JP2016505339A - 神経刺激の状態を示すためのシステム - Google Patents

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ジー. ウィカ、ケビン
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エイチ. ケリー、ジョナサン
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マドゥカル サハスラブデ、ラジーブ
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Abstract

神経刺激治療の送達の表示を提供するためのシステムが開示される。一例において、システムは、異なる刺激状態を用いて神経刺激を送達するように構成された植込み型医療装置(IMD)と、植込み型医療装置によって送達された神経刺激の現在の刺激状態を識別するように構成された外部装置とを備え得る。外部装置は植込み型医療装置によって送達される神経刺激の現在の刺激状態のユーザー知覚可能表示を提供するように構成されたインジケータを備え得る。

Description

本発明は、神経刺激一般に関し、より詳細には、神経刺激の送達を示すための方法及びシステムに関するが、これらに限定するものではない。
迷走神経刺激のような神経刺激は、多くの症状に対する治療法として提案されてきた。神経刺激療法の例としては、睡眠時呼吸障害のような呼吸器障害、高血圧を治療するためのような血圧制御、心調律管理、心筋梗塞及び虚血、心不全(HF)、癲癇、抑うつ症、疼痛、偏頭痛、摂食障害及び肥満、並びに運動障害に対する神経刺激療法が挙げられる。
迷走神経刺激は、喉頭の振動を引き起こし得る。よって、喉頭の活動は、迷走神経が神経刺激によって捕捉されているという表示として用いることができる。例えば、臨床医は、患者の頸部に物理的に触れて、喉頭の振動を感じて、迷走神経の捕捉を確認することができる。しかしながら、特に喉頭振動を監視するのにより長い期間が必要とされる場合には、患者に物理的に触れて喉頭振動を監視することで患者を不快にさせ得る。
本主題の様々な実施形態は、臨床医又は他の人に神経の刺激状態の表示を提供する。例えば、前記表示は、間欠的刺激が刺激オン状態にあるか、又は刺激オフ状態にあるかを示してもよい。この文書では、植込み型迷走神経刺激装置を特定の例として検討する。よって、例えば、臨床医は、喉頭振動について監視するために、いつ患者に触れるべきかを知るために、前記表示を用いることができる。
迷走神経刺激治療は間欠的に与えられてもよく、その場合、神経刺激エネルギーは刺激オン期間中に送達され、一連の刺激オン期間は、神経刺激が送達されない刺激オフ期間によって分離されている。すなわち、刺激オン状態と刺激オフ状態とが交番する。間欠的な迷走神経刺激は、臨床医が感知された喉頭振動がその刺激に起因するかどうか分からないので、臨床医が捕捉を検証するのに問題があり得る。間欠的な迷走神経刺激は、医師には感知された喉頭振動が刺激オンの間のみに起こり、したがって刺激によって引き起こされたかどうか分からないので、医師が捕捉を検証するのに問題があり得る。しかしながら、本主題は他の神経刺激装置と共に実施されてもよい。
一例において、システムは、異なる刺激状態を用いて、神経刺激を送達するように構成された植込み型医療装置(IMD)と、前記植込み型医療装置によって送達された神経刺激の現在の刺激状態を識別するように構成された外部装置とを備え得る。前記外部装置は、前記植込み型医療装置によって送達された神経刺激の現在の刺激状態のユーザーが知覚可能な表示(以下、「ユーザー知覚可能表示」と称する)を提供するように構成されたインジケータを備え得る。
迷走神経に間欠的神経刺激(INS)の送達の表示を提供するためのシステムの例において、該システムは、迷走神経にプログラムされた間欠的神経刺激を送達するように構成され得る植込み型医療装置(IMD)を備え得る。前記プログラムされた間欠的神経刺激は、交番する刺激オン時間及び刺激オフ時間と、刺激バーストオン時間中に複数の刺激パルスの刺激バーストを送達するためのタイミングとを含み得る。外部装置は植込み型医療装置によって送達される間欠的神経刺激の現在のタイミングを識別するように構成され得
る。前記外部装置は、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングのユーザー知覚可能表示を提供するように構成された間欠的神経刺激インジケータを備え得る。
間欠的神経刺激(INS)の現在のタイミングの表示を提供する方法の例において、前記方法は、植込み型医療装置(IMD)にプログラムされている間欠的神経刺激の現在のタイミングを識別することを含む。そのプログラムされた間欠的神経刺激は、交番する刺激オン時間及び刺激オフ時間と、刺激バーストオン時間中に複数の刺激パルスの刺激バーストを送達するためのタイミングとを含み得る。前記間欠的神経刺激の現在のタイミングの表示は外部装置の間欠的神経刺激インジケータを用いて提供されてもよい。
迷走神経の捕捉を検証する方法の例において、前記方法は、迷走神経に間欠的神経刺激(INS)を送達することを含み得る。前記間欠的神経刺激は植込み型医療装置(IMD)にプログラムされている。そのプログラムされた間欠的神経刺激は、交番する刺激オン時間及び刺激オフ時間と、刺激バーストオン時間中に複数の刺激パルスの刺激バーストを送達するためのタイミングとを含み得る。外部装置は、前記間欠的神経刺激の現在のタイミングの表示について監視されてもよい。前記方法は、喉頭振動を監視することと、前記間欠的神経刺激が迷走神経を捕捉しているかを判定するために、監視された喉頭振動の結果と、前記間欠的神経刺激の現在のタイミングの表示とを用いることとを含み得る。前記方法は、喉頭振動が検出されず、かつ前記間欠的神経刺激の現在のタイミングが刺激オンである場合に、前記間欠的神経刺激は迷走神経を捕捉していないと判定することを含み得る。
この概要は、本出願の教示のうちのいくつかの概要であり、本主題の排他的又は網羅的な取り扱いであるようには意図されない。本主題についてのさらなる詳細事項は、詳細な説明及び添付する特許請求の範囲に見られる。本発明の範囲は添付する特許請求の範囲及びそれらの均等物によって定められる。
様々な実施形態を例として添付図面に例示する。そのような実施形態は、例証的なものであり、本主題の網羅的又は排他的な実施形態であることは意図していない。
例として、神経刺激システムの一実施形態を示す図。 例として、迷走神経刺激強度が図の左側から右側にかけて増大することを示し、迷走神経刺激に対する様々な生理学的反応を誘発する強度閾値を示す図。 迷走神経刺激強度が図の左側から右側に増大することを示し、さらに概して治療上有効な用量の境界を示す図。 例として、患者への神経刺激を監視及び送達するための神経刺激システムの一実施形態を示す図。 例として、間欠的神経刺激の表現を示す図。 例として、間欠的神経刺激の表現を示す図。 例として、神経刺激システムの外部装置において用いるための間欠的神経刺激タイミングインジケータの実施形態を示す図。 例として、プログラムされた間欠的神経刺激のような神経刺激治療のタイミングを示す視覚表示の実施形態を示す図。 例として、プログラムされた間欠的神経刺激のような神経刺激治療のタイミングを示す視覚表示のいくつかの実施形態を示す図。 例として、プログラムされた間欠的神経刺激のような神経刺激治療のタイミングを示す視覚表示のいくつかの実施形態を示す図。 例として、プログラムされた間欠的神経刺激のような神経刺激治療のタイミングを示す視覚表示の実施形態を示す図。 例として、プログラムされた間欠的神経刺激のような神経刺激治療のタイミングを示す視覚表示の実施形態を示す図。 例として、プログラムされた間欠的神経刺激のような神経刺激治療のタイミングを示す視覚表示の実施形態を示す図。 例として、プログラムされた間欠的神経刺激のような神経刺激治療のタイミングを示す視覚表示の実施形態を示す図。 例として、プログラムされた間欠的神経刺激の現在の間欠的神経刺激タイミングの表示を提供する方法の実施形態を示す図。 例として、デューティサイクルの状態の変化を示す方法の実施形態を示す図。 例として、迷走神経の捕捉を検証する方法を示す図。
本主題の以下の詳細な説明は、例証として、本主題が実施され得る特定の態様及び実施形態を示す添付図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本主題を実施できるようにするために十分に詳細に記載されている。他の実施形態が用いられてもよく、本主題の範囲から逸脱することなく、構造的、論理的、及び電気的な変更がなされてもよい。この開示における「1つの(an)」、「1つの(one)」、又は「様々な」実施形態への言及は、必ずしも同一の実施形態ではなく、そのような言及は1つ以上の実施形態を企図している。従って、以下の詳細な説明は限定的な意味に解釈されるべきではなく、前記範囲は、添付の特許請求の範囲と、それに加えてそのような特許請求の範囲が権利を与えられる法的な均等物の全範囲とによってのみ定義される。
本願では、神経刺激の送達を示すための方法及びシステムが開示される。神経刺激送達の表示は、神経の標的の捕捉を検証するため、神経刺激治療の強度を所望の用量に用量設定する(titrate)ため、又は捕捉の検証及び用量設定の双方を行うために有用であり得る。そのような表示がない場合には、いつ刺激に対する反応を感知すべきかを判定し、観測された反応がその刺激に起因しているか、又は別の事象に起因しているかを判定することが困難になり得る。これらの表示は、神経刺激が間欠的神経刺激治療として送達される場合に望ましい。プログラムされた間欠的神経刺激治療は、刺激オン時間の間に神経刺激パルスのバーストを提供し、かつ刺激オン時間を刺激オフ時間で分離するようにプログラムされ得る。
一例において、前記神経刺激は、特定の例として本願で検討する自律神経系の刺激を対象とする。例えば、前記神経刺激は、頸部における迷走神経(例えば頸部迷走神経)の刺激、又は迷走神経幹から分岐する様々な神経の刺激を対象とし得る。前記神経刺激は他の自律神経系の標的を対象としてもよい。他の自律神経刺激の標的の例としては、頚動脈洞領域又は肺動脈の圧受容体領域、舌咽神経、頸動脈洞枝及び脊髄神経が挙げられるが、これらに限定されるものではない。しかしながら、前記神経刺激は神経刺激の表示を提供することが望ましい他の部位を対象としてもよいので、本主題はそのように限定されるものではない。例えば、筋肉運動(意図的か、非意図的かに関わらず)が体性系の刺激に起因するかを判定するために、体性系の標的を刺激するように構成された神経刺激装置に神経刺激の表示を提供することが望ましいことがある。より具体的な例として、例えば閉塞性睡眠時無呼吸の治療を提供するために、舌の筋肉を神経支配する舌下神経を刺激することが提案されている。本主題は舌下神経への神経刺激の送達を監視して、臨床医が舌の動きが神経刺激に起因することを確認できるようにするために実施されてもよい。
自律神経系(ANS)は「不随意」器官を調節し、一方、随意(骨格)筋の収縮は体性運動神経によって制御されている。不随意器官の例としては、呼吸器及び消化器が挙げられ、また血管及び心臓も挙げられる。多くの場合、自律神経系は、不随意で、反射的に、
例えば、腺を調節し、皮膚、眼、胃、腸及び膀胱における筋肉を調節し、心筋及び血管の周りの筋肉を調節するように機能する。
自律神経系は交感神経系と副交感神経系とを含む。交感神経系は、緊張、及び緊急事態に対する「闘争・逃走反応」に関係している。他の作用の中でもとりわけ、「闘争・逃走反応」は、血圧及び心拍数を増大させて、骨格筋血流を増大させ、消化を低下させて「闘争又は逃避する」ためのエネルギーを提供する。副交感神経系は弛緩及び「休息・消化反応」に関係し、前記反応は、他の作用の中でもとりわけ、血圧及び心拍数を低下させ、消化を増進してエネルギーを蓄える。自律神経系は正常な内部機能を維持し、体性神経系とともに作用する。求心性ニューロンは、中枢神経系(CNS)に向けてインパルスを伝達し、遠心性ニューロンは中枢神経系からインパルスを伝達する。
交感神経系及び副交感神経系の刺激は、心拍数反応、血圧反応及び他の生理反応をもたらし得る。例えば、交感神経系の刺激は、瞳孔を拡張させ、唾液及び粘液産生を低減し、気管支筋を弛緩させ、胃の不随意収縮の連続波(ぜん動)及び胃の運動性を低下させ、肝臓によるグリコーゲンのグルコースへの変換を増進し、腎臓による尿分泌を低減し、膀胱の壁を弛緩させ、膀胱の括約筋を閉鎖する。(交感神経系を阻害する)副交感神経系の刺激は、瞳孔を収縮させ、唾液及び粘液産生を増進させ、気管支筋を収縮させ、胃及び大腸の分泌及び運動性を増大させ、小腸における消化を増進させ、尿分泌を増進させ、膀胱の壁を収縮させ、膀胱の括約筋を弛緩させる。交感神経性系及び副交感神経系に関連する機能は多く、互いに複雑に統合され得る。自律神経系内の副交感神経の活動及び/又は交感神経の活動に意図的に影響を与える治療は、自律神経調整療法(AMT)と称され得る。自律神経調整療法の一例は自律神経の標的に与えられる神経刺激治療である。自律神経の標的の一例は迷走神経である。例えば、頸部迷走神経は、例として、これらに限定されるものではないが、高血圧症、心不全、不整脈及び疼痛のような症状を治療するために刺激され得る。迷走神経刺激を用いて治療可能であり得る症状の他の例としては、偏頭痛、摂食障害、肥満、炎症性疾患及び運動障害が挙げられるが、これらに限定されるものではない。他の自律神経の標的としては、圧受容体領域、化学受容体領域、心臓の脂肪体、迷走神経の様々な分枝、頸動脈洞枝、及び舌咽神経が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
副交感神経活動の低下は、様々な心疾患の発症及び進行に寄与する。本主題のいくつかの実施形態は、自律神経系の緊張の調節により、様々な心疾患を予防的に、又は治療的に処置するために用いられ得る。心疾患を治療するための神経刺激は、心臓神経療法(NCT)と称され得る。心疾患を治療するために用いられる迷走神経の刺激は、迷走神経刺激療法(VST)又は心臓神経療法と称され得る。しかしながら、迷走神経刺激療法は非心疾患のために与えられてもよく、迷走神経刺激療法は迷走神経以外の神経を刺激することによって与えられてもよい。自律神経調整療法を用いて治療され得る心疾患又は症状の例としは、高血圧、心不全及び心臓リモデリングが挙げられる。これらの症状について下記に簡潔に述べる。
高血圧症は心臓病及び他の関連する心合併症の原因である。高血圧症は、血管が収縮すると生じる。結果として、心臓はより高い血圧で流量を維持するためにより激しく働き、これは心不全の一因となり得る。高血圧症は、概して、全身性動脈血圧の、心臓血管の損傷又は他の悪影響を引き起こす可能性があるレベルまでの一時的又は持続的な上昇のような、高い血圧に関連する。高血圧症は、140mmHgを超える収縮期血圧、又は90mmHgを超える拡張期血圧として定義されている。コントロール不良な高血圧症の結果としては、網膜血管疾患及び眼虚血、左室肥大及び不全、心筋梗塞、解離性動脈瘤及び腎血管疾患が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一般集団の多く、並びにペースメーカー又は除細動器が植え込まれている患者の多くは、高血圧症に罹患している。血
圧及び高血圧症を低減することができれば、この集団に対して長期死亡率並びに生活の質が改善され得る。高血圧に罹患する多くの患者は、生活様式の変更及び血圧降下剤に関連する治療のような治療に反応しない。
心不全は、心機能が、末梢組織の代謝要求を満たすのに十分なレベル未満に落下し得る標準を下回る心拍出量をもたらす臨床的な症候群を指す。心不全は、随伴する静脈性うっ血及び肺うっ血により、うっ血性心不全(CHF)として起こり得る。心不全は虚血性心疾患のような様々な病因になり得る。心不全患者は自律神経バランスの障害を有し、それは左心室機能不全及び死亡率の増加に関連する。
心臓リモデリングは、構造的、生化学的、神経ホルモン的、電気生理学的な要因を含む心室の複雑なリモデリング過程を指し、該リモデリング過程は心筋梗塞(MI)又は心拍出量の減少の他の原因に続いて生じ得る。心室リモデリングは、いわゆる後方不全により、心拍出量を増大するように作用する生理学的代償機構によって引き起こされる。前記後方不全は、心室の拡張期充満圧を増大させ、それにより、いわゆる前負荷(すなわち心室が心拡張期の終期において心室内の血液の体積によって伸展される度合い)を増大させる。前負荷の増大は、心収縮期中における一回拍出量の増大、すなわち、フランク−スターリンの法則として知られている現象を引き起こす。しかしながら、心室が一定期間にわたって増大した前負荷により伸展されると、心室は拡張されるようになる。心室容積の肥大は、所与の収縮期圧において、心室壁応力の増大をもたらす。心室によって行われる圧力容積仕事量の増大と共に、これは心室心筋の肥大に対する刺激として作用する。拡張の不利益は、正常な残存心筋に課される過剰な仕事負荷、及び壁張力の増大(ラプラスの法則)であり、それらは肥大に対する刺激を意味する。肥大が増大した張力に見合うには十分でない場合には、さらに漸進的な拡張を引き起こす悪循環が続く。心臓が拡張し始めると、求心性圧受容体信号及び心肺受容体信号が血管運動神経の中枢神経系制御センターに送信され、前記制御センターはホルモン分泌及び交感神経放電によって応答する。血行動態、交感神経系及びホルモンの変調(アンギオテンシン変換酵素(ACE)活性の有無のような)の組合せは、心室リモデリングに関わる細胞組織における有害な変調の原因となる。肥大をもたらす持続的応力は、心筋細胞のアポトーシス(すなわちプログラム細胞死)、心機能のさらなる悪化をもたらす最終的な壁の菲薄化を誘発する。したがって、心室拡張及び肥大は、最初は代償性であり、心拍出量を増大させ得るが、その進行は最終的に収縮機能障害及び拡張機能障害の双方を生じる。心室リモデリングの程度は心筋梗塞後(post−MI)患者及び心不全患者における死亡率の増加と正相関していることが示されている。
神経カフは迷走神経を刺激するために用いられ得る。内頚静脈のような血管内において電極を用いて迷走神経を経血管的に刺激することは低侵襲性である。迷走神経を刺激するための別の低侵襲性手段は、頚動脈鞘内において神経に近接して配置された電極を用いて迷走神経を刺激することを含む。迷走神経の捕捉を検証することは、カフ又は非カフ電極配置において望ましい。迷走神経の捕捉を検証することはまた、カフ電極配置及び非カフ電極配置の双方において自動的な用量設定に適切であり得る。
迷走神経の分枝は反回神経であり、反回神経は喉頭筋を神経支配している。迷走神経は、反回神経が迷走神経から分岐する位置よりも頭方の刺激部位において刺激される。この刺激部位において迷走神経を捕捉する刺激は、この位置からの遠心性迷走神経連絡を増強し、反回神経を介して活動電位を伝播し、喉頭筋の活性化をもたらす。本主題の様々な実施形態は、遠心性迷走神経連絡を増強するために迷走神経に刺激を与え、植え込み処置中に臨床医にフィードバックを提供するため、患者の追跡調査中に臨床医にフィードバックを提供するため、又は植込み装置において間欠的に実施される自動用量設定ルーチンにフィードバックを提供するために、喉頭筋の活性化を検出する。
迷走神経刺激療法は、迷走神経連絡を増大させる刺激、迷走神経連絡を阻止又は低減する刺激、迷走神経の一方向刺激(例えば、神経連絡に対して、遠心方向ではなく求心方向において著しく影響を与える刺激、又は神経連絡に対して求心方向ではなく遠心方向において著しく影響を与える刺激)、又は非一方向である刺激(例えば、神経連絡に対して求心方向及び遠心方向の双方において著しく影響を与える刺激)を含み得る。従って、治療のために刺激電極から与えられる迷走神経刺激療法は、迷走神経捕捉が検証されるか、又は前記治療が用量設定された後に、遠心性迷走神経連絡を増強し得る。しかしながら、本主題は、迷走神経捕捉を検証し、次いで遠心性迷走神経活性を増強しない迷走神経刺激療法を提供するために用いられてもよい。例えば、前記装置は、迷走神経捕捉が検証された後に、遠心性迷走神経活性を阻止するように、又は求心性迷走神経活性を一方向に増強する迷走神経刺激療法を与えるように、構成されてもよい。迷走神経捕捉を検証するために用いられるパラメータは、迷走神経刺激療法が求心性神経連絡又は遠心性神経連絡を一方向又は非一方向のいずれかに増大させるように構成されているか、又は、迷走神経刺激療法は遠心性神経連絡、求心性神経連絡、又は遠心性及び求心性神経連絡の双方を阻止又は低減するように構成されているかについて、適当な迷走神経刺激療法パラメータを判定するために用いられ得る。
図1は、例として、神経刺激システム100の一実施形態及び神経刺激システム100が用いられ得る環境を示している。神経刺激システム100は頸部迷走神経のような患者102の1つ以上の身体組織に神経刺激治療を与えるように構成され得る。一例において、神経刺激システム100は、患者102の1つ以上の神経に対して、プログラムされた間欠的神経刺激(INS)を送達するようにプログラムされ得る植込み型医療装置(IMD)104を備えるように構成され得る。
図1に例示したように、植込み型医療装置104は気密封止されたハウジング106を備え得る。植込み型医療装置104は、ハウジング106から延び、リード110のような1つ以上のリードの基端部を受容するための1つ以上のレセプタクルを有するヘッダー108を備え得る。リード110の先端部は、患者102の迷走神経112への刺激パルスの送達に使用される「電極」と呼ばれる1つ以上の電気接点を備え得る。例えば、リード110の先端部は、迷走神経112の各々の部位に刺激パルスを送達するような電極114を備え得る。前記電極は、神経のまわりに少なくとも部分的に配置されるように構成された神経カフとして構成されてもよいし、又は神経を刺激するための使用を目的として、神経に隣接して配置されるように構成されてもよく、又は、神経を経血管的に刺激するための使用を目的として、神経の近くで血管内に配置されるように構成されてもよい。図は単一の電極を例示しているが、神経の近くに2つ以上の電極を操作可能に配置して、神経を刺激してもよいことが理解される。さらに、3つ以上の電極を用いて、神経を刺激する電界を制御してもよいことが理解される。前記刺激は、アノード及びカソードが双方とも神経の近くに位置する双極刺激であってもよい。前記刺激は単極刺激であってもよい。例えば、植込み型医療装置104のハウジング106は参照電極(例えばカン電極)を備えることができ、前記神経刺激は、リード電極114と、ハウジング106の参照電極とを用いて送達され得る。
植込み型医療装置104は独立型の神経刺激装置であってもよいし、又は心筋刺激装置のような、しかしこれに限定されるものではない他の装置と組み合わされてもよい。心筋刺激装置の一例としては、心臓ペースメーカー、除細動器、心臓再同期療法(CRT)装置又はそのような装置の組み合わせが挙げられる。神経刺激システム100は他の監視装置又は治療装置(例えばドラッグデリバリー装置、生物学的治療装置又は他の装置)を含むように構成され得る。一例において、植込み型医療装置104は、別の植え込まれた神経刺激装置又は植え込まれた心筋刺激装置などの他の植込み型医療装置(図示せず)と通
信するように構成され得る。一例において、植込み型医療装置104は無線リンク又は有線リンクを介して外部システム116に通信で接続されるように構成され得る。例えば、前記無線リンクは、誘導遠隔測定リンク又は遠方界無線周波数遠隔測定リンクであり得る。
外部システム116は、医師が神経刺激パラメータなどの1つ以上のプログラム可能なパラメータ、閾値(例えば感知閾値)、1つ以上の治療モードの選択、及びその他、例えば、特定の疾患と診断された患者102に適当な神経刺激治療を提供することなどについて、植込み型医療装置104をプログラムすることを可能にすることができる植込み型医療装置プログラマーのような外部装置118を備え得る。一例において、外部システム116は、医師が患者102の状態をリアルタイムで遠隔的に監視し、それにより神経刺激治療を遠隔的に調整するのを支援することができる遠隔患者管理システムの一部であってもよい。
様々な神経刺激治療が間欠的神経刺激を含む。本システム及び方法は、患者102の迷走神経112にプログラムされた間欠的神経刺激を送達するように構成され得る。一例において、前記プログラムされた間欠的神経刺激は、間欠的に送達される電気パルスのバーストを含み得る。例えば、複数の電気パルスは、刺激オン時間中に一連のパルスとして送達されてもよい。これらの一連のパルス同士は、一連のパルスが送達されない刺激オフ時間によって分離されている。前記神経刺激は、神経系において神経活動を誘発することができる、機械的、熱的、光学的、及び化学的などの非電気的な形態のエネルギーを用いて送達されてもよい。
本システム及び方法は、プログラムされた間欠的神経刺激の刺激オン時間及び刺激オフ時間に関して、医師に対して表示を提供するように構成され得る。医師は、これらの表示を用いて、例えば刺激オン時間中に喉頭振動の存在を判定することができる。その結果として、医師は、その刺激が刺激オン時間中に迷走神経112を捕捉していることを判定することができる。例えば、医師は、頸部迷走神経の捕捉を検証するために、喉頭振動を感知してもよい。さらに、医師は、その刺激強度が所望の生理学的反応を得るのに有効であることを判定することができる。前記神経刺激強度は、神経刺激の用量(一定期間中に神経の標的に送達される電荷の量)であるとも考えられ得る。例えば、刺激振幅が大きいほど、より多くの電荷を送達し、従ってより高い刺激強度を有する。パルス幅が広いほど、より多くの電荷を送達し、従ってより高い刺激強度を有する。同様に、間欠的神経刺激治療において送達される一連のパルスについて、より長い刺激パルスデューティサイクル、及びより長い刺激オンデューティサイクルもまた、一定期間中により多くの電荷を提供する。
刺激オン時間及び刺激オフ時間のインジケータは、神経刺激状態の特定の例として提供される。前記インジケータは、これに代わって、又はこれに加えて、他の神経刺激状態の外部インジケータを提供するために用いられる。前記外部インジケータは、刺激振幅、周波数、デューティサイクル又は他の刺激パラメータの変化のような治療出力の変化を反映し得る。例えば、治療は、A振幅でx分間と、それに続くB振幅のy分間とからなってもよい。前記治療はまた、前記B振幅のy分間の後に刺激オフ時間を有してもよく、この場合、刺激オン時間は前記x分間及びy分間を含む。前記インジケータは2つ以上の治療状態の外部インジケータを提供するために用いられてもよい。
プログラムされた刺激オン時間及び刺激オフ時間を有するプログラムされた間欠的神経刺激もまた特定の例である。しかしながら、本願において開示するインジケータはまた、事象が引き金となって引き起こされる一時的な神経刺激を監視するために用いられてもよい。例えば、引き金となる事象は、呼吸相、姿勢、活動、血圧、ICD(植込み型除細動
器)からのショックであり得る。前記装置は、引き金となる事象後の一定期間に神経刺激を送達するようにプログラムされ得る。前記インジケータは、刺激が引き金となる事象に応答して送達されていることを確認する外部インジケータを提供してもよく、また前記刺激が停止するまでの時間も示してもよい。
迷走神経は、異なる刺激閾値で漸加される(recruited)多数の神経経路を備えた複雑な生理学的構造である。迷走神経の刺激に対する様々な生理反応は、迷走神経刺激療強度の様々な閾値に関連する。例えば、図2は図の左側から右側に向かって増大する迷走神経刺激療強度を示しており、さらに迷走神経刺激に対する様々な生理反応を生じる強度閾値を示している。強度の増大の例は振幅の増大である。迷走神経刺激は、迷走神経刺激が生理反応「B」をもたらす強度より低い強度において生理反応「A」を引き起こし、生理反応「B」は、迷走神経刺激が生理反応「C」を引き起こす強度より低い迷走神経刺激強度で起こる。別の方法で述べると、迷走神経刺激は、一定レベルに達した後に、反応「A」をトリガし、より高い強度に達した後に、反応「A」に加えて、反応「B」をトリガし、さらに高い強度に到達した後に、反応「A」及び「B」に加えて、反応「C」をトリガする。
低迷走神経刺激強度における生理反応は、心不全のような心疾患に対して治療上有効な結果を有し得る。低迷走神経刺激強度はまた、他の疾患に対しても治療上有効な結果を有し得る。これらの反応は、これらの治療のための経路を媒介又は提供する。低迷走神経刺激強度において心不全に有用であるそのような反応の例としては、抗炎症反応、抗交感神経反応、及び抗アポプトーシス反応、ならびに一酸化窒素(NO)の増大が挙げられる。より高い迷走神経刺激強度における生理反応は望ましくないことがある。患者が迷走神経刺激を許容する能力を低下させ得るより高い迷走神経刺激強度に対する反応の例としては、心拍数の低下、房室(AV)伝導の延長、血管拡張及び咳嗽が挙げられるが、これらに限定されるものではない。少なくともこれらの反応のうちのいくつかは、一部の治療には望ましいが、他の治療には望ましくないことがある。限定ではなく例として、心拍数を低下させるか、又は房室伝導を延長する迷走神経刺激は、一部の心疾患を治療するのには望ましいが、他の心疾患には望ましくないことがある。迷走神経刺激の強度は、刺激信号のパラメータを調整することによって調整され得る。例えば、前記信号の強度を増大するために、前記信号の振幅(例えば電流又は電圧)が増大され得る。例えば、前記信号の強度を増大するために、前記信号の振幅(例えば電流又は電圧)が増大され得る。振幅の代わりに、又は振幅に加えて、他の刺激パラメータが調整されてもよい。例えば、刺激強度は、刺激信号の周波数(例えば刺激パルスの周波数)、刺激バースト周波数(例えば、バーストを開始するためのバースト周波数において複数のバーストが与えられ、各バーストは複数のパルスを含む)、パルス幅及び/又はデューティサイクルに応じて変化し得る。典型的な迷走神経刺激は、0.1〜10mAを超える信号振幅と、約1〜50Hzの周波数を有し得る。
図3は迷走神経刺激強度が図の左側から右側に向かって増大することを示しており、さらに概して、治療上有効な投与量の境界の例を示している。迷走神経捕捉閾値は、喉頭振動を用いて迷走神経の捕捉を確認することによって設定され得る。刺激パラメータは、喉頭振動を引き起こした刺激パラメータに基づいて設定され得る。例えば、迷走神経刺激強度を増大するために刺激信号の振幅が増大される場合に、1.0mAが喉頭振動を引き起こしたならば、次に、ペーシング振幅は、喉頭振動閾値振幅よりオフセット値(x mA)だけ高く設定される(例えば1mA + x mA)か、又は喉頭振動閾値の係数として設定され得る(例えば、1mA×係数)。加えて、いくつかの実施形態は迷走神経刺激に上方境界を設けてもよい。前記上方境界は、咳嗽又は望ましくない筋刺激のような、刺激に対して検出された望ましくない反応に基づき得る。
図4は、例として、患者102への神経刺激を監視及び送達するための神経刺激システム400の実施形態を例示している。例示した神経刺激システム400は、神経刺激を送達するための植込み型医療装置104と、神経刺激の送達を監視するための外部装置118とを備える。植込み型医療装置104は遠隔測定リンク402を介して外部装置118と通信するように構成され得る。例として、植込み型医療装置104は、患者102の迷走神経112にプログラムされた間欠的神経刺激を送達するように構成され得る。例えば、植込み型医療装置104は、間欠的神経刺激デューティサイクル404に関連する情報などの間欠的神経刺激パラメータを格納するようにプログラムされることができる。プログラムされた間欠的神経刺激のデューティサイクルパラメータは、間欠的神経刺激治療の刺激オン/刺激オフのタイミングを制御する。外部装置118は、植込み型医療装置104によって送達されている間欠的神経刺激に関連する刺激オン/刺激オフのタイミングの表示を提供するように構成され得る間欠的神経刺激タイミングインジケータ406を備えるように構成され得る。植込み型医療装置104は、間欠的神経刺激デューティサイクル404に関連する情報を外部装置118に通信するように構成され得る。この情報は、プログラムされた刺激オンの継続時間、プログラムされた刺激オフの継続時間、バースト周期とも称され得るプログラムされた刺激オン及びオフの合計継続時間、又はそれらの様々な組み合わせを含み得る。更に、前記情報はまた、刺激オフ時間の終了及び/又は開始に対応する刺激オン時間の開始及び/又は終了に対する1つ以上の基準点のような、間欠的神経刺激デューティサイクルに対するタイミング基準点を含んでいてもよい。間欠的神経刺激デューティサイクルパラメータはまた、いくつかの例において、刺激オフ時間から刺激オン時間への移行を制御するための立上りパラメータ(ramp up parameters)、及び/又は刺激オン時間から刺激オフ時間への移行を制御するための立下りパラメータ(ramp down parameters)を含んでもよい。外部装置118は、間欠的神経刺激タイミングインジケータ406を用いて植込み型医療装置104から医師に受信されるような間欠的神経刺激デューティサイクル404の現在のタイミングを示すように構成され得る。
様々な例において、間欠的神経刺激タイミングインジケータ406は、現在の間欠的神経刺激タイミングの1つ以上のユーザー知覚可能表示を提供するための可聴インジケータ408、視覚的インジケータ410、又はそれらの双方を含むように構成され得る。一例において、間欠的神経刺激タイミングインジケータ406は、間欠的神経刺激のデューティサイクルの状態のユーザー知覚可能表示を提供することができる。他の例では、間欠的神経刺激タイミングインジケータ406は、プログラムされた間欠的神経刺激の様々な他のパラメータのユーザー知覚可能表示を提供することができる。
一例において、前記ユーザー知覚可能表示は、間欠的神経刺激タイミングインジケータ406の可聴インジケータ408によって提供されるような可聴表示であり得る。そのような可聴表示の例としては、連続音、ビープ音、1つ以上の音楽、音声記録、音声パターン及び他の可聴信号が挙げられ得るが、これらに限定されるものではない。一例において、前記可聴表示は、前記プログラムされた間欠的神経刺激の刺激オン時間又は刺激オフ時間のような現在のタイミングを示すために明確なトーン又は音を含み得る。一例において、可聴インジケータ408は、神経刺激治療が無効である場合には可聴信号を生成せず、前記プログラムされた間欠的神経刺激の刺激オン時間中には連続した可聴信号を生成し、また前記プログラムされた間欠的神経刺激の刺激オフ時間中には間欠音声信号を生成し得る。一例において、前記間欠音声信号は間欠光信号のような間欠視覚信号とともに用いられ得る。この組み合わせにおいて、前記可聴信号及び光信号の間欠の周波数は、前記プログラムされた間欠的神経刺激が刺激オフ時間から刺激オン時間へ移行しようとするときに増大し得る。
一例において、前記ユーザー知覚可能表示は、間欠的神経刺激タイミングインジケータ
406の視覚的インジケータ410によって提供されるような視覚表示であり得る。一例において、発光ダイオード(LED)のような発光デバイス又は任意の他のものは、視覚的インジケータ410を提供し得る。前記発光デバイスは、前記プログラムされた間欠的神経刺激の異なるタイミングに対応する異なる色を発することができる。例えば、前記プログラムされた間欠的神経刺激が無効である場合には赤色光が発せられ、前記プログラムされた間欠的神経刺激が有効であり、かつ前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングが刺激オン時間である場合には緑色光が発せられ、前記プログラムされた間欠的神経刺激が有効であり、かつ前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングが刺激オフ時間である場合には黄色光が発せられる。更に、状態に対する色は変化してもよいし、又は前記視覚的インジケータは、他の場合には、時間が移行(例えば、刺激オンから刺激オフへ、又は刺激オフから刺激オンへ)に近づくのに従って適合される。一例において、異なる色の光は、外部装置118のグラフィカルインターフェース上に円又は斜線の形で示される。前記視覚表示の例としては、波形の視覚化、計数器の視覚化、時計の文字盤の視覚化、タイマーの視覚化、及び他の視覚表示が挙げられるが、これらに限定されるものではない。一例において、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングのユーザー知覚可能表示は、患者102に送達された神経刺激治療の有効性を評価するために、例えば臨床的用量設定手順中に、医師によって用いられ得る。例えば、前記医師は、前記現在の間欠的神経刺激タイミングの表示を、患者の頸部の喉頭振動を手で感知することと組み合わせて用いて、神経捕捉を評価することができる。
図5A及び図5Bは、間欠的神経刺激を表現したものを示している。前記図は、刺激パルスのバースト又は列508が送達される、刺激がオンである間隔502と、刺激パルスが送達されない、刺激がオフである間隔504とが交番する神経刺激の時間的経過を図式で示している。したがって、例えば、いくつかの実施形態は、図5に示した神経刺激バースト508内において複数の単相パルス又は二相パルスを送達する。前記神経刺激は、植込み型医療装置104がそれらについてプログラムされ得る複数のパラメータを用いて生成され得る。バースト508内で送達されるパルスは、一定のパルス周波数で送達され得る。パルス周期とは連続したパルス間の時間である。これらのパルスはパルス幅512及び振幅514を有する。前記パルス周波数及びパルス振幅の双方は、それらが一定期間中に組織に送達される電荷の量に影響を与えるので、前記神経刺激治療の用量に影響を与える。前記刺激オン間隔の継続時間は、時に刺激継続時間又はバースト継続時間と称される。前記バースト継続時間もまた、前記神経刺激療法の用量に影響を与える。刺激オン間隔の開始は、時間的基準点「NS事象」であり得る。連続するNS事象間の時間間隔は間欠的神経刺激間隔であり、刺激周期又はバースト周期516と称されてもよい。バースト周期516、又は一定期間中に起こる神経刺激事象の数もまた、神経刺激の用量に影響を与える。神経刺激の適用が間欠的である場合、刺激継続時間(すなわちはオン間隔)は、神経刺激が適用されている刺激継続時間未満(すなわち間欠的神経刺激間隔)である。間欠的神経刺激間隔に対するオン間隔の継続時間(例えば比として示される)は、時に間欠的神経刺激のデューティサイクルと称される。
臨床医は、刺激強度を制御するために、1つ以上の神経刺激パラメータの調整を制御し得る。例えば、刺激電極が迷走神経などの神経標的の近くに植え込まれる植え込み手順の間に、臨床医は、所望の生理学的効果を提供する神経標的の閾値刺激を提供するために、前記刺激を適当な用量でプログラムするように、刺激パラメータを調整してもよい。例えば、神経標的が頸部迷走神経である場合には、所望の生理学的効果は、迷走神経の刺激によって、喉頭神経が迷走神経から分岐する位置へ頭方に引き起こされた喉頭振動である。臨床医は、電極の移動、電極/組織界面のインピーダンスの変化などを考慮するために、追跡調査来院の間に植込み型神経刺激装置を再プログラムしてもよい。追跡調査来院の間に、臨床医は、所望の生理反応を提供する神経刺激強度を判定するために、1つ以上の神経刺激パラメータの調整を制御して刺激強度を制御してもよい。
一例において、植込み型医療装置104は、前記プログラムされた間欠的神経刺激を送達するようにプログラムされ得る。一例として、これに限定するものではないが、植込み型医療装置104は50%未満の値を有する間欠的神経刺激デューティサイクルでプログラムされてもよい。一例において、植込み型医療装置104は、約10秒(例えば約5秒〜15秒の範囲内)の刺激オン時間と、約50秒(例えば約40秒〜70秒の範囲内)の刺激オフ時間とでプログラムされてもよい。約10秒の範囲のオン時間及び約50の範囲のオフ時間は、様々な実施形態に従って、より大きくなってもよいし、又はより小さくなってもよい。これらは神経刺激のオン/オフのタイミングの例である。前記オン/オフのタイミングは特定の治療によって異なってもよい。例えば、ある症状は、分のオーダーのオン時間及び秒のオーダーのオフ時間のように、50%より大きな間欠的神経刺激デューティサイクルで治療されてもよい。
図6は、例として、例えば外部装置に用いられ得る間欠的神経刺激タイミングインジケータ600の実施形態を示している。前記間欠的神経刺激タイミングインジケータは、前記プログラムされた間欠的神経刺激に少なくとも1回の表示を提供する。一例において、間欠的神経刺激タイミングインジケータ600はバースト刺激オンインジケータ602を含み得る。バースト刺激オンインジケータ602は、前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、刺激オン時間502にあることを医師に示すように構成され得る。一例において、間欠的神経刺激タイミングインジケータ600は、バースト刺激オフインジケータ604を含み得る。バースト刺激オフインジケータ604は、前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、間欠的神経刺激デューティサイクル404の刺激オフ時間504にあることを医師に示すように構成され得る。一例において、間欠的神経刺激タイミングインジケータ600はタイマーインジケータ606を含み得る。タイマーインジケータ606は、次の刺激オン時間502又は次の刺激オフ時間504までの時間を示すように構成され得る。例えば、タイマーインジケータ606は、表示装置上に数字表示を提供することができ、その場合、前記表示装置上の数字は次の刺激オン時間502又は次の刺激オフ時間504までの残りの継続時間(例えばミリセカンド、秒又は分)を表す。一例において、間欠的神経刺激タイミングインジケータ600は、移行までの時間インジケータ608を含み得る。移行までの時間インジケータ608は、いつ前記プログラムされた間欠的神経刺激が刺激オン時間502と刺激オフ時間504との間を移行するかを示すように構成され得る。一例において、間欠的神経刺激タイミングインジケータ600は間欠的神経刺激位相インジケータ610を含み得る。一例において、前記プログラムされた間欠的神経刺激は、刺激オン時間502及び刺激オフ時間504のサイクルを含み得る。一例において、間欠的神経刺激位相インジケータ610は、前記プログラムされた間欠的神経刺激の刺激サイクルの位相を示すように構成され得る。様々な例において、間欠的神経刺激タイミングインジケータは、バースト刺激オンインジケータ、バースト刺激オフインジケータ、タイマーインジケータ、移行までの時間インジケータを及び間欠的神経刺激位相インジケータのうちの任意の2つ以上を含む。一例において、外部装置118は、上記で検討したインジケータのうちのいずれかを用いて、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングの視覚表示又は可聴表示を提供するように構成される。
一例において、植込み型医療装置104は、前記プログラムされた間欠的神経刺激を送達するようにプログラムされ得る。一例として、これに限定するものではないが、植込み型医療装置104は50%未満の値を有する間欠的神経刺激デューティサイクルでプログラムされてもよい。さらに、一例として、これに限定するものではないが、植込み型医療装置104は、約10秒(例えば約5秒〜15秒の範囲内)の刺激オン時間と、約50秒(例えば約30秒〜70秒の範囲内)の刺激オフ時間とでプログラムされてもよい。しかしながら、これらの範囲は、様々な実施形態に従って、より大きくなってもよいし、又はより小さくなってもよい。神経刺激状態の表示は様々な神経刺激プロトコルによって実行
され得る。
図7は、プログラムされた間欠的神経刺激などの神経刺激治療の送達中に臨床医に提供され得る視覚表示700の例を示している。一例において、前記視覚表示はプログラムされた間欠的神経刺激の対応するタイミングを示すように構成され得る。例えば、神経刺激治療が無効であることを示すために、表示装置702に示されているようなブランク画面が臨床医に提示されてもよい。一例において、前記プログラムされた間欠的神経刺激の送達が有効であり、間欠的神経刺激が刺激オフ時間中である場合には、表示装置704に示されたような静止波形が臨床医に提示され得る。一例において、前記プログラムされた間欠的神経刺激が有効であり、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングが刺激オン時間中である場合には、前記視覚表示は、概して表示装置706,708によって示されるような移動波形を表示することができる。
図8A〜図8Bは、プログラムされた間欠的神経刺激のような神経刺激治療のタイミングを示すために臨床医に提供され得る視覚表示のいくつかの例を示している。一例において、マーカー802はデューティサイクル情報を臨床医に伝達するために用いられ得る。マーカー802は、前記プログラムされた間欠的神経刺激のデューティサイクル内における前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングを示すために用いられ得る。間欠的神経刺激オン時間806及び刺激オフ時間808を示す波形804に対するマーカー802の相対位置は、間欠的神経刺激デューティサイクルの現在の状態を表わすために用いられ得る。一例において、前記表示装置は静止マーカー802と、移動波形804とを提供し得る。例えば、波形804は移動し得る。前記移動波形は、例えば、デューティサイクルタイミングについて、波形804をマーカー位置に対して適切に位置づけるために、矢印810によって示されるような方向に移動し得る。他の例では、前記表示装置は、静止波形804を提供してもよく、可動マーカー802は移動するように構成され得る。可動マーカーは、例えば、矢印810によって示される方向とは反対方向に移動し得る。特定の時点における波形804とマーカー802の交点は、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングを示し得る。一例として、図8Aにおいて、マーカー802と波形804との交点は、現在、前記プログラムされた間欠的神経刺激のデューティサイクルが刺激オフ時間/状態にあることを示している。また、次の移行までの時間の図解も提供される。例えば、図8Aは、刺激オフ時間808の約80%が完了したことと、波形804が次の刺激オン時間806へ移行するまでに、プログラムされた刺激オフ時間の約20%が残存していることとを示している。よって、前記プログラムされたオフ時間が例えば50秒である場合には、医師は、約10秒(50秒の20%)で次の刺激オン時間が起こるだろうことを認識するであろう。いくつかの表示装置の実施形態はまた、図8Aに示したマーカー802及び波形804とともに、デューティサイクルが移行するまでに残された時間(例えば、刺激状態の秒又はパーセンテージのような量)を表示してもよい。いくつかの表示装置の例において、表示装置は、臨床医が信号デューティサイクル又は前記デューティサイクルの一部を見るために拡大したり、又はプログラムされた間欠的神経刺激の単一又は複数のデューティサイクルを見るために波形804上で縮小したりすることを可能にするように構成されている。
以前に示したように、間欠的神経刺激デューティサイクルパラメータはまた、いくつかの例において、刺激オフ時間から刺激オン時間への移行を制御するための立上りパラメータ、及び/又は刺激オン時間から刺激オフ時間まで移行を制御するための立下がりパラメータも含む。図8Bは、立上り部分及び立下り部分を示している。いくつかの実施形態は、間欠的神経刺激オン時間の立上り部分のタイミングを示す視覚表示を提供してもよい。いくつかの例は、間欠的神経刺激オン時間の立下り部分のタイミングを示す視覚表示を提供してもよい。いくつかの例は、単に、立上り移行及び/又は立下り移行が実施されているかの表示を提供してもよい。例えば、ステップアップ機能(step up func
tiоn)は立上り移行を示さなくてもよく、かつステップダウン機能は立下り移行を示さなくてもよい。立上り部分を含むことは、単にデューティサイクルパラメータが立上り移行を含むが、傾斜の勾配及び継続時間は必ずしも立上りパラメータに従わないことを示している。同様に、立下り部分を含むことは、単にデューティサイクルパラメータは立下り移行を含むが、傾斜の勾配及び継続時間は必ずしも立下りパラメータに従わないことを示している。いくつかの例は、立上り及び/又は立下りパラメータのタイミングを示してもよい。例として、これに限定するものではないが、移動又は静止波形804は、立上り部分の開始及び継続期間、並びにISN刺激オン時間の開始までの立上り部分の増大勾配を示し得、かつ/又は移動又は静止波形804は、ISN刺激オン時間の終了から、立下り部分の継続期間及び終了の立下り部分の減少勾配を示し得る。
図9A〜図9Dは、プログラムされた間欠的神経刺激のタイミングを示すための視覚表示の例を示している。一例として、前記視覚表示は、プログラムされたデューティサイクルの周期的特徴を示すために、図9A示すような、回転する針を有したアナログ時計に類似した回転マーカー904を有する円902として構成され得る。前記円は、刺激オン時間の開始のようなデューティサイクルの基準点906を含み得る。前記円は、刺激オン時間に対応するデューティサイクルの部分、及び刺激オフ時間に対応するデューティサイクルの別の部分を図示するために異なる陰影又は色の領域を備え得る。別の例では、前記視覚表示は、図9Bに示すようなデジタル時計に類似して構成され得る。例えば、前記時計は分及び秒を表わし得る。前記時計は、特定のオン動作時間段階が完了するまでの残りの時間に加えて(又はこれに代わって)、間欠的神経刺激の特定の刺激オン時間段階又は刺激オフ時間段階の経過時間を示すことができる。
別の例では、前記視覚表示は、図9Cに示すように、カウントダウンタイマーとして構成され得る。一例において、前記カウントダウンタイマーは、刺激オン又は刺激オフ状態などのデューティサイクルの特定の状態の完了までに残された時間を示すタイミングのカウントダウンなどを示し得る。例えば、図9中のカウントダウンタイマー902は、現在の状態(例えば刺激オン状態)が3秒又はその他のような3単位の時間で完了するだろうことを示すことができる「3」を示している。残りの時間が表示されてもよい。加えて、前記表示装置は1秒毎に点滅するか、又は他の場合にはカウントダウンの視覚的な表現を増強してもよい。前記表示装置はまた、カウントダウンが終了に近づくにつれて、明るさ、もしくは色、又は他の表現を変更してもよい。例えば、前記表示装置はカウントダウンの第1部分の間には第1色であり、次いでカウントダウンの第2部分(例えば最後の「x」秒)の間には別の色に切り替わってもよい。別の例では、表示された数はまた、間欠的神経刺激のオフ状態のような次の状態を開始するまでの残りの時間も表わすことができる。異なる色彩設計又は陰影付けを用いて、刺激オフから刺激オンへの移行に対するカウントダウンを、刺激オンから刺激オフへの移行に対するカウントダウンと区別してもよい。いくつかの実施形態は、送達状態に応じた計数器の変化に関連したテキスト形式の記載を変更してもよい。例として、これに限定するものではないが、「オン期間の残り時間」が「次のオン期間までの時間」に変化してもよい。
別の例において、前記視覚表示は図9Dに示すようなスイープタイマーとして構成され得る。前記スイープタイマーは、プログラムされた間欠的神経刺激のデューティサイクルの進行を示すために環状ダイヤル上を進行するように構成され得る環状ダイヤル及びマーカーを備え得る。現在時刻においてマーカーがダイヤル上で進行した領域は、治療の経過時間、又は、オン刺激時間もしくはオフ刺激時間を示し得る。一例において、前記ダイヤルの色又は陰影付けはデューティサイクルのタイミングを示すために変化する。特定の色又は陰影(shade)は、間欠的神経刺激の特定のオン又はオフ状態を示すことができる。いくつかの例において、前記表示装置の複数の部分は、オン及びオフ刺激タイミングなどに関連付けられた複数のカウントダウンタイミングを示すことができる。前記複数の
部分は、異なるカウントダウンタイミングを異なるタイミングに関連付けるために、一例において異なって陰影付けされ得る。一例において、治療送達が無効である場合には、マーカーの進行は不能になり得る。
視覚的識別は他の技術を用いて実施されてもよい。例えば、前記視覚表示はジャーナリングによって提供されてもよく、その場合、前記刺激状態はリアルタイムストリップ上で識別される(例えば、印刷される)。
いくつかの実施形態は、デューティサイクルの変化に適応するように前記視覚表示を自動調整してもよい。例えば、刺激が10秒のオン/50秒のオフから5秒のオン/5秒のオフに変化した場合、例として、新たなデューティサイクル比を反映するために、図8中の参照番号806は自動的に拡張され、図8の参照番号808は自動的に縮小され得る。すなわち、この特定の例については、前記インジケータは、20%の古いオン/オフ比から50%の新たなオン/オフ比への変化を反映するために自動的に調整され得る。
図10は、例として、前記プログラムされた神経刺激(NS)の現在のタイミングの表示を臨床医に提供する方法1000を示している。参照符号1002では、プログラムされた神経刺激の現在のタイミングが識別され得る。一例において、前記プログラムされた神経刺激は、交番する刺激オン時間及び刺激オフ時間、並びに刺激バーストオン時間中に複数の刺激パルスの刺激バーストを送達するためのタイミングを有するプログラムされた間欠的神経刺激治療を含む。現在のタイミングの識別は、間欠的神経刺激の状態を識別するためのマーカーを含み得る。一例において、前記プログラムされた間欠的神経刺激は、刺激オン時間及び刺激オフ時間を有するデューティサイクルを含み、現在のタイミングの識別は、位相又はデューティサイクルの状態の識別を含み得る。一例において、植込み型医療装置104は、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングを外部装置118に通信するように構成され得る。植込み型医療装置104は、そのプログラムされたタイミング特性(例えば間欠的神経刺激デューティサイクルパラメータ)を外部装置に提供してもよい。一例において、外部装置118は前記間欠的神経刺激の現在のタイミングを検出するために用いられ得る。前記外部装置118は、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングを識別するために、タイマー又は計時装置などを備え得る。前記外部装置は、前記植込み型医療装置によって送達された神経刺激の既知のタイミング特性(例えば間欠的神経刺激デューティサイクルパラメータ)でプログラムされ得る。前記外部装置は、前記植込み型医療装置によって送達された神経刺激のパターンを監視及び検出して、タイミング特性(例えば間欠的神経刺激の一貫した送達のための刺激オン期間の継続時間及び刺激オフ期間の継続時間)を導き出すために「学習モード」でプログラムされてもよい。
参照符号1004では、外部装置118の間欠的神経刺激インジケータを用いて、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングの表示を医師に提供することができる。一例において、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングの表示の提供は、前記プログラムされた間欠的神経刺激が現在、刺激オン状態又は刺激オフ状態にあるという表示の提供を含む。一例としては、間欠的神経刺激の現在の位相、次の移行までの時間(刺激オンから刺激オフまで、及び/又は刺激オフから刺激オンまで)の表示のような他の表示がある。前記間欠的神経刺激の現在のタイミングの表示は、以前に検討したような可聴表示又は視覚表示のうちのいずれを用いて提供してもよい。
図11は、例として、前記プログラムされた間欠的神経刺激のデューティサイクルの状態の変化を示す方法1100を示している。参照番号1102では、前記プログラムされた間欠的神経刺激のデューティサイクルを監視することができる。一例において、プログラムされた間欠的神経刺激のデューティサイクルは、刺激オン及び刺激オフ状態を交番さ
せることを含み得る。前記プログラムされた間欠的神経刺激のデューティサイクルは、刺激の継続時間の合計に対する刺激オン状態の継続時間の比の点から判定され得る。一例において、この比はパーセンテージとして表わされてもよい。例えば、60%のデューティサイクルは、刺激が刺激継続時間の合計の60%の間はオンであり、刺激は総刺激継続時間の40%の間はオフであることを示し得る。一例において、前記デューティサイクルは、例えばデューティサイクルの状態の変化を識別するために、監視され得る。例えば、植込み型医療装置104は、例えば刺激オン状態から刺激オフ状態への、及びその反対の任意の変化を識別するために、前記プログラムされた間欠的神経刺激の現在のタイミングを監視するように構成され得る。参照番号1104では、デューティサイクルの状態が変化したかに関して判定がなされ得る。方法1100は、デューティサイクルの状態に変化がない場合には、参照番号1102においてデューティサイクルを監視し続け得る。
参照番号1106では、前記デューティサイクルの状態の変化の検出に対して表示が変更され得る。一例において、前記表示の変更は、視覚表示又は音声表示の変更を含み得る。前記視覚表示の変更の例としては、デューティサイクルの状態の変化に応答した、LEDインジケータの色の変更、波形の状態の変更(例えば、静止から移動)、又は他の変更を含み得る。音声表示の変更の例としては、デューティサイクルの対応する状態を示すための、可聴音のピッチの変更、音響機器のオン/オフ、異なる音声トーン又は他の音声変化の生成が挙げられる。前記デューティサイクルのタイミングについてのプログラムされた、又は導出された知識によって、来たる移行を予測することができ、来たる移行が近づくと前記表示は変更され得る。例えば、ある状態(例えば刺激オフ)の間のビープ音は、他の状態(例えば刺激オン)に移行する前の最後の数秒間に、より速く、又はより大きくなってもよい。同様に、点滅する表示装置は、移行前の最後の数秒間に、より速く、又はより明るく点滅してもよい。
図12は、一例として、患者に神経刺激治療を与えている間に迷走神経の捕捉を検証する方法1200を示している。参照番号1202では、神経刺激治療は、植込み型医療装置104を用いて、患者102の迷走神経112に送達することができる。一例において、植込み型医療装置104は、交番する刺激オン及び刺激オフ時間、並びに刺激バーストオン時間中に複数の刺激パルスの刺激バーストを送達するためのタイミングを有したプログラムされた間欠的神経刺激治療を与えるようにプログラムされ得る。参照番号1204では、神経刺激治療を与える間に、例えば医師によって、喉頭振動が監視され得る。一例において、前記医師は、患者の頸部に物理的に触れることにより、喉頭振動を感知することができる。参照番号1206では、前記医師はまた、前記プログラムされた間欠的神経刺激が刺激オン時間の状態にあるか、又は刺激オフ時間の状態にあるか、のような現在の間欠的神経刺激タイミングの表示について外部装置を監視する。一例において、表示について外部装置118を監視することは、刺激オン時間と刺激オフ時間との間における前記プログラムされた間欠的神経刺激の来たる移行を検出するために、前記表示を監視することを含み得る。一例において、外部装置118の監視は、プログラムされた間欠的神経刺激のサイクルの位相を監視することを含み得る。
いくつかの例において、喉頭振動の監視の結果、及び外部装置118上の現在の間欠的神経刺激タイミングに関する表示に基づいて、参照番号1208では、迷走神経112の捕捉が検証され得る。例えば、医師は、喉頭振動がプログラムされた間欠的神経刺激の刺激オン時間の間に検出される場合には、前記プログラムされた間欠的神経刺激は迷走神経112を捕捉していると判定することができる。一例において、医師は、喉頭振動がプログラムされた間欠的神経刺激の刺激オン時間の間に検出されない場合には、前記プログラムされた間欠的神経刺激は迷走神経112を捕捉していないと判定することができる。
よって、一例として、本主題は、いつ喉頭振動を探るべきかに関して、生理学的データ
のリアルタイムストリーミングを必要とすることなく、より良好な案内を臨床医に提供する。しかしながら、生理学的データを用いて、生理学的変化を治療の送達の変化に関連付けてもよい。よって、いくつかの実施形態は、さらに1つ以上の生理学的センサーを提供し得る。そのような生理学的センサーの例としては、心拍数センサー、血圧センサー、呼吸センサーが挙げられるが、これらに限定されるものではない。前記神経刺激を提供する植込み型医療装置とともに、1つ以上の生理学的センサーが植え込まれてもよい。1つ以上の生理学的センサーは別の位置に植え込まれてもよいし、かつ/又は、植込み型心調律管理(CRM)装置のような別の植込み型装置の一部であってもよい。植込み型CRM装置の例としては、ペースメーカー、カルディオバータ及び除細動器が挙げられる。植込み型CRM装置は、心不全患者に心臓再同期療法(CRT)を与えるために構成され得る。1つ以上の生理学的センサーは外付けであってもよい。例えば、外付けの血液測定用カフが用いられてもよい。他の例では、外付けのセンサーは心電図を感知するために用いられてもよいし、又は呼吸特性を感知するために用いられてもよい。
物理データ単独では、いつ治療が実際に送達されるのかを判定するために充分でない場合であっても、前記センサーによって感知された生理学的データを用いて、治療送達に付加的な情況を提供し得る。本出願人は、米国特許出願公開第20060241725号、及び米国特許第7,640,057号を参照により余すところなく援用する。
例として、前記付加的な情況は、刺激が送達されているかだけでなく、刺激が運動神経線維(例えば喉頭振動を引き起こす迷走神経における運動神経線維)を捕捉しているか、刺激が咳反射を引き起こしているか、又は刺激が心拍数又は血圧の変化などの生理学的反応をもたらしているかについても洞察を提供し得る。例えば、一貫した咳を有する患者は、咳が治療送達の開始時又は終了時に起こるかを判定するために監視されてもよい。そうである場合には、次に、立上り(刺激オフから刺激オン)又は立下り(刺激オンから刺激オフ)の刺激プロトコルが実施又は調整され得る。前記咳が治療送達の特定の継続時間後に一貫して起こる場合には、刺激のデューティサイクルを変更することが適当であり得る。臨床医は、呼吸サイクルの一部に刺激を結び付けることを選択してもよい。別の例において、高血圧症治療は有効であるが、送達後の一定期間(例えば90秒)後に弱くなることが観察されることがあり、その時には、血圧(BP)のより良好な平均的な低減を提供するために、90秒のオン/10秒オフのデューティサイクルに変更することが適当であり得る。別の例において、高血圧症治療が有効であり、1分間の送達後に安定した血圧に達し、次に、血圧が上昇し始める前に、治療のない「n」秒のヒステリシスを有することが観察され得る。さらに、一例として、生理学的データを重ね合わせることにより、20秒のオン/5秒のオフは血圧を長期的に維持するが、20秒のオン/7秒のオフは、治療送達がない5秒後には血圧が上昇し始めるので、血圧に過大な変動を生じさせるということを判定するのを助け得る。前記インジケータは、臨床医が刺激と生理学的反応との間の相関に気付くことを可能にする。よって、これは、臨床医に対して、所望の生理学的反応を増強するため、及び/又は望ましくない生理学的反応を回避するために、どのように刺激を調整すべきかについてより多くの洞察を提供する。
上記の詳細な説明は、例示であり、限定的なものではないことが意図される。他の実施形態は、上記の説明を読み把握すると、当業者には明らかになるであろう。したがって、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、並びに係る特許請求の範囲が権利を享受する均等物の全範囲を参照して決定されるべきである。

Claims (13)

  1. 異なる刺激状態を用いて、神経刺激を送達するように構成された植込み型医療装置(IMD)と、
    前記植込み型医療装置によって送達される神経刺激の現在の刺激状態を識別する外部装置とを備えるシステムにおいて、
    前記外部装置は、前記植込み型医療装置によって送達された神経刺激の現在の刺激状態のユーザー知覚可能表示を提供するインジケータを備える、システム。
  2. 前記植込み型医療装置はプログラムされた間欠神経刺激(INS)を迷走神経に送達し、前記プログラムされた間欠的神経刺激は、
    交番する刺激オン時間及び刺激オフ時間と、
    刺激バーストオン時間中に複数の刺激パルスの刺激バーストを送達するためのタイミングとを含んでなり、
    前記外部装置は植込み型医療装置によって送達される前記間欠的神経刺激の現在のタイミングを識別し、前記外部装置は前記間欠的神経刺激の現在のタイミングのユーザー知覚可能表示を提供する間欠的神経刺激インジケータを備える、請求項1に記載のシステム。
  3. 前記現在のタイミングを識別するために、前記外部装置は前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、刺激オン時間中であるかを判定するか、又は前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、刺激オフ時間中であるかを判定し、前記間欠的神経刺激インジケータは、前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、刺激オン時間中であるかを示すか、又は前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、刺激オフ時間中であるかを示す、請求項2に記載のシステム。
  4. 前記現在のタイミングを識別するために、前記外部装置は、いつ前記プログラムされた間欠的神経刺激が刺激オン時間と刺激オフ時間との間を移行するかを判定し、前記間欠的神経刺激インジケータは、いつ前記プログラムされた間欠的神経刺激が刺激オンと刺激オフ時間との間を移行するかを示す、請求項2に記載のシステム。
  5. 前記現在のタイミングを識別するために、前記外部装置は、次の刺激オン時間までの時間を判定し、前記間欠的神経刺激インジケータは、前記次の刺激オン時間までの時間を示す、請求項2に記載のシステム。
  6. 前記現在のタイミングを識別するために、前記外部装置は、次の刺激オフ時間までの時間を判定し、前記間欠的神経刺激インジケータは、前記次の刺激オフ時間までの時間を示す、請求項2に記載のシステム。
  7. 前記間欠的神経刺激は、前記刺激オン時間及び刺激オフ時間のサイクルを含んでなり、
    前記現在のタイミングを識別するために、前記外部装置は前記サイクルの位相を判定し、
    前記間欠的神経刺激インジケータは前記サイクルの位相を示す、請求項2に記載のシステム。
  8. 前記植込み型医療装置は前記外部装置に通信信号を送信し、前記外部装置は、前記通信信号を用いて、前記植込み型医療装置によって送達される前記間欠的神経刺激の現在のタイミングを識別する、請求項2に記載のシステム。
  9. 前記植込み型医療装置によって送達される前記間欠的神経刺激の現在のタイミングを識別するために、前記外部装置は、刺激バーストオン時間中に複数の刺激パルスの刺激バー
    ストを送達するためのタイミングを検出する、請求項2に記載のシステム。
  10. 前記間欠的神経刺激インジケータは、前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、刺激オン時間中であるかを示すため、又は前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、刺激オフ時間中であるかを示すために、可聴信号を提供する、請求項2に記載のシステム。
  11. 前記間欠的神経刺激インジケータは、前記刺激オン時間と刺激オフ時間との間の移行に近づいていることを示すために可聴信号又は可視信号を提供する、請求項2に記載のシステム。
  12. 前記間欠的神経刺激インジケータは前記間欠的神経刺激の現在のタイミングを視覚的に識別する、請求項2に記載のシステム。
  13. 前記間欠的神経刺激インジケータは、前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、刺激オン時間中であるかを示すか、又は前記プログラムされた間欠的神経刺激が、現在、刺激オフ時間中であるかを示す、請求項2に記載のシステム。
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