JP2016512094A - 逆螺旋状の切り込みを有する椎弓根スクリュー及びその方法 - Google Patents
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Abstract
逆螺旋状の切り込みを有する骨スクリューであって、骨にかかる負荷を大きくでき、骨スクリューが骨の中に挿入された後に自動的且つ自己調整的に広がることで骨結合性を高めることができる。当該骨スクリューは、近位端及び遠位端を有する長尺体であって、該長尺体は、骨を貫通し且つ骨内で固定されるように適合された外面を含む、長尺体と、該長尺体の遠位端に取り付けられ、駆動部品を受容するように適合された頭部とを含む固定装置であり得る。前記長尺体の外面は、前記外面から第1の方向に延びたネジ山を含み、前記長尺体の外面の少なくとも一部は、前記外面において第2の方向に入れられた逆螺旋状の切り込みを含む。
Description
本願は、2013年3月13日に出願された米国出願第13/802115号の優先権を主張する。係る出願は参照により本願に組み込まれる。
本願開示の実施形態は、一般に整形外科用の埋め込み型装置の技術に関し、より具体的には、椎弓根、外側塊又は横突起を貫通する装置を含む、脊椎を安定化させるのに用いられる埋め込み型装置と、当該装置を挿入するための方法とに関する。
成人の脊柱の骨及び結合組織は、三関節複合体によって互いに連続的に連結された20を超す椎骨を含む。三関節複合体は1つの前方円板と2つの後方面関節とを含む。隣接する骨の前方円板は、椎間板と呼ばれる軟骨のスペーサーによってその衝撃が和らげられる。各椎骨は、頚椎、胸椎、腰椎及び仙椎という4つの分類のうちの1つに解剖学的に類別される。脊椎の上部から頭蓋骨の基部までを含む脊椎の頚椎部は、最初の7つの椎骨を含む。中間の12の椎骨は胸椎であり、5つの腰椎を含む下側脊椎につながっている。脊椎の基部は仙骨(尾骨を含む)を含む。
脊柱は、神経系の重要な要素を収容し且つ保護するために互いに連結された20を超す椎骨を含んでいるという点で非常に複雑である。神経系のこれらの要素は、互いに近接した数多くの末梢神経及び循環体を含んでいる。脊椎はその複雑さにもかかわらず、非常に柔軟な構造体であり、高度に屈曲することや様々な方向にねじることができる。
動作の範囲を制限するか又は脊柱により保護されている神経系の重要な要素の脅威になる脊椎の病変が起こり得る。これらの病変は遺伝的又は発育的異常、外傷、慢性的ストレス、腫瘍及び/又は疾病に起因して起こり得る。人工の組立体(assemblies)を脊柱内に又は脊柱上に植え込むことで脊椎をある程度固定する様々なシステムが当該技術分野で知られている。これらの組立体は、前方組立体、後方組立体及び側方組立体を含む。側方組立体及び前方組立体は、通常椎体の間で脊椎の前方部分に連結できる。後方脊椎固定システムは一般に一対のロッドを含む。一対のロッドは骨が配置されるべき軸に沿って揃えることができ、そして椎弓根フック及び/又は椎弓根スクリュー等の脊椎固定用の骨アンカーにより脊柱に取り付けられる。フックはラミナに連結するか又は横突起に取り付けることができるのに対して、スクリューは椎弓根に挿入することができる。高いねじれ剛性を提供するために、これらの構造体は、ロッドの軸に対して概して直角な方向でロッド同士を連結させるための交差連結装置を含み得る。これらの交差連結装置はロッド自体に直接連結するか又は骨アンカーに取り付けることができる。脊椎固定装置は、外科的に体内に埋め込まれて、隣接する椎体との間で所望の関係をもたらす。通常、そのような装置は剛性の安定化ロッドを含み、該ロッドは、ロッドを椎体に固定するための1つ以上の装置に連結されている。安定化ロッドは患者の生体構造の差異に適応でき及び/又は所望の治療上の利点を実現できるように成形されていなければならない。各椎体はサイズ及び形状が異なるため、椎弓根スクリューを含む様々な固定装置がこれまでに開発されてきた。椎弓根スクリューは椎弓根骨と係合するのに適した形状及びサイズを有し、ロッドやプレート等の外部金物(external hardware)を椎骨に取り付けるのに使用され得る。
従来の椎弓根スクリューは剛性の骨スクリューで、設置の後、椎体内で大きな負荷を吸収する。骨自体の負荷と比較して、スクリューの負荷は、応力遮蔽により椎体内の椎骨構造を弱め、経時的な負荷の適切な伝達を妨げる。一部の極端な場合では、骨スクリューが骨の中で砕けて患者に痛みや不快感をもたらす一方で、脊椎固定装置の全体的な強度も低下させる。
望ましいしいことではないが、椎弓根スクリューに不具合が生じることがあり、その場合は脊椎の整合や固定安定性の脅威になり、重度の合併症の原因になり得る。ごく一部の患者、特に骨粗鬆症脊柱の患者において椎弓根スクリューの緩みが起こり得る。スクリューの緩みは、骨内でのスクリューの固定力(purchase power)を評価する引き抜き強度が低いことに関係していると考えられる。引き抜き強度の高いスクリューでは緩みが生じる可能性は概して低いため、手術の成功率が高くなる。それに加えて、ほとんどの椎弓根スクリューは剛性で、周囲の骨に比べて構造的剛性又は曲げ剛性が非常に高い。その高い構造的剛性により、剛性金属の椎弓根スクリューは外部負荷の大半を吸収し、椎弓根骨の負荷を奪う(unload)。これは「応力遮蔽」と呼ばれる現象である。ウルフの法則によれば、負荷が少ない骨は最終的に弱くなる。この不自然な負荷のパターンは脊柱のさらなる劣化をもたらし得る。
従って、骨の癒着を促し、隣接レベルでの劣化(adjacent level deterioration)を防止するために骨にかかる負荷を大きくできる(increased loading)骨スクリューが望ましい。それに加えて、骨内に挿入された後に自動的且つ自己調整的に広がることにで骨結合性を高めることができる骨スクリューが望ましい。
逆螺旋状の切り込み(reverse spiral cut)を含む骨スクリューを開示する。当該骨スクリューは、骨にかかる負荷を大きくでき、骨スクリューが骨内に挿入された後に自動的且つ自己調整的に広がることで骨結合性を高めることができる。当該骨スクリューは、近位端及び遠位端を有する長尺体(elongated body)であって、該長尺体は、骨を貫通し且つ骨内で固定される(anchor)ように適合された外面を含む、長尺体と、該長尺体の遠位端に取り付けられ、駆動部品を受容するように適合された頭部とを含む固定装置であり得る。前記長尺体の外面は、前記外面から第1の方向に延びたネジ山を含み、前記長尺体の外面の少なくとも一部は、前記外面において第2の方向に入った逆螺旋状の切り込みを含む。
添付の図面に実施形態を一例として図示する。添付の図面では、同様の参照符号は同様の部分を示す。
図1は、本開示の一実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含む骨スクリューを示す。
図2は、本開示の一実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含む骨スクリューを示す。
図3は、本開示の一実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含み、内部で貫通孔が延びた管状骨スクリューを示す。
図4は、本開示の一実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含み、ガイドワイヤ保持機能を有する管状骨スクリューを示す。
図5は、本開示の一実施形態に係る、図4の管状骨スクリューの断面図を示す。
図6は、本開示の一実施形態に係る、ガイドワイヤを受容した図4及び図5の管状骨スクリューの断面図を示す。
図7は、本開示の一実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含み、湾曲したガイドワイヤを受容した管状骨スクリューを示す。
図1は、本開示の一実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含む骨スクリュー100を示す。骨スクリュー100は遠位端にある頭部102と、頭部102に近接した長尺のネジ体部(elongated threaded body portion)104とを含む。頭部102は、骨スクリュー100を骨の中にねじ込む(driven into)ために駆動装置(driving instrument)を受容できる凹部(図示せず)を含み得る。例えば、凹部は、平頭ドライバー、プラスドライバー、六角レンチを受容するような形状に構成されるか又は整形外科用の駆動装置を受容するように構成された任意の他の形状であり得る。頭部は、対応する駆動装置と嵌合するように加工された外面を用いてもよい。
骨スクリュー100のネジ体部104は、骨スクリューの胴部と呼ばれることもあり、ネジ山112を含む。ネジ山112は左巻きのネジ山でも右巻きのネジ山でもよい。右巻きのネジ山を用いた場合、骨スクリュー100を時計回りの方向に回転させると、骨スクリュー100はネジ体部104の中心を通る軸上の視点から見た場合に読者から遠ざかる方に移動し、反時計回りの方向に回転させると骨スクリュー100は読者の方に移動する。左巻きのネジ山を用いた場合、骨スクリュー100を反時計回りの方向に回転させると、骨スクリュー100はネジ体部104の中心を通る軸上の視点から見た場合に読者から遠ざかる方に移動し、時計回りの方向に回転させると骨スクリュー100は読者の方に移動する。図1に示すように、骨スクリュー100は右巻きのネジ山112を含む。
骨スクリュー100のネジ体部104は逆螺旋状の切り込み106をさらに含む。逆螺旋状の切り込み106の切り込み方向はネジ山の方向とは逆である。図1に示すように、逆螺旋状の切り込み106は左巻き方向を含む。逆螺旋状の切り込み106は、ネジ体部104が連続し途切れることがないようにネジ体部104の全直径を貫通していない。患者の特定の解剖学的ニーズに合うようにネジ体部104内での逆螺旋状の切り込み106の位置及び長さを調整できる。例えば、図1に示すように、頭部102に近接した、椎弓根と交わるネジ体部104の椎弓根部108には逆螺旋状の切り込みがないのに対して、椎弓根部108に近接し、椎体と交わるネジ体部104の椎体部110には逆螺旋状の切り込み106があり得る。
図2は、本開示の他の実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含む骨スクリュー200を示す。骨スクリュー200は遠位端にある頭部202と、頭部202に近接したネジ体部204と、ネジ山212と、逆螺旋状の切り込み206とを含む。図2に示すように、逆螺旋状の切り込み206は、ネジ体部204の略全長に亘っている。図1及び図2の双方に示すように、骨スクリュー100及び200は剛性の骨スクリューであり得る。
図3は、本開示の他の実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含む管状(cannulated)骨スクリュー300を示す。管状骨スクリュー300は遠位端にある頭部302と、頭部302に近接したネジ体部304と、ネジ山312と、逆螺旋状の切り込み306とを含む。図3に示すように、逆螺旋状の切り込み306は、ネジ体部304の略全長に亘っている。管状骨スクリュー300は中空シャフト314をさらに含み得る。管状骨スクリュー300では、逆螺旋状の切り込み306は、ネジ体部304が連続し途切れることがないように中空シャフト314に入りこんでいない。
図1〜図3に図示の骨スクリューを参照して、実施の際、骨スクリューのネジ体部の外径を小さくするために骨スクリューにはプレトルクがかけられ(pre-torqued)、そして駆動装置を用いて骨スクリューの頭部にトルクを付与することにより骨の所望の位置に挿入される。右巻きの骨スクリューの場合は、駆動装置が時計回りに回転することで骨スクリューが骨の奥の方にねじ込まれるのに対して、左巻きの骨スクリューの場合は、駆動装置が反時計回りに回転することで骨スクリューが骨の奥の方にねじ込まれる。骨スクリューは骨の所望の位置に直接ねじ込んでもよいし、骨スクリューを骨の所望の位置のパイロット穴にねじ込んでもよい。パイロット穴を使用する場合、通常、パイロット穴の直径は骨スクリューのネジ体部(又はスクリューの胴部)の直径よりも小さく、骨スクリューのネジ山を骨にしっかり固定させることができる。骨スクリューを骨の所望の位置にねじ込んだ後、プレトルクが解除され、それにより骨スクリューのネジ体部の外径が広がる。
図4は、本開示の他の実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含み、ガイドワイヤ保持機能416を有する管状骨スクリュー400を示す。図5は、本開示の他の実施形態に係る、図4の管状骨スクリュー400の断面図を示す。図6は、本開示の他の実施形態に係る、ガイドワイヤ418が受容された図4〜図5の管状骨スクリュー400の断面図を示す。管状骨スクリュー400は遠位端にある頭部402と、頭部402に近接したネジ体部404と、ネジ山412と、逆螺旋状の切り込み406とを含む。図4〜図6に示すように、逆螺旋状の切り込み406は、ネジ体部404の略全長に亘っている。管状骨スクリュー400は中空シャフト414をさらに含み得る。管状骨スクリュー400では、逆螺旋状の切り込み406は、ネジ体部404が連続し途切れることがないように中空シャフト414に入り込んでいない。
図5に示すように、管状骨スクリュー400は、中空シャフト414内におけるスクリューの近位端にガイドワイヤ保持機能416をさらに含み得る。ガイドワイヤ保持機能416は正方形状であり得るが、他の実施形態では三角形、五角形、六角形等の他の形状が用いられ得る。ガイドワイヤ保持機能416は、同じ形状の先端を含むガイドワイヤ(図示せず)と係合でき得る。
図6に示すように、ガイドワイヤ418は管状骨スクリュー400の中空シャフト414内で受容され、管状骨スクリュー400の正方形状のガイドワイヤ保持機能416を通って延びた正方形状の先端を含む。管状骨スクリュー400の正方形状のガイドワイヤ保持機能416を通ってガイドワイヤ418の正方形状の先端を受容すると、ガイドワイヤ418が静止している場合管状骨スクリュー400は回転できない。しかしながら、図示のガイドワイヤ保持機能416に加えて、内ネジ又は六角形の切り込みを用い、それを通ってガイドワイヤ418が受容をし、ガイドワイヤ418が静止している場合は管状骨スクリュー400の回転が防止されるようにしてもよい。
図7は、本開示の他の実施形態に係る、逆螺旋状の切り込みを含み、内部で湾曲したガイドワイヤ718が受容した管状骨スクリュー700を示す。管状骨スクリュー700は遠位端にある頭部702と、頭部702に近接したネジ体部704と、ネジ山712と、逆螺旋状の切り込み706とを含む。逆螺旋状の切り込み706により、管状骨スクリュー700の曲げ剛性は低く、ネジ体部704を容易に屈曲させることができる。図7に示すように、湾曲したガイドワイヤ718が管状骨スクリュー700の中空シャフトを通って受容されており、それにより、可撓性のネジ体部704は湾曲したガイドワイヤ718の軌道に合致するように屈曲されている。真っ直ぐの向きにしか骨に挿入できない一般的に使用されている椎弓根スクリューに比べて、管状骨スクリュー700はガイドワイヤによって規定される任意の軌道をたどることができる。
図4〜図7に図示の骨スクリューを参照して、実施の際、骨スクリューのネジ体部の外径を小さくするために骨スクリューにはプレトルクがかけられ、そして駆動装置を用いて骨スクリューの頭部にトルクを付与することにより骨の所望の位置に挿入される。手術の間、外科医の選好、穴があけられる組織の生体構造及び骨スクリューが挿入される骨の性質に基づいて湾曲したパイロット穴があけられる。そして、可撓性のガイドワイヤを湾曲したパイロット穴に挿入し、ガイドワイヤに従って骨スクリューがパイロット穴に挿入され得る。右巻きの骨スクリューの場合は、駆動装置が時計回りに回転することで骨スクリューが骨の奥の方にねじ込まれるのに対して、左巻きの骨スクリューの場合は、駆動装置が反時計回りに回転することで骨スクリューが骨の奥の方にねじ込まれる。骨スクリューは骨の所望の位置に直接ねじ込んでもよいし、骨スクリューを骨の所望の位置のパイロット穴にねじ込んでもよい。パイロット穴を使用する場合、通常、パイロット穴の直径は骨スクリューのネジ体部(又はスクリューの胴部)の直径よりも小さく、骨スクリューのネジ山を骨にしっかり固定させることができる。
ガイドワイヤを取り除いた後、湾曲した骨スクリューは脊椎ロッドのための固定点を提供する。湾曲したパイロット穴及び可撓性のガイドワイヤを利用することで、湾曲したスクリューは従来の真っ直ぐなスクリューに比べて高い引き抜き力を有利に有し得る。それに加えて、骨スクリューは任意の湾曲した軌道をたどることができるため、椎弓根スクリューにとって骨の性質が最も適した場所に骨スクリューが挿入され得る。
骨スクリューの挿入の間、駆動装置を用いて骨スクリューの頭部にトルクが付与されている場合、骨スクリューの逆螺旋状の切り込みは、駆動装置によってトルクが付与されている際に逆螺旋状の切り込みによって生じるフープ効果によってネジ体部の直径を本来の静止時のサイズから小さくすることができる。静止状態では、骨スクリューのネジ体部の外径は一定であり得る。ネジ山の方向に沿って骨スクリューの頭部にトルクを付与することで、ネジ体部の外径が螺旋状の切り込み部において小さくなる。螺旋状の切り込み部の外径はプレトルクにより小さくなり得る。スクリューを挿入した後で挿入プレトルクを解除すると、ネジ体部の外径が広がってその本来のサイズに戻る。骨スクリューの外径を広げるのに追加の道具又は器具を必要としない。このネジ体部の直径の自動且つ自己調整的な拡張により、骨スクリューが挿入される骨に圧力が生じるため、骨スクリューの固定力又は引き抜き強度が高くなる。周囲の骨にかかる骨スクリューの自己拡張力が加わるため、骨スクリューの引き抜き強度が従来の骨スクリューの引き抜き強度よりも大きくなり、例えば骨密度が低い骨、解剖学的な制限がある骨又は骨減少症若しくは骨粗鬆症等の症状がある骨において追加の骨固定力が必要となる所で骨スクリューを用いることができる。
それに加えて、逆螺旋状の切り込みを含めることにより、現在の骨スクリューの全体的な曲げ強度が減少する。従来の骨スクリューは、椎骨への挿入後に負荷の殆どを奪う剛性のスクリュー体を含むのが一般的である。負荷の殆どが奪われることで、応力遮蔽により椎骨構造が弱まり、経時的な負荷の適切な伝達が妨げられる。極端な場合では、従来の剛性の骨スクリューは椎骨に挿入された後で砕けることもある。螺旋状の切り込みがない従来の骨スクリューに比べて、螺旋状の切り込みを有する骨スクリューの構造的剛性は最大で85%減少され得る。従来の剛性の骨スクリューに比べて、剛性の低い骨スクリューのデザインは、骨自体にかかる負荷を大きくすることを有利に可能にする。これは、骨の成長及び再形成を助け、骨の癒着を促し、隣接レベルの劣化を防止する。骨スクリューの破砕の殆どは、内胴部の椎体と交わる部分で生じる。破砕の可能性を抑えるために、逆螺旋状の切り込みを図1に示すようにネジ体の椎体部に位置するようにしていてもよい。
さらに、逆螺旋状の切り込みを含めることにより、骨スクリューは、骨が内部で成長できるようにする相互接続空間又は空隙を含む。このデザインは、骨スクリューの表面上での骨の面上成長(bone ongrowth)だけでなく、骨スクリューの内部構造内への骨の内方成長(bone ingrowth)も可能にするため、骨スクリューの固定を高め、骨スクリュー及び骨の寿命が長くする。
本明細書で開示した逆螺旋状の切り込みを有する骨スクリューの1つ以上の構成要素は、(a)任意の生体適合性材料(該生体適合性材料は骨の内方成長を可能にするために又は骨の内方成長を妨げるために処理が施されていてもよい)、(b)プラスチック、(c)繊維、(d)ポリマー、(e)金属(例えば、チタン等の純金属及び/又はTi−Al−Nb、TI−6Al−4V、ステンレススチール等の合金)又は(f)その組み合わせのうちのいずれかの材料で作られ得る。
スクリューの寸法は解剖学的部位や骨の性質によって決まる。例えば、頸部の場合、スクリューの外径は2mm〜4mmで、長さは6mm〜30mmであるのに対して、腰部及び仙骨部の場合、スクリューの外径は4mm〜10mmで、長さは25mm〜100mmであり得る。
本願で開示した原理に係る様々な実施形態を上述したが、それらは一例として提示したものにすぎず、それらに限定されないことを理解すべきである。そのため、本発明の広がり及び範囲は上述した例示の実施形態の何れかに限定されず、請求の範囲及び本開示に由来する請求の範囲の同等物のみに従って定義される。さらに、説明した実施形態で上記の利点及び特徴を示したが、それらは本開示に由来するクレームの適用を上記の利点のいずれか又は全てを実現する方法及び構造に限定しない。
本開示の主要な特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく様々な実施形態で用いることができるのが分かる。当業者であれば、本明細書に記載の特定の方法の数多くの同等物を認識するか又は日常の実験程度のものを用いてそれを確認できる。そのような同等物は本開示の範囲内にあると考えられ、それらは請求の範囲に含まれる。
それに加えて、本明細書における欄の見出しは、連邦規則集37巻第1.77条に基づく示唆との整合性を図るために又は構成上の手掛かりを与えられるために設けたものである。これらの見出しは、本開示に由来し得るクレームのいずれかで提示される発明を限定するか又は特徴付けるものではない。具体的には、例えば見出しが「技術分野」に言及していても、そのようなクレームは所謂技術分野を説明するために該見出し下で用いられる文言によって限定されない。また、「背景技術」の欄における技術の説明は、その技術が本開示の発明のいずれかの先行技術であることを認めるものと解釈すべきではない。「発明の概要」についても、本開示に由来するクレームで規定される発明を特徴付けるものと考えるべきではない。さらに、本開示における単数形の「発明」への言及は、本開示に新規性が1点しかないことを主張するのに用いているのではない。本開示に由来する複数のクレームの限定に従って複数の発明が規定され得る。従って、そのようなクレームは、それらによって保護される本発明及びそれらの同等物を規定する。全ての場合で、そのようなクレームの範囲は本開示に照らしそれらの実態に基づき解釈すべきものであって、本明細書に規定の見出しによって制約されない。
Claims (18)
- 近位端及び遠位端を有する長尺体であって、該長尺体は、骨を貫通し且つ骨内で固定されるように適合された外面を含む、長尺体と、
前記長尺体の遠位端に取り付けられ、駆動部品と嵌合するように適合された頭部と、
を含む固定装置であって、
前記長尺体の外面は、前記外面から第1の方向に延びたネジ山を含み、
前記長尺体の外面の少なくとも一部は、前記外面において第2の方向に入った逆螺旋状の切り込みを含む、固定装置。 - 前記長尺体は管状である、請求項1に記載の固定装置。
- 前記長尺体の外面から第1の方向に延びた前記ネジ山は右巻きのネジ山を含み、前記長尺体の外面において第2の方向に入った前記逆螺旋状の切り込みは左巻きの切り込みを含む、請求項1に記載の固定装置。
- 前記長尺体の外面から第1の方向に延びた前記ネジ山は左巻きのネジ山を含み、前記長尺体の外面において第2の方向に入った前記逆螺旋状の切り込みは右巻きの切り込みを含む、請求項1に記載の固定装置。
- 前記長尺体の外径は、挿入トルクの下で小さくなるように構成されている、請求項1に記載の固定装置。
- 前記長尺体の外径は、前記挿入トルクを解除した後に広がるように構成されている、請求項5に記載の固定装置。
- 前記逆螺旋状の切り込みは、前記長尺体の外面での骨の面上成長と、前記固定装置の内部構造への骨の内方成長とを可能にするように構成されている、請求項1に記載の固定装置。
- 前記固定装置は、(a)任意の生体適合性材料(該生体適合性材料は骨の内方成長を可能にするために又は骨の内方成長を妨げるために処理が施されていてもよい)、(b)プラスチック、(c)繊維、(d)ポリマー、(e)金属(例えば、チタン等の純金属及び/又はTi−Al−Nb、TI−6Al−4V、ステンレススチール等の合金)又は(f)その組み合わせからなる群のうちのいずれかの材料でできている、請求項1に記載の固定装置。
- 前記逆螺旋状の切り込みは前記長尺体の全厚を貫通していない、請求項1に記載の固定装置。
- 固定装置を骨に挿入する方法であって、
駆動部品を固定装置の頭部に嵌合する工程であって、該固定装置は、近位端及び遠位端を含む長尺体であって、該長尺体は骨を貫通し且つ骨内で固定されるように適合された外面を含む、長尺体を含み、該長尺体の外面は、前記外面から第1の方向に延びたネジ山を含み、前記長尺体の外面の少なくとも一部は、前記外面において第2の方向に入った逆螺旋状の切り込みを含む、工程と、
回転トルクにより前記駆動部品を第1の回転方向に回転させて、前記固定装置を前記骨内にねじ込む工程であって、前記長尺体の直径は前記回転トルクの下で小さくなる、工程と、
前記固定装置が前記骨の所望の位置にねじ込まれた後で前記固定装置の頭部から前記駆動部品を取り外す工程であって、前記長尺体の直径は前記回転トルクを解除すると広がる、工程と、
を含む方法。 - 前記長尺体は管状である、請求項10に記載の方法。
- 前記長尺体の外面から第1の方向に延びた前記ネジ山は右巻きのネジ山を含み、前記長尺体の外面において第2の方向に入った前記逆螺旋状の切り込みは左巻きの切り込みを含む、請求項10に記載の方法。
- 前記長尺体の外面から第1の方向に延びた前記ネジ山は左巻きのネジ山を含み、前記長尺体の外面において第2の方向に入った前記逆螺旋状の切り込みは右巻きの切り込みを含む、請求項10に記載の方法。
- 前記逆螺旋状の切り込みは、前記長尺体の外面での骨の面上成長と、前記固定装置の内部構造への骨の内方成長とを可能にするように構成されている、請求項10に記載の方法。
- 前記固定装置は、(a)任意の生体適合性材料(該生体適合性材料は骨の内方成長を可能にするために又は骨の内方成長を妨げるために処理が施されていてもよい)、(b)プラスチック、(c)繊維、(d)ポリマー、(e)金属(例えば、チタン等の純金属及び/又はTi−Al−Nb、TI−6Al−4V、ステンレススチール等の合金)又は(f)その組み合わせからなる群のうちのいずれかの材料でできている、請求項10に記載の方法。
- 前記逆螺旋状の切り込みは前記長尺体の全厚さを貫通していない、請求項10に記載の方法。
- 近位端及び遠位端を有し、該近位端と該遠位端との間で延びた中空シャフトを有する長尺体であって、該長尺体は、骨を貫通し且つ骨内で固定されるように適合された外面を含む、長尺体と、
前記長尺体の遠位端に取り付けられ、駆動部品と嵌合するように適合された頭部と、
を含む固定装置であって、
前記長尺体の外面は、前記外面から第1の方向に延びたネジ山を含み、
前記長尺体の外面の少なくとも一部は、前記外面において第2の方向に入った逆螺旋状の切り込みを含み、
当該固定装置は、前記中空シャフトを通って挿入される可撓性のガイドワイヤの周りで受け入れられるように構成されている、固定装置。 - 固定装置を骨に挿入する方法であって、
骨に湾曲したパイロット穴を開ける工程と、
前記湾曲したパイロット穴に可撓性のガイドワイヤを挿入する工程と、
駆動部品を固定装置の頭部に嵌合する工程であって、該固定装置は、近位端及び遠位端を有し、該近位端と該遠位端との間で延びた中空シャフトを有する長尺体であって、該長尺体は骨を貫通し且つ骨内で固定されるように適合された外面を含む、長尺体を含み、該長尺体の外面は、前記外面から第1の方向に延びたネジ山を含み、前記長尺体の外面の少なくとも一部は、前記外面において第2の方向に入った逆螺旋状の切り込みを含む、工程と、
前記中空シャフトを通って挿入され且つ前記湾曲したパイロット穴に挿入された前記可撓性のガイドワイヤの周りで前記固定装置を受け入れる工程と、
回転トルクにより前記駆動部品を第1の回転方向に回転させて、前記固定装置を前記骨内にねじ込む工程であって、前記長尺体の直径は前記回転トルクの下で小さくなる、工程と、
前記固定装置が前記骨の所望の位置にねじ込まれた後で前記固定装置の頭部から前記駆動部品を取り外す工程であって、前記長尺体の直径は前記回転トルクを解除すると広がる、工程と、
前記固定装置から前記可撓性のガイドワイヤを取り外す工程と、
を含む方法。
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