JP2016505742A - ボアホール装置の計算モデルの演算パラメータの決定方法と装置、電子制御装置およびボアホール装置 - Google Patents

ボアホール装置の計算モデルの演算パラメータの決定方法と装置、電子制御装置およびボアホール装置 Download PDF

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Abstract

【解決手段】地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置の計算モデルの演算パラメータをコンピュータ制御で決定する方法と装置。ボアホール装置は、回転駆動システムと、ボトムホールアセンブリと回転駆動システムに接続された頂端とを有するドリルストリングと、該駆動システムの回転駆動速度を制御する速度制御装置と、を備える。駆動システムは、ドリルストリングを駆動中に、駆動システムによって提供されるトルクをある期間に亘って変動させるように制御される。該変動するトルクとドリルストリング回転頂端駆動速度とから推定トルク−速度伝達関数が得られ、ボアホール装置の計算モデルから計算されたトルク−速度伝達関数とマッチングされる。演算パラメータは、マッチングされた推定トルク−速度伝達関数と計算されたトルク−速度伝達関数とから決定される。【選択図】図5

Description

本発明は、一般に、地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置に関する。本発明は、より具体的には、地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置の代表的な計算モデルの演算パラメータ、とりわけ、こうしたボアホール装置の速度制御装置で使用される調整パラメータの決定方法と装置、および、この方法、装置または速度制御装置を備えこれらに従って作動するボアホール装置に関する。
用語「ボアホール」は一般に、下端にドリルビットを備えるドリルストリングを用いた、地中での垂直、水平およびまたはその他の方向の掘削作業の結果を指す。ドリルストリングは、その上端すなわち頂端において、トップドライブまたはロータリテーブルと呼ばれる地表面の駆動システムによって駆動される。トップドライブまたはロータリテーブルは、電動モータまたは他の任意のタイプの駆動モータで駆動されて、ボアホール内のドリルビットに回転運動を与える。
典型的には、ドリルストリングは、互いにネジで接続された複数の管またはパイプから成る構造体である。典型的なドリルストリングの長さは、数百mまたは数千mであり得る。
ドリルストリングの下方部はボトムホールアセンブリ(BHA)と呼ばれ、ドリルビットとも呼ばれるボアホールを掘削する切削工具が接続されている。
ドリルストリングは中空のため、潤滑の目的で掘削流体をボトムホールアセンブリに向けて、およびノズルを通してビット内に送り込める。掘削流体は、アニュラスすなわちドリルストリングの外周とボアホール壁間の空間を後方上部に循環して、切削物をドリルビットから地表面に運ぶ。
ボアホールは、水や他の液体(油など)あるいはガス(天然ガスなど)の採取、地質工学的調査、環境サイトアセスメント、鉱物調査または測温などの一部としてあるいは、例えばピア設置や地下ユーティリティ用のパイロット穴として、などの多くの異なる目的で掘削され得る。
ボトムホールアセンブリは、その長さが比較的短く厚肉のため、ねじり方向において剛である。ボトムホールアセンブリは、使用時には、圧縮力により横たわみを生じる。ドリルストリングは、その長さが長く肉厚が比較的薄いために、細長く柔軟な構造体である。掘削中、ボアホール装置および特にドリルストリングには多くの振動が発生する。回転ドリルストリングとボトムホールアセンブリには、ねじり振動、軸振動および縦振動または横振動が生じ得る。
一般に、軸振動によってビットバウンスが生じ得、ビットカッターやベアリングが破損し得る。横振動は非常に破壊的であり得、ボトムホールアセンブリがボアホール壁に激突時に、大きな衝撃が生じ得る。横振動によってシステムは後方旋回に駆動されて、高周波で大振幅の曲げモーメント変動が生じ、部品疲労や接合部疲労が高率で生じ得る。組立体のアンバランスによって、ドリルストリングが遠心力により曲がって前方旋回を生じて、部品の偏摩耗が生じ得る。ねじり振動は、特に、ドリルストリングのボアホールに沿ったスティックスリップ運動または振動を生じる。
スティックスリップは、地中構造表面またはボアホールの内壁面に接触するドリルビットおよびまたはドリルストリングの表面間の摩擦力によって生じる現象である。一方の側のドリルビットおよびまたはドリルストリングの表面と、他方の側の地中構造とボアホールの表面は、摩擦力の対応する変化に応じて、互いに張り付くかあるいは互い上を摺動し得る。
実際には、この摩擦力は非線形挙動を示し、極端な場合には、摩擦が非常に大きくなって、ドリルビット、すなわちボトムホールアセンブリが一時的に、スティックモードと呼ばれる完全な停止状態になる。スティックモードの間、駆動システムの継続する回転駆動速度あるいは動きによって、ドリルストリングが巻かれる。ドリルストリングに形成されるトルクが静止摩擦を乗り越える大きさになると、ボトムホールアセンブリは再び、スリップモードと呼ばれる回転状態に入る。しかしながら、これによって、ドリルビットの動きの角加速度が突然飛躍的にあるいは段階的に上昇する可能性があり、とりわけ、ドリルストリングとボトムホールアセンブリが遭遇する動摩擦が静止摩擦より小さい点において、その部分に過度の摩耗が生じ得る。スティックモードとスリップモードは、規則的・周期的に互いにかなり頻繁に繰り返し得る。
スティックスリップが生じると、掘削プロセスの有効性に影響が出て、計画された掘削作業に数日間もの遅延が生じる可能性があり、ペナルティフィーなどのリスクが伴う。
特に、ドリルストリングにおけるねじり振動と共振による衝撃およびスティックスリップ動作と振動の発生と衝撃を緩和するために、ボアホール装置の駆動システムの回転駆動速度を速度制御装置で制御し、そのパラメータは、ボアホール装置の関連する演算パラメータに設定して合わせる。「緩和する」とは、制御する、軽減する、低減する、和らげる、穏やかにする、取り除くなどの、最高でねじり振動とスティックスリップ振動を回避することを含む意味を含むように解釈されるものとする。
ボアホール装置の演算パラメータは、特に、頂端駆動または表面駆動の機械的特性とストリング形状とに依存する。実際には、ばね形状パラメータは、例えば、ドリルストリング管またはパイプの内径、外形および長さやドリルビットが置かれているボトムホールアセンブリのドリルカラーを、掘削者がスプレッドシートなどから速度制御装置の入出力インターフェースのキーパッドを通して入力することによって提供されなければならない。ボアホール装置自体の機械的特性を入力する代わりに、スプレッドシートや表などから、使用される特定のドリルストリング形状に基づいて既に計算された速度制御装置のパラメータ値を入力してもよいことは理解されるであろう。
掘削の進行に伴って、ストリング形状すなわち管の長さと機械的特性は、ドリルストリングの延長によって変化し、およびまたはボトムホールアセンブリ内で変化する。理解されるように、例えば、2〜3個のドリルパイプ単一継手を備えるスタンドでドリルストリングを延長する度に、ボアホール装置の動力学は変化する。このために実際には、例えば掘削距離がおよそ100〜200m毎に、速度制御装置のパラメータの再調整が必要になる。
掘削が進行している間、ボアホール装置の演算パラメータまたは同等値を都度決定し速度制御装置に手動で入力することは、掘削者にとっては面倒であり、またエラーが起こる可能性があり、そのために、ボアホール装置の貫入速度(ROP)(単位:m/h)が低くなり得る。
上述のように、ボアホール装置のドリルストリングにおけるねじり振動と共振には、摩擦が関連している。従って、ボアホール装置の内部機械的特性に加えて、地中構造の種類、垂直か水平かまたは斜めかなどの掘削されるボアホールの種類、使用する泥水の種類などの外的側面はすべて、ボアホール装置の実際の運転と、掘削の間に生じ得るねじり振動、ドリルストリング共振周波数およびスティックスリップ動作の発生とその強さと、に影響を及ぼす。
実際には、特にボアホール装置による掘削作業を技術的および経済的観点の両方から最適に制御するために、特に、地中構造中にボアホールを掘削する間、代表的な計算モデルによってボアホール装置を自動的にモデル化することが求められている。
本発明のある目的は、特に、地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置の速度制御装置に使用される調整パラメータを提供するために、該ボアホール装置の計算モデルの演算パラメータを自動的に決定する方法を提供することである。
本発明の別の目的は、特に、地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置の速度制御装置に使用される調整パラメータを提供するために、該ボアホール装置の演算パラメータを自動的に決定する装置を提供することである。
本発明のさらなる目的は、地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置の回転駆動システムの回転速度を制御する電子制御装置であって、本発明に従って提供される演算パラメータまたは調整パラメータで自動的に作動するように構成された電子制御装置を提供することである。
また、本発明のある目的は、地中構造中にボアホールを掘削ずるボアホール装置であって、こうした方法に従って作動し、およびまたはこうした装置が装備されて、ボアホール装置またはこうした電子制御装置の演算パラメータを自動的に決定するボアホール装置を提供することでもある。
第1の態様では、地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置の計算モデルの演算パラメータをコンピュータ制御で決定する方法が提供される。ボアホール装置は、回転駆動システムと、ドリルビットと回転駆動システムに接続された頂端とを備えるボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、駆動システムの回転駆動速度を制御する速度制御装置と、を備える。該方法は、
−ドリルストリングを駆動中に、駆動システムによって提供されるトルクをある期間に亘って変動させるように駆動システムを制御するステップと、
−前記期間中にドリルストリングの回転頂端駆動速度を獲得するステップと、
−前記変動するトルクと前記獲得した回転頂端駆動速度とから、推定トルク−速度伝達関数を計算するステップと、
−前記推定トルク−速度伝達関数とボアホール装置の計算モデルから計算されたトルク−速度伝達関数とをマッチングさせるステップと、
−マッチングされた前記推定トルク−速度伝達関数と前記計算されたトルク−速度伝達関数とから、演算パラメータを決定するステップと、を備える。
該方法は、ボアホール装置の計算モデルのうちの、特に、頂端駆動または表面駆動、ストリング形状およびボトムホールアセンブリの機械的特性に依存する演算パラメータは、プラントとも呼ばれる駆動システムの計算された伝達関数、すなわち、トップドライブ、ドリルストリングおよびボトムホールアセンブリで構成されるボアホール装置の動力学の計算モデルに従って計算された伝達関数と、駆動システムに適用される変動するトルク制御信号と、この変動するトルク制御信号に応じて得られるドリルストリングの回転頂端駆動速度と、から推定される伝達関数と、をマッチングさせることによって近似できるという洞察に基づいている。
本発明の方法によって、掘削が開始されている間に、ボアホール装置の、特にドリルストリングとボトムホールアセンブリの関連する代表的な動的モデルを完全に明らかにできる。これによって、実際の掘削作業の間に、こうした動的な計算モデルからボアホール底部におけるドリルビットの実動作を計算しシミュレートすることが可能になるために、掘削オペレータにとって非常に強力な分析ツールが提供される。ドリルビットの実動作における頂端の駆動速度変化の影響は、例えば、掘削効率を常にあるいは連続的に最大化する目的で確実に計算されて、分析のために掘削オペレータに提供できる。
該方法は自動的におよび自立的に行なうことができ、こうして決定された演算パラメータは、例えば、オペレータや他の熟練者の介在なしに速度制御装置を設定する調整パラメータとして提供でき、これによって、調整パラメータの手動での決定や入力による誤りが回避される。
該方法は掘削が開始されている間に実行できるので、速度制御装置は、特に、ボトムホールアセンブリ起源の力学的エネルギーを減衰させることによって、ドリルストリングにおけるねじり振動と共振による衝撃と、スティックスリップ動作と振動の発生および衝撃と、を緩和する目的で、自動的に、本質的には瞬間的に、ボアホール装置の関連する演算パラメータに適合および調整できる。
該方法のある実施例では、駆動システムによって提供されるトルクは、時間変動信号周波数を有するトルク制御信号を適用することにより変動させられる。すなわち、信号の周波数は時間と共に変動する、すなわち時間と共に増加または減少する。この種の信号も掃引信号と呼ばれる。
速度制御装置によって設定トルク制御信号が駆動システムに提供されるある実施例では、駆動システムによって提供されるトルクは、設定トルク制御信号に、時間変動信号周波数を有するトルク制御信号を追加または重畳することによって変動させられる。しかしながら、変動するトルク制御信号を駆動システムに直接に適用してもよい。
本発明の目的のために、例えば、該信号のスペクトル成分が、システムの固有振動数を含む対象の周波数範囲をカバーしていれば、時間変動周波数信号の種類は任意に選択されてもよい。実際には、周波数範囲が0〜3Hzであれば、十分演算パラメータを獲得できる。いわゆるホワイトまたはピンクノイズ信号を用いてもよい。例えば10分間などの設定期間に亘って指数関数的に変動する信号周波数は、正確なパラメータ値を提供することが証明されている。しかしながら、本発明の目的のために、例えば、最小周波数値と最大周波数値間をリニアに変動する周波数あるいはランダムに変動する周波数などの各タイプの掃引信号を適用してもよい。
例えば最高60分間のように、掃引間隔を延ばすことによって、決定される演算パラメータ値は、掘削作業中に生じるノイズの影響をより受けないであろう。しかしながら、実際には掘削条件が比較的速く変化し得るので、掃引継続時間60分は、調整パラメータの決定には長すぎる可能性がある。
例えば、比較的遅い周波数変動信号と比較的早い周波数変動信号を含むように、マルチトーン掃引信号、すなわち、複数の信号の重畳として構成されるトルク制御信号を設定期間に亘って適用することによって、例えば10分などの制限された測定期間内で正確な結果が得られることが分かった。
本発明のある例では、伝達関数のマッチングには、ボアホール装置の動力学の計算モデルによる駆動システムの推定伝達関数と、計算された伝達関数あるいはスペクトル領域における等価なトルク−速度伝達関数と、のマッチングが含まれる。すなわち、ボアホール装置の動的部分の選択された計算モデルの関連するパラメータは、それぞれの伝達関数の振幅と相曲線がマッチングするように、すなわち可能な限り最大に互いをカバーするように適合される。当業者には理解されるように、マッチングは、例えばMATLAB(登録商標)などの市販の計算およびシミュレーションツールでプログラムされた適切なソフトウェアルーチンで実施できる。
ドリルストリングが遭遇する機械的減衰、すなわち、掘削泥水と、ドリルストリングとボアホール壁の係合と、の結果としての減衰は、マッチングされた推定トルク−速度伝達関数と計算されたトルク−速度伝達関数から効果的に決定できる。
ドリルストリングの頂端駆動速度は、例えば速度センサーを用いて駆動システムのモータ軸の回転速度を測定することによって直接に得ることができ、あるいは、例えば電気系統駆動モータに供給される電圧と電流からセンサーを使用しない間接的な方法で得ることができる。
本発明による方法における制御するステップ、獲得するステップ、計算するステップおよびマッチングさせるステップは、例えば設定間隔で周期的に繰り返すことができる。入出力信号、すなわち、変動するトルクと頂端駆動速度がそれぞれ所定のコヒーレンス度に達すると、演算パラメータ値を決定しなければならない。それは、入出力信号間の因果関係が示され得るかどうかである。これによって、掘削中に生じ得る異常によってもたらされる、測定結果における作為とノイズによるエラーが低減される。
コヒーレンス度は、推定伝達関数と等価伝達関数とが得られる周波数値で決定されてもよい。
本発明による方法によって実際の掘削作業の擾乱を回避するために、駆動システムによって与えられるトルクを期間に亘って変動させて、例えば、ドリルストリングの設定回転頂端駆動速度の10〜15%未満の変動などの、ドリルストリングの頂端駆動速度の限定された変動を提供する。
オフボトム動作の間の、低減された減衰でもたらされるドリルストリングの線質係数は、オンボトム動作の間のそれより約10以上高いので、ボアホール装置がボトムホールアセンブリのオフボトム状態で作動している間に、本発明の制御するステップ、獲得するステップ、計算するステップおよびマッチングさせるステップを適用すれば、非常に正確な結果が得られる。これは、例えば、ドリルストリングの長さをスタンドで延長した直後に実施できる。
速度制御装置の調整パラメータは、少なくとも、ドリルストリングの一部が変更される都度決定されるが、掘削が開始されている間に自動的および周期的に決定されてもよい。
計算モデルは、状態空間モデル、等価電気回路モデル、等価な機械的ねじりばね−慣性モデル、セグメント化モデル、連続時間モデル、離散時間モデル、周波数領域モデルおよび波動伝播モデルのうちの少なくとも1つである。計算モデルには、ボアホールが掘削される実際の地中構造を表すものが含まれていてもよい。
本発明による方法は、掘削場所にあるコンピュータまたは処理装置で実施されてもよく、およびまたは、ボアホール装置から遠く離れたコンピュータシステム内で実施されてもよい。
第2の態様では、地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置であって、回転駆動システムと、ドリルビットと回転駆動システムに接続された頂端とを備えるボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、駆動システムの回転駆動速度を制御する速度制御装置と、を備えるボアホール装置の計算モデルの演算パラメータをコンピュータ制御で決定する装置であって、
−ドリルストリングを駆動中に、駆動システムによって提供されるトルクをある期間に亘って変動させるように駆動システムを制御し、
−前記期間中にドリルストリングの回転頂端駆動速度を獲得し、
−前記変動するトルクと測定された回転頂端駆動速度とから、推定トルク−速度伝達関数を計算し、
−前記推定トルク−速度伝達関数とボアホール装置の計算モデルから計算されたトルク−速度伝達関数とをマッチングさせ、
−マッチングされた前記推定トルク−速度伝達関数と前記計算されたトルク−速度伝達関数とから、演算パラメータを決定する、ように構成されたコンピュータ制御の演算パラメータ制御システムを備える装置が提供される。
さらなる実施形態では、演算パラメータ制御システムは、上記に開示された例のいずれかの方法に従って演算パラメータを決定するように構成されている。
ある実施形態では、演算パラメータ制御システムは、速度制御装置に作動可能に接続され、決定された演算パラメータから調整パラメータを速度制御装置に提供するように構成されている。
別の実施形態では、演算パラメータ制御システムは、駆動システムによって提供されるトルクをある期間に亘って変動させる時間変動周波数信号、すなわち掃引信号を生成するように構成された信号発生部を備える。このタイプの発生器は当業者には既知であり、本発明の目的のために、さらなる説明は不要である。
第3の態様では、地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置であって、ドリルビットと回転駆動システムに接続された頂端とを備えるボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、駆動システムの回転駆動速度を制御する速度制御装置と、を備えるボアホール装置の回転駆動システムの回転駆動速度を制御する電子制御装置であって、時間変動周波数トルク制御信号を提供するデータを受け取るデータ入力と、上記に開示の方法に従って決定された演算パラメータから得られた調整パラメータを受け取るデータ入出力と、を備える電子制御装置が提供される。
電子制御装置のある実施形態では、時間変動周波数トルク制御信号を提供する信号発生部が設けられる。
本発明の第4の態様では、地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置であって、回転駆動システムと、ドリルビットと回転駆動システムに接続された頂端とを備えるボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、駆動システムの回転駆動速度を制御する速度制御装置と、上記に開示したように、速度制御装置に調整パラメータを提供するために速度制御装置に作動可能に接続され、演算パラメータをコンピュータ制御で決定する装置と、を備えるボアホール装置が提供される。
提示された実施例では、選択された計算モデルの伝達関数を計算するため、および該伝達関数をマッチングさせるためにMATLAB(登録商標)を用いた特定のコンピュータソフトウェアが言及されているが、本出願における発明の概要部分で開示した方法、装置、電子制御装置およびボアホール装置は、この種のコンピュータソフトウェアプログラムに限定されるように解釈されるものではない。それとは反対に、本発明は、動的システムの伝達関数を計算しマッチングさせる任意の市販のコンピュータプログラムおよび、例えばC、C+またはC++で書かれた独占所有権のあるソフトウェアプログラムにより適用されてもよい。
地中構造中にボアホールを掘削する従来のボアホール装置の概略図である。 図1に示したボアホール装置の単純化された力学モデルを示す。 本発明による駆動システムにより適用されるトルクを変動させる、図2によるボアホール装置のシステムモデルを示す。 計算目的のためにさらに単純化された図3のシステムモデルを示す。 ボアホール装置の計算モデルの演算パラメータを自動的に決定し、こうした演算パラメータから本発明に従って得られた調整パラメータで速度制御装置を作動させる、簡略化されたフローチャート図を示す。 本発明に従って、図1のボアホール装置の動力学のトルク−速度伝達関数を計算する計算モデルを形成する電気的等価回路の概略図である。 本発明で使用される時間変動信号周波数を有するトルク制御信号の例を示す。 本発明で使用される時間変動信号周波数を有するトルク制御信号の例を示す。 本発明で使用される時間変動信号周波数を有するトルク制御信号の別の例を示す。 本発明で使用される時間変動信号周波数を有するトルク制御信号の別の例を示す。 本発明で使用される時間変動信号周波数を有するトルク制御信号の別の例を示す。 本発明で使用される時間変動信号周波数を有するトルク制御信号の別の例を示す。 本発明で使用される時間変動信号周波数を有するトルク制御信号の別の例を示す。 図8a、8bおよび8cに示す時間変動周波数信号の周波数スペクトルを両対数目盛で示す。 それぞれ、図6のボアホール装置の、推定トルク−速度伝達関数および計算モデルまたは等価回路図から計算されたトルク−速度伝達関数の振幅と相を示す。 それぞれ、図6のボアホール装置の、推定トルク−速度伝達関数および計算モデルまたは等価回路図から計算されたトルク−速度伝達関数の振幅と相を示す。 対象の周波数範囲での適用した変動トルク信号と得られた頂端駆動速度間の、スペクトル領域におけるコヒーレンスを示す。 それぞれ、本発明に従って得られた、マッチングされた推定伝達関数および計算された伝達関数の第1モード、第2モードおよび第3モードでの振幅を示す。 それぞれ、本発明に従って得られた、マッチングされた推定伝達関数および計算された伝達関数の第1モード、第2モードおよび第3モードでの振幅を示す。 それぞれ、本発明に従って得られた、マッチングされた推定伝達関数および計算された伝達関数の第1モード、第2モードおよび第3モードでの振幅を示す。 駆動システムの回転速度を制御する電子速度制御装置を有する、本発明に従って作動するように装備されたボアホール装置の概略図である。
図1は、地中構造中にボアホールを掘削する掘削リグの典型的なボアホール装置10の概略図である。切削工具すなわちドリルビット17は、ドリルストリング12の底端13でボトムホールアセンブリ(BHA)11に接続している。ドリルストリング12は、その頂端14でトップドライブまたはロータリテーブルとも呼ばれる回転駆動システム15に接続されており、これは次に、掘削リグ(図示せず)のデリックまたはシャーシによってボアホールが掘削される地中構造の表面に固定されている。
ドリルストリング12は、互いの端部をネジ式に接続された中空の管すなわちドリルパイプの長さを含む。典型的なドリルストリングの長さは、0〜10kmなどのように数kmであり、ドリルパイプの外径は約100〜300mmであり得、肉厚は約10〜50mmであり得る。BHA11は、例えば、外径が約250〜500mmであり得、肉厚が約100mmであり得る重いパイプから成る。BHAの長さは、典型的には100〜300mの範囲である。ドリルストリング12は長さに比して非常に細長い。
図示していないが、実際の掘削作業では、掘削流体は、ドリルビット17を冷却し潤滑するために、ドリルストリング12のドリルパイプを通ってドリルビット17に向けて送り込まれる。掘削作業による切削物は、ドリルストリング12の外周とボアホール(図示せず)間に形成されたアニュラス内を流れる掘削流体によって表面に戻される。
ボトムホールアセンブリ11は、数個のセンサーと、トランスミッタ16と、垂直方向、水平方向、ある角度で偏位した方向あるいは勿論これらの組み合わせなどの地中構造中の一定方向にボアホールを掘削するために、ボトムホールアセンブリ11を方向付ける指向性ツール(図示せず)と、を備える。
掘削データと情報は、ディスプレイまたは他のデータ出力装置(図示せず)と、ドリルビット17の回転速度を制御するために、速度制御装置20に対する調整パラメータを入力することによって、およびまたは、駆動システム15に対してトルク限度を設定することによって、掘削者が介在する速度制御装置20を通して駆動システム15の回転速度を制御し得る入力装置(キーボード、タッチスクリーンなど(図示せず))と、を備えるコンソール19で表示される。
駆動システム15は、ドリルストリング12、BHA11およびそれによってドリルビット17を回転させる回転駆動システムモータ18を備える。駆動システムモータ18とドリルストリング12の間には、特定のギア減速またはギア減速範囲を有する変速器22が任意に接続されてもよい。
最近では、駆動システムモータ18は一般に電動モータであり、例えば、電力変換装置によって動力が供給される800kWの誘導電動機である。しかしながら、本発明は、同期機、ブラシ付き直流機、ディーゼルエンジン、油圧モータなどでも同様に適用できる。ドリルストリング12の回転速度は、その頂端14において回転計または速度センサー21で測定されてもよく、その測定信号は速度制御装置20に入力される。しかしながら、電気駆動システムモータの場合、ドリルストリングの頂端駆動速度は、速度制御装置20によって、例えば、センサーを使用せずに、電気系統駆動モータ18に供給される電圧と電流から得てもよい。
ドリルストリング12は使用時には、その頂端14において、くみ上げ機とも呼ばれる巻上機(図示せず)によって上方へ引っ張られていてもよい。オンボトム時には、BHA11は底端13上にあるか、ドリルビット17によって地中構造と接している。これは、ドリルビット17がボアホールの底部で地中構造と接していないBHA11のオフボトム位置とは反対である。ドリルストリング12の細長いドリルパイプは絶えず引っ張られているが、BHA11の厚肉の下部は部分的には圧縮されている。ドリルパイプは引っ張られていることによって、その部分の座屈が回避される。しかしながら、ドリルパイプ部のねじり剛性は、細長い構造のために比較的小さい。
実際には、数種類の速度制御装置20が開発・使用されており、その制御操作は、ある種の比例動作Pとある種の積分動作Iとを提供するように操作可能な周知のPI制御装置にコンパイルできる。電動システムモータ18の場合、例えば、速度制御装置20は、駆動モータの電流と回転速度およびそれらの変動などの測定変数のいずれかあるいはすべてからのフィードバックで作動するように構成されていてもよい。これは、例えば、これらの変数のうちのいずれかまたはその両方を制御することによって、駆動システム15のエネルギー流れを制御するものであり、また、駆動モータ18によってもたらされるドリルストリング12の頂端14での回転速度を測定するためである。
駆動システム15は、所謂スピニングモードやメークアップモードなどの異なるモードで作動し得るが、本発明は、掘削者が、ドリルビット17を押して旋回させ、またボアホールを掘削流体または泥水で洗い流すことによって、地中構造または地質構造から材料を有効に研磨あるいは切削することを狙ったドリルモードに係る。
トップドライブ、ドリルストリングおよびボトムホールアセンブリで構成される動的システムは、状態空間モデル、等価電気回路モデル、等価な機械的ねじりばね−慣性モデル、セグメント化モデル、連続時間モデル、離散時間モデル、周波数領域モデル、および機械的または電気的伝送線路モデルなどの波動伝播モデルのうちの1つまたはそれらの組み合わせで表せる。
図2は、本発明を説明する目的で、図1のボアホール装置10の単純化された力学モデルを示す。ドリルストリング12は、ねじりばね25でモデル化される。速度制御装置20は、ドリルストリング12の回転振動エネルギーを吸収することによってその回転振動を減衰させる減衰動作を提供するように一斉に作動する、ねじりばね24と回転ダンパー23でモデル化される。掘削リグのデリックまたはシャーシは、参照番号26で表される。このひとまとめの力学モデルは、大部分の用途に対して十分に正確であることが証明されていなければならない。
BHA11の慣性はJ[kgm]であり、ドリルストリング12、すなわち等価なねじりばね25のねじれ剛性はK[Nm/rad]である。駆動システム15の慣性はJ[kgm]である。速度制御装置20のねじりばね24のねじれ剛性はK[Nm/rad]であり、ダンパー23の減衰はC[Nms/rad]である。本発明の目的のために、ボトムホール慣性J、ドリルストリングのねじれ剛性K、駆動システム慣性J、速度制御装置のねじれ剛性Kおよび減衰Cは、図2に示すボアホール装置のひとまとめの力学モデルの演算パラメータを形成する。
作動時、速度制御装置20は、トップドライブ共振周波数を制御することによってボアホール装置の駆動モビリティを拡大させるように作動する。ここで、トップドライブ共振周波数は本質的に、速度制御装置20のねじれ剛性Kと駆動システム15の慣性Jによって決定され、ドリルストリング12とボトムホールアセンブリ11の共振周波数に近いかまたは等しい。これは、速度制御装置20の減衰項Cによってドリルストリング共振を減衰させるためである。すなわち、駆動システム側のKとJは、スティックスリップを緩和する適切な減衰を有するドリルストリングの共振周波数に速度制御装置20を合わせることによって、ドリルストリング側のKとJに適切にマッチしなければならない。図2の例において、K、JおよびJは、速度制御装置20のパラメータであるKとCを設定する調整パラメータである。
実際には、速度制御装置20は、比例動作Pと積分動作Iを有するPI制御装置として、あるいは、例えば二重積分動作を有するPII制御装置として作動する。
図2の力学モデル表示では、摩擦力などによる駆動システム15とドリルストリング12の損失は、明示的にモデル化されていない。
図3は、本発明を説明する目的で、ドリルストリング12とBHA11を回転させる駆動システムによって適用されるトルクのトルク−速度伝達関数と、ドリルストリング12の頂端14でのその回転駆動速度と、を計算するための、図2のボアホール装置の力学システムモデル表示の計算上のスペクトル領域モデル表示を例として示す。スペクトル領域は、周知のラプラス変換に続く複素引数または演算引数によって表される。変速器22は存在しないとみなされる。
図3のシステムモデルでは、参照番号32、33、34は加算演算を表す。参照番号29、30は、速度制御装置20のパラメータKとCをそれぞれ表す。速度制御装置20の等価ねじりばね24のスペクトル領域における動作28は、ラプラス演算1/sでモデル化される。
掘削の間、速度制御装置20が作動して、駆動システムモータ18を制御するトルク制御信号が生成され、速度制御装置20の入力31において速度信号ωによって設定される回転速度で、ドリルストリング12の頂端14が回転するようにトルクを提供する。信号Tは、駆動システムモータ18の入力におけるトルク制御信号を表わす。駆動システムモータ18によって提供される実際のトルクをT[Nm]とする。
スペクトル領域では、プラントとも呼ばれる駆動システム15の動作は、その慣性Jの逆数37と、ラプラス演算36すなわち1/sと、でモデル化される。
例えば、ドリルストリング12の頂端14において速度センサー21で測定された、該頂端14における実回転速度[rad/sec]を代表する速度信号ωと、加算演算34によって形成される設定回転速度[rad/sec]を代表する入力速度信号ωと、の間の差、すなわちε=ω−ωを表す信号εは、K29とC30それぞれのパラメータとラプラス演算28によって表される速度制御装置20に供給される。
信号δは、駆動システムモータ18によって適用されるトルクTと、加算演算33によって形成される、BHA11における実負荷トルクTlと、の差、すなわちδ=T−Tlを表す。
図3に示すシステムモデルでは、本発明に従って、ドリルストリング12を回転させる駆動システムモータ18によって適用されるトルクTは、実際の掘削作業に応じて速度制御装置20によって提供されるトルク制御信号に、加算演算32によって加算または重畳された可変トルク制御信号Tsを適用することによって、駆動システムモータ18におけるトルク制御信号Tを変化させて変動させられる。
計算を楽にし、また、その理解を深めるために、図4に示すボアホール装置のシステムモデルを参照する。このモデルは、図3のシステムモデルを簡略化したものである。
図4において、参照番号40は、速度制御装置20の伝達関数C(s)を表わす。参照番号41は、駆動システムモータ18の伝達関数D(s)を表わす。参照番号42は、トップドライブ15のプラント伝達関数P(s)を表し、参照番号43は、ドリルストリングとBHAの伝達関数Z(s)を表す。以下、それぞれC、D、P、Zと記す。
ドリルストリング12の頂端14における駆動速度ωは、下式で記述できる:
Figure 2016505742
および
Figure 2016505742
式中、F(s)=基準トラッキング伝達関数(以下、Fと記す)
H(s)=可変トルク伝達関数(以下、Hと記す)
M(s)=擾乱反応または移動度関数(以下、Mと記す)。
すなわち、
Figure 2016505742
Figure 2016505742
Figure 2016505742
従って、式(4)は以下のように書き換えられる:
Figure 2016505742
式(3)から、│CDP’│>>1である限り、基準トラッキング伝達関数Fは単位元に接近し、|C|が比較的大きく見える比較的低周波で有効であることが結論として成立する。表記│x│は、xの絶対値または係数を指す。
理想的なまたは完全な駆動システムモータでは、モータ伝達関数Dは、対象のすべての周波数に対して単位元に接近する、すなわち
Figure 2016505742
である。しかしながら実際には、Dには、ある遅延、例えば10ms以上が含まれていることが多く、一次ローパスフィルタのように作用する。Dのクロスオーバー周波数は、5Hzと低いものであり得る。
完全な駆動システムモータ伝達関数、すなわちD=1と仮定すると、式(4)と(5)から、M=−Hであることがわかる。│CDP’│>>1およびD=1の場合、式(4)と(5)から、移動度関数Mと可変トルク伝達関数Hは、速度制御装置の伝達関数の逆数に近似する、すなわち
Figure 2016505742
および
Figure 2016505742
が結論として成立する。
│CDP’│<<1およびD=1の場合、式(4)と(5)から、移動度関数Mと可変トルク伝達関数Hは共に伝達関数P’に近似する、すなわち
Figure 2016505742
および
Figure 2016505742
であることが結論として成立する。
理想的な速度制御装置を仮定すると、パラメータK29とC30で表されるその伝達関数Cと、積分演算28読み取り(図3参照)は、下式で読める:
Figure 2016505742
トップドライブが無負荷、すなわちドリルストリングが取り付けられていない場合、Zは0であり、式(2)から、プラントモデルの伝達関数Punloaded、すなわち、速度イン、トルクアウトは伝達関数P’と等しく、純慣性(図3参照)で近似できることが結論として成立する:
Figure 2016505742
トップドライブが有負荷、すなわちドリルストリングが駆動システムに取り付けられている場合、ドリルストリングとBHAの伝達関数Zはプラントの一部であり、その場合は全く異なる。有負荷のプラント伝達関数Ploadedは、下式で表される:
Figure 2016505742
ねじれ剛性Kから成る理想的なドリルストリング12と慣性がJの理想的なBHA11を仮定すると、スペクトル領域におけるドリルストリングとBHAの伝達関数は、ねじれ剛性Kとラプラス演算1/s、すなわちK/sと、ラプラス演算1/sを有するBHA11の慣性J、すなわち1/(sJ)と、でモデル化されたドリルストリング12の等価ねじりばね25の動作によって表される。
このモデルから、ドリルストリングとBHAについて以下の伝達関数Zが得られる:
Figure 2016505742
ドリルストリングの伝達関数Zは、式(9)の分母が0となる周波数に対して共振挙動を示す。s=jωとすると、共振周波数ωは、式(9)から下式となる:
Figure 2016505742
より低周波数、すなわち、s<<jωの場合、式(10)は下式のように表される:
Figure 2016505742
すなわち、より低周波数では、ドリルストリング12とBHA11の伝達関数Zは、本質的にBHA11の慣性Jによって決定される。
共振周波数より十分に高い周波数、すなわち、s>>jωの場合、式(9)は下式のように表される:
Figure 2016505742
すなわち、より高周波数では、ドリルストリング12とBHA11の伝達関数Zは、本質的にドリルストリング12のねじれ剛性Kによって決定される。
摩擦成分などはいずれも無視した理想的な有負荷のプラント伝達関数Ploaded、伝達関数は、式(9)に式(10)を代入することによって算出され、下式が得られる:
Figure 2016505742
式(14)から、いくつかの興味ある所見が得られる。共振以下、すなわちs<<jωにおける負荷条件下では、プラント伝達関数は下式に近似する:
Figure 2016505742
上式は、JとJの合計から成る単一の慣性と等価である。共振周波数、すなわちs=jωでは、プラント伝達関数Ploaded=0である。
上記に開示したように、│CDP│<<1およびD=1の場合、式(4)から、可変トルク伝達関数H、すなわち
Figure 2016505742
は、プラント伝達関数P、すなわち
Figure 2016505742
に近似することが結論として成立する。
上記から、ボアホール装置の動的部分の演算パラメータ、すなわち、ドリルストリングのねじれ剛性K、ボトムホールアセンブリの慣性Jおよび駆動システム15の慣性Jは、システム測定から推定されたプラント伝達関数と、トップドライブ、ドリルストリングおよびBHAで構成されるボアホール装置の動的部分の計算された伝達関数(上記のプラント伝達関数式(14)など)と、をマッチングさせることにより容易に求められることは理解されるであろう。
例えば、ドリルストリングの共振において最適な減衰Cを提供するための速度制御装置20の設定または調整では、ねじれ剛性Kと駆動システム慣性Jは、ドリルストリングのねじれ剛性KとBHA慣性Jに合わせられなければならない。従って、マッチング作業で決定される演算パラメータKとJは、速度制御装置20を調整する調整パラメータとして使用できる。
図5は、図1、2、3および4を参照した本発明の例に従って、駆動システムにおける変動するトルク制御信号Tとドリルストリングの頂端の取り込まれた回転駆動速度ωを適用することから、例えば、ボアホール装置の駆動システムを制御する速度制御装置を設定するためなどのボアホール装置の演算パラメータに近似させるために、ディジタル処理装置、コンピュータまたは他のデータ処理装置により処理されるステップを、簡略化したフローチャート50で示す。
フローの方向は、このシートの上から下とする。他の指示はそれぞれの矢印によって示される。
第1のステップとして、駆動システムすなわちトップドライブ15と、ドリルストリング12と、BHA11とで構成されるボアホール装置10の動的部分を表わす適切な計算モデルを選択する、すなわち、ブロック51の「ボアホール装置の動的部分の計算モデルを選択する」である。
選択された計算モデルは、実際のボアホール装置を表す任意の適切なモデルであってもよく、例えば、状態空間モデル、等価電気回路モデル、等価な機械的なねじりばね−慣性モデル、セグメント化モデル、連続時間モデル、離散時間モデル、周波数領域モデルおよび波動伝播モデルなどであってもよい。一般に、この計算モデルは一度選択される。
次に、ブロック52で示すように、複数秒の順の期間などの特定の測定期間の間に、「ボアホール装置に時間変動周波数トルク制御信号を適用する」、例えば、トルク制御信号Tを駆動システム15に、すなわち、実際のボアホール装置10の駆動システムモータ18に適用する。トルク制御信号Tの信号周波数は時間と共に変動して、駆動システム15によって供給されるトルクTを変動させる。トルク制御信号Tの信号周波数は、必ずしも、特定の機能や変化に従って時間と共に変動する必要はない。トルク制御信号Tの振幅、すなわち、それによって引き起こされる実際のトルク変動の振幅は、ある最小のトルク変動(例えば最小1kNmなど)がドリルストリング12の頂端14に与えられるように選択されなければならない。しかしながら、この最小の実際の値は、実際のボアホール装置と使用される掘削用途に応じて変わり得る。実際の掘削作業では、設定掘削トルクの小さい順のトルク変動は、有用な測定結果に達するように与えられなければならない。適用されるトルク制御信号Tの振幅は一定であってもよく、あるいは測定間隔に亘って変動してもよい。
時間変動周波数トルク制御信号T、すなわち、時間変動信号周波数を有するトルク制御信号が適用されている間、ドリルストリング12の頂端14の回転駆動速度ωは、該測定期間の間、関数Tとして獲得・登録され、すなわち、相互に関連付けられる、すなわち、ブロック53の「ドリルストリングの頂端駆動速度を獲得する」である。図1に示すように、ドリルストリング12の回転頂端駆動速度は、例えば、回転計または速度センサー21によりその頂端14で測定される。しかしながら、センサーを用いずに、電気駆動システムモータ18に供給される電圧と電流から頂端駆動速度を推定するなどの、他の適切な速度測定技術または装置の任意のものを用いてもよい。
ブロック54の「関連付けられた測定と時間変動周波数トルク信号からトルク−速度伝達関数を推定する」に示すように、こうして得られた測定結果から、ボアホール装置の動的部分のトルク−速度伝達関数、すなわちω/Tsを推定する。こうした推定には、例えば、推定トルク−速度伝達関数の振幅(rad/Nms)とその相(°)のグラフ表示が含まれていてもよく、これらは共に、時間変動周波数トルク制御信号Tの周波数範囲あるいはその一部(Hz)に対するものである。
ブロック51で選択した計算モデルに続いて、ボアホール装置の動的部分のトルク−速度伝達関数を計算する、すなわち、ブロック55の「計算モデルからトルク−速度伝達関数を計算する」である。この計算には、例えば、計算されたトルク−速度伝達関数の振幅とその相のグラフ表示が含まれていてもよく、これらは共に、実際に適用される時間変動周波数トルク制御信号Tの周波数範囲またはその一部に対するものである。
その後、こうして得られた推定トルク−速度伝達関数と計算されたトルク−速度伝達関数をマッチングさせる、すなわち、ブロック56の「推定トルク−速度伝達関数と計算されたトルク−速度伝達関数をマッチングさせて演算パラメータを決定する」である。このマッチングには、対象の周波数範囲に亘る推定速度−トルク伝達関数と計算された速度−トルク伝達関数の振幅と相のグラフ表示でのフィッティングが含まれていてもよい。例えば、ドリルストリングのねじれ剛性K、ボトムホールアセンブリの慣性Jおよび駆動システムの慣性Jを選択することによって、推定されたトルク−速度伝達関数と計算されたトルク−速度伝達関数間の複素平面内での距離が、各測定点において最小化される。
図2のボアホール装置の力学システム計算モデル表示のスペクトル領域システムモデル表示から、例えば式(14)から、ボアホール装置の計算モデルの演算パラメータ、すなわち、ドリルストリングのねじれ剛性K、ボトムホールアセンブリの慣性Jおよび駆動システムの慣性Jは、ドリルストリングの頂端駆動速度の測定から推定されたトルク−速度プラント伝達関数と、ボアホール装置の動的部分の計算モデルに従って計算されたトルク−速度伝達関数と、をマッチングさせることによって容易に求められることが結論として成立する。
実際には、トルク−速度伝達関数を推定するための、またモデル伝達関数を計算するための、また伝達関数をマッチングさせるためのコンピュータソフトウェアアプリケーション、プログラムおよびツールは市販されており、当業者には周知である。MATLAB(登録商標)は、動的プラントシステムのスペクトル挙動を分析するこうした市販のコンピュータソフトウェアプログラムの一例である。しかしながら、本発明は、この種のモデルとコンピュータソフトウェアプログラムに限定されるように解釈されるべきではなく、また、グラフ表示での推定や計算、周波数分析あるいはスペクトル領域分析に限定されるようにも解釈されるべきではない。
当業者であれば、頂端駆動速度の変化は、適用されるトルク変動とは別に、他のいくつかの掘削事象に起因し得ることは理解するであろう。従って、得られた頂端駆動速度信号が因果的結果であるか否か、すなわち、適用した時間変動周波数トルク信号の、すなわち該事象の影響であるか否かが品質尺度としてチェックされる。因果関係とは、第1の事象(原因)と第2の事象(結果)間の関係であり、第2の事象は、第1の事象の結果として理解される。
ある実施形態では、例えば、得られた因果指標が設定閾値より大きいか否か、すなわち、判定ブロック57の「因果関係>閾値?」がチェックされる。判定ブロック57での結果が「Yes」の場合、こうして得られた演算パラメータは十分に正確であり、例えば、速度制御装置20のパラメータ、すなわち、こうして得られたドリルストリングのねじれ剛性K、ボトムホールアセンブリの慣性Jおよび駆動システムの慣性Jを用いて図2に示すKとCを設定し、ボアホール装置の速度制御装置20を作動させるために使用してもよい、すなわち、ブロック58の「調整パラメータとして決定された調整パラメータを用いて速度制御装置を作動させる」である。
例えば、因果関係度が所定の設定因果関係閾値より小さい場合、すなわち、判定ブロック57の結果が「No」の場合、ブロック51〜56で示すステップによるプロセスを繰り返してもよい。因果指標は、例えばコヒーレンス測定から得てもよい。
スペクトル領域におけるコヒーレンスは、通常、伝達系の入出力間の動力伝達の推定に用いられる。2つの値または信号x、y間のコヒーレンスRxy(振幅二乗コヒーレンスとも呼ばれる)は、下式で定義される実数値関数である:
Figure 2016505742
式中、Gxyは、xとy間のクロススペクトル密度であり、GxxとGyyは、それぞれxとyの自動スペクトル密度であり、|G|は、スペクトル密度の振幅を表す。
xyが0超〜1未満の場合、それは、測定にノイズが入っているか、あるいは、yが入力Xおよび他の入力による出力を生成しているか、のいずれかを表す。コヒーレンスが0の場合、それは、xとyが完全に無関係であることを表す。従って、複数の選択された周波数値で計算された、認識された回転頂端駆動速度信号と適用される時間変動周波数トルク信号間のコヒーレンスを、本発明に従った信号間の因果関係決定に用いてもよい。
実際の速度制御装置によって駆動システムをその作動トルク上限で作動させる場合、速度制御装置の動的挙動は、線形のオペレーティングシステムとしてはもはや正確にはモデル化され得ないことが実際に観察されている。それは特に、速度制御装置に実装されている所謂アンチワインドアップ手段または技術と、実際のシステムの飽和の影響、すなわちクリッピング効果によるものである。このような場合、コヒーレンスも低くなるであろう。救済手段として、実際の時間変動周波数トルク信号を含む実際の非線形システムの出力から、シミュレートされた理想の線形速度制御装置の出力を差し引くことによって、是正された時間変動周波数トルク信号が得られ得る。実際のシステムがその作動上の境界内で作動する限り、是正された時間変動周波数トルク信号は、実際の時間変動周波数トルク信号に等しくなる。クリッピングの場合には、是正された時間変動速度信号は、線形のオペレーティング速度制御装置の前提を満たし続ける。
本発明の目的のために、2つの値または信号間のコヒーレンス度の決定に、上記の式(17)に従って計算されたRxyの代わりに、当業者には既知の他の計算を使用してもよいことは、注目される。
掘削中、ドリルストリング12はより多くのドリルパイプで延長され、ドリルビットの角方向と遭遇する地中構造の材料特性は変化し得る。
図5のフローチャートを参照して、掘削作業の間、例えばドリルストリング12の長さが長くなった場合、あるいは、掘削環境が著しく変化した場合、すなわち、判定ブロック59の「掘削環境/装置が変化?」の結果が「Yes」の場合、ボアホール装置の演算パラメータを自動で決定するために、また、掘削作業の変化後のそれぞれの演算パラメータに適合した調整パラメータセットを用いて速度制御装置を自動で作動させるために、ブロック52〜58で示したプロセスが繰り返される。そうでなければ、すなわち、判定ブロック59の結果が「No」であれば、速度制御装置の調整パラメータが変化しない間、掘削作業を継続してもよい。実際には、ドリルパイプ長さが長くなる毎に、自動調整プロセスが繰り返されてもよい。掘削環境におけるこうした変化を、例えば、頂端駆動速度が0に近づいたかどうかをモニターすることによって自動で検知してもよい。
ドリルストリングが拡張されるごとに、駆動システム15の慣性Jおよびボトムホールアセンブリ11の慣性Jを新たに確立する必要はないであろうことは理解されるであろう。駆動システムの慣性Jは、例えば、マッチングプロセスをかなり楽にするなどのために、ボアホール装置のオペレータによって提供されるデータから事前に分かっていてもよい。こうした場合、本発明に従って決定されるJ値と、Jの既知の値との比較は、本発明に従って決定される演算パラメータの精度のチェック役立ち得る。
本発明のある実施形態では、判定ブロック59はさらに、ボアホール装置の演算パラメータを決定するプロセスと、設定された繰り返し時間間隔後の掘削中の、例えば作業10分毎のブロック52〜58による自動調整プロセスを繰り返すように構成されていてもよく、その場合、判定ブロック59は、例えば、「繰り返し時間間隔後に掘削環境/装置変更」と読めるであろう。これは、掘削中の診断ツールとして有用である。
本発明のある例では、ボトムホールアセンブリがオフボトムの間、すなわち、ドリルビットがボアホールの底部で地中構造に接触していない時は、速度制御装置の調整パラメータを自動的に決定する方法が実行されてもよい。例えば、ドリルストリングの長さが延長された後で掘削作業が開始される直前に実行されてもよい。こうした場合、プラントシステムの動的部分の線質係数すなわちQ係数は、ボトムホールアセンブリがオンボトム時、すなわち、ドリルがボアホールの底部で地中構造に接触している時よりはるかに高くなり、これによって、オフボトム時よりはるかに高い減衰項が可能になることは理解されるであろう。オフボトムプロセスの結果は、オンボトムプロセスの結果より良好なコヒーレンスを示す。
速度制御装置20のパラメータを得られた演算パラメータに設定、すなわち合わせる方法は、特定の掘削作業と、特定のボアホール装置と、例えば、米国特許第5,117,926号で開示されたSOFT TORQUE(登録商標)として既知のものなどの市販の制御ソフトウェアを使用してスティックスリップ振動を緩和するなどの達成すべき目標と、に依存する。
上述のボアホール装置の力学計算モデルの代替として、図6は、本発明に従って図2のボアホール装置の一次計算モデルを形成する電気素子を含む電気的等価回路の概略図である。
図6の計算モデルでは、ドリルストリング12は、インダクタンス値がL2=1/K[H]のインダクタL2によってモデル化される。駆動システム15の慣性は、容量値がC=J[F]のコンデンサC1によってモデル化される。ボトムホールアセンブリは、容量値C=J[F](Jは、ボトムホールアセンブリ11の慣性)のコンデンサC2によってモデル化される。特に、ドリルストリング12のドリルパイプ内をドリルビット17に向かって下方におよび後部上方に送り込まれる掘削流体または泥水によって引き起こされるドリルストリング12とボトムホールアセンブリ11の回転の減衰は、抵抗値がR[Ω]であり、コンデンサC2と並行に接続された抵抗器R2によってモデル化される。図6のモデルでは、インダクタL2は、コンデンサC1とC2を直列接続している。
図6によるボアホール装置の計算モデルでは、図3の速度制御装置20は、従来のPI制御装置としてモデル化される。設定速度信号ωは、電圧値がV=ω[V]であり、中間の並列インダクタ/抵抗回路、すなわち、インダクタンス値がL=1/K[H]であり積分I動作(ねじれ剛性Kと等価)を表すインダクタL1と、抵抗値がR[Ω]であり比例1/P動作(速度制御装置20によって供給される減衰Cと等価、すなわち、
Figure 2016505742
)を表す抵抗器R1によって、コンデンサC1とインダクタL2に直列接続されたDC電源V0によって表わされる。
該モデルすなわち図6の等価回路図では、ドリルストリング12の頂端14における実際の駆動速度ωは、コンデンサC1間の電圧Vで表わされる。ドリルビット17に与えられる負荷トルクTlは、コンデンサC2に並列に接続された電流源I2と電流I[A]によってモデル化される。駆動システム15によって提供されるトルクは、コンデンサC1に並行に接続された電流源I1と電流I[A]によってモデル化される。コンデンサC2間の電圧Vは、ドリルビット17の速度を表わす。
適用される時間変動周波数トルク制御信号の本発明によるモデル化については、例えば、電流源I1と並列の、時間変動周波数電流値I[A]を提供する制御電流源I0を用いてもよい。しかしながら、適用される時間変動周波数トルク制御信号を本発明に従ってモデル化するために、代替として、DC電源V0に直列接続され、変動電圧値V[V]を提供する制御電源V3を用いてもよい。これを図6に破線で概略的に示す。図3を参照して、後者は、トルク変動が設定速度信号ωの変動を通して適用されることを意味する。図6の計算モデルは、例えば、駆動システムモータ18を明確にモデル化することによってさらに強化され得る。
当業者であれば、図6の等価回路図のスペクトル領域のプラント伝達関数は、式(1)−(15)を参照して上記に開示したように計算されることは理解するであろう。
第1の近似では、ドリルストリングの動的部分の線形コンピュータシミュレーションモデルを用いてもよい。こうした線形モデルによって、コンピュータ処理能力と記憶容量には厳しい要件が求められないというメリットが実際に得られることがわかった。より精巧な方法では、図6を参照して、例えば、垂直からある角度逸れてボアホールを掘削する場合であって、例えば、掘削流体およびまたは地中構造との接触からドリルストリングによってもたらされる減衰をモデル化するために、インダクタンスL2とコンデンサC2のように接続された異なるインダクタンスおよびコンデンサと、それぞれのコンデンサに並列接続された異なる抵抗器R2と、こうしたインダクタンスL2に並列接続された抵抗器と、の複数のカスケード接続によって、ドリルストリングの異なる部分をモデル化してもよい。
図7aと7bは、正確な縮尺ではないが、実際的なボアホール装置の演算パラメータの決定に使用される正弦波反復の時間変動周波数トルク制御信号の例を示す。同図において、横軸は時間t[s]を表す。
図7aは、本発明の目的のための単一の正弦波反復の時間変動周波数トルク制御信号60、すなわち、掃引信号を示す。縦軸は、該信号の振幅Aを示す。
図7aから分かるように、適用される時間変動周波数トルク制御信号の振幅は、スタート値0から一定値まで数サイクルで増加し、ゼロ交差、すなわち振幅値0で終了する。こうして、継続的にまた反復的に適用される時間変動周波数トルク制御信号60の振幅値遷移は回避されて、滑らかな周波数スペクトルが得られる。
各信号60の周波数fは、時間tの増加と共に減少する。図7bの縦軸[Hz]は、図7aの信号の時間変動周波数f61を示す。図7aから分かるように、この例では、継続時間60秒の掃引の間、信号の周波数fは、2Hzから0.1Hzまで指数関数的に減少する。
図7aと7bの掃引時間、振幅および周波数値は、例示的に提供されたことは理解されるであろう。特に、掃引時間は、60秒より短く設定されても長く設定されてもよい。実際には、掃引時間は、例えば10分と長くてもよい。さらに、反復信号は、必ずしも互いに直接に続いている必要はない。実際には、次の掃引は、10分または15分後などのように数分後に適用されてもよい。
本発明の方法で決定された演算パラメータの精度は、トルク制御信号の周波数が時間と共に変動する程度に依存する。比較的遅い周波数変動によって、時間と共に比較的速く変動する周波数の場合に比べてより正確な結果が得られる。これは、比較的遅い変動によって、マッチング目的としては広がりが少ない測定結果が比較的より多く得られるためである。得られた演算パラメータの精度は、ボアホール装置の線質係数Qにも依存する。実際には、ボアホール装置の典型的な線質係数Qが5〜15の場合、本発明による方法によって正確な結果が得られる。
周波数は、線形的、指数関数的あるいは他の任意の方法などの適切な方法で、時間と共に変動してもよい。しかしながら、掃引間隔に亘って指数関数的に変動する周波数によって、それが増加する場合であっても減少する場合であっても、掘削が開始されている間に、適用信号と測定信号間の優れたコヒーレンスが得られることがわかった。
本発明のある例では、実際のボアホール装置の演算パラメータの決定に使用するために、
時間変動周波数トルク制御信号は、図8a、8b、8c、8dおよび8eに概略的に示すように、異なる時間変動周波数を有する2つの時間変動周波数信号の重畳によって構築される。これらの図において、横軸は時間t[s]を表す。
図8aは、図7aと同様に、縦軸に沿って示される一定の振幅AHFを有する、第1の正弦波反復の比較的速い時間変動周波数信号(信号HFと表記)の信号波形62を示す。図8bは、図7aと同様に、一定の振幅ALFを有する、第2の正弦波反復の比較的遅い時間変動周波数信号(信号LFと表記)の信号波形63を示す。図8cは、図7aと同様に、振幅ALF+HFを有する、実際の反復時間変動周波数トルク制御信号(信号LF+HFと表記)(該信号は信号HFと信号LFが重畳されたもの)、すなわち、一対の周波数指数関数的トルク制御掃引信号の信号波形64を示す。
この例において、信号HFと信号LFのそれぞれの周波数変動は、一対の周波数指数関数的トルク制御掃引信号64での振幅遷移を回避するために、図8cに示すように、掃引間隔の開始と終了時で、両方の信号が共通のゼロ交差を有するように選択される。当業者であれば、さらに改善されたマッチングのために、同様な方法で、3つまたは4つ等々の時間変動周波数トルク制御信号が構成され得ることは理解するであろう。
図8dは、図7bと同様に、図8aと8bそれぞれの信号HF65と信号LF66の時間変動周波数の周波数変動を示す。縦軸は周波数f[Hz]を示す。図8dから分かるように、継続時間60秒の掃引の間に、信号HFの周波数65は2Hzから0.35Hzに指数関数的に減少し、点線で示す信号LFの周波数66は0.35Hzから0.1Hzに指数関数的に減少する。
図8eは、高速フーリエ変換(FFT)アルゴリズムを用いて計算した複数の離散周波数成分に対して、重畳した時間変動周波数信号、すなわち、図8cに示す信号LF+HFの周波数スペクトルを示す。図8eの横軸は周波数f[Hz]を示し、縦軸は、それぞれの周波数成分の振幅XLF+HFを示す。この図から分かるように、重畳された信号の周波数fは、約0.05Hz〜約2Hzの周波数範囲に亘って変動している。
図9は、図8a、8bおよび8cにそれぞれ示した時間変動周波数信号HF、信号LFおよびトルク制御信号LF+HFそれぞれの周波数スペクトルを両対数目盛で示す。すなわち、信号HFは破線67で表され、信号LFは点線68で表され、重畳された信号LF+HFは実線69で表わされる。図9の横軸は周波数f[Hz]w示し、縦軸は、振幅XHF、XLFおよびXLF+HFそれぞれの振幅を示す。
信号HFと信号LFは、掃引間隔の開始および終了時において、共通のゼロ交差を有するように選択されていることから、重畳された一対の周波数掃引信号LF+HF(実線69)は、周波数スペクトルを有する時間連続の掃引信号であり、この信号は、時間変動周波数信号、すなわち信号HFと信号LFのそれぞれのギブス効果が比較的大きいにもかかわらず、約0.05〜2Hzの範囲では本質的に水平である。
図10aと10の点線はそれぞれ、上記で議論し時間変動周波数トルク制御信号Tとして図8cに示す単一で一対の周波数掃引トルク制御信号65を実際のボアホール装置13に適用することにより、また、ボアホール装置13のドリルストリング12の回転頂端駆動速度ωを獲得することにより、式(16)に従って得られた推定トルク−速度伝達関数Hの、図10aの縦軸で示される振幅|H|[rad/Nms]70と、図10bの縦軸で示される相Φ[°]71を示す。
実際には、図10aと10bのグラフは、例えば10分間などの期間の間に、図8cに示す一対の周波数掃引信号65を繰り返し適用することによって得られた、積み重ねの測定結果を平均して得てもよい。
図10aと10bの実線はそれぞれ、図6に示し上記で議論したボアホール装置10の計算モデルまたは等価回路図における、ドリルストリング12の頂端14における駆動速度ωを表わすコンデンサC1間の電圧Vの伝達関数hと、時間変動周波数トルク制御信号Tを表わす電流源I0の電流Iと、の振幅|h|[V/A]72と相φ[°]73を示す:
Figure 2016505742
実際のボアホール装置に適用されるものと同じ一対の周波数掃引トルク制御信号に対して計算される。
推定伝達関数Hと計算された伝達関数hとを、振幅グラフ70と72および相グラフ71と73がそれぞれ、少なくとも低周波fについて、できるだけ多く互いにカバーするようにマッチングすることによって、最終的には、ボアホール装置の演算パラメータを表す図6の等価回路成分の値が得られる。これは、インダクタンス値がL=1/Ksのドリルストリングを表すインダクタL2と、駆動システムの慣性を表し容量値がC=JのコンデンサC1と、ボトムホールアセンブリを表し容量値がC=J、インダクタンス値がL=1/Kおよび抵抗値がR=1/CとRのコンデンサC2である。
推定伝達関数Hにマッチング時の計算された伝達関数hに対して、図10aと10bから以下の演算値を適用する:
=451Nm/rad
=1190kgm
=667kgm
ボアホール装置の共振周波数fは,式(11)とf=ω/2πから計算される(ここで、πは数学定数であり約3.14159である。)上記で得られたKとJ値から、共振周波数f=0.1308Hzが得られる。図10aと10bのグラフにおいて、これは、伝達関数の振幅と相の第1の落ち込み、すなわち図10aと10bにおいてfで示される落ち込みが生じる周波数に対応する。
ドリルストリングの特性インピーダンスZは、下式から計算される:
Figure 2016505742
得られた演算値から、特性インピーダンスZは0.00182rad/Nmsと計算される。
以下の表1は、得られたドリルストリングパラメータと、10分の間に図8cに示した一対の周波数掃引信号を適用した上述の発明例との比較を示しており、このドリルストリングパラメータは、ボアホール装置10の特定のドリルストリング形状に対して、掘削オペレータからスプレッドシートや表などで提供されるものである。
Figure 2016505742
上記に開示の本発明の例で得られた結果と、掘削オペレータによって提供されたパラメータとの差は、全体として約10%以内である。
図11のグラフ74は、スペクトル領域における時間変動周波数トルク入力信号と得られた頂端駆動速度出力信号間のコヒーレンスRxyを視覚化したものである。図11の横軸は周波数f[Hz]を示し、縦軸は、式(17)を用い0〜1間の尺度として計算されたコヒーレンスRxyを示す。
計算されたコヒーレンスは、概して1かまたはそれに近く、このことは、マッチングされた伝達関数は極めて可干渉性であることを意味する。このコヒーレンスは、共振周波数fにおいて著しく低減するが、これは、共振周波数においては、ノイズと他の擾乱信号は、ドリルストリングの動作に比較的著しい衝撃を及ぼすであろうということから生じるものである。トルク−速度伝達関数における高次モードは、図11におけるコヒーレンスの落ち込みから同様に特定できる。
表1に記載したパラメータ値は、ボアホール装置の動的部分を代表するより詳細な計算モデルを使用することによって、図6の一次線形モデルと比較してさらに高い精度で得られる。例えば、図6の回路図では、ドリルストリングは、図示のように接続された単一のインダクタL2でモデル化されている。本発明の目的のために、既に上記で明らかにされているように、ドリルストリングの異なる部分は、適切なインダクタンス値を有するインダクタと、適切な容量値を有する直列コンデンサと、インダクタおよびまたはコンデンサCに並列に接続されドリルストリングによってもたらされる減衰を表す抵抗器と、によってモデル化されてもよい。異なる地中構造特性、地中構造中のドリルストリングの経路、ドリルパイプの機械的特性などを考慮に入れて、いくつかのこうした部分がモデル化されてもよい。
図12、図13および図14はそれぞれ、比較として、周波数fにおける第1のモード72だけでなく、周波数fにおける第2のモード75と周波数fにおける第3のモード76を考慮して、図10aを参照して上記したように得られた、マッチングした伝達関数hとHの振幅|h|と|H|を示す。図12は図10aと同じだが、伝達関数hとHの振幅|h|72と|H|70および周波数fは、両対数目盛で表示されている。
図12、13および14から、より詳細なマッチングとボアホール装置の動的部分の代表的な計算モデルを用いることによって、特に、掘削中にドリルストリングが遭遇する減衰の計算に対して、より高次の影響が推定できることが容易に観察される。図6の計算モデルに示されるように、抵抗器R2の抵抗値Rは、ドリルストリングが遭遇する機械的減衰、すなわち、掘削泥水と、例えば、ドリルストリングに作用する圧縮力によるドリルストリングの横たわみによって生じるドリルストリングとボアホール壁との係合と、の結果としての減衰に対する尺度である。
図6に示す計算モデルを参照して、例えば、計算モデルの演算パラメータが決定される間、種々の信号分析技術と処理技術を適用して、適用される制御信号の変化の衝撃を計算しシミュレートでき得ることは理解されるであろう。こうしたものとしては、例えば、設定頂端駆動速度Vの変化によって生じ、コンデンサC2間の電圧で表される、ドリルビットの実作業速度での衝撃などが挙げられる。
特に、波動伝播モデルを用いることによって、優れた結果を得ることができる。このモデルは、ドリルストリングのより正確でより代表的なモデル化に特に適している。
波動伝播モデルのある例では、ドリルストリング12は、単位長さ当たりで減衰する粘性のボアホール壁と、単位長さ当たりで減衰する内部材料と、ドリルストリング長さと、極慣性モーメントと、で構成される演算パラメータを有する均一の機械式伝送線路モデルとしてモデル化される。BHA11とドリルビット17は、底端13で集中したまたは効果的な慣性と摩擦によって表わされる。地表面では、ボアホール装置は、駆動システム15におけるトップドライブ慣性と時間遅延(駆動システムモータ18に動力を供給する可変周波数駆動装置により導入される時間遅延など)によって表わされる。実際の掘削作業の間に、前述の8つの演算パラメータは本発明による方法で正確に決定でき、ボアホール装置の性能は、この特定の伝送線路モデルから非常に正確に計算・シミュレートされることが分かった。
図15は、オンボトムまたはオフボトムのいずれかで作動されるボアホール装置10の計算モデルの演算パラメータを自動的に決定する装置80を概略的に示す。図1に示すボアホール装置10に加えて、演算パラメータ制御システム81が設けられている。制御システム81は、コンピュータまたは電子処理装置82、キーボードなどの入力インターフェース83、ボアホール装置10の動的部分の代表的な計算モデルを選択し、ボアホール装置10の速度制御装置20(使用されていれば)の調整パラメータなどの既知のパラメータ値を設定するタッチスクリーンなど、を備える。処理装置82によって推定および計算された演算パラメータと伝達関数は任意に、グラフ式ディスプレイ、プリンターまたはプロッター、あるいは、得られた演算パラメータを評価するデータ評価モジュールなどの出力インターフェース84に設けられてもよい。本発明による計算モデル、演算パラメータ、調整パラメータおよび他の値は、制御システム81からアクセス可能なデータベース85に蓄積およびそこから検索されてもよい。データベース85は、制御システム81から遠くにあってもよく、例えば通信ネットワーク86で接続されてもよい。
制御システム81は、図7aと8cにそれぞれ示した単一または一対の周波数掃引信号などの時間変動周波数信号を生成するように構成された信号発生部87を備えており、該時間変動周波数信号は、トルク制御信号としてデータ入力88を通じて速度制御装置20に適用される。信号発生部87の作動は、処理装置82によって制御される。例えば、回転計または速度センサー21によってドリルストリング12の頂端14で測定されたドリルストリング12の回転頂端速度は、処理装置82に提供される(89)。本発明で使用される信号発生部は当業者には既知であり、さらなる詳細は不要である。また、信号発生部87は、処理装置82の一体型部品であってもよい。また、該発生部87の時間変動周波数信号は、時間変動周波数信号を速度制御装置20の入力に適用する代わりに、駆動システム15に直接適用してもよいことは注目される。
処理装置82は、ドリルストリング12を駆動中に、駆動システム15によって提供されるトルクがある期間に亘って変動するように信号発生部87を制御することによって、また、この期間に、回転計または速度センサー21により提供されるドリルストリング12の回転駆動速度を測定することによって、ボアホール装置の動的部分の調整パラメータを自動で決定するように適切にプログラムされている。駆動システム15に提供されるトルクは、既知の方法で期間に亘って変動することが好ましく、これによってコヒーレンスが向上する。
処理装置82はさらに、適用される変動トルク信号と測定される回転駆動速度とから推定トルク−速度伝達関数を計算するように、また、推定トルク−速度伝達関数とボアホール装置10の選択された代表的な計算モデル、すなわち、速度制御装置、駆動システム、ドリルストリングおよびボトムホールアセンブリから計算されたトルク−速度伝達関数とをマッチングさせることによって、ボアホール装置10の演算パラメータと速度制御装置20の調整パラメータとを決定するようにプログラムされている。こうして決定された演算パラメータから得られた調整パラメータを、速度制御装置20を所望の制御モードに設定するデータ入出力90を通じて、こうして得られた調整パラメータに依存する速度制御装置20に直接供給してもよい。
さらなる例では、処理装置82は、本発明および添付の請求項の方法に従って作動するように適切にプログラムされていてもよい。
図15の破線で概略的に示すように、速度制御装置20に加えて、時間変動周波数信号を速度制御装置20に対するトルク制御信号として受け取るデータ入力88と、調整パラメータを受け取り、およびまたは制御システム81にフィードバックを提供するデータ入出力90と、制御システム81の代わりにあるいはこれに加えて、信号発生部87と、を備える電子制御装置91を設けてもよい。
制御システム81は、速度制御装置20または電子制御装置91との接続88、89および90が、有線または無線の、単一のデータネットワーク接続として、または電気通信ネットワークとの接続として構成され得るように、ボアホール装置10から遠くに構成または配置されてもよい。
本発明は、上記に開示した実施形態に限定されるものではなく、発明的スキルを適用する必要なしに添付の請求項に開示の本発明の範囲内で、当業者により修正および改良され得る。

Claims (24)

  1. 地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置の計算モデルの演算パラメータをコンピュータ制御で決定する方法であって、
    前記ボアホール装置は、回転駆動システムと、ドリルビットと前記回転駆動システムに接続された頂端とを備えるボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、前記駆動システムの回転駆動速度を制御する速度制御装置と、を備え、
    本方法は、
    −前記ドリルストリングを駆動中に、前記駆動システムによって提供されるトルクをある期間に亘って変動させるように前記駆動システムを制御するステップと、
    −前記期間中に前記ドリルストリングの回転頂端駆動速度を獲得するステップと、
    −前記変動するトルクと前記獲得した回転頂端駆動速度とから、推定トルク−速度伝達関数を計算するステップと、
    −前記推定トルク−速度伝達関数と、前記ボアホール装置の前記計算モデルから計算されたトルク−速度伝達関数と、をマッチングさせるステップと、
    −マッチングされた前記推定トルク−速度伝達関数と前記計算されたトルク−速度伝達関数とから前記演算パラメータを決定するステップと、を備えることを特徴とする方法。
  2. 前記速度制御装置は、トルク制御信号を前記駆動システムに提供し、前記駆動システムによって提供される前記トルクは、時間変動信号周波数を有するトルク制御信号を適用することによって変動させられることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記速度制御装置は、設定トルク制御信号を前記駆動システムに提供し、前記駆動システムによって提供される前記トルクは、前記設定トルク制御信号に時間変動信号周波数を有するトルク制御信号を重畳することによって変動させられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の方法。
  4. 前記トルク制御信号は、設定期間に亘って指数関数的に変動する信号周波数を有することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 前記トルク制御信号は、それぞれの信号が、設定期間に亘って変動する信号周波数の異なるものを有する複数の信号の前記設定期間に亘る重畳であることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記マッチングは、前記推定トルク−速度伝達関数と等価なトルク−速度伝達関数との振幅と相のマッチングを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記演算パラメータは、前記適用した変動するトルクと前記獲得された頂端駆動速度が所定のコヒーレンス度に達する場合に決定されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の方法。
  8. 前記変動するトルクと頂端駆動速度が所定のコヒーレンス度に達しない場合、前記制御するステップ、前記獲得するステップ、前記計算するステップおよび前記マッチングさせるステップを繰り返して、この繰り返しから前記演算パラメータを決定することを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記駆動システムによって与えられた前記トルクは、前記期間に亘って変動させられて、前記ドリルストリングの前記回転頂端駆動速度の限定された変動を提供することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 前記ボアホール装置は、前記ボトムホールアセンブリがオフボトムの状態で作動することを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の方法。
  11. 前記計算モデルは、前記ボアホールが掘削される実際の地中構造を表したものを含むことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の方法。
  12. 前記ドリルストリングが遭遇する減衰は、マッチングされた前記推定トルク−速度伝達関数と前記計算されたトルク−速度伝達関数とから決定されることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記演算パラメータの前記決定は、前記ドリルストリングの一部が変更された後に繰り返されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記演算パラメータの前記決定は、周期的に繰り返されることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の方法。
  15. 前記計算モデルは、状態空間モデル、等価電気回路モデル、等価な機械的なねじり−ばね慣性モデル、セグメント化モデル、連続時間モデル、離散時間モデル、周波数領域モデル、および機械的および電気的伝送線路モデルを含む波動伝播モデルのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の方法。
  16. 前記ボアホール装置から離れたコンピュータシステム内で実行されることを特徴とする請求項1から15のいずれかに記載の方法。
  17. 調整パラメータは、決定された演算パラメータから前記速度制御装置に提供されることを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の方法。
  18. 地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置の計算モデルの演算パラメータをコンピュータ制御で決定する装置であって、
    前記ボアホール装置は、回転駆動システムと、ドリルビットと前記回転駆動システムに接続された頂端とを備えるボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、前記駆動システムの回転駆動速度を制御する速度制御装置と、を備え、
    本装置は、
    −前記ドリルストリングを駆動中に、前記駆動システムによって提供されるトルクがある期間に亘って変動させるように前記駆動システムを制御し、
    −前記期間中に前記ドリルストリングの回転頂端駆動速度を獲得し、
    −前記変動するトルクと前記獲得した回転頂端駆動速度とから、推定トルク−速度伝達関数を計算し、
    −前記推定トルク−速度伝達関数と、前記ボアホール装置の前記計算モデルから計算されたトルク−速度伝達関数と、をマッチングさせ、
    −前記マッチングされた推定トルク−速度伝達関数と前記計算されたトルク−速度伝達関数とから前記演算パラメータを決定する、ように構成されたコンピュータ制御の演算パラメータ制御システムを備えることを特徴とする装置。
  19. 前記演算パラメータ制御システムは、請求項2から16のいずれかに記載の方法に従って前記演算パラメータを決定するように構成されていることを特徴とする請求項18に記載の装置。
  20. 前記演算パラメータ制御システムは、前記速度制御装置に作動可能に接続されて、決定された演算パラメータから調整パラメータを前記速度制御装置に提供するように構成されていることを特徴とする請求項18または請求項19に記載の装置。
  21. 前記演算パラメータ制御システムは、前記駆動システムによって提供されるトルクをある期間に亘って変動させる時間変動周波数信号を生成するように構成された信号発生部を備えることを特徴とする請求項18から20のいずれかに記載の装置。
  22. 地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置の回転駆動システムの回転駆動速度を制御する電子制御装置であって、
    前記ボアホール装置は、ドリルビットと回転駆動システムに接続された頂端とを備えるボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、前記駆動システムの回転駆動速度を制御する速度制御装置と、を備え、
    本電子制御装置は、
    時間変動周波数トルク制御信号を提供するデータを受け取るデータ入力と、
    請求項1〜16のいずれかに記載の方法に従って決定された演算パラメータから得られた調整パラメータを受け取るデータ入出力と、を備えることを特徴とする電子制御装置。
  23. 前記時間変動周波数トルク制御信号を提供する信号発生部を備えることを特徴とする請求項22に記載の電子制御装置。
  24. 地中構造中にボアホールを掘削するボアホール装置であって、
    回転駆動システムと、
    ドリルビットと前記回転駆動システムに接続された頂端とを備えるボトムホールアセンブリを有するドリルストリングと、
    前記駆動システムの回転駆動速度を制御する速度制御装置と、
    前記速度制御装置に調整パラメータを提供するために前記速度制御装置に作動可能に接続されて、請求項18から21のいずれかに従って演算パラメータをコンピュータ制御で決定する装置と、を備えることを特徴とするボアホール装置。
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