適した材料は、チューブを通って、若しくはケーシング内の中央の領域21を通って案内されるべき媒体にも左右される。