JP2016510739A - 改良された安定性を有するくも膜下腔内ヒドロモルホン液剤 - Google Patents

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Abstract

本開示は、一般に、実質的に、緩衝剤を含まず、1つ以上の他の添加剤を含まなくてもよい、ヒドロモルホンまたはその薬剤的に許容可能な塩を含む、医薬用液剤に関する。該薬剤的に許容可能な塩は、塩酸ヒドロモルホンであり得る。該液剤の製造及び使用の方法も開示される。1つの態様では、本開示は、ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせを含む滅菌医薬用液剤に関し、該液剤は、実質的に、緩衝剤も含まず、1つ以上の他の添加剤も含まなくてもよい。【選択図】図1

Description

関連出願
本願は、2013年3月6日に出願された先行の米国特許出願第13/787,042号の一部継続出願であり、2012年3月7日に出願した米国仮出願第61/607,774号の優先権を主張する。
本開示は、一般に、実質的に、緩衝剤を含まず、及び1つ以上の他の添加剤も含まなくてもよい、ヒドロモルホン及び/または1つ以上のその薬剤的に許容可能な塩の滅菌液剤に関する。例えば、1つの態様では、本開示は、実質的に、緩衝剤も他の添加剤も含まない滅菌塩酸ヒドロモルホン液剤に関する。
塩酸ヒドロモルホンは、麻薬性鎮痛薬であり、その本質的使用の1つは、疼痛緩和である。それは、半合成μオピオイドアゴニストである。塩酸ヒドロモルホンの鎮痛効果に、固有限界はなく;モルヒネの様に、十分な用量で、最大の激痛でさえ、緩和するだろう。ヒドロモルホンは、モルヒネ誘導体、4,5−α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オンの一般(USAN)名である(USP Dictionary of USAN and International Drug Names 2003)。その構造式は;
Figure 2016510739
である。
現在、くも膜下腔内塩酸ヒドロモルホンは、0.2%クエン酸ナトリウム及び0.2%クエン酸溶液を含む防腐剤フリー処方で、10mg/ml溶液中の注射用に市販されている。
ヒドロモルホンは、鎮痛薬用モルヒネ及びジアセチルモルヒネの代替品及びインフルエンザ及び他病気、真菌類の吸入ならびに他原因後の継続している気管支刺激が原因の乾性で、有痛性で、発作性の咳嗽の症例用の第二選択または第三選択麻薬性鎮咳薬(咳止め薬)として、医療の分野で使用され、後者の分類の薬剤の中で最も強いと、一般に、評価されており、別の強力な鎮咳薬であるヘロインが、ほとんど世界中で、及び徹底的に禁止された多くの国で、この目的での臨床用途から除外された後直ぐに、開発された。
ヒドロモルホンの生成を生じるモルヒネの水素化は、高脂質溶解性及び血液脳関門を通過する性能、及び、従って、ヒドロモルホンは、モルヒネより、いくらか速効性で、ミリグラムベースで、約8倍強力で、ヘロインより、約3倍強力である結果となって、より速く、完全な中枢神経系浸透を有する薬剤をもたらす。ヒドロモルホン転換率に対する効果的モルヒネは、主要原因であるいくつかの肝酵素の相対的レベルの有意な量により、患者によって異なり得る;正常なヒトの範囲は、8:1〜4:1の少し下に見られる。例えば、8mg錠剤で、30mgの硫酸モルヒネまたは同様なモルヒネ製剤と同様な効果を有することは、ありがちなことである。
現在入手可能な塩酸ヒドロモルホン液剤は、全て、緩衝剤を含有する。該緩衝剤は、しばしば、pHを調節するため、及び/または液剤中の化合物の安定化の目的のため、組成物に添加される。緩衝剤の添加は、毒性もしくは他の副作用、アレルギー応答及び/または肉芽腫形成など、潜在的合併症をもたらし得る。さらに、より少ない緩衝剤の使用または未使用は、医薬組成物の製造コストを低減し、製造の複雑さを減らすはずである。現在、入手可能な塩酸ヒドロモルホン液剤はまた、くも膜下腔内用途に認可されていない。従って、緩衝剤を含有せず、くも膜下腔内用途に適切な塩酸ヒドロモルホン液剤の必要性がある。驚くべきことに、水中で、他のヒドロモルホン塩だけでなく、塩酸ヒドロモルホンは、経時的に、安定性を維持するため、緩衝剤を必要としないことが見出された。
加えて、最近、脳脊髄液(CSF)pHの調節に対する興味が増している。この興味の一部は、脳内の細胞外液(ECF)pHが、肺換気の重要制御因子及び脳血流の重要決定因子としての役割があるという事実に由来するものである。さらに、該CSF pHは、血液の酸塩基状態を変化させる様々な条件のホメオスタティック制御のかなりの程度まで影響を受けることが分かっているので、この制御に関与する生理機序を解明するため、多くの試みが成された。最終的に、脳コンパートメント(ECFを含む)の酸塩基代謝作用は、有意な程度に、脳機能に影響し得るので、該CSF pH及びそれを調節する機序は、神経内科医及び脳神経外科医にとって、関心のあるものとなった。CSFは、正常には、7.3近くのpHを有する。塩酸ヒドロモルホンのくも膜下腔内送達は、該CSF中への直接的注射であり、得られるCSF−ヒドロモルホン液剤混合物のpHを、可能な限り、7.3に近くに保持することが望ましいので、7.3近くのpHを有する塩酸ヒドロモルホン処方物の注射剤は、魅力的である。有利に、緩衝剤を含有しない処方物のpHは、緩衝剤(5.0対4.1)を含有する処方物より、CSFの自然な生理的pHに近い。
1つの態様では、本開示は、ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせを含む滅菌医薬用液剤に関し、該液剤は、実質的に、緩衝剤も含まず、1つ以上の他の添加剤も含まなくてもよい。1つの特定の実施形態では、該液剤は、塩酸ヒドロモルホンを含む。
本開示の別の態様は、ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩及び水から、本質的に成る滅菌医薬用液剤である。1つの特定の実施形態では、該薬剤的に許容可能な塩は、塩酸ヒドロモルホンである。
本開示のさらに別の態様は、ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩(例えば、塩酸ヒドロモルホン)及び水から、本質的に成る滅菌医薬用液剤である。
本開示のさらなる態様は、(i)ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせを、緩衝剤及び/または他の添加剤の非存在下、滅菌水と一緒に混合し、及び(ii)該ヒドロモルホン及び/または該その薬剤的に許容可能な塩を溶解して、液剤を生成することを含む、医薬用液剤の製造方法を提供する。1つの特定の実施形態では、該薬剤的に許容可能な塩は、塩酸ヒドロモルホンである。この、または他の実施形態では、該方法は、(iii)該ヒドロモルホン及び/または該その薬剤的に許容可能な塩と混合する前に、不活性ガスで、該滅菌水をスパージし、及び/または(iv)該ヒドロモルホン及び/または該その薬剤的に許容可能な塩を、該滅菌水に溶解した後に、得られた溶液をスパージすることを、さらに含み得る。
本開示のさらに別の態様は、ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせを含む、滅菌医薬用液剤を、くも膜下腔内に投与することを含む、対象の疼痛の治療方法であり、該液剤が、実質的に、緩衝剤を含まず、1つ以上の他の添加剤も含まなくてもよい。
本開示の他の態様は、以下、より詳細に記載される。
例示の実施形態に従ったヒドロモルホン液剤を含む注射器の図である。 点滴システムで使用されるときの注射器の図である。
本開示は、くも膜下腔内注射用途に適切である、ヒドロモルホン、及び/または1つ以上のその薬剤的に許容可能な塩の滅菌液剤を提供する。有利に、本開示のヒドロモルホン液剤は、実質的に、緩衝剤を含まず、1つ以上の他の添加剤も含まなくてもよく、さらに、緩衝剤を含む処方物より、脳脊髄液の生理的pHに近いpHを有する。その使用方法だけでなく、かかるヒドロモルホン液剤の製造方法も開示される。
概要
本開示は、ヒドロモルホン、及び/または1つ以上のその薬剤的に許容可能な塩が、液剤の安定性及び/または該液剤のpHを所望の範囲内で維持するため、緩衝剤も他の添加物も必要とせず、くも膜下腔内用液剤として処方され得ることの発見に基づく。
実施例で示すように、緩衝剤も他の添加剤も含まないで処方されたヒドロモルホン液剤は、緩衝剤を含有するヒドロモルホン液剤より高いpHを有し、たとえ、長期の貯蔵期間にわたり、pHの変化(例えば、低下)があったとしても、ごくわずかしか示さない。ヒドロモルホン及びその塩のくも膜下腔内送達は、CSF中に、直接的注射により、及び得られたCSF−ヒドロモルホン液剤混合物のpHを、可能な限り、該CSFの生理的pH(すなわち、約7.3)近くに保持することが望ましいので、7.3近くのpHを有するヒドロモルホン液剤の注射剤は、魅力的である。従って、緩衝剤を含有するヒドロモルホン液剤より、CSFの自然の生理的pHに近いpHを有する、本開示のヒドロモルホン液剤は、緩衝剤を含有するヒドロモルホン液剤よりも予期せぬ利点を提供する。
加えて、本開示のヒドロモルホン液剤は、くも膜下腔内投与用を対象としているので、該液剤のpHが、くも膜下腔内投与中に使用される送達ポンプの腐蝕を防ぐため、十分に高いことも望ましい。従って、本開示の液剤は、約3以上を有し、より具体的には、約3〜約7、または約3.5〜約7のpHを有する。例えば、いくつかの実施形態は、約3.5〜約5.5、または約3.7〜約5.3、または約3.9〜約5.1、または約4.2〜約5のpHを有し得、一方、他の実施形態は、約3〜約5、または約4〜約5、または約4.5〜約5のpHを有し得る。有利に、本開示のヒドロモルホン液剤のpHを、長期の貯蔵期間にわたってさえ、この範囲内で、維持するため、緩衝剤は必要ない。
実施例で、さらに示されるように、本開示の液剤は、長期の貯蔵期間にわたり、それらの安定性も、有利に維持し、低レベルの不純物(本明細書で、「副生成物」とも呼ぶ)しか有しない。従って、該ヒドロモルホン液剤の安定性を維持するため、緩衝剤または他の安定性強化添加剤は、必要ない。
本開示のヒドロモルホン液剤は、実質的に、緩衝剤を含まず、1つ以上の他の添加剤も含まなくてもよいので、緩衝剤及び/または他の添加剤を含むヒドロモルホン組成物と比較して、毒性または他の副作用、アレルギー応答及び/または肉芽腫形成など、潜在的合併症のリスクは低い。さらに、緩衝剤も他の添加剤もほとんどまたは全く使用しないことは、ヒドロモルホン液剤の製造コストを減少し、従って、製造の複雑さを低減する。
ヒドロモルホン液剤
本開示は、ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩の滅菌液剤を提供する。上記、該ヒドロモルホン薬剤は、4,5−α−エポキシ−3−ヒドロキシ−17−メチルモルフィナン−6−オンから成り、鎮痛特性を有する。本明細書で使用されるとき、「ヒドロモルホン液剤」という語は、ヒドロモルホン、1つ以上のヒドロモルホンの薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせを含む液剤を包含するものとする。適切なヒドロモルホン塩としては、硫酸ヒドロモルホン、塩酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホン塩化ナトリウム、トリフルオロ酢酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンチオセミカルバゾン塩酸塩、ペンタフルオロプロピオン酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンp−ニトロフェニル−ヒドロゾン、ヒドロモルホンヒドラジン、ヒドロモルホン臭化水素酸塩、粘液酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンメチルブロミド、オレイン酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンN−オキシド、酢酸ヒドロモルホン、二塩基性リン酸ヒドロモルホン、一塩基性リン酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホン無機塩、ヒドロモルホン有機塩、酢酸ヒドロモルホン三水和物、ビス(ヘプタフルオロ酪酸)ヒドロモルホン、ヒドロモルホンビス(メチルカルバメート)、ヒドロモルホン(ビス−ペンタフルオロプロピオネート)、ヒドロモルホンビス(ピリジン−3−カルボキシレート)、ヒドロモルホンビス(トリフルオロアセテート)、ヒドロモルホン二酒石酸塩、ヒドロモルホンクロロハイドレート、及び硫酸ヒドロモルホン五水和物から成る群から選択されるものを含む、ヒドロモルホンのいずれかの水可溶性塩が挙げられる。好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、塩酸ヒドロモルホンを含む。
1つの実施形態では、本開示の液剤は、ヒドロモルホン及び/またはヒドロモルホンの1つ以上の薬剤的に許容可能な塩、及び滅菌水を含み、から本質的に成り、または、から成り、該薬剤的に許容可能な塩は、塩酸ヒドロモルホン以外である。例えば、1つの実施形態では、該液剤は、ヒドロモルホン及び/またはヒドロモルホンの1つ以上の薬剤的に許容可能な塩、及び水を含み、から本質的に成り、または、から成り、該薬剤的に許容可能な塩は、硫酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホン塩化ナトリウム、トリフルオロ酢酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンチオセミカルバゾン塩酸塩、ペンタフルオロプロピオン酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンp−ニトロフェニル−ヒドロゾン、ヒドロモルホンヒドラジン、ヒドロモルホン臭化水素酸塩、粘液酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンメチルブロミド、オレイン酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンN−オキシド、酢酸ヒドロモルホン、二塩基性リン酸ヒドロモルホン、一塩基性リン酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホン無機塩、ヒドロモルホン有機塩、酢酸ヒドロモルホン三水和物、ビス(ヘプタフルオロ酪酸)ヒドロモルホン、ヒドロモルホンビス(メチルカルバメート)、ヒドロモルホン(ビス−ペンタフルオロプロピオネート)、ヒドロモルホンビス(ピリジン−3−カルボキシレート)、ヒドロモルホンビス(トリフルオロアセテート)、ヒドロモルホン二酒石酸塩、ヒドロモルホンクロロハイドレート、硫酸ヒドロモルホン五水和物、及びその組み合わせから成る群から選択される。
本開示の液剤は、ヒドロモルホン及び/または1つ以上のその薬剤的に許容可能な塩を含み得、ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩の全濃度は、例えば、約1mg/ml、約2mg/ml、約5mg/ml、約10mg/ml、約15mg/ml、約20mg/ml、または約25mg/mlを含む、約1mg/ml以上である。典型的には、該ヒドロモルホン液剤は、約1mg/ml〜約25mg/ml、または約2mg/ml〜約25mg/ml、または約2mg/ml〜約20mg/ml、または約2mg/ml〜約15mg/ml、または約2mg/ml〜約10mg/ml、または約2mg/ml〜約5mg/ml、または約5mg/ml〜約25mg/ml、または約5mg/ml〜約20mg/ml、または約5mg/ml〜約15mg/ml、または約5mg/ml〜約10mg/ml、または約10mg/ml〜約15mg/mlの全濃度(すなわち、該液剤中のいずれものヒドロモルホン及びその薬剤的に許容可能な塩の濃度)で、ヒドロモルホン及び/または1つ以上のその薬剤的に許容可能な塩を含む。いくつかの特定の実施形態では、ヒドロモルホン及びその薬剤的に許容可能な塩の全濃度は、約2mg/ml、約5mg/ml、約10mg/ml、または約15mg/mlであり、約10mg/mlの濃度が好ましい。
本開示のヒドロモルホン液剤は、水性液剤であり、すなわち、該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩は、水に、好ましくは、滅菌注射用水(WFI)に溶解される。本明細書で使用されるとき、「水」または「滅菌水」という語は、静菌水(すなわち、静菌的保存薬としてベンジルアルコールを含む水)を含まない。実際、いくつかの実施形態では、得られるヒドロモルホン液剤を生成するため、該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩及び水以外、何も使用されない。
本開示の液剤中に含有される該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩及び水は、好ましくは、品質でUSP基準を満たす(例えば、USP<1>、注射)。
本開示のヒドロモルホン液剤は、室温(例えば、約20℃)において、水と同様な粘度を有し得る。例えば、所与の液剤は、室温で、約2センチポアズ(cps)以下の粘度(例えば、約1cpsの粘度)を有し得る。
先述の通り、様々な考察の観点(例えば、ポンプの腐蝕、CSFのpH、他)から、本開示のヒドロモルホン液剤は、少なくとも、約3のpHを有する。典型的には、該液剤のpHは、約3〜約7、または約3.5〜約7、または約3〜約5.5、または約3.5〜約5.5、または約3.7〜約5.3、または約3.9〜約5.1、または約4.2〜約5、または約3〜約5、または約4〜約5、または約4.5〜約5である。
本開示のヒドロモルホン液剤は、長期の貯蔵にわたってさえ、たとえ、pHの変化(例えば、pHの小さい低下)があったとしても、わずかしか示さないことが見出された。例えば、該液剤のpHは、通常、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約1年間、または少なくとも約2年間、約3〜約7の範囲内、または約3.5〜約5.5、または約3.7〜約5.3、または約3.9〜約5.1、または約4〜約5、または約4.5〜約5の範囲内にとどまるだろう。好ましくは、該液剤のpHは、これらの期間にわたって、約25℃及び約60%相対湿度(RH)、約30℃及び約65%RH、または約40℃及び約75%RHで貯蔵されるとき、これらの範囲内にとどまるだろう。いくつかの実例となる実施形態では、該ヒドロモルホン液剤は、少なくとも約1ヶ月間、好ましくは、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約1年間、または少なくとも約2年間、約25℃及び約60%RH、約30℃及び約65%RH、または約40℃及び約75%RHで貯蔵されるとき、少なくとも約3、好ましくは、少なくとも約4または少なくとも約4.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、該ヒドロモルホン液剤は、(i)約25℃及び約60%RH、(ii)約30℃及び約65%RH、または(iii)約40℃及び約75%RHで、約3ヶ月間貯蔵されるとき、少なくとも約4.5のpHを有する。
緩衝剤及び他の添加剤
本開示のヒドロモルホン液剤は、以下、本明細書でさらに詳細に説明されるように、実質的に、緩衝剤を含まず、1つ以上の他の添加剤を含まなくてもよい。
緩衝剤及び他の添加剤は、本開示のヒドロモルホン液剤のpH及び/または安定性を維持するため、必要でないことが、ここで見出された。組成物への緩衝剤及び他の添加剤の含有は、毒性または他の副作用、アレルギー応答及び/または肉芽腫形成など、潜在的合併症をもたらし得るので、本開示のヒドロモルホン液剤は、かかる添加剤を含有するヒドロモルホン液剤より、予期しない利点を有する。さらに、該液剤から、緩衝剤または他の添加剤の除外は、該ヒドロモルホン液剤の製造コストを低減し、製造の複雑さを減少させるはずである。
本明細書で使用されるとき、「緩衝剤」は、経時または希釈または酸またはアルカリの添加時に、pHの変化に抵抗するために使用される物質を表す。緩衝剤は、例えば、その酸性またはアルカリ性の変化に抵抗するため、溶液に添加され、従って、該溶液のpHを安定化するイオン性化合物(例えば、塩または弱酸もしくは弱塩基)であり得る。「緩衝剤」は、溶液中の化合物の安定性の維持を助ける薬剤も表し得る。緩衝剤としては、例として、限定されることなく、メタリン酸カリウム、リン酸カリウムなどのリン酸塩類;一塩基性酢酸ナトリウムなどの酢酸塩類;クエン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム無水物及び脱水物などのクエン酸塩類、及びクエン酸;無機または有機酸の塩類;無機または有機塩基の塩類;及び当業者に公知の他のものが挙げられ得る。本開示の液剤は、実質的に、緩衝剤を含まず、好ましくは、全く、緩衝剤を含まない。
本明細書で使用されるとき、「他の添加剤」は、一般に、ヒドロモルホン液剤など−医薬組成物または液剤に含有されることが知られてきたものを含む、本開示の液剤に添加され得る、いかなる他の添加剤、成分または薬剤を表し、及び含む。本開示の液剤から除外されてもよい、またはそれに添加されなくてもよい添加剤としては、これに限定されないが:ヒドロモルホンまたはヒドロモルホンの薬剤的に許容可能な塩以外の医薬品有効成分(「API」);酸類;pH調節剤;防腐剤;高分子材料;乳化剤;潤滑剤;抗酸化剤;懸濁剤;賦形剤(水以外);希釈剤;油剤;界面活性剤;生理食塩水;溶剤;金属塩類;ミネラル類;ビタミン類;滅菌剤;及び安定化剤が挙げられ得る。本開示の液剤は、実質的に、かかる添加剤1つ以上を含まなくてもよく、または全く、かかる添加剤の1つ以上を含まなくてもよい。特定の実施形態では、該液剤は、全てのかかる添加剤を、実質的に含まず、全てのかかる添加剤を、全く含まなくてもよい。
従って、1つの態様では、本開示のヒドロモルホン液剤は、実質的に(または、全く)、緩衝剤を含まず、実質的に(または、全く)、次の他の添加剤の1つ以上も含まない:ヒドロモルホンまたはヒドロモルホンの薬剤的に許容可能な塩以外のAPI;酸類;pH調節剤;防腐剤;高分子材料;乳化剤;潤滑剤;抗酸化剤;懸濁剤;賦形剤(水以外);希釈剤;油剤;界面活性剤;生理食塩水;溶剤;金属塩類;ミネラル類;ビタミン類;滅菌剤;安定化剤、またはこれらの添加剤のいずれかの組み合わせ。
本開示の液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該APIは、オピオイド類及びその塩、プロドラッグ、エステル、誘導体、または類似体(ヒドロモルホン及びその薬剤的に許容可能な塩以外)を含み得る。一般に、オピオイド類及びオピオイド誘導体は、オピオイド受容体との結合に活性であり、オピオイド受容体アゴニストまたはアンタゴニストを含み得、天然及び合成化合物の両方を含み得る。オピオイド類及びオピオイド誘導体の例としては、モルヒネ(及び構造的に関係ある類似体及び誘導体)、アルビモパン、ベンゾモルファン、ブプレノルフィン、コデイン、6−デソモルヒネ、ジヒドロモルヒネ、ジヒドロモルフィノン、ジヒドロコデイン、ジヒドロコデイノン、3,6−ジアセチルモルヒネ、6−メチレン−ジヒドロモルヒネ、ジフェノキシラート、ドロテバノール、エセロリン、エトルフィン、エトニタジン、フェンタニル、フェンタニル同類物(例えば、スフェンタニル、アルフェンタニル、ロフェンタニル、カーフェンタニル、レミフェンタニル、トレフェンタニル、及びミルフェンタニル)、ヒドロコドン、レボフェナシルモルファン、メサドン、オキシモルホン、α−オキシモルファミン、ニコモルフィン、ペチジン、ピセナドール、タペンタドール、テバイン、トリメブチン(trimebutane)、アシマドリン、ブトルファノール、ブレマゾシン、シクラゾシン、デキストロメトルファン、ダイノルフィン、エナドリン、ケタゾシン、ナルブフィン、ノルブプレノルフィン、オキシコドン、ペンタゾシン、サルビノリンA、2−メトキシメチルサルビノリンB及びそのエトキシメチル及びフルオロエトキシメチルホモログ、スピラドリン、チフルアドム、デルトルフィン、エトキシメトポン、ロイシンエンケファリン、メチオニンエンケファリン、アカネ科ミトラガイナ属(クラトム)、ミトラギニン、ミトラギニンプソイドインドキシル、N−フェネチル−14−ノルブプレノルフィン、ノルクロザピン、7−スピロインダニルオキシモルホン、ナロキソンなどが挙げられるが、これに限定されない。
本開示の液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該APIとしては、ブピバカイン、リドカイン、クロニジン、バクロフェン、クエン酸フェンタニル、クエン酸スフェンタニル、フルピルチン、ケタミン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、フルリプロフェン(fluriprofen)、ケトプロフェン、ボルタレン、フェナセチン、サリチルアミド、またはその薬剤的に許容可能な塩など、他の鎮痛剤または麻酔剤も挙げられ得る。
本開示の液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該APIとしては、ω−コノペプチド;抗体;糖タンパク質;ドキサプラムまたはその塩;抗炎症剤(例えば、ナプロキセン及びインドメタシン);抗ヒスタミン薬(例えば、クロルフェニラミンマレイン酸塩、フェニンダミン酒石酸塩、ピリラミンマレイン酸塩、ドキシラミンコハク酸塩、フェニルトロキサミンクエン酸塩、ジフェニルヒドラミン塩酸塩、プロメタジン、ブロモフェニラミンマレイン酸塩、デキスブロムフェニラミンマレイン酸塩、クレマスチンフマル酸塩及びトリプロリジン);鎮咳薬;去痰薬;うっ血除去薬;抗生物質(例えば、抗アメーバー薬、広域型及び中域型、最終薬物、モノバクタム系薬及び、エリスロマイシン、ペニシリン及びセファロスポリン系薬などのウイルス剤、及びそれらの誘導体);気管支拡張薬;循環器官用薬;中枢神経系作用薬;免疫調節薬;免疫抑制薬;甲状腺製剤;ステロイド剤及びホルモン剤(例えば、ノルエピネフリン;ACTH、同化剤(anabolics)、アンドロゲン及びエストロゲン配合薬、男性ホルモン剤、コルチコイド及び鎮痛剤、エストロゲン薬、グルココルチコイド、ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出薬、ヒト成長ホルモン、低カルシウム血症、メノトロピン、副甲状腺、プロゲステロン、プロゲストーゲン、プロゲストーゲン及びエストロゲン配合薬、ソマトスタチン様化合物、ウロフォリトロピン、バソプレシン、及び他);なども挙げられ得る。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、酸であり得る。酸としては、カルボン酸及びその塩が挙げられる。「カルボン酸」という語は、いずれもの適切なカルボン酸、通常、モノカルボン酸、ジカルボン酸、またはトリカルボン酸、より通常、モノカルボン酸またはジカルボン酸、通常は、モノカルボン酸を表す。該カルボン酸は、「低分子量カルボン酸」、すなわち、8個より少ない炭素原子数を有するカルボン酸であり得る。カルボン酸の例としては、酢酸、乳酸及びその塩が挙げられる。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、pH調節剤であり得る。本明細書で使用されるとき、「pH調節剤」は、組成物に添加時にpHを上昇または低下させるために使用される物質を表す。かかる調節剤としては、例えば、酸またはアルカリが挙げられる。特定の例としては、塩酸溶液、水酸化ナトリウム、硫酸塩などが挙げられるが、これに限定されない。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、防腐剤であり得る。防腐剤は、周知であり、一般に、成長を含む微生物活性を阻害または予防するための化合物が挙げられる。防腐剤の限定されない例としては、メルフェン(merfen)及びチオメルサールなどの水銀含有物質;安定化二酸化塩素;及び塩化ベンザルコニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム及び塩化セチルピリジニウムなどの第四級アンモニウム化合物などが挙げられる。防腐剤の他の例としては、塩化ベンゼトニウム、ベンジルアルコール、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサール、及び当業者に公知の他のものが挙げられる。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、高分子材料であり得る。高分子材料の限定されない例としては、ポリ硫酸化グルコソグリカン類、グルコサミノグリカン類、ムコ多糖類(例えば、硫酸コンドロイチンなどのコンドロイチン類;及びヒアルロン酸ナトリウムなどのヒアルロン酸及びその塩)、セルロース誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、他)、ならびにその誘導体及びその混合物が挙げられる。「高分子材料」という語は、上記列挙されたものなど、個々の高分子材料、2つ以上の異なる高分子材料の組み合わせ、及びWO97/11681に記載されたような高分子マトリックスを含む。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、潤滑剤であり得る。潤滑剤としては、脂肪エステル類、モノオレイン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、ワックス、カルナウバロウ、ミツロウ、コハク酸ビタミンEな、及びその組み合わせが挙げられるが、これに限定されない。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、抗酸化剤であり得る。「抗酸化剤」という語は、酸化を阻害し、従って、該組成物中、酸素フリーラジカルまたは遊離金属の存在によった酸化による、組成物の変質を予防するため使用される薬剤を表す。かかる化合物は、例として、及び限定されることなく、アスコルビン酸(ビタミンC)、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、次亜リン酸、モノチオグリセロール、アスコルビン酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重硫酸ナトリウム、ビタミンE及びその誘導体、没食子酸プロピルならびに当業者に公知の他のものが挙げられる。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、界面活性剤であり得る。界面活性剤としては、セッケン類、合成洗剤、及び湿潤剤が挙げられる。界面活性剤は、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または両性界面活性剤であり得る。界面活性剤の例としては、ポリソルベート80;ソルビタンオレイン酸モノエステル;ラウリル硫酸ナトリウム(ドデシル硫酸ナトリウム);脂肪酸アルカリ金属塩、アンモニウム塩、及びトリエタノールアミン塩などのセッケン類;ジメチルジアルキルアンモニウムハロゲン化物、アルキルピリジニウムハロゲン化物、及び酢酸アルキルアミンなどのカチオン性洗剤;スルホン酸アルキル、アリール及びオレフィン、硫酸アルキル、オレフィン、エーテル及びモノグリセリド、及びスルホコハク酸類などのアニオン性洗剤;脂肪アミンオキシド類、脂肪酸アルカノールアミド類、及びポリ(オキシエチレン)−ブロック−ポリ(オキシプロピレン)共重合体などの非イオン性洗剤;及び両性洗剤、例えば、アルキルβ−アミノプロピオネート及び2−アルキルイミダゾリン第四級アンモニウム塩;グリセリン、タンパク質、及びペプチド類などの湿潤剤;グリコール類などの水混和溶媒;及びその混合物が挙げられる。界面活性剤の例としては、リン脂質(例えば、卵黄レシチンまたはダイズレシチン、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、スフィンゴミエリン、ホスファチジルコリン)、ポリエチレングリコール、ポリオキシアルキレン共重合体、及びソルビタン脂肪酸エステルも挙げられる。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、油剤であり得る。油剤の限定されない例としては、単純脂質類、誘導脂質類、天然植物油及び脂肪由来の複合脂質類、動物油及び脂肪、ならびに鉱油、またはそれらの混合物が挙げられる。該油剤は、ダイズ油、オリーブ油、ゴマ油、ヒマシ油、トウモロコシ油、ピーナツ油、紅花油、ブドウ種子油、ユーカリ油、中鎖脂肪酸エステル、または低級脂肪酸エステルであり得る。動物油及び脂肪としては、肝油、アザラシ油、イワシ油、ドコサヘキサエン酸、及びエイコサペンタエン酸が挙げられるが、これに限定されない。鉱油としては、流動パラフィンが挙げられるが、これに限定されない。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、安定化剤であり得る。安定化剤としては、例えば、酸化の原因となり得るそれらの物質(例えば、金属類)の制御または捕捉により、酸化を防止するように作用する物質が挙げられる。安定化剤の例としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの金属隔離剤が挙げられる。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、金属塩(例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、及び炭酸リチウム);ミネラル(例えば、鉄、クロム、モリブデン及びカリウム);またはビタミン(例えば、B群、ビタミンC、ビタミンB12及び葉酸などの水可溶性ビタミン類及び獣医処方物);滅菌剤(例えば、ベンジルアルコール)などであり得る。1つの実施形態では、本開示のヒドロモルホン液剤は、実質的に、塩化ナトリウムを含まない。
本開示のヒドロモルホン液剤から除外され得る、またはそれに添加され得ない該「他の添加剤」は、乳化剤、賦形剤、希釈剤、溶剤、または懸濁剤であり得る。乳化剤、賦形剤、希釈剤、溶剤、及び懸濁剤は、当業者に周知である。具体例としては、本明細書で定義の、静菌水が挙げられるが、水または滅菌水は含まない。
滅菌化及び安定性
本開示のヒドロモルホン液剤は、有利に、滅菌性で、くも膜下腔内注射用に適切である。滅菌法についての絶対的なFDA基準がないが、医薬用液剤は、通常、約30分のFで、約121℃において、加熱レジメンを用いて滅菌される。熱的に安定な化合物では、効果的な方法であり得るが、いくつかの熱不安定な医薬品有効成分(API)では、この実行は、逆効果である。これらの場合では、得られた液剤は、滅菌され得るが、しばしば、該滅菌過程で、過剰な熱使用により、生じた分解生成物の許容できない増加に悩まされる。さらに、熱不安定なAPIを含む組成物は、しばしば、この分解を避けるため、最終滅菌されない。従って、無菌性基準を満足し続ける一方で、この熱分解が起こることを防ぐために、より厳しくない条件を利用する滅菌方法を見出し、実行することが望ましい。
実際、最終滅菌工程中、熱不安定なヒドロモルホンは、ヒドロモルホンN−オキシド(HNO)、6−β−テトラヒドロオリパビン(THO)、ジヒドロモルヒネ(DHM)、及びプソイドヒドロモルホン(PHM)など、望ましくない副生成物に変換する。これは、明らかに、液剤中のヒドロモルホンの量、従って、該液剤の全体の有効性を減少させる。加えて、該分解生成物は、毒性を含む望ましくない副作用を有し得る。市販で入手可能な非最終滅菌ヒドロモルホン液剤中で見られる副生成物の量を、下表に示す。
Figure 2016510739
最終滅菌法の代替は、滅菌(無菌)生成物を、滅菌性を維持する方法で、滅菌容器内に包装する工程である無菌処理である。これは、得られた液剤の滅菌性を犠牲にすることなく、最終滅菌の厳しい状態を回避する。ヒドロモルホンは、該最終滅菌工程の厳密さに影響を受けないので、無菌処理は、分解生成物のほとんど有しない液剤をもたらし得ると仮定された。
従って、分解生成物をほとんど有しないヒドロモルホンの水性液剤、好ましくは、長期間、様々な貯蔵条件でも安定である濃縮液剤の臨床的必要性がある。該ヒドロモルホン生成物の熱不安定性によって、無菌処理は、該ヒドロモルホン液剤の不純物減少のため、本明細書に開示される。
いくつかの実施形態では、該無菌処理は、本明細書に記載のヒドロモルホン液剤で、容器(例えば、バイアル、アンプル、または注射器)を無菌充填する前に、該ヒドロモルホン液剤を濾過することを含み得る。
滅菌であることに加えて、本開示のヒドロモルホン液剤は、それらの安定性も維持し、長期貯蔵期間後、及び変化する貯蔵条件下、低レベルの不純物を有する。該安定性(表示ラベルの%より測定されたとき)及び該液剤中に存在する不純物レベルは、実施例、特に実施例8で述べるように、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、決定され得る。
本開示のヒドロモルホン液剤は、好ましくは、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約1年間、または少なくとも約2年間の貯蔵後、安定である。好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、少なくとも約25℃、少なくとも約30℃、または少なくとも約40℃で、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約1年間、または少なくとも約2年間の貯蔵後、安定である。いくつかの特定の実施形態では、本開示のヒドロモルホン液剤は、少なくとも約25℃及び約60%RH、少なくとも約30℃及び約65%RH、または少なくとも約40℃及び約75%RHで、少なくとも約1ヶ月間、少なくとも約2ヶ月間、少なくとも約3ヶ月間、少なくとも約6ヶ月間、少なくとも約1年間、少なくとも約2年間の貯蔵後、安定である。
該ヒドロモルホン液剤は、好ましくは、低レベルの不純物も含む。不純物としては、例えば、プソイドヒドロモルホン、ジヒドロモルホン、ヒドロモルホンN−オキシド、6−β−テトラヒドロオリパビン、モルヒネ、8,14−ジヒドロオリパビン、及び未知不純物が挙げられ得る。不純物レベルは、当業者に公知のいずれかの技術を用いて、測定され得、好ましくは、実施例8で述べるような、HPLCを用いて、決定される。
好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約1%未満、または約0.5%未満、または約0.15%未満、または約0.05%未満のプソイドヒドロモルホンを含む。好ましくは、該液剤は、実質的に、プソイドヒドロモルホンを含まず、より好ましくは、検出可能レベルのプソイドヒドロモルホンを含まない。
好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約0.2%未満、または約0.1%未満、または約0.05%未満のヒドロモルホンN−オキシドを含む。好ましくは、該液剤は、実質的に、ヒドロモルホンN−オキシドを含まず、より好ましくは、検出可能レベルのヒドロモルホンN−オキシドを含まない。
好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約0.2%未満、または約0.15%未満、または約0.05%未満のジヒドロモルホンを含む。好ましくは、該液剤は、実質的に、ジヒドロモルホンを含まず、より好ましくは、検出可能レベルのジヒドロモルホンを含まない。
好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約0.2%未満、または約0.1%未満、または約0.05%未満の6−β−テトラヒドロオリパビンを含む。好ましくは、該液剤は、実質的に、6−β−テトラヒドロオリパビンを含まず、より好ましくは、検出可能レベルの6−β−テトラヒドロオリパビンを含まない。
好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約0.2%未満のモルヒネ、より好ましくは約0.15%未満、または約0.05%未満のモルヒネを含む。好ましくは、該液剤は、モルヒネを含まない。
好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約0.2%未満の8,14−ジヒドロオリパビン、より好ましくは約0.1%未満、または約0.05%未満の8,14−ジヒドロオリパビンを含む。好ましくは、該液剤は、実質的に、8,14−ジヒドロオリパビンを含まず、より好ましくは、検出可能レベルの8,14−ジヒドロオリパビンを含まない。
好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約0.2%未満、または約0.1%未満、または約0.05%未満の未知不純物を含む。好ましくは、該液剤は、実質的に、未知不純物を含まず、より好ましくは、検出可能レベルの未知不純物を含まない。
好ましくは、本開示のヒドロモルホン液剤は、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約1%未満の全不純物、より好ましくは約0.5%未満、または約0.2%未満、または約0.1%未満、または約0.05%未満の全不純物を含む。好ましくは、該液剤は、実質的に、不純物を含まず、より好ましくは、検出可能レベルの不純物を含まない。全不純物のレベルは、未知不純物量だけでなく、プソイドヒドロモルホン、ヒドロモルホンN−オキシド、ジヒドロモルホン、6−β−テトラヒドロオリパビン、モルヒネ、及び8,14−ジヒドロオリパビンなどの既知不純物量を含む。
好ましい実施形態では、本開示のヒドロモルホン液剤は、安定であり、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約1%未満のプソイドヒドロモルホン、約0.2%未満のヒドロモルホンN−オキシド、約0.2%未満のジヒドロモルホン、約0.2%未満の6−β−テトラヒドロオリパビン、約0.2%未満の未知不純物、約1%未満の全不純物、またはそのいずれかの組み合わせを含む。他の好ましい実施形態では、本開示のヒドロモルホン液剤は、安定であり、HPLCを用いて測定したとき、活性ピークのパーセント(%面積)として、約1%未満または約0.15%未満のプソイドヒドロモルホン、約0.05%未満のヒドロモルホンN−オキシド、約0.05%未満のジヒドロモルホン、約0.05%未満の6−β−テトラヒドロオリパビン、またはそのいずれかの組み合わせを含む。他の実施形態では、該ヒドロモルホン液剤は、安定であり、プソイドヒドロモルホン、ヒドロモルホンN−オキシド、ジヒドロモルホン、6−β−テトラヒドロオリパビン、またはそのいずれかの組み合わせを、実質的に含まない。
好ましくは、該ヒドロモルホン液剤は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、または少なくとも2年間、約25℃及び約60%RHで、約30℃及び約65%RHで、または約40℃及び約75%RHでの貯蔵後、上記列挙された不純物レベルの1つ以上を満たすだろう。
本開示のヒドロモルホン液剤は、低レベルの微粒子も有する。微粒子としては、溶解されていないヒドロモルホンまたはその薬剤的に許容可能な塩、または他の微粒子質が挙げられ得る。ヒドロモルホン液剤中に存在する微粒子量は、例えば、USP788に記載の光遮蔽型パーティクルカウンター試験を含む、当業者に公知のいずれかの適切な方法を用いて、決定され得る。該ヒドロモルホン液剤は、好ましくは、10μm以上及び25μm以上の大きさの微粒子に対して、それぞれ、6000及び600である微粒子レベルのUSPの限界を満たす。好ましくは、該ヒドロモルホン液剤は、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも1年間、または少なくとも2年間、約25℃及び約60%RHで、約30℃及び約65%RHで、または約40℃及び約75%RHでの貯蔵後、これらの限界を満たすだろう。
いくつかの実施形態では、該ヒドロモルホン液剤は、約1300以下、約1000以下、約750以下、約600以下、約400以下または約200以下の10μm以上の大きさの微粒子を含み得、及び/または約40以下、約20以下、または約10以下の25μm以上の大きさの微粒子、またはその組み合わせを含み得る。好ましくは、該ヒドロモルホン液剤は、微粒子を含まず、特に、溶解されていないヒドロモルホンまたは薬剤的に許容可能な塩を含まない。
実施形態では、くも膜下腔内塩酸ヒドロモルホンの液剤は、1.0%未満のプソイドヒドロモルホンを含む。
さらなる実施形態に従えば、くも膜下腔内塩酸ヒドロモルホンの液剤は、0.1%未満のプソイドヒドロモルホンを含む。
実施形態では、くも膜下腔内塩酸ヒドロモルホンの液剤は、0.2%未満のヒドロモルホンN−オキシドを含む。
別の実施形態に従えば、くも膜下腔内塩酸ヒドロモルホンの液剤は、ヒドロモルホンN−オキシドを、実質的に含まない。
別の実施形態に従えば、くも膜下腔内塩酸ヒドロモルホンの液剤は、ジヒドロモルホンを、実質的に含まない。
別の実施形態に従えば、くも膜下腔内塩酸ヒドロモルホンの液剤は、6−β−テトラヒドロオリパビンを、実質的に含まない。
1つの実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、最終滅菌されていない。
別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、微粒子を含まない、または実質的に含まない。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも1ヶ月間、25℃、相対湿度60%において、安定である。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも1ヶ月間、30℃、相対湿度65%において、安定である。
さらなる実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも1ヶ月間、40℃、相対湿度75%において、安定である。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも3ヶ月間、25℃、相対湿度60%において、安定である。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも3ヶ月間、30℃、相対湿度65%において、安定である。
さらなる実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも3ヶ月間、40℃、相対湿度75%において、安定である。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも6ヶ月間、25℃、相対湿度60%において、安定である。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも6ヶ月間、30℃、相対湿度65%において、安定である。
さらなる実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも6ヶ月間、40℃、相対湿度75%において、安定である。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも1年間、25℃、相対湿度60%において、安定である。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも1年間、30℃、相対湿度65%において、安定である。
さらなる実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも1年間、40℃、相対湿度75%において、安定である。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも2年間、25℃、相対湿度60%において、安定である。
さらに別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも2年間、30℃、相対湿度65%において、安定である。
さらなる実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、少なくとも2年間、40℃、相対湿度75%において、安定である。
滅菌、くも膜下腔内、水性塩酸ヒドロモルホン液剤を含む医薬用液剤が、本明細書に開示され、前記組成物は、緩衝剤を実質的に含まない。
別の実施形態に従えば、本明細書に記載の液剤は、くも膜下腔内送達に適切である。
本明細書中の開示は、塩酸ヒドロモルホンの滅菌、水性液剤から成る医薬用組成物である。
実施形態では、該塩酸ヒドロモルホン液剤の濃度は、10.0mg/mLである。
実施形態では、該塩酸ヒドロモルホン液剤の濃度は、2.0mg/mLである。
実施形態で、ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩を含む滅菌医薬用液剤が、本明細書で開示され、該液剤は、実質的に、緩衝剤を含まず、1つ以上の他の添加剤を含まなくてもよい。1つの特定の実施形態では、該液剤は、塩酸ヒドロモルホンを含む。
いくつかの実施形態では、該ヒドロモルホン組成物は、ヒドロモルホン及び/または1つ以上のその薬剤的に許容可能な塩及び水から、本質的に成る。従って、ヒドロモルホン及び/または1つ以上のその薬剤的に許容可能な塩及び水から、本質的に成る滅菌医薬用液剤も提供される。かかる実施形態では、該液剤は、ヒドロモルホンまたはその塩の分解の結果として固有に生成された不純物を含み得るが、該組成物に、肯定的に添加または含有されていた不純物、緩衝剤、または他物質または添加剤を含まない。1つの特定の実施形態では、該薬剤的に許容可能な塩は、塩酸ヒドロモルホンである。
実施形態で、ヒドロモルホン及び/またはその1つ以上の薬剤的に許容可能な塩を含む滅菌医薬用液剤が本明細書に記載され、該液剤は、緩衝剤を実質的に(または全く)含まず、次のものの1つ以上(例えば、いずれかの組み合わせ)を実質的に(または全く)含まない:ヒドロモルホンまたはヒドロモルホンの薬剤的に許容可能な塩以外のAPI;酸類;pH調節剤;防腐剤;高分子材料;乳化剤;潤滑剤;抗酸化剤;懸濁剤;賦形剤(水以外);希釈剤;油剤;界面活性剤;生理食塩水;溶剤;金属塩類;ミネラル類;ビタミン類;滅菌剤;及び安定化剤。
製造及び貯蔵方法
本明細書に開示のヒドロモルホン液剤の製造方法も、提供される。該液剤は、緩衝剤及び、随意に、1つ以上の他の添加剤の非存在下、ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩を、滅菌水と配合し、該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩を溶解して、本開示のヒドロモルホン液剤を生成することにより、製剤され得る。該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩のこの溶解は、該配合の結果として、簡単に起こり得、またはいずれかの適切な技術を用いて、該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩及び水を混合または撹拌により、促進され得る。該溶解が完了したとき、該液剤は、好ましく、均一であり、該液剤中に検出(当分野で、一般に公知の方法を用いて)または存在する溶解していないヒドロモルホンまたはその薬剤的に許容可能な塩は、ほとんど、または全くない。随意に、追加の滅菌水、及び/またはヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩が、最終の液剤中の該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩の濃度を所望のレベルに変えるため、要望通り、該液剤中に、添加及び溶解され得る。
該ヒドロモルホン液剤を製剤するため使用される該水(すなわち、該水中に溶解)中に、本来存在する酸素を含む、酸素は、該最終液剤の安定性及びpHに影響し得ることが発見された。より具体的に、酸素は、該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩の分解の程度を増加させ、従って、該液剤の不純物レベルを増加させ得る。従って、いくつかの実施形態では、該水中に存在するいくつか、または全ての酸素は、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスで、該水のスパージにより除去され得る。該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩との配合前、該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩が溶解した後、該液剤中の該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩の濃度が、さらに添加することにより、調節された後、またはそのいずれかの組み合わせを含む、該製造プロセス中のいずれかの時点でスパージされ得る。望ましくない酸素の存在を低減するため、該ヒドロモルホン液剤を、該製造プロセス中及び該液剤を容器に挿入する前、アルゴンまたは窒素などの不活性ガスでガスシールしてもよい。加えて、不活性ガスは、さらに酸素を追い出すために、該容器のヘッドスペース中に、添加または注入され得る。
製造後、該ヒドロモルホン液剤は、アンプル、バイアル、または注射器など、容器中に、無菌で挿入され得る。随意に、該液剤は、該容器に無菌充填前に、無菌的に濾過され得る。いくつかの実施形態では、該液剤は、例えば、0.2μm滅菌フィルターを用いて、無菌的に濾過され得る。
いくつかの実施形態では、該容器は、着色され得る。いかなる特定の理論に束縛されることを望むものではないが、露光は、該ヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩の分解、従って、該液剤の不純物生成及び変色の原因になる、または促進し得ると考えられる。着色容器の使用は、該液剤の光への曝露を減少するのを促進し、従って、不純物生成量を減少し得る。従って、いくつかの実施形態では、該容器は、褐色容器など、着色された容器である。
いくつかの実施形態では、該容器及び該ヒドロモルホン液剤間の相互作用を減少または排除するため、該容器は、該容器の内壁を不活性にするため、充填前に、処理され得る。例えば、容器、特に、ガラス容器は、経時で、該液剤のpHの変化をもたらし得る、該液剤及び該ガラス間のイオンの拡散または交換を阻止または低減するため、脱アルカリ処理され得る。当分野で公知のいかなる適切な容器処理も、使用され得る。1つの特定の実施形態では、該容器は、該容器の滅菌及び無菌充填前に、硫酸アンモニウムなど、硫酸塩で処理される。
1つの実施形態では、該容器は、バイアルである。該バイアルは、ガラスまたはプラスチックで製造され得る。クリンプトップを有する栓により、上部で閉栓され得る。フリップオフキャップも、オプションのタンパー防止及び/または色識別のため、使用され得る。色識別は、濃度及び/またはバイアルサイズにより実施され、それにより、開業医の間違いを減らし、レシピエントへの安全性を向上し得る。使用され得るキャップのタイプとしては、ゴム及びプラスチックが挙げられる。該バイアルのサイズは、例えば、20mlまたは40mlであり得る。1つの実施形態では、該バイアルは、褐色バイアルである。
他の実施形態では、該容器は、注射器である。くも膜下腔内注射に適切な、当分野で公知のいかなる注射器も使用され得る。1つの実例となる注射器を、図1に示す。
図1を参照して、該注射器10は、注射外筒14、ガスケット12が結合したプランジャー11、及びルアーロック式先端部13を含む。該注射外筒14は、2つの開口端を有するガラスまたはプラスチックから製造され得る。該注射器10は、様々なサイズであり得、例えば、5ml、20ml、または40mlのサイズを有し得る。該注射外筒14の一端は、分注するとき、該注射外筒14の他端に、該ヒドロモルホン液剤(図示せず)を留まらせるプランジャー11により塞がれる。ガスケット12は、該注射外筒14中の該液剤を密封するため、プランジャー11と結合している。該ガスケット12は、天然ゴムまたは合成ゴムなど、ゴム弾性材料から製造され得る。該注射外筒14の該分注端は、ルアーロック式先端部13により塞がれる。該ルアーロック式先端部13は、該液剤を分注するため、点滴システムと一緒になっている。
該ヒドロモルホン液剤のくも膜下腔内送達用点滴システムを充填及び再充填するため使用され得る、プレフィル注射器を製造するため、該注射器は、本開示のヒドロモルホン液剤で、無菌的に充填され得る。該プレフィル注射器は、該注射器の注射外筒を、本開示のヒドロモルホン液剤で無菌的に充填することにより、製造され得る。それから、該充填された注射器は、その中に、滅菌されたヒドロモルホン液剤を含有する、プレフィル注射器を製造するため、当分野で公知のいずれかの適切な技術を用いて、無菌的に密封(例えば、キャップ)される。特定の態様では、該プレフィル注射器は、続いて、外装包装材料(例えば、箱、密封トレイ、他)中に挿入され、包装されたプレフィル注射器として販売され得る。
従って、いつでも、該ヒドロモルホン液剤を、くも膜下腔中に直接注射または点滴システムに送達する状態になっている、本開示のヒドロモルホン液剤を含むプレフィル注射器も提供される。該注射器は、既に、該ヒドロモルホン液剤を含んでいるので、該液剤の投与または充填または該点滴システムの再充填前に、該組成物を、注射器に調製及び濾過の工程は、省かれる。開業医が、患者に治療を投与しながら、該液剤を調製及び濾過する必要がなく、例えば、アンプルのガラス粒子、細菌などで、該液剤の汚染の可能性も回避するので、この工程の省略は、充填及び該点滴システムの再充填を、より安全でより容易にする。開業医は、該プレフィル注射器を使用するために、単に、外装を開封すれば、いつでも、使用する状態になっている。
該容器及び/または包装は、該容器のサイズ(例えば、容器内の液剤の容量)及び/または該容器中の該ヒドロモルホン液剤の濃度の容易な識別を可能にするため、ラベル及び/または色識別されてもよい。該容器は、使用説明書と一緒に包装されてもよい。
上述のように、酸素の存在は、ヒドロモルホンまたはその塩の酸化、該液剤の不安定さ、及びpHの望ましくない変化をもたらし得る。該ヒドロモルホン液剤の酸化の機会を減少するために、存在するいかなる酸素も置換するため、それらを密封する前に、該容器にわたって、アルゴンまたは窒素などの不活性ガス雰囲気で覆い得る。注射器中の該ヒドロモルホン液剤の酸化は、該注射器中のヘッドスペースをなくすことによっても、最小にされ得、該注射器内の酸素を含むいかなる気体の存在を限定する。従って、別の実施形態では、該ヒドロモルホン液剤は、該容器内で、不活性雰囲気(例えば、窒素、アルゴン)下、貯蔵される。1つの特定の実施形態では、該ヒドロモルホン液剤は、バイアル内で、不活性雰囲気下、貯蔵される。
使用方法
本開示の該ヒドロモルホン液剤は、いずれもの種々様々な障害、状態、または疾病に関連する疼痛の治療を促進するため、使用され得る。従って、本開示は、疼痛緩和または予防を必要とする対象に、本開示のヒドロモルホン液剤を、くも膜下腔内に投与することを含む、対象の疼痛の治療方法をさらに提供する。該液剤は、いずれかの公知の技術(例えば、点滴システム、またはくも膜下腔中に直接、手動で注射などの薬剤送達デバイスを用いて)を用いて、くも膜下腔内に投与される。該ヒドロモルホン液剤は、くも膜下腔内点滴システムを用いた使用に、望ましく適切である。本開示の液剤は、当分野で公知のいずれかのくも膜下腔内送達システムを用いた使用に適切である。適切なくも膜下腔内薬送達システムは、市販されており、Medtronic SynchroMed(登録商標) Infusion System、SynchroMed(登録商標) II Programmable Pump、Johnson and Johnson Codman(登録商標) division pumps、及びInSet(登録商標) technologies pumpsが挙げられる。
1つの実例となるくも膜下腔内薬送達システムを、ポンプ送達システムを用いて使用されるとき、本開示のヒドロモルホン液剤(図示せず)で充填された注射器10を示す図2に図示している。該送達システムは、該注射器を該ポンプ21と連結するカテーテル23を含む。該ヒドロモルホン液剤は、該注射器10から、該カテーテル23を通して、該ポンプ21に分注され得る。それから、該ポンプ21は、該ヒドロモルホン液剤を、2番目のカテーテル22を通して、身体の所望の位置にポンピングする。
本開示の方法は、様々な異なるタイプの疼痛を治療するため、使用され得る。該疼痛の原因は、同定可能または同定可能でない。同定可能である場合、疼痛の起源は、例えば、悪性、非悪性、感染性、非感染性、または自己免疫起源であり得る。特に関心あるのは、長期治療、例えば、治療が、数日(例えば、約3日〜10日)〜数週(例えば、約3または4週〜6週)、数ヶ月または数年、該対象の残りの人生まで含む期間にわたった処置を含む、慢性及び/または遷延性疾病または状態を要する障害、疾病、または状態に関連する疼痛の治療である。現在、疾病または状態に患っていないが、それに罹り易い対象は、例えば、外傷性手術前、本開示のデバイス及び方法を用いて、予防的疼痛治療の利益も受け得る。本開示に従った治療に適している疼痛は、無痛期間を有する変化する疼痛、または重症度が変わる実質的に間断のない疼痛の長期の発症を含み得る。
一般に、疼痛は、体細胞起源、神経原性、または心因性であり得る。体細胞起源疼痛は、筋肉または骨性(すなわち、変形性関節症、腰仙背部痛、外傷後、筋膜)、内臓性(すなわち、慢性膵炎、潰瘍、過敏性腸)、虚血性(すなわち、閉塞性動脈硬化症)、またはがん進行関連性(例えば、悪性または非悪性)であり得る。神経原性疼痛は、外傷後及び術後神経痛に起因し得、神経障害関連性(すなわち、糖尿病、毒性、他)であり得、及び神経絞扼、顔面部神経痛、会陰神経痛、切断術後、視床、灼熱痛、及び反射性交感神経性ジストロフィーに関連性であり得る。
本開示に従った治療に適している疼痛の状態、疾病、障害、及び起源の具体例としては、非消耗性傷害(例えば、背部、頚部、脊椎、関節、脚、腕、手、足、他に対して)、関節痛(例えば、関節リウマチ、変形性関節症、未知の原因の関節炎症状、他)、遺伝性疾患(例えば、鎌状赤血球貧血)、感染症及び結果として生じる症候群(例えば、ライム病、AIDS、他)、慢性頭痛(例えば、偏頭痛)、灼熱痛、知覚過敏、交感神経性ジストロフィー、幻肢症候群、除神経などだけでなく、がん疼痛(例えば、転移性または非転移性がん)、慢性炎症性疾患疼痛、神経因性疼痛、術後痛、医原性疼痛(例えば、侵襲的治療法または高線量放射線療法後の疼痛、例えば、運動の自由及び相当の慢性疼痛の消耗性妥協をもたらす瘢痕組織形成を含む)、複合性局所疼痛症候群、機能不全(failed−)背部痛(慢性背部痛)、軟組織の痛み、関節及び骨の痛み、中枢性疼痛、傷害(例えば、消耗性傷害、例えば、対麻痺、四肢麻痺、他)が挙げられるが、必ずしもこれに限定されない。疼痛は、身体のいずれかの部分、例えば、筋骨格系、内臓器官、皮膚、神経系、他などに関連し得る。
悪性または非悪性がんのいずれもの型と関連する疼痛は、本開示に記載の緩和するものに適している。疼痛(該がんそれ自体の性質または該がんを治療するための療法による)に関連し得るがんの具体例としては、肺がん、膀胱がん、メラノーマ、骨がん、多発性骨髄腫、脳がん、非ホジキンリンパ腫、乳がん、口腔がん、子宮頸がん、卵巣がん、結腸がん、直腸がん、膵がん、異形成母斑、内分泌がん、前立腺がん、頭頸部がん、肉腫、ホジキン病、皮膚がん、腎がん、胃がん、白血病、精巣がん、肝がん、子宮がん、及び再生不良性貧血が挙げられるが、必ずしもこれに限定されない。神経因性疼痛の特定の型も、本開示に記載の治療に適し得る。
本開示の方法を用いた治療も適している慢性背部痛は、本開示の方法の応用により緩和され得る疼痛の別の広義の分類である。慢性背部痛は、一般に、次の6つの原因の1つ以上に起因する:(i)滑り、関節炎、または側弯症が原因の椎間関節のストレス;(ii)神経根症、膨らんでいる盤または腫瘍によって神経根の機械的圧迫;(iii)腱炎または腱捻挫;(iv)筋痙攣または筋捻挫;(v)虚血、循環流の局所不全;及び(vi)神経障害、代謝性病因のまたは腫瘍から生じる神経組織への損傷または中枢神経系疾患。
該ヒドロモルホン液剤は、該疼痛の治療に適切ないずれかの投薬レジメンで、投与され得る。該液剤は、数時間、1〜数週間、1〜数ヶ月、1年以上までの範囲の前以て選択された投与期間にわたって、継続的に及び/または間隔をおいて、投与され得る。1つの実施形態では、該液剤は、約0.5mg/日〜約4mg/日のヒドロモルホン及び/またはその薬剤的に許容可能な塩の用量を提供するため、十分な量で、投与される。点滴システムを用いて投与されるとき、該液剤は、約0.05ml/日〜約0.1ml/日を含む、約0.05ml/日〜約0.4ml/日の点滴速度を含む、いずれかの適切な点滴速度で投与され得る。
1つの態様では、塩酸ヒドロモルホンの滅菌水性液剤の投与により、疼痛の治療方法が、本明細書で、開示され、前記液剤は、実質的に、緩衝剤または他の添加剤を含まない。
定義
本明細書で使用されるとき、以下の用語は、指示された意味を有する。
本明細書で使用されるとき、「約」という語は、誤差限界内で可変するような値を表す、修正する数値を特定するものとする。データチャートまたは表中の所与の平均値に対する標準偏差などの特定の誤差限界が列挙されないとき、「約」という語は、列挙された値を包含するはずである範囲及び、その上、有効数字を考慮して、その数字に切り上げまたは切り捨てることにより含まれるはずである範囲を意味すると理解されるべきである。
請求の範囲の液剤に関して、本明細書で使用されるとき、「滅菌」という語は、該液剤が、米国薬局方(USP)に記載の滅菌性の基準を満足または超えることを意味する。ある特定の実施形態では、本開示の滅菌液剤は、全ての検出可能な生細菌または他の微生物及びそれらの胞子を含まない。本開示の組成物の滅菌性を、当分野で公知のいずれかの適切な技術を用いて、試験し得る。
本明細書で使用されるとき、「微粒子」という語は、薬剤溶液中に、故意ではなく、存在する、気泡以外の溶解していない粒子を表すことを意味するものとする。
本明細書で使用されるとき、「くも膜下腔内」という語は、脳及び脊髄を覆うくも膜の下部空間への導入、または、内で起こることを意味する。くも膜下腔内薬送達は、くも膜下腔に、直接、鎮痛薬を送達することにより、難治性がん疼痛など、慢性疼痛及び/または痙縮を治療するため、設計される。くも膜下腔内薬送達は、通常、手術により移植した点滴ポンプ及びカテーテルにより、鎮痛薬を、該くも膜下腔に、直接、送達するため、移植可能な点滴システムを使用するが、注射器(例えば、手動で注射)を用いて、該くも膜下腔中に、該薬剤の直接注射も表す。
本開示の液剤に関して、本明細書で使用されるとき、「安定」という語は、約1ヶ月間、約3ヶ月間、約6ヶ月間、約1年間、または約2年間など、該液剤が貯蔵及び送達される時間にわたって、該液剤または組成物が、該患者に、実質的に、同じ治療的利益を提供するように、その製造時に有する貯蔵及び使用のその期間ずっと、実質的に、同じ特性及び特徴を保持することを意味する。例えば、特定の実施形態では、本明細書に開示の液剤または組成物は、HPLCアッセイにより測定したとき、もし、約12週間後、ラベル上の表示(%LC)の通り、3%以内の塩酸ヒドロモルホンの量を含有しているならば、安定である。
本明細書で使用されるとき、「医薬品有効成分」または「API」という語は、医薬品で使用され得、及び単独または別の物質との併用で供給することを意図されるいずれもの物質、薬理活性または、さもなければ、疾病の診断、治癒、緩和、治療または予防の直接的効果を有すること、またはヒトまたは他の哺乳類の生理機能を回復、矯正、または修正する直接的効果を有することを意味する。
本開示の液剤に関して使用されるとき、「実質的に含まない」という語は、指定物質(例えば、緩衝剤または「他の添加剤」)が、該液剤の製造中に、該液剤に、肯定的に、添加されていなかったことを意味する。
本明細書で使用されるとき、「他の添加剤」という語は、一般に、ヒドロモルホン液剤など−医薬用組成物または液剤中に含有されることが知られているものを含む、本開示の液剤に、肯定的に、添加され得るいずれもの他の添加剤、成分または薬剤を表し、及び含む。本開示の液剤から除外、従って、それに添加されなくてもよい添加剤としては:ヒドロモルホンまたはヒドロモルホンの薬剤的に許容可能な塩以外の医薬品有効成分(「API」);酸類;pH調節剤;防腐剤;高分子材料;乳化剤;潤滑剤;抗酸化剤;懸濁剤;賦形剤(水以外);希釈剤;油剤;界面活性剤;生理食塩水;溶剤;金属塩類;ミネラル類;ビタミン類;滅菌剤;及び安定化剤、及びそのいずれかの組み合わせが挙げられ得るが、これに限定されない。
本明細書に開示の治療方法に関して使用されるとき、「対象」は、ヒトまたは他の哺乳類を表す。
「疼痛の治療」にあるような「治療」は、疼痛及び/または疼痛症状の部分的または完全な緩和を提供するため、疼痛の重症度及び/または強度の減少の両方を包含するため、本明細書で使用される。該効果は、疼痛の重症度を完全または部分的に、予防または減少する観点で、予防的であり得る。
「疼痛治療」という語は、一般に、主観的基準、客観的基準、または両方により決定したとき、対象を、より快適にするため、急性及び慢性疼痛を含む疼痛の退行、抑制、または緩和を説明するために、ここで使用される。一般に、疼痛は、患者の報告により、医療専門家が、痛みに対する人の主観的反応が変わることが知られている、患者の年齢、文化的背景、環境、及び他の心理的背景因子を考慮して、主観的に評価される。
該ヒドロモルホン液剤に関して、本明細書で使用されるとき、「水性」という語は、該液剤が、水を含むことを意味する。
本明細書で開示の特定の実施形態は、次の限定されない実施例により、例証され得る。
実施例1
0.2%クエン酸塩緩衝剤を含む10.0mg/mL塩酸ヒドロモルホン液剤の製剤
1Lの注射用水(WFI)に、40.4gのクエン酸緩衝剤を添加して、混合物を、10±2分間、撹拌する。得られた溶液に、200.0gの塩酸ヒドロモルホン及び2LのWFIを添加する。それから、混合物を、45分間、撹拌する。得られた溶液を、WFIで、20Lになるまで希釈して、さらに、少なくとも10分間、撹拌する。
実施例2
0.1%クエン酸塩緩衝剤を含む10.0mg/mL塩酸ヒドロモルホン液剤の製剤
1LのWFIに、20.2gのクエン酸緩衝剤を添加して、混合物を、10±2分間、撹拌する。得られた溶液に、200.0gの塩酸ヒドロモルホン及び2LのWFIを添加する。それから、混合物を、45分間、撹拌する。得られた溶液を、WFIで、20Lになるまで希釈して、さらに、少なくとも10分間、撹拌する。
実施例3
0.05%クエン酸塩緩衝剤を含む10.0mg/mL塩酸ヒドロモルホン液剤の製剤
1LのWFIに、10.1gのクエン酸緩衝剤を添加して、混合物を、10±2分間、撹拌する。得られた溶液に、200.0gの塩酸ヒドロモルホン及び2LのWFIを添加する。それから、混合物を、45分間、撹拌する。得られた溶液を、WFIで、20Lになるまで希釈して、さらに、少なくとも10分間、撹拌する。
実施例4
0.03%クエン酸塩緩衝剤を含む10.0mg/mL塩酸ヒドロモルホン液剤の製剤
1LのWFIに、6.06gのクエン酸緩衝剤を添加して、混合物を、10±2分間、撹拌する。得られた溶液に、200.0gの塩酸ヒドロモルホン及び2LのWFIを添加する。それから、混合物を、45分間、撹拌する。得られた溶液を、WFIで、20Lになるまで希釈して、さらに、少なくとも10分間、撹拌する。
実施例5
0%クエン酸塩緩衝剤を含む10.0mg/mL塩酸ヒドロモルホン液剤の製剤
3LのWFIに、200.0gの塩酸ヒドロモルホンを添加する。混合物を、45分間、撹拌する。得られた溶液を、WFIで、20Lになるまで希釈して、さらに、少なくとも10分間、撹拌する。
実施例6
様々な量の緩衝剤を含む塩酸ヒドロモルホン液剤の不純物プロファイル
HPLCアッセイにより測定したとき、APIのラベル表示のパーセント(%LC)だけでなく、各不純物量を示す、実施例1〜5で製造された組成物の不純物プロファイル。
Figure 2016510739
実施例7
0%緩衝剤を含む塩酸ヒドロモルホン液剤の経時的不純物プロファイル
HPLCアッセイにより測定したとき、ヒドロモルホンHClのラベル表示のパーセント(%LC)だけでなく、各不純物量を示す、実施例5で製剤された組成物の経時的不純物プロファイル。
Figure 2016510739
データは、緩衝剤を含む組成物が、緩衝剤を含まない組成物と同じレベルの不純物を有することを示している。これは、緩衝剤が、不純物の観点からすると、該組成物の本質的部分ではないことを指摘している。さらに、追加のデータは、緩衝剤を含まない組成物が、経時で、その低レベルの不純物を維持し、緩衝剤が、該組成物の長期安定化に必須ではないことを指摘していることを示している。
緩衝剤を含まない処方物は、試験された期間にわたって、小さなpH変化(0.5pH単位のみ)を有する。これは、該緩衝剤が、経時で、pHを安定に保持するため、必要ではないことを指摘している。不純物データと合わせたこのpHデータは、観察される小さなpH変化が、該処方物の純度に有害作用を有しないことを示している。さらに、緩衝剤のないことで、緩衝剤含有処方物より、患者の生来の脳脊髄液の生理pHに近いpH(5.0対4.1)の処方物を得る。
実施例8
不純物生成に対する最終滅菌の影響
不純物生成に対する最終滅菌の影響について、様々な量のクエン酸塩緩衝剤を含むヒドロモルホンHCl液剤を評価した。
10mg/mlのヒドロモルホンHCl濃度を有するヒドロモルホンHCl液剤(液剤A〜E)の5バッチ(各400L)を、様々な量のクエン酸塩緩衝剤及びWFI(Steriles Southから入手)を用いて、製剤した。WFIを、配合タンクに添加して、混合を開始した。該WFI中に存在する溶存酸素を除去するため、該WFIを窒素でスパージした。クエン酸塩緩衝剤を含む液剤のため、クエン酸塩緩衝剤を、所望の最終濃度の緩衝剤を得るために十分な量で、該タンクに添加し、得られた混合物を、10±2分間、撹拌した。ヒドロモルホンHClを、得られた混合物(または、もし、クエン酸塩緩衝剤を使用しないならば、WFIに)に添加し、混合物を、ヒドロモルホンHClが溶解して、混合物が均一になるまで、撹拌した。一旦、溶解して均一になれば、混合物を、窒素でスパージした。得られた溶液を、WFIで希釈して、10mg/mlのヒドロモルホンHCl濃度を得て、さらに、少なくとも10分間、撹拌した。溶液を、再度、窒素でスパージし、濾過して貯蔵タンク中に入れた。容器充填前の貯蔵期間中、窒素雰囲気を維持した。
該液剤を、褐色20ccガラスバイアルを充填するため使用した。20ccゴムバイアルキャップ(Westから入手可能)及びフリップトップアルミ製クリンプ(Westから入手可能)を、容器施栓系として使用した。充填された容器を、最終滅菌(TS)または最終滅菌保留(非最終滅菌、NTS)のいずれかを実施した。最終滅菌する容器を、121℃以上で、20分間、滅菌した。液剤A〜Eの製造の要約を、下表1に示す:
Figure 2016510739
ヒドロモルホンHCl(10mg/ml)の125個の市販試料も、Best Value Drugs(ノースカロライナ州、ファームビル)から購入した。
該市販試料及び液剤A〜Eを、0日目(すなわち、液剤A〜Eを製剤した日)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて、安定性(%LC)及び不純物について試験した。相対保持時間(RRT)0.56及び0.80(ヒドロモルホンHClピーク溶出時間と比較して)にあるHPLCカラムから溶出された未知不純物パーセントも、測定した。結果を、下表2に示す。
Figure 2016510739
表2から分かるように、0日目の液剤のpHは、4.1〜5.0の範囲であった。クエン酸塩緩衝剤を含まない液剤Bは、最も高いpH(すなわち、pH5.0)を有し、さらに、緩衝剤の非存在が、緩衝剤含有液剤(すなわち、組成物A及びC〜E及び市販組成物)より、脳脊髄液の生来の生理pHに近いpHの液剤を得ることを示した。ヒドロモルホンHClのラベル表示パーセント(%LC)の評価値は、99.0%〜100.8%の範囲であり、全て、適合しており、正常な分析誤差内である。既知不純物プソイドヒドロモルホン(PHM)、0.80RRTの未知不純物及び全不純物のレベルは、非最終滅菌製品と比較したとき、最終滅菌製品で、高かった。これらの結果は、ヒドロモルホンHClの最終滅菌は、該液剤の安定性に、悪影響を及ぼすことを示唆している。
実施例9
安定性及び不純物生成に対する、最終滅菌及び貯蔵条件の影響
安定性及び不純物生成に対する、液剤の最終滅菌及び貯蔵条件の影響について、様々な量のクエン酸塩緩衝剤を含むヒドロモルホンHCl液剤を評価した。
実施例8の液剤A〜Eの最終滅菌試料を、25℃、30℃または40℃において、正位または逆位のどちらかで、貯蔵し、製造後3、7、14、28、56、及び84日目の安定性(%LC)及び不純物について試験した。実施例8の市販組成物も、試験した。結果を、液剤B(クエン酸塩緩衝剤を含まない)の非最終滅菌試料で得られたものと比較した。結果を、下表3〜8に示す。
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試験期間にわたって、全試料の外観は、透明、無色であり、目に見える微粒子状物質はなかった。試験した全pH値は、3.5〜5.5の予想される規格以内であった。表3〜8から分かるように、液剤B(クエン酸塩緩衝剤を含まない)の最終滅菌及び非最終滅菌試料の両方は、試験した、各日及び貯蔵条件において、液剤A及びC〜E及び市販組成物より、高いpHを有し、さらに、緩衝剤の非存在が、緩衝剤含有液剤(例えば、液剤A及びC〜E及び市販組成物)より、脳脊髄液の生来の生理pHに近いpHの液剤を得る。
既知の不純物(及び特定のPHM)、0.80RRTの未知の不純物、及び最終滅菌液剤A〜Eの全不純物のレベルは、液剤B(クエン酸塩緩衝剤を含まない)の非最終滅菌試料と比較したとき、試験した各日において高かく、ヒドロモルホンHCl液剤の最終滅菌が、該液剤の安定化に悪影響を及ぼすことを示した。
市販組成物と比較したとき、3日目、25℃貯蔵;及び28日目、25℃貯蔵(その両方は、対応する市販試料と同様なレベルのPHMを有していた)における液剤Bの最終滅菌試料を例外として、液剤A〜Eの最終滅菌試料は、全て、試験した全日及び貯蔵条件において、低レベルの既知不純物、特に、PHMを有した。同様に、3日目、30℃;7日目、30℃;28日目、25℃及び30℃;56日目、40℃;及び84日目、40℃(その全ては、対応する市販試料と比較したとき、同程度の全不純物を有していた)における液剤Cの最終滅菌試料を例外として、全不純物のレベルは、試験した全日及び期間において、市販組成物と比較したとき、最終滅菌液剤A及びC〜Eで、より少なかった。対照的に、0.80RRTにおける未知不純物のレベルは、市販組成物と比較したとき、最終滅菌液剤A〜Eで、高かった。
3日目の不純物データの詳しいレビューで、RRT0.80の未確認ピークは、他不純物ピークより大きく、組成物A〜Eの全最終滅菌試料の7,7−ジヒドロキシ−ヒドロモルホンのICH閾値を超えていることが分かった。全最終滅菌試料は、この時点において試験した液剤Bの非最終滅菌試料だけでなく、市販組成物と比較したとき、RRT0.80において、より高い不純物レベルを有した。この未知ピークは、市販組成物試料だけでなく、最終滅菌及び非最終滅菌の両方の液剤B試料で存在したにもかかわらず、異なる試料の不純物レベルの有意差があった;すなわち、未確認不純物レベルが、市販試料、液剤Bの非最終滅菌試料、及び液剤Bの最終滅菌試料の0.80RRTピークに対して、それぞれ、約0.07%、<0.05%、または0.21%であった。従って、製品不純物プロファイルに対する、最終滅菌の影響をさらに評価するため、市販組成物を、液剤A〜E(すなわち、121.1℃で20分間)と同じプロトコルを用いて、最終滅菌した。未知不純物は、最終滅菌した市販組成物で、0.80RRTにおいて、0.17%であると分かった。従って、非最終滅菌市販組成物及び非最終滅菌液剤Bが、約0.05%レベルの0.80RRT不純物を有した一方、市販組成物及び液剤Bの最終滅菌試料は、両方とも、約0.2%レベルの0.80RRT不純物を有した。これは、該市販組成物が、最終滅菌よりむしろ、無菌的に充填されたことを示唆している。
ICHガイドラインに従えば、ヒドロモルホンHClくも膜下腔内注射の計画的投薬のため、未知不純物の認定する閾値は、0.20%である。0.80RRT不純物のレベルを、該認定閾値より低く制御するため、本開示の液剤は、無菌処理されるべきで、最終滅菌されないことが好ましい。
実施例10
様々な貯蔵条件下、最終滅菌された塩酸ヒドロモルホン液剤の経時的微粒子プロファイル
液剤A及び実施例8の市販組成物は、様々な貯蔵条件下、逆位で貯蔵され、ヒドロモルホンHClを含むバイアルを製剤するための実施例8で使用された容器(バイアル)施栓系(すなわち、ゴム20ccバイアルキャップ及びフリップトップアルミ製クリンプを有する褐色ガラス20ccバイアル)が、液剤品質に影響するかどうかを決定するため、微粒子生成について、8週間にわたって評価した。微粒子レベルを、液剤Aの市販組成物及び最終滅菌及び非最終滅菌の両方の試料について、0日目においても、試験した。結果を、表8に示す。
Figure 2016510739
各液剤中に存在する10μm以上及び25μm以上のサイズを有する微粒子量を、USP788に記載の光遮蔽型パーティクルカウンター試験を用いて、決定した。
表9から分かるように、市販組成物は、190〜1310個の10μm以上のサイズの微粒子及び0〜40個の25μm以上のサイズの微粒子を有した一方、液剤Aは、8週間の実験にわたって、180〜1450個の10μm以上のサイズの微粒子及び10〜60個の25μm以上のサイズの微粒子を有した。10μm及び25μmサイズの微粒子についてのこの試験のUSP限界は、それぞれ、6000及び600である。従って、実施例8でバイアルを製剤するため使用された容器施栓系は、該製品中の微粒子レベルに、悪影響を及ぼさなかった。
実施例11
様々な貯蔵条件下、0%緩衝剤を含む塩酸ヒドロモルホン液剤の経時的組成プロファイル
標準貯蔵条件(20℃/60%RH)または加速貯蔵条件(40℃/75%RH)下、貯蔵された10mg/mLヒドロモルホンHCl液剤の不純物プロファイル及び安定性を、36ヶ月(標準貯蔵)または6ヶ月(加速貯蔵)までの様々な時点において決定した。
0%の緩衝剤を含むヒドロモルホンHCl液剤を、製剤して、実施例8に記載の通り濾過した。該液剤を、約20mL褐色バイアル(Glass Group Inc.,DSM Material No.311398から入手可能)に充填するため、使用した。20mmバリアフェイスキャップ(West,DSM Material No.006262から入手可能)及び20mmフリップオフシール(West,DSM Material No.005786から入手可能)を容器施栓系として使用した。該容器施栓系は、USP661モノグラフ要件に適合する。該充填された容器を、最終滅菌しなかった。
該液剤の外観を、該液剤が、透明、無色であり、及び目で見える汚染物を本質的に含んでいないことを確認するため、目視で検査した。該液剤が、試験期間において、USPまたはヨーロッパ薬局方基準に適合するどうかを決定するため、ラベル表示パーセント、関連物質及び不純物のレベル、微粒子状物質のレベル、菌体内毒素のレベル、及び滅菌性を評価した。pHも試験した。結果を、下表10及び11に示す:
Figure 2016510739
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表10及び11から分かるように、該液剤は、全試験期間において、標準貯蔵条件下及び加速貯蔵条件下の両方で、外観、クレーム表示、不純物レベル、pH、微粒子状物質、菌体内毒素レベル、及び滅菌性の要件を満足した。
実施例12
様々な貯蔵条件下、0%緩衝剤を含む塩酸ヒドロモルホン液剤の経時的不純物プロファイル
25℃、30℃、または40℃で貯蔵した10mg/mLヒドロモルホンHCl液剤の不純物プロファイル及び安定性を、84日間までの様々な時点において測定した。
0%緩衝剤を含むヒドロモルホンHCl液剤を製剤し、濾過して、酸素を除去するため、製剤中にスパージしなかったことを除いて、実施例11に記載のように、バイアルに充填した。充填した容器を、最終滅菌しなかった。
pH、ラベル表示パーセント、及び不純物レベルを、0日目(すなわち、該液が製造された日)及び製造後、3、7、14、28、56、及び84日目において試験した。ラベル表示パーセント及び不純物レベルを、実施例8に記載のように、HPLCを用いて、測定した。結果を、下表12〜14に示す。
Figure 2016510739
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表12〜14から分かるように、緩衝剤を含まない液剤のpHは、試験した期間にわたって、各貯蔵温度において、小さいpH変化のみしか有しなかった(25℃、30℃、及び40℃貯蔵温度において、それぞれ、0.7のみ、0.7、及び0.8pH単位)。これは、緩衝剤が、高い貯蔵温度においてさえ、pHを、経時的に安定に保持するため、必要でないこと示している。
表12〜14から分かるように、3日目〜84日目では、PHM、未知不純物(0.80RRT)、及び全不純物のレベルは、比較的、一定のままである一方、0日目〜3日目のPHM、未知不純物(0.80RRT)、及び全不純物のレベルの初期ジャンプもあった。いかなる特定の理論に束縛されることを望むものではないが、不純物レベルのこの初期増加は、該液剤中の溶存酸素及び/またはバイアルのヘッドスペース内の酸素の存在によって、速い分解の結果であると考えられる。一旦、この酸素が消費されるならば、分解速度は減少して、不純物レベルは安定する。
実施例13
この実施例では、ヒドロモルホンHCl液剤(10mg/ml)の様々なロットで、既知及び未知不純物レベルを、様々な貯蔵条件において、6ヶ月にわたって、試験した。該ヒドロモルホンHCl液剤は、緩衝剤を含んでいなかった。結果を、下表15に示す。
Figure 2016510739
Figure 2016510739
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表15から分かるように、加速貯蔵条件下(すなわち、40℃、75%RH)、6ヶ月の貯蔵後でさえ、不純物レベルの有意な増加はなく、該液剤が、緩衝剤なしでさえ、推奨貯蔵条件下、2年の貯蔵後、安定であるはずであることを示した。
前述の説明から、当業者は、本開示の本質的特徴を、容易に確認し得、その精神と範囲を逸脱することなく、様々な利用及び条件に、それを適応するため、本開示の様々な変更及び修正をなし得る。

Claims (24)

  1. ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせを含む滅菌医薬用液剤であって、前記液剤が、緩衝剤を、実質的に含まない前記液剤。
  2. 前記液剤が、ヒドロモルホンまたはその薬剤的に許容可能な塩以外の医薬品有効成分、酸、pH調節剤、防腐剤、高分子材料、乳化剤、潤滑剤、酸化防止剤、懸濁剤、水以外の賦形剤、希釈剤、油剤、界面活性剤、生理食塩水、溶剤、金属塩、ミネラル、ビタミン、滅菌剤、安定化剤、及びその組み合わせから成る群から選択される1つ以上の他の添加剤を、実質的に含まない、請求項1記載の液剤。
  3. 前記液剤が、塩酸ヒドロモルホンを含む、請求項1または請求項2記載の液剤。
  4. ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせ、及び水から本質的に成る、滅菌医薬用液剤。
  5. 前記薬剤的に許容可能な塩が、硫酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホン塩化ナトリウム、トリフルオロ酢酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンチオセミカルバゾン塩酸塩、ペンタフルオロプロピオン酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンp−ニトロフェニル−ヒドロゾン、ヒドロモルホンヒドラジン、ヒドロモルホン臭化水素酸塩、粘液酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンメチルブロミド、オレイン酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホンN−オキシド、酢酸ヒドロモルホン、二塩基性リン酸ヒドロモルホン、一塩基性リン酸ヒドロモルホン、ヒドロモルホン無機塩、ヒドロモルホン有機塩、酢酸ヒドロモルホン三水和物、ビス(ヘプタフルオロ酪酸)ヒドロモルホン、ヒドロモルホンビス(メチルカルバメート)、ヒドロモルホン(ビス−ペンタフルオロプロピオネート)、ヒドロモルホンビス(ピリジン−3−カルボキシレート)、ヒドロモルホンビス(トリフルオロアセテート)、ヒドロモルホン二酒石酸塩、ヒドロモルホンクロロハイドレート、硫酸ヒドロモルホン五水和物、及びその組み合わせから成る群から選択される、請求項1〜4のいずれか1つに記載の液剤。
  6. 前記液剤が、塩酸ヒドロモルホン及び水から本質的に成る、請求項4記載の液剤。
  7. 前記液剤が、約1.0%未満のプソイドヒドロモルホン、約0.1%未満のヒドロモルホンN−オキシド、約0.15%未満のジヒドロモルホン、及び約0.1%未満の6−β−テトラヒドロオリパビンを含む、請求項1〜6のいずれか1つに記載の液剤。
  8. 前記液剤が、少なくとも3ヶ月間の貯蔵後、約0.15%未満のプソイドヒドロモルホン、約0.05%未満のヒドロモルホンN−オキシド、約0.05%未満のジヒドロモルホン、及び約0.05%未満の6−β−テトラヒドロオリパビンを含む、請求項7記載の液剤。
  9. ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせ、及び水から成る滅菌医薬品液剤。
  10. 前記液剤が、塩酸ヒドロモルホン及び水から成る、請求項9記載の液剤。
  11. 前記液剤のpHが、約3〜約7である、請求項1〜10のいずれか1つに記載の液剤。
  12. 前記液剤のpHが、少なくとも3ヶ月間の貯蔵後、約4〜約5である、請求項11記載の液剤。
  13. 前記液剤が、約25℃及び相対湿度約60%、約30℃及び相対湿度約65%、または約40℃及び相対湿度約75%において貯蔵される、請求項1〜12のいずれか1つに記載の液剤。
  14. 前記液剤が、少なくとも3ヶ月間、約25℃、相対湿度約60%において安定である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の液剤。
  15. 前記液剤が、少なくとも3ヶ月間、約30℃、相対湿度約65%において安定である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の液剤。
  16. 前記液剤が、少なくとも3ヶ月間、約40℃、相対湿度約75%において安定である、請求項1〜13のいずれか1つに記載の液剤。
  17. 前記液剤を、対象にくも膜下腔内投与することにより、それを必要とする前記対象の疼痛を治療するための、請求項1〜16のいずれか1つに記載の液剤。
  18. 医薬品液剤の製造方法であって、前記方法が、ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせを、緩衝剤の非存在下、滅菌水と配合すること、及び前記ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせを溶解して、前記液剤を生成することを含む前記方法。
  19. 前記薬剤的に許容可能な塩が、塩酸ヒドロモルホンである、請求項18記載の方法。
  20. 前記ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせが、ヒドロモルホンまたはその薬剤的に許容可能な塩以外の医薬品有効成分、酸、pH調節剤、防腐剤、高分子材料、乳化剤、潤滑剤、酸化防止剤、懸濁剤、水以外の賦形剤、希釈剤、油剤、界面活性剤、生理食塩水、溶剤、金属塩、ミネラル、ビタミン、滅菌剤、安定化剤、及びその組み合わせから成る群から選択される1つ以上の添加剤の非存在下、前記滅菌水と配合される、請求項18または請求項19記載の方法。
  21. 前記滅菌水を、不活性ガスでスパージすることをさらに含む、請求項18〜20のいずれか1つに記載の方法。
  22. 前記滅菌水が、前記ヒドロモルホン、その薬剤的に許容可能な塩、またはその組み合わせを溶解した後、前記ヒドロモルホンまたはその薬剤的に許容可能な塩と配合する前に、前記不活性ガスでスパージされる、請求項21記載の方法。
  23. 前記液剤を無菌充填することを含む、請求項18〜22のいずれか1つに記載の方法。
  24. アンプル、バイアル、及び注射器から成る群から選択される容器を、前記液剤で無菌充填することをさらに含む、請求項18〜23のいずれか1つに記載の方法。
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