本発明は、ラジエータなどの熱交換器の中を通るエンジン冷却剤流体の流れを制御することによって、エンジンの温度を制御する油圧作動式サーモスタットシステムを提供する。用語「ラジエータ」と「熱交換器」を同義的に使用する場合がある。本発明のシステムは、エンジンの冷却を提供するように構成され、冷却は、エンジンの所定の温度でおよび/または即時的なエンジンの要求によって定義される温度で進めることができる。本発明の油圧作動式サーモスタットシステムは、さらに、エンジンの冷却を終了するように構成され、冷却は、エンジンの所定の温度でおよび/または即時的なエンジンの要求によって定義される温度で終了することができる。したがって、本発明の油圧作動式サーモスタットシステムは、エンジン温度のより正確な制御を可能にし、ひいては、エンジン出力を低下させることなく燃料効率を改善することができる。
いくつかの実施形態によれば、本発明の油圧作動式サーモスタットシステムは、開き開始(STO)温度より高い温度でエンジンを冷却することを促進するように構成され、このようにしてエンジン温度および燃料効率を上げる。
ここで使用される用語「開き開始(STO)温度」、はサーモスタット製造業者によって事前に定義された温度範囲を指しており、その温度で、サーモスタットは冷却剤流体を熱交換器の中に流すように構成される。
他の実施形態によれば、油圧作動式サーモスタットシステムは、STO温度より低い温度でエンジンを冷却することを促進するように構成され、STO温度は、標準値より高く設定される。こうした実施形態では、エンジンの冷却は、より低い温度でのエンジンの要求時に、本発明のシステムによって促進することができ、一方でエンジンの所定の作動温度は高く、それに応じて燃料効率が、高い。
追加的な実施形態によれば、本発明の油圧作動式サーモスタットシステムは、STO温度の低い方の限度より高い温度でエンジンを冷却することを終了させるように構成され、結果的に、エンジン温度および燃料効率を上げる。
さらなる実施形態によれば、エンジン出力を上昇させるためのエンジンの冷却は、エンジンの即時的要求に基づいて、本発明の油圧作動式サーモスタットシステムによって、任意の温度で提供することができる。
本発明の油圧作動式サーモスタットシステムは、熱応答性システムおよびエンジン制御モジュール(ECM)作動システムを含む。熱応答性システムサーモスタットは、熱交換器に向かう冷却剤流体の流れを遮断および遮断解除する温度応答性弁と、液体冷却剤の温度が上昇するにつれて、開弁を可能にするように構成される熱作動ピストンと、バネとを含み、かつ液体冷却剤の温度が低下するとき、開弁を抑制し強制的にそれを閉弁するため温度応答性弁に圧力を及ぼすように構成される典型的サーモスタットでもよい。
エンジン制御モジュール(ECM)作動システムのアクチュエータは、サーモスタットのバネと関連しており、バネの伸張/収縮状態に影響を及ぼすように構成される。アクチュエータは、少なくとも1つの制御弁によって制御可能であり、制御弁は、ECMによって制御可能である。ECM作動システムの油圧アクチュエータは、ECMからの指示に応答して、バネを伸張させることによって温度応答性弁の開弁を誘導するように、および/またはバネを縮小させことによって、温度応答性弁の開弁を抑制するように構成される。油圧アクチュエータは、さらに、ECMからの指示に応答して、バネを縮小させることにより温度応答性弁の閉弁を誘導するように構成することができる。油圧アクチュエータは、さらに、ECMからの指示に応答して、温度応答性弁の可動範囲を制御するように、かつ温度応答性弁を可動範囲の中の特定の位置に変位させるように構成することができ、特定の位置は、ECMによって決定される。本発明のシステムは、費用効率がよく、長期間作動時の信頼性も高く、さらに製造が容易である。本発明の油圧作動式サーモスタットシステムは、さらに確実に作動するように(フェイルセーフ)なっている。いくつかの実施形態によれば、ECM作動システム油圧アクチュエータは、サーモスタット機能が故障している場合であっても、温度応答性弁を開弁するように構成され、サーモスタットは、ECM作動システムアクチュエータ機能が故障している場合であっても、温度応答性弁を開弁するように構成される。
本発明の油圧作動式サーモスタットシステムは、直接または間接的にサーモスタットバネに接触するアクチュエータ板を含むことができ、レセプタクル、流体導管、および制御弁を含むことができる。流体導管は、レセプタクルおよび調節弁と流体流れでつながっており、熱応答性弁の開弁および/または閉弁は、制御弁によってレセプタクルの油圧アクチュエータ冷却剤流体圧力を調節することによって行われる。
本発明の装置では、さまざまな種類のECM作動システムのアクチュエータを使用することができる。いくつかの実施形態によれば、アクチュエータは、油圧アクチュエータを含む。他の実施形態によれば、アクチュエータは、機械式または電気機械式アクチュエータを含む。アクチュエータは、ソレノイド、ダイアフラム、空気式または圧電性のアクチュエータをさらに含むことができる。
いくつかの実施形態によれば、油圧アクチュエータなどの、これに限定するわけではないが、ECM作動システムのアクチュエータは、本明細書に記載されるように、サーモスタット弁および/またはボール弁と組み合わせて使用することができる。ボール弁は、サーモスタットを通る冷却剤流体の流れを制御するように構成される球面円板を含むことができる。いくつかの実施形態によれば、ボール弁は、冷却剤流体の高流速および/または高圧を可能にするように構成される。
いくつかの実施形態によれば、ECM作動システムのアクチュエータをステップモータと組み合わせて使用することができる。ステップモータは、温度応答性弁の開弁および/または閉弁を誘導および/または制御するように構成することができる。別の実施形態によれば、ステップモータは、可動範囲内の特定の位置に温度応答性弁を変位させるように構成され、特定の位置は、ECMによって決定される。ステップモータは、本明細書に記載されるように、サーモスタット弁および/またはボール弁と組み合わせて使用することができる。
本発明の装置は、冷却剤流体の圧力変動を減らすように構成される減圧弁をさらに含むことができる。アクチュエータと流体流れでつながっている減圧弁は、冷却剤流体の圧力を、約0.25バールから2バールの範囲、約0.5バールから約1.5バールであれば好ましく、約0.75バールから約1バールまでであればより好ましい範囲の一定値に減らすように構成することができる。ある実施形態によれば、冷却剤流体の圧力は、約0.75のバールである。流体の一定圧力により、エンジン動作の間、エンジンおよび冷却剤システムの中を通るその流れから生じる流体圧力変動によって影響を及ぼされることなく、一定の低下した圧力でアクチュエータを作動させることができる。
これより、いくつかの実施形態によれば、サーモスタットおよびアクチュエータを含む、エンジンの温度を制御する装置の断面図を示し、サーモスタット弁は、閉位置にある図1と、いくつかの実施形態によれば、サーモスタットおよびアクチュエータを含む、エンジンの温度を制御する装置の断面図を示し、サーモスタット弁は、「通常モード」での開位置にある図2と、いくつかの実施形態によれば、サーモスタットおよびアクチュエータを含む、エンジンの温度を制御する装置の断面図を示し、サーモスタット弁は、「先行開弁モード」での開位置にある図3と、いくつかの実施形態によれば、サーモスタットおよびアクチュエータを含む、エンジンの温度を制御する装置の断面図を示し、サーモスタット弁は、アクチュエータにより誘導され、「遅延開弁モード」での閉位置にある図4と、いくつかの実施形態によれば、サーモスタットおよびアクチュエータを含む、エンジンの温度を制御する装置の断面図を示し、サーモスタット弁は、アクチュエータにより誘導され、「先行閉弁モード」での開位置にある図5とを参照する。
装置100は、サーモスタット110を含み、サーモスタット110は、2つの区分、サーモスタット本体112aおよびサーモスタット本体112bに分けられるサーモスタット本体112を含む。サーモスタット本体112aは、サーモスタット本体112aの内部に配置される熱膨張可能材料114および熱作動ピストン116を含む。サーモスタット110は、サーモスタット本体112aに接続され、下方向および上方向に自由に移動するように構成されるサーモスタット弁体118をさらに含み、サーモスタット弁120の開弁および閉弁がそれぞれ、ラジエータ106からサーモスタット110を通ってエンジン103に戻る冷却剤流体の流れを可能にするまたは妨げることができる。サーモスタット110は、弁体118を密封する弁座122をさらに含む。弁体118が弁座122に密封されているサーモスタット弁120の閉位置は、図1で10と示される。弁体118は、サーモスタット本体112aに接続されており、弁座122は、ラジエータブロック152aに接続されて適所に固定されている。サーモスタットは、サーモスタット本体112a上に載置されるサーモスタットバネ124aをさらに含む。サーモスタットバネ124aは、弁体118と関連している。
装置100は、バイパス弁128をさらに含む。バイパス弁128は、サーモスタット本体112bに接続され、下方向および上方向へ自由に移動するように構成されるバイパス弁体126を含み、バイパス弁128の閉弁および開弁がそれぞれ、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体の流れを作るまたは抑制することができる。サーモスタット110は、バイパス弁体126が密封するバイパス弁座129をさらに含む。バイパス弁体126が弁座129に密封されているバイパス弁128の開位置は、図1で12と示される。バイパス弁体126は、サーモスタット本体112bに接続されており、弁座129は、バイパスブロック152bに接続されて適所に固定されている。サーモスタットは、サーモスタット本体112b上に載置されるサーモスタットバネ124bをさらに含む。サーモスタットバネ124bは、バイパス弁体128およびサーモスタットバネ124aと関連している。
サーモスタット110は、温度応答性を有する。バイパス弁128は、ラジエータ106に向かう冷却剤流体の流れを実質的に遮断し、かつ実質的に遮断解除するように構成される。サーモスタット弁120は、ラジエータ106からの冷却剤流体の流れを実質的に遮断し、かつ実質的に遮断解除するように構成される。熱作動ピストン116は、冷却剤流体の温度が上昇しているとき、サーモスタット弁120の開弁を可能にするように構成され、サーモスタットバネ124aは、冷却剤流体温度が低下しているとき、サーモスタット弁120の閉弁を誘導するように構成される。熱作動ピストン116は、さらに、冷却剤流体の温度が上昇しているとき、バイパス弁128の閉弁を可能にするように構成され、サーモスタットバネ124bは、冷却剤流体温度が低下しているとき、バイパス弁128の開弁を誘導するように構成される。
装置100は、油圧アクチュエータ130をさらに含み、油圧アクチュエータは、その上部にあるダイアフラム132およびその下部にあるダイアフラム134を含む。ダイアフラム134は、アクチュエータバネ138と連動しており、ダイアフラム132は、アクチュエータバネ136と連動している。ダイアフラム132は、ダイアフラム平衡材154を介してダイアフラム134と接触している。ダイアフラム平衡材154は、ダイアフラム132によって及ぼされる圧力をダイアフラム134に転送し、および/またはダイアフラム134によって及ぼされる圧力をダイアフラム132に転送するように構成される。油圧アクチュエータ130は、ダイアフラム132とダイアフラム134の間に配置され、その下部端がダイアフラム134に接続されるアクチュエータ板150をさらに含む。アクチュエータ板150は、図3で14と示される位置と図4で16と示される位置の間で上方向および下方向に自由に移動するように構成される。ダイアフラム132は、レセプタクル140に接続されており、ダイアフラム134は、レセプタクル142に接続されている。レセプタクル140および142は、冷却剤流体で充填されるように構成され、冷却剤流体は、ポンプ102から逆止弁144aを通ってレセプタクル140に、および逆止弁144bを通ってレセプタクル142に流れるように構成される。レセプタクル140および142は、冷却剤流体の放出を可能にするようにさらに構成され、冷却剤流体は、レセプタクル140から制御弁148aを通って、かつレセプタクル142から制御弁148bを通ってポンプ102に流れるように構成される。
いくつかの実施形態によれば、逆止弁144aおよび144bは、レセプタクル140および142に入る冷却剤流体の流れを可能にし、それがレセプタクルから逆止弁144aおよび144bに戻る流れを抑止する。逆止弁144aおよび144bは、さらに、レセプタクル140および142の圧力低下をそれぞれ防止するように構成される。
逆止弁144aは、減圧弁システム146およびレセプタクル140と流体流れでつながっている。逆止弁144bは、減圧弁システム146およびレセプタクル142と流体流れでつながっている。減圧弁システム146は、ポンプ102および逆止弁144aと144bに流体流れでつながっている。減圧弁システム146は、冷却剤流体の圧力を所定値に低下させるように構成される。制御弁148aおよび148bは、ECM(図示せず)から受け取った指示に従ってレセプタクル140および142からの冷却剤流体流れを可能にするおよび/または遮断するように構成される。減圧弁システム146は、冷却剤流体の圧力を調節するように構成されるバネ146aを含む。こうした減圧弁システムの詳細は当業者によく知られているので、これについて、本明細書ではこれ以上詳細に記述しない。
さらに装置100は、冷却剤流体を循環させるように構成されるポンプ102を含む。冷却剤流体循環方式は、図1の矢印線20、22、24、24a、24b、26、26aおよび26bで表される。冷却剤流体は、矢印線20で示されるように、ポンプ102によって、エンジン103およびサーモスタット110の中を循環することができ、冷却剤流体は、バイパス弁128を通ってサーモスタット110に流入することができる。あるいは、冷却剤流体は、矢印線22で示されるように、ポンプ102によって、エンジン103、ラジエータ106、およびサーモスタット110の中を循環することができ、冷却剤流体は、バイパス弁120を通ってサーモスタット110に流入する。冷却剤流体は、さらに、矢印線24で示されるように、減圧弁146に流れることもでき、矢印線24aで示されるように、逆止弁144aを通って減圧弁146からレセプタクル140に、かつ矢印線24bで示されるように、逆止弁144bを通ってレセプタクル142に流れる。冷却剤流体は、さらに、制御弁148aおよび148bが開位置にある場合、矢印線26aで示されるように、レセプタクル140から制御弁148aを通って、かつ矢印線26bで示されるように、レセプタクル142から制御弁148bを通って、矢印線26で示されるように、ポンプ102に流れることができる。
装置100は、ノズル156aおよび156bをさらに含むことができ、ノズル156aは、逆止弁144aおよび減圧弁システム146と流体流れでつながっており、ノズル156bは、逆止弁144bおよび減圧弁システム146と流体流れでつながっている。ノズル156aおよび156bは、冷却剤流体の流量を制御するように構成される。装置100は、減圧弁システム146と流体流れでつながっているフィルタ160をさらに含むことができる。フィルタ160は、汚染または異物によるノズル156a、156bの閉塞、および他の冷却剤流体通路の閉塞を防止するように構成される。
制御弁148aおよび148bは、エンジン103と関連する車両エンジンの状態および性能をモニタするのに一般に使用される種類のモータ計装パッケージによって制御することができる。こうした計装パッケージの詳細は当業者によく知られているので、これらについて、本明細書ではこれ以上詳細に記述しない。制御弁148aおよび148bは、例えばECMまたはエンジン制御システムによって制御される電気回路に接続されていれば最も望ましい。用語「エンジン制御モジュール(ECM)」と「「エンジン制御システム」」を同義的に使用する場合がある。典型的には、ECMは、さまざまなエンジンおよび車両パラメータを検出するのに使用される複数のセンサを含み、それでエンジンの性能を最適化することができる。本発明は、本明細書に記載されるように本発明を活用するのに十分な情報をECMに提供するために、適切で利用可能な場合には、既存のセンサを使用すること、または付加的なセンサを使用することのどちらも包含する。
制御弁148aおよび148bは、以下に記載されるように、サーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張の程度を画定するアクチュエータ板150の位置を制御するように構成される。いくつかの実施形態によれば、制御弁148aおよび148bは、二項性制御弁である。二項性制御弁は、閉位置、または完全な開位置にあるように構成され、緩やかに開弁するようには構成されていない。これらの実施形態では、二項性である制御弁148aおよび148bは、4つの別々の位置、すなわち図1および図2で14と示され、制御弁148aおよび148bが閉じている、または制御弁148aおよび148bが開いている位置と、図3で14aと示され、制御弁148aが閉じている、かつ制御弁148bが開いている位置と、図4および図5で14bと示され、制御弁148aが開いている、かつ制御弁148bが閉じている位置とによって画定される、アクチュエータ板150の変位を可能にする。二項性制御弁148aおよび148bの開弁および/または閉弁は、ECMによって制御することができ、ECMは、さまざまなエンジンおよび車両のパラメータを感知し、かつ弁の開弁または閉弁が必要とされるかどうかを判定するように構成されるセンサを含む。したがって、アクチュエータ板150の位置、およびサーモスタット弁120の開弁および/または閉弁およびサーモスタット弁118の変位のそれぞれを、ECMによって感知されるエンジン103の状態に従って制御することができる。したがって、バイパス弁128の閉弁および/または開弁およびバイパス弁126の変位のそれぞれは、ECMによって感知されるエンジン103の状態に従って制御することができる。いくつかの実施形態では、エンジン温度の変化を、その変化に対する熱膨張可能材料の応答より前に、ECMが感知することができ、サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁、およびバイパス弁128の閉弁および/または開弁は、実際には、熱膨張可能材料によってよりも制御弁によってより作動される。これらの実施形態は、以下において、図3に関する「先行開弁モード」として説明される。追加的な実施形態によれば、制御弁148aおよび148bの開弁および/または閉弁、とサーモスタット弁120および/またはバイパス弁128の開弁および/または閉弁のそれぞれは、エンジン103の即時的な要求に従ってECMにより誘導することができる。いくつかの実施形態によれば、エンジン温度は、サーモスタット弁120の開き開始(STO)温度として事前に定義された温度より低い必要がある。これらの実施形態では、制御弁148bの開弁は、サーモスタット弁120の開弁および冷却剤流体がSTO温度に達する前のそれぞれのバイパス弁128の閉弁を可能にするように構成され、この実施形態は、以下において、図3に関する「先行開弁モード」として説明される。他の実施形態によれば、エンジン温度は、サーモスタット弁120の開き開始(STO)温度として事前に定義された温度より高い必要がある。実施形態では、制御弁148aの開弁は、サーモスタット弁120の開弁および冷却剤流体がSTO温度に達した後のそれぞれのバイパス弁128の閉弁を妨げ、サーモスタット弁120の開弁およびSTO温度より高い温度でのそれぞれのバイパス弁128の閉弁を可能にするように構成され、これらの実施形態は、以下において、図4に関する「遅延開弁モード」として説明される。制御弁148aの開弁は、さらに、サーモスタット弁120の閉弁およびSTO温度より高い温度でのそれぞれのバイパス弁128の閉弁を誘導するように構成することができ、これらの実施形態は、以下において、図5に関する「先行開弁モード」として説明される。
他の実施形態によれば、制御弁148aおよび148bはアナログ制御弁であり、緩やかにあるいは比例関数的に開弁および/または閉弁を可能にするように構成され、それによって、測定された量の冷却剤流体がレセプタクル140および142から流れることができ、それによって、レセプタクルの中の冷却剤流体圧力を制御し、その結果ダイアフラム132および134の状態およびアクチュエータ板150の位置を制御する。アナログ制御弁148aおよび148bの開弁および/または閉弁、および開弁および/または閉弁の程度は、ECMによって制御することができ、ECMは、さまざまなエンジンおよび車両パラメータを感知して、ラジエータ106を通る冷却剤流体の適切な流量を決定するように構成されるセンサを含む。いくつかの実施形態によれば、アクチュエータ板150の位置とサーモスタット弁120の開弁および/または閉弁のそれぞれとサーモスタット弁118の変位は、ECMによって感知されるエンジン103の状態によって制御することができる。サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁の程度およびサーモスタット弁118の変位範囲は、ECMによって感知されるエンジン103の状態によって、それに応じて制御することができる。さらなる実施形態によれば、バイパス弁128の閉弁および/または開弁のそれぞれとバイパス弁126の変位は、ECMによって感知されるエンジン103の状態によって制御することができる。バイパス弁128の閉弁および/または開弁の程度とバイパス弁126の変位の範囲は、ECMによって感知されるエンジン103の状態によって、それに応じて制御することができる。
サーモスタット110のSTO温度範囲は、任意の所望範囲に設定することができる。いくつかの実施形態によれば、サーモスタットのSTO温度範囲は、約90°Cから約95°Cの典型的な範囲に設定される。これらの実施形態では、サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁とバイパス弁128の閉弁および/または開弁のそれぞれは、サーモスタット110の熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によって作動される。サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁とバイパス弁128の閉弁および/または開弁のそれぞれは、サーモスタット110が故障して作動しない場合、さらに、油圧アクチュエータシステム130によって作動させることができる。他の実施形態によれば、サーモスタット110のSTO温度範囲は、大量生産車両用の正常範囲を上回って、例えば約100°Cから105°Cに設定することができる。これらの実施形態では、油圧アクチュエータシステム130は、サーモスタット弁120を開弁するおよび/または閉弁するように構成され、所定の活性化温度に依存するサーモスタット110の熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小より前に、ECMからの指示に応答して、それに応じてバイパス弁128を閉弁するおよび/または開弁する。動作モードは、STO温度範囲を上げることができ、したがって、エンジン103の作動温度を上げ、一方で、前述のように、ECMによって誘導される、要求に応じた急速なエンジン温度降下を提供する。サーモスタット弁120の開弁およびそれぞれのバイパス弁128の閉弁は、エンジン温度上昇だけではなく、ECMに感知されるさまざまなエンジンパラメータ、例えば加速中のより高い出力の要求によって誘導される、ラジエータ106の中を流れる冷却剤流体によってエンジン103の温度冷却を可能にする方法で制御することができる。例えば、出力を供給するのに好ましい範囲は、50°Cと100°Cの間、またはより狭い範囲である70°Cと90°Cの間である。エンジン温度をこのように下げることは、制御弁の開弁を誘導するECMによって達成することができ、弁体118のほぼ即時的な大きな変位を可能にする。この場合、サーモスタット弁120を開弁して、急激な温度低下および突発的な出力を供給することができる。
代替実施形態によれば、サーモスタットのSTO温度範囲は、約90°Cから約95°Cの典型的な範囲に設定され、油圧アクチュエータ130は、ECMからの指示に応答して、サーモスタット弁120の開弁を防止し、したがって、サーモスタット110の熱膨張可能材料114が膨張すると、バイパス弁128の閉弁を防止するように構成される。これらの実施形態では、油圧アクチュエータ130は、STO温度範囲より高い温度でサーモスタット弁120を開弁し、したがって、バイパス弁128を閉弁するように構成される。これらの実施形態では、油圧アクチュエータシステム130は、サーモスタット110の熱膨張可能材料114の縮小より前に、サーモスタット弁120の閉弁およびそれぞれのバイパス弁128の開弁を誘導するようにさらに構成される。動作モードは、エンジンの即時的状態に基づいて、STO温度範囲を上昇させることなく、ECMによって誘導かつ制御されるエンジン作動温度の上昇を提供する。要求に応じて、ECMに制御される、エンジンの温度上昇は、ECM制御なしでの、所定のより高いSTO範囲の結果としてのエンジン温度上昇と比較してより安全である。エンジンの高い運転温度は、先に説明したように、より完全な燃焼を促進し、有益であり、その間、即時的なエンジン状態に基づいてECMによって制御されている。
油圧アクチュエータ130によって支援されるサーモスタット110を含む装置100は、従来型のサーモスタットと比べて、エンジンのより効果的なおよび/またはより急速な冷却を提供するように構成される。
前述のように、変位の範囲に沿ったサーモスタット弁体の位置は、エンジン温度を必要に応じて下げることができるのに十分な冷却剤流体流れを可能にするように、ECMによって感知されるエンジン要求に従って設定することができる。さらに、変位はほぼ瞬間的なので、エンジンの急速冷却を達成するため、温度の低下は、急速に起こることが好ましい。弁体の変位の範囲は、従来型の小型車では、毎時約ゼロ(0)(弁が閉状態)から、約8−12立方メートル(最大伸張時)の冷却剤流体の冷却剤流量に対応すれば最も好ましい。他の実施形態によれば、弁体の変位の範囲は、約0から約6立方メートルの冷却剤流量に対応する。さらなる実施形態によれば、弁体の変位の範囲は、約0から約18立方メートルの冷却剤流量に対応する。当業者には認識されるように、他の自動車タイプおよび他のエンジンサイズは、より高いまたはより低い冷却剤流量を必要としてもよい。したがって、サーモスタット110は、活性化温度より低い温度のときには閉じられており、一旦活性化温度が達成されれば、設定された伸張範囲まで開かれる、本質的な二項性様式でラジエータへの流体流れを制御する一方で、油圧アクチュエータ130は、エンジン要求または負荷に従ってさまざまな冷却速度および程度に関する冷却剤流量の範囲を可能にするため、弁体を変位の範囲に従って配置するのに使用することができる。
別の本発明の態様は、油圧アクチュエータ130は、冷却剤流体の温度に依存せず、ECMによってのみ作動されるということである。したがって、フードエンジン室温度、または他の外側の熱影響下での高温に関連する課題は解決される。サーモスタット故障が発生した場合、ECMは、制御弁148bを開き、弁体118を弁座122から移動させて、負荷状況下であっても、または定常状態であってさえも、冷却剤流体流れ調整を介して所望のエンジン温度を達成するように構成される。したがって、ECMは、パッシブサーモスタット用のフェイルセーフシステムとして働く。他方で、ECMが何かの理由で故障している場合、サーモスタット110は、以下に記載するように、サーモスタット弁の開閉を確実に制御するように同様に働くことができる。いくつかの実施形態によれば、本発明は、互いに重複する油圧式アクティブシステムおよび熱作動パッシブシステムを提供する。他の実施形態によれば、本発明は、油圧式アクティブシステムおよび熱作動アクティブシステムを提供する。両方の動作モードは、全体的性能の信頼性についてのより大きな基準を提供する。この意味において、本発明は、フェイルセーフ設計を提供する。
主要構成要素の一般的な概要を説明してきたが、これより、各個別の構成要素の詳細についてより明確に理解されるであろう。
「通常モード」と示される1つの可能な動作のモードを図1および図2に概略的に示し、以下の実施形態で詳しく説明する。図1は、装置100を表し、サーモスタット弁120は、10と示される閉位置にあり、バイパス弁128は、12と示される開位置にある。冷却剤流体は、ポンプ102によってエンジン103およびサーモスタット110の中を循環され、冷却剤流体は、バイパス弁128を通ってサーモスタット110に流入する。したがって、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体の流れ、およびラジエータ106からサーモスタット弁120を通ってサーモスタット110に向かう冷却剤流体の流れは、実質的に抑制される。いくつかの実施形態によれば、エンジン103およびサーモスタット110の中を循環する冷却剤流体の温度が上昇すると、限定的ではないがワックスなどの熱膨張可能材料114が溶融して膨張する。熱膨張可能材料114によって熱作動ピストン116上に及ぼされる圧力は、熱作動ピストン116を本体112aから排出させる。しかし、熱作動ピストンを定位置に固定して、それがサーモスタット本体112aから排出および突出するのを防止する装置100のラジエータブロック152aに、熱作動ピストン116は、その上側端部が接続されている。サーモスタット本体112aに接続されたサーモスタット本体112aおよび弁体118は、定位置に固定されておらず、このことにより、サーモスタット本体112aは、下方向に移動し、サーモスタット弁体118は、サーモスタット座122から変位される。サーモスタット本体112aの下方移動により、バネ124bは強制的に収縮される。続いて、サーモスタット本体112aに接続されたサーモスタット本体112bが下方向に移動し、バイパス弁体126が、図1で12と示されるバイパス弁開位置から変位されて、バイパス弁座129に接触してそれを密封する。バイパス弁体126が下方向に移動してバイパス弁座129に到達することで、バイパス弁126を、図2で12aと示される閉位置に至らせる。サーモスタット本体112bの下方移動により、バネ124bは強制的に収縮される。閉位置のバイパス弁128は、加熱された冷却剤流体がラジエータ106に向けて強制的に流れるように、エンジン103からバイパス弁128を通ってサーモスタットに向かう加熱された冷却剤流体流れを妨げる。サーモスタット弁体118が弁座122から変位し、かつ下方向に移動することで、サーモスタット弁120を、図2で10aと示される開位置に至らせる。開位置のサーモスタット弁120は、ラジエータ106からサーモスタット弁120を通ってサーモスタット110に向かい、サーモスタット110からポンプ102およびエンジン103まで戻る加熱された冷却剤流体の流れを可能にする。サーモスタット弁体118がサーモスタット弁座122からさらに変位されると、ラジエータ106を通る冷却剤流体の流れは増し、サーモスタット弁120が開位置のときには最大流量まで増すことが可能になる。バイパス弁体126がバイパス弁座129の方へさらに移動すると、ラジエータ106を通る冷却剤流体の流れは増し、バイパス弁128が閉位置のときには最大流量まで増すことが可能になる。弁体118の変位の範囲が、エンジン103からラジエータ106に向かって流れる冷却剤流体の量を画定し、冷却剤流体は、サーモスタット弁120を通過する。バイパス弁体126の変位の範囲が、エンジン103からラジエータ106を通らずにポンプ102に向かって流れる冷却剤流体の量を画定し、冷却剤流体は、バイパス弁128を通過する。
サーモスタット弁120の閉弁およびバイパス弁128の開弁は、熱膨張可能材料114の冷却によって開始される。ラジエータ106を通過して流れる冷却剤流体は、エンジン103の冷却を可能にし、したがって、サーモスタット110を通過して流れる冷却剤流体の温度は、低下する。したがって、熱膨張可能材料114の温度も低下し、その凝固および縮小を可能にする。熱膨張可能材料のこうした縮小により、サーモスタット本体112aの中には空所が残る。収縮されたサーモスタットバネ124aは、接触弁体118上に圧力を及ぼし、熱作動ピストン116がサーモスタット本体112の中に完全に挿入されて、サーモスタットバネ124aが弛緩されるまで、強制的にサーモスタット本体を上方移動させる。サーモスタット弁体118は、図2で10aと示されるサーモスタット弁120の開位置から変位され、サーモスタット弁座122に到達してそれを密封するまで、上方向に移動する。サーモスタット弁体118がサーモスタット弁座122に到達することで、サーモスタット弁120を、図1で10と示される閉位置に至らせる。サーモスタット本体112aに接続されたサーモスタット本体112bは、その後下方向に移動して、バネ124bの弛緩を可能にし、バイパス弁体126が、図2で12aと示されるバイパス弁128の閉位置にあるバイパス弁座129から、図1で12と示されるバイパス弁128の開位置に変位される。開位置のバイパス弁128は、エンジン103からバイパス弁128を通ってサーモスタット110に向かう冷却剤流体流れを可能にし、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体流れを妨げる。
いくつかの実施形態によれば、「通常モード」では、サーモスタット弁120の開弁または閉弁は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によってそれぞれ作動され、かつ/またはサーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張によってそれぞれ作動される。サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁の程度は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小の程度によって画定され、かつ/またはサーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張の程度によって画定される。サーモスタット弁体118の変位は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によって作動され、かつ/またはサーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張によって作動される。サーモスタット弁体118の変位の範囲は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小の程度によって画定され、かつ/またはサーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張によって画定される。
さらなる実施形態によれば、「通常モード」では、バイパス弁128の閉弁または開弁は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によってそれぞれ作動され、かつ/またはサーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張によって作動される。バイパス弁128の閉弁および/または開弁は、さらに、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小のそれぞれによって作動することができ、かつ/またはサーモスタットバネ124bの収縮および/または伸張によって作動することができる。バイパス弁128の開弁および/または閉弁の程度は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小の程度によって画定され、かつサーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張の程度によって画定される。バイパス弁128の開弁および/または閉弁の程度は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小の程度によって画定することができ、かつサーモスタットバネ124bの収縮および/または伸張の程度によって画定することができる。バイパス弁体126の変位は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によって作動され、かつ/またはサーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張によって作動される。バイパス弁体126の変位は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によって作動され、かつ/またはサーモスタットバネ124bの収縮および/または伸張によって作動される。バイパス弁体126の変位の範囲は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小の程度によって画定され、かつサーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張によって画定される。バイパス弁体126の変位の範囲は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小の程度によって画定することができ、かつサーモスタットバネ124aの収縮および/または伸張によって画定することができる。
上述した動作のモードは、サーモスタット110の作動に基づいており、STO温度は、事前に定義されており、エンジン103を通過する冷却剤流体温度が所定の値に達すると、サーモスタット弁120は開き始め、バイパス弁128は閉じ始める。この動作モードでは、レセプタクル140および142は、制御弁148aおよび148bが、レセプタクル140および142からの冷却剤流体の流れを妨げる閉位置にあるとき、冷却剤流体で充填される。アクチュエータ板150の位置は、レセプタクル140と142の間の圧力分布によって画定され、レセプタクル140は、ダイアフラム132に接触し、レセプタクル142は、ダイアフラム134に接触しており、かつダイアフラム132およびダイアフラム134は、ダイアフラムダイアフラム平衡部材154を介して相互に接続している。説明した動作モードでは、アクチュエータ板150は、レセプタクル140とレセプタクル142の間に配置され、同時に、バイパスダイアフラム134に接触している。レセプタクル140および142の冷却剤流体圧力は、減圧弁システム146によって画定され、したがって、制御弁148aおよび148bの両方が閉じていて、かつレセプタクル140および142が冷却剤流体で充填されている限り、一定で等しいので、アクチュエータ板150の位置は、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁に合わせて変化しない。アクチュエータ板150の位置は、図1および図2の14で示される。
いくつかの実施形態によれば、「通常動作モード」では、サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁の程度は、アクチュエータ板150の位置によって画定することができ、制御弁148aの閉弁および/または開弁の程度および制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御される。サーモスタット弁体118の変位の範囲は、アクチュエータ板150の位置によって画定することができ、制御弁148aの閉弁および/または開弁の程度によって、および制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御される。
さらなる実施形態によれば、「通常動作モード」では、バイパス弁128の開弁および/または閉弁の程度は、アクチュエータ板150の位置によって画定することができ、制御弁148aの閉弁および/または開弁の程度および制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御される。バイパス弁体126の変位の範囲は、アクチュエータ板150の位置によって画定することができ、制御弁148aの閉弁および/または開弁の程度、および制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御される。
「先行開弁モード」の別の動作モードを図1および図3に概略的に図示し以下の実施形態で説明する。図1は、装置100を表し、サーモスタット弁120は、10と示される閉位置にあり、バイパス弁128は、12と示される開位置にある。冷却剤流体は、ポンプ102によってエンジン103およびサーモスタット110の中で循環され、冷却剤流体は、バイパス弁128を通ってサーモスタット110に流入する。したがって、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体の流れ、およびラジエータ106からサーモスタット弁120を通ってサーモスタット110に向かう冷却剤流体の流れは、実質的に抑制される。ECM(図示せず)から指示を受け取ると、制御弁148bは開く。図3は、装置100を表し、制御弁148bは、開位置にある。制御弁148bの開弁は、レセプタクル142からの冷却剤流体の流れを促進する。レセプタクル142の冷却剤流体圧力が減圧弁システム146によって画定される圧力から約0Atmまで低下されると、冷却剤流体がレセプタクル142から流出した後、レセプタクル142に接触して密封するダイアフラム134は、レセプタクルの中に引き入れられる。ダイアフラム134の下方移動により、ダイアフラム134と接触するアクチュエータバネ138上に圧力を及ぼす凹面形状のダイアフラムが形成され、強制的にアクチュエータバネ138を収縮させる。ダイアフラム134は、レセプタクル140上に載置される環形状のダイアフラム密封部でもよい。ダイアフラム134は、下方向または上方向に移動して、それぞれ凹面または凸面形状のダイアフラムを形成するように構成される。制御弁148aは閉じたままであり、レセプタクル140からの冷却剤流体の流れを抑制する。レセプタクル142の冷却剤流体の圧力は、レセプタクル140の冷却剤流体圧力より高く、したがって、ダイアフラム132は、ダイアフラム132の引き込まれた位置を確実にするダイアフラムダイアフラム平衡部材154を介してダイアフラム134上に圧力を及ぼす。したがって、ダイアフラム134に接触するアクチュエータ板150は、図1で14と示される位置から、図3で4bと示される位置まで変位される。アクチュエータ板150が下方向に移動すると、接触するサーモスタットバネ124a上に及ぼされる圧力は解放され、サーモスタットバネ124aの弛緩を促進する。
弛緩したサーモスタットバネ124aは、図2に示す「通常モード」の場合よりも少ない圧力を接触弁体118上に及ぼし、それによって、弁座122からサーモスタット弁体118が変位することによって進行するサーモスタット弁120の開弁を促進する。サーモスタット弁体118は、サーモスタット弁座122から図3で10bと示される開位置まで変位される。したがって、サーモスタット弁120の開弁は、制御弁148bの開弁を含む油圧アクチュエータ130の作動によって始動され、サーモスタットピン116の排出およびサーモスタット本体112aの下方移動を誘導する、熱膨張可能材料114の膨張より前に進行する。所定のSTO温度より下の温度では、熱膨張可能材料114は、膨張せず、したがって、サーモスタット弁120が開弁すると、熱膨張可能材料114で充填されていない空所が、サーモスタット本体112aの中に生じる。
その後、サーモスタット本体112aに接続されたサーモスタット本体112bは、下方向に移動し、バイパス弁体126は、バイパス弁座129に接触して密封するまで、図1で12と示されるバイパス弁128開位置から変位される。バイパス弁128の閉位置は、図3で12bと示される。油圧アクチュエータ130の作動に因り、バネ124aは、バネ124bより弛緩され、したがって、バネ124aとバネ124bの間の圧力分布が等しくなくなると、サーモスタット本体112aが下方向に移動し、続いてサーモスタット本体112bが下方向に移動することにより、強制的に、バネ124bは、図2に示される「通常モード」の場合より高い程度まで収縮する。いくつかの実施形態によれば、説明した動作モードでは、冷却剤流体を所定のSTO温度まで加熱することは、熱膨張可能材料114の膨張を誘導し、その後、制御弁148bの開弁によって誘導されるその開弁および閉弁に続いて、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁を誘導することができる。制御弁148bの開弁によって誘導されるサーモスタットバネ124aの弛緩による強制的な収縮に加えて、熱膨張可能材料114の膨張によって誘導されてサーモスタット本体112aおよび112bが下方向に移動することで、強制的に、バネ124bを収縮することができる。
閉位置のバイパス弁128は、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体流れを可能にし、開位置のバイパス弁128は、ラジエータ106からサーモスタット弁120を通ってサーモスタット110に向かう冷却剤流体流れを可能にする。したがって、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁は促進され、ECM(図示せず)から指示を受け取る制御弁148bの開弁に因り、図2で例示される「通常モード」では、所定のSTO温度より低い温度で進行することができる。あるいは、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁は、所定のSTO温度でのより高い程度まで進行することができる。アクチュエータ130の作動により誘導されてサーモスタット弁体118が下方向に移動することで、熱膨張性材料114の加熱だけで誘導されるサーモスタット弁120の開弁と比べて、サーモスタット弁120のより急速な開弁および/またはより高い程度までの開弁が可能になる。したがって、制御弁148bの開弁を含むアクチュエータ130の作動により誘導されてサーモスタット弁体118が下方向に移動することで、熱膨張性材料114の加熱だけで誘導されるバイパス弁128の閉弁と比べて、バイパス弁128のより急速な閉弁および/またはより高い程度までの閉弁が可能になる。説明した「先行開弁モード」では、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体流れは、所定のSTOより低い温度で可能になり、および/または、ラジエータ106を通る冷却剤流体流速および/または体積は、通常の動作モード(「通常モード」)における対応する温度での流速および/または体積と比べて増えている。制御弁148bは、ECMによって制御され、したがって、冷却剤流体による熱膨張可能材料114の加熱によって誘導されるサーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁より前に弁148bを開弁することで、エンジン103の運転温度を下げることができる。エンジン運転温度を下げることは、例えば、限定するわけではないがエンジン出力を増大させるのに必要とされる場合があり、これは、次には、加速、または先に説明したようにECMによって決定されるようなより大きい出力の必要性を生み出す他の状況などの、エンジン負荷に存在する特定の条件で必要とされる場合がある。弁148bの開弁は、さらに、即時的なエンジン状態および要求に基づいて、熱膨張可能材料加熱率によって画定される予め決められた冷却レジームに従うだけでなく、リアルタイムでエンジン103の冷却レジームを制御することを可能にする。
いくつかの実施形態によれば、説明した動作モードでは、サーモスタット弁120の閉弁およびバイパス弁128の開弁は、制御弁148bを閉弁することによって開始することができる。制御弁148bを閉弁すると、レセプタクル142は、ポンプ102によって減圧弁146および逆止弁144bを通って循環される冷却剤流体で充填される。レセプタクル142内の冷却剤流体の圧力は、約0Atmから、減圧弁システム146によって画定される圧力に高められる。レセプタクル142に接触して密封しているダイアフラム134は、冷却剤流体に及ぼされる圧力に因って、レセプタクル142から押し出され、接触するアクチュエータ板150の上方移動を誘導する。アクチュエータ板150は、図3で4bと示される位置から図1で14aと示される位置に変位され、接触するサーモスタットバネ124a上に圧力を及ぼし、したがって強制的にそれを収縮させる。収縮されたサーモスタットバネ124は、弁体118上に圧力を及ぼす。先に開示したように、所定のSTO温度より下の温度では、サーモスタット本体112aは、膨張した熱膨張可能材料114によって充填されていない空所を含み、したがって、収縮されたサーモスタットバネ124aによってサーモスタット弁体118上に及ぼされた圧力は、熱作動ピストン116がサーモスタット本体112aの中に完全に挿入されて、サーモスタットバネ124aが弛緩されるまで、サーモスタット本体112aの上方移動を促進する。サーモスタット弁体118は、図3で10bと示されるサーモスタット弁120開位置から変位され、サーモスタット弁座122に到達してそれを密閉するまで、上方向に移動する。サーモスタット弁体118がサーモスタット弁座122に到達することで、サーモスタット弁120を、図1で10と示される閉位置に至らせる。サーモスタット本体112aが上方向に移動することで、接触するサーモスタット本体112bの上方移動およびバネ124bの弛緩を誘導する。バイパス弁体126は、図3で12bと示されるバイパス弁128の閉位置におけるバイパス弁座129から、図1で12と示されるバイパス弁128の開位置に変位される。開位置のバイパス弁128は、エンジン103からバイパス弁128を通ってサーモスタット110に向かう冷却剤流体流れを可能にし、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体流れを妨げる。
いくつかの実施形態によれば、制御弁148bの閉弁によって誘導されるサーモスタット弁120の閉弁は、アクチュエータバネ138の弛緩によって支援することができる。制御弁148aの開弁によって誘導されてサーモスタット弁120が開弁すると、ダイアフラム134は、下方向に移動し、ダイアフラム134はアクチュエータバネ138と接触し、それによって強制的にそれを収縮させる。したがって、ダイアフラム134の上方移動は、制御弁148bの閉弁およびレセプタクル142内での冷却剤流体の圧力上昇だけでなく、弛緩によって収縮されたアクチュエータバネ138によっても強制される。
いくつかの実施形態によれば、冷却剤流体温度が所定のSTO温度に達した場合、制御弁148bの閉弁は、サーモスタット弁体118を、サーモスタット本体112aの内側の熱膨張可能材料114の膨張によって画定される程度まで上方向に移動させ、熱膨張可能材料114の温度低下およびその縮小後、サーモスタット弁120の完全な閉弁およびバイパス弁128の完全な開弁は進行する。
いくつかの実施形態によれば、「先行開弁モード」では、サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁はそれぞれ、制御弁148bの閉弁および/または開弁によって作動される。サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁の程度は、制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定される。いくつかの実施形態によれば、サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁の程度は、制御弁148aの閉弁および/または開弁の程度および制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定される。サーモスタット弁体118の変位は、制御弁148bの閉弁および/または開弁によって作動される。サーモスタット弁体118の変位の範囲は、制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定される。いくつかの実施形態によれば、サーモスタット弁体118の変位の範囲は、制御弁148aの閉弁および/または開弁の程度によって、および制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定することができる。
さらなる実施形態によれば、「先行開弁モード」では、バイパス弁128の閉弁または開弁はそれぞれ、制御弁148bの閉弁および/または開弁によって作動される。バイパス弁128の閉弁および/または開弁の程度は、制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定される。いくつかの実施形態によれば、バイパス弁128の閉弁および/または開弁の程度は、制御弁148aの閉弁および/または開弁の程度によって、および制御弁148の閉弁および/または開弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定することができる。バイパス弁体126の変位は、制御弁148bの閉弁および/または開弁によって作動される。バイパス弁体126の変位の範囲は、制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定される。いくつかの実施形態によれば、バイパス弁体126の変位の範囲は、制御弁148aの閉弁および/または開弁の程度、および制御弁148bの閉弁および/または開弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定することができる。
代替実施形態によれば、「先行開弁モード」では、さらに、サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁はそれぞれ、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によってさらに作動させることができる。サーモスタット弁体118の変位は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によって作動させることができる。さらに、バイパス弁128の閉弁および/または開弁はそれぞれ、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によって作動させることができる。バイパス弁体126の変位は、熱膨張可能材料114の膨張および/または縮小によって作動させることができる。
この動作モードでのサーモスタット弁120作動は、確実に作動するように(フェイルセーフ)なっている。熱膨張可能材料114が故障して、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁を誘導しない場合、制御弁148bの開弁が、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁を誘導する。制御弁148abが故障して開弁しない場合、熱膨張可能材料が、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁を誘導する。
「遅延開弁モード」と示される別の可能な動作のモードをさらに、以下の実施形態で説明し、図1、図2および図4に概略的に図示する。図4は、装置100を表し、サーモスタット弁120は、10と示される閉位置にあり、バイパス弁128は、12と示される開位置にある。冷却剤流体は、ポンプ102によってエンジン103およびサーモスタット110の中を循環し、冷却剤流体は、バイパス弁128を通ってサーモスタット110に流入する。したがって、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体の流れ、およびラジエータ106からサーモスタット弁120を通ってサーモスタット110に向かう冷却剤流体の流れは、実質的に抑制される。ECM(図示せず)から指示を受け取ると、制御弁148aは開く。制御弁148aの開弁は、レセプタクル140からの冷却剤流体流れを促進する。レセプタクル140の冷却剤流体圧力が減圧弁システム146によって画定される圧力から約0Atmまで低下されると、冷却剤流体がレセプタクル140から流出した後、レセプタクル140を密封するダイアフラム132は、レセプタクルの中に引き入れられる。ダイアフラム132が上方向に移動すると、ダイアフラム132と接触するアクチュエータバネ136上に圧力を及ぼし、強制的にアクチュエータバネ136を収縮させる。制御弁148bは閉じたままであり、レセプタクル142からの冷却剤流体の流れを妨げる。レセプタクル142の冷却剤流体の圧力は、レセプタクル140の冷却剤流体圧力より高い。レセプタクル間の圧力分布が転換されるとき、ダイアフラムダイアフラム平衡部材部材154を介してダイアフラム132に接続されるダイアフラム134は、レセプタクル142からレセプタクル140の方へ押される。したがって、図1で14と示される位置から図4で14bと示される位置まで、ダイアフラム134に接触しているアクチュエータ板150は、変位される。アクチュエータ板150が上方向に移動すると、接触サーモスタットバネ124a上に圧力を及ぼし、サーモスタットバネ124aを強制的に収縮させる。
所定のSTO温度に達すると、前述のように、限定的ではないがワックスなどの熱膨張可能材料114は、溶融して膨張する。しかし、アクチュエータ板150と関連しているバネ124aが収縮され、したがって、サーモスタット本体112a(およびそれぞれのサーモスタット本体112b)の変位(図2に示す)を妨げるとき、熱膨張可能材料114により熱作動ピストン116上に及ぼされる圧力は、サーモスタット本体112aおよびサーモスタット本体112bの下方移動、およびサーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁体128の閉弁のそれぞれを誘導するのには不十分である。したがって、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁は、ECM(図示せず)から指示を受け取る制御弁148aの開弁に因って、遅延されて所定のSTO温度より高い温度で進行する。説明した動作モードでは、冷却剤流体は、サーモスタット110のSTO温度に達した後であっても、エンジン103から、ラジエータ106を通過せずにバイパス弁128を通ってサーモスタットに流れ続ける。制御弁148aは、ECMによって制御され、それによる、冷却剤流体がサーモスタット110の所定のSTO温度に達する前の弁148aの開弁は、STO温度をその所定の値より上に上昇させることを可能にする。弁148aの開弁は、さらに、即時的なのエンジン状態および要求に基づき、リアルタイムのSTO温度を画定することを可能にする。
動作モードのサーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁は、所定のSTOより高い温度に加熱された冷却剤流体で熱膨張可能材料114を加熱することによって進行することができ、サーモスタットバネ124の収縮を克服し、サーモスタット本体112aおよびサーモスタット本体112bの下方移動を誘導するのに十分な程度まで熱膨張可能材料114を膨張することができる。サーモスタットの開弁は、制御弁148aを閉弁することによって付加的にまたは代替的に進行することができ、レセプタクル140内の圧力上昇が可能になる。レセプタクル140の圧力が上昇すると、レセプタクル140を密封しているダイアフラム132は、下方向に押され、圧力を、レセプタクル142を密封しているダイアフラム134に転送し、ダイアフラム140およびダイアフラム142は、ダイアフラムダイアフラム平衡部材154を介して接続されている。レセプタクルの間の圧力分布が転換されるとき、それに応じて、ダイアフラム142は、下方向に押され、したがって、ダイアフラム140に接触するアクチュエータ板150は、図4で14bと示される位置から図1および図2で14と示される位置まで変位される。アクチュエータ板150の下方移動により、以前に、接触しているサーモスタットバネ124a上に及ぼされていた圧力はなくなり、サーモスタットバネ124aの伸張を誘導する。弛緩したサーモスタットバネ124aは、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁を妨げなくなり、加熱された冷却剤流体によって加熱されることに因る熱膨張可能材料114は、十分に膨張されて、サーモスタット本体112aおよびサーモスタット本体112bの下方移動を誘導する。
動作モードにおけるサーモスタット弁120の作動は、確実に作動するように(フェイルセーフ)なっている。熱膨張可能材料が故障して、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁を誘導しない場合、制御弁148aの開弁が、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁を誘導する。制御弁148aが故障して開弁しない場合、熱膨張可能材料が、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁を誘導する
サーモスタット弁120の開弁は、漸進的に進行することができ、サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁の程度は、制御弁148aの開弁および/または閉弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定することができる。サーモスタット弁体118の変位の範囲は、制御弁148aの開弁および/または閉弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定することができる。
バイパス弁128の閉弁は、漸進的に進行することができ、バイパス弁128の閉弁および/または開弁の程度は、制御弁148aの開弁および/または閉弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定することができる。バイパス弁体126の変位の範囲は、制御弁148aの開弁および/または閉弁の程度によって制御されるアクチュエータ板150の位置によって画定することができる。
「先行開弁モード」と示される別の可能な動作のモードをさらに、以下の実施形態で説明し、図1および図5に概略的に図示する。図5は、装置100を表し、冷却剤流体温度が予め決められたSTO値に達したあと、サーモスタット弁120は、10cと示される開位置にあり、バイパス弁128は、12cと示される閉位置にある。加熱された冷却剤流体は、ポンプ102によってエンジン103、ラジエータ106、およびサーモスタット110の中を循環し、冷却剤流体は、サーモスタット弁120を通ってサーモスタット110に流入する。ECM(図示せず)から指示を受け取ると、制御弁148aは開く。制御弁148aの開弁は、レセプタクル140からの冷却剤流体流れを促進する。レセプタクル140の冷却剤流体圧力が減圧弁システム146によって画定される圧力から約0Atmまで低下されると、冷却剤流体がレセプタクル140から流出した後、レセプタクル140を密封しているダイアフラム132は、レセプタクルの中に引き入れられる。ダイアフラム132が上方向に移動すると、ダイアフラム132と接触しているアクチュエータバネ136上に圧力を及ぼし、強制的にアクチュエータバネ136を収縮させる。制御弁148bは閉じたままであり、レセプタクル142からの冷却剤流体の流れを妨げる。レセプタクル142の冷却剤流体の圧力は、レセプタクル140の冷却剤流体圧力より高い。レセプタクル間の圧力分布が転換されるとき、ダイアフラムダイアフラム平衡部材154を介してダイアフラム132に接続されるダイアフラム134は、レセプタクル142からレセプタクル140の方へ押される。したがって、図1で14と示される位置から図5で14bと示される位置まで、ダイアフラム134に接触しているアクチュエータ板150は、変位される。アクチュエータ板150が上方向に移動すると、接触サーモスタットバネ124a上に圧力を及ぼし、サーモスタットバネ124aを強制的に収縮させる。
収縮されたサーモスタットバネ124aは、接触弁体118上に圧力を及ぼす。説明した動作モードでは、サーモスタットバネ124aの収縮は、熱膨張可能材料114によって熱作動ピストン116上に及ぼされる圧力と比例しない。制御弁148aの開弁の後、サーモスタットバネ124aは、図2に表される通常の動作モード(「通常モード」)の場合よりも高い程度まで収縮される。したがって、サーモスタットバネ124aがより少ない程度で収縮され、かつ熱作動ピストン116が、サーモスタット本体112aに挿入されて戻るまで、収縮されたサーモスタットバネ124aが、弁体118の上方移動および続くサーモスタット本体112aの上方移動を誘導するように、サーモスタット弁体の上方移動を誘導する収縮されたサーモスタットバネ124aによって及ぼされる圧力は、熱膨張可能材料114によってサーモスタット本体112aの下方移動を誘導する熱作動ピストン116上に及ぼされる圧力を上回る。サーモスタット弁体118は、図5で10cと示されるサーモスタット弁120開位置から変位され、サーモスタット弁座122に到達してそれを密封するまで、上方向に移動する。サーモスタット弁体118がサーモスタット弁座122に到達することで、サーモスタット弁120を、図1で10と示される閉位置に至らせる。続いて、サーモスタット本体112aに接続されたサーモスタット本体112bは、上方向に移動し、バイパス弁体126は、図5で12cと示されるバイパス弁128の閉位置でバイパス弁座129から図1で12と示されるバイパス弁128の開位置に変位される。開位置にあるバイパス弁128は、エンジン103からバイパス弁128を通ってサーモスタット110に向かう冷却剤流体流れを可能にし、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体流れを妨げる。したがって、バイパス弁128の開弁およびサーモスタット弁120の閉弁は促進され、ECM(図示せず)から指示を受け取る制御弁148aの開弁に因って、通常動作モード(図2に例示される)の場合より高い温度で進行することができる。あるいは、サーモスタット弁120の閉弁およびバイパス弁128の開弁は、通常動作モード(図2に例示される)と同じ温度でより高い程度まで進行することができる。アクチュエータ130の作動により誘導されてサーモスタット弁体118が上方向に移動することで、熱膨張性材料116の冷却だけで誘導されるサーモスタット弁120の閉弁と比べて、サーモスタット弁120のより急速な閉弁および/またはより高い程度までの閉弁が可能になる。したがって、制御弁148aの開弁を含むアクチュエータ130の作動によって誘導されてサーモスタット弁体118が上方向に移動することで、熱膨張性材料116の冷却だけで誘導されるバイパス弁120の開弁と比べて、バイパス弁128のより急速な開弁および/またはより高い程度までの開弁が可能になる。説明した「先行閉弁モード」では、エンジン103からラジエータ106に向かう冷却剤流体流れは、阻止される、またはラジエータ106を通るその流速および/または体積は、閉塞または流量および/または体積の減少が通常動作モードにおいて進行する温度より高い温度で低下、低減される、または代替的に、ラジエータ106を通る冷却剤流体流量および/または体積は、通常の動作モードの対応する温度での流量および/または体積と比較して低下、低減される。制御弁148aは、ECMによって制御され、したがって、熱膨張可能材料116の冷却によって誘導されるサーモスタット弁120の閉弁およびバイパス弁128の開弁より前に弁148aを開弁することで、エンジン103の運転温度を上げることができる。弁148aの開弁は、さらに、即時的なエンジン状態および要求に基づいて、かつ熱膨張可能材料冷却率によって画定される予め決められた冷却レジームに従うだけでなく、リアルタイムでエンジン103の冷却を制御することを可能にする。
次に、本発明のいくつかの実施形態による、装置100のハウジング200の正面図を示す図6A、および装置100のハウジング200の分解正面図を示す図6Bを参照する。
装置ハウジング200は、サーモスタット110を収容するように構成されるサーモスタットハウジング202とアクチュエータ130およびステップモータ210(図示せず)を収容するように構成されるステップモータハウジング204を含み、前述のように、サーモスタット110は、アクチュエータ130と関連している。
装置ハウジングは、ラジエータ106(図示せず)からサーモスタット110に向かう冷却剤流体の流れを提供するように構成される管220と、エンジン103(図示せず)に向かう冷却剤流体の流れを提供するように構成される管222をさらに含む。装置ハウジング200は、エンジン103(図示せず)からサーモスタット110に向かう冷却剤流体の流れを提供するように構成されるパイプ224と、ラジエータ106(図示せず)に向かう冷却剤流体の流れを提供するように構成されるパイプ226をさらに含む。
装置ハウジング200は、温度センサ300に接続されており、温度センサ300は、サーモスタット110に付加してまたはその代わりに、冷却剤流体温度を検出するように構成される。
次に、本発明のいくつかの実施形態による図8Aの線JJに沿う、装置ハウジング200、サーモスタット110、およびアクチュエータ130を含む装置100の断面正面図を示す図7Aと、ステップモータハウジング204、ステップモータ210、およびアクチュエータ130の分解立体図を示す図7Bと、図8Bの線IIに沿う、装置ハウジング204、サーモスタット110、およびアクチュエータ130を含む装置100の断面側面図を示す図7Cとを参照する。
サーモスタット110は、2つの区分、すなわちサーモスタット本体112aおよびサーモスタット本体112bに分けられるサーモスタット本体112を含む。サーモスタット本体112aは、サーモスタット本体112aの内部に配置される熱作動ピストン116を含む。サーモスタット110は、サーモスタット本体112aに接続され、かつ下方向および上方向に自由に移動するように構成されるサーモスタット弁体118をさらに含み、サーモスタット弁120の開弁および閉弁がそれぞれ、エンジン103からサーモスタット110を通ってラジエータ106に向かう冷却剤流体の流れを可能にするまたは妨げることができ、冷却剤流体は、管224および226の中を流れる。サーモスタット110は、弁体118が密封する弁座122をさらに含む。サーモスタット弁体118は、サーモスタット本体112aに接続されており、サーモスタット弁座122は適所に固定される。サーモスタット110は、サーモスタット本体112a上に載置されるサーモスタットバネ124aをさらに含む。サーモスタットバネ124aは、弁体118と連携している。
装置100は、バイパス弁128をさらに含む。バイパス弁128は、サーモスタット本体112bに接続され、かつ下方向および上方向に自由に移動するように構成されるバイパス弁体126を含み、バイパス弁128の閉弁および開弁がそれぞれ、ラジエータ106からエンジン103に向かう冷却剤流体の流れを可能にするまたは妨げることができ、冷却剤流体は、管220および222の中を流れる。サーモスタット110は、バイパス弁体126が密封するバイパス弁座129をさらに含む。バイパス弁体126は、サーモスタット本体112bに接続されており、バイパス弁座129は、適所に固定される。サーモスタット110は、サーモスタット本体112b上に載置されるサーモスタットバネ124bをさらに含む。サーモスタットバネ124bは、バイパス弁体128およびサーモスタットバネ124aと連携している。
装置100は、油圧アクチュエータ130をさらに含み、油圧アクチュエータは、ダイアフラム134を含む。油圧アクチュエータ130は、ダイアフラム134と関連しているアクチュエータ板150をさらに含む。ダイアフラム134は、レセプタクル142に接続されており、レセプタクル142は、流体で充填されるように構成される。流体は、外部ポンプ(図示せず)から管路206の中を流れるように構成される。レセプタクル142は、流体の放出を可能にするようにさらに構成され、流体は、レセプタクル142から管路206の中をポンプに向かって流れるように構成される。レセプタクル142に流入するかつそこから流出する流体の体積は、ステップモータ210によって制御される。いくつかの実施形態によれば、流体は、外部ポンプによって循環される液体を含む。これらの実施形態では、液体は、水、冷却剤流体、または油を含む。他の実施形態によれば、流体は、冷却剤流体ポンプによって循環される冷却剤流体を含む。
ステップモータハウジング204は、ステップモータ210を含み、ステップモータ210は、親ねじ212、針軸受214、モータ216、およびステップモータカバー218を含む。ステップモータハウジング204は、位置アクチュエータ230をさらに含み、位置アクチュエータ230は、リードピストン232、アクチュエータ234、アクチュエータ保持具236、およびアクチュエータカバー238を含む。ステップモータハウジング204は、レセプタクル142、アクチュエータ板150、およびダイアフラム134を含むように構成され、アクチュエータ板150は、ダイアフラム134と関連しており、ダイアフラム134は、Oリング242および244を用いてレセプタクル142に組み付けられる。
ステップモータ210は、位置決めアクチュエータ230の推進および後退を促進するように構成される。モータ216は親ねじ212と関連しており、親ねじ212は、リードピストン232と接触している。アクチュエータ234は、リードピストン232上に組み付けられる。モータ216が作動されると、アクチュエータ232は、40と示される軸Xに沿って移動する。アクチュエータ232は、管206を通じてレセプタクル142と流体流れでつながっている。位置決めアクチュエータ230の推進はレセプタクル142の流体量を増加させ、それによって、ダイアフラム134上に及ぼされる圧力を誘導する。位置決めアクチュエータ230の後退はレセプタクル142の流体量を減少させ、それによって、ダイアフラム134上に及ぼされる圧力を低下させる。いくつかの実施形態によれば、位置決めアクチュエータ230の特定の位置は、レセプタクルを充填している流体の体積、ダイアフラム134上に及ぼされる圧力を画定し、したがって、ダイアフラム134と接触しているアクチュエータ板150の特定の位置を画定する。サーモスタットバネ124aと接触しているアクチュエータ板150の特定の位置は、サーモスタット弁120および/またはバイパス弁128の開弁および/または閉弁の度合いを画定する。
いくつかの実施形態によれば、モータ216の作動は、ECM(図示せず)によって促進される。追加的な実施形態によれば、モータ216は、温度センサ300から受け取った指示に応答して作動される。
次に、いくつかの実施形態による、図8Aの線JJに沿う、サーモスタット110およびアクチュエータ130の断面図を示し、サーモスタット弁120が閉位置にある図9A、および図8Bの線IIに沿う、ステップモータ210の断面図を示し、サーモスタット弁120が閉位置にある図9Bを参照する。
サーモスタット弁120は、閉位置にあり、バイパス弁128は、開位置にある。サーモスタット弁体は、弁座122を密封し、バイパス弁体126は、弁座129から変位される。冷却剤流体は、ポンプ102(図示せず)によってエンジン103(図示せず)およびサーモスタット110の中を循環し、冷却剤流体は、サーモスタット110からバイパス弁128を通ってエンジンへ還流する。したがって、エンジン103からサーモスタット弁120を通ってラジエータ106に向かう冷却剤流体の流れは、実質的に抑制される。
位置決めアクチュエータ230は、所定量の流体がレセプタクル142に流入することを促進し、それによって、レセプタクル142と接触するおよび/または密封するダイアフラム134上に所定の圧力を及ぼす、30と示される部分的に伸張された位置にある。ダイアフラム134と接触しているアクチュエータ板150は、サーモスタット本体112a上に載置されたバネ124aと接触しており、バネ124aは、位置決めアクチュエータ230によって及ぼされる圧力を相殺するように構成される。サーモスタット弁が閉位置にあるとき、バネ124aは、伸張され、それによって、サーモスタット弁110を閉弁し、バイパス弁128を開弁する不十分な圧力をダイアフラム134上に及ぼす。
次に、いくつかの実施形態による、図8Aの線JJに沿う、サーモスタット110およびアクチュエータ130の断面図を示し、サーモスタット弁120が開位置にある図10A、および図8Bの線IIに沿う、ステップモータ210の断面図を示し、サーモスタット弁120が「通常モード」の開位置にある図10Bを参照する。
これまで図1および図2に関して記載したように、エンジン103およびサーモスタット110の中を循環する冷却剤流体の温度が上昇すると、熱膨張性材料114(図示せず)は、溶融して膨張する。熱膨張性材料114によって熱作動ピストン116上に及ぼされる圧力は、サーモスタット弁体118が、サーモスタット座122から変位されるように、サーモスタット本体112aおよびサーモスタット本体112aに接続された弁体118の下方移動を誘導する。サーモスタット本体112aの下方移動により、バネ124aは強制的に収縮される。サーモスタット本体112aに接続されたサーモスタット本体112bは、その後下方向に移動し、バイパス弁体126が、バイパス弁開位置から変位されて、バイパス弁座129に接触してそれを密封する。バイパス弁体126が下方向に移動してバイパス弁座129に到達することで、バイパス弁126を、閉位置に至らせる。サーモスタット本体112bの下方移動により、バネ124bは強制的に収縮される。閉位置にあるバイパス弁128は、ラジエータ106(図示せず)からエンジン103に戻る加熱された冷却剤流体の流れを促進する。サーモスタット弁体118が弁座122から変位し、かつ下方向に移動することで、サーモスタット弁120を開位置に至らせる。開位置にあるサーモスタット弁120は、エンジン103(図示せず)からサーモスタット弁120を通ってラジエータ106(図示せず)に向かう加熱された冷却剤流体の流れを可能にする。サーモスタット弁体118がサーモスタット弁座122からさらに変位されると、ラジエータ106を通る冷却剤流体の流れは増し、サーモスタット弁120が開位置のときには最大流量まで増すことが可能になる。バイパス弁体126がバイパス弁座129に向かってさらに移動すると、ラジエータ106(図示せず)を通る冷却剤流体の流れは増し、バイパス弁128が閉位置のときには最大流量まで増すことが可能になる。サーモスタット弁体118およびバイパス弁体129の変位の範囲は、エンジン103(図示せず)からラジエータ106(図示せず)に向かって流れる冷却剤流体の量を画定し、冷却剤流体は、サーモスタット弁120を通過する。これらの実施形態では、サーモスタット弁体118およびバイパス弁体129の変位の範囲は、熱膨張可能材料の膨張によって画定される。
位置決めアクチュエータ230は、ダイアフラム134上に所定の圧力を及ぼす、30と示される部分的に伸張された位置にある。収縮されたバネ124aは、接触アクチュエータ板150を介してダイアフラム134上に圧力を及ぼし、この圧力は、位置決めアクチュエータ230によって誘導された、レセプタクル142を充填している流体によってダイアフラム134上に及ぼされる圧力を克服するのには不十分である。サーモスタット弁120の開弁および/または閉弁、および/またはバイパス弁126の閉弁および/または開弁の度合いは、熱膨張性材料114の(図示せず)の膨張によって決定されるように、バネ124aは、収縮したままである。
次に、いくつかの実施形態による、図8Aの線JJに沿う、サーモスタット110およびアクチュエータ130の断面図を示し、アクチュエータ130によって誘導される「先行開弁モード」においてサーモスタット弁120が開位置にある図11Aを参照する。
図11Bは、いくつかの実施形態による、図8Bの線IIに沿う、ステップモータ210の断面図を示し、アクチュエータ130によって誘導される「先行開弁モード」においてサーモスタット弁120は、開位置にある。
冷却剤流体温度が上昇したという指示を、図1および図3を参照して説明したようにECM(図示せず)から受け取ると、または温度センサ300から受け取ると、位置決めアクチュエータ230は、32と示される位置に後退される。位置決めアクチュエータ230が後退されると、レセプタクル142からの流体流れは促進される。流体がレセプタクル142から流出した後、レセプタクル142に接触して密封しているダイアフラム134は、レセプタクルの中に引き入れられるダイアフラム134の下方移動により、レセプタクル142を充填している流体によってアクチュエータ板150上に及される圧力(接触ダイアフラム134)は低下する。その結果、アクチュエータ板150は、新しい位置に変位される。アクチュエータ板150の下方移動により、接触サーモスタットバネ124a上に及ぼされる圧力は解放され、サーモスタットバネ124aの弛緩を促進する。
弛緩したサーモスタットバネ124aは、図10Aに提示される「通常モード」の場合よりも接触弁体118上に及ぼす圧力は少なくなり、それによって、サーモスタット弁体118が弁座122から変位することで進行するサーモスタット弁120の開弁を促進する。サーモスタット弁体118は、サーモスタット弁座122から開位置まで変位される。したがって、サーモスタット弁120の開弁は、油圧アクチュエータ130の作動によって誘導され、アクチュエータ板150の変位は、位置決めアクチュエータ230によって制御され、熱膨張性材料114の(図示せず)の膨張より前に、所定のSTO温度より低い温度で進行する。
サーモスタット本体112aに接続されたサーモスタット本体112bは、その後下方向に移動し、バイパス弁体126は、バイパス弁128開弁位置から、接触バイパス弁座129に接触してそれを密封するまで変位される。油圧アクチュエータ130の作動に因り、バネ124aは、バネ124bより弛緩され、したがって、バネ124aとバネ124bの間の圧力分布は等しくなくなると、サーモスタット本体112aが下方向に移動し、続いてサーモスタット本体112bが下方向に移動することにより、バネ124bは、強制的に図10Aに示される「通常モード」の場合より高い程度まで収縮する。
いくつかの実施形態によれば、説明した動作モードでは、冷却剤流体を所定のSTO温度まで加熱することは、熱膨張可能材料114の膨張を誘導し、その後、油圧アクチュエータ130の作動によって誘導されるその開弁および閉弁に続いて、サーモスタット弁120の開弁、およびバイパス弁128の閉弁を誘導する。油圧アクチュエータ130の作動によって誘導されるサーモスタットバネ124aの弛緩によって強制される収縮に続いて、熱膨張性可能材料114の膨張によって誘導されるサーモスタット本体112aおよび112bの下方移動により、バネ124bを強制的に収縮させることができる。閉位置のバイパス弁128および開位置のサーモスタット弁120は、エンジン103(図示せず)からラジエータ106(図示せず)に向かう冷却剤流体流れを可能にする。
次に、いくつかの実施形態による、図8Aの線JJに沿う、サーモスタット110およびアクチュエータ130の断面図を示し、サーモスタット弁120が、アクチュエータ130により誘導された「遅延開弁モード」の開位置にある図12A、およびいくつかの実施形態による、図8Bの線IIに沿う、ステップモータ210の断面図を示し、サーモスタット弁120が、アクチュエータ130により誘導された「遅延開弁モード」の閉位置にある図12Bを参照する。
図1および図4を参照して説明したように、ECM(図示せず)から指示を受け取ると、位置決めアクチュエータ230は、34と示されるその完全後退位置まで伸張される。位置決めアクチュエータ230の伸張は、レセプタクル142に入る流体の流れを促進する。レセプタクル142に接触して密封するダイアフラム134は、流体がレセプタクル142に流入した後、レセプタクルから押圧される。ダイアフラム134の上方移動により、レセプタクル142を充填する流体によってダイアフラム134に接触するアクチュエータ板150上に及ぼされる圧力を上昇させる、凸面形状のダイアフラムが形成される。したがって、アクチュエータ板150は、新しい高い位置に変位される。アクチュエータ板150の上方移動により、接触サーモスタットバネ124a上に及ぼされる圧力が上昇し、サーモスタットバネ124aを強制的に収縮させる。
所定のSTO温度に達すると、熱膨張性材料114の(図示せず)は、前述のように溶融して膨張する。しかし、アクチュエータ板150と関連しているバネ124aが収縮され、したがって、サーモスタット本体112a(およびそれぞれのサーモスタット本体112b)の変位を妨げるとき、熱膨張可能材料により熱作動ピストン116上に及ぼされる圧力は、サーモスタット本体112aおよびサーモスタット本体112bの下方向への移動、およびサーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁体128の閉弁のそれぞれを誘導するのには不十分である。したがって、サーモスタット弁120の開弁およびバイパス弁128の閉弁は、ECM(図示せず)から指示を受け取って、油圧アクチュエータが作動することに因り、遅延されて所定のSTO温度より高い温度で進行する。したがって、ラジエータに向かう冷却剤流体の流れは、サーモスタット110がSTO温度に達した後であっても阻止さ抑制される。順にECMによって促進される位置決めアクチュエータによって誘導および制御される油圧アクチュエータの作動は、STO温度をその所定の値より高く上昇させること、および/または即時的なエンジン状態および要求に基づいてリアルタイムのSTO温度を画定することを可能にする。
次に、いくつかの実施形態による、サーモスタットおよびアクチュエータを備えていて、サーモスタット弁が開位置にあるエンジンの温度を制御するための装置1300の断面図を示す図13Aを参照する。
装置1300は、サーモスタット1310を含み、サーモスタットは、サーモスタット本体内部に配置される熱膨張可能材料1314および熱作動ピストン1316を有するサーモスタット本体1312を含む。サーモスタットは、サーモスタット本体1312に接続され、かつ上方向および下方向に自由に移動するように構成され、サーモスタット弁1320の開弁および閉弁を可能にするサーモスタット弁体1318と、弁体1318が密封している弁座1322とをさらに含む。弁体1318が弁座1322を密封しているサーモスタット弁1320の閉位置は、図13Aでは1010と示される。弁体1318は、サーモスタット本体に接続されており、弁座1322は、適所に固定されている。サーモスタットは、サーモスタット本体上に載置されるサーモスタットバネ1324をさらに含む。サーモスタットバネ上端部は、弁体1318と接触している。
装置1300は、油圧アクチュエータ1330をさらに含み、アクチュエータは、その上部にアクチュエータ板1332およびその下部にアクチュエータピストン1334を画定しているアクチュエータ本体1331を含み、その両方とも、上方向および下方向に自由に移動するように構成される。アクチュエータ1330は、クチュエータ板1332が座するアクチュエータ板座1336をさらに含むことができ、アクチュエータ板座は、適所に固定されている。アクチュエータは、アクチュエータ本体上に載置されるアクチュエータバネ1338をさらに含むことができる。アクチュエータ板1332は、サーモスタットバネ1324の下端と接触している。アクチュエータピストン1334は、その底部分にチェック弁1342を含むことができるレセプタクル1340の内部に配置される。装置1300は、その一方の端部が制御弁1346に接続された流体導管1344をさらに含む。流体導管の他方の端部は、レセプタクル1340に接続されている。
装置1300は、さらに、冷却剤流体1304を矢印線1308で示されるようにサーモスタット1310およびラジエータ1306の中で循環させるように構成されるポンプ1302を含む。冷却剤流体1304は、矢印線1308’で示されるように、チェック弁1342を通ってレセプタクル1340に向かって流れることもできる。冷却剤流体1304は、制御弁1346が開位置にある場合、レセプタクル1340から流体導管1344に向かって流れることもできる。
主要構成要素の一般的な概要を説明してきたが、これより、各個別の構成要素の詳細がより明らかに理解されるであろう。
サーモスタット1310は、温度応答性を有する。サーモスタット弁1320は、ラジエータ1306に向かう冷却剤流体1304の流れを実質的に遮断するかつ実質的に遮断解除するように構成される。熱作動ピストン1316は、冷却剤流体1304の温度が上昇すると、サーモスタット弁1320の開弁を可能にするように構成され、サーモスタットバネ1324は、冷却剤流体温度が低下すると、サーモスタット弁1320の閉弁を誘導するように構成される。
サーモスタット1310、油圧アクチュエータ1330、およびエンジン(図示せず)の中を循環する冷却剤流体の温度が上昇すると、限定的ではないがワックスなどの熱膨張性材料114は、溶融して膨張することができる。熱膨張可能材料1314の圧力下にあるサーモスタット本体1312は、熱作動ピストン1316がサーモスタット本体から突出することを誘導することができる。しかし、熱作動ピストン1316はその上端部で、熱作動ピストンを定位置にしっかり固定し、それがサーモスタット本体1312から突出するのを防止する装置1300の本体部1350に接続されている。サーモスタット本体1312およびサーモスタット本体1312に接続された弁体1318は、その位置に固定されておらず、それによって、サーモスタット本体は、下方移動し、サーモスタット弁体1318は、サーモスタット座1322から変位され、加熱された冷却剤流体1304がエンジンからラジエータ1306に向かって流れることが可能になる。弁体1318の変位弁座1322からの変位を介して進行する弁の開弁は、図13
Cで1020aと示される。弁体1318が弁座1322からさらに変位されると、ラジエータに向かう冷却剤流体1304の流れは増し、弁が開位置のときには最大流量まで増すことが可能になる。弁体1318の変位の範囲は、エンジンからサーモスタット1310を通ってラジエータ1306に向かって流れる冷却剤流体の量を画定する。
サーモスタット弁1320の閉弁は、熱膨張可能材料1314の冷却によって開始される。ラジエータ1306の中を流れる冷却剤流体は、エンジンの冷却を可能にし、したがって、サーモスタットの中を流れる冷却剤流体の温度は低下する。したがって、熱膨張可能材料1314の温度も低下し、その凝固および縮小が可能になる。熱膨張可能材料のこうした縮小により、サーモスタット本体の中には空所が残る。収縮されたサーモスタットバネ1324は、弁体1318上に圧力を及ぼし、熱作動ピストン1316がサーモスタット本体1312の中に完全に挿入されて、弁バネが弛緩されるまで、サーモスタット本体を強制的に上方移動させる。
さらに、1つの可能な動作のモードを、以下の実施形態で説明し、概略的に図13Bに示す。弁体1318の弁座1322からの変位は、サーモスタットバネ1324の収縮を誘導する。サーモスタットバネ1324は、アクチュエータ板1332と接触し、それによって、アクチュエータピストン1434上に圧力を及ぼす。制御弁1346が閉位置にある場合、レセプタクル1340は冷却剤流体1304で充填され、アクチュエータピストン1334の下方移動を抑制する。したがって、サーモスタット弁1320の開弁1020は、熱膨張可能材料1314の加熱およびサーモスタットバネ1324の収縮によってのみ制御される。サーモスタット弁1320の閉弁は、熱膨張可能材料1314の冷却およびサーモスタットバネ1324の伸張によって作動および制御される。弁体1318の変位の範囲は、熱膨張可能材料1314およびサーモスタットバネ1324によって制御される。したがって、例証された実施形態によれば、油圧式作動サーモスタットは、確実に作動するように(フェイルセーフ)なっており、制御弁が故障して開かない場合、サーモスタットは、通常のサーモスタット作動モードで作動し、熱膨張可能材料1314を加熱すると、ラジエータ1306に向かう冷却剤流体1304の流れが可能になる。
さらに、別の可能な動作のモードを、以下の実施形態で説明し、概略的に図13Cに示す。弁体1318の弁座1322からの変位は、サーモスタットバネ1324の収縮を誘導する。サーモスタットバネ1324は、アクチュエータ板1332と接触し、それによってアクチュエータピストン1334上に圧力を及ぼす。制御弁1346が開位置にある場合、アクチュエータピストンは、レセプタクル1340を充填する冷却剤流体1304上に圧力を及ぼし、強制的にそれを流体導管1344の中に流す。冷却剤流体1304がレセプタクル1340から流れると、アクチュエータピストン1334は、下方向に移動する。アクチュエータ板1332は、アクチュエータ板座1336からそれぞれ変位され、サーモスタットバネ1324の伸張を可能にする。したがって、サーモスタット弁1320のさらなる開弁および弁体1318の変位の範囲は、熱膨張可能材料1314の加熱およびアクチュエータピストン1334の移動によって作動および制御され、アクチュエータピストンの移動は、制御弁1346の開弁および/または閉弁によって制御される。アクチュエータピストン1334の下方移動によって誘導される、アクチュエータ板1332のアクチュエータ板座1336からの変位は、1030と示される。このような移動は、1020aと示され、弁体1318が弁座1322からさらに変位することを可能にする。
サーモスタット弁1320の閉弁は、制御弁1346が開弁している場合、熱膨張可能材料1314の冷却によって、および/または制御弁1346の閉弁によって開始することができる。制御弁1346を閉弁すると、レセプタクル1340は、ポンプ1302によって循環される冷却剤流体1304で充填され、冷却剤流体は、アクチュエータピストン1334上に圧力を及ぼし、強制的にアクチュエータピストンを上方移動させる。アクチュエータ本体1331を介してアクチュエータピストン1334に接続されるアクチュエータ板1332は、それぞれ上方向に移動し、サーモスタットバネ1324上に圧力を及ぼし、強制的にそれを収縮させる。収縮されたサーモスタットバネ1324は、弁体1318上に圧力を及ぼす。冷却剤流体がラジエータを通過した後、冷却剤流体1304の温度が低下した場合、熱膨張可能材料1314の縮小および凝固により、熱作動ピストン1316がサーモスタット本体1312の中に完全に挿入されるまで、強制的にサーモスタット本体1312を上方移動させるサーモスタットバネ1324の弛緩が可能になる。弁体1318が弁座1322を再度密封しているサーモスタット弁1320の閉位置は、図13Aで1010と示される。
いくつかの実施形態によれば、制御弁1346の閉弁で作動されるサーモスタット弁1320の閉弁は、アクチュエータバネ1338の弛緩によって支援することができる。制御弁1346の開弁で作動されてサーモスタット弁1320が開弁すると、アクチュエータ板1332は、下方向に移動し、アクチュエータ板は、アクチュエータバネ1338と接触し、それによって、強制的にアクチュエータバネを収縮させる。したがって、アクチュエータ板1332の上方移動は、制御弁1346の閉弁、およびレセプタクル1340内の冷却剤流体1304の圧力上昇によってのみならず、その弛緩時に、収縮されたアクチュエータバネ1338によっても強制される。
いくつかの実施形態によれば、装置1300は、冷却剤流体1304がレセプタクル1340に向かって流れるのを可能にし、それがレセプタクルから流れるのを防止するチェック弁1342をさらに含む。したがって、チェック弁1342(すなわち逆止弁または一方向弁)は、レセプタクル1340の圧力降下を防止するように構成される。圧力降下は、例えば冷却剤流体流れシステムを横断する冷却剤流体1304の圧力降下に因って起こる場合がある。チェック弁1342は、強制的に冷却剤流体をポンプ循環と反対方向に流すことによって、サーモスタットバネ1324の収縮に応答して冷却剤流体によって及ぼされる背圧を防止して、ポンプ1302に影響を及ぼすようにさらに構成される。
制御弁は、エンジン(図示せず)と関連した、車両エンジンの条件および性能をモニタするのに一般に使用されるようなモータ計装パッケージによって制御される。こうした計装パッケージの詳細は当業者によく知られているので、それらの詳細について、本明細書ではこれ以上詳細に記述しない。制御弁1346は、例えばエンジン制御モジュール(ECM)すなわちエンジン制御システムによって制御される電気回路に接続されれば最も望ましい。用語「制御モジュール」と「「エンジン制御システム」」を、同義的に使用する場合がある。典型的に、ECMは、さまざまなエンジンおよび車両パラメータを感知するのに使用される複数のセンサを含み、それでエンジンの性能を最適化することができる。本発明は、本明細書に記載するように本発明を活用するのに十分な情報をECMに提供するために、適切でかつ利用用可能であれば既存のセンサを使用すること、または付加的なセンサを使用することのどちらも包含する。
いくつかの実施形態によれば、アクチュエータピストン1334の移動は、制御弁1346の開弁および/または閉弁、および2つの別々の位置によって画定されるアクチュエータピストン1334のそれぞれの変位を可能にするように構成される二項性制御弁によって制御される。制御弁の開弁および/または閉弁は、ECMによって制御することができ、ECMは、さまざまなエンジンおよび車両パラメータを感知し、かつ弁の開弁および/または閉弁が必要とされるかどうかを判定するように構成されるセンサを含む。したがって、アクチュエータピストンの移動、およびサーモスタット弁の開弁および/または閉弁のそれぞれを、ECMによって感知されたエンジンの状態に従って制御することができる。例えば、エンジン温度の変化を、その変化に対する熱膨張可能材料の応答より前に、ECMが感知することができ、サーモスタット弁の開弁および/または閉弁は、熱膨張可能材料によるよりも制御弁によってより効率的に作動させることができる。
他の実施形態によれば、アクチュエータピストン1334の移動は、制御弁1346が漸進的および/または比例的に開弁するおよび/または閉弁することを可能にするように構成されるアナログ制御弁によって制御され、それによって、測定された体積の冷却剤流体がレセプタクルから流体導管に向かって流れることが可能になる。制御弁の開弁および/または閉弁は、ECMによって制御することができ、ECMは、さまざまなエンジンおよび車両パラメータを感知し、かつ適切な流量の冷却剤流体がラジエータを通っていることを確定するように構成されるセンサを含む。したがって、アクチュエータピストンの移動、およびサーモスタット弁体の変位のそれぞれの範囲は、ECMによって感知されたエンジンの状態に従って制御することができる。例えば、エンジン温度の変化を、その変化に対する熱膨張可能材料の応答より前に、ECMが感知することができ、サーモスタット弁体の変位は、サーモスタットの作動によってよりも制御弁によってより効率的に調節することができる。
さらに、別の可能な動作のモードを、以下の実施形態で説明し、概略的に図13Bに示す。いくつかの実施形態によれば、サーモスタットバネ1324は、予め荷重を加えられている。サーモスタットバネ1324は、アクチュエータ板1332と接触し、それによってアクチュエータピストン1334上に圧力を及ぼす。制御弁1346が閉位置にある場合、レセプタクル1340は、冷却剤流体1304で充填され、アクチュエータピストン1334の下方移動を抑制する。したがって、サーモスタット弁1320の開弁1020は、熱膨張可能材料1314の加熱およびサーモスタットバネ1324のさらなる収縮によってのみ、作動および制御される。サーモスタット弁の閉弁は、熱膨張可能材料1314の冷却および予め荷重を加えられた収縮状態に対するサーモスタットバネ1324の弛緩によって作動および制御される。弁体1318の変位の範囲は、熱膨張可能材料1314およびサーモスタットバネ1324によって制御される。したがって、例証された実施形態によれば、油圧式作動サーモスタットは、確実に作動するように(フェイルセーフ)なっており、制御弁1346が故障して開かない場合、サーモスタットは、通常のサーモスタット作動モードで作動し、熱膨張可能材料1314を加熱すると、ラジエータ1306に向かう冷却剤流体1304の流れが可能になる。
さらなる実施形態によれば、図13Dに概略的に示すように、制御弁1346が開位置にある場合、アクチュエータピストン1334は、レセプタクル1340を充填する冷却剤流体1304上に圧力を及ぼし、強制的にそれを流体導管1344の中に流す。冷却剤流体1304がレセプタクルから流れると、アクチュエータピストン1334は、下方向に移動する。アクチュエータ板1332は、アクチュエータ板座1336からそれぞれ変位され、サーモスタットバネ1324の伸張を可能にする。したがって、サーモスタット弁1320の開弁(弁体1318の弁座1322からの変位)は、アクチュエータピストンの移動によって開始され、さらに作動および制御され、アクチュエータピストンの移動は、制御弁1346によって制御される。アクチュエータピストン1334の下方移動によって誘導される、アクチュエータ板1332のアクチュエータ板座1336からの変位は、30と示される。このような移動は、1020aと示されるように、弁体1318が弁座1322から変位すること、およびサーモスタット弁1320の最初のおよびさらなる開弁を可能にする。
したがって、本発明の実施形態によれば、熱膨張可能材料1314の膨張による強制的な熱作動ピストンの隆起に依存していないので、冷却剤流体の温度上昇に対するサーモスタット1310の応答より前に制御弁1346によるサーモスタット弁1320の開弁を開始することができる。
サーモスタット弁1320の閉弁は、制御弁1346が開弁しており、サーモスタットバネ1324に予め荷重が加えられている場合、制御弁1346の閉弁によって開始することができる。制御弁を閉弁すると、レセプタクル1340は、ポンプ1302によって循環される冷却剤流体1304で充填され、冷却剤流体は、アクチュエータピストン1334上に圧力を及ぼし、強制的にアクチュエータピストン1334を上方移動させる。アクチュエータ本体1331を介してアクチュエータピストンに接続されるアクチュエータ板1332は、それぞれ上方向に移動し、サーモスタットバネ1324上に圧力を及ぼし、強制的にそれを収縮させる。収縮されたサーモスタットバネ1324は、弁体1318上に圧力を及ぼす。冷却剤流体がラジエータを通過した後、冷却剤流体1304の温度が低下した場合、熱膨張可能材料の縮小および凝固により、熱作動ピストン1316がサーモスタット本体1312の中に完全に挿入されて、サーモスタットバネ1324が予め荷重を加えられた収縮状態まで伸張されるまで、強制的にサーモスタット本体1312を上方移動させるサーモスタットバネ1324の弛緩が可能になる。前述のように、アクチュエータピストンの上方移動を、アクチュエータスプリングによって支援することができる。
いくつかの実施形態によれば、アクチュエータピストン1334の移動は、制御弁1346の開弁および/または閉弁、および2つの別々の位置によって画定されるアクチュエータピストン1334のそれぞれの変位を可能にするように構成される二項性制御弁によって制御される。制御弁の開弁および/または閉弁は、ECMによって制御することができ、ECMは、さまざまなエンジンおよび車両パラメータを感知し、かつ弁の開弁および/または閉弁が必要とされるかどうかを判定するように構成されるセンサを含む。したがって、アクチュエータピストンの移動、およびサーモスタット弁の開弁および/または閉弁のそれぞれを、ECMによって感知されるエンジンの状態に従って制御することができる。例えば、エンジン温度の変化を、その変化に対する熱膨張可能材料の応答より前に、ECMが感知することができ、サーモスタット弁の開弁および/または閉弁は、サーモスタットの作動より前に、制御弁によって開始させることができる。
他の実施形態によれば、アクチュエータピストン1334の移動は、制御弁1346が漸進的および/または比例的に開弁するおよび/または閉弁することを可能にするように構成されるアナログ制御弁によって制御され、それによって、測定された体積の冷却剤流体がレセプタクルから流体導管に向かって流れることが可能になる。制御弁の開弁および/または閉弁は、ECMによって制御することができ、ECMは、さまざまなエンジンおよび車両パラメータを感知し、かつ適切な流量の冷却剤流体がラジエータを通っていることを確定するように構成されるセンサを含む。したがって、アクチュエータピストンの移動およびサーモスタット弁の開弁および/または閉弁のそれぞれ、および/またはサーモスタット弁体の変位の範囲は、ECMによって感知されたエンジンの状態に従って制御することができる。例えば、エンジン温度の変化を、その変化に対する熱膨張可能材料の応答より前に、ECMが感知することができ、サーモスタット弁の開弁および/または閉弁は、サーモスタットの作動より前に開始することができ、および/またはサーモスタット弁体の変位は、サーモスタットによるよりも制御弁によってより効率的に制御することができる。
さらなる実施形態によれば、ECMは、検出したエンジン温度変化に応答するだけではなく、エンジン出力を増大する要求を感知すると制御弁を作動させるように構成される。モータ流体の急速冷却によって、より高いエンジン出力を取得することができる。それによって、ECMは、冷却剤流体がラジエータ1306の中を流れることが可能になるそれぞれのサーモスタット弁1320の開弁を可能にする制御弁1346の開弁を誘導する。前述のように、これは、ECMの決定に従って、より多くの出力、したがってさらなる冷却の必要性が生じる、加速または他の状況などの、エンジン負荷中に現れる特定の条件の結果起こる可能性がある。
サーモスタット1310の温度活性化範囲は、任意の所望範囲に設定することができる。いくつかの実施形態によれば、サーモスタットの温度活性化範囲は、約90°Cから約95°Cの典型的な範囲に設定されている。これらの実施形態では、サーモスタット弁の開弁および/または閉弁は、サーモスタットによって作動される。この事例のサーモスタット弁の開弁は、サーモスタットが故障して作動しない場合、アクチュエータによって作動させることができる。アクチュエータは、さらに、弁体変位を制御するように作られている。他の実施形態によれば、サーモスタットの温度活性化範囲は、大量生産車両用の正常範囲、例えば約100°Cから105°Cより上に設定されている。これらの実施形態では、アクチュエータは、定義済み活性化温度に依存するサーモスタット作動より前に、ECMからの指示に応答してサーモスタット弁を開くおよび/または閉じるように作られる。アクチュエータは、さらに、弁体の変位を制御するように作られている。温度活性化範囲が、従来システムよりもかなり高温な定常状態温度を生じさせれば最も好ましい。これは、完全燃焼度を高め、排出物を減らし、燃料効率を高めて、大幅な節約を促進する。
しかし、高い設定温度は、エンジン出力の低下をもたらす場合がある。エンジン出力と燃料節約性との妥協点は、従来では、排出物を減らすのに望ましいものよりも、低い定常状態作動温度になっていた。油圧アクチュエータによって支援されるサーモスタットを含む本発明の装置は、排出物を減らすために高い運転温度でエンジンが作動できるように構成され、さらに、要求に応じて急速にエンジン温度を低下させることができ、高いエンジン出力を提供するように構成される。サーモスタット弁1320の開弁は、エンジン温度上昇によって誘導されるだけでなく、ECMが感知したさまざまなエンジンパラメータによって誘導される、ラジエータの中を流れる冷却剤流体によってエンジン温度を冷却することができる方法で制御することができる。油圧アクチュエータ1330によって支援されるサーモスタット1310を含む装置1300は、さらに、従来型のサーモスタットと比較して、エンジンのより効果的かつ/または急速な冷却を提供するように構成される。この装置の冷却剤流体温度は、従来型のサーモスタットによって設定された通常の作動温度範囲より低くすることができる。より多くの出力が必要とされる状況では、出力供給温度に対して温度を下げることが望ましい場合がある。例えば、出力を供給するのに好ましい範囲は、50°Cと100°Cの間であり、もしくは、70°Cと90°Cの間のより狭い範囲を使用することもできる。エンジン温度をこのように低下させることは、弁体のほぼ即時的なかつ大きな変位を可能にする制御弁の開弁をECMが誘導することによって達成することができる。この場合、サーモスタット弁を開弁させて急激な温度低下と突発的な出力を供給することができる。
前述のように、変位の範囲に沿ったサーモスタット弁体の位置を、ECMによって感知されるエンジン要求に従って設定して、必要に応じてエンジン温度を下げることができる十分な冷却剤流体流れを可能にすることができる。さらに、変位がほぼ瞬間的なとき、エンジンの急速な冷却を達成するために、温度の低下が急速に起こることが好ましい。弁体の変位の範囲は、従来型の小型の車に関して毎時約ゼロ(0)立方メートル(弁は閉状態)から約8−12立方メートル(最大伸張時)の冷却剤流体の冷却剤流量に対応すれば、最も好ましい。他の実施形態によれば、弁体の変位の範囲は、約0立方メートルから約6立方メートルの冷却剤流体流量に対応する。さらなる実施形態によれば、弁体の変位の範囲は、約0立方メートルから約18立方メートルの冷却剤流体流量に対応する。当業者に認識されるように、他の自動車型式および他のエンジンサイズでは、より高いまたはより低い冷却剤流体流量が必要とされる場合もある。したがって、サーモスタットは、活性化温度より低い温度のときには閉じられ、または活性化温度が達成されると、設定された伸張範囲まで開かれる、本質的な二項性様式でラジエータに向かう流体の流れを制御するが、油圧アクチュエータは、エンジン要求または負荷に従って、さまざまな冷却速度および程度用の冷却剤流量の範囲を可能にするために、弁体を変位の範囲に沿って配置するのに使用することができる。本発明の別の態様は、油圧アクチュエータが、冷却剤流体の温度には依存しておらず、ECMによってのみ作動されることである。したがって、フードエンジン室温度下での高さに関連する課題、または他の外側からの熱影響はなくなる。サーモスタットの故障が生じた場合、ECMは、負荷状況下であっても、またはたとえ定常状態であっても、制御弁を開いて弁体を弁座から変位させて、冷却剤流体流量調整を介して所望のエンジン温度を達成するように構成される。したがって、ECMは、パッシブサーモスタットのためのフェイルセーフシステムとして機能する。他方で、ECMが何らかの理由で機能しない場合、先に記載したように、サーモスタットが同様に働いて、サーモスタット弁の開弁および閉弁を確実に制御することができる。いくつかの実施形態によれば、本発明は油圧式アクティブシステムおよび熱作動パッシブシステムを提供し、それらは互いに重複している。他の実施形態によれば、本発明は、油圧式アクティブシステムおよび熱作動アクティブシステムを提供する。両方の動作モードは、全体的性能のより大きな信頼性を提供する。この意味において、本発明は、フェイルセーフ設計を提供するものである。
多くの例示的な態様および実施形態を述べてきたが、当業者であれば、ある種の修正、置換、追加、およびその副次的な組み合わせを認識されるであろう。したがって、以下に添付する請求の範囲および後に導入される請求の範囲は、それらの正当な精神および範囲の中にあるすべてのそのような修正、置換、追加、および副次的な組み合わせを含んでいると解釈されるべきであるよう意図される。
本出願の説明および請求の範囲では、単語「備える」、「含む」、「有する」、およびその語形のそれぞれは、これらの単語が関連し得る一覧の項目に必ずしも制限されない。